JP2005502696A - 末端アクリレート官能基を有するヒドロキシ官能性エステル - Google Patents

末端アクリレート官能基を有するヒドロキシ官能性エステル Download PDF

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ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド
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Abstract

本発明は、少なくとも1つの末端アクリレート官能性基を有するヒドロキシ官能性エステルを提供する。好ましいエステルは、式(1)(式中、各R1は独立に、置換したもしくは未置換の脂肪族基を表し、Rは水素又はメチルを表し、aは0〜5の整数を表し、bは0〜5の整数を表し、a+bは少なくとも1であり、cは0〜3の整数を表し、Aはアルキレン、ヘテロアルキレン、又はアリーレンセグメントを表す)で表されるものを含む。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、末端アクリレート官能基を有するヒドロキシ官能性エステルに関する。本発明はさらに、このエステルの製造方法、このエステルを含む組成物、及びこの組成物を硬化させることにより得られる生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のアクリル酸化、エポキシ化植物油のような、その側鎖にそってアクリレート官能基を有するヒドロキシ官能性エステルが知られている。そのような成分の例は、例えばアクリル酸化エポキシ化亜麻仁油(例えばCogis Corp.からの市販の化合物PHOTOMER 3082)及びアクリル酸化エポキシ化大豆油(例えばCognis Corp.からの市販の化合物PHOTOMER 3005)を含む。
【0003】
しかし、これらの従来のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルは比較的活性が低く、反応時間が長くなる。理論付けようとするものではないが、この活性が低いことは、アクリレート基が末端ではなく内部にあり、すなわちアクリレート基が鎖の末端ではなくエステルの側鎖に沿って存在するからであると考えられる。
【0004】
また、この従来の内部アクリル酸化エステルを含む組成物を硬化させることにより得られる物品の機械特性、特に衝撃強度が比較的低く、広範囲の用途に対してこの組成物を不適当なものとする。さらに、従来の内部アクリル酸化エステルは望ましくない高い粘度を示す傾向にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、反応性の高いアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルを提供することである。
【0006】
本は発明の目的は、比較的粘度の低いアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルを提供することである。
【0007】
さらに、本発明の目的は、アクリレート及びヒドロキシ官能性エステルを含む組成物を提供することであり、この組成物は、内部アクリル酸化エポキシエステルと比較し、硬化後、向上した機械特性、例えば向上した衝撃強度を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも1つのヒドロキシ基及び少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの末端アクリレート官能基、例えば末端(メタ)アクリレート基を含むエステルを提供する。好ましくは、ヒドロキシ基の数は末端アクリレート官能基の数と同じであるか又はそれ以上である。
【0009】
さらに、本発明は、上記エステルの製造方法を提供する。この方法は、所望の触媒の存在下において、
(i)エステル結合及び1以上の末端エポキシ基を含むエポキシ官能性成分を
(ii)α−β不飽和カルボン酸
と反応させることを含む。
【0010】
さらに、本発明は、上記エステルを含む組成物及びこの組成物を硬化させることにより得られる物品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書において、「エステル」とは、アクリレート官能基のCO2ユニットを含むエステル結合に加えて、少なくとも1つのエステル結合、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つのエステル結合を含む成分を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを含むと理解される。
【0012】
本発明のエステルはヒドロキシ官能性であり、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つの末端アクリレート官能基を含む。好ましいアクリレート官能基は(メタ)アクリレート基を含む。本発明のエステル中のヒドロキシ基の量は、アクリレート官能基の量と等しいかそれ以上である。
