JP2005317524A - 面状発熱体 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性、耐熱性に優れた面状発熱体を作製すること。特に、ハロゲン系及びリン系難燃剤を用いなくとも優れた難燃性が得られること。
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム1の少なくとも片面に発熱素子2を積層せしめた面状発熱体において、少なくとも該発熱素子形成部の該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層5、6を積層せしめたことを特徴とする面状発熱体。
【選択図】図4
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム1の少なくとも片面に発熱素子2を積層せしめた面状発熱体において、少なくとも該発熱素子形成部の該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層5、6を積層せしめたことを特徴とする面状発熱体。
【選択図】図4
Description
本発明は、耐熱性、難燃性に優れたフィルム状の面状発熱体に関する。
従来から面状発熱体として、各種の面状の発熱素子を電気絶縁シートで被覆した構造のものが広く利用されている。例えば、発熱素子として、グラファイト系やカーボン系あるいは金属系の導電粉等を分散せしめた導電性樹脂を、熱可塑性フィルム、ポリイミドフィルム、マイカ等の基材に塗布、または印刷により形成せしめたもの、あるいはアルミニウム、銅、ステンレススチール等の金属箔をエッチングして回路としたもの、その他ニッケルクロム、銅ニッケル等の金属抵抗線をマイカ等の絶縁基板に張り巡らして回路としたもの等が使われている。また、これらの発熱素子を被覆するための絶縁材料としては、ゴムシート、エポキシ樹脂含浸硝子クロス等の他、シリコーン樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、マイカ等の比較的耐熱性が高い材料が用いられている。
これらの内、発熱素子として、グラファイト系やカーボン系あるいは金属系の導電粉を分散せしめた導電性樹脂を基材に塗布、または印刷により形成せしめたものは、床暖房、サウナ、洗面化粧台の防曇鏡等の分野で面状発熱体として用いられている。また、金属箔をエッチングして回路としたもの、あるいは金属抵抗線を絶縁基板に張り巡らして回路としたものは、比較的高い温度で利用できる利点がある他、経時変化による抵抗変化が少ない特徴があるため、面状発熱体は家庭用電気機器、医療用機器、情報機器、工業用機器の保温、凍結防止等の分野で面状発熱体として用いられている。
代表的な熱可塑性フィルムの1つであるポリエステルフィルムは、その機械的特性、電気的特性などから、上記面状発熱体の基材、絶縁被覆材料として用いられている。例えば、ポリエステルフィルム上に導電性樹脂を塗布または印刷することにより発熱素子を形成したものや、金属箔をエッチングして回路とした金属抵抗線をポリエステルフィルム上に張り合わせたもの、さらにこれらの発熱素子を被覆するためにポリエステルフィルムを張り合わせたものがあり、比較的安価に製造できるという利点がある。
しかし、ポリエステルフィルムには、熱によって軟化あるいは溶融し、かつ燃焼し易いという欠点もあり、面状発熱体以外にも、電気絶縁材料として粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、フラットケーブルとして使用される場合や建築材料として使用する場合、難燃性に乏しく、火災が発生した時に消火しにくいという問題があった。このため、火災時の対応として、難燃化の要望が益々強まってきている。このような理由から、難燃性の高いフィルム、例えば、熱硬化性のポリイミドフィルムを用いると、確かに難燃性が向上するが、フィルムが比較的高価なため、コスト高になってしまうという問題がある。
このため、ポリエステルフィルムの難燃性を向上させる技術として、ポリエステルフィルムに臭素系、リン系、無機系などの難燃剤を錬り込む方法、ハロゲン含有成分、リン含有成分を共重合する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
さらに、ポリエステルフィルムの難燃性を向上させる技術としては、難燃剤を添加した接着剤で2枚のフィルムを張り合わせる方法が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特開平5−279494号公報(第1−2頁)
特開平9−272734号公報(第1−2頁)
特開平10−278206号公報(第1−2頁)
特開平2−8278号公報(第1頁)
特開平2−7315号公報(第1頁)
しかし、特許文献1〜3に記載の発明は、繰り返し炎にさらされた場合には燃焼が拡大するなどの問題があり、難燃性が不十分であった。また、これらの技術は、ポリエステルフィルム中に難燃剤を添加したり、ポリエステルフィルムにハロゲン含有成分、リン含有成分を共重合するものであるため、ポリエステル本来の機械的特性を低下させてしまう問題があった。さらに、ハロゲン化物は燃焼条件によってはダイオキシン等を発生することが懸念されているなど環境に悪影響を与える可能性があったり、発生ガスにより工程を汚染するなどの問題があった。
一方、特許文献4及び5に記載の発明では、十分な難燃性を得るためには、接着層に添加する難燃剤の量を多くする必要があるため、高次加工時に難燃剤がしみ出して工程を汚染したり、熱処理によって難燃剤が分解し、加工品が変色するなどの問題があった。すなわち、ポリエステルフィルムを加工して得られるフレキシブルプリント基板、面状発熱体、フラットケーブルにおいて、加工品の層間に設けられた接着層、粘着剤層に例えばハロゲン化合物等の難燃剤を添加する方法が知られているが、接着層、粘着層に添加された難燃剤は、添加量を多くする必要がある等の理由で、加工時にしみ出す等の問題があった。
そこで、本発明は、このような従来技術の問題に鑑み、熱可塑性樹脂フィルムを用いて、難燃性、耐熱性に優れた高性能で安価な面状発熱体を供給することである。すなわち、発熱素子を被覆するための絶縁材料として従来の高価な耐熱フィルムを使わずに、面状発熱体を製造することができる。
すなわち、本発明の課題は以下の面状発熱体によって解決できる。
(1)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に発熱素子形成部を形成した面状発熱体において、少なくとも該発熱素子形成部の該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする面状発熱体。
(2)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に発熱素子を積層せしめた後、該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする(1)記載の面状発熱体。
(3)該発熱素子が、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料からなることを特徴とする(2)記載の面状発熱体。
(4)熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめた後、さらに該熱可塑性樹脂フィルムの片面もしくは両面に発熱素子を積層せしめたことを特徴とする(1)記載の面状発熱体。
(5)該発熱素子が、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料からなることを特徴とする(4)記載の面状発熱体。
(6)該発熱素子の上にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする(4)または(5)記載の面状発熱体。
(7)該発熱素子形成部を形成した面に、さらに熱可塑性樹脂フィルム、ポリイミドを主成分とする樹脂層をこの順に積層せしめたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の面状発熱体。
