JP2005306994A - 皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物 - Google Patents

皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 錫化合物を使用せず、短時間で基材との密着性に優れる硬化皮膜を形成しうる皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物を提供する。
【解決手段】 (A)分子鎖末端に、ケイ素原子に結合した水酸基及び/又はR1O−基(R1は1価炭化水素基)と式(1)の基とを有するオルガノポリシロキサン、
【化1】
Figure 2005306994

[R2、R3は2価炭化水素基、R4〜R6は水素原子又は1価炭化水素基で1つは水素原子、mは0〜6]
(B)式(2)のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、
【化2】
Figure 2005306994

[R7、R8は1価炭化水素基、aは0又は1]
(C)ナトリウム化合物、アルミニウム化合物、カリウム化合物、カルシウム化合物、バナジウム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ジルコニウム化合物及びバリウム化合物から選ばれる1種以上の金属化合物、
(D)界面活性剤
を含有する皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、架橋性のシリコーンエマルジョン組成物に関するものであり、特に分散媒である水の除去により硬化ゴム皮膜を形成するコーティング剤として有用な被膜形成シリコーンエマルジョン組成物に関するものである。
分散媒の水の除去により、硬化ゴム皮膜を形成する架橋性シリコーンエマルジョン組成物としては、数多くの組成物が提案されている。
例えば、環状オルガノシロキサンとオルガノトリアルコキシシランを乳化重合したエマルジョン組成物(特開昭54−131661号公報:特許文献1)、pHが9〜11.5のヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンエマルジョン組成物(特開昭56−16553号公報:特許文献2)、ヒドロキシ基含有線状シロキサン重合体及びコロイドシルセスキオキサンからなり、任意に架橋剤及び触媒を添加したエマルジョン組成物(米国特許第3,355,406号公報:特許文献3)、ヒドロキシル基含有ポリジオルガノシロキサン、カーボンブラック、カルボン酸の金属塩及びオルガノトリアルコキシシランからなるエマルジョン組成物(米国特許第3,706,695号公報:特許文献4)、ヒドロキシル基含有オルガノポリシロキサン、アミノファンクショナルシランと酸無水物との反応物、コロイダルシリカ及び硬化用触媒からなるエマルジョン組成物(特開昭58−101153号公報:特許文献5)、アルコキシ基又は水酸基含有鎖状オルガノポリシロキサン、Si−H結合を含有するオルガノポリシロキサン、シリカ又はポリシルセスキオキサン、アミド基とカルボキシル基含有オルガノアルコキシシラン、エポキシ基又はアミノ基含有オルガノアルコキシシラン及び硬化用触媒からなるエマルジョン組成物(特開平8−85760号公報:特許文献6)、水酸基又はアルコキシ基末端封鎖分岐状オルガノポリシロキサン、水酸基又はアルコキシ基が2個又は3個結合した珪素原子を含有したオルガノポリシロキサン、粉末状シリカ及び硬化促進剤からなるエマルジョン組成物(特開平11−158380号公報:特許文献7)、シロキサン内部にラジカルを形成することにより架橋作用がなされるように処理したビニル置換シロキサン単位含有ヒドロキシル末端ブロックポリジオルガノシロキサンエマルジョン組成物(特開昭56−501488号公報:特許文献8)、アミノ基含有オルガノポリシロキサンとエポキシ基含有加水分解性シランからなるエマルジョン組成物もしくはエポキシ基含有オルガノポリシロキサンとアミノ基含有加水分解性シランからなるエマルジョン組成物(特開平7−196984号公報:特許文献9)が挙げられる。これらは、室温で又は加熱して水を除去することによって硬化されるが、短時間で十分に硬化した皮膜を得るには、触媒活性の高い錫化合物の使用が必要であった。しかし、近年、錫化合物の毒性が問題視されている。
一方、アルコキシシリル末端ブロックポリジオルガノシロキサン及びチタン触媒からなるエマルジョン組成物(特開平7−150045号公報:特許文献10、特開平8−188715号公報:特許文献11)が提案されているが、調製したオルガノシロキサンエマルジョンにチタン触媒を添加する処方では、硬化速度は速くなるものの、水との接触によるチタン触媒の失活、シロキサンへの溶解性や触媒活性の高さの点から、有機溶媒を併用する必要があるという欠点がある。
また、ビニル基末端閉鎖ポリジオルガノシロキサン、珪素結合水素原子を有する有機珪素化合物及び白金触媒からなるエマルジョン組成物(特開昭56−36546号公報:特許文献12)が提案されている。これは硬化速度は速いものの、皮膜強度が低い、基材との密着性が低いという欠点がある。
特開昭54−131661号公報 特開昭56−16553号公報 米国特許第3,355,406号公報 米国特許第3,706,695号公報 特開昭58−101153号公報 特開平8−85760号公報 特開平11−158380号公報 特開昭56−501488号公報 特開平7−196984号公報 特開平7−150045号公報 特開平8−188715号公報 特開昭56−36546号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、錫化合物を使用せず、短時間で基材との密着性に優れる硬化皮膜を形成しうる皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)ケイ素原子に結合した水酸基及び式:R1O−(R1は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で表される基から成る群から選ばれる基、及びケイ素原子に結合した下記式(1):
Figure 2005306994
[式中、R2は非置換又は置換の炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、R3は炭素原子数1〜4の2価炭化水素基、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、mは0〜6の整数であり、mが0ではないとき、前記R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは、またmが0であるとき、前記R5及びR6のうち少なくとも一つは水素原子である。]
で表される基を合計2個以上分子鎖末端に有するオルガノポリシロキサン、
(B)下記一般式(2):