【0013】
本発明の好ましいエステルは、下式(1)で表されるものを含む。
【化1】
Figure 2005502696
【0014】
上式中、各R1は独立に、置換したもしくは未置換の脂肪族基を表す。R1はヘテロ原子(すなわち、炭素及び水素以外の原子)を含んでいてもよいが、好ましくはR1は炭化水素基(すなわち好ましくはR1は本質的に水素と炭素原子からなる)を表す。好ましくは、すべてのR1は同一である。
【0015】
各Rは独立に水素又はメチルを表す。好ましくは、各Rは水素を表す。
aは0〜5、好ましくは0〜3の整数を表す。
bは0〜5、好ましくは0〜3の整数を表す。
cは0〜3、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1、最も好ましくは0の整数を表す。
a+bは少なくとも1、好ましくは少なくとも2、より好ましくは0〜1、最も好ましくは0である。
a+b+cは好ましくは3〜4、より好ましくは3である。
【0016】
Aはアルキレン、ヘテロアルキレン、又はアリーレンセグメントを表す。Aの例は、例えばネオペンチルグリコール残基、トリメチロールエタン残基、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリトリトール残基、及びグリセロール残基より選ばれる残基を含む。
【0017】
Aの好ましい例は、下式(2)又は下式(3)で表される基を含む。
【化2】
Figure 2005502696
(上式中、e、f、g及びhは各々独立に1〜10、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、最も好ましくは1の整数を表し、好ましくはe、f、g及びhの各々は1を表す)
【化3】
Figure 2005502696
(上式中、k及びmは独立に、1〜10、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、最も好ましくは1の整数を表し、
nは0〜10、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜1、最も好ましくは0の整数を表し、
2は水素又は下式(4)
CH3-(CH2)j- (4)
(上式中、jは0〜10、好ましくは0〜3、よい好ましくは0〜1、最も好ましくは1の整数を表す)
で表される基を表し、好ましくはR2は水素を表す)
【0018】
好ましくは、Aは上記式(3)で表される。より好ましくは、Aはk及びmが各々1を表し、nが0を表し、R2が水素を表す式(3)で表されるものである。
【0019】
好ましくは、上記式(1)における各R1は独立に、下式(5)により表される部分及び下式(6)により表される部分より選ばれる。
-(CH2)q- (5)
【化4】
Figure 2005502696
(上式中、qは1〜40、好ましくは1〜0、より好ましくは5〜15、最も好ましくは8〜15の整数を表し、
xは0〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは3〜15、最も好ましくは5〜15の整数を表し、
yは0〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは3〜15、最も好ましくは5〜15の整数を表し、
x+yは0〜40、好ましくは2〜30、より好ましくは5〜25、最も好ましくは10〜25の整数であり、
zは1〜4、好ましくは1〜2、より好ましくは1を表し、
Bは硫黄、酸素、カルボキシレート、窒素、アミド、または下式(7)
【化5】
Figure 2005502696
(上式中、R3及びR4は独立に、水素又は下式(8)
CH3-(CH2)p- (8)
(上式中、pは0〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の整数を表す)
で表される部分を表す)
で表されるエポキシを表す)
【0020】
好ましくは、Bは式(7)で表される。
好ましくは、すべてのR1基は式(5)で表されるか又は式(6)で表される。より好ましくは、すべてのR1基は式(5)で表される。
【0021】
本発明のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルは、α−β不飽和カルボン酸をエステル結合及び少なくとも1つの末端エポキシ基を含む成分と反応させることにより製造される。好ましいα−β不飽和カルボン酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を含む。好ましいエポキシ成分は、1以上の末端エポキシ基を含むトリアシルグリセリドを含む。好ましいエポキシ官能性トリアシルグリセリドは、下式(9)
【化6】
Figure 2005502696
(上式中、R1は上記の規定と同じであり、Aは上記式(3)で表される)
で表されるものを含む。
