JP2005310580A - アルカリ蓄電池用非焼結式正極およびアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用非焼結式正極およびアルカリ蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】利用率などの充放電特性を維持しつつ、活物質粉末の脱落を抑制したアルカリ蓄電池用非焼結式正極を提供する。
【解決手段】導電性支持体と、オキシ水酸化コバルト2により被覆された水酸化ニッケル粉末1と、オキシ水酸化コバルト粉末3からなる添加剤と、バインダー4とを含み、前記オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径が前記オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤より大きいアルカリ蓄電池用非焼結式正極とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ蓄電池用非焼結式正極ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池に関する。
アルカリ蓄電池用正極には大別して、焼結式と非焼結式がある。
前者はニッケル粉末を焼結して得た多孔度80%程度の多孔質なニッケル焼結基板に、硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液を含浸し、次いで、アルカリ水溶液に浸漬するなどして多孔質ニッケル焼結基板中に水酸化ニッケル活物質を析出させて製造するものである。焼結式正極のニッケル骨格の孔径は10μm程度と小さいため、比較的、活物質の保持力が高く、ニッケル焼結基板だけで充分に集電することができる。
後者の非焼結式正極としては、ニッケル金属よりなる三次元的に連続した多孔度95%以上の発泡状多孔体基板に、活物質である水酸化ニッケル粉末を充填するものが広く知られている。また、非焼結式正極に用いる基板の多孔度は焼結式正極の基板のそれと比較して大きいため、非焼結式は焼結式よりも高容量の正極を得ることができる。この特徴をより生かすため基板に充填する水酸化ニッケル粉末としては充填密度を高めることが容易な球状水酸化ニッケル粉末が用いられている(例えば、特許文献1参照)。なお、アルカリ蓄電池の非焼結式正極に用いられる水酸化ニッケル粉末としては、純粋な水酸化ニッケルが用いられることは稀であり、一般的にコバルト、亜鉛、マグネシウム、マンガン、希土類元素などを含んだものが使用される。
非焼結式正極基板のニッケル骨格間の空孔の孔径は200〜500μm程度と比較的大きいため、焼結式のごとく空孔中に水酸化ニッケルを析出させる方法を採らなくとも、水酸化ニッケル粉末を直接充填することができる。その一方で、焼結式と比較して集電性に劣るため、水酸化ニッケル粉末だけを充填した場合には充分な利用率が得られないという本質的な欠点を持っている。この欠点を補う、すなわち粉末粒子間および粉末粒子−ニッケル骨格間の集電性を高めるため、コバルト化合物粉末を導電剤として使用する方法が検討されており、特に、水酸化コバルトや酸化コバルトといった2価のコバルト化合物を用いる方法は、以前よりよく知られている。これは、正極に加えられた2価のコバルト化合物を、電池組立後の最初の充電で酸化して、導電性の高い3価のコバルト化合物に変化させ、電極の集電性能を高めるものである。
コバルト化合物の導電性をさらに高めるため、あらかじめコバルト化合物を酸化する方法が知られている。たとえば、水酸化コバルト粉末にアルカリ水溶液を加え、酸素存在下で加熱乾燥し、オキシ水酸化コバルト粉末とする方法などが知られている。このようにして得られるオキシ水酸化コバルト粉末は電池内で酸化して得られるコバルト化合物より導電性が高く、優れた導電剤として使用することができる(例えば、特許文献2参照)。
導電性の高いオキシ水酸化コバルトの効果をより高めるためには、分散性を高める必要がある。そこで近年では、あらかじめオキシ水酸化コバルトで被覆された水酸化ニッケル粉末を用いる方法が知られている。これは、まず、水酸化コバルトで被覆した水酸化ニッケル粒子を作製し、その後、アルカリ水溶液を加え、酸素存在下で加熱乾燥し、オキシ水酸化コバルトで被覆された水酸化ニッケル粒子とするものである(例えば、特許文献3参照)。この方法で作製された活物質は、オキシ水酸化コバルトが水酸化ニッケル粒子の周りに均一に配置されているため集電性が高く、高容量のアルカリ蓄電池の材料として適し
ている。
ところで、オキシ水酸化コバルト粉末を導電剤として使用する方法(特許文献2記載の方法)と、あらかじめオキシ水酸化コバルトで被覆された水酸化ニッケル粉末を用いる方法(特許文献3記載の方法)とはそれぞれ互いに相反する利害得失を有する。すなわち、特許文献2記載の方法ではあらかじめ水酸化ニッケル粒子をオキシ水酸化コバルトで被覆しておく必要がないため、特許文献3記載の方法と比較して低コストで比較的高い集電性(すなわち比較的高い利用率)を得ることができる。
一方で特許文献2記載の方法では導電剤であるオキシ水酸化コバルト粉末と水酸化ニッケル粉末とを均一に混合すること(すなわち均一に分散させること)が難しいため、特許文献3記載の方法と比較して若干利用率が低くなる傾向にある。
このように、特許文献2記載の方法によれば比較的良好な集電性能が安価に得られる一方でその集電性能は特許文献3記載の方法に若干劣る。反対に特許文献3記載の方法によれば優れた集電性能が得られる半面、特許文献2記載の方法よりも高コストとなる。
