JP2005316058A - フルカラートナーキット - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、従来よりも色再現範囲が広く、OHPシートの透過性が高く、環境安定性に優れ、鮮やかな画像を形成することができるイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーからなるフルカラートナーキットを提供することを課題とする。
【解決手段】 少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含むイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーからなるフルカラートナーキットにおいて、粉体状態のトナーをC
光源2度視野の条件で測定した場合、
(i)明度L*と色相b*の値が、87<L* 且つ 106<b*<120であるイエロートナーと、
(ii)明度L*と色相a*の値が、35<L*<45 且つ 60<a*であるマゼンタトナーと、
(iii)明度L*と色相b*の値が、35<L*<45 且つ −40>b*であるシアントナーとを有するフルカラートナーキットを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、静電荷現像またはトナージェット方式に使用するフルカラートナーに関する。より詳しくは、高温オフセットを防止するためのオイルを使用しないか、又はオイルの使用量を少なくした加熱加圧定着手段を用いても、彩度が高く、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)の透過性が高く、優れた色再現域を発現することができるイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーからなるフルカラートナーキットに関するものである。
近年、提案されているフルカラー複写機やカラープリンターにおいては、4つの感光体とベルト状転写体を用い、各感光体上にそれぞれ形成された静電荷像をシアントナー,マゼンタトナー,イエロートナー及びブラックトナーを用い、減色混合作用を利用して各色のトナーを重ね合わせることで現像し、現像により形成された各色のトナー画像を感光体とベルト転写体間に転写材を搬送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像を形成せしめる方法や、感光体に対向せしめた転写体表面に静電気力やグリッパーの如き機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することでフルカラー画像を得る方法が一般的に利用されている。
また、電子写真式カラー画像形成装置が広く普及するに従い、その用途も多種多様に広がり、その画像品質への要求も厳しくなってきている。一般の写真、カタログ、地図の如き画像の複写では、微細な部分に至るまで、極めて微細且つ忠実に再現することが求められており、それに伴い、色の鮮やかさに対する要求も高まっており、色再現範囲をプロセスインキ並に拡張することが望まれている。
このためカラートナーでは、色再現性の向上やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)画像の透明性を損なうことなく加熱加圧定着工程で各トナーが十分混色することが必要である。トナーの混色性や透明性が悪い場合には、トナーを重ね合わせた時下層にあるトナーの色が出ず色再現範囲の狭いものになったり、OHPで投影したときの投影画像の色度が変化し、目的の色彩を得られなくなってしまう。
加えてフルカラー画像の場合は、色材の3原色であるイエロートナー,マゼンタトナー,シアントナーの3色の有彩色トナー又はそれに黒色トナーを加えた4色のトナーで色再現するものであり、目的とする色調の画像を得るためには、他色とのバランスが重要である。そこで、トナーの色調を若干変えることを目的として、同色顔料・染料との併用、他色顔料・染料との併用なども提案されている。
例えば、シアントナー用顔料として代表的なC.I.ピグメントブルー15:3とグリーン系顔料の併用が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、マゼンタトナー用顔料としてもいくつか提案されているが、これまで、色の鮮明性と透明性に優れ、かつ耐光性にも優れるという点でキナクリドン系の顔料が広く用いられてきた。例えば、キナクリドン系顔料とキサンテン系染料またはキサンテン系染料をレーキ化した顔料とを組み合わせ、トナーの鮮やかさを向上させようとしたことを開示している(例えば、特許文献3参照)。
また、イエロートナー用着色剤としてモノアゾ系やジスアゾ系の染顔料など数多くのものが知られている。(例えば、特許文献4〜6参照)。
しかしながら、従来知られているイエロートナー用の着色剤は種々の問題も多くかかえ
ていた。例えば、一般に染料系の着色剤は透明性に優れるものの、耐光性に劣り、画像の保存安定性に問題があり、また、耐光性や耐熱性に優れるイエロー顔料は、逆に隠蔽性が強すぎてしまい透明性が極端に低下してしまい、フルカラー用としては不向きであった。
そこで耐光性、耐熱性に優れたジスアゾ顔料であるピグメントイエロー180をイエロートナーに用いることが提案されているが(例えば、特許文献7、8参照)、着色力に乏しく、加えて透明性も決して良好とは言えず、フルカラー用としては、更なる改善が急務であった。
上記の問題を解決すべく、顔料を微粒子化し顔料の比表面積を向上させ、透明性と着色力をアップさせた電子写真用トナーが記載されている(例えば、特許文献9参照)。しかしながら、一般に顔料を微細化すると、それ自体の自己凝集性がどうしても強いために、トナーを構成する結着樹脂中での分散性が不十分であり、我々の検討では、着色剤の分散性の悪いトナーでは、帯電の安定化が達成されづらく、カブリやトナー飛散といった問題も生じていた。
このように、これまで電子写真方式及びトナージェット方式において色再現性に優れる画像を得るため、イエロートナー,マゼンタトナー,シアントナーのそれぞれ単独での改善は提案されてきた。しかしながら、フルカラー画像の場合、上記3色と黒色トナーを加えた4色のトナーで色再現するものであり、他色とのバランスを十分に考慮された顔料・染料との併用などが提案されてしかるべきであるが、これまでにこのような目的の発明はほとんど見当たらない。特に複数のトナーを重ね合わせて再現する2次色の中でもグリー
ン、及びレッドといったイエロートナーを用いる場合の色再現性が低く、その改善が要求されている。これは、着色力が強いシアントナーやマゼンタトナーは、彩度は高いが明度が低くなる傾向にあるのに対して、一般的にイエロートナーは着色力が低く、明度は比較的高いが、彩度が低くなりがちになる為である。従来のイエロートナーでは、他色とのバランスをとるため着色剤を増やし彩度を得ていたが、同時に透明性が欠けるため、他色との重ね合わせた時の混色性が劣り、結果として色再現性を低下させる原因となっていた。
特開2001−5221号公報 特開平8−262802号公報 特開昭64−9466号公報 特開平8−36275号公報 特開平2−87160号公報 特開昭50−62442号公報 特開平6−230607号公報 特開平6−266163号公報 特開平8−209017号公報
本発明は、上記のごとき問題点を解決したフルカラートナーを提供すること、より詳しくは、色再現範囲が広く、OHPシートの透過性が高く、環境安定性に優れ、鮮やかな画像を形成することが可能であるイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーからなるフルカラートナーキットを提供することを課題とする。
本発明者らは、フルカラートナーを構成する各トナー間のバランスを考慮し、各トナー毎の色相と明度とを規定することにより、上記課題を解決することができるフルカラートナーキットが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含むイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーからなるフルカラートナーキットにおいて、粉体状態のトナーをC光源2度
視野の条件で測定した場合、
(i)明度L*と色相b*の値が、87<L* 且つ 106<b*<120であるイエロートナーと、
