JP2005262318A - 容器、貯留槽及び容器の製造方法 - Google Patents

容器、貯留槽及び容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
ライニングの問題に起因して内圧が不用意に上昇することを防止することができる容器及び容器の製造方法を提供すること。
【解決手段】
容器1は、フレーム本体6の内壁7に断熱壁8を敷設し、フレーム本体6の開口5から断熱壁の内壁7側に着脱可能に一体型の耐火性貯留槽9を挿入した構造であることから、乾燥工程の時間を短縮し、容器1内のライニングに液体が含有されるのを防ぐことができる。特に、断熱壁8や耐火性貯留槽9等がこの容器1の組み立て時に乾燥している部品であれば、乾燥工程は不要となり、この容器1の製造に要する時間は極めて短いものとなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば溶融アルミウムの搬送に好適な容器、この容器に用いられる貯留槽及びこの容器の製造方法に関する。
多数のダイキャストマシーンを使ってアルミニウムの成型が行われる工場では、工場内ばかりでなく、工場外からアルミニウム材料の供給を受けることが多い。この場合、溶融した状態のアルミニウムを収容した容器を材料供給側の工場から成型側の工場へと搬送し、溶融した状態のままの材料を各ダイキャストマシーンへ供給することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
このような容器は、例えば金属製のフレームの内壁に断熱層や耐火層等の複数層のライニングを順次塗布・乾燥する工程(鋳込工程)を経て製造される。
実開平3−31063号公報(第1図)
しかしながら、特許文献1にも示した、圧力差を利用して外部に溶融金属を供給する密閉型の容器では、ライニング内に含有している液体成分、ライニングの構成材料の結晶水などが容器内の溶融金属の熱によって気化して膨張し、容器内の圧力が不用意に高くなることがある。この場合に、例えば外部に溶融金属を供給するための流路となる配管から溶融金属が不意に噴出して火災等の事故を引き起こすおそれもある。このような事態を防止するためには、ライニングを鋳込む工程で乾燥を十分に行うことが不可欠となるが、複数層から構成されるライニングでは乾燥に非常な手間を要する。したがって容器の製造に多大な時間を要し、生産性が非常に悪い、という問題がある。
また、この種の密閉型の容器では、圧力損失や溶融金属への気体混入を防止するために、ライニングのひび割れの発生をできる限りの回避する必要がある。例えば、ひび割れが容器の空間から流路に達すると、加圧用の気体がひび割れ部分を介して流路に直接流れ込み、供給が不安定になる。また、気体が混在した状態の溶融金属が配管から外部に吹き出て、高温の溶融金属が周囲に飛び散る、等の問題があるからである。しかし、容器の搬送時の機械的な衝撃振動や溶融金属の熱よる熱膨張等によってこのようなライニングのひび割れがどうしても発生してしまう。この場合に、ライニングを貼り直すこと(リライニング)が通常行われているが、複数層のライニングの塗布・乾燥を行う必要があることから、このようなリライニング作業も非常に効率が悪い、という問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ライニングの問題に起因して内圧が不用意に上昇することを防止することができる容器、貯留槽及び容器の製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、リライニングを効率良く行うことができる容器、貯留槽及び容器の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明の主たる観点に係る容器は、溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な密閉型の容器であって、上部に開口を有するフレーム本体と、前記フレーム本体の内壁に敷設された断熱壁と、前記フレーム本体の開口から前記断熱壁の内壁側に着脱可能に挿入された一体型の耐火性貯留槽と、前記フレーム本体の開口を塞ぐ蓋と、前記蓋により塞がれた前記貯留槽内に加圧気体を導入するための導入部と、前記貯留槽内に貯留された溶融金属を外部に導出するための導出部とを具備する。
