JP2005343934A - 共重合体ラテックス、およびその製造方法 - Google Patents

共重合体ラテックス、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 特に紙塗工用組成物として、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れた塗工紙を与え、かつ、紙塗工用組成物の高速塗工時の流動性に優れた紙塗工用組成物を提供する共重合体ラテックスを安定的に製造する方法、およびその方法により得られた共重合体ラテックスを提供する。
【解決手段】 脂肪族共役ジエン系単量体を含む特定組成の単量体混合物を重合抑制剤の存在下、レドックス系重合開始剤を用いて重合を開始する第一工程、およびそれに次ぐ、芳香族ビニル系単量体を含む特定組成の単量体混合物を重合する第2工程からなる2段工程の重合法を採用し、さらに、その全重合工程を通して特定量の界面活性剤量を用いて、粒子径を特定範囲にした共重合体ラテックスを製造する方法、および、これを用いて得られる共重合体ラテックス。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紙塗工用に好適な共重合体ラテックスを製造する方法、およびその方法により得られた共重合体ラテックスに関し、さらに詳しくは、紙塗工用組成物の高速塗工時における流動性に優れ、かつ、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れる塗工紙を提供する共重合体ラテックスを安定的に製造する方法、およびその方法により得られた共重合体ラテックスに関する。
近年、印刷技術の急速な発達に伴い、印刷の高速化や高品質化が進み、塗工紙に要求される品質はますます厳しいものになってきており、特に、紙塗工用組成物を構成する合成ラテックスバインダーに対する特性の向上が求められている。例えば、塗工紙製造コストの低減を目的として、顔料に対するバインダーの配合部数を低減することが提案されており、従来よりも少ない配合部数で、バインダーとしての基本性能である表面強度(ドライピック強度)が発現できる共重合体ラテックスが要求されている。さらに、塗工紙をオフセット印刷する場合には湿し水が関与するため、ドライピック強度とともに、湿潤時における塗工紙の表面強度(ウェットピック強度)が高い共重合体ラテックスが強く求められている。また、印刷のカラー化や包装用紙の高品質化等の要求から、出版用、あるいは包装用として塗工紙の使用量は拡大している。この塗工紙の使用量拡大に対応するため、塗工紙の生産性向上を目的として、コーターの高速化が図られており、高速塗工下での紙塗工用組成物の流動性が高いラテックスが求められている。
従来、高速で塗工紙を製造する方法として、ブレードコーティング法が好ましく用いられている。ブレードコーティング用のラテックスとしては、例えば、特許文献1には、1分子内に2個以上のビニル基を有する架橋剤の存在下に、全単量体の20〜80重量%をゲル含有量85重量%以上となるまで重合させ、次いで、残余の単量体を重合させて得られる、平均粒子径が30〜70nmであり、且つ粒子内にゲル含有量の分布を有する共重合体ラテックスが開示されている。しかしながら、このような共重合体ラテックスは、重合に用いる界面活性剤量が多量であるため、得られた塗工紙のウェットピック強度が劣る問題があった。
また、特許文献2には、水溶性エチレン系単量体を含む特定組成の単量体を、水溶性重合開始剤を用いて乳化重合するにあたり、前記水溶性エチレン系単量体および前記水溶性重合開始剤の、全単量体に対するそれぞれの使用割合の積を0.1〜8の範囲として得られた、平均粒子径が50〜150nmである紙塗工用重合体ラテックスが開示されている。しかしながら、このような重合体ラテックスを用いた紙塗工用組成物は、ラテックスの粒子径が大きいために高速塗工適性が不十分であり、かつ得られる塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度も不十分であった。
特開平8−188989号公報 特開平10−245450号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑み、特に紙塗工用組成物として、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れた塗工紙を与え、かつ、高速塗工時の流動性に優れた紙塗工用組成物を提供する共重合体ラテックスを安定的に製造する方法、およびその方法により得られた共重合体ラテックスを提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、脂肪族共役ジエン系単量体を含む特定組成の単量体混合物を重合抑制剤の存在下、レドックス系重合開始剤を用いて乳化重合を開始する第1工程、およびそれに次ぐ、芳香族ビニル系単量体を含む特定組成の単量体混合物を乳化重合する第2工程、からなる二段工程の重合法を採用し、さらに、その全重合工程を通して特定量の界面活性剤量を用いて、粒子径を特定範囲にした共重合体ラテックスを製造することにより、これを用いて得られる紙塗工用組成物が高速塗工時の流動性に優れ、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れる塗工紙が得られることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成した。
