本発明をより詳細に説明するために、以下に、本発明の実施の形態の例を図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態に係る容器の断面図、図2はその平面図である。
容器1は、フレーム1aの内側にライニング1bを形成した構造で、ライニング1bには容器1内と外部との間で溶融金属を流通させるための流路9が内在している。このライニングは複数の層からなり最内層は耐火キャスターから構成されており、その外層側は断熱キャスター乃至は断熱ボードや断熱シートから構成されている。また、容器1は、有底で筒状の本体2の上部開口部3に大蓋4が配置されている。本体2及び大蓋3の外周にはそれぞれフランジ5、6が設けられており、これらフランジ間をボルト7で締めることで本体2と大蓋3が固定されている。
上記の大蓋4のほぼ中央には開口部12が設けられ、開口部12には取っ手13が取り付けられたハッチ(子蓋)14が配置されている。ハッチ14は大蓋4上面よりも少し高い位置に設けられている。ハッチ14の外周の1ヶ所にはヒンジ15を介して大蓋4に取り付けられている。これにより、ハッチ14は大蓋4の開口部12に対して開閉可能とされている。また、このヒンジ15が取り付けられた位置と対向するように、ハッチ14の外周の2ヶ所には、ハッチ14を大蓋4に固定するためのハンドル付のボルト16が取り付けられている。大蓋4の開口部12をハッチ14で閉めてハンドル付のボルト16を回動することでハッチ14が大蓋4に固定されることになる。また、ハンドル付のボルト16を逆回転させて締結を開放してハッチ14を大蓋4の開口部12から開くことができる。そして、ハッチ14を開いた状態で開口部12を介して容器1内部のメンテナンスや予熱時のガスバーナの挿入が行われるようになっている。
また、ハッチ14の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器1内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔18が設けられている。この貫通孔18には加減圧用の配管19が接続されている。この配管19は、貫通孔18から上方に伸びて所定の高さで曲がりそこから水平方向に延在している。この配管19の貫通孔18への挿入部分の表面には螺子山がきられており、一方貫通孔18にも螺子山がきられており、これにより配管19が貫通孔18に対して螺子止めにより固定されるようになっている。また貫通孔18にプラグを埋め込み、配管19の一端にこのプラグに対してソケットとなるようなクイックカプラー構造で固定するようにしてもよい。
この配管19の一方には、加圧用又は減圧用の配管20が接続可能になっており、加圧用の配管には加圧気体に蓄積されたタンクや加圧用のポンプが接続されており、減圧用の配管には減圧用のポンプが接続されている。そして、減圧により圧力差を利用して配管8及び流路9を介して容器1内に約650℃〜約730℃程度の溶融アルミニウムを導入することが可能であり、加圧により圧力差を利用して流路9及び配管8を介して容器1外への溶融アルミニウムの導出が可能である。なお、加圧気体として不活性気体、例えば窒素ガスを用いることで加圧時の溶融アルミニウムの酸化をより効果的に防止することができる。
ハッチ14の中央から少しずれた位置で前記の加減圧用の貫通孔18とは対向する位置には、圧力開放用の貫通孔21が設けられ、圧力開放用の貫通孔21には、リリーフバルブ(図示を省略)が取り付けられるようになっている。これにより、例えば容器1内が所定の圧力以上となったときには安全性の観点から容器1内が大気圧に開放されるようになっている。このリリーフバルブは、ホース20の反対側にある加圧・減圧制御系側に設けるようにしてもよい。これにより容器ごとに個別にリリーフバルブを設けることは不要となる。
大蓋4には、液面センサとしての2本の電極22がそれぞれ挿入される液面センサ用の2つの貫通孔23が所定の間隔をもって配置されている。これらの貫通孔23には、それぞれ電極22が挿入されている。これら電極22は容器1内で対向するように配置されており、それぞれの先端は例えば容器1内の溶融金属の最大液面とほぼ同じ位置まで延びている。そして、電極22間の導通状態をモニタすることで容器1内の溶融金属の最大液面を検出することが可能であり、これにより容器1への溶融金属の過剰供給をより確実に防止できるようになっている。
本体2の底部裏面には、例えばフォークリフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形状で所定の長さの脚部25が例えば平行するように2本配置されている。また、本体2内側の底部は、流路側が低くなるように全体が傾斜している。これにより、加圧により流路9及び配管8を介して外部に溶融アルミニウムを導出する際に、いわゆる湯の残りが少なくなる。また、例えばメンテナンス時に容器1を傾けて流路9及び配管8を介して外部に溶融アルミニウムを導出する際に、容器1を傾ける角度をより小さくでき、安全性や作業性が優れたものとなる。
ここで、流路9は例えば鉄等の金属製の配管34に取り囲まれている。配管34の内壁は耐火材34bにより覆われている。これにより、配管34の耐熱性が高められている。また配管34は充填材10を介してライニング1bに埋め込まれている。充填材10はライニング1bよりも強度が小さい。ここで強度とは主に外部からの機械的な応力に対する曲げ強さのことをいい、密度がよりライニングより小さい材料を挙げることができる。ライニング1bとしては例えば緻密質の耐火系セラミクス材料を挙げることができ、これより強度の低い充填材10とは例えばセラミクスファイバーとバインダ(例えばアルミナ:シリカ=2:8)からなるものであり、この場合、かさ比重は約1.2であり、より具体的にはジョイントシーラー13(東芝モノフラックス製)やファイバーエクセル(登録商標)等を挙げることができる。
このように配管34により取り囲まれた流路9は、本体2の内周の該容器本体底部2aに近い位置に設けられた開口9aを介し、該本体2外周の上部9bに向けて延在している。
流路9の上部9bには、例えば配管8が例えばボルトを使った固定により着脱可能に接続されている。配管8は例えば鉄製であり、形状としてはR形状でもよい。溶融金属がよりスムーズに流通するからである。流路9及びこれに続く配管8の内径はほぼ等しく、65mm〜85mm程度が好ましい。従来からこの種の配管の内径は50mm程度であった。これはそれ以上であると容器内を加圧して配管から溶融金属を導出する際に大きな圧力が必要であると考えられていたからである。これに対して本発明者等は、流路9及びこれに続く配管8の内径としてはこの50mmを大きく超える65mm〜85mm程度が好ましく、より好ましくは70mm〜80mm程度、更には好ましくは70mmであることを見出した。すなわち、溶融金属が流路や配管を上方に向けて流れる際に、配管に存在する溶融金属自体の重量及び配管の内壁の粘性抵抗の2つパラメータが溶融金属の流れを阻害する抵抗に大きな影響を及ぼしているものと考えられる。配管内径は規格と関係なく指定することもできるが、通常流通しているJIS規格の配管では80A、100A、125Aとなる。