(1)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に発熱素子形成部を形成した面状発熱体において、少なくとも該発熱素子形成部の該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする面状発熱体。
(2)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に発熱素子を積層せしめた後、該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする(1)記載の面状発熱体。
(3)該発熱素子が、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料からなることを特徴とする(2)記載の面状発熱体。
(4)熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめた後、さらに該熱可塑性樹脂フィルムの片面もしくは両面に発熱素子を積層せしめたことを特徴とする(1)記載の面状発熱体。
(5)該発熱素子が、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料からなることを特徴とする(4)記載の面状発熱体。
(6)該発熱素子の上にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする(4)または(5)記載の面状発熱体。
(7)該発熱素子形成部を形成した面に、さらに熱可塑性樹脂フィルム、ポリイミドを主成分とする樹脂層をこの順に積層せしめたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の面状発熱体。
本発明の面状発熱体は、熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層が積層されているため、難燃性、耐熱性に優れた面状発熱体を低コストで作製することができる。
本発明の面状発熱体における熱可塑性樹脂フィルムとは、溶融押し出し可能な熱可塑性樹脂から製造されたフィルムであれば特に限定されない。使用できる熱可塑性樹脂としては、たとえばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネートなどを挙げることができる。好ましくは、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドであり、特にポリエステルフィルムが透明性、寸法安定性、機械的特性などの点で好ましい。ここで、好ましいポリエステルとしては特に限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどが挙げられ、これらの2種以上を混合して用いてもよい。また、これらと他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。また内層と表層の2層以上から成る複合体フィルムであってもよい。
例えば、好ましい態様として、内層は実質的に粒子を含有せず、表層に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層は粗大粒子を含有し、表層に微細粒子を含有する層を複合させた複合体フィルム、内層が微細な気泡を含有した層であって表層は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられる。また、上記複合体フィルムは、内層と表層が異種のポリマーであっても同種のポリマーであってもよい。
熱可塑性樹脂として、上述したポリエステルを使用する場合には、その極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gであることがより好ましい。
また 本発明の熱可塑性樹脂フィルム中には、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機,無機の粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
これらの中でも無機の粒子、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末などを添加した場合には、易滑性、耐傷性などが向上するので好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。また、その添加量は、0.05〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
また、本発明の効果をより効果的に発現させるために各種難燃性化合物を添加したり、あるいは、リン系化合物との共重合体を用いるのが好ましい。添加する難燃剤としては特に限定されないが、その一例を挙げれば、フッ素、臭素、塩素などのハロゲン元素を含有したもの、三酸化アンチモン、酸化スズ、酸化モリブデン、ホウ酸亜鉛、各種金属水酸化物などが好ましく用いられる。特に、火災時に有毒ガスの発生もなく、環境にも優しい材料として、非ハロゲン及び非リン化合物であることがより好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、二軸配向されたものであることが、機械的強度や寸法安定性などの点で好ましい。二軸配向しているとは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものを言い、例えば、未延伸、すなわち結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ2.5〜5.0倍程度延伸し、その後熱処理により結晶配向を完了させたものである。熱可塑性樹脂フィルムが二軸配向していない場合には、面状発熱体の寸法安定性、特に、高温、高湿下での寸法安定性や機械的強度が不十分であったり、平面性が悪化することがある。
熱可塑性樹脂フィルムとポリイミドを主成分とする樹脂層との接着力を向上させるため、予め熱可塑性樹脂フィルムにプライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理等を施し接着力の強化を図ることが好ましい。接着力向上に効果の高いプライマーとしては、ポリウレタン系樹脂、メチキシ化ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを好適な例としてあげることができる。これらのプライマーは、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布、乾燥、キュアして形成しても良いが、所謂インラインコーティング法で形成しても良い。
また、プライマー層中に無機粒子を添加したものは、易滑性や耐ブロッキング性が向上するのでさらに好ましい。この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μmであり、プライマー層中の樹脂に対する混合比は特に限定されないが、固形分重量比で0.05〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に発熱素子形成部を形成した面状発熱体において、少なくとも発熱素子形成部の熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする面状発熱体である。発熱素子形成部とは、発熱素子が形成されている部分に対応する領域をいう。
本発明において、樹脂層を熱可塑性樹脂フィルム上に積層させる方法は特に限定されないが、一般には、有機溶剤に可溶なポリアミド酸の溶液を塗布、乾燥した後、さらに熱処理によりアミド基とカルボキシル基を脱水閉環させ、イミド化せしめるのが好ましい。