かくして、本発明によれば、以下の1〜4の発明が提供される。
1.脂肪族共役ジエン系単量体(a)60〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体(b)0.5〜3重量部およびこれらと共重合可能なビニル系単量体(c)17〜39.5重量部(前記(a)、(b)および(c)で示す各単量体の合計は100重量部である)からなる単量体混合物(A)を、重合抑制剤の存在下に、レドックス系重合開始剤を用いた乳化重合により共重合体ラテックスを得る工程(I)、および、
前記工程(I)で得られた共重合体ラテックスの存在下に、
脂肪族共役ジエン系単量体(a)20〜40重量部、不飽和カルボン酸単量体(b)2〜10重量部、芳香族ビニル単量体(d)20〜40重量部およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(e)10〜58重量部(前記(a)、(b)、(d)および(e)で示す各単量体の合計は100重量部である)からなる単量体混合物(B)をさらに乳化重合する工程(II)を含み、
前記工程(I)および工程(II)において、乳化重合に用いる前記全単量体の合計量に対して1.5〜5重量部の界面活性剤を用いて平均粒子径が30〜50nmである共重合体ラテックスを製造する方法。
2.前記工程(I)および工程(II)において、前記単量体混合物(A)と単量体混合物(B)との重量比が、単量体混合物(A)/単量体混合物(B)にて40/60〜60/40の範囲にある前記1記載の共重合体ラテックスを製造する方法。
3.前記1または2記載の製造方法により製造されてなる共重合体ラテックス。
4.テトラヒドロフラン不溶分が60〜95重量%である前記3記載の共重合体ラテックス。
本発明によれば、特に紙塗工用組成物として、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れた塗工紙を与え、かつ、高速塗工時の流動性に優れた紙塗工用組成物を提供する共重合体ラテックスを安定的に製造する方法、およびその方法により得られた共重合体ラテックスを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(共重合体ラテックス)
本発明の共重合体ラテックスの製造方法は、脂肪族共役ジエン系単量体(a)60〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体(b)0.5〜3重量部およびこれらと共重合可能なビニル系単量体(c)17〜39.5重量部(前記(a)、(b)および(c)で示す各単量体の合計は100重量部である)からなる単量体混合物(A)を、重合抑制剤の存在下に、レドックス系重合開始剤を用いた乳化重合により共重合体ラテックスを得る工程(I)、および、
前記工程(I)で得られた共重合体ラテックスの存在下に、
脂肪族共役ジエン系単量体(a)20〜40重量部、不飽和カルボン酸単量体(b)2〜10重量部、芳香族ビニル単量体(d)20〜40重量部およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(e)10〜58重量部(前記(a)、(b)、(d)および(e)で示す各単量体の合計は100重量部である)からなる単量体混合物(B)をさらに乳化重合する工程(II)を含み、
前記工程(I)および工程(II)において、乳化重合に用いる前記全単量体の合計量に対して1.5〜5重量部の界面活性剤を用いて平均粒子径が30〜50nmである共重合体ラテックスを製造することを特徴とする。
工程(I)において用いる脂肪族共役ジエン系単量体(a)(以降、単量体(a)と略記する場合がある)としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及びクロロプレン等を挙げることができる。これらのなかでも1,3−ブタジエンが好適に使用される。
単量体(a)の使用量は、工程(I)で用いる全単量体100重量部に対して、60〜80重量部、好ましくは63〜77重量部、より好ましくは66〜74重量部である。単量体(a)の使用量が少な過ぎると、重合時に微細凝固物が発生し易く、反応器内も汚れる傾向にあり、塗工紙のドライピック強度が低下する傾向にある。逆に多過ぎると反応器内に洗浄しにくいスケールが付着する傾向にあり、塗工紙のウェットピック強度が低下する傾向にある。
工程(I)において用いる不飽和カルボン酸単量体(b)(以降、単量体(b)と略記する場合がある)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノメチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル;などが挙げられる。これらの中でもエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、メタクリル酸が特に好適に使用される。
