JP2005526304A - シート材料、シート材料を製造する装置および方法、シート材料を処理する装置および方法 - Google Patents

シート材料、シート材料を製造する装置および方法、シート材料を処理する装置および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は電気回路を有するシート材料およびそのシート材料を処理する装置および方法に関する。本発明ではシート材料を手間がかからずに、簡単かつ信頼性を持って処理することのできる改良された電気回路を有するシート材料およびそのシート材料を処理する装置および方法が述べられる。シート材料は少なくとも1つの電気回路を備え、エネルギーもしくはデータが装置から電気回路にもしくは電気回路から装置に送られ、そのデータの少なくとも一部が処理に使用される。

Description

本発明は電気回路つきシート材料およびそのようなシート材料の製造装置および製造方法、さらに、そのようなシート材料の処理装置および処理方法に関するものである。
紙幣等の従来のシート材料を処理する、例えば、数えたり、ソートしたりする際には、センサー手段を使用した複雑な手順が必要である。
それゆえ、本発明は電気回路つきシート材料、そのようなシート材料を低コストで、短時間に、容易にかつ信頼性高く製造乃至処理する、製造乃至処理装置、製造乃至処理方法を提供せんとするものである。
この目的は、独立請求項に記載されている特徴によって、達成することができる。従属請求項は望ましい実施の形態を記載したものである。
特に、本発明の目的は、シート材料に少なくとも1つの電気回路を設け、その電気回路と装置の間でエネルギー乃至データをやり取りするようにし、そのやり取りされたエネルギー乃至データの一部あるいは場合によって全部を処理に使用するようにした、シート材料処理装置乃至処理方法によって達成することができる。
この目的のために、チェック装置を使用することができる。このチェック装置は、以後場合に応じて、テスト装置、読取装置あるいは通信装置と称することがあるが、エネルギー乃至データのやり取り用だけでなく、そのようなデータの分析用としても設計することができる。本発明で言う、チェック装置は、場合に応じて発したり受け取ったりされるエネルギー乃至データに応じて、エネルギー乃至データを受け取るのにも、発するのにも、テストにも場合に応じて使用することができる。
一般的な定義によれば、「データ」とはシート材料の回路と処理装置の間で一方向に授受される情報と、双方向に授受される情報の両方を称し、その情報を他方で受け取った場合にその他方でなにが起きるかを特定できるような情報、例えば、処理コマンド、制御コマンド(場合によって異なるが)の形の情報を含むものである。ここで、「エネルギー」とは、例えば、処理装置に、シート材料の回路にエネルギーを供給させることによって、上記のようなデータの授受を可能にするものを言う。この意味で、「電気回路」とは回路自体、例えば、集積回路チップを称することもあり、接点面、アンテナ、フォトダイオード等のその結合部品を称することもある。
ある実施の形態では、本発明は回路付のシート材料と、その回路や、その回路にデータを入力する1つ乃至複数の通信装置や、その回路からデータを取り出す1つ乃至複数の通信装置に、電圧を供給するエネルギーを伝送する1つ乃至複数の通信装置とに関するものである。ここで、これらの通信装置の各々を様々な物理的動作によるものとすることができる。例えば、接点を介した電気的結合、電界による結合、磁界による結合、光等の電磁波による光学的結合、ひずみによる結合、電気機械的要素による結合、音による結合、熱による結合等を単独あるいは組み合わせて使用することができる。なお、本発明では、光とは可視光であるのが望ましいが、紫外光、赤外光、電波、マイクロ波を含む全ての電磁放射線を称するものである。いわゆる電子ペーパーを使用するなどして、光透過率、光反射率や光吸収率を変えることなどによるデータ伝送、通信装置を介して回路に送られるエネルギーの負荷変調による、情報伝送などの他の方法も回路内からデータを伝送するのに使用することができる。
また、他の実施の形態では、本発明は電気回路付シート材料を積み重ねることができるようにし、シート材料の電気回路と装置との間の通信によってそのシート材料の1つ乃至複数のプロパティを決定もしくは把握するようにした装置および方法乃至、情報もしくはデータが上記のような通信によって前記電気回路に伝送され、例えば、紙幣チップのメモリーに保存されるようにした装置および方法に関するものである。堆積物(積み重ねたもの)の測定には、特に2種類ある。1つは固定堆積物の測定であり、もう1つは可動堆積物の測定である、
場合によって固定堆積物であったり、可動堆積物であったりするが、「固定堆積物」「可動堆積物」とは、堆積物全体が固定または可動である場合、堆積物中の個々のシート材料が他に対して固定または可動である場合の両方を称するものとする。
さらに他の実施の形態では、本発明は少なくとも1つの電気回路を備えたシート材料(固定状態であるのが望ましい)を処理する装置乃至方法であって、次に分離されるべきシート材料の回路−装置間の情報交換が前の装置の分離の前に行われるようにしたものに関するものである。例えば、これを光学的に行うことによって、混線乃至クロストークの問題を解決することができる。個々の紙幣内に信頼性のあるセンサーを追加すれば、紙幣処理装置を測定パスなしに構成することができる。
さらに、前記目的は電気回路を備えたシート材料とその回路とデータもしくはエネルギーの授受をする通信装置とを、あるいはこの情報交換をするための装置もしくは方法とを使用することによっても達成できる。紙幣に関して言えば、そのシート材料は印刷前の紙幣であっても印刷後の紙幣であっても差し支えない。
本発明のさらに他の実施の形態では、シート材料の前記電気回路はそのシート材料が流通している間は書き込み・読み取り可能な複数の分離された記憶領域を有する、少なくとも1つのメモリーを備えている。さらに本発明は特定の目的のために、メモリーに記録することができ、そのメモリーから読み取ることのできるデータを提供するものである。
また、さらに他の実施の形態では、本発明はメモリーを備えた電気回路付シート材料と、その電気回路との情報交換を、その情報交換のセキュリティを確保し、そのシート材料のある特質(例えば、紙幣の額面)を保証するのにPKI(公開鍵インフラストラクチャー)方式を使用して行う装置および方法に関するものである。これによれば、セキュリティ用の電子技術が要求されないため、前記装置を簡略化することができる。
さらに他の望ましい実施の形態では、本発明はシート材料を通過させる際にそのシート材料の電気回路と情報交換をするとともに、その情報交換がシート材料の搬送や向きに関係ないようにした、シート材料の電気回路と情報を交換する装置に関するものである。
さらに他の独立請求項においては、前記目的は、前記シート材料を保管したり、搬送したりするための、金庫、カセット、バンド等の容器、シート材料を製造するのに使用される、伝送部品等の中間製品、シート材料もしくはシート材料を製造するのに使用される中間製品の製造方法および装置によって達成される。
従属請求項の個々の特徴および明細書中に記載されている各実施の形態の個々の特徴は組み合わせて使用するか、あるいは互いにもしくはメインクレームの要件から少なくとも一部独立して使用してもよい。
本発明は、チェック、チケット等シート状の書類を含むあらゆる種類のシート材料に関し、あらゆる種類のシート材料に使用できるが、紙幣に適用した場合に特に有用である。というのは、特に紙幣や紙幣の処理に関する問題が下記のようにして対処されるからである。
本発明の思想は上述の実施の形態によって、実現され、さらに以下により詳細に説明されるが、本発明の思想によって、マネーサイクルおよびそこで使用される紙幣処理装置を大幅に改良することができるとともに再構築することができる。
したがって、本発明のさまざまな実施の形態を説明し理解してもらうには、図1に基本形を示すマネーサイクルにおける各実施例の重要性を参照するのが一番であろうと考えられる。
マネーサイクル
製紙工場20で製紙する際に、紙幣として使用するのに適したセキュリティ紙にはすかし、線条等のセキュリティ機能が設けられる。そのセキュリティ紙に紙幣印刷所21においてセキュリティインクで印刷が施され、さらに必要に応じて、追加のセキュリティ機能が設けられ、紙幣とされる。
印刷工程22と他の機能を持たせる工程の後に、品質保証工程23において紙幣の品質がチェックされる。不良紙幣、すなわち、全体的にあるいは部分的に標準に満たない紙幣は、破断装置24、例えば、シュレッダーに送られて通常直ちに破断される。
完成したすなわちチェックを通った紙幣は中央銀行25によって流通に乗せられる。すなわち中央銀行25は各商業銀行に完成した紙幣を渡し、各商業銀行ではその紙幣を、カウンター35で客34に直接手渡すか、あるいは、現金払い出し機27から払い出す。
店30では、客34から支払われた紙幣は携帯キャッシュレジスター33に収められるか、あるいはその紙幣をチェックし、額面金額を認識し、必要に応じて、金額を合計する、自動現金入力装置32に入れられる。このようにして、得られた現金の少なくとも一部は商業銀行26に戻され、各店30の口座に入れられる。紙幣はカウンター35で預かってもよいし、預金機28で預けてもよい。現金預け入れと現金払出しの両方に使用することができる現金預入・払出機29は小額の現金の預け入れと払出しに向けたものである。
商業銀行26に預けられた紙幣は通常中央銀行25に戻され、そこで自動紙幣処理機31にかけられる。その自動紙幣処理機31はその紙幣の真贋をチェックし、さらに、その紙幣の磨耗具合と汚れ具合に応じて以後の流通に耐えるかどうかをチェックする。以後の流通に耐え得ないとされた不適紙幣は破断装置24、例えば、シュレッダーに送られる。一方、本物であり、以後の流通に耐え得るとされた紙幣は商業銀行26に頒布されて再循環させることができる。
以下においては、多数の実施の形態をより詳細に説明するとともに、本発明の様々な特徴をマネーサイクルの異なる段階において例示する。
電気回路付紙幣の製造と設計
製紙工場20で製紙する際か、紙幣印刷場21で紙幣を製造する際に、セキュリティ紙に電気回路、例えば、集積回路を組み込む。
製紙工場20で製紙する際には、セキュリティ紙に電気回路を埋め込むか貼着することができるが、紙幣印刷場においては、セキュリティ紙をさらに加工するまでは、回路を紙幣に貼着したり、組み込んだりしない。これは、印刷の際、インクに回路を混ぜて、紙に転写することによって行うのが望ましい。あるいは、紙幣に貼着されるか、組み込まれるかするキャリア層上あるいは層内に回路を設ける。同様に、複数の回路を製紙工場20もしくは紙幣印刷所21で製造してもよいし、1個または複数の電気回路の一部を製紙工場20と紙幣印刷所21の一方で製造して残りを他方で製造してもよい。
電気回路はベース層、場合によって異なるが、セキュリティ紙またはキャリア層、上に印刷によって設けるのが望ましい。この場合に、通常は別工程である回路製造工程と回路添付工程が1工程になる。さらにこの方法によって、製造コストを大幅に低下させることができる。さらに、セキュリティ紙またはキャリア層に印刷した電気回路は、紙幣から剥がそうとすると、きわめて困難であるか、あるいは破損してしまい、不正に使用するのはきわめて困難もしくは不可能である。
特に紙幣の場合には、個々のシート材料の回路はシート材料毎に僅かに位置がずれていて、そのシート材料を堆積したときに、回路が重なって、回路の部分が厚くなったり、回路が互いに高周波妨害を起こすことのないようにするのが望ましい。
本発明において、セキュリティ紙としてのシート材料は木綿繊維、あるいはセルロース繊維からなる狭い意味での紙からなるのが望ましいが、天然繊維、合成繊維を含む殆どどんな材料からでも製造することができる。さらに、セキュリティ紙を1枚乃至複数枚のプラスチックフォイルで形成してもよいし、場合によって、それを繊維からなるセキュリティ紙に貼り付けてもよい。
なお、本発明で言う電気回路は最も簡単な場合は単一のモジュールからなるし、2,3もしくは多くのモジュールからなる複雑な回路、例えば、集積回路でもよい。抵抗、コンデンサー、半導体ダイオード等の受動的モジュール、トランジスタ、サイリスタ等の能動的モジュール、およびフォトダイオード、発光ダイオード等のトランスジューサは全て、モジュールとして適している。
中でも、一般に1mm×1mmより小さく、厚みが20ミクロンと100ミクロンの間であり、少なくとも1個のメモリーを構成する集積回路、いわゆるチップが望ましいが、例えば、エッジ長が0.3mmで厚みが20ミクロンより小さいチップも使用できる。RAM、ROM、PROM、FRAM、MRAM、EPROM、EEPROM、FIFO等を一般にメモリーとして使用することができる。さらに、その回路に、データを処理する装置、例えば、マイクロプロセサー、を設けてもよい。
また、用途によっては、集積回路内のメモリーは紙幣の流通の間に書き込むことのできる数個の別々の記憶領域を備えた、不揮発性の書き込み可能なメモリー、例えば、PROM、EPROM、EEPROMであるのが望ましい。この各記憶領域に、書き込みや読み取りに異なるアクセス特権を設け、ある操作は、特定の人々や装置にのみ許されるようにしてもよい。
少なくとも1つの記憶領域を、商業銀行26、現金払出機27、預金機28、現金預入・払出機29、自動現金入力装置32、キャッシュセンター、個々の顧客34等の複数の団体などがアクセスできるように構成してもよい。ここで、前記回路中のメモリーは特定の団体用に記憶領域が(データが書き込まれているかどうかは別にして)とって置かれるように分割されている。
そのメモリーは、その内容を読んだり変更したりする権限に関するデータを有するオーセンティケーションシステムを備えているのが望ましい。
また、誰が、何時、何処であるいはどの装置を使って、そのメモリーにデータを書き込んだのかやデータをそのメモリーから読み取ったのかを示す情報を、そのメモリーに登録するようになっているのが望ましい。
チップを組み込む工程中にチップが壊れて、機能しなくなってしまう虞が比較的高い場合には予備のチップを組み込んでおいてもよい。以後の仕上工程において、チップが正常に働くかどうかをチェックし、余分なチップは除去したり、殺したりする。チップがシート材料に制御されずに組み込まれる場合には、例えば、チップが紙の繊維に加えられて、各シート材料に組み込まれるチップの数が一定しない場合は、各シート材料に現実に組み込まれているチップの数を決定し、書類に残し、必要に応じて、照合してもよい。
保存されているデータやそのデータを処理した結果を使って、特定のセキュリティ紙の真贋、生活史、用途等を最終的にチェックしてもよい。この意味では、生活史は、製造、例えば、そのシート材料をどのようにして作ったか、に関するデータや、そのシート材料の流通に関するデータ、前にやったテストの結果等の前の処理に関するデータ、処理装置からのそのシート材料の払出、搬送等の後処理に関するデータ等を備えたものとすることができる。
本発明において使用されるチップは極めて小さいため、本物から外して(例えば、打ち抜いて)贋物に取り付ける虞がある。これを防ぐために、チップから機能を除去して、その機能を大面積に分配された複数の電気部品の形態で、シート材料の他の部分に配するのが望ましい。この場合に、装置全体が、つまり回路に追加の部品を加えたものが、面積的に、シート材料の5から95%であるのが望ましく、50から90もしくは70から90%であるのがさらに望ましい。これは、回路全体の面積と、装置中に入ってしまう、紙幣の領域、例えば、コイルの面積の少なくとも一方について言えることである。大面積に分配することによって、紙幣をいったん細かく切断して、その後また繋いで、やや短くすることによって贋物を作ることが防止される。
これに関連して、大面積に分配された回路は、誘導的、容量的にアドレス可能なあるいは直接接続によって、アドレス可能な、操作可能な回路を構成しても原理的に差し支えない。
大面積回路は、トランジスター、ダイオード等の部品をアモルファスあるいは多結晶質のシリコン(α-Si、p-Si)層の上に導電性のポリマーによって印刷技術で形成できるということからして、容易に製造できる。
原理的には、回路全体を導電性ポリマーを利用して描くことも考えられる。導電性ポリマーは通常跡がつきやすいので、セキュリティ紙にいきなり印刷する場合や別に製造したプリント回路をセキュリティ紙に転写する場合はセキュリティ紙の疎面を平らにする必要があるかもしれない。これはカレンダリング、塗装、あるいは対象面に地塗りを施すことによって、行うことができる。しかしながら、この種の対策は本発明の他の実施の形態のシート材料に用いても有利である。
トランジスタのゲートのような極めて微細な構造を備えた回路を印刷によって形成することができるように、鋼グラビア印刷のような印刷手法によって、回路の部分に刻みを付けておくのもよい。これは、回路の有機ポリマー成分を塗布する前に行ってもよいし(前処理)、後に行ってもよい(後処理)。これによって、印刷工程の精度を下げることができ、塗布技術の許容差への依存度も低下する。
同様に、シリコン技術の稠密パック回路は複数の機能装置に分けることができ、場合によっては、増幅器、信号波形整形器、アンテナ等の簡単な論理素子を設けることによって、適当なラインを介して、互いに接続することができる。ここで、ラインも追加の素子もポリマー技術を利用して形成することができる。したがって、この方法を用いれば、完全に集積された回路は不必要になり、むしろ、異なるタスクを担う、複数の機能装置が必要になる。すなわち、RAM、CPU、ROM、周辺装置のドライバ、パラメータ入力用のセンサー素子等の各々を、例えば、シリコン片として形成し、後で、互いに接続することができる。この方法によって、互いに組み合わせられる複数の標準ユニットを構成し、新しいチップを常に開発するコストを不要にすることができる。
用途によっては、データやエネルギーを回路と交換するための光学通信装置等の通信装置を設けるのが望ましい。特に、この方法は一般に使用されるデータとエネルギ−の通信に加えて、高周波界を経由した追加のもしくは代替の通信方式が得られるという点で有利である。例えば、高周波界を経由してエネルギーを供給し、実際の通信、すなわち、データもしくは情報の交換を光学的手段を介して行うことができる。
層構造および本発明のシート材料の製造の具体的な例を以下説明する。種々の対策を明瞭性を考えて以下の各例において説明するが、これらの対策は必要に応じて互いに組み合わせて使用することができる。また、各例は、本発明の特定の側面を説明するためだけになされたものである。
実施の形態01:
図2は本発明のセキュリティ紙の一実施の形態を示し、同図a) b)は、そのセキュリティ紙の面に平行な断面図およびその面に垂直なA-B線に沿った断面図である。
そのセキュリティ紙、ここでは紙幣1であるが、はキャリア10に設けられた回路3を備えている。回路3は図2では正方形で模式的に示されているが、例えば、個別のモジュールでもよいし、集積回路でもよい。いずれにしても、対応するリーダーが外部からアクセスできる、すなわち、外部からその回路3に情報を通信できるし、その回路3が外部に情報を通信できる、必要がある。
そのような情報交換のために、通信装置が設けられる。望ましい実施の形態の幾つかにおいてはその通信装置はエネルギーやデータを通信するためのコイル、ダイポールアンテナ等のアンテナの形態をしている。
図示の例では、通信装置は光学的にデータ通信を可能にする。回路3は光学的送信機4、例えば、薄膜発光ダイオード(OLED等)等の発光ダイオード、とフォトダイオード等の光学的受信機5とを備えている。フォトダイオード素子6が光学的送信機4もしくは光学的受信機5に接続されている。光学的送信機4に接続されているフォトダイオード素子6は光学的送信機4から発せられた光を紙幣1の縁の方向に向け、光学的受信機5に接続されているフォトダイオード素子6は紙幣1の縁に当てられた光を光学的受信機5に導く。
情報交換は、例えば、授受される光の分光組成を通信すべきデータに応じて変えることによって、行われる。授受される光信号の時間的振舞、特に、パルス長、パルス振幅、パルス間隔やパルス列等も通信すべきデータに応じて変えるのが望ましい。
最も簡単な場合には、通信装置4,5,6は、外部光信号を受信したときに、回路をONにしたりアクティブにしたり、特定の動作状態にある回路に特定の光信号を発する光学的スイッチの役を果たすのみである。可能な通史方法については以下に詳細に説明する。
キャリア層10に貼付されたグラスファイバーやプラスチックファイバーをフォトダイオード素子6として使用することができる。あるいは、フォトダイオード素子6を回路3と同様に、印刷技術によってキャリア層10上に設けてもよい。例えば、透明なプラスチックをスクリーン印刷等の印刷によって設けてもよい。
光学的送信機4もしくは光学的受信機5も印刷技術によって形成することができる。例えば、半導体もしくは発光性の有機化合物(例えば、ポリマー)を使用したり、アモルファスあるいは多結晶質のシリコン(α-Si、p-Si)の薄い層を使用したりすることによって形成してもよい。
図2bから明らかなように、通信装置4,5,6を含む回路3はキャリア層10に設けられる。キャリア層10は紙幣1に接着するのが望ましく、そのために、接着剤層12がキャリア層10と紙幣1の間に設けられている。
通信装置(時に応じて、結合装置、もしくは結合素子とも呼ばれる)4,5,6を含む回路3を印刷技術によって、紙幣1上に直接形成することもできるし、また、2枚の小さい層(図示せず)の間に挟んで紙幣1内に配することもできる。
不正な操作、湿気、汚れ等から回路3を保護する被覆層11を回路3や通信装置4,5,6の部分に設けてもよい。この被覆層11やキャリア層10は所望の視覚的効果をもたらすように設計するのが望ましい。このキャリア層10や被覆層11自体をそれぞれ複数の層で形成してホログラフィー効果を出すようにしてもよい。フォトダイオード素子6上に直接被覆層11を設けてもよい。
さらに、キャリア層10や被覆層11に光学的に効果が異なる特別の顔料を含ませてもよい。例えば、液晶顔料や、干渉効果を利用した他の顔料をこの目的のために有利に使用することができる。このようにして電気回路以外のセキュリティ的特徴を紙幣1に付け加え、偽造や捏造に対する耐性を高めることができる。
上述のように、光学データや光学エネルギーの回路3との交換は高周波界を介しての光学データや光学エネルギーの交換と組み合わせることができる。この場合、対応する通信装置、特にダイポールアンテナやコイル状アンテナを光学的通信装置4〜6に加えて設ける。
1個ないし数個の太陽電池等の光起電装置、ペーパーバッテリー、または圧縮すると電圧を発生する圧電素子を紙幣に配して回路3にエネルギーを供給するようにしてもよい。これは、自然光や人工光の存在の下に回路を駆動して、さらにコストがかかり得るエネルギー供給装置を不要にするのに既に使用されている。
実施の形態02:
本発明の他の実施の形態では、エッジ長が0.3mm、厚みが80ミクロンより小さい、場合によっては20ミクロンより小さい、薄いチップがセキュリティ用線条上に設けられる。そのセキュリティ用線条はセキュリティ紙内に完全に(少なくとも一部は)埋め込まれる。図3はセキュリティ用線条50がセキュリティ紙に事実上織り込まれており、「ウインドー」51と呼ばれる部分では紙幣1の表面に出ている実施例を示すものである。セキュリティ用線条のセキュリティ紙によって完全に取り囲まれている部分は図3に破線で示されている。ここで、セキュリティ用線条50は、双極子として設計され、エネルギーやデータをチップが送信するのに役立つ導電性コーティングを備えていてもよい。この種のセキュリティ用線条はそれを破壊せずにセキュリティ紙から分離するのは実際上不可能なので、この実施の形態では、チップを悪用するのが防止される。
チップ内に記憶された情報によって、保護効果をさらに強くすることができる。そのために、チップの記憶領域にその紙幣に独特な特徴をIDとして記憶させておくと有利である。この意味では、情報は特定の紙幣に特有なものである。例えば、情報をその紙幣のシリアルナンバーとしてもよいし、そのシリアルナンバーに対応したパラメータとしてもよいし、その紙幣内のチップのx、y座標からなるものとしてもよい。セキュリティ用線条は紙幣の同一の場所に埋め込まれることはないので、x、y座標は良好な基準となる。最終処理工程の1つで、セキュリティ用線条の幾何学的配置によって、完成した紙幣の測定を行い、その測定値をチップに保存する。
x、y座標に加えて、シリアルナンバー等の他のデータをチップに保存しておくことによって、チップと紙幣の関係をより明確に構築することができる。
チップの共振周波数を測定して、記憶しておくことによって、セキュリティ用線条の不正操作と取り外しに対する防御をさらに強めることができる。すなわち、セキュリティ用線条の取り外しに万一成功したとしても、取り外しの際にセキュリティ用線条が伸びて共振周波数が変化してしまうのである。
実施の形態03:
チップもしくは電気回路は転写技術を使用して、紙幣1もしくはセキュリティ紙に転写してもよい。このタイプの実施の形態を図4に示す。ここでは、転写素子は紙幣1の短辺に平行なストリップ53の形態をなしている。上から見ると、マークの形状の凹部54を備えたメタリック面が見える。集積回路はこの転写素子の層構造内に含まれている。この実施の形態が、ここに引用したものとする国際公開第02/02350号パンフレットに記載されている。
転写素子53はセキュリティ素子53が剥がされないように、表面全体に亘って紙幣1によく固定されなければならない。これは、例えば、転写素子を極めて薄くして、引き剥がす途中で破れてしまうようにすることでできる。さらに、接着剤を紙に良く浸透させて、接着剤の耐久性を良くして、セキュリティ素子53を機械的、化学的に剥がせないようにすることも必要である。このために、例えば、架橋性の接着剤系を使用することができる。転写素子53の部分にプライマーを施して、背景を滑らかにしてもよい。この場合には、転写素子53を転写するのに使用される接着剤として、そのプライマーと反応するものを使用して、架橋によって、化学的な防御が行われるようにしてもよい。
さらに、転写素子に、凹版印刷を部分的に施して転写素子の固定力を局所的に強め、転写素子を変形させてもよい。転写素子53を機械的に剥がそうとすると、凹版印刷の部分から先に破れる。
前の例でも述べたが、共振周波数を測定して、チップに保存することによって、防御機能を高めることができる。転写素子53を打ち抜いて、偽の結合面に接触させてリセットしても、見破ることができる。
転写素子とは図4に示して上述した転写素子53のように製造時に紙幣に付けられて、セキュリティフォイルとして使用されるものと、後述するように、紙幣の紙に回路が接続された後に、紙幣の紙から取り去られる図14に示すようなキャリアフォイル78のような他の素子との両方を称するものである。
実施の形態04:
図5は、チップをシート材料に組み込む他の方法を模式的に示すものである。
この例では、チップは印刷工程で紙幣に転写される。これは、印刷工程において紙がプレスシリンダーに達する前のプレス前の段階で行ってもよいし、紙が印刷工程の後に搬出されるときに行ってもよい。この基本的な考え方は、全ての印刷物に次々とあるいは仕上げ工程においてチップを取り付けることである。シートを送って印刷をする場合と、連続紙を送って印刷する場合の両方に使用できる様々な実施の形態を以下に示す。
図5は印刷インクが通常の方法で満たされる、通常の凹部85を備えた凹版84を示している。これらの凹部85のうちの1個ないし数個はチップ87が組み込めるように形成される。図示の例では、凹部85のうちの1個が開口86を備えており、版の裏面からその開口86を通して圧搾空気によってチップが供給される。これは、凹部85にインクを満たす前に行っても、後に行っても差し支えないが、凹部85にインクを満たした後に行い、チップがインク内に入って、インクで保護されるようにするのが望ましい。印刷工程中にシート材料は凹部85内に押し込まれ、インクが盛り上がるようにシート材料に転写される。
このようにして、印刷したシート材料を図6に示す。チップ87が転写されたインク89内に、インクに完全に取り囲まれて、見えている。
図5の描写は基本的な原理を説明することのみを目的としてなされたものである。実施するときには、印刷中に開口86を閉じる、印刷用版の各インクセル内に正確に1個のチップが入るようにする、チップが供給される部分を含め印刷用版を清掃する等の対策を講じることが必要となる。印刷工程中に、全てのシートにチップを設ける必要があるため、チップ供給装置は多段形式であるのが、すなわち各シートにつき少なくとも1回作動せしめられるのが、望ましい。また、チップ87はトランスポンダーチップとして、すなわち、アンテナを有し、全ての機能素子が他のものなしにそれだけで機能できるように、設けるのが望ましい。既存のチップは、例えば、既に、エッジ長が丁度0.3ミリ、厚みが約50ミクロンである。
そのようなトランスポンダーを上述のように印刷工程中に、紙幣に転写するようにすると、この処理工程は、製造工程にうまく組み込まれるとともに、チップがインク内に理想的にカモフラージュされ、化学的な影響からうまく保護される。
実施の形態05:
上述したような手順によって、チップをシート毎に異なる位置に配するのがひとりでに容易になる。例えば、54枚の同一の印刷物を作る場合には、54の異なる位置にチップが埋め込まれる可能性が生じる。プリントラインやプリント作業を1つ増やすごとにチップが埋め込まれる位置が異なる可能性が増大する。
これは、大量に発行され、また、プリントラインの数が大きく、したがって、数回のプリント作業を必要とする可能性のある通貨に対して特に有利なことである。このような通貨の場合には、チップ87の埋め込まれる位置が変動する可能性が大きいため、使用済みの紙幣の同一束内でチップ87が直接重なる可能性は比較的小さい。チップ同士の干渉が極めて少ないため、このタイプの紙幣束は、個々の紙幣に比べてチェックし易いのは明瞭である。
実施の形態06:
トランスポンダーチップ87の単価が折り合う場合には、複数のチップ87を1枚の紙幣に埋め込んでもよい。この場合にも、これらの複数のチップ相互の位置は版の構成によって変化するため、2つのチップが重なったり、接近しすぎたりする惧れがある場合でも、チップを切り換えて使用することができる。これは、干渉が最小のつまり最適に配置された複数のチップは常にアドレスできるということである。
実施の形態07:
各シートには実に様々な方法でチップ87を搭載することができる。
図5に関して前述したように、開口を通して、印刷用版にチップを供給することができる。しかしながら、この方法は版が扁平なときのみに限られるものではない。例えば、輪転印刷を使用する場合には、その開口はシリンダー、例えば、プレスシリンダーの内側から延び、そのシリンダーの内側からチップが転写されるようにしてもよい。
実施の形態08:
さらに、上述した方法から離れて、例えば、印刷前のシートにチップを添付するのに役立つ、一対のシリンダーからなる挿入装置に各シートを通してもよい。図7は輪転印刷装置440のプレス前工程441と印刷工程442を模式的に示すものである。挿入シリンダー443はプレスシリンダー444および支承シリンダー445と同径であるのが望ましい。挿入シリンダー443はチップ3を分離し、それを印刷シート446に移し、接着剤等によって、その印刷シート446に固定する。その後、その印刷シート446を印刷工程442に送り、画像447を、望ましくは鋼グラビア印刷によって、その印刷シート446に印刷する。
プレス前工程441では、チップ3はプリントされる画像447の素子と重なるように印刷シート446上に配される。その意味で、プリントされる画像の細部はチップ3がダメージを受けないように信頼性をもって印刷インクに覆われるように充分大きくされる。このような対策を施すときには、印刷の際の許容誤差を考慮する必要がある。
プレス前工程441のシリンダー443上でチップ3を分離して、それを印刷シート446に配するのは、シリンダー443の少なくとも一方に開口を設け、その開口を通してシリンダー443の内側から行うか、あるいは、シリンダーの表面にチップ3を一旦貼着し、印刷シート446をシリンダー443の間を通す際に印刷シート446にそれを移動させるかして、行う。シリンダーの表面に押し付けられて、シリンダー面にチップを転写する転写ストリップを使用して、シリンダーの表面にチップ3を貼着するようにしてもよい。
実施の形態09:
プレスシリンダーにプレスシリンダーの内側から開口を通してチップを供給するのではなく、挿入シリンダーを介して外側からチップを供給するようにすると事態が異なってくる。この場合には、プレスシリンダー444(図7、印刷工程442)の周面に支承シリンダーもしくはインク付けシリンダーと同様にして挿入シリンダーを配する。これによって、版がインク付けされる前、もしくは後に、チップが設けられるべきシートの部分にチップが転写される。
以上述べた実施の形態の最後のものは、前述の2つの方法の利点のいくつかを使用したものである。チップが印刷工程で転写されるため、紙幣の製造時に極めて大きな接着力で、チップと紙幣を一体化することができる。また、この方法によれば、チップが版のインクの入った凹部(転写すべき面に近いのが望ましい意が)内に収容され、紙の対応する部分に並べられる、すなわち、インク内に封入され、次の工程の印刷シートへの転送の際、インクによって良好に保護される。プレスシリンダーの内部からチップを分離するのは技術的にかなり難しいが、挿入シリンダーを介して、外側から印刷版にチップを転写するのは、良好な代替案である。
実施の形態10:
シート材料内のチップと通信するためには、チップを適切なコンタクト面に接続する必要がある。これは、チップのコンタクト面に互いに相対向するように外部コンタクト面を設け、両者間を、例えば、導電性接着剤を使用したあるいは平面接続(isoplanar contacting)による、いわゆる、ウエッジボンデイングで接続し、金でできているのが望ましい細いワイヤーで接続を取る、ワイヤーボンディングもしくは、フリップチップ技術を利用して行うのが普通である。米国特許第6,417,025号明細書,国際公開第01/33621号パンフレット等に記載されている、箔の小さな凹部内に接点を上にしてチップを「流し込む」いわゆる「流体自動アセンブリー」を使用する方法もある。この場合、接続は、リソグラフィーによってチップの上面で後から取る。本発明の範囲内では、この技術は紙幣のセキュリティ用線条や通信素子を製造するのに使用するときわめて有利であるが、他の所望のフォイルにチップをつけるのにも同様に使用することができる。
本発明の方法をチップ付きのセキュリティ用線条の製造を例として以下に説明する。まず、長尺のキャリアフォイルに、埋め込むべきチップとほぼ同サイズの複数の凹部を設ける。図8にキャリアフォイル60が模式的に示されている。キャリアフォイル60はエンボスによって形成された台形の凹部61を備えている。凹部61は長尺のキャリアフォイル全体に施され、その長尺のキャリアフォイルが後に、個々のセキュリティ素子に切り離されたときに、その個々のセキュリティ素子に所望の数の凹部が入るように凹部61は長尺のキャリアフォイル全体に配分されている。
次に、このようにされたフォイル60全体に、チップ62を含む液体がかけられる。これによって、チップ62が凹部61内に流し込まれ、自動的に所望の方向に向けられる。図9はチップ62が凹部61内に流し込まれた後のフォイル60を示している。チップはコンタクト面63を備えているが、このコンタクト面63はこの時点ではまだ、フォイル60上の導電性パスにリソグラフィーによって接続されている必要はない。しかしながら、平面接続(いわゆる、ウエッジボンデイング)やインクジェット方による接続も使用可能である。
実施の形態11:
前述のようにして組み込まれるチップ62に対して通常使用される接続方法(すなわち、ボンディング(接続ワイアーを半田付けあるいは溶着する)や、リソグラフィーを使用した接続)の替わりに、同様に自動整列の原理に基づく他の方法も使用することができる。使用されるチップ62が、エッジ長1/10mm程度と小さい可能性があり、そのため他の方法を使用すれば、高くなる位置決め精度や印刷精度をその方法によれば、低く抑えることができる。特に、ほぼ連続的な紙幣処理が可能となる。
そのため、フォイル60はチップ62用の凹部61だけでなく、図10に破線で示す凹部65を備えている。その後、前述のように、チップ62をまず洗い、つぎにコンタクト面64を洗う。これらのコンタクト面64は薄い金属のフォイルからなるのが望ましい。金属のフォイルは流し込まれたチップ62上のより外側に小さなコンタクト面63を導き、明らかにより大きいコンタクト面として作用する。このより大きいコンタクト面に対して、リソグラフィーの方法によって接続を取れば、何の問題も引き起こさない。コンタクト面64の特に望ましい例を図11に示す。各コンタクト面64は、コンタクト面63に比して面積の大きなコンタクト面64bを一端に備えた比較的細い接続ワイヤー64Aを備えている。大面積のコンタクト面64bによって、印刷によって設けられる接続パスへの電気抵抗が、使用される印刷インクの導電性が比較的低くても、小さくなる。
凹部を追加することによって、位置決めが難しくなるということはない。というのは、チップ62用の凹部61とコンタクト面用の凹部が同じ道具を使用して同時に形成できるからである。チップ62とコンタクト面64の接続に信頼性を持たせるために、コンタクト面64を、チップ62のコンタクト面63にレーザー溶着してもよいし、圧縮後に、圧縮の方向に導電性を示す、接着剤を使用してもよい。
コンタクト面64を形成する際に、一方では、必要な全ての箇所で流し込むことができ、他方では誤った位置で流し込まれたコンタクト面64が誤った接続をもたらさないように注意する必要がある。図11において、コンタクト面の可能性のある誤った位置を64で示す。
また、この方法は紙幣用のチップ付フォイル素子もしくはチップ付紙幣の製造に限定されるものではなく、チップが支持体に固定されている場合でも、チップと接続をとらなければならない場合に、他のどのような工程にでも使用することができる。この方法は、自動整列によってキャリアに組み込まれる全ての電子部品に役立つ。
実施の形態12:
チップもしくはコンタクト面を流し込むことによる自動整列法の代替として、あるいはそれに加えて、振動による自動整列法を使用してもよい。これは、例えば、フォイル60が通過する、フォイル60もしくはチップ62の記憶領域もしくはコンタクト面64を振動させて、凹部61または65に組み込み易くするものである。この方法は、液体ベースの流し込みを行わずに実行することもできる。
実施の形態13:
他の実施の形態では、チップを流し込む前に、通信素子として使用されるキャリアフォイルをメタライズしておき、その上にチップを乗せる。この方法を図12A〜12dを参照してさらに詳しく説明する。
図12Aには凹部61を備えたフォイル60が示されており、そのフォイルには洗えばとれる印刷インク66が印刷され、凹部61内にレジスタが含まれている。引き続き、フォイル全体を真空蒸着によってメタライズするのが望ましい。図12bはフォイル60と可溶性の印刷インク66の両方を覆う金属層67を備えた、表面全体がメタライズされたフォイル60が示されている。次ぎに、印刷インク用にフォイルを溶媒、望ましくは、水で処理する。これによって、印刷用インク66は溶解し、その上の金属層67と一緒に除去される。このようにして、図12cに示すように金属層67に凹部68が形成される。つぎに、チップ62が流し込まれる。この場合、チップはチップ62の金属層67側の面にコンタクト面63が位置するように設計する必要がある。ここで、金属層67とチップ62のコンタクト面の間の接続は、例えば、異方性の導電性を有する接着剤あるいはいわゆるACFフォイルで取る。
なお、印刷用インク66はメタライズ部分の短絡が起きないような寸法とする必要がある。さらに、チップの接点に被せる面は充分大きくなければならない。
図12dに示す凹部68は別にして、同様な方法で金属層67内に非金属部分をさらに形成することができる。これらの非金属化され、したがって透明な部分は、例えば、仕切りの面として、あるいは、その後の工程で個々の線条をメタライズする際の仕切りとして使用することができる。同様な方法で、サイン状等に凹部を形成すれば、以下のセキュリティ素子とともに本物であることを示す視覚的な特徴として使用することができる。さらに、金属層68を非接触のデータ通信を行う際のアンテナとして構成することもできる。同様に、金属層67の端部を既存のアンテナ構造に接続してもよい。
専用の押し型を使用して、凹部61と印刷用インク66を1工程で転写してもよい。そのような押し型70を図13に模式的に示す。この押し型70は凹部61の形の突出部71を備えており、この突出部71の高くなった部分に凹部72が設けられている。この凹部72に印刷用インク66を入れて、エンボス工程を実施する。図示の例では、押し型70はエンボスプレートの形態をしているが、数個の押し型をまとめてシリンダーとしてフォイル60のエンボスと印刷を連続して行うようにしてもよい。
この実施の形態は、印刷用インクを位置決めして凹部61の部分に配するのが容易であるという点で有利である。
実施の形態14:
チップを添付するのに以上述べたような方法を使用するかどうかにかかわらず、本発明に使用される小さいチップとの接続を取るのはかなり大きな問題である。この問題に対する本発明による解答の一つは、金属や酸化物面が異なれば、印刷用インクとの親和性も異なるという発見に基づくものである。コンタクト面は濡らすがコンタクト面以外を濡らさず、除去することができる流体、すなわち導電性のインクによって接続を取ることができる。すなわち、例えばチップのコンタクト面を銅で形成し、他の面を二酸化珪素もしくはアルミニウムで形成したとすれば、銅面を濡らすが、二酸化珪素面やアルミニウム面は濡らさず、したがって二酸化珪素面やアルミニウム面から除去することができる印刷用インクが適当である。このようなコンタクト面の材料と印刷用インクの組み合わせはオフセット印刷の分野で無数に知られており、本発明による上記問題の解決にそれらを使用するのが有利である。
このようにすれば、導電性パスを印刷するときに、接点の間との重ねあわせを考慮する必要がなくなる。1本の連続した線を両接点の上に印刷すればよい。インクが固化する前なら、両接点の間からインクを除去して、互いに接続されていない2本のパスを作ることができる。
この方法によれば、コンタクト面との接続の許容差が小さいのに妨げられずに、チップ間の接続をとることができる。必要な重ね合わせ精度は回路の大きさにほぼ対応するものであり、150μm台以上でよい。
この方法は、キャリア材料上に既に固定されているチップにも使用することができるし、その成分が次に紙幣に転写される半完成品にも使用することができる。この場合には、接点を適切に設計し、それに応じて、フォイルとそのフォイルの面の質を適切に選択することによって、プリント接点もしくはプリントされた導電性パスを回路と一緒に転写することができる。
実施の形態15:
図14には本発明の一実施の形態の有価証券が示されており、図14ではその有価証券の粗面が広めに滑らかにされている。本例では、回路素子77が別体のキャリアフォイル78上に設けられている。すなわち、電界効果トランジスタのソースとドレインをなす、有機導電性材料79のネットワークがキャリアフォイル78(例えば、厚さ23μmで、PET製)上に印刷されている。電極79は20μmの間隔を置くように印刷されている。電極は、例えば、互いに噛み合わされた櫛状構造とすることができる。第2の印刷工程において、半導体有機材料の層が電極79の上に被せられる。それは、電極だけでなく中間部分も覆う。この層の上に、きわめて薄い、連続した絶縁層81が設けられる。その絶縁層は厚みが例えば100ナノメータであり、フローコーター等で設けるのが望ましい。最後に有機導電性物質の印刷によって、ゲート電極82のネットワークを絶縁層81の上に設ける。
この最終層は、導電性金属層(アルミニウム、銅等)を蒸着し、その層にエッチング、洗浄法、リソグラフ法によって、構造を与えることによって形成できる。このようにして形成したキャリアフォイル78は一連の電界効果トランジスタを備えており、それらを導電性パスで互いに接続することができる。最後に、接着剤層83をこの層の上に設ける。ここで接着剤としては、乾燥状態で、PE分散が1メートル平方当たり約15グラムのイオノマーからなるものを使用することができる。
回路素子77を添付する部分では有価証券75は下塗76を備えており、その下塗76は転写される回路素子77より大きい。回路素子の層77を備えたキャリアフォイル78が接着剤層83を挟んでこの下塗76の上におかれる。接着剤83は熱の作用によって、下塗76に結合する。続いて、キャリアフォイル78を図14にも示すように剥がす。これによって、回路が有価証券上で、完全に動作できるようになる。
印刷サイクルを設計する際に、電極とどちらの面から接続を取るのかを考慮しなければならない。図示の方法ではソースとドレインは面上にむき出しになっているが、ゲート電極は回路の下になっている。表面から接続をとる場合には、半導体層と絶縁層をゲート電極の位置で切断しなければならない。
回路素子をキャリアフォイル78の滑らかな面上に一旦配する場合には下塗76を省略することもできる。接着剤層83が有価証券75の表面粗さを充分補うからである。
キャリアフォイル78に回路素子77をキャリア層から良好に分離する仕切層を設けてもよい。この仕切層は、厚みが、例えば、約5μmのポリ酢酸ビニル層とすることができる。
金属層を利用して電極79を形成することもできる。この場合金属層にはエッチング法、レーザアブレーション法、洗浄法等、どのような方法によって構造を与えてもよい。例えば、紙の仕上げに通常使う印刷インクまたは刷毛塗りペンキを下塗として使用することができる。紙の気孔に充填するのに適した固形成分の多いインクが適切である。例えば、架橋性のアクリル分散系を使用することができる。コーティングの後、カレンダリングによって、有価証券75の下塗側の粗さを150ml/分(Bendtsen測定法による)未満とする。
キャリアフォイル78を適切な押し型を使用して、最初の工程でエンボス加工して、一連の凹部を形成してもよい。このために、図13に示すような押し型を使用することができる。所望の構造を有するチップをこの凹部内に挿入する。次に、図14に示した回路素子の層構造77を用意されたキャリアフォイル78に乗せる。ここでマイクロチップに接点をつけ、プリント回路に接続する。
実施の形態16:
図15に複数の電気部品からなるセキュリティ素子90が示されている。セキュリティ素子90は導電性パス95を介してダイオード93に接続されたチップ94を備えている。このチップ94はアンテナ92にさらに接続されている。高周波交流電界、これはダイオード93によってDC電圧に変換されてチップ94にエネルギーが供給されるが、がアンテナ92を介して入力される。ダイオード93は数種の有機半導体化合物の組み合わせを使用して、印刷によって製造することができる。このダイオード93は、3cm×4cm等の1〜15cmの表面積を持つのが望ましい。さらに、α―Siもしくはp−Siベースの薄膜ダイオードも考えられる。
この種のセキュリティ素子90は保護すべき用紙に転写してもよいし、その用紙の層、例えば、紙の層、の間にフォイルとして埋め込んでもよい。
このようなセキュリティ素子は有価証券の面積の広い部分を占めるので、用紙全体を破壊しないと取れないという利点がある。
チップ94を複数の成分で構成してもよい。最も簡単な場合、電気回路94は、作業用メモリーとCPUのみからなるチップを備え、ROMからなる第2の成分を備えている。個々の成分は、もちろん、プリントされた導電性パスによって、互いに接続される。この例は、新たなチップを開発しなくても標準の成分を組み合わせて特定の用途に対応できるという利点がある。
実施の形態17:
図15のチップ94の替わりに、例えば、大面積トランジスタ、抵抗、コンデンサからなる発信回路を刻印してもよい。
この場合には有価証券全体を印刷技術によって製造することになるため、発信回路を用紙上に直接設けることも、もちろん、可能である。
実施の形態18:
図15に示すフォイル91は、有機半導体ポリマーで印刷したメモリーのみを備えた、顔料入りの白色フォイルとしてもよい。このメモリー(半透明の白色中間層、あるいは色つきの中間層を設けることもあるが)の表面に通常の方法で情報を記録する。この情報はポートレイトでもよいし、ロゴ、サイン、番号等どのような印刷された画像でもよい。
機械的、化学的手段によってこのデータを変更しようとしても、偽造手段は記録された内容だけを変更することはできず、陰の回路の機能も破壊してしまうことになる。
実施の形態19:
他の例では、システムへの供給電圧を作るエネルギーや通信装置から送りこまれる情報を受け取ったり、通信装置に情報を送るのに回路が使用される。これらの通信には、電気的結合、磁気的結合、電磁界による結合、ひずみによる結合、場合によっては音による結合等の上述の結合を使用することができる。この回路は大面積に設けられ、望ましくは、紙幣上に印刷された、もしくは、紙幣内に埋め込まれた有機材料で構成される。この回路によって作られた、電圧や情報は直接チップに導かれ、そのチップを作動させることができる。チップ自体は、供給電圧を作ったり、通信装置と通信したりする装置を持たないのが望ましい。その大面積回路が不正操作によってダメージを受けたり、剥がされたりしたときには、回路全体がダメージを受ける。これはチップに供給電圧や情報が行かないということでありチップは機能しなくなる。
実施の形態20:
図15に示す電気回路は、外部周波数に応答してその有価証券を特定する信号を出力するように設計することができる。その有価証券を特定する信号は他のデータとともにホストコンピュータのファイルに記録しておくことができる。これによって、有価証券をチェックする際に、その有価証券に記憶されている特定情報だけでなく、ホストコンピュータのファイルに記録されている情報も、フェッチすることができる。
実施の形態21:
図16,17に本発明のさらに他の実施の形態が示されている。図16は、光学的に識別可能なストリップ状の素子97を備えた紙幣96を示す平面図であり、図17はその紙幣のA−A線断面図である。光学的に識別可能な素子97の下には言うまでもなく、プリント回路98が配されている。
光学的に識別可能な素子97は光学的に識別可能であれば、刻印でも、通信素子でも、ラベルでも何でも差し支えないが、光学回折構造であるのが望ましい。この場合に、光学的に識別可能な素子97は単一の層ではなく、複数の層からなるのが普通である。
例えば、不正に再使用しようとして、その光学的に識別可能な素子を外そうとすると、プリント回路98も破損する。機械によって真贋を判別する場合と同じものが使用されるため、真贋の光学的認識と器械による認識には直接的な繋がりがある。したがって、光学的に識別可能な素子97を持たない、他の部分はそれでも、機械の自動真贋チェックを通ってしまうかもしれないが、光学的に識別可能な素子97を本物を装って使用することは不可能である。言うまでもなく、プリント回路をどこかで切って、そこをメタライズしたホログラムの部分で繋ぐことによって、この効果を一層強めることができる。そのホログラムを取り出す際に、回路が破損しなかったとしてもその部分の接続は絶たれる。
実施の形態22:
外部からの要請に応じてキー(サイン、通し番号等)を出力する回路が紙幣の表面の90%に印刷されている。その回路は細い接続線で繋がれた複数の部分からなっていてもよい。このような紙幣もしくは有価証券がチェック用の機械に通されると、それから発せられる番号がチェックされる。その番号が設定と一致すると所有者が受け入れられる。同時に、接続の弱いものは例えば、穿孔や電気ショックによって、破壊されてしまうことがある。この場合には、その紙幣は廃棄される。取り外し可能な複数の接続を設けて、その取り外し可能な接続が固定された接続(前記キーを表す)とともに一部書き込み可能な回路を形成するようにすることによって紙幣の状態を記憶することも可能である。この回路は、取り外し可能な接続を変えることによって、状態を表す異なる値を受け取ることができる。これは、例えば、数日間続くイベントに有効なチケットであって、毎日毎日有効期間が減っていくようなチケットに対しても有利である。
実施の形態23:
チップと紙幣を別々に製造、チェックして、後で一緒にするようにするのが、そのような紙幣の製造には便利である。