このような利害得失を踏まえて、これらの方法は以下のように使い分けられている。すなわち、コストが重視され利用率が若干低くても許容される用途では、オキシ水酸化コバルト粉末を導電剤として使用する特許文献2記載の方法が採用され、利用率が重視され価格の上昇が許容される用途では、あらかじめオキシ水酸化コバルトで被覆された水酸化ニッケル粉末を用いる特許文献3記載の方法が採用される。最近では特許文献3記載の方法も量産効果などで製造コストが低減されつつあり、主流技術となっている。
特開昭60−131765号公報 特開平09−259888号公報 特開平11−097008号公報
しかしながら、これらの非焼結式正極は活物質粉末が脱落しやすいという欠点を持っていた。非焼結式正極は焼結式正極より高容量の正極とすることができるが、(1)活物質や導電剤が粉末(すなわち粒子)であること、(2)ニッケル骨格間の空孔の孔径が大きいため、焼結式正極に比べ、活物質の保持力が充分ではないこと、などの理由により活物質や導電剤が脱落しやすいのである。このため、電池の構成時に活物質が正極より脱落し、内部短絡の原因になる場合がある。また、電池作製直後は問題にならなくても、充放電を繰り返すことで、活物質が脱落し、内部短絡や自己放電の増加といった問題が発生することがある。活物質として球状の水酸化ニッケルを使用した場合、粒子の流動性が高いため、特に活物質の脱落を起こしやすい。いわば、転がりやすく引っかかりにくいのである。
活物質の脱落を防ぐ目的で、一般に非焼結式正極にはバインダーが用いられる。これは活物質粒子間をバインダーで接着することで、脱落を防止しようとするものである。しかしながら、バインダーによる脱落防止は必ずしも満足できるレベルのものではなかった。しかも、脱落防止のために徒にバインダーの量を増加させるとバインダーが活物質粒子を被覆してしまい、充放電特性に悪影響を及ぼす場合があった。また、電気化学反応に寄与しないバインダーの体積が無視できなくなり、容量の低下を来すこともあった。
本発明は、利用率などの充放電特性を維持しつつ、上記課題を解決し、活物質の脱落を抑制した正極を提供するものである。
本発明は上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果得られたもので、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末とそれよりも小さい平均粒径のオキシ水酸化コバルト粉末の両方を用いて正極を構成することで効果的に活物質粉末等の脱落が防止し得ることを発見したことに基づくものである。
すなわち、本発明は、導電性支持体と、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と、オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤と、バインダーとを含み、前記オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径がオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径より大きいアルカリ蓄電池用非焼結式正極である。
上記構成とすることで、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の隙間にオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤が入り、バインダーによるオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末同士の接着に加え、オキシ水酸化コバルト粉末を介して、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末−オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤−オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の形でも接着することができる。すなわち、活物質同士の直接接着に加えて、添加剤を介した活物質同士の接着が実現されるのである。
また、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末とは、ともに粒子表面がオキシ水酸化コバルトであり、オキシ水酸化コバルトは非常に凝集しやすい性質を持っている(背景技術の項で述べたようにオキシ水酸化コバルトを分散させるのが難しい所以である)。詳細なメカニズムは不明であるが、この高い凝集力が活物質粉末等の脱落防止に大きく寄与していると考えられる。すなわち、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と、それよりも平均粒径が小さいオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤とを併用することでこの効果が顕著に発揮されるのである。