(ii)明度L*と色相a*の値が、35<L*<45 且つ 60<a*であるマゼンタトナーと、
(iii)明度L*と色相b*の値が、35<L*<45 且つ −40>b*であるシアントナーとを有することを特徴とするフルカラートナーキット。
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含むイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーからなるフルカラートナーキットにおいて、粉体状態のトナーをC光源2度
視野の条件で測定した場合、
(iv)色相a*の値が、−15<a*<5であるイエロートナーと、
(v)色相b*の値が、−10<b*<15であるマゼンタトナーと、
(vi)色相a*の値が、−10<a*<0であるシアントナーとを有することを特徴とする、(1)に記載のフルカラートナーキット。
(3)前記結着樹脂が、少なくともポリエステルユニットを含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフルカラートナーキット。
さらに好ましい構成は以下のとおりである。
(4)前記イエロートナーが、少なくとも着色剤としてモノアゾ系着色剤、及び/又はピ
グメントイエロー74を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のフルカラートナーキット。
(5)前記マゼンタトナーが、少なくとも着色剤としてピグメントレッド57、ナフトールAS顔料、又はキナクリドン顔料、又は、これら顔料の混合顔料であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のフルカラーキット。
(6)前記シアントナーが、少なくとも着色剤としてピグメントブルー15を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のフルカラートナーキット。
本発明により、特定の明度、色相を有するトナー、特に明度と彩度の高いイエロートナーを用いることにより、従来よりもレッド、グリーン領域での色再現範囲が広く、また様々な環境下において現像性、転写性の違いにより発生する色再現性の較差をなくすことができ、鮮やかな画像を安定して形成することができるイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーからなるフルカラートナーキットを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフルカラートナーキットは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含むイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーからなるフルカラートナーキットであって、粉体状態のトナーをC光源2度視野の条件で測定した場合、
(i)明度L*と色相b*の値が、87<L* 且つ 106<b*<120であるイエロートナーと、
(ii)明度L*と色相a*の値が、35<L*<45 且つ 60<a*であるマゼンタトナーと、
(iii)明度L*と色相b*の値が、35<L*<45 且つ −40>b*であるシアントナーとを有する。
ここで、a*、b*、L*とは、L*a*b*表色系として用いられている値であり、色を数値化して表現するのに有用な手段である。a*、及び、b*は、両者で色相を表す。色相とは、赤、黄、緑、青、紫等、色あいを尺度化したものである。L*は明度を表し、色相に関係なく比較できる色の明るさの度合いを示す。a*、及び、b*は、それぞれ色の方向を示しており、a*は赤−緑方向、b*は黄−青方向を表している。また、C*は彩度を意味し、下記式(i)により求められ、色の鮮やかさの度合いを示している。
Figure 2005316058
本発明に用いられるイエロートナーは、上述したように、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含み、粉体状態のトナーにおけるL*とb*の値が、87<L* 且つ 106
<b*<120の範囲にあり、好ましくは 88<L* 且つ 108<b*<120の範囲にあるトナーである。
87≧L*の場合、他の色を重ね合わせた時の明度が充分に得られず、色再現範囲が狭くなる。また、b*に関しては、理論上は、数値が上がればあがるほど、広い2次元の色再
現平面を確保することができ、色再現空間が広くなり望ましいが、b*≧120のように高すぎると画像を作る上で必要なイエロートナーが少なくなり、混色時に色ムラが発生してしまう。例えばグリーンを表現する場合、イエローとシアンを混色させて均一なグリーンを表現するが、その時、シアンに対しイエローがまばらにしか存在しなければ、シアンのドットが生じることになる。
また、a*の値は、色再現性の観点から、−15<a*<5の範囲にあり、より好ましくは−10<a*<0の範囲にあるとよい。−15>a*の場合、緑味傾向が強すぎるために、緑の再現性は良好になるが、逆に赤の再現性が損なわれやすい。a*>5の場合、赤味傾向が強すぎるために、赤の再現性は良好になるが、逆に緑の再現性が損なわれやすい。
本発明に用いられるマゼンタトナーは、上述したように、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含み、粉体状態のトナーにおけるL*とa*の値が、35<L*<45 且つ 60<a*の範囲にあるトナーである。
35<L*の場合、他の色を重ね合わせた時の明度が充分に得られず、特にシアントナーとの重ね合わせによるブルー領域での2次色画像において3次元的な色再現空間が狭くなる。逆に、L*>45の場合、特に高濃度な画像を作るために使用するトナーの総量が多くなりすぎ、十分な定着性が得られない。a*<60の場合、広い2次元の色再現平面を確保することができず色再現空間が狭くなる。
また、b*の値は、色再現性の観点から、−10<b*<15、より好ましくは0<b*<
15の範囲にあるとよい。−10>b*の場合、青味傾向が強すぎるために、青の再現性は良好になるが、逆に赤の再現性が損なわれやすい。b*>15の場合、赤味傾向が強すぎるために、赤の再現性は良好になるが、逆に青の再現性が損なわれやすい。
本発明に用いられるシアントナーは、上述したように、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含み、粉体状態のトナーにおけるL*とb*の値が、35<L*<45 且つ −
40>b*の範囲にあるトナーである。
35<L*の場合、他の色を重ね合わせた時の明度が充分に得られず、特にマゼンタトナーとの重ね合わせによるブルー領域での2次色画像において3次元的な色再現空間が狭くなる。逆に、L*>45の場合、特に高濃度な画像を作るために使用するトナーの総量が多くなり、十分な定着性が得られない。b*>−40の場合、広い2次元の色再現平面を確保
することができず色再現空間が狭くなる。
また、a*の値は、色再現性の観点から、−10<a*<0、より好ましくは−10<a*<−2の範囲にあるとよい。−10>a*の場合、緑味傾向が強すぎるために、緑の再現性は良好になるが、逆に赤の再現性が損なわれやすい。a*>0の場合、赤味傾向が強すぎるために、赤の再現性は良好になるが、逆に緑の再現性が損なわれやすい。
上述したように、粉体状態において明度、色相の値が特定の値を示すイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーを用いることにより、優れた色再現性が得られ、鮮やかな画像を形成することが可能となる。特にイエロートナーの明度及び色相が、上記値を示すと、使用環境によらず優れた色再現性が得られ、中でも明度が上記したように高い値を示すイエロートナーを用いると、複数のトナーを重ね合わせて2次色を再現する場合、特に
グリーン領域、及びレッド領域において色再現性をより向上させることができる。この理由は、着色力が強いシアントナーやマゼンタトナーは、彩度は高いが明度が低くなる傾向にあるのに対して、一般的にイエロートナーは着色力が低く、明度は比較的高いが、彩度が低くなりがちになる。その為、グリーンやレッドを再現する際、シアントナーやマゼンタトナーの影響が大きく、低濃度の画像ではイエロートナーの着色力がなく彩度が十分に得られず、高濃度の画像では特にイエロートナーの付着量が多く必要となり、さらに、シアントナーやマゼンタトナーの隠ぺい力も増すため、明度だけではなく彩度も低下し、色再現性が低下するからである。
