JP4956863B2 - アルカリ蓄電池用正極活物質およびこれを用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用正極活物質およびこれを用いたアルカリ蓄電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ蓄電池用正極活物質とこれを用いたアルカリ蓄電池に関連するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、アルカリ蓄電池は携帯機器の普及に伴い高容量化が強く要望されている。特にニッケル・水素蓄電池は、水酸化ニッケルを主体とした正極と、水素吸蔵合金を主体とした負極からなる二次電池であり、高容量かつ高信頼性の二次電池として普及している。
【0003】
以下、このアルカリ蓄電池用の正極について説明する。
【0004】
アルカリ蓄電池用の正極には、大別して焼結式と非焼結式の2つがある。前者はパンチングメタル等の芯材とニッケル粉末とを焼結させて得た多孔度80%程度のニッケル焼結基板に、硝酸ニッケル水溶液等のニッケル塩溶液を含浸し、続いてアルカリ水溶液に含浸するなどして多孔質ニッケル焼結基板中に水酸化ニッケルを生成させて作製するものである。この正極は基板の多孔度をこれ以上大きくすることが困難であるため、水酸化ニッケル量を増加することができず、高容量化には限界がある。
【0005】
後者の非焼結式正極としては、例えば特開昭50−36935号公報に開示されたように、三次元的に連続した多孔度95%程度の発泡ニッケル基板に、水酸化ニッケル粒子を保持させるものが提案されており、現在、高容量のアルカリ蓄電池の正極として広く用いられている。この非焼結式正極では高容量化の観点から、嵩密度が大きい球状の水酸化ニッケル粒子が使用される。また、放電特性や充電受け入れ性、寿命特性の向上のために、上記の水酸化ニッケル粒子にコバルト、カドミウム、亜鉛等の金属元素を一部固溶させて用いるのが一般的である。
【0006】
また、このような水酸化ニッケル粒子とともに発泡ニッケル基板に保持させる導電剤としては2価のコバルト酸化物(例えば特開平7−77129号公報)等が提案されている。
【0007】
2価のコバルト酸化物の機能は次の通りである。通常、発泡ニッケル基板の孔の大きさは、これに充填する水酸化ニッケルの粒径よりも十分大きく設けられている。したがって、集電が保たれた基板骨格近傍の水酸化ニッケル粒子では充放電反応が円滑に進行するが、骨格から離れた水酸化ニッケル粒子の反応は十分に進行しない。そこで多くの場合、水酸化コバルト、一酸化コバルトのような2価のコバルト酸化物を添加している。これら2価のコバルト酸化物はそれ自身は導電性を有しないものの、電池内での初期の充電において導電性を有するβ−オキシ水酸化コバルトへと電気化学的に酸化され、これが水酸化ニッケル粒子と基板骨格とをつなぐ導電ネットワークとして機能する。この導電ネットワークの存在によって、非焼結式正極では高密度に充填した活物質の利用率を大幅に高めることが可能となり、焼結式正極に比べて高容量化が図られる。
【0008】
しかし、上記のような構成の非焼結式正極やこれを用いたアルカリ蓄電池においても、コバルトによる導電ネットワークの集電性能は完全なものではないため、水酸化ニッケル粒子の利用率には上限があった。さらに上記正極では、電池を過放電あるいは短絡状態で放置したり、長期の保存や高温下での保存等を行うと、その後の充放電で正極容量が低下するという欠点があった。これは、上記したような電池内の電気化学的なコバルトの酸化反応では、2価のコバルト酸化物を完全にβ−オキシ水酸化コバルトへ変化させることができず、導電ネットワークの機能低下が起こりやすいためである。
【0009】
こうしたコバルトによる導電ネットワークの不完全さを改善する手段として、特開平8−148145号公報および特開平8−148146号公報において、正極活物質中の水酸化コバルトを、電池外においてアルカリ水溶液と酸素(空気)との共存下で加熱処理(酸化)し、結晶構造の乱れた2価よりも価数の大きいコバルト酸化物に改質する手法が開示されている。これに類似する内容として、特開平9−147905号公報においてコバルト価数が2.5〜2.93までのコバルト酸化物の改良が、さらに特開平9−259888号公報では同様の手法で作製したβ−オキシ水酸化コバルトを使用した電池の特性が示されている。
【0010】
また、前記の特開平8−148146号公報では、同様の加熱処理を水酸化コバルトの被覆層を有する水酸化ニッケル固溶体粒子に施す点も述べられている。この場合には、あらかじめ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を作製しておくことによるコバルトの分散性向上等の理由により、使用するコバルト量を少なくできるという利点がある。一方、特開平9−73900号公報では、この際の製造方法に関して、アルカリ水溶液を含んだ水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を、流動造粒装置等の中で流動させるかあるいは分散させながら加熱する方法が開示されている。このような処理を行うと、凝集による粒子塊の発生等のトラブルを少なくできるという利点がある。