単量体(b)の使用量は、工程(I)で用いる全単量体100重量部に対して、0.5〜3重量部、好ましくは0.5〜2.5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。単量体(b)の使用量が少な過ぎると、重合時に微細凝固物が発生し易く、反応器内も汚れる傾向にあり、紙塗工用組成物を配合する際の配合安定性に劣り、紙塗工用組成物の機械的安定性にも劣る傾向にある。逆に使用量が多過ぎると、最終的に得られるラテックス粘度が高くなり過ぎて、取扱いが困難になる他、紙塗工用組成物のハイシア粘度が高くなり過ぎて高速塗工適正に劣る傾向にある。
工程(I)において用いる単量体(a)および単量体(b)と共重合可能なビニル系単量体(c)(以降、単量体(c)と略記する場合がある)としては、エチレン性不飽和ニトリル単量体;芳香族ビニル単量体;エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体及びその誘導体;カルボン酸ビニルエステル単量体;ハロゲン化ビニル単量体;などが挙げられる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリルの他、メタクリロニトリル、2−エチルプロペンニトリル、2−プロピルプロペンニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリルが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレンの他、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、モノクロルスチレン、p−メチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、メタクリル酸メチルの他、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体及びその誘導体としては、メタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
カルボン酸ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニルが好適に使用でき、また、ハロゲン化ビニル単量体としては塩化ビニルが好適に使用できる。
単量体(c)としては、前記のものの中でも、エチレン性不飽和ニトリル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、アクリロニトリルおよびメタクリル酸メチルが特に好適に使用される。
単量体(c)の使用量は、工程(I)で用いる全単量体100重量部に対して、17〜39.5重量部、好ましくは20.5〜36.5重量部、より好ましくは24〜33.5重量部である。単量体(c)の使用量が少な過ぎても、多過ぎても、塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度のバランスに劣る傾向にある。
なお、単量体(a)、(b)および(c)からなる単量体混合物の合計量は100重量部である。
本発明の工程(I)においては、単量体混合物(A)を乳化重合する際、重合抑制剤およびレドックス系重合開始剤を用いる。
工程(I)において用いられる重合抑制剤としては、ラジカル重合の反応速度を抑制する化合物であればよく、いわゆる重合遅延剤または重合禁止剤が挙げられる。例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、o−、m−、あるいはp−ベンゾキノンのキノン類;ニトロベンゼン、o−、m−、あるいはp−ジニトロベンゼン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、2,4−ジニトロクロロベンゼンのニトロ化合物;p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールのフェノール化合物;N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩のヒドロキシルアミン化合物;ジフェニルアミンのアミン類;1,1−ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンの1,1−ジ置換ビニル化合物;ジチオベンゾイルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドの有機イオウ化合物;などが挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合抑制剤の使用量は全単量体100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.005〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部である。
工程(I)において用いられるレドックス系重合開始剤としては、酸化剤、および遷移金属イオンを含む還元剤、との組み合わせによって用いることができる。
酸化剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムの過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドの有機過酸化物;などが挙げられる。なかでも、過硫酸カリウムが好適に使用される。
