JP4311208B2 - 難燃性ポリエステルフィルムおよびそれを用いた加工品 - Google Patents

難燃性ポリエステルフィルムおよびそれを用いた加工品 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性に優れた難燃性ポリエステルフィルムおよびそれを使用した加工品に関するものである。
ポリエステルフィルムは、その機械的特性、電気的特性などから、磁気記録材料、電気絶縁材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料として使用されている。また、写真用途、グラフィック用途、感熱転写用途などの各種工業材料として使用されている。しかし、ポリエステルフィルムには、熱によって軟化あるいは溶融し、かつ燃焼しやすいという欠点がある。特に、電気絶縁材料として、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、もしくはフラットケーブル用途に使用される場合や建築材料として使用する場合、火災の危険があるため、ポリエステルフィルムの難燃化の要望が強まってきている。
ポリエステルフィルムの難燃性を向上させる技術として従来は、ポリエステルフィルムに臭素系、リン系、無機系などの難燃剤を練り込む方法、あるいは、ハロゲン含有成分またはリン含有成分を共重合する方法が提案されている(例えば、特開平10−278206号公報)。
しかし、この発明は、繰り返し炎にさらされた場合には燃焼が拡大するなどの問題があり、難燃性能が不十分であった。また、これらの技術は、ポリエステルフィルム中に難燃剤を添加したり、ポリエステルにハロゲン含有成分、リン含有成分を共重合するものであるため、ポリエステルフィルム本来の機械的特性を低下させてしまうという問題があった。さらに、ハロゲン化合物は燃焼条件によってはダイオキシン等を発生することが懸念されているなど環境に悪影響を与える可能性があったり、発生ガスにより工程を汚染するなどの問題があった。
また、ポリエステルフィルムにポリアミド酸等の樹脂を積層することにより耐熱性、難燃性を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この発明は、繰り返し炎にさらされた場合には燃焼が拡大するという問題があった。
さらに、ポリエステルフィルムを加工した粘着テープまたはメンブレンスイッチの難燃性を向上させる技術としては、加工品の層間に設けられた接着剤層に難燃剤を添加する方法が提案されている。この発明では、十分な難燃性を得るためには接着剤層に添加する難燃剤の量を多くする必要があるため、これらの加工品をさらに末端用途へと加工する際に難燃剤がしみ出すなどして工程を汚染したり、熱処理により難燃剤が分解して加工品が変色するなどの問題があった。ポリエステルフィルムを加工して得られるフレキシブルプリント基板、面状発熱体、フラットケーブルにおいても同様に、加工品の層間に設けられた接着剤層あるいは粘着剤層にハロゲン化合物等の難燃剤を添加する方法が知られているが、接着剤層あるいは粘着剤層に添加された難燃剤は、添加する量を多くする必要があるなどの理由で、加工時にしみ出す等の問題があった。
特開2002−172747号公報
そこで本発明は、このような従来技術の問題に鑑み、難燃性に優れた難燃性ポリエステルフィルムと、その難燃性ポリエステルフィルムを用いた粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、フラットケーブルを提供することを目的とするものである。
かかる目的を達成するため、本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、以下の構造を有する。すなわち、ポリエステルフィルムの両面に、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選ばれた無機水酸化物および/またはトリアジン系化合物を含有し、かつ、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分を含む樹脂層が積層された難燃性ポリエステルフィルムであって、該樹脂層が下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層である難燃性ポリエステルフィルムである。
15≦(Wc1−Wc2)/Wc0×100≦99 (1)
(Wc0は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の重量、Wc2は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の重量をそれぞれ表す。)
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、難燃性に優れるフィルムである。
本発明においては、ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層されたことが必要である。
15≦(Wc1−Wc2)/Wc0×100≦99 (1)
ここで、Wc0は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の重量、Wc2は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の重量を表す。この構成により、ポリエステルフィルムの難燃性を達成することができる。
本発明における樹脂層は、ポリエステルフィルムの両面に積層されている必要がある。片面のみに積層されている場合には、難燃性の効果が十分に発現されず好ましくない。
上記式(1)中のWc0、Wc1、Wc2を求める方法としては、特に限定されないが、例えば熱重量測定装置を用いる方法が挙げられる。すなわち、熱重量測定装置を用いて50ml/分で空気を流した雰囲気中で樹脂層の重量測定を行い、熱処理前の25℃、空気中における樹脂層の重量をWc0、樹脂層を25℃から10℃/分にて昇温し、600℃に到達したときの重量をWc1、さらに連続的に樹脂層を10℃/分にて昇温し、800℃に到達したときの重量をWc2とする。
上記式(1)を満足した場合に難燃性の効果が発現するメカニズムについて詳細は不明であるが、以下のように推測される。すなわち、上記(1)式を満足する樹脂層が積層されていると、フィルムが燃焼した場合に樹脂層が難燃性の炭化層として残存し、この残存した難燃性の炭化層がフィルム全体を被覆することにより、すばやく炎を消火することができると推測される。
上記式(1)の値が15未満であった場合には、難燃性の効果が十分に発現しない。99より大きい場合には、非可燃性ガスの発生量が不足し、難燃性の効果が十分に発現しない。上記式(1)の値は好ましくは20〜95であり、より好ましくは30〜90である。特に好ましいのは、20〜65である。
本発明の樹脂層は、180〜450℃において非可燃性ガスの発生率が3〜40%である必要がある。本発明における非可燃性ガス発生率とは、樹脂層の重量をWg0、樹脂層を一定の昇温速度で昇温した場合に発生するガスのうち、ある温度範囲で発生した非可燃性ガスの重量をWg1とすると以下の式で求めることができる。
Wg1/Wg0×100(%) (2)