すなわち、チップ(単数のときも複数のときもある)を、例えば、紙幣の転写フィルムもしくはセキュリティフィルムに搭載すると、紙幣用の紙に永久的に取り付ける前に、そのチップの機能のチェックをすることが可能となる。その紙幣用の紙もチップとの結合の前にチェックされているものとする。その場合、チップが添付される前に、紙幣に印刷を施しておくのが望ましい。また、光学的、誘導的に、あるいは容量的にチップと接続するための通信用のアンテナを紙幣用の紙自体に設けるときには、この工程も、チップが添付される前に行うことができる。このモジュール的製造方法は、例えば、チップに欠陥があったときに、紙幣用の紙を廃棄する必要性をなくし、ごみを減らす。
実施の形態24:
転写フォイル上において表面の大きな電極をチップに設け、必要ならば、そのチップをテストした後、紙幣の用意された部分に電気的に接続するようにすることもできる。これは、例えば、紙幣もしくは転写フォイルの対応する位置に予め設けた導電性接着剤によって、達成することができる。電気的接続は後の印刷工程において、圧を加えることによっても可能である。
実施の形態25:
さらに、本発明によれば、特に誘導的接続の場合には、後に詳述するように、チップ3を有する紙幣1の製造用の紙に紙の比透磁率より充分大きい透磁率を与えるようにしてもよい。これによって、印刷されたコイルのインダクタンスが相当大きくなる。そのためには、軟磁性材料を紙幣の材料に混ぜるのが望ましい。これは、軟磁性粉、いわゆる磁性粉、を製紙の際に使用する繊維懸濁液に加えることによって行うのが望ましい。軟磁性粉はフェライト粉、無定形もしくは微小結晶金属粉、カルボニルイオン粉等、透磁率の高いものであれば、どのような磁性材料粉末からなっていてもよい。
さらに、磁性材料を紙幣上に磁性インクとして印刷してもよい。
また、木綿繊維を粒子サイズが極めて小さい磁性粉を含む溶液に浸し、その磁性材料が木綿繊維に吸い上げられるようにしてもよい。この例は紙幣内で磁性材料の体積が占める割合が大きくなるという点で印刷に比べて有利である。さらに、通常、色が濃い磁性材料は異なる色、もしくはより色の薄い外側を通して、見えにくいという利点がある。
磁性材料は紙幣に均一の濃さで、もしくは広い面積で(特に全体的に)貼付もしくは組み込むのが望ましい。この場合、組み込まれた磁性材料は必ずしも独立したセキュリティ素子として機能せず、改良された誘導的接続としてのみ機能するため、例えば、他の券種を表すものを配する必要はない。
実施の形態26:
チップ付の紙幣をエネルギー供給源に接続する必要があったり、交流磁界への誘導的接続を介して読取装置と通信するようにする必要がある場合には、紙幣に鉄のコアを有するコイルを設けるとよい。そうすると、比透磁率μrが増大し、磁界内の磁束が増えるため、その紙幣上で必要なコイルの巻き数を減らすことができる一方、励磁側の電流が大きくならない。
一般にプラスチックフォイルや紙の磁性特に紙幣の磁性を鉄のコアと同じになるように変える可能性について以下に記載する。
紙にその紙の面に垂直な電流を発生したり受け取ったりするように取り付けられるコイルのコアとして、鉄を使用することに関する基本的な問題は、コイルの部分に比して紙が薄いことである。
実際上は鉄のコアをこのようにして使用すると、その長手方向には磁化されやすいが紙面に垂直な方向には比較的磁化されにくい横にした双極アンテナと同様になるため、コイル内を流れる電流を増やすどころか、減らそうとする。
本発明の一実施の形態の磁性紙幣では長い繊維を有する強磁性材料を不規則に編んだものを紙に組み込む。この不規則に編んだものでは、多数の繊維が紙幣の上面と下面を常につなぐことになり、それによって、両者を磁気的に「短絡」させ、透磁率μrを所望の程度まで増大させる。ここで、紙幣の面に横に延びる繊維が磁性の流れを妨げることはない。
したがって、鉄のコアとして使用した材料が磁気的に無方向に振舞えば本発明の特に望ましい実施の形態が得られる。このようにされた紙は独立した真性証明としても使用できるし、チップ付の紙幣と関連して使用すると便利である。
協働するチェック装置は、例えば、互いに垂直な2つの磁界を次々に紙に作用させて、この2つの場合に紙を通る磁気の流れを測定することができる。
その種の用途の場合、紙の面に搭載されたコイルの鉄心として使用する場合には、磁化の最もおきやすい、望ましい方向の紙の面内におくのが便利なように思えるが、望ましい方向をコイル面に垂直な方向に置くのも便利である。以下においては、特に断りのない限り、望ましい方向はコイル面に垂直であると仮定する。
磁気的な振舞に方向性がある磁性紙は、例えば、強磁性繊維を紙に埋め込むことによって製造することができる。望ましい方向が紙面内にあるときは、従来の方法、例えば、ここの繊維に非磁性材料をコーティングし、それを、製紙の際のスクリーンにかけることによって組みことができる。しかしながら、望ましい方向が紙面に垂直であるときには、紙の厚さ内にほぼ収まる長さを有し、径が紙の厚さより、ずっと小さい強磁性繊維を使うのが望ましい。各繊維を紙面に垂直な方向に磁化され易くし、紙面内の方向には比較的磁化されにくくする。
実施の形態27:
このような繊維を規則的に組み込むのは、従来の方法では考えられない。というのは、各繊維が極めて細く、扱いにくい上にその数が極めて大きいからである。
そのような繊維を組み込む方法の可能性として、製紙の際にスクリーンに、適度に短い削りかすを作りそれを極めて高速で、所定の方向に投げ出す、金属機械加工を施すことである。研削工具によって、鉄を除去するのはその一例である。その削りかす適切な位置で適切なテンプレートを使って、紙のパルプにぶつけると、選択された位置でのみ特殊な磁性を紙に組み込むことができる。
所望の磁性を有する紙を製造するもう一つの可能性として、半完成品を前もって製造し、それを製紙の際にスクリーンに当てるか、紙幣製造の直後にスクリーンに当てるか、紙幣の孔もしくは凹部に挿入するかすることができる。
実施の形態28:
偽造を防止するために、紙幣の片面もしくは両面にいわゆるパッチを貼るのが特に便利である。片面では所望の半完成品を保護し、他面ではホログラム等の追加の真性認証を添付する。
紙幣に関して言えば、このパッチはコイルやアンテナやチップを周囲の攻撃的な影響から保護することができる。
図18は、強磁性体436で形成され、紙幣用の紙のロール430に設けられた孔429に挿入されて、コイル434とともに2枚のパッチ432,433の間に挟まれて保護されている、磁性コア431を備えた紙幣1を示す断面図である。図18に示すように、コアの厚みを紙幣の紙の厚さとコイル434の厚みの和に等しくなるようにするのが望ましい可能性がある。このような紙幣を複数枚重ね合わせると、各紙幣を通る磁束がかなり増える。
前述の、コア431を備え、時によって、コイル434とパッチ432を備えた、前述の半完成品の製造方法の他の例を説明する。
例えば、長い強磁性繊維をロープ状に結んで、これに詰め物をし、紙のパルプと同様な特性、特に透湿性、を有する材料に固定しこのロープを紙幣より幾分薄い複数のスライスにレーザ等で切断するようにしてもよい。
また、強磁性材料の編物を重ねて、溶接し、次の工程で、所望の方法で切断して、スライスを形成してもよい。
これらのスライスを図18に示すように紙幣1の孔429に挿入してもよいし、製紙の際に挿入しておいてもよい。そこで紙パルプが各スライス上に蓄積し、紙内にスライスが埋め込まれ、容易には外せなくなる。
実施の形態29:
前述の方向性のある磁性を有する紙は、自己組織法を使って製造すると特に有利である。このため、小さな強磁性粒子は充分強い磁界が形成されると、その磁界線に沿って並ぶという公知の知識が使用される。同様にして、強磁性の削りかすも、紙パルプが充分湿っていて、その紙パルプ内で削りかすがまだ動ける間は紙パルプに作用する磁界内で、自動的に整列する。紙幣の神の完成した乾燥状態では、削りかすはもはや動くことができず、紙の所望の方向に依存した磁性が「学習」される。
図19は磁石435によって、ロール紙430に充分強い磁界をかけたときに現れると思われる、局所的に構造を与えられた強磁性粒子436の配列を模式的に示すものである。紙パルプに組み込まれた削りかす436がロッド状をなしており、それらが磁性双極子として容易に作用できるようになっていれば特に有利である。どのような場合にでも削りかす436が並進運動をする必要はなく、紙430内に存在する削りかす436が適切な方向に回転すれば充分である。
ここで、紙430内で生じる効果は強磁性材料内でワイスのドメイン反転が起きたときに匹敵するものである。正しい方向、すなわち、望ましい方向に整列した削りかすが多いほど、他の削りかすに作用して整列させる磁力が大きくなる。
ここに記載された方法で所望の磁性を与えることのメリットは局所的に実行するのが比較的容易であるという点にある。その方法では、特性を紙に同時に与えるのではなく、むしろ、紙の層全体の所望の位置に同時に存在する。したがって、この特性を1枚の用紙から他の用紙に容易に転写することはできない。
実施の形態30:
紙幣の製造に使用するのには、スクリーン自体に使用するか、紙がスクリーンを出たときに使用するかの2つの方法が特に有利なように思われる。両者を組み合わせれば、よりよい、エンボスに繋がる可能性もある。
まだ湿っているロール紙430に使用するときには粒子436を磁化し、配向させる強力な磁石435をロール紙430の上下に取り付ける。ロール紙430は磁石435の位置においてのみ所望の磁性を示す。ここで、ソレノイドを使用すると、時間的に規則正しくオン・オフして、所望の方向に定義された磁力のオーダーで所望の磁性を作れるので、きわめて有効である。
図20はスクリーン437を、ばら撒かれたフェライトの削りかす436を有する紙パルプから離れて不図示の容器内に浸漬されるようにした変形例を示している。ロール紙430に局所的に形成された強磁性部分を作るためにシリンダー壁の内面に磁石435が取り付けられている。簡単のため、強い永久磁石を使用するのが望ましい。スクリーン437に対して使用するのがいくつかの理由で、特に有利である。
一つの理由としては、紙内にばら撒かれた、強磁性粒子436はスクリーン437の磁石435の位置に落ち着くのが望ましいからであり、他の
理由としては削りかす436が堆積物と平らになるからである。製紙中に攪拌したり、空気を吹き込むなどしたりして頻繁にエネルギーを送ると、強磁性削りかす436の可動性が大きくなって、強磁性削りかすを落ち着かせたり、整合させたりする処理の効率が増進する。
このようにして形成された、方向性のある磁性を有する紙は紙パルプに組み込んだり、スクリーンに使用したりする半完成品を製造するのにも使用することができる。
実施の形態31:
プラスチックが、まだ液状の間に、学習過程を通過せしめられ、その後磁界が存在する内に重合せしめられるようにした、プラスチック、すなわち所望の方向性を有するフォイルの製造に使用するのにも、自己組織法はきわめて有利である。重合した状態では、強磁性削りかすには可動性はなく、所望の特性が記憶されている。
実施の形態32:
本発明の更なるアイディアは、紙幣のチップに結合され、そのチップ自身のトランスポンダ周波数と異なる値を有するアンテナの誘導的結合や容量的結合の結合周波数に関係する。これは、各紙幣が共振の異なる2つのアンテナを有しており、片方のアンテナがチップに直接結合され、他方のアンテナが外部と結合するのに使用され、両者が相互に作用できるようになっている場合に特に有利である。
図21は、その場合に使用される紙幣1の一例を示すものである。この例では、チップ3はメタライズされた帯状フォイル295等のセキュリティストリップ上に設けられている。チップ3はトランスポンダーチップとされ、結合素子296を備えており、その結合素子を介して、f1=2.45GHzの周波数で交信する。図示の「コイルーオンーチップ」であるのが、特に望ましいが、結合素子は、基本的には、結合素子296をチップのハウジング上またはその内部に取り付ける、外部方式でも実施できる。メタライズされた帯状フォイル295は回路ユニット297を備えており、その回路ユニット297は2個の更なる結合素子298,299に結合されている。トランスポンダーチップ3は、結合素子296/299を介して回路ユニット297と交信できるように結合素子299内に配されている。さらに、回路ユニット297は、結合素子298を介して、紙幣チェッカー等の外部装置とf2=13.56MHzの周波数で交信するような位置に配されている。トランスポンダーチップ3、回路ユニット297および帯状フォイル295からなるユニットは結合素子298、回路ユニット297、結合素子299,296を介する紙幣チェッカー(図示せず)とチップ3の間の通信が周波数f2=13.45MHzで可能となり、チップ3が回路ユニット297と周波数f1=2.45GHzで通信するような構造とされる。
通信周波数f1のトランスポンダーチップ3はチップメーカーによって供給される。帯状フォイル295は装置のオペレータもしくは場合によって、紙幣の製造者が形成する。結合素子298が紙幣とチェック装置間の通信周波数を決定し、周波数が異なると、チェック装置が応答しないためトランスポンダーチップ3の不正使用は成功しない。有効な紙幣から剥がしたチップ3、あるいはチップメーカーから紙幣メーカーへの途中で盗まれたチップ3は精巧な装置がないと使用できない。破損させずに剥がすことができないように、フォイル295を紙幣の表面に取り付けた後に、有効なフォイルを他の基体に転写することはできない。
部外者が容易にはアクセスできないようにし、仕事でチェックする場合にはそれを許す機能は回路ユニット297内に収められている。回路ユニット297は、例えば、半導体ポリマー技術によって作ることができる。本発明のフォイル素子の模造、あるいは他の基体への転写は、したがって防止されている。
コイル、アンテナ、結線等がエッチング等によって「剥き出し」にされている、メタライズされたフォイル295に回折構造等の一般には市販されていないが独自性を与えるものをさらに加えれば、偽造防止効果がさらに改良される。
異なる2つの通信周波数を設けることによって、チップメーカーが決めた周波数を変えることができる。このようにすれば、原理的には、異なる周波数を異なる通貨もしくは異なる券種に割り当て、自動的に仕分けできるようにすることができる。結合素子298の形状が周波数に依存するものならば、素子の共振周波数は簡単な印刷技術によってはある程度までしか、明確には決められない。この場合にはある帯域幅までの差は許容されなければならない。
他方、真贋の基準としても共振周波数を使用するときには、結合素子298(例えば、アンテナの双極子として形成することができる)の形状を、セキュリティ幅が極めて狭くなるように変えることができる。このような、トリミングは知られており、例えば、レーザ技術によって実行される。
図21に示すフォイルは周波数f1に設定されているトランスポンダーチップ3に周波数f2でアドレスする可能性を提供するものである。紙幣と装置の周波数f2での通信ができないということは原理的にはその紙幣に関して、例えば、
トランスポンダーチップが不良である、
機能素子297,298,299のどれかが不良である、
チップもしくはフォイルが無い等
のことが考えられる。
チェック装置がこの可能性をより狭くすることができるように、周波数f2を使っての通信が成功しなかった最初のチェックの次に第2のチェックを行い、その第2のチェックにおいて周波数f1へのスイッチを直列に接続することが考えられる。ここでチェックの結果が正の場合は、真贋チェックのためのトランスポンダーチップが存在することは少なくとも証明される。使用されるセキュリティの考え方がトランスポンダーチップをそのチップに記憶されたデータを通して紙幣に関連付けるものならば(この場合には印刷された通し番号をさらに記憶するなどして、紙幣を識別するための情報をチップに記憶することになるが)、このチェックの結果にかかわらず紙幣が本物であることを機械が見極めることができる。
最初に述べた、周波数f2を使用した紙幣チェックがより簡単なチェック装置において使用されるのは確実である。このチェックが結果を出さないときには、凹版印刷、組みひも印刷(guilloche printing)、すかし、ウインドーで囲まれたセキュリティ用線条、ホログラム等の数をチェックするための真性証明を肉眼で見ることによって、真贋を判定するのが普通である。
周波数f2を使用した2番目の紙幣チェックは、より上位の真性証明が記録されているか、機械的にチェックされている、より上位のチェック装置でのみ行われる。これは自動的に紙幣をソートしたり、預け入れたりする装置の場合は全てそうである。
2番目のチェックの結果、トランスポンダーが疑わしい場合、また記憶内容を紙幣の通し番号(あるいは他のデータ)を照合した結果、真性であると確認された場合は、手動でアクセスしないでその紙幣を本物であるが、流通にはもはや適さないとして廃棄することができる。
実施の形態33:
紙幣が、上述のように、異なる複数のアンテナがあるなどして、異なる複数の結合周波数を持っている場合には、以下に、例を挙げて詳述するようにこれらはチェック装置によってチェックすることができる。すなわち、チェック装置が、例えば、紙幣の真贋をチェックするのに、読み書きのために、周波数f1、f2のいずれかで紙幣1にアドレスすることができる。これは、チップ3自体が紙幣1であり、そのチップ3が2つの異なるアンテナに直接結合され、そのチップが2つの異なる周波数で直接アドレス指定できるときにも使用することができる。
実施の形態34:
複数のアンテナを備えた上述の紙幣1の場合には、図21に例示するように、以下の考え方が特に有利である。上述のように、チップ3のアンテナ296(短く内部アンテナ296と言う)も298(短く外部アンテナ298と言う)も、容量的にもしくは誘導的に、外部装置と無接触で接続することができる。この場合には、同じタイプの複数の外部アンテナ298を各紙幣1の紙に設け、そのとき紙の上に間隔を置いて配するのが望ましい。これは、外部アンテナ298の一部が故障しても、チップ3に外部からアドレスできるという点で有利である。
さらに、積み重ねた場合に、以下に詳細に説明するように、ある紙幣のアンテナが故障しても、隣接する紙幣の外部アンテナを機能させれば、チップ3、すなわち内部アンテナ296との通信が非接触で行われるため、故障したアンテナの仕事を肩代わりするという大きな利点がある。これは、チップ3との非接触接続のためのアンテナが紙幣に1個しか設けられない場合にも有利である。
実施の形態35:
以下では、紙幣を例にとって説明するが、その紙幣のチップを非接触で接続することができる。前述のように、紙幣のトランスポンダー回路は、トランスポンダーチップと結合コイルを備えることができ、その結合コイルが読取装置からの電気エネルギーを紙幣のチップに結合したり、データを一方向もしくは双方向に伝達したりするアンテナとして作用する。ここで、非接触接続とは紙幣のチップが外部装置(読取装置)とエネルギーやデータの交換をするアンテナに非接触で接続できることであると解釈されたい。
電気的に配されたアンテナコイルがチップ自体に装着される、コイルーオンーチップを備えたいわゆるトランスポンダーを使用するのが、本発明においてきわめて有利であることを以上示したが、特に望ましい実施の形態も図21に関連して説明した。コイルーオンーチップコイルは紙幣の結合コイルと非接触で通信させるのが望ましい。これによって、紙幣に結合コイルを組み込む際や装着する際の位置合わせに関する要求が大幅に減る。さらにワイヤーボンディング、ウエッジボンデイング、フリップチップボンデイング等の接触型の接続に比べて、製造時の処理量を大幅に増大することができる。
図22は、そのような紙幣1のさらに他の例を示している。この紙幣はダイポールアンテナ410として例示されている結合コイル410を備えている。もちろん、他の形式のアンテナも考えられる。このダイポールアンテナ410は誘導結合を介して不図示の外部読取装置から電気エネルギーを引き出すことができる。これによって、ダイポールアンテナ410内に電圧が発生し、電磁界が形成される。一例として、ダイポールアンテナ410に追加の通信機411を取り付けてもよい。その追加の通信機411へのエネルギー供給はダイポールアンテナ410が担う。上述の他の実施の形態において以前に述べたように、その追加の通信機411は他の周波数f2に対応するものでもよい。しかしながら、これは、強制的なものではない。例えば、電磁界を順次形成するのを許容する時間測定も導入される。
さらに、チップ3が紙幣1上に配され、そのチップ3に「コイルーオンーコイルチップとしてのコイル412の形でさらなる結合アンテナ412が取り付けられる。そこで、チップ3が、外部の読取装置とデータやエネルギーの交換をする結合アンテナ410と通信するようにするのが望ましい。これによって、データ通信および接触を介さないチップ3への電圧供給が可能になる。
実施の形態36:
前述したように、電気回路が書き換え可能なメモリーを備えている必要はない。現在もしくは以前の所有者に関する情報を提供するデータを記憶することができない「匿名の」紙幣を提供するのが望ましい限りにおいて、紙幣のチップは書き換え可能としない。
これは紙幣の履歴の一時点でメモリー領域にデータを書き込めないようにすることによって達成される。
この時点としては、メーカーで紙幣が完成したとき、あるいはその国の中央銀行の発行時点が適切である。
このためには、紙幣が流通している間に、エンドユーザーの個人データをチップのメモリーに記憶できないようにするのが重要である。
技術的には、これは種々の方法で解決することができる。例えば、選択された時間に意識的に切断することのできるデータラインをチップに設け、その時間以降はメモリーの内容は読めるが、メモリーセル内に書くことはできないようにしてもよい(ハードウェア禁止)。この時点以降の書き込みアクセスを阻止する禁止ビットをチップ操作ユニット内に入れ(ソフトウエア禁止)ても同じ結果が得られる。
ハードウェア禁止もしくはソフトウエア禁止によって禁止されたメモリーは紙幣の流通の間にデータを入れることのできる他のメモリーで補うことできるとは言える。
そのようなメモリーはエンドユーザーによって、読むことも、削除することも、上書きすることもできるということは重要なことである。「透明な紙幣」に対応する記憶領域は、本来、認定された位置でのみ(すなわち、エンドユーザーによる読み/書きができない位置)使用される。これから生じる問題を回避するために、当初に述べたライトロックが必要なのである。
公認のメモリーが、紙幣の流通中に書き込み不能になるようにしたチップ付き紙幣も便利であるという疑問が生じたときには、製造工程に関するデータ(通貨、券種、製造月日、メーカー等に関する情報を含む紙幣の通し番号)は、装置のオペレータ、とくに、国立銀行にとって、統計上の調査のために既に大変貴重である点を指摘して、その疑問に反駁する。そのような製造工程に関するデータを超えた個人データはシステムをサポートする上で、必要ない。
しかいながら、紙幣の「匿名性」は個人データの記録によって、妨げられるだけではない。そのような紙幣を持っていることが所持者に断りなしで分かるだけでも、エンドユーザーの利益を損なう可能性がある。
遠い距離から「方向検知通信機」によって、紙幣の存在を検知することができれば、これは、すりの仕事を良く手助けするだけではない。
遠距離から紙幣の方向を検知するのを防止したければ、トランスポンダーの通信機の距離を、パラメータをうまく選択して方向を特定できないように。短くする必要がある。
通信エネルギーを受け取ったエネルギーから得る受動無線周波数トランスポンダー(RFID)においては、トランスポンダーの通信力、すなわち通信距離はチェック装置の通信力を大きくすることによって大きくできる。所望の距離を超えないようにするために、トランスポンダーの通信力を意図的に制限する手段をトランスポンダー内に設けてもよい。
さらに、上記に変えて、もしくは加えて、通信周波数(ギガヘルツ台)や結合素子の設計をうまく選択することによって、通信距離を所望のように調整することができる。この意味では、ダイポールアンテナや発信コイルではなく、容量結合素子のような直接接触でのみ通信を許す結合素子を設けることが必要かもしれない。
チップ付きの紙幣がその方向が分かってはならないものであるなら、チップのRFID通信機は最大距離が数cm、望ましくは数mm、であるのが便利なようである。
用途によっては、光学的な手段によって回路とデータやエネルギーの交換をする通信装置を設けるのが望ましい。これによって、高周波数帯を介して行われるのが一般的であるデータやエネルギーの通信の他にもう一つの追加または代替の通信が得られるという利点がある。例えば、エネルギーの供給を高周波数帯を介して行い、実際の通信、すなわち、回路とのデータや情報の交換を光学的な手段によって行うようにすることができる。
言うまでもなく、この手段による通信は最適な境界条件に負うところが非常に大きい。ここでは、方向の決定(偶然見た場合も含めて)は完全に排除されなければならない。
実施の形態37:
光学的な結合の紙幣1を製造する他の例が図23に示されている。このような紙幣1はチップ3からフォトダイオード226a、227aを介して外部読取装置へデータを送ることができる。この意味では、フォトダイオード226a、227aに、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)等の透明な、導光性プラスチックを設けてもよい。チップ3によって出力される光信号を効率よく受け取り効率よくリレーするために蛍光染料を含むプラスチックを使用してもよい。そのような材料は、例えば、クマリン化合物やペリレン化合物をベースにするものであり、LISA(集光性)プラスチックとして知られ、DE 40 29 167A1に記載されている。
本発明では、例えば、染料を含む集光性、導光性のポリカーボネートベースのフォイルは、LISAプラスチック等に入る。そのフォイルは、入ってくる光の波長を長くする蛍光染料を含んでいる。蛍光染料の望ましい代替に注目するが、燐光染料も代替として考えられる。光の大部分は反射の法則(全反射)にしたがって、フォイル内で反射し、エッジからのみ出てゆく。すなわち、フォイルをLISAで形成する理由を明瞭見えるエッジの明るさが物語っている。
図24はLISAプラスチックで形成された、この種のフォトダイオードの動作原理を示すものである。フォトダイオード284は、例えば、LISAフォイルをして売られているものであるが、その体積の一部または全部に含まれている染料分子286を有している。光源287から光を照射すると、染料分子286が励起されて、蛍光288を発する。その蛍光288の大部分はフォトダイオード壁285で全反射した後横のエッジ289からフォトダイオード284の外に出て行く。入射角のサインが1/n(nはLISAプラスチックの屈折率、空気の屈折率は1)より大きければ、LISAと空気の界面で全反射が必ず起きる。
導光素子の表面に傷がある場合や、表面が液体で濡れているときは、全反射が望ましくない場合がある。第1にLISAフォイル284内の光が傷の部分から出て行ってしまうと、フォイルの所望のエッジにおける光効率が低下する。
それ故、必要ならば、LISAフォイル284を複数枚の(少なくとも3枚もしくは丁度3枚が特に望ましい)屈折率の異なる層で形成するのが望ましい場合もある。屈折率の高い材料は内側に使い、これらの上下を屈折率の低いフォイルで覆う。
異なる屈折率のために、フォイル内の2つの光学媒体の間のスペーサ内で全反射の一部は起きる。内側の界面で反射されなかった光のほんの一部が外側の界面に達し、臨界角を超えているときにそこで全反射する。ここで、内側の界面の臨界角を逆算すると、外側のフォイル層で、密な媒体と周囲の空気との界面での直接臨界角と同じくらい大きくなってしまう。
この変形例の長所は表面が傷ついていたり、荒らされていたりするときの効果である。これによって、全反射する光量が相当に減る。しかしながら、LISAフォイル284内で発生する光線のほんの一部、最大で約25%が外側の界面で反射するだけなので、フォイル全体としては効率が増す。
直接製造するのに問題があるときは、フォイル全体を厚めに作って、延伸によって、所望の厚さとしてもよい。
また、LISAフォイル284の両面または片面に反射膜290を設けてもよい。2番目の例では、励起光が入れるように、LISAフォイル284のLEDの部分に凹部を設けるのが望ましい。効率を上げるために、図示のフォトダイオード284は少なくとも照射部分において後面に反射メタライズ290を設けるのが望ましい。
屈折率の異なる複数の層を用いると、外側での光使用の効率を上げるために、メタライズされたLISAフォイルにいくつかの利点が与えられる。一つは、全反射の効率がメタライズされた面よりよくなることであり、他は、LISAフォイル284の効率への傷の影響が上述と同様な理由で、僅かであるということである。
技術的には、この種のフォイル284は、所望の濃度でLISA染料を加えた押出または圧延によって製造することができる。紙幣1がフォトダイオード226a、227aを介して確実に交信できるようにプラスチックに添加剤を加える必要がある。例えば、フォイルの可塑化剤含有量を増やして、紙幣1がユーザーによってもみくちゃにされるのに耐え易いようにしてもよい。
金属層、例えば、金属フォイル、を組み込んで、反射層を増やしてもよい。この層あるいは他の層が、例えば、いわゆる形状記憶合金であったなら、短時間で例えば約80℃まで温度を上げたら、記憶の結果としてプラスチックフォイルが変形するのを妨げる可能性がある。いわゆる形状記憶効果をしめすポリマーも同じ目的で使用することができる。この効果を呈するフォイルにLISA染料を加えるのが特に有利である。フォイルの表面は散乱損失を小さくするために充分滑らかである必要がある。また。フォイルの厚みは紙幣1の厚みに調整される。通常、フォイルの厚みは50μm未満である。
LISA顔料は着色フォイルの形で紙幣中に一体化するだけでなく、PETフォイル等の無着色のフォイルにコーティングしたり、印刷したりすることもできる。紙幣内か、あるいは紙幣に組みこまれる他のフォイル内にあるセキュリティ用の線条をLISAラッカーで印刷するのが特に望ましい。そのラッカーはナイフ塗布、回転塗布によって、フォイルの各部に塗布することができる。
実施の形態38:
図25に示すように、本発明の一実施の形態では、このタイプのLISAフォトダイオード227’が図24のフォトダイオード284と同様にチップ3上にある発光ダイオード(LED)235等の光源によって照射される。その意味では、発光ダイオード235から発光される光の波長を使用されたプラスチックの最大吸収波長、すなわち、そのプラスチック内に含まれる蛍光染料の最大吸収波長に対応するように選択するのが望ましい。
この意味では、図25に示すように、発光ダイオード235の光射出開口をチップ3の上側(場合によっては下側)、チップ3の狭い方の側、に配することができる。光の伝達を最適にするために、フォトダイオード227’がダイオード235より長くなっている。図25に示す変形例は、フォトダイオードもしくはフォトダイオード部分(226,227、226a、227a)が複数なくて、単一である(フォトダイオード227’、紙幣の一方のエッジ289から他方のエッジ290まで延びるのが望ましい)という点で図44,45および23,46に示す変形例とは大いに異なる。結果として、図25に示す構成によれば、発光ダイオード235を使用するフォトダイオード227’の幅内に位置せしめさえすればよいからチップ3の位置精度に関する許容差が大きくなる。
さらに、LISAフォイルを使用すると、従来のフォトダイオードを使用するのに比べて、LISA分子による吸収によって発せられた光に関しては、照射された光の周波数がシフトするだけのプロセスであるので、発光ダイオード235から発せられた光をフォトダイオード227’に導くのに、同相結合が必要ないという点で決定的に有利である。
LISA顔料をフォトダイオード内に均一に配分するのは可能である。この変形例では、効率を最も高くするために、LISA顔料の濃度が高いフォトダイオード227’の部分にLED235を取り付けるのが有利である。これは、例えば、LISAフォイル(場合によっては、LISAラッカー)の相の厚みを変化させるかLISAフォイル(場合によっては、LISAラッカー)内のLISA顔料の濃度勾配を設けることによって、実施することができる。
光源235としてレーザダイオード(有機薄膜ダイオード特に望ましい)を使用することもできる。これによって、従来のLEDを使用するより光を強くすることができる。同様に、真空蒸着のような薄膜技術等によって形成される2次元LEDを使用するのも望ましい。
このため、例えば、垂直な孔もしくは正方形の孔を有するLEDを使用することができる。これは、点発光ダイオードに比べて、証明効率が良い。
実施の形態39:
図26はより効率的な発光の例を示すものである。発光面291は一次光信号を発生するのに使用される。この発光面291は、例えば、コーティングすることができる。発光面291は、例えば、印刷することのできる有機LED(OLED)であるか、ドーピングされた遷移金属のカルコニド(ZnS, CdS等の硫化物)等の無機EL物質を有するものである。フォトダイオード227’を発光面291に向けることによって最初は発光面291に垂直に照射されていた光信号を紙幣1のエッジ289,290の方へ導いて、放射することができる。
発光面291の発光波長と蛍光染料分子の吸収波長とは染料分子の最大吸収に適応しており、蛍光発光強度が望ましくも染料分子の最大吸収に対応している。
実施の形態40:
積み重ねた紙幣を処理するのに特に有用な本発明の実施の形態は以下に説明するように圧電素子を備えている。この圧電素子もやはり紙幣の一部をなすものであり、紙幣の電気回路に電力を供給するものである。圧電素子は単結晶のもの(BaTiO,PbTiO等)でもよいし、圧電フォイル(ポリフッ化ビニリデン―PVDF等)でもよいし、他の圧電材料(トリフルオロエチレンのコーポリマートランスヂューサー等)でもよい。
例えば、圧電材料のフォイルとして圧電素子を使用する場合には、セキュリティ用線条、OVDフォイル(光学的可変素子)等として構成することができる。しかしながら、それはやはり、フォイルと紙あるいは複数のフォイルからなる複合材料の一成分である。フォイルの両面は電極形成用に少なくとも一部真空蒸着されている。これら2つの金属電極に電圧を加えると、電圧のリズムで線条が曲がる。以下に詳細に説明するように、圧電フォイルのエネルギ供給と応答を切り離すためには圧電フォイルの電極に電気的に接続された、フォイルの近傍に配された(フォイル自体の上に配するのが望ましい)集積回路を用いることができる。
紙幣の、望ましい一実施の形態においては、2枚の途切れのない真空蒸着した圧電フォイルの間に前記回路を取り付け、その2枚の圧電フォイルが回路の接点と協働するようにする、これは、いわゆる「透明テキスト(clear text)」法を使用するなど、金属層の特殊な設計によって、実施することができる。ラミネートされた導電性接着剤を使用する場合には、接点(電気回路の一方の側にあるのが普通である)を2枚の蒸着圧電フォイルに接触させることができる。他の同様な実施の形態を考えることができる。例えば、接点が両側にある電気回路もある。また、2個以上の接点がある電気回路も、金属層の構造をそれに合わせて変えれば使用できる。
実施の形態41:
その電気回路は、超音波の形態のエネルギーを当て、その際、圧電フォイルを作動させ(一時蓄えた後のこともある)時によっては、読取装置と通信するための電圧を発生させることによって、作動させることができる。しかしながら、その電気回路はその際、その電気回路と圧電フォイルを作動させ(中間蓄積の後のこともある)時によっては、読取装置と通信するための電圧を発生させることによって光電池と照射光によってもエネルギーを供給することができる。
さらに、その電気回路は紙幣すなわち例えば圧電効果を有する素子のひずみを加えることによっても駆動できる。
持ち込まれたエネルギーは紙幣上のチップを駆動し(一時蓄えた後のこともある)時によっては、読取装置と通信するための電圧を発生させるのに使用することができる。
可視光の領域内で、表示したり紙幣から情報を取り出すことに関して、ひずみエネルギーを使用すると、一般のユーザーでさえ、紙幣のチップの真性認証を見るという利点に繋がる。紙幣に僅かにひだをつけるとLISAストリップ、LEDの点滅または紙幣上の表示に例えば、光効果を与えることに繋がる。
実施の形態42:
磁気誘導効果の替わりに磁気歪効果も使用できる。周知のように、強磁性結晶が磁化されると、磁界の強度が大きくなるにつれてその結晶の形が変化する。この現象は磁気歪効果として知られている。ジュール効果はその磁気歪効果のなかで、最も重要なものである。それは、いわゆるワイス領域が時下の方向に回転し、境界を変位させるという事実に基づくものである。これによって、強磁性コアの形状は変化するが、体積は一定である。
鉄、ニッケルもしくはコバルトからなる合金の場合に10〜30μm/mの膨張を引き起こす磁気歪効果は希土類金属の合金の磁気歪効果が大きい材料の場合は、2000μm/mに達する膨張を引き起こす。Terfenol-D(コピーライト)としても知られる化合物、Tb0.3Dy0.7Fe2は圧電材料の何倍ものエネルギー密度を有している。
金属とその合金以外に、分子磁石も磁気歪特性を有している。分子磁石とはその磁気特性が金属イオンの結合によって決定される大分子もしくはクラスターを意味する。金属イオンを結合させると一般に反強磁性を示す。磁化における巨視的な量子トンネルを証明する磁気クラスターで最も良く知られているのは、原子化の一定しないMn12O12(CH3COO)16(H2O)4・2CH3COOH・4HO(Mn12−アセテートもしくは単にMn12と略記)である。
上述のように、磁気歪材料は磁界をかけると長さが変化する、すなわち、磁界の方向と膨張の方向が平行である。同様な効果は圧電材料でも知られている。電界をかけると、圧電材料は長手方向あるいは横方向に変化し、格子構造の空間が膨張する。特に圧電効果が可逆的、すなわち、往復動圧電効果の場合、捕捉可能な電圧が圧電材料の膨張あるいは曲げに応じてその表面に発生する。圧電材料によって発生されるエネルギーの量はチップを駆動するのに充分である。
実施の形態43:
これに限定されるものではないが、図27は磁気歪材料に加えて、圧電材料が使用されている実施の形態を示すものである。磁気歪材料と圧電材料は一体化されて、磁界から供給電圧を発生する複合体360とされている。磁気歪材料361の層には紙幣の紙にストリップとして設けられる圧電材料362の層がコーティングされている。磁気歪材料361を流れる交流磁界363が複合体360の長さを定期的に変化(dL)させる。その長さの変化dLの周波数は交流磁界の周波数に対応するものである。
複合体360を構成するのには、磁界の印加方向に平行に、それに垂直な方向より大きく長さが変化する長手方向に感度を有する磁気歪材料361が望ましく、長さの変化方向に直角なタップ電圧が,それに垂直な方向のタップ電圧より高い、横方向に感度を有する圧電材料が望ましい。
複合体360の周期的な長さの変化圧電材料362内に発生した電圧は、材料の表面に設けられた、電極364から取り出すことができる。逆電極として別の電極が考えられるが、例えば、微結晶金属もしくは不定形金属と同様に充分な導電性を示すものであれば逆電極として磁気歪材料361を使用するのが望ましい。電極364もしくは361と捕捉された電圧は接続部365で取り出すことができる。紙幣で使用する場合には、接続部365はチップ3に電気的に接続される。
本発明による複合体の製造は、コイルを使用した電気的接続を使わないで、外部で印加される交流磁界に応じた交流を発生させるのに役立つ。
実施の形態44:
図28は、図27の磁気歪材料―圧電材料複合体360等に対応する磁気歪材料―圧電材料複合体を紙幣1と一体化し、線366を介してチップ3に接続した例を示すものである。ここでは、LISAフォイルのストリップ227’を、以下に詳述するように、磁気歪材料―圧電材料複合体360に加えて設けた望ましい例を示すものである。LISAフォイルのストリップ227と複合体360の双方からなる単一のストリップを紙幣に、前もって製造したユニットとして添付するようにするのが特に望ましい。
実施の形態45:
データ記憶用のチップ等の記憶手段を使用せずに電子的な真性証明を設ければ便利であろう。そのような記憶手段無しで済ませれば、紙幣をより簡単により安価に製造することができる。
さらに他の例は紙幣の紙に組み込まれる電気発信回路の設計にある。
図29は光学的ディスプレイを加えることのできる、最も望ましい形の、構成が簡単な真性証明の等価回路を示すものである。発信回路230はインダクタンス231と静電容量232を特異的に呈し、整流子233、発光ダイオードLEDもしくはOLED234等の電気光学再生装置に接続されているのが望ましい。原理的には、その等価回路は、他の成分を含んでいてもよい。
このような、等価回路を有する紙幣は「電気回路付きの紙幣」の欄で前述したようにして製造することができる。電子部品は支持体としての紙幣に導電性の銀ペースト、グラファイトインク、導電性ポリマー等によって、スクリーン印刷、インクジェット印刷、彫版印刷等で、活版印刷的に設けるのが望ましい。替わりに真空蒸着フォイル素子を使用することもできる。インダクタンス231は、例えば、導電性ループとして、紙に設けられ、静電容量232は導電性の表面として設けられる。静電容量232は、紙幣の紙の反対側に導電性表面を設けたり、その上にストリップあるいはラベル状の金属層を設けることができるようにして、製造中に所定の値に調整することができる。
整流子233とLED234は同様に、紙幣の紙に活版印刷的に設けるのが望ましい。特に、半導電性のポリマーを用いるのが望ましい。あるいは、Si-もしくはIII/V-半導体薄膜技術を使用して、前記部品を形成してもよい。また、LEDの替わりに他のディスプレイを使用してもよい。
このようにして設けられた集積送信回路を備えた紙幣が、交流電界望ましくは無線周波数帯域の交流電界(125Hzもしくは13.56MHzが特に望ましい)に入れられると、発光ダイオード234が励起されて、送信回路に吸収されたエネルギーによって、可視光を発する。これは、きわめて高い不正防止機能を有する、真性証明となる。無線周波数帯域の通信機は容易かつ安価に形成することができ、例えば、紙幣テスト用のレジスタ等の手動装置やデスクトップ装置に一体化することができる。その通信機の性能は10から30cmの範囲で紙幣を励起して、発光させるようなものであるのが望ましい。
実施の形態46:
図23は本発明の紙幣1の他の実施の形態を示すものである。この実施の形態は光学的結合装置と誘導的結合装置の両方を備えている点で異なっている。
すなわち、チップ3もしくは紙幣1のチップ3に接続されている領域はLED235等の光信号を発生する装置を備えている。光信号はフォトダイオード部分226a、227aの少なくとも一方を介して、紙幣1の外側のエッジに導かれ、そこから取り出すことができるようになっている。紙幣1はさらに、コイル250の形の誘導的結合装置250も備えている。コイル250はチップ3に結合されており、この意味では、紙幣は非接触RFIDトランスポンダーとして設計されている。さらに、以下に例を挙げて説明するように、誘導的結合装置の替わりもしくはそれに加えて、紙幣1に容量的結合装置を設けてもよい。
誘導的結合や容量的結合を光学的結合に加えることができるため、「堆積測定」の欄でより詳細に説明するように、堆積測定の信頼性が大幅に増大する。
図23を参照して光学的結合に関して例示したように、誘導的結合だけでなく、容量的に結合されるトランスポンダーを有する紙幣も考えられる。
実施の形態47:
そのような紙幣1の望ましい構成が図30に示されている。チップ3は電極256としての2つの大面積の導電性容量結合面256に線255を介して電気的に接続されている。
容量結合面256の面は、堆積内の容量的に結合されるトランスポンダーの機能にとって、重要なファクターである。結合面256は実際には、製紙工程において紙に組み込むこともできるが、紙幣の紙に貼るのが望ましい。紙幣の製造に特に利点のある製造方法として、そのような導電面256に印刷技術を適用してもよい。キャリア媒体(ここでは紙幣の紙)の表面全体に印刷してもよい。紙幣の片面の少なくとも50%を占めるべきであり、少なくとも70%を占めるのが望ましい。もっと正確に言うと、寸法の異なる紙幣の(券種の異なる紙幣の)堆積であっても、面が常に重なって容量的配列を形成する。
例えば、導電性ラッカー、これはほとんど見えないので望ましいのであるが、を印刷インクとして使用することができる。同様に活版印刷的に設けることのできるグラファイト材料の結合面256も変更例として、少なくとも表面に占める割合が小さいときには、考えられる。
実施の形態48:
図31は容量結合トランスポンダーを備えた紙幣1の第2の例を示している。図46と同様に、紙幣1は導電性容量結合面256としての2つの導電面256を備えている。例として、紙幣は金属反射層257を有するホログラムストリップ258を備えている。反射層257は空間的、電気的に分離された2つの部分257a、257bを備えている。トランスポンダーチップ3が2つの部分257a、257bの間に添付され、2つの部分257a、257bに線255を介して、電気的に接続されている。
紙幣のメーカーにおいて、ある場合には金属の反射層257を備えたホログラムストリップ258等の金属層257を紙幣の紙に転写してもよい。これによって、紙幣の紙に貼付する前の別の工程で、チップ3をホログラムストリップ258の金属層257に電気的に接続することができる。ここで、金属層257の2つの部分257a、257bは線255を介して、チップ3
に接続されている。
ここで、結合面256は紙幣の紙に先ず印刷され、ホログラムストリップ258が次に結合面256とホログラムストリップ258の金属コーティング257の間が電気的に接続されるように貼付される。
ホログラムストリップ258をチップ3とともに紙幣の紙に先ず貼付し、次にホログラムストリップ258の上から結合面256を印刷してもよい。
これらの例は接着、半田付け、フリップチップ等の従来の方法を使用した簡単な手段では、導電性染料がチップ3と接続されないという問題を解決するものである。上述では容量結合面は紙幣の紙の一面にのみ貼られたが、原理的には、両面に貼ることができ、それは、各紙幣の位置をソートしていない紙幣の堆積物の場合は結合関係をより明確にできるということは強調される。
実施の形態49:
前に例としてあげたように、紙の中に埋め込まれておらず紙に貼り付けただけの光学的、誘導的あるいは容量的結合構造が破壊されたり、剥がされたりするのを防止するために、紙幣にカバー層を設けて、そのような構造を保護するようにしてもよい。
実施の形態50:
前述のように、本発明の紙幣は図29を参照して説明したような受動送信回路等の電気的、磁気的もしくは電磁気的受動回路を備えている。この受動送信回路はその特性データ、例えば、共振周波数が紙幣の各グループ、少なくとも、あるグループには特有になっている。例えば、この送信回路データは紙幣を発行している国もしくは券種毎に特有にすることができる。これらのデータは真性証明として使用することができる。例えば、テスト装置で共振周波数を測定し、それを期待値と比較する。ここで、本物であると認識する場合の測定値と期待値の差を極めて小さく、例えば、±10Hzにすることができる。これによって、送信回路の偽造がさらに困難になる。
紙幣が受動送信回路に加えて、チップを備えているときには、測定値をチップ内に記憶されている期待値と比較することによって、その紙幣が本物であるかどうかをチェックすことができる。
実施の形態51:
上述の例も含めて、送信回路の特性を制御された態様で調節できる必要がある。製紙の際、シート材料の印刷/処理の際のどちらにでも行うことができる測定可能な調整の方法をいくつか説明する。異なる紙幣には原理的には同じように製造した送信回路があり、その共振周波数を、紙幣が異なると共振周波数も異なるように制御された態様で調節する。
周知のように、送信回路の共振周波数はその送信回路の総容量と総インダクタンスに比例している。トランスポンダー回路の共振周波数fresはオーム減衰された送信回路のトムソンの振動方程式によって近似される。
Figure 2005526304
ただし、Lはインダクタンス、Cは容量、Rは送信回路の抵抗である。高周波範囲では誘導抵抗および容量性抵抗の周波数依存それ自体はもはや無視できないが、オーム減衰された平行送信回路のここに示すトムソンの方程式は、適用された原理の近似として許容できるものである。上記方程式から、共振周波数fresがその送信回路のインダクタンスL、容量C、抵抗Rの平方根に比例するのが分かる。抵抗R以外は周波数に依存するものである。したがって、これらの変数を、制御された態様で変えることができれば、トランスポンダーの共振周波数を変えることができる。
図32に例示したように、紙幣1は集積回路、すなわち、チップ3を備えており、そのチップ3はSi−チップ、ポリマー回路、多結晶チップ回路(a-Si、p-Si)またはそれらの組み合わせからなるもので差し支えないが、制御された態様の共振周波数調整は導電性の接続片413によって行われる。
その領域は厚みd1の層414を備えている。この層414は紙内に埋め込んでもよいが、後で、転写してもよい。したがってこの層414は、例えば、メタライズされたフォイルのストリップであるか導電性の特に強い印刷インクで形成される。層414はストリップの形態でなくともよい。以下のような例が考えられる。
実施の形態52:
フォイルストリップ414の共振周波数調整は所定の量の導電性繊維、とくにセルロース繊維を紙懸濁駅に入れることによって行うことができる。それらの繊維を導電性のカーボンブラックで処理して、延伸ファイバーとしてもよい。その替わりあるいは追加として、紙に磁性物質を入れてもよい。例えば、鉄の削りかすの粒子やフェライト粉を磁性物質と考えることができる。
導電性物質や磁性物質を制御された態様でロール紙に組み込む。これは、例えば、搬送中のまだ濡れたロール紙にスプレイすることによって行い、結果として、紙1に対応するストリップ414が形成された紙1が得られる。幾何学的な寸法(例えば図32のストリップ414の幅d1)を変えることによって、比抵抗(導電性物質)もしくはインダクタンス(磁性物質)を変えて、共振周波数を所望の値に調整してもよい。このようにして、例えば、幅d1を変えることによって、紙幣1の券種毎に、測定可能な調整が行われる。
シート材料例えば、セキュリティ紙は製造中に、一般に平滑にされたり、圧延されたりするので、調整ストリップ414と接続線413が常に電気的に接続されているとは限らない。したがって、調整ストリップ414上の非導電性層をレーザ、例えば、エキシマレーザで除去し、印刷された接続片413との電気的接続を復活させるようにしてもよい。
実施の形態53:
対応して製造したストリップ414を使用して調整することもできる。これは、例えば、アルミニウムでメタライズできる(銅等の蒸気圧の高い金属でもメタライズできる)薄いシート414である必要がある。このストリップ414を紙幣の紙に転写法を用いて貼り付けるときには、例えば、ホットシール接着剤を使用して行うことができる。ラッカーや接着剤は一般に非導電性であるので、送信回路を電気的に切断してしまうことになる。したがって、接続片413を導電性インクの印刷によって設け、その後に、ストリップ、例えば、メタライズされたフォイルストリップ414、を転写してもよい。これによって、接続片413と調整ストリップ414を電気的接続することができる。
上記ホットシール接着剤の替わりに導電性接着剤もしくは導電性異方性接着剤を使用することができる。
実施の形態54:
図33は導電性インクもしくは金属をストリップ414として印刷した例を示すものである。このストリップ414は例えば、券種によって異なる幅d1を備えている。非導電性の転写ストリップ415を接着する場合には、例えば、印刷面すなわちストリップ414内の対応する面417に貼り付けたときに、紙幣の紙に正確に重なる2個以上の凹部416を転写ストリップ415に設けてもよい。次に、例えば、導電性のインクの印刷によって、上側の凹部416とその下の凹部417接続し、それによって、回路3(図33には図示せず)との電気的接続を取る。このようにして、印刷面414の幅d1、および凹部414の幅等の形を選択することにより特定の長さ方向抵抗を変えることが可能になり、共振周波数を調整することができる。
実施の形態55:
誘導的もしくは容量的にはアクセスできず、ガルバノ的にすなわち直接的な接触によってのみアクセスできるようにした他の実施の形態のチップ付き紙幣を以下説明する。その意味で、ガルバノ接続はチップ3への電流供給に特に役立つものである。後に詳述するように、このような紙幣は堆積測定に特に適している。
