JP3506137B2 - 容器、溶融金属供給方法及び溶融金属供給システム - Google Patents

容器、溶融金属供給方法及び溶融金属供給システム

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JP3506137B2
JP3506137B2 JP2002035770A JP2002035770A JP3506137B2 JP 3506137 B2 JP3506137 B2 JP 3506137B2 JP 2002035770 A JP2002035770 A JP 2002035770A JP 2002035770 A JP2002035770 A JP 2002035770A JP 3506137 B2 JP3506137 B2 JP 3506137B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば溶融したア
ルミニウムの搬送に用いられる容器に関する。
【0002】
【従来の技術】多数のダイキャストマシーンを使ってア
ルミニウムの成型が行われる工場では、工場内ばかりで
なく、工場外からアルミニウム材料の供給を受けること
が多い。この場合、溶融した状態のアルミニウムを収容
した容器を材料供給側の工場から成型側の工場へと搬送
し、溶融した状態のままの材料を各ダイキャストマシー
ンへ供給することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、こうし
た容器からダイキャストマシーン側への材料供給を圧力
差を利用して行う技術を提唱している。すなわち、この
技術は、容器内を加圧して容器内に導入された配管を介
して容器内の溶融材料を外部に導出するものである。そ
して、このような容器としては、例えば特開平8−20
826号に開示された装置を用いることが可能である。
【0004】しかしながら、特開平8−20826号に
開示された装置では、ストークが容器内の溶融金属に晒
され続けるために、ストークの基材金属が酸化、腐食が
して、ストークを交換する必要性がしばしば発生する、
という問題がある。また、このような容器を工場間で搬
送する場合には、まず容器内をガスバーナ等を用いて予
熱してから容器内に溶融材料を供給しているが、特開平
8−20826号に開示された装置では、予熱の際に容
器内のストークが邪魔となるため、例えばストークをこ
れを保持する大きな蓋と共に取り外して予熱を行う必要
があるため、作業性が非常に悪い、という問題もある。
【0005】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、ストーク等の部品交換を行う必要の
ない容器を提供することを目的としている。
【0006】本発明の別の目的は、予熱を効率的に行う
ことができる容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明の容器は、溶融アルミニウムを収容すること
ができ、内外の圧力差を調節することにより、外部へ溶
融アルミニウムを供給することが可能で、運搬車輌によ
り搭載されてユースポイントまで搬送される容器であっ
て、フレームと、前記フレームの内側に設けられ、か
つ、前記容器内の底部付近に開口を有し、当該容器の上
方の配管取付部に向かう流路を内在するライニングと、
前記配管取付部に取付けられ、前記流路に連通する第1
の配管とを具備し、少なくとも前記流路の内径は、約6
5mm〜約85mmであることを特徴とする。前記容器
本体内を加圧するための第2の配管を具備することが好
ましい形態である。本発明の別の観点に係る溶融アルミ
ニウムの供給方法は、フレームと、前記フレームの内側
に設けられ、かつ、当該容器内の底部付近に開口を有
し、当該容器の上方の配管取付部に向かう流路を内在す
るライニングと、前記配管取付部に取付けられ、前記流
路に連通する第1の配管とを有し、溶融アルミニウムを
収容することができる容器を用いて溶融アルミニウムを
供給する方法において、(a)前記容器内に溶融アルミ
ニウムを導入する工程と、(b)前記溶融アルミニウム
を収容した容器を運搬車輌を用いてユースポイントまで
搬送する工程と、(c)前記ユースポイントで、前記容
器内を加圧して前記流路及び前記第1の配管を介して溶
融アルミニウムを導出する工程とを具備し、少なくとも
前記流路の内径は、約65mm〜約85mmであること
を特徴とする。本発明のまた別の観点に係る溶融アルミ
ニウムの供給システムは、(a)溶融アルミニウムを収
容することができ、内外の圧力差を調節することによ
り、外部へ溶融アルミニウムを供給することが可能で、
運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送され
る容器であって、フレームと、前記フレームの内側に設
けられ、かつ、前記容器内の底部付近に開口を有し、当
該容器の上方の配管取付部に向かう流路を内在するライ
ニングと、前記配管取付部に取付けられ、前記流路に連
通する第1の配管とを具備する容器と、(b)前記容器
内を加圧する手段とを有し、少なくとも前記流路の有効
内径は、約65mm〜約85mmであることを特徴とす
る。前記流路の内径は、約70mmであることがより好
ましい形態である。
【0008】本発明では、溶融金属を流通させるための
流路が容器本体内周の該容器本体底部に近い位置から該
容器本体外周の上部に向けて延在するようになってい
る。すなわち、本発明では、特開平8−20826号に
開示された装置と比較すると、容器内の溶融金属に晒さ
れるストークのような部材は不要となるので、ストーク
等の部品交換を行う必要はなくなる。また、本発明で
は、容