非可燃性ガス発生率を求める方法としては、例えば熱重量−質量分析(TG−MS)を用いる方法が挙げられる。熱重量−質量分析(TG−MS)を用いて50ml/分でヘリウムガスを流した雰囲気中で試料を25℃から10℃/分の速度で昇温し、発生したガスの成分および発生量を分析することにより、ある温度範囲で発生した非可燃性ガスの発生率を求めることができる。
また、より精密な分析をするために、熱重量−質量分析(TG−MS)と、熱重量−ガスクロマトグラフ質量分析(TG−GC/MS)を併用して用いてもよい。TG−MSを用いて、30ml/分でヘリウムガスを流した雰囲気中で、試料を25℃から10℃/分の速度で昇温し、重量減少と同時に、加熱時に試料から発生したガスの質量数ごとの濃度変化を温度の関数として追跡する。同時にTG−GC/MSによる測定を行う。試料を熱重量分析(TG)装置にて、TG−MSと同一条件にて加熱し、発生したガスを吸着剤にてトラップする。次に、発生ガスがトラップされた吸着剤を熱脱離装置で280℃に加熱して、再発生させたガスをガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)することにより、発生したガスの種類を同定する。このような手法にて、試料の重量減少、発生したガスの質量数ごとの濃度変化および発生したガスの種類を分析することによって、ある温度範囲で発生した非可燃性ガスの発生率を求めることができる。
ここで、非可燃性ガスとは、窒素、二酸化炭素、水蒸気、塩素、臭素、塩化水素、臭化水素、一酸化窒素、二酸化窒素およびシアン酸から選ばれるガスを示す。本発明における非可燃性ガスとしては、窒素、水蒸気、一酸化窒素、二酸化窒素およびシアン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらのガスが発生した場合には特に難燃性が好適に発現するためである。
樹脂層の180〜450℃における非可燃性ガスの発生率が3〜40%である場合に難燃性の効果が発現するメカニズムについては、詳細は不明であるが、以下のように推測される。すなわち、180〜450℃の温度範囲で、ポリエステルフィルムが熱分解し、可燃性ガスを発生する。樹脂層の180〜450℃における非可燃性ガスの発生率が3〜40%である場合には、ポリエステルフィルムの熱分解により発生する可燃性ガスが、樹脂層から発生する非可燃性ガスで希釈され、燃焼が防止されるものと推測される。
非可燃性ガス発生率は、好ましくは250〜450℃において3〜40%であり、より好ましくは300〜450℃において3〜40%である。180℃未満で非可燃性ガス発生量が多い場合、本発明の難燃性フィルム製造時の熱処理や本発明の難燃性フィルムを後加工する際の熱処理によりガスが発生して工程汚染やフィルム表面の膨れ等の不具合を生じることがある。450℃より高温で非可燃性ガスが発生しても、ポリエステルフィルムの難燃性を好適に発現するものではない。上記温度範囲における非可燃性ガス発生率は好ましくは3〜30%であり、より好ましくは4〜25%であり、さらに好ましくは4〜20%である。特に好ましいのは9〜20%である。非可燃性ガスの発生率が3%未満または40%より大きい場合には、十分な難燃性が発現しない。
本発明においては、フィルムが炎にさらされた場合に、フィルム表面の樹脂層から発生した非可燃性ガスが、ポリエステルフィルムから発生した可燃性ガスを希釈する効果と、樹脂層が難燃性の炭化層として残存してフィルム全体を被覆する効果が組み合わされることにより、高度な難燃性が発現するものと推測される。
樹脂層を形成する樹脂成分は、高い耐熱性を有する樹脂が好ましい。例としては、香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分が好ましい。特に、ポリイミドが、難燃性の点から、最も好ましい。本発明における樹脂層の樹脂成分はハロゲン基を含有しないことが好ましい。
本発明に用いられるポリイミドは特に限定されないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましい。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミド以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
このポリイミドとしては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
Figure 0004311208
上記式中のArは6〜42個の炭素原子を有する芳香族基であり、Rは6〜30個の炭素原子を有する芳香族基、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族基および4〜30個の炭素原子を有する脂環族基からなる群より選択された2価の有機基である。
上記一般式において、Arとしては、例えば、
Figure 0004311208
Figure 0004311208
を挙げることができる。Rとしては、例えば、
Figure 0004311208
Figure 0004311208
を挙げることができる。(式中nは2〜30の整数である。)
これらは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、1種あるいは2種以上一緒にポリマー鎖中に存在してもよい。
このポリイミドは公知の方法によって製造することができる。例えば、上記Arを誘導することができる原料であるテトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、上記Rを誘導することができる原料である脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物とを脱水縮合することにより、ポリアミド酸を得る。次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いてポリアミド酸を脱水閉環する。または、テトラカルボン酸無水物とジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法などを例示することができる。
上記方法で用いられるテトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1'−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2'−ビス[(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物等が挙げられる。
またジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o,m,p−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等の芳香族一級ジアミン等や、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族または脂環族一級ジアミン等を例示することができる。
上記ポリイミドの製造方法において、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いて脱水閉環する方法を用いる場合には、以下の脱水剤や触媒が好適に用いられる。
脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また、触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。本発明においては、これらの中でも特に下記式(I)で示されるヒドロキシピリジン系化合物、下記式(II)で示されるイミダゾール系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を触媒として用いることが好ましい。
Figure 0004311208
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つは水酸基である。水酸基以外の場合は、それぞれ水素原子、1〜30個の炭素原子を有する脂肪族基、6〜30個の炭素原子を有する芳香族基、4〜30個の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜30個の炭素原子を有するアラルキル基およびホルミル基のいずれかを示す。)
Figure 0004311208
(式中、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ、水素原子、1〜30個の炭素原子を有する脂肪族基、6〜30個の炭素原子を有する芳香族基、4〜30個の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜30個の炭素原子を有するアラルキル基およびホルミル基のいずれかを示す)。
式(I)のヒドロキシピリジン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−2−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(II)中のR6、R7、R8およびR9としては、例えば、脂肪族基の場合は炭素数1〜17のアルキル基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基が好ましく、芳香族基の場合はフェニル基が好ましく、アラルキル基の場合はベンジル基が好ましい。
式(II)のイミダゾール系化合物の具体例としては、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−ヒドロキシエチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ブチル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−ブチル−4−ホルミルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
式(I)で示されるヒドロキシピリジン系化合物、式(II)のイミダゾール系化合物には脱水閉環反応を促進する効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することにより低温、かつ、短時間の熱処理で脱水閉環できるので、生産効率が良くなるため好ましい。その使用量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対してかかる好ましい範囲であると、低温、かつ、短時間においても脱水閉環させる効果を十分に維持できる。脱水閉環しないポリアミド酸繰り返し単位が残存していても良いが、ポリアミド酸が十分に脱水閉環して、ポリイミドになった割合が高くなると、樹脂層の耐溶剤性および耐湿熱性が向上するため、より好ましい。添加量の上限は特に限定されないが、原料価格を低く抑える観点から一般にポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。
本発明においては、ポリイミドの全構造単位の70%以上100%以下が下記式(III)で表される構造単位であることが特に好ましい。
Figure 0004311208
(式(III)中のR’は下記式(IV)の中から選ばれる少なくとも1種の基である。)
Figure 0004311208
(式(IV)中のX、Yは下記式(V)の中から選ばれる少なくとも1種の基である。)
−O−,−CH2−,−CO−,−SO2−,−S−,−C(CH32− (V)
ポリイミドの全構造単位の70%以上が上記式(III)で表される構造単位でない場合には、難燃性の効果が低下したり、積層厚みを厚くしなければ難燃性の効果が得られず生産性やコスト面での優位性のないものとなることがある。また、上記式(III)以外の構造単位を30%より多く有するポリイミドは、これを合成するときの原料コストが高価となる傾向があり、難燃性ポリエステルフィルムのコストが高くなるなどの問題が生じる場合がある。
本発明におけるポリイミドは、より好ましくは下記式(VI)で表される構造単位を70%以上有するポリイミドであり、特に好ましくは下記式(VI)で表される構造単位を90%以上有するポリイミドである。
Figure 0004311208
本発明における樹脂層は、樹脂成分以外に前記の非可燃性ガスを発生する化合物を含有することが好ましい。非可燃性ガスを発生する化合物を含有させることによって、非可燃性ガスの発生率を好ましい範囲に制御しやすくなり、前記の難燃性の効果が発現しやすくなる。非可燃性ガスを発生する化合物としては、特に限定されないが、無機炭酸化物、無機水酸化物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、グアニル尿素系化合物、含ハロゲン化合物等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、難燃性の点から、無機水酸化物および/またはトリアジン系化合物が好ましく、無機水酸化物が特に好ましい。また、これらの化合物を含有させると、樹脂層表面のインキ接着性も高くすることができ、好ましい。
無機水酸化物としては酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムが好ましい。難燃性の点で特に好ましいのは水酸化マグネシウムである。また、水酸化アルミニウムは、樹脂層を高温高湿下においた場合でも、樹脂層の劣化を促進することが少ないため好ましい。これらの無機水酸化物の平均粒子径は1.5μm以下であることが難燃性の点で好ましく、より好ましくは1.0μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以下であり、特に好ましいのは0.5μm以下である。また、これらの無機水酸化物を亜鉛化合物および/またはホウ素化合物からなる被覆層で被覆したり、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、脂肪酸等により表面処理した場合には、難燃性の効果が発現しやすくなるため好ましい。
トリアジン系化合物としては、例えば、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミン、メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレート、メラミンフォスフェート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、トリス(β−シアノエチル)イソシアヌレート、アセトグアナミン、硫酸メレム、硫酸メラム等が挙げられる。