本発明はアルカリ蓄電池用の非焼結式正極の改良に関するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、導電性支持体と、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と、オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤と、バインダーとを含み、前記オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径が前記オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径より大きいアルカリ蓄電池用非焼結式正極とするものであり、上記構成とすることで、水酸化ニッケル粉末の隙間にオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤が入り、バインダーによる水酸化ニッケル粉末同士の接着に加え、オキシ水酸化コバルト粉末を介して、水酸化ニッケル粉末−オキシ水酸化コバルト粉末−水酸化ニッケル粉末の形でも接着することができる。さらに、水酸化ニッケル粉末を被覆するオキシ水酸化コバルトと、添加剤であるオキシ水酸化コバルトの凝集しやすい性質により、活物質粉末等の脱落防止に顕著な効果を発揮することができる。これらの効果により、利用率などの充放電特性を維持しつつ、活物質粉末等の脱落を抑制した正極とすることができる。
本発明の請求項2記載の発明は、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末における、オキシ水酸化コバルトの被覆量を規定したものであり、利用率などの充放電特性を維持するために、オキシ水酸化コバルト被覆量を被覆される水酸化ニッケルの3〜10重量%とするものである。
本発明の請求項3記載の発明は、添加剤であるオキシ水酸化コバルトの添加量を規定するものであり、活物質粉末等の脱落を抑制する効果をより顕著に奏するために、添加量はオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末中の水酸化ニッケルの1〜5重量%とするものである。
本発明の請求項4記載の発明は、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末とオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の粒径を規定するものであり、脱落抑制の効果をより大きく発揮するため、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径が7〜15μmであり、かつ、オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径が0.5〜5μmとするものである。
本発明の請求項5記載の発明は、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の形状を規定するものであり、活物質粉末の形状を球状とするものである。本発明の効果は活物質粉末が球状である場合に特に大きい。
前記のアルカリ蓄電池用正極と、導電性支持体表面に水素吸蔵合金粉末層を形成した負極と高分子樹脂からなるセパレータを用い、この正極板と負極を絶縁するようにセパレータを配置して全体を渦巻状に構成または積層した電極群を電池ケースに挿入した後、所定量の電解液を注液し、封口部を密封することでアルカリ蓄電池を作製することができる。
(実施例1)
導電性支持体と、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と、オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤と、バインダーとを含むアルカリ蓄電池用正極の作製方法を説明する。
オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末は、以下の方法により作製した。まず、硫酸ニッケルを主成分とし、硫酸コバルトと硫酸亜鉛を所定量だけ含有させた水溶液に、アンモニア水で溶液pHを調整しながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下し、球状の水酸化ニッケルを析出させた。反応後、水洗、乾燥し、水酸化ニッケル粉末を得た。
この水酸化ニッケルを母粒子として、硫酸コバルト水溶液に入れ、充分攪拌を行いながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、水酸化ニッケルを水酸化コバルトで被覆した。水酸化コバルトの被覆量は母粒子である水酸化ニッケルの重量に対し、5%となるよう調整した。反応後、水洗、乾燥し、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末を得た。
作製した水酸化コバルト被覆水酸化ニッケルに、水酸化ナトリウム水溶液を加え、湿潤状態で酸素存在下で加熱乾燥し、水酸化コバルトを酸化して、オキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケルを作製した。作製されたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケルのレーザー回折式粒度計(Honeywell社製 MICROTRAC HRA 9320−X100)による平均粒径は10.2μmであった。なお、本願でいう平均粒径は、粉体の粒径分布において,ある粒子径より大きい質量が、全粉体の50%をしめるときの粒子径(D50)である。
オキシ水酸化コバルト粉末は、以下の方法により作製した。アンモニア水で溶液pHを調整しながら、水酸化ナトリウム水溶液に、硫酸コバルト水溶液を徐々に加え、水酸化コバルト粉末を析出させ、水洗、乾燥を経て得られた水酸化コバルトを水中に分散し、充分
攪拌しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を徐々に加えて、酸化し、オキシ水酸化コバルトを作製した後、水洗、乾燥し、オキシ水酸化コバルト粉末を得た。得られたオキシ水酸化コバルトの平均粒径は2.1μmのものであった。
オキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル105重量部に、オキシ水酸化コバルト2重量部、3重量%カルボキシメチルセルロース水溶液25重量部を混合機にて充分混合し、さらにバインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを50重量%含む水性ディスパージョンを樹脂分で5重量部加え混合して、ペースト状にした。このペーストを電極支持体である発泡ニッケル基板内に充填した後、乾燥し、ローラプレスで圧延を行った。これを切断し、リード部を設け、極板とし、正極Aを作製した。
(比較例1)
比較例1として、導電性支持体と、水酸化ニッケル粉末(オキシ水酸化コバルトで被覆されていない水酸化ニッケル)と、オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤と、バインダーとを含むアルカリ蓄電池用正極の作製方法を説明する。
水酸化ニッケル粉末の作製は、硫酸ニッケルを主成分とし、硫酸コバルトと硫酸亜鉛を所定量だけ含有させた水溶液に、アンモニア水で溶液pHを調整しながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下し、球状の水酸化ニッケルを析出させる方法を用いた。作製された水酸化ニッケルの平均粒径は10.1μmであった。
オキシ水酸化コバルト粉末は、実施例1と同様の方法で作製し、平均粒径は2.1μmのものが得られた。
水酸化ニッケル100重量部に、オキシ水酸化コバルト7重量部、3重量%カルボキシメチルセルロース水溶液25重量部を混合機にて充分混合し、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを50重量%含む水性ディスパージョンを樹脂分で5重量部加え混合して、ペースト状にした。このペーストを電極支持体である発泡ニッケル基板内に充填した後、乾燥し、ローラプレスで圧延を行った。これを切断し、リード部を設け、極板とし、正極Bを作製した。
(比較例2)
比較例2として、導電性支持体と、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と、バインダーとを含むアルカリ蓄電池用正極の作製方法を説明する。
使用するオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末は、実施例1と類似の下記の方法により作製した。まず、硫酸ニッケルを主成分とし、硫酸コバルトと硫酸亜鉛を所定量だけ含有させた水溶液に、アンモニア水で溶液pHを調整しながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下し、球状の水酸化ニッケルを析出させた。
この水酸化ニッケルを母粒子として、硫酸コバルト水溶液に入れ、充分攪拌を行いながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、水酸化ニッケルを水酸化コバルトで被覆した。水酸化コバルトの被覆量は母粒子である水酸化ニッケルの重量に対し、7%となるよう調整した。
作製した水酸化コバルト被覆水酸化ニッケルに、水酸化ナトリウム水溶液を加えて湿潤状態にし、酸素存在下で加熱乾燥し、水酸化コバルトを酸化して、オキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケルを作製した。作製されたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケルの平均粒径は10.4μmであった。
オキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル107重量部に、3重量%カルボキシメチルセルロース水溶液25重量部を加えて混合機にて充分混合し、さらにバインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを50重量%含む水性ディスパージョンを樹脂分で5重量部加え混合して、ペースト状にした。このペーストを電極支持体である発泡ニッケル基板内に充填した後、乾燥し、ローラプレスで圧延を行った。これを切断し、リード部を設け、極板とし、正極Cを作製した。
作製した正極と、水素吸蔵合金を主体とした負極、親水化処理を施したポリプロピレン製不織布からなるセパレータを、正極板と負極を絶縁するようにセパレータを配置して捲回し、電極群を作製した。
得られた電極群を電池ケースに挿入した後、所定量の水酸化カリウムを主な溶質とし、他に水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含み、合計濃度8mol/lのアルカリ電解液を注液し、封口することにより、AAAサイズ公称容量900mAhの電池を作製した。以下、正極A、正極B、正極Cを用いた電池を電池A、電池B、電池Cとする。
各電池は0.1It(90mA)で15時間充電後、1It(900mA)で40分間放電するサイクルを二回行い、その後、45℃で3日間保存し、合金負極の活性化を行った。
放電容量は0.1Itで15時間充電した後、0.2It、1Itおよび2Itのレートで電池電圧が0.8Vになるまで放電することで求めた。なお、充放電は雰囲気温度20℃の条件で行った。正極理論容量は、水酸化ニッケルが1電子反応で充放電した場合の容量で、正極活物質中の水酸化ニッケルの重量に、289mAh/gを乗じて求めた。正極利用率は、放電容量を正極理論容量で割って算出した。
また、正極からの活物質の脱落量を調べるため、一部の電極群は作製後に分解して正極を取り出し、電極群作製前の重量からの減少量を求め、正極Aの重量減少量を基準として、活物質脱落量を調べた。