本発明の樹脂層に用いられるポリイミドは、ポリアミド酸のイミド化率が50%以上であることが好ましい。イミド化率が50%未満であると、耐熱性、難燃性の機能を十分に発現することができず、好ましくない。イミド化率は、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
ここで言うイミド化率とは、ポリアミド酸中のアミド基とカルボキシル基の間で脱水閉環反応が起こり、イミド基となっている割合のことである。このイミド化率を測定する方法としては特に限定されないが、本発明では、樹脂層の赤外吸収スペクトルを赤外分光光度計を用いてATR法によって測定し、そのとき1400cm−1から1300cm−1に現れるイミド基の特性吸収の強度から求める方法を用いて計算した。
本発明の樹脂層に使用されるポリイミドの種類は特に限定されないが、耐熱性、難燃性などの点から、ポリアミド酸としては、下記式(I)および/または(II)で表される単位構造が全単位構造中の70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上含まれるのが好ましい。
式(I)、(II)中のRは下記式(III) の中から選ばれる少なくとも1種の基であり、ここで、式(III)中のX、Yは、O,CH2,CO,SO2,S,C(CH2)2の中から選ばれる少なくとも1種の基である。
ポリアミド酸の全単位構造の30モル%を越える部分が上記式(I)および/または(II)で表される単位構造でない場合には、耐熱性、難燃性の効果がなかったり、積層厚みを厚くしなければ耐熱性、難燃性の効果が得られないことがあり、生産性やコスト面で優位性のないものとなる可能性がある。
また、上記式(I)および/または(II)で表される単位構造以外の単位構造を30モル%より多く有するポリアミド酸は、これを合成するときの原料コストが高くなるため、面状発熱体のコストが高くなるなどの問題が生じる場合がある。本発明におけるポリアミド酸は、より好ましくは下記式(IV)で表される単位構造を70モル%以上有するポリアミド酸であり、特に好ましくは下記式(IV)で表される単位構造を90モル%以上有するポリアミド酸である。
これらのポリアミド酸樹脂の溶剤としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスフォルアミド等のアミド系溶媒、γ−ブチロラクタム等のラクタム系溶媒などが用いられる。
本発明の樹脂層としてポリアミド酸溶液を塗布して形成する場合、該溶液中には、下記式(V)で示されるヒドロキシピリジン系化合物、下記式(VI)で示されるイミダゾ−ル系化合物、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−フェノールスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物が、ポリアミド酸の繰り返し単位に対して1モル%以上含まれていることが好ましい。
式中、R1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つは水酸基を示し、その他は、それぞれ水素原子、脂肪族基、芳香族基、シクロアルキル基、アラルキル基、ホルミル基のいずれかを示す。
式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、脂肪族基、芳香族基、シクロアルキル基、アラルキル基、ホルミル基のいずれかを示す。R1、R2、R3およびR4としては、例えば、脂肪族基の場合は炭素数1〜17のアルキル基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基が好ましく、芳香族基の場合はフェニル基が好ましく、アラルキル基の場合はベンジル基が好ましい。
上記式(V)で示されるヒドロキシピリジン系化合物、式(VI)で示されるイミダゾ−ル系化合物、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−フェノールスルホン酸には、アミド酸成分の脱水閉環促進効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が添加されていると、添加しない場合よりも低温、短時間の熱処理でイミド化率を上げることができるので、生産効率が良くなり好ましい。
式(V)のヒドロキシピリジン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−2−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(VI)のイミダゾール系化合物の具体例としては、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−ヒドロキシエチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ブチル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−ブチル−4−ホルミルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
これらの化合物の添加量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対して1モル%未満であると低温、短時間でイミド化率を上げる効果が得られにくい。添加量の上限は特に規定されないが、ポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。300モル%を越えて添加しても効果を著しく向上させるものではなく、逆に使用量が多くなることによりコスト面で不利益になることがある。
本発明の樹脂層には、ポリイミド樹脂成分以外の樹脂や有機化合物等が、共重合や混合により含有されていてもよい。ポリイミド樹脂成分以外の樹脂や有機化合物としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、各種難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。特に、難燃剤としては、火災時に有毒ガスの発生もなく、環境にも優しい材料として、非ハロゲン及び非リン化合物であることがより好ましい。また、これらの材料としては、絶縁性材料がより好ましい。しかし、ポリイミド樹脂成分以外の樹脂や有機化合物等が過度に含有される場合は耐熱性、難燃性の低下などを招くことがあり、かかる理由から、本発明におけるポリイミドを主成分とする樹脂層とは、樹脂層中におけるイミド化率50%以上のポリアミド酸樹脂の含有量が70重量%以上である。より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
一方、本発明の樹脂層の中には、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の無機系添加剤を添加してもよい。特に、絶縁性材料が好ましい。例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ゼオライト、酸化チタンや、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、錫酸亜鉛、ジルコニウム系難燃剤、モリブデン系難燃剤などを添加した場合には、易滑性、耐傷性、耐熱性、難燃性などが向上するので好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。また、その添加量は、0.05〜60重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%である。