JIS規格の配管のほうが価格的にも納期的にも入手が容易である。重量の関係から125Aの配管は重く不適である。また100Aの配管の場合には内径で70mmから80mm程度が限界(製作上の限界及び最小限必要なライニングの厚さの限界)である。このようなことから発明者らは、物理的な作用効果と、市場における入手容易性、競争力を考慮して内径約70mmから約80mmと設定することにした。ここで、内径が65mmより小さいときには配管を流れる溶融金属はどの位置においても溶融金属自体の重量と内壁の粘性抵抗の両方の影響を受けているが、内径が65mm以上となると流れのほぼ中心付近から内壁の粘性抵抗の影響を殆ど受けない領域が生じ始め、その領域が次第に大きくなる。この領域の影響は非常に大きく、溶融金属の流れを阻害する抵抗が下がり始める。溶融金属を容器内から導出する際に容器内を非常に小さな圧力で加圧すればよくなる。つまり、従来はこのような領域の影響は全く考慮に入れず、溶融金属自体の重量だけが溶融金属の流れを阻害する抵抗の変動要因として考えられており、作業性や保守性等の理由から内径を50mm程度としていた。一方、内径が85mmを超えると、溶融金属自体の重量が溶融金属の流れを阻害する抵抗として非常に支配的となり、溶融金属の流れを阻害する抵抗が大きくなってしまう。本発明者等の試作による結果によれば、70mm〜80mm程度の内径が容器内の圧力を非常に小さな圧力で加圧すればよく、特に70mmが標準化及び作業性の観点から最も好ましい。すなわち、配管径は50mm、60mm、70mm、と10mm単位で標準化されており、配管径がより小さい方が取り扱いが容易で作業性が良好だからである。
配管34の上端部に第1のフランジ34aが設けら、フレーム1aには第1のフランジ34aの下面に接触する第2のフランジ5aが配管34の周囲を囲むように設けられている。ここで、第1のフランジ34aの外径は第2のフランジ5aの外径よりも小さくされている。これにより、配管34から放射する熱をより小さくし、流路9の保温効果を高めることができる。配管8のフランジ8aは図示を省略したボルトを介して容器1側に固定されている。なお、各フランジ間には断熱用のパッキンが介挿されている。
図3は図1におけるA−A断面図である。
図3に示すように、ライニング1bは、耐火層1cと断熱層1dとの2層構造になっている。流路9は耐火層1c内に設けられている。このような構成を採用することにより、容器内からの熱が流路9に伝わりやすくなる。その一方、流路9は断熱層1dによりそのほぼ半分が覆われるような構造となり、保温効果が高められている。耐火層1cとしては例えば緻密質の耐火系セラミクス材料を挙げることができる。また断熱層1dとしてはそれよりも緻密性の低いセラミクス材料を用いることができる。
本実施形態では、流路9が配管34に取り囲まれているので、ライニング1bにひび割れを生じても、容器1内から流路9へ気体が達することがなく、配管8から外部に導出される溶融アルミニウムに気体が混在するようなことはなくなる。また、流路9に詰まりが生じても配管34を取り替えるだけで、詰まりを解消することが可能となる。さらに配管が痛んだ場合でも交換が容易である。
以下、その配管34の交換方法を図4〜図6に基づき説明する。
まず、図4に示すように、ライニング1bと配管34との間に介挿されている充填材10を破壊しつつ、配管34を機械的な力で抜き出す。充填材10は、ライニング1bよりも強度が弱く脆性が大きいので、ライニング1bに悪影響を与えることもなく、充填材10を容易に破壊することが可能である。図5は配管34を抜き出した状態を示している。配管34を抜いた後、配管保護層である充填材層10を取り除くことが好ましい。
次に、図6に示すように、容器1内に新たな配管34を所定の位置に保持するとともに充填材の流失を防ぐ治具36を配置すると共に、配管34を流路9内に挿入し、その隙間に流動性を有する状態の充填材10を注入する。そして、乾燥焼成して充填材10を固化する。その後、治具36を取り外す。充填材10の硬化後には、かさ比重が約1.2から約0.6になり、バインダがなくなったポーラス状となる。よって、気孔率(ポロシティー)の高い状態であるため充填材の強度が一層弱くなる。
次に、本発明の他の実施形態を図7〜図9に基づき説明する。
この実施形態に係る容器101は、流路の構造が上記の実施形態とは異なる。すなわち、フレーム101aの内側には、垂直方向に沿って内側への隆起部である凸部101cを有するライニング101bが設けられている。ライニング101bは上記の実施形態と同様に耐火層と断熱層の積層構造が好ましい。これらの材質も上記実施形態と同様であればよい。
凸部101c内には、容器101内底部に近い位置から容器101上面側まで貫通する流路109が設けられている。
流路109は例えば鉄等の金属製またはセラミクス製の配管134に取り囲まれている。配管134の内壁は耐火材134bにより覆われている。これにより、配管134の耐熱性が高められている。また配管134は充填材110を介してライニング101bに埋め込まれている。充填材110はライニング101bよりも強度が低い。これらの材質も上記実施形態と同様であればよい。配管134を用いない場合には、加圧気体等がライニング層101cのひび等を通じて流路に侵入する不具合を生じやすいが、本発明によればこのような気体の侵入は阻止することができる。したがって安定した溶融金属の供給を行うことができる。
流路109の上部には、例えば配管108が着脱可能に接続されている。配管108は例えば鉄製(内壁は耐火材により覆われている。)であり、形状としてはR形状でもΤ形状でもよい。溶融金属がよりスムーズに流通するからである。流路109及びこれに続く配管108の内径はほぼ等しく、65mm〜85mm程度が好ましい。
配管134の上端部に第1のフランジ134aが設けられ、フレーム101aには第1のフランジ134aの下面に接触する第2のフランジ105aが配管134の周囲を囲むように設けられている。ここで、第1のフランジ134aの外径は第2のフランジ105aの外径よりも小さくされている。これにより、配管134から放射する熱をより小さくし、流路109の保温効果を高めることができる。図21に示すような構造を採用してももちろんよい。配管108のフランジ108aは図示を省略したボルトを介して容器101側に固定されている。なお、各フランジ間にはパッキンが介挿されている。
本実施形態では、特に流路109がライニングの隆起部である凸部101c内を容器101内底部に近い位置から容器101上面側までトンネルのように貫通しているので、この流路109を囲う容器101内壁の面積が実質的に大きくなり、容器101内壁に接触する溶融アルミニウムから流路109に伝達する熱量が大きくなる。従って、流路109の保温性を高め、溶融金属の流動性を保つことができる。
なお、図10及び図11に示すように、流路109を配管で取り囲まない構成にしても、流路109の保温性を高めることができる、という点で同様の効果を得ることができる。
図12は本発明の一実施形態に係る金属供給システムの全体構成を示す図である。
同図に示すように、第1の工場51と第2の工場60とは例えば公道63を介して離れた所に設けられている。