各電池の充放電試験結果を表1に示す。表1から分かるように実施例である電池Aは、電池Cとほぼ同等の高い正極利用率を示すことがわかる。これに対し、電池Bは電池Aや電池Cより正極利用率が低いことが分かる。
正極A、正極B、正極Cの断面をそれぞれ図1、図2、図3に模式的に示す。図1、図3に示されるように実施例である正極Aおよび正極Cは水酸化ニッケルがあらかじめ、オキシ水酸化コバルトにより被覆されているため、導電性が確保でき、高い利用率を示す。これに対し、オキシ水酸化コバルトを添加剤としてのみ加える正極Bでは、オキシ水酸化コバルトの分散が充分ではなく、このため、利用率が比較的、低くなるものと推定される。
Figure 2005310580
次に、各電池での活物質脱落量を表2に示す。脱落量は正極Aの脱落量を1.0に規格
化し、比率として表している。実施例である正極Aは、正極Bや正極Cよりも脱落量が低く抑えられていることがわかる。
正極Cは、図3に示すようにバインダーにより活物質同士を接着しているが、活物質の脱落抑制の効果が充分ではないため、脱落量が多い。
正極Bでは、図2に示すように、バインダーが活物質同士を接着するだけでなく、添加剤であるオキシ水酸化コバルトを介して、活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の形で粉末同士の接着を強めることで、脱落がある程度、抑制されているものと推定される。
正極Aでは、図1に示すように、正極Bと同等の効果に加え、オキシ水酸化コバルト同士の凝集を起こしやすい性質により、活物質を被覆するオキシ水酸化コバルトと添加剤のオキシ水酸化コバルトが凝集しやすく脱落抑制に大きく寄与する。これらの効果により正極Aで脱落抑制の効果が顕著に現れるものと推定される。
Figure 2005310580
以上のように、本発明の構成とすることで、利用率を維持しつつ、脱落の少ない正極とすることができる。
(実施例2)
実施例2では、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の粒径を変えて、その正極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した一例について説明する。なお、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の粒径を変えた以外は、実施例1の極板Aおよび電池Aと同様に、正極板および電池を作製した。
作製したオキシ水酸化コバルト粉末のレーザー回折式粒度計による平均粒径はそれぞれ、2.1、5.0、7.6、10.2、15.4μmであった。
作製した電池について、実施例1と同様の条件で正極利用率の測定を行った。測定結果を表3に示す。表3から分かるように、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の粒径にかかわらず、高い利用率を示す事がわかる。これは、被覆しているオキシ水酸化コバルトにより、導電性が確保できたためと推定される。
Figure 2005310580
次に、実施例1と同様の方法で、極板の脱落量を調べた。測定結果を表4に示す。表4から分かるように、オキシ水酸化コバルト粉末の粒径が、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径である10.2μm未満のとき、すなわち、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径がオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径より大きいとき、脱落量が低く抑えられていることがわかる。
オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径がオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径より大きいとき、バインダーがオキシ水酸化コバルトにより被覆された活物質同士を接着する効果が発揮される。添加剤であるオキシ水酸化コバルトを介して、活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の形で粉末同士の接着を強めることで、脱落が抑制される効果に加え、オキシ水酸化コバルト同士の凝集を起こしやすい性質により、活物質を被覆するオキシ水酸化コバルトと添加剤のオキシ水酸化コバルトが凝集しやすく脱落抑制に大きく寄与する。これらの効果により脱落抑制の効果が顕著に現れるものと推定される。
オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径がオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径以下のときは、相対的なオキシ水酸化コバルト粒子の数が減り、活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の形で粉末同士の接着が弱くなってしまうため、本発明の効果が発揮されないものと推定される。
Figure 2005310580
以上のように、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径をオキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径より大きくすることで、利用率を維持しつつ、脱落の少ない正極とすることができる。
(実施例3)