ここで、非可燃性ガスを発生する化合物の添加量は樹脂層の1〜65重量%であることが好ましい。1重量%未満であると難燃性の効果が十分に発現しない場合がある。65重量%より多いと樹脂層が脆くなったり、難燃性の効果が発現しない場合がある。添加量は、好ましくは5〜60重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。また、非可燃性ガスを発生する化合物の添加量は、難燃性ポリエステルフィルム全体の0.01〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%であり、さらに好ましくは0.01〜3重量%である。
本発明において、難燃性ポリエステルフィルム全体厚みに対する樹脂層厚みの割合は、0.5〜30%であることが好ましい。樹脂層厚みの割合は、より好ましくは1.0〜10%、さらに好ましくは1.0〜5.0%である。ここで、樹脂層厚みは、両面の樹脂層の合計厚みである。難燃性ポリエステルフィルム全体厚みに対する樹脂層厚みの割合が、かかる範囲であると、難燃性の効果が十分に発揮され、また、生産性が良好である。このとき、樹脂層の厚みは、片面当たり0.05〜10μm程度が好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μm程度である。樹脂層厚みの割合が大きい、および/または、樹脂層の厚みが厚い場合には、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が低下する場合がある。
本発明に使用する樹脂層の形成方法は、例えば、樹脂層とポリエステルフィルムを共押出により積層してもよく、樹脂層をポリエステルフィルムに貼り合わせてもよく、樹脂層形成溶液をポリエステルフィルムに塗布し乾燥する方法により形成してもよい。これらの中で、樹脂層に非可燃性ガスを発生する化合物を含有させる場合には、塗布により樹脂層を形成する方法が、比較的穏やかな条件で樹脂層を形成でき、非可燃性ガスを発生する化合物の変質を防ぎやすいため、好ましい。塗布により樹脂層を形成する方法としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、ナイフコート法などを用いることができる。また、効率よく溶剤を乾燥するために遠赤外線による加熱を用いてもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどがあり、これらの2種以上が混合されたものであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、これらに他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。ポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gであることがより好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルムは二軸配向されたものであることが、機械的特性や寸法安定性の点で望ましい。二軸配向しているとは、例えば、未延伸すなわち結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ2.5〜5.0倍程度延伸し、その後、熱処理により結晶配向を完了させたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
本発明に使用するポリエステルフィルムは単膜フィルムである必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲内ならば、内層と表層の2層以上の複合体フィルムとしてもよい。例えば、内層は実質的に粒子を含有せず、表層に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層は粗大粒子を含有し、表層に微細粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層が微細な気泡を含有した層であって表層は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられる。また、上記複合体フィルムは内層と表層が異種のポリエステルであっても同種のポリエステルであってもよい。
本発明においては、ポリエステルフィルムと樹脂層との間にプライマー層が積層されていることが好ましい。ここで、プライマー層とは、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性を高める効果を有する層である。ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が高いと、難燃性フィルムを加工する加工工程において、樹脂層がはがれる等の不都合を生じにくく、かつ、難燃性の効果も向上する。プライマー層の積層方法は特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルムとの共押出によって設ける方法、ポリエステルフィルムおよび/または樹脂層にプライマー層形成成分を溶解した溶液を塗布後、乾燥する方法など任意である。プライマー層の材料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、異なる2種類以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂は、変性体であってもよく共重合体であってもよい。また、プライマー層には、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
中でも、プライマー層にオキサゾリン基を有する化合物を含むことが特に好ましい。プライマー層にオキサゾリン基を有する化合物が含まれていると、溶剤に浸したり、高温高湿下におかれた場合でもポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が低下することがないため、好ましい。さらには、プライマー層にオキサゾリン基を有する化合物およびポリエステル樹脂を含むことが、溶剤処理および湿熱処理を行った後の、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性の点で、より好ましい。溶剤処理後の接着性が高いと、難燃性フィルムに対して、溶剤を用いた加工を行っても、樹脂層がはがれる等の不都合を生じにくいので好ましい。また、湿熱処理後の接着性が高いと、難燃性フィルムを加工して、電気絶縁材料として使用する際に、耐環境性が高くなるので好ましい。
本発明において用いられるオキサゾリン基を有する化合物は、官能基としてオキサゾリン基を有する化合物であれば良いが、オキサゾリン基を有するモノマーを少なくとも1種含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーと共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体が好ましい。
ここで、オキサゾリン基を有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができる。これらは、単独でも、または2種以上を併用して使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
また、オキサゾリン基を有するモノマーと共重合させる他のモノマーとしては、オキサゾリン基を有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に限定されない。具体的には、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができる。これらは単独でも、または2種以上を併用して使用することもできる。