第1の工場51には、ユースポイントとしてのダイキャストマシーン52が複数配置されている。各ダイキャストマシーン52は、溶融したアルミニウムを原材料として用い、射出成型により所望の形状の製品を成型するものである。その製品としては例えば自動車のエンジンに関連する部品等を挙げることができる。また、溶融した金属としてはアルミニウム合金ばかりでなくマグネシウム、チタン等の他の金属を主体とした合金であっても勿論構わない。各ダイキャストマシーン52の近くには、ショット前の溶融したアルミニウムを一旦貯留する保持炉(手元保持炉)53が配置されている。この保持炉53には、複数ショット分の溶融アルミニウムが貯留されるようになっており、ワンショット毎にラドル54或いは配管を介して保持炉53からダイキャストマシーン52に溶融アルミニウムが注入されるようになっている。また、各保持炉53には、容器内に貯留された溶融アルミニウムの液面を検出する液面検出センサ(図示せず)や溶融アルミニウムの温度を検出するための温度センサ(図示せず)が配置されている。これらのセンサによる検出結果は各ダイキャストマシーン52の制御盤もしくは第1の工場51の中央制御部56に伝達されるようになっている。
第1の工場51の受け入れ部には、後述する容器1を受け入れるための受け入れ台57が配置されている。受け入れ部の受け入れ台57で受け入れられた容器1は、配送車58により所定のダイキャストマシーン52まで配送され、容器1から保持炉53に溶融アルミニウムが供給されるようになっている。供給の終了した容器1は配送車58により再び受け入れ部の受け入れ台57に戻されるようになっている。
第1の工場51には、アルミニウムを溶融して容器1に供給するための第1の炉59が設けられており、この第1の炉59により溶融アルミニウムが供給された容器1も配送車58により所定のダイキャストマシーン52まで配送されるようになっている。
第1の工場51には、各ダイキャストマシーン52において溶融アルミニウムの追加が必要になった場合にそれを表示する表示部55が配置されている。より具体的には、例えばダイキャストマシーン52毎に固有の番号が振られ、表示部55にはその番号が表示されており、溶融アルミニウムの追加が必要になったダイキャストマシーン52の番号に対応する表示部55における番号が点灯するようになっている。作業者はこの表示部55の表示に基づき配送車58を使って容器1をその番号に対応するダイキャストマシーン52まで運び溶融アルミニウムを供給する。表示部55における表示は、液面検出センサによる検出結果に基づき、中央制御部56が制御することによって行われる。
第2の工場60には、アルミニウムを溶融して容器1に供給するための第2の炉61が設けられている。容器1は例えば容量、配管長、高さ、幅等の異なる複数種が用意されている。例えば第1の工場51内のダイキャストマシーン52における保持炉53の容量等に応じて、容量の異なる複数種がある。しかしながら、容器1を1種類に統一して規格化しても勿論構わない。
この第2の炉61により溶融アルミニウムが供給された容器1は、フォークリフト(図示せず)により搬送用のトラック64に載せられる。トラック64は公道63を通り第1の工場51における受け入れ部の受け入れ台57の近くまで容器1を運び、これらの容器1はフォークリフト(図示せず)により受け入れ台57に受け入れられるようになっている。また、受け入れ部にある空の容器1はトラック64により第2の工場60へ返送されるようになっている。
第2の工場60には、第1の工場51における各ダイキャストマシーン52において溶融アルミニウムの追加が必要になった場合にそれを表示する表示部62が配置されている。表示部62の構成は第1の工場51内に配置された表示部55とほぼ同様である。表示部62における表示は、例えば通信回線65を介して第1の工場51における中央制御部56が制御することによって行われる。なお、第2の工場60における表示部62においては、溶融アルミニウムの供給を必要とするダイキャストマシーン52のうち第1の工場51における第1の炉59から溶融アルミニウムが供給されると決定されたダイキャストマシーン52はそれ以外のダイキャストマシーン52とは区別して表示されるようになっている。例えば、そのように決定されたダイキャストマシーン52に対応する番号は点滅するようになっている。これにより、第1の炉59から溶融アルミニウムが供給されると決定されたダイキャストマシーン52に対して第2の工場60側から誤って溶融アルミニウムを供給するようなことをなくすことができる。また、この表示部62には、上記の他に中央制御部56から送信されたデータも表示されるようになっている。
次に、このように構成された金属供給システムの動作を説明する。
中央制御部56では、各保持炉53に設けられた液面検出センサを介して各保持炉53における溶融アルミニウムの量を監視している。ここで、ある保持炉53で溶融アルミニウムの供給の必要性が生じた場合に、中央制御部56は、その保持炉53の「固有の番号」、その保持炉53に設けられた温度センサにより検出された保持炉53の「温度データ」、その保持炉53の形態(後述する。)に関する「形態データ」、その保持炉53から溶融アルミニウムがなくなる最終的な「時刻データ」、公道63の「トラフィックデータ」、その保持炉53で要求される溶融アルミニウムの「量データ」及び「気温データ」等を、通信回線65を介して第2の工場60側に送信する。第2の工場60では、これらのデータを表示部62に表示する。これらの表示されたデータに基づき作業者が経験的に上記保持炉53から溶融アルミニウムがなくなる直前に保持炉53に容器1が届き、且つその時の溶融アルミニウムが所望の温度となるように該第2の工場60からの容器1の発送時刻及び溶融アルミニウムの発送時の温度を決定する。或いはこれらのデータを例えばパソコン(図示を省略)に取り込んで所定のソフトウェアを用いて上記保持炉53から溶融アルミニウムがなくなる直前に保持炉53に容器1が届き、且つその時の溶融アルミニウムが所望の温度となるように該第2の工場60からの容器1の発送時刻及び溶融アルミニウムの発送時の温度を推定してその時刻及び温度を表示するようにしてもよい。或いは推定された温度により第2の炉61を自動的に温度制御しても良い。容器1に収容すべき溶融アルミニウムの量についても上記「量データ」に基づき決定してもよい。
発送時刻に容器1を載せたトラック64が出発し、公道63を通り第1の工場51に到着すると、容器1がトラック64から受け入れ部の受け入れ台57に受け入れられる。
その後、受け入れられた容器1は、受け入れ台57と共に配送車58により所定のダイキャストマシーン52まで配送され、容器1から保持炉53に溶融アルミニウムが供給される。
次に、第2の工場60における第2の炉61から容器1への供給システムを図13に基づき説明する。