図34はコンタクト面として導電性層380(図に影をつけてある)をその各短辺に備えている。導電性層380は線381を介してチップ3に接続されている。その導電性層380は紙幣の断面全体に亘って、紙幣の導電性が確保されるように設けられている。言い換えると、少なくとも2つのコンタクト面380が紙幣の紙の上下に設けられ、その2つのコンタクト面380が、紙幣の断面全体に亘って導電性であり、外部コンタクトクランプ(contact clamp)を介して、電圧源に接続できる。
この目的のため、層380は例えば、導電性トラック380として、紙幣1の上下の面に直接的な電気的接続があるようにして紙幣の紙の側縁に貼り付けてもよい。層380は紙幣の表面に貼り付けたり、組み込んだりするのではなく、側縁の体積全体を占めてもよい。そのような紙幣1は、導電性繊維、例えば、鋼のストリップを紙幣1の縁部に散らすことによって製造することができる。また、導電性ポリマーを塗布したり、導電性インクとして印刷し、紙の断面に浸透して所望のガルバノ接続が得られるようにしてもよい。
トラック380は、図34に示すように、例えば、紙幣1の2つの短辺のエッジ全体を包むような形で、紙幣1の両面に設けるのが望ましい。ガルバノコンタクト面は紙幣1の縁部を完全に包み込まなくてもよい。紙幣の堆積全体に層380が接触することが保障されるなら、層380は比較的小さくてもよい。また、ガルバノ回路の接点としての2つの層380は紙幣の片面のみに設けてもよい。
実施の形態56:
図35は図34の変形例を示すものである。図35に示す変形例においては、エネルギー供給用の導電性層380に加えて、紙幣1は少なくとも第3の接点382を備えている。その第3の接点382は紙幣の紙の面内でのみ有効であり、捺印法で設けられる。それは、紙幣の裏側の第4の接点382によって広げられる。第3、第4の接点382はガルバノ的には互いに接続されていない。接点382はチップ3と上下に延びる導電体383によって接続されており、堆積測定の欄で詳細に説明するように、堆積内の各チップ3を相互に駆動したり、各チップに相互にアクセスできるようにしている。そのため、接点382は導電性層380と丁度同じように、適切に重ねると互いに重なり、隣接する紙幣間でガルバノ接触が達成される。規則的に積み重ねるとこれが強化される。
第3、第4の接点382は例えばほぼ中央に配され、リング状または円形とすることができる。しかしながら、接点382は多角形等他の形でもよい。接点382が導電体381と重なる程度までには、中間に電気的絶縁部分を
配する必要がある。
実施の形態57:
各紙幣に接点を全く持たない、1個または数個のチップを設けてもよい。そのチップは当然、データ通信に関する機能を持たないし、機能しなくともよい。紙幣における、そのようなチップの存在、形、表面構造例えば、表面パターン、位置、配列等(場合によっては、紙幣のみの場合もある)が真性証明となり得る。このようなチップは例えば、肉眼では見えないほどきわめて小さくてよく、テストには例えば、光学的テストや、電気的テストを行う。

高分子電子工学を組み合わせた半導体技術

トランスポンダー回路を半導体技術と高分子電子工学の組み合わせによる方法で製造してもよい。この考え方は、本発明の価値を有するシート材料のように剛性のあるチップカード、紙、ポリマーあるいは金属箔の柔軟な支持体であれば全てのタイプのトランスポンダー支持体に望ましく使用することができる。
この意味で、半導体技術とは、単純な半導体、複合半導体等のシリコン技術等に属する全ての手法を意味するものと解釈されたい。薄膜技術は特に有用である。現在の半導体回路技術は、今まで、製造、値段の面で優れていた、単純な半導体(シリコン、ゲルマニウム)の集積回路の製造にほとんど専門に使用されていた。市場で販売している、ほとんど全ての部品が、ウエファから切り出される単結晶もしくはドーピングされた、単純な半導体(本質的にシリコン)からなっている。キャリアの余剰(半導体の導電性が由来する)を保つためにはドーピング(n-またはp-)は必要である。従来の単純な半導体とは別にいわゆる複合半導体がある。この複合半導体は周期律表の異なる主族の元素からなっている。例としては、GaAs、InP、InSb等がある。これらの、複合半導体のモビリティーは明らかに、SiまたはGeのそれより幾分大きい。
これらの半導体を薄膜技術によって貼り付ければ、柔軟な支持体に要求される曲げ抵抗性(紙幣等に必要)が得られる。
これらの材料から形成される受動部品および能動部品はGHzに達する搬送周波数に対しても安定である。
公知の半導体技術は単結晶(ウエファ)の厚さの点で望ましくない。公知の半導体技術による単結晶は非活性側をダイアモンドペーストで研磨して薄くした後でも、厚さが数10μmであり、紙等の、厚さが変わらない支持体への使用を妨げている。さらに、セキュリティ紙やスマートラベルに使用する場合に個数が多くなければならず、それを、チップを貼り付けたり、結合したりする(例えば、フリップチップ手法で)ときに、実施するのが困難である。
一般に、トランスポンダーシステムは、例えば、活版印刷的にかエッチングによって数巻き支持体に設けられるコイルを備えている。現在の技術状況では、トランスポンダーチップはμm台の厚さの(本発明の有価証券では、通常必要なことである)薄い支持体に貼り付けるのには厚すぎる(薄くした後でも)。
これに対して、ポリマー技術によって回路を製造する(いわゆるIPC(Integrated Plastic Circuit)のが本発明では有利であるのが分かった。ポリマーは導電性(ポリアニリン)でもよいし、半導電性(ぽりー3―アルキルチオフェン)でもよい。μm台の最小の厚さであっても、この目的に適う回路に活版印刷的に設けることができるのは、従来の半導体技術に比べて有利である。IPCの大きな利点は必要な構造を支持体に活版印刷的に設けることができる点にある。支持体はプラスチックフィルムでもよいし、特別に平滑な面を有する紙でもよい。
本発明の他の部分でも述べたことであるが、半導体技術から知られる、全ての半導体部品(ダイオード、トランジスタ等)は高分子電子工学によって導電性ポリマーから形成することができる。また、これらの高分子電子工学(以下、ポリトロニックと略称する)ベースの部品で、ANDゲート、ORゲート、NANDゲートのようなより複雑な論理回路を作ることができる。しかしながら、現在までは、ポリマー半導体の電子キャリアのモビリティが限られているため、最大周波数が数100KHz程度にしかならない。
これでは、ISO−1443もしくはISO-15693の周波数13.56MHzの外部読取装置によって起動される現在のRFIDトランスポンダーには適していない。
読取装置のトランスポンダーへのアナログ高周波通信チャンネルとそのトランスポンダーのデジタル部品の間のインターフェースはHFインターフェースとも言われる高周波インターフェースによって実現される。この高周波インターフェースは従来の変調器―復調器システムのモデムに相当するもので、「RFID−ハンドブック」、Finkenzeller、klaus、第2版、242ページ以降、Hanser-Velag、Munich、1999により詳細に記載されている。HFインターフェースは読取装置の高周波(HF信号)を介するトランスポンダーの読取装置との通信およびトランスポンダーのエネルギー供給を容易にし、特にそのトランスポンダーが受動的である場合、エネルギー供給なしにそうする。
上述の場合、読取装置の例えば、13.56MHzの変調HF信号はHFインターフェースで復調される。同時に、データキャリアのクロックは、HF-電界のキャリア周波数から導かれる。一般に、そのインターフェースはデータを読取装置に戻す負荷調整器を処理する。ここで大事なことは、キャリア周波数がMHz台以上であるということである。言い換えると、関係する回路は、この周波数で動作できなければならない。
実施の形態58:
図36は論理部391と負荷変調器392を有するHFインターフェース391からなる誘導結合トランスポンダー3の回路のブロックダイアグラムである。HFインターフェース391はトランスポンダーコイルLとトリマーコンデンサCを備えたアナログ入力送信回路393から実質的に構成されている。例えば、グレーツブリッジ398と電圧安定器399(ツェナーダイオード399であるのが望ましい)からなる整流子398がこれに直列に接続されている。トランスポンダー送信回路393と並列に回路395がデータキャリアにシステムクロックを供給する。この回路部分は論理部391にエネルギーを与える、方向が一定の安定した電圧Vccを供給する。さらに、復調回路396が連続データストリームを論理部391およびデータを外部読取装置に戻すに供給する。論理部391は例えば、トランスポンダーとデータの記憶あるいは暗号化を制御するデジタル回路394を備えている。
本発明によれば、半導体技術による半導体素子が高周波領域で使用され、ポリトロニック素子がトランスポンダー回路のデジタル低周波領域で使用される。これによって、薄くて、柔軟な支持体を使用すれば、必要な回路部分で高周波で動作できるようになり、トランスポンダーをより容易に紙幣等で使用することが可能になる。この結果、トランスポンダー回路を、周波数制限のない従来の半導体回路を加えることによって、クロックレートがkHz領域に限られるという高分子電子工学部品の制限を回避するRFIDシステムとして実施できることになり、このトランスポンダーをHF領域(mHz以上)でも使用できるようになる。
HFインターフェースの高周波部品は単純半導体もしくは複合半導体として、印刷、沈降、蒸着等によって、設けられるのが望ましく、論理部391のデジタル回路等の低周波部品は高分子電子工学によって製造する。
例えば、送信回路LとC、整流子398および、場合によっては、HFインターフェースの他の全ての部品は高周波13.56mHz以上で動作する。しかしながら、安定器399は論理部391の部品でもあり、高分子電子工学によって同様に製造されるが、他の部品394同様、kHz領域の周波数でしか動作しない。
トランスポンダー回路3の高周波部品と低周波部品を高分子電子工学部品と従来の部品の組み合わせとして設計することも考えられる。例えば、ポリマー部品を整流子や安定回路に一体化できるように、薄膜ダイオードを負荷変調器392のIPCに一体化することができる。
光学および/または音響再生装置
以前に例示したように、本発明の電気回路付き紙幣に1個または数個の、紙幣の紙にしっかり一体化された、電気光学的、および/または電気音響的再生装置を設けてもよい。本物かどうかの認識の他に、そのような装置は以下に記載し、「堆積処理」と「取引」の章でさらに詳しく述べるような目的を果たすものである。例えば、再生装置は以下のような特性を持つことができる。
電気光学ディスプレイはそれぞれあるいは組み合わせで、例えば、可視光、赤外光、紫外光を発する自己発光ディスプレイ、非自己発光ディスプレイもしくは電子ペーパー、LCDおよび/またはLEDを備えたディスプレイをそなえることができる。電気光学ディスプレイはLCDまたはほぼ点光源(LED等)等の2次元ディスプレイ面を備えることができる。
電子ペーパーは、通常通り、例えば、電極の間に埋め込まれた、回転、摺動が制御可能なマイクロカプセルを備えた支持体を意味するものである。電子ペーパーから製造するのは、ほとんどの場合紙で作られる紙幣の柔軟性が損なわれないという利点がある。さらに、外部エネルギーの供給がなくても、電子ペーパーは損なわれない。これは、紙幣に関する多くの用途に特に適したことである。表示されたものの外部不正操作を認識するために、合計チェック等の、情報の無傷を示す情報あるいはチップに記憶されるデジタル署名等を表示すべきものに加えて表示するのが望ましい。
ディスプレイは、電子インク(マイクロカプセル内に封入した真珠を有する印刷インク)で紙幣に印刷する等の活版印刷的な手法で形成するのが望ましい。これは、紙幣製造に使用されている公知の印刷法との高度な調和をもたらすものである。
電気光学音波通信機、往復動圧電音波通信機、磁気歪音波通信機等の音響再生装置を電気光学ディスプレイの替わりに使用することもできる。
このような電気光学再生装置や音響再生装置は、人間が容易に確認でき、しかもコピー技術によって不正に真似することのできない、真性証明を構成するという点で望ましい。さらにこれらの再生装置は機械が読むことのできるセキュリティとして組み込むことができる。
すなわち、例えば、紙幣処理装置は紙幣の発する光学あるいは音響信号を捕捉し(場合によっては装置の刺激に応答して)、本物の紙幣である場合に期待される信号と比較する。
ディスプレイの表示内容を一時的に変えた場合には、他の手段なしに対応する紙幣が自動的もしくはマニュアルで認識される。
実施の形態59:
最も簡単な場合には、再生は定期的にのみ行われる。これは、例えば、再生装置に光電池、薄層電池(紙の上に設けた電池)等のエネルギー源もしくは誘導結合を使用して、電流を供給し、再生装置に、電流が供給されたときにのみ明るくなったり、音波信号を発するようにすることによって達成することができる。エネルギーが外部から供給されたときにのみ再生が行われるようにした、すなわち紙幣自体がエネルギー源を持たないようにした、変更例は特に望ましい。
外部からのエネルギー供給が中断したときに再生を停止するのに対して、再生装置に再生装置の信号をトリガーするインターフェースを光路もしくは電路に沿って、有価証券に一体化されるか少なくとも一部がその外になるように設けられた制御装置に信号線を介して、接続するように設け、そのインターフェースによって、再生装置の再生の内容を一時的―所定の方法で変更もしくは変更できるようにするのが望ましい場合もある。
この場合には、エネルギーの供給とは独立して、再生の内容を所定の方法で変更できる。この場合には、変更までの時間を、例えば、ランダムにもしくは一度もしくは複数の時点で設定できるようにしてもよいし、所定の時間間隔で行えるようにしてもよい。
実施の形態60:
特別に簡単な例はフラッシングディスプレイ、例えば、所定の間隔で、点滅する点LEDからなるディスプレイである。関連する制御データは制御装置のメモリー内に格納するのが望ましい。
さらに、再生装置の輝度もしくはボリュームを変えることによって、再生の内容を変えることができるだけでなく、再生すべき情報の内容自体を一時的に変えることができる。
実施の形態61:
さらに、エネルギー供給用の光電池を紙幣の少なくとも片側に設け、発光素子を反対側に設けて、それぞれを紙幣内のチップに接続してもよい。
図37に示すように、紙幣1の一側にチップ3にエネルギー供給し得るようにチップ3に接続された薄層光電池400が配されている。このチップは紙幣の反対側に配されたレーザダイオード401等の発光ダイオードに接続されている。接続は活版印刷的に設けられた線403によってとるのが望ましい。
この変更例は図37を参照して、「堆積処理」の章で詳述するように、堆積内の隣の紙幣にエネルギーを供給できるという点で有利である。
実施の形態62:
これは音波通信機は異なる再生周波数あるいは再生周波数系列で動作する、あるいは、2次元ディスプレイ面の場合には署名、記号等の異なる表示パターンが再生されるということである。券種の異なる紙幣を光学的あるいは音響的に区別するために、再生の内容を券種毎に変える必要がある。例えば、券種毎にトーンを変える、音や光の周波数を券種毎に変える。
実施の形態63:
情報を紙幣から周囲に伝達するのに、紙幣内で発した熱の放射を利用してもよい。
このため、紙幣の電気回路によって、予め定められて、伝達される予定になっている情報に応じて、紙幣の素材(望ましくは紙)の表面に設けられた、あるいは紙幣の素材に埋め込まれた、抵抗として作用する、複数の電気素子に電流を流す。この場合、トランジスタ等の能動電気素子にも電流を流す。それらは動作の物理的原理に関しては抵抗として作用するため、電子部品について特に断りのない限り、以下の説明では、「抵抗」ということにする。
抵抗は持ち込まれる電力によって、熱くなる。結果としての温度変化は光センサー内の熱結像カメラで直接見るか、インディケータの反応で見る。後者は持ち込まれた熱を光学的に証明する可能性を作るものである。紙幣の紙に組み込まれた導電性素子の導電性の変化等の、他のインディケータの反応も本発明において関係する熱をはっきり説明するものであると考えられるが、簡単のために以下では「表示」について説明する。
ここに記載した方法とは対照的に、本発明のディスプレイは、例えば、電磁波で共振させられる独国特許出願公開第100 46 710号明細書によるような単純なLCR送信回路ではなく、紙幣の送信回路の可変性を表す能動素子からなっている。特に、電気回路の不揮発性メモリーに記憶されている情報のディスプレイもここでは設けられている。送られる電流も抵抗を流される、方向が一定の電流である。
前述のように、紙幣への電圧供給は電磁放射を受けることに限定されるものではないことは明らかである。歪エネルギーを紙幣への電圧供給に必要な電気エネルギーに変換する電磁トランスヂューサを使用すると極めて興味深い使い方ができる。これについては以下に詳述する。
紙幣を加熱する電流を流される抵抗は情報を表示するように様々に配列される。抵抗を単純なバーコード状に並べることもできるし、バーコード構造も実施できるし、セグメント表示も実施できるし、画素ベースの表示さえ可能である。LCDノートディスプレイの表示をトリガーし、実施するのに一般に使用されている方法はこのタイプの画素ベースの表示の表示に好ましく使用される。
公知の方法とは対照的に、ここで述べているディスプレイは従来のウエファベースの電子部品でなく無定形シリコン、多結晶シリコン等の、他の材料から形成された電子部品を使用して、全体の表示をすることができる。
しかしながら、このような画素ベースの表示は有機ポリマー等の印刷可能な半導体によってなすのが望ましい。印刷工程において、制御線とトランジスタ、および必要な他の抵抗(トランジスタ自体で作るのが望ましい)を備えた、このタイプのディスプレイを印刷することができる。また、インディケータ材料を含む印刷インクをその上から塗布してもよい。このように使用されるインディケータ染料がその下の電子部品を保護する保護層を同時に形成するのは明らかである。
このように設計された紙幣は全体の機能に必要な電気回路の一部が紙幣の大面積部分を横切る方向に伸びるという特徴を有する。結果として、紙幣を不正操作すると、回路がすぐに機能しなくなる。
さらに、上述のような紙幣のディスプレイの場合には、インディケータ物質が目に見えるときは、情報が読める形で紙幣上に表示され、エネルギー供給も上述の歪エネルギー、モバイル電話の周波数範囲の無線エネルギー、太陽エネルギー等、一般の人間にも入手可能な、エネルギーキャリアを通じて行われるという、利点がある。この場合に、紙幣の有効性等、大事な情報は紙幣上に普通に読める形で表示することができる。
紙と紙幣の製造時の品質コントロール
ここでは、回路付きのセキュリティ紙もしくは紙幣への本発明の適用における紙と紙幣の製造時の品質コントロールについて説明する。
本発明においては、任意の場所または製造段階で非接触でもしくは光学的に、特に、高周波電磁界を使用せずに、データを回路から読んだり、回路に書き込んだりすることによって紙工場20もしくは紙幣印刷所21の現在のセキュリティ紙や紙幣の処理を簡単な形でたどる。
回路内に記憶されるデータは通し番号、券種、発行国、通用性、もしくは、製造月日等の、1枚1枚の紙、紙幣等を特定するデータであるのが望ましい。これらのデータを読み出すことによって、1枚1枚の紙、紙幣を特定することができる。
中でも、これはシートもしくは紙幣で適切に製造されずに、品質検査の後に、破断装置24(シュレッダー)にまわされることになっているものの破断管理に重要な役を果たす。破断することになっているシートもしくは紙幣は、シュレッダーの刃の直前に回路からデータを非接触で読み取るだけで特定することができ、同様にして本質的に途切れなく追跡することができる。このようにして、破断すべきセキュリティ紙や紙幣を権限なく持ち去るのを信頼性を持ってモニターすることができる。さらに、もしくは替わりに、破断すべき紙幣を検査中に破断してもよいし、シュレッダーの直前にその紙幣のメモリーにその旨の情報を書き込んでもよい。あるいは、例えば、紫外線フラッシュランプからの光に露光してメモリーの内容全体を消してもよい。
さらに、セキュリティ紙や紙幣に現在実行されている、または実行予定の処理もしくは仕上げ工程を回路に記憶させてもよい。この場合には、特に、品質保証23の意味で記憶されたデータを読んで、その紙もしくは紙幣が要求される全ての仕上げ工程を終わらせたかどうか、またそれらの工程が適切に行われたかどうかをチェックすることができる。
製造の際には、メモリーの一部が後で使用するときにのみ使用可能で、またこの部分が、異なるユーザーグループあるいは異なる使用目的にのみ使用可能であったとしても、メモリーのより大きな領域あるいは全体を使用するのが特に望ましい。この場合には、そのメモリー領域に対する制限されたアクセス特権は、チップが成功裏に製造され終わるまでは、対応するメモリー領域によって固定的には導入することができない。その領域は例えば、フューズを妬き切るなどして、書き込みから自分たちを保護するようになっている。
品質保証23に設けられた紙幣処理装置に使用したときに本発明の紙幣は有利である。これらの装置においては、完成した紙幣が束で供給され、個々に引き込まれ、搬送路に沿って搬送され、様々な特性や真性証明を調べられる。一度に数枚の紙幣が引き込まれて搬送され、紙幣が詰まる等の誤作動が、このような装置内を搬送中に繰り返し起きる可能性がある。このような場合に、引き込まれた紙幣のデータ、特に通し番号を読み出し、紙幣の分離の間に機械の制御部に記憶しておくのが望ましい。このデータをその誤作動を直し、複数一度に取り出されたり、詰まったりした紙幣を調べなおすために再びセットするときに、チェックすれば、装置の修正の際に紙幣を権限なく持ち去るのが容易に分かる。
紙幣の搬送
紙幣の搬送も本発明の特徴を有する部分である。
以下に詳細に示す装置および方法によって特定の紙幣の回路を非接触で読み取ることによって、紙幣を流通の任意の段階において簡単かつ迅速に特定することができる。紙幣のアイデンティティに関するデータが中央モニターに登録されている。このデータによって、流通中に紙幣が取る経路を債券することができる。
紙幣の特定および必要ならば、登録は紙幣の製造時に、すなわち、中央銀行25、商業銀行26やビジネス30領域および紙幣処理機31、現金払い出し機27、預金機28、現金預入・払出機29、自動現金入力装置32等の様々な装置での流通の前に製糸工場20(図1)、紙幣印刷所21で行われている。輸送車両に走査装置を配備して、紙幣の出入りのロットを登録するようにしてもよい。
「紙幣の無効と有効」の章で詳細に述べるように、本発明の更なる利点は、紙もしくは紙幣に組み込まれた回路を、その紙または紙幣がどのような装置においても、特に払出装置において、一時的に使用できないように切り替えたり、あるいは書き込みができることである。紙幣を機械でさらに使用するために流出させるのは中央銀行25または商業銀行26が担うものである。この際、紙幣が流通に戻される少し前に、秘密のパスワードを回路に入力するか、回路に特定の動作をさせるのが望ましい。
紙や紙幣のメーカー、紙幣印刷所21から中央銀行25への輸送途中、あるいは商業銀行26への輸送途中での窃盗、あるいは強奪は、無効にされた紙幣を、対応する読取装置を備えた登録器あるいは機械が認識し、払出や預け入れを拒絶するため、魅力的でない。これらの紙幣を他の場所で、すなわち、回路との通信ができない場所で、流通に戻そうとしても、それが可能なのは、その金が盗まれたと分かった後になるので、儲かることはあり得ない。
前述のように紙幣を無効にできるのは自動現金払い出し機27、預金機28、現金預入・払出機29、後に詳述する容器、あるいは輸送用車両内に保管されている紙幣にとって、特別な利点となる。というのは、不法侵入や妨害工作によって不法に持って行かれ、無効にされた紙幣はそれらを流通に戻そうとした時点で、対応する走査装置が容易に認識するからである。
この変更例は、様々な用途や場合に使用できる。
実施の形態64:
一時的に抹消したりマークしたりすることによって、特定の装置に保管されている金が中央銀行25の金利を産まない資産、いわゆる最低準備金であることを認識させることができる。さらに、紙幣の登録によって、ブラックマネー、盗まれたり、強奪されたりした金の流れを容易にモニターすることができる。この目的のため、金が支払われたとき、支払われた紙幣のアイデンティティ、特に通し番号、を受取人のデータとともに記憶しておくことができる。他の使い方については、「紙幣の無効と有効」の章でさらに詳細に述べる。
紙幣輸送用の容器
紙幣の輸送中に本発明を特に有利な方法で使用できるように、紙幣輸送用の特殊な容器が提供される。ここで、容器とは紙幣をまとめて輸送する全ての手段を含むものである。容器とは、金庫、金属、プラスチック、またはボール紙で作ったカセット、紙パック、紙またはプラスチックで作った小さなサックないし袋、バンド等を含んでいる。この容器は、その容器を不正に操作しなければ外部から知らぬ間にアクセスすることができないように閉じることができるようになっていることを特徴とするものである。
その容器、具体的にはカセットは、例えば、アンテナや、容器内の紙幣の回路内に記憶されている内容を読んだり、変えたり、チェックしたりすることのできる読取/書込み/チェック装置を備えることができる。
後に、堆積中の紙幣のテストに関係して詳細に例示する必要な装置および方法をこの容器でも使用することができる。
このように、通し番号等のその紙幣を特定するデータを容器内で、使い方によって異なるが、外部の調査装置による、輸送する予定の紙幣の特定が不要になるように、通し番号等のその紙幣を特定するデータを容器内で読み取ることができる。特に紙幣の輸送中、貯蔵時、委託時、または移動時に容器を開かずにモニターできるように容器の中身は容器自体で登録され、必要に応じてチェックされるのが望ましい。これは、紙幣をカセットから取り出したり、カセットに入れたりすることができる自動出納器についてもいえることである。
カセットの中身が常に完全に分かっていることによって、紙幣が詰まったり、一時的な故障があったり、チェック/評価装置に故障があった場合にカセットを開かずに正確に一覧表を作ることができる。
実施の形態65:
例えば、輸送のコースに関するデータを、容器の書込み装置によって回路のメモリーに書き込めるようにすることができる。これによって、輸送ルートを紙幣に書き込むことができる。
容器は、例えば、電磁界を完全にはさえぎらない電気絶縁材料で形成した壁を備え、容器内の紙幣の回路を外部から高周波交流電磁界によって読んだり、書いたり、チェックしたりすることができるようにしてもよい。
このタイプの容器によれば、値、すなわち容器内の紙幣の値段の総計、あるいは個々の紙幣の額面を、いつでも定めることができる。移動時に委託された、中身に関する不確かさや数えなおす手間が省ける。これによって、金の輸送、扱い、金の流れの制御が基本的に簡単になり、速くなり、なんと言っても、安全になる。また、これによって、マネタリーサイクル全体を効果的にモニターすることができる。
実施の形態66:
容器自体がその書込み装置によって、この情報(その値に関するデータと、輸送データ、取引データ等のその紙幣に関する他のデータ)を容器内の一部または全ての紙幣を書き込むことができる。この場合には、容器自体が、その容器内に入っている紙幣の総額をその不揮発性メモリーに記憶できるようにしてもよい。この両方が実施されたときには、例えば、紙幣に記憶されている総額と容器に記憶されている総額とを比べることによって、容器の不正操作をチェックすることができる。
実施の形態67:
例えば、紙幣のチップのメモリーが直接読み出せないライト−オンリーメモリー領域を有する場合は、容器のメモリーに記憶されている総額を紙幣に送って不正操作に対するセキュリティの検査を行う。この額が紙幣に記録されているものと同じならば、容器の内容が不正に操作されていることはないと仮定する。
実施の形態68:
容器の内容の未検出の不正操作に対するセキュリティは非対称PKI暗号化法を使用して強化する。このために、容器を充填する紙幣処理機が、紙幣もしくは容器に、例えば、容器の内容の総額を書き込むようにすることができる。この場合、入力前の総額を紙幣充填位置で私用キーで暗号化し、容器を受け取った後で、紙幣処理機の公開キーで、それおよび容器内の紙幣の合法的除去を解読するようにしてもよい。紙幣と容器の両方に総額が書き込まれる場合は、2つの数字を2つの異なる私用キーで暗号化するようにするのが便利である。
例えば、チップが直接読み出せずに、2回目に伝達した値が最初に書き込んだものと同一であるかどうか、という問いに答えることができるだけのライト−オンリーメモリー領域を有しているときには、容器のメモリー内の総額(暗号化されない場合もある)を紙幣に送って、不正操作が行われたかどうかをチェックする。この額が、紙幣に書き込まれた総額(暗号化されない場合もある)と等しい場合には、紙幣はこの旨を取り出している紙幣処理機に報告し、容器の内容の不正操作はなかったものとする。
この方法はそれだけで未検出の不正操作に対するセキュリティになっている。というのは、未検出の持ち去りに関しては、「改竄された」総額に関するデータが容器と1枚以上の(全てであるのが望ましいが)紙幣の両方に書き込まれるからである。しかしながら、暗号を使用すると、セキュリティをさらに強化することができる。そのために、容器の総額を紙幣にa)暗号化した形とb)暗号化しない形で書き込み、容器には暗号化して書き込む。それによって受取人は一方では、容器内の総額を公開キーで紙幣充填位置で解読し、充填時の総額を知ることができ、他方では、a)解読した形の総額をとb)未解読の形の総額とを紙幣の記憶の内容と比較して容器に書き込まれた数字の改竄を知ることができる。
紙幣輸送用容器の中身に対するアタッカーの成功は多数の紙幣を除去し、その多数の紙幣と容器の総額を決めなければならない(これは、暗号化に引き続き、はっきりした比較結果をもたらすことになる)という組み合わせによって阻止される。窃盗を成功させるためには、中身を知っている容器の総額の暗号化された数字を読み取り、もう一つのより高額な容器から紙幣を取り出し、その中身が最初の容器と同じになるようにし、対応するデータを全ての紙幣および容器のメモリーに書きこまなければならない。
実施の形態69:
したがって、ここにおけるセキュリティは、容器や紙幣に追加の情報(中身が同じであっても異なる情報)を記憶し、さらにその情報を暗号化することによって強化される。例えば、容器内の紙幣の通し番号の一部または全部の組み合わせをそのような情報として使用することができる。
実施の形態70:
容器の不揮発メモリーがその容器内の紙幣の一部または全部の紙幣に関するデータを含んでいれば、紙幣輸送用の容器の他の形態が考えられる。例えば、容器に移動すべき全ての紙幣のデータが充填前、充填中あるいは充填後に、容器を充填する装置あるいは紙幣のいずれかから容器に送られる。
容器を処理する装置からの要求に応じて、容器はその中の紙幣に関するデータやその紙幣に書き込まれたデータを供給することができる。容器は、しかしながら、その紙幣に書き込むべきデータを受け入れ、そのメモリー内に保持するが、中間で記憶したデータは紙幣がその容器から取り出されるまでは書き込まれないように形成することもできる。
容器との通信は紙幣との通信とは異なる方法で行われる。例えば、容器との通信は紙幣との直接通信に比べて相当速い。
加えて、もしくは替わりに、容器との通信方法は紙幣等との通信方法と同じでよいが、情報の授受の責任を明確にするために容器内の紙幣との直接通信を信頼性を持って阻止する手段を設けるのが望ましい。この場合には、読取装置は紙幣とも、紙幣の束とも、容器とも、同じにして通信することができる。
2つの理由で、これは、パックされていない形に比べて、相当多数の紙幣との通信を可能にする。一つには、衝突防止法(anti-collision method)の能力と信頼性が所定の時間内に信頼性を持って、衝突なしにアドレスできる紙幣の数を制限するからである。
しかしながら、中の紙幣のデータを知っている容器はどんな衝突も回避できる適切な形でそのデータを読取装置に伝達することができる。もう一つには、極めて多量の紙幣に供給する電圧を発生するエネルギーの輸送の管理は、容器を作動させるエネルギーの輸送の管理に比べて、かなり難しいからである。
実施の形態71:
図38は本発明の容器の例350を示すものである。カセット350は公知のハウジング351を備え、そのハウジング351は紙幣1を挿入するための鍵をかけられる開口352(必要に応じて設けられる)を備えている。紙幣は底板353の上に置くことができる。底板353の高さをカセット内で調節できるようにすることもできる。本発明では、カセット350は、紙幣1の回路から光学的にもしくは誘導的にもしくは容量的にデータを読み出したり、紙幣1の回路に光学的にもしくは誘導的にもしくは容量的にデータを書き込んだりするための少なくとも1つのテスト装置354を備えている。
このテスト装置350は上述の実施例または「堆積処理」の章に記載したように設計することができる。このテスト装置350は紙幣のチップとデータの授受をするための、高さ方向Hに延びる誘導アンテナの列を備えていてもよい。また、ハウジング351の床もしくは底板353に追加もしくは代わりのテスト装置を設けてもよい。
電気回路付きバンド
紙幣を輸送するための本発明の容器の特性を、貴重品を運ぶのに使用されるいわゆる安全袋等の使い捨て容器に適用することもできる。預け入れの処理の際のヘッダーカード等の仕切り部材としての、上述の特性の容器への意味のある適用(仕切りカードして使用する)についても明確に言及する。
上述の例の変更例として、例えば、バンドにも集積回路、すなわち、チップを設けるのが望ましい。
実施の形態72:
そのようなバンドの典型的な実施の形態を図39に平面図で、図40に側面図で示す。複数の紙幣が小さな束43にされて、バンド40によって押さえられる。バンド40は束43のかたちになってそれを取り巻く紙、プラスチックフォイル等の帯とされている。バンド40は回路3、望ましくは、チップを備えている。とくに、バンド40には、エネルギーの伝達や情報交換のための通信装置42が組み込まれている。
回路3は、製造時にバンド40に集積してもよいし、適用してもよい。あるいは、用意された束43にバンド40をかける、バンドかけの際に回路3を先ず設けてもよいし、その後に、何とかして設けてもよい。本発明のこの例では、回路3はバンド40に糊付けするのが望ましいバッキングフィルム41上に設けるのが望ましい。バンドは、バンドをかけた束から紙幣を抜けないように束を覆えばどのような形でもよい。
通信装置42はここではアンテナコイルであり、同様にしてバッキングフィルム41上に設けられ、回路3とともにバンド40に設けられる。剥がそうとすると必ず破壊されるように、自らは安定性のないバッキングフィルムを使用するのが望ましい。回路3もしくは通信装置42を備えたバッキングフィルム42を権限なく外そうとするとそれらの破壊につながり、不正操作に対する極めて有効な保護となる。
前述のように、回路3や通信装置42はバンド40上に直接印刷してもよい。このようにしても、回路3や通信装置42を破壊せずにバンド40から外すことは実際上できないので、不正操作に対する極めて有効な保護となる。
実施の形態73:
本発明の他の実施例を図41に示す。この例では、バンド40の2つの端部44,45が、回路3および通信装置42がその上に配されているバッキングフィルム41に接着されている。権限なしに、バッキングフィルム41を剥がして、バンド40を開くと回路3および通信装置42を含めてバッキングフィルム41を破壊することになる。したがって、どのような不正操作も容易に見分けることができ、さらに回路の機能をチェックすることによって容易に証明することができる。
実施の形態74:
図42,43は本発明のバンド40の他の実施の形態を示す平面図および側面図である。バンド40上に回路3が設けられ、回路3はバンド40に沿って、バンドをかけられた束43の複数の辺に亘って延びる通信装置42を備えている。図示の例では、通信装置42は束の4辺に亘ってその束を取り巻くように延びる閉コイルアンテナである。
原理的には、バンド40上のチップ3と束43をなす紙幣1のチップとの間でデータ交換する手段を設けることができる。これによって、紙幣の輸送に関して上述したのと同様な効果が得られる。
紙幣の集積回路同様、バンド40のチップ3もデータの記憶や処理ができるように設計される。特に、小さな束43、およびその小さな束43内の個々の紙幣1に関する情報がバンド40のチップ3に記憶される。例えば、この情報は、束43の輸送に関し、束43がある特定の場所にある時間等に関するものである。輸送の再構成はチップ3に記憶されているデータに基づいてなされる。
バンドに割り当てられた、紙幣に関するデータはバンド40のチップ3に含めてもよい。束がそのバンドに巻かれている間は、データ交換は、バンド40のチップ3を介してのみ行われるのが望ましい。これによって、束内の紙幣の個々のチップが問題とされることがなくなるため読取のセキュリティが簡略化され、しかも強化される。必要に応じて、紙幣をばらしてチェックした後、個々の紙幣のデータを使用できるようにするのが望ましい。この処理では、欠陥のあるチップを備えた紙幣は把握され、バンドの情報に組み込まれる。
輸送用容器の章で述べたデータ記憶とデータ通信をバンドにといりれ、バンドのチップのみを介して通信が行われるようにすれば、電気回路付きのバンドを特に有効に使用することができる。バンドをかけられた例えば100枚の紙幣の束においては、一度の処理工程でアドレス可能な紙幣の数は100にまで増える可能性があるが、より高度な衝突防止アルゴリズムのために時間、労力、コストが増大することはない。
バンド上のチップ3の通し番号を、各バンドを見分けるものとして、使用してもよい。
処理装置の望ましい実施の形態等の説明に行く前に本発明の他の装置にも使用できるが、その装置に使用した場合に極めて有効な本発明のいくつかの思想について述べる。
堆積処理
既に何度も述べたように、チップもしくは電気回路付きの紙幣の大きな利点は堆積処理ができるようになることである。堆積処理とは、紙幣の堆積(束)を処理することである。しかしながら、堆積処理は1枚だけの紙幣からなる「堆積」も処理可能である。これは、堆積内の1枚または数枚の紙幣を使用し、例えば、その紙幣の1種または数種の特性を決定する、ということである。そのような特性は、紙幣の総数、個々の紙幣の額面、紙幣の総額、通し番号等、各紙幣特有のデータに関するものである。この方法によれば、その堆積内に券種の異なる紙幣が混ざっていても堆積内の紙幣の総額を簡単に決定することができる。
この方法は、紙幣を券種に分け、各券種の総額を評価するようにした、従来法に比べて、極めて、簡単で、労力を必要としない方法である。
堆積処理は、例えば、紙幣の特性を測定したり、決定したりするために、測定信号を得、その測定信号を堆積内の紙幣との通信によって評価することと理解してもよい。ここでは、通信とは、紙幣から、例えば、紙幣のチップから外部の測定もしくは評価装置に信号を送ったり、測定もしくは評価装置から紙幣、例えば、紙幣のチップに信号を送ったりすることを意味するものである。したがって、紙幣の特性を決定する以外に、信号を堆積内の紙幣に送って、例えば、紙幣の記憶領域にデータを書き込むことも意味する。
この意味で、通信は非接触で行うのが望ましい。これは、例えば、誘導的結合、容量的結合、光学的結合、音響結合、マイクロ波結合等によって達成することができる。既に図示したように、紙幣の紙内の、チップに結合したコイル、容量面、誘導結合もしくは容量結合のためのアンテナ等のトランスポンダーは紙幣の紙に組み込まれて、誘導結合もしくは容量結合に供される。例えば、容量結合されたトランスポンダーチップを有する紙幣は金属層を含むホログラムストリップのような導電性領域をその前面や裏面に備えることができる。複数枚の紙幣を束にするということは複数のコンデンサーを直列に接続することになり、例えば、それを利用して、測定中に複数の紙幣に同時にエネルギーを供給することができる。もし紙幣が導電性の領域を備えていれば、隣接する2枚の紙幣の導電性の領域間の距離は紙幣の位置に大きく依存することになる。これによって、堆積内に極めて容易に結合が再生可能である。
誘導結合、容量結合、光学的結合の場合には、送信機や受信機は紙幣の券種に関係なく紙幣の角や端に対して同じ領域に配するのが望ましい。これによって、この角や端に対して紙幣の束をそろえることによって、券種の異なる紙幣の束であっても、紙幣間を実質的に接続できる。
さらに、個々の紙幣の特性の測定あるいは個々の紙幣への特性の書込みは順に行うのが望ましい。これは、一つには複数または全部の紙幣が測定信号を出しても1枚の紙幣から出された測定信号のみがピックアップされて、強化装置で後の任意の時間に評価されることを意味する。これはまた、紙幣が順に起動されて、測定信号を出すことを意味している。既述のように、紙幣の起動と外部の評価装置への測定信号の出力は誘導的結合、容量的結合、光学的結合、音響結合、マイクロ波結合等を介して行うのが望ましい。起動するのと、信号の出力とでは、異なる結合方式を使用してもよいし、同じ結合方式を使用してもよい。
束にした紙幣を別々に起動する他の方法として、詳細に上述したように、紙幣に一体化されたフォトダイオードを点状に照らして、紙幣を別々に起動する方法がある。このために、フォトダイオードを紙幣のエッジに並べ、紙幣の束の一側から入る光が紙幣の束の個々の紙幣のフォトダイオードを順に照らすようにするのが望ましい。照射された光は、光学的なインターフェースを介して、紙幣のチップに、信号線でチップに接続された送信機によって光刺激に応じて応答信号を出させる。応答信号は、LED等の発光素子の起動によって、同様に発生することができ、それによって、前記素子、例えば、励起光を照射したフォトダイオードもしくは紙幣の紙に一体化した他のフォトダイオードを介して発せられた光を評価装置に出力する。例えば、透過ないし偏光を変えることができる制御可能な透視窓を出力媒体として用いることもできる。また、応答信号を誘導結合や容量結合を介して発するようにすることもできる。
実施の形態75:
図44、45は測定装置すなわち読取装置220の平面図および側面図である。紙幣は、例えば、紙幣の紙に組み込まれた2個のフォトダイオード226,227を備えている。双方のフォトダイオード226,227は不図示の光学的インターフェースを介して、ほぼ中央に配されたチップ3に接続されている。チップ228はフォトダイオード226,227の両方からの照射を受けて、LED等の不図示の光学的送信機によって、他方のフォトダイオードに応答光を送る。この場合には、各フォトダイオード226,227に対して、チップ3によって選択的に発光せしめられる各1個のLEDを配するのが望ましい。発効された光ビームを一方または他方のフォトダイオードに向けて、偏向する必要をなくすために、1つのLEDから両方のフォトダイオード226,227に応答光を送るようにしてもよい。2個のフォトダイオード226,227の替わりに連続したフォトダイオードを用い、その連続したフォトダイオードの上に接着やホットプレスによってチップを設け、データの入出力を共通のフォトダイオードを介して行い、その入力と出力を両端から別々に行うようにしてもよい。信号の分離は、データシステムの分野で知られている方法あるいは光学フィルターを使用して行うことができる。
装置220は底面221と一対の側壁222,223を備えている。紙幣1は底面221上に揃えて重ねられ、左の側壁222に合わせられる。レーザ224等の高さHを調節可能な光源が左の側壁222に組み込まれている。レーザダイオード224は紙幣の左端に左側のフォトダイオード226の径、例えば、0.03〜0.08mm、に対応する大きさの焦点を形成するのに使用される。
紙幣の特性を測定するために、レーザ224は自動駆動装置によって、下から高さHまで移動され、束内の全ての紙幣1のフォトダイオード226の出力領域225を一度次々に通過せしめられる。このようにして、紙幣1のLEDがチップ3によって次々と起動され、他方のフォトダイオード227から、光が発せられる。その光は紙幣の束を保持する右側の側壁223の内面に一体化された受光器229に捕捉される。受光器229は想像される紙幣の束の高さHより概略大きいサイズのCCD面を備えている。
上記記載では、レーザ224が高さHまで移動されるようになっているが、個々のフォトダイオードにレーザ光線が次々と合焦するようにレーザを固定したまま焦点を変える結像光学系を設けてもよいし、高さHに複数のレーザダイオードを配列し、次々と起動して、発効させるようにしてもよい。
さらに、必ずしも必要ではないが、点状の焦点を使用してもよい。紙幣1は正確に揃ってない場合が多いので、各紙幣の、断面がほぼ点状のフォトダイオード226の出射する光線が堆積方向Hおよび紙幣の照射すべき側にほぼ垂直に延びるストリップ状に焦点を結ぶようにすれば、より良くその側に当たる。この場合には、束内の個々の紙幣が他の紙幣に対して位置がずれていたり、束内の紙幣の券種が異なっていたりして、照射される紙幣225の側面に対して、フォトダイオード226の位置が異なるような場合にも、個々の紙幣の位置を再調整しないで励起光を各フォトダイオード226上に焦点を結ばせる信頼性をあげることができる。
これらの場合、および光学的応答信号が発生される他の場合に、紙幣から出される光の周波数が呼称値特有になっていれば、周波数分析、例えば、波長や受光器229に捕捉された光学的応答信号の変調パターンの認識によって、応答信号を出している紙幣の券種を簡単に決定することができる。
実施の形態76:
図46は、図44,45の測定装置220の変形例を示す側面図である。測定装置220’は図23を参照して上述したように、光学的結合素子と融合的もしくは容量的結合素子の両方を使用して、紙幣を堆積で(束で)検査しようとするものである。融合的結合や容量的結合は束内での紙幣の正確な位置に依存する程度がより低いので、融合的手段もしくは容量的手段による結合は、例えば、図44,45に即して言えば、光学的結合に比べて位置合わせに要する労力が少なくてすむ。束内の各紙幣からの結合信号(out-coupling signals)間の相互作用が無視できるため、紙幣の読取を、光学的手段を介して行わせることによって、誘導結合について後に説明する衝突防止法に助けられるより、この方法をより簡単にすることができる。また、アナログ動作の方が容量結合には有利であるが、以下特に誘導結合について説明する。
図46に示す測定装置220’は、図44,45の測定装置と異なり、光源224の替わりに結合アンテナとしてのコイル251等の誘導的な交流電界を発生する装置251を備えている。コイル251は紙幣を重ねる領域221に平行に延び、発生する磁力線がコイル251の面とほぼ垂直になるようにするのが望ましい。図示の例では、紙幣の束の上方にコイル251が配されているが、そのコイル251はチェックすべき紙幣1を積む底面221に組み込むのが望ましい。
図23のようにして作られる紙幣1の束を、エネルギーを有する測定装置220’に供給するために、コイル251を介して、RFIDが13.56MHzと効果的に結合するのに望ましい周波数で、コイル251を介して交流磁界が発生される。この磁界の強さは個々の紙幣1にエネルギーを供給するのに必要な強さの数倍になる。
さらに、その交流磁界を変調することによって、紙幣1内のチップ3にデータを送ることができる。この場合には、全ての紙幣に同時にアドレスする、すなわち、結合することができる。
データがチップ3から読取装置220’に送り返されるのを防止するために、強い磁界が、束内の紙幣間の強い誘導的相互作用とともに必要とされる。この問題はチップの負荷変調によっても解決できる。紙幣のLEDによって発生された信号をフォトダイオード226a、227aによって紙幣のエッジに向ける光学的信号結合を有する図示の例が、しかしながら、望ましい。フォトダイオード226a、227aを介して2つの反対側のエッジに信号を送る利点は束内での紙幣の向きが測定に重要でないということである。これは、裏返しになった紙幣1を含む束をもチェックできるということである。
結合された光学的信号はセンサー229によって受け取られる。複数の光学信号が一度に受けられて、並列的に評価されるように、センサー229は直線的な解像度を有するCCDセンサー229であるのが望ましい。
光学信号を発することによるデータ伝送は、誘導結合を介して、チップに送られる制御データによって開始することができる。束内の複数の紙幣1からフォトダイオード227aを介して送られる信号を分離して、並列的に評価することによって、束内の全ての紙幣からのデータを同時に読み取り、同時に処理し、同時に記憶することが可能になる。
実施の形態77:
以下は、誘導結合の読取装置の変更例である。結合アンテナ251は図46の実施の形態のように紙幣の束の上方または下方に配するのが望ましいが、検査すべき紙幣1の束の側方においてもよい。例えば、図45の例のように、光学的結合アンテナの役目をする光源224と全く同様に結合アンテナを紙幣に直角な方向Hに高さを調整可能に設けてもよい。あるいは積み重ね領域221にほぼ垂直な方向Hに並べられた複数の結合アンテナを設けてもよい。
この場合には、それぞれ、ある限られた数の紙幣にのみ充分エネルギーが供給され、アドレスされるように結合アンテナを高さ方向に動かしたり、並べられた複数の結合アンテナを順に起動したりしながら、チェックすべき紙幣の束の高さに応じて堆積測定を行う。界の強さは充分弱く選択される。理想的な場合は、最も結合アンテナに近い紙幣が1枚1度にアドレスできる程度でよい。あるいは、少なくとも、束内の所定の数の紙幣に1度にアドレスできる程度でよく、これによって、結合されるトランスポンダーの数が少なくなるため、時に必要な、衝突防止対策はより簡単でよく、より速く作動させることができる。言い換えると、束内の他のトランスポンダーに一時的にアドレスできるように、外部のチェック装置を空間的に変位、例えば、平行移動させるのである。
さらに、光学的結合に比べると、誘導結合は束内の紙幣の向きと位置の調整が楽であり、束内の紙幣の向きと位置に関する要求も小さくなる。
実施の形態78:
前述の実施の形態の代替、あるいは補助として、誘導結合を加えてもよい。この場合、チップ3は、例えば、負荷変調をもたらす装置を備えている。これによって、束にされていない紙幣からチップのデータを、堆積測定装置、すなわち、堆積読取装置の誘導結合によって、読み取ることができるようになる。これは、以下の章でより詳細に述べるように、モバイル読取装置やキャッシュレジスターにとっては利点である。
信号結合に誘導的手段と光学的手段の両方を使うことができるなら、様々な光学的結合と誘導的結合の選択方法もしくは切換え方法が考えられる。例えば、コイル251による誘導結合を介して、紙幣の刺激に応じて両方の方法を使用可能としてもよい。この場合には、両方のタイプの読取装置、すなわち、誘導センサーを備えた読取装置と光学センサーを備えた読取装置、を切換え手段なしに使用することができるが、チップ3に必要なエネルギーが大きくなる。
したがって、どちらか一方を選択するようにするのが望ましい。誘導結合(すなわち、負荷変調)と光学的結合の一方に切り替えるか、一方を選択するのはチップ3に送られる、制御信号によって行われる。さらに、チップ3にエネルギーが供給されたときに、優先的にアクティブになるものを決めておくこともできる。この場合、優先されないものを使用するときには、やはり、チップ3に送られる制御信号によって切り換える。そのような、制御信号は意図された読取装置220’においてのみ読取が可能となるように、暗号化するのが望ましい。
誘導結合と光学的結合の一方に切り替えるか、一方を選択するのは測定装置からチップへの通常のデータ通信には使用されない特定のシーケンスやコードを使用してもよい。これは、例えば、ビット暗号化には、“1−”、“0−”の通信には含まれない特定のコード“スタート”、“ストップ”を通信方法の切り換え専用に使用することによって、実施できる。
この場合および光学的結合と誘導結合の他にチップから読取装置への、容量的な信号通信が可能な場合は、チップにその制御信号によって指定される結合方法を使用させるようにしてもよい。
あるいは、読取装置220’において異なる通信方法が可能であるようにし、チップ3から読取装置220’に送られる、制御信号に依存して通信方法の一つを選択するようにすることも考えられる。
実施の形態79:
さらに、堆積測定中に束内の紙幣の全部または一部の、通し番号等のその紙幣に特有なものを先ず読んで(平行にして読み取るのが望ましい)、次の工程でその通し番号を介して、各紙幣にアドレスするようにすることもできる。この方法は、個々の紙幣のテストにも使用できる。
実施の形態80:
フォトダイオード、例えば、図23,25,26において例として示したLISAプラスチック、付きの紙幣は堆積測定に特に適している。
