JP2012011555A - 難燃性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】
高熱伝導率性、高電気絶縁性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用したフレキシブルプリント基板を提供すること
【解決手段】
高分子フィルムの両面に、熱可塑性樹脂層が積層されている難燃性フィルムであって、該高分子フィルムの厚みが1〜200μmの範囲でかつ、該熱可塑性樹脂層の片面あたりの厚みが0.05〜10μmの範囲であり、該熱可塑性樹脂層が水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムである無機水酸化物と単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上でかつ体積固有抵抗が0.1Ω・cm以上の高熱伝導性無機化合物とを含有し、前記無機水酸化物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜130質量部であり、前記高熱伝導性無機化合物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し10〜200質量部である難燃性フィルム。
【選択図】なし
高熱伝導率性、高電気絶縁性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用したフレキシブルプリント基板を提供すること
【解決手段】
高分子フィルムの両面に、熱可塑性樹脂層が積層されている難燃性フィルムであって、該高分子フィルムの厚みが1〜200μmの範囲でかつ、該熱可塑性樹脂層の片面あたりの厚みが0.05〜10μmの範囲であり、該熱可塑性樹脂層が水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムである無機水酸化物と単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上でかつ体積固有抵抗が0.1Ω・cm以上の高熱伝導性無機化合物とを含有し、前記無機水酸化物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜130質量部であり、前記高熱伝導性無機化合物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し10〜200質量部である難燃性フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は高熱伝導率性、高電気絶縁性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用したフレキシブルプリント基板に関するものである。
近年におけるエレクトロニクス技術の発達によって電気電子機器の高性能化、多機能化、小型化、軽量化が進むことにともない、それらの材料も金属材料からプラスチック材料への転換が進んでいる。プラスチック材料のなかでも、軽量でありフレキシブル性能をもつ高分子フィルムへの転換が顕著に進んでいる。
同時に電気電子機器用の部品、例えば発光体、半導体、抵抗体、コンデンサなどの発熱部品も高性能化、小型化が進み、それら部品の使用電力と発生される発熱量も増加の一途であるため、それら部品が接続されている電子基板の放熱対策と電気絶縁対策が問題となっている。
同時に電気電子機器用の部品、例えば発光体、半導体、抵抗体、コンデンサなどの発熱部品も高性能化、小型化が進み、それら部品の使用電力と発生される発熱量も増加の一途であるため、それら部品が接続されている電子基板の放熱対策と電気絶縁対策が問題となっている。
放熱対策に関して、従来は、発熱部品の電気電子機器内適正配置ですむ場合、そうでないときは小型ファンモータ等の放熱器の利用が一般的であった。しかしながら、ノート型パソコン、携帯電話機など、薄型軽量化(小型化)が特に追求されるような電気電子機器では、熱設計は難しくなるばかりで上記対策のみでは放熱しきれなくなってきている。そこで、発熱部品が接続されている電子基板に放熱性の高い金属放熱板を背面に密着されることが一般的に行われている。
電子基板用高分子フィルムにも電気電子機器内部の発熱に対する耐熱性とともに、優れた放熱性(熱伝導率性)を求められているが、高分子フィルムは一般的に熱伝導率の低い材料であるため、その高分子フィルムに金属や熱伝導性の良好な無機充填材を添加して高熱伝導率とする方法が種々検討されている(特許文献1〜3)。
しかし、この対策では添加した無機充填材のために、電気絶縁性が添加する前より低下してしまうため金属放熱板やその他電気電子部品などとの電気絶縁性が維持できなくなる問題がある。
しかし、この対策では添加した無機充填材のために、電気絶縁性が添加する前より低下してしまうため金属放熱板やその他電気電子部品などとの電気絶縁性が維持できなくなる問題がある。
一方、発熱部品の基板には、発熱部品の突然の発火に際し、その燃焼が広がらないような難燃性も求められている。高分子フィルムの中には熱によって軟化あるいは溶融し、かつ燃焼しやすいものがある。それらの特徴のある高分子フィルムには難燃性を向上させるために、臭素系やリン系などの難燃材を練り込む方法などが提案されている(特許文献4)。
しかし、この方法では繰り返し炎にさらされた場合には燃焼が拡大するなどの問題があり難燃性能が不十分であったことと、混入させている難燃材が燃焼条件によってはダイオキシン等を発生させることが懸念されている。
また、混入された難燃材が原因で電気絶縁性が添加する前より低下してしまうため金属放熱板やその他電気電子部品などとの電気絶縁性が維持できなくなる問題がある。
そこで本発明は、このような従来技術の問題を踏まえ、高熱伝導率性、高電気絶縁性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用したフレキシブルプリント基板を提供することを目的とするものである。