実施例3では、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の、被覆しているオキシ水酸化コバルトの重量を変えて、その正極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した一例について説明する。なお、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の、被覆しているオキシ水酸化コバルトの重量を変えた以外は、実施例1の極板Aおよび電池Aと同様に、正極板および電池を作製した。
作製したオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の、オキシ水酸化コバルト被覆量は水酸化ニッケルの総重量に対し、1、3、5、10、12%とした。作製されたオキシ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケルのレーザー回折式粒度計による平均粒径はそれぞれ、10.1、10.2、10.3、10.5、10.6μmであった。
作製した電池について、実施例1と同様の条件で正極利用率の測定を行った。測定結果
を表5に示す。表5から分かるように、いずれの場合も、被覆しているオキシ水酸化コバルトにより、導電性が確保でき、高い利用率を示す。オキシ水酸化コバルトの被覆量が3%以上であるときは、充分な導電性が確保でき、利用率が特に高くなるものと推定される。
Figure 2005310580
次に、実施例1と同様の方法で、極板の脱落量を調べた。測定結果を表6に示す。表6から分かるように、概ね脱落量は低く抑えられているが、オキシ水酸化コバルトの被覆量が10%以下のとき、脱落量が特に低く抑えられていることがわかる。
オキシ水酸化コバルトの被覆量が10%以下のとき、バインダーがオキシ水酸化コバルトにより被覆された活物質同士を接着する効果が大きい。添加剤であるオキシ水酸化コバルトを介して、活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の形で粉末同士の接着を強めることで、脱落が抑制される効果に加え、オキシ水酸化コバルト同士の凝集を起こしやすい性質により、活物質を被覆するオキシ水酸化コバルトと添加剤のオキシ水酸化コバルトが凝集しやすく脱落抑制に大きく寄与する。これらの効果により脱落抑制の効果が顕著に現れるものと推定される。
一般的に、水酸化ニッケル粉末を被覆する水酸化コバルトの量が多い場合、被覆層が剥離しやすくなる傾向がある。この水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末から作られる、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末のオキシ水酸化コバルト層も剥離しやすくなる。オキシ水酸化コバルトの被覆量が10%以下の場合には、オキシ水酸化コバルト層の剥離がほとんどないため、本発明の効果が大きく発揮される。
Figure 2005310580
以上のように、水酸化ニッケル粉末を被覆しているオキシ水酸化コバルトの重量を水酸化ニッケル重量の3〜10%とすることで、利用率を維持しつつ、特に脱落の少ない正極とすることができるので非常に好ましい。
(実施例4)
実施例4では、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の添加量(オキシ水酸化コバルトで被覆された水酸化ニッケル粉末中の水酸化ニッケル重量に対する、オキシ水酸化コバルトからなる添加剤の重量の比率)を変えて正極板を作製し、その正極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した一例について説明する。なお、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の添加量を変えた以外は、実施例1の極板Aおよび電池Aと同様に、正極板および電池を作製した。
作製した電池について、実施例1と同様の条件で正極利用率の測定を行った。測定結果を表7に示す。表7から分かるように、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の添加量にかかわらず、高い利用率を示す事がわかる。これは、被覆しているオキシ水酸化コバルトにより、導電性が確保できたためと推定される。
Figure 2005310580
次に、実施例1と同様の方法で、極板の脱落量を調べた。測定結果を表8に示す。表8から分かるように、概ね脱落量は低く抑えられているが、オキシ水酸化コバルト粉末の添加量が1〜5%のとき、特に脱落量が低く抑えられていることがわかる。
オキシ水酸化コバルトの被覆量がオキシ水酸化コバルト粉末の添加量が1〜5%のとき、バインダーがオキシ水酸化コバルトにより被覆された活物質同士を接着する効果が大きい。添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末を介して、活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の形で粉末同士の接着を強めることで、脱落が抑制される効果に加え、オキシ水酸化コバルト同士の凝集を起こしやすい性質により、活物質を被覆するオキシ水酸化コバルトと添加剤のオキシ水酸化コバルト粉末が凝集しやすく、脱落抑制に大きく寄与する。これらの効果により脱落抑制の効果が顕著に現れるものと推定される。
添加剤であるオキシ水酸化コバルト同士の接着にもバインダーが使用されるため、オキシ水酸化コバルトの添加量が多ければ多いほど、脱落抑制ができるというわけではない。オキシ水酸化コバルトにより被覆された活物質同士の接着と、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末を介した活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の接着の双方が効果的に働く必要があり、オキシ水酸化コバルトの添加量が1〜5%のとき、最適な添加量となり、本発明の効果が大きく発揮される。