従来のイエロートナーでは、他色とのバランスをとるため着色剤を増やし彩度を得ていたが、上述したように透明性が欠けるため、他色との重ね合わせた時の混色性が劣り、色再現性が低下する。さらに、トナー中における着色剤の分散が悪くなり、かぶりやトナー飛散も生じる。また、一般的にカラートナーにおいて着色剤は、トナーの現像性及び帯電性に影響を与え、特に使用環境の変化により、大きな影響を与える。そこで例えば、外添剤などにより、各色トナーの帯電物性を近づけ影響を抑えることは可能であるが、着色剤の影響を完全に払拭することは難しい。特に高温高湿度環境下(H/H)と常温低湿度環
境(N/L環境)との違いにより、トナーの帯電性が変化し、トナーの付着量が変わり、
特にグリーンやレッドの色再現性が低下する。
これに対し、本発明で規定する明度、色相の値が特定の値を示すイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーを使用すると、それぞれのトナーをバランス良く重ね合わせることができる。その結果、使用環境によらず、混色が良好となり、2次色(二色混合、三
色混合)の色再現性を著しく向上させることができ、上記問題を解決することができる。
本発明の好ましい態様について、以下説明する。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、帯電立ち上り性とワックスの分散性から、(a)ポリエステル樹脂,又は(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、又は(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、又は(d)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体との混合物,もしくは(e)ハイブリッ
ド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、もしくは(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂、そしてビニル系重合体との混合物のいずれかから選択される樹脂が好ましい。
さらに、樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布が、メインピークを分子量3,500〜30,000の領域に有しており、好ましくは、分子量5,000〜20,000の領域に有しており、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が5.0以上であることが好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐ホットオフセット性が不十分である。一方、メインピークが分子量30,000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性が得られなくなり,高速定着への適用が難しくなる。また、Mw/Mnが5.0
未満である場合には良好な耐オフセット性を得ることが難しくなる。
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分である。
次に結着樹脂の材料について説明する。
結着樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いる場合は、アルコールとカルボン酸、カルボン酸無水物、又はカルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。
具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
また、3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(別名トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及びこれらの無水物やエステル化合物が挙げられる。
尚、上記の中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして良好な帯電特性を有するので好ましい。
Figure 2005316058
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸および、これらの無水物やエステル化合物が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分の使用量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%が好ましい。
さらに本発明において、結着樹脂としてポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂を用いる場合、さらに良好なワックス分散性と、低温定着性,耐オフセット性の向上が期待できる。
前記結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
該ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール
、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明でいう結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明のビニル重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
次に、本発明の結着樹脂に用いられるハイブリッド樹脂の製造方法を説明する。以下の(1)〜(6)に示す製造方法等で本発明のハイブリッド樹脂が製造できる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂は、上記ポリエステルとビニル系重合体との混合物、上記ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、上記ポリエステル樹脂と上記ハイブリッド樹脂に加えてビニル系重合体の混合物を使用しても良い。好ましくは、ハイブリッド樹脂を含有することである。
本発明のトナーに含有される結着樹脂のガラス転移温度は40〜90℃が好ましく、より好ましくは45〜85℃である。樹脂の酸価は1〜40mgKOH/gであることが好
ましい。
また、本発明のトナーに含有される結着樹脂のTm(℃)は、高すぎると定着性に劣り低すぎるとトナーの保存性が悪くなることから、90℃≦Tm≦140℃が良く、好ましくは95℃≦Tm≦130℃である。
本発明に用いられるワックスとしては、次のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
そして、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
特に好ましく用いられるワックスとしては、分子鎖が短く、且つ立体障害が少なくモビリティに優れる、パラフィンワックス、ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスである。
ワックスの分子量分布では、メインピークが分子量350〜2400の領域にあることが好ましく、400〜2000の領域にあることがより好ましい。このような分子量分布をもたせることによりトナーに好ましい熱特性を付与することができる。
また、前記ワックスの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度が60〜105℃の範囲にあることが好ましく、70〜90℃の範囲にあることがより好ましい。60℃未満であると、例えばトナーの保存安定性が劣る場合
があり、105℃を超えると省エネの観点から望まれる低温定着を行うことが困難となる場合がある。
本発明に用いられるワックスの添加量としては、結着樹脂100質量部に対し、1〜10質量部、好ましくは2〜8質量部含有させるとよい。1質量部より少ないと、溶融時にトナー表面に出て離型性を発揮させるためには量が少ないため、かなりの熱量及び圧力が必要となるからである。逆に10質量部を超えるとトナー中でのワックス量が多すぎるので、透明性や帯電特性、保存安定性が劣ってしまう場合がある。