本発明の容器では、フレーム本体の内壁に断熱壁を敷設し、フレーム本体の開口から断熱壁の内壁側に着脱可能に一体型の耐火性貯留槽を挿入した構造であることから、この容器を構成する部材を部品化し、部品の組み立て工程を実質的な容器の製造工程とすることができる。つまり、ライニングの鋳込み工程のような一品製作物的な工程をなくすことができる。特にライニングの鋳込み工程は上述したように長時間を要する乾燥工程を必要とし、しかも製品の個体差も生じることから、高品質の容器を効率よく製造することができる。従って、部品管理、例えばライニング(断熱壁や耐火性貯留槽に相当)の乾燥を部品として別個管理に行うことで、ライニングの問題に起因して内圧が不用意に上昇することを防止することができる。また、リライニングは、単に部品の取替えによって行うことができる。よって、リライニングを効率良く行うことができる。このような効果は一例であって、ライニング品の部品化によるメリットは広範囲に及ぶ。
ここで、前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に粒状態又は粉状態の断熱部材が介挿されるようにすることが、本発明では好適である。
粒状態又は粉状態の断熱部材によって、耐火性貯留槽への機械的衝撃が緩和され、ひび割れ等の発生を防止することができる。また、この部材を使うことによって耐火性貯留槽の取替えが容易となる。従って、リライニングを簡単に行うことができる。
前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、前記溶融金属の融点よりも融点の温度が高いバインダを含む固体状の耐火性断熱部材が介挿されていることが、本発明では好適である。例えば溶融金属が溶融アルミウムであり、720℃程度で溶融するような場合には、バインダを800℃程度のものを用いることができる。この場合、耐火性断熱部材としては、例えばアルミナ35重量%、シリカ25重量%を含むものを用いることができる。
組み立て時に粉状の耐火性断熱部材を前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に挿入し、その後800℃以上に加熱してバインダを溶融し、その後固化させることで上記の固体状の耐火性断熱部材を構成することができる。固体状の耐火性断熱部材を用いることで容器の搬送時等に貯留槽が位置ズレするようなことはなくなる。また、組み立て時に液体を用いることがないので、乾燥工程が不要となる。なお、固体状の耐火性断熱部材を貯留槽よりも脆い部材とすることで、貯留槽の交換時に容易に貯留槽を破壊することが可能となり、貯留槽の交換作業が容易となる。
また、貯留槽に外部との間で溶融金属を流通するための流路が内在して一体化していることが本発明の好ましい形態である。つまり、貯留槽は、前記導出部の一部を構成する流路を内在していることが好ましい形態である。その場合、導出部は、前記流路と前記流路に接続された配管とから構成されることが好ましい形態である。
本発明の別の形態に係る容器の製造方法は、溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な密閉型の容器を製造する方法であって、上部に開口を有するフレーム本体の内壁に断熱壁を敷設し、前記フレーム本体の開口から前記断熱壁の内壁側に耐火性貯留槽を挿入し、前記フレーム本体の開口を蓋で塞ぐことを特徴とする。
本発明では、フレーム本体の開口から断熱壁の内壁側に貯留槽を着脱可能に挿入しているので、容器の製造やりライニングを非常に簡単に行うことができる。また、この容器の組み立て時に乾燥している部品化された断熱壁や耐火性貯留槽等を用いることができるので、乾燥工程は不要となり、この容器の製造に要する時間は極めて短いものとなる。
前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、(1)粒状態の耐火断熱部材を介挿する工程を更に有すること、(2)粉状態の耐火断熱部材を介挿する工程を更に有すること、又は(3)前記溶融金属の融点よりも温度が高いバインダを含む耐火性断熱部材を介挿し、溶融して固化する工程を更に有することが好ましい形態である。
本発明の別の観点に係る貯留槽は、溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な容器に用いられる前記溶融金属の貯留槽であって、略円筒形状を有し、その内面側に、上下方向に延在するとともに前記容器の内面側に凸となるような隆起部を有し、前記溶融金属の流路がこの隆起部内に設けられたことを特徴とするものである。
