JP2006026994A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性、およびハンダ付けなどの高温加工性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、さらに下記式(2)を満足する積層ポリエステルフィルム。
15≦(Wc1−Wc2 )/Wc0 ×100≦99 (1)
(Wc0は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の樹脂層の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の樹脂層の重量をそれぞれ表す。)
r≦17% ……(2)
(rは、30℃から245℃まで連続的に昇温を行った際の、フィルム面内のある一方向とそれと直交する方向の最大寸法変化率の絶対値の和。)
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、さらに下記式(2)を満足する積層ポリエステルフィルム。
15≦(Wc1−Wc2 )/Wc0 ×100≦99 (1)
(Wc0は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の樹脂層の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の樹脂層の重量をそれぞれ表す。)
r≦17% ……(2)
(rは、30℃から245℃まで連続的に昇温を行った際の、フィルム面内のある一方向とそれと直交する方向の最大寸法変化率の絶対値の和。)
【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性に優れ、さらにはハンダ付けなどの高温加工性に優れた積層ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、その機械的特性、電気的特性などから、磁気記録材料、電気絶縁材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料として使用されている。また、写真用途、グラフィック用途、感熱転写用途などの各種工業材料として使用されている。
しかし、ポリエステルフィルムは、熱によって軟化あるいは溶融しやすいという欠点がある。そのため、ハンダ付けなど高温がかかる加工をした際にフィルムが大きく変形してしまうという問題がある。より高温で加工した場合には、平面性が損なわれたり、溶融してしまうため使用に耐えることができないといった問題がある。
また、ポリエステルフィルムには、燃焼しやすいという欠点もある。特に、電気絶縁材料として、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、もしくはフラットケーブル用途に使用される場合や建築材料として使用する場合、火災の危険があるため、ポリエステルフィルムの難燃化の要望が強まってきている。
ポリエステルフィルムの難燃性を向上させる技術として従来は、ポリエステルフィルムに臭素系、リン系、無機系などの難燃剤を練り込む方法、あるいは、ハロゲン含有成分またはリン含有成分を共重合する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この提案による方法では、繰り返し炎にさらされた場合には燃焼が拡大するなどの問題があり、難燃性能が不十分であった。また、これらの技術は、ポリエステルフィルム中に難燃剤を添加したり、ポリエステルにハロゲン含有成分、リン含有成分を共重合するものであるため、ポリエステルフィルム本来の機械的特性を低下させてしまうという問題があった。さらに、ハロゲン化合物は燃焼条件によってはダイオキシン等を発生することが懸念されているなど環境に悪影響を与える可能性があったり、発生ガスにより工程を汚染するなどの問題があった。
また、ポリエステルフィルムにポリアミド酸等の樹脂を積層することにより耐熱性、難燃性を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この提案による方法では、繰り返し炎にさらされた場合には燃焼が拡大するという問題があった。
特開平10−278206号公報(1頁−2頁)
特開2002−172747号公報(1頁−2頁)
そこで、本発明は、このような従来技術の問題に鑑み、難燃性に優れ、さらにはハンダ付けなどの高温加工性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とするものである。
かかる目的を達成するための第1の本発明の積層ポリエステルフィルムは、以下の構造を有するものである。
すなわち、ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、さらに下記式(2)を満足する積層ポリエステルフィルムである。
15≦(Wc1 −Wc2 )/Wc0 ×100≦99 ……(1)
(Wc0 は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1 は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の樹脂層の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の樹脂層の重量をそれぞれ表す。)
r≦17% ……(2)
(rは、30℃から245℃まで連続的に昇温を行った際の、フィルム面内のある一方向とそれと直交する方向の最大寸法変化率の絶対値の和である。)
15≦(Wc1 −Wc2 )/Wc0 ×100≦99 ……(1)
(Wc0 は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1 は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の樹脂層の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の樹脂層の重量をそれぞれ表す。)
r≦17% ……(2)
(rは、30℃から245℃まで連続的に昇温を行った際の、フィルム面内のある一方向とそれと直交する方向の最大寸法変化率の絶対値の和である。)
また、上述の目的を達成するための本発明の第2の積層ポリエステルフィルムは、以下の構造を有するものである。
すなわち、ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、さらに14g/mm2 の張力をかけながら260℃まで昇温したときに切断することのない積層ポリエステルフィルムである。
15≦(Wc1 −Wc2 )/Wc0 ×100≦99 ……(1)
(Wc0 は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1 は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の樹脂層の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の樹脂層の重量をそれぞれ表す。)
15≦(Wc1 −Wc2 )/Wc0 ×100≦99 ……(1)
(Wc0 は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1 は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の樹脂層の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の樹脂層の重量をそれぞれ表す。)
本発明によれば、以下に説明するとおり、難燃性に優れ、さらにはハンダ付けなどの高温加工性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明においては、ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層されることが必要である。
15≦(Wc1−Wc2)/Wc0×100≦99 ……(1)
15≦(Wc1−Wc2)/Wc0×100≦99 ……(1)
ここで、Wc0 は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1 は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の重量を表す。この構成により、ポリエステルフィルムの難燃性を達成することができる。
