JP3621387B2 - 溶融金属供給用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば溶融したアルミニウムの運搬に用いられる溶融金属供給用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数のダイキャストマシーンを使ってアルミニウムの成型が行われる工場では、工場内ばかりでなく、工場外からアルミニウム材料の供給を受けることが多い。この場合、溶融した状態のアルミニウムを収容した取鍋を材料供給側の工場から成型側の工場へと搬送し、溶融した状態のままの材料を各ダイキャストマシーンへ供給することが行われている。
【0003】
従来から用いられている取鍋は、溶融金属が貯留される容器本体の側壁に供給用の配管を取り付けたいわば急須のような構造で、かかる取鍋を傾けることにより配管から成型側の保持炉に溶融金属を供給することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような取鍋では、例えば取鍋の傾斜をフォークリフトを用いて行っており、そのような作業は必ずしも安全なものとはいえなかった。また、取鍋を傾斜させるためにフォークリフトに回動機構を設ける必要があるため、構成が特殊となり、更にそのような操作のためにフォークリフトの操作に熟練した作業者が必要とされる、という課題があった。
【0005】
そのため、本発明者等は、圧力差を利用した溶融金属の供給システムを提唱している。このシステムは、密閉された容器に外部に溶融金属を導出するための配管を設け、さらにこの容器に加圧気体を供給するための配管を接続し、容器内を加圧することで金属導出用の配管から外部の例えば成型側の保持炉に溶融金属を導出している。
【0006】
しかしながら、上記構成の容器では、加圧気体供給用の配管が詰り易い、という問題がある。特に、上記のシステムでは、例えば容器はトラックに搭載され公道を介して工場から他の工場に運搬されるために揺れことが多く、このため容器内の溶融金属の液面が傾いたり、液滴が容器内で飛び散り、これらが加圧気体供給用の配管に付着する。そして、例えばこのような付着が度重なることで配管詰りが発生している。
【0007】
以上の事情に鑑み、本発明の主たる目的は、内圧調整に用いるための配管や孔の詰りを防止することができる溶融金属供給用容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明の主たる観点に係る溶融金属供給容器は、溶融金属を収容することができる容器と、前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器の内外を連通する内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチと、前記容器の上部側に属する領域で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記配管が、前記容器の上面部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記配管が、前記容器内の下面の近くまで延在していることを特徴とする。
【0011】
本発明の別の観点に係る溶融金属収容容器は、溶融金属を収容することができる容器と、前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器の内外を連通する内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチと、前記容器の上面部で、かつ、該上面部の中心から前記貫通孔までの距離よりも離れた位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明は、前記配管が、前記容器内の下面の近くまで延在していることを特徴とする。
【0013】
本発明の更に別の観点に係る溶融金属収容容器は、溶融金属を収容することができる容器と、前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器の内外を連通する内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチと、前記容器の上部部で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明は、前記配管が、前記容器内の下面の近くまで延在していることを特徴とする。
【0015】
本発明の更に別の観点に係る溶融金属収容容器は、溶融金属を収容することができ、内外を連通し、上面部のほぼ中心の位置に設けられた内圧調整用の貫通孔を有する容器と、前記容器の上面部で、かつ、該上面部の中心から前記貫通孔までの距離よりも離れた位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路とを具備したことを特徴とする。
【0016】
