JP3079896B2 - 液状ポリエステル - Google Patents

液状ポリエステル

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JP3079896B2
JP3079896B2 JP06135517A JP13551794A JP3079896B2 JP 3079896 B2 JP3079896 B2 JP 3079896B2 JP 06135517 A JP06135517 A JP 06135517A JP 13551794 A JP13551794 A JP 13551794A JP 3079896 B2 JP3079896 B2 JP 3079896B2
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liquid
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料、接着剤、インキ
等の被膜形成材料用の樹脂として溶剤を使わずに合成
し、使用することができる液状ポリエステルに関する。
また、長鎖の脂肪族炭化水素基を有することから相溶化
剤、界面改質剤、顔料分散剤等としても利用できる。
【0001】
【従来の技術】従来、塗料、接着剤、インキ等の被膜形
成材料用としては有機溶剤を含有する樹脂系が使われて
きた。これらの樹脂系は、塗装、印刷工程などの造膜工
程(本発明における造膜とは、印刷および塗装などの方
法により、紙、金属、プラスチック、セラミックス等よ
りなる基材上に、樹脂を厚さ0.1〜100μmの膜を
形成せしめることをいう。)、および硬化乾燥工程で大
量の有機溶剤を飛散することが知られている。地球環境
また作業環境への関心の高まりとともに、有機溶剤の使
用に対する制限が加えられるようになってきている。そ
のため被膜形成材料用樹脂の無溶剤化に関しても様々な
対応策が打ち出されている。
【0002】無溶剤化に用いられる樹脂系は、大きくわ
けるとプレカーサ系とポリマー系に分けられる。プレカ
ーサ系は低分子量のモノマーやプレポリマーを用いるこ
とから低粘度の液状であり、従来の造膜法がそのまま使
用できる。しかしながら、組成物中に低分子量物を含有
するプレカーサ系では、低分子量物の飛散など安全衛生
上さらに改善が望まれる。また物性面では、オリゴマー
領域の樹脂から構成される塗料の場合、硬化物特性をコ
ントロールすることの困難さが知られており(室井宗
一、「1992年度接着と塗装研究会講座」講演要旨
集、p4、1993)、低粘性を保った上での分子量増
加が望まれる。他方ポリマー系では、固体ポリマーを何
らかの方法で液状にするか、あるいは造膜方法を変える
ことが必要となる。有機溶剤を使わないで液状にする代
表的な従来法として、不揮発性の可塑剤により液状化す
るプラスチゾル系では硬い硬化物が得にくいことや可塑
剤が移行するという問題点が指摘されている。またエマ
ルジョンやハイドロゾル等のラテックス系では、硬化物
の不均一性や乾燥速度の遅さなどの問題点が指摘されて
いる。現時点で最も有効とされている水溶性樹脂系にお
いても乾燥速度が遅いことや耐水性、排水処理方法等に
問題が残されている。またほとんどの水溶性樹脂系は顔
料分散性や造膜性を向上するために10%以上の有機溶
剤を含んでいる。また、粉体、ホットメルト樹脂系の場
合には、従来の造膜方法による設備と大いに異なるため
に、新規の設備を導入する必要が生まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題の解決するため鋭意研究を行なった結果、エポキシお
よび環状酸無水物を開環重合せしめてなるポリエステル
合成において、特定の環状酸無水物を使用することによ
り、高分子量でありながら、低粘度であり、従来から用
いられている造膜方法が利用でき、さらに造膜後、熱、
光、および電子線等で処理することにより硬化させるこ
とができる無溶剤型液状ポリエステルが得られることを
見いだし本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式a
〜eで示される環状酸無水物の少なくとも一種を10モ
ル%以上含む環状酸無水物(化合物A)と、
【化2】 (式中R1は、炭素数4〜25の飽和または不飽和脂肪
族炭化水素基である。)分子中に1個のエポキシ基を有
する化合物(化合物B)を(化合物A):(化合物B)
=10:8〜10:12(モル比)の割合で反応させて
なる液状ポリエステルである。また本発明は、化合物B
の5モル%以上が分子中に1個のエポキシ基と1個以上
の不飽和2重結合を有する化合物であることを特徴とす
る上記液状ポリエステルである。さらに本発明は、数平
均分子量が1000〜30000であり50℃における
粘度が200〜500000cpsであることを特徴と
する上記の液状ポリエステルである。
【0005】本発明において化合物Aはポリエステルの
構成成分であり、例えば無水コハク酸、無水イタコン
酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂肪族環状