かかる目的を達成するため本発明の難燃性フィルムは、以下の構造を有する。すなわち、高分子フィルムの両面に、熱可塑性樹脂層が積層されている難燃性フィルムであって、該高分子フィルムの厚みが1〜200μmの範囲でかつ、該熱可塑性樹脂層の片面あたりの厚みが0.05〜10μmの範囲であり、該熱可塑性樹脂層が水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物と単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上でかつ体積固有抵抗が0.1Ω・cm以上の高熱伝導性無機化合物とを含有し、前記無機水酸化物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜130質量部であり、前記高熱伝導性無機化合物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し10〜200質量部である難燃性フィルムである。
本発明の難燃性フィルムは、高熱伝導率性、高電気絶縁性、難燃性に優れたフィルムである。
本発明において熱可塑性樹脂層は高分子フィルムの両面に積層されている。両面に積層することにより、難燃性がより効果的に発現できるためである。また熱可塑性樹脂層のみでは含有されている無機水酸化物と高熱伝導性無機化合物の影響で電気絶縁性が低下し、一方、高分子フィルムのみでは、難燃性と熱伝導率が十分とならない。
本発明の構成のうち、熱可塑性樹脂層に無機水酸化物や高熱伝導率性無機化合物を含有させると、熱可塑性樹脂単独の場合より電気絶縁性が低下してしまうメカニズムについて詳細は不明であるが、以下のように推測している。すなわち、電圧を印加した際に含有された無機水酸化物や高熱伝導率性無機化合物とその周辺の熱可塑性樹脂との電気抵抗の違いから、無機水酸化物や高熱伝導率性無機化合物などの電気抵抗の低い物質に電界集中が発生し、絶縁破壊されやすくなると推測している。
本発明の構成で難燃性の効果が発現するメカニズムについて詳細は不明であるが、以下のように推測している。すなわち、本発明の難燃性フィルムが炎にさらされた場合に、難燃性フィルムの両面の熱可塑性樹脂層に含まれる無機水酸化物が分解して発生した非可燃性ガスが、高分子フィルムから発生した可燃性ガスを希釈する効果と、熱可塑性樹脂層が難燃性の炭化層として残存し、両面の難燃炭化層が高分子フィルム全体を被覆するように融着する効果が組み合わされることにより、高い難燃性が発現するものと推測している。ここでの非可燃性ガスとは、水および/または水蒸気である。
本発明の難燃性フィルムは、高熱伝導率と高電気絶縁性と難燃性を同時に満たすことができる。すなわち、本発明の難燃性フィルムを用いると、熱伝導率が0.3W/m・K以上であり、かつ絶縁破壊電圧が140kV/mm以上であり、かつ難燃性能はUL94のVTM−0規格を満たすことができ、高熱伝導率性、高耐電圧性、難燃性に優れた難燃性フィルムを提供することができる。
難燃性フィルムの熱伝導率が0.3W/m・K以上であると電気電子機器用の部品に使用した際、放熱が十分にできるため、その他電気電子機器用の部品の故障を低減することができる。同様に、絶縁破壊電圧が140kV/mm以上であると電気電子機器の部品に電圧が印加された際に、難燃性フィルムが導通してしまうということが防止でき、電気電子機器の部品の故障が抑制できる。また、難燃性能がUL94のVTM−0規格を満たしていると、電気電子機器の部品がなにかしらの原因で発火したとしても、難燃性フィルムに引火し炎上を広げることを防止することができる。
本発明において使用する高分子フィルムはその機械特性および電気特性からポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムが好ましく用いられ、特にポリエステルフィルムが好ましく用いられる。本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどがあり、これらの2種以上が混合されたものであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、これらに他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。
本発明において使用する高分子フィルムは単膜フィルムである必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲内ならば、2層以上の複合体フィルムとしてもよい。例えば、内層は実質的に粒子を含有せず、表層に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層は粗大粒子を含有し、表層に微細粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層が微細な気泡を含有した層であって表層は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられる。また、上記例において複合体フィルムは内層と表層が異種の高分子フィルムであっても同種の高分子フィルムであってもよい。
高分子フィルムの厚みは1〜200μmの範囲が好ましく、10〜150μmの範囲がより好ましい。高分子フィルムの厚みが1μm未満であると、熱可塑性樹脂に含有されている無機水酸化物および高熱伝導率性無機化合物の影響により電気絶縁性が低下する。また、200μmより大きくなると高分子フィルムが炎にさらされた場合に熱可塑性樹脂から発生する非可燃性ガスによる、高分子フィルムから発生した可燃性ガスを希釈する効果が追いつかなることと、高分子フィルムが厚いため両面の熱可塑性樹脂層の層間距離が長くなり、熱可塑性樹脂層が難燃性の炭化層として残存はするが、その両面の難燃炭化層が高分子フィルムの端面も含んだ全体を被覆するように融着しにくくなり高分子フィルム全体を被覆する効果が弱まり、難燃性能が低下する。