本発明において、ポリエステルフィルム、樹脂層およびプライマー層には、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
これらの中でも無機の粒子、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末などを添加した場合には易滑性、耐傷性などが向上するので好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μm程度である。また、その添加量は、0.05〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
次に、本発明の難燃性ポリエステルフィルムを得る好ましい製造方法について以下に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートを押出機に供給し、Tダイより押出し、シート状に成形する。このシートをポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度以上に加熱し、長手方向に延伸する。ここで、プライマー層形成用の塗布液をポリエチレンテレフタレートフィルム両面に塗布した後、このフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導きポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度以上に加熱し、幅方向に延伸し、ひき続き200〜250℃で熱処理を行い、プライマー層を積層したポリエステルフィルムを得る。次いで、N−メチル−2−ピロリドンに溶解したポリアミド酸溶液に、水酸化マグネシウムを添加した溶液をバーコート法でフィルム両面のプライマー層上に塗布して、乾燥し、150〜250℃で脱水閉環を行って難燃性ポリエステルフィルムとする。
難燃性ポリエステルフィルムの厚みは、通常、5〜500μm程度であり、用途に応じて適宜選択することができる。
このようにして得られた本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、難燃性に優れるものである。また、本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム中に難燃剤を添加したり、ポリエステルにハロゲン含有成分、リン含有成分を共重合したりしなくても、十分な難燃性を有するため、ポリエステルフィルム本来の機械的特性を低下させずに難燃性を持たせることができる。また、ダイオキシンや加工工程を汚染するようなガスの発生も抑制することができる。そのため本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、フラットケーブル、絶縁モーター、電子部品などの電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用できる。
本発明の難燃性ポリエステルフィルムを用いた加工品、すなわち、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、フラットケーブルなどは、難燃性に優れるとともに、難燃剤のしみ出し等がないので、加工性に優れる。
本発明の粘着テープは、一例を挙げれば、上記難燃性ポリエステルフィルムの少なくとも片面に粘着層を積層した構成からなるものである。難燃性ポリエステルフィルムと粘着層の間にはアンカーコート層等が設けられてもよい。粘着層としては、特に限定されないが天然ゴム、合成イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等のゴム系粘着剤、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等のビニル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤等を主構成物としたものが使用され、必要に応じて粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、難燃剤、硬化剤等を添加することができる。粘着層の厚みは5〜50μm程度の範囲でよい。粘着層はラミネート、塗布など公知の方法で積層できる。本発明の粘着テープは、電気絶縁材料、建築材料等の難燃性を要求される分野で好適に使用できる。
本発明のフレキシブルプリント基板は、一例を挙げれば、上記難燃性ポリエステルフィルムの上に導電回路を形成させた構成からなるものである。難燃性ポリエステルフィルムと導電回路の間にはアンカーコート層、接着剤層、粘着剤層等が設けられてもよい。導電回路は、難燃性ポリエステルフィルムの上に、金属箔を貼り合わせた後エッチングする、金属を蒸着する、金属をスパッタする、あるいは、導電ペーストをスクリーン印刷するなどの公知の方法で形成できる。本発明のフレキシブルプリント基板は、パソコン、プリンターなどの機器部品、家具、自動車等の電子部品、ノート型パソコン、携帯電話、ICカード等の携帯可能な電子、電気機器に好適に使用できる。
本発明のメンブレンスイッチは、一例を挙げれば、上記難燃性ポリエステルフィルムの上に導電回路を形成させた2枚のシートの間にスペーサーフィルムを介在させた構成からなるものである。この時、2枚のシートに形成された導電部は互いに向き合うように配置され、スペーサーフィルムには導電部に対応する部分に貫通孔が開けられている。また、スペーサーフィルムにも上記難燃性ポリエステルフィルムを好適に用いることができる。各層間にはアンカーコート層、粘着剤層、接着剤層等が設けられてもよい。導電回路の厚みは20〜100μm程度の範囲でよく、スペーサーフィルムの厚みは50〜400μm程度でよい。導電回路は、難燃性ポリエステルフィルムの上に、金属箔を貼り合わせた後エッチングする、金属を蒸着する、金属をスパッタする、導電ペーストをスクリーン印刷するなどの公知の方法で形成できる。本発明のメンブレンスイッチは、電卓、キーボード等の電気製品に使用されるメンブレンスイッチとして好適に使用できる。
本発明の面状発熱体は、一例を挙げれば、上記難燃性ポリエステルフィルムの上に発熱体となる導電回路や銅線を配置したり、カーボンなどの導電性粉末を合成ゴム等のバインダー樹脂に分散させた発熱層を積層した構成からなるものである。この時、導電回路や銅線、または発熱層は上記難燃性ポリエステルフィルム2枚の間に挟み込まれたり、上記難燃性ポリエステルフィルム1枚と別のフィルム、不織布、粘着層等の間に挟み込まれている。各層間にはアンカーコート層、粘着剤層、接着剤層等が設けられてもよい。導電回路は、難燃性ポリエステルフィルムの上に、金属箔を貼り合わせた後エッチングする、金属を蒸着する、金属をスパッタする、あるいは、導電ペーストをスクリーン印刷するなどの公知の方法で形成できる。本発明の面状発熱体は、各種暖房器具や、各種ヒーターとして好適に使用できる。