【0022】
特に好ましいエポキシ官能性トリアシルグリセリドは、10,11-エポキシウンデセノイルトリグリセリド及び9,10-エポキシデセノイルトリグリセリドを含む。
【0023】
本発明のアクリレート官能性エステルの製造に用いることができる他の好適なエポキシ官能性成分は、WIPO公開00/18571に記載のものを含む。
【0024】
エステル結合及び1以上の末端エポキシ基を含む成分は、好適な触媒の存在下においてα−β不飽和カルボン酸と反応される。好適な触媒は、例えばトリフェニルホスフィン、3級アミン(例えばジメチルアミン、例えばベンジルジメチルアミン及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール)、金属アルコキシド(例えばチタン(IV)ブトキシド)、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物(例えばテトラアルキルアンモニウムクロリド及びテトラアルキルアンモニウムブロミド)、及びクロム(III)塩(例えばクロム(III)ハロゲン化物、例えばクロム(III)クロリド、例えばCr(III)Cl3・6H2O)、及びこれらの混合物を含む。好ましい触媒は、クロム(III)ハロゲン化物及びテトラルキルアンモニウムハロゲン化物を含む。エポキシ化オリアシルグリセリドをアクリル化するための好ましい反応温度は70℃〜130℃、より好ましくは85℃〜120℃である。テトラアルキルアンモニウム塩を用いる特に好ましい温度範囲は80℃〜90℃である。クロム(III)塩を用いる特に好ましい温度範囲は110℃〜120℃である。
【0025】
本発明の好ましいアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルは、ASTM D-445により25℃においてCannon-Fenske動粘度チューブにより測定し、10,000cP以下、より好ましくは7,000cP以下、最も好ましくは5,000cP以下の動粘度を有するものを含む。好ましくは、本発明のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルの粘度は、25℃において少なくとも1,000cP、より好ましくは少なくとも2,000cPである。
【0026】
好ましくは、本発明のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルの分子量は少なくとも400g/mol、より好ましくは少なくとも600g/molである。好ましくは、本発明のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルの分子量は2000g/mol未満、より好ましくは1500g/mol未満、最も好ましくは1200g/mol未満である。
【0027】
本発明のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルは有利には様々な組成物で用いられる。そのような組成物は、1種以上の本発明のエステルに加えて、他の好適な反応性成分、例えばエポキシ官能性成分、他のアクリレート官能性成分、他のヒドロキシ官能性成分、並びにその混合物を含むことができる。好ましくは、この組成物は、1種以上の本発明のエステルに加えて、少なくとも1種の他のアクリレート官能性成分、例えばトリプロピレングリコールジアクリレート又はヘキサンジオールジアクリレートを含む。
【0028】
本発明の組成物は、他の好適な添加剤、例えば無機充填材(例えばガラス、シリカ、クレー、及びタルク)、安定剤(例えば抗酸化剤)、顔料、流動調節剤、光開始剤等を含んでもよい。
【0029】
本発明の組成物は、加熱又は輻射線、例えば紫外線(UV)によって硬化される。光開始剤は当該分野において公知である。市販の例は、例えばCiba Geigy製のIRGACURE 184及びIRGACURE 651を含む。
【0030】
好ましくは、本発明のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルを含む組成物は、この組成物の総質量に対し、本発明のエステルを少なくとも1wt%、より好ましくは少なくとも10wt%、さらにより好ましくは少なくとも30wt%含む。好ましくは、本発明の組成物は、この組成物の総質量に対し、本発明のエステル99wt%未満、より好ましくは80wt%未満含む。
【0031】
本発明の好ましい組成物は、硬化後、ASTM 2794-93により測定し、少なくとも97.9kg・cm(85lbs・in)、より好ましくは少なくとも103.7kg・cm(90lbs・in)、最も好ましくは少なくとも109.5kg・cm(95lbs・in)の直接衝撃強度を有する。本発明の好ましい組成物は、硬化後、ASTM 2794-93により測定し、少なくとも28.8kg・cm(25lbs・in)、より好ましくは少なくとも34.6kg・cm(30lbs・in)の裏面衝撃強度を有する。
【0032】
用途
