JP2019083318A - 融雪機能付きの太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
先ず、本発明の融雪機能付きの太陽電池モジュールの全体構成について説明する。図1に示すように、本発明の融雪機能付きの太陽電池モジュール10(以下、単に太陽電池モジュール10と言う)は、受光面側から、透明前面基板2、受光面側の封止材シート3、太陽電池素子4、非受光面側の封止材シート5、発熱シート1、接着層6、裏面保護シート7が順に積層された構成である。
太陽電池モジュール10には、主としてモジュールの受光面側表面に付着した雪を除去するための融雪機能を発揮するための熱源となる発熱シート1が配置されている。発熱シート1は、樹脂基材11の片面に金属製の発熱回路12が形成されてなる電熱部材である。図1に示す通り、発熱シート1は太陽電池モジュール10において、太陽電池素子4の非受光面側の下方に配置される。よって、この発熱シート1の配置によって、太陽電池素子4の受光面側への入光が阻害されることはない。又、太陽電池モジュール10を、主に透明前面基板2の側から見た場合に発熱回路がほとんど視認不能となるため好ましい意匠性を保持しやすい。
太陽電池モジュール10を構成する透明前面基板2としては、通常、透明なガラス板が用いられる。又、透明前面基板2は、その他の耐候性を有する透明な樹脂シートであってもよい。この樹脂シートは、フレキシブルタイプのモジュールを構成可能な可撓性を有する樹脂シートであってもよい。太陽電池モジュール10においては、発熱シート1が太陽電池素子4の非受光面側に配置されているので、例えば、透明前面基板2としてガラス板等と比較して耐衝撃性に劣る樹脂シートを用いた場合でも、降雪による衝撃や加重による発熱シートの故障リスクを十分に低く抑えることができる。
受光面側の封止材シート3及び非受光面側の封止材シート5(以下、これらをまとめて、単に「封止材シート」とも言う)としては、従来公知の太陽電池モジュール同様、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、或いは、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、或いは、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)をベース樹脂とする樹脂シートが用いられる。封止材シートの厚さは、特に限定されないが、300μm以上600μm以下であることが好ましい。
接着層6は、発熱シート1の発熱回路12が形成されている面と、裏面保護シート7との間に配置されて、両者を十分な強度で接着することを主たる目的とする層である。このような接着層6を形成する材料は、EVA、アイオノマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコン樹脂、ポリウレタン、等の熱硬化性樹脂、或いは、熱可塑性樹脂に架橋剤等を含有させた樹脂であることが好ましい。但し、上述の通り、封止材シートと同一の樹脂をベース樹脂とすることにより、上述の効果を享受することができるので、例えば、封止材シートがEVAをベース樹脂とする場合であれば、接着層6についても、同様にEVA樹脂をベース樹脂とすることが好ましい。
裏面保護シート7としては、従来公知の太陽電池モジュール同様、PETフィルム又はフッ素系樹脂フィルム等が用いられる。このPETフィルムとしては、透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、白色PETフィルム、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(HR−PET)フィルム等が、必要に応じて選択される。これらのなかでも、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート((例えば、東洋紡社製シャインビーム(耐加水分解性ポリエステルフィルム)等))が好ましい。フッ素系樹脂フィルムとしては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニル・エステル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられる。裏面保護シート7の厚さは、特に限定されないが、50μm以上600μm以下であることが好ましい。
本実施形態に関する太陽電池素子4としては、アモルファスシリコン型の太陽電池素子、結晶型シリコン型の太陽電池素子、カルコパイライト系の化合物等を用いてなる薄膜型の従来公知の各種の太陽電池素子が特に制限なく用いられる。
図1及び図2に示す通り、発熱シート1は、樹脂基材11の片面に金属製の発熱回路12が形成されてなる電熱部材である。発熱回路12は樹脂基材11の表面に直接又は接着剤層を介して形成されている。又、図2に示す通り、発熱シート1の発熱回路12(12A、12B)は、電源121(121A、121B)に接続されていて、この電源121から、発熱回路12に発熱のために必要な電気が供給される。
発熱シート1を構成する樹脂基材11は、所定の体積抵抗率と厚さを併せ持つ樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂基材11の体積抵抗率は、JIS C2151による体積抵抗率が、1.0×1016Ω・m以上であることが好ましく、1.0×1017Ω・m以上であることがより好ましい。又、このような絶縁性に関する要求を満たした上で、樹脂基材11の厚さは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、125μm以上200μm以下であることがより好ましい。尚、本明細書における体積抵抗率(Ω・m)とは、JIS C2151による体積抵抗率の値のことを言うものとする。
発熱回路12は、通電時に、太陽電池モジュール10の受光面側に付着した雪を溶かすための熱を発する電熱回路であるが、このような発熱回路12を構成する金属として、銅、アルミニウム、金、銀、等を、好ましい金属として挙げることができる。
中でも、電気伝導性や熱伝導性の観点から銅を用いることが好ましい。以下、発熱回路12が銅により形成されているものとしてその詳細を説明する。
(積層工程)
太陽電池モジュール10の製造においては、先ず、発熱シート1及び、上記においてその詳細を説明した各構成部材を、透明前面基板2、受光面側の封止材シート3、太陽電池素子4、非受光面側の封止材シート5、発熱シート1、接着層6、裏面保護シート7の順に積層する積層工程を行う。この積層工程においては、発熱シート1は、一般的な載置態様と異なり、発熱回路12が形成されている側の面を接着層6に対面させる向きで配置する。
次に、積層工程において上記順序で積層された積層体を、真空熱ラミネート加工等の熱ラミネーション処理により加熱圧着して一体化する工程を行う。この加熱圧着時の加熱温度は、110℃以上190℃以下の範囲内とすることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。又、加熱時間は、5分〜60分の範囲内が好ましい。この真空熱ラミネート加工は、裏面保護シート7と発熱シート1の発熱回路12の形成面とを接着層6を介して加熱圧着する態様で行う。例えば、接着層6のベース樹脂がEVAである場合、これにより、裏面保護シート7と発熱シート1の間に介在する接着層6の高い接着性を十分に発現させることができる。
11 樹脂基材層
12 発熱回路
121 電源
2 透明前面基板
3 受光面側の封止材シート
4 太陽電池素子
5 非受光面側の封止材シート
6 接着層
7 裏面保護シート
10 融雪機能付きの太陽電池モジュール
Claims (3)
- 樹脂基材と、
発熱回路と、を備える太陽電池モジュール用の発熱シートであって、
前記樹脂基材は、JIS C2151による体積抵抗率が1.0×1016Ω・m以上であり、厚さが50μm以上300μm以下であって、
前記発熱回路は、前記樹脂基材の片面に金属によって形成されていて、
前記発熱回路の形成領域の外縁を含んでなる外側領域内において、少なくとも一方の端部側の回路パターンが、前記発熱回路の形成領域の中心部を含む内側領域の回路パターンよりも前記金属の存在密度が相対的に大きい回路パターンとされている、発熱シート。 - 透明前面基板、受光面側の封止材シート、太陽電池素子、非受光面側の封止材シート、請求項1に記載の発熱シート、接着層、及び、裏面保護シートが、この順で積層されていて、
該発熱シートは、前記発熱回路が形成されている側の面が前記接着層と対面する向きで配置されている、融雪機能付きの太陽電池モジュール。 - 請求項2に記載の太陽電池モジュールが、傾斜した状態で配置されている、太陽電池モジュールの配置方法。
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