還元剤としては、例えは、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムのアスコルビン酸(塩);エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウムのエリソルビン酸(塩);糖類;ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムのスルフィン酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムの亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸水素カリウムのピロ亜硫酸塩;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムのチオ硫酸塩;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸カリウム、亜燐酸水素ナトリウム、亜燐酸水素カリウムの亜燐酸(塩);ピロ亜燐酸、ピロ亜燐酸ナトリウム、ピロ亜燐酸カリウム、ピロ亜燐酸水素ナトリウム、ピロ亜燐酸水素カリウムのピロ亜燐酸(塩);などが挙げられる。なかでも、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムが好ましい。
遷移金属イオンとしては、例えば、銅イオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオンなどが挙げられる。前記遷移金属イオンを水中で安定化させるため、キレート剤が用いられ、例えば、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩およびアセチルアセトンなどが挙げられ、中でも安定な金属錯体を形成できる、エチレンジアミン四酢酸の鉄錯体が好ましい。
工程(I)における、単量体混合物(A)の共重合体ラテックスへの重合転化率は70重量%以上であることが好ましい。
工程(II)においては、前記工程(I)で得られた共重合体ラテックスの存在下に、脂肪族共役ジエン系単量体(a)、不飽和カルボン酸単量体(b)、芳香族ビニル単量体(d)およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(e)からなる単量体混合物(B)を共重合して、本発明の共重合体ラテックスを得る。
工程(II)で用いる単量体(a)は、工程(I)において例示した前記単量体(a)を使用でき、その好ましいものも同様である。
単量体(a)の使用量は、工程(II)で用いる全単量体100重量部に対して、20〜40重量部、好ましくは23〜37重量部、さらに好ましくは23〜30重量部である。単量体(a)の使用量が少な過ぎると、塗工紙のドライピック強度が劣る傾向にあり、逆に多過ぎると塗工紙のウェットピック強度が劣る傾向にある。
単量体(b)は、工程(I)において例示した前記単量体(b)を使用できる。なかでも、アクリル酸およびイタコン酸が好適に使用できる。
単量体(b)の使用量は、工程(II)で用いる全単量体100重量部に対して、2〜10重量部、好ましくは3〜8重量部、より好ましくは4〜7重量部である。単量体(b)の使用量が少な過ぎると、重合時に反応器内にスケールが付着し易くなり、得られる共重合体ラテックスの機械的安定性が劣り、紙塗工用組成物を配合する際の配合安定性が劣る傾向にある。逆に使用量が多過ぎると、ラテックス粘度が高くなり過ぎて、取扱いが困難となる他、紙塗工用組成物のハイシア粘度が高くなり過ぎて高速塗工時の流動性に劣る傾向にある。
単量体(d)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、モノクロルスチレン、p−メチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられる。なかでも、スチレンが好適に使用される。
単量体(d)の使用量は20〜40重量部、好ましくは23〜37重量部、より好ましくは26〜34重量部である。単量体(d)の使用量が少な過ぎると、塗工紙のウェットピック強度が劣る傾向にあり、逆に多過ぎると、重合後に未反応の単量体が多く残留する傾向があり、塗工紙のドライピック強度が劣る傾向にある。
単量体(e)としては、エチレン性不飽和ニトリル単量体;エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体及びその誘導体;カルボン酸ビニルエステル単量体;ハロゲン化ビニル単量体;などが挙げられる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリルの他、メタクリロニトリル、2−エチルプロペンニトリル、2−プロピルプロペンニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリルが挙げられる。なかでも、アクリロニトリルが好適に使用される。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。なかでも、メタクリル酸メチルが好適に使用される。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体及びその誘導体としては、メタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