本発明のアクリレート及びヒドロキシ官能性エステルを含む組成物は様々な用途において有効である。例えば、これはコーティング、複合材(例えばポリアミド、ガラス、ポリエステル、もしくは天然繊維のような繊維により強化される複合材)のマトリックス材料、接着剤、及び成形部品において有効である。
【実施例】
【0033】
以下の例は本発明の特定の態様を示している。この例は説明のために示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0034】
ウンデセノイルトリグリセリドの製造
442.3gのウンデシレン酸(0.67mol)、61.4gのグリセロール(0.8mol)、及び160mLのトルエンを、電気加熱ユニット、温度コントローラー、冷却器、及びDean Stark水トラップを取り付けた1Lのガラス反応器に入れた。8.9gのp-トルエンスルホン酸エステル化触媒お加え、反応混合物の温度を130℃〜140℃に高め、エステル化反応が開始し、トルエンが還流し、水が分離した。このエステル化と水分離を2〜2.5時間続け、その間、温度を最大160℃に徐々に高めた。この結果、エステル化反応から理論上の水の約90%が除去された。
【0035】
暗褐色の最終生成物を分液漏斗に移し、飽和炭酸水素ナトリウムで2回洗浄し、飽和演歌ナトリウム水溶液で3回洗浄した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウム/塩化カルシウム上で乾燥させた。真空下で残留トルエンを除去し、その後淡褐色の有機生成物(ウンデセノイルトリグリセリド)を得た。
【0036】
ヨウ素滴定(ASTM D5554-95による)により、こうして得られたトリグリセリドが117.3のヨウ素価(理論値128.8)を有することが示された。
【0037】
10,11-エポキシウンデカノイルトリグリセリドの製造
64gの上記で得られたウンデセノイルトリグリセリド(0.11mol)及び128gのクロロホルムを0.5Lのガラス反応器に移した。この反応器に攪拌機、サーモスタット水槽及び冷却器を取り付けた。76gの過酢酸(酢酸中39%、Aldrich製)[0.39Eq、ウンデセノイルトリグリセリド中の二重結合1モルあたり1.2モルの過酢酸]を滴加漏斗に入れた。攪拌しながら、反応器の内容物を40℃に加熱した。過酢酸と酢酸の混合物を60分かけて反応器二女所に加えた。反応器の温度を50℃以下に保つように添加速度に注意した。この混合物を添加後、55℃の温度において180分間攪拌を続けた。その後、200mLの亜硫酸ナトリウムの10wt%水溶液を反応器に加え、残っている過酢酸を破壊した。温度が58℃を超えないように10wt%溶液をゆっくり添加するように注意した。次いで、反応器の内容物を分液漏斗に移し、飽和炭酸水素ナトリムを添加して中和した。分離後、得られた混合物の水相を捨てた。残っている有機相を等体積の水/イソプロパノール混合物(70/30質量比)で3回洗浄し、それぞれの洗浄後に水相を捨てた。得られた黄色の有機生成物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、1Lのロータリーエバポレーターフラスコに移し、有機生成物中に存在するクロロホルムを真空下で除去し、10,11-エポキシウンデカノイルトリグリセリド(以後「トリスエポキシ」とよぶ)を得た。このトリスエポキシのエポキシ含量を測定し、16.9%(理論上の85%)であった。ヨウ素価は2.6であった。このトリスエポキシの25℃における粘度は、ASTM D-445により測定し、125cStであった。
【0038】
例1
120g(0.47Eq)の上記で製造したトリスエポキシを、温度調節機、加熱外被、還流冷却器及び空気入り口を備えた0.5Lのガラス反応器に移した。この反応器に0.06gのヒドロキノン阻害剤及び34gのアクリル酸(0.47Eq)を加えた。攪拌しゆっくりと空気を散布しながら、反応器の内容物を110℃に加熱した。この温度において、0.12gのトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び0.14gのCr(III)Cl3・6H2Oの33wt%水溶液を反応器に加えた。エポキシ含量が1.5%以下になるまで(約9時間後)120℃において反応を続けた。ここで酸含量が1.2%であった。黄褐色の最終生成物は25℃において8700cPの動粘度を有していた。
【0039】
例2
120g(0.52Eq)の、例1と同様のトリスエポキシ(差異:エポキシ含量が16.9%ではなく18.8%であり、ヨウ素価が2.6ではなく0.05である)を、温度調節器、加熱外被、還流冷却器及び空気入り口を備えた0.5Lのガラス反応器に移した。この反応器に0.06gのヒドロキノン阻害剤及び28.3gのアクリル酸(0.39Eq)並びに0.12gのトリフェニルホスフィットを加えた。攪拌しゆっくりと空気を散布しながら、反応器の内容物を110℃に加熱した。この温度において、0.12gのトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び0.14gのCr(III)Cl3・6H2Oの33wt%水溶液を反応器に加えた。エポキシ含量が0.8%以下になるまで(約6時間後)120℃において反応を続けた。ここで酸含量が1.2%であった。黄褐色の最終生成物を貯蔵した。