【0011】
しかし、上記公報に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質(酸化を施したコバルト種の被覆層を有する水酸化ニッケル固溶体粒子)では、被覆層を形成するコバルト種の酸化状態は未だ完全なものとは言い難く、改良の余地が残されていた。これは、アルカリ共存下での水酸化コバルトの酸化の進行が、周囲の温度や共存させるアルカリ水溶液の濃度だけでなく、周囲の水分や酸素量にも大きく影響を受け、これらの制御なしには十分に高次な状態にまで酸化させることができないためである。この課題を改善する提案として、特開平11−97008号公報においては、酸化条件を最適に制御することによって被覆層を形成するコバルト種は価数が3.0よりも高次なγ−オキシ水酸化コバルトまで酸化されるという点、そして、この活物質を用いた正極の利用率や耐過放電性能等が、コバルト酸化が不十分な活物質を用いた場合に比べて飛躍的に向上する点が開示された。ここで、このγ−オキシ水酸化コバルトは結晶内にアルカリカチオン(K+あるいはNa+)を多量に含有するといった特徴も併せ持つ。さらに特開平11−147719号公報においては、上記コバルト価数が3.0よりも高次なγ−オキシ水酸化コバルト層の結晶内部に、水酸化リチウムあるいはリチウムイオンを固定化することにより、高温雰囲気下で充放電サイクルを繰り返した場合の容量劣化を抑制できる点が開示されている。
【0012】
近年に出願、公開された以上のような技術は、基本的には電池の初充電時に起こるコバルト酸化反応(通常の条件では満足に進行しない)を、電池外で十分に行わせる主旨のものである。したがって、先述のコバルトによる導電ネットワークの不完全さに起因する欠点の改良を図ることができる。
【0013】
一方、非焼結式ニッケル極は高温雰囲気下での充電効率が低いという欠点を有する。通常、アルカリ蓄電池の充電末期には、水酸化ニッケルからオキシ水酸化ニッケルへの充電反応(酸化反応)の他に、副反応である酸素発生反応が競争的に起こる。特に高温雰囲気下での充電においては、酸素発生過電圧が低下するため、充電電気量の多くが酸素発生反応に消費されることになる。その結果、水酸化ニッケルがオキシ水酸化ニッケルに充分に酸化されず、電池容量の低下をきたす。
【0014】
この問題を解決するために、これまでに数多くの提案がなされてきた。例えば、特開平5−28992号公報には、正極中にイットリウム、インジウム、アンチモン、バリウム、カルシウムおよびベリリウムの化合物のうち少なくとも一種を添加する方法が開示されている。正極中に添加されたこれらの化合物は、活物質である水酸化ニッケルの表面に吸着し、これによって、高温雰囲気下の充電における水酸化ニッケルの利用率が向上する。
【0015】
また、特開平10−294109号公報には、水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト化合物からなる被覆層が形成された複合体粒子からなる活物質粉末に、平均粒径0.5〜20μmの金属イットリウム粉末および/またはイットリウム化合物粉末を添加した正極を用いることで、高温での充電特性を向上できることが開示されている。また、特開平11−273671号公報では、3.0価よりも高次なコバルト酸化物の被覆層を有する水酸化ニッケル固溶体粒子と、前記コバルト酸化物で被覆された水酸化ニッケル固溶体粒子の量に対して0.1〜5.0重量部の金属イットリウム粉末またはイットリウム酸化物粉末の混合物とからなるアルカリ蓄電池用非焼結式正極が、高利用率で耐過放電性能等に優れることが開示されている。
【0016】
さらに、特開平10−21909号公報には、水酸化ニッケル粒子の表面を水酸化イットリウムと水酸化コバルトとの共晶で被覆してなる複合体粒子からなる粉末を正極活物質として用いることで、充放電サイクルの初期はもとより、長期にわたって高い活物質利用率を発現することが開示されている。また、特開平11−260360号公報には、水酸化ニッケル粒子表面の少なくとも一部を、イッテルビウムを含有するコバルト化合物層で被覆してなる複合体粒子を正極活物質として用いることで、利用率および高温雰囲気下での充電効率を向上できることが開示されている。
【0017】