酸無水物または、無水フタル酸、イサト酸無水物、ジフ
ェン酸無水物などの芳香族環状酸無水物等、またはこれ
らに飽和または不飽和脂肪族炭化水素基、アリール基、
ハロゲン基、ヘテロ環基などを結合せしめた誘導体を使
用することもできる。
【0006】本発明において下記一般式a〜eで示され
る環状酸無水物は、ポリエステルを液状化させるための
構成成分として使用される。
【化3】 式中、R1は、炭素数4〜25、好ましくは5〜22の
飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基であるが、炭素数
が22、特に25より大きくなると重合度が上がりにく
い上、融点が高くなるため、造膜の際に専用の加熱シス
テムが必要となり好ましくなく、逆に炭素数が4より少
なくなるかまたは、置換基がない場合には目的とする液
状ポリエステルが得られないかあるいは粘度が高くなる
ため好ましくない。さらに、脂肪族炭化水素基としては
直鎖型、分枝型の双方を使用できるが、直鎖型の方が粘
度低下の面では好ましい。
【0007】斯る脂肪族炭化水素基を有する環状酸無水
物として例えば、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハ
ク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ドデシルコハク
酸無水物、テトラデシルコハク酸無水物、ヘキサデシル
コハク酸無水物、オクタデシルコハク酸無水物、ノネニ
ルコハク酸無水物、イコシルコハク酸無水物、ヘンイコ
シルコハク酸無水物、ドコシルコハク酸無水物、デセニ
ルコハク酸無水物、テトラデセニルコハク酸無水物、ヘ
キサデセニルコハク酸無水物、ヘプタデセニルコハク酸
無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、イコセニルコ
ハク酸無水物、ヘンイコセニルコハク酸無水物、ドコセ
ニルコハク酸無水物などの上記一般式aで示されるアル
キルコハク酸無水物、
【0008】ブチルマレイン酸無水物、ペンチルマレイ
ン酸無水物、ヘキシルマレイン酸無水物、オクチルマレ
イン酸無水物、デシルマレイン酸無水物、ドデシルマレ
イン酸無水物、テトラデシルマレイン酸無水物、ヘキサ
デシルマレイン酸無水物、オクタデシルマレイン酸無水
物、イコシルマレイン酸無水物、ヘンイコシルマレイン
酸無水物、ドコシルマレイン酸無水物、デセニルマレイ
ン酸無水物、テトラデセニルマレイン酸無水物、ヘキサ
デセニルマレイン酸無水物、オクタデセニルマレイン酸
無水物、イコセニルマレイン酸無水物、ヘンイコセニル
マレイン酸無水物、ドコセニルマレイン酸無水物などの
上記一般式bで示されるアルキルマレイン酸無水物、
【0009】ブチルグルタル酸無水物、ヘキシルグルタ
ル酸無水物、ヘプチルグルタル酸無水物、オクチルグル
タル酸無水物、デシルグルタル酸無水物、ドデシルグル
タル酸無水物、テトラデシルグルタル酸無水物、ヘキサ
デシルグルタル酸無水物、オクタデシルグルタル酸無水
物、イコシルグルタル酸無水物、ドコシルグルタル酸無
水物、デセニルグルタル酸無水物、テトラデセニルグル
タル酸無水物、ヘキサデセニルグルタル酸無水物、オク
タデセニルグルタル酸無水物、ノナデセニルグルタル酸
無水物、イコセニルグルタル酸無水物、ヘンイコセニル
グルタル酸無水物、ドコセニルグルタル酸無水物などの
上記一般式cで示されるアルキルグルタル酸無水物、
【0010】4−n−ブチルシクロヘキサンジカルボン
酸無水物、4−n−ドデシルシクロヘキサンジカルボン
酸無水物、4−n−テトラデシルシクロヘキサンジカル
ボン酸無水物、ヘキサデシルシクロヘキサンジカルボン
酸無水物、オクタデシルヘキサヒドロ無水フタル酸、ド
コシルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、ドデシルシ
クロヘキサンジカルボン酸無水物、テトラデシルシクロ
ヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサデシルシクロヘキ
サンカルボン酸無水物、オクタデシルシクロヘキサンジ
カルボン酸無水物、イコシルシクロヘキサンジカルボン
酸無水物、ドコシルシクロヘキサンジカルボン酸無水
物、デセニルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキ
サデセニルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、オクタ
デセニルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、ドコセニ
ルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、トリイコセニル
シクロヘキサンジカルボン酸無水物などの上記一般式で
示されるアルキルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、