7 aSi(OR84-a (2)
[式中、R7は非置換又は置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R8は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基であり、aは0又は1である。]
で表されるアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、
(C)(A),(B)成分の合計量100質量部に対して0〜10質量部のナトリウム化合物、アルミニウム化合物、カリウム化合物、カルシウム化合物、バナジウム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ジルコニウム化合物及びバリウム化合物から選ばれる1種以上の金属化合物、
(D)(A),(B)成分の合計量100質量部に対して0.1〜30質量部の界面活性剤
を含有する皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物が、錫化合物を使用していなくとも、短時間で基材との密着性に優れる硬化皮膜を形成しうることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、
(A)成分:分子鎖末端に、ケイ素原子に結合した水酸基及び式:R1O−(R1は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で表される基から成る群から選ばれる基と、ケイ素原子に結合した下記式(1):
Figure 2005306994
[式中、R2は非置換又は置換の炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、R3は炭素原子数1〜4の2価炭化水素基、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、mは0〜6の整数であり、mが0ではないとき、前記R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは、またmが0であるとき、前記R5及びR6のうち少なくとも一つは水素原子である。]
で表される基とを有するオルガノポリシロキサン、
(B)成分:下記一般式(2):
7 aSi(OR84-a (2)
[式中、R7は非置換又は置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R8は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基であり、aは0又は1である。]
で表されるアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、
(C)成分:(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0〜10質量部のナトリウム化合物、アルミニウム化合物、カリウム化合物、カルシウム化合物、バナジウム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ジルコニウム化合物及びバリウム化合物から選ばれる1種以上の金属化合物、
(D)成分:(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0.1〜30質量部の界面活性剤
を含有することを特徴とする皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物を提供する。
本発明の皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物は、分散媒である水を除去することにより硬化ゴム皮膜を形成するので、紙、プラスチックシート、ゴム物品、布、コンクリート、モルタル、木材等のコーティング剤として好適である。
本発明の(A)成分のオルガノポリシロキサンは、分子鎖末端に、ケイ素原子に結合した水酸基及び式:R1O−(R1は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で表される基から成る群から選ばれる基(i)と、ケイ素原子に結合した下記式(1)で表される基(ii)とを合計2個以上、好ましくは各末端にそれぞれ基(i)、(ii)を1個以上有するものである。
Figure 2005306994
[式中、R2は非置換又は置換の炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、R3は炭素原子数1〜4の2価炭化水素基、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、mは0〜6の整数であり、mが0ではないとき、前記R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは、またmが0であるとき、前記R5及びR6のうち少なくとも一つは水素原子である。]
このオルガノポリシロキサンの構造としては、直鎖状、2個以上の分岐を有する環状、又は分岐状のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状である。
オルガノポリシロキサンの2個以上、好ましくは2〜5個、更に好ましくは2個の分子鎖末端のケイ素原子には、それぞれ、水酸基及び式:R1O−(R1は炭素原子数1〜6、好ましくは1〜4の1価炭化水素基である)で表される基から成る群から選ばれる基(i)が1つ又は2つ結合していることが好ましい。
上記R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基等が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。
更に、このオルガノポリシロキサンの2個以上、好ましくは2〜5個、更に好ましくは2個の分子鎖末端のケイ素原子には、それぞれ、下記式(1)で表される基(ii)(以下、単に「アミノアルキル基」という)が1つ又は2つ結合していることが好ましい。
Figure 2005306994
[式中、R2は非置換又は置換の炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、R3は炭素原子数1〜4の2価炭化水素基、R4、R5及びR6は、それぞれ水素原子又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、mは0〜6の整数であり、mが0ではないとき、前記R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは、またmが0であるとき、前記R5及びR6のうち少なくとも一つは水素原子である。]