また、特開平11−7949号公報には、水酸化ニッケルを含有する基体粒子と、当該基体粒子を被覆するイットリウム、スカンジウムもしくはランタノイド、または、それらの化合物からなる被覆内層と、当該被覆内層を被覆するコバルトまたはコバルト化合物からなる被覆外層とからなる複合体粒子を正極活物質として用いることで、常温下で充電した場合はもとより、高温雰囲気下で充電した場合にも、高い活物質利用率を発現することが開示されている。さらに、特開平11−7950号公報には、水酸化ニッケルを含有する基体粒子と、当該基体粒子を被覆するコバルトまたはコバルト化合物からなる被覆内層と、当該被覆内層を被覆するイットリウム、スカンジウムもしくはランタノイド、または、それらの化合物からなる被覆外層とからなる複合体粒子を正極活物質として用いることで、常温下で充電した場合はもとより、高温雰囲気下で充電した場合にも、高い活物質利用率を発現することが開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記添加剤は酸素発生過電圧を増大させ、高温充電効率を向上させる効果はあるものの、導電性をほとんど有していない。したがって、コバルト酸化物の被覆による水酸化ニッケル粒子表面の電子伝導性付与効果を阻害し、放電特性、特に高率放電特性に悪影響を与えることになる。特に、上記添加剤をコバルト酸化物被覆層に共晶させた場合、あるいは、コバルト酸化物被覆層の内層あるいは外層として均一に分布させた場合には、高温雰囲気下で充電した場合には優れた活物質利用率を発現するものの、高率放電特性は顕著に劣化することになる。
【0019】
本発明は上記課題を解決するもので、優れた高温充電特性を維持しつつ、高率放電特性にも優れたアルカリ蓄電池用正極活物質およびアルカリ蓄電池を提供するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のアルカリ蓄電池用正極活物質は、水酸化ニッケルを主成分とする固溶体粒子の表面積の1〜30%が、イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドから選ばれる少なくとも一種の酸化物粒子にて被覆されており、かつ、その外周をコバルト平均価数が3.0価より大であるコバルト酸化物にて被覆され、前記コバルト酸化物の被覆層が、その結晶内部にカリウムあるいはナトリウムを含有しており、かつ水酸化リチウムあるいはリチウムイオンを固定化していることを特徴とするものである。
【0021】
酸素発生過電圧を増大させる効果を有するイットリウム、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子が、水酸化ニッケル固溶体粒子の表面に部分的に被覆されているため、水酸化ニッケル固溶体粒子とその外周のコバルト酸化物被覆層との結合部が存在する。したがって、水酸化ニッケル粒子の表面を水酸化イットリウムと水酸化コバルトとの共晶で被覆する方法、あるいは、水酸化ニッケル粒子の表面をイットリウム、スカンジウムもしくはランタノイド、または、それらの化合物からなる内層にて被覆し、さらにコバルトまたはコバルト化合物からなる外層にて被覆する方法に比べて、活物質内の電子伝導性が向上することになる。また、水酸化ニッケル固溶体粒子の最外周がコバルト酸化物のみで被覆されているため、水酸化ニッケル粒子の表面をコバルトまたはコバルト化合物からなる内層にて被覆し、さらにイットリウム、スカンジウムもしくはランタノイド、または、それらの化合物からなる外層にて被覆する方法に比べて、粒子間および粒子と基板骨格とをつなぐ導電ネットワークが損なわれることもない。それゆえ、優れた高温充電特性を維持しつつ、高率放電特性にも優れたアルカリ蓄電池用正極活物質およびアルカリ蓄電池を提供することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のアルカリ蓄電池用正極活物質は、水酸化ニッケルを主成分とする固溶体粒子の表面積の1〜30%が、イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドから選ばれる少なくとも一種の酸化物粒子にて被覆されており、かつ、その外周をコバルト平均価数が3.0価より大であるコバルト酸化物にて被覆され、前記コバルト酸化物の被覆層が、その結晶内部にカリウムあるいはナトリウムを含有しており、かつ水酸化リチウムあるいはリチウムイオンを固定化していることを特徴とする。
【0023】
ここで、イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドから選ばれる少なくとも一種の酸化物粒子の被覆率は、被覆率(%)=((水酸化ニッケル固溶体粒子一粒子当たりに結合する酸化物粒子数×酸化物粒子の最大断面積)/(水酸化ニッケル固溶体粒子一粒子の表面積))×100で定義した。ここで、水酸化ニッケル固溶体粒子一粒子当たりに結合する酸化物粒子数は、水酸化ニッケル固溶体粒子一粒子当たりに結合する酸化物粒子数=(活物質中の酸化物粒子の重量/(酸化物粒子一粒子当たりの体積×酸化物の真密度))/(活物質中の水酸化ニッケル固溶体粒子の重量/(水酸化ニッケル固溶体粒子一粒子当たりの体積×水酸化ニッケル固溶体粒子の真密度))で定義した。なお、前記酸化物粒子および水酸化ニッケル固溶体粒子は、その形状が真球であり、すべての粒子がその平均粒子径を有するものとして仮定し、粒子の断面積、一粒子の表面積、一粒子当たりの体積を算出した。
【0024】