本発明における樹脂層は、ポリエステルフィルムの両面に積層されている必要がある。片面のみに積層されている場合には、難燃性の効果が十分に発現されず好ましくない。また、両面共に樹脂層が積層されていない場合には、燃焼時に燃焼粒の滴下が発生し、延焼を引き起こすなどの問題が発生したり、熱によって軟化あるいは溶融しやすくなり、ハンダ付けなど高温がかかる加工をした際にフィルムが大きく変形してしまうという問題が発生する。
上記式(1)中のWc0 、Wc1 、Wc2 を求める方法としては、本来は、特に限定されないものであるが、本発明では、後述のように、熱重量測定装置を用いる方法を採用するものである。すなわち、熱重量測定装置を用いて50ml/分で空気を流した雰囲気中で樹脂層の重量測定を行い、熱処理前の25℃、空気中における樹脂層の重量をWc0 、樹脂層を25℃から10℃/分にて昇温し、600℃に到達したときの重量をWc1 、さらに連続的に樹脂層を10℃/分にて昇温し、800℃に到達したときの重量をWc2 とする。
上記式(1)を満足した場合に難燃性の効果が発現するメカニズムについて詳細は不明であるが、以下のように推測される。
すなわち、上記(1)式を満足する樹脂層が積層されていると、フィルムが燃焼した場合に樹脂層が難燃性の炭化層として残存し、この残存した難燃性の炭化層がフィルム全体を被覆することにより、すばやく炎を消火することができると推測される。
上記式(1)の値が15未満である場合には、難燃性の効果が十分に発現しない。一方、99より大きい場合には、非可燃性ガスの発生量が不足し、難燃性の効果が十分に発現しない。上記式(1)の値は好ましくは20〜95であり、より好ましくは30〜90である。特に好ましいのは、20〜65である。
本発明の積層フィルムにおける樹脂層は、180〜450℃において非可燃性ガスの発生率が3〜40%である必要がある。本発明における非可燃性ガス発生率とは、樹脂層の重量をWg0 、樹脂層を一定の昇温速度で昇温した場合に発生するガスのうち、ある温度範囲で発生した非可燃性ガスの重量をWg1 とすると、以下の式(3)で求めることができる。
Wg1 /Wg0 ×100(%) ……(3)
Wg1 /Wg0 ×100(%) ……(3)
非可燃性ガス発生率は、熱重量−質量分析(TG−MS)を用いて求めるものであり、熱重量−質量分析(TG−MS)を用いて50ml/分でヘリウムガスを流した雰囲気中で試料を25℃から10℃/分の速度で昇温し、発生したガスの成分および発生量を分析することにより、ある温度範囲(本発明では、180℃から450℃の範囲である)で発生した非可燃性ガスの発生率を求めることができる。
本発明の積層フィルムにおける樹脂層の非可燃性ガスの発生率は、180〜450℃までの温度範囲内での非可燃性ガスの発生率が3〜40%となるものである。すなわち、上記式(3)において、樹脂層の重量Wg0 は測定前の該樹脂層の重量であり、上記昇温速度で昇温してゆき、180〜450℃の間に、該Wg0 の3〜40重量%の非可燃性ガスを発生しているというのが該樹脂である。測定において、該樹脂はフィルム中から該樹脂層のみを採取し、試料の樹脂層を少なくとも面積として0.003m2 とって、試料重量は5mg程度として試料セルに入れ、n数は3回として測定を行い、その平均を求めたものである。
ここで、非可燃性ガスとは、窒素、二酸化炭素、水蒸気、塩素、臭素、塩化水素、臭化水素、一酸化窒素、二酸化窒素およびシアン酸から選ばれるガスを示す。本発明における非可燃性ガスとしては、窒素、水蒸気、一酸化窒素、二酸化窒素およびシアン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらのガスが発生した場合には、特に難燃性が好適に発現するためである。
樹脂層の180〜450℃における非可燃性ガスの発生率が3〜40%である場合に難燃性の効果が発現するメカニズムについては、詳細は不明であるが、以下のように推測される。すなわち、180〜450℃の温度範囲で、ポリエステルフィルムが熱分解し、可燃性ガスを発生する。樹脂層の180〜450℃における非可燃性ガスの発生率が3〜40%である場合には、ポリエステルフィルムの熱分解により発生する可燃性ガスが、樹脂層から発生する非可燃性ガスで希釈され、燃焼が防止されるものと推測される。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、上述した非可燃性ガス発生率は、好ましくは250〜450℃の温度範囲においても3〜40%のものであり、より好ましくは300〜450℃の温度範囲においても3〜40%を示すものである。180℃未満あるいは450℃より高い温度における非可燃性ガスの発生量の多少に関わらず、180℃〜450℃の温度範囲において非可燃性ガス発生率が3〜40%であれば、本発明の難燃性の効果は達成されるものであるが、180℃未満で非可燃性ガス発生量が多い場合、本発明の難燃性フィルム製造時の熱処理や本発明の難燃性フィルムを後加工する際の熱処理によりガスが発生して工程汚染やフィルム表面の膨れ等の不具合を生じることがある。また、450℃より高温で非可燃性ガスが発生しても、ポリエステルフィルムの難燃性を好適に発現するものではない。上記温度範囲における非可燃性ガス発生率は、好ましくは3〜30%であり、より好ましくは4〜25%であり、さらに好ましくは4〜20%である。特に好ましいのは9〜20%である。非可燃性ガスの発生率が3%未満または40%より大きい場合には、十分な難燃性が発現しない。
本発明においては、フィルムが炎にさらされた場合に、フィルム表面の樹脂層から発生した非可燃性ガスが、ポリエステルフィルムから発生した可燃性ガスを希釈する効果と、樹脂層が難燃性の炭化層として残存してフィルム全体を被覆する効果が組み合わされることにより、高度な難燃性が発現するものと推測される。
樹脂層を形成する樹脂成分は、高い耐熱性を有する樹脂が好ましい。例としては、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリエステル、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリレート、ポリカーボネートなどを挙げることができる。これらの中でも、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分が好ましい。特に、ポリイミドが、難燃性の点から、最も好ましい。本発明における樹脂層の樹脂成分はハロゲン基を含有しないことが好ましい。
本発明にポリイミドを用いる場合、用いられるポリイミドは特に限定されないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましい。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミド以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
このポリイミドとしては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
上記一般式において、Arとしては、例えば、
これらは、本発明の効果が阻害されない範囲内で、1種あるいは2種以上一緒にポリマー鎖中に存在してもよい。
このポリイミドは公知の方法によって製造することができる。例えば、上記Arを誘導することができる原料であるテトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、上記Rを誘導することができる原料である脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物とを脱水縮合することにより、ポリアミド酸を得る。次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いてポリアミド酸を脱水閉環する。または、テトラカルボン酸無水物とジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法などを例示することができる。
上記方法で用いられるテトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1'−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2'−ビス[(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物等が挙げられる。