この意味で、LED235と発光面291のどちらを使用しても、発光強度を変化させて(変調して)、データを紙幣1から外部読取装置229に送る。例えば、Finkenzellerの「RFID−ハンドブック」2000、Carl Hanser-Velag Munich Vienna、(ISBN 3−446−21278−7)、156ページから164ページに記載されているように、光信号をオンーオフする、100%ASK変調(振幅キーイング)の場合のいわゆる「オンーオフキーイング」等の最も簡単な変調を使用するのが望ましい。
しかしながら、(大面積)LED235と発光面291の双方に多段変調(例えば、グレイを介したビット暗号化)が可能である。
光学的に変調したデータは図44、45,46を参照して説明したように、センサー229を介して読み取られる。センサー229はCCD(電化結合デバイス)センサーでもよいし、ラインセンサー(例えば、フォトダイオードアレイ)でもよい。
フォトダイオード226、227、226a、227a、227’は結果的に変調光信号の形のデータを読取装置220’に送るのに主に使用される。
発光材料の特別な特性は、吸収する放射線のオフ後発光した放射線が所定の時定数で減衰することである。この効果はデータ通信のために、吸収した放射線を変調する際にも現れる。
したがって、蛍光染料286から発光された、放射線の減衰をセンサー229等の読取装置で捕捉し、分析してもよい。紙幣1を偽造しようとして、他の発行材料を使用すると、パルスエッジの減衰が変わってくる。これによって、このタイプの紙幣1の偽造ないし使用を見破ることができる。
本発明の紙幣1は、上に例を挙げたように、誘導的あるいは容量的に束にアドレスし、フォトダイオードを介して応答する。特に、束内の紙幣が1枚であるときにも、誘導的あるいは容量的に束にアドレスし、フォトダイオードを介して同じように応答するようになっている。したがって、この例では、紙幣1はインターフェースと応答を2種類に持つ可能性がある。
実施の形態81:
上述のように、誘導結合によって束内に置いたまま紙幣を読むことができる。束内のトランスポンダーの共振周波数は次の関数で示される。
Figure 2005526304
ここで、Nはトランスポンダーの数、すなわち束内のチップ3付き紙幣1の数、findivは個々のトランスポンダーの共振周波数、ftotalは全体の共振周波数である。測定装置が通信するときの、紙幣の束での最適のエネルギー結合は全体の共振周波数ftotalに基づいて得られる。
しかしながら、全体の共振周波数ftotalは束が厚いと極めて低い値となる。例えば、個々のトランスポンダーの共振周波数が21MHzの場合、100枚の紙幣1の束の共振周波数は2.1MHzになり、1000枚のチップ3付き紙幣1の束の共振周波数は0.66MHzになる。
しかしながら、束内の処理速度を遅く保つのには、測定装置の作動周波数はできるだけ高いのが望ましく、例えば、13.56MHzである。最低1巻きのコイルを有する個々のトランスポンダーの可能な最高周波数は一般に30MHzより高くはならない。全体の共振周波数は、追加のプラスチックコンデンサー同様、設計段階で決められたインダクタンスのために、簡単には高くならない。
束内の個々のトランスポンダーの共振周波数を上げて、全体の共振周波数を上げるのは原理的には可能であるが、全てのケースにおいて実際的でない。
それにもかかわらず、全体の共振周波数ftotalの外側にあるトランスポンダーの束にアドレスできるようにするために、磁界の強度が高い方がよいことが分かった。そのほかに、図46のアンテナ251等の通信アンテナの径を紙幣のアンテナ(例えば、図23の紙幣1のコイル250)の径に調節して、通信アンテナ252とトランスポンダー3の磁気的な結合を最適にするのが有利である。
コイル内のX方向の磁界強度の変化は、例えば、Finkenzellerの「RFID−ハンドブック」2000、Carl Hanser-Velag Munich Vienna、(ISBN 3−446−21278−7)、61ページ以降の記載から計算することができる。すなわち、コイルの径より大きい距離xでは磁界は極めて不均一になり、急激に強さを失う。極めて大きな、例えば、1000枚の紙幣からなる、束の場合、束の高さは既にコイルの径より大きく、均一な磁界はコイルの単純な構成ではもはや簡単には得られない。
紙幣の束が占める空間が周囲の空間、通常空気、より透磁率が高い場合には改善が得られる。これを達成するために、上記のように紙幣に透磁率を与えるのである。
実施の形態82:
磁気紙を備えた複数の紙幣の束から読み取るための読取装置280を図47に示す。そのような磁気紙の製造と特性については、既に詳細に述べた。紙幣の束の読取のために、束を通る均一な磁界が発生される。例えば、その束は、フェライトコア281内に収容される。フェライトコア281は、原理的には、軟磁性材料で形成してもよいが、フェライト、または、不定形金属もしくは金属のナノ結晶で形成するのが望ましい。透磁率の高い材料が特に望ましい。
コイル251は強い高周波磁界282を発生する。磁力線282はフェライトコア281を完全に通り、少なくとも紙幣1の束の部分において均一な磁界が形成されるように(垂直方向Xに束を横切るのが望ましい。)紙幣1の磁気紙を通り然る後、フェライトコア281を通過する。
フェライトコア281は図47の面に垂直なY方向に開く輪を形成するように紙幣1の狭いほうの側面と長手方向の側面のいずれかに沿って導かれるのが望ましい。これによって、読取装置280に極めて容易に紙幣1の束をY方向に入れたり、出したりすることができ、処理の際のトラブルがなくなる。
束内の紙幣を次々に起動する際、紙幣が相互に互いを起動していくのが望ましい。この場合に、束内の最初の紙幣を起動して、連鎖反応のきっかけを作ってやれば、それ以上外から働きかけなくても他の全ての紙幣が次々に起動される。この意味では、以下により正確に述べるように光によって起動し、この現象に必要なエネルギーを電磁波によって束内に供給するのが有利である。当然、紙幣には電磁波によって有効にされる、そのエネルギーを受け取ることができる受取素子が必要となる。
実施の形態83:
そのような内部起動方式の望ましい例は、最初に起動された、例えば、束内で一番下の紙幣が光を発し、その光を2番目の紙幣が捕捉して自身が起動され、さらに、今度は2番目の紙幣が光を発し、3番目の紙幣がその光を捕捉する、というふうにすることである。望ましい例では、紙幣は光学的送信機と光学的受信機の両方を備えていることになる。起動された紙幣はそれぞれ、その紙幣自身の価値を示す情報と場合によってはそれまで、起動された紙幣の総額に関する情報とを含むコード化された光信号を送り出すのが望ましい。こうすれば、束内の最後に起動された紙幣から送り出された光信号を見るだけで、例えば、束の総額に関する情報を得ることができる。
したがって、例えば、一番下の紙幣の下面に外から光を照射して、その紙幣を起動しさえすれば、最後に起動された紙幣からの光信号、すなわち、一番上の紙幣の上面からの光信号を測定信号として捕捉することができる。この場合、紙幣の送信機と受信機は紙幣の紙の互いに反対側の面に取り付けるのが望ましい。上述のようにして測定する場合には、向きと位置をそろえて紙幣を束にしなければならない。他方、紙幣に、束の上面および下面から光を照射して、起動するようにすれば(その場合には、情報に向いた光と下方に向いた光の両方が送り出されることになるが)、束内の紙幣の向きと位置に関係なく、蒸気の方法を実施することができる。この場合、個々の紙幣に受信装置を設け、個々の紙幣へのエネルギー供給は電界または磁界を介して行うのが望ましい。
前の(故障していない)紙幣への光学的フィードバックをすれば、応答がなければ、紙幣の欠陥を想像することができる。これは、連鎖反応が途切れると、最後の紙幣から光信号が出力されず、したがって、測定もできないので、極めて簡単に証明することができる。
この例は、束内に欠陥のある紙幣が存在するかどうかを簡単に知ることができる可能性を示唆するものである。この場合、連鎖反応が途切れると、最後の紙幣から光信号が出力されず、または、連鎖反応が途切れなかった場合とは、異なる信号が出力されることになる。
実施の形態84:
図37を参照して、光学的手段によって束内の隣接する紙幣間で、エネルギーの授受ができるようにした、紙幣の測定方法について説明する。
例えば、電磁波402(可視光でも、赤外光でも、紫外光でもよい)を、束内の一番上の紙幣1の光電池400に照射する。すると、外部の光電効果によって、電流が発生する。この電流によって、チップ3は5V程度までの電圧のエネルギーを接点回路403を介して供給される。エネルギーを供給されると、一番上の紙幣1のチップ3は、下側のレーザダイオード401を介して光を送り出すこの光は直ぐ下の紙幣1の上側の光電池400によって受光され、その紙幣のチップ3にエネルギーを供給する。このチップは、同様にしてその下の紙幣にエネルギーを供給する。
束内の一番上の紙幣1の光電池400に光を当てる光源は、例えば、図48の誘導結合と同様にして、紙幣の束を載せる紙幣載置面と一体的に設けてもよい。
位置的な独立性を得るために、光電池400とレーザダイオード401は紙幣の面の中央に配するのが望ましく、それも両側に取り付けるのが望ましい。
外部の読取装置へのデータ伝送は、上述のどの方法を用いても差し支えないが、電磁手段等の他の方法で行うのが望ましい。しかしながら、チップは圧電結合または表面波によって、データを外部に伝送してもよい。
さらに、レーザダイオード401はエネルギーだけでなく、データも伝送する変調された、例えば、パルス化された、光信号404を送り出す場合には、隣接する紙幣へエネルギーを供給するためだけでなく、データを伝送するためにも使用することができる。
また、チップ3が、発光ダイオード6によって、その下の紙幣のチップ3にエネルギーを供給し、そのチップを起動する前に、外部の読取装置に情報を伝送するようにしてもよい。このようにして、紙幣1のチップ3が次々に作動せしめられる。これによって、例えば、誘導的結合であっても、衝突防止の問題を簡単な方法で回避することができる。
なお、上述では、各紙幣の特性を、順次測定するようにしたが、所定の数の複数の特に束内の全ての紙幣の特性を一度に読み取ったり、場合によっては、所定の数の紙幣に一度に書き込んだりすることもできる。この場合には、結合方法をアナログ的な、誘導結合、容量結合もしくは光学的結合とする。
実施の形態85:
各紙幣の紙の側縁に光を導くフォトダイオードを有する紙幣に使用する光学的結合の場合には、その側縁から紙幣の面全体を照らすことによって、所定の数の複数の特に束内の全ての紙幣を照らし、ほとんど一度に起動することができる。この励起によって、各紙幣は光を発し、各紙幣から発せられた光は光学的応答信号と分析される。図44,45に示す装置の場合には、これは側壁222の高さHに複数のレーザダイオードを配分することによって実施できる。これらのレーザダイオードは順次にではなく同時に起動されて、光を発する。
さらに、側縁部225において、紙幣の束の全面を照らせば、照射光を各フォトダイオードに合焦させなくとも充分である。これによって、構成を簡単にすることができる。検出器229が測定信号を評価する際、応答信号によってフォトダイオード227から出された信号ではなく、フォトダイオード226に結合されていない光源224からの光によって、出された信号は、参照光の測定によって、ノイズと見なされる。これは各紙幣1が発生する応答信号の波長が証明光と異なる場合は特に簡単である。
以下の例で詳細に示す、評価装置と紙幣間の光学的結合の特別な利点は、個々の信号の望ましくない影響が生じないということである。これは、例えば、各紙幣から発せられる光信号が他の紙幣からの光信号によって変えられないということである。例えば、束内の全ての紙幣から光信号を同時に発するようにした場合に、全ての紙幣から発せられた光は同一時点もしくは同一期間に検出器によって、測定、合計される。これによって、その束の特性はトータル信号の評価によって決定される。
紙幣から発せられる光が券種と関係なく強度が同じであったり、券種毎に周波数や分光周波数が違ったりする場合は、紙幣の数を測定された強度の計の評価から導くこともできるし、測定された強度の周波数分析に基づいて、券種毎紙幣の数の合計を導き、それによって紙幣の束の総額を決定することができる。
さらに、堆積測定のための、フォトダイオードを使用した、光学的通信の前述した実施の形態はチップのない紙幣に使っても有利であることは特に強調したい。
実施の形態86:
例えば、チップによって制御されるLEDの替わりに、照射された波長の一部を透過し、一部を反射する、カラーフィルターを使用することもできる。例えば、図44,45に示すように、フォトダイオードが紙幣の紙の内部にあるときには、白色光が照射されたときに、例えば、赤色光のみを通すカラーフィルターをフォトダイオード内に組み込んでもよい。また、券種毎に異なる透過特性のフィルターを使用するのが特に望ましい。
光学的結合の場合は、チップがあってもなくても、可視光、紫外光、赤外光のいずれも使用することができる。
紙幣のエッジに光学的応答信号を照射することを上記したが、紙幣の紙が透明な窓を有している場合には、その透明な窓を通して垂直に、光学的応答信号を結合してもよい。このため、反射素子あるいは分散素子をその透明な窓を形成するフォイルに組み込んでもよい。この反射素子あるいは分散素子は例えば、フォトダイオードによって、紙の面に照射される光をその透明な窓を通して、その面に直角な面に結合する。
実施の形態87:
結合が、光学的にではなく、誘導的もしくは容量的になされる場合は、適切な対策を講じないと複数の送信機から1個の受信機に同時にデータを伝送する際に相互妨害が起き得る。すなわち、例えば、数枚の紙幣のチップがその誘導的もしくは容量的な素子を励起して同時に信号を発せさせたときには、評価装置の読取装置は個々の信号を明確に区別することができない。
この問題は、例えば、Finkenzellerの「RFID−ハンドブック」2000、Carl Hanser-Velag Munich Vienna、(ISBN 3−446−21278−7)、170ページから192ページに記載されている、RFID(無線周波数特定)装置の分野で知られている、衝突防止法の使用によって解決することができる。従来、この「衝突防止法」は複数のトランスポンダーへの多重アクセスをトラブルなく取り扱う方法を意味すると理解されている。したがって、本発明のチップを備えたシート材料の堆積測定において、用途に応じて様々な公知の衝突防止法を特に有利に使用できるのは明らかである。
可能な通信チャンネルを全て、関係機器(関連する全てのトランスポンダー)で仮に分割するようにした時分割多重アクセス(TDMA)法は束内の紙幣の数を数え、額を決定するのに特に適している。動的S−ALOHA法、場合によって、動的バイナリー検索法は特に適している。
実施の形態88:
しかしながら、紙幣のトランスポンダーが、券種が異なると通信周波数が異なるように調整されている場合、時分割多重アクセス法は束内に偽の紙幣や望ましくない券種の紙幣が含まれていないかどうかを決定するのにも望ましく使用することができる。合計された、トータル信号の周波数分析によって、束内の紙幣の枚数を決定することができる。
結合周波数が異なる紙幣の存在する場合には、例えば、誘導結合の個々の信号の重なりが少なくなり、応答時間の差による信号の仮分けが周波数に応じて可能になるという利点がある。この利点は、堆積測定においては、異なる紙幣(結合周波数が同じ場合も)の外部から受け取った信号に対する反応時間に異なる遅延があるような堆積測定の場合にも同様である。
同様に、アンテナの位置や向きが紙幣ごとに異なるため、例えば、信号の重なりが少なくなる。例えば、回転させると紙幣毎に異なるある角度だけダイポールアンテナの位置が変化するようにしてもよい。この位置の変化を券種毎に変えてもよい。
通常、最初は、束内の紙幣は誘導結合もしくは容量結合によってのみ同時にアドレスすることができる。そのための制御信号によって、紙幣は通し番号等のその紙幣に特有の信号を読取装置に送る。束内の紙幣の通し番号が分かると直ぐに、例えば、その通し番号をパラメータとしてアドレスできるようになるため、適切な制御信号を介して、個々の紙幣を狙って、個々の紙幣にアドレスすることができるようになる。このパラメータに該当しない紙幣は全て、反応しないか、異なる反応をする(異なる応答信号を出す)。
束内の全ての紙幣の(少なくともその一部の)通し番号が堆積測定の前に分かっている場合もある。これは、例えば、紙幣処理装置において、プリント像を走査するなどしてチップデータを読取り、束にしてカセットに入れた紙幣の通し番号が分かっている場合の現象である。この場合には、紙幣処理装置もしくはカセットの読取装置によって、衝突防止の問題を回避した簡単な方法で、個々の紙幣を狙って、個々の紙幣にアドレスすることができる。
図49の等価回路に対応する、容量結合された束の計算の場合には、束の始点、すなわち、エネルギーが供給される場所、からの距離が大きくなるにしたがって、有効な供給電圧が急激に減少する。数十もしくは数百枚の紙幣の束の場合は、束の始めに供給される電圧と束の最後の紙幣で有効な電圧(伝送電圧)の間には10の1乗もしくはそれ以上の差がある。しかしながら、伝送電圧は個々のチップの電流取り入れと入力容量に大きく依存する。すなわち、束内の全てのチップがオンされるかオフされるかによって伝送電圧に10の1乗もしくはそれ以上の差ができるのである。
実施の形態89:
したがって、読取の済んだトランスポンダーチップは電流の流れない状態、いわゆる「パワーセーブモード」もしくは「スリープモード」に切り換えてもよい。最初はこれらは大部分が連鎖の始めの紙幣、励起エネルギー源に最も近い紙幣である。というのは、そこには、トランスポンダーチップ3の作動に必要なエネルギーが充分あるからである。読取の済んだトランスポンダーチップをオフする束の終わりの紙幣も作動に必要なエネルギーを充分得ることができる。
この意味で、束の始めに供給される電圧は個々のトランスポンダーチップ3への最低供給電圧の電圧伝送の回数分倍高いのが望ましい。前記の実施の形態では、束内の最後のトランスポンダーに1.8Vを供給するためには少なくとも約200Vの電圧を束の最初のトランスポンダーに供給しなければならない。
束内の位置にかかわらず、全てのトランスポンダーが作動するためには、この電圧範囲をカバーする電圧制御装置、例えば、直列制御装置をチップ3が備えているのが望ましい。
作動周波数が高いと、紙幣の束の透過特性が高いため、チップのオン/オフによる伝送電圧の差は小さくなる。したがって、作動電圧が充分高い場合は、トランスポンダーチップをオフする必要はなくなる。しかしながら、高周波になるほど、束の入り口における、電流が大きくなるため、読取装置大きくなる。
紙幣の束の最後のトランスポンダーに電圧を供給するために、入り口で充分高い電圧がかけられると、束内の全てのトランスポンダーが容易に作動できる状態になる。束内のトランスポンダーと通信しようとすると、最初はトランスポンダーが読取装置に多数回アクセスしなければならない。トランスポンダーに別々にアクセスするためには、読取装置は衝突防止アルゴリズムによって、これらのトランスポンダーを1つずつに分けなければならない。
この意味で、トランスポンダーの数が多いと、その分だけ衝突防止アルゴリズムの反復回数が増える。1回選択されて、読み取られたトランスポンダーは不活性にされて、それ以降の反復ループでは無関係にしたとしても、同時にアクティブなトランスポンダーの数が大きい場合には、かなり何回も反復しなければならない。例えば、束内のトランスポンダーの数、紙幣の数、が約100の場合600回以上も反復しなければならない。これでは、1つのトランスポンダーを選択するのに要する時間がかかりすぎる。
走査処理の始めに、束内の2,3のトランスポンダーのみをアクティブにし、後の時点でのみ他のトランスポンダーをアクティブにすることによって束内のトランスポンダーから読み出すのに要する時間を短くすることができる。これは、束にかける供給電圧を測定処理の間に、徐々に高くすることによって実施するのが望ましい。
実施の形態90:
したがって、紙幣3の束に最初は個々のトランスポンダーの応答感度(例えば、1.8V)に対応する電圧Uminを供給するのが望ましい。このようにして、束の最初には2,3のトランスポンダーのみに作動に十分なエネルギーを供給する。次に、衝突防止アルゴリズムによる個々のトランスポンダーの選択を行うと、反復ループが小さくて済む。1回選択されて、読み取られたトランスポンダーは不活性にされて、それ以降の通信すなわちそれ以降の反復ループでは無関係にされる。このようにして、フィードバックを発生する各トランスポンダーは、チップ上の電子回路もしくはチップと接続されている第2の回路からのエネルギー供給から分離される。このように、所定の時間だけ「ミュート」にするのではなく、完全に動作させないのが望ましい。例えばトランジスタを不能にして、チップ3のインダクタンスもしくは容量および抵抗は所定の時間だけ(望ましくは、束へのエネルギー供給がオフになるまで)、切り離される。結果、隣接するトランスポンダーへのエネルギー供給に対する影響が消え、隣接するトランスポンダーへのエネルギー供給がより良くなされる。束内のトランスポンダーの各相互作用が終了した後、束の入り口における電圧をΔUだけ高くする。ΔUは次の式で表されるのが望ましい。
Figure 2005526304
ここで、Umaxは束内の最後のトランスポンダーにアドレスするのに必要な束への最大入力電圧、Uminは個々のトランスポンダーチップへの最低供給電圧、Nは束内のトランスポンダーの数である。
束の入り口の電圧を少しずつ連続的に高くすることによって、全てのトランスポンダーチップを読み終わるまでには、束内に深く埋没しているトランスポンダーチップでも確実に十分なエネルギーを供給される。
電圧が充分うまくバランスされれば、衝突防止なしに済ませることもできる、すなわち応答するチップが束内に常に1個になる。送られるエネルギーを漸増するようにした上記の方法によれば、入り口にエネルギー調整手段を設けずに、チップ3の回路を設けることができる。これによって、チップ3に電圧調整手段を設けた前述の例に比べて、集積回路を簡単にすることができる。エネルギー供給を分離するようにした本発明の方法はチップ3への入力電圧の制御より簡単に実現可能である。
実施の形態91:
図48は図30,31に例示した容量結合面256を備えたチップ3を有する紙幣1の容量結合用の読取装置220”を模式的に示す図である。読取装置220”は載置面221を有し、その載置面に紙幣1の束が自動または手動で載置される。電極263が底面に恒常的に一体化されている。電極263は紙幣1の結合面256にほぼ等しい2つの結合面を有するのが望ましい。載置面221に少なくとも1つの横仕切り222を設け、電極263に対する紙幣1の位置決めを容易にしてもよい。この装置は、個々の、束にしていない紙幣1をもテストできるものであるが、その紙幣1を載置面221に乗せる必要がある。このタイプの構成は、少数の(例えば、1〜30枚の)紙幣の束の読取に適している。
定供給電圧をかけることもできるが、上述のようにして進行中の測定処理の間に連続的あるいは間歇的に増大する供給電圧を2つの電極263にかけるのが望ましい。供給電圧が自動的に増大するようにすることによって、束内の紙幣の数が増えてもアドレスすることができる。
容量結合が、誘導結合に比べて、優れている点は、束内の紙幣のトランスポンダーが相互に影響することがほとんどなく、したがって、分析的により正確な結果が得られることである。特に、この例は、自動現金出納器(具体的には、入力ポケット)もしくは、カセットにおける、堆積測定にも特に適している。
実施の形態92:
容量結合面256を備えた紙幣1の束に少なくとも1本の電極を差し込んで、同時にアドレスされる紙幣の数を減らすこともできる。例えば、図48に示す装置220”の場合には、紙幣を折り曲げたり、詰まらせたりすることのないように充分細い(特に、テストすべき紙幣の束に差し込まれる、前端部において)、伸縮自在の電極を1本以上備えていてもよい。これらの電極は、底面221に対して、所望の高さに配し、例えば100枚の紙幣等の多数の紙幣の束を測定する際にその束に電極を差し込むようにしてもよい。
実施の形態93:
図49は一方を他方の上に重ねた容量結合された2枚の紙幣1からなる、束の等価回路を示すものである。図49では左側の第1の紙幣1の回路を示し、右側の第2の紙幣1の回路はあることだけを模式的に示している。束内の紙幣の数が増えた場合には、この回路は当然拡張される。2枚の紙幣が重ねられると、重ねられた2枚の紙幣、すなわち、容量結合面256の間に容量Ckが生ずる。2つの電極256を紙幣の同じ側に取り付ければ、各紙幣に対して、2つの結合コンデンサーが有効になる。しかしながら、チップ3に対しては2つの結合容量は直列接続となるため、1/2Ckのみが等価回路では有効である。容量Cpはトランスポンダーチップ3の入力容量と全ての寄生容量の合計を表し、RLはチップ3の入力抵抗を表している。
図30による、紙幣の積み重ねのこの方式は原理的には有効である。しかしながら、束の後方に行くにしたがって、急激に有効な供給電圧が下がるため、束の最後のチップ3を作動させるのに充分なエネルギーを確保するためには、束の入り口に極めて高い電圧を供給しなければならないという問題がある。
実施の形態94:
値が一定のインダクタンスLpを寄生容量CPに並列に接続して、束内のエネルギー伝達を良くしてもよい。
このための等価回路を図50に示す。参照番号3のついた破線は、チップ3の影響性変数の領域を示す。この意味で、インダクタンスLpの値を、寄生容量CPによって発生される電流i2の位相角が束内でインダクタンスLpによって、相殺されるように選択するのが望ましい。Lpの値は一般にほぼ0.3μHである。値を選択するときには、束内の各素子が互いに容量的に結合され、相互に影響を与えるように考慮する必要がある。紙幣の共通共振周波数freは素子Cp,Lp(並列発振回路)によって決定され、したがって、束の動作周波数fbとは一致せず、約10の1乗以上高い。
選択された回路構成はN枚の紙幣1の束に対して、N次のバンドパスフィルターを形成する。100枚の紙幣の束は100次のバンドパスフィルターに対応し、1000枚の紙幣の束は1000次のバンドパスフィルターに対応する。シミュレーションによれば、インダクタンスLpを変えれば、エネルギー伝達に関して図49に構成に比べて相当特性が良くなる。改良された構成を図50に示す。
実施の形態95:
束の外の紙幣を容量結合を介して読む場合には、Cp、Lpは結合容量Ckとともに発振回路を構成する。この発振回路の共振周波数は容量結合系に通常使用される、動作周波数より10の何乗か高いため、束の外の紙幣の読取は通常追加のインダクタンスLpによって阻害される。
したがって、紙幣1の作動状態に応じて、例えば、チップ3によってインダクタンスLpをオンーオフできるようにされる。インダクタンスLpはチップの初期状態においてはオフ状態にあり、個々の紙幣の検査のために設計されるのが望ましい。紙幣を束にして読み取る場合には、チップ3によってインダクタンスLpを追加する。全ての紙幣の検査が終了するまではインダクタンスLpをオフにしない実施の形態も当然可能である。さらに、堆積測定もしくは個々の紙幣の測定の前にインダクタンスLpをオンーオフし、測定後、元に戻すことも考えられる。この意味では、様々な切り換え方法が考えられる。
さらに、特別な指令、すなわち、制御信号を繰り返し、送り出すことによって、束内のチップにインダクタンスLpをオンさせることも可能である。エネルギー伝達を束の始めから始めて、全ての紙幣にいきわたるまで、例えば、前述の方法で、順次増やす。
これに加えて、あるいはこれに替えて、異なる周波数域を使用して、束の中、または外側の、チップ3を読み取ってもよい。例えば、ある距離にある紙幣1を読み取るのに、50MHzを使用し、束内の読取に13.56MHzを使用してもよい。ここでチップ3は、供給される信号の周波数を検知する装置を備えている。束内の読取に使用される動作周波数が検知された場合には、インダクタンスLpを自動的に接続して、束内のエネルギー伝達を最適にする。このようにして、読取信号の供給後に、束の始めから束内のエネルギー伝達を順次増大していく。
チップ3の他の物理的パラメータを評価してもよい。例えば、束の外側の読取にはさらにアドレスしなければならない光学センサーをチップ3に設け、インダクタンスLpが追加されるのを防止することが考えられる。例えば、束内の読取を通常暗室、極めて照明の暗い、閉鎖した部屋、で行い、インダクタンスLpがオンされるのを許容するようにしてもよい。このようにして、束内のエネルギー伝達を再度、読取信号の供給後に、束の始めから順次増大していく。
必要なインダクタンスLpは、例えば、以下のような2つの方法で実現することができる。
実施の形態96:
インダクタンスLpは電気的直接接触(コイルーオンーチップ)でチップ3に設けてもよいし、チップ自体と一体化(オンーシリコン)してもよいし、紙幣の外側に設けてもよい。あるいは、チップ3の回路内にインダクタンスLpの代用となるものを設けてもよい。電流i2の位相角を回転させる、回路がこの目的に適している。いわゆる、「ジャイレータ回路」がこの目的に適している。
束内のチップ3との通信のための構成は、例えば、送信ユニットとしてのエネルギー源(具体的には、電圧源)、データをチップ3に送るための変調器、およびチップ3から送り返されるデータを受け取ることのできる受信ユニットから基本的になっている。
対する読取装置においては、送信ユニットと受信ユニットは同一の結合ユニット、すなわち、データの送信と受信の両方に使用されるアンテナ、を使用することができる。しかしながら、この構成は様々な信号を互いに切り離すのに必要な回路を高価にする可能性がある。
実施の形態97:
送信ユニット(例えば、電圧源)と受信ユニットを別々にして、それぞれにアンテナ等の結合ユニットを設けることによって、データの受取装置を最適化してもよい。
この実施の形態を図51に示す。ここでは、紙幣の束の一方の側、例えば、上面にエネルギーとデータを結合する。装置270は一対の容量結合面271の形の電極271を備えている。その電極271は図30,31に示す紙幣1の結合面256と形状が同じであるのが望ましい。結合面271は電圧源と変調器とを備えたユニット272に接続されている。
紙幣1から伝送された、通し番号等のデータの読取は束の反対側の結合手段を介して行われる。受信ユニット273は同様に2つの容量結合面271a
を備えており、その容量結合面271aは評価ユニット273に接続されている。図51に示すように、もう1つの受信ユニット274を電圧源272と並列に接続してもよい。
実施の形態98:
前述の技術的な方法に基づいて、チップ3に特定のデータ、例えば、チップの通し番号、をたった1つの反復ループで読み取ることのできる、衝突防止法を実現することができる。この方法は、連続的なデータの流れのビット調整に基づくものである。
そのため、チップ3は例えば、電圧源と変調器を備えた図51に示す読取装置270からのデータを検出し、評価するための受信ユニットを備えているのが望ましい。さらに、チップ3は負荷変調回路を備えているのが望ましい。この場合、抵抗負荷変調、容量負荷変調のいずれも使用することができる。さらに、チップ3は同一の紙幣のみが使用することのできる通し番号等を有している。
本発明によれば、チップ3から受信装置へのデータ伝送にはいわゆる、Manchesterコード、変形Millerコード等のRZ(return to zero)特性を有するビットコーディングを使用するのが望ましい。以下に記載する衝突防止法はNRZ(non return to zero)暗号を使用することもできるが、衝突をより容易に検出できるようにRZコーディングを使用するのが望ましい。変調方法とコーディング方法の詳細については、例えば、Finkenzellerの「RFID−ハンドブック」2002、Carl Hanser-Velag Munich Vienna、(ISBN 3−446−22071−2)、189ページから198ページに記載されている。
さらに、チップ3は、論理値“0”または“1”が読取装置270に送られているとき、論理的に逆の値“1”または“0”が紙幣の束内の他のチップ3を介して送られているかどうかを認識する検出装置を備えていてもよい。チップ3の入力電圧は束内のどのチップ3の負荷変調によっても、束全体の範囲内で影響を受け、各チップ3の負荷変調が読取装置270および束内の他の全てのチップ3の両方に検知されるため、チップ3の入力電圧を評価するのが望ましい。
束内の全ての紙幣に、特定の信号または読取装置270の指令によって、例えば、束に供給されるエネルギーの変調を介して、最初に特有の通し番号を読取装置270に同期して送るようにすることもできる。自身のデータを伝送している間、チップ3は束内の他のチップ3の信号に関して入力電圧を検出し続ける。“1”または“0”の送信中にチップ3への入り口での信号検出を介して、衝突が確認されると、一部のチップ3が通し番号の送信を直ちに中止する。このタイプのコーディングは適用されるアルゴリズムの定義とともに、各場合においてどのビット値が優位であると見なすかを定義するのに使用することができる。例えば、ビット値“1”が優位であると定義されている場合は、対応する位置のビット値が“0”の全てのチップは衝突の場合通し番号の送信を直ちに中止する。この方法は、送信すべき各ビットについて行い、ついには、束内の単一のチップ3のみが通し番号を完全に送信できるようにするのが望ましい。
束内の全てのチップ3の通し番号を読み取ることができるようにするのに、例えば、次の2つの方法を使用することができる。
チップは自身の通し番号を送信するのに成功すると、直ちに、作動状態に切り換わり、通し番号を送信させる信号や指令に反応しなくなり、以降の反復には参加しなくなる。
100から1000枚の紙幣からなる、極めて大きな、束に関しては、束の最後の紙幣によって発生される負荷変調信号は、束の始めの紙幣(電圧源271に近い側の紙幣)によってはもはや検出されないと考えることができる。したがって、この場合には、チップ3が自動的にオフするのが容易である可能性はなくなる。
この場合には、チップ3が、その通し番号(一般に直前の反復において読取装置270によって認識された通し番号)を送信してオフし、作動状態に切り換わる(通し番号を送信させる信号や指令に反応しなくなる)ような指令を使用するのが望ましい。
実施の形態99:
上述の実施の形態の様々な変形例を考えることができる。
図51に関連して上述したように、束の始めに電圧源と並列に追加の受信装置を取り付けてもよい。負荷変調の場合に束の始めと終わりに現れる、電位の異なる、和信号を比較することによって、紙幣の相互検出の問題(例えば、束内での距離が余りに遠いために、極めて微弱な信号を介して検出する)が認識され、対策が講じられる。
実施の形態100:
束に片面のみからエネルギーを供給するのが望ましいが、束の両側から容量結合を介してエネルギーを供給してもよい。
上述の方法によって、チップ3の読取および(自動的な)オフを介して、同時に送信するチップ3の数が束の処理中に次第に減ることになる。最初は、アクティブなチップ3の数が多いため、負荷変調の影響によって、束の終わりのチップ3の供給電圧が、チップ3の通信の間に落ちることになる。本発明においては、供給電圧が最低電圧より低くなったとき(例えば、入力レベルの検出を介して、あるいは極端な場合「パワーオン―リセット」になったとき)、チップ3はその回のデータ通信を直ちにやめ、通し番号を送信させる次の信号や指令を待たなければならない。例えば、その束の処理の後の時点で、データ通信にかかわっているチップ3があるときには、束の終わりのチップ3は供給電圧の低下なしにその通し番号を完全に送信することになる。
実施の形態101:
上述の方法は、データ通信にかかわっているチップ3が衝突防止法に則って作動しているということに基づいている。読取装置が衝突防止の方法を認識し、それに応じたアルゴリズムで動作する複数の方法が知られている。その1つは、例えば、Finkenzellerの「RFID−ハンドブック」2002、Carl Hanser-Velag Munich Vienna、(ISBN 3−446−22071−2)、189ページから198ページに記載されている、いわゆる、2進探索である。
両方の方法、すなわち、前述の調整法と例えば、その2進探索樹形図、を組み合わせると極めて有利である。その場合に、紙幣の束が、例えば、100から1000枚になったときには、チップ同士が互いを検出していると仮定できないとするのが、特に便利である。この意味では、衝突防止用の外部の読取装置と組み合わせると、技術的により入念な回路を使用すれば、さらに微弱な信号も認識できるという点で有利である。
読取装置による衝突防止検出を信頼性あるものとするために、Manchesterコード等のコードを使用してもよい。また、予備選択がチップの自動的なオフ作動によって、行われ、それでもまだ残る衝突の問題を2進探索樹形図の方法によって、読取装置を介して解決するように2つの方法を組み合わせてもよい。
実施の形態102:
特に、上述の、誘導的/容量的結合の場合には、測定処理において束内のチップの全てでなくて、一部のみが認識されても充分なことがある。非接触で検査する場合も同様である。すなわち、違法な紙幣、例えば、盗まれたり、強奪されたりした貨幣、が認識され、検査している紙幣の束が疑わしいということが分かれば充分であることがある。この場合には、全ての紙幣の特定は不必要である。これは単に、スーツケースの中などに隠された紙幣の存在が分かればよいときにも同様である。例えば、税関の検査のときなど紙幣自体(特に多量/多額の)が見つかれば充分である。この場合も、各紙幣の特定は不必要である。
ここで強調すべきことは、前述の、光学的、誘導的、容量的結合方法が個々の紙幣に信号を送ったり、個々の紙幣から信号を受け取ったりするのにも使用できるということである。前述の結合方法は堆積処理用に考えられたものであるが、紙幣ソート装置、紙幣計数装置、現金預入機、現金払出機、レジスター、手動検査装置等の、紙幣処理装置において単一の紙幣を処理するのにも使用することができる。
実施の形態103:
前述のように、紙幣の一部品であるかのような、圧電素子によって、紙幣の回路にエネルギーを供給すると紙幣の束の処理に特に有利である。
例えば、その回路への電圧供給のための連続した高周波超音波信号をトランスヂューサが発生する。これによって圧電素子に生ずる同周波数の交流電圧が整流され、回路の供給電圧として使用される。圧電素子によって取り出された交流電圧の周波数はマイクロチップのクロック周波数を発生する基準周波数としても使用することができる。
本発明の他の例では、エネルギーの少なくとも一部が入力コンデンサーに導かれて、その入力コンデンサーが充電される。マイクロチップのその入力コンデンサーを完全に充電するのに十分な時間の経過後、センサーの超音波信号がオフされる。このオフがマイクロチップによって認識され、その際、マイクロチップは自身で超音波信号発生し、データをセンサーに送信する。ここで、質問装置からの信号を受け取るのに以前に使用したものと同様な圧電結合装置を使用することができる。
センサーから回路へのデータ送信にも、超音波の物理的パラメータ、すなわち、振幅、周波数もしくは伝送すべきデータの配列に対する位相位置、を変更(変調)することができる。このとき、例えば、Finkenzellerの「RFID−ハンドブック」2000、Carl Hanser-Velag Munich Vienna、(ISBN 3−446−21278−7)、156ページから164ページに記載されているASK(amplitude shift keying)、FSK(frequency shift keying)、PSK(phase shift keying)等の公知の方法を用いることができる。紙幣の回路における信号変調回路をできるだけ簡単にするためには、振幅シフトキーイング(ASK)が特に望ましい。
超音波が圧電素子に出会うと、超音波の一部は妨げられずに圧電素子を通過する。(透過)音波の一部は素子に吸収され、電気エネルギーに変えられる。他の一部は、素子に反射され、超音波送信機(センサー)に戻る。
公知の圧電効果の可逆性から、圧電素子に接続されている電気回路の電気的特性が圧電素子の反射特性に影響する。すなわち、接続されている電気回路の入力インピーダンスを変えると、センサーによって解釈できる(復調)反射変調(後方散乱変調)が起きる。
反射された信号は超音波信号の発生方向と平行なセンサーによって受信される。データ付きの反射信号を変調すると、振動数スペクトルが発生し、その振動数スペクトルがセンサーを通して、同様に受信される。連続した超音波信号の周波数をフィルターで除去すると受信された振動数スペクトルは容易に復調され、送られたデータが回復される。
連続した超音波信号と一緒に、極めて高周波の質問パルスを送ってもよい。2つの連続した質問パルスの振幅と位相位置の差が電気回路の反射特性の変調による変化を表す。電気回路が変調されていない状態での基準反射から始めると、反射された質問パルスの振幅と位相位置の変化は論理値”0”、”1”のシーケンスと解釈することができる。質問パルスの周波数をデータ送信のビットレートの倍数とすると、便利である。
電気回路が圧電素子を介して第2の超音波周波数でデータを送り返すようにすることもできる。第2の圧電素子を使用することもできる。
実施の形態104:
紙―圧電素子―紙の層配列になるように、紙幣を束にしてもよい。この層配列を高周波超音波質問パルスで走査すると、層配列が反射から再現できる。得られる、解像力は質問パルスの周波数に依存し、周波数が適切な場合は、紙幣の厚みにほぼ対応する。
Figure 2005526304
このようにして、厚みが通常80μm台である紙幣を容易に区別することができる。
さらに、束内の検出の際には、紙幣を最初低周波の連続した超音波信号で刺激し、電気回路への電圧供給を確保するようにすることもできる。各層の反射率は第2の高周波質問パルスで決定される。紙幣内の電気回路によって、圧電素子の反射率が伝送すべきデータ(例えば、紙幣の通し番号や券種)の配列にしたがって変調される。束内の個々の紙幣のからの反射信号の遅延時間の差に応じて、紙幣の空間位置への信号の割り当てが可能である。個々の一時的に変更された反射率をデータの流れと解釈することによって、全ての紙幣のセンサーに同時に(並列に)データを伝送することができる。個々の反射率と圧電素子の束内の実際の位置との確定した関係を介して、受け取ったデータを束内の個々の紙幣に正確に割り当てることが可能である。受け取った通し番号の順番が紙幣の束内の実際の順番を示すことになる。
超音波を合焦させてもよい。同様にして、質問パルスを束内の単一の紙幣に合焦させて、その紙幣を狙って、読み取ることもできる。電気回路へのエネルギー供給のための、連続した超音波信号を個々の紙幣に合焦させると、個々の電気回路を狙って活性化させることもできる。束内の全ての他の紙幣は電圧供給がないため、活性化されない。
実施の形態105:
上述の方法の替わりに、伝送モードでアドレスしたり、検出したりすることもできる。
実施の形態106:
連続した超音波信号を介して電気回路にエネルギーを供給するようにしてもよい。この信号はセンサーから電気回路にデータを送信するのにも使用することができる。
センサーから電気回路にデータを送信するのに、電磁結合が使用される。このため、電気回路は発振装置によって、電磁結合素子に供給される高周波電圧を発生する。この高周波電圧の周波数はマイクロ波の領域(例えば、2.45GHz)にあるのが望ましく、結合素子は、集積回路として設計する場合に、容易に、この周波数におけるその電気回路の一部の部品とすることができる。
実施の形態107:
超音波の良好な伝播(低減衰)は固体もしくは液体内のみで起き、気体(空気)内では分散が少ない(高減衰)ことを考慮しなければならない。したがって、超音波送信機(センサー)の後に改質層を設け、その改質層の上に検査すべき紙幣を載置するようにしてもよい。この上にさらに改質層が設けられ、最後に、音響吸収材が配される。
機械的な装置内では、紙幣は2つの改質層の間で個々の層間の音響結合が最良になるように圧縮される。音響吸収材は、改質層を介して紙幣の束に同様にして接続されるが、超音波送信機(センサー)の反対側に設けられる。この吸収材の目的は、紙幣の束を通過する、音波を完全に吸収し、反射による干渉を抑えることである。
超音波を前述のように使用して紙幣の電気回路の評価をすると、特に、前記輸送用容器、金庫等の金属製のハウジング内の紙幣の評価の際には、有利である。
前述のように、圧電素子は、圧電材料のフォイルとすることができる。シートの両面が、少なくとも一部金属が薄くなっていて電極が形成できないときは、2つの金属電極に電圧をかける際その電圧のリズムでフィラメントを曲げてもよい。ここでは、音波が出される。
しかしながら、高周波の超音波信号が使用されると、フォイルの発振は可聴域になく、したがって、フォイルによって可聴信号が再生できないというのが、場合によっては問題になる。
これを回避するために、エネルギー供給と圧電フォイルの応答が切り離され、作動に必要なエネルギーの照射が圧電フォイルの応答を妨げないようにされる。これは、例えば、圧電フォイルと電気的に接続された集積回路をさらに使用し、その集積回路をシートの近く、望ましくはシート自体の上に設けることによって達成される。そのため、照射される周波数を可聴域を超えた範囲とし、2,3ギガまでとすることができる。照射されたエネルギーは回路に当てられ、異なる周波数で応答を引き出す。
エネルギーを短時間蓄積した後、時間的にずれた応答を発生するのに使用してもよい。この実施の形態は、エネルギーの照射と応答の受信が互いに干渉せず、したがって、回路の作動の信頼性が高くなるという利点がある。
他の実施の形態では、エネルギーはやはり超音波として照射される。ここで、音波は圧電フォイルのマイクロフォンとして作動する部分によってピックアップされ、整流される。その後、結果として発生する電圧を回路の作動に使用することができる。これによって、圧電フォイルの応答が引き出される。超音波の替わりに光を光電池に照射することによって、対応する作動モードが可能である。
例えば、電気回路の応答を一方ではフォイルの一側の電極に入力し、他方では、フォイルの他側の金属層に入力する。これによって、フォイルの応答を可聴にし、可聴域または超音波域のシートの振動を介してフォイルの応答を明確にする。
実施の形態108:
一実施の形態では、一連のデータが電気回路に記憶され、そのデータを圧電素子もしくは圧電フォイルに送ると、音を発生する。この音は単純なサイン音でもよいし、おしゃべりでもよい。例えば、実際の紙幣の出す音で、充分大きな音で再生されたもののコピーを発生してもよい。同様に、理解可能なメッセージ、例えば、券種等、を出してもよい。圧電素子の振動は可聴音でもよいし、測定可能な音波でもよい。例えば、マイクロフォンによってピックアップされ、制御回路によってテストされるような超音波信号を発生してもよい。
簡略化された実施の形態では、高周波電磁信号がアンテナによって受信される。ここで得られたエネルギーは周波数発生器を作動させるのに使用される。その周波数発生器の出力は高周波電磁信号に対応した音、もしくは、その音から誘導された音、を出す圧電素子に接続されている。電気回路が圧電素子もしくは圧電フォイルによって出力される信号の周波数や強度を決める情報を備えるようにしてもよい。
超音波に照射されると、圧電素子もしくは圧電フォイルは刺激されて、電圧を発生する。対応する電荷は集積回路に供給され、記憶されたデータにしたがって、メッセージを出させたり、プログラムをこなしたりさせるとともに、圧電フォイル上の信号を変調するのに使用される。ここでは、照射されたエネルギーは短時間格納され、回路および圧電フォイルを介して応答を時間的にずらし、照射された周波数はそのうちにオフされる。
実施の形態109:
上述のように、紙幣の束にその束内の全てのチップを作動させるのに充分なエネルギーを供給するのが問題となっている。この問題は、以下のようにして解決してもよい。以下の方法では、電磁界、特に100KHz未満の低周波数域の、によって、紙幣の束の内のトランスポンダーチップを作動させるためのエネルギーを効果的に送ることができる。
これは、紙幣のコイルに外部の磁界によって、誘導による交流電圧を発生させ、この電圧が前述のようにチップにエネルギーやデータを供給することによってなされる。しかしながら、これにはコイルを紙幣上で5,6回巻かなければならない。さもなければ、磁界の周波数を充分高くして、巻き数が2,3回のコイルでも使用可能にしなければならない。磁気誘導によって、効果的にエネルギーを送るためには、周波数が10MHzより高い必要があり、そのような高周波数は、高分子エレクトロニクスの精巧な手段でしか実現できない。
実施の形態110:
そのため、磁気誘導効果の替わりに磁気歪効果を使用してもよい。結果として、大面積コイルを紙幣上に設ける必要がなくなり、作動周波数も20〜30KHzの範囲内で選択することができる。これによって、1つには、チップ付き紙幣に必要な回路が高分子エレクトロニクスで実現でき、もう1つには、必要な界を発生する電子部品をより簡単に実現できる。
例えば、図27もしくは28に示すような複合材料を使用すると、外部からの交流磁界363に比例する、充分高い交流電圧を発生させることができ、しかも、電気誘導を回避することができる。
コイルを紙幣のエネルギー供給に使用する場合、特に束の読み取りの場合には、束の体積を上下に貫通する、例えば、10MHzより高い高周波の強い交流磁界が必要である。
磁気歪材料を使用すると、上述と比べて、図28に示すように、磁気歪金属ストリップ360を貫通する局所的に強い交流磁界を発生すれば充分である。磁気歪金属ストリップ360はキャリア材料すなわち紙幣1の紙、に比べて、大幅に透磁性が高いため、発生した磁束の大きな部分をアクティブなに向けることが容易である。
紙幣の束の全体積に対して小さな体積の部分に充分強い磁界を発生しなければならないという要求が適切な読取装置の開発を容易にする。さらに、磁界が束を上下方向に貫通する必要はなく。水平方向でよい。これによって、紙幣処理装置での一体化が容易になる。
本発明の方法は100KHz未満(一般に20〜30KHz)の周波数域で作動して、高分子エレクトロニクスに基づくチップが使用できるのが望ましい。これによって、必要な電力を発生するために「NF」アンプでも使用することができるため、簡単な読取電子装置を作ることができる。
実施の形態111:
このような紙幣用の読取装置370に相応しい2つの作り付けの付属品が図52に示されている。馬蹄形の(U字形の)磁界発生装置371を充分強い磁界を形成するのに使用することができる。磁界発生装置371は強磁性材料で形成され、励起コイル372が巻かれている。この磁界発生装置371には読取装置370の外部アンプによって、交流が供給される。磁界は束と平らになっていない紙幣のストリップ363やフォーマットの異なる紙幣にも作用するように広く発生される必要がある。
上方の図52aはレジスターにおけるような、1枚の紙幣や少数の紙幣を扱うための読取装置370を示す。例えば、載置面374上の直角なストッパの形状の機械的な機構373が載置面上で紙幣1を所定の位置に保持する。この場合には、磁界発生装置371は載置面374の下に設けるのが望ましい。
図52bは紙幣処理機、特に、紙幣を自動的に数えたり、ソートしたりする装置、に使用する読取装置370を示す。基本的な構造は図52aの読取装置370と同じであるが、磁界発生装置371の縁はその磁界363がこの領域において、紙幣の束の複数のストリップ360を同時に貫通できるように構成されている。ここで、紙幣1の束は分かり易いように半透明で描かれている。このような読取装置を、例えば、紙幣の束が両縁の間、すなわち、磁界発生装置371の両磁気ポール374の間、に摺動させられるか、搬送されるソート/計数装置もしくは自動出納器の入力ポケットに一体化することも考えられる。
テストすべきストリップ360が紙幣の紙の中央にないときには図52に示す読取装置370はストリップ360の可能な場所に配された第2の磁界発生装置371を備えることができる。これによって、テストの間に紙幣を動かさないで置くことができる。例えば、図18に示す構成を、処理装置の入力ポケットに一体化する場合には、紙幣は磁界発生装置371が形成する窪みに置かれるかまたは搬送される。
上述の本発明の効果は可逆的であるので、ストリップ360はチップ3による制御が適切であるなら図52の読取装置370と紙幣1の間でデータをやり取りするのにも使用することができる。このため、例えば、作動周波数の半分の周波数の負荷変調や信号を使用することができる。
前述した読取装置は紙幣1の読取距離が短くなるという利点がある。結果として、特に携帯式読取装置を使用した場合に、所有者の匿名性が容易かつ確実に確保できる。
実施の形態112:
図28に関連して前述したように、フォトダイオード(LISAフォトダイオードが望ましい)を使用した方法を紙幣1の読取に使用することができる。
束内の紙幣1の読取に適した読取装置を図53に示す。LISAフォトダイオード227’と複合体ストリップ360が一部重なるか極めて近く配されるかした場合、屈曲プリズム375を使用して、磁力線363を光線288から離す。これによって特に、LISA発光を検出するための感度の高い電子部品、例えば、CCDカメラを磁界発生装置371が発生する磁界から効果的に遮断することができる。屈曲プリズム375は磁気ポール374とテストすべき紙幣1との間に取り付けるのが望ましい。
この構成の効率を上げるために、交流磁界363の周波数を複合材料360の機械的共振周波数と等しく設定してもよい。交流磁界363で励起すると、磁気歪金属ストリップははっきりした機械的振動に特有の特に大きな振幅の音響共振周波数を示す。この効果は複合体ストリップ360でもそうであろうと考えられる。ストリップ362,364等の他の材料でコーティングすると、減衰が起きるが、その結果、共振効果がより弱く現れる。
実施の形態113:
上述した例に替わるものとして、電圧供給や紙幣と読取装置との通信を接触型の電気的接続を介して行ってもよい。電圧供給と読取装置から紙幣への通信をコンタクト面を介して行い、紙幣から読取装置への通信を他の形式、例えば、光学的もしくは誘導的に行うこともできる。この場合、中でも、複数の紙幣を一度に接続するために、個々の紙幣は両側にコンタクト面を有するのが望ましい。その両側のコンタクト面は互いに電気的に接続される。測定する束は圧縮して、隣接する紙幣の電気的接続を高めるのが望ましい。もし、コンタクト面が中央に設けられ、少なくとも、中心(紙幣の対角線の交点)に位置しているか、もしくは少なくともこの中心に対称的に配されているなら、4方向全てから紙幣に接続することができる。そのため、例えば、紙幣の前面、後面、左面、右面をとにかく入れ替えても差し支えない。
ここで、図34もしくは35に示す紙幣1を使用することができる。その束は束内の全ての紙幣の層380が電気的に互いに接続されるように圧縮しなければならない。外側の2枚の380は、すなわち、最上層および最下層の2枚の層、は外部コンタクトクランプによってそれぞれ外部から接続される。このタイプのエネルギー供給によれば、直接接続380の数を2つまで(最も簡単な場合)減らすことができる。それの方が望ましければ、接点の数を3個以上にしてもよい。処理装置の紙幣1への接続は接点380を介してとるが、その接点380はチップ3より相当大きく、少なくとも、1cmであるのが望ましい。これによって、どんな厚さの紙幣1の束にでも直接接触によって同時にアドレスできる。この直接接触によってチップ3のエネルギー供給をするのが望ましい。チップの駆動およびデータ通信は他の方法、例えば、非接触の誘導結合もしくは光学結合によって行う。したがって、制御やデータ通信はエネルギー供給と別に行う。これは、この手段でチップの電力を供給しないで済むので、電磁界の強さが低くてよいという利点がある。
向きを考えずに重ねなければならないときには、供給されるエネルギーの極性を見なければならない。これは、接点380に交流を流し、チップもしくは線381に整流器を設ければ、しないで済む。替わりに、直流電圧をかけてもよい。
さらに、光学結合に関連して前述したように、束内の紙幣が互いに通信できるようにするのが望ましい。図35に示す紙幣1をこのためにも使用することができる。これらを、チップ3が次々にアドレスされるように(例えば、活性化されるように)接続することができる。最外側のコンタクトストリップ380に電圧をかけて紙幣の束全体にまずエネルギーを供給するようにしてもよい。この場合は、例えば、束内の1番上の紙幣1の上から3番目の接点382の追加的な接続によって、全てのチップ3が先ず不活性にされる場合にはトランジスター等の、チップ3のスイッチ素子にそのスイッチ素子を不能にし、それによって、1番上の紙幣1のチップ3を活性化する制御信号を供給する。次に、その下の紙幣が活性化され、1番上の紙幣1のチップ3の制御信号が4番目の接点382を介して、送り出される。ここの前提条件は、正しく重ねた場合には3番目もしくは4番目の接点383が互いに重なり、互いに重なった紙幣同士の間に直接接触が確保されるように、個々の紙幣1の接点382が位置されているということである。この意味では、束内での個々の紙幣に位置と無関係になるように、3番目、4番目の接点383を同じにもしくは同じ機能を果たすように設計すると特に望ましい。
この方法によれば、例えば、紙幣の束全体に直接接触によってエネルギーを供給することができ、さらに、紙幣1は前述のように次々と、活性化される。ここで、例えば、1個だけのチップ3が一度に活性化されるようにするのが望ましい。
紙幣の不能化と有能化
簡単に上述したように、紙幣の有効期間を、チップのメモリー、例えば、EEPROM、PROM、に書き込む。
実施の形態114:
権限のある銀行が紙幣のメモリーにコードを書き込み、その紙幣のチップが読取装置によって、この条件を認識できるようにし、書き込みがあるか、無効かによって、紙幣を分類できるようにすることも、例えば、原理的には考えられる。紙幣のチップのメモリーの少なくとも1つのビットを変えることによって、紙幣を不能にしたり、有能にしたりすることができる。この設定された書込みやメッセージを読取装置なしに認識できるように、有効性に関するメッセージを紙幣の紙に一体化されたLEDディスプレイ、LCDディスプレイ等の光学的あるいは音響的ディスプレイによって表示してもよい。最も簡単な場合は、無効な紙幣の場合にオンまたはオフされるLEDのような双安定性のディスプレイで充分である。このディスプレイは後の「取引」の章で述べるような特性を有することができる。
紙幣は匿名性と中立性が大事である。本物であることの紙の特徴が充分であり、その紙幣を全ての業務においてお釣りとして無制限に使用して差し支えないならば、最終消費者が紙幣を一時的に無効にするのはきつく禁止されている。本物の紙幣をその場で「不能」にするのは理論的には可能であるが、この可能性は、少なくとも、については禁止される。
それにもかかわらず、この技術的な可能性がセキュリティの全く新しい思想を提供する。
もし誰かが、紙幣のチップのメモリーの技術的に「見えない」情報を実際に利用したとすると、「不能化」という書込みがなされる。紙幣の流通の中の中央オフィスはこの書込みから重要な情報を得ることができる。機械はチップのデータを読み取ることができるので、例えば、中央銀行の紙幣ソート機で紙幣の通常の処理中にデータを収集して、スイッチをリセットすることができる。
実施の形態115:
例えば、輸送の前に、紙幣を不活性化しても、その輸送中に強奪された紙幣を容易に特定することができる。これは、例えば、紙幣印刷工場から中央銀行に紙幣を輸送するときや、中央銀行から商業銀行などに起こり得る。
実施の形態116:
銀行や自動出納機で客に払いだす寸前まで、紙幣を有能にしないことが考えられる。これは、さらに詳述するように、中央銀行等の権限のある組織で紙幣のチップと中央銀行のコンピュータのリンクを介して、オンラインで実行することができる。
実施の形態117:
さらに、強奪金の場合に、時間差を持って不能化するデータや例えば、ディスプレイを不活性化するデータを紙幣のチップに書き込んで、犯人に渡された後、時間差を持って無効と表示され、認識できるような書込みを行うことができる。そのような時間差不能化は、例えば、例えば10日後にその紙幣が無効であると表示する、紙幣の集積回路内のカウンターによって達成することができる。また、その紙幣の有効性がなくなる失効時期をその紙幣のチップのメモリーに書き込んでもよい。この有効期間は読取装置によってチェックすることができる。
前述のように、チップのメモリーへのデータの書込みによる、紙幣の不能化、有能化は束の状態で行うのが望ましい。紙幣の有効性の状態は以下の「取引」の章で詳細に説明するように、紙幣の紙に不変的に一体化された光学ディスプレイや音響ディスプレイによって、引き続き、例えば、有効期限の切れた後も、表示される。
実施の形態118:
銀行に預金したり、ガソリンスタンドで支払ったりするときに無効等の特殊な書込みがなされた紙幣が使用されたときに、チェック装置がそのデータを読み出して、それを認識し、そのレジに結合されているカメラを作動して、その疑わしい支払い、特に支払った人物を、記録するようにすることも考えられる。
実施の形態119:
紙幣の有効性に関する情報のデータの他に、管理状態に関するデータを紙幣のチップに記憶させることもできる。例えば、「保管中」、「輸送中」、「盗難」などのデータを書き込むことができる。
実施の形態120:
紙幣1のチップ3が、「スイッチされた」状態で、「切り換え動作」すなわち、誰が、どの装置を使用して、何時、何処で、何故切り換え動作を行ったかに関する情報を誘起することができる充分なデータを保持するのが望ましい複数の論理スイッチ、一般にメモリーセルを持つようにすることもできる。
これは、チップ3が紙幣を完全に不能にする単一のスイッチもしくはチップデータを有するのではなく、例えば、ある群のユーザーあるいは操作については、紙幣1のチップ3を不能にする複数の異なるユーザー用の複数のスイッチが設けられることを意味している。ユーザーは中央銀行でもよいし、輸送会社でもよいし、商業銀行でもよいし、客でもよい。この目的のため、異なるユーザーにチップの異なる記憶領域を提供する。さらに、スイッチはかならずしも、例えば、有効と無効を表す2進信号用である必要はない。情報の追加のデータを記憶できるようにしてもよい。そのデータは、誰が、何時、何処で特定の紙幣のスイッチを使用したかに関するものでよい。
さらに、誰が、どの装置を使用して、何時、何処でそのデータをメモリーに入れたかを示す光学的ないし音響的ディスプレイの表示条件の変更に関するデータの内容の変更の際に、特定データをメモリーに記憶して、後ではっきりと追跡し、メモリーの内容を読み出したときに変更の制御をできるようにしてもよい。紙幣の活性化もしくは不活性化の際、紙幣の現在の有効性を権限のある人のみが変更できるように、書込装置は責任ある組織、例えば、中央銀行、輸送機関等の関連企業にのみ使用可能である。
これは、データを、そのデータが暗号化および/またはマークされるか、もしくはパスワードによって保護され、パスワードもしくは暗号化のアルゴリズムを知り、特定の紙幣に所望のチップデータを記録するように調整された特定の書込み装置を使用しなければ、変更できないようにしてチップに記憶されるようにすることによって達成される。例えば、上述のPKI装置をこのために使用することができる。
さらに、デジタル署名もしくは暗号化データにアクセスするためのキーを紙幣の一部でない別のチップ内に保存しておくこともできる。この別のチップは、例えば、以下に述べるように、あるユーザーやある操作のアクセスする権限をチェックするのに役立つ。このチップは例えば、要求されるアクセス権限をチェックするために読取機能や書込み機能を有するチェック装置に差し込むか、それに接続するかしなければならない外部チップカードの一部品とすることもできる。これは、必要と考えられるコード変更の際に、限られた数のチップカードを交換すればよく、紙幣を全て交換しなくてよいという利点がある。
実施の形態121:
上に掲げた特性を有する回路が金の循環全体の中の複数の部分で適している。
強奪の場合に、中央銀行に保管されている、チップのメモリーの「スイッチ」に”04.17.2002、Extortion, Case : Code word”の情報を中央銀行で書き込むことができる。国の中央銀行(SCB)のみがこの情報を紙幣のチップに書き込んだり、紙幣のチップから読み取ったり、紙幣のチップから削除したりすることができる。
中央銀行の紙幣ソート機は、還流してくる全ての紙幣の真贋と流通性(保存状態)をチェックする。この日常業務の中で、各紙幣のSCBスイッチを点検すれば、上述の強奪のケースを撥ねることができる。
このようなデータは紙幣が本物でありしたがって有効な以上、普通の消費者には知覚できないし、また無関係である。
実施の形態122:
メモリーはチップデータを読むためのアクセス権限、チップデータを読むためあるいはチップデータに書き込むためのアクセス権限および/またはメモリーの内容を変えるためのアクセス権限に関するデータを有する真贋判定装置を、例えば、包含することができる。例えば、ある群のユーザーまたはテスト装置に、もしくは特定の操作をするのに必要なコードを対応する読取/書込み装置に入力するのが必要になることがあり得る。入力されたコードはアクセス権限を有効にするために、基準データとの整合性を比較するのが望ましい。
その基準データは、特別な権限なければ外部から読むことのできない、記憶領域に保存しておくのが望ましい。操作に合わせるために、対応する処理装置はコードを入力しなければならない。それを、紙幣のチップに促されることもある。
このような場合は、誤操作カウンター(maloperation counter)を使用するのも望ましい。紙幣1のチップは例えば、外部から書き込むことのできない少なくとも1つの不揮発性エラーカウンターを含んでいる。そのカウンターはコードを送ろうとして失敗するたびに、カウントを1回増やす。エラーカウンターが所定の値に達するか、超えたとき以外は適切なコードがうまく入力されたときはリセットするのが望ましいが。エラーカウンターが所定の値に達するか、超えたときは例外となる。この場合は、不正操作があり、したがって、リセットできない旨のマークを紙幣につける。これによって、例えば、一時的もしくは永久的な(不可逆の)不活性化(チップのある動作を阻止する)が行われることがある。エラーカウンターの所定の最大数を超えた後に、チップを、その状態を質す以外は機能できないように不可逆的にしてもよい。
前記コードが紙幣毎に異なり中央のデータベースに保存するようにすることができる。対応する基準データは紙幣の製造時にROMメモリー領域に記憶するのが望ましい。コードが各操作毎に、またはコードの使用を要求する所定の数の操作毎に、ランダムに再生され、チップに保存され、例えば、中央のデータベースに転送されるようにすることもできる。この場合には、読取装置に保存されるコードはその読取装置に転送されたもであり、その読取装置はそのコードを中央のデータベースに転送し、そのデータベースは、例えば、変更できない通し番号を追加で、独自に付したものであり得る、紙幣のコードが正しいか否かについてイエス、ノーを戻すだけであるので、紙幣のチップを読取装置で合法化する必要があるようにすることもできる。中央のデータベースへの接続は、例えば、携帯電話もしくはGSM接続によってとることができる。
多くの場合、紙幣のトランスポンダーが互いに応答し、通信するようにすると便利である。これは、個々の紙幣のデータを疑問視して、処理する場合に特に必要である。
所定の数の紙幣に、例えば、セキュリティ輸送の前に、標準データ、「AからBへのセキュリティ輸送、日付け、時刻、輸送会社、輸送番号、輸送トラック、数、等を付ける場合には、その紙幣の大部分あるいは全部に並列でそのデータを同時に、たとえば、ボタンの一押しで、付けられれば極めて有利である。輸送の終了後、ボタンの一押しでそのデータを消去もしくは全てのスイッチをリセットする。
情報を並列で書き込んだり、削除したりするのには、紙幣のトランスポンダーがこの動作モードに特に最適化された更なる、インターフェースを備えている必要があり得る。これは、直列処理用の光学的インターフェース、例えば、フォトダイオード、を備えた紙幣の場合に特にそうである。
実施の形態123:
異なるユーザーが異なる操作をしたり、異なるメモリー領域にアクセスするための異なるアクセス権限が存在する場合に、少なくとも1つのメモリー領域を変更できるようにし、本質的に自由に全ての人間がアクセスできるようにすることもできる。これは、例えば、誰でも、すなわち、私人の誰でも、”message in a bottle”に似た形式で送り出される、データを書いたり、読んだり変更したりすることができるようにするものである。同様に、宣伝情報、安売り広告(この紙幣をXYデパートで使えば、3%割引になるよ)、ゲーム等を、保存しておくことも考えられる。データをこの種のメモリー領域にテキスト、シンボル、画像、音もしくはゲームとして書き込むことができる。これらを、紙幣自体に一体化されたディスプレイあるいは外部のディスプレイのいずれかによって、光学的もしくは音響的に再生することができる。
リモートデータ伝送
リモートデータ結合を介して、紙幣チェック装置から空間的に離れた評価装置にデータを送ってもよい。チェック装置は紙幣のチップを認識したり、チェックしたりする装置であり、チップからデータを読み取ったり、チップにデータを書き込んだりすることができる。リモートデータ伝送は固定電話接続、モバイル接続、もしくはネットワーク接続(例えば、インターネット接続)を介して行うことができる。このデータ伝送は、一方向の場合も、双方向の場合もある。
実施の形態124:
携帯電話もしくは銀行あるいは小売店の固定端末、例えば、現金預け入れ/払出機に一体化されている紙幣チェック装置がリモートデータ伝送装置を備えている場合には、センター例えば、中央銀行、信用センターとのセキュリティデータのやり取りを例えば、GSM接続を介して行うようにすることも考えられる。例えば、紙幣のチップと中央銀行のコンピューターの間の直接通信が確立される。紙幣のチップと中央銀行のコンピューターの間の真贋判定によって、特定の、予め決められた操作以外は権限のある組織(この場合は、例えば中央銀行)でもできないことが保証される。
以下は、この点に関する可能性を含んでいる。
実施の形態125:
チップデータのチェックはオンラインで行うことができる。これは、チップデータの評価、例えば、紙幣のチップの真贋チェック、は現場のチェック装置では行わず、離れた中央銀行等でリモートデータ接続を介して、行い、結果のみをチェック装置に戻すということである。これは、中央銀行が評価アルゴリズムの秘密をよりよく守れるという点、および、権限のない第3者がチェック装置自体を分析しても、チェック操作の詳細を簡単には推論することができないという点で、有利である。
実施の形態126:
管理中の上記データ、例えば、紙幣の有効性、はチップに保存するのが望ましいが、特定の紙幣に関連付けて、中央のデータベースに保存することもできる。この例では、盗まれた紙幣の通し番号等のデータをデータベースに集める。この場合、輸送のために、紙幣を不活性化しても、盗まれた紙幣を気付かれずに再度流通させることができない。
複製の認識
相当の努力を払って偽造できるかどうかは、紙幣につき物の問題である。チップも相当大きな努力を払えば、複製できると考えられるので、この問題はチップ付きの紙幣にも存在する。とくに、高分子エレクトロニクス、多結晶シリコンで作った大面積回路を使用する場合には、チップを設計しなおして、そのチップのコピーを作り、偽者を流通させる危険がある。贋物のチップカードと異なり、贋物の紙幣は直ちに流通に入るとともに、偽造者の所有になることは2度とない。これは、動機を増やすものであり、したがって、贋造のリスクを大きくするものである。
したがって、紙幣の複製に気が付ける必要がある。
実施の形態127:
この目的のため、オンラインチェックの間に紙幣のチップのそのために提供されたメモリー領域に新しいコードを常に書き込むようにし、それをオンラインチェックの度におこなうのが望ましい。ここでオンラインチェックとは、紙幣チェック装置をオンライン結合を介して、離れたコンピューター装置にリンクし、以下に詳細に示すように、中央のデータベースとデータ比較をするチェック作業を意味するものである。固定電話接続、携帯電話接続、インターネット接続等のネットワーク接続をオンライン結合として使用することができる。
コードは文字、数字もしくは記号の任意の組み合わせを表す乱数とすることができる。その乱数はチェック時に初めて発生するのが望ましい。また、その乱数は、例えば、中央銀行の中央データベースに同様に保存され、通し番号等のその紙幣独自の一定のIDに振り分けられる。その紙幣の更なるオンラインチェックでは紙幣のチップの乱数が中央データベースの対応する台帳を比較される。より効果的に不正操作を防止するために、この比較は中央銀行のコンピューターで行うのが望ましい。ある通し番号の乱数の不一致が確認されたときは、チェックされた紙幣の少なくとも1枚の複製があるかその複製がテストされているか、どちらかであると仮定してよい。乱数の一致が確認されると、その紙幣は本物であると判断される。この場合、新たな、乱数が発生されて、紙幣のチップと中央データベースに保存される。雇用にして、流通している紙幣の偽造コピーが信頼性を持って、見破られる。
紙幣のチップのメモリーが書き込むことができるのを保証するために、新たに発生された乱数を紙幣のチップに書き込んでよみだしてみるのが望ましい。新たな値の紙幣への格納がうまく行ったときには、中央データベースの台帳も更新される。それで始めて、紙幣が本物であると認識され、その旨の表示が読取装置に出力される。
誤操作カウンターでの書き込みの失敗を登録してもよい。これによって、欠陥のあるメモリーセルとリードオンリーメモリーのみを有するコピー(これは本物と認識されることはないが)とを迅速に認識し、迅速にソートすることができる。
簡単に要約すると、紙幣のチップとデータベースの両方に乱数を保存する。紙幣のチップのチェックの度に乱数をまず比較し(例えば、連続したチェックのそれぞれで)、新たな乱数を発生し、それを紙幣のチップとデータベースの両方に保存する。2つの乱数が一致しないときには、その紙幣を、偽造が疑われるものとして分類し、そのように扱う。
実施の形態128:
乱数の替わりに、業務のたびに紙幣に業務番号TANを割り当ててもよい。TANは数字から引き出され、TANは最大の通し番号より大きい。すなわち、TANは極めて長く、不規則に発生された番号なので、容易に当てることはできない。乱数とTANの違いは、TANが事前に発生され、使用後は無効になることである。TANは単独で有効性を表すことができるため、通し番号との関係を定めなくともよい。
この複製の認識の実行の際に起こりえそうな問題とその解決について、いかに述べる。
実施の形態129:
乱数を違法に得る方法として、全ての考えられる組み合わせを、正しい乱数が分かるまでデータベースに訊く、いわゆる、「野獣攻撃」がある。紙幣のチップの有効なメモリーが小さいほど、また乱数が短いほど、この方法は簡単になる。
これを防止するために、タイムスタンプ、すなわち、最新の質問の時刻に関するデータが紙幣のチップとデータベースの両方に保存される。少なくともチェック装置からデータベースへの最新の質問のID番号もしくはIPアドレス(最新の質問に関するより長い履歴の方が望ましいが)をさらに、データベースに保存することもできる。ID番号もしくはIPアドレスの替わりに、特定のチェック装置もしくは位置、すなわち、そのチェック装置が置かれている機構、あるいは最後に質問されたデータベース、に参照しなおすことを許す他の如何なるデータも使用することができる。この追加のデータを以後短く「位置スタンプ」と称する。
データベースの各質問とともに、誤操作カウンター(後に詳述)によって周波数チェックをここで行うのが望ましい。すなわち、通し番号と乱数の組み合わせを検索し、データベース内の台帳と比較するような質問は、与えられた通し番号に対する乱数が無効である場合には、誤操作カウンターに記録される。同じチェック装置から短時間のうちに試行錯誤的に何度も訊いてくるように見えるときは、「野獣攻撃」の疑いが感じられる。これを防止するために、チェック装置もしくは対応する紙幣処理装置はネットワークや、データベースとチェック装置の間の通信から一時的に外れて、所定の時間内は攻撃をすることができないようにしてもよい。
様々なチェック装置から試行錯誤的に何度も通し番号を訊かれてしまったように見えるときは、偽者が、場合によっては大量に、既に流通している疑いがあることを示唆している。
実施の形態130:
中央データベースを介して、紙幣をチェックする際に生じ得る問題にこのデータベースへの極めて多数の同時アクセスがある。この問題を回避するためにデータを複数のデータベースDBに分配してもよい。図54はこの例を示している。N個のデータベースDBがある。紙幣BNCをチェック装置でチェックする場合、そのチェック装置はそのチェックする紙幣の通し番号とそのときの乱数RNDt=0をデータベースの1つに送る。テストデータを送った特定のデータベースDBはチェックすべき紙幣のチップに乱数とともに保存されていた、もう1つのID番号にしたがって、の一つを選択する。そのID番号は乱数の一部であってよい。例えば、その少なくとも2桁がID番号である。これによって、データベースDBの1つは常にあるグループのID番号をチェックする責任を負っていることになる。
問い合わせ中に新たな乱数RNDt=1が発生されると、次のチェックにおいて、どのデータベースで次の新しい問い合わせが生じるかはっきりする。図54に示す例では、第1のデータベースDBがチェックされた紙幣BNCに第4のデータベースDBに対応する乱数RNDt=1を書き込み、割り当てる。したがって、チェックされた紙幣BNC上のデータレコード、例えば、少なくとも通し番号と乱数、はデータラインを介して第1のデータベースDBから第4のデータベースDBに転送しなければならない。
データベースが1つの場合と違い、通信量、すなわちアクセスの数が2/Nだけ減る、Nはシステム全体のデータベースの数である。
このシステムによれば、各チェック装置はシステム内のどのデータベースにもアクセスできる。この意味では、データベースは異なるコンピュータに、特に異なる場所にあるコンピュータに設けられるのが望ましい。チェック装置が異なるデータベースを介して、全てのデータベースにアクセスできるようにすることも可能である。データ比較のためには、1つのチェック装置が複数のチェック装置に割り当てられ、データベース1 ・・・ Nのそれぞれに接続される前端のコンピュータに接続されるようにするのが望ましい。各チェック装置は前端のコンピュータと単一のデータリンクを確立すればよく、例えば、現金預け入れ業務の際、全てのデータベースと同時にデータリンクを確立する必要はない。
実施の形態131:
単一のデータベースへのアクセスを減らすには、例えば、国、地方、市などで、異なるデータベースを使用することである。この場合には、各データベースは多くのチェック装置の一部のみを扱うことになる。チェック装置とデータベースの間には決まった割り振りがあるので、自由な、例えば、越境した、アクセスは許されない。
この場合は、紙幣のチップは乱数とタイムスタンプ(任意)の他に最後に問い合わされたデータベースのもう1つの台帳を含むことになる。中央銀行等から紙幣が払いだされるときには、有効性のデータはその中央銀行の割り当てられたデータベース1つのみに保存すればよい。
さらに、1つのシステム内の全てのデータベースをネットワークを介して結び、必要ならば、そのデータベースのデータ記録内で比較するようにしてもよい。
以下、図55を参照して、このような場合の具体的な例を説明する。通し番号#255の紙幣BNC#255がデータベースDB1に保存されていると仮定する。時刻t=1に端末PE1でのチェックの際に、記憶されているデータ記録がデータベースDB1に記憶されているデータ記録と比較される。
チェックの結果が正しければ、新たな乱数RNDt=1が発生され、タイムスタンプ、位置スタンプ(例えば、この場合は、時刻t=1、データベースDB1)とともに紙幣BNC#255とデータベースDB1に保存される。
その例において、紙幣BNC#255がデータベースDB1の「区」を離れ、時刻t=2にデータベースDB2の区で見つけられたとすると、紙幣BNC#255に対応するデータ記録は最初はデータベースDB2にはない。しかしながら、紙幣BNC#255の位置スタンプが対応するデータ記録がデータベースDB1にあることをしめす。データベースDB1、DB2の比較によって、そのデータ記録がデータベースDB2に転送される。次に、データベースDB1からデータ記録を削除してもよいし、紙幣BNC#255が越境した旨をデータベースDB1に保存してもよい。
データベースDB2に移動したデータ記録に基づいて紙幣BNC#255の真贋をチェックし、新たな乱数RNDt=2と、新たな位置スタンプとタイムスタンプとを備えた新たなデータ記録をデータベースDB2と紙幣BNC#255とに書き込む。
データベースDBが1つの場合と違い、通信量(すなわちアクセスの数)が2/Nだけ減る、Nはシステム全体のデータベースの数である。さらに、現金の越境が検出できる。また、紙幣のタイムスタンプと位置スタンプによって、安全性がさらに高くなる。
実施の形態132:
矛盾するデータを紙幣に書き込んで紙幣を使えないようにする攻撃も考えられる。
そのため、前述のように、チップに書き込まれるデータ記録に例えば、いわゆる「公開鍵」法の公開鍵を使用して、署名するようにすることもできる。チップは公開鍵を知っていさえすれば、データ記録の真贋をチェックし、必要に応じて、データ記録を拒絶することができる。
マークされたデータ記録に通し番号を含めてもよい。これによって、他の紙幣の本来有効なデータ記録をコピーすることも防止できる。
引き出したPIN番号によって、読み取りや書込みのための、紙幣のチップへのアクセスを保護してもよい。最も簡単には、PINは紙幣の通し番号から引き出される。有効な乱数RNDをPINの演算に含めて、PINも紙幣のチェックの度に変わるようにしてもよい。
実施の形態133:
本物の紙幣のチップからデータをコピーして、複製にそれを転送し、その後、まだ本物の紙幣の一部品である本物のチップを破壊するようにした攻撃も考えられる。
したがって、本発明においては、チップデータを読むのとは別の方法で、例えば、ラインセンサー等のカメラによって、紙幣の通し番号を検出するようにすることもできる。欠陥のあるチップの場合には、偽造の疑いのある旨がデータベースに保存される。
実施の形態134:
紙幣とデータベースの間のデータ比較を先ず行うようにチェック装置を不正操作するという攻撃も考えられる。適切な不正操作がなされたとすれば、新たなデータ記録、例えば、新たな乱数、は紙幣に書き込まれずに、そのチェック装置に集められ、後で偽のチップをプログラムするのに使用される。
このような方法を阻止するために、現在のデータ記録だけでなく、過去のデータ記録も紙幣のチップに保存し、テスト操作の履歴を紙幣の生涯の履歴として残してもよい。過去のデータ記録は同様に、特定のデータベースに保存され、紙幣の履歴を作るのに使用される。
さらに、問い合わせをしているチェック装置の、IPアドレス等のID番号をデータベースに保存するようにしてもよい。これによって、例えば、データベースに蓄積されているデータ記録を統計的に評価して不正操作の疑いのあるチェック装置の証拠を発見することができる。
したがって、過去のテストに関する履歴データ記録を紙幣とデータベースに蓄積してもよい。他の例では、紙幣の履歴データ記録は直接読み出したり、書き込んだりするものではない。これは、紙幣のチップのメモリーがFIFO(先入先出し)メモリーであり、データ記録が更新されるたびに古いデータ記録が乱数と一緒に(使用している場合は、タイムスタンプと位置スタンプもともに)メモリー内を前に押されることによって達成される。
図56は、時刻t=0における前回のチェック時に作成された、紙幣の、現在のデータ記録nを時刻t=1にチェック装置PEでなされるチェック時にデータベースDBに保存されている対応するデータ記録nと比較するようにした例を示している。チェックの結果が正しければ、新たなデータ記録n+1が発生され、時刻データt=1とともに、紙幣BNCのチップとデータベースDBに保存される。
新たなデータ記録が実際に紙幣のチップに書き込まれたことおよびその端末、すなわち、チェック装置PEによって傍受されなかったことをチェックするために、新たなデータ記録n+1は少なくとも1つの過去のデータ記録に或るアルゴリズムでリンクされるのが望ましい。ここで、最新のn個のデータ記録の関数をnの固定値の替わりに出力する。理論的には、これは、いわゆる、1元関数(one-way function)もしくは、暗号用の細切れ関数である。資力が限られている場合は、もっと簡単な関数を計算してもよい。この動作は、紙幣BNC内とデータベースDB内で行われ、結果が比べられる。チェック装置は履歴を自由に使えないため、この点の不正操作は実際上困難である。
書込み制御は、履歴を無期限に保持することによって、さらに改良される。そのため、前のデータ記録に関する情報を含んでいる最も古いデータ記録が乱数発生器PRGに送られる。結果は、例えば、出力されるストリーム暗号が紙幣のチップからのデータとデータベースからのデータを比較するのに使用されるいわゆる、ストリーム暗号であり得る。
全履歴、すなわち、過去のデータ記録、も結果に含めるから、乱数発生器PRGの他に周期冗長検査CRCのような検査合計をコンピュータ計算するのもよい。
乱数を計算するのに、例えば、Finkenzellerの「RFID−ハンドブック」2002、第3版、(ISBN 3−446−22071−2)、228ページから231ページに記載されているように、フィードバックのためのシーケンス回路を有するカウンタとして従来構成されている擬似乱数発生器を使用することもできる。さらに、シーケンス回路、したがって、そのアルゴリズム、のコーディングを、必要ならば、紙幣BNCのチップ内で変えてもよい。そのために、シーケンス回路にEEPROMのようなプログラム可能なメモリーを設けてもよい。
使用した検査合計CRCの、乱数発生器多項式を上記のようにして変更するようにするのも望ましい。シーケンス回路や乱数発生器多項式を紙幣のチップ内で変えることによって、自身の(書込み)コマンドをトリガーして、新たなパラメータをデータベースDBに発生させ、その新たなパラメータを紙幣のチェックの間にチェック装置によって、紙幣BNCに転送することができる。
実施の形態135:
紙幣が少なくとも1つの、冗漫な、同じメモリーを処理するようにしてもよい。例えば、データ記録を更新するために書込みを先ず行い、その後予備の記憶領域にそのデータをコピーする。例えば、紙幣のチップへの電圧供給が中断して、書込みが中断した場合に、少なくとも、書込みの最初の状況が紙幣内において復元できるように、書込みの状況がマークされ、フラグによって紙幣のチップに記録される。
実施の形態136:
紙幣のチップの特性を不可逆的に変えることもできる。これはいわゆる”フューズ”を介して、焼くこと(burning)によって可能である。そうする場合に、充分大きなアンペアをフューズに流してもよいし、レーザによってフューズ焼ききってもよい。
フューズを大量に、例えば、できる限り多くのフューズのアレイ、設けてもよい。この場合に、そのフューズはランダムなパターンで妬ききるのが望ましく、フューズの数が増えると、可能な組み合わせの数も増え、安全性も大きくなるが、チェックの回数も増える。アレイの状況を中央データベースに蓄積しておくのが望ましい。
実施の形態137:
紙幣もしくは紙幣の特徴を局所的に不可逆的に変えることによって、チップデータをテストせずに複製を認識するようにすることもできる。すなわち、適切なチェック装置でのテストの際に、紙幣の不規則な位置にマーク、例えば、インクのドットを設けてもよい。もはや流通に適さない紙幣、すなわち、破壊すべき紙幣を区別する場合とは異なり、状況チェックをしないために、紙幣がその後の流通に適していると判断されたときにはとりわけ、本発明による変更がなされる。
この目的のためのインクとしては、機械は読むことができるが、可視領域にはないものが望ましい。さらに、紙幣上に既に存在する全てのインクドットの位置をその紙幣を特定するもの、例えば、通し番号、と一緒にデータベース内に記憶し、次のチェックで再チェックする。
実施の形態138:
義務的なものではないが、上記のような場合に、このデータを紙幣のチップに記憶しておくこともできる。これによって、紙幣の紙が紙幣のチップにきれいに割り当てられているかどうかをチェックすることができる。これによって、チップを紙幣から不正に剥がして、他の紙幣に挿入することが効果的に防止できる。
実施の形態139:
マークを設けて、紙幣を選択的に変更する場合に磁性粒子、特に硬質磁性粒子を紙幣の紙に組み込んで、紙幣の部分によって、磁性が異なるようにしてもよい。この場合、読取やテストの際に、磁化パターンをランダムに変えるとともに、そのパターンをデータベースに記憶しておいてもよい。
実施の形態140:
紙幣の製造時に設けた、インクドット等のマークをランダムにあるいは、所定の順序で、紙幣から除去してもよい。例えば、そのようなインクドットを除去することのできるレーザを使用してもよい。
実施の形態141:
紙幣全体、もしくは少なくとも、その一部に変更可能な、例えば熱活性化面を設けてもよい。チェック操作毎に例えば、レーザ光線で紙幣にパターンを書き、そのパターンをランダムにあるいは、所定の順序でかえる。レーザによるドットを目に見えない、顕微鏡サイズにして、その熱活性化面を極めて小さくしてもよい。
実施の形態142:
例えば、レーザで紙幣の紙の構造そのものを変えてもよい。これにはドット状に紙を焦がしてもよいし、完全に燃やして、凹部を形成してもよい。ここでもドットを目に見えない、顕微鏡サイズにするのが望ましい。
紙幣処理機
紙幣処理機は紙幣の番号が転送されたときに全自動もしくは半自動で工程をこなす機械である。その工程は例えば、紙幣を数えたり、金額を決定したり、通用性や額や、位置や質などに応じてソートしたり、重ねたり、梱包したり、真贋をチェックしたり、あるいは場合によっては紙幣を破壊したりする行為を含むものである。紙幣処理機はそのような工程複数組み合わせて実行してもよい。
本発明の紙幣処理機は紙幣を処理する方法によって、束の紙幣を分離して、順次処理し、さらに望ましくは、積み重ねた状態で、(堆積処理機能を有する紙幣処理機に)再度預け入れる分離処理型、紙幣を完全には分離せず、ほとんど同時に処理する、一括処理型、分離処理と堆積処理の両方で処理する組み合わせ処理型の3つに分けられる。その意味で、分離処理と堆積処理を交互に実行する紙幣処理機、分離処理と堆積処理を実行する紙幣処理機および分離処理と堆積処理の全ての組み合わせを実行可能な紙幣処理機とが考えられる。
現在、紙幣処理機が実用されているにもかかわらず、分離処理に加えて、堆積処理を真剣かつより効果的に設計しなければならない理由がそれである。以下、分離処理用の紙幣処理機の例を主に説明する。
実施の形態143:
図57は電気回路付きのシート材料の処理装置100(場合によっては電気回路付きの紙幣の紙幣処理機)の主要構造を示す。
紙幣処理機100は紙幣を束にして挿入する、紙幣処理機100を備えている。入力装置110から紙幣を1枚1枚取り出し、搬送装置120に渡す分離機111が入力装置110に接続されている。分離機111は負圧で分離する真空分離機でもよいし、摩擦ホイール分離機でもよい。図示のように入力装置110の上端に配されているが、下端に配して、束の一番下の紙幣から分離するようにしてもよい。搬送装置120は個々の紙幣をセンサー装置145を通って搬送し、センサー装置145は真贋を決定するためのデータ、条件を決定するためのデータ、通用性を決定するためのデータ、券種を決定するためのデータ等を、紙幣から取り出す。
紙幣から取り出されたデータはデータを評価し、紙幣処理機100での次の紙幣の流れを制御する、演算装置160に送られる。演算装置160は搬送装置120の一部であり、紙幣を所定の基準に従って出力装置130〜138に行かせるスイッチ121〜124に作用する。
出力装置130〜138は、例えば、提出すべき紙幣を、螺旋溝を有する回転装置130,132,134,136によって束131、133、135,137にする螺旋溝スタッカー(spiral slot stacker)とすることができる。もう1つの出力装置138は、状況の悪い、例えば、著しく汚れている、紙幣をシュレッダー139して破壊するシュレッダーとすることができる。紙幣処理機100はディスプレイ、キーボード等からなる操作装置166を介してユーザーが制御できる。
データ交換装置
電気回路付き紙幣を処理するために、紙幣処理機100は例えば、前期回路からデータを読み取ったり、前期回路にデータを書き込んだりするための、エネルギーやデータを紙幣の回路とやり取りする特別な通信装置をセンサー装置145(データ交換装置と称することもある)に備えている。通信のために、紙幣も前期回路にリンクされたアンテナ等の伝送装置を備えている。
実施の形態144:
図58aは、電気回路3とアンテナ7とを備えた紙幣1を示す。アンテナ7や電気回路3は紙幣1内もしくは紙幣1上に固定されている。アンテナ7はダイポールアンテナとして構成されており、紙幣1の短辺の方に向けられている。搬送装置120による搬送中の紙幣の向きが長辺T1に平行な方向なのか、短辺T2に平行な方向なのかによっては、センサー装置145のデータ交換装置への要求が異なってくる。アンテナ7を図58bに示すように固定するときには、これらの要求は逆になる。
センサー装置145のデータ交換装置はアンテナ7の向きや、センサー装置145のデータ交換装置の向きや、搬送方向T1、T2に関係なくセンサー装置145のデータ交換装置と紙幣1の電気回路3の間のデータ交換が可能なように構成されている。
搬送装置120による搬送の間に紙幣1のアンテナ7の向きや位置を判断し、データ交換ができるようにセンサー装置145のデータ交換装置を制御してもよい。センサー装置145内の他のセンサー、例えば、紙幣1の光学的情報を記録するセンサーを、このために使用してもよい。
センサー装置145のデータ交換装置と紙幣1を、センサー装置145のデータ交換装置と紙幣1の電気回路3が誘導的もしくは容量的に結合されるようにしてもよい。これは、例えば、センサー装置145のデータ交換装置および紙幣1に導電結合面を設けることによって、行うことができる。
縦方向にも横方向にも、すなわち、長辺T1方向に紙幣が搬送されても、短辺T2方向に紙幣が搬送されても、紙幣1の電気回路3のアンテナ7の向きと関係なく紙幣1の電気回路3と通信ができる紙幣処理機100のデータ交換装置が提案されている。
実施の形態145:
図59に示すさらに他の実施の形態のデータ交換装置142は互いに絶縁された複数の導電性セグメント150〜156を備えている。図59aは、不図示の紙幣の電気回路3がセグメント152の高さにある時点のデータ交換装置142を示している。この時点では、アンテナ7の一方はセグメント150,151の部分にあり、アンテナ7の他方はセグメント153〜156の部分にある。データ交換装置142と電気回路3との通信を可能とするためには、セグメント150,151は導電的に接続157aされていなければならない。同様にセグメント153〜156も導電的に接続158aされていなければならない。これによって、セグメント150,151およびセグメント153〜156はアンテナとして、もしくはデータ交換用の結合面として機能する。電気的接続157a、158aは演算装置160に接続されている。
紙幣1が紙幣処理機100の搬送装置120によって動かされるため、紙幣1のアンテナ7の位置が変化する。図59aに示す場合は、アンテナ7はデータ交換装置142のセグメント150〜156に直角な方向Tに搬送されており、セグメント150〜156に対するアンテナ7の位置が変化する。図59bはより遅い時点でのデータ交換装置142を示しており、図59bにおいては、紙幣1、アンテナ7は電気回路3とともに搬送装置120によって図59aに比べてさらに搬送されている。この時点では、電気回路3がセグメント154の高さにあり、セグメント150〜153は導電的に接続157bされており、セグメント155,156は導電的に接続158bされている。これによって、セグメント150〜153およびセグメント155,156はアンテナとして、もしくはデータ交換用の結合面として機能する。電気的接続157a、158aは演算装置160に接続されている。
正しいセグメント150〜156がつねに互いに導電的に接続されるように、搬送装置120によって搬送される紙幣1の位置はセグメント150〜156の接続が紙幣1かアンテナ7と電気回路3の動きと同期するように決定される。ある特定の時点における紙幣1の正確な位置が分かれば、搬送装置120の搬送速度が分かっているので、例えば、搬送装置120の搬送路に配した光バリアーによって紙幣1の位置を割り出すことができる。演算装置は個々のセグメント150〜156の上述の電気的接続を制御することができる。このため、演算装置160は、例えば、セグメント150〜156に接続されて電気的接続157,158を形成するトランジスタ等の電子スイッチやリレー等の電気機械スイッチを制御することができる。
さらに、紙幣1やアンテナ7の向きを決定する。紙幣処理装置100は紙幣1をその長辺あるいは短辺のいずれかに沿って搬送するため紙幣1の向きは通常分かっている。処理される紙幣のタイプ、例えば、券種、が分かると、アンテナ7の位置と向きも分かる。それが分かっていない場合は、センサー装置145の導電センサーをさらに使って、アンテナ7の位置と向きを決定して、例えば、データ交換装置142のセグメント150〜156の上記電気的接続を制御することもできる。
図59cに示すように、アンテナ7がセグメント153の高さにあり、T方向にセグメント150〜156に平行に搬送されていることが把握されると、セグメント150〜152は互いに導電的に接続157cされる。セグメント154〜156も互いに導電的に接続158cされる。上記電気的接続157c、158cは演算装置160に接続されて、電気回路3を評価する。この場合は、回路3とアンテナ7の位置がデータ交換装置142のセグメントに対して変化しないため、電気的接続157c、158cをそれ以上モニターしたり、変更したりしなくてもよい。
実施の形態146:
図60は電気回路3付きの紙幣1を処理する本発明の紙幣処理装置100用のデータ交換装置のさらに他の実施の形態を示す。本例のデータ交換装置は紙幣処理装置100の分離機111、例えば、分離ローラーから構成されている。本例のデータ交換装置は一対の導電性ローラー体142a、142bからなっている。その一対の導電性ローラー体142a、142bは分離ローラーを構成するとともに、絶縁体142cに接続されている。さらに、その一対の導電性ローラー体142a、142bはデータ交換用の演算装置160に接続されている。紙幣1が分離機111(図57)によって入力装置110から分離されると、紙幣1の電気回路3とデータ交換装置142の間のデータ交換がなされる。紙幣1が分離機111によって検出されたとき、アンテナ7の一方はローラー体142aの部分にあり、他方のアンテナ7は他方のローラー体142bの部分にあり、演算装置160はデータ交換装置142a、142bを介して電気回路3とデータ交換ができる。
実施の形態147:
図61は電気回路3付きの紙幣1を処理する本発明の紙幣処理装置100用のデータ交換装置のさらに他の実施の形態を示す。本例のデータ交換装置は紙幣処理装置100の分離機111、例えば、分離ローラーから構成されている。本例のデータ交換装置は紙幣処理装置100の搬送装置120に沿って配された一対の導電面142a、142bからなっている。データ交換装置の導電面142a、142bは互いに絶縁されており、さらに、搬送方向T1、T2に傾斜している。これによって、紙幣1が搬送装置120によって、データ交換装置160を通り越すと紙幣1のアンテナ7、7’の向き、搬送方向T1、T2に無関係に紙幣1の電気回路3、3’とデータ交換装置142a、142bの間で確実にデータ交換が行われる。これによって、演算装置160はデータ交換装置142a、142bを介して、紙幣1の電気回路3、3’とデータ交換を行うことができる。
実施の形態148:
他の例では、紙幣処理装置100のデータ交換装置142は回転したり、移動したりする、電界もしくは磁界を形成する装置を備えている。例えば、いわゆる、「phased array」原理にしたがって機能するアンテナ構造を使用することができる。このデータ交換装置142によれば、紙幣1のアンテナ7の向き、位置形状に無関係に、また他の位置や紙幣処理装置100の搬送装置120の搬送方向に無関係に紙幣1の電気回路3との間でデータ交換を行うことができる。
実施の形態149:
データ交換装置142の上述した構造は紙幣1にも利用することができる。例えば、アンテナ7を紙幣1内もしくは紙幣1上に斜めに配すれば、紙幣1の向き、搬送に関係なくデータ交換装置142とのデータ交換を行うことができる。さらに、十字型ダイポールアンテナ、閉アンテナ構造(環状、円形、多角形(とりわけ、長方形)等)あるいはリッジドアンテナ構造等の他のアンテナ構造も採用できる。
上記データ交換装置142は搬送装置120の部分にではなく、分離機111もしくは入力装置110の部分に配してもよいし、例えば、第2のセンサー装置140(図57)の一部品として加えてもよい。
実施の形態150:
図62は紙幣1を挿入する入力装置110を示す。位置111で、紙幣1は分離機111によって、検出され、分離され、T方向に搬送装置120に移動される。紙幣1の電気回路3とのデータ交換のための、データ交換装置142は入力装置110の部分に配されている。データ交換装置142は上述のような構造と機能を有する。
データ交換は次の紙幣1(分離機111の構造によって、最上位の紙幣か最下位の紙幣)が分離されるときに、不活性化状態で行われる。
所定の紙幣1が分離される間に、例えば、データ交換装置142を通過せしめられる際の紙幣1の動きを利用して、データ交換を行ってもよい。上述のように、分離機111はそれ自体が、分離ローラーであるのが望ましいが、データ交換装置142を構成してもよい。
しかしながら、入力装置110内の複数のもしくは全ての紙幣とデータ交換をいってもよく、その場合には、衝突や漏話を回避する必要がある。
常に、唯1つの紙幣がデータ交換装置142と通信できるようにすることによっても混線や漏話の問題を解決することができる。このために、唯1つの紙幣がデータ交換装置142と通信できるようにする手段が設けられる。これは、分離すべき次の紙幣がデータ交換装置142とデータ交換できるようにするのが特に有利である。これには、データ交換装置142とのデータ交換とは異なる伝送方法を用いるのが、特に便利である。例えば、光を照射する等の光学手段を用いてデータ交換できるようにすることができる。
充分な輝度で照らされると、電気的にトランスポンダーの機能を可能とする光電池をトランスポンダーチップ3に設けてもよい。光源を、チップ3の部分で分離される次の紙幣を照らす分離機110に設けると、次の紙幣が通信に必要な装置を活動可能にし、それによって、データ交換を可能とする。その光源の明るさは、分離された紙幣を透過して次の紙幣に入射する光が次の紙幣を活動可能にしないようなものに設定される。例えば、この光電池の光感度をこの場合に最適なようにする閾値をチップ3に設けると便利である。この場合、チップ3の光電池が光源の方向を向くように紙幣を分離機内に配するように注意する必要がある。
実施の形態151:
分離される次の紙幣の一部または全体に光を照射することによって活動可能にする。これは、このとき(分離前)、紙幣1が、前述のように、上から分離するか、下から分離するかで異なるが、最上位または最下位の紙幣になっており、入力装置110内で、広く開いているからである。図62に示すように、次の紙幣1の一部または全体に光を照射する光源141が設けられている。光は、フォトトランジスター等の光電気部品で、紙幣1の電気回路3の一部品となり得るものに当たり、電気回路3をデータ交換装置142とのデータ交換が可能なように活動可能にする。
入力装置110内での光電気部品の位置が正確にわかれば、光の照射は複数の選択された点でなされる。
最初に述べたように、紙幣内で1個ないし複数のフォトダイオードを使用すれば、可能性がさらに増える。光源141の光は光電気部品に導かれる。そのために、フォトダイオードの一端がその光電気部品に結合される。フォトダイオードの他端は紙幣の縁で終端させてよい。そうすれば、光源からの光は1枚もしくは複数枚の紙幣の縁に選択的に結合して、その紙幣を活動可能にすることができる。分離機111に把持されたばかりの紙幣1の搬送方向Tに見て、前方の縁を入力装置110の外側で照らすようにすると、光が特に有利に結合される。分離されたばかりの紙幣1の縁のみが選択的に照らすことができ、その照射によって、その紙幣1の電気回路3のみをデータ交換が可能なように活動可能にする。
紙幣処理装置100内で、紙幣がとにかく分離されれば、最上位もしくは最下位の紙幣と選択的に通信することが可能になるので、フォトダイオードを必要としないほうが望ましい。この場合、次の(分離機111から見て)紙幣が活動可能とならないように、前述のように、1枚の紙幣を透過した光が次の紙幣を活動可能とするのに不十分であるようにする閾値が設けられる。
実施の形態152:
図62にさらに示すように、第2のセンサー装置140はセンサー143を備えている。例えば、センサー143は特定の分離された紙幣の面を捉え、その信号が演算装置160によって評価される光学的センサーであってよい。
紙幣1の状態に関する結論は、例えば、紙幣1の表面の汚れや破損に関する光学的な見かけによって出される。またその評価によって、真贋もしくは通用性に関する判断、さらには、券種に関する判断をしてもよい。紙幣1の真贋や他の特性をチェックするために第2のセンサー装置140の分離機111や入力装置110の部分に他のセンサーを設けてもよい。
実施の形態153:
分離前や分離中に紙幣1もしくは紙幣1の特徴が早く分かると、演算装置160は紙幣処理装置100の他の部分に関する予備設定をすることができ、それによって、それ以外の処理を容易にし、加速し、改良することができる。例えば、演算装置160はセンサー装置145をある通用性や券種のチェックのために予備設定することができ、その結果、より速く、より正確なチェックが可能になる。
データ交換装置142、光源141および外部センサー装置145の追加のセンサー(第2のセンサー装置140に関連して前述、分離機111や入力装置110の部分に配される)の構造もしくは機能は、出力装置130〜137に託される紙幣にも適用することができる。
実施の形態154:
紙幣とチェック装置の間のデータ交換によって、一方では読取の他方では書込みの前兆とすることができる。周知のように、EEPROMを使用すると極めて短時間でデータを読み出すことできるが、書込みには比較的長時間を要する。読取だけが行われるのか、書込みも行われるのかによって、チェックシーケンスを妨げずにそれを容易に行うことができるかどうかチェックする必要がある。例えば、処理速度が1秒間に紙幣40枚であるような高性能のソート機を使用する場合には、次の紙幣までのアイドルタイムが最大1/40秒続くことを考慮する必要がある。全ての予定された対策を前述にしたがって、うまく使うひつようがある。すなわち、ソート機中の位置を書込み操作によって選択する必要があり、この際、これらのことを、考慮に入れる。
紙幣は螺旋溝スタッカー130,132、143,136(図57)内にいる時間が最も長い。したがって、螺旋溝スタッカーの溝内に書込み装置を設けるのが特に好都合なように思える。
これによって、紙幣の電気回路3とのデータ交換を、預け入れるべき紙幣が回転装置130,132、134,136の溝内にある間に行うことができる。一度に螺旋溝内にある紙幣は通常1枚なので、紙幣ないし、その電気回路3を光学的に活動可能にしてもよい。また、前述と同様に回転装置130,132、134,136内にセンサーを追加してもよい。さらに、各螺旋溝を例えば、ファラデー遮蔽を構成する導電性表面で互いに遮蔽してもよい。
同様にスタッカー131,133,135,137内にデータ交換装置を設けることも可能である。この場合には、スタッカー131,133,135,137に導入された複数の紙幣もしくは最後に導入された紙幣とデータ交換をすることができる。スタッカー131,133,135,137に最後に導入された紙幣の表面には自由にアクセスできる、すなわち、最後に導入された紙幣の表面は他の紙幣で覆われていないから、上述のデータ交換を可能にする仕方が使用できる。また、前述と同様にスタッカー131,133,135,137の部分に更なるセンサーを設けることもできる。
電気回路3を備えた紙幣1の処理を向上させるため、すなわち、処理速度を上げるため、紙幣1と紙幣処理装置100間のデータ交換を分散させてもよい。このため、例えば、読取と書込みを分離してもよい。
実施の形態155:
例えば、分離機111または入力装置110の部分において第2のセンサー装置140によって、紙幣1の電気回路110からデータを読み取る。次に、紙幣1の電気回路3に搬送装置120や出力装置130〜137のデータ交換装置に取り付けられたセンサー装置140によって書き込むことができる。同様に、読取と書込みをさらに分離することも実際には可能である。例えば、紙幣1の電気回路3から情報の一部のみ、例えば、通し番号のみ、を第2のセンサー装置140において読み取り、紙幣処理装置100での処理に必要な残りのデータをセンサー装置145で読み取るようにすることもできる。同様にして、読取と書込みを前述の異なる位置に配したデータ交換装置間同様、読取と書込みを任意に分散させることができる。
言い換えると、シート材料回路からエネルギーやデータを受け取る処理装置は、処理装置のエネルギーやデータを処理装置からシート材料回路にエネルギーやデータを送る伝送装置と同じ処理部分または異なる部分に配された、受取装置を有する。処理部分ないし処理ステーションという言葉は、入力、分離、搬送路、センサー通路、スタッカー、預け入れ手段等の異なる機能を有するモジュラーを称するものと理解するのが望ましい。
コンピュータ制御光バリアー
紙幣処理装置100内の紙幣の処理の各工程をより良くモニターするために、光バリアー161〜165が設けられる。光バリアー161〜165は紙幣処理装置100を通る紙幣の搬送を捕捉し、それを、演算装置160に転送する。もし必要ならば、搬送装置120に沿って、光バリアーをさらに設けてもよい。例えば、センサー装置140、145は光バリアーと見なすことができ、したがってその信号は評価される。したがって、光バリアー161〜165の信号が演算装置160によって評価されると、搬送装置によって分離された後の紙幣の位置を決定することができるのである。
実施の形態156:
データ交換装置を光バリアー161〜165の位置に光バリアーの替わりもしくは光バリアーに加えて設けると、モニターするのがさらに改良される。そのような光バリアー161〜165は以下、コンピュータ制御光バリアー161〜165と称する。それによって、紙幣処理装置100における処理の開始時に、処理すべき紙幣の特有なデータ、例えば、通し番号、を紙幣の電気回路から読み出すことができるようになる。同じことが、例えば、センサー装置140もしくは145でも可能になる。搬送装置120の先への搬送路に沿って、特有なデータをセンサー装置145およびコンピュータ制御光バリアー161〜165によって再度読み出し、それを、モニターするために記録する演算装置160に転送する。このような、コンピュータ制御の光バリアーを、例えば、搬送装置内に重なった紙幣がないかどうかを検出するのにも使用することができる。
これによって、紙幣処理装置100内の紙幣の処理をどの時点でも正確にモニターすることができる。特に、紙幣の詰まり等の誤動作があった場合に、個々の紙幣をより上手に振り分けることができる。これは、異なる人の紙幣を同時に処理するときには特に重要である。この場合に、異なる人の紙幣が混じってしまうと、対応する特有なデータ(通し番号)が分離の間に検出され、演算装置160に保存されるため、各紙幣を最初の口座に振り分けてしまうことがある。
誤動作とそれに伴う紙幣の混ざりが生じたとき、個々の紙幣の通し番号によって、元の振り分けを再現することができる。
同様に、紙幣処理装置で処理する束を作る際、紙幣の電気回路に所有者(例えば、名前や口座番号)を記録してもよい。これは、預け入れる人自身が行ってもよいし、紙幣処理装置の場所で行ってもよいし、その場所への輸送途中で行ってもよい。処理中に紙幣が詰まったり、紙幣の順番が混ざったり(いわゆる、クロスオーバー)する、誤作動が起きたときには、預け入れた人への紙幣の振り分けは自動的に回復される。
これは、紙幣の通し番号を読むオペレータにその通し番号を比較させ、演算装置166に表示されているどの束にその混ざってしまった紙幣が帰属すべきかに関するデータを含む記録にとどめることによって実行することができる。混ざってしまった紙幣の束を入力装置110に再度挿入することによって行ってもよい。そうすれば、混ざってしまった紙幣は演算装置160の記録にしたがって特定の束に自動的に振り分けられる。情報をライトオンリータイプの記憶領域に書き込み、預け入れた人の匿名性を維持するようにしてもよい。不確かなときはその情報の有効性をチェックし、チップにのみ出す。
電気回路付き紙幣の破壊
シュレッダー138で紙幣を破壊するのをモニターするときには、不正操作によって破壊前に搬送装置120から紙幣を抜き取るのを防止しなければならないので、特別なセキュリティが必要である。このため、紙幣を破壊したり、シュレッダーにかけたりするのは、中央銀行のみでするのが今まで一般的であった。これに対して、本発明によれば、これをキャッシュセンター等のキャッシュ取扱所で行うことができる。
実施の形態157:
これを防止するために、コンピュータ制御の光バリアー165をシュレッダー138に直接隣接して、あるいはシュレッダー138の一部として設けてもよい。これによって、紙幣の抜き取りがない場合は、コンピュータ制御の光バリアー165が予定されている紙幣を演算装置160に報告することがなくなるため、シュレッダー138によって破壊される前に紙幣を抜き取ると発覚する。コンピュータ制御光バリアー161〜165、もしくは、センサー装置140,145が紙幣の通し番号を捕捉すると演算装置160は破壊すべき紙幣のリストを作って、保存し、さらには、中央のデータベースに転送することができるようになる。そのリストの通し番号を有する紙幣が以後の流通で出回ったときは、その紙幣は破壊された紙幣と同じ通し番号を有する紙幣を贋造したことになる。
コンピュータ制御の光バリアー165で捕捉され、演算装置に転送された通し番号をリストから削除してもよい。それらの破壊が確実だからである。後者のリスト前記リストに加えて、あるいは前記リストの替わりに後のモニターのために保存してもよい。
紙幣139の破壊後に電気回路も使えなくするために、例えば、シュレッダー138を電気回路も確実に破壊されるように構成してもよい。このために、紙幣の残部139をさらに処理する、例えば、燃やすようにすることもできる。
同様に、コンピュータ制御光バリアー165が電気回路を破壊したり、不可逆な書込みによって、無効であるとマークするようにしてもよい。これは、例えば、電流によって不可逆的に焼かれて、その後の使用を不可能にするいわゆるフューズによって実施できる。
さらに、破壊された全ての通し番号を含むリストとの比較も可能である。これらの破壊された通し番号が後の時点で出回ったら、不正操作がなされたことになる。この比較と、破壊前の抜き取られる紙幣の上記モニターを可能にするため、破壊されたと思われる全ての紙幣の通し番号を記憶している中央データベースに問い合わせてもよい。これは、ネットワーク接続、例えば、インターネット接続、を介して実行可能である。データベース内の通し番号はネットワーク接続を介して、必要に応じて、チェックすることができる。あるいは、有効な紙幣のデータベースからその紙幣を削除してもよい。
紙幣処理装置100内での処理中にそのような紙幣が出回っても、その紙幣の電気回路は、例えば、その紙幣の電気回路もしくはアンテナに欠陥があるためデータ交換装置と通信ができず、その紙幣は、その欠陥のためにもう使えないので、制御装置160に導かれて、搬送装置120からシュレッダー138に送られる。演算装置160によって、センサー装置145の信号を評価してチェックした紙幣の他の特徴のゆえに、続けて使用するのを防止するために、その紙幣が贋物でないことや、上記破壊のマークが不可逆的に書き込まれた紙幣でないことが保証される。
しかしながら、評価できない電気回路を有する紙幣を特別な、積み重ね手段、例えば、スタッカー131に送り、そこに疑わしい、あるいは処理できない紙幣を積み重ねて、手動で検査するようにしてもよい。ここで可能になる分析によって、電気回路に欠点があることや、電気回路が全くないことがしばしばあることが断定される。
電気回路のデータの利用
紙幣の電気回路と紙幣処理装置のデータ交換装置の間のデータ交換に関連してここまでに述べた読取や書込みとは別に様々なデータの読み、書きが可能である。例えば、紙幣が存在するかどうかをデータ交換によって判断することができる。さらに、紙幣の通用性や券種をデータに含めてもよい。
実施の形態158:
そのデータを紙幣を数えたり、ソートしたり、会計処理したりするのに追加的に使用できる。電気回路内に含まれるデータを単独で、あるいはセンサー装置145ないし140の信号からを演算装置160によって得られた情報とともに評価することによって、処理の安全性が大きくなり、上述のコンピュータ制御光バリアー161〜165による完全なモニターによって、安全性がさらに大きくなる。紙幣が失われたり、配分(見分けることが)できなくなったりすることは滅多になくなる。
実施の形態159:
電気回路のデータを紙幣の状況を判断する処理のために使用することができる。この目的のために、テストデータを電気回路に書き込むことができる。特定の紙幣の製造日、流通にまわした日、最後の状況判定日等に関するデータを電気回路に書き込んでもよい。さらに、色の変化等の製造にかかわるパラメータに関する情報、直前のチェック(すなわち、センサー装置145のセンサーの信号、その信号の演算装置160による評価)に関する情報等のデータが電気回路のそのための記憶領域に書き込まれ、保存される。
実施の形態160:
保存されたデータは後の試験、例えば、状態の判断に使用することができる。流通時間と紙幣の状態の統計的な関係は良くリサーチされ、知られているため、紙幣の製造日、流通にまわした日、最後の状況判定日等から紙幣の大体の状態を判定することができる。もちろん、最後の状況判定の結果を保存しておき、それを考慮にいれることもできる。この場合に、光学的により高度な紙幣の状態の試験をしてもよい。試験しないと、紙幣の状態を単に保存された日付けに基づいて推定することになる。あるいは、疑わしい、期限の切れた、あるいは特にマークされた紙幣のみにさらに高度なチェックを行うようにしてもよい。
実施の形態161:
上述のように、流通時間と紙幣の状態の統計的な関係は比較的良く知られているが、とくに、紙幣のメーカーの側では紙幣の擦り切れの実際の原因に関するより正確で信頼性のある、情報を入手して、紙幣の耐久性をよくする改良をしたいであろう。このため、1個ないし複数個のセンサーを紙幣の紙に一体化して、環境の影響を測定するようにすることもできる。
そのセンサーは化学的、物理的、機械的変数を測定する。例えば、湿度、温度、含塩量、pH値、細菌もしくは黴の出現、破損や断裂を測定するセンサーを使用することができる。
そのセンサーはチップ自体に一体化するか、紙幣の紙の他の部分に薄膜技術によって別に設けるのが望ましい。最も簡単な例では、そのセンサーはそのゲート電極が、特別な予備処理、あるいはコーティングのゆえに、検出される材料と反応するようにして取り付けられたFETトランジスタとすることができる。
そのセンサーは紙幣のチップに接続される。チップはEEPROM等の書込み可能なメモリーを有しており、センサーの表示した測定値を記憶する。その値は、毎日等、定期的に記憶するのが望ましいが、後で、権限のある機構、例えば、中央銀行によって、流通に再度乗せられる特定の紙幣を受け取ったときに、読み出して、評価することができる。
流通にまわされる紙幣全部に一体化したセンサーを設ける必要はなく、紙幣の一部にセンサーを設けて信頼性のある評価のために、充分な測定データを得れば、充分である。
実施の形態162:
紙幣の電気回路に記憶されているデータ、例えば、製造にかかわるパラメータに関する情報、直前のチェックに関する情報、から、記憶されたデータに応じて測定パラメータを調整することが可能になる。これによって、例えば、前述の色の変化を光学センサーからの信号をチェックするときに考慮することができ、結果として、測定が改良され、紙幣処理装置100による紙幣の処理が改良される。
実施の形態163:
特定の、例えば、光学的もしくは磁気的な、セキュリティ用の特徴の存在、位置もしくは真贋を紙幣1の製造時に紙幣1のチップ3に記憶してもよい。
その紙幣1をチェックするときにチップデータを読み出すことによって、特定の場所だけでより正確に例えば、より高い解像度でチェックがなさされるようにすることができる。例えば、紙幣1のセキュリティ用の特徴に関するデータをセンサー装置145の図57のような演算装置160によって、転送して、所定の位置にセキュリティ用の特徴があるかないかをチェックしてもよい。これによって、例えば、WO 01/60047 A2で必要とされる、セキュリティ用の特徴の存在および位置を決定するのに必要な予備チェックを、回避することができるようになる。それによって、紙幣処理装置における、地域によって大きく変化するセキュリティ用の特徴を検出する方法を、より簡単にすることができるようになる。
実施の形態164:
電気回路に記憶されているデータによって、明確に割り当てることができずに、例えば、前述のように、スタッカー131に積み重ねられかねない紙幣を後で処理することができるようになる。このデータは評価され、後のオペレータによる手動鑑定の際に考慮に入れられる。結果として、オペレータが紙幣のどの特徴が疑わしかったのか直ぐ分かるため、手動鑑定が通常容易になる。
預金処理
処理に関連するデータを保存しておくことの更なる利点は、各預け入れが複数の紙幣からなり、異なる預金者によってなされた場合の預金処理の際に発揮される。これらの預金の紙幣は通常分離カードによって、互いに分離されるが、この分離カードは、例えば、預金者に関するデータを含むことができる。そのデータは紙幣の電気回路と同様な分離カードの電気回路に記憶される。異なる預金者の紙幣の電気回路のデータを、紙幣処理装置100が手に入れることができれば、分離カード無しで済ますことができる。
実施の形態165:
その目的のために、預金者が、その紙幣が誰に帰属するかを特定することができるようなデータを電気回路に書き込むようにすることもできる。そのデータは、例えば、口座番号あるいは顧客番号とすることができる。また、そのデータは、例えば、預金者がその紙幣を受け取ったとき、例えば、キャッシュレジスタに入れたとき、電気回路に記入することができる。紙幣処理装置100における処理の際、預金者を特定するそのデータは特定の紙幣の預金者を特定するために、どの時点でも使える。
実施の形態166:
通し番号等の束の最初もしくは最後の紙幣を特定するものを記録して、演算装置166によって、この通し番号にしたがって、各預金者に紙幣を割り当てるようにしてもよい。紙幣処理装置100内での処理の間にセンサー装置140もしくは145のデータ交換装置による紙幣の分離の間または後に、各紙幣の通し番号を読み、演算装置160は、記録された通し番号があったときに紙幣を預金者に振り分ける。さらに、特定の預金者の全ての紙幣に紙幣処理装置100によって、紙幣の電気回路に書かれた預金者を特徴付けるデータをマークし、処理中のどの時点でも、紙幣がどの預金者に帰属するのか分かるようにしてもよい。
実施の形態167:
例えば、チップ3に欠陥があって、認識できない紙幣1を自動的にソートし、別に扱うようにすることもできる。そのような紙幣の通し番号を、例えば、別々に走査して、後の処理のために、記憶しておくこともできる。
真贋チェックとデータのセキュリティ
真贋のチェックもしくは処理すべき紙幣の電気回路に記憶されているデータ(例えば、真性証明、額、券種、通し番号等)の少なくとも一部を改良し、保護するために、データを暗号化して紙幣の電気回路にデジタル署名とともに保存したり、紙幣と紙幣処理装置間のデータ交換が暗号化状態もしくはデジタル署名を伴った状態で行われるようにしてもよい。
同様に、紙幣の電気回路のメモリーの、アクセスを保護された特別な領域にそのデータを記憶することもできる。このデータは使用しているデータ交換装置が権限を有している場合には読取または書込みができる。これをチェックするために、紙幣と紙幣処理装置間、もしくは、電気回路とデータ交換装置間で、相互オーセンティケーションを実行するようにしてもよい。
PKI(公開キーインフラストラクチャー)法が暗号化に特に適している。この方法は、データを保存するのに特別に保護された電子部品を必要としないので、紙幣処理装置を簡単に実現できるからである。PKIはいわゆる非対称暗号化法であり、データの暗号化には秘密のキーを使い、解読するにはいわゆる公開キー、誰でもアクセスできるキー、を使用する。この場合、例えば、秘密のキーは中央銀行に保管され、公開キーは紙幣処理装置に保管される。
紙幣処理装置で暗号化されたデータを紙幣の電気回路に書き込む時には、秘密のキーを使用して、例えば、紙幣処理装置もしくは以降の工程で処理するデータを暗号化する必要がある。
データもしくはその一部にデジタル署名を付けることもできる。その目的のため、紙幣のメモリーに記憶されているデータもしくはそのデータから形成されたハッシュ値に関するデジタル署名を作成、保存するのに秘密のキーを使う。そうすれば、デジタル署名を公開キーでチェックしてデータをチェックすることが可能になる。
データの上記暗号化もしくはデジタル署名の作成に、例えば、用途、ユーザー毎に異なるキーのセットを使用することができる。同様に、通用性、シリーズ、券種等毎に異なる秘密のキーと公開キーのセットを使用してもよい。
データもしくはその一部を保護するための上記方法は、単独で使用してもよいし、所望の組み合わせで組み合わせて、セキュリティを強化してもよい。
紙幣の真贋のチェックを改良するために、上述の暗号化された、もしくは解読されたデータを有する電気回路に、紙幣に固定的に接続されて、その紙幣を区別する特徴から引き出された更なるデータを(暗号化して)、含ませてもよい。最も簡単な場合には、これは、例えば、暗号化されて、あるいはデジタル署名とともに、電気回路に保存される通し番号でよい。
実施の形態168:
紙幣処理装置100でのチェック時に、例えば、データ交換装置142のセンサー装置140や145によって、紙幣の通し番号を読み、演算装置160で例えば、上述のPKI法で解読する。同時に、センサー装置140や145は、光学センサー、例えば、センサー143によって、紙幣上に印刷されている通し番号を検出する。2つの通し番号が一致すれば、その紙幣は本物であり、そうでなければ、贋造を仮定しなければならない。贋造の疑いのある紙幣は例えば、第1の出力スタッカー131に移動されて、前述のように、手動チェックされる。そのため、電気回路もしくは演算装置160に記憶されているデータが利用され、センサー装置140や145によって、チェックの結果に関する情報が提供される。
通し番号等の、紙幣の、人間の目に見える特徴を使用する替わりに、簡単には気がつかない特徴を使用してもよい。その特徴は、光を発したり、特殊な磁気特性を見せたりする特殊な材料で形成することができる。そのような材料の存在は、紫外線や赤外線によって励起し、あるいは磁力によって励起し、バイオチップセンサー等のセンサーによって検出し、演算装置160によって評価することによって確認される。さらに、そのような材料を使ってコード、例えば、バーコードを作成し、通し番号について上述したようにして特徴に応じてコード化した情報を比較のために電気回路に保存し、真贋をチェックするようにしてもよい。特徴を紙幣に規則的に、例えば、上述のバーコードのように、並べるのではなく、不規則にあるいは一見不規則に並べてもよい。この場合には、例えば、センサーを使用して、特徴の具体的な配分を決定し、対応する紙幣の電気回路に保存する。データの保護のための上記方法をこの目的のために使うこともできる。
上述のように、特定の紙幣1に特有なデータ(例えば、紙幣1の紙に関するデータもしくはそれに含まれる特徴物質も含む)をチップ3に含ませることもできる。替わりにあるいはそれに加えて、紙幣に特有なペーパーデータとチップ3の通し番号等の紙幣に印刷された通し番号と対応する場合もありしない場合もあるチップデータとを結合する情報を紙幣に設ける(例えば、印刷によって)ことも考えられる。これは例えば、バーコードもしくは受動発振回路上に印刷することによって実施することができる。詳しく上述したように、互いに関連するペーパーデータとチップデータを偽造されないように、情報を暗号化するか、もしくはデジタル署名を付するのが望ましい。ペーパーデータはシート材料の紙やその中に含まれる特徴物質に関するデータを称し、チップデータは通し番号等のチップに関するデータを称する。
この例の長所は紙幣を簡単かつ迅速に製造できることである。それぞれ、チップをマークするチップメーカーによって作成されるデータ、例えば、通し番号、は紙幣製造の最後に単純にチップから読み出されて、通し番号等の紙幣メーカーによって作成されるペーパーデータと結合されて例えば、バーコードの形で印刷される。この方法によれば、紙幣製造時に読取と比べて高度な書込みをしないで済む。
紙幣の真贋のチェックに関連して上述したことは、以降の仕事に使用することもできる。
実施の形態169:
特徴は外部の影響と無関係でなくて差し支えない。例えば、蛍光効果は時間とともに弱くなって差し支えない。このタイプの特徴は、例えば、もはや流通に耐えない紙幣を選び出すために、紙幣の変化に関する情報を作るのに使用することができる。
上述のような、更なる特徴を紙幣の電気回路に保存して、紙幣が損なわれていないことをチェックするのに使用することもできる。
紙幣ほぼ全体に亘る特徴のパターンが保存されていると、紙幣処理装置での処理中に新たに検出された特徴と比較して、紙幣が損なわれていないかどうかを決定するのに使用してもよい。この特徴のデータはいわゆる紙幣が損なわれていないかどうかをチェックする(場合によっては、一緒には存在するはずがない部分を検出する)「スニッププロテクション」に使用することができる。
実施の形態170:
上述のデータ保護と真贋チェックを例えば、シリコン技術による電気回路もしくは、有機半導体技術による電気回路によって、改良することができる。真贋チェックにおいて、電気回路の存在をまずチェックし、最後には前述の通し番号もしくは額(券種ということもある)を考慮に入れたより複雑な方法にいたることを前提とする。
電気回路のチェックのみのときは、電気回路を本物の紙幣から外して無色の紙やコピーに貼り付ければ、紙幣処理装置もしくはそのセンサーはだますことができる。さらに、人対比との交換の場合等には電気回路の無いことに気がつかないことが多いので、電気回路の無い紙幣がなお流通していることがある。通し番号と電気回路の前記組み合わせによって、安全性は既に高められている。この目的のためには、電気回路は一度しか書けないメモリー、いわゆるWORMメモリーを備えていれば充分である。通し番号と紙幣の額に冠する情報は公知の方法で記憶することができる。さらに他の値を紙幣の他の特徴から決定することができる。しかしながら、その「他の値」としては、乱数が適している。
電気回路付きの紙幣は電気回路に通し番号、券種、チェック番号等を含んでいてよい。例えば、上述した秘密のアルゴリズムにより、電気回路内のデータ(券種、通し番号)と追加の情報からチェック番号を導く。導かれたチェック番号と電気回路内のチェック番号を比較する。
紙幣のさらなる特徴、例えば、秘密の特徴から解読した紙幣の額に関する情報、を保護として使用してもよい。この紙幣のさらなる特徴はセキュリティ用線条上に光学的、機械的、磁気的等のコードとして記憶しても良く、秘密の特徴物質の検出の際決定された、測定値を使うこともできる。この秘密の特徴物質は紙幣の面を覆ってもよいし、ある場所に限定された状態で貼ったり、組み込んだりしてもよい。同様に、紙幣の厚み方向のプロファイルもしくは印刷から導いた特徴を使用することもできる。紙幣のフォーマット、印刷された画像の位置等を使用してもよい。
さらなる特徴は、紙幣上で測定することのできる(いわゆる、特有の特徴)、不規則な測定値から導いてもよい。例えば、紙幣の或る表面部分の光透過率を、印刷された文字またはセキュリティ用線条、光学的に変化する素子等の他の成分の位置のずれと丁度同じように測定してもよい。
券種と通し番号を1種乃至それ以上の前記他の特徴(紙幣の特徴とその他の特徴のチェックから導かれた測定可能な特性)とリンクさせるときには、例えば、他の特徴の測定信号の強度を参照するのが望ましい。これによって、額に関する紙幣の情報を、点や帯の数として、あるいは他の特徴の位置として表わすことができる。この場合には、その他の特徴を検出することによって、例えば、券種に関して判断を下すことができる。この場合には、他の特徴の配分(例えば、量、密度)は、相当大きな許容範囲で位置毎に変化する。しかしながら、その位置に他の特徴が存在することを完璧に証明するには充分であるので許容範囲が大きいことは取るに足らない。実際には、このために必要な最低の強度はほとんど常に大幅に超えている。したがって、要求される位置における特徴の強度の値から、追加の情報が得られる。この追加の情報は記憶したり、チェック番号を導くのに使用したりすることができる。
その他の特徴のチェック結果そのものを紙幣の電気回路に保存しておくことも可能である。これは、テストの測定結果が秘密の特徴もしくは秘密の物質から導かれるときには特に有利である。特定の値を直接知られても、それが秘密の特徴もしくは秘密の物質から測定によって導かれるので、この値の元は当然秘密になるから、問題ない。そのような特徴のリンクは電気回路内に一緒に保存すると起きる。
必要なことは、本発明の方法が一方では容易に読むことができる特徴(例えば、券種、通し番号)と或る個々の用紙(この用紙に特有な或る特性によって表わされる)とを結びつけることである。別に決定される、保存されている特徴と紙幣の特徴のリンクによって、券種もしくは通し番号が同じでも紙幣毎に異なる結果を1つずつチェックすることになる。これは、実際には不可能であるが、捏造の際にはしばしばあることである。
捏造者、例えば、自分で作った電気回路で贋物を作ろうとする者は、券種と通し番号に関する正しいデータを入れなければならない。これが成功したとしても、さらに、チェック番号を決定して、各紙幣に記憶させなければならない。これは、贋造の大きな妨げとなり、ほとんど誰もやってみようと思わない。これは、捏造者がチェック番号の重要性を知っていても同じことである。
例えば、他の特徴と同様セキュリティ用線条上でコード化されている額に関するデータを使用するためには、線条のデータも一緒に読まなければならない。他の実施の形態では、チェックの際シート材料のさらなる特性を含める可能性がある。紙幣のクロスプロファイルの光学的、磁気的もしくは容量的走査によって、例えば、各紙幣に典型的な特性を導くことができる。これは、指紋のようにその紙幣の独自性を表わすものである。この測定値を電気回路に保存し、一新された容量的走査の測定値(独自の特徴)と後でいつでも比較することができる。同様に、OVD(光学変化素子)ストリップの位置から特徴を導き、保存しておくこともできる。
特定の実施の形態では、紙幣の券種は電気回路に保存されない。その替わり、あるアルゴリズムによって通し番号と他の特徴がリンクされ、そのリンクの結果が電気回路に保存される。そのアルゴリズムを秘密にすれば、適切なセンサーしか保存されているデータから通し番号や券種を推定することができない。これは、適切な電気回路を使用することができ、データを提供できるようになった場合でも贋造の妨げとなる。紙幣の測定された特性を秘密のキーもしくはデジタル署名の助けによって暗号化して、紙幣のチップに入力するようにしたPKI法は特に有利である。真贋をチェックする装置は公開キーの助けで解読したり、署名をチェックしたりする。
実施の形態171:
紙幣を製造するとき、通し番号は電気回路に単なるテキストで保存される。さらに、最初に印刷される文字の左上隅から紙幣の左エッジまでの距離が測定され、この値Aが2桁に丸められる。例えば、3.243mmは32になる。ここでは、通し番号はモジュロAであり、結果(0と31の間の番号)が集積回路に同様にして、書き込まれる。ここで「A」は2桁の番号である。
実施の形態172:
1と8の間の番号を表わす、ビットコードが磁性印刷インクによって、セキュリティ用線条上に発生される。この値Aがチェック時に読まれ、まず券種とリンクされる。
B=券種モジュロA
Bの値は0と7の間である。この値を通し番号に乗じ、モジュロ演算を続ける。
C=(通し番号×B)モジュロX
Xに定数を当てはめることができるが、紙幣の情報の内容から決定した異なる値も使用することができる。結果Cを集積回路に書き込み、保存する。
実施の形態173:
金属層、例えば、メタライズされたストリップでは、ほとんど目に見えないような細かい切れ目が金属被覆に入れられる。この切れ目の間隔が測定され、デジタル番号が導かれる。結果が例えば、通し番号や券種とリンクされる。このリンクの結果が集積回路に保存される。
実施の形態174:
紙幣用紙の製造の際に適量の蛍光特徴物質が加えられる。集積回路の印刷と挿入に引き続いて、通し番号と券種が電気回路に保存される。さらに、特徴物質による蛍光の強さをセンサーで測定し、集積回路に保存する。
実施の形態175:
株券において、通し番号とその株券のセキュリティID番号が印刷される。
このデータは株券の電気回路に保存される。さらに、乱数が見えない特徴物質によって、デジタルコードの形で(バーコードの形でもよい)取り付けられる。この乱数は通し番号にリンクされ、そのリンクの結果がICに保存される。株券をチェックするときは、ICから通し番号とID番号を読み、保存されているデータと比較する。さらに、見えない乱数を対応するセンサーで読み、保存されているデータとリンクする。このリンクの結果は記憶されているデータと一致しなければならない。3桁の乱数xyzを使用した場合には、8桁の通し番号を乗ずれば、11〜12桁の数字を導くことができる。この方法は当然、紙幣等の他の有価証券にも適用することができる。
実施の形態176:
紙幣の印刷作業において、電気回路を特定するものが、紙幣に通し番号を与える計数機(すなわち、印刷技術装置)によって読まれ、紙幣に直接もしくはアルゴリズムによって変わる形式で、単なるテキスト、バーコード、画素コード等の2次元コードとして印刷される。これは、高圧計数機を使用しても極めて低い処理速度でしか行えないため、番号付けはインクジェット方式等のデジタル印刷法、またはレーザを使用して行う。
実施の形態177:
紙幣の印刷作業において、電気回路を特定するものが読まれ、様々に
形成することができる光学構造(例えば、格子、ホログラム)が特有に振り分けられた紙幣に転送される。横方向に分解された、構造的もしくは化学的変化を組み込むのが望ましい。
実施の形態178:
紙幣の印刷作業において、電気回路を特定するものが読まれ、様々に
形成することができる磁気構造が特有に振り分けられた紙幣に転送される。1次元的もしくは2次元的パーフォレーションを組み込むのが望ましい。この場合、レーザを使用するのが望ましい。
実施の形態179:
紙幣上に発振回路が載せられる。これは、印刷技術によって行うのが望ましい。複数の容量面、すなわち導電面(透明な導電性材料であるのが望ましい。)が互いに導電的に接続される。その導電面(例えば、n個あるとして)のサイズの比が2:1であると、2nがコード化される。このようにして、チェック番号が作られる。レーザによって、その導電面もしくはその一部が、発振回路から分けられ、所望のコード化がなされる。この構成の特別な利点は、チェック番号が発振回路の共振周波数を介して、非接触で決定できる点にある。
今まで述べた、電気回路以外にも、光学メモリー、例えば、TESA−ROM(コピーライト)も上述のデータや特徴を記憶するセキュリティ素子として適している。
最後の3つの例はチップ/ICが、ユーザーが書き込める記憶領域を有していないとき(例えば、ROM、WORM型)に使用するのが望ましい。しかしながら、上述の例は、磁気型、光学型のメモリー(例えば、TESA−ROM)等のチップ/ICを持たない他の形式のメモリーにも使用することができる。
実施の形態180:
電気回路付き紙幣の匿名性を確保し、同時に、紙幣のある種の特性、例えば、前の所有者、もしくは持参者、をモニターすることができるように、紙幣の電気回路に、直接読み出すことができない、ライトオンリーメモリー領域を設けてもよい。この場合には、紙幣に保存される情報と紙幣もしくはその電気回路の他の所定の情報との比較がなされるようにようにする。ここで紙幣もしくはその電気回路は比較した情報が一致するかどうかを示す信号を発するだけである。
チェックされる情報は知られていなければならず、その結果、紙幣の匿名性が完全に確保される。しかしながら、同時に各紙幣にはマークを付けて、例えば、強奪された紙幣だとか、輸送中に不能にした紙幣だとかわかるようにする)、このマークが無いと、権限の無い、紙幣のユーザー(恐喝者、強盗等)が検出できることになる。例えば、強盗の後の銀行の標準的な評価では、知られている、一連の証明がチェックされる。この意味では、各件(例えば、束毎に)において異なる権限で書き込むことのできる複数のメモリー領域を設けるのが特に有利である。
さらに、例えば、預金者が事前に自分の紙幣にマークできるようにするのがよい。その束を処理している機構が不一致を見つけたときには、その紙幣の所有者を使われたマーク、例えば、コード番号、から突き止めることができる。
実施の形態181:
ライトオンリーメモリー領域は上述の乱数、紙幣のチップの異なる機能にアクセスするためのコード番号等の紙幣の情報を記憶するのに使用するのが特に望ましい。セキュリティが大事な用途の場合には、ライトオンリーメモリー領域を前述のエラーカウンターと組み合わせて使用し、例えば、紙幣にアクセスするためのコード番号を入力する試みが所定の回数を超えたときに紙幣を不能にしたり、紙幣にマークしたりするのが有利であることが分かった。
小型紙幣処理機
紙幣の真贋チェックに一緒に使用される、上述の電気回路および紙幣の偽造防止用の特徴を対応するデータ交換装置とともに使用して、従来の小型の紙幣処理機より効率的で、信頼性の高い、はるかにコンパクトな紙幣処理機を実現することができる。そのような紙幣処理機を図63、64に示す。
実施の形態182:
図63は電気回路付き紙幣を数えたり評価したりする紙幣処理機の第2の実施の形態を示す。数えたり、真贋を評価したり、総額もしくは券種を決定すべき紙幣1が入力装置110に挿入される。挿入された紙幣は分離機111によって把持され、分離され、搬送路120を通って、スタッカー131に運び込まれる1b。ソート用のスタッカーをさらに設けてもよいが、図示されていない。個々の紙幣1aが次に分離され、この場合は、一番下の紙幣がセンサー装置140によって検出される。センサー装置140の信号は演算装置160によって評価される。図57〜61に関連して前述したようにして評価が行われる。図60に関連して前述したように、例えば、センサー装置140の替わりもしくはに加えて、別のセンサー装置を分離機111内に配することもできる。紙幣処理機のつくりが適切であるならば、別の搬送装置120は無くともよい。この場合は、分離機111から直接スタッカー131に送り込まれる。紙幣はその長辺と短辺に沿って交互に処理される。
図63の紙幣処理機の特別の利点は、センサー装置を分離機の部分、あるいは入力装置の部分に一体化できることである。その結果、測定路もしくは、搬送装置を完全に省略することができ、極めて簡単でコンパクトな構造を得ることができる。
このように設計された、小型紙幣処理機はその内部構造によって、1束のみ処理できる紙幣処理機になるし、堆積処理ができる紙幣処理機にもなる。本発明の紙幣を使用すると、堆積処理ができる紙幣処理機は以下の例に示すように、もっと複雑な仕事をこなすことができる。
実施の形態183:
図64は電気回路付き紙幣を数えたり評価したりする紙幣処理機の第3の実施の形態を示す。数えたり、真贋を評価したり、総額もしくは券種を決定すべき紙幣1の束はT方向にページングされる。センサー装置140が紙幣1aを検出するか、電気回路とデータ交換する。センサーの信号は、図57〜61に関連して、上述したように、演算装置160で評価される。評価された紙幣1bは全ての紙幣1の処理が終わるまで、保持される。
紙幣の真贋チェックは紙幣の真性証明が検出され、電気回路の対応するデータが読み出された後、両者を比較することによって行われる。電気回路を紙幣から取り外すのは不可能であり、真性証明が偽造できないようになっているため、検出された真性証明と読み出されたデータが一致していれば、チェックされた紙幣が本物であることが信頼性を持って証明される。
実施の形態184:
図65はいわゆるスピンドルカウンター402のさらに他の例を示すものであり、このスピンドルカウンター402の構造は図64に示すものと基本的に同じである。紙幣1の束がスピンドルカウンター420に挿入され、保持装置421によって保持される。束は次に破線で示す位置1aに位置せしめられる。機構422が紙幣1を分離し、数える。数えられた紙幣1はロッド424によってスピンドル423上に把持され、分離され、曲げられる。数えた後、紙幣1の束は(保持されたままであるが)、位置1bに位置せしめられる。要求があると、スピンドルカウンター420は束を解放し、持っていけるようにする。
適切な情報交換装置が紙幣の内側と外側にあるなら、堆積処理の可能な小型紙幣処理機についてここで述べる原理は、変形している紙幣に別々にアドレスできるようにするのに極めて有利である。紙幣は光学的手段によって極めて容易に有能化される、すなわち、ページングが終わる間での期間だけ、適切な通信装置によって電磁波を介してアドレスできる。
実施の形態185:
上述の、紙幣の変形によって、例えば、圧電効果で、エネルギーを得るのは、紙幣がアドレスでき、アドレスせねばならないときに、正にそのときにエネルギーを受け取ることになるので、特に有利である。衝突防止の方法は回避することができるかもしくは、はっきりと、より効果的に設計できる。さらに、この方法によって、機能回路を持たない紙幣や機能回路を持っていても、その機能回路が作動しない紙幣をそれ以上のことなしに数えることができる。上述したスピンドルカウンターによって、紙幣処理装置による処理が搬送無しに簡単に行えるようになり、しかもその間、紙幣に個々にアドレスできる。
実施の形態186:
紙幣処理機において歪エネルギーによって、紙幣処理が駆動されるならば、上述の例の他の変更例が考えられる。その例では、紙幣1の束全体が、バイスと同様にして、両面を押さえられ、両端部が他に対して互いに定期的に振動せしめられる。ここで、光または電磁波を使用して、紙幣から情報を読み出すのが望ましい。
実施の形態187:
歪エネルギーによって供給される形のエネルギーは1枚の紙幣を処理するのにも有利に使用することができる。紙幣1は、例えば、搬送路の形状によって紙幣が変形する場所で検出される。そのような場所は、紙幣1が方向を変えるところならば何処に設けてもよいし、紙幣1の搬送速度で駆動されるローラーを紙幣の搬送路内に突出させて紙幣1を曲げて、紙幣1にエネルギーを供給するようにしてもよい。例えば、本出願人のDE195 436 74A1に記載されているように、軟度センサー(limpness sensor)との組み合わせが特に有利である。そこでは、回転ローラーによって複数のエッジもしくは圧電素子もしくはレバーと周期的に接触せしめられる、チェックされる紙幣によってシートが曲げられ、振動せしめられる。
チェックされる紙幣が変形されて、紙の特性が測定される、そのような軟度センサーもしくは孔センサー等の他のセンサーは、紙の特性が測定されるときは常に、チップが変形され、その変形によって、チップにエネルギーを供給するための電圧が誘導されるので、同時に、狙いを定めて、チップのエネルギー供給とチップデータの読み取りをするのに使用することもできる。
実施の形態188:
従来できなかった仕事を容易にこなす堆積処理の可能な紙幣処理機が様々に考えられる。
例えば、束内もしくは輸送用容器内の全ての紙幣にマークを付けても良いし、紙幣を集中的にオン、オフしたりしてもよいし、紙幣の製造時にチップにまとめて通し番号を記録してもよいし、紙幣の製造時および静電防止のための品質管理のときに書き込まれた特別の紙幣のデータを評価したりしてもよい。
様々な券種用の、無価値の(価値が”0”と書かれている)白紙紙幣も書かれている額に応じた価値を持つことになる。上述のセキュリティ用特徴の中には、紙幣の真贋を決定するのに堆積処理の可能な紙幣処理機においても、例えば、乱数のように有用であるものがある。
実施の形態189:
分離機もしくはスタッカー内の紙幣の束と通信する紙幣処理機はそのクラスの紙幣処理機の中でも、個別処理と堆積処理の組み合わせ処理をする。
個別処理と堆積処理の組み合わせ処理用の紙幣処理機の別の例は、両方の処理用の搬送路をそれぞれ備えているのが望ましい。例えば、入力し、必要に応じて最初の堆積処理をした後に紙幣はその紙幣処理機の分離機によって分離され、個々の紙幣はベルト、ローラー等で搬送される。
しかしながら、紙幣処理機においては、紙幣の群をゆるく結合して望ましくは、輸送用容器に入れて処理機内で搬送するようにした、べつの紙幣輸送方式もある。その輸送用容器には、従来の紙幣処理機のスタッカー、例えば、螺旋ポケットスタッカーにそれぞれ対応する処理位置において紙幣が入れられる。輸送用容器は独自の駆動機構を備えていてもよいし、紙幣処理機によって駆動されてもよい。
これから行われるべき処理工程、もしくは既に行われた処理工程、もしくはその輸送用容器内の紙幣に関するデータを記憶するメモリーをその輸送用容器が備えていると特に望ましい。「紙幣輸送用の容器」と題する章で述べた例はこの紙幣処理機の輸送用容器においても有用である。
紙幣処理機が、その輸送用容器に紙幣を入れることができ、しかもその輸送用容器からの紙幣を再び分離することができるようにした輸送用容器は特に望ましい。また、紙幣のバンドも輸送用容器として好ましい。効率を一定にするために、束の搬送は1枚の紙幣を搬送するのに比べると、はっきり遅いが、その分誤動作が少ない。
実施の形態190:
個別処理と堆積処理の組み合わせ処理用の紙幣処理機はよりモジュール的にも実現できる。すなわち、個々のモジュールは、輸送容器の搬送速度を遅くすることができ、紙幣を1枚1枚扱う場合に比べて、機械的許容差が大きく機械的安定度が大きいため、輸送用容器を互いに動かすことができる。例えば、入力部、出力部、センサー部、ソート部、手動やり直し部、破壊部、バンドかけ部、パッキング部等をモジュール的に作ることができる。
実施の形態191:
個別処理と堆積処理の組み合わせ処理用の紙幣処理機は堆積処理のみ用の紙幣処理機ではできない仕事をすることができる。そのような仕事としては、例えば、紙幣のソートもしくはパッキング、センサーによる紙幣の検出と評価、本発明による電気回路の無い紙幣の信頼性のある認識と破壊等がある。
実施の形態192:
個別処理と堆積処理の組み合わせ処理用の紙幣処理機は個別処理のみ用の紙幣処理機ではできない仕事、できても多大な手間を必要とする仕事をすることができる。
例えば、輸送用容器を待機位置に待機させ、紙幣処理機の或る部分のジャム等の誤作動が紙幣処理機のその部分の機能を制限している場合にその容器に一時的に多量の紙幣を入れるようにすることができる。
こうすれば、ジャム等を直している間も紙幣処理機における処理を続けることができ、それによって、紙幣処理機の処理量を大幅に増大することができる。複数の紙幣入力部を設けることも考えられる。輸送用容器の待機位置が充分大きな能力を有するならば、公称処理速度が許容する数より多い紙幣を入力部に入力することもできる。そして、待機位置の輸送用容器を暇な時間、例えば夜間に、自動的に処理するようにすることもできる。
同様に、手動やり直しの紙幣も別の時間に自動的に分離して、再処理することができるが、その場合の手動やり直しの紙幣の処理速度ははっきり遅くなる。
実施の形態193:
現在の個別処理のみ用の紙幣処理機ではスタッカーが使用されており、紙幣処理機のオペレータがスタッカーから処理済の紙幣を取り出し、スタッカーとソート種類の振り分けは決まっている。この場合、スタッカーに紙幣を装填できないとき、例えば、処理済の紙幣を取り出すときに紙幣処理機を止めなくてもよいように、スタッカーを対にして動かす必要があるときが多い。そのために、スタッカーの数が大きくなり、必要なスペースが大きくなるため、紙幣処理機が長くなり、オペレータが立って行って紙幣を入力する場合にはオペレータは処理済の紙幣を取り出すのがやっとになる。
オペレータのこの困難は長い目で見ると紙幣処理機の処理量を結構低下させることになるが、オペレータのこの困難を取り除くために、個別処理と堆積処理の組み合わせ処理用の紙幣処理機は、オペレータの直ぐ近くに配され、
取り出せばいいようになった容器がそこに紙幣処理機から押し出されるようにした、1個もしくは2個以上の出力部を備えている。少なくとも1個のこの出力部に対して、容器に装填し、その容器を出力部に搬送する複数の装填部が割り当てられる。このようにすれば、紙幣処理機は必ずしも空間的に小さはならないが、はっきりとより人間工学的にすることができる。
破壊すべき紙幣が輸送用容器から直接シュレッダーに行くようにして、シュレッダーに影響するジャムも紙幣が誤ってシュレッダーに入るようなことも無いようにすれば、紙幣の破壊の上で大きな利点となり得る。
上述の例、例えば、紙幣処理機内で別の容器で紙幣の束を搬送するのは、電気回路のついていない紙幣に使っても便利であるが、本発明の紙幣を使用すれば、実施するのが極めて容易になる。
実施の形態194:
例えば、センサー部によって決定され、ソート部で使用されるセンサーのデータやソート種類を紙幣に書き込むこともできる。このような方法によれば、センサー路を離れた(紙幣処理機の大部分が誤動作した後でも)後に情報を失うことなく、待機位置の輸送用容器を処理することができる。異なる、機械で処理を続行することさえできる。
実施の形態195:
個別処理と堆積処理の組み合わせ処理用の紙幣処理機を預託紙幣の処理に用いると、特別な利点がある。
電気回路のついていない紙幣であっても、分離機、センサー路、スタッカー、中間搬送路(これらは、モジュールで形成するのが望ましい)等の各処理部は一度に1束しか含まない。これによって、異なる預託が混ざることが無い。したがって、例えば、搬送路に要修繕のジャムが起きても、その搬送路内には単一の預託の紙幣しかないため、ジャムした紙幣を預託毎に振り分けるという困難な作業をする必要が無くなる。
条件ソート業務の変化が中央銀行から商業銀行もしくはキャッシュセンターに行くにつれて増大すると考えられるので、シュレッダーモードの預託処理が重要性を増す。しかしながら、破壊すべき紙幣には、機能しない電気回路が相当に含まれているのは確実である。このような電気回路を有する紙幣は、これ以上の流通に耐えないとして除去するのが望ましいからである。異なる預託によって、物理的に分離することによって、そのような紙幣との混戦、すなわち最初の紙幣の順番の混乱が、回避される。
実施の形態196:
紙幣処理機を通される、預託の準備は分離機で行われるのが望ましい。個々の預託はセパレータカード(米国特許第5917930号明細書)、分離/通知手段(国際公開第02/29737号パンフレット)、容器として設計された分離手段(欧州特許出願公開第 1 1195 725号目明細書)等の分離手段を使用して分離することができる。
分離手段や通知手段は、本発明の紙幣と同じ通信インターフェースを有する電気回路を備えているのが望ましい。
分離手段が、紙幣処理機が紙幣と通信するのを防止するようにしてもよい。電磁界を結合されるときには、例えば、導電性がある分離手段(例えば、アルミ等の金属で形成したセパレータカード)も考えられる。これによって、紙幣処理機は処理すべき、今回の預託の全ての紙幣とは通信できるが、セパレータカードによって分離された、次の預託の紙幣とは通信できない。紙幣が束にされており、その束内で、セパレータカードによって互いに分離されていても、例えば、誘導結合して、束内の単一の供託のみを処理することができる。
そのような遮蔽によって、例えば、欧州特許出願公開第1253 560号明細書にしたがって、分離前に、分離手段を極めて効果的に保持することができる。ある預託の分離手段の応答がなくなると直ぐに、分離機は停止する。分離機のアイドルの後に分離が再スタートできる。紙幣の分離が行われない、この中断は次の預託の紙幣、分離手段もしくは通知手段との通信に使用することができる。
商業銀行
前述のように、商業銀行は貨幣の流通機構の中で欠かせないし、とりわけ、取引の際の現金の授受、顧客との現金の授受に関係している。広い意味では、商業銀行とは貴重品取り扱い業者やキャッシュセンター等の現金を取り扱う業者と理解されたい。例えば、預金機、現金払出機、現金預入・払出機(両替機、現金リサイクル機)、小型計数・ソート装置等をこれらの取り扱いのために使用することができる。本発明において、入力もしくは出力機とは現金払出機、現金預入機あるいは現金預入・払出機を称するものである。
預金機
預金機は、預け入れる紙幣を入力する入力装置、および入力された紙幣を預託装置まで搬送する搬送装置を備えることができる。その入力装置は1枚の紙幣のみを受け入れる単一紙幣引込モジュールとしてもよいし、複数の紙幣の束を受け入れる束入力モジュールとしてもよい。保管装置は一時保管、例えば、箔型保管装置でよく、預託された金額に預託者が同意を示すまで、紙幣を保管しておけばよい。例えば、預託装置は最終預託手段、例えば、詳しく上述したカセット、を備えていてもよく、預託された紙幣は一時保管に一旦保管された後、搬送装置によって最終預託手段に供給され、入力される。預託された紙幣の搬送は1枚1枚行ってもよいし、束で行ってもよい。