酸素発生過電圧を増大させる効果を有するイットリウム、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子が、水酸化ニッケル固溶体粒子の表面に部分的に被覆されているため、水酸化ニッケル固溶体粒子とその外周のコバルト酸化物被覆層との結合部が存在し、活物質内の電子伝導性が向上することになる。また、水酸化ニッケル固溶体粒子の最外周がコバルト酸化物のみで被覆されているため、粒子間および粒子と基板骨格とをつなぐ導電ネットワークが損なわれることもない。それゆえ、優れた高温充電特性を維持しつつ、高率放電特性にも優れたアルカリ蓄電池用正極活物質およびアルカリ蓄電池が得られる。
【0025】
前記正極活物質において、水酸化ニッケル固溶体粒子の表面積に対する、イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子の被覆率が1%より小さい場合、高温雰囲気下の充電における酸素発生過電圧を十分に増大させることができない。また、被覆率が30%より大きい場合、酸素発生過電圧を増大させるという効果は飽和し、かつコバルト酸化物の被覆層による水酸化ニッケル粒子表面の電子伝導性付与効果を阻害し、高率放電特性に悪影響を与える。
【0026】
また、前記イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子の水酸化ニッケル固溶体粒子に対する比率が、0.1〜3.0質量%であることを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質である。前記正極活物質において、イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子の比率が0.1質量%より少ない場合、高温雰囲気下の充電における酸素発生過電圧を十分に増大させることができない。また、イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子の比率が3.0質量%より多い場合、酸素発生過電圧を増大させるという効果は飽和し、かつコバルト酸化物の被覆層による水酸化ニッケル粒子表面の電子伝導性付与効果を阻害し、高率放電特性に悪影響を与える。
【0028】
また、前記固溶体粒子に対する前記コバルト酸化物の被覆層の比率が、5〜10質量%であることを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質である。被覆層の比率が5質量%より少ない場合、導電ネットワークが不十分となり、活物質粒子からの集電を十分に保てない。また、被覆層の比率が10質量%より多い場合、正極容量を決定する水酸化ニッケル粒子の量が相対的に減少することになり、高エネルギー密度の正極が得られなくなる。被覆層の比率が上記範囲内にあって、かつ水酸化ニッケル粒子からの集電能力を最大とするために、粒子全面を被覆した状態のものが最も好適である。
【0030】
本発明正極活物質を適用して好適なアルカリ蓄電池用非焼結式正極としては、導電性芯体に活物質を含有するペーストを塗布し、乾燥してなるペースト式正極等が挙げられる。このときの導電性芯体の具体例としては、ニッケル発泡体、フェルト状金属繊維多孔体およびパンチングメタル等が挙げられる。
【0031】
本発明正極活物質を用いて好適なアルカリ蓄電池の具体例としては、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、およびニッケル・亜鉛蓄電池等が挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、詳細に説明する。
【0033】
(実施例1)
正極活物質である水酸化ニッケル固溶体粒子は、周知の以下の手法を用いて合成した。すなわち、硫酸ニッケルを主成分とし、硫酸コバルトおよび硫酸亜鉛を所定量だけ含有させた水溶液に、アンモニア水で溶液pHを調整しながら水酸化ナトリウムを徐々に滴下し、球状の水酸化ニッケル固溶体粒子を析出させる方法を用いた。この析出した水酸化ニッケル固溶体粒子を水洗、乾燥して活物質粒子とした。なお、この水酸化ニッケル固溶体粒子の平均粒径は10μmであった。
【0034】
次に、こうして得られた水酸化ニッケル固溶体粒子の100重量部に、平均粒径0.2μmのY23粒子を0.5重量部を加えた後、この混合物に対して圧縮摩砕式粉砕機によるメカノケミカル反応(メカノフュージョン法)を行い、水酸化ニッケル固溶体粒子の表面にY23粒子を分散させ、Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子を作製した。この場合の水酸化ニッケル固溶体粒子の表面積に対するY23粒子の被覆率は4.8%である。また、イットリウム特性X線像にて、水酸化ニッケル固溶体粒子の表面にイットリウムが部分的に存在していることを確認した。
【0035】