カルボン酸ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニルが好適に使用され、また、ハロゲン化ビニル単量体としては塩化ビニルが好適に使用される。
単量体(e)の使用量は、工程(II)で用いる全単量体100重量部に対して、10〜58重量部、好ましくは18〜51重量部、より好ましくは29〜47重量部である。この使用量が少な過ぎても、多過ぎても、塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度のバランスが劣る傾向にある。
工程(I)および工程(II)においては、各単量体混合物の添加方法は特に限定されず、初期に一括添加する方法、分割で添加する方法および連続的に添加する方法が適宜採用できるが、塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度のバランスを高めるためには、単量体混合物を連続して添加する方法が好ましい。
本発明に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分としてアミン塩、第4級アンモニウム塩を有するものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリル(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸型のものが挙げられる。
中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好適に使用される。
本発明では、工程(I)および工程(II)において、乳化重合に用いる全単量体の合計量に対して、界面活性剤を1.5〜5重量部、好ましくは1.7〜4重量部、さらに好ましくは1.9〜3.5重量部用いる。
界面活性剤の使用量が少な過ぎる場合には、重合安定性が低くなるために得られる共重合体ラテックスの粒子径が大きくなる傾向にある。また、ラテックスの粘度も高くなって、取扱いが困難となる他、紙塗工用組成物のハイシア粘度が高くなり過ぎて高速塗工適性に劣る傾向にある。さらに塗工紙のドライピック強度が劣る傾向にある。逆に多過ぎると、重合安定性は高くなるが、共重合体ラテックスで形成される塗膜中に多量の界面活性剤が残留するため、塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度がともに低下する傾向にある。
工程(I)および(II)において、各工程で用いる界面活性剤の使用比率は、特に限定されるものではないが、工程(I)で使用する界面活性剤の使用比率は、工程(I)および工程(II)において使用する界面活性剤の合計量に対し、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%である。
本発明においては、共重合体ラテックスの粒子径を30〜50nm、好ましくは35〜50nmとする。
共重合体ラテックスの粒子径が大き過ぎると、紙塗工組成物の高速塗工時における流動性が劣る傾向があり、逆に小さ過ぎると紙塗工用組成物を配合する際の配合安定性が劣り、紙塗工用組成物の機械的安定性にも劣る傾向がある。
工程(I)および(II)において、工程(I)で用いる単量体混合物(A)と工程(II)で用いる単量体混合物(B)との重量比は、単量体混合物(A)/単量体混合物(B)にて、好ましくは40/60〜60/40、より好ましくは45/55〜55/45、さらに好ましくは50/50である。単量体混合物(A)の比率が高過ぎると、塗工紙のウェットピック強度が劣る傾向にあり、逆に低過ぎるとドライピック強度が劣る傾向にある。
本発明において、乳化重合の方法そのものについては、一般的な方法を用いればよく、分子量調整剤などが使用される。
分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンのメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルムのハロゲン化炭化水素;α−メチルスチレンダイマーなどが使用できる。分子量調整剤の使用量は、最終的に得られる共重合体ラテックスのテトラヒドロフラン不溶分を調整するために、適宜決定すればよい。
さらに必要に応じて、酸素捕捉剤、キレート剤、pH調整剤、分散剤などの重合副資剤を適宜使用してもよい。
分子量調整剤、重合副資剤などは、工程(I)および工程(II)の、各工程で使用しても、特定の工程でのみ使用してもよい。
重合温度は、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃である。
工程(II)の重合が終了した後、重合停止剤を添加したり、系を冷却したりして、重合反応を停止し、所望により、残存する未反応単量体を除去し、共重合体ラテックスのpHや固形分濃度を調整して、共重合体ラテックスを得る。
さらに、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、分散剤、老化防止剤などを適宜添加してもよい。
本発明の共重合体ラテックスは、上記の製造方法により製造されてなる。