また、ジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o,m,p−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等の芳香族一級ジアミン等や、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族または脂環族一級ジアミン等を例示することができる。
上記ポリイミドの製造方法において、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いて脱水閉環する方法を用いる場合には、以下の脱水剤や触媒が好適に用いられる。
脱水剤としては、例えば、無水酢酸などの脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。
また、触媒としては、例えば、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。本発明においては、これらの中でも特に下記式(I)で示されるヒドロキシピリジン系化合物、下記式(II)で示されるイミダゾール系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を触媒として用いることが好ましい。
式(I)のヒドロキシピリジン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−2−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(II)中のR1 、R2 、R3 およびR4 としては、例えば、脂肪族基の場合は炭素数1〜17のアルキル基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基が好ましく、芳香族基の場合はフェニル基が好ましく、アラルキル基の場合はベンジル基が好ましい。
式(II)のイミダゾール系化合物の具体例としては、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−ヒドロキシエチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ブチル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−ブチル−4−ホルミルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
式(I)で示されるヒドロキシピリジン系化合物、式(II)のイミダゾール系化合物には脱水閉環反応を促進する効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することにより低温、かつ、短時間の熱処理で脱水閉環できるので、生産効率が良くなるため好ましい。その使用量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対してかかる好ましい範囲であると、低温、かつ、短時間においても脱水閉環させる効果を十分に維持できる。脱水閉環しないポリアミド酸繰り返し単位が残存していても良いが、ポリアミド酸が十分に脱水閉環して、ポリイミドになった割合が高くなると、樹脂層の耐溶剤性、耐湿熱性が向上するため、より好ましい。添加量の上限は特に限定されないが、原料価格を低く抑える観点から一般にポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。
また、ポリアミド酸が十分に脱水閉環して、ポリイミドになった割合が高くなると、高温加工時の変形抑止効果が好適に発現するため好ましい。脱水閉環を行う温度は、好ましくは150〜250℃であるが、脱水閉環を十分に行って高温加工時の変形抑止効果を発現させるためには、より高温で脱水閉環を行うことが好ましい。脱水閉環温度が150℃よりも低いと、脱水閉環が十分に進まないため好ましくない。脱水閉環温度が250℃よりも高いと、樹脂層に非可燃性ガスを発生する化合物が含有されていた場合などに、非可燃性ガスを発生する化合物が変質してしまう場合があるなどの理由から好ましくない。
本発明においては、ポリイミドの全構造単位の70%以上100%以下が下記式(III)で表される構造単位であることが特に好ましい。
ポリイミドの全構造単位の70%以上が上記式(III) で表される構造単位でない場合には、難燃性の効果が低下したり、積層厚みを厚くしなければ難燃性の効果が得られず生産性やコスト面での優位性のないものとなることがある。また、上記式(III) 以外の構造単位を30%より多く有するポリイミドは、これを合成するときの原料コストが高価となる傾向があり、積層ポリエステルフィルムのコストが高くなるなどの問題が生じる場合がある。
本発明におけるポリイミドは、より好ましくは下記式(VI)で表される構造単位を70%以上有するポリイミドであり、特に好ましくは下記式(VI)で表される構造単位を90%以上有するポリイミドである。
本発明における樹脂層は、樹脂成分以外に前記の非可燃性ガスを発生する化合物を含有することが好ましい。非可燃性ガスを発生する化合物を含有させることによって、非可燃性ガスの発生率を好ましい範囲に制御しやすくなり、前記の難燃性の効果が発現しやすくなる。
非可燃性ガスを発生する化合物としては、特に限定されないが、無機炭酸化物、無機水酸化物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、グアニル尿素系化合物、含ハロゲン化合物等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、難燃性効果、高温加工時の変形抑止効果を、より好適に発現させるためには無機水酸化物および/またはトリアジン系化合物が好ましい。高温加工時の変形抑止効果の点で、無機水酸化物が特に好ましい。
無機水酸化物としては種々のものが使用できるが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ジルコニウム等が好適に用いられる。これらの中でも、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムが好ましい。難燃性の点で特に好ましいのは水酸化マグネシウムである。水酸化アルミニウムは、樹脂層を高温高湿下においた場合でも、樹脂層の劣化を促進することが少ないため好ましい。また、水酸化アルミニウムは、高温加工時の変形抑止効果の点でも特に好ましい。これらの無機水酸化物の平均粒子径は1.5μm以下であることが難燃性の点で好ましく、より好ましくは1.0μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以下であり、特に好ましいのは0.5μm以下である。また、これらの無機水酸化物を亜鉛化合物および/またはホウ素化合物からなる被覆層で被覆したり、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、脂肪酸等により表面処理した場合には、難燃性の効果が発現しやすくなるため好ましい。
トリアジン系化合物としては、例えば、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミン、メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレート、メラミンフォスフェート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、トリス(β−シアノエチル)イソシアヌレート、アセトグアナミン、硫酸メレム、硫酸メラム等が挙げられる。
ここで、非可燃性ガスを発生する化合物の添加量は、樹脂層の1〜65重量%であることが好ましい。1重量%未満であると難燃性の効果が十分に発現しない場合がある。65重量%より多いと樹脂層が脆くなったり、難燃性の効果が発現しない場合がある。添加量は、好ましくは5〜60%であり、より好ましくは10〜50%である。また、非可燃性ガスを発生する化合物の添加量は、積層ポリエステルフィルム全体の0.01〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%であり、さらに好ましくは0.01〜3重量%である。