こうして得られたイットリウム(以下、Yと表記)酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子を硫酸コバルト水溶液中に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、35℃でpH=12を維持するように調整しながら攪拌を続けて固溶体粒子表面に水酸化コバルトを析出させて水酸化コバルト被覆Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子を作製した。ここで水酸化コバルトの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率が7.0質量%となるように調整した。作製した水酸化コバルト被覆Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子は水洗した後、真空乾燥を行った。
【0036】
続いて、水酸化コバルト被覆Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子に45質量%の水酸化カリウム水溶液の適量を含浸させ、これをマイクロ波加熱の機能を備えた乾燥装置内に投入して加熱し、酸素を送りながら粒子を完全乾燥まで導いた。この操作によって粒子表面の水酸化コバルト被覆層は3.0価を越える高次な状態まで酸化され、藍色に変化した。これを十分に水洗、真空乾燥させて、コバルト酸化処理Y酸化物分散活物質粒子とした(以下これを本発明活物質Aと表記する)。
【0037】
また、前記水酸化ニッケル固溶体粒子を硝酸イットリウム水溶液中に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、35℃でpH=11を維持するように調整しながら攪拌を続けて固溶体粒子表面に水酸化イットリウムを析出させてY酸化物被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を作製した。ここで水酸化イットリウムの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率がY23換算で0.5質量%となるように調整した。作製したY酸化物被覆水酸化ニッケル固溶体粒子は水洗した後、80℃にて乾燥を行った。
【0038】
こうして得られたY酸化物被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を硫酸コバルト水溶液中に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、35℃でpH=12を維持するように調整しながら攪拌を続けてY酸化物被覆層表面に水酸化コバルトを析出させて水酸化コバルト被覆Y酸化物被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を作製した。ここで水酸化コバルトの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率が7.0質量%となるように調整した。作製した水酸化コバルト被覆Y酸化物被覆水酸化ニッケル固溶体粒子は水洗した後、真空乾燥を行った。
【0039】
続いて、水酸化コバルト被覆Y酸化物被覆水酸化ニッケル固溶体粒子に45質量%の水酸化カリウム水溶液の適量を含浸させ、これをマイクロ波加熱の機能を備えた乾燥装置内に投入して加熱し、酸素を送りながら粒子を完全乾燥まで導いた。この操作によって粒子表面の水酸化コバルト被覆層は3.0価を越える高次な状態まで酸化され、藍色に変化した。これを十分に水洗、真空乾燥させて、Co酸化処理Y酸化物被覆活物質粒子とした(以下これを比較活物質Bと表記する)。
【0040】
また、前記水酸化ニッケル固溶体粒子を硫酸コバルト水溶液中に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、35℃でpH=12を維持するように調整しながら攪拌を続けて水酸化ニッケル固溶体粒子表面に水酸化コバルトを析出させて水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を作製した。ここで水酸化コバルトの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率が7.0質量%となるように調整した。作製した水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子は水洗した後、真空乾燥を行った。
【0041】
続いて、水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子に45質量%の水酸化カリウム水溶液の適量を含浸させ、これをマイクロ波加熱の機能を備えた乾燥装置内に投入して加熱し、酸素を送りながら粒子を完全乾燥まで導いた。この操作によって粒子表面の水酸化コバルト被覆層は3.0価を越える高次な状態まで酸化され、藍色に変化した。これを十分に水洗、真空乾燥させて、Co酸化処理活物質粒子とした。
【0042】