本発明における樹脂層は、少なくとも発熱素子に対応する位置の該熱可塑性樹脂フィルムの両面に樹脂層を積層せしめて発熱素子形成部を形成したことを特徴とする面状発熱体であり、少なくとも発熱素子形成部と同等以上の面積にわたって積層されている必要がある。発熱素子形成部とは、導電パターンからなる発熱素子において、導電パターンの内、発熱素子として有効に発熱に寄与する部分で、他の部分に比べ導電パターンの密度が高くなるよう設計している部分のことである。発熱素子が熱可塑性フイルムの片面に積層させている場合、発熱素子面側のみ樹脂層が積層されている場合や、発熱素子と反対面のみ樹脂層が積層されている場合、すなわち片面のみに積層されている場合には、耐熱性、難燃性の効果が十分に発現されない。樹脂層は、熱可塑性樹脂フィルム全面にわたって全面に積層されているのがより好ましい。ただし、発熱素子とつながる電極部については、電源等への接続が必要なため、電極部の上などは積層しなくても良い。
また、本発明の面状発熱体において、樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合は、特に限定されないが、0.3%以上30%以下であることが好ましい。より好ましくは1%以上15%以下、さらに好ましくは2%以上10%以下である。ここで、樹脂層の厚みは、両面の樹脂層の合計厚みである。樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合が0.3%未満であると、耐熱性、難燃性の効果が十分に発揮されないなどの問題が生じ、好ましくない。また、樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合が30%を越えると、生産性が低下すること、また原料価格が高くなる傾向になり、好ましくない。
本発明において、ポリアミド酸溶液の塗布方法は特に限定されず、公知の各種塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
この後、熱処理によりポリアミド酸中のアミド基とカルボキシル基を脱水閉環させ、イミド化する。熱処理方法は特に限定されないが、通常150℃以上の熱風または遠赤外線等により脱水閉環させる方法が好適に用いられる。より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。熱処理時間は、1秒から120秒が好ましく、より好ましくは5秒から60秒、さらに好ましくは10秒から30秒である。これより温度が低かったり、熱処理時間が短いとイミド化率が低くなり、好ましくない。また、熱処理時間がこれより長くなると生産性が悪くなり、好ましくない。熱処理は、樹脂層形成後行っても良いが、以下に示す発熱素子を形成後、一括して行っても良い。
以上の方法以外にも、ポリイミド樹脂からなるフィルムを熱可塑性樹脂フィルム上に張り合わせて、樹脂層を積層させても良いが、良好な接着性が得にくく、また生産効率も悪いものとなることがある。
次に、発熱素子について説明する。本発明に用いられる発熱素子としては、樹脂中に導電性材料を分散せしめたもの、金属箔抵抗体、さらには金属線抵抗体などが好適に用いられるが、これらに限定されない。
まず、発熱素子を樹脂中に導電性材料を分散せしめた材料にて形成する方法について説明する。発熱素子に用いられる樹脂としては特に限定しないが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、メラミン樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などやこれらの混合物、共重合物などを用いることができる。ただし、本発明の樹脂層としてポリイミド樹脂を用いるため、発熱素子も、ポリイミド樹脂を主成分として用いることがより好ましい。ポリイミドを主成分とする発熱素子材料とは、全樹脂成分においてイミド化率50%以上のポリアミド酸樹脂の含有量が70重量%以上である。より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。ポリイミドを主成分とすることにより、発熱素子の耐熱性、難燃性が向上し、さらには、本発明の樹脂層との密着力も向上する。
また、導電粉も特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、銀、銅、錫、亜鉛、クロム、金、白金、パラジウム、鉄、ステンレススチール等の金属や合金粉末、カーボンやグラファイト等の無機粉末、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化バナジウム、酸化アルミニウム、酸化銅、ヨウ化銅、ヨウ化銀、硫化カドミウム、硫化亜鉛、亜鉛テルル、シリコンカーバイト等の酸化物や化合物半導体やこれらにハロゲン、アンチモン、リンなどをドープしたもの、構造欠陥を設けたも、炭素や金属の繊維もしくはフィラメント等が挙げられる。導電性材料の比抵抗は小さいほど好ましく、好ましくは106Ω・cm以下、さらに好ましくは100Ω・cm以下、さらに好ましくは10−2Ω・cm以下である。導電粉の平均粒子径は、0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmである。また、その添加量は、0.05〜95重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜90重量%、さらに好ましくは0.5〜85重量%である。
次に、発熱素子の形成方法について説明する。まず、樹脂を適切な有機溶媒に溶解させ、溶液とする。この溶液中に導電性材料を分散機を用いて分散させ、導電性塗料を調製する。この塗料使い、印刷法、ディスペンス法、フォトリソ加工法など、公知の方法を用いて所望の導電パターンを形成する。導電パターンの厚みは特に限定されないが、通常1〜200μm、好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmである。このようにして発熱素子を形成する。
金属泊抵抗体からなる発熱素子としては、ステンレススチール箔、鉄クロム箔、ニッケルクロム箔、アルミ箔、銅箔等の金属箔に接着剤を積層した後、ラミネートし、エッチングして所望の導電パターンを形成し、所望の抵抗値及び発熱量が得られるように形成したものである。これらの金属箔の厚みは、通常3〜100μmのものが用いられるが、これらに限定されるわけではない。
金属線抵抗体からなる発熱素子は、ニッケルクロム線、銅ニッケル線、鉄クロム線等の金属線であり、その素線径には特に限定されないが、通常50〜250μm程度のものが用いられる。これらの金属線は、通常所望の抵抗値及び発熱量が得られるように、熱可塑性樹脂フィルムに張り巡らした導電パターン形状ものが用いられる。
以上の発熱素子は、通常0.1〜1000Ω、好ましくは1〜500Ω程度の抵抗を有し、導電パターンの端部は、電極として電源に接続されている。接続法は、導電性接着剤や低温ハンダにより導線を接着させたり、カシメやボルト、ネジ等により機械的に接続させる。
本発明の具体的な構成の一例を示す。まず第1の面状発熱体例としては、熱可塑性樹脂フィルムの片面もしくは両面に発熱素子を積層せしめる。この後、発熱素子を覆うように発熱素子形成部の外側面にポリアミド酸を主成分とする樹脂層を積層させ、難燃性及び耐熱性を付与する。発熱素子が片面の場合、発熱素子に相対する熱可塑性樹脂フィルムの反対面にもポリアミド酸を主成分とする樹脂層を積層する。樹脂層の大きさは、少なくとも発熱素子と同じサイズが必要で、より好ましくは熱可塑性樹脂フィルムの全面に積層する。イミド化するための熱処理は、適宜行なうことができ、各樹脂層を積層した都度行ってもよく、両面積層後一括して行っても良い。また、樹脂層の積層順についても、特に限定されない。本例は、発熱素子をポリイミドを主成分とする樹脂層で覆うことにより、発熱素子を電気的に絶縁する効果もある。
次に、第2の面状発熱体の例として、第1の面状発熱体において、発熱素子を、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料から形成せしめる。発熱素子の樹脂にポリイミドを主成分とする樹脂を用いることにより、発熱素子の耐熱性、難燃性が向上する。さらには、ポリイミドを主成分とする樹脂を用いることにより、発熱素子とその上の樹脂層との密着力も向上する。