上記一般式(1)中の、R2としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、p−フェニレン基等のアリーレン基;及び前記炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子で置換された、例えば、1−クロロトリメチレン基等が挙げられ、中でもトリメチレン基が好ましい。
3としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基等が挙げられ、中でもエチレン基が好ましい。
4、R5及びR6は、同一又は異なり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;及び前記炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子で置換された、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、中でも水素原子及びメチル基が好ましい。
上記一般式(1)で表されるアミノアルキル基の好ましいものとして、具体的には、下記のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
−C36NH2、 −C36NHC24NH2
−C36(NHC242NH2、 −C36(NHC243NH2
−C36NHCH3、 −C36NHC24NHCH3
この(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、特に、下記一般式(3)及び/又は下記一般式(4)で表される直鎖状のオルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure 2005306994
[式中、R9は独立に水素原子又は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基、R10は独立に炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R11は上記一般式(1)で表される基、R12は独立に炭素原子数1〜20の1価炭化水素基であり、nは10〜2,000である。]
上記一般式(3)中のR9の1価炭化水素基としては、R1と同様のものが例示され、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基等が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。
また、R10,R12としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;及び前記炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子で置換された、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の炭素原子数1〜20、好ましくは1〜6の非置換又は置換1価炭化水素基が挙げられる。特に、複数あるR12の90モル%以上がメチル基であることが、工業的に、また離型性能を付与する上で好ましい。
上記nは10〜2,000、好ましくは20〜1,700の整数であり、nが10未満であると得られる皮膜は脆いものとなるおそれがあるし、2,000を超えると上記オルガノシロキサンが高粘度となりすぎて、後記乳化分散系において微小に分散させることができなくなり、保存安定性の良好なエマルジョンを得ることが困難となる場合がある。
上記オルガノポリシロキサンの製造方法は特に限定されないが、例えば、α,ω−ジヒドロキシ−ジメチルポリシロキサンとケイ素原子に結合したアルキルアミノ基を有するジアルコキシシラン化合物とを脱アルコール縮合反応させる方法等が挙げられる。
また、本発明においては、(A)成分のオルガノポリシロキサンに有機酸を反応させてもよい。有機酸は、オルガノポリシロキサン中のアミノアルキル基と反応してアミン塩(即ち、イオン対)を形成し、それによって(A)成分に親水性を付与することができ、後述する水性媒体中でより微小に分散させることができる。
有機酸としては、前記アミン塩を形成し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、クエン酸等の炭素原子数1〜6の脂肪族カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の炭素原子数1〜6のスルホン酸、エタンスルフィン酸等の炭素原子数1〜6のスルフィン酸等が挙げられ、これらの中では、特にギ酸、酢酸が好ましい。この有機酸は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
有機酸の添加量は、アミノアルキル基のアミノ基に対して1モル当量以下添加することが好ましい。
本発明の(B)成分は、下記一般式(2)で表されるアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である。
7 aSi(OR84-a (2)
[式中、R7は非置換又は置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R8は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基であり、aは0又は1である。]
上記R7としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;あるいは前記炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子などのハロゲン原子、アミノ基等を含有する官能基で置換された基、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基等のアミノアルキル基等の炭素原子数1〜20、好ましくは1〜6の非置換又は置換1価炭化水素基が挙げられ、これらの中でも好ましくはメチル基、フェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
上記R8としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基等が挙げられ、これらの中でも好ましくはメチル基、エチル基である。
上記一般式(2)で表されるアルコキシシランとして、具体的には、上記aが1である場合、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン等が、また、aが0である場合、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等、及びこれらのアルコキシシランの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらの中でも好ましくは、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシランである。また、この(B)成分は、1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(B)成分は上記(A)成分の架橋剤であり、縮合反応により硬化してシリコーンエラストマーを得ることができるものである。前記縮合反応は、専ら、(A)成分中の水酸基及び/又はR1O−基と(B)成分中のR8O−基との縮合反応であるが、(B)成分中のR8O−基同士の縮合反応も多少含まれる。