本発明のまた別の観点に係る溶融金属収容容器は、溶融金属を収容することができ、内外を連通し、上面部のほぼ中心の位置に設けられた内圧調整用の貫通孔を有する容器と、前記容器の上面部で、かつ、該上面部の中心から前記貫通孔までの距離よりも離れた位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管とを具備したことを特徴とする。
【0017】
通常、かかる容器内に溶融金属を供給するに先立ちガスバーナ等の加熱器により容器を予熱している。この予熱は、ハッチを開けて加熱器の一部を容器内に挿入することで行われる。従って、ハッチは容器内に溶融金属を供給する度に開けられるものである。本発明では、このようなハッチに内圧調整用の貫通孔を設けているので、容器内に溶融金属を供給する度に内圧調整用の貫通孔に対する金属の付着を確認することができる。そして、例えば貫通孔に金属が付着しているときにはその都度それを剥がせばよい。従って、本発明では、内圧調整に用いるための配管や孔の詰りを未然に防止することができる。また本発明においては、このハッチは容器内部を気密を確保するためのパッキン等の封止部材を備えている。パッキンは例えばシリコン製のものなど耐熱性を有するものが好ましい。
【0018】
本発明の溶融金属供給用容器は、前記ハッチが、前記容器の上面部のほぼ中央に設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
容器が揺れて液面が傾いたり、液滴が飛び散る場合、容器内の外周付近よりも中央部に近い方がより液面の変化や液滴が飛び散る度合いが小さい。本発明では、ハッチに内圧調整用の貫通孔が設けられ、しかもそのハッチが上記のように液面の変化や液滴が飛び散る度合いが小さい位置に対応する容器の上面部のほぼ中央に設けられているので、金属が内圧調整に用いるための配管や孔に付着することが少なくなる。従って、本発明では、内圧調整に用いるための配管や孔の詰りを防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る金属供給システムの全体構成を示す図である。
【0022】
同図に示すように、第1の工場10と第2の工場20とは例えば公道30を介して離れた所に設けられている。
【0023】
第1の工場10には、ユースポイントとしてのダイキャストマシーン11が複数配置されている。各ダイキャストマシーン11は、溶融したアルミニウムを原材料として用い、射出成型により所望の形状の製品を成型するものである。その製品としては例えば自動車のエンジンに関連する部品等を挙げることができる。また、溶融した金属としてはアルミニウム合金ばかりでなくマグネシウム、チタン等の他の金属を主体とした合金であっても勿論構わない。各ダイキャストマシーン11の近くには、ショット前の溶融したアルミニウムを一旦貯留する保持炉(手元保持炉)12が配置されている。この保持炉12には、複数ショット分の溶融アルミニウムが貯留されるようになっており、ワンショット毎にラドル13或いは配管を介して保持炉12からダイキャストマシーン11に溶融アルミニウムが注入されるようになっている。また、各保持炉12には、容器内に貯留された溶融アルミニウムの液面を検出する液面検出センサ(図示せず)や溶融アルミニウムの温度を検出するための温度センサ(図示せず)が配置されている。これらのセンサによる検出結果は各ダイキャストマシーン11の制御盤もしくは第1の工場10の中央制御部16に伝達されるようになっている。
【0024】
第1の工場10の受け入れ部には、後述する容器100を受け入れるための受け入れ台17が配置されている。受け入れ部の受け入れ台17で受け入れられた容器100は、配送車18により所定のダイキャストマシーン11まで配送され、容器100から保持炉12に溶融アルミニウムが供給されるようになっている。供給の終了した容器100は配送車18により再び受け入れ部の受け入れ台17に戻されるようになっている。
【0025】
第1の工場10には、アルミニウムを溶融して容器100に供給するための第1の炉19が設けられており、この第1の炉19により溶融アルミニウムが供給された容器100も配送車18により所定のダイキャストマシーン11まで配送されるようになっている。
【0026】
第1の工場10には、各ダイキャストマシーン11において溶融アルミニウムの追加が必要になった場合にそれを表示する表示部15が配置されている。より具体的には、例えばダイキャストマシーン11毎に固有の番号が振られ、表示部15にはその番号が表示されており、溶融アルミニウムの追加が必要になったダイキャストマシーン11の番号に対応する表示部15における番号が点灯するようになっている。作業者はこの表示部15の表示に基づき配送車18を使って容器100をその番号に対応するダイキャストマシーン11まで運び溶融アルミニウムを供給する。表示部15における表示は、液面検出センサによる検出結果に基づき、中央制御部16が制御することによって行われる。
【0027】
第2の工場20には、アルミニウムを溶融して容器100に供給するための第2の炉21が設けられている。容器100は例えば容量、配管長、高さ、幅等の異なる複数種が用意されている。例えば第1の工場10内のダイキャストマシーン11における保持炉12の容量等に応じて、容量の異なる複数種がある。しかしながら、容器100を1種類に統一して規格化しても勿論構わない。