本発明において、積層ポリエステルフィルム全体厚みに対する樹脂層厚みの割合は、0.5〜30%であることが好ましい。樹脂層厚みの割合は、より好ましくは1.0〜10%、さらに好ましくは1.0〜5.0%である。ここで、樹脂層厚みは、両面の樹脂層の合計厚みである。積層ポリエステルフィルム全体厚みに対する樹脂層厚みの割合が、かかる範囲であると、難燃性、高温加工時の寸法安定性の効果が十分に発揮され、また、生産性が良好である。このとき、樹脂層の厚みは、片面当たり0.05〜10μm程度が好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μm程度である。樹脂層厚みの割合が大きい、および/または、樹脂層の厚みが厚い場合には、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が低下する場合がある。
本発明に使用する樹脂層の形成方法は、例えば、樹脂層とポリエステルフィルムを共押出により積層してもよく、樹脂層をポリエステルフィルムに貼り合わせてもよく、樹脂層形成溶液をポリエステルフィルムに塗布し乾燥する方法により形成してもよい。これらの中で、樹脂層に非可燃性ガスを発生する化合物を含有させる場合には、塗布により樹脂層を形成する方法が、比較的穏やかな条件で樹脂層を形成でき、非可燃性ガスを発生する化合物の変質を防ぎやすいため、好ましい。塗布により樹脂層を形成する方法としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、ナイフコート法などを用いることができる。また、効率よく溶剤を乾燥するために遠赤外線による加熱を用いてもよい。
本発明における第1の発明では、積層ポリエステルフィルムが下記式(2)を満足する必要がある。
r≦17% ……(2)
(rは、30℃から245℃まで連続的に昇温を行った場合においてフィルム面内のある一方向とそれと直交する方向の最大寸法変化率の絶対値の和である。)
r≦17% ……(2)
(rは、30℃から245℃まで連続的に昇温を行った場合においてフィルム面内のある一方向とそれと直交する方向の最大寸法変化率の絶対値の和である。)
上記式(2)中のrを求める方法としては、本来は、特に限定されないものであるが、本発明では、後述のように、熱機械測定装置(TMA)を用る方法を採用するものである。すなわち、TMAを用いて、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、14g/mm2 の張力をかけ、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温させたときの寸法変化を調べることで、rを求めることができる。 例えば、フィルムの長手方向を試料長さ方向としてTMA測定を行い、測定した寸法変化の値から、30℃におけるフィルム長さLM30、および30℃〜245℃の間で、30℃の寸法に対して、寸法変化が最大となったときの長さLM’を求め、下記式より、フィルム長手方向の最大寸法変化率の絶対値rMを求めることができる。
rM=|(LM30−LM’)/LM30|×100 ……(4)
rM=|(LM30−LM’)/LM30|×100 ……(4)
次に、フィルム幅方向を試料長さ方向としたサンプルについても同様にして、30℃におけるフィルム長さLT30、および30℃〜245℃の間で、30℃の寸法に対して、寸法変化が最大となったときの長さLT’を求め、下記式より、フィルム幅方向の最大寸法変化率の絶対値rTを求めることができる。
rT=|(LT30−LT’)/LT30|×100 ……(5)
上記により求めたrM、およびrTを用いて、下記式(6)により、本発明におけるrの値をを求めることができる。
r=rM+rT ……(6)
rT=|(LT30−LT’)/LT30|×100 ……(5)
上記により求めたrM、およびrTを用いて、下記式(6)により、本発明におけるrの値をを求めることができる。
r=rM+rT ……(6)
本発明の第1の発明の積層ポリエステフィルムでは、ポリエステルフィルムに、本発明にかかる樹脂層が積層され、さらに積層ポリエステルフィルムが上記式(2)を満足した場合に、ハンダ付けを行った際のフィルムの変形を防ぐことができる。
本発明の上記式中のrの値が17%より大きいと、ハンダ付けを行った際に、フィルムが大きく変形したり、フィルムの平面性が損なわれてしまう。上記式中のrの値は、好ましくは17%以下であり、より好ましくは12%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
本発明における第2の発明では、積層ポリエステルフィルムに14g/mm2 の張力をかけながら260℃まで昇温したときに切断しないことが必要である。
14g/mm2 の張力をかけながら260℃まで昇温したときに切断しないことを確認するための方法としては、本来は、特に限定されないものであるが、本発明では、後述のように、熱機械測定装置(TMA)を用いる方法を採用するものである。TMAを用いて、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、14g/mm2 の張力をかけ、30℃から260℃まで昇温速度15℃/分で昇温させ、10分間保持する測定を行い、この測定の途中でフィルムの切断有無を確認する方法を用いることができる。
本発明における第2の発明では、積層ポリエステルフィルムに、本発明の樹脂層が積層され、さらに積層ポリエステルフィルムが14g/mm2 の張力をかけながら260℃まで昇温したときに切断しない場合に、高温加工時においてもフィルムが溶融して穴が空いたりすることなく加工可能となる。また、フィルムの平面性を維持したまま、高温での加工が可能となる。さらには、ハンダ付けの温度が高い場合でも大きく変形することがなくなる。
積層ポリエステルフィルムが、14g/mm2 の張力をかけながら260℃まで昇温したときに切断してしまう場合には、高温加工時に、フィルムが溶融して穴が空いてしまったり、平面性が損なわれたり、ハンダ付けの際に大きく変形したりする。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどがあり、これらの2種以上が混合されたものであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、これらに他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。ポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gであることがより好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルムは二軸配向されたものであることが、機械的特性や寸法安定性の点で望ましい。二軸配向しているとは、例えば、未延伸すなわち結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ2.5〜5.0倍程度延伸し、その後、熱処理により結晶配向を完了させたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、50℃より大きく、100℃より小さいことが好ましい。Tgが50℃以下である場合には、熱をかけた際の寸法安定性、平面性が損なわれることがあり、好ましくない。Tgが100℃以上の場合には、フィルムの成型加工性が悪くなる場合があり、好ましくない。
本発明に使用するポリエステルフィルムは単膜フィルムである必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲内ならば、内層と表層の2層以上の複合体フィルムとしてもよい。例えば、内層は実質的に粒子を含有せず、表層に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層は粗大粒子を含有し、表層に微細粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層が微細な気泡を含有した層であって表層は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられる。また、上記複合体フィルムは内層と表層が異種のポリエステルであっても同種のポリエステルであってもよい。
本発明においては、ポリエステルフィルムと樹脂層との間にプライマー層が積層されていることが好ましい。ここで、プライマー層とは、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性を高める効果を有する層である。ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が高いと、難燃性フィルムを加工する加工工程において、樹脂層がはがれる等ので不都合を生じにくく、かつ、難燃性の効果も向上する。プライマー層の積層方法は、特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルムとの共押出によって設ける方法、ポリエステルフィルムおよび/または樹脂層にプライマー層形成成分を溶解した溶液を塗布後、乾燥する方法など任意である。