本発明においては、高分子フィルムと熱可塑性樹脂層との間にプライマー層が積層されていてもよい。ここで、プライマー層とは、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性を高める効果を有する層である。高分子フィルムと熱可塑性樹脂層との接着性が高いと、難燃性フィルムを加工する加工工程において、樹脂層がはがれる等の不都合を生じにくくなる。プライマー層の積層方法は特に限定されず、例えば、高分子フィルムとの共押出によって設ける方法、高分子フィルムおよび/または熱可塑性樹脂層にプライマー層形成成分を溶解した溶液を塗布後、乾燥する方法など任意である。プライマー層の材料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、異なる2種類以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂は、変性体であってもよく共重合体であってもよい。また、プライマー層には、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
本発明において熱可塑性樹脂層を形成する樹脂成分は、高い耐熱性を有する樹脂が好ましい。例としては、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた樹脂成分が好ましい。特に、ポリイミドが、難燃性の点から、最も好ましい。本発明において用いられるポリイミドは特に限定されないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましい。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミド以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
このポリイミドは公知の方法によって製造することができる。例えば、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物とを脱水縮合することにより、ポリアミド酸を得る。次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いてポリアミド酸を脱水閉環する。または、テトラカルボン酸無水物とジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法などを例示することができる。
上記ポリイミドの製造方法において、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いて脱水閉環する方法を用いる場合には、以下の脱水剤や触媒が好適に用いられる。
脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また、触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。本発明においては、これらの中でも特にヒドロキシピリジン系化合物、イミダゾール系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を触媒として用いることが好ましい。
ヒドロキシピリジン系化合物、イミダゾール系化合物には脱水閉環反応を促進する効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することにより低温、かつ、短時間の熱処理で脱水閉環できるので、生産効率が良くなるため好ましい。その使用量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対してかかる好ましい範囲であると、低温、かつ、短時間においても脱水閉環させる効果を十分に維持できる。脱水閉環しないポリアミド酸繰り返し単位が残存していても良いが、ポリアミド酸が十分に脱水閉環して、ポリイミドになった割合が高くなると、樹脂層の耐溶剤性および耐湿熱性が向上するため、より好ましい。添加量の上限は特に限定されないが、原料価格を低く抑える観点から一般にポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚みは、片面当たり0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2.5μmである。熱可塑性樹脂層厚みが0.05μmより薄い場合は難燃性の効果が薄れ、熱可塑性樹脂層の厚みが10μmより厚い場合には、高分子フィルムと熱可塑性樹脂層との接着性が低下する。
本発明における熱可塑性樹脂層は、樹脂成分以外に前記非可燃性ガスを発生する化合物を含有することが好ましい。非可燃性ガスを発生する化合物を含有させることによって、非可燃性ガスの発生率を好ましい範囲に制御しやすくなり、前記の難燃性の効果が発現しやすくなる。非可燃性ガスを発生する化合物としては、特に限定されないが、難燃性の点から、無機水酸化物が好ましい。
無機水酸化物としては水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選ばれるが、両方を含んでいても良い。難燃性の点で特に好ましいのは水酸化マグネシウムである。また、水酸化アルミニウムは、熱可塑性樹脂層を高温高湿下においた場合でも、樹脂層の劣化を促進することが少ないため好ましい。これらを2種類組み合わせで使用してもかまわない。
これらの無機水酸化物の平均粒子径は0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm以下である。平均粒子径が小さいなるほど難燃性能が向上するが、0.01μmより小さくすると、熱可塑性樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の熱可塑性樹脂の粘性が増加してしまうため、高分子フィルム上に熱可塑性樹脂層を積層することが難しくなる。また平均粒子径が5μmより大きくなると、熱可塑性樹脂と高分子フィルムの密着性が悪くなる。