こうして得られたCo酸化処理活物質粒子を硝酸イットリウム水溶液中に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、35℃でpH=11を維持するように調整しながら攪拌を続けて水酸化コバルト被覆層表面に水酸化イットリウムを析出させてY酸化物被覆Co酸化処理活物質粒子を作製した。ここで水酸化イットリウムの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率がY23換算で0.5質量%となるように調整した。作製したY酸化物被覆Co酸化処理活物質粒子は水洗した後、80℃にて乾燥を行った(以下これを比較活物質Cと表記する)。
【0043】
また、前記水酸化ニッケル固溶体粒子を硝酸コバルトと硝酸イットリウムの混合水溶液中に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、35℃でpH=12を維持するように調整しながら攪拌を続けて水酸化ニッケル固溶体粒子表面に水酸化コバルトと水酸化イットリウムの混晶物を析出させてY混晶水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を作製した。ここで水酸化コバルトの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率が7.0質量%となるように調整した。また、水酸化イットリウムの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率がY23換算で0.5質量%となるように調整した。作製したY混晶水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子は水洗した後、真空乾燥を行った。
【0044】
続いて、Y混晶水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子に45質量%の水酸化カリウム水溶液の適量を含浸させ、これをマイクロ波加熱の機能を備えた乾燥装置内に投入して加熱し、酸素を送りながら粒子を完全乾燥まで導いた。この操作によって粒子表面の水酸化コバルト被覆層は3.0価を越える高次な状態まで酸化され、藍色に変化した。これを十分に水洗、真空乾燥させて、Y混晶Co酸化処理活物質粒子とした(以下これを比較活物質Dと表記する)。
【0045】
さらに、前記水酸化ニッケル固溶体粒子を硫酸コバルト水溶液中に投入し、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、35℃でpH=12を維持するように調整しながら攪拌を続けて水酸化ニッケル固溶体粒子表面に水酸化コバルトを析出させて水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を作製した。ここで水酸化コバルトの被覆量については、水酸化ニッケル固溶体粒子に対する被覆層の重量の比率が7.0質量%となるように調整した。作製した水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子は水洗した後、真空乾燥を行った。
【0046】
続いて、水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子に45質量%の水酸化カリウム水溶液の適量を含浸させ、これをマイクロ波加熱の機能を備えた乾燥装置内に投入して加熱し、酸素を送りながら粒子を完全乾燥まで導いた。この操作によって粒子表面の水酸化コバルト被覆層は3.0価を越える高次な状態まで酸化され、藍色に変化した。これを十分に水洗、真空乾燥させて、Co酸化処理活物質粒子とした(以下これを比較活物質Eと表記する)。
【0047】
次に、こうして得られた本発明活物質A、比較活物質B、C、Dの100重量部に、それぞれ増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)を0.1重量部およびバインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を0.2重量部と適量の純水とを加えて混合分散させ、活物質スラリーとした。この活物質スラリーを厚さ1.4mmの発泡ニッケル多孔体基板に充填し、80℃の乾燥機内で乾燥させた後、ロールプレスにより約0.7mmに圧延し、さらにこれを所定の大きさに切断加工して、Niの1電子反応を基準とした時の理論容量が1200mAhのニッケル正極とした。この正極と水素吸蔵合金を主体とした負極、親水化処理を施したポリプロピレン不織布セパレータ、水酸化カリウム濃度が7.0規定、水酸化リチウム濃度が1.0規定である混合アルカリ電解液を用い、公知の方法により公称容量1200mAhのAAサイズのニッケル・水素蓄電池を作製した(以下、本発明活物質A、比較活物質B、C、Dに対応するこれらの電池を、それぞれ本発明電池A、比較電池B、C、Dと表記する)。
【0048】
また、比較活物質Eの100重量部に、平均粒径0.2μmのY23を0.5重量部添加すること以外はすべて上記と同様にして、ニッケル・水素蓄電池を作製した(以下これを比較電池Eと表記する)。
【0049】
また、比較活物質Eを用い、Y23を添加しないこと以外はすべて上記と同様にして、ニッケル・水素蓄電池を作製した(以下これを比較電池Fと表記する)。