また本発明の更に別の観点に係る貯留槽は、溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な容器に用いられる前記溶融金属の貯留槽であって、略円筒形状を有し、その内面側に、上下方向に延在するとともに前記容器の内面側に凸となるような隆起部を有し、前記溶融金属の流路がこの隆起部内に設けられたプレキャストブロックと、前記流路の少なくとも一部を囲むように存在するセラミクス製の配管とを具備することを特徴とするものである。このセラミクス配管は前記プレキャストブロックに一体的に固定されていてもよいし、交換可能に設けてもよい。後者の場合、プレキャストブロック及びセラミクス配管よりも強度の小さい緩衝部材により配管を固定すれば、セラミクス配管をカートリッジ式に交換することができる。また、前記セラミクス製の配管の外面には、この配管と前記貯留槽とのズレ防止のための凹凸があることを特徴とする。凹凸はつばのようなものでもよいし、溝のようなものでもよい。このような凹凸により配管が脱落したりずれたりするのを防止することができる。
また、前記貯留槽の内側の前記隆起部の上部にはオーバーハングがあることが好ましい。このオーバーハング部により、貯留槽を容器本体に組み付け、さらに大蓋を組み付ける際に、十分な接合面を確保することができる。
本発明の貯留槽は、溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な容器に用いられる前記溶融金属の貯留槽であって、
前記貯留槽の上面、外面、または内面に固定された、外部と接続を可能にする係止部材を具備することを特徴とするものである。
本発明のまた別の観点に係る容器は、溶融金属を貯留可能な容器であって、フレームと、前記フレームの内側に設けられ、内外で溶融金属を流通させるための流路を内在した貯留槽(プレキャストブロック)と、少なくとも前記流路の一部を囲うように設けられた配管とを具備することを特徴とする。
本発明の別の観点に係る容器は、溶融金属を貯留可能な容器であって、フレームと、前記フレームの内側に設けられ、気体の流通を規制する部材により囲まれた溶融金属の流路を内在した貯留槽とを具備することを特徴とする。このような貯留槽としてはセラミクス等の材料からなる成型品を挙げることができる。ここでセラミクスとは、焼結、成形などの工程を経て得られる非金属無機材料をいい、例えばAl、SiO、SiC、SiN、Si、TiN、TiO、カーボン、グラファイトから選ばれる少なくとも1種を主成分の1つとして含むものである。また、いわゆる不定形耐火物の成形品または焼結品もここではセラミクスに含めて取り扱う。貯留槽としては、強度、耐アルミ性(浸透性、反応性)耐スポーリング性のよい材料が好ましい。
また、このような規制部材としては金属(合金を含む)や、セラミクス等の材料を挙げることができる。ここでセラミクスとは、焼結、成形などの工程を経て得られる非金属無機材料をいい、例えばAl、SiO、SiC、SiN、Si、TiN、TiO、カーボン、グラファイトから選ばれる少なくとも1種を主成分の1つとして含むものである。また、いわゆる不定形耐火物の成形品または焼結品も貯留槽同様にセラミクスに含めて取り扱う。
また、貯留槽や規制部材は、マクロスコピックにみて熱力学的に均一な層から構成されることがより好ましい。これは複数の物性の異なる素材の混合物の場合、すなわちマクロスコピックに見て熱力学的不均一層からなる場合、周期的に印加される熱的負荷に起因して線膨張率の差異などによってどうしても割れ、ひび等が生じやすいために気体の侵入を許してしまうことがあるからである。本発明では貯留槽の流路に亀裂が生じても規制部材からなる配管により、流路に気体が侵入するのを防止することができる。
本発明では、前記配管がセラミクス製または金属配管の内側に耐火材をライニングした配管を用いることが好ましい。金属としては例えばSGP、STPT(高温配管用炭素鋼鋼管)またはSTPG(圧力配管用炭素鋼鋼管)等を用いることができる。