ここでの平均粒子径は、N−メチル−2−ピロリドンで1mol/lに希釈した無機水酸化物10mlを、超音波分散処理を30秒行ったあと、レーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所製、商品名、LA−950)を使用し測定を行い、その体積平均での平均径値を平均粒子径値とする。レーザー回折式粒度分布計で平均粒子径の測定を行う際、同時に累積頻度%径(10%、100%)を求めることができる。本発明において、無機水酸化物の累積頻度%径(10%)は平均粒子径の0.5倍以上であることが好ましく、累積頻度%径(100%)は平均粒子径の2倍以下であることが好ましい。無機水酸化物の累積頻度%径(10%)が平均粒子径の0.5倍より小さいと熱可塑性樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の熱可塑性樹脂の粘性が増加してしまう。また累積頻度%径(100%)が平均粒子径の2倍より大きいと、熱可塑性樹脂と高分子フィルムの密着性が悪くなる。
無機水酸化物の熱可塑性樹脂に対する含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、1〜130質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。熱可塑性樹脂100質量部に対し、無機水酸化物が1質量部より小さくなると、非可燃性ガスの発生が小さくなり、難燃性能が低下する。一方、無機水酸化物が130質量部より大きくなると熱可塑性樹脂層が脆くなったり、高分子フィルムと熱可塑性樹脂との密着性が低下してしまう。
本発明における熱可塑性樹脂層は、熱伝導率を向上させるために高熱伝導性無機化合物を含有することが好ましい。高熱伝導性無機化合物を含有させることによって、熱伝導率を好ましい範囲に制御しやすくなる。
本発明の熱可塑性樹脂層に含有させる高熱伝導性無機化合物は、単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上でかつ体積固有抵抗が0.1Ω・cm以上のものを用いることが好ましい。1.5W/m・K未満では、難燃フィルムの熱伝導率を向上させる効果に劣る。単体での熱伝導率は、特に好ましくは30W/m・K以上のものが用いられる。
また高熱伝導性無機化合物の体積固有抵抗が0.1Ω・cmより小さいと難燃フィルム全体の電気絶縁性が小さくなり、本発明の効果を発揮できなくなる。高熱伝導性無機化合物の体積固有抵抗は、109Ω・cm以上であることが好ましく、特に1014Ω・cm以上であること好ましい。体積抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には1018Ω・cm以下である。
高熱伝導性無機化合物としては具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、を例示することができる。これら無機化合物は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。中でも電気絶縁性に優れることから、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、をより好ましく用いることができる。 特には、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、ダイヤモンド、好ましく用いることができる。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。
高熱伝導性無機化合物の形状については、種々の形状のものを適応可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、液体、など種々の形状を例示することができる。
これらの高熱伝導無機化合物の平均粒子径は0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm以下である。平均粒子径を0.01μmより小さくすると、熱可塑性樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の熱可塑性樹脂の粘性が増加してしまうため、高分子フィルム上に熱可塑性樹脂層を積層することが難しくなる。また平均粒子径が5μmより大きくなると、熱可塑性樹脂と高分子フィルムの密着性が悪くなる。
ここでの平均粒子径は、上記の無機水酸化物と同様の測定方法および装置を用いて測定した、体積平均での平均径値とする。また、同測定装置で同時に累積頻度%径(10%、100%)を求めることができる。本発明において、高熱伝導無機化合物の累積頻度%径(10%)が平均粒子径の0.5倍以上であることが好ましく、累積頻度%径(100%)が平均粒子径の2倍以下であることが好ましい。高熱伝導無機化合物の累積頻度%径(10%)が平均粒子径の0.5倍より小さいと熱可塑性樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の熱可塑性樹脂の粘性が増加してしまう。また累積頻度%径(100%)が平均粒子径の2倍より大きいと、熱可塑性樹脂と高分子フィルムの密着性が悪くなる。
高熱伝導性無機化合物の熱可塑性樹脂に対する含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、10〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。熱可塑性樹脂100質量部に対し、高熱伝導性無機化合物が10質量部より小さくなると、高熱伝導性化合物による熱伝導性能の向上効果が十分ではなく、本発明の効果が発現できない。また200質量部より大きくなると熱可塑性樹脂層が脆くなったり、高分子フィルムと熱可塑性樹脂との密着性が低下してしまう。
本発明において、高分子フィルム、熱可塑性樹脂層には、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
本発明の難燃性フィルムは、高熱伝導性、高電気絶縁性、難燃性に優れるものである。高熱伝導性と高電気絶縁性という二律背反する特性を本発明の構成を実施することで両立させることができ、高分子フィルム中にハロゲン含有成分、リン含有成分などの難燃材を添加しなくても、十分な難燃性を有するため、高分子フィルム本来の機械的特性を低下させずに難燃性を持たせることができる。また、ダイオキシンや加工工程を汚染するようなガスの発生も抑制することができる。そのため本発明の難燃性フィルムは、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、フラットケーブル、絶縁モーター、電子部品などの電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用できる。特にフレキシブルプリント基板に好ましく用いることができる。