また、本発明のトナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜105℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは70〜90℃の範囲である。最大吸熱ピークのピーク温度がこの範囲にあれば、優れた低温定着性と現像性とのバランスが良好となる。最大吸熱ピークのピーク温度が60℃未満であるとトナーの保存安定性が劣る場合があり、105℃を超えると省エネの観点から望まれる低温定着を行うことが困難となる場合がある。なお、最大吸熱ピークのピーク温度を60〜105℃とするには、前述した最大吸熱ピークのピーク温度が60〜105℃のワックスを、トナーに含有させることにより達成可能である。
本発明に用いられる着色剤としては、次のものが挙げられる。
マゼンタ用着色剤としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,150,163,202,206,207,209,238,269、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等のマゼンタ用着色顔料が挙げられるが、好ましくはピグメントレッド57、又はナフトールAS顔料、又はキナクリドン顔料、又はこれら顔料の混合顔料である。
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,2,881,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料が挙げられる。
シアン用着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.アシッドブルー党が挙げられるが、好ましくはピグメントブルー15である。
イエロー用着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,180,C.I.バットイエロー1,3,20等のイエロー着色顔料が挙げられるが、好ましくはモノアゾ系着色剤及び/又はピグメントイエロー74である。
また、黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
なお、これら着色剤の使用量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部好ましくは3〜8質量部である。
本発明におけるトナーは、以下に述べる有機金属化合物の電荷制御剤を使用することもできる。
有機金属化合物の電荷制御剤としては、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましく、その金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属として、Mg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn2+,Cu2+等が挙げられ、特にZn2+,Ca2+,Mg2+,Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+,Cr3+,Fe3+,Ni3+,Zr4+があげられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+,Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+,Zr4+ある。具体的には、電荷
制御剤としてジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましい。
本発明に用いられる電荷制御剤の添加量としては、トナー中の結着樹脂100質量部に対する含有量が0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜7質量部使用するのが良い。0.
2質量部未満であると帯電立ち上りの効果が得られず、10質量部より多いと環境変動が大きくなるためである。
本発明に使用するカラートナーを作製するには、結着樹脂及び着色剤、ワックス、さらに必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をボールミルの如き混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融・捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめた中に顔料を分散せしめ、冷却固化後粉砕及び厳密な分級を行ってカラートナー粒子を得ることができる。
また、本発明に使用するカラートナーの製造方法として、例えば、中間体に着色剤マスターバッチを作る方法もあり、その着色剤マスターバッチを作る方法としてフラッシング処理、つまり着色剤合成後、粉末にすることなく含水状態(ペースト着色剤)で第1の樹脂と加熱混合後、乾燥ペレット化したり、又は粉末着色剤と水、そして樹脂を加熱混合後、乾燥ペレット化したりすることで着色剤の分散性を向上させる方法を用いても良い。しかし、この加熱混合後、乾燥ペレット化する熱量で着色剤の粒径が、成長する場合があり、できるだけ着色剤に熱量を与えないことで着色剤の粒径を成長させず均一分散させる、以下の方法がより好ましい。
まず、着色剤マスターバッチを作る際に第1の樹脂と着色剤とを加熱混合する時に、水も存在(ペースト着色剤や水添加)させて十分に樹脂と着色剤が均一分散した後、通常ならば水を蒸発させて乾燥粉末の着色剤マスターバッチとするところを、水を完全に蒸発させない必要最低限の熱量に留めることで、着色剤の成長を抑制させる。この時、ただ含水させるだけ、水を残すだけで良いわけでもなく、含水量もトナー品質に大きな影響を与える。本発明における所望の着色剤マスターバッチの含水率は1〜25質量%であることが好ましく、2〜25質量%であることがより好ましく、5〜18質量%であることがさらに好ましい。1質量%未満では水分を減らすために余分な熱量を着色剤に与えてしまい、結果成長させる弊害を起こし易くなる。逆に、25質量%より多いと原材料の混合時に装置壁面への付着や不均一な凝集塊などの発生、また混練機へのフィード投入安定性も悪くなることで、均一分散しにくく分散不良を起こし、色均一性や帯電均一性に大きくかけ離れる原因になりやすい。
この様に適度な含水の着色剤マスターバッチを用いると、混練の設定温度やスクリュー回転数などの調整と共に、水の気化熱により低温での混練制御が可能となり、着色剤の成
長を抑え易くなる。
また、上記ペースト着色剤は、着色剤製造工程において該着色剤粒子が、ただの一度も乾燥工程を経ずに存在している状態が望ましい。換言すれば、着色剤粒子がほぼ一次粒子の状態で全ペースト着色剤に対して5〜60質量%存在している状態である。ペースト着色剤中の残りの約40〜95質量%は若干の分散剤及び助剤などと水である。
次に、トナーを製造する手順について説明する。
例えば、まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも第2の結着樹脂、着色剤マスターバッチ、ワックスを所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。尚、本発明において上記、第1の結着樹脂と、第2の結着樹脂は、同じものであっても、異なるものであってもよい。
更に、上記で混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
そして一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径4〜10μmの分級品を得る。
必要に応じて、表面改質工程で表面改質=球形化処理、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを行い、分級品とすることもできる。必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。更に、外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーとシリカ、及び酸化チタンなどを所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することによりトナーを得ることができる。