耐火材は、例えば溶融アルミニウム、溶融マグネシウム用の耐火材(耐火キャスター、断熱材、断熱キャスター等を含む)を用いることができる。これら耐火材にセラミクス、カーボン、グラファイトを混合するようにしてもよい。これにより配管に対する溶融金属の非濡れ性が向上し、また強度も向上することができる。更にメンテナンスも容易になる。より具体的には、耐火材として、日本特殊炉材株式会社製のTMU−85AEFN(Al:82% SiO:13%)や同社製のSC−SAE85(Al:8% SiC:83% SiO:7%)を挙げることができる。しかしながら、本発明はこのような材料に限定されず上述したセラミクス材料を用いることができる。
本発明では、流路が貯留槽内に存在しているので、この流路に対する溶融金属貯留部からの熱伝導が高い。このため流路を流通する溶融金属の保温性を高め、流動性を保つことができ、流路の詰まる可能性が非常に低くなる。加えて、流路が気体の流通を規制する部材、例えば金属製の配管やセラミクス製の配管により囲まれているので、加圧用の気体が流路に漏れることはない。したがって安定した溶融金属の供給を行うことができる。さらにセラミクス層は熱伝導率が高いので流路の保温には有用である。セラミクスとしては例えばAl、SiO、SiC、SiN、Si、TiN、TiO、カーボン、グラファイトから選ばれる少なくとも1種を主成分の1つとして含むものである。また、いわゆる不定形耐火物の成形品または焼結品もここではセラミクスに含めて取り扱う。例えば貯留槽としては、TYK社製のLEOCAST−15M、LEOCAST−32T、AC−NL−1を例示することができる。例えばセラミクス製配管としては、TYK社製のSCN(SiC:74.8% Si:23.54%)、株式会社クボタ社製のKN−101(主にSiからなる)、京セラ株式会社製のSN−220(主にSiからなる)、日立金属株式会社製のサイアロンHCN−10(主にSiからなる)等を挙げることができる。これらは例えばCIP法(冷間等方加圧法)によって成形される。その場合の圧力は10000kgf/cm以上であることが好ましい。一般にセラミクス配管は強度は大きいが、熱負荷に対して割れなどを生じることが多い。しかし、本発明ではセラミクス配管が貯留槽中に埋め込まれているため、容器の予熱加熱中など配管の外側が直接高温に曝されることがなく寿命が非常に長くなっている。また輸送中の振動なので配管が割れたりひびが入った場合でも流路が保持されていれば溶融金属の供給を続けることができる。このため供給先で溶融金属の突然供給ができなくなって容器を持ち帰るなどという事態を回避することができる。
ここで、流路の保温性の観点から、流路は容器内底部に近い位置から容器上面側までライニングに内在していることが好ましい。流路の配置の一例として、上下方向に延在し容器の内側に凸となる隆起部を有し、この隆起部内に、隆起部の延在方向に沿って流路を設けた貯留槽を例示することができる。このような貯留槽をフレーム内に配置し、貯留槽とフレームとの間に耐火断熱材を配置することにより溶融金属供給用容器を組み立てができる。
また、流路がライニングに埋め込まれた配管により取り囲まれている構造を採用し、この配管をカートリッジ化することで、流路が詰まった場合に流路の交換が可能となる。配管は流路の全部でなく、流路の一部を取り囲むように設けても構わない。貯留槽自体が緻密なセラミクスであれば原則として配管を設ける必要はないけれども、コストは上昇する。
配管の内面が耐火性を有する部材で覆われている構造を採用することで、配管の耐久性を高めることができ、長期にわたり加圧用の気体の流路への漏れを防止することができる。また前記配管の下側開口面近傍の前記隆起部は、前記容器の内側が広くなるようにテーパー形状を有することが好ましい。これにより容器のメンテナンス時に配管下部への容器内側からのアクセスの容易さを向上する。この構成は大蓋の脱着構造と相俟って容器のメンテナンス性、容器の信頼性を向上させるものである。
なおここでは、流路を内在した貯留槽を採用した例を説明したが、貯留槽の形態はこれに限るものではない。例えば、単なる円筒形状の貯留槽を採用し、セラミクス配管だけにより溶融金属の流路を構成するようにしてもよい。