【0028】
この第2の炉21により溶融アルミニウムが供給された容器100は、フォークリフト(図示せず)により搬送用のトラック32に載せられる。トラック32は公道30を通り第1の工場10における受け入れ部の受け入れ台17の近くまで容器100を運び、これらの容器100はフォークリフト(図示せず)により受け入れ台17に受け入れられるようになっている。また、受け入れ部にある空の容器100はトラック32により第2の工場20へ返送されるようになっている。
【0029】
第2の工場20には、第1の工場10における各ダイキャストマシーン11において溶融アルミニウムの追加が必要になった場合にそれを表示する表示部22が配置されている。表示部22の構成は第1の工場10内に配置された表示部15とほぼ同様である。表示部22における表示は、例えば通信回線33を介して第1の工場10における中央制御部16が制御することによって行われる。なお、第2の工場20における表示部22においては、溶融アルミニウムの供給を必要とするダイキャストマシーン11のうち第1の工場10における第1の炉19から溶融アルミニウムが供給されると決定されたダイキャストマシーン11はそれ以外のダイキャストマシーン11とは区別して表示されるようになっている。例えば、そのように決定されたダイキャストマシーン11に対応する番号は点滅するようになっている。これにより、第1の炉19から溶融アルミニウムが供給されると決定されたダイキャストマシーン11に対して第2の工場20側から誤って溶融アルミニウムを供給するようなことをなくすことができる。また、この表示部22には、上記の他に中央制御部16から送信されたデータも表示されるようになっている。
【0030】
次に、このように構成された金属供給システムの動作を説明する。
【0031】
中央制御部16では、各保持炉12に設けられた液面検出センサを介して各保持炉12における溶融アルミニウムの量を監視している。ここで、ある保持炉12で溶融アルミニウムの供給の必要性が生じた場合に、中央制御部16は、その保持炉12の「固有の番号」、その保持炉12に設けられた温度センサにより検出された保持炉12の「温度データ」、その保持炉12の形態(後述する。)に関する「形態データ」、その保持炉12から溶融アルミニウムがなくなる最終的な「時刻データ」、公道30の「トラフィックデータ」、その保持炉12で要求される溶融アルミニウムの「量データ」及び「気温データ」等を、通信回線33を介して第2の工場20側に送信する。第2の工場20では、これらのデータを表示部22に表示する。これらの表示されたデータに基づき作業者が経験的に上記保持炉12から溶融アルミニウムがなくなる直前に保持炉12に容器100が届き、且つその時の溶融アルミニウムが所望の温度となるように該第2の工場20からの容器100の発送時刻及び溶融アルミニウムの発送時の温度を決定する。或いはこれらのデータを例えばパソコン(図示せず)に取り込んで所定のソフトウェアを用いて上記保持炉12から溶融アルミニウムがなくなる直前に保持炉12に容器100が届き、且つその時の溶融アルミニウムが所望の温度となるように該第2の工場20からの容器100の発送時刻及び溶融アルミニウムの発送時の温度を推定してその時刻及び温度を表示するようにしてもよい。或いは推定された温度により第2の炉21を自動的に温度制御しても良い。容器100に収容すべき溶融アルミニウムの量についても上記「量データ」に基づき決定してもよい。
【0032】
発送時刻に容器100を載せたトラック32が出発し、公道30を通り第1の工場10に到着すると、容器100がトラック32から受け入れ部の受け入れ台17に受け入れられる。
【0033】
その後、受け入れられた容器100は、受け入れ台17と共に配送車18により所定のダイキャストマシーン11まで配送され、容器100から保持炉12に溶融アルミニウムが供給される。
【0034】
図2に示すように、この例では、レシーバタンク101から高圧空気を密閉された容器100内に送出することで容器100内に収容された溶融アルミニウムが配管56から吐出されて保持炉12内に供給されるようになっている。なお、図2において、103は加圧バルブ、104はリークバルブである。
【0035】
ここで、保持炉12の高さは各種のものがあり、配送車18に設けられた昇降機構により配管56の先端が保持炉12上の最適位置となるように調節可能になっている。しかし、保持炉12の高さによっては昇降機構だけでは対応できない場合がある。そこで、本システムにおいては、保持炉12の形態に関する「形態データ」として、保持炉12の高さや保持炉12までの距離に関するデータ等を予め第2の工場20側に送り、第2の工場20側ではこのデータに基づき最適な形態、例えば最適な高さの容器100を選択して配送している。なお、供給すべき量に応じて最適な大きさの容器100を選択して配送してもよい。
【0036】