【0050】
これら6種の電池A、B、C、D、E、Fについて、20℃の一定温度で、充電を120mAで15時間、次いで放電を240mAで終止電圧0.8Vで行い、この充放電操作を5回繰り返した。
【0051】
次に、20℃の一定温度で充電を120mAで15時間行い、2時間の休止の後、20℃の一定温度で放電を240mAで終止電圧0.8Vまで行い、この時の放電電気量を測定し、放電容量▲1▼とした。
【0052】
また、50℃の一定温度で充電を120mAで15時間行い、2時間の休止の後、20℃の一定温度で放電を240mAで終止電圧0.8Vまで行い、この時の放電電気量を測定し、放電容量▲2▼とした。
【0053】
さらに、20℃の一定温度で充電を120mAで15時間行い、2時間の休止の後、20℃の一定温度で放電を3600mAで終止電圧0.8Vまで行い、この時の放電電気量を測定し、放電容量▲3▼とした。
【0054】
(表1)に充放電試験の結果を利用率および50℃充電効率として示す。利用率は、Niの1電子反応を基準として計算したものを理論容量とし、理論容量に対してどれだけ放電したかを示す指標として、利用率(%)=放電容量/理論容量×100で定義した。ここで、放電容量▲1▼に対して利用率▲1▼、放電容量▲2▼に対して利用率▲2▼、放電容量▲3▼に対して利用率▲3▼を用いている。また、50℃充電効率は20℃充電時に対してどれだけ充電したかを示す指標として、50℃充電効率(%)=放電容量▲2▼/放電容量▲1▼で定義した。
【0055】
【表1】
Figure 0004956863
【0056】
本発明電池Aの50℃充電効率が83%であるのに対して、比較電池Bは81%、比較電池Cは80%、比較電池Dは81%、比較電池Eは76%、比較電池Fは67%であり、イットリウムが添加されている電池A、B、C、D、Eにおいて高温充電効率の向上が確認できる。特に、イットリウムがコバルト酸化物被覆層の近傍あるいはその層内に存在する電池A、B、C、Dにおいて優れた高温充電効率を示す。この現象は、イットリウムの分散性が高いため、酸素発生過電圧増大に効率良く作用したためであると考えられる。
【0057】
また、3600mA放電時の利用率は、本発明電池Aが74%であるのに対して、比較電池Bは64%、比較電池Cは65%、比較電池Dは64%、比較電池Eは69%、比較電池Fは74%であり、本発明電池Aが高率放電特性にも優れていることが分かる。この結果は、イットリウムの酸化物粒子が水酸化ニッケル固溶体粒子の表面に部分的に被覆されているため、水酸化ニッケル固溶体粒子とその外周のコバルト酸化物被覆層との結合部が存在し、活物質内の電子伝導性が損なわれず、かつ、活物質粒子の最外周がコバルト酸化物のみで被覆されているため、粒子間および粒子と基板骨格とをつなぐ導電ネットワークも損なわれないためであると考えられる。
【0058】
(実施例2)
平均粒径0.2μmのY23粒子を、被覆率がそれぞれ0.5、1、5、10、30、50%となる様に被覆すること以外はすべて実施例1と同様にして、Co酸化処理Y酸化物分散活物質粒子を作製し、これらを用いてニッケル・水素蓄電池を作製した。これらの電池について実施例1と同様の充放電評価を行い、50℃充電効率、高率放電特性を測定した。図1に50℃充電効率、図2に高率放電特性の評価結果を示す。
【0059】
図1より、Y23粒子の被覆率が0.5%の場合、高温充電効率の向上がほとんど確認できないことが分かる。また、Y23粒子を1%以上被覆した場合に高温充電効率の向上が確認できるが、30%より多く被覆しても、その効果は飽和し、それ以上の効果が得られないことが確認できた。さらに、図2より、Y23粒子を30%より多く被覆した場合、高率放電特性に悪影響を与えることが分かる。コバルト酸化物被覆層と水酸化ニッケル粒子表面との間に多量のY23が存在するため、コバルト酸化物の被覆層による水酸化ニッケル粒子表面の電子伝導性付与効果が阻害されたためと考えられる。以上の結果より、Y23粒子を水酸化ニッケル固溶体粒子の表面積の1〜30%被覆した場合、高温充電特性に優れ、かつ高率放電特性にも優れていることが明らかである。
【0060】
(実施例3)
平均粒径0.3μmのY23粒子をそれぞれ0.05、0.1、0.5、1.0、3.0、5.0重量部添加すること以外はすべて実施例1と同様にして、Co酸化処理Y酸化物分散活物質粒子を作製し、これらを用いてニッケル・水素蓄電池を作製した。これらの電池について実施例1と同様の充放電評価を行い、50℃充電効率、高率放電特性を測定した。図3に50℃充電効率、図4に高率放電特性の評価結果を示す。
【0061】