本発明のフラットケーブルは、一例を挙げれば、2枚のフィルムの間に並列配置された複数本の信号線を挟み込んだ構成からなるものであり、2枚のフィルムの内、少なくとも1枚は上記難燃性ポリエステルフィルムからなるものである。信号線を挟み込む方法としては、2枚のフィルムに加熱により溶融する接着剤層(ヒートシール層)、電子線、紫外線などで硬化する接着剤層を設けた後、接着剤層の面が向かい合うように重ね合わせ、その隙間に信号線を挟み、熱圧着、電子線照射、紫外線照射を行うなどの公知の方法が使用できる。各層間にはアンカーコート層、粘着剤層、接着剤層等が設けられてもよい。信号線としては、錫メッキ銅箔等が用いられる。本発明のフラットケーブルは、各種OA機器、電話機、音響機器、自動車の電子部品等の配線用に好適に使用できる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂層の難燃性ポリエステルフィルム全体に対する厚みの割合(R)
難燃性ポリエステルフィルムから断面を切り出し、その断面を(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型で観察し、一方の面の樹脂層の厚み(t1)、もう一方の面の樹脂層の厚み(t2)および難燃性ポリエステルフィルム全体の厚み(t3)を測定した。なお混在相がある場合は混在相を含めた厚みを樹脂層の厚みとした。このとき樹脂層の難燃性ポリエステルフィルム全体に対する厚みの割合Rを、下記式より求めた。
R(%)={(t1+t2)/t3}×100
(2)熱重量測定
難燃性ポリエステルフィルムの樹脂層部分を採取したサンプルを用いて、(株)島津製作所製の熱重量測定装置TGA−50により50ml/分で空気を流した雰囲気中で重量測定を行った。このとき熱処理前25℃における試料の重量Wc0、試料を室温から800℃まで10℃/分にて昇温し、600℃に到達したときの重量Wc1、800℃に到達したときの重量Wc2を求め、下記式(1)の値を計算した。
(Wc1−Wc2)/Wc0×100(%) (1)
(3)非可燃性ガス発生率
難燃性ポリエステルフィルムの樹脂層部分を採取したサンプルを用いて、(株)島津製作所製の熱天秤TG−40および(株)島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計GCMS−QP1000を接続管により接続した装置を用いて、熱重量−質量分析(TG−MS)を行い、発生したガスの成分および発生量を分析した。熱天秤TG−40は大気の漏れ込みを防止する改造を行って使用した。サンプルの重量Wg0と発生した非可燃性ガスの重量Wg1から以下の式により非可燃性ガス発生率を求めた。
Wg1/Wg0×100(%) (2)
測定は50ml/分でヘリウムガスを流した雰囲気中で行い、熱天秤の昇温速度は10℃/分、最高到達温度は500℃とした。
非可燃性ガス発生率は180〜250℃、250〜300℃、および300℃〜450℃の温度範囲について求めた。
(4)難燃性
難燃性ポリエステルフィルム、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、およびフラットケーブルを50mm×200mmの短冊状に切り出した試料を、直径が12.7mm、長さが200mmの筒状になるように丸めた。この筒状にした試料を長手方向が地面と垂直方向になるようにして、長手方向の上端を把持し、下端を、約20mmの火炎に3秒間さらした後、離炎した。このとき、離炎後の試料の燃焼時間を測定した(1回目接炎時の燃焼時間)。次に、試料が燃え尽きずに消火された場合、消火後に1回目と同様にして2回目の接炎・離炎を行い、離炎後のフィルムの燃焼時間を測定した(2回目接炎時の燃焼時間)。この試験を5つの試料に対して繰り返し行った。難燃性は、5つの試料の1回目、2回目接炎時の燃焼時間の合計を3段階(◎:35秒未満で自己消火する、○:35〜50秒で自己消火する、×:50秒以内に自己消火しないまたは燃え尽きる)で評価した。◎、○を良好とした。
(5)インキ接着性
難燃性ポリエステルフィルムに、印刷用インキ(十条ケミカル(株)製テトロン990黒)をテトロン標準溶剤で希釈したものをバーコーターで塗布後、60℃で乾燥して厚さ8μmとなるようにインキ層を形成した。形成したインキ層に1mm2 のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離した。残存したインキ層の個数により2段階評価(○:50〜100、×:0〜49)した。○が合格である。
(6)常態下での樹脂層の接着性
樹脂層面に、難燃性ポリエステルフィルムを貫通しないように1mm2 のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離した。残存した樹脂層の個数により2段階評価(○:90〜100、×:0〜90)した。○を接着性良好とした。
(7)溶剤処理後の樹脂層の接着性
難燃性ポリエステルフィルムを表2に示した各種溶剤に5分間浸した後、100℃で2分間乾燥を行ったサンプルに対し、上記(6)と同様の接着性評価を行った。
(8)湿熱処理後の樹脂層の接着性
難燃性ポリエステルフィルムを85℃、相対湿度85%で240時間放置したサンプルに対し、上記(6)と同様の接着性評価を行った。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、使用した塗布液等について記載する。
<樹脂層形成用の塗布液>
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量した4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチル−2−ピロリドンとともに加え、撹拌して溶解した。次に、この溶液にピロメリット酸二無水物を4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100モルに対して100モル、反応温度が60℃以下になるように添加した。その後、粘度が一定になったところ(重合の終点)で重合を終了し、ポリアミド酸の重合溶液を得た。この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10重量%になるように希釈した後、水酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製MGZ−3、平均粒子径0.1μm)を固形分濃度が10重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分重量比でポリアミド酸/水酸化マグネシウム=70/30となるようにした。さらに塗布前に4−ヒドロキシピリジンをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Aとした。
(2)塗布液B
ポリイミド溶液(新日本理化(株)製“リカコート(登録商標)”SN−20)をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10重量%になるように希釈した後、水酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製MGZ−3、平均粒子径0.1μm)を固形分濃度が10重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分重量比でポリアミド酸/水酸化マグネシウム=70/30となるようにした。これを塗布液Bとした。
(3)塗布液C
水酸化マグネシウム粒子の代わりにメラミンシアヌレート(日産化学工業(株)製MC−600、粒子径1〜5μm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Cを調整した。