次に、このように構成されたシステムに好適な容器(加圧式溶融金属供給容器)100について、図3及び図4に基づき説明する。図3は容器100の断面図、図4はその平面図である。
【0037】
容器100は、有底で筒状の本体50の上部開口部51に大蓋52が配置されている。本体50及び大蓋51の外周にはそれぞれフランジ53、54が設けられており、これらフランジ間をボルト55で締めることで本体50と大蓋51が固定されている。なお、本体50や大蓋51は例えば外側が金属であり、内側が耐火材材及び断熱材により構成されている。
【0038】
本体50の外周の1箇所には、本体50内部から配管56に連通する流路57が設けられた配管取付部58が設けられ、この配管取付部58の流路57に連通するように配管56が固定されている。配管56は、Γ状の形状を有しており、これにより配管56の一端口59は下方を向いている。より具体的には、配管56の一端口59は垂線に対して例えば10°程度傾いている。このように傾斜を持たせることによって例えば一端口59から導出される溶融金属がサーバ側に流れ落ちた際に湯面から湯滴が飛び散ることが少なくなる。
【0039】
上記の大蓋52のほぼ中央には開口部60が設けられ、開口部60には取っ手61が取り付けられたハッチ62が配置されている。ハッチ62は大蓋52上面よりも少し高い位置に設けられてる。ハッチ62の外周の1ヶ所にはヒンジ63を介して大蓋52に取り付けられている。これにより、ハッチ62は大蓋52の開口部60に対して開閉可能とされている。また、このヒンジ63が取り付けられた位置と対向するように、ハッチ62の外周の2ヶ所には、ハッチ62を大蓋52に固定するためのハンドル付のボルト64が取り付けられている。大蓋52の開口部60をハッチ62で閉めてハンドル付のボルト64を回動することでハッチ62が大蓋52に固定されることになる。また、ハンドル付のボルト64を逆回転させて締結を開放してハッチ62を大蓋52の開口部60から開くことができる。そして、ハッチ62を開いた状態で開口部60を介して容器100内部のメンテナンスや予熱時のガスバーナの挿入が行われるようになっている。
【0040】
また、ハッチ62の中央、或いは中央から少しずれた位置には、容器100内の減圧及び加圧を行うための内圧調整用の貫通孔65が設けられている。この貫通孔65には加減圧用の配管66が接続されている。この配管66は、貫通孔65から上方に伸びて所定の高さで曲がりそこから水平方向に延在している。この配管66の貫通孔65への挿入部分の表面には螺子山がきられており、一方貫通孔65にも螺子山がきられており、これにより配管66が貫通孔65に対して螺子止めにより固定されるようになっている。
【0041】
この配管66の一方には、加圧用又は減圧用の配管67が接続可能になっており、加圧用の配管には加圧気体に蓄積されたタンクや加圧用のポンプが接続されており、減圧用の配管には減圧用のポンプが接続されている。そして、減圧により圧力差を利用して配管56及び流路57を介して容器100内に溶融アルミニウムを導入することが可能であり、加圧により圧力差を利用して流路57及び配管56を介して容器100外への溶融アルミニウムの導出が可能である。なお、加圧気体として不活性気体、例えば窒素ガスを用いることで加圧時の溶融アルミニウムの酸化をより効果的に防止することができる。
【0042】
本実施形態では、大蓋52のほぼ中央部に配置されたハッチ62に加減圧用の貫通孔65が設けられている一方で、上記の配管66が水平方向に延在しているので、加圧用又は減圧用の配管67を上記の配管66に接続する作業を安全にかつ簡単に行うことができる。また、このように配管66が延在することによって配管66を貫通孔65に対して小さな力で回転させることができるので、貫通孔65に対して螺子止めされた配管66の固定や取り外しを非常に小さな力で、例えば工具を用いることなく行うことができる。
【0043】
ハッチ62の中央から少しずれた位置で前記の加減圧用の貫通孔65とは対向する位置には、圧力開放用の貫通孔68が設けられ、圧力開放用の貫通孔68には、リリーフバルブ(図示を省略)が取り付けられるようになっている。これにより、例えば容器100内が所定の圧力以上となったときには安全性の観点から容器100内が大気圧に開放されるようになっている。
【0044】
大蓋52には、液面センサとしての2本の電極69がそれぞれ挿入される液面センサ用の2つの貫通孔70が所定の間隔をもって配置されている。これらの貫通孔70には、それぞれ電極69が挿入されている。これら電極69は容器100内で対向するように配置されており、それぞれの先端は例えば容器100内の溶融金属の最大液面とほぼ同じ位置まで延びている。そして、電極69間の導通状態をモニタすることで容器100内の溶融金属の最大液面を検出することが可能であり、これにより容器100への溶融金属の過剰供給をより確実に防止できるようになっている。
【0045】