本発明においては、外添剤として流動性向上剤がトナー粒子に外添されていることが、画質向上のために好ましい。流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものをいう。
流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末等のシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等の処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末等が挙げられる。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が30m2/g以上、よ
り好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。流動性向上剤は、トナー粒
子100質量部に対して0.01〜8質量部添加することが好ましく、0.1〜4質量部添加することがより好ましい。
流動性向上剤の外添は、先述したように、例えばヘンシェルミキサー等の混合機により流動性向上剤とトナー粒子とを十分混合することによって行われる。このような混合作業により、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
本発明のトナーの重量平均粒径は、4〜10μmであることが好ましく、5〜9μmであることがより好ましい。
トナーの重量平均粒径が10μmより大きい場合は、高画質化に寄与し得る微粒子が少ないことを意味し、画像形成に用いた場合、高い画像濃度が得られ易く、トナーの流動性に優れるというメリットがあるものの、感光ドラム上の微細な静電荷像上には忠実に付着しづらく、ハイライト部の再現性が低下し、さらに解像性も低下する傾向がある。また、必要以上にトナーが静電荷像に乗りすぎが起こり、トナー消費量の増大を招きやすい傾向もある。
逆にトナーの重量平均粒径が4μmより小さい場合には、トナーの単位質量あたりの帯電量が高くなり、画像形成に用いた場合、画像濃度の低下、特に低温低湿下での画像濃度の低下が顕著となる。これでは、特にグラフィック画像のような画像面積比率の高い用途には不向きである。また、4μmより小さい場合、キャリア等の帯電付与部材との接触帯電がスムーズに行われにくく、充分に帯電し得ないトナーが増大し、非画像部への飛び散りによるカブリが目立つ様になる。これに対処すべく、キャリアの比表面積を稼ぐためにキャリアの小径化が考えられるが、重量平均粒径が4μm未満のトナーでは、トナー自己凝集も起こり易く、キャリアとの均一混合が短時間では達成されにくく、トナーの連続補給耐久においては、カブリが生じてしまう傾向にある。
本発明のトナーは、一成分系現像剤及び二成分系現像剤に適用でき、特に何らこれを限定するものではないが、本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば鉄又は表面酸化処理鉄;ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、マグネシウム、希土類等の金属粒子;それらの合金粒子;それらの酸化物粒子;それらのフェライト;それらの磁性粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリア;それらの磁性粒子を樹脂粒子中に分散した磁性粒子分散型樹脂キャリア等が使用できる。
上記磁性粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法に用いる場合特に好ましい。被覆方法としては、被覆材としての樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性粒子表面に付着させる方法、磁性粒子と被覆材とを粉体で混合し付着させる方法等、従来公知の方法が適用できる。
磁性粒子表面への被覆材としての樹脂は、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が挙げられる。これらは、単独又は複数で用いられる。上記被覆材の処理量は、磁性粒子に対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20質量%)が好ましい。
磁性キャリアの50%平均粒径は10〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、現像剤中のトナー濃度が2〜15質量%とすることが、通常良好な結果を得る上で好ましく、4〜13質量%であることがより好ましい。
本発明のフルカラーキットを用いてカラー画像を形成する画像形成方法は、本技術分野における公知の装置や手段により実現することが可能である。例えば、一つの像担持体に
複数の現像器が設置されている画像形成装置による画像形成方法や、複数の現像器がそれぞれ異なる像担持体に設置され、像担持体上に形成されたトナー画像が順次転写材上へ転写されるタンデム方式の画像形成装置による画像形成方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
さらに、像担持体上に形成されたトナー画像を転写材に転写する場合に、像担持体から直接転写材へトナー画像を転写する画像形成装置による画像形成方法であっても良いし、像担持体上のトナー画像を中間転写体へ転写し、中間転写体からトナー画像を転写材へ転写する画像形成装置による画像形成方法であっても良い。
以下に、本発明で使用される樹脂及び本発明におけるトナーの各物性を測定するのに好適な測定方法を以下に説明する。後述の実施例もこれらの方法に基づいている。
(1)粉体状態のトナーにおけるL*、a*、b*の測定
粉体状態のトナーにおけるL*、a*、b*は、JIS Z-8722に準拠する分光式色差計「SE−2000」(日本電色工業社製)を用い、光源はC光源2度視野で測定する。測定は付属の取り扱い説明書に沿って行うが、標準版の標準合わせには、オプションの粉体測定用セル内に2mm厚でφ30mmのガラスを介した状態で行うのが良い。
より詳しくは、前記分光式色差計の粉体試料用試料台(アタッチメント)上に、試料粉体を充填したセルを設置した状態で測定を行う。尚、セルを粉体試料用試料台に設置する以前に、セル内の内容積に対して80%以上粉体試料を充填し、振動台上で1回/秒の振動を30秒間加えた上で、L*、a*、b*の測定を行う。
(2)結着樹脂の分子量測定
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。またカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせて使用することが好ましく、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguard columnの組み合わせを挙げることができる。
THF試料溶液は以下のようにして作製する。試料をTHF中に入れ数時間放置した後、十分振とうし、THFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、さらに12時間以上静置する。このときTHF中への浸漬時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2 東ソー社製等が利用できる)を通過させ、GPC用のTHF試料溶液とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製、又は昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが適当である。
(3)結着樹脂の軟化点温度Tmの測定
結着樹脂の軟化点温度の測定には、フローテスターCFT−500型(島津製作所製)を用いる。試料は目開き250μmパス品を約1.0g秤量する。この試料を、成形器を使用し、9.8MPaの加重で1分間加圧する。
この加圧サンプルを下記の条件で、常温常湿下(温度約20〜30℃、湿度30〜70
%RH)でフローテスター測定を行い、温度−見掛け粘度曲線を得る。得られたスムース曲線より、試料が50体積%流出した時の温度(=T1/2)を求め、これを樹脂の軟化
点温度Tmとする。