(4)塗布液D
塗布前に、4−ヒドロキシピリジンを添加しない以外は塗布液Aと同様にして塗布液Dを調製した。
(5)塗布液E、F、G
ポリアミド酸/水酸化マグネシウムの混合比を固形分重量比で95/5(塗布液E)、50/50(塗布液F)、30/70(塗布液G)とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液を調整した。
(6)塗布液H
水酸化マグネシウム粒子を添加しなかった以外は塗布液Aと同様にして塗布液Hを調整した。
(7)塗布液I
水酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製MGZ−3、平均粒子径0.1μm)を固形分濃度が10重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液およびコロイダルシリカのN−メチル−2−ピロリドン分散体(触媒化成工業(株)製“OSCAL(登録商標)”5116、固形分濃度10重量%、1次粒径80nm)をポリアミド酸溶液に添加し、ポリアミド酸/水酸化マグネシウム/シリカ=50/5/45となるようにした以外は塗布液Aと同様にして塗布液Iを調整した。
(8)塗布液J
水酸化マグネシウム粒子の代わりに水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト(登録商標)”H−42M、平均粒子径1.1μm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Jを調整した。
(9)塗布液K
水酸化マグネシウム粒子として協和化学工業(株)製キスマ(登録商標)5E(平均粒子径0.8μm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Kを調整した。
(10)塗布液L
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で97/3とした以外は塗布液Jと同様にして塗布液Lを調整した。
(11)塗布液M
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で40/60とし、塗布前に、4−ヒドロキシピリジンを添加しない以外は塗布液Jと同様にして塗布液Mを調整した。
(12)塗布液N
水酸化マグネシウム粒子の代わりに水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト(登録商標)”H−43M、平均粒子径0.75μm)を用い、塗布前に、4−ヒドロキシピリジンの代わりに2−メチルイミダゾールを添加した以外は塗布液Aと同様にして塗布液Nを調整した。
<プライマー層形成用の塗布液>
(1)塗布液1
下記のポリエステル樹脂1に対して、架橋剤として下記のメラミン化合物1を、固形分重量比で85/15となるように混合し、イソプロピルアルコールと水との混合溶媒(10/90(重量比))を用いて、固形分濃度を3重量%となるように希釈したものをプライマー層形成用の塗布液1とした。
・ポリエステル樹脂1:
・酸成分
テレフタル酸 60モル%
イソフタル酸 14モル%
トリメリット酸 20モル%
セバチン酸 6モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 28モル%
ネオペンチルグリコール 38モル%
1,4−ブタンジオール 34モル%
上記ポリエステル樹脂1(Tg:20℃)をアンモニア水で水性化した水分散体とした。
・メラミン化合物1:
ハイソリッド型アミノ樹脂であるサイテック社製“サイメル(登録商標)”325(イミノ基型メチル化メラミン)を、メラミン化合物1とした。
(2)塗布液2
上記のポリエステル樹脂1に対してオキサゾリン基含有化合物1として、(株)日本触媒製“エポクロス(登録商標)”WS−700を、固形分重量比で75/25となるように混合し、固形分濃度を3重量%としたものをプライマー層形成用の塗布液2とした。
実施例1
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)を十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(以降、基材PETフィルムと呼ぶ)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとした。基材PETフィルムの両面にプライマー層形成用の塗布液として、塗布液1を塗布した。ついで、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材PETフィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、220℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。さらにこの積層PETフィルムの両面に、塗布液Aを塗布し、130℃で乾燥後、200℃で熱処理して難燃性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムは、全体の厚みが100μm、樹脂層の厚みが片面当たり1.5μmであった。結果をまとめて表1に示す。
実施例2〜8
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液C、塗布液D、塗布液E、塗布液F、塗布液I、塗布液J、塗布液Kを塗布した以外は実施例1と同様にして難燃性ポリエステルフィルムを得た。
実施例9
フィルムの全体の厚みを50μm、樹脂層の厚みを片面当たり0.9μmとした以外は実施例1と同様にして難燃性ポリエステルフィルムを得た。
実施例10
塗布液を塗布液Bとした以外は実施例9と同様にして難燃性ポリエステルフィルムを得た。
実施例11
フィルムの全体の厚みを100μm、樹脂層の厚みを片面当たり4.0μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
実施例12
フィルムの全体の厚みを50μm、樹脂層の厚みを片面当たり0.4μmとした以外は実施例1と同様にして難燃性ポリエステルフィルムを得た。
実施例13
実施例9で得られた難燃性ポリエステルフィルムを切り出して、シートを得た。シートの片面に、アクリル系粘着剤(日本合成化学工業(株)製“コーポニール(登録商標)”5407)と硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製“コロネート(登録商標)”L−55E)をアクリル粘着剤/硬化剤=100/2重量部となるように混合した溶液を塗布し、100℃で乾燥した後、室温で5日間エージングして厚さ10μmの粘着層を積層した粘着テープを作成した。この粘着テープの難燃性試験結果は◎であった。
実施例14
実施例9で得られた難燃性ポリエステルフィルムを切り出して、シートを得た。シートの片面に、カーボン粉末を分散した導電性樹脂ペーストを用いて、スクリーン印刷法により、厚さ20μmの導電回路を印刷して、フレキシブルプリント基板とした。このフレキシブルプリント基板の難燃性試験結果は◎であった。
実施例15