実施の形態197:
図66は紙幣1を預託することが出来る預金機200を示している。預金機200は分離機202を備えた入力ポケット201、分離された紙幣1をチェックするセンサー装置203、一時保管装置としての箔型保管装置204、センサー装置203が許容しなかった紙幣もしくは業務を中断したときに箔型保管装置204内の紙幣を戻す返却ポケット205、センサー装置203が許容し箔型保管装置204内に保管された紙幣を預託者の確認の後に最終的に保管するカセット206および、預金機200の各部分を、破線で示す信号線を介して制御する制御装置207からなっている。中でも、制御装置207はセンサー装置203の測定信号に基づいて、その業務で預託された紙幣の総額、券種毎の金額等のデータを決定する。
預金機200はチップの無い従来の紙幣とチップのある紙幣の両方を許容できるようにしてもよい。預託された紙幣の真贋をチェックし、また預託された紙幣が流通に適しているかどうかをチェックするために、センサー装置203は、紙幣の特性を測定する、例えば、磁気センサー、紫外線センサー、赤外線センサー等からなっている。紙幣の特性とは、当然、紙自体の特性だけでなく、例えば、紙に組み込まれている特徴物質の特性も含めて言うものであると理解されたい。チップの特性をチェックするセンサー装置は紙の特性をチェックするセンサー装置を同じ部分、例えば、同じモジュールハウジング内に取り付けてもよいが、分離機内のチップのチェックに関連して前に例示したように両者が空間的に離れているのが、例えば、異なるモジュールハウジング内に配されているか、処理装置の全く異なる部分に配されているのが望ましい。
預金機200は、紙幣計数機もしくは紙幣ソート機の部品として上述した、チップ付きの紙幣1のチップから読み取ったり、そのチップに書き込んだりするための部品をさらに備えていてもよい。例えば、チップ3の存在や可慟性をチェックしたり、通し番号、券種等のチップデータや、真贋や特定の紙幣208の前のチェックに関するデータを読み取ったりする、読取装置を分離機202の部分やセンサー装置203内に備えていてもよい。前述のコンピュータ制御光バリアーを使用してもよい。紙幣ソート・計数装置に関連して上述したように、下流のセンサーモジュールを予備調整するのに、上記データを使用してもよい。紙幣1の搬送路に複数の読取装置208が取り付けられている場合は、預金機200に預託される紙幣1の通路は、通し番号等の個別データを読むことによって、極めて簡単にかつ信頼性を持って、はっきりと辿ることができるが、これは公知の装置にはできなかったことである。
実施の形態198:
チップを、機能を失わずに紙幣の紙から剥がして、そのチップを本物または偽造の額面の高い紙幣に付けなおすことはできないように紙幣が製造されれば、例えば、紙幣が本物であるかどうかや預託された紙幣の券種を、チップデータを読むだけで、光学的等の他の手段を用いなくても、決定することができる。
実施の形態199:
装置が、チップの無い紙幣用ではなく、チップ付きの紙幣のみを預託するように構成されている場合は、その装置には磁気的、紫外線的もしくは赤外線的特性を測定するためのセンサーが無くともよい。
チップとセンサー装置もしくは外部の評価装置の受信装置間の信号結合が測定のみに使われるか、もしくは本質的に測定のみに使われるようなテスト装置を、例えば、預託者が分かっている場合もしくは預託者を決定できる場合、あるいは、預託された紙幣の真贋や状況を後にのみ、例えば、権限のある中央銀行で、制御できるような場合に、使用できる。
実施の形態200:
チップチェック自体が本物の紙幣の存在を示し、その後のチェックで、例えば、チップが無価値の紙に取り付けられていて、紙幣が偽造であると分かったときには、通し番号によって預託者を後で再追跡する。このために、預託者に関するデータを紙幣のメモリーや別のデータベースに記憶しておいてもよい。
これは、預託者、預託場所、預託時間等の業務データとセンサー装置の測定データの相互関係が(例えば、データが一緒に振り分けられ、保存されて)当を得ている特殊な例である。この意味で、例えば、預託者、預託時間に関するデータ、個々の紙幣の真贋、状況、券種や通し番号に関するデータ、預託された紙幣の総額、入れるべき口座等の預託された現金の用途に関するデータ等が要約される。
実施の形態201:
預託が匿名である場合は、チップチェックは偽造した紙幣を、信頼性を持って除くには不十分である。
さらに、預金機は紙幣のチップ3にデータを書き込むための書込み装置209をセンサー装置203の下流に設けるのが望ましい。
そのようなデータは特定の預託業務のテストデータもしくは業務データに関する情報であり、センサー装置203によって、測定もしくは決定される。このようなデータの書込みは、紙幣の一時保管後に一時保管場所204からカセット206に移されるときに、行うのが望ましい。そうすれば、その業務の中止によって、ポケット205に紙幣が戻されるときに、不必要な書込みを回避することができる。
実施の形態202:
そのようなデータを全てのチップにではなく、基本的に機能している紙幣のチップの一部のみに書き込むようにすることもできる。例えば、後で再度チェックすべき紙幣のチップにのみデータを書き込むようにしてもよい。このような紙幣は機能しているチップを有しているが、データがその紙幣もしくはその紙幣の紙が偽造された(「複製の認識」の章参照)ことを示している、偽造が疑われる紙幣である。この偽造が疑われる紙幣は、偽造の疑いのない紙幣とは別にして、預金機200もしくはカセット206内に保管するのが望ましい。
実施の形態203:
例えば、署名が古くなったために、本来本物である紙幣のチップが不良になったり、特定不能になったりする場合がある。このような紙幣は、直ちに預託者に戻すか、あるいは預金機200に別にして保管するか、カセット206に保管して、後で、他の装置や方法でチェックし直して、場合によっては顧客の口座に入れることもできる。替わりにもしくは加えて、紙幣チェックがチップチェックに限られていない場合は、例えば、真贋のチェックや券種の決定を、紙幣用紙の特性の基本的に公知のチェックによって行うこともある。したがって、カメラ装置のような光学的スキャナーで通し番号を読み、その通し番号を、保留にした紙幣の他のデータとともに自動出納機のメモリーもしくはカセットのメモリーに保存しておくようにすることもできる。
実施の形態204:
チップの無い古い紙幣も支払いの正規の手段としてまだ認められる、チップ付きの紙幣の導入後の過渡期においては、例えば、カメラによる自動チェックの際に、紙幣用紙上の通し番号を常に読むようにしてもよいし、少なくとも、チップが見つからなかったり、チップが本物と判定されなかったときに紙幣用紙上の通し番号を読むようにしてもよい。この通し番号は、チップが無いのが正規の形で、なお流通している紙幣の詳細のデータと比較するのが望ましい。このチェックはチェック装置自体で地域的に行ってもよいし、中央のデータベースのデータとの比較を介して、リモートデータ転送によって行ってもよい。さらに、紙幣の、特に、チップやアンテナがあるべき部分の、2次元像がカメラ装置によって得られるのであるから、チップ無しの本物の紙幣と以上のあるチップもしくはアンテナを有する本物の紙幣とを区別するようにしてもよい。チップの存在を検出することのできる、音響的、電気的等の他の普通の手段を用いることもできる。
実施の形態205:
紙幣チェックが多段、特に2段になっていれば、他の特殊な例が考えられる。これは、例えば、処理速度を変えたり、時間を変えたりすることができるという意味である。例えば、一時保管場所209での一時保管の前にチェック/評価の一方を行い、後に他方を行ってもよい。センサー装置203における額、チップの真贋、もしくは預託者への通し番号の割振りの決定は、一時保管の前に行い、紙幣の紙の特徴や印刷紙幣の印刷された特徴の真贋チェックや状況チェックは一時保管の後に行うのが特に望ましい。
この種の方法の有利な点は、状況チェック等の後のチェック工程が、一時保管の前のチェック工程より低速で行えることである。これによって、一時保管があっても預託業務を迅速に済ませることができ、その預託業務で預託した紙幣の状況チェックを次の預託業務の開始までの時間に低速で行うことができる。時間が節約できるから、状況チェック等のチェックを正確であるが、低速ででしか行うことができない相当に安価なチェック/評価装置を使用することができる。同時に、顧客の口座への受け入れ、すなわち、確認と預託業務の終了、は迅速に行われ、その顧客の預託に要する時間は短縮される。したがって、1枚の紙幣を評価するのに1〜5秒要するセンサー装置を状況チェックにも使用することができる。
この思想の範囲内において、一時保管の前にセンサー装置によってデータの書込みを行い、後でそのデータの少なくとも一部を評価するようにすることもできる。すなわち、書き込まれたデータの一部または全部を顧客の預託業務の終了後に行うようにすることもできる。例えば、センサー装置203を含むカメラが個々に預託された、紙幣の少なくとも一部の2次元的光学像を撮り、後で、そのデータを破損、汚れの有無に関して、評価して状況を決定することができる。
紙幣が流通に適しないと分類された場合には、預金機200もしくはカセット206にまだ流通に適する紙幣と別にして保管することができる。チップ付きの紙幣の場合には、流通に適しない紙幣や流通に適する紙幣に、チップにデータを書き込むことによって、マークするようにすれば、これらの紙幣を一緒に保管してもよいし、別々に保管してもよい。このように、チェックデータをチップに書き込むことができるため、流通に適しない紙幣や流通に適する紙幣を別々にすることなく、簡単に保管することができる。
前述の、多段チェック方式は紙幣が預託される全ての装置に好ましく使用される。さらにこの方法はチップ付きの紙幣だけでなく、チップの無い紙幣にも使用することができる。
実施の形態206:
さらに、上述のように、預金機は紙幣をカセットに最終的に保管する前に不能化した保有紙幣を特定するのが望ましい。預金機を破壊して開けて紙幣が盗まれたときにその紙幣は本物であると認めず、したがって、その不能化を光学的、もしくは音響的に再現できない限り、あるいは機械によるチェックが無い場合、人間に対して、再現可能でなければ、泥棒には無価値であるため、これは有利である。そうでなければ、本物であると見なし続けられる紙幣を特定するものは、機械による次のチェックの際、これらの紙幣の流通を辿る上で少なくとも助けにはなる。
実施の形態207:
特に有利な、さらに他の実施の形態においては、紙幣は束にして送り込まれ、束のまま、処理される、すなわち、測定を介してチェックされる。そのような、束のままの測定を実行する方法や、装置については、「堆積測定」の章で前述した。
例えば、分離しないで、束の額を決定できれば、預金機内で紙幣をカセットに直接搬入することができる。これによって、分離、個々の紙幣の搬送、個々の紙幣用のセンサー技術、第3者預託が不要となる。構造が簡単である分、信頼性が大幅に増し、値段が劇的に低下する。
そのような預金機210の例を図67に模式的に示す。預金機210は、チップ付きの紙幣1の束が載せられる載置面215を有する入力ポケット211を備えている。ポケット211に装填された紙幣1は固定堆積物として、制御装置213に制御されるチェック装置212によって測定される。チェック装置212は「堆積測定」の章で前述したような構造と機能を有する。特に、この測定は預託された束の紙幣の総額の決定を含んでいる。さらに、前述の処理工程の残り、例えば、真贋チェック、状況チェック、紙幣のチップへのチェックデータ、業務データの書込み、をチェック装置212が行ってもよい。
続いて、このようにテストされた紙幣1がカセット214に積まれる。これは、例えば、不図示の電気機械的アクチュエータがオンされ、制御装置213によって駆動されることによってなされる。電気機械的アクチュエータが駆動されると入力ポケット211内の紙幣が載せられた載置面215が引かれ、カセット214内の紙幣1が先に積み重ねられた紙幣の上に落下する。引き続き、載置面215が図67の位置に戻され、次の業務において、その上に紙幣が載せられる。
チェック後、最終保管の前の権限の無い紙幣の抜取を防止するために、入力ポケット211がカバー216によってロックできるようになっているのが望ましい。カバー216は電気機械的に遥動されるようになっている。カバー216は預託の始めに開作動して、預託すべき紙幣1の挿入を可能にし、堆積測定の開始の前に、閉作動して紙幣に権限無く近づくのを防止する。
実施の形態208:
他の例は次の通りである。多くの国で、立法者は、預金機の場合、本当に偽造された紙幣が技術犯罪の調査の後に確実に破壊されるように偽造の疑いのある紙幣は別のポケットに入れることを要求する。別のポケットを設ける必要があると、そのポケットを設けるだけでなく紙幣の搬送路全体もそのポケットに紙幣が入れられるように変更しなければならないので、預金機のコストの増大が無視できなくなる。この他にも、預金機に必要な空間の増大も無視できない。
本発明の紙幣を使用すれば、そのような別のポケットの必要性が無くなる。偽造が疑われる各紙幣のメモリー領域に預金機でのチェックの際にその旨が書き込まれる。この書込みは預金機の所有者には直せないのが望ましい。中央銀行のみが、詳細な調査の後にその疑いが確認されなかったときに、偽造の疑いを解く特権を有することができる。これは、例えば、紙幣のメモリーへの様々なアクセス特権を使用することによって、実施することができる。
預金機のオペレータは預金機から取り出した紙幣を、読取装置を使ってチェックし、偽造の疑いありと報告された紙幣を中央銀行に送らなければならない。紙幣自体が自分の状態を表示するディスプレイを持っていれば、預金機のオペレータがそのようにしないことは事実上不可能である。紙幣自体が偽造の疑いを明示するからである。
PKI暗号化法を使用することもできる。偽造の疑いのある紙幣の数および/または取出し時間、オペレータが操作することのできない取出しカウンター等の他のデータをその機械に割り当てられた公開キーで暗号化し、中央銀行でその機械に割り当てられた私用キーで解読することができる。例えば、そのようなレポートをタイムスタンプもしくは暗号化されたデータの相手方等の変更できる部分とともに間をおかずに送ることをオペレータに法律で義務付けることができる。
現金預入・払出機
両替機、現金リサイクラー等の現金預入・払出機の場合、預金機に関連して上述した実施の形態を適用することができる。これは、預託された紙幣が再び払い出されることが無く、したがって、券種毎に保存する必要が無い場合も同じである。しかしながら、前述の原理は、預託された紙幣を券種毎に保存し、その後の現金払出業務のときに再び出力できるようにしたリサイクラーにも使用することができる。例えば、チップデータの読取/書込み、多段チェック法、堆積処理等はここで使用すると極めて有利である。
リサイクラー内で迅速に行われなければならないのは実際の入力処理と出力処理のみなので、例えば、中間に保存される紙幣の券種毎のソートはより低速で行ってよい。すなわち、例えば、束で入力され、測定される、紙幣の分離は業務の終了後に行っても差し支えない。さらに、再び出力される預託された紙幣は、全ての場合に真贋チェックをしなければならない。
現金払出機
現金払出機の場合も、預金機、あるいは現金預入・払出機に関連して上述した思想の一部を使用することができる。例えば、この場合にもチップデータの読取/書込み、堆積処理は特に有効である。現金払出機の供給カセット内に保存されている全ての紙幣の通し番号が、例えばチップデータを読み取ることによって、捕捉され、その現金払出機内のデータベースもしくはデータラインを介して外部から接続されたデータベースに保存される。
実施の形態209:
どの程度の紙幣が払いだされ、どの紙幣がその瞬間に現金払出機内に残っているかをはっきり追っかけると、現在公知の装置を大きく改良することができる。
これは、払いだされる紙幣のメモリー領域と出力ポケットの間に通し番号リーダーを設け、払いだされる紙幣全ての通し番号あるいは個別データを読むことで達成される。通し番号と券種の関係が知られているか、決定され、もしくは自動出納機あるいは他の外部装置で測定されるようになっていれば便利である。
実施の形態210:
さらに、金が払いだされるとき、紙幣の通し番号等のチェックデータがレシピに関するデータ等の業務データともに保存されるので、金の流れを制御できる。紙幣を一時的に抹消するという思想も有利に適用することができる。商業銀行によって現金払出機に入力された紙幣には前の書込みを介して、抹消され、現在無価値である旨のマークがなされる。払いだされる紙幣の預託部分と出力ポケットの間に、進行中の業務で払いだされる紙幣に書き込む書込み装置を設け、直後に払い出される紙幣のチップにデータを書き込むことによって、その紙幣を再び有能にすることができる。
実施の形態211:
通し番号の替わりに、あるいは通し番号に加えて、自動出納機内の紙幣の券種を決定するようにすることもできる。ここで、前述の測定法を実施することができる。特に、自動出納機内に保管されている紙幣の堆積測定は便利である。これは、自動出納機内の現金の瞬間的な額を、測定装置もしくは自動出納機内の評価装置あるいはその保管用カセットによる堆積測定に基づいて常に決定可能とする、一種の自己制御として実現可能である。
これによって、自動出納機内の現金が最低準備金であり、したがって、ランドセントラルバンク(Land Central Bank:FRG)の無利子の資産であることを知らせることができる。公知の現金払出機では、後で顧客に出力するために、自動出納機に紙幣を入力して保管する商業銀行はこれらの紙幣に対しても発行元のランドセントラルバンクに利息を払わなければならない。どの紙幣が実際に自動出納機に入力され、その時点で、どの紙幣が自動出納機内にあり、どの紙幣が自動出納機内に無いのか連続的に明らかにできないからである。しかしながら、明快な自己制御によって、払出の時点でいくらの現金が自動出納機に残っているのかを常に明確に示すことができる。この方法は商業銀行には相当の節約となる。
取引
キャッシュレジスター、縮めて、レジスターはスーパー、デパート等取引の場所では何処ででも用いられる。周知のように、レジスターは購入した品物に対する顧客の支払いを受け取り、その中にプールし、その現金の中からお釣りを出すものである。より大きな取引では、例えば、各レジスターの保有している現金を入力し、自動的に数えて、帳尻を合わせる預金機がデパートの個々のレジスターから徴収し、帳尻を合わせるためにも使用される。
取引における預金機
そのような預金機は「商業銀行/預金機」の章で前述したような特性を有しているのが望ましい。さらに、現金預入・払出機を使用して、各レジスターの帳尻を合わせるだけでなく、例えば、翌日必要なお釣りを払い出すようにすることも考えられる。
商業銀行で預金機能を有するそのような装置を使用することに比べると、取引で使用する装置は固定されるより、可動になっているのが望ましい。もしその装置がローラーの上に載せられたラックを有しているならば、デパートの個々のレジスターをまわって、帳尻を合わせるために、例えば、カセットにそのレジスターから出した現金を再装填する必要なく各レジスターからその場で現金を徴収し、各レジスターを空けて、他の部屋に固定されている預金機に搬送することができる。
レジスター
レジスターにおいては、現金が同様に入力され、同様に払い出されるため、上述した預金機、現金払出機、現金預入・払出機の実施の形態をレジスターに使用することができる。
例えば、光学的、誘導的もしくは容量的な手段を介しての、紙幣のチップと評価装置の間の通信を通じての紙幣の特性のチェックはここでも特別な利点となる。ここで、「光バリアー」と堆積処理の利用を再度参照されたい。評価装置はレジスターと一体でもよいし、少なくとも一部がレジスターの外部にあってもよい。
実施の形態212:
容量結合素子を備えた紙幣をチェックするための図48の読取装置220”をレジスターにおいて紙幣をチェックするのに使用することができる。例えば、関連する装置をレジスターの外部またはレジスターと一体的に設けてもよい。載置面221に紙幣の束を載置することによって、真贋もしくは額を、例えば、迅速にチェックすることができる。
さらに、チップ付きの紙幣を用いることによって、極めて信頼性の高い、自動目録作成が可能になり、あるいは、レジスターのモニターが可能となる。レジスターは紙幣の除去および挿入を登録する装置を備えているのでこれを実現できる。
実施の形態213:
一つには、レジスターの載置位置から紙幣を取り出したか、紙幣を挿入したかを認識することによって、これが実現される。例えば、一種の光バリアーとして、紙幣のチップとの光学的、誘導的もしくは容量的結合によって、レジスターの載置位置を離れたかどうかを決定する少なくとも1個のチェック装置をレジスター内に配することによってこれが実現される。例えば、紙幣のチップがその結合内のある範囲に入ったか出たかをチェックすることによって決定することができる。預託されたあるいは払い出された紙幣の有無を決定するのとは別に、チェック装置が紙幣の通し番号等の特性を読んだり、真贋をチェックしたりできるようになっているのが望ましい。真贋チェックは、例えば、チップの認識もしくはチップデータのチェックによって行うことができる。
実施の形態214:
それに加えて、あるいはそれの替わりに、レジスター内の現金の瞬間的な総額を把握するようにすることもできる。すなわち、紙幣が取り出される(払い出される)ところなのかどうかを直接把握することはできないが、紙幣がレジスター内に瞬間的に位置せしめられるのは把握できる。この目的のために、1個または複数のチェック装置を設け、レジスター内の紙幣との通信を介してその紙幣の真贋、数、通し番号、総額等を決定するようにしてもよい。これによって、レジスター内の現金の手持ちの自己制御を実現することができる。この決定された現金の手持ちをレジスターのディスプレイ面に表示してもよい。
レジスター内の紙幣が券種毎にきれいに分けられていれば、すなわち、券種の異なる紙幣が異なるスロットに入れられていれば、例えば、前述の堆積測定法によってスロット毎の瞬間的な紙幣の数が決定できれば充分である。この場合には、とりわけ、各スロットがチェック装置をそれぞれ有することになる。どの券種がどのスロットに入っているかを予め決めることができれば、券種毎の紙幣の総額、あるいは任意の券種の紙幣の総額を、例えば、レジスターに一体化されたあるいは信号線を介してレジスターに接続された評価装置によって、決定することができる。レジスターの中身がこのようにして疑いなく決定できる場合は、レジスターの担当者は何時でも簡単に紙幣を出し入れすることができる。したがって、紙幣の引き出しを個人個人のものにするという現在の習慣をなくすことができる。
実施の形態215:
例えば、そのような場合に、レジスターの操作要員が不用意に間違って紙幣を入れないように、例えば、10ユーロ札を20ユーロ札用のスロットに入れないように、レジスターに、各スロットに1種類の紙幣のみが存在することを確認するためのチェック装置を設けるのが望ましい。紙幣のチップへの誘導的または容量的結合について例として以下説明する。異なる券種の紙幣のトランスポンダーが周波数に対して異なる振舞を示すとすると、例えば、「誤った」応答周波数、すなわち、正しくない券種からの信号が各スロットから測定されることを決定する衝突防止法を使用するのが有利である。
図48の面211に相当する載置面を各スロットに設け、各スロットへの紙幣の挿入を決定し、モニターできるようにしてもよい。
実施の形態216:
商業銀行で使用される預金機や現金自動払出機に対して、レジスターの特異な点は、入れられる金額だけでなく、支払ってもらった金額、すなわち、購入した品物の総額を把握しなければならないことである。額の差はお釣りとして出したものである。
レジスターに出し入れした紙幣を把握するだけでなく、例えば、購入した品物の値札のバーコードを走査して得た購入した品物の総額と比較する。すなわち、評価装置では、レジスターの操作要員が販売業務中にお釣りを多く出し過ぎたり、少なく出し過ぎたりしないかをチェックする。お釣りの誤った払出は例えば、光学的や音響的な警告によって表示することができる。コインの出し入れまでは自動的には検知できない。この場合には、正確でないが、重さで見る。しかしながら、総額がお釣りを超える紙幣が支払われたかどうかを決定することができる。上述のモニターによって、或る時点あるいは或る期間、例えば、販売業務が行われていないときに、レジスターからお金が持ち出されるのを防止することができる。
実施の形態217:
矛盾を後で解決できるように、チェック装置によって把握された情報を全て後で評価できるように記憶しておくのも望ましい。
実施の形態218:
紙幣のチップの認識とチェックのためのチェック装置は購入した品物のためのスキャナーに接続してもよい。品物が光学的なバーコードの替わりにトランスポンダーによって、装われている程度までには、品物のためのスキャナーは紙幣のチップの認識とチェックのためのチェック装置の機能を果たす。言い換えると、レジスターの部品だけで、品物の記録と、紙幣の記録の両方が行える。
実施の形態219:
前述のように、紙幣のチップの認識とチェックのためのチェック装置は固定的に据え付けられたレジスターだけでなく、移動レジスター、カセット、金庫にも配することができる。
実施の形態220:
他の望ましい例においては、紙幣の使用目的に関する情報がその紙幣のチップのメモリーに保存される。この紙幣の使用目的に関するデータはその紙幣一体化されている電気光学的もしくは音響的ディスプレイによって表示されるのが特に望ましい。紙幣の使用目的に関する情報が見えるようにあるいは音響的に表示されるので、金の循環において、或る目的のためにその紙幣が不能にされたかどうかを他の助けを必要とせずに直ちに認識することができる。
実施の形態221:
紙幣が或る品物と交換されただけであることを示すデータがチップのメモリーに保存でき(実際に保存される場合もある)、ディスプレイに表示でき(実際に表示される場合もある)、例えば、両親が子供に、ポケットマネーをはたいて支払った紙幣は、その金でアルコールやタバコ等の品物を買うことはできない旨の表示が記号でなされる。
この場合、前述の例に従って設定される紙幣のチェック装置が紙幣のチップの内容を読み、除外された品物に対する支払いとして、その紙幣の受け入れを拒絶するようにすることもできる。
実施の形態222:
さらなる望ましい実施の形態においては、ディスプレイは情報面あるいは情報を描く広告面として使用される。この場合には、紙幣の使用は完全に限られたものではなく、或る取引での使用もしくは或る物品の購入に使用するのが望ましい場合もあり、或る取引での使用もしくは或る物品の購入に使用するのに限られる場合もあり、或る取引での使用もしくは或る物品の購入に使用するのは除外される場合もある。使用目的の表示は強制的のこともあり、単に推奨されるだけのこともある。さらに、例えば、場合に合わせて調整したチェック装置の場合にはディスプレイによって除外された物品の支払いにそのような有価証券の使用を拒絶することがあるかもしれない。紙幣の使用目的に関する情報が見えるように表示されるので、金の循環において、或る目的のためにその紙幣が使われたかどうかを他の助けを必要とせずに直ちに認識することができる。
実施の形態223:
或る実施の形態においては、消費者が、会社が設定し、操作する消費者向けの端末で、受け取った紙幣の状況を呼び出すことができるようになっている。同様に、商業的に売り出す手動装置はこの目的に適うものとすることができる。そのため、この紙幣の情報を電気回路に会社が書いたり、保存したりするための特定のアドレスおよびそれに対応する記憶領域が紙幣の電気回路に設けられる。これは通し番号(紙幣上で誰にでも見える)でもよいし、他の使用目的(例えば、祝儀、ボーナス、賞金)に関する情報でもよい。これによって、消費者は上述の装置において、その紙幣の状態を検索できるようになる。消費者が特定のアドレスで、名前、住所、顧客番号等の情報を書き込めるようにすることもできる。
このために、会社はそれぞれのアドレスで紙幣の電気回路に情報を書き込む。これは、例えば、会社が通し番号を予め読んで、例えば、データ処理装置に記憶した、不規則に選択した紙幣をレジスターでお釣りを出す前に特定するものと一緒に提供することによって行われる。前述のように、この情報は特定のアドレスで保存され、保存された情報はその会社によってそのために設置される顧客用端末やその会社のレジスターでしか読み出せない。さらに、顧客がそれがあれば、受け取った紙幣の状態を読めるような手動装置を手に入れることができるようにすることも考えられる。これはその会社の構内で行われることであるが、顧客が、例えば、家で他の装置やインターネット、携帯電話(GSM、UMTS等)の接続を利用して、この情報を呼び出すことも考えられる。
呼び出された情報は(賞品が、あってもなくても)、直接表示されるか、または、顧客に伝送される。賞品が付けられた紙幣は、賞品を渡した後、その会社によって、再度有能化され(消され)、その特定のアドレスが復活する。これは、そのための顧客用端末やレジスターで行うのが望ましい。その後、その紙幣は再び、顧客に払いだされる。上述の方法を実施できるようにするためには、電気回路のメモリーとしてEEPROM(電気的に削除できるプログラム可能なROM)を使用するのが望ましい。しかしながら、書き込み可能な、もしくは書き換え可能な他の磁気的、光学的なメモリーも考えられる。
実施の形態224:
電気回路付き紙幣の他の用途の例としては、追跡法がある。紙幣もしくはその電気回路に、通し番号を保存する際に、予め特定するものを加えておく。消費者がその紙幣を上述の消費者用端末、レジスターもしくは手動読取装置に近づけるとそのレジスター等の装置はその紙幣が特別にマークを付けられている可動認識する。デパートのチェーンではこの追跡が1支店に限られてはいけないのは明らかである。B市のAデパートでマークされた紙幣を顧客がもらい、D市のCデパートの端末で特定マークを最初に見てもらうことがあり得る。この場合、消費者がそのマークに気がついたときに、携帯電話やインターネットを介して、例えば、SMS(ショートメッセージサービス)をそのデパートに送り、その紙幣に賞品が付いていることや、どのような賞品が付いているのかを返事として受け取ることがあり、その対策がとられる。
実施の形態225:
さらに他の用途の例は抽選(ラッフルに類似)機能である。ラッフルのように或る紙幣に抽選番号をマークする。顧客がそのデパートに行ったとき、顧客は所有する紙幣がマークされているか(当たり)いない(外れ)かをチェックすることができる。賞品は端末で見られるようにし、もしくは、SMS、普通郵便等によって顧客に知らせ、後で、手渡しもしくは発走するよう
にしてもよい。
実施の形態226:
特定の用途では、顧客が、そのために設けられたインターネットのページ上で、受けとった紙幣の通し番号を入力するようにしてもよい。顧客は、次に、名前、住所等を入力する。会社は定期的に一種の抽選を行い、通し番号のいくつかを当たりとする。
実施の形態227:
本発明の特別な実施の形態においては、例えば、カジノ等の賭博施設が、小切手を現金にしたり、そのカジノを訪れた当初に現金を交換する際に特別のクーポン券やジェトンやスタンプ(特殊な紙幣でもよい)を発行し、それのチップに同様にマークを付ける。何回かのゲーム(例えば、ルーレット、ブラックジャック、バカラ、スロットマシーン等)の間に、ジェトンやスタンプや紙幣を調べて、マークがあった場合には賞品もしくはボーナスを手渡したり、預かりとしたりする。
実施の形態228:
さらに他の用途の例では紙幣の金額に上乗せ分を書き込む。例えば、50ユーロ札に10ユーロを上乗せし、例えば、後で、同じ会社で品物を買うときに60ユーロで使えるようにしたりする。この機能は昨今頻繁に発行される顧客カード(やはり、電気回路が付いている)と組み合わせることができる。例えば、特別にマークされた紙幣によって獲得した上乗せ分を顧客カードに移してもよいし、品物の購入に使えるようにしてもよい。この意味では、上述の、紙幣の識別用マークを認識するための端末が顧客カードを読んだり、顧客カード書き込んだりできるようになっているのが便利である。
実施の形態229:
或る企業が紙幣のチップの電子メモリーに、対応するデータを書き込むことによってディスプレイにロゴを出し、そのロゴを有する紙幣を値引きクーポンとして買い物時に受け入れるようにしてもよい。例えば、額面10000円の紙幣で、11000円の値段の品物が買えるようにするのである。その企業が、そのようなクーポン紙幣を再び発行することを望まない場合は、紙幣のチップのメモリーのデータを適切に変更したり削除したりする制御信号を紙幣のチップとレジスターのチェック装置に転送してクーポンにマークする情報を削除する。
実施の形態230:
そのデパートで購入した品物の値段が、紙幣の額面より安いときには、顧客に支払われるべきお釣りの額をディスプレイに表示するのが望ましい。預かった紙幣は預かる際に自動的に認識され、お釣りが、レジスターに一体化されたあるいはレジスターの外部の書込み装置によって、表示された預かった紙幣の使用目的に応じて非接触でお釣りのチップに書き込まれる。この意味では、また上述の例では、チップは紙幣だけでなく、コインにも配することができる。コインはチップの部品、アンテナの部品等のトランスポンダー機能に必要なもの以外には非導電性であるのがのぞましく、例えば、硬質プラスチックで製造される。
実施の形態231:
紙幣のディスプレイは紙幣の瞬間的な有効性を示すのに使用しても有利である。例えば、権限のある銀行のコードを紙幣に一体化された制御装置のメモリーに書き込んで、その紙幣の使用を完全に制限してもよい、すなわち、その紙幣を一時的にあるいは永久的に無効にしてもよい。この状態は、対応する読取装置によって認識され、その紙幣は贋物に分類される。
この無効を読取装置無しに認識できるようにディスプレイに無効であることが表示される。この場合に、紙幣が無効であるときには点滅するLEDで充分である。例えば、レジスターに一体化されたあるいはレジスターの外部に取り付けられた、対応して調整されたチェック装置が、ディスプレイで除外された品物の購入時にその有価証券で支払うのを拒絶するようにするのが望ましい。
実施の形態232:
EPROM、EEPROM等の書き込み可能なメモリーとディスプレイ装置が一体化されたシート状の有価証券を処理する装置を備えるのが望ましい。そのディスプレイは情報を光学的もしくは音響的に表示する。またその装置は、例えば、メモリーのデータの内容を変えることによって前述のようにしてディスプレイ装置の表示条件を変えることができるように書込み装置を備えている。
例えば、前述の例における紙幣のチップとの通信によってなされる高度な入力チェック、真贋チェック、および値段チェックはオフラインでもオンラインでも行われる。これは、チェック装置の測定データを評価する評価装置がレジスター自体に一体化されている場合もあるし、レジスターの外に設けられて、信号線を介してレジスターと接続されている場合もあるということである。この信号線は無線でもよいし、有線でもよい。外部で評価する場合はレジスターの評価装置はインターネット回線、固定ネットワーク回線、あるいは携帯電話回線によって中央評価装置と接続されるのが望ましい。
実施の形態233:
データは、例えば、各レジスターの中身を自動的に把握し、各券種の紙幣が規定の最小以下にならないうちに各レジスターに紙幣を補充するのに使用してもよい。
実施の形態234:
さらに、レジスターに保存されていたり、置かれていたりする、紙幣のチップデータの読み出しによって、例えば、その紙幣の通し番号を捕捉してもよい。例えば、身代金の強奪を防ぐ、以前にレジスターに入れられた紙幣の外観を迅速に決定することができる。ここでも、評価はレジスター自体の内部で、オフラインで行ってもよいし、外部のデータベースに接続して、オンラインで行ってもよい。後者の場合、装置は頒布速度、滞留時間等の現金の流通に関する一般的なデータを決定するのにも適している。
実施の形態235:
支払い時に特定不能なあるいは欠陥紙幣チップが発見されたときは、視覚的にまたは触感的に容易に識別できるセキュリティ用特徴を有する紙幣を、レジスター要員が独力で、あるいは別のチェック装置もしくはそのレジスターに一体化されているか少なくともそのレジスターに接続されているチェック装置の助けを借りて手動でチェックする。レジスターの手持ちを自動的にモニターしているときには、或るスロットに入れられた欠陥チップを有する紙幣の量、券種等の必要なデータを入力装置で入力し、レジスターの評価装置に転送してもよい。欠陥チップを有する紙幣は正常なチップを有する紙幣とは別にして、レジスター内に保管し、より容易にソートできるようにするとともに顧客に再び支払われないようにするのが望ましい。
実施の形態236:
紙幣1のチップ3は紙幣1の券種に関する情報を含んでいるのが普通である。本発明においては紙幣1に変更可能な額面をつけることもできる。例えば、この金額を光学的あるいは音響的ディスプレイによって表示することもできる。
チップ3に暗号で記憶されている額面は、権限のある人間もしくは機構が暗号化コードを知っている特殊な読取装置もしくは書込み装置を使って、変更できるだけである。これは、例えば、紙幣額面もしくはその一部を対応する読取―書込み装置を使って他の紙幣に転写するのに使用することができる。さらにこれは、例えば、紙幣1もしくはその一部と同価値を移動し、口座に付けておくのに使用することができる。同様に、カセットあるいは自動出納機のボールと等の容器内に収容されているチップ3付きの紙幣1と同額を、紙幣を容器内に入れたまま口座に移すことも考えられる。例えば、その紙幣は、発行まではあるいは発行の直前までは、額面が記入されない。これによって、保険料や金利が不要になる。チップが故障しているときでも、紙幣の瞬間的な額面に関する情報を作ることができるように、独自の特徴、例えば、その紙幣の通し番号に基づいて、額面に関するデータを外部のデータベース、例えば、地域の中央にあるデータベースに保存しておく必要がある。
実施の形態237:
図37に示すチェック装置をキャッシュレジスターに一体化することも考えられる。実際にキャッシュレジスターの複数もしくは全てのスロットに図37に示すチェック装置を一体化するのが望ましい。束内の最外側の紙幣を活性化するレーザダイオード等の光源を各スロットの底面に一体化して、例えば、レジスターの引き出しを閉じた後に一番下の紙幣を下から照らすようにするのが望ましい。引き出しを閉じるのに連動して、レーザダイオードを駆動する自動スイッチを使用することができる。束内の紙幣の密着度を上げるためにクランプで圧縮するようにしてもよい。
最初に照らされる紙幣、すなわち、束の一番下の紙幣がそのスロットのチェック装置にその紙幣の情報を送るのが望ましい。チェックもしくは登録の後、その上の次の紙幣がエネルギーを供給され、その引き出しのチェック装置にその紙幣の情報を送る。等、等。最終的には、通し番号、券種、数、総額等のレジスターの引出し内の紙幣の状態が評価され、例えば、レジスターのディスプレイに表示される。
消費者
紙幣のチップは機械にしか読めないので、適切なチェック装置を使用すれば、偽造に対する安全性が大きくなる。このチェック装置は紙幣のチップと通信して、紙幣の額や真贋をチェックするのが望ましい。レジスターにおける場合と同様に、これにもかかわらず、人による簡単な視覚的、触感的チェックを規則として必要とする。
2,3の特徴のチェックはこれで充分であるが、この使い方では、レジスターにおける場合と同様に、試験すべき紙幣の視覚的チェックを操作要員によってさらに行う。
実施の形態238:
これは、真贋のチェックを助ける、詳細に上述した特徴の有無をチェックするだけでもよいし、チップとの通信によって、チップデータをチェックするだけでもよいが、信頼性のある、費用効率の高い、チェック装置を提供する。
実施の形態239:
そのようなチェック装置は携帯手動チェック装置とするのが望ましい。このようなチェック装置はコンパクトな、独立した装置としてユーザーが携行してもよいし、キーホルダー、めがねケース、ポケットナイフ、携帯電話、煙草入れ、ライター等に一体化してユーザーが携行してもよい。
これによれば、例えばショッピングのとき、消費者がチェック装置を持ち歩ける。券種や真贋の他にも、例えば、紙幣のチップとの通信によって上述の使用目的に関する情報をチェックすることもできる。
実施の形態240:
さらに、消費者向けのチェック装置を、現金を受け取るための小銭入れと一体化することもできる。そのチェック装置の必要なエネルギー供給はボタン電池、薄膜バッテリー、薄膜コンデンサーもしくは小銭入の外側に付ける、光電池等の小型の電池で行うのが望ましい。圧電トランスヂューサーによるエネルギー供給も考えられる。小型の場合には、チェック装置は手動チェック装置もしくはレジスターのチェック装置とすることができる。小銭入れへの紙幣の出し入れあるいはその小銭入れ内の紙幣をモニターできるようになっているのが望ましい。
実施の形態241:
前述のディスプレイ装置はチェック装置自体の中に設けてもよいし、チェック装置に接続された装置の中に設けてもよい。例えば、広告等の使用目的、その紙幣の有効性を、チップデータをチェック装置で読んで決定して、チェック装置に表示することができる。また、携帯電話にチェック装置を一体化しておけば、例えば、前述のデータを表示するのに携帯電話のディスプレイを使用することができる。
実施の形態242:
盲人にはチェック装置が特に必要である。前の、例で述べたように、チェック装置は手動装置に一体化してもよいし、小銭入れに一体化してもよい。
本発明の紙幣をチェック装置に入れると、券種毎に異なる信号が出力される。ここで、本当に信号が出力されるかどうかは、盲人向けのより簡単な盲人向けの真贋チェックで確認されている。信号出力はブザー音等の明瞭に聞くことのできる音響信号、もしくは触感的にはっきり知覚できる振動のいずれかとしてなされる。紙幣がコイン入れにあるときには信号が出力されないのが望ましい。これはソフトウエアによって制御することもできるし、チェック装置の形状をコイン入れ内の紙幣とは反応しないようにすることによっても達成できる。
必要ならば、コイン入れの内容を全て表示するようにすることもできる。例えば、出力される信号を暗号化したり、変調したりして、圧力スイッチを介してこの堆積読取をトリガーしてもよいし、音声モジュールによって直接行うようにしてもよい。
チェック装置からの音響信号を分離することも考えられる。すなわち、例えばイアホンをチェック装置にケーブルで接続してもよい。
必要なエネルギーの供給とトリガーがチェック装置を介してのみ可能であるようにすることも可能である。もし、紙幣が紙幣のトランスポンダーに結合された圧電フォイル素子(例えばPVDF)を備えているとすると、チェックされる紙幣自体が音響信号を発することができる。紙幣が磁気歪フォイル素子を備えていれば、これによって、チェックすべき紙幣が適切な振動信号を発する。
欠陥チップを備えた紙幣の取り扱い
電気回路に欠陥があるもしくは電気回路が全くない紙幣の取り扱いにおいては常に「作動可能な電気回路(以下短く「紙幣回路」と言う)の無い紙幣をそうでない紙幣と一緒にどう処理するのか」という疑問が生ずる。そのような疑問が生ずる場面には、紙幣の製造、紙幣の処理、商業銀行あるいは取引の預金機への紙幣の受け入れ、レジスターでの紙幣の受け入れ、受け入れた紙幣の輸送、紙幣の破壊等がある。
作動可能な紙幣回路の無い紙幣を作動可能な紙幣回路のある紙幣と同じように処理することができるように、作動可能な紙幣回路の無い紙幣に作動可能な回路(以下、追加回路と略称する)を追加することもできる。
紙幣に使われた回路と全く同じものを追加回路として使うことは基本的に可能である。しかしながら、そのような追加の回路を後で取り付けられるということは、偽造の可能性もあるということである。
したがって、通常使われる紙幣回路とは異なる追加回路を使用するのが望ましい。追加回路は、その追加回路も読取装置からの問い合わせについて所望の態様で反応するように、通常の紙幣回路と同じ通信インターフェースをそなえているのが望ましい。いずれにしろ、追加回路は回路のデータもしくはその追加回路に与えられた機能についての問い合わせに対する答えで見分けがつく程度には通常の紙幣回路と違っている。
簡単な差は、外部読取装置からの問い合わせに対する、通し番号0のときの応答や紙幣の価値が0のときの返事にある。適切な読取装置であれば、そのような紙幣は後で追加回路を加えたものであることが直ぐ分かり、与えられた機能においてのみアドレス可能である。
他方、作動可能な紙幣回路の無い紙幣は正常な紙幣回路が実行できないような要求を追加回路に課す。偽物は正しく機能する紙幣回路を持っていないことが多いので、例えば、追加回路は紙幣回路よりメモリー領域が大きく、追加回路には、余分なデータを記録することができる。これは、技術的な犯罪捜査の上で助けになる。
そのような追加回路を紙幣に取り付けるのに、追加回路を含むとともに紙幣に接続された補助キャリア、あるいは追加回路封入した補助キャリアも使用することができる。そのような補助キャリアは特許請求の範囲で同様に表現されるが、紙幣が挿入されるポケットでもよいバンドとすることができる。
上述の補助キャリアの望ましい実施の形態においては紙幣に接着剤が施される。接着剤についてのみ論じる理由は例えば以下の記述から明らかになるとおりである。接着剤はその紙幣から分離できないように、その紙幣に施してもよいし、その紙幣から外して、再び使ってもよい。
このようにして、追加回路付きの接着剤を使うのは、不必要なコストを産み出すだけのように思えるが、全体の紙幣処理のコストは大幅に低下する。様々な可能性について以下説明する。
紙幣処理においては、前述した利点の多くは、処理される全ての紙幣が作動可能な回路を有するという仮定にかなり大きく依存するものであった。例えば、全ての紙幣が作動可能な回路を有しているときだけ、コンピュータ制御の光バリアーは、紙幣の順番が混ざり合わずに、信頼性を持って、重なった紙幣の搬送を見極めることができる。
したがって、処理の信頼性を高めるために、個別処理もしくは個別処理と堆積処理を組み合わせて行う紙幣処理装置において、個別の紙幣との通信に失敗した後、分離中もしくは分離時にその接着剤を紙幣に接着すると、紙幣は同じ信頼性で、個別もしくはまとめて処理できるようになる。前の処理工程で、例えば、預託者によって、その接着剤を紙幣に接着すれば、専門の紙幣の堆積処理も可能である。
上述した、偽造の疑いのある紙幣のマークが可能となるように、一般に偽造の疑いありとされる、回路無しの紙幣に上述の接着剤ラベルを貼って、回路のメモリーにその旨のデータを書き込めるようにするのが望ましい。これによって、前述のレジスターの内容に関するレポートを場合によってはなくすことができる。
回路付きの接着剤を紙幣の破壊前に紙幣に取り付けるという例も、破壊工程での不正を防止する上で相当の効果がある。もし、破壊される全ての紙幣が回路、すなわち、紙幣回路や追加回路、を備えていれば、光バリアーは、紙幣を機械的に破壊する前に、紙幣の流れに対する不正操作を見抜くことができる。特に、このようにすれば、欠陥回路が少数であると考えられる新しく印刷された紙幣の破壊の際に役立つ。
貨幣の流通の簡略化した模式図 本発明の紙幣の形態のセキュリティ用パターンの一例を示す図 本発明の紙幣の形態のセキュリティ用パターンの他の例の平面図 本発明の紙幣の形態のセキュリティ用パターンのさらに他の例の平面図 本発明の電気回路を組み込むための凹版の断面図 図5の凹版による印刷物の断面図 輪転印刷装置のプレス前工程と印刷工程の模式図 自動整列用エンボスフォイルの断面図 図8のエンボスフォイルにチップを保存した断面図 自動整列用エンボスフォイルの他の例の図 チップのコンタクト面の位置を示す平面図 自動整列法の他の例の図 その方法のための、図12aによるエンボス・印刷を示す断面図 多層プリント回路の基板への転写を示す図 紙幣の形態の本発明のセキュリティ用紙の平面図 紙幣の形態の本発明のセキュリティ用紙の他の例の平面図 図16の紙幣のA−A線断面図 強磁性コアを有する紙幣の断面図 ペーパーウエブ上の局所的磁域を示す、装置の断面図 ペーパーウエブ上の局所的磁域を示す、篩の断面図 1個のチップと2本のアンテナを有する紙幣の模式図 コイルーオン―チップを有する紙幣の形態の本発明のセキュリティ用紙の平面図 誘導性結合素子と光学的結合素子を有する紙幣の例を示す図 蛍光染料(LISA)を有するフォトダイオードの機能原理を模式的に示す図 LISAフォトダイオードを有する紙幣の模式図 LISAフォトダイオードを有する紙幣の他の例の模式図 磁気歪圧電複合材料を示す斜視図 磁気歪圧電複合材料を備えた紙幣平面図 電気セキュリティ素子として紙幣に固定的に一体化された発振回路の等価回路図 容量結合素子を有する紙幣の第1の実施の形態の平面図 容量結合素子を有する紙幣の第2の実施の形態の平面図 本発明の紙幣の形態のセキュリティ用紙の他の例の平面図 図22の紙幣の製造法の一部を示す斜視図 接触による電気的接続構造を備えた紙幣の一実施の形態を示す図 接触による電気的接続構造を備えた紙幣の他の実施の形態を示す図 論理部とHFインターフェースを備えた、誘導結合トランスポンダーのブロック回路図 光学的エネルギー供給の紙幣の束の模式図 チップ付きの紙幣の読取装置を備えたカセットの模式図 バンドでまとめた紙幣の小パケットの例を示す図 図39の例の側面図 バンドでまとめた紙幣の小パケットの他の例を示す図 紙幣の小パケットを押さえるバンドの例を示す図 図42の側面図 光学的通信の堆積測定装置の平面図 光学的通信の堆積測定装置の側面図 光学的通信と誘導的通信の堆積測定装置の側面図 磁性用紙の束に誘導的に結合された読取装置の模式図 容量的通信の堆積測定装置の例の側面図 図30の紙幣の束の等価回路図 図30の紙幣の束の変更例の等価回路図 容量的通信の堆積測定装置の他の例の模式的斜視図 図28の紙幣の2つの読取装置を示す図、 読取装置の一部とともに示す、図27の紙幣の変更例の図、 複数のデータベースで複製をチェックする例の模式図 複数のデータベースで複製をチェックする他の例の模式図 複数のデータベースで複製をチェックするさらに他の例の模式図 紙幣をソートする紙幣処理装置の第1の実施の形態の図 電気回路とアンテナを備えた紙幣の実施の形態を示す図 電気回路を備えた紙幣を処理する紙幣処理装置のデータ交換装置の第1の実施の形態を示す図 電気回路を備えた紙幣を処理する紙幣処理装置のデータ交換装置の第2の実施の形態を示す図 電気回路を備えた紙幣を処理する紙幣処理装置のデータ交換装置の第3の実施の形態を示す図 本発明の紙幣処理装置で使用する紙幣入力装置の一実施の形態の図 紙幣の数を数え、紙幣を評価する紙幣処理装置の第2の実施の形態の図 紙幣の数を数え、紙幣を評価する紙幣処理装置の第3の実施の形態の図 紙幣のスピンドルカウンターの一例の模式図 預金機の一例の図 預金機の他の例の図
符号の説明
1 紙幣
3 チップ
4 光学的送信機
5 光学的受信機
6 フォトダイオード素子
10 キャリア層
20 製紙工場
21 紙幣印刷所
22 印刷工程
23 品質保証工程
24 破断装置
25 中央銀行
26 商業銀行
27 現金払い出し機
29 現金預入・払出機
31 自動紙幣処理機
32 自動現金入力装置
33 キャッシュレジスター

Claims (183)

  1. 少なくとも1つの電気回路を有するシート材料、特に、紙幣を処理する装置であって、そのシート材料の前記電気回路にエネルギーおよび/またはデータを送ったり、その電気回路からエネルギーおよび/またはデータを受け取ったりし、受け取ったエネルギーおよび/またはデータの少なくとも一部を処理に使用するチェック装置を備えることを特徴とする装置。
  2. 前記チェック装置が受け取ったデータに基づいて、前記紙幣の真贋、券種、総額、通し番号、他の個別データおよび/または履歴等の1つまたはそれ以上の特性を記録したり、決定したりおよび/またはチェックしたりすることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記チェック装置が接触結合、非接触結合、誘導結合、容量結合、接触直流結合、電界結合、磁気結合、電磁波光学結合、圧電素子等による歪結合、電気機械的結合、音による結合、熱による結合等の伝送法を単独もしくはくみあわせで実行するようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
  4. 前記チェック装置が容量結合用の電極、磁界を形成するための磁石、誘導結合用のコイル、特に前記シート材料の光電池やフォトダイオードを照らす光学結合用の光源、前記シート材料の音に反応する電気素子に当てられる音、特に、超音波を発生する音源等の結合装置の少なくともひとつを備え、その結合装置が、前記シート材料が束にして置かれ、測定される底面に設けられたり、分離機、搬送路、センサー路、スタッカー、一時メモリー、載置手段等の処理装置の他の部品に一体化されたりすることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の装置。