プライマー層の材料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、異なる2種類以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂は、変性体であってもよく共重合体であってもよい。また、プライマー層には、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
中でも、プライマー層にオキサゾリン基を有する化合物を含むことが特に好ましい。プライマー層にオキサゾリン基を有する化合物が含まれていると、溶剤に浸したり、高温高湿下におかれた場合でもポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が低下することがないため、好ましい。さらには、プライマー層にオキサゾリン基を有する化合物およびポリエステル樹脂を含むことが、溶剤処理および湿熱処理を行った後の、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性の点で、より好ましい。溶剤処理後の接着性が高いと、難燃性フィルムに対して、溶剤を用いた加工を行っても、樹脂層がはがれる等の不都合を生じにくいので好ましい。また、湿熱処理後の接着性が高いと、難燃性フィルムを加工して、電気絶縁材料として使用する際に、耐環境性が高くなるので好ましい。
本発明において用いられるオキサゾリン基を有する化合物は、官能基としてオキサゾリン基を有する化合物であれば良いが、オキサゾリン基を有するモノマーを少なくとも1種含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーと共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体が好ましい。
ここで、オキサゾリン基を有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができる。これらは、単独でも、または2種以上を併用して使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
また、オキサゾリン基を有するモノマーと共重合させる他のモノマーとしては、オキサゾリン基を有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に限定されない。具体的には、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができる。これらは単独でも、または2種以上を併用して使用することもできる。
本発明において、ポリエステルフィルム、樹脂層およびプライマー層には、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
これらの中でも無機の粒子、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末などを添加した場合には易滑性、耐傷性などが向上するので好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜1μm程度である。また、その添加量は、ポリエステルフィルム、樹脂層およびプライマー層のそれぞれに対して、0.05〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムを得る好ましい製造方法について、以下に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートを押出機に供給し、Tダイより押出し、シート状に成形する。このシートをポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度以上に加熱し、長手方向に延伸する。ここで、プライマー層形成用の塗布液をポリエチレンテレフタレートフィルム両面に塗布した後、このフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導きポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度以上に加熱し、幅方向に延伸し、ひき続き200〜250℃で熱処理を行い、プライマー層を積層したポリエステルフィルムを得る。次いで、N−メチル−2−ピロリドンに溶解したポリアミド酸溶液に、水酸化アルミニウムを添加した溶液をバーコート法でフィルム両面のプライマー層上に塗布して、乾燥し、150〜250℃で脱水閉環を行って積層ポリエステルフィルムとする。
特に本発明では、前述したように、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層とするためには、樹脂層に非可燃性ガスを発生する化合物、特に平均粒子径1.5μm以下の無機水酸化物および/またはトリアジン系化合物を、樹脂層の1〜65重量%添加することにより達成できる。
また、15≦(Wc1 −Wc2 )/Wc0 ×100≦99を満足する樹脂層とするためには、樹脂層を、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分で構成することが重要である。
さらに、r値をr≦17%を満足させるためや、14g/mm2 の張力をかけながら260℃まで昇温したときに切断することのない積層ポリエステルフィルムとするには、樹脂層が、非可燃性ガスを発生する化合物、特に平均粒子径1.5μm以下の無機水酸化物および/またはトリアジン系化合物および芳香族ポリイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分で構成され、積層ポリエステルフィルム全体厚みに対する樹脂層厚みの割合が0.5〜30%であり、非可燃性ガスを発生する化合物の添加量が樹脂層に対しては1〜65重量%、積層ポリエステルフィルム全体に対しては0.01〜20重量%であることが重要である。
樹脂成分としてポリアミド酸を前駆体とするポリイミドを用いる場合には、十分に脱水閉環してポリイミドになった割合を高くすることが重要であるため、触媒としてヒドロキシピリジン系化合物や、イミダゾール系化合物をポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上加え、150〜250℃で脱水閉環することが重要である。
積層ポリエステルフィルムの厚みは、通常、5〜500μm程度であり、用途に応じて適宜選択することができる。
このようにして得られた本発明の積層ポリエステルフィルムは、難燃性、およびハンダ付けなどの高温加工性に優れたものである。また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム中に難燃剤を添加したり、ポリエステルにハロゲン含有成分、リン含有成分を共重合したりしなくても、十分な難燃性を有するため、ポリエステルフィルム本来の機械的特性を低下させずに難燃性を持たせることができる。また、ダイオキシンや加工工程を汚染するようなガスの発生も抑制することができる。そのため本発明の積層ポリエステルフィルムは、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、フラットケーブル、絶縁モーター、電子部品などの電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用できる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)熱重量測定
積層ポリエステルフィルムの樹脂層部分を採取したサンプルを用いて、(株)島津製作所製の熱重量測定装置TGA−50により50ml/分で空気を流した雰囲気中で重量測定を行った。このとき熱処理前25℃における試料の重量Wc0 、試料を室温から800℃まで10℃/分にて昇温し、600℃に到達したときの試料の重量Wc1 、800℃に到達したときの試料の重量Wc2 を求め、下記式(1)の値を計算した。
(Wc1 −Wc2)/Wc0 ×100(%) ……(1)