実施例9で得られた難燃性ポリエステルフィルムを切り出して、シートを得た。シートの片面に、銀粉末を分散した導電性樹脂ペーストを用いてスクリーン印刷法により厚さ20μmの導電回路を印刷した。次に実施例9で得られた難燃性ポリエステルフィルムを切り出した別のシートの片面に、銀粉末を分散した導電性樹脂ペーストを用いて、スクリーン印刷法により、厚さ20μmの導電回路を印刷した。さらに、実施例1で得られた難燃性ポリエステルフィルムの両面に、東レ(株)製TAB用接着テープ#7100を貼り合わせてスペーサーフィルムとした。導電回路を印刷した2枚のシートを、スペーサーフィルムを間に挟んで貼り合わせてメンブレンスイッチとした。この時、2枚のシートに形成された導電部は互いに向き合うように配置し、スペーサーフィルムには導電部に対応する部分に貫通孔を開けた。このメンブレンスイッチの難燃性試験結果は◎であった。
実施例16
実施例9で得られた難燃性ポリエステルフィルムを切り出して、シートを得た。シートの片面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体/カーボン粉末=100/70重量部となるように混合したジエチルベンゼン溶液を用いて、塗布により厚さ50μmの発熱層を設けた。次に発熱層上にカーボン粉末を分散した導電性樹脂ペーストを用いてスクリーン印刷法により厚さ20μmの導電回路を印刷した。さらに発熱層上の導電回路を形成した面に、東レ(株)製TAB用接着テープ#7100を貼り合わせた。最後に、接着テープ面に実施例9で得られたフィルムを切り出した別のシートを貼り合わせて面状発熱体とした。この面状発熱体の難燃性試験結果は◎であった。
実施例17
実施例9で得られた難燃性ポリエステルフィルムを切り出して、シートを得た。シートの片面に、ポリエステル系接着剤(東亞合成(株)製アロンメルト(登録商標)PES−355S40)と水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト(登録商標)”H−42M、平均粒子径1.1μm)を、固形分重量比でポリエステル系接着剤/水酸化アルミニウム=50/50となるように混合した溶液を塗布、乾燥して厚さ30μmのヒートシール層を積層した。次に実施例9で得られたフィルムを切り出した別のシートの片面にも同様の操作を行い、厚さ30μmのヒートシール層を積層した。この2枚のシートをヒートシール層の面が向かい合うように重ね合わせ、その隙間に幅0.8mm、厚さ50μmからなる錫メッキ銅箔を等間隔に複数本挟み込み、それらを150℃のロールで熱圧着することでフラットケーブルを作成した。このフラットケーブルの難燃性試験結果は◎であった。
実施例18
プライマー層形成用の塗布液として塗布液2を用い、塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に塗布液Nを塗布し、フィルム全体の厚みを75μm、樹脂層の厚みを片面あたり1.7μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
実施例19
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に塗布液Lを塗布し、フィルム全体の厚みを50μm、樹脂層の厚みを片面あたり1.5μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
実施例20
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に塗布液Mを塗布し、フィルム全体の厚みを50μm、樹脂層の厚みを片面あたり1.5μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
比較例1、2
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液G、塗布液Hを塗布した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
比較例3
塗布液Aの塗布を片面のみとし、その最終積層厚みが3.0μmになるようにした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。このフィルムは、難燃性に劣るものであった。
実施例1〜12、18、19、20、比較例1〜3の特性評価の結果を表1に示す。実施例1〜12、18、19、20は全ての項目において良好であったが、比較例1〜3はいずれかの項目で不良な点があった。また、表2に記載したように、実施例18は溶剤処理および湿熱処理を行った場合でもポリエステルフィルムと樹脂層の接着に優れるものであった。
Figure 0004311208
Figure 0004311208
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、難燃性に優れるフィルムである。本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用できる。そして本発明の粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体およびフラットケーブルフィルムは、難燃性に優れるとともに、加工性に優れる。

Claims (8)

  1. ポリエステルフィルムの両面に、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選ばれた無機水酸化物および/またはトリアジン系化合物を含有し、かつ、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分を含む樹脂層が積層された難燃性ポリエステルフィルムであって、該樹脂層が下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層である難燃性ポリエステルフィルム。
    15≦(Wc1−Wc2)/Wc0×100≦99 (1)
    (Wc0は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の重量、Wc2は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の重量をそれぞれ表す。)
  2. 難燃性ポリエステルフィルム全体に対する樹脂層の厚みの割合が0.5〜30%の範囲内である請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルフィルムと樹脂層との間に、オキサゾリン基を有する化合物を含むプライマー層が積層されてなる請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルムを用いてなる粘着テープ。
  5. 請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルムを用いてなるフレキシブルプリント基板。
  6. 請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルムを用いてなるメンブレンスイッチ。
  7. 請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルムを用いてなる面状発熱体。
  8. 請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルムを用いてなるフラットケーブル。
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