本発明の容器本体は基本的に成型品の組立構造を採用している。例えば本発明の容器本体は、金属製フレームと、組立前に予め成形したプレキャストブロックである貯留槽との間に、耐火断熱材を配設したものである。予め、フレームと貯留槽は準備しておく。フレーム内部に断熱材(例えばUブリッド、マイクロサームなどの成型品)を張り、その状態で底部に不定形耐火物の乾燥粉末を敷きつめ、その上に貯留槽を載せる。そして断熱材と貯留槽との間の隙間に不定形耐火物の乾燥粉末を充填することで、本発明の容器本体が構成される。本発明の容器においては、貯留槽の外側と下面を囲繞する不定形耐火物の乾燥粉末に、熱硬化型のバインダ材料を混合することが好ましい。これにより容器の使用開始時の予熱等によりバインダは硬化して、不定形耐火物層の強度が増し、貯留槽の保持能が向上する。またメンテナンス時などに容器を傾けたり、逆さまにしたり、運搬時に振動が加わったりしても、貯留槽がしっかりと保持され、予想外の応力が生じて壊れたり、位置がずれたりするのを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態に係る容器の分解図、図2はその組み立て断面図、図3はその正面図、図4はその平面図(蓋がない状態)、図5はその平面図(蓋がある状態)である。
容器1は、容器本体2と、蓋3と、第1の配管4と、第2の配管5とを備える。
容器本体2は、有底で上部に開口を有する金属製で略円筒形状のフレーム本体6と、フレーム本体6の内壁7に敷設された弾性を有する断熱壁8と、フレーム本体6の開口から断熱壁の内壁7側に着脱可能に挿入された一体型の耐火性貯留槽9とを備える。
断熱壁8と貯留層9との間の隙間には、粒状態又は粉状態の耐火断熱部材10が介挿されている。このような耐火断熱部材10としては、例えばSiO、AlOなどからなる耐火断熱部材の乾燥粉末、を用いることができる。また、別の形態として、耐火断熱部材10として、例えばアルミナ35重量%、シリカ25重量%、及び溶融アルミニウムの融点よりも融点の温度が高い、例えば融点が800℃程度のバインダを含む固体状の耐火性断熱部材を用いてもよい。この場合には、組み立て時に断熱壁8と貯留層9との間の隙間に粉状の耐火性断熱部材10を入れ、その後800℃以上に加熱してバインダを溶融し、その後固化させる。なお、固体状の耐火性断熱部材10を貯留槽9よりも脆い部材とすることで、貯留槽9の交換時に容易に貯留槽9を破壊することが可能となり、貯留槽9の交換作業が容易となる。
フレーム本体6の開口の外周には、フランジ11が設けられている。フレーム本体6の外側底部には、一対のチャネル部材12が取り付けられている。このチャネル部材12には、この容器1を搬送するためのフォークリフトのフォーク(図示せず)が挿抜可能とされている。
断熱壁8として、例えばUブリッドやマイクロサームの成型品等の断熱材を用いることができる。断熱壁8は、例えば複数の断片をフレーム本体6の内壁7に敷設して接着剤によって張り合わせるなどして構成される。
貯留層9の内周壁には、貯留層9の内側に突き出る隆起部13が上下方向にこの貯留層9と一体的に設けられている。この隆起部13の内部には隆起の上下方向に沿って、溶融アルミニウムを外部との間で流通するための流路14が設けられている。この流路14は、貯留層9内底部に近い位置から貯留層9の上面まで貫通している。
ここで、隆起部13は、貯留層9の上面付近でオーバーハング構造13aとなっている。これにより、隆起部13上面と蓋3との間の密閉性が確保され、溶融金属が浸透するのを防いでいる。
流路14には、例えばセラミクス製の第1の配管4が一体的に固定されている。これにより、貯留部の加圧時に流路14内への気体の侵入を防止することができる。この第1の配管4は、貯留層9の上面より少し突き出ている。この突き出した第1の配管4を保護するために、貯留層9と一体的に保護層17が前記第1の配管4を囲うように突き出させてもよい。この保護層は省略してもよい。なお、第1の配管4の表面に、深さ3mm、長さ50mm程度の溝(図示せず)を水平方向に多数入れることで、第1の配管4の位置ずれを防止することができる。なお第1の配管は交換可能に挿入するようにしてもよい。
また、流路14は、隆起部13を越えて貯留層9本体(側面側)まで及んでおり、しかし流路14と接続された容器内部側に開口する開口部15(容器底部付近に設けられている。)の部分にはこのように貯留層9本体まで及ぶ部分はなくなって、結果的にはこの部分は貯留層9本体から突出する段付き部16が設けられていることとなっている。この段付き部16は、つまり貯留層9の底面と第1の配管4の下端面との間の間隙(例えば開口部15の高さに相当する。)を維持するため、第1の配管4の下端面を保持する保持部材(貯留層9と一体的に設けられている。)を構成している。これにより、第1の配管4の脱落が防止されるようになっている。