サンプル重量は15mg程度とし、n数は3として、それぞれの(1)式の値の平均値をとったものである。
積層ポリエステルフィルムの樹脂層部分を採取したサンプルを用いて、(株)島津製作所製の熱重量測定装置TGA−50により50ml/分で空気を流した雰囲気中で重量測定を行った。このとき熱処理前25℃における試料の重量Wc0 、試料を室温から800℃まで10℃/分にて昇温し、600℃に到達したときの試料の重量Wc1 、800℃に到達したときの試料の重量Wc2 を求め、下記式(1)の値を計算した。
(Wc1 −Wc2)/Wc0 ×100(%) ……(1)
サンプル重量は15mg程度とし、n数は3として、それぞれの(1)式の値の平均値をとったものである。
(2)非可燃性ガス発生率
前述したように、積層ポリエステルフィルムの樹脂層部分を採取したサンプルを用いて、(株)島津製作所製の熱天秤TG−40および(株)島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計GCMS−QP1000を接続管により接続した装置を用いて、熱重量−質量分析(TG−MS)を行い、発生したガスの成分および発生量を分析した。熱天秤TG−40は大気の漏れ込みを防止する改造を行って使用した。サンプルの重量Wg0 と発生した非可燃性ガスの重量Wg1 から以下の式(3)により非可燃性ガス発生率を求めた。
Wg1 /Wg0 ×100(%) ……(3)
測定は50ml/分でヘリウムガスを流した雰囲気中で行い、熱天秤の昇温速度は10℃/分、最高到達温度は500℃とした。
前述したように、積層ポリエステルフィルムの樹脂層部分を採取したサンプルを用いて、(株)島津製作所製の熱天秤TG−40および(株)島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計GCMS−QP1000を接続管により接続した装置を用いて、熱重量−質量分析(TG−MS)を行い、発生したガスの成分および発生量を分析した。熱天秤TG−40は大気の漏れ込みを防止する改造を行って使用した。サンプルの重量Wg0 と発生した非可燃性ガスの重量Wg1 から以下の式(3)により非可燃性ガス発生率を求めた。
Wg1 /Wg0 ×100(%) ……(3)
測定は50ml/分でヘリウムガスを流した雰囲気中で行い、熱天秤の昇温速度は10℃/分、最高到達温度は500℃とした。
なお、180から450℃の昇温を行った過程においての非可燃性ガス発生率を求めるものであるが、すなわち、上限450℃範囲までのデータを使用するのであるが、より安定して精度の良いデータをとるために、昇温は500℃まで行って、その中の180〜450℃までの間で得られたデータを使って、非可燃性ガスの重量Wg1 を求めるものである。
(3)最大寸法変化率
熱機械測定装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、14g/mm2 の張力をかけた。このとき、積層ポリエステルフィルムの長手方向を長さ方向とした。続いて、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温させ、続いて、30℃から250℃まで到達させた後、10分間保持した。張力の付与状態は当初から最後まで同様である。
熱機械測定装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、14g/mm2 の張力をかけた。このとき、積層ポリエステルフィルムの長手方向を長さ方向とした。続いて、30℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温させ、続いて、30℃から250℃まで到達させた後、10分間保持した。張力の付与状態は当初から最後まで同様である。
なお、後述のように、上限245℃範囲までのデータを使用するのであるが、より安定して精度の良いデータをとるために、昇温は250℃まで行って、その中から30℃〜245℃までの間の測定データを抽出した。
このとき、昇温時の寸法変化量から、下記式(4)により長手方向の最大寸法変化率の絶対値rMを求めた。
rM=|(LM30−LM’)/LM30|×100 ……(4)
LM30:30℃におけるフィルム長さ
LM’:昇温時30℃〜245℃の間で、LM30を基準として寸法変化が最大となったときの長さ
rM=|(LM30−LM’)/LM30|×100 ……(4)
LM30:30℃におけるフィルム長さ
LM’:昇温時30℃〜245℃の間で、LM30を基準として寸法変化が最大となったときの長さ
次に、積層ポリエステルフィルムの幅方向を長さ方向としたサンプルに対しても同様の測定を行い、下記式(5)により幅方向の最大寸法変化率の絶対値rTを求めた。
rT=|(LT30−LT’)/LT30|×100 ……(5)
LT30:30℃におけるフィルム長さ
LT’:昇温時30℃〜245℃の間で、LT30を基準として寸法変化が最大となったときの長さ
rT=|(LT30−LT’)/LT30|×100 ……(5)
LT30:30℃におけるフィルム長さ
LT’:昇温時30℃〜245℃の間で、LT30を基準として寸法変化が最大となったときの長さ
上記により求めたrM、およびrTより、下記式(6)により最大寸法変化率の絶対値の和rを求めた。
r=rM+rT ……(6)
r=rM+rT ……(6)
なお、本発明におけるr値の定義において「ある一方向」とあるが、該ある一方向とは、配向したフィルムであるときには、最も配向が強い方向をいうものである。配向が強い方向を求める方法としては、マイクロ波分子配向計を用いる方法が挙げられる。100×100mmの寸法で切り出したものを測定サンプルとし、KSシステムズ(株)(現 王子計測機器(株))の分子配向計MOA−2001(周波数4GHz)にセットして、フィルム全方位のマイクロ波強度を測定する。このとき、マイクロ波強度が最小になった方向が最も配向が強い方向である。なお、上記測定器を用いて測定すれば、フィルムを測定器にセットしたときのセット軸と、配向が最も強い方向との角度が配向角として出力されるので、セット軸から配向角分だけ傾いた方向を、配向が最も強い方向とすることができる。
(4)高温処理時のフィルム切断の有無
熱機械測定装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、14g/mm2 の張力をかけた。続いて、30℃から260℃まで昇温速度15℃/分で昇温させ260℃まで到達した後、引き続いて10分間保持した。n数は3個で、この測定の途中で、3つのうち1つでもフィルムが切断してしまったサンプルを高温熱処理時のフィルム切断有り、3つとも切断しなかったサンプルを高温処理時のフィルム切断無しと判定した。
熱機械測定装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、14g/mm2 の張力をかけた。続いて、30℃から260℃まで昇温速度15℃/分で昇温させ260℃まで到達した後、引き続いて10分間保持した。n数は3個で、この測定の途中で、3つのうち1つでもフィルムが切断してしまったサンプルを高温熱処理時のフィルム切断有り、3つとも切断しなかったサンプルを高温処理時のフィルム切断無しと判定した。
(5)難燃性
積層ポリエステルフィルムを50mm×200mmの短冊状に切り出した試料を、直径が12.7mm、長さが200mmの筒状になるように丸めた。この筒状にした試料を長手方向が地面と垂直方向になるようにして、長手方向の上端を把持し、下端を、約20mmの火炎に3秒間さらした後、離炎した。このとき、離炎後の試料の燃焼時間を測定した(1回目接炎時の燃焼時間)。次に、試料が燃え尽きずに消火された場合、消火後に1回目と同様にして2回目の接炎・離炎を行い、離炎後のフィルムの燃焼時間を測定した(2回目接炎時の燃焼時間)。この試験を5つの試料に対して繰り返し行った。難燃性は、5つの試料の1回目、2回目接炎時の燃焼時間の合計を3段階(◎:35秒未満で自己消火する、○:35〜50秒で自己消火する、×:50秒以内に自己消火しないまたは燃焼粒の滴下が生じる)で評価した。◎、○を良好とした。
積層ポリエステルフィルムを50mm×200mmの短冊状に切り出した試料を、直径が12.7mm、長さが200mmの筒状になるように丸めた。この筒状にした試料を長手方向が地面と垂直方向になるようにして、長手方向の上端を把持し、下端を、約20mmの火炎に3秒間さらした後、離炎した。このとき、離炎後の試料の燃焼時間を測定した(1回目接炎時の燃焼時間)。次に、試料が燃え尽きずに消火された場合、消火後に1回目と同様にして2回目の接炎・離炎を行い、離炎後のフィルムの燃焼時間を測定した(2回目接炎時の燃焼時間)。この試験を5つの試料に対して繰り返し行った。難燃性は、5つの試料の1回目、2回目接炎時の燃焼時間の合計を3段階(◎:35秒未満で自己消火する、○:35〜50秒で自己消火する、×:50秒以内に自己消火しないまたは燃焼粒の滴下が生じる)で評価した。◎、○を良好とした。