図3より、Y23粒子の添加量が0.05重量部の場合、高温充電効率の向上がほとんど確認できないことが分かる。また、Y23粒子を0.1重量部以上添加した場合に高温充電効率の向上が確認できるが、3.0重量部より多く添加しても、その効果は飽和し、それ以上の効果が得られないことが確認できた。さらに、図4より、Y23粒子を3.0重量部より多く添加した場合、高率放電特性に悪影響を与えることが分かる。コバルト酸化物被覆層と水酸化ニッケル粒子表面との間に多量のY23が存在するため、コバルト酸化物の被覆層による水酸化ニッケル粒子表面の電子伝導性付与効果が阻害されたためと考えられる。以上の結果より、Y23粒子を0.1〜3.0質量%添加した場合、高温充電特性に優れ、かつ高率放電特性にも優れていることが明らかである。
【0062】
なお、本実施例中では水酸化コバルトの被覆に際し、水溶液中での化学反応を利用して被覆層の形成を行ったが、その際の被覆条件等はここで記したものに限定されるものでない。Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子と水酸化コバルト粉末とを混合し、機械混合時におけるせん断力や衝撃力を利用して粒子表面を水酸化コバルトで被覆させる方法(機械混合法)等を用いて水酸化コバルト被覆Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子としても、本発明の正極を作製することができる。
【0063】
水酸化コバルト被覆Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子の酸化に際しては、高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を共存させたが、高濃度の水酸化カリウム水溶液を使用しても同様の効果が得られる。アルカリ湿潤させた水酸化コバルト被覆Y酸化物分散水酸化ニッケル固溶体粒子を酸化させる加熱方法として、マイクロ波加熱の機能を備えた乾燥機内で酸素を送り込みながら加熱する方法としたが、これに限定されるものではない。また、そのコバルト酸化物被覆層の結晶内部に水酸化リチウムあるいはリチウムイオンを固定化させた水酸化コバルト被覆水酸化ニッケル固溶体粒子を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0064】
ここで、前記コバルト酸化物の被覆層の比率は、5〜10質量%であることが好ましい。被覆層の比率が5質量%より少ない場合、導電ネットワークが不十分となり、活物質粒子からの集電を十分に保てない。また、被覆層の比率が10質量%より多い場合、正極容量を決定する水酸化ニッケル粒子の量が相対的に減少することになり、高エネルギー密度の正極が得られなくなる。被覆層の比率が上記範囲内にあって、かつ水酸化ニッケル粒子からの集電能力を最大とするために、粒子全面を被覆した状態のものが最も好適である。
【0066】
さらに、本実施例中の効果は、Y23粒子を添加させた場合に限られるものではなく、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子を添加させた場合でも、同様の効果が得られることを確認した。
【0067】
【発明の効果】
以上に示したように、本発明の正極活物質を用いれば、優れた高温充電特性を維持しつつ、高率放電特性にも優れたアルカリ蓄電池用正極活物質およびアルカリ蓄電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で用いた各電池の50℃充電時の充電効率を示す図
【図2】実施例2で用いた各電池の3600mA放電時の利用率を示す図
【図3】実施例3で用いた各電池の50℃充電時の充電効率を示す図
【図4】実施例3で用いた各電池の3600mA放電時の利用率を示す図

Claims (4)

  1. 水酸化ニッケルを主成分とする固溶体粒子を備え、前記固溶体粒子の表面積の1〜30%が、イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドから選ばれる少なくとも一種の酸化物粒子にて被覆されており、かつ、その外周をコバルト平均価数が3.0価より大であるコバルト酸化物にて被覆され、前記コバルト酸化物の被覆層が、その結晶内部にカリウムあるいはナトリウムを含有しており、かつ水酸化リチウムあるいはリチウムイオンを固定化していることを特徴とするアルカリ蓄電池用正極活物質。
  2. 前記固溶体粒子に対する前記イットリウム、スカンジウムまたはランタノイドの酸化物粒子の比率が、0.1〜3.0質量%である請求項1記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。
  3. 前記固溶体粒子に対する前記コバルト酸化物の被覆層の比率が、5〜10質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルカリ蓄電池用正極活物質。
  4. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の正極活物質を主成分とする正極、水素吸蔵合金あるいはカドミウム酸化物を主成分とする負極、セパレータ、アルカリ電解液、およびこれらを収納する電池ケースからなるアルカリ蓄電池。
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