【0040】
例3
60g(0.27Eq)の、例1と同様のトリスエポキシ(差異:エポキシ含量が16.9%ではなく19.8%である)を、温度調節器、加熱外被、還流冷却器及び空気入り口を備えた0.25Lのガラス反応器に移した。この反応器に0.20gの4-メトキシフェノール阻害剤及び0.6gの、アクリル酸中の塩化クロム(III)6水和物の4wt%溶液を加えた。攪拌しゆっくりと空気を散布しながら、反応器の内容物を120℃に加熱し、その後21.5g(0.30Eq)のアクリル酸をゆっくり加えた。この反応を、エポキシ含量が0.9%になるまで(約4時間後)120℃において反応を続けた。ここで酸含量は0.3%であった。淡緑色の最終生成物は25℃において3560cPの動粘度を有していた。
【0041】
例4
120g(0.52Eq)の、例1において用いたトリスエポキシに対応するトリスエポキシを、温度調節器、加熱外被、還流冷却器及び空気入り口を備えた0.5Lのガラス反応器に移した。この反応器に0.06gのヒドロキノン阻害剤及び31.3gのアクリル酸(0.43Eq)並びに0.12gのトリフェニルホスフィットを加えた。攪拌しゆっくりと空気を散布しながら、反応器の内容物を110℃に加熱した。この温度において、0.12gのトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び0.14gのCr(III)Cl3・6H2Oの33wt%水溶液を反応器に加えた。エポキシ含量が1.2%に低下するまで(約10時間後)120℃において反応を続けた。ここで酸含量は2.02%であった。黄褐色の最終生成物を貯蔵した。
【0042】
例5
25g(0.109Eq)の、例1と同様のトリスエポキシを、空気散布器、還流冷却器、加熱マントル、温度調節器及びTEFLON(ポリテトラフルオロエチレン)をコートした磁気攪拌棒を備えた100mLのガラス反応器に移した。この反応器に8.26g(0.115Eq)のアクリル酸、0.090g(0.00026Eq)のチタン(IV)ブトキシド、0.083g(0.0008Eq)のトリエチルアミン及び0.009g(0.00007Eq)の4-メトキシフェノールを加えた。攪拌し、表面に空気を散布しながら、反応器の内容物を85℃に加熱した。この反応を、エポキシ含量が1.5%以下になるまで(約13時間後)85℃において続けた。次いで、反応器の内容物をクロロホルムに溶解し、脱イオン水で中性pHになるまで洗浄し、過剰のアクリル酸を除去した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空下でクロロホルムを除去した。黄色のオイルの最終生成物は1.00%のエポキシ含量及び25℃において9340cPの粘度を有していた。
【0043】
例6
20g(0.092Eq)の、例1と同様のトリスエポキシ(差異:エポキシ含量が16.9%ではなく19.73%である)を、空気散布器、還流冷却器、加熱マントル、温度調節器及びTEFLON(ポリテトラフルオロエチレン)をコートした磁気攪拌棒を備えた100mLのガラス反応器に移した。この反応器に6.94g(0.096Eq)のアクリル酸、0.0813g(0.00060Eq)のベンジルジメチルアミン及び0.0164g(0.00013Eq)の4-メトキシフェノールを加えた。攪拌し、表面に空気を散布しながら、反応器の内容物を85℃に加熱した。この反応を、エポキシ含量が1.5%以下になるまで(約19時間後)85℃において続けた。次いで、反応器の内容物をクロロホルムに溶解し、脱イオン水で中性pHになるまで洗浄し、過剰のアクリル酸を除去した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空下でクロロホルムを除去した。黄色のオイルの最終生成物は1.44%のエポキシ含量及び25℃において4962cPの粘度を有していた。
【0044】
例7
20g(0.092Eq)の、例6において用いたトリスエポキシに対応するトリスエポキシを、空気散布器、還流冷却器、加熱マントル、温度調節器及びTEFLON(ポリテトラフルオロエチレン)をコートした磁気攪拌棒を備えた100mLのガラス反応器に移した。この反応器に6.95g(0.096Eq)のアクリル酸、0.067g(0.00061Eq)のテトラメチルアンモニウムクロリド及び0.0145g(0.00012Eq)の4-メトキシフェノールを加えた。攪拌し、表面に空気を散布しながら、反応器の内容物を85℃に加熱した。この反応を、エポキシ含量が1.5%以下になるまで(約14時間後)85℃において続けた。次いで、反応器の内容物をクロロホルムに溶解し、脱イオン水で中性pHになるまで洗浄し、過剰のアクリル酸を除去した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空下でクロロホルムを除去した。黄色の透明なオイルの最終生成物は1.44%のエポキシ含量及び25℃において4227cPの粘度を有していた。