RATE TEMP 6.0(℃/分)
SET TEMP 50.0(℃)
MAX TEMP 180.0(℃)
INTERVAL 3.0(℃)
PREHEAT 300.0(秒)
LOAD 20.0(kg)
DIE(Diameter)1.0(mm)
DIE(Length) 1.0(mm)
PLUNGER 1.0(cm2
(4)トナー、ワックス及び結着樹脂のDSC曲線の測定
温度曲線:昇温I(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
降温I(200℃〜30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用い、ASTM D3418−82に準じ、以下のようにして測定する。
測定試料5mgを精秤する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃、昇温速度10℃/min、常温常湿下で測定を行う。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、昇温IIの過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピーク前後でのベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
また、トナー、ワックスの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂のガラス転移温度(Tg)の吸熱ピーク以上領域のベースラインからの高さが一番高いものを、又は樹脂Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものをトナーの最大吸熱ピークとする。
(5)含水着色剤マスターバッチ及びペースト顔料の含水率の測定
本発明において「含水率」とは、カールフィッシャー法に基づく質量基準含水率、即ち、含水の着色剤マスターバッチ全質量又はペースト顔料に対する水分質量の比率をいい、23℃,60%RHに24時間放置し、サンプル調製したものを用いカールフィッシャー法(JIS K−0068 水分気化法)に基づき、125℃の加熱におけるガスを測定することによって求めたものである。
(6)トナーの粒径の測定
本発明において、トナーの平均粒径はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以
上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
(7)流動性向上剤の比表面積の測定
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
また、後述の実施例における評価は、以下の用紙を使用し、以下の評価方法を用いることにより行った。
普通紙:CLCカラーコピー用紙(坪量80g/cm2:キヤノン製)
OHPシート:トランスペアレンシーシートCG3700(3M社製)
(1)OHP透過度の測定方法
カラー複写機CLC−1000(キヤノン製)を用いて、OHPシート上にA4半面ベタ画像の未定着画像を作成し、iRC3200(キヤノン社製)の定着機を用いて定着した。その時OHP定着画像のベタ部分が、下記式(ii)を満たす画像濃度になるよう現像コントラストを調整して画像を作成する。
Figure 2005316058
(上記式中、D(ベタ紙上):普通紙上にOHPをのせベタ画像部分の反射濃度を測定したもの、D(REF紙上):普通紙上にOHPをのせ、ベタ白部分の反射濃度を測定したものを示す。)
反射濃度測定にはX−rite504(X−Rite社製)を使用し、画像濃度を測定した。
OHP透過度の評価は上記のOHP画像を用いて、JASCO(日本分光)社製V−570 UV/vis/NIR Spectrophotometerの透過光測定モードを使用し、シアン画像:490nm、マゼンタ画像:722nm、イエロー画像:578nmにて測定した。
OHP透過度の評価基準は以下の通りとする。
A:80%以上で良好
B:70%以上、80%未満で良好
C:60%以上、70%未満で実用上問題なし
D:50%以上、60%未満で実用上問題あり
E:50%未満で悪い
(2)色再現性
1976年に国際照明委員会(CIE)で規格された表色系の定義に基づき、常温常湿度(N/N)環境下(23℃/50%RH)、及び、常温低湿度(N/L)環境下(23℃/5%RH)と高温高湿度(H/H)環境下(30℃/80%RH)において、1色当
たり0.6mg/cmのトナー載り量になるようしたそれぞれの2次色(R,G,B)
パターンの彩度C*(N/N)、色差ΔE(N/L〜H/H)を定量的に評価し、以下の評価基準に基づいて評価した。2次色パターンは、カラー複写機CLC−1000(キヤノン製)を用いて未定着画像を作成し、iRC3200(キヤノン社製)の定着機を用いて定着した。測定にはGretagMacbeth社製 Spectrolino(測定条件:D50 視野角2°)を使用した。
<N/N環境における2次色の彩度C*>
Figure 2005316058
(aNN *、bNN *:N/N環境での画像の色相を示す色度を表す。)
評価基準は以下の通りとする。
R画像
A:C*≧75で優
B:65≦C*<75で良
C:55≦C*<65で実用上問題あり
D:C*<55で悪い
G画像
A:C*≧65で優
B:55≦C*<65で良
C:50≦C*<55で実用上問題あり
D:C*<50で悪い
B画像
A:C*≧45で優
B:40≦C*<45で良
C:35≦C*<40で実用上問題あり
D:C*<35で悪い
<2環境間(N/L〜H/H)の色差ΔE>
Figure 2005316058
(LNL *:N/L環境での画像の明度、
NL *、bNL *:N/L環境での画像の色相を示す色度、
HH *:H/H環境での画像の明度、
HH *,bHH *:H/H環境での色相を示す色度を表す。)
評価基準は以下の通りとする。
A:ΔE≦3で優
B:3<ΔE≦6で良
C:6<ΔE≦9で実用上問題あり
D:9<ΔEで悪い
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、配合量を表す「部」は「質量部」を意味する。
<結着樹脂の製造>
(ハイブリッド樹脂製造例)
ビニル系重合体ユニット用の単量体として、スチレン2.0mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.14mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、架橋剤及び重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。また、ポリエステル樹脂ユニットの単量体として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸1.9mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけ、マントルヒーター内においた。
次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系重合体ユニット用の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。物性値を表1に示す。
Figure 2005316058
(ポリエステル樹脂製造例)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸1.4mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.12gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。物性値を表1に示す。
(スチレン−アクリル樹脂製造例)
・スチレン 70部
・アクリル酸n−ブチル 24部
・マレイン酸モノブチル 6部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 1部
上記各成分を、キシレン200部を入れた4つ口フラスコ内を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し、120℃に昇温させた後3.5時間かけて滴下した。更にキシレン還