第3の面状発熱体の例としては、まず、熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を少なくとも発熱形成部分に積層する。より好ましくは、全面に積層する。その後、熱可塑性樹脂フィルムの片面もしくは両面の樹脂層外側に発熱素子を積層せしめる。
第4の面状発熱体の例としては、第3の面状発熱体の例において、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料からなる発熱素子を用いる。発熱素子の樹脂にポリイミドを主成分とする樹脂を用いることにより、発熱素子の耐熱性、難燃性が向上し、さらには、ポリイミドを主成分とする樹脂を用いることにより、発熱素子とその下の樹脂層との密着力も向上する。
第5の面状発熱体例として、第3または第4の面状発熱体の発熱素子の上に、さらにポリイミドを主成分とする樹脂層を積層する。発熱素子をポリイミドを主成分とする樹脂層で覆うことにより、発熱素子を電気的に絶縁する効果、耐熱性、難燃性が向上する。
第6の面状発熱体例として、発熱素子形成部を形成した面に、さらに発熱素子形成部を覆うように熱可塑性フィルム、ポリイミドを主成分とする樹脂層をこの順に積層せしめることにより、発熱素子の絶縁性が著しく向上し、面状発熱体の安全性が高まり、特に好ましい。この場合、熱可塑性フィルム、樹脂層は、少なくとも該発熱素子形成部を覆うように形成する。
熱可塑性フィルムとしては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネートなどのフィルムを挙げることができるが、その中でも、ポリエステルフィルムが透明性、寸法安定性、機械的特性などの点でより好ましい。ポリイミドを主成分とする樹脂層は、これまで説明してきた材料と同じものを用いることができる。
発熱素子形成部を形成した面に、さらに発熱素子形成部を覆うように熱可塑性フィルム、ポリイミドを主成分とする樹脂層をこの順に積層せしめる方法としては、熱可塑性フィルムの片面に、これまで説明したポリイミドを主成分とする樹脂と同じ材料を、同様の方法で積層した後、樹脂層と反対の熱可塑性フィルム面に接着剤を積層し、接着剤面と発熱素子面と重ね、室温〜200℃程度の温度で加温しながらラミネーター等で張り合わせることにより製造することができる。接着剤やラミネート方法は公知の材料、装置を用いて行うことができる。
更に、ポリイミドを主成分とする樹脂層を熱可塑性フィルムの両面に積層せしめ、どちらか片面に接着剤を積層し、接着剤面と発熱素子面と重ね、同様にしてラミネーター等で張り合わせることにより製造したものは、難燃性が更に向上するため、更に好ましい。
このようにして得られた本発明の面状発熱体は、耐熱性、難燃性に優れており、かつ各層間の接着性にも優れているため、面状発熱体に好適に使用することができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂層、発熱素子層、及び面状発熱体の厚み
(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、樹脂層、発熱素子を設けた面状発熱体の断面を観察した写真から一方の面の樹脂層の厚み、発熱素子の厚み、もう一 方の面の樹脂層の厚み、発熱素子の厚み、さらに面状発熱体全体の厚みを求めた。
(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、樹脂層、発熱素子を設けた面状発熱体の断面を観察した写真から一方の面の樹脂層の厚み、発熱素子の厚み、もう一 方の面の樹脂層の厚み、発熱素子の厚み、さらに面状発熱体全体の厚みを求めた。
(2)樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合:R
上記(1)で求めた両面の樹脂層の厚みの和(TB)、面状発熱体全体の厚み(T)から樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rを、下記式より求めた。
・R(%)=100×TB/T。
上記(1)で求めた両面の樹脂層の厚みの和(TB)、面状発熱体全体の厚み(T)から樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rを、下記式より求めた。
・R(%)=100×TB/T。
(3)イミド化率:Im
面状発熱体の樹脂層の赤外吸収スペクトルを、日本分光(株)社製フーリエ変換型赤外吸収分光光度計FT/IR−5000を用いて、Geの45°の結晶をプリズムとしたATR法にて測定し、1550cm−1から1450cm−1に現れるベンゼン環の特性吸収の吸光度(a1)と1400cm−1から1300cm−1に現れるイミド基の特性吸収の吸光度(a2)を求めた。このとき下記式から、a1を基準にしたa2の相対値を求め、それをrとする。
・r=a2/a1。
面状発熱体の樹脂層の赤外吸収スペクトルを、日本分光(株)社製フーリエ変換型赤外吸収分光光度計FT/IR−5000を用いて、Geの45°の結晶をプリズムとしたATR法にて測定し、1550cm−1から1450cm−1に現れるベンゼン環の特性吸収の吸光度(a1)と1400cm−1から1300cm−1に現れるイミド基の特性吸収の吸光度(a2)を求めた。このとき下記式から、a1を基準にしたa2の相対値を求め、それをrとする。
・r=a2/a1。
続いて、この面状発熱体を250℃で120分間熱処理し、このフィルムにおける樹脂層の赤外吸収スペクトルを、同様にATR法で測定し、ベンゼン環の特性吸収の吸光度(a1’)を基準にしたイミド基の特性吸収の吸光度(a2’)の相対値を求め、それをr’とする。ここで、この熱処理後のポリアミド酸のイミド化率は100%とする。
・r’=a2’/a1’。
・r’=a2’/a1’。
本発明においては、下記式から、r’を基準にしたrの相対値を求めてイミド化率Imとした。
・Im(%)=100×(r/r’)。
・Im(%)=100×(r/r’)。
(4)接着性
常態下での接着性を評価するため、面状発熱体を貫通しないように1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離し、樹脂層Bの残存した個数により4段階評価(◎:100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜49)した。◎と○を接着性良好とした。
常態下での接着性を評価するため、面状発熱体を貫通しないように1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離し、樹脂層Bの残存した個数により4段階評価(◎:100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜49)した。◎と○を接着性良好とした。
(5)耐熱性
20mm×20mmの大きさの面状発熱体を、180℃の半田浴に10秒間水平にして、放置し、面状発熱素子部での熱皺の状況を目視で観察し、3段階評価(◎:変化無し、○:やや変化有り、×:大きく変化)した。◎と○を耐熱性良好とした。
20mm×20mmの大きさの面状発熱体を、180℃の半田浴に10秒間水平にして、放置し、面状発熱素子部での熱皺の状況を目視で観察し、3段階評価(◎:変化無し、○:やや変化有り、×:大きく変化)した。◎と○を耐熱性良好とした。
(6)難燃性
面状発熱体を12.7mm×127mmの短冊状に切り出し、このフィルムの長手方向の一端を長手方向が地面と垂直方向になるように把持し、他端を、20mmの火炎に10秒間さらした後、離炎した。このとき、離炎後の面状発熱体の燃焼状態を観察し、3段階評価(◎:5秒以内に自己消火する、○:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しないまたは燃え尽きる)した。◎と○を難燃性良好とした。