  5. 前記チェック装置が前記電気回路にエネルギーおよび/またはデータを送ったり、その電気回路からエネルギーおよび/またはデータを受け取ったりするそれぞれの場合に、複数の異なる伝送方法を使用することができることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の装置。
  6. 処理装置から前記シート材料へ送られる制御信号あるいは処理装置へ前記シート材料から送られる制御信号に応じて前記異なる伝送方法の少なくとも1つが選択されることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の装置。
  7. 前記シート材料のエネルギーおよび/またはデータを受け取るチェック装置が同じもしくは異なる方法で前記シート材料の回路にエネルギーおよび/またはデータを送る受信装置を備えていることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の装置。
  8. 前記シート材料のエネルギーおよび/またはデータを受け取るチェック装置が処理装置の、前記シート材料の回路にエネルギーおよび/またはデータを送る送信装置としての同じもしくは異なる部分に位置せしめられていることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の装置。
  9. 前記シート材料のエネルギーおよび/またはデータを受け取り、前記シート材料へエネルギーおよび/またはデータを送る前記チェック装置が前記シート材料のエネルギーおよび/またはデータの受け取りと前記シート材料へのエネルギーおよび/またはデータの伝送に同じもしくは異なる方法を使用できることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の装置。
  10. 前記チェック装置が前記シート材料のエネルギーおよび/またはデータの受け取りの際に、光学的結合を使用し、前記シート材料へのエネルギーおよび/またはデータの伝送に誘導的結合または容量的結合を使用できることを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の装置。
  11. 前記チェック装置が固定束や可動束の複数のシートの特性やその各シートの特性を測定することができることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の装置。
  12. 前記シート材料のシートの装置内での、搬送や処理、特にテストを別々にでも束にしてでも、行うことができることを特徴とする請求項1から11いずれか1項記載の装置。
  13. 前記チェック装置が個々のシートの特性を順次測定することができ、および/または、複数のシート、特に、全てのシートの特性を同時に測定することができることを特徴とする請求項1から12いずれか1項記載の装置。
  14. 前記チェック装置が異なるシートの複数の回路に同時にもしくは順次にアクセス、特に活性化、することができ、もしくはアドレスされた異なる紙幣の複数の回路が前記処理装置に同時にもしくは順次に応答信号を返せることを特徴とする請求項1から13いずれか1項記載の装置。
  15. 前記チェック装置が、処理すべきもう1枚のシートが応答信号を出すまでは次のシートを活性化できないことを特徴とする請求項1から14いずれか1項記載の装置。
  16. 前記シート材料へのエネルギーおよび/またはデータの伝送に光学的結合または誘導的結合を使用するときには、前記処理装置の結合界の位置を、特に、チェックすべき前記束の積み重ね方向に、動かし、束内の異なるシートが順次アドレスされることを特徴とする請求項1から15いずれか1項記載の装置。
  17. 前記シート材料へのエネルギーおよび/またはデータの伝送に誘導的結合を使用するときには、前記処理装置の結合界の強さを、チェックの際選択的に強くし、束内の異なるシートが順次アドレスされることを特徴とする請求項1から16いずれか1項記載の装置。
  18. データの伝送を1段もしくは多段に行うことができ、特に、光学的結合を使用する場合には、例えば、エネルギー伝送の際の負荷変調、もしくは透過率、反射率、吸収率等の計数を変えることによってもデータの伝送を行うことができるようになっていることを特徴とする請求項1から17いずれか1項記載の装置。
  19. 光学的結合を使用する場合には、前記シート材料にあるいは前記シート材料から、発せられる光信号の分光成分や時間挙動、特に、持続時間、レベル、間隔、シーケンスが伝送されるデータに依存することを特徴とする請求項1から18いずれか1項記載の装置。
  20. 1枚のシートのフォトダイオードもしくは束にした複数のシートの複数のフォトダイオードを照らす光源を特徴とする請求項1から19いずれか1項記載の装置。
  21. 前記チェック装置が、後の工程で、個々のシートの回路に選択的にあるいは、全てのシートの回路の一部にアドレスできるように、そのシート材料からのデータを受け取り、1枚あるいは複数枚のシートの個別データ、例えば、通し番号、を最初に決定することを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の装置。
  22. 前記チェック装置が、前記シートの履歴に関するデータをそのシートに伝送できることを特徴とする請求項1から21いずれか1項記載の装置。
  23. 前記チェック装置が、真贋信号をシートの回路に送ることができ、それによって、その回路のメモリーの内容を読んだり、変更したりする処理を行う権限を得ることを特徴とする請求項1から22いずれか1項記載の装置。
  24. 1度に1枚のシートを束から離すことができる分離機を備え、前記チェック装置が、シート上の回路とその装置間のエネルギーおよび/またはデータの授受がシートを束から離す前または離す際に行うようにされていることを特徴とする請求項1から23いずれか1項記載の装置。
  25. 暗号化、デジタル署名等のデータの伝送を安全にする手段を備えていることを特徴とする請求項1から24いずれか1項記載の装置。
  26. 前記チェック装置が、結合周波数の異なる結合素子を備えたシート材料を使用したときに、そのシート材料の回路と2つの周波数の双方あるいは一方のみで通信できることを特徴とする請求項1から25いずれか1項記載の装置。
  27. 前記チェック装置が、2つの結合周波数の一方が故障したとき、そのときのみ他方の周波数でシート材料の回路と通信できることを特徴とする請求項1から26いずれか1項記載の装置。
  28. 前記チェック装置が、前記シート材料に回路を組み込んだ後の時点でその回路のメモリー領域の全て、もしくは一部に書込みができないようにその回路を変更することができることを特徴とする請求項1から27いずれか1項記載の装置。
  29. 前記チェック装置が、チェック中もしくはチェック後に、望ましくは、そのチェックの結果に応じて、チェックされたシートの前記回路を不活性にしたり、複数の接続線のうちの少なくとも1本を切断したりできることを特徴とする請求項1から28いずれか1項記載の装置。
  30. 前記チェック装置が、前記シート材料の発振回路に交流界を照射することができ、その発振回路によって発生され、前記チェック装置によって受信された信号が評価され、そのシート材料が、例えば、真贋について、チェックされることを特徴とする請求項1から29いずれか1項記載の装置。
  31. 前記チェック装置が、前記回路の有無および/または形状および/または表面パターン等の表面構造および/または位置および/またはシート材料での複数の前記回路の配置を真性証明としてチェックできることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載の装置。
  32. 前記チェック装置が、前記シート材料がチェックされるとき、そのシート材料上の温度分布等の温度またはそれから引き出された値を測定し、評価することを特徴とする請求項1からいずれか1項記載の装置。
  33. 前記チェック装置が、容器の中身を調べるために、容器のメモリーに記憶されている容器の中身に関するデータと容器内のシートの全てもしくは少なくとも1枚のメモリーに記憶されている容器の中身に関するデータを比較することができることを特徴とする請求項1から32いずれか1項記載の装置。
  34. 前記チェック装置が、処理作業において、容器内のシートに書き込むデータをその容器に転送し、そのデータを容器のメモリーに一時的に保存し、処理作業の完了後、例えば、シートをその容器から出すときに少なくとも1枚のシートのメモリーに書き込むことを特徴とする請求項1から33いずれか1項記載の装置。
  35. 製造時、もしくはシートの束にバンドをかけるバンドかけ時またはバンドかけ後にのみバンドに回路を組み込むことができることを特徴とする請求項1から34いずれか1項記載の装置。
  36. 前記チェック装置が、チェックすべき紙幣の束を望ましくはその束の積み重ね方向にもしくはその積み重ね方向に直角に貫くことのできる交流磁界を発生する装置を備えていることを特徴とする請求項1から35いずれか1項記載の装置。
  37. 前記装置によって発生される交流磁界の周波数が前記シート材料の磁気歪素子の機械的共振周波数もしくはその磁気歪素子を有するシート材料の複合材料の機械的共振周波数に対応することを特徴とする請求項1から36いずれか1項記載の装置。
  38. 前記チェック装置が、チェック作業の際、前記処理装置および/またはシート材料の回路内で衝突防止検出法を行うことができることを特徴とする請求項1から37いずれか1項記載の装置。
  39. 堆積測定用のシートを圧縮する押圧装置および/または一つの縁部あるいは互いに直角な2つの縁部が面一となるようにシートをそろえる整列手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から38いずれか1項記載の装置。
  40. 前記チェック装置が、往復動圧電素子等のシート材料の回路に接続された音源から発せられる音波を検出する音波センサーを備えていることを特徴とする請求項1から39いずれか1項記載の装置。
  41. 1つまたはそれ以上のキーもしくは複数セットのキーを備え、それによって、保存もしくは伝送すべきデータを暗号化したり、保存もしくは伝送すべきデータのデジタル署名を形成することができることを特徴とする請求項1から40いずれか1項記載の装置。
  42. 前記チェック装置が、そのシート材料の暗号化された通し番号等の個別データもしくはそのシート材料のもしくはそのシート材料用の署名された、他のデータを含むことができることを特徴とする請求項1から41いずれか1項記載の装置。
  43. 前記チェック装置が、チェックすべきシート材料の回路のデータを、データを評価し、評価結果を処理装置に戻す空間的に離れた評価装置に転送できることを特徴とする請求項1から42いずれか1項記載の装置。
  44. 前記チェック装置が、シート材料の1度のチェックにおいて、望ましくは、シート材料をチェックする度に、前記シートの回路に新たな識別番号を送り、シートの回路のそのために設けられたメモリー領域に記憶させることができるようになっており、識別番号がシート材料の外部に設けられた外部データベースに各シートの通し番号等の個別データとともに記憶されることを特徴とする請求項1から43いずれか1項記載の装置。
  45. 前記チェック装置が、チェック作業時にシート材料のメモリーからの識別番号と個別データを前記外部データベース内の対応するデータと比較することができることを特徴とする請求項1から44いずれか1項記載の装置。
  46. 前記チェック装置もしくは前記外部データベースがチェック作業時に前記識別番号を再発生したり、複数の所定の識別番号から選択したりできることを特徴とする請求項1から45いずれか1項記載の装置。
  47. 前記チェック装置が、前記識別番号に加えて、現在のおよび/または前に行った1またはそれ以上のチェック作業のタイムスタンプおよび/または位置スタンプを、そのために設けた紙幣の回路のメモリー領域に保存されるように紙幣の回路に送ったり、それをそのメモリーに保存することができることを特徴とする請求項1から46いずれか1項記載の装置。
  48. 新たに発生された識別番号および/または新たに発生されたタイムスタンプおよび/または位置スタンプが現在または以前の識別番号および/または現在または以前のタイムスタンプおよび/または位置スタンプに依存することを特徴とする請求項1から47いずれか1項記載の装置。
  49. 複数の外部データベースが存在し、前記チェック装置が、例えば、前記識別番号および/またはタイムスタンプおよび/または位置スタンプに依存する所定の選択基準によって次のチェック評価の外部データベースを1つ選択できることを特徴とする請求項1から48いずれか1項記載の装置。
  50. 前記チェック装置が、処理装置とシート材料の回路の間のデータ通信によって得られたデータをシート材料の回路とは無関係に行われるチェックに由来するデータに依存して評価することができることを特徴とする請求項1から49いずれか1項記載の装置。
  51. 前記チェック装置が、シート材料の回路のメモリーからのデータをシート材料の紙および/またはその紙に含まれる特徴物質に特有なデータと比較することができることを特徴とする請求項1から50いずれか1項記載の装置。
  52. 前記チェック装置が、処理装置とシート材料の回路の間のデータ通信によって得られたデータを参照して、シート材料の回路とは無関係に行われるチェックのパラメータを調整することができることを特徴とする請求項1から51いずれか1項記載の装置。
  53. 前記チェック装置が、シート材料がまだ流通に適すると判断するチェック作業において、望ましくはそのようなチェック作業の度に、シート材料の不可逆の局所的変化を引き起こすデータをシート材料の回路に送ることができ、それによってその変化に関するデータがそのシート材料の回路のメモリーに保存されたり、チェック装置自体がシート材料の不可逆の局所的変化を引き起こすことを特徴とする請求項1から52いずれか1項記載の装置。
  54. 前記チェック装置が、エネルギーおよび/またはデータの処理装置から紙幣の回路への伝送、その回路から処理装置への伝送がそのチェック装置の向きやシート材料の搬送方向(T1、T2)、例えば、そのシート材料が縦に搬送されるか、横に搬送されるか、に関係なく常に可能であるように形成されていることを特徴とする請求項1から53いずれか1項記載の装置。
  55. 前記チェック装置が、電気的に互いに接続され、その接続が変わる複数のセグメントを有しており、および/または処理装置のチェック装置が分離ロール等の分離機によって形成され、および/または処理装置のチェック装置が回転ないし移動する電界ないし磁界を形成する装置を備えていることを特徴とする請求項1から54いずれか1項記載の装置。
  56. 前記チェック装置が、処理装置内でのシートの搬送中に、処理装置にシート材料の回路から送られるデータ、特に、個別データ、に基づいて、処理装置内でのシートの位置を決定できることを特徴とする請求項1から55いずれか1項記載の装置。
  57. 前記チェック装置が、処理装置にシート材料の回路から送られるデータを使用して、シートの複数の選択および/または状態を検出することを特徴とする請求項1から56いずれか1項記載の装置。
  58. 前記チェック装置が、チェック作業中もしくはチェック作業後に、シート材料の回路にデータを送り、そのメモリーにデータを記憶させ、それによって、そのデータがそのチェック作業の関係付けられることを特徴とする請求項1から57いずれか1項記載の装置。
  59. 前記チェック装置が、チェック作業中に紙のデータと前記シート材料の回路データを比較できることを特徴とする請求項1から58いずれか1項記載の装置。
  60. 前記処理装置が分離機、センサーおよびスタッカーを備え、シート材料が分離機からスタッカーへ別々のセンサー路を経由しないで直接搬送されることを特徴とする請求項1から59いずれか1項記載の装置。
  61. 一方では、シートの束がクランプ装置によってクランプされ、他方ではクランプされたシートが機構によって分離され、シート材料の回路が、分離された状態でチェック装置によってアドレスされることを特徴とする請求項1から60いずれか1項記載の装置。
  62. チェックされるシート材料が紙の特性を測定するために変形される軟度センサーもしくは孔センサー等のセンサーを有し、それによって、曲げが、シート材料の回路にエネルギーを供給したり、シート材料の回路のデータを処理装置に送るのに役立つことを特徴とする請求項1から61いずれか1項記載の装置。
  63. 前記処理装置が個別処理用の搬送路と堆積処理用の搬送路を別々に備えていることを特徴とする請求項1から62いずれか1項記載の装置。
  64. 処理装置内でシート材料を搬送する容器を搬送できることを特徴とする請求項1から63いずれか1項記載の装置。
  65. 個別処理と堆積処理を組み合わせて行う処理装置が、シート材料の入った容器を出力する1または複数の出力位置を有し、その出力位置で容器もしくはその中のシートを取り出すことができるようになっており、その出力位置のそれぞれが、その容器を対応する出力位置に搬送する前にシート材料を充填する1または複数の充填位置に割り当てられていることを特徴とする請求項1から64いずれか1項記載の装置。
  66. 分離機、センサー路、スタッカー、中間搬送路等の処理装置の部分、これらはモジュールで形成するのが望ましいが、これらの全部または一部に、シート材料の預託もしくは束が同時に最大1つしか入らないことを特徴とする請求項1から65いずれか1項記載の装置。
  67. 複数の預託の処理中に異なる預託の間を、空間的に離すことによって、物理的に分離することを特徴とする請求項1から66いずれか1項記載の装置。
  68. 多数のシートを2つのサブセットに分ける分離手段が設けられ、その分離手段がシート材料と同じ通信インターフェースを有する電気回路を備えていることを特徴とする請求項1から67いずれか1項記載の装置。
  69. 分離手段が2つのサブセットの一方とチェック装置の通信を阻止することができることを特徴とする請求項1から68いずれか1項記載の装置。
  70. シート材料の回路の特性をチェックするためのセンサーが、シート材料の紙質をチェックするためのセンサーと比較して、処理装置の同じモジュールケースもしくは異なるモジュールケース等の空間的に同じ部分または空間的に異なる部分に取り付けられていることを特徴とする請求項1から69いずれか1項記載の装置。
  71. シート材料の回路のメモリーからデータを読み取る装置がシート材料の回路のメモリーにデータを書き込む装置と空間的に同じ部分または空間的に異なる部分に配されていることを特徴とする請求項1から70いずれか1項記載の装置。
  72. 書込み装置が読取装置の下流にあり、および/または書込み装置が、シート材料の回路の特性もしくは紙質を測定できるセンサー装置の下流にあることを特徴とする請求項1から71いずれか1項記載の装置。
  73. 前記チェック装置が処理作業において、再チェックが必要または贋物または疑わしいとされたシート材料の回路の基本的に作動指定しているメモリーに書き込むためにのみデータを書き込んだり、送ったりすることができることを特徴とする請求項1から72いずれか1項記載の装置。
  74. 処理装置が、シート材料の搬送路においてシート材料の回路から対応するデータを読み取る複数の読取装置を備えており、搬送中のシートの位置およびアイデンティティーを明瞭に追うことができるようになっていることを特徴とする請求項1から73いずれか1項記載の装置。
  75. 前記チェック装置が、シート材料の真贋チェック等のシート材料のチェックの少なくとも一部または全部をシート材料の回路から処理装置に送られるデータに依存してのみ実行可能であることを特徴とする請求項1から74いずれか1項記載の装置。
  76. シート材料の預託や払出に際して、業務データと、対応するシート材料をチェックするための測定データの関連付けを行うことができ、その関連付けデータが、望ましくは、シート材料の少なくとも1枚の回路のメモリーおよび/または処理装置や外部データベースのメモリーに保存されることを特徴とする請求項1から75いずれか1項記載の装置。
  77. 前記チェック装置が、前記シート材料の回路にエネルギーおよび/またはデータを送るための信号の評価とは別に、シート材料の回路がシート材料の紙の所定の位置に所定の形状で存在するかどうかを決定することができることを特徴とする請求項1から76いずれか1項記載の装置。
  78. 前記チェック装置が、処理作業において、あるシートについて異なるチェック作業を異なる速度ですることができ、および/または異なる時間に異なるチェック作業をすることができることを特徴とする請求項1から77いずれか1項記載の装置。
  79. 前記チェック装置がチェック作業をそのシート材料の中間保管の前に、後より高速で実行することができることを特徴とする請求項1から78いずれか1項記載の装置。
  80. シート材料の束をオペレータによって入力する入力手段と入力されたシート材料をオペレータによっては取り出すことのできない、カセット等の最終スタッカーとを備え、入力されたシートが前記チェック装置に接続されたチェック装置によって、特に束のままで、チェックされ、前記入力手段から最終スタッカーに直接搬送されることを特徴とする請求項1から79いずれか1項記載の装置。
  81. シート材料出力機能を有する処理装置において、シート材料ポケットから出力ポケットに搬送されるシートの通し番号等の個別データを決定することのできるチェック装置が、シートポケットと出力ポケットの間に配されていることを特徴とする請求項1から80いずれか1項記載の装置。
  82. 紙幣処理装置がキャッシュレジスター、卓上装置、手動チェック装置、財布、もしくはポケットチェック装置の一部であることを特徴とする請求項1から81いずれか1項記載の装置。
  83. 保管用ポケット、保管用カセット等の1個もしくはそれ以上のスタッカーを備え、それによって前記チェック装置が、全てもしくはいくつかのスタッカー内のシート材料を有するシート材料の束を自動的にチェックするようになっていることを特徴とする請求項1から82いずれか1項記載の装置。
  84. 前記チェック装置が、スタッカー内の作動可能なシート材料回路を有する全てのシートを登録可能であり、および/またはスタッカー内への作動可能なシート材料回路を有するシートの出し入れを登録可能であることを特徴とする請求項1から83いずれか1項記載の装置。
  85. 前記チェック装置が、そのスタッカー内に、券種が同じ紙幣等の1種類のシートのみが存在するのかどうかを把握できることを特徴とする請求項1から84いずれか1項記載の装置。
  86. 処理装置が、購入される品物を検出することができるとともに少なくとも紙幣の真贋をチェックできる、別体の望ましくは形態可能な、キャッシュレジスターであることを特徴とする請求項1から85いずれか1項記載の装置。
  87. シート材料の回路のメモリーにそのシート材料の使用目的に関するデータを保存できることを特徴とする請求項1から86いずれか1項記載の装置。
  88. 処理の際に前記シート材料に後から追加の電気回路を設けることができることを特徴とする請求項1から87いずれか1項記載の装置。
  89. 前記追加の回路がシート材料の回路とは異なる特性を有し、通信インターフェースが望ましくは同一であることを特徴とする請求項1から88いずれか1項記載の装置。
  90. 少なくとも1つの電気回路を有するシート材料、特に、紙幣を処理する方法で処理装置を備えた方法であって、前記装置からそのシート材料の前記電気回路にエネルギーおよび/またはデータを送信したり、その電気回路からその装置にエネルギーおよび/またはデータを送信したりし、送信したデータの少なくとも一部を処理に使用することを特徴とする方法。
  91. 前記送信したデータに基づいて、前記シート材料の真贋、券種、総額、通し番号、他の個別データおよび/または履歴等の1つまたはそれ以上の特性を決定したりおよび/またはチェックしたりすることを特徴とする請求項90記載の方法。
  92. 束が静止していたり、動いていたりする状態で、複数のシートの特性を測定し、および/またはシートが静止していたり、動いていたりする状態で、分離されたシートの特性を測定し、および/または分離されたシートの特性を順次測定し、および/または複数もしくは全てのシートの特性を一度に測定し、および/または処理装置で同時にもしくは順次活性化された異なるシートの回路にアドレスし、および/または
    そのアドレスされた複数のシートの回路が前記処理装置に応答信号を同時もしくは順次戻すことを特徴とする請求項90または91記載の方法。
  93. 前記シートの回路が、もう1枚のシートの回路が応答信号を発した後にのみ活性化され、および/または第1のシートの回路が束内の第2の、特に束内で隣接した、シートが発したデータおよび/またはエネルギーを受け取ることができ、第1のシートの回路が望ましくは第2のシートの受け取られた信号に依存して活性化されることを特徴とする請求項90から91いずれか1項記載の方法。
  94. 前記シート材料のシートが前記装置内で分離された状態、束にされた状態の両方で搬送および/または処理、特に、チェックされることを特徴とする請求項90から93いずれか1項記載の方法。
  95. 前記シート材料の前記電気回路にエネルギーおよび/またはデータを送ったり、その電気回路からエネルギーおよび/またはデータを受け取ったりするのに接触結合もしくは非接触結合、誘導結合、容量結合、接触直流結合、電界結合、磁気結合、電磁波光学結合、圧電素子等による歪結合、電気機械的結合、音による結合、熱による結合等の伝送法を単独もしくはくみあわせで実行することを特徴とする請求項90から94いずれか1項記載の方法。
  96. 前記シート材料の前記電気回路からエネルギーおよび/またはデータを前記処理装置に伝送するのに、前記シート材料の前記電気回路にエネルギーおよび/またはデータを前記処理装置から伝送するのと同じおよび/または異なる伝送方法を用い、および/またはエネルギーを前記シート材料の前記電気回路から前記処理装置にあるいは前記処理装置から前記電気回路に伝送するのに、データを前記シート材料の前記電気回路から前記処理装置にあるいは前記処理装置から前記電気回路に伝送するのと同じおよび/または異なる伝送方法を用いることを特徴とする請求項90から95いずれか1項記載の方法。
  97. 前記電気回路にエネルギーおよび/またはデータを送ったり、その電気回路からエネルギーおよび/またはデータを受け取ったりするそれぞれの場合に、複数の異なる伝送方法を使用することを特徴とする請求項90から96いずれか1項記載の方法。
  98. 処理装置から前記シート材料へ送られる制御信号あるいは処理装置へ前記シート材料から送られる制御信号に応じて前記異なる伝送方法の少なくとも1つが選択されることを特徴とする請求項90から97いずれか1項記載の方法。
  99. 前記シート材料へのエネルギーおよび/またはデータの伝送に光学的結合または誘導的結合を使用するときには、前記処理装置の結合界の位置を、特に、チェックすべき前記束の積み重ね方向に、動かし、束内の異なるシートに順次アドレスすることを特徴とする請求項90から98いずれか1項記載の方法。
  100. 前記シート材料へのエネルギーおよび/またはデータの伝送に誘導的結合を使用するときには、前記処理装置の結合界の強さを、チェックの際選択的に強くし、束内の異なるシートに順次アドレスすることを特徴とする請求項90から99いずれか1項記載の方法。
  101. 前記処理装置が、後の工程で、個々のシートの回路に選択的にあるいは、全てのシートの回路の一部にアドレスできるように、そのシート材料からのデータを受け取り、1枚あるいは複数枚のシートの個別データ、例えば、通し番号、を最初に決定することを特徴とする請求項90から100いずれか1項記載の方法。
  102. 前記シート材料の履歴に関するデータをそのシート材料の回路のメモリーに保存することを特徴とする請求項90から101いずれか1項記載の方法。
  103. 真贋信号が前記処理装置によってシートの回路に送られ、それによって、その回路のメモリーの内容を読んだり、変更したりする処理を行う権限があたえられることを特徴とする請求項90から102いずれか1項記載の方法。
  104. チェック時またはチェック後に、望ましくは、そのチェックの結果に依存して、チェックの済んだシートの回路を不活性化し、および/または必要に応じて回路に接続された複数のリード線の少なくとも1本を切断することを特徴とする請求項90から103いずれか1項記載の方法。
  105. 前記シート材料が結合周波数の異なる複数の結合素子を有し、前記装置が、2つの結合周波数の一方が故障したとき、そのときのみ他方の周波数でシート材料の回路と通信できることを特徴とする請求項90から104いずれか1項記載の方法。
  106. 前記シート材料に回路を組み込んだ後の時点でその回路のメモリー領域の全て、もしくは一部に書込みができないようにその回路を変更することを特徴とする請求項90から105いずれか1項記載の方法。
  107. 前記チェック装置が、前記シート材料の発振回路に交流界を照射し、その発振回路によって発生された信号を評価し、そのシート材料が、例えば、真贋について、チェックされることを特徴とする請求項90から106いずれか1項記載の方法。
  108. 容器のメモリーに記憶されている容器の中身に関するデータと容器内のシートの全てもしくは少なくとも1枚のメモリーに記憶されている容器の中身に関するデータを比較して容器の中身を調べることを特徴とする請求項90から107いずれか1項記載の方法。
  109. 処理作業において、容器内のシートに書き込むべきデータをその容器に転送し、そのデータを容器のメモリーに一時的に保存し、処理作業の完了後の一時点、例えば、シートをその容器から出すときまでは対応するシートのメモリーに書き込まないことを特徴とする請求項90から108いずれか1項記載の方法。
  110. バンドの製造時、もしくはシートの束にバンドをかけるバンドかけ後にのみバンドに回路を組み込むことを特徴とする請求項90から109いずれか1項記載の方法。
  111. チェック作業の際、前記処理装置および/またはシート材料の回路内で衝突防止検出法を行うことを特徴とする請求項90から110いずれか1項記載の方法。
  112. 堆積測定のために、紙幣を互いに圧縮したり、互いに直角な縁の1つまたは2つが面一となるように紙幣を揃えることを特徴とする請求項90から111いずれか1項記載の方法。
  113. 前記シート材料のメモリーに伝送もしくは書き込むべきデータを暗号化したり、前記シート材料のメモリーに伝送もしくは書き込むべきデータにデジタル署名をするための1つまたはそれ以上のキーもしくは複数セットのキーを備え、それによって、前記シート材料のメモリーに伝送もしくは書き込むべきデータを暗号化したり、前記シート材料のメモリーに伝送もしくは書き込むべきデータにデジタル署名をするようになっており、および/または通し番号等のそのシート材料の個別データが他のデータの暗号化したもしくはデジタル署名をしたデータセットに含まれることを特徴とする請求項90から112いずれか1項記載の方法。
  114. 前記チェックが、チェックすべきシート材料の回路のデータを、データを評価し、評価結果を処理装置に戻す空間的に離れた評価装置に転送する処理装置によって評価されることを特徴とする請求項90から113いずれか1項記載の方法。
  115. シート材料の回路の1度のチェックにおいて、望ましくは、シート材料をチェックする度に、前記シートの回路の特別に設けられたメモリー領域に新たな識別番号を保存し、識別番号をシート材料の外部に設けられた外部データベースに各シートの通し番号等の個別データとともに記憶することを特徴とする請求項90から114いずれか1項記載の方法。
  116. チェック作業時にシート材料のメモリーからの識別番号と個別データを前記外部データベース内の対応するデータと比較し、それによって、シート材料の回路および/または処理装置および/または外部データベースでチェックが一部または全部行われることを特徴とする請求項90から115いずれか1項記載の方法。
  117. チェック作業時に、識別番号が新たに発生され、および/または複数の所定の識別番号から選択され、および/または前記識別番号に加えて、瞬間的なおよび/または前に行ったチェック作業のタイムスタンプおよび/または位置スタンプを、紙幣の回路のメモリーおよび/または外部データベースのメモリーに保存することを特徴とする請求項90から116いずれか1項記載の方法。
  118. 複数の外部データベースが存在し、例えば、前記識別番号および/またはタイムスタンプおよび/または位置スタンプに依存する所定の選択基準によって次のチェック評価の外部データベースを1つ選択することを特徴とする請求項90から117いずれか1項記載の方法。
  119. 処理装置とシート材料の回路の間のデータ通信によって得られたデータをシート材料の回路とは無関係に行われる他のチェックに由来するデータに依存して評価し、および/または処理装置とシート材料の回路の間のデータ通信によって得られたデータをシート材料の回路とは無関係に行われる他のチェックのチェックパラメータを調整するのに使用することを特徴とする請求項90から118いずれか1項記載の方法。
  120. シート材料の回路のメモリーからのデータをシート材料の紙および/またはその紙に含まれる特徴物質に特有なデータと比較することを特徴とする請求項90から119いずれか1項記載の方法。
  121. チェック作業においてシート材料がまだ流通に適すると判断すると、望ましくはそのようなチェック作業の度に、シート材料を不可逆に局所的に変化させ、その変化に関するデータをそのシート材料の回路のメモリーに保存することを特徴とする請求項90から120いずれか1項記載の方法。
  122. 処理装置内でのシートの搬送中に、処理装置にシート材料の回路から送られるデータ、特に、個別データ、に基づいて、処理装置内でのシートの位置を決定し、および/またはそのチェックに関するデータをチェック時またはチェック後にシート材料の回路のメモリーに書き込み、および/または紙のデータをチェック時にシートの回路のデータと比較することを特徴とする請求項90から121いずれか1項記載の方法。
  123. シート材料の回路の搬送装置が、クランプされたシートを分離する際のシートの変形によって、処理装置の通信装置および/または圧電素子等のシート材料の回路自体からのエネルギーを供給されることを特徴とする請求項90から122いずれか1項記載の方法。
  124. 処理装置での複数の預託の処理中に異なる預託の間を、空間的に離すことによって、物理的に分離することを特徴とする請求項90から123いずれか1項記載の方法。
  125. 分離手段がシート材料と同じ通信インターフェースを有する電気回路を備え、および/または多数のシートを2つのサブセットに分け、処理装置が2つのサブセットの一方と通信するのを防止する分離手段が使用されることを特徴とする請求項90から124いずれか1項記載の方法。
  126. 再チェックが必要または贋物または疑わしいとされたシート材料の回路の基本的に作動指定しているメモリーのみに再チェックが必要または贋物または疑わしいとされたデータを処理作業において書き込むことを特徴とする請求項90から125いずれか1項記載の方法。
  127. シート材料の預託や払出に際して、業務データと、対応するシート材料をチェックするための測定データの関連付けを行い、その関連付けデータを、望ましくは、シート材料の少なくとも1枚の回路のメモリーおよび/または処理装置や外部データベースのメモリーに保存することを特徴とする請求項90から126いずれか1項記載の方法。
  128. 処理作業において、あるシートについて異なるチェック作業を異なる速度で行い、および/または異なる時間に異なるチェック作業を行い、そのシート材料の中間保管の前に、後より高速で実行することを特徴とする請求項90から127いずれか1項記載の方法。
  129. シート材料の回路のメモリーにそのシート材料の使用目的に関するデータを保存し、および/またはそのメモリーに読み書きするユーザーもしくはユーザーグループ毎に異なるアクセス権が存在することを特徴とする請求項90から128いずれか1項記載の方法。
  130. 処理の際に前記シート材料に後から追加の電気回路を設けることを特徴とする請求項90から129いずれか1項記載の方法。
  131. 金庫、カセット、バンド等のシート材料を保管したり、搬送したりするための容器であって、少なくとも1個の電気回路とその容器を処理するために形成された装置に前記容器の回路からエネルギーおよび/またはデータを送るおよび/またはそのような装置からエネルギーおよび/またはデータを受け取る通信装置からなることを特徴とする容器。
  132. 処理装置もしくは請求項1から?いずれか1項に記載された処理装置の少なくとも1個の成分を備えることを特徴とする請求項131記載の容器。
  133. 請求項1から?いずれか1項に記載された処理装置に使用され、処理済のシート材料を受け取ったり、内部のシート材料を出力したりすることを特徴とする請求項131または132記載の容器。
  134. 前記容器の回路が請求項1から?いずれか1項に記載された外部処理装置と直接通信できることを特徴とする請求項131から133いずれか1項記載の容器。
  135. 内部のシート材料の数、券種および/または総額等の容器の内容が登録され、必要に応じて容器自体でチェックされることを特徴とする請求項131から134いずれか1項記載の容器。
  136. 前記容器のメモリーおよび/またはその容器内の少なくとも一部または全部のシートのメモリーに容器の内容に関するデータ等のデータを記憶することができることを特徴とする請求項131から135いずれか1項記載の容器。
  137. 外部処理装置からの問い合わせの後に、前記容器がその内部のシートに関するデータを提供したり、その内部のシートの回路のメモリーにデータを書き込んだりすることできることを特徴とする請求項131から136いずれか1項記載の容器。
  138. 処理において、シートに書き込むデータを許容し、自分のメモリー内にそれを保持し、その中間保存データを、処理の終わった後に、例えば、シートを容器から取り出すときにのみ、対応するシートに書き込めるようになっていることを特徴とする請求項131から137いずれか1項記載の容器。
  139. 前記容器のエネルギーおよび/またはデータを外部処理装置に送る通信装置が容器内のシート材料の回路と通信する通信装置と同じまたは異なる通信方法に基づくことを特徴とする請求項131から138いずれか1項記載の容器。
  140. エネルギーおよび/またはデータをそのシート材料を処理する処理装置に送信したり、その処理装置から受信したりし、そのエネルギーおよび/またはデータの少なくとも一部を処理に使用する装置を備えた少なくとも1つの電気回路を有するシート材料。
  141. エネルギーおよび/またはデータを紙幣の回路から処理装置に送信する装置とエネルギーおよび/またはデータを処理装置から受信する装置とを備えることを特徴とする請求項140記載のシート材料。
  142. エネルギーおよび/またはデータを紙幣の回路から前記処理装置に送る装置が受信する装置と同じまたは異なる通信方法によって作動し、および/または異なる通信方法を可能にする複数の通信装置があることを特徴とする請求項140または141記載のシート材料。
  143. 前記回路が少なくとも1つのメモリーを有し、そのメモリーが、望ましくは、互いに分離され、一度だけおよび/または何回も読書きができる複数のメモリー領域を有することを特徴とする請求項140から142いずれか1項記載のシート材料。
  144. その回路のメモリーの内容を読んだり、変更したりするユーザーもしくはユーザーグループ毎に異なるアクセス権に関するデータを有する、真贋を判定する装置が設けられ、その判定装置が望ましくは誤操作カウンターに接続されていることを特徴とする請求項140から143いずれか1項記載のシート材料。
  145. 1つまたはそれ以上のキーもしくは複数セットのキーを備え、それによって、保存もしくは伝送すべきデータを暗号化したり、保存もしくは伝送すべきデータのデジタル署名を形成することができることを特徴とする請求項140から144いずれか1項記載のシート材料。
  146. 前記回路が1個または複数の論理スイッチを備え、スイッチングに関するデータが望ましくは各スイッチに振り分けられて保存されることを特徴とする請求項140から145いずれか1項記載のシート材料。
  147. 特定の紙幣の特性である1つまたは複数のデータをメモリーに保存することを特徴とする請求項140から146いずれか1項記載のシート材料。
  148. シート材料の回路のメモリーが特定のシートに特有の紙データを含み、および/または回路に関する回路データが情報として紙に組み込まれ(例えば、印刷され)、および/またはシート材料の回路のメモリーが特定の紙幣に特有なデータを含み、および/または特定の紙幣の紙データと回路データが関連付けられ、その関連付けられたデータが情報として紙に組み込まれ(例えば、印刷され)ることを特徴とする請求項140から147いずれか1項記載のシート材料。
  149. シート材料の回路が回路の入力電圧評価する装置等の検出装置を備え、束内の他のシートからのデータ通信の検出を許容するようになっていることを特徴とする請求項140から148いずれか1項記載のシート材料。
  150. エネルギーおよび/またはデータを光学的に送信する、発光ダイオード等の送信機を備えた少なくとも1つの送信装置を備え、および/または光を送信および/または受信する少なくとも1個のフォトダイオードを備えおよび/または、シート材料が光電池と光源とを備え、その光電池と光源がシート材料の互いに反対側に配されていることを特徴とする請求項140から149いずれか1項記載のシート材料。
  151. 反射コーティングを施すこともできる1層もしくは多層のLISA素子等のフォトダイオードが照明素子として使用され、および/またはフォトダイオードが、特に照明面として、光源として使用され、および/またはパルスの分光成分および/または時間挙動、例えば、持続時間、高さ、間隔、シーケンスが送信されるべきデータから発せられた光信号に依存することを特徴とする請求項140から150いずれか1項記載のシート材料。
  152. シート材料が磁気歪物質と圧電物質の複合材料のような形状記憶効果、および/または圧電効果、および/または磁気歪効果を有する材料を組み込んでなり、および/またはシート材料が1個乃至複数の容量結合面を備えていることを特徴とする請求項140から151いずれか1項記載のシート材料。
  153. 容量結合面が所定の値のインダクタンスLPに接続されており、そのインダクタンスLPが望ましくはオンーオフ切り換え可能であり、および/または圧電効果で素子に発生した電圧を使用して前記回路に電圧を供給し、および/または圧電効果で素子に発生した電圧の周波数を回路のクロック周波数を発生する際に基準周波数として使用することを特徴とする請求項140から152いずれか1項記載のシート材料。
  154. シート材料の紙が磁性物質を含み、その磁性物質を含まないときより比透磁率が高くなっており、その磁性物質が望ましくは、前記回路の結合素子としてのコイルのインダクタンスが高くなるように紙に組み込まれ、および/またはその磁性物質が指向性のある磁気挙動を示すことを特徴とする請求項140から153いずれか1項記載のシート材料。
  155. シート材料が光または超音波の照射を受けて前記回路にエネルギーを供給する光または超音波用の受信機を備え、および/または環境の影響を測定する1個乃至複数のセンサーがシート材料に組み込まれていることを特徴とする請求項140から154いずれか1項記載のシート材料。
  156. 回路の位置がシート毎に異なり、例えば、通用性、券種が異なる紙幣毎に異なり、および/または前記回路の面積がシート材料の面積の5から95%、望ましくは、50から90%もしくは70から90%であり、および/または前記回路が光学的変化する素子の下に設けられていることを特徴とする請求項140から155いずれか1項記載のシート材料。
  157. シート材料が、回路に直接結合するための第1のアンテナと第1のアンテナを処理装置に結合するための第2のアンテナ等の複数の結合素子を備え、その複数の結合素子が、望ましくは、通貨または券種に応じて選択される異なる結合周波数を有することを特徴とする請求項140から156いずれか1項記載のシート材料。
  158. 前記回路が集積回路および/またはメモリーおよび/また発振回路を備え、および/またはその回路が少なくとも1本の線を介して少なくとも1個の、電極としての、導電性容量結合面に導電気的に接続されており、および/またはシート材料が一面もしくは両面に1個以上の直流結合面を備えており、および/またはシート材料が1個以上の一体化された電気―光学もしくは電気―音響ディスプレイ装置を備えており、および/またはシート材料が所定の熱を発生する電気抵抗を有し、および/または前記回路が負荷変調のための装置および/または整流装置、および/または衝突防止のための装置、を備えていることを特徴とする請求項140から157いずれか1項記載のシート材料。
  159. 前記処理装置からの外部問い合わせに応じて前記回路が発する信号の発生の際、および/または発生の後、前記回路が、処理装置からの問い合わせに反応しない状態に変化することを特徴とする請求項140から158いずれか1項記載のシート材料。
  160. シート材料がシート材料の回路のメモリーに保存される可変の額面を有することを特徴とする請求項140から159いずれか1項記載のシート材料。
  161. シート材料およびシート材料を製造するのに使用する中間製品の製造方法であって、前記シート材料が請求項140から160いずれか1項に記載されているシート材料または特に請求項181から183いずれか1項に記載されている中間製品であることを特徴とする方法。
  162. 前記回路の一部または全部を、製紙時もしくは製紙後、例えば、印刷インクに回路を混ぜることによる、紙の印刷前、印刷中、もしくは印刷後に紙に組み込むことを特徴とする請求項161記載の方法。
  163. シート材料の回路がシート材料に、例えば、接着によって、組み込まれる転写素子上もしくは転写素子内に用意され、その転写素子がその回路をシート材料に組み込んだ後シート材料の一部品としてその場に残るか、取り除かれるかのいずれかであることを特徴とする請求項161または162記載の方法。
  164. 例えば、キャリアフォイルの形の転写素子が、望ましくは、前記回路に必要に応じて電気的に接続されるメタライズ層とともに前記回路の取付け前に設けられることを特徴とする請求項161から163いずれか1項記載の方法。
  165. 前記回路が、シート材料もしくは送信素子等の支持体上への導電性ポリマーの印刷もしくは薄膜アモルファスまたは多晶質シリコン(α-Si、p-Si)に基づく印刷等の印刷技術によって一部または全部形成されることを特徴とする請求項161から164いずれか1項記載の方法。
  166. 半導体技術による方法と高分子電子工学による方法の組み合わせに基づいて前記回路が形成され、望ましくは、高周波数域で作動する成分は半導体技術により形成され、低周波数域で作動する成分は高分子電子工学により形成されることを特徴とする請求項161から165いずれか1項記載の方法。
  167. 前記回路が印刷技術によって支持体上に形成される場合、その支持体が印刷インクとの親和性の異なる材料で形成された部分を有することを特徴とする請求項161から166いずれか1項記載の方法。
  168. 前記回路が印刷技術によってシート材料用紙自体もしくは送信素子等の支持体上に形成される場合、その支持体を、例えば、カレンダーもしくはプライマーコーティングをその回路の組み込みの前に施すことによって、平滑にし、および/または回路の底部に鋼グラビア印刷等によってエンボスを施すことを特徴とする請求項161から167いずれか1項記載の方法。
  169. 製紙工程および/または印刷工程の後に特定のシートの特性である1つ以上の異なる個別データを回路のメモリーに記憶させることを特徴とする請求項161から168いずれか1項記載の方法。
  170. 印刷されたシートの全1枚のコピーに前記回路が順次あるいは一度に設けられることを特徴とする請求項161から169いずれか1項記載の方法。
  171. 前記回路が印刷用版の印刷インク用の凹部に、例えば、その凹部に印刷用版の開口を通して組み込むことによって組み込まれることを特徴とする請求項161から170いずれか1項記載の方法。
  172. 前記回路が、その回路の外側および/または内側に設けられる挿入ローラー、プレスローラー等の、ローラーを使用して印刷されたシートに貼り付けられることを特徴とする請求項161から171いずれか1項記載の方法。
  173. 前記シート材料もしくは送信素子が凹部を有し、その凹部内に前記回路および/またはコンタクト面が流し込まれ、および/または振動の作用によって、その回路および/またはコンタクト面がその凹部内に組み込まれることを特徴とする請求項161から172いずれか1項記載の方法。
  174. シート材料の紙に製紙時もしくは製紙後に磁性物質が加えられ、その磁性物質を含まないときより相当に比透磁率が高くなっており、その磁性物質が望ましくは、前記回路の結合素子としてのコイルのインダクタンスが高くなるように紙に組み込まれ、および/またはその磁性物質が、必要に応じて送信素子に締結され、製紙時もしくは製紙後に紙内の凹部または冠通行を通してその紙に組み込まれることを特徴とする請求項161から173いずれか1項記載の方法。
  175. パルプから紙のウエブを形成する製紙用スクリーンまたは紙のウエブを搬送する搬送路に、紙のウエブの限られた部分に磁性物質を結びつける磁石が設けられることを特徴とする請求項161から174いずれか1項記載の方法。
  176. 異なる周波数の複数の結合素子が紙に組み込まれ、および/または、回路に直接結合される第1のアンテナとその第1のアンテナを外部処理装置に結合する、前記第1のアンテナに結合された第2のアンテナ等の複数の結合素子を紙に組み込むとき、その第2のアンテナの結合周波数を通貨または券種に応じて特有に選択することを特徴とする請求項161から175いずれか1項記載の方法。
  177. シート材料の回路の共振周波数等の少なくとも1つの特性が製紙時もしくは印刷前、印刷中、印刷後に特有にデチューンされることを特徴とする請求項161から176いずれか1項記載の方法。
  178. 製造時に紙のデータが回路データに結合され、その結果のデータが前記回路のメモリーに書き込まれ、および/または対応する情報が紙に組み込まれ、例えば、印刷され、および/または紙のデータが前記回路のメモリーに書き込まれ、および/または回路データに対応する情報が紙に組み込まれる、例えば、印刷されることを特徴とする請求項161から177いずれか1項記載の方法。
  179. シート材料の製造に使用される、もしくはシート材料の製造に使用される中間製品の製造に使用される装置であって、請求項161から178いずれか1項記載の方法を実施するための装置。
  180. 印刷インクを組み込むための凹部であって、開口を有するのが望ましい凹部を有する印刷装置を特徴とする請求項179記載の装置。
  181. 請求項140から160項のいずれか1項記載のシート材料を製造するのに使用される、送信素子等の中間製品であって、その中間製品に組み込まれた電気回路を有し、前記シート材料に組み込まれることを特徴とする中間製品。
  182. 電気回路および/またはコンタクト面を組み込むための凹部を有し、さらに視覚的に見ることができ、および/または機械による検出が可能なセキュリティ素子を有することを特徴とする請求項181記載の中間製品。
  183. 例えば、キャリアフォイルの形の中間製品に必要に応じて前記回路に導電的に接続されるメタライズが施されていることを特徴とする請求項181または182記載の中間製品。
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