本発明のフレキシブルプリント基板は、一例を挙げれば、上記難燃性フィルムの上に導電回路を形成させた構成からなるものである。難燃性フィルムと導電回路の間にはアンカーコート層、接着剤層、粘着剤層等が設けられてもよい。導電回路は、難燃性フィルムの上に、金属箔を貼り合わせた後エッチングする、金属を蒸着する、金属をスパッタする、あるいは、導電ペーストをスクリーン印刷するなどの公知の方法で形成できる。本発明のフレキシブルプリント基板は、パソコン、プリンターなどの機器部品、家具、自動車等の電子部品、ノート型パソコン、携帯電話、ICカード等の携帯可能な電子、電気機器に好適に使用できる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)難燃性フィルムの厚み測定
難燃性フィルムから断面を切り出し、その断面を(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型で観察し、各面の樹脂層の厚み(t11,t12)、および高分子フィルムの厚み(t2)を測定し、t11とt12の平均を樹脂層の厚み(t1)とした。
難燃性フィルムから断面を切り出し、その断面を(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型で観察し、各面の樹脂層の厚み(t11,t12)、および高分子フィルムの厚み(t2)を測定し、t11とt12の平均を樹脂層の厚み(t1)とした。
(2)難燃性
UL94(AUGUST 19、1992)のVTM−0測定の規格に従い、難燃性フィルムを切り出し、測定を行った。上記規格内であるサンプルを○、規格外であるサンプルを×とし、○を良好とした。
UL94(AUGUST 19、1992)のVTM−0測定の規格に従い、難燃性フィルムを切り出し、測定を行った。上記規格内であるサンプルを○、規格外であるサンプルを×とし、○を良好とした。
(3)高分子フィルムと熱可塑性樹脂層の密着性
熱可塑性樹脂層面に、高分子フィルムを貫通しないように1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離した。残存した熱可塑性樹脂層の個数により2段階評価(○:100、×:0〜99)した。○を接着性良好とした。
熱可塑性樹脂層面に、高分子フィルムを貫通しないように1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離した。残存した熱可塑性樹脂層の個数により2段階評価(○:100、×:0〜99)した。○を接着性良好とした。
(4)熱伝導率測定
難燃性フィルムを100mm×100mmの正方形状に切り出した資料を、京都電子工学株式会社製 熱伝導率計 QTM−500 および ボックス式プローブ PD−11 を用い耐火煉瓦の熱伝導率測定法である熱線法(旧JIS R2618 1995年)を改良したQTMプローブ法にて測定した。
難燃性フィルムを100mm×100mmの正方形状に切り出した資料を、京都電子工学株式会社製 熱伝導率計 QTM−500 および ボックス式プローブ PD−11 を用い耐火煉瓦の熱伝導率測定法である熱線法(旧JIS R2618 1995年)を改良したQTMプローブ法にて測定した。
測定は、熱伝導率0.036(W/m・K)の発泡ポリエチレン、0.24のシリコン、1.42の石英ガラスを標準サンプルとしてボックス式プローブPD−11 をキャリブレーションした後、京都電子工業株式会社製 うす膜測定用ソフトウエアを使用して試験サンプルの熱伝導率を求めた。
(5)絶縁破壊電圧測定
陰極に厚み100μm、10cm角アルミ箔電極、陽極に真鍮製25mmφ、500gの電極を用い、この間にフィルムを挟み、春日製高電圧直流電源を用いて100V/secの昇圧速度で昇圧し、10mA以上の電流が流れた場合を絶縁破壊したものとし、これを5回繰り返しその平均値の電圧値を測定した。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、使用した塗布液等について記載する。
陰極に厚み100μm、10cm角アルミ箔電極、陽極に真鍮製25mmφ、500gの電極を用い、この間にフィルムを挟み、春日製高電圧直流電源を用いて100V/secの昇圧速度で昇圧し、10mA以上の電流が流れた場合を絶縁破壊したものとし、これを5回繰り返しその平均値の電圧値を測定した。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、使用した塗布液等について記載する。
<熱可塑性樹脂層形成用の塗布液>
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量したポリイミド溶液(東レ(株)製“トレニース(登録商標)”#3000)をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10質量%になるように希釈した後、水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト(登録商標)”H−42M、平均粒子径1.1μm)を固形分濃度が10質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液と、窒化ホウ素粒子(水島合金鉄(株)窒化ホウ素粉末 HP−40J11、平均粒子径3.2μm、単体での熱伝導率60W/m・K、体積固有抵抗1014Ω・cm)を固形分濃度が10質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分質量比でポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素=50/25/25 となるようにした。さらに塗布前に2−メチルイミダゾールをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Aとした。
(2)塗布液B