貯留層9の内底面と内側壁とが交差する角部18は、例えばR50mm〜R80mm程度とされている。これにより、貯留層9の角部の割れを防止することができる。また、貯留層9の上部表面には、係止部材としてアンカーボルト取り付け穴19が例えば等間隔に4箇所設けられている。これにより、アンカーボルトを介してクレーンにより貯留層9の昇降、移動が可能となり、製造の際の作業性が向上する。また、このような係止部材により、貯留槽9を交換するときに取り外すのも容易である。
蓋3は、大蓋20とハッチ(小蓋)21とから構成される。大蓋20の外周にはフランジ22が設けられており、フランジ22とフレーム本体6の開口の外周に設けられたフランジ11と間をボルト(図示せず)で締めることで容器本体2と蓋3とが固定され、容器1内が密閉されるようになっている。
上記の大蓋20のほぼ中央には開口部23が設けられ、開口部23には取っ手(図示せず)が取り付けられたハッチ(小蓋)21が配置されている。ハッチ21は大蓋20上面よりも少し高い位置に設けられている。ハッチ21の外周の1ヶ所にはヒンジ25を介して大蓋20に取り付けられている。これにより、ハッチ21は大蓋20の開口部23に対して開閉可能とされている。また、このヒンジ25が取り付けられた位置と対向するように、ハッチ21の外周の2ヶ所には、ハッチ21を大蓋20に固定するためのハンドル付のボルト26が取り付けられている。大蓋20の開口部23をハッチ21で閉めてハンドル付のボルト26を回動することでハッチ21が大蓋20に固定されることになる。また、ハンドル付のボルト26を逆回転させて締結を開放してハッチ21を大蓋20の開口部23から開くことができる。そして、ハッチ21を開いた状態で開口部23を介して容器1内部のメンテナンスや予熱時のガスバーナの挿入が行われるようになっている。
また、ハッチ21の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器1内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔27が設けられている。この貫通孔27には加減圧用の配管(図示せず)が接続されるようになっている。この配管は、貫通孔27から上方に伸びて所定の高さで曲がりそこから水平方向に延在している。この配管の貫通孔27への挿入部分の表面には螺子山がきられており、一方貫通孔27にも螺子山がきられており、これにより配管が貫通孔27に対して螺子止めにより固定されるようになっている。図面は、貫通孔27をキャップ28で塞いだ状態を示している。もう一つの貫通孔29(実際には複数)もキャップ30で塞がれているが、例えばこの貫通孔29には、例えば液面検出用の電極棒が挿入されるようになっている。また、大蓋20及びハッチ21は、金属製のフレーム内側にライニング(断熱層と耐火層とを積層)を設けた構造とされている。ここではキャップ28、30はプラグとソケットからなるカプラのソケット(めくら)により構成されている。
大蓋20の流路14に対応する位置には開口31が設けられている。その外周が隆起し、隆起先端の外周には、フランジ32が設けられている。このフランジ32は、第2の配管5に設けられたフランジ33とボルトにより締結され、第2の配管5が容器1に固定される。
本実施形態に係る容器1では、貫通孔27を介して容器1内を加圧すると貯留層9に貯留された溶融アルミニウムが流路14及び第2の配管5を介して外部に送出される。また、貫通孔27を介して容器1内を減圧すると、外部の溶融アルミニウムが第2の配管5及び流路14を介して容器1内に導入され、貯留層9内に溶融アルミニウムが貯留される。
本実施形態の容器1は、フレーム本体6の内壁7に断熱壁8を敷設し、フレーム本体6の開口5から断熱壁の内壁7側に着脱可能に一体型の耐火性貯留槽9を挿入した構造であることから、乾燥工程の時間を短縮し、容器1内のライニングに液体が含有されるのを防ぐことができる。特に、断熱壁8や耐火性貯留槽9等がこの容器1の組み立て時に乾燥している部品であれば、乾燥工程は不要となり、この容器1の製造に要する時間は極めて短いものとなる。
次に、図1を参照しながら、この容器1の製造方法を説明する。
(1)フレーム本体6の内壁7に断熱壁8を敷設する。これは、例えば複数の断片をフレーム本体6の内壁7に敷設してモルタルなどの接着剤によって張り合わせて形成する。
(2)なお、断熱壁8が敷設されたフレーム本体6の内側底面の4箇所に例えば50mm×50mmで厚さ25mmのブロック(図示せず)を置くようにしてもよい。このブロックは挿入される貯留槽9の外側底面を支えて、貯留槽9の水平度を出すための冶具である。