本体50の底部裏面には、例えばフォークリフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形状で所定の長さの脚部(チャンネル)71が例えば平行するように2本配置されている。また、本体50内側の底部は、流路57側が低くなるように全体が傾斜している。これにより、加圧により流路57及び配管56を介して外部に溶融アルミニウムを導出する際に、いわゆる湯の残りが少なくなる。また、例えばメンテナンス時に容器100を傾けて流路57及び配管56を介して外部に溶融アルミニウムを導出する際に、容器100を傾ける角度をより小さくでき、安全性や作業性が優れたものとなる。
【0046】
このように本実施形態に係る容器100では、ハッチ62に内圧調整用の貫通孔65を設け、その貫通孔65に内圧調整用の配管66を接続しているので、容器100内に溶融金属を供給する度に内圧調整用の貫通孔65に対する金属の付着を確認することができる。従って、内圧調整に用いるための配管66や貫通孔65の詰りを未然に防止することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る容器100では、ハッチ62に内圧調整用の貫通孔65が設けられ、しかもそのハッチ62が溶融アルミニウムの液面の変化や液滴が飛び散る度合いが比較的に小さい位置に対応する容器100の上面部のほぼ中央に設けられているので、溶融アルミニウムが内圧調整に用いるための配管66や貫通孔65に付着することが少なくなる。従って、内圧調整に用いるための配管66や貫通孔65の詰りを防止することができる。
【0048】
更に、本実施形態に係る容器100では、ハッチ62が大蓋52の上面部に設けられているので、ハッチ62の裏面と液面との距離が大蓋52の裏面と液面との距離に比べて大蓋52の厚み分だけ長くなる。従って、貫通孔65が設けられたハッチ62の裏面にアルミニウムが付着する可能性が低くなり、内圧調整に用いるための配管66や貫通孔65の詰りを防止することができる。
【0049】
次に、第2の工場20における第2の炉21から容器100への供給システムを図5に基づき説明する。
【0050】
図5に示すように、第2の炉21内には溶融アルミニウムが貯留されている。この第2の炉21には供給部21aが設けられ、この供給部21aには吸引管201が挿入されている。この吸引管201は、供給部21aの溶融されたアルミニウムの液面から一端口(吸引管201の他方の先端部201b)が出没するように配置されている。すなわち、吸引管201の一方の先端部201aは第2の炉21の底部付近まで延在し、吸引管201の他方の先端部201bは供給部21aから外側に導出されている。吸引管201は、保持機構202により基本的には傾斜して保持されている。その傾斜角は例えば垂線に対して10°程度傾いており、上記容器100における配管56の先端部の傾斜と合致するようになっている。この吸引管201の先端部201bは容器100における配管56の先端部に接続されるものであり、このように傾斜を合致されることによって吸引管201の先端部201bと容器100における配管56の先端部との接続が容易となる。
【0051】
そして、配管66に減圧用のポンプ313に接続された配管67を接続する。次に、ポンプ313を作動させて容器100内を減圧する。これにより、第2の炉21内に貯留されている溶融アルミニウムが吸引管201及び配管56を介して容器100内に導入される。
【0052】
本実施形態では、特に、このように第2の炉21内に貯留されている溶融アルミニウムを吸引管201及び配管56を介して容器100内に導入するようにしているので、溶融アルミニウムが外部の空気と接触することはない。従って、酸化物が生じることがなく、本システムを用いて供給される溶融アルミニウムは非常に品質が良いものとなる。また、容器100内から酸化物を除去するための作業は不要となり、作業性も向上する。
【0053】
本実施形態では、特に、容器100に対する溶融アルミニウムの導入と容器100からの溶融アルミニウムの導出を実質的に2本の配管56、312だけを使って行うことができるので、システム構成を非常にシンプルなものとすることができる。また、溶融アルミニウムが外気に接触する機会が激減するので、酸化物の生成をほぼなくすことができる。
【0054】
図6は以上のシステムを自動車工場に適用した場合の製造フローを示したものである。
【0055】
まず、図5に示したように、第2の炉21内に貯留されている溶融アルミニウムを吸引管201及び配管56を介して容器100内に導入(受湯)する(ステップ501)。
【0056】
次に、図1に示したように、容器100を公道30を介してトラック32により第2の工場20から第1の工場10に搬送する(ステップ502)。
【0057】
次に、第1の工場(ユースポイント)10では、容器100が配送車18により自動車エンジン製造用のダイキャストマシーン11まで配送され、容器100から保持炉12に溶融アルミニウムが供給される(ステップ503)。
【0058】
次に、このダイキャストマシーン11において、保持炉12に貯留された溶融アルミニウムを用いた自動車エンジンの成型が行われる(ステップ504)。
【0059】
そして、このように成型された自動車エンジン及び他の部品を使って自動車の組み立てが行われ、自動車が完成する(ステップ505)。