(6)耐ハンダ性
270℃に昇温したハンダを充填した浴槽に50mm×50mmに切り出したサンプルを10秒間浮かべてからピンセットを使って引き上げる操作を行った。耐ハンダ性は、2段階(○:サンプルを浴槽からフィルム状態のまま引き上げることができる、×:サンプルを引き上げる際に変形して固まり状になってしまう)で評価した。
270℃に昇温したハンダを充填した浴槽に50mm×50mmに切り出したサンプルを10秒間浮かべてからピンセットを使って引き上げる操作を行った。耐ハンダ性は、2段階(○:サンプルを浴槽からフィルム状態のまま引き上げることができる、×:サンプルを引き上げる際に変形して固まり状になってしまう)で評価した。
(7)高温加工性
サンプルを285℃に昇温したプレス機でプレス加工した。プレス加工後のフィルムの表面状態を観察し、高温加工性を2段階(○:サンプルがプレス機からフィルム状態のまま取り出せる、×:サンプルがプレス機に溶融粘着してしまい取り出せない)で評価した。
サンプルを285℃に昇温したプレス機でプレス加工した。プレス加工後のフィルムの表面状態を観察し、高温加工性を2段階(○:サンプルがプレス機からフィルム状態のまま取り出せる、×:サンプルがプレス機に溶融粘着してしまい取り出せない)で評価した。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、使用した塗布液等について記載する。
<樹脂層形成用の塗布液>
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量した4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチル−2−ピロリドンとともに加え、撹拌して溶解した。次に、この溶液にピロメリット酸二無水物を4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100モルに対して100モル、反応温度が60℃以下になるように添加した。その後、粘度が一定になったところ(重合の終点)で重合を終了し、ポリアミド酸の重合溶液を得た。この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10重量%になるように希釈した後、水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト”(登録商標)H−43M、平均粒子径0.75μm)を固形分濃度が10重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分重量比でポリアミド酸/水酸化アルミニウム=70/30となるようにした。さらに塗布前に2−メチルイミダゾールをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Aとした。
(2)塗布液B
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で30/70とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液Bを調整した。
(3)塗布液C
水酸化アルミニウム粒子の代わりにコロイダルシリカのN−メチル−2−ピロリドン分散体(触媒化成工業(株)製“OSCAL”(登録商標)5116、固形分濃度10重量%)を用いてシリカ粒子を添加した以外は塗布液Bと同様にして塗布液Cを調整した。
(4)塗布液D
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で97/3とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液Dを調整した。
(5)塗布液E
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で40/60とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液Eを調整した。
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量した4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチル−2−ピロリドンとともに加え、撹拌して溶解した。次に、この溶液にピロメリット酸二無水物を4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100モルに対して100モル、反応温度が60℃以下になるように添加した。その後、粘度が一定になったところ(重合の終点)で重合を終了し、ポリアミド酸の重合溶液を得た。この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10重量%になるように希釈した後、水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト”(登録商標)H−43M、平均粒子径0.75μm)を固形分濃度が10重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分重量比でポリアミド酸/水酸化アルミニウム=70/30となるようにした。さらに塗布前に2−メチルイミダゾールをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Aとした。
(2)塗布液B
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で30/70とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液Bを調整した。
(3)塗布液C
水酸化アルミニウム粒子の代わりにコロイダルシリカのN−メチル−2−ピロリドン分散体(触媒化成工業(株)製“OSCAL”(登録商標)5116、固形分濃度10重量%)を用いてシリカ粒子を添加した以外は塗布液Bと同様にして塗布液Cを調整した。
(4)塗布液D
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で97/3とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液Dを調整した。
(5)塗布液E
ポリアミド酸/水酸化アルミニウムの混合比を固形分重量比で40/60とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液Eを調整した。
<プライマー層形成用の塗布液>
(1)塗布液1
下記のポリエステル樹脂1に対して、オキサゾリン基含有化合物として、(株)日本触媒製“エポクロス”(登録商標)WS−700を、固形分重量比で75/25となるように混合し、固形分濃度を3重量%としたものをプライマー層形成用の塗布液1とした。
・ポリエステル樹脂1:
・酸成分
テレフタル酸 60モル%
イソフタル酸 14モル%
トリメリット酸 20モル%
セバチン酸 6モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 28モル%
ネオペンチルグリコール 38モル%
1,4−ブタンジオール 34モル%
上記ポリエステル樹脂1(Tg:20℃)をアンモニア水で水性化した水分散体とした。
(1)塗布液1
下記のポリエステル樹脂1に対して、オキサゾリン基含有化合物として、(株)日本触媒製“エポクロス”(登録商標)WS−700を、固形分重量比で75/25となるように混合し、固形分濃度を3重量%としたものをプライマー層形成用の塗布液1とした。
・ポリエステル樹脂1:
・酸成分
テレフタル酸 60モル%
イソフタル酸 14モル%
トリメリット酸 20モル%
セバチン酸 6モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 28モル%
ネオペンチルグリコール 38モル%
1,4−ブタンジオール 34モル%
上記ポリエステル樹脂1(Tg:20℃)をアンモニア水で水性化した水分散体とした。
実施例1