並びに、4−n−ブチル無水フタル酸、ヘキシル無水フ
タル酸、オクチル無水フタル酸、デシル無水フタル酸、
ドデシル無水フタル酸、テトラデシル無水フタル酸、ペ
ンタデシル無水フタル酸、ヘキサデシル無水フタル酸、
オクタデシル無水フタル酸、ノナデシル無水フタル酸、
イコシル無水フタル酸、ヘンイコシル無水フタル酸、ド
コシル無水フタル酸、デセニル無水フタル酸、ヘキサデ
セニル無水フタル酸、ヘプタデセニル無水フタル酸など
上記一般式eで示されるアルキル無水フタル酸などを挙
げることができる。
【0011】斯る飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基
等の置換基を有する環状酸無水物は、化合物A全体の1
0モル%以上、好ましくは30モル%以上配合される。
30モル%特に10モル%より少ない場合には、液状ポ
リエステルが得られないか、粘度が高すぎるため、造膜
の際に専用の加温システムが必要になるため好ましくな
い。
【0012】本発明において、化合物Bはポリエステル
の構成成分であり、分子中1個のエポキシ基を有する化
合物であれば特に限定されないが、飽和または不飽和の
脂肪族炭化水素基を有する化合物Bは液状ポリエステル
の低粘度化のために有効である。斯る化合物Bとして、
例えばメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエ
ーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジ
ルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグ
リシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オク
チルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、
デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエー
テル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシ
ジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペン
タデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジル
エーテル、ヘプタデシルグリシジルエーテル、オクタデ
シルグリシジルエーテル、ノナデシルグリシジルエーテ
ル、イコシルグリシジルエーテル、ヘンイコシルグリシ
ジルエーテル、ドコシルグリシジルエーテル、トリイコ
シルグリシジルエーテル、テトライコシルグリシジルエ
ーテル、ペンタイコシルグリシジルエーテル、デセニル
グリシジルエーテル、ウンデセニルグリシジルエーテ
ル、テトラデセニルグリシジルエーテル、ヘキサデセニ
ルグリシジルエーテル、ヘプタデセニルグリシジルエー
テル、オクタデセニルグリシジルエーテル、ノナデセニ
ルグリシジルエーテル、イコセニルグリシジルエーテ
ル、ヘンイコセニルグリシジルエーテル、ドコセニルグ
リシジルエーテル、トリイコセニルグリシジルエーテ
ル、テトライコセニルグリシジルエーテル、ペンタイコ
セニルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
これらのうち、炭素数1〜25、好ましくは4〜22で
ある飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基を有する化合
物Bを使用することにより効果的に共重合体の粘度を下
げることができる。さらに、斯る脂肪族炭化水素基とし
ては直鎖型、分枝型の双方を使用できるが、直鎖型の方
が粘度低下の面では好ましい。また本発明において化合
物Bは、上記の化合物以外に例えば、耐溶剤性、機械特
性を調節するためにフェニルグリシジルエーテル、ブチ
ルフェニルグリシジルエーテル、フェニルニトログリシ
ジルエーテル等、芳香族系の化合物(B)を使用するこ
とができる。
【0013】本発明において液状ポリエステルを硬化さ
せる必要がある場合には、分子中に1個のエポキシ基と
1個以上の不飽和2重結合を有する化合物Bを用いるこ
とができる。斯る化合物Bとしては、例えばメタクリル
酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジ
ルエーテル、グリシジルシンナメート等がある。分子中
に1個のエポキシ基と1個以上の不飽和2重結合を有す
る化合物の配合量としては、使用する化合物Bの配合量
全体の5〜100モル%好ましくは、30〜90モル%
であり、30モル%特に5モル%より少ない場合には硬
質な膜は得られにくく、逆に90モル%以上配合すると
膜が脆くなり易いため好ましくない。
【0014】上記化合物A及び化合物Bはそれぞれ通常
上記から選ばれた1種類が用いられるが、2種以上組み
合わせて用いることも可能である。化合物AおよびBの