流後下で重合を完了させ、その後減圧下で溶媒を蒸留除去し、スチレン−アクリル樹脂を得た。物性値を表1に示す。
<イエロートナーAの製造>
ハイブリッド樹脂70質量部と、P.Y74を含有する顔料スラリーから水をある程度
除去し、ただの一度も乾燥工程を経ずに得た固形分30質量%のペースト状顔料(残りの70質量%は水)100質量部を用いて、含水イエローマスターバッチを作成する。
(第一の混練工程〜含水イエローマスターバッチの作成〜)
上記の原材料をまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させる。最高温度(この場合は80〜100℃程度)に達した時点で水相中の顔料が、溶融樹脂相に分配もしくは移行し、これを確認した後、さらに15分間90〜100℃加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を充分に移行させる。その後、一旦、ミキサーを停止させ、熱水を排出した後、非加熱で10分間混合にて水分を留去後冷却させ、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕して含水イエローマスターバッチAを得た。この含水イエローマスターバッチAの含水量は15質量%、顔料分は30質量%、樹脂分55質量%であった。
次いで第二の混練工程を以下の方法で行い、イエロートナーAを作製した。
・ハイブリッド樹脂 86.25質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・含水イエローマスターバッチA(顔料分30質量%) 25 質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で混練物温度が120℃になるよう溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級装置(エルボジェット分級機)を用いてイエロー粒子(分級品)を得た。
上記イエロー粒子100質量部に対して、針状酸化チタン微粉体(MT-100T:テ
イカ社製、BET=62、イソブチルトリメトキシシラン10wt%処理)1.2質量部
をヘンシェルミキサーにより外添してイエロートナーAとした。イエロートナーAの重量平均径が7.0μmであり、粉体状態のまま測定したL*、a*、b*の値は、それぞれL*=89、a*=−5.1、b*=112.7であった。さらに、イエロートナーAと、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径45μm:Mn-Mgフェラ
イト)とを、トナー濃度が7.0質量%になるように混合し、二成分系現像剤Aとした。
この現像剤Aで、カラー複写機CLC−1000(キヤノン製)の定着ユニットのオイル塗布機構を取り外した改造機を用い、OHP上に画像を作成し、OHP透明性の評価を行ったところ、透過率が91%と非常に優れたものであった。評価結果を表2に示す。
Figure 2005316058
尚、表2中、マスターバッチをMBと表記する。
<イエロートナーBの製造>
粉体のP.Y74を20質量部と、粉体のS.Y162を10質量部と、さらに蒸留水20質量部を用いたことを除いては、含水イエローマスターバッチAと同様にして含水イエローマスターバッチB(含水量:15質量%、顔料分:30質量%、樹脂分:55質量%)を得て、次いで含水イエローマスターバッチBを用いたことを除いてイエロートナーAと同様にしてイエロートナーBを作成した。各種評価したところ、表2に示すようにOHP透過性も良好な結果であった。
<イエロートナーCの製造>
ポリエステル樹脂70質量部と、P.Y.180を含有する顔料スラリーから水をある
程度除去し、ただの一度も乾燥工程を経ずに得た固形分30質量%のペースト状顔料(残りの70質量%は水)100質量部を用いたことを除いては、含水イエローマスターバッチAと同様にして含水イエローマスターバッチC(含水量:15質量%、顔料分:30質量%、樹脂分:55質量%)を得た。次いで含水イエローマスターバッチCを用いたことを除いてイエロートナーAと同様にしてイエロートナーCを作製した。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、イエロートナーCを作製した。
・ポリエステル樹脂 83.5質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・含水イエローマスターバッチC(顔料分30質量%) 30 質量部
得られたイエロートナーCについて各種評価したところ、表2に示すようにOHP透過性が僅かに悪くなったが問題のないレベルであった。
<イエロートナーDの製造>
スチレンアクリル樹脂70質量部と、粉体のP.Y73を30質量部用いてニーダー型
ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させて、30分間90〜110℃で加熱溶融混練させて顔料を充分に移行させる。その後、冷却させ、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕して乾燥イエローマスターバッチD(含水量:0.4質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、イエロートナーDを作製した。
・スチレンアクリル樹脂 79 質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・乾燥イエローマスターバッチD(顔料分30質量%) 30 質量部
得られたイエロートナーDについて各種評価したところ、トナー中での顔料の分散状態が悪く、表2に示すように粉体状態でのL*の値も低く、OHP透過性もかなり悪いものであった。
<マゼンタトナーEの製造>
P.R.122を含有する顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も乾燥工
程を経ずに得た固形分30質量%のペースト状顔料(残りの70質量%は水)67質量部と、P.R.150を含有する顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も乾燥
工程を経ずに得た固形分30質量%のペースト状顔料(残りの70質量%は水)33質量部を用いたことを除いては、含水イエローマスターバッチAと同様にして含水マゼンタマスターバッチE(含水量:2質量%、顔料分:30質量%、樹脂分:68質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、マゼンタトナーEを作製した。
・ハイブリッド樹脂 83 質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・含水マゼンタマスターバッチE(顔料分30質量%) 25 質量部
得られたマゼンタトナーEについて各種評価したところ、表2に示すようにOHP透過性も良好な結果であった。
<マゼンタトナーFの製造>
ハイブリッド樹脂70質量部と、粉体のP.R57:1を30質量部、さらに蒸留水2
0質量部を用いて、ニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させて、30分間90〜110℃で加熱溶融混練させて顔料を充分に移行させる。その後、冷却させ、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕して乾燥マゼンタマスターバッチF(含水量:0.2質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、マゼンタトナーFを作製した。
・ハイブリッド樹脂 88.1質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・乾燥マゼンタマスターバッチF(顔料分30質量%) 17 質量部
得られたマゼンタトナーFについて各種評価したところ、表2に示すようにOHP透過性も良好であった。
<マゼンタトナーGの製造>
ポリエステル樹脂70質量部と、粉体のP.R122を30質量部、さらに蒸留水20