図13に示すように、第2の炉61内には溶融アルミニウムが貯留されている。この第2の炉61には供給部61aが設けられ、この供給部61aには吸引管43が挿入されている。この吸引管43は、供給部61aの溶融されたアルミニウムの液面から一端口(吸引管43の他方の先端部43b)が出没するように配置されている。すなわち、吸引管43の一方の先端部43aは第2の炉61の底部付近まで延在し、吸引管43の他方の先端部43bは供給部61aから外側に導出されている。その傾斜角は例えば垂線に対して10°程度傾いており、上記容器1における配管8の先端部の傾斜と合致するようになっている。この吸引管43の先端部43bは容器1における配管8の先端部に接続されるものであり、このように傾斜を合致されることによって吸引管43の先端部43bと容器1における配管8の先端部との接続が容易となる。さらに溶湯に溶存した水素等の脱ガスの効果もあり、湯質を向上することができる。
そして、配管19に減圧用のポンプ44に接続された配管20を接続する。次に、ポンプ44を作動させて容器1内を減圧する。これにより、第2の炉61内に貯留されている溶融アルミニウムが吸引管43及び配管8を介して容器1内に導入される。
本実施形態では、特に、このように第2の炉61内に貯留されている溶融アルミニウムを吸引管43及び配管8を介して容器1内に導入するようにしているので、溶融アルミニウムが外部の空気と接触することはない。従って、酸化物が生じることがなく、本システムを用いて供給される溶融アルミニウムは非常に品質が良いものとなる。また、容器1内から酸化物を除去するための作業は不要となり、作業性も向上する。
本実施形態では、特に、容器1に対する溶融アルミニウムの導入と容器1からの溶融アルミニウムの導出を実質的に2本の配管を使って行うことができるので、システム構成を非常にシンプルなものとすることができる。また、溶融アルミニウムが外気に接触する機会が激減するので、酸化物の生成をほぼなくすことができる。
図14に示すように、この例では、レシーバタンク39から高圧空気を密閉された容器1内に送出することで容器1内に収容された溶融アルミニウムが配管8から吐出されて保持炉53内に供給されるようになっている。なお、図2において、40は加圧バルブ、41はリークバルブである。
ここで、保持炉53の高さは各種のものがあり、配送車58に設けられた昇降機構により配管8の先端が保持炉53上の最適位置となるように調節可能になっている。しかし、保持炉53の高さによっては昇降機構だけでは対応できない場合がある。そこで、本システムにおいては、保持炉53の形態に関する「形態データ」として、保持炉53の高さや保持炉53までの距離に関するデータ等を予め第2の工場60側に送り、第2の工場60側ではこのデータに基づき最適な形態、例えば最適な高さの容器1を選択して配送している。なお、供給すべき量に応じて最適な大きさの容器1を選択して配送してもよい。
図15は以上のシステムを自動車工場に適用した場合の製造フローを示したものである。
まず、図13に示したように、第2の炉61内に貯留されている溶融アルミニウムを吸引管43及び配管8を介して容器1内に導入(受湯)する(ステップ151)。
次に、図12に示したように、容器1が公道63を介してトラック64により第2の工場60から第1の工場51に搬送する(ステップ152)。
次に、第1の工場(ユースポイント)10では、容器1が配送車58により自動車エンジン製造用のダイキャストマシーン52まで配送され、容器1から保持炉53に溶融アルミニウムが供給される(ステップ153)。
次に、このダイキャストマシーン52において、保持炉53に貯留された溶融アルミニウムを用いた自動車エンジンの成型が行われる(ステップ154)。
そして、このように成型された自動車エンジン及び他の部品を使って自動車の組み立てが行われ、自動車が完成する(ステップ155)。
本実施形態では、上述したように自動車のエンジンが酸化物を殆ど含まないアルミニウム製であるので、性能及び耐久性のよいエンジンを有する自動車を製造することが可能である。
図16は本発明の他の実施形態に係る容器の断面図である。
容器201は、フレーム71の内側にライニングとして断熱材72、耐火材73を積層した構造を有する。所定位置における断熱材72と耐火材73との間にはボード材74が介挿されている。耐火材73には、容器内と外部との間で溶融金属を流通させるための流路75が内在している。また、容器201は、有底で筒状の本体76の上部開口部77に大蓋78が配置され、これらのフランジ間をボルトで締めることで本体76と大蓋78が固定されている。
また、ハンドル付のボルトを逆回転させて締結を開放してハッチ80を大蓋78の開口部79から開くことができる。そして、ハッチ80を開いた状態で開口部79を介して容器201内部のメンテナンスや予熱時のガスバーナの挿入が行われるようになっている。
上記の大蓋78のほぼ中央には開口部79が設けられ、開口部79には開閉自在のハッチ80が配置されている。ハッチ80の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器201内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔81が設けられている。この貫通孔81には加減圧用の配管(図示を省略)が接続されるようになっている。該配管の先には、加圧用の配管には加圧気体に蓄積されたタンクや加圧用のポンプが接続されており、減圧用の配管には減圧用のポンプが接続されている。そして、減圧により圧力差を利用して該配管を介して容器201内に溶融アルミニウムを導入することが可能であり、加圧により圧力差を利用して該配管を介して容器201外への溶融アルミニウムの導出が可能である。
ハッチ80の中央から少しずれた位置で前記の加減圧用の貫通孔81とは対向する位置には、液面検出量の電極棒(図示を省略)挿入用の貫通孔82が設けられている。
本体76の底部裏面には、例えばフォークリフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形状で所定の長さの脚部(図示を省略)が例えば平行するように2本配置されている。また、本体76内側の底部は、流路側が低くなるように全体が傾斜している。これにより、加圧により外部に溶融アルミニウムを導出する際に、いわゆる湯の残りが少なくなる。また、例えばメンテナンス時に容器201を傾けて流路75及び配管83を介して外部に溶融アルミニウムを導出する際に、容器201を傾ける角度をより小さくでき、安全性や作業性が優れたものとなる。
ここで、流路75は窒化珪素等のセラミクス製の配管83に取り囲まれている。配管83は充填材84を介して耐火材73に埋め込まれている。充填材84は耐火材73よりも強度が低い。セラミクス製の配管83は耐火性が良好であり、内壁に耐火材を設ける必要がなくなる。これにより、配管83の耐熱性が高められている。ここで強度とは主に外部からの機械的な応力に対する曲げ強さのことをいい、かさ比重が大きいと強度は相対的に低くなる。ライニング72としては例えば緻密質の耐火系セラミクス材料を挙げることができ、これより強度の低い充填材84とは例えばセラミクスファイバーとバインダからなるものである。
このように配管83により取り囲まれた流路75は、本体76の内周の該容器本体底部に近い位置に設けられた開口85を介し、該本体76外周の上部に向けて延在している。
流路75の上部には、例えば鉄製(内壁は耐火材で覆われている。)でR状の配管(図示せず)がボルトにより着脱可能に接続されている。