成分量としては、原料の不純物率、目的とする分子量に
応じて、(化合物A):(化合物B)=10:8〜1
0:12(モル比)とするが、基本的には等モル配合と
する。
【0015】本発明において、化合物Aと化合物Bが反
応する際の開始剤として、または液状ポリエステルの分
子量や粘度を調節するために、分子中に水酸基を1個以
上有する有機化合物(化合物C)、例えばメチルアルコ
ール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチル
アルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコー
ル、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニル
アルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコー
ル、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テト
ラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサ
デシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデ
シルアルコール、ノナデシルアルコール、イコシルアル
コール、ヘンイコシルアルコール、ドコシルアルコー
ル、トリイコシルアルコール、テトライコシルアルコー
ル、ペンタイコシルアルコール、デセニルアルコール、
メトキシエチレングリコール、メトキシジエチレングリ
コール、メトキシトリエチレングリコール、メトキシテ
トラエチレングリコール等の脂肪族アルコール類、また
はエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリプロピレン−ポリエチレングリコ
ール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレン
グリコール、ポリブチレングリコール、ヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類、ビ
スフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン等芳香
族ジオール類、ポリエーテルジオール,ポリエステルジ
オール等を使用することができる。これらのうち、脂肪
族アルコール類および脂肪族ジオール類は液状ポリエス
テルを低粘度化するためには好ましいといえる。また、
ヘキサメチロールメラミン、シクロデキストリン、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサ
ントリオール等の3つ以上の化合物Cも使用することが
できる。
【0016】本発明において化合物Cの配合量は、得ら
れる液状ポリマーの分子量に影響することから、(数平
均分子量;Mn)=1000〜30000の液状ポリエ
ステルを得るために好ましい化合物Cの配合量は、化合
物Aに対して(化合物A):(化合物C)=5:1〜2
00:1(モル比)、さらに好ましくは10:1〜10
0:1(モル比)である。
【0017】本発明において、分子中にエポキシ基と不
飽和2重結合を有する化合物Bを用いた場合には、液状
ポリエステル合成中のゲル化を防ぐために、一般に用い
られるラジカル重合禁止剤例えば、ハイドロキノン、モ
ノメトキシハイドロキノン、P−tert−ブチルフェ
ノール等を斯る化合物Bに対して0.1〜4重量%、好
ましくは0.1〜1.0重量%配合することが好まし
い。ラジカル重合禁止剤の配合量が0.1重量%よりも
少ないと、液状ポリエステル合成中にエチレン性不飽和
基が反応してしまい充分なエチレン性不飽和基が得られ
なかったり、合成途中でゲル化してしまい安定した反応
を継続させることが難しくなる。逆に、ラジカル重合禁
止剤の添加量が1重量%、特に4重量%よりも多くなる
と、斯る液状ポリエステルを硬化反応させる際の反応性
を悪化させるため好ましくない。また、反応雰囲気中の
酸素濃度を高くすることでもゲル化を防ぐことができ
る。
【0018】また、化合物Aと化合物Bとの交互共重合
反応の際時に、ルイス塩基、または三級アミン等の公知
の触媒、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リ
チウムクロライド、ジエチル亜鉛、テトラ(n−ブトキ
シ)チタン、N,N−ジメチルベンジルアミン等を使用
できる。斯る触媒の配合量としては、化合物Aに対して
0〜0.5mol%、好ましくは0.1〜0.3mol
%である。これらの触媒は使用しなくても反応は進行す
るが、反応時間を短縮せしめる場合には効果がある。し
かしながら斯る触媒を0.3、特に0.5mol%以上
配合すると、液状ポリエステルが黄変したり、高分子量
の液状ポリエスルが得られなくなるので好ましくない。
【0019】本発明の液状樹脂は、化合物Cまたは触媒
の配合量を調節することにより、GPC法(ゲルパーメ