共重合体ラテックスを構成する共重合体のテトラヒドロフラン不溶解分の量は好ましくは60〜95重量%、より好ましくは62〜92重量%である。
共重合体ラテックスを構成する共重合体のガラス転移温度は、通常、−50〜+35℃、好ましくは−45〜+30℃の範囲にある。ガラス転移温度が低過ぎると、塗工紙のウェットピック強度が低下する傾向にあり、逆に高過ぎると、塗工紙のドライピック強度が低下する傾向にある。
本発明の紙塗工用組成物は、前記の共重合体ラテックスと顔料とを含有してなる。
顔料としては、クレー、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、サチンホワイト等の無機顔料;中空粒子、プラスチックピグメント等の有機顔料;などが挙げられる。
共重合体ラテックスと顔料との比率は、顔料100重量部に対して、共重合体ラテックスの固形分量が、通常、1重量部以上、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは3〜9重量部の範囲である。
紙塗工用組成物には、必要に応じて、さらに水溶性高分子、pH調製剤、顔料分散剤、耐水化剤、消泡剤、染料、滑剤、有機溶剤などを配合することができる。
通常、上記紙塗工用組成物を紙に塗工し、乾燥して塗工紙を得る。塗工できる紙としては、板紙、洋紙いずれでもよい。また、紙の形態は、連続的に塗工できる点から、帯状に巻いた形状のものが好適である。
塗工の方法は特に限定されず、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ショートドウェルコーター、カーテンコーター、スプレーコーターなどの塗工装置を用いて塗工する。塗工量は、紙塗工用組成物が、固形分換算で、通常、3〜30g/m、好ましくは5〜25g/mになる範囲である。
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものでない。なお、特に断りのない限り、部及び%は重量基準である。
評価方法を以下に説明する。
(製造の安定性)
共重合体ラテックスの製造の安定性に関しては、以下の方法により、反応器内の汚れの程度を評価した。
反応器内の汚れは、重合後の反応容器内壁の凝集物付着状態を肉眼で観察し、以下のように4段階で判定した。
◎:非常に少ない
○:少ない
△:多い
×:非常に多い
(共重合体ラテックスのテトラヒドロフラン不溶分)
共重合体ラテックスのpHを8に調整した後、該ラテックスを枠付きガラス板に流延し、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に48時間放置して乾燥し、共重合体ラテックスのフィルムを得た。得られたフィルム約0.3gを精秤し、80メッシュの金網のかごに仕込み、そのまま20℃のテトラヒドロフラン100mlに48時間浸漬した後、金網のかごに残るテトラヒドロフランに不溶の残存固形分を乾燥して精秤する。仕込んだフィルム重量に対する、テトラヒドロフランに不溶の残存固形分量の重量%を計算して、共重合体ラテックスのテトラヒドロフラン不溶分とする。
(共重合体ラテックスの平均粒子径)
平均粒子径は共重合体ラテックスを電子顕微鏡で観察し、撮影した写真に写る共重合体ラテックス粒子を無作為に300個選び、粒子径を測定し、その数平均値で示す。
(高速塗工適性)
紙塗工用組成物のハイシア粘度を、ハイシェアー回転粘度計((株)エスエムテー社製 PM−9000HV:ボブF、回転数8800rpm)を用いて測定した。値が小さいほど、紙塗工用組成物の高速塗工時の流動性が高く、高速塗工適正が良好である。
(ドライピック強度)
印刷インク(タック値20)0.4cmをRIテスター(明石製作所製)のゴムロールに付着させた後、このRIテスターを用いて塗工紙に4回重ね刷りした。紙面の剥がれ(ピッキング)状態を観察して5点法で評価した。点数の高いものほどドライピック強度が高い。
(ウェットピック強度)
塗工紙に、モルトンロールで水を塗布し、次に印刷インク(タック値14)0.4cmをゴムロールに付着させたRIテスターを用いてベタ刷りした。紙面の剥がれ(ピッキング)状態をドライピック強度の評価方法と同様にして5点法で評価した。点数の高いものほどウェットピック強度が高い。
実施例1
<共重合体ラテックスの製造>
内容量10リットルの反応容器に、水153部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.9重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.05部および炭酸水素ナトリウム0.18部を仕込み、60℃に昇温した。次いで、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム0.006重量部、エチレンジアミン四酢酸−鉄(EDTA−Fe)錯体0.015重量部を添加した後、表1に示す単量体混合物(A)50重量部、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部および反応抑制剤である2,4−ジニトロクロロベンゼン0.05重量部からなる工程(I)組成物を2時間に渡って、反応容器に連続添加した。前記工程(I)組成物の連続添加を開始すると同時に、過硫酸カリウム0.5重量部を26重量部の水と共に反応容器に添加して重合を開始した。前記工程(I)単量体混合物の添加終了後、2時間かけて70℃に昇温させ、工程(I)の全単量体の重合転化率が70重量%以上となるまで反応させた。