配管83の上端部に第1のフランジ86が設けられ、フレーム71には第1のフランジ86の下面に対向する第2のフランジ87が配管83の周囲を囲むように設けられている。第1のフランジ86と第2のフランジ87との間にはセラミクス製の配管83を受けて固定するためのフランジ部材88が介挿されている。符号89は、充填剤84を注入するための孔である。この孔89はメンテナンス時以外の通常時はキャップによって気密に塞がれている。
図17は容器の別の実施形態を示す断面図である。
本実施形態では、流路302を構成する配管303(ストーク)が容器内において垂直に配置されている。よって、容器301内に溶融金属がある場合には、配管302は直接に該溶融金属と接することになる。配管302は窒化珪素等のセラミクス製である。これにより、耐火性を高め、且つ配管の詰まりを防止している。流路302の上部には、例えば鉄製でR形状の配管(図示を省略)が接続される。本実施形態では、この省略された配管の回転が可能とされている。これにより、狭い領域での取り回しが容易となる。符合304は、配管303を回転可能に保持する部材を示している。
容器301は、フレーム171の内側にライニングとして断熱材172、耐火材173を積層した構造を有する。所定位置における断熱材172と耐火材173との間にはボード材174が介挿されている。また、容器301は、有底で筒状の本体305の上部開口部177に大蓋178が配置され、これらのフランジ間をボルトで締めることで本体305と大蓋178が固定されている。
上記の大蓋178のほぼ中央には開口部179が設けられ、開口部179には開閉自在のハッチ180が配置されている。ハッチ180の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器301内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔181が設けられている。この貫通孔181には加減圧用の配管(図示を省略)が接続されるようになっている。該配管の先には、加圧用の配管には加圧気体に蓄積されたタンクや加圧用のポンプが接続可能とされており、減圧用の配管には減圧用のポンプが接続可能とされている。そして、減圧により圧力差を利用して容器301内に溶融アルミニウムを導入することが可能であり、加圧により圧力差を利用して容器301外への溶融アルミニウムの導出が可能である。
ハッチ180の中央から少しずれた位置で前記の加減圧用の貫通孔181とは対向する位置には、液面検出用の電極棒(図示せず)が挿入される一対の貫通孔182が設けられている。
本体301の底部裏面には、例えばフォークリフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形状で所定の長さの脚部(図示を省略)が例えば平行するように2本配置されている。
ここで、流路302は窒化珪素等のセラミクス製の配管303に取り囲まれている。セラミクス製の配管303は耐火性が良好であり、内壁に耐火材を設ける必要がなくなる。これにより、配管303の耐熱性が高められている。
このように配管303により取り囲まれた流路302は、本体305の内周の該容器本体底部に近い位置に設けられた開口185を介し、該本体305外周の上部に向けて延在している。
配管303の上端部に第1のフランジ186が設けら、フレーム171には第1のフランジ186の下面に対向する第2のフランジ187が配管303の周囲を囲むように設けられている。第1のフランジ186と第2のフランジ187との間にはセラミクス製の配管303を固定するためのフランジ部材188が介挿されている。
図18は容器の更に別の実施形態を示す断面図である。
本実施形態では、ライニングとして耐火材402が容器内側に向けて下から上に凸部406を有し(例えば図9参照)、凸部406に流路403が内在し、流路403は窒化珪素等のセラミクス製の配管404により覆われている。配管404は、充填材405を介して耐火材402に埋め込まれている。充填材405は耐火材402よりも強度が低い。例えばアルミナ、シリカ系のセラミクスファイバーにバインダー材を混合したものを用いることができる。セラミクス製の配管404は耐火性が良好であり、内壁に耐火材を設ける必要がなくなる。本実施形態においても流路403の上部には、例えば鉄製でR形状の配管が接続される。なお符号405bは配管404のフランジ部を保温する断熱材であり、例えばセラミクスファイバー等が充填されている。
容器401は、フレーム271の内側にライニングとして断熱材272、耐火材273を積層した構造を有する。所定位置における断熱材272と耐火材273との間にはボード材274が介挿されている。また、容器401は、有底で筒状の本体407の上部開口部277に大蓋278が配置され、これらのフランジ間をボルトで締めることで本体407と大蓋278が固定されている。
上記の大蓋278のほぼ中央には開口部279が設けられ、開口部279には開閉自在のハッチ280が配置されている。ハッチ280の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器401内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔281が設けられている。この貫通孔281には加減圧用の配管(図示を省略)が接続されるようになっている。
ハッチ280の中央から少しずれた位置で前記の加減圧用の貫通孔281とは対向する位置には、液面検出用の電極棒(図示せず)が挿入される一対の貫通孔282が設けられている。
本体401の底部裏面には、例えばフォークリフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形状で所定の長さの脚部(図示を省略)が例えば平行するように2本配置されている。
ここで、流路403は窒化珪素等のセラミクス製の配管404に取り囲まれている。配管404は充填材405を介して耐火材402に埋め込まれている。充填材405は耐火材402よりも強度が低い。セラミクス製の配管404は耐火性が良好であり、内壁に耐火材を設ける必要がなくなる。これにより、配管404の耐熱性が高められている。ここで強度とは主に外部からの機械的な応力に対する曲げ強さのことをいい、かさ比重が大きいと強度は相対的に低くなる。ライニング272としては例えば緻密質の耐火系セラミクス材料を挙げることができ、これより強度の低い充填材405とは例えばセラミクスファイバーとバインダからなるものである。
このように配管404により取り囲まれた流路403は、本体401の内周の該容器本体底部に近い位置に設けられた開口285を介し、該本体401外周の上部に向けて延在している。
本発明では容器内の溶融金属の貯留部から流路である配管286側へ積極的に熱量を供給するために、ライニング273の内側に前述の隆起部402を設けこの隆起部内にトンネルのように流路となる孔を設けている。さらに本発明ではフレーム内での溶融金属(例えば溶融アルミニウム合金、溶融マグネシウム合金等)の流路への、ライニングのヒビ等に起因する気体の侵入を防止するために(加圧気体は侵入しやすい)、セラミクス配管286等の剛体配管を採用して気体の侵入を阻止するとともに、この配管286の固定方法を交換可能なカートリッジ構造にしている。配管をカートリッジ構造にすることで、配管286を交換するたびに容器のライニングほぼ全体を施工しなお必要が生じ、非常にコストが高くなってしまうが、本発明のように配管をカートリッジ構造にすることで、配管だけを簡単かつ安価に交換することができるようになる。また配管保持層405はフレームのライニングのキャスターや、配管よりも剛性や強度が小さいので、この配管保持層は配管の熱変形等に起因する応力の緩和層としても機能する。