ーションクロマトグラフ)で測定した数平均分子量(ポ
リスチレン換算)の値が1000〜30000、好まし
くは、3000〜20000の範囲になるように合成さ
れる。数平均分子量が上記数値より小さくなると、硬化
時の体積収縮率が大きくなり、歪みや基材からの脱離な
ど機械特性の低下につながる恐れがあり、耐溶剤性、耐
沸水等の諸物性が低下するので好ましくなく、また上記
数値より大きい液状ポリエステルにおいては造膜可能な
低粘度を保てなくなるので好ましくない。
【0020】本発明の液状ポリエステルは、無溶剤で既
知開環共重合法により60〜100℃の温度範囲で加熱
することにより製造できる。また、本発明において、反
応液の粘度を降下させたり、共重合反応を安定に進行さ
せるために溶剤を使用する場合がある。斯る目的のため
に使用される溶剤としては、沸点により反応時の温度管
理を容易にするために、70〜85℃に沸点を有する溶
剤が好ましく、例えば、酢酸エチル,ベンゼン,メチル
エチルケトン等が一般的である。配合量としては、溶剤
が多くなると重合の反応性が落ち製造に時間がかかりす
ぎるために実用に即さないことから、化合物A、化合物
B、化合物C配合量全体の0〜60重量%、好ましくは
15〜30重量%である。しかしながら溶剤は反応終了
後除去することが必要であり、使用しない方が好ましい
といえる。
【0021】得られた液状ポリエステルの粘度は、回転
振動式粘度計(VM−100、山一電機(株)製)で測
定した50℃における粘度が200〜500000cp
s、好ましくは200〜20000cpsである。
【0022】本発明の液状ポリエステルは、実質的に無
溶剤型の被膜形成材料として使用できる。しかしなが
ら、造膜性を改良するために少量の水または有機溶剤な
どを配合してもよい。配合できる量としては、液状ポリ
エステルに対して5重量%迄である。また、本発明の液
状ポリエステルを硬化させる場合、硬化性を高めるため
に必要に応じてベンゾイルパーオキサイト、アゾビスイ
ソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム、過酸化ラウロ
イル等、一般的なラジカル反応開始剤、または一般的な
光重合開始剤を硬化部位として導入した不飽和2重結合
の種類に応じて選択し使用することができる。また、チ
タン白、各種の顔料等の着色剤、滑剤等を添加してもよ
い。
【0023】本発明の液状ポリエステルの膜を、各種鋼
板、アルミニウム板等の金属板、プラスチックフィル
ム、紙等の基材上で形成せしめる際の造膜方法として
は、ロールコーター、ナイフコーター、カーテンコータ
ー、コイルコーター、スプレーコーター、平版印刷、凸
版印刷、孔版印刷、凹版印刷等がある。造膜の際、加熱
することにより造膜を容易にすることができる。また造
膜後、熱、光、または電子線等で処理することにより硬
化させることができる。熱源としての限定は特にない
が、一般的には熱循環式オーブンあるいは加熱ロールな
どが好適に用いられる。光源としては水銀ランプ、キセ
ノンランプ、蛍光灯、白熱灯、各種レーザなどがあるが
水銀ランプ等を用いたUV光による硬化は汎用性があっ
て好ましい。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】表1に実施例で使用した各成分の名称、略
称、製造元を示す。
【表1】
【0026】(試作例−1)撹拌装置、温度センサー、
およびコンデンサーを備えた500ミリリットル四つ口
丸底フラスコに、 n−BuOH 7.4 g n−TdAH 296.5 g MGE 89.0 g DMBA 2.7 g を仕込み、湯浴中で撹拌しながらフラスコ内温度を85
℃に昇温する。重合反応の進行に従い重合槽内で反応液
が粘稠になった。そのまま反応を20時間継続した後、
酸価を測定した(以下、本発明における酸価は、JIS
K 0070に準じて測定した結果を示す。)とこ
ろ、13mlKOH/gであった。さらに5時間加熱を
継続したところ、酸価が9mlKOH/g以下になった
ため、放冷し反応を終了した。得られた粘稠な液体の分
子量をGPC法で測定したところ数平均分子量;Mn=
3460、また液状ポリマーの粘度(50℃)は990
cpsであった。
【0027】(試作例−2〜11)試作例−1と同様の
方法により表2に示した組成で原料を仕込み、各反応条
件下にエステル系液状ポリマーの合成を行なった。酸価
が10mlKOH/g以下になったところで反応を終了
し、得られた粘稠な液状ポリエステルの分子量と粘度を
測定した(表2)。
【0028】
【表2】
【0029】(比較例−1)撹拌装置、温度センサー、
およびコンデンサーを備えた500ミリリットル四つ口
丸底フラスコに、 n−BuOH 7.4 g PAH 148.0 g MGE 89.0 g DMBA 2.7 g を仕込み、湯浴中で撹拌しながらフラスコ内温度を85
℃に昇温する。重合反応の進行に従い重合槽内で反応液
がかなり粘稠になり反応開始後10時間で撹拌が困難に
なった。そこで撹拌を停止しさらに反応を10時間継続