(A)成分に対する(B)成分の使用量は、(A)成分中の水酸基及びR1O−基の合計1モルに対し、(B)成分中のR8O−基の量が、通常、0.5〜100モル、好ましくは1.0〜50モルとなる量とするのがよい。前記(B)成分の使用量が少なすぎると縮合硬化反応が不十分となり、エラストマーを得ることができない場合がある。また、逆に多すぎると(B)成分中のR8O−基同士の縮合反応が多くなりすぎて硬化物の硬度が高くなって弾性に乏しいものとなったり、副生成物であるアルコール類の量が多くなる場合がある。
本発明の(C)成分は、ナトリウム化合物、アルミニウム化合物、カリウム化合物、カルシウム化合物、バナジウム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ジルコニウム化合物及びバリウム化合物から選ばれる1種以上の金属化合物であり、上記縮合反応を促進するための触媒である。
具体的には、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸バナジウム、2−エチルヘキサン酸鉄、2−エチルヘキサン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸バリウム、ネオデカン酸ナトリウム、ネオデカン酸アルミニウム、ネオデカン酸カリウム、ネオデカン酸カルシウム、ネオデカン酸バナジウム、ネオデカン酸鉄、ネオデカン酸コバルト、ネオデカン酸ニッケル、ネオデカン酸ジルコニウム、ネオデカン酸バリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸アルミニウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸バナジウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸ニッケル、オレイン酸ジルコニウム、オレイン酸バリウム、ナフテン酸ナトリウム、ナフテン酸アルミニウム、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸バナジウム、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸バリウム等のカルボン酸金属塩、アルミニウムアセチルアセトネート、カルシウムアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムエチルアセトアセトネート、カルシウムエチルアセトアセトネート、コバルトエチルアセトアセトネート、鉄エチルアセトアセトネート、ニッケルエチルアセトアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセトネート等の有機金属錯体、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バナジウム、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化ジルコニウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸バナジウム、硫酸鉄、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸ジルコニウム、硫酸バリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸バナジウム、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸ジルコニウム、硝酸バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸バナジウム、リン酸鉄、リン酸コバルト、リン酸ニッケル、リン酸ジルコニウム、リン酸バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アルミニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸バナジウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸ジルコニウム、炭酸バリウム等の無機金属塩、水酸化ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バナジウム、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物などが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(C)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、通常、0〜10質量部、好ましくは0〜2質量部程度である。配合する場合は有効量、通常0.1質量部以上であり、(A)成分及び(B)成分の反応性が高い場合には(C)成分は必要としないか、微量でもよく、多すぎると効果はさほど変わらないばかりか、経済的にも不利となる。
なお、(C)成分のみでは触媒活性が低く、十分な硬化性が得られない場合には、助触媒としてアミン化合物やアミノ基含有のアルコキシシランを添加することもできる。
本発明の(D)成分は界面活性剤であり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分又は(A)及び(B)成分を水に乳化分散するための乳化剤である。
(D)成分の界面活性剤としては特に制限はなく、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、モノアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩等が挙げられ、また、両イオン性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(D)成分の使用量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、通常、0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部の範囲である。前記使用量が少なすぎると、十分な乳化分散ができず、保存安定性が低下するし、また、逆に多すぎると、得られる皮膜は脆いものとなったり、耐水性が低下する。