Figure 2005310580
以上のように、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粒粉末の添加量を1〜5%とすることで、利用率を維持しつつ、特に脱落の少ない正極とすることができるので非常に好ましい。
(実施例5)
実施例5では、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径と、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の粒径を変えて、その正極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した一例について説明する。なお、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径と添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の粒径を変えた以外は、実施例1の極板Aおよび電池Aと同様に、正極板および電池を作製した。
作製したオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末のレーザー回折式粒度計による平均粒径は4.9、7.0、10.2、15.0、18.3μmであった。また、作製したオキシ水酸化コバルト粉末の平均粒径はそれぞれ、0.1、0.5、2.1、5.0、7.6μmであった。
作製した電池について、実施例1と同様の条件で正極利用率の測定を行った。2It放電時の測定結果を表9に示す。表9から分かるように、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径と、添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の粒径にかかわらず、高い利用率を示す事がわかる。これは、被覆しているオキシ水酸化コバルトにより、導電性が確保できたためと推定される。
Figure 2005310580
次に、実施例1と同様の方法で、極板の脱落量を調べた。測定結果を表10に示す。表10から分かるように、オキシ水酸化コバルト粉末の粒径が、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径以上である場合を除いて、概ね脱落量は低く抑えられているが、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径が7.0〜15.0μmで、かつ、オキシ水酸化コバルト粉末の粒径が0.5〜5.0μmのとき、特に脱落量が低く抑えられていることがわかる。
添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末を介して、活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の形で粉末同士の接着を強めることで、脱落が抑制される効果に加え、オキシ水酸化コバルト同士の凝集を起こしやすい性質により、活物質を被覆するオキシ水酸化コバルトと添加剤のオキシ水酸化コバルト粉末が凝集しやすく、脱落抑制に大きく寄与する。これらの効果により脱落抑制の効果が顕著に現れるものと推定される。これらの効果は、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末の大きさの差、粒径の違いによる添加剤であるオキシ水酸化コバルト粉末同士の接着に使用されるバインダーの量、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の間にできる隙間の大きさ、などによって異なり、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径が7.0〜15.0μmで、かつ、オキシ水酸化コバルト粉末の粒径が0.5〜5.0μmのとき、本発明の効果が大きく発揮される。
Figure 2005310580
以上のように、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の粒径が7.0〜15.0μmで、かつ、オキシ水酸化コバルト粉末の粒径が0.5〜5.0μmとすることで、利用率を維持しつつ、特に脱落の少ない正極とすることができるので非常に好ましい。
(実施例6)
実施例6では、水酸化ニッケル粉末を作製する条件を変更して、非球状(不定形)の水酸化ニッケル粒子を作製し、これを用いて正極板を作製し、その正極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した一例について説明し、球状の水酸化ニッケルを用いた実施例1との本発明の効果の差について説明する。なお、水酸化ニッケル粒子を非球状とした以外は、実施例1、比較例1、比較例2と同様にして正極板および電池を作成し、それぞれ、正極D、正極E、正極F、および、電池D、電池E、電池Fとした。ただし、非球状の水酸化ニッケル粉末を使用すると、球状の場合と比較して充填密度が低くなるため、電池D、E、Fの公称容量は800mAhである。