した後、酸価を測定したところ、11mlKOH/gで
あった。さらに5時間加熱を継続したところ、酸価が7
mlKOH/g以下になったため、反応を終了するため
に放冷したところ50℃では流動性を示さない固体状で
あった。得られたポリエステルの分子量をGPC法で測
定したところ数平均分子量;Mn=2100であった。
【0030】(比較例−2)撹拌装置、温度センサー、
およびコンデンサーを備えた500ミリリットル四つ口
丸底フラスコに、 n−BuOH 7.4 g n−TdAH 14.8 g PAH 140.6 g MGE 89.0 g DMBA 2.7 g を仕込み、湯浴中で撹拌しながらフラスコ内温度を85
℃に昇温する。重合反応の進行に従い重合槽内で反応液
がかなり粘稠になり反応開始後10時間で撹拌が困難に
なった。そこで撹拌を停止しさらに反応を10時間継続
した後、酸価を測定したところ、11mlKOH/gで
あった。さらに5時間加熱を継続したところ、酸価が8
mlKOH/g以下になったため、反応を終了するため
に放冷したところ50℃ではほとんど流動性を示さず5
0℃における粘度は1000000cps以上であっ
た。得られたポリエステルの分子量をGPC法で測定し
たところ数平均分子量;Mn=2220であった。
【0031】(試作例−12)撹拌装置、空気導入管
(流量:20ml/min)、温度センサー、およびコ
ンデンサーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラ
スコに、 n−BuOH 7.4 g n−TdAH 296.5 g GMA 56.8 g BGE 78.0 g DMBA 2.7 g ハイドロキノン 0.25 g を仕込み、湯浴中で撹拌しながらフラスコ内温度を85
℃に昇温する。重合反応の進行に従い重合槽内で反応液
が粘稠になった。そのまま反応を20時間継続した後、
酸価を測定したところ、13mlKOH/gであった。
さらに5時間加熱を継続したところ、酸価が9.5ml
KOH/g以下になったため、放冷し反応を終了した。
得られた粘稠な液体の分子量をGPC法で測定したとこ
ろ数平均分子量;Mn=3800、また液状ポリマーの
粘度(50℃)は5000cpsであった。
【0032】(試作例−13〜19)試作例−12と同
様の方法により表3に示した組成で原料を仕込み、各反
応条件下にエステル系液状ポリマーの合成を行なった。
酸価が10mlKOH/g以下になったところで反応を
終了し、得られた粘稠な液状ポリエステルの分子量と粘
度を測定した(表3)。
【0033】
【表3】
【0034】(実施例−1)試作例−12で得られた液
状ポリエステルにベンゾイルパーオキサイトを液状ポリ
エステルに対し3wt%添加し充分に混合した硬化性液
状樹脂組成物の硬化挙動をレオメータ(レオメトリクス
社製、RDS−II)により測定した。測定条件を以下に
示す。 検出部:パラレルプレート(直径=8mm) 周波数:1Hz 加熱温度:100℃ 時間:20min後の値を採用
【0035】(実施例−2〜8)試作例−13〜19で
得られた液状ポリエステルに種々の開始剤を適量添加
し、充分に混合した硬化性液状樹脂組成物の硬化挙動を
実施例1と同様な条件でレオメータにより測定した。表
4に各液状樹脂について測定した硬化後の剪断弾性率を
列記する。
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】本発明により無溶剤型の塗料、接着剤、
インキ等の被膜形成材料用の硬化性液状樹脂、または相
溶化剤、界面改質剤、顔料分散剤、金属キレ−ト剤とし
て利用される液状ポリエステルを簡便に得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C09D 167/00 - 167/08 C09J 167/00 - 167/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式a〜eで示される環状酸無水物
    の少なくとも一種を10モル%以上含む環状酸無水物
    (化合物A)と、 【化1】 (式中R1は、炭素数4〜25の飽和または不飽和脂肪
    族炭化水素基である。)分子中に1個のエポキシ基を有
    する化合物(化合物B)を(化合物A):(化合物B)
    =10:8〜10:12(モル比)の割合で反応させて
    なる液状ポリエステル。
  2. 【請求項2】化合物Bの5モル%以上が分子中に1個の
    エポキシ基と1個以上の不飽和2重結合を有する化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の液状ポリエステ
    ル。
  3. 【請求項3】数平均分子量が1000〜30000であ
    り50℃における粘度が200〜500000cpsで
    あることを特徴とする請求項1または2記載の液状ポリ
    エステル。
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