水酸化アルミニウム粒子の代わりに水酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製MGZ−3、平均粒子径0.1μm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Bを調製した。
(3)塗布液C
窒化ホウ素粒子の代わりに窒化アルミニウム粒子((株)トクヤマ製“グレードH”、平均粒子径1.13μm、単体での熱伝導率200W/m・K、体積固有抵抗1014Ω・cm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Cを調製した。
(4)塗布液D
窒化ホウ素粒子の代わりに赤リン粒子(日本化学工業(株)製“ヒシガード”、平均粒子径3.2μm、単体での熱伝導率2.0W/m・K、体積固有抵抗109Ω・cm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Dを調製した。
(5)塗布液E、F、G、H
ポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素の混合比を固形分質量比で85/5/10(塗布液E)、25/30/45(塗布液F)、35/5/60(塗布液G)、45/50/5(塗布液H)とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液を調整した。
(6)塗布液I
窒化ホウ素粒子の代わりにコロイダルシリカ粒子(コルコート(株)製“コルコート”N−103X、平均粒子径1.0μm、単体での熱伝導率1.0W/m・K、体積固有抵抗109Ω・cm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Iを調製した。
(7)塗布液J、K、L
水酸化アルミニウム粒子を含有せず、ポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素の混合比を固形分質量比で50/0/50(塗布液J)、窒化ホウ素粒子を含有させず50/50/0(塗布液K)、さらに水酸化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子を含有させない100/0/0(塗布液L)とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液を調整した。
(8)塗布液M、N、O
ポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素の混合比を固形分質量比で15/40/45(塗布液M)、25/35/40(塗布液N)、25/15/60(塗布液O)、とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液を調整した。
<プライマー層形成用の塗布液>
下記のポリエステル樹脂1に対して、オキサゾリン基含有化合物1として、(株)日本触媒製“エポクロス(登録商標)”WS−700を、固形分質量比で75/25となるように混合し、固形分濃度を3質量%としたものをプライマー層形成用の塗布液とした。
・ポリエステル樹脂1
・酸成分
テレフタル酸 60モル%
イソフタル酸 14モル%
トリメリット酸 20モル%
セバチン酸 6モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 28モル%
ネオペンチルグリコール 38モル%
1,4−ブタンジオール 34モル%
上記ポリエステル樹脂1(Tg:20℃)をアンモニア水で水性化した水分散体とした。
〔実施例1〕
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015質量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)を十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(以降、基材PETフィルムと呼ぶ)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとした。基材PETフィルムの両面にプライマー層形成用の塗布液を塗布した。ついで、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材PETフィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、220℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。さらにこの積層PETフィルムの両面に、塗布液Aを塗布し、130℃で乾燥後、200℃で熱処理して難燃性フィルムを得た。このフィルムは、全体の厚みが100μm、熱可塑性樹脂層の厚みが片面当たり1.5μmであった。結果をまとめて表1に示す。
〔実施例2〜8〕
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液B、塗布液C、塗布液D、塗布液E、塗布液F、塗布液G、塗布液H、を塗布した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔比較例1〜7〕
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液I、塗布液J、塗布液K、塗布液L、塗布液M、塗布液N、塗布液Oを塗布した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例8〕
熱可塑性樹脂層の片面当たりの厚みを0,01μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例9〕
熱可塑性樹脂層の片面当たりの厚みを20μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例10〕
積層PETフィルムの厚みを0.8μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例11〕