本発明の皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物は、上記(A)、(B)及び(C)成分又は上記(A)及び(B)成分を、(D)成分の界面活性剤を用いて水に乳化することによって得ることができる。
(A)、(B)、(C)成分を(D)成分によって乳化してシリコーンエマルジョンを得る場合、(A)成分のオルガノポリシロキサン、(B)成分のアルコキシシラン及び(C)成分の金属化合物の混合物を(D)成分の界面活性剤を用いて水に乳化分散させることよって得ることができる。十分に均一な乳化分散液を形成する前に硬化反応が進行してしまい、乳化分散できなくなる場合には、先ず(A)成分を(D)成分を用いて水に乳化分散させ、(B)成分及び(C)成分を添加、撹拌する方法、先ず(A)成分及び(B)成分の混合物を(D)成分を用いて水に乳化分散させ、(C)成分を添加、撹拌する方法、或いは先ず(A)成分及び(C)成分の混合物を(D)成分を用いて水に乳化分散させ、(B)成分を添加、撹拌する方法により行えばよい。(C)成分が水溶性の場合は、(A)成分もしくは(A)及び(B)成分を乳化分散させた後に(C)成分を添加する方法、又は(A)成分もしくは(A)及び(B)成分を乳化分散させる水に(C)成分を溶解しておく方法がよい。
(A)及び(B)成分を(D)成分によって乳化してシリコーンエマルジョンを得る場合、(A)成分のオルガノポリシロキサン及び(B)成分のアルコキシシランの混合物を(D)成分の界面活性剤を用いて水に乳化分散させることよって得ることができる。十分に均一な乳化分散液を形成する前に硬化反応が進行してしまい、乳化分散できなくなる場合には、先ず(A)成分を(D)成分を用いて水に乳化分散させ、(B)成分を添加、撹拌する方法により行えばよい。
乳化分散のためには、プロペラ羽根、パドル翼、ホモミキサー、ディスパーミキサー等の撹拌装置又は高圧ホモジナイザー、コロイドミル、超音波乳化機等の乳化装置を用いて行えばよい。
上記乳化分散液中における(A)成分及び(B)成分の合計量は、通常、5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%程度とするのがよい。前記配合量が少なすぎると不経済であるし、また、逆に多すぎると乳化分散液の粘度が高くなりすぎて取扱いが困難となる場合がある。
本発明の皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物は、各種材料に塗工した後、乾燥させることにより、ゴム弾性のある皮膜をコーティングすることができる。例えば、紙、プラスチックシート、ゴム物品の損傷保護剤、撥水剤、防水剤、剥離剤、布の損傷保護剤、撥水剤、防水剤、風合い改良剤、目止め剤、コンクリート、モルタル、木材の撥水剤、防水剤、剥離剤等の用途が挙げられる。また、水性の塗料、インキ、コーティング剤等に添加配合して、得られる塗膜の耐衝撃吸収剤性を向上させる等の応用展開が可能である。
なお、上記皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物は、室温で放置することにより水が除去され、硬化するが、短時間で十分に硬化した皮膜を得るには、300℃以下の温度で加熱すればよい。また、その塗工方法は、塗工基材の種類に応じた公知の方法を採用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中における粘度はオストワルド粘度計により測定した25℃における値である。
[実施例1]
1,000mLガラスビーカーに、下記式(5)で示される粘度65mm2/sのオルガノポリシロキサン350g、及びビニルトリメトキシシラン50gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)20g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)15g、及び水265gを加え、ホモミキサーで15分間撹拌し、更に圧力30MPaに設定した高圧ホモジナイザーに2回通すことにより、シリコーンエマルジョンを得た。
Figure 2005306994
〔式中、R13は−C36NHC24NH2基である。〕
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例2]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(5)で示される粘度65mm2/sのオルガノポリシロキサン350g、及びビニルトリメトキシシラン35gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)20g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)15g、及び水280gを加え、ホモミキサーで15分間撹拌し、更に圧力30MPaに設定した高圧ホモジナイザーに2回通すことにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例3]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(5)で示される粘度65mm2/sのオルガノポリシロキサン350g、及びフェニルトリメトキシシラン50gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)20g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)15g、及び水265gを加え、ホモミキサーで15分間撹拌し、更に圧力30MPaに設定した高圧ホモジナイザーに2回通すことにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例4]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(5)で示される粘度65mm2/sのオルガノポリシロキサン350g、及びテトラメトキシシラン35gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)20g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)15g、及び水280gを加え、ホモミキサーで15分間撹拌し、更に圧力30MPaに設定した高圧ホモジナイザーに2回通すことにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例5]