次いで、表1に示す単量体混合物(B)50重量部、t−ドデシルメルカプタン0.6重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部、過硫酸カリウム0.4重量部および水66重量部からなる工程(II)組成物を2時間に渡って、反応容器に連続添加した。
工程(I)および工程(II)を合わせた全単量体の重合転化率が90%に達した時点で、さらに反応温度を85℃に昇温して、3時間反応させた後、室温まで冷却した。この時の重合転化率は93%であった。
その後、減圧下に未反応単量体を除去した後、水酸化ナトリウムでpHを8に調整し、実施例1の共重合体ラテックスAを得た。得られた重合体ラテックスのTHF不溶分および平均粒子径を測定し、結果を表1に示す。
(紙塗工用組成物)
次に、前記共重合体ラテックスAを固形分として9部、カオリンクレー(エンゲルハード社製、UW90)65部、重質炭酸カルシウム(ECC社製、Carbital−90)35部、分散剤(東亞合成社製、アロンT−40)0.2部、水酸化ナトリウム0.15部及び酸化デンプン3部を混合して攪拌し、固形分濃度65%、pH10に調整して紙塗工用組成物を得た。
上記の紙塗工用組成物を上質紙に塗工量が片面あたり15g/mとなるように塗布し、塗布直後に120℃の熱風で10秒間乾燥し、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内に一夜放置した。その後、温度50℃、線圧100Kg/cmの条件でスーパーカレンダー処理を2回行って塗工紙を得た。塗工紙の評価結果を表1に示す。
実施例2
工程(I)組成物を構成するt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部に、工程(II)組成物を構成するt−ドデシルメルカプタンを0.3重量部に、および各単量体混合物の組成を表1記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様に重合して共重合体ラテックスBを得、それを共重合体ラテックスAに代えて用いて、紙塗工用組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。
実施例3
工程(I)組成物を構成するt−ドデシルメルカプタンを0.4重量部に、工程(II)組成物を構成するt−ドデシルメルカプタンを0.4重量部に、および各単量体混合物の組成を表1記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様に重合して共重合体ラテックスCを得、それを共重合体ラテックスAに代えて用いて、紙塗工用組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。
実施例4
重合開始前、反応容器に仕込むドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを2.9重量部に、2,4−ジニトロクロロベンゼンの代りに、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノンを0.1重量部に、および各単量体混合物の組成を表1記載のように変更すること以外は、実施例2と同様に重合して共重合体ラテックスDを得、それを共重合体ラテックスAに代えて用いて、紙塗工用組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。
比較例1
重合開始前、反応容器に仕込むドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを5.9重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に重合して共重合体ラテックスEを得、それを共重合体ラテックスAに代えて用いて、紙塗工用組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。
比較例2
重合開始前、反応容器に仕込むドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.9重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様に重合して共重合体ラテックスFを得、それを共重合体ラテックスAに代えて用いて、紙塗工用組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。
比較例3
工程(I)単量体組成を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様に重合して共重合体ラテックスGを得、それを共重合体ラテックスAに代えて用いて、紙塗工用組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。
比較例4