(3)断熱壁8が敷設されたフレーム本体6の内側底面に、粒状態又は粉状態の断熱部材(乃至耐火断熱部材の乾燥粉末)10を敷く。
(4)フレーム本体6の開口から断熱壁8の内壁側に貯留槽9を挿入する。このとき、貯留槽9のアンカーボルト取り付け穴19と保護層17に位置決めプレートを取り付け、例えばフレーム本体6のフランジに設けられたボルト穴との間で位置合わせをする。つまり、上記のボルト穴を基準にフレーム本体6と貯留槽9との間の位置合わせを行う。
(5)断熱壁8と貯留層9との間の隙間に粒状態又は粉状態の耐火断熱部材10を流し込み、振動等によってこの隙間を耐火断熱部材10で埋める。なお、この耐火断熱部材10にバインダを混ぜておくことで、容器1の使用時の熱(溶融アルミニウムの熱や予熱時のガスバーナーの熱)によって耐火断熱部材10による層を固化することができる。ここでは約10wt%の熱硬化型バインダを混合した。
(6)フレーム本体6の開口にパッキンを挟んで蓋3を載せて、フランジをボルト締めする。蓋3は予め乾燥しておくことが好ましい。
(7)第1の配管4を大蓋20の開口31を介して貯留槽9の流路14に挿入する。なおこの第1の配管4は、プレキャストブロックである貯留槽9の成型時に一体的に固定しておくようにしてもよい。
(8)第2の配管5に設けられたフランジ33と容器1側のフランジ32とボルトにより締結し、第2の配管5を容器1に固定する。
以上のように、この実施形態に係る容器1の製造方法では、フレーム本体6の開口から断熱壁8の内壁側に貯留槽9を着脱可能に挿入しているので、容器1の製造を非常に簡単に行うことができる。また、この容器1の組み立て時に乾燥している断熱壁8や耐火性貯留槽9等を用いることができるので、乾燥工程は不要となり、この容器1の製造に要する時間は極めて短いものとなる。
次に、容器1の製造方法の別の態様について説明する。
(1)フレーム本体6の内壁7に断熱壁8を敷設する。
(2)図6に示すように、貯留槽9の上部開口より直径が大きく例えば半円形状の位置決め用の冶具41を貯留槽9の上部開口の上に乗せる。4箇所のアンカーボルト取り付け穴19のうち2箇所のアンカーボルト取り付け穴19に関しては、位置決め用の冶具41に設けられた穴42を介して、アンカーボルト43を取り付ける。残りの2箇所のアンカーボルト取り付け穴19に関しては、直接、アンカーボルト43を取り付ける。
(3)4箇所アンカーボルト43にクレーンのフック44を引っ掛けて貯留槽9を吊り上げて、断熱壁8が敷設されたフレーム本体6内に収納する。
(4)図7に示すように、位置決め用の冶具41に設けられた例えば4箇所の位置決め用の穴45(図6参照)とフレーム本体6の外周のフランジ11に設けられているボルト穴46(大蓋20のフランジ22との間でボルトによる固定に用いるためのボルト穴)とを位置合わせをし、穴45(図6参照)と穴46とをボルト47により固定する。これにより、貯留槽9の位置合わせが完了する。
(5)断熱壁8と貯留層9との間の隙間に800℃程度に融点を有するバインダを含む粉状態の耐火断熱部材10を流し込み、800℃程度に加熱して耐火断熱部材10を一旦溶融し、固化する。この工程は、位置決め用の冶具41を外した状態で行ってもよく、また位置決め用の冶具41を取り付けた状態で行ってもよい。
(6)フレーム本体6の開口にパッキンを挟んで蓋3を載せて、フランジをボルト締めする。蓋3は予め乾燥しておくことが好ましい。
(7)第1の配管4を大蓋20の開口31を介して貯留槽9の流路14に挿入する。なおこの第1の配管4は、プレキャストブロックである貯留槽9の成型時に一体的に固定しておくようにしてもよい。
(8)第2の配管5に設けられたフランジ33と容器1側のフランジ32とボルトにより締結し、第2の配管5を容器1に固定する。
このように本発明によれば、容器の製造の生産性を向上することができる。この種の容器は、原材料は安価であるものの、型鋳込み、乾燥などの工数を要しているので、本発明を適用することでコストを低減することができる。
また本発明では、流路を内在した貯留槽を採用した例を説明したが、貯留槽の形態はこれに限るものではない。例えば、単なる円筒形状の貯留槽を採用し、セラミクス配管だけにより溶融金属の流路を構成するようにしてもよい。
本発明の実施形態に係る容器の分解図である。 図1の容器の組み立てた状態の断面図である。 図2の正面図である。 図2の平面図(蓋がない状態)である。 図2の平面図(蓋がある状態)である。 容器の製造方法の説明図(その1)である。 容器の製造方法の説明図(その2)である。