面状発熱体を12.7mm×127mmの短冊状に切り出し、このフィルムの長手方向の一端を長手方向が地面と垂直方向になるように把持し、他端を、20mmの火炎に10秒間さらした後、離炎した。このとき、離炎後の面状発熱体の燃焼状態を観察し、3段階評価(◎:5秒以内に自己消火する、○:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しないまたは燃え尽きる)した。◎と○を難燃性良好とした。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<熱可塑性樹脂フィルム>
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.4μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)(極限粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(基材PETフィルム)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、一軸延伸した基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に下記組成のプライマー塗液を塗布した。ついで、プライマー塗液を塗布した一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、230℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。PETフィルム厚みは75μm、プライマー層の厚みは片面あたり0.05μmであった。
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.4μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)(極限粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(基材PETフィルム)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、一軸延伸した基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に下記組成のプライマー塗液を塗布した。ついで、プライマー塗液を塗布した一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、230℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。PETフィルム厚みは75μm、プライマー層の厚みは片面あたり0.05μmであった。
<プライマー塗液の組成>
下記のポリエステル樹脂1とポリエステル樹脂2を、固形分重量比で70/30となるように混合した樹脂の水溶液をプライマー塗液とした。
下記のポリエステル樹脂1とポリエステル樹脂2を、固形分重量比で70/30となるように混合した樹脂の水溶液をプライマー塗液とした。
(1)ポリエステル樹脂1(Tg82℃)
・酸成分
テレフタル酸 :90モル%
5−ナトリウムスルホイフタル酸 :10モル%
・ジオール成分
エチレングリコール :98モル%
ジエチレングリコール :2モル%。
・酸成分
テレフタル酸 :90モル%
5−ナトリウムスルホイフタル酸 :10モル%
・ジオール成分
エチレングリコール :98モル%
ジエチレングリコール :2モル%。
(2)ポリエステル樹脂2
・酸成分
イソフタル酸 :95モル%
5−ナトリウムスルホイフタル酸 :5モル%
・ジオール成分
エチレングリコール :8モル%
ジエチレングリコール :92モル%。
・酸成分
イソフタル酸 :95モル%
5−ナトリウムスルホイフタル酸 :5モル%
・ジオール成分
エチレングリコール :8モル%
ジエチレングリコール :92モル%。
<樹脂層形成用ポリアミド酸溶液>
ステンレス製の重合釜に、秤量した4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチル−2−ピロリドンとともに加え、撹拌して溶解した。次に、この溶液にピロメリット酸二無水物を4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100molに対して100mol、反応温度が60℃以下になるように添加した。その後、粘度が一定になったところで重合を終了し、ポリアミド酸の重合溶液を得た。これに、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、”ハジライト”H−42M)を固形分重量比で、ポリアミド酸/水酸化アルミニウム=70/30となるように添加し、分散させた。樹脂層の厚みに応じた所望濃度となるように、この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで適宜希釈して、さらに塗布前に4−ヒドロキシピリジンをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これをポリアミド酸溶液とした。なお、このポリアミド酸は、下記式(IV)における2種の構造単位の両方が混在したものであった。
ステンレス製の重合釜に、秤量した4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチル−2−ピロリドンとともに加え、撹拌して溶解した。次に、この溶液にピロメリット酸二無水物を4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100molに対して100mol、反応温度が60℃以下になるように添加した。その後、粘度が一定になったところで重合を終了し、ポリアミド酸の重合溶液を得た。これに、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、”ハジライト”H−42M)を固形分重量比で、ポリアミド酸/水酸化アルミニウム=70/30となるように添加し、分散させた。樹脂層の厚みに応じた所望濃度となるように、この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで適宜希釈して、さらに塗布前に4−ヒドロキシピリジンをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これをポリアミド酸溶液とした。なお、このポリアミド酸は、下記式(IV)における2種の構造単位の両方が混在したものであった。
<発熱素子形成用導電性塗料1>
樹脂形成用ポリアミド酸の重合溶液に、粒径3μmのNi粉末(山中セミコンダクター(株)製、純度99.9%)を固形分重量比で、ポリアミド酸/Ni=10/90となるように添加し、メディア分散機にて分散させた。発熱素子の厚みに応じた所望濃度となるように、この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで適宜希釈して、さらに塗布前に4−ヒドロキシピリジンをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加した。
樹脂形成用ポリアミド酸の重合溶液に、粒径3μmのNi粉末(山中セミコンダクター(株)製、純度99.9%)を固形分重量比で、ポリアミド酸/Ni=10/90となるように添加し、メディア分散機にて分散させた。発熱素子の厚みに応じた所望濃度となるように、この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで適宜希釈して、さらに塗布前に4−ヒドロキシピリジンをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加した。
<発熱素子形成用導電性塗料2>
アクリルエポキシ樹脂溶液に、粒径2μmのNi粉末を固形分重量比で、アクリルエポキシ/Ni=10/90となるように添加し、メディア分散機にて分散させた。発熱素子の厚みに応じた所望濃度となるように、この溶液をメチルメトキシブタノールで適宜希釈した。