1,000mLガラスビーカーに、下記式(6)で示される粘度770mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びビニルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、10%炭酸カリウム水溶液3g、及び水378gを加え、ホモミキサーで15分間撹拌し、更に圧力100MPaに設定した高圧ホモジナイザーに2回通すことにより、シリコーンエマルジョンを得た。
Figure 2005306994
[式中、R13は−C36NHC24NH2基である。]
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例6]
1,000mLガラスビーカーに、下記式(7)で示される粘度11,400mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びビニルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水25gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に10%炭酸カリウム水溶液3gを加えてディスパーミキサーで10分間混練り撹拌し、これに水353gを加えて希釈することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
Figure 2005306994
[式中、R13は−C36NHC24NH2基である。]
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例7]
1,000mLガラスビーカーに、下記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びビニルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、10%炭酸カリウム水溶液3gを加えてディスパーミキサーで10分間混練り撹拌し、これに水357gを加えて希釈することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
Figure 2005306994
[式中、R13は−C36NHC24NH2基である。]
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例8]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、10%炭酸カリウム水溶液3gを加えてディスパーミキサーで10分間混練り撹拌し、これに水357gを加えて希釈することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例9]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及び2−エチルへキサン酸鉄のミネラルスピリット溶液(金属Fe含有量=8%)5gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、ディスパーミキサーで10分間混練り撹拌した後、これに水355gを加えて希釈し、メチルトリメトキシシラン11gを添加し、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例10]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、ディスパーミキサーで10分間混練り撹拌した後、これに水354gを加えて希釈し、2−エチルへキサン酸ジルコニウムのミネラルスピリット溶液(金属Zr含有量=12%)6gを添加し、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例11]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更にディスパーミキサーで10分間混練り撹拌した後、これに水342gを加えて希釈し、ナフテン酸バナジウムのトルエン溶液(金属V含有量=2%)18gを添加し、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例12]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、ディスパーミキサーで10分間混練り撹拌した後、これに水353gを加えて希釈し、2−エチルヘキサン酸ニッケルのトルエン溶液(金属Ni含有量=6%)7gを添加し、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例13]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、ディスパーミキサーで10分間混練り撹拌した後、これに水348gを加えて希釈し、2−エチルヘキサン酸バリウムのトルエン溶液(金属Ba含有量=8%)12gを添加し、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例14]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(8)で示される粘度112,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、ディスパーミキサーで10分間混練り撹拌した後、これに水356gを加えて希釈し、2−エチルヘキサン酸コバルトのミネラルスピリット溶液(金属Co含有量=12%)4gを添加し、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例15]
1,000mLガラスビーカーに、下記式(9)で示される粘度232,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、塩化カルシウム2水和物1gを加えてディスパーミキサーで10分間混練り撹拌し、これに水359gを加えて希釈することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
Figure 2005306994
[式中、R13は−C36NHC24NH2基である。]
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例16]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(9)で示される粘度232,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びジブトキシアセチルアセトネートアルミニウム2gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、ディスパーミキサーで10分間混練り撹拌した後、これに水358gを加えて希釈し、メチルトリメトキシシラン11gを加え、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[実施例17]