図21は配管404における上端部の構造を示す断面図であり、図22は図21の配管404における上端部の構造を上面から見た概略平面図である。
配管404は上述したように配管保持層である充填材405を介して耐火材402からなる層を含むライニング層に埋め込まれており、別言すると配管404は耐火材402に設けられた孔411に挿入され、この孔411と配管404との間には、配管保持層として充填材405が介在している。
配管404は、容器401の上面部側にフランジ412を有する。フレーム271の内壁からフランジ412の裏面413を保持するための例えば3本の保持爪414が突出している。この爪は鉄合金の丸棒等の部材により構成してもよい。
当該容器401の上面部には、第1のフランジであるフランジ412を取り囲み、かつ、フランジ412の表面の高さよりも高い位置にフランジ受表面を有するようにフランジ415が設けられている。そして、流路403に連通する配管416のフランジ417がこのフランジ415に例えばボルトやクランプなどで固定されている。配管416では、鉄皮416aの内壁に耐火材416bが形成されている。すなわち配管416のフランジ417(第2のフランジ)のフランジ面(下側の面)と、第1のフランジのフランジ面(上側の面)とは間隔t1を介して離間している。t1は1mm〜5mmに設定すれば十分な応力緩和能と断熱能を発揮する。またこの配管保持層405はフレームのライニングのキャスターや、配管よりも剛性や強度が小さいので、この配管保持層が配管の熱変形等に起因する応力の緩和層としても機能することになる。
フランジ412の表面とフランジ417の表面との間には、第1の厚さt1を有するパッキン418が介挿され、フランジ415の表面とフランジ417の表面との間には第1の厚さt1よりも薄い第2の厚さt2を有するパッキン419が介挿されている。これらのパッキンは耐熱性を有するものを選択すればよい。また、フランジ412の裏面と保持爪414との間には、例えばシート状の断熱部材420(例えばセラミクスペーパー)が介挿されている。これにより爪部414と第1の配管との間の断熱性を向上させている。
本実施形態では、特に上記の構造を有することで配管404は熱伝導性が高いフレーム271と接触していない。特にフランジ412を保持爪414で保持するようにしている。従って、配管404が保有する熱が拡散し難いので、配管404の温度低下を抑えることができる。よって、配管404の詰まりを防止することができる。また、本実施形態では、特にフランジ412の表面とフランジ417の表面との間のパッキン418の方が、フランジ415の表面とフランジ417の表面との間のパッキン419よりも厚いので、揺れや振動に対してフランジ412の自由度が高い。よって、配管414の特にフランジ412の付近の割れを極力抑えることできる。これにより、容器内からの気体の漏れを防止することができる。
ここで、符号430は充填剤405を注入するための孔であり、431はその孔430から充填剤405を注入する際に気体を逃がすための孔である。各孔430、431はキャップ432、433によって塞がれている。このように孔を少なくとも2個設けることが好ましい。1個の孔で充填材を注入するときに、他方の孔で気体を逃がすとともに、充填の完了を知ることができるからである。
図23は本発明の容器の別の例を示す図である。この図23も図21と同様に容器の流路とこれに接続される配管とを拡大した縦断面図である。
この例の容器でも第1の配管としてSiNまたはSiC等のセラミクスからなる剛体配管を採用するとともに、配管保持層である充填材405を備えている。そして充填材405の下部には充填材に酸化アルミニウムとアルミニウムの混合物を含浸させた含浸層405bを備えている。アルミニウムと酸化アルミニウムの混合物は剛性は必ずしも大きくないがねばり強く非常に強度が大きい。また変形に対する追従性を有している。したがって配管保持層としてこのような含浸層405bを設ければ応力緩和能をさらに向上することができる。
またこの例では配管404の外径はストレート(フランジ部以外は均一)であるが、内径は上部が狭く、下部で広いテーパー構造を採用している。これにより配管404の強度を向上している。このような場合でも内径は前述の如く、60mm〜85mm程度が好ましい。この例ではw1を60mmにw2を80mmに設定している。下部の径を太くすることで供給を終えたとき、容器の下部に温度が下がって粘性の大きな溶融金属が残っても、詰まり等が生じるのを防止することができる。
図19は容器のまた更に別の実施形態を示す断面図である。
本実施形態では、本体502の外周に如露口(円筒側面の下部から上部に向けて外周側に徐々に突き出る突き出し部)の如く突出する突出部503を有する。突出部503には、流路504が内在し、流路504は窒化珪素等のセラミクス製の配管505により覆われている。配管505は、充填材506を介して耐火材373に埋め込まれている。充填材506は耐火材373よりも強度が低い。セラミクス製の配管505は耐火性が良好であり、内壁に別の耐火材を設ける必要がなくなる。本実施形態においても流路504の上部には、例えば鉄製でR形状の配管が接続される。
また、容器501は、有底で筒状の本体502の上部開口部377に大蓋378が配置され、これらのフランジ間をボルトで締めることで本体502と大蓋378が固定されている。
また、ハンドル付のボルトを逆回転させて締結を開放してハッチ380を大蓋378の開口部379から開くことができる。そして、ハッチ380を開いた状態で開口部379を介して容器501内部のメンテナンスや予熱時のガスバーナの挿入が行われるようになっている。
上記の大蓋378のほぼ中央には開口部379が設けられ、開口部379には開閉自在のハッチ380が配置されている。ハッチ380の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器501内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔381が設けられている。この貫通孔381には加減圧用の配管(図示を省略)が接続されるようになっている。該配管の先には、加圧用の配管には加圧気体に蓄積されたタンクや加圧用のポンプが接続されており、減圧用の配管には減圧用のポンプが接続されている。
大蓋378上のハッチ380に隣接する部分には、圧力開放用の貫通孔382が設けられている。圧力開放用の貫通孔382には、リリーフバルブ(図示を省略)が取り付けられるようになっている。これにより、例えば容器501内が所定の圧力以上となったときには安全性の観点から容器501内が大気圧に開放されるようになっている。