アクリルエポキシ樹脂溶液に、粒径2μmのNi粉末を固形分重量比で、アクリルエポキシ/Ni=10/90となるように添加し、メディア分散機にて分散させた。発熱素子の厚みに応じた所望濃度となるように、この溶液をメチルメトキシブタノールで適宜希釈した。
(実施例1)
膜厚75μmのポリエステルフィルムの片面に、導電性塗料1を用いて図1に示す導電パターンをスクリーン印刷で連続的に形成、乾燥後、160℃で60秒間熱処理し、発熱素子3を形成した。次に、図2に示すようにポリアミド酸溶液を、ポリエステルフィルムの片面に、グラビア印刷法で導電パターン(発熱素子形成部)を覆うように塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。ただし、導電パターンの端子部は導電パターンの開始と終了の両端部は、発熱用電源への接続端子部であり、塗布しなかった。次に、図3に示すようにポリエステルフィルムの反対面にも同様にしてグラビア印刷法でポリアミド酸溶液を塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。このあと、200℃で30秒間熱処理した。図3のA−Aから見た断面図を図4に示す。樹脂層の膜厚は、両面とも2.3μmで、イミド化率Imは93%であった。導電パターンの膜厚は15μmで、導電パターンの端子間抵抗は20Ωであった。樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは4.9%であった。面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、◎レベルであった。耐熱試験では、ほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
膜厚75μmのポリエステルフィルムの片面に、導電性塗料1を用いて図1に示す導電パターンをスクリーン印刷で連続的に形成、乾燥後、160℃で60秒間熱処理し、発熱素子3を形成した。次に、図2に示すようにポリアミド酸溶液を、ポリエステルフィルムの片面に、グラビア印刷法で導電パターン(発熱素子形成部)を覆うように塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。ただし、導電パターンの端子部は導電パターンの開始と終了の両端部は、発熱用電源への接続端子部であり、塗布しなかった。次に、図3に示すようにポリエステルフィルムの反対面にも同様にしてグラビア印刷法でポリアミド酸溶液を塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。このあと、200℃で30秒間熱処理した。図3のA−Aから見た断面図を図4に示す。樹脂層の膜厚は、両面とも2.3μmで、イミド化率Imは93%であった。導電パターンの膜厚は15μmで、導電パターンの端子間抵抗は20Ωであった。樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは4.9%であった。面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、◎レベルであった。耐熱試験では、ほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
(実施例2)
膜厚75μmのポリエステルフィルムの片面に、グラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。ポリエステルフィルムの反対面も同様にしてグラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。この後、200℃で20秒間キュアした。最後に、導電性塗料1を用いて図1に示す導電パターンをスクリーン印刷で形成、乾燥し、200℃で20秒間熱処理した。図1のA−Aから見た断面図を図5に示す。導電パターンの膜厚は15μmで、導電パターンの端子間抵抗は20Ωであった。樹脂層の膜厚は、両面とも2.3μmで、イミド化率Imは95%であった。樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは4.9%であった。面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、◎レベルであった。耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
膜厚75μmのポリエステルフィルムの片面に、グラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。ポリエステルフィルムの反対面も同様にしてグラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。この後、200℃で20秒間キュアした。最後に、導電性塗料1を用いて図1に示す導電パターンをスクリーン印刷で形成、乾燥し、200℃で20秒間熱処理した。図1のA−Aから見た断面図を図5に示す。導電パターンの膜厚は15μmで、導電パターンの端子間抵抗は20Ωであった。樹脂層の膜厚は、両面とも2.3μmで、イミド化率Imは95%であった。樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは4.9%であった。面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、◎レベルであった。耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
(実施例3)
実施例2で作製した面状発熱体の発熱素子側に、図6に示すようにポリアミド酸溶液を、スクリーン印刷法で導電パターン(発熱素子形成部)を覆うように印刷、乾燥し、200℃で20秒間熱処理した。ただし、導電パターンの開始部と終了部は発熱用電源への接続端子部であり、ポリアミド酸溶液は塗布しない部分とした。図6のA−Aから見た断面図を図7に示す。面状発熱素子の上に樹脂層7が積層されている。樹脂層7の膜厚は3μmで、イミド化率Imは95%であった。全樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは7.8%であった。面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、◎レベルであった。耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
実施例2で作製した面状発熱体の発熱素子側に、図6に示すようにポリアミド酸溶液を、スクリーン印刷法で導電パターン(発熱素子形成部)を覆うように印刷、乾燥し、200℃で20秒間熱処理した。ただし、導電パターンの開始部と終了部は発熱用電源への接続端子部であり、ポリアミド酸溶液は塗布しない部分とした。図6のA−Aから見た断面図を図7に示す。面状発熱素子の上に樹脂層7が積層されている。樹脂層7の膜厚は3μmで、イミド化率Imは95%であった。全樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは7.8%であった。面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、◎レベルであった。耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
(実施例4)
導電性塗料1のかわりに導電性塗料2を用いた以外は、実施例2と同様にして、面状発熱体を作製した。ただし、熱処理条件は150℃20秒とした。導電パターンの膜厚は20μmで、導電パターンの端子間抵抗は15Ωであった。樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは4.6%であった。面状発熱素子部での接着性は、○レベルであった。耐熱試験では若干熱皺が発生するものの、○レベルであった。難燃試験では10秒以内に自己消火し、○レベルであった。