積層PETフィルムの厚みを250μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
実施例1〜8、比較例1〜11の特性評価の結果を表1に示す。実施例1〜8は全ての項目において良好であったが、比較例1〜11はいずれかの項目で不良な点があった。
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量したポリイミド溶液(東レ(株)製“トレニース(登録商標)”#3000)をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10質量%になるように希釈した後、水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト(登録商標)”H−42M、平均粒子径1.1μm)を固形分濃度が10質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液と、窒化ホウ素粒子(水島合金鉄(株)窒化ホウ素粉末 HP−40J11、平均粒子径3.2μm、単体での熱伝導率60W/m・K、体積固有抵抗1014Ω・cm)を固形分濃度が10質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分質量比でポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素=50/25/25 となるようにした。さらに塗布前に2−メチルイミダゾールをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Aとした。
(2)塗布液B
水酸化アルミニウム粒子の代わりに水酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製MGZ−3、平均粒子径0.1μm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Bを調製した。
(3)塗布液C
窒化ホウ素粒子の代わりに窒化アルミニウム粒子((株)トクヤマ製“グレードH”、平均粒子径1.13μm、単体での熱伝導率200W/m・K、体積固有抵抗1014Ω・cm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Cを調製した。
(4)塗布液D
窒化ホウ素粒子の代わりに赤リン粒子(日本化学工業(株)製“ヒシガード”、平均粒子径3.2μm、単体での熱伝導率2.0W/m・K、体積固有抵抗109Ω・cm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Dを調製した。
(5)塗布液E、F、G、H
ポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素の混合比を固形分質量比で85/5/10(塗布液E)、25/30/45(塗布液F)、35/5/60(塗布液G)、45/50/5(塗布液H)とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液を調整した。
(6)塗布液I
窒化ホウ素粒子の代わりにコロイダルシリカ粒子(コルコート(株)製“コルコート”N−103X、平均粒子径1.0μm、単体での熱伝導率1.0W/m・K、体積固有抵抗109Ω・cm)を用いた以外は塗布液Aと同様にして塗布液Iを調製した。
(7)塗布液J、K、L
水酸化アルミニウム粒子を含有せず、ポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素の混合比を固形分質量比で50/0/50(塗布液J)、窒化ホウ素粒子を含有させず50/50/0(塗布液K)、さらに水酸化アルミニウム粒子と窒化ホウ素粒子を含有させない100/0/0(塗布液L)とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液を調整した。
(8)塗布液M、N、O
ポリアミド酸/水酸化アルミニウム/窒化ホウ素の混合比を固形分質量比で15/40/45(塗布液M)、25/35/40(塗布液N)、25/15/60(塗布液O)、とした以外は塗布液Aと同様にして塗布液を調整した。
<プライマー層形成用の塗布液>
下記のポリエステル樹脂1に対して、オキサゾリン基含有化合物1として、(株)日本触媒製“エポクロス(登録商標)”WS−700を、固形分質量比で75/25となるように混合し、固形分濃度を3質量%としたものをプライマー層形成用の塗布液とした。
・ポリエステル樹脂1
・酸成分
テレフタル酸 60モル%
イソフタル酸 14モル%
トリメリット酸 20モル%
セバチン酸 6モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 28モル%
ネオペンチルグリコール 38モル%
1,4−ブタンジオール 34モル%
上記ポリエステル樹脂1(Tg:20℃)をアンモニア水で水性化した水分散体とした。
〔実施例1〕
平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015質量%、平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)を十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(以降、基材PETフィルムと呼ぶ)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとした。基材PETフィルムの両面にプライマー層形成用の塗布液を塗布した。ついで、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材PETフィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、220℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを得た。さらにこの積層PETフィルムの両面に、塗布液Aを塗布し、130℃で乾燥後、200℃で熱処理して難燃性フィルムを得た。このフィルムは、全体の厚みが100μm、熱可塑性樹脂層の厚みが片面当たり1.5μmであった。結果をまとめて表1に示す。