1,000mLガラスビーカーに、上記式(9)で示される粘度232,000mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びメチルトリメトキシシラン11gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水21gを加え、ホモミキサーで撹拌したところ、増粘が認められた。更に、10%炭酸ナトリウム水溶液3gを加えてディスパーミキサーで10分間混練り撹拌し、これに水357gを加えて希釈することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させて固形物を得た。これは、指触により、タック性がなく弾性を有するものであることが確認された。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理した。その塗工面は、指触により、タック性がなく脱落しないものであることが確認された。
[比較例1]
1,000mLガラスビーカーに、下記式(10)で示される粘度62mm2/sのオルガノポリシロキサン350g、及びビニルトリメトキシシラン50gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)20g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)15g、10%炭酸カリウム水溶液3g、及び水262gを加え、ホモミキサーで15分間撹拌し、更に圧力30MPaに設定した高圧ホモジナイザーに2回通すことにより、シリコーンエマルジョンを得た。
Figure 2005306994
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させたが、残存物は液状でありシリコーンは硬化していなかった。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理したが、指触により確認したところ、シリコーンは硬化していなかった。
[比較例2]
1,000mLガラスビーカーに、下記式(11)で示される粘度750mm2/sのオルガノポリシロキサン280g、及びビニルトリメトキシシラン15gを仕込み、ホモミキサーで5分間撹拌した。次いで、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=4)16g、ポリオキシエチレンデシルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=40)12g、及び水371gを加え、ホモミキサーで15分間撹拌し、更に圧力100MPaに設定した高圧ホモジナイザーに2回通した。そこに2−エチルへキサン酸ジルコニウムのミネラルスピリット溶液(金属Zr含有量=12%)6gを添加し、錨型撹拌翼で1時間撹拌することにより、シリコーンエマルジョンを得た。
Figure 2005306994
[式中、R13は−C36NHC24NH2基である。]
シリコーンエマルジョン調製24時間後、数gをシャーレに採り、24時間室温下で水を揮発させたが、残存物は液状でありシリコーンは硬化していなかった。また、シリコーンエマルジョンを刷毛にてプラスチック及びゴムに塗工し、150℃で5分間加熱処理したが、指触により確認したところ、シリコーンは硬化していなかった。

Claims (3)

  1. (A)成分:分子鎖末端に、ケイ素原子に結合した水酸基及び式:R1O−(R1は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で表される基から成る群から選ばれる基と、ケイ素原子に結合した下記式(1):
    Figure 2005306994
    [式中、R2は非置換又は置換の炭素原子数1〜6の2価炭化水素基、R3は炭素原子数1〜4の2価炭化水素基、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、mは0〜6の整数であり、mが0ではないとき、前記R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは、またmが0であるとき、前記R5及びR6のうち少なくとも一つは水素原子である。]
    で表される基とを有するオルガノポリシロキサン、
    (B)成分:下記一般式(2):
    7 aSi(OR84-a (2)
    [式中、R7は非置換又は置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R8は独立に炭素原子数1〜6の1価炭化水素基であり、aは0又は1である。]
    で表されるアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、
    (C)成分:(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0〜10質量部のナトリウム化合物、アルミニウム化合物、カリウム化合物、カルシウム化合物、バナジウム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ジルコニウム化合物及びバリウム化合物から選ばれる1種以上の金属化合物、
    (D)成分:(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0.1〜30質量部の界面活性剤
    を含有することを特徴とする皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物。
  2. 前記(A)成分のオルガノポリシロキサンが、下記一般式(3)及び/又は(4):
    Figure 2005306994
    [式中、R9は独立に水素原子又は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基、R10は独立に炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R11は請求項1に記載の一般式(1)で表される基、R12は独立に炭素原子数1〜20の1価炭化水素基であり、nは10〜2,000である。]
    で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物。
  3. 前記(B)成分のアルコキシシランが、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン又はテトラメトキシシランであることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膜形成シリコーンエマルジョン組成物。
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