【0060】
本実施形態では、上述したように自動車のエンジンが酸化物を殆ど含まないアルミニウム製であるので、性能及び耐久性のよいエンジンを有する自動車を製造することが可能である。
【0061】
本発明の更に別の実施形態を説明する。
【0062】
図7は本発明の第2の実施形態に係る容器の断面図である。
【0063】
同図に示す容器2300は、容器本体2110と、配管2130とを具備する。
【0064】
容器本体2110はその上部に開口2113を有し、その開口2113を塞ぐように蓋2114が装着されている。
【0065】
容器本体2110は、第1の空間2115を構成する例えばSS400(JIS)などの鋼からなる第1のフレーム2116と、第1のフレーム2116との間に第2の空間2117を構成するように配設された例えばSS400(JIS)などの鋼からなる第2のフレーム2118とを有する。これらフレーム材料は線膨張率の小さな材料から構成することが好ましく、また内層に施工するキャスターなどの断熱材料との線膨張率の差が小さな材料を採用することが好ましい。さらに第1のフレームと第2のフレームとはその物性を協調させることが好ましくここでは同一物性を有する材料を選択して採用している。
【0066】
容器本体2110の底部には、フォークリフトのフォークが挿入される1対の口の字状の係止部材2119、2119が取り付けられている。
【0067】
蓋2114には、そのほぼ中心寄りに容器本体2110内に例えばアルミニウム等の金属の溶湯2020を注入するための開口2121が設けられ、その開口2121には子蓋2122が枢着されて図示を省略した固定具により開口2121に子蓋2122が固定されるようになっている。
【0068】
また、蓋2114には、加圧用の気体を容器本体2110内の第1の空間2115に導入するための導入口が設けられている。上記気体として窒素ガス等の不活性ガスを用いることで溶湯2020の酸化を防止することができる。
【0069】
更に、蓋2114には、容器本体2110の中心からずれた位置から容器本体2110外に配設された配管2130が取り付けられている。配管2130の下端は容器本体2110内の底部付近まで位置している。この下端を開閉自在とする機構を設けても構わない。これにより、容器が倒れたときに湯が流出することを防止することが可能となる。配管2130は、容器本体2110外において、例えば上方に向けて5°〜10°程度傾斜する傾斜部と、下方に向けて開口する吐出部とを有する。
【0070】
このような容器2100では、まず水平状態で、導入口から加圧気体を導入し、容器本体2110内の溶湯2020を配管2130から外部に圧送する。その後、フォークリフトで配管2130側に傾斜させて、残りの溶湯2020を配管2130から外部に圧送する。
【0071】
第1の空間2115と第2の空間2117とを接続する少なくとも1つの通路(配管)2210が設けられている。
【0072】
加圧機構2220では、加圧バルブ2221及び減圧弁を2222を介してエアータンク2223から第1の空間2115に加圧エアーが導入されるようになっている。また加圧機構2220には圧力コントーラ2224が取り付けらている。
【0073】
なお、加圧機構2220に代えて真空ポンプを接続することも可能である。
【0074】
同図に示す容器2300では、第1の空間2115に加圧機構2220が接続され、第2の空間2117に減圧機構2310が接続されている。減圧機構2310では、例えば真空バルブ2311を介して真空ポンプ2312が第2の空間2117に接続され、それらの間に真空計2313やリークバルブ2314が介挿されている。
【0075】
また、第1の空間2115と第2の空間2117とを接続する通路2210には、第2のバルブとしてのリークバルブ2320が介挿され、更に容器本体内には第1のバルブとしてのリークバルブ2321が接続されている。
【0076】
このような構成の容器2300では、給湯停止動作に要する時間短縮、もしくは停止動作の信頼性の向上を図ることができる。すなわち、第2の空間2117は減圧しておき、給湯停止時には、まず第1のバルブとしてのリークバルブ2321を開放して第1の空間2115内を復圧する、ついで第2のバルブとしてのリークバルブ2320を開放し第1の空間2115を負圧にする。これにより完全な給湯停止、更には配管内の溶湯の容器側への引き戻しができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内圧調整に用いるための配管や孔の詰りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る金属供給システムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る容器と保持炉との関係を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る容器の断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る第2の工場における第2の炉から容器への供給システムの構成を示す図である。