質量部を用いて、ニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させて、30分間90〜110℃で加熱溶融混練させて顔料を充分に移行させる。その後、冷却させ、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕して乾燥マゼンタマスターバッチG(含水量:0.2質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、マゼンタトナーGを作製した。
・ポリエステル樹脂 79 質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・乾燥マゼンタマスターバッチG(顔料分30質量%) 30 質量部
得られたマゼンタトナーGについて各種評価したところ、表2に示すように少し青味のマゼンタ色であり、OHP透過性が僅かに悪くなったが問題のないレベルであった。
<マゼンタトナーHの製造>
ハイブリッド樹脂70質量部と、粉体のP.R53:1を30質量部用いて、ニーダー
型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させて、30分間90〜110℃で加熱溶融混練させて顔料を充分に移行させる。その後、冷却させ、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕して乾燥マゼンタマスターバッチH(含水量:0.15質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、マゼンタトナーHを作製した。
・ハイブリッド樹脂 79 質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・乾燥マゼンタマスターバッチH(顔料分30質量%) 30 質量部
得られたマゼンタトナーHについて各種評価したところ、トナー中での顔料の分散状態が悪く、表2に示すように粉体状態でのL*の値も低く、OHP透過性もかなり悪いものであった。
<シアントナーIの製造>
P.B.15:3を含有する顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も乾燥
工程を経ずに得た固形分30質量%のペースト状顔料(残りの70質量%は水)100質量部を用いたことを除いては、含水イエローマスターバッチAと同様にして含水シアンマスターバッチI(含水量:2.2質量%、顔料分:30質量%、樹脂分:67.8質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、シアントナーIを作製した。
・ハイブリッド樹脂 91 質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・含水シアンマスターバッチI(顔料分30質量%) 13.3質量部
得られたシアントナーIについて各種評価したところ、表2に示すようにOHP透過性も良好な結果であった。
<シアントナーJの製造>
ポリエステル樹脂70質量部と、粉体のP.B15:3を30質量部、さらに蒸留水2
0質量部を用いて、ニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させて、30分間90〜110℃で加熱溶融混練させて顔料を充分に移行させる。その後、冷却させ、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕して乾燥シアンマスターバッチJ(含水量:0.3質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、シアントナーJを作製した。
・ポリエステル樹脂 90.9質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・乾燥シアンマスターバッチJ(顔料分30質量%) 13 質量部
得られたシアントナーJについて各種評価したところ、表2に示すようにOHP透過性が僅かに悪くなったが問題のないレベルであった。
<シアントナーKの製造>
スチレンアクリル樹脂70質量部と、粉体のP.R53:1を15質量部、粉体のP.G7を15質量部用いて、ニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させて、30分間90〜110℃で加熱溶融混練させて顔料を充分に移行させる。その後、冷却させ、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕して乾燥シアンマスターバッチK(含水量:0.2質量%)を得た。
次いで第二の混練工程において以下の材料を用いたことを除いて、イエロートナーAと同様の方法により、シアントナーKを作製した。
・スチレンアクリル樹脂 86 質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度78℃) 4 質量部
・1、4-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1 質量部
・乾燥シアンマスターバッチK(顔料分30質量%) 20 質量部
得られたシアントナーKについて各種評価したところ、トナー中での顔料の分散状態が悪く、表2に示すように粉体状態でのL*の値も低く、かなり緑味のトナーであり、OHP透過性もかなり悪いものであった。
<実施例1〜5>
表3に示すカラートナーの組み合わせで、2次色のN/N環境における彩度、及び、N/LとH/H環境間の色差について評価を行った。その結果表3、表4に示すように、それぞれの2次色の彩度は、所謂、プロセスインキのそれに近く、鮮やかな画像であった。また、環境間の色差も非常に良好であった。
Figure 2005316058
Figure 2005316058
尚、表3及び表4中、イエローをY、マゼンタをM、シアンをCと表記する。
<実施例6〜8>
表3に示すカラートナーの組み合わせで、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3、表4に示す。その結果、実施例6では彩度が、実施例7及び8では環境間の色差が僅かに悪くなったが、実用上問題のないレベルであった。
<比較例1〜3>
表3に示すカラートナーの組み合わせで、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3、表4に示す。その結果、2次色の彩度が十分でなく、加えて環境間の色差も大きいものであった。
<比較例4>
表3に示すカラートナーの組み合わせで、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3、表4に示す。その結果、2次色の彩度、環境間の色差のレベルも非常に悪いものであった。

Claims (3)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含むイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーからなるフルカラートナーキットにおいて、粉体状態のトナーをC光源2度視野
    の条件で測定した場合、
    (i)明度L*と色相b*の値が、87<L* 且つ 106<b*<120であるイエロートナーと、
    (ii)明度L*と色相a*の値が、35<L*<45 且つ 60<a*であるマゼンタトナーと、
    (iii)明度L*と色相b*の値が、35<L*<45 且つ −40>b*であるシアントナーとを有することを特徴とするフルカラートナーキット。
  2. 少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含むイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーからなるフルカラートナーキットにおいて、粉体状態のトナーをC光源2度視野
    の条件で測定した場合、
    (iv)色相a*の値が、−15<a*<5であるイエロートナーと、
    (v)色相b*の値が、−10<b*<15であるマゼンタトナーと、
    (vi)色相a*の値が、−10<a*<0であるシアントナーとを有することを特徴とする、請求項1に記載のフルカラートナーキット。
  3. 前記結着樹脂が、少なくともポリエステルユニットを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフルカラートナーキット。
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