導電性塗料1のかわりに導電性塗料2を用いた以外は、実施例2と同様にして、面状発熱体を作製した。ただし、熱処理条件は150℃20秒とした。導電パターンの膜厚は20μmで、導電パターンの端子間抵抗は15Ωであった。樹脂層の面状発熱体全体に対する厚みの割合Rは4.6%であった。面状発熱素子部での接着性は、○レベルであった。耐熱試験では若干熱皺が発生するものの、○レベルであった。難燃試験では10秒以内に自己消火し、○レベルであった。
(実施例5)
膜厚25μmのポリエステルフィルムの片面に、グラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。この後、200℃で20秒間キュアした。樹脂層の膜厚は、2.3μmで、イミド化率Imは95%であった。次に、このフィルムの樹脂層と反対面にエポキシ系接着剤を20μm積層した。この後、実施例1、2、3で製造した面状発熱体を用意し、その導電パターン(発熱素子形成部)サイズにカットし、接着剤と発熱素子面を重ね合わせ、発熱素子を覆うようにラミネーターで張り合わせ、3種類の面状発熱体を製造した。この後、150℃で3時間キュアした。これら3種類の面状発熱体のR値はこの順に、5.7、5.7、7.9であった。3種類の面状発熱体は、面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、全て◎レベルであった。また、耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
膜厚25μmのポリエステルフィルムの片面に、グラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。この後、200℃で20秒間キュアした。樹脂層の膜厚は、2.3μmで、イミド化率Imは95%であった。次に、このフィルムの樹脂層と反対面にエポキシ系接着剤を20μm積層した。この後、実施例1、2、3で製造した面状発熱体を用意し、その導電パターン(発熱素子形成部)サイズにカットし、接着剤と発熱素子面を重ね合わせ、発熱素子を覆うようにラミネーターで張り合わせ、3種類の面状発熱体を製造した。この後、150℃で3時間キュアした。これら3種類の面状発熱体のR値はこの順に、5.7、5.7、7.9であった。3種類の面状発熱体は、面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、全て◎レベルであった。また、耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
(実施例6)
膜厚25μmのポリエステルフィルムの片面に、グラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。ポリエステルフィルムの反対面も同様にしてグラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。この後、200℃で20秒間キュアした。樹脂層の膜厚は、両面とも2.3μmで、イミド化率Imは95%であった。次に、このフィルムの片方の樹脂層形成面にエポキシ系接着剤を20μm積層した。この後、実施例1、2、3で製造した面状発熱体を用意し、その導電パターン(発熱素子形成部)サイズにカットし、それぞれに接着剤と発熱素子面を重ね合わせ、発熱素子を覆うようにラミネーターで張り合わせ、3種類の面状発熱体を製造した。この後、150℃で3時間キュアした。これら3種類の面状発熱体のR値は、この順に7.4、7.4、9.6であった。3種類の面状発熱体は、面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、全て◎レベルであった。また、耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
膜厚25μmのポリエステルフィルムの片面に、グラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。ポリエステルフィルムの反対面も同様にしてグラビアコーターでポリアミド酸溶液を全面に塗布、乾燥し、樹脂層を形成した。この後、200℃で20秒間キュアした。樹脂層の膜厚は、両面とも2.3μmで、イミド化率Imは95%であった。次に、このフィルムの片方の樹脂層形成面にエポキシ系接着剤を20μm積層した。この後、実施例1、2、3で製造した面状発熱体を用意し、その導電パターン(発熱素子形成部)サイズにカットし、それぞれに接着剤と発熱素子面を重ね合わせ、発熱素子を覆うようにラミネーターで張り合わせ、3種類の面状発熱体を製造した。この後、150℃で3時間キュアした。これら3種類の面状発熱体のR値は、この順に7.4、7.4、9.6であった。3種類の面状発熱体は、面状発熱素子部での接着性は全く問題なく、全て◎レベルであった。また、耐熱試験ではほとんど熱皺が発生せず、◎レベルであった。難燃試験では5秒以内に自己消火し、◎レベルであった。
(比較例1)
膜厚75μmのポリエステルフィルムの片面に、導電性塗料2を用いて図1に示す導電パターンをスクリーン印刷で連続的に形成、乾燥し、発熱素子を形成した。導電パターンの膜厚は20μmで、導電パターンの端子間抵抗は15Ωであった。面状発熱素子部での接着性は、○レベルであった。耐熱試験では熱皺が発生し、×レベルであった。難燃試験では10秒以内に自己消火せず、×レベルであった。
膜厚75μmのポリエステルフィルムの片面に、導電性塗料2を用いて図1に示す導電パターンをスクリーン印刷で連続的に形成、乾燥し、発熱素子を形成した。導電パターンの膜厚は20μmで、導電パターンの端子間抵抗は15Ωであった。面状発熱素子部での接着性は、○レベルであった。耐熱試験では熱皺が発生し、×レベルであった。難燃試験では10秒以内に自己消火せず、×レベルであった。
1 熱可塑性樹脂フィルム
2 発熱素子
3 発熱素子形成部(素子として機能する概略範囲を破線で囲んだ)
4 端子部
5、6、7 樹脂層
2 発熱素子
3 発熱素子形成部(素子として機能する概略範囲を破線で囲んだ)
4 端子部
5、6、7 樹脂層
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に発熱素子形成部を形成した面状発熱体において、少なくとも該発熱素子形成部の該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする面状発熱体。
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に発熱素子を積層せしめた後、該熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする請求項1記載の面状発熱体。
- 該発熱素子が、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料からなることを特徴とする請求項2記載の面状発熱体。
- 熱可塑性樹脂フィルムの両面にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめた後、さらに該熱可塑性樹脂フィルムの片面もしくは両面に発熱素子を積層せしめたことを特徴とする請求項1記載の面状発熱体。
- 該発熱素子が、ポリイミドを主成分とする樹脂と導電性材料からなることを特徴とする請求項4記載の面状発熱体。
- 該発熱素子の上にポリイミドを主成分とする樹脂層を積層せしめたことを特徴とする請求項4または5記載の面状発熱体。
- 該発熱素子形成部を形成した面に、さらに熱可塑性樹脂フィルム、ポリイミドを主成分とする樹脂層をこの順に積層せしめたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の面状発熱体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-03-30 JP JP2005097270A patent/JP2005317524A/ja active Pending
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