使用した材料について、レーザー回折式粒度計により粒径を測定した。正極Dに用いたオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径は10.1μm、オキシ水酸化コバルト粒子の平均粒径は2.1μmであった。正極Eに用いた水酸化ニッケル粉末の平均粒径は10.0μmであった。正極Fに用いたオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径は10.2μmであった。
作製した電池について、実施例1と同様に正極利用率の測定を行った。測定結果を表11に示す。表11から分かるように、電池Dと電池Fは高い正極利用率を示すことが分かる。実施例である正極Dおよび正極Fは水酸化ニッケルがあらかじめ、オキシ水酸化コバルトにより被覆されているため、導電性が確保でき、高い利用率を示すものと推定される
。これに対し、電池Eは比較的利用率が低い。これはオキシ水酸化コバルトを添加剤としてのみ加える正極Eでは、オキシ水酸化コバルトの分散が充分ではなく、このため、利用率が比較的、低くなるものと推定される。
Figure 2005310580
次に、各電池での活物質脱落量を表12に示す。ここでは、実施例である正極Dを基準(1.0)に規格化している。実施例である正極Dは、正極Eや正極Fよりも脱落量が低く抑えられていることがわかる。
正極Fは、バインダーにより活物質同士の接着を接着しているが、活物質の脱落抑制の効果が充分ではないため、脱落量が多い。正極Eでは、バインダーが活物質同士を接着するだけでなく、添加剤であるオキシ水酸化コバルトを介して、活物質−添加剤であるオキシ水酸化コバルト−活物質の形で粉末同士の接着を強めることで、脱落がある程度、抑制されているものと推定される。正極Dでは、正極Eと同等の効果に加え、オキシ水酸化コバルト同士の凝集を起こしやすい性質により、活物質を被覆するオキシ水酸化コバルトと添加剤のオキシ水酸化コバルトが凝集しやすく脱落抑制に大きく寄与する。これらの効果により正極Dで脱落抑制の効果が顕著に現れるものと推定される。
ここで、球状水酸化ニッケルを使用した表2の結果と、非球状水酸化ニッケルを使用した表12の結果から、比較例に対する実施例の脱落量抑制の効果を比べた。非球状水酸化ニッケルを使用した場合、0.2〜0.3の改善であるのに対し、球状水酸化ニッケルを使用した場合0.3〜0.4の改善であり、本発明の効果が特に大きい。一般的に、球状水酸化ニッケルはその形状のため水酸化ニッケル粒子同士の引っ掛かりが弱いため、流動しやすく、脱落を起こしやすい。このため、本発明による脱落抑制の改善の効果が、特に大きく現れるものと推定される。
Figure 2005310580
以上のように、本発明の構成とすることで、利用率を維持しつつ脱落の少ない正極とすることができるが、球状のオキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末を使用する場合においては、非球状のものを使用する場合と比較して脱落を抑制する効果が特に大きい。
本発明はアルカリ蓄電池用非焼結式正極として有用であり、アルカリ蓄電池に利用できる。
本発明の電極Aの断面をあらわす模式図 比較例の電極Bの断面をあらわす模式図 比較例の電極Cの断面をあらわす模式図
符号の説明
1 水酸化ニッケル
2 水酸化ニッケルを被覆するオキシ水酸化コバルト
3 添加剤であるオキシ水酸化コバルト
4 バインダー

Claims (6)

  1. 導電性支持体と、
    オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末と、
    オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤と、
    バインダーとを含み、
    前記オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径が前記オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径より大きいアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  2. 前記オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末において、被覆しているオキシ水酸化コバルトの重量が、水酸化ニッケル重量の3〜10%である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  3. 前記オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の重量が、オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末中の水酸化ニッケル重量の1〜5%である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  4. オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の平均粒径が7〜15μmであり、かつ、オキシ水酸化コバルト粉末からなる添加剤の平均粒径が0.5〜5μmである請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  5. 前記オキシ水酸化コバルトにより被覆された水酸化ニッケル粉末の形状が球状である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式正極。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を具備するアルカリ蓄電池。
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