また、大蓋378には、液面センサとしての電極が挿入される液面センサ用の貫通孔(図示を省略)が配置されてもよい。そして、電極間の導通状態をモニタすることで容器501内の溶融金属の最大液面を検出することが可能であり、これにより容器501への溶融金属の過剰供給をより確実に防止できるようになっている。
本体502の底部裏面には、例えばフォークリフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形状で所定の長さの脚部(図示を省略)が例えば平行するように2本配置されている。
このように配管505により取り囲まれた流路504は、本体502の内周の該容器本体底部に近い位置に設けられた開口385を介し、該本体502外周の上部に向けて延在している。
配管505の上端部に第1のフランジ386が設けら、フレーム371には第1のフランジ386の下面に対向する第2のフランジ387が配管505の周囲を囲むように設けられている。第1のフランジ386と第2のフランジ387との間にはセラミクス製の配管505を固定するためのフランジ部材388が介挿されている。符号389は、充填剤506を注入するための孔である。
なお、図19においては、配管505の下部先端部も容器内壁に接触していたが、これらが離間するように構成しても構わない。
図20は容器の別の実施形態を示す断面図である。
本実施形態では、本体601の外周に如露口(円筒側面の下部開口607から上部に向けて外周側に徐々に突き出る突き出し部)のように突出する突出部602を有する。突出部602には、流路603が内在している。該流路603の一部には(ここでは下部に)配管604が埋め込まれ固定されている。配管が埋め込まれている流路603の部分は、耐火材402またはライニング403においてひび割れを起こす可能性のある箇所(例えば符号605の部分)であり、該配管の存在によりひび割れ部分から圧送気体が流れ込むことを防ぐことができる。配管604は容器601の成型時に、耐火材402またはライニング403に埋め込んでおくことが好ましい。本実施形態においても流路603の上部には、例えば図示を省略した鉄製のΤ形状やR形状の配管、レジューサを有する配管が接続される。この接続においても、パッキンを介したフランジ間のボルト締めによって接続されてもよい。なお、この配管は回転可能としてよい。回転可能とする機構としては、例えばこの配管の容器との接続部におけるフランジの一点を容器側のフランジと回転可能に接続すると共に、この配管のフランジと容器側のフランジとをクランプ機構により固定してもよい。これにより回転半径が小さく、取り回しの良い容器を構成することができる。また、このように配管を回転可能とすることで、容器側の流路のメンテナンスを簡単に行うことができる。容器側には、回転して折り曲げされたこの配管を保持する保持部材を設けても構わない。その際に、保持部材には、配管を固定するための手段を設けても良い。
また、容器601は、有底で筒状の本体606の上部開口部407に大蓋408が配置され、これらのフランジ間をボルトで締めることで本体606と大蓋408が固定されている。
また、ハンドル付のボルトを逆回転させて締結を開放してハッチ410を大蓋408の開口部409から開くことができる。そして、ハッチ410を開いた状態で開口部409を介して容器601内部のメンテナンスや予熱時のガスバーナの挿入が行われるようになっている。
上記の大蓋408のほぼ中央には開口部409が設けられ、該開口部409には開閉自在のハッチ410が配置されている。ハッチ410の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器501内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔404が設けられている。この貫通孔404には加減圧用の配管(図示を省略)が接続されるようになっている。
大蓋408上のハッチ410に隣接する部分には、圧力開放用の貫通孔412が設けられている。圧力開放用の貫通孔412には、リリーフバルブ(図示を省略)が取り付けられるようになっている。これにより、例えば容器601内が所定の圧力以上となったときには安全性の観点から容器601内が大気圧に開放されるようになっている。
また、大蓋408には、液面センサとしての電極が挿入される液面センサ用の貫通孔が配置されてもよい(いずれも図示を省略)。そして、電極間の導通状態をモニタすることで容器601内の溶融金属の最大液面を検出することが可能であり、これにより容器601への溶融金属の過剰供給をより確実に防止できるようになっている。
本体602の底部裏面には、例えばフォークリフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形状で所定の長さの脚部(図示を省略)が例えば平行するように2本配置されている。
次に、本発明の更に別の実施形態について説明する。
図24及び図25はこの実施形態に係る流路に挿入される配管の構成を示す図であり、図24は正面から見た断面図、図25は平面から見た断面図である。この実施形態に係る配管は図7から図9に示された容器101の配管134として用いられるものを想定しているが、勿論別のタイプの容器に用いることができる。
この配管134は例えば鉄製であり、その内側には耐火材からなるライニング層701が形成されている。このライニング層701の内側に溶融金属例えば溶融アルミニウムの流路702が形成されている。この流路702の径は例えば65mm〜80mm程度が好ましい値である。また配管134及びライニング層702の材質については例えば既に開示した通りである。この実施形態に係る配管134では、配管134の内側に、ライニング層702である耐火材を保持するための保持部材703が突出して設けられている。この保持部材703は、例えば鉄の棒をV字状となるように配管134の内壁に溶接により接続して構成される。例えばV字状の鉄の棒は90°間隔で4箇所に設けられている。また、この保持部材703は、配管134の下方側、より好ましくは配管134のほぼ下端に近い位置に設けられ、それ以外の位置、例えば配管の内側の上方側は、保持部材703を設けることが禁止された禁止領域704とされている。
本実施形態では、ライニング層702である耐火材が配管134から脱落することを防止することができる。また、このような保持部材703を配管134の下方側、例えば配管134のほぼ下端に近い位置に設けたことにより、それより上のライニング層702に割れが入ったような場合でもライニング層702が脱落するようなことはない。保持部材703を配管134のほぼ下端に近い位置に設けることで、脱落防止領域を広げられる他、保持部材703の溶接作業が容易となる。更に、保持部材703が設けられた配管134の内側の上方側は、保持部材を設けることが禁止された禁止領域704を設けることで、配管134とライニング層702とで熱膨張率の違いに起因するこれらの部材の割れや変形を防止することが可能となる。
次に、本発明のまた別の実施形態について説明する。
図26及び図27はこの実施形態に係る容器の構成を示す図である。図26は正面から見た断面図、図27は平面から見た部分断面図である。この容器800は、図7〜図9に示した容器と同一の要素には同一の符号を付してある。