【図6】本発明のシステムを使った自動車の製造方法を示すフロー図である。
【図7】第2の実施形態に係る容器の断面図である。
【符号の説明】
50 容器本体
51、60 開口部
57 流路
62 ハッチ
65 内圧調整用の貫通孔
66 内圧調整用の配管
60 開口
100 溶融金属供給用容器
Claims (11)
- 溶融金属を収容することができる容器と、
前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器の内外を連通し、容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチと、
前記容器の上部側に属する領域で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管と
を具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 請求項1に記載の溶融金属供給用容器であって、
前記配管が、前記容器の上面部に設けられていることを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 請求項1又は請求項2に記載の溶融金属供給用容器であって、
前記ハッチが、前記容器の上面部のほぼ中央に設けられていることを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の溶融金属供給用容器であって、
前記配管が、前記容器内の下面の近くまで延在していることを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 溶融金属を収容することができる容器と、
前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器の内外を連通し、容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチと、
前記容器の上面部で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管と
を具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 請求項5に記載の溶融金属供給用容器であって、
前記ハッチが、前記容器の上面部のほぼ中央に設けられていることを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 請求項5又は請求項6に記載の溶融金属供給用容器であって、
前記配管が、前記容器内の下面の近くまで延在していることを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 溶融金属を収容することができる容器と、
前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、外部から容器内を加圧するための気体の通路が設けられたハッチと、
前記容器の上部側に属する領域で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管と
を具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 溶融金属を収容することができる容器と、
前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器を加圧する加圧気体の導入部を有するハッチと、
前記容器の上部側に属する領域で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管と
を具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 溶融金属を収容することができる容器と、
前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器を加圧する加圧気体の導入口を有するハッチと、
前記容器の上部側に属する領域で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管と
を具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。 - 溶融金属を収容することができる容器と、
前記容器の上面部に開閉可能に設けられ、前記容器を加圧する加圧気体の孔を有するハッチと、
前記容器の上部側に属する領域で、かつ、前記ハッチが設けられた領域以外の位置に設けられ、前記容器の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な流路を有する配管と
を具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。
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