【0045】
例8
20g(0.092Eq)の、例6において用いたトリスエポキシに対応するトリスエポキシを、空気散布器、還流冷却器、加熱マントル、温度調節器及びTEFLON(ポリテトラフルオロエチレン)をコートした磁気攪拌棒を備えた100mLのガラス反応器に移した。この反応器に6.96g(0.096Eq)のアクリル酸、0.190g(0.00059Eq)のテトラメチルアンモニウムブロミド及び0.0146g(0.00012Eq)の4-メトキシフェノールを加えた。攪拌し、表面に空気を散布しながら、反応器の内容物を85℃に加熱した。この反応を、エポキシ含量が1.5%以下になるまで(約7時間後)85℃において続けた。次いで、反応器の内容物をクロロホルムに溶解し、脱イオン水で中性pHになるまで洗浄し、過剰のアクリル酸を除去した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空下でクロロホルムを除去した。黄色の透明なオイルの最終生成物は0.37%のエポキシ含量及び25℃において5318cPの粘度を有していた。この生成物を貯蔵した。
【0046】
例9
20g(0.092Eq)の、例1と同様のトリスエポキシ(差異:エポキシ含量が16.9%ではなく19.87%である)を、空気散布器、還流冷却器、加熱マントル、温度調節器及びTEFLON(ポリテトラフルオロエチレン)をコートした磁気攪拌棒を備えた100mLのガラス反応器に移した。この反応器に7.44g(0.1032Eq)のアクリル酸、0.075g(0.00069Eq)のテトラメチルアンモニウムクロリド及び0.0156g(0.00013Eq)の4-メトキシフェノールを加えた。攪拌し、表面に空気を散布しながら、反応器の内容物を85℃に加熱した。この反応を、エポキシ含量が1.5%以下になるまで(約7時間後)85℃において続けた。次いで、反応器の内容物をクロロホルムに溶解し、脱イオン水で中性pHになるまで洗浄し、過剰のアクリル酸を除去した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。真空下でクロロホルムを除去した。黄色のオイルの最終生成物は0.53%のエポキシ含量及び25℃において5062cPの粘度を有していた。
【0047】
上記例で製造したアクリル酸化エポキシウンデカノイルトリグリセリドの粘度を以下の表1に示す。市販の成分の粘度を比較として示す。
【0048】
【表1】
Figure 2005502696
【0049】
例10
37.5gの例1で製造した生成物を10.5gのトリプロピレングリコール(TPGDA)希釈剤、1gのIRGACURE 184及び1gのIRGACURE 651光開始剤(IRGACURE 184及び651はCiba-Geigy製の光開始剤である)と混合した。得られた混合物の粘度をCannon-Fenske動粘度チューブで測定した(ASTM D-445)で測定した。25℃において、3870cStの結果が得られた。この液体混合物をバーコーターによりいくつかのBONDER 26リン酸化スチールパネル上に塗布した。移動するベルト(1.5m/min)上において、UVランプ(120W/cm2)下でこのパネルを移動させ、硬化を開始させた。最終コーティングの厚さは30〜45μmであった。コートしたパネルについて様々なコーティングテストを行い、その結果を表2に示す。
【0050】
例11
37.5gの例3で製造した生成物を10.5gのトリプロピレングリコール(TPGDA)希釈剤、1gのIRGACURE 184及び1gのIRGACURE 651光開始剤(IRGACURE 184及び651はCiba-Geigy製の光開始剤である)と混合した。得られた混合物の粘度をCannon-Fenske動粘度チューブで測定した(ASTM D-445)で測定した。25℃において、975cStの結果が得られた。
【0051】
例12
例1で製造した生成物を37.5gの例4で製造した生成物に代えることを除き、例10を繰り返した。
【0052】
比較例A
例1で製造した生成物を37.5gのPHOTOMER 3005(Cognis Corpより市販入手可能なアクリル酸化エポキシ化大豆油)に代えることを除き、例10を繰り返した。得られた混合物の25℃における動粘度は2133cStであった。
【0053】
比較例B
例1で製造した生成物を37.5gのPHOTOMER 3082(Cognis Corpより市販入手可能なアクリル酸化エポキシ化亜麻仁油)に代えることを除き、例10を繰り返した。得られた混合物の25℃における動粘度は4380cStであった。
【0054】
比較例C
例1で製造した生成物を37.5gのEBECRYL 8402(UCB Chemicals Corpより市販入手可能な脂肪族ウレタンジアクリレート)に代えることを除き、例10を繰り返した。得られた混合物の25℃における動粘度は1500cStであった。
【0055】