〔実施例2〜8〕
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液B、塗布液C、塗布液D、塗布液E、塗布液F、塗布液G、塗布液H、を塗布した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔比較例1〜7〕
塗布液Aの代わりに、積層PETフィルムの両面に、それぞれ塗布液I、塗布液J、塗布液K、塗布液L、塗布液M、塗布液N、塗布液Oを塗布した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例8〕
熱可塑性樹脂層の片面当たりの厚みを0,01μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例9〕
熱可塑性樹脂層の片面当たりの厚みを20μmとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例10〕
積層PETフィルムの厚みを0.8μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例11〕
積層PETフィルムの厚みを250μmとした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
実施例1〜8、比較例1〜11の特性評価の結果を表1に示す。実施例1〜8は全ての項目において良好であったが、比較例1〜11はいずれかの項目で不良な点があった。
本発明の難燃性フィルムは、高熱伝導率性、高電気絶縁性、難燃性に優れた難燃性フィルムである。本発明の難燃性フィルムは、電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用でき、特に、フレキシブルプリント基板には、好適に使用できる。
Claims (4)
- 高分子フィルムの両面に、熱可塑性樹脂層が積層されている難燃性フィルムであって、
該高分子フィルムの厚みが1〜200μmの範囲でかつ、
該熱可塑性樹脂層の片面あたりの厚みが0.05〜10μmの範囲であり、
該熱可塑性樹脂層が
水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物と
単体での熱伝導率が1.5W/m・K以上でかつ体積固有抵抗が0.1Ω・cm以上の高熱伝導性無機化合物とを含有し、
前記無機水酸化物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜130質量部であり、
前記高熱伝導性無機化合物の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対し10〜200質量部である
難燃性フィルム。 - 前記高分子フィルムがポリエステルフィルムである請求項1に記載の難燃性フィルム。
- 前記無機水酸化物と前記高熱伝導性無機化合物のそれぞれの平均粒子径が0.01〜5μmである請求項1または2に記載の難燃性フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなるフレキシブルプリント基板。
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JP2010147233A JP2012011555A (ja) | 2010-06-29 | 2010-06-29 | 難燃性フィルム |
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JP2010147233A JP2012011555A (ja) | 2010-06-29 | 2010-06-29 | 難燃性フィルム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012169591A1 (ja) * | 2011-06-09 | 2012-12-13 | 住友精化株式会社 | 不燃フィルム、不燃フィルム用分散液、不燃フィルムの製造方法、太陽電池バックシート、フレキシブル基板、及び、太陽電池 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH07199699A (ja) * | 1993-12-28 | 1995-08-04 | Canon Inc | 加熱装置用フィルム及び加熱装置 |
JP2006218767A (ja) * | 2005-02-10 | 2006-08-24 | Kaneka Corp | ポリイミド系多層フィルムの製造方法およびその利用 |
JP2007001292A (ja) * | 2005-05-26 | 2007-01-11 | Toray Ind Inc | 積層ポリエステルフィルム、それを用いた難燃性ポリエステルフィルム、銅張り積層板および回路基板 |
WO2010027070A1 (ja) * | 2008-09-08 | 2010-03-11 | 新日鐵化学株式会社 | 高熱伝導性ポリイミドフィルム、高熱伝導性金属張積層体及びその製造方法 |
-
2010
- 2010-06-29 JP JP2010147233A patent/JP2012011555A/ja active Pending
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WO2012169591A1 (ja) * | 2011-06-09 | 2012-12-13 | 住友精化株式会社 | 不燃フィルム、不燃フィルム用分散液、不燃フィルムの製造方法、太陽電池バックシート、フレキシブル基板、及び、太陽電池 |
JPWO2012169591A1 (ja) * | 2011-06-09 | 2015-02-23 | 住友精化株式会社 | 不燃フィルム、不燃フィルム用分散液、不燃フィルムの製造方法、太陽電池バックシート、フレキシブル基板、及び、太陽電池 |
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