符号の説明
1 容器
2 容器本体
3 蓋
4 第1の配管
5 第2の配管
6 フレーム本体
7 内壁
8 断熱壁
9 貯留槽
10 耐火断熱部材
17 保護層
19 アンカーボルト取り付け穴

Claims (13)

  1. 溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な密閉型の容器であって、
    上部に開口を有するフレーム本体と、
    前記フレーム本体の内壁に敷設された断熱壁と、
    前記フレーム本体の開口から前記断熱壁の内側に着脱可能に挿入された一体型の耐火性貯留槽と、
    前記フレーム本体の開口を塞ぐ蓋と、
    前記蓋により塞がれた前記貯留槽内に加圧気体を導入するための導入部と、
    前記貯留槽内に貯留された溶融金属を外部に導出するための導出部と
    を具備することを特徴とする容器。
  2. 請求項1に記載の容器であって、
    前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、粒状態の耐火断熱部材が介挿されていることを特徴とする容器。
  3. 請求項1に記載の容器であって、
    前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、粒状態の耐火断熱部材が介挿されていることを特徴とする容器。
  4. 請求項1に記載の容器であって、
    前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、前記溶融金属の融点よりも融点の温度が高いバインダを含む固体状の耐火性断熱部材が介挿されていることを特徴とする容器。
  5. 請求項1に記載の容器であって、
    前記貯留槽は、前記導出部の一部を構成する流路を内在していることを特徴とする容器。
  6. 請求項5に記載の容器であって、
    前記導出部は、前記流路と前記流路に接続された配管とから構成されることを特徴とする容器。
  7. 溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な密閉型の容器を製造する方法であって、
    上部に開口を有するフレーム本体の内壁に断熱壁を敷設し、
    前記フレーム本体の開口から前記断熱壁の内側に耐火性貯留槽を挿入し、
    前記フレーム本体の開口を蓋で塞ぐ
    ことを特徴とする容器の製造方法。
  8. 請求項7に記載の容器の製造方法であって、
    前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、粒状態の耐火断熱部材を介挿する工程を更に有することを特徴とする容器の製造方法。
  9. 請求項7に記載の容器の製造方法であって、
    前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、粉状態の耐火断熱部材を介挿する工程を更に有することを特徴とする容器の製造方法。
  10. 請求項7に記載の容器の製造方法であって、
    前記断熱壁と前記耐火性貯留槽との間に、前記溶融金属の融点よりも温度が高いバインダを含む耐火性断熱部材を介挿し、溶融して固化する工程を更に有することを特徴とする容器の製造方法。
  11. 溶融金属を貯留可能で、圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な容器に用いられる前記溶融金属の貯留槽であって、
    前記貯留槽は、上下方向に延在し前記容器の内面側に凸となる隆起部を有するように形成され、前記溶融金属の流路がこの隆起部内に設けられたセラミクスからなることを特徴とする貯留槽。
  12. 請求項11に記載の貯留槽であって、
    前記流路の少なくとも一部はセラミクス製の配管により囲まれていることを特徴とする貯留槽。
  13. 請求項11に記載の貯留槽であって、
    前記貯留槽は、セラミクスからなる単一の剛体からなり、その上面、外面、または内面に固定され、外部と接続を可能にする少なくとも2点の係止部材を更に具備することを特徴とする貯留槽。
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