比較例D
例1で製造した生成物を37.5gのEBECRYL 810(UCB Chemicals Corpより市販入手可能なポリエステルアクリレート)に代えることを除き、例10を繰り返した。得られた混合物の25℃における動粘度は178cStであった。
【0056】
比較例E
例1で製造した生成物を37.5gのビスフェノールAエポキシアクリレートに代えることを除き、例10を繰り返した。得られた混合物の25℃における動粘度は27250cStであった。
【0057】
【表2】
Figure 2005502696

Claims (28)

  1. 少なくとも1つのヒドロキシ基及び少なくとも1つの末端アクリレート官能基を含むエステル。
  2. 600〜1200g/molの分子量を有する、請求項1記載のエステル。
  3. 25℃において10,000cSt以下の粘度を有する、請求項1記載のエステル。
  4. エステル中のヒドロキシ基の量がエステル中のアクリレート官能基の数と等しいかそれ以上である、請求項1記載のエステル。
  5. エステル中のヒドロキシ基の量がエステル中のアクリレート官能基の数と等しい、請求項1記載のエステル。
  6. 下式(1)
    Figure 2005502696
    (上式中、各R1は独立に、置換したもしくは未置換の脂肪族基を表し、
    Rは水素又はメチルを表し、
    aは0〜5の整数を表し、
    bは0〜5の整数を表し、
    a+bは少なくとも1であり、
    cは0〜3の整数を表し、
    Aはアルキレン、ヘテロアルキレン、又はアリーレンセグメントを表す)
    で表される、請求項1記載のエステル。
  7. a+b+cが3である、請求項6記載のエステル。
  8. a+bが3であり、cが0である、請求項6記載のエステル。
  9. Aが下式(2)
    Figure 2005502696
    (上式中、e、f、g及びhは各々独立に1〜10の整数を表す)
    又は下式(3)
    Figure 2005502696
    (上式中、k及びmは独立に1〜10の整数を表し、
    nは0〜10の整数を表し、
    2は水素、又は下式(4)
    CH3-(CH2)j- (4)
    (上式中、jは0〜10の整数を表す)
    で表される基を表す)
    で表される、請求項6記載のエステル。
  10. Aが式(2)で表され、式中、e、f、g及びhは各々1を表す、請求項9記載のエステル。
  11. Aが式(3)で表され、式中、k、m、及びnは各々1を表し、R2は式(4)で表され、式中、jは1を表す、請求項9記載のエステル。
  12. Aが式(3)で表され、式中、k及びmは各々1を表し、nは0を表し、R2は水素を表す、請求項9記載のエステル。
  13. 1が炭化水素基を表す、請求項6記載のエステル。
  14. 1が下式(5)
    -(CH2)q- (5)
    (上式中、qは1〜40の整数を表す)
    で表される、請求項6記載のエステル。
  15. qが8〜15の整数を表す、請求項14記載のエステル。
  16. 請求項1記載のエステルの製造方法であって、
    (i)α−β不飽和カルボン酸を
    (ii)エステル結合及び1以上の末端エポキシ基を含むエポキシ官能性成分
    と反応させることを含む方法。
  17. 前記α−β不飽和カルボン酸を前記エポキシ官能性成分と70℃〜130℃の温度で反応させることを含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記α−β不飽和カルボン酸を前記エポキシ官能性成分と触媒の存在下で反応させることを含む、請求項16記載の方法。
  19. 前記触媒がクロム(III)塩又はテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物である、請求項18記載の方法。
  20. 請求項1記載のエステルを含む輻射線硬化性組成物。
  21. 硬化後、少なくとも97.9kg・cmの直接衝撃強度を有する、請求項20記載の組成物。
  22. 硬化後、少なくとも28.8kg・cmの裏面衝撃強度を有する、請求項20記載の組成物。
  23. 前記エステルを組成物の総質量に対して少なくとも10wt%含む、請求項20記載の組成物。
  24. アクリレート官能性化合物をさらに含む、請求項20記載の組成物。
  25. トリプロピレングリコールジアクリレート及び/又はヘキサンジオールジアクリレートをさらに含む、請求項20記載の組成物。
  26. 請求項20記載の組成物を硬化させることにより少なくとも一部形成される物品。
  27. コーティングを有し、このコーティングが請求項20記載の組成物を硬化させることにより得られる基材。
  28. マトリックス材料及び強化材料を含み、このマトリックス材料が請求項20記載の組成物を硬化させることにより得られる複合体。
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