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)を十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(以降、「基材PETフィルム」と呼ぶ)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとした。基材PETフィルムの両面にプライマー層形成用の塗布液として、塗布液1を塗布した。ついで、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材PETフィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、220℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了したPETフィルムを得た。さらにこのPETフィルムの両面に、塗布液Aを塗布し、130℃で乾燥後、210℃で熱処理して積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムは、全体の厚みが90μm、樹脂層の厚みが片面当たり2.0μmであった。
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)を十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(以降、「基材PETフィルム」と呼ぶ)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとした。基材PETフィルムの両面にプライマー層形成用の塗布液として、塗布液1を塗布した。ついで、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材PETフィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、220℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了したPETフィルムを得た。さらにこのPETフィルムの両面に、塗布液Aを塗布し、130℃で乾燥後、210℃で熱処理して積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムは、全体の厚みが90μm、樹脂層の厚みが片面当たり2.0μmであった。
実施例2、3
塗布液Aの代わりに、PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液D、塗布液Eを塗布し、フィルム全体の厚みを60μm、樹脂層の厚みを片面あたり1.5μmとした以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
塗布液Aの代わりに、PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液D、塗布液Eを塗布し、フィルム全体の厚みを60μm、樹脂層の厚みを片面あたり1.5μmとした以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例1、2
塗布液Aの代わりに、PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液B、塗布液Cを塗布した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
塗布液Aの代わりに、PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液B、塗布液Cを塗布した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
比較例3
塗布液Aを塗布しない以外は実施例1と同様にして、厚み90μmのPETフィルムを得た。
塗布液Aを塗布しない以外は実施例1と同様にして、厚み90μmのPETフィルムを得た。
実施例1〜3、比較例1〜3の特性評価の結果を表1に示す。実施例1〜3は全ての項目において良好であったが、比較例1〜3はいずれかの項目で不良な点があった。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、難燃性、およびハンダ付けなどの高温加工性に優れるフィルムである。本発明の積層ポリエステルフィルムは、電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用できるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
Claims (7)
- ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、さらに下記式(2)を満足する積層ポリエステルフィルム。
15≦(Wc1 −Wc2 )/Wc0 ×100≦99 ……(1)
(Wc0は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の樹脂層の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の樹脂層の重量をそれぞれ表す。)
r≦17% ……(2)
(rは、30℃から245℃まで連続的に昇温を行った際の、フィルム面内のある一方向とそれと直交する方向の最大寸法変化率の絶対値の和である。) - ポリエステルフィルムの両面に、下記式(1)を満足し、かつ、180〜450℃における非可燃性ガス発生率が3〜40%である樹脂層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、さらに14g/mm2 の張力をかけながら260℃まで昇温したときに切断することのない積層ポリエステルフィルム。
15≦(Wc1 −Wc2 )/Wc0 ×100≦99 ……(1)
(Wc0 は25℃、空気中における樹脂層の重量、Wc1 は樹脂層を空気中で25℃から600℃まで昇温した後の重量、Wc2 は樹脂層を空気中で25℃から800℃まで昇温した後の重量をそれぞれ表す。) - 上記式(2)におけるrが10%以下である請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 樹脂層が、樹脂成分と非可燃性ガスを発生する化合物を含有する請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 非可燃性ガスを発生する化合物が、無機水酸化物またはトリアジン系化合物である請求項4に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 樹脂層が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分を含む請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムが二軸配向ポリエステルフィルムである請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004206873A JP2006026994A (ja) | 2004-07-14 | 2004-07-14 | 積層ポリエステルフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2006026994A true JP2006026994A (ja) | 2006-02-02 |
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Family Applications (1)
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JP2004206873A Pending JP2006026994A (ja) | 2004-07-14 | 2004-07-14 | 積層ポリエステルフィルム |
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Country | Link |
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-
2004
- 2004-07-14 JP JP2004206873A patent/JP2006026994A/ja active Pending
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