すなわち、この容器800は、フレーム101aの内側には、垂直方向に沿って内側への隆起部である凸部101cを有するライニング101bが設けられている。ライニング101bは耐火層と断熱層の積層構造が好ましい。これらの材質も上記実施形態と同様であればよい。
凸部101c内には、容器800内底部に近い位置から容器101上面側まで貫通する流路109が設けられている。流路109は例えば図24及び図25に示した配管134に取り囲まれている。流路109の上部には、例えば配管108が着脱可能に例えばボルト締により接続されている。配管108は例えば鉄製であり、形状としては例えばΤ形状である。
ここで、流路109は、特に図27に示すように、隆起部である凸部101cを越えてライニング101bまで及んでおり、しかし流路109と接続された容器内部側に開口する開口部801(容器底部付近に設けられている。)の部分にはこのようにライニング101bまで及ぶ部分はなくなって、結果的にはこの部分はライニング101bから突出する段付き部802が設けられていることとなっている。この段付き部802は、つまり当該容器の底面と配管134の下端面との間の間隙(例えば開口部801の高さに相当する。)を維持するため、配管134の下端面を保持する保持部材(ライニングと一体的に設けられている。)を構成している。
本実施形態では、配管134を保持する保持部材としての段付き部802を設けたことで、配管134及び配管の内部に形成されることがあるライニング層の脱落を防止できる。また、当該容器の製造工程において、配管134を流路109に挿入して固定する際に位置固定用の治具が不要になるという効果もある。
なお、この実施形態では、段付き部802を特にライニング101bの形状を変えることで実現していた。しかし、ライニングとは別に特別に保持部材を設けても勿論構わない。
次に、本発明のまた別の実施形態を説明する。
図28はこの実施形態に係る容器の構成を示す正面からみた断面図であり、図29はその容器の蓋を外した状態の平面図である。
この実施形態に係る容器1001は、基本的には図17に示した容器301と同様の構成であるが、配管1002がライニングとしての耐火材173に接している点が異なる。この配管1002はライニングとしての耐火材173に対して配管1002内における溶融金属の流通方向に沿って接するように配置されている。配管1002は、例えば金属製或いはセラミクス製である。
このように本実施形態に係る容器1001では、配管1002をライニングとしての耐火材173に接するように構成したことで、配管1002は予熱時にハッチ180を開けて挿入されるガスバーナーから最も離れたところに位置することとなり、ガスバーナーからの熱的な影響を受けにくくなる。また、配管1002がライニングとしての耐火材173に接しているので、例えば運搬の際の振動によって配管が振れて機械的な破壊に至ることを防止できる。更に、最小の傾きで容器1001内の残り湯を外部に効率よく排出することができる。
次に、本発明のまた別の実施形態を説明する。
図30はこの実施形態に係る容器の構成を示す正面からみた断面図であり、図31はその容器の蓋を外した状態の平面図である。
この実施形態に係る容器2001は、基本的には図28乃至図29に示した容器1001と同様の構成であるが、以下の点が異なっている。
容器2001における大蓋178は、内外で溶融アルミニウムを流通させるための配管2003が容器本体2004内に配置された状態で容器本体2004から取り外すことができるように容器本体2004に対して着脱可能に設けられている。
具体的には、配管2003は、容器本体2004における上部開口部平面と同じ高さの位置に、当該配管2003を容器本体2004における上部開口部平面により保持させるためのフランジ部2002を有する。また、大蓋178には、この配管2003が貫通する貫通孔2005を有する。配管2003はこの貫通孔2005を介して図示を省略された例えばR形状の配管(例えば図1の符号8参照、Τ形状であっても勿論構わない。)に接続されている。大蓋178は、大蓋178の外周のフランジと容器本体2004の外周のフランジとがボルトにより固定されることで容器本体2004に対して着脱可能に設けられている。
即ち、図28乃至図29に示した容器1001では、大蓋178を容器本体305から取り外そうとしたときに、図32に示すように、大蓋178に配管1002が一体化された状態で取り付けられており、従って大蓋178の取り外しは大変な作業となる。これに対して、この実施形態に係る容器2001では、図33に示すように、容器本体2004側に配管2003を残した状態で大蓋178を取り外すことができる。従って、大蓋178の取り外しが容易であり、メンテナンスを容易に行うことができる。このメンテナンスは、例えば容器2001から大蓋178を取り外し、容器本体2004内に付着したノロ(アルミニウムの酸化物)を取り除く作業等である。
また、この実施形態に係る容器2001では、特に図31に示したように、ライニング2006の内周は円筒形状とされているが、配管2003が接する位置は平面形状とされた平面部2007が設けられている。この平面部2007には、窪み部2008が設けられている。この窪み部2008は、配管2003のほぼ半径分の大きさを有しており、配管2003のほぼ半分はライニング2006側にはめ込まれている。これにより、配管2003はより強固にライニング2006に取り付けられることになり、また配管2003とライニング2006との接触面積もより大きくなる。
なお、配管2003は、金属製又はセラミクス製が好ましい。
次に、本発明のまた更に別の実施形態を説明する。
図34はこの実施形態に係る容器の構成を示す正面からみた断面図であり、図35はその容器の蓋を外した状態の平面図である。
この実施形態に係る容器3001は、基本的には図30乃至図31に示した容器2001と同様の構成であるが、以下の点が異なる。
フレーム171の内側にはライニングとしての耐火材3002が設けられている。この耐火材3002の内面側には、凸となる隆起部3003が上下方向に延在しており、当該隆起部3003内は内外で溶融金属を流通させるための流路3004を内在している。この容器3001の底面付近には、流路3004に通じる当該容器3001の内面側への開口部3005が設けられている。そして、流路3004には、配管3006が挿入されている。配管3006は、開口部3005において容器3001の内面側に露出している。そして前記配管の下側開口面近傍の前記隆起部は、前記容器の内側が広くなるようにテーパー形状を有している。これにより容器のメンテナンス時に配管下部への容器内側からのアクセスの容易さを向上する。これにより、容器3001内の溶融アルミニウムの熱が配管露出部から配管3006全体に伝導して配管3006を流通する溶融アルミニウムの詰まりを防止することができる。
本実施形態に係る容器3001においても、図36に示すように、容器本体3007側に配管3006を残した状態で大蓋178を取り外すことができる。従って、大蓋178の取り外しが容易であり、メンテナンスを容易に行うことができる。
なお、配管3006は、金属製又はセラミクス製が好ましい。