内容量10リットルの反応容器に、水153部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.9重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.05部および炭酸水素ナトリウム0.18部を仕込み、60℃に昇温した。次いで、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム0.006重量部およびEDTA−Fe錯体0.015重量%を添加した後、表1の工程(I)記載の単量体混合物100重量部、t−ドデシルメルカプタン1.0重量部、2,4−ジニトロクロロベンゼン0.05重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3重量部、過硫酸カリウム0.4重量部および水66重量部からなる単量体組成物を5時間に渡って、反応容器に連続添加した。前記工程(I)の組成物の連続添加を開始すると同時に、過硫酸カリウム0.5重量部を26重量部の水と共に反応容器に添加して重合を開始した。前記一段目単量体混合物の添加開始2時間後から、2時間かけて70℃に昇温させ、次いで、全単量体の重合転化率が90%に達した時点で、さらに反応温度を85℃に昇温にして、3時間反応させた後、室温まで冷却した。この時の重合転化率は93%であった。
その後、減圧下に未反応単量体を除去した後、水酸化ナトリウムでpHを8に調整し、比較例4の共重合体ラテックスHを得、それを共重合体ラテックスAに代えて用いて、紙塗工用組成物及び塗工紙を得た。評価結果を表1に示す。
Figure 2005343934
表1から以下のことが分かる。
乳化重合に用いる界面活性剤の量が本発明規定の範囲を外れて多過ぎ、かつ平均粒子径が本発明規定の範囲を外れて小さ過ぎる共重合体ラテックスEを用いると、塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度が劣る(比較例1)。
乳化重合に用いる界面活性剤の量が本発明規定の範囲を外れて少な過ぎ、かつ平均粒子径が大き過ぎる共重合体ラテックスFを用いると、紙塗工用組成物のハイシア粘度が高くなり過ぎて高速塗工適性が劣り、塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度が劣る(比較例2)。
工程(I)で用いる単量体組成物(A)の組成が本発明規定の範囲を外れると、反応器内が汚れる。さらに、得られる共重合体ラテックスGを用いると、塗工紙のドライピック強度およびウェットピック強度が劣る(比較例3)。
工程を一工程として重合すると、反応容器の汚れが著しく、ここで得られた共重合体ラテックスHを用いると、ドライピック強度およびウェットピック強度が劣る(比較例4)
前記比較例と比べ、本発明の範囲内にある共重合体ラテックスA〜Dはそれぞれ、反応器内の汚れが少なく、これらの共重合体ラテックスを用いた塗工紙はドライピック強度およびウェットピック強度が優れる(実施例1〜4)。
本発明は、紙塗工用に好適な共重合体ラテックスを製造する方法、およびその方法により得られた共重合体ラテックスに関し、さらに詳しくは、紙塗工用組成物の高速塗工時の流動性に優れ、かつ、ドライピック強度およびウェットピック強度に優れる塗工紙を提供する共重合体ラテックスを安定的に製造する方法、およびその方法により得られた共重合体ラテックスに関する。












Claims (4)

  1. 脂肪族共役ジエン系単量体(a)60〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体(b)0.5〜3重量部およびこれらと共重合可能なビニル系単量体(c)17〜39.5重量部(前記(a)、(b)および(c)で示す各単量体の合計は100重量部である)からなる単量体混合物(A)を、重合抑制剤の存在下に、レドックス系重合開始剤を用いた乳化重合により共重合体ラテックスを得る工程(I)、および、
    前記工程(I)で得られた共重合体ラテックスの存在下に、
    脂肪族共役ジエン系単量体(a)20〜40重量部、不飽和カルボン酸単量体(b)2〜10重量部、芳香族ビニル単量体(d)20〜40重量部およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(e)10〜58重量部(前記(a)、(b)、(d)および(e)で示す各単量体の合計は100重量部である)からなる単量体混合物(B)をさらに乳化重合する工程(II)を含み、
    前記工程(I)および工程(II)において、乳化重合に用いる前記全単量体の合計量に対して1.5〜5重量部の界面活性剤を用いて平均粒子径が30〜50nmである共重合体ラテックスを製造する方法。
  2. 前記工程(I)および工程(II)において、前記単量体混合物(A)と単量体混合物(B)との重量比が、単量体混合物(A)/単量体混合物(B)にて40/60〜60/40の範囲にある請求項1記載の共重合体ラテックスを製造する方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法により製造されてなる共重合体ラテックス。
  4. テトラヒドロフラン不溶分が60〜95重量%である請求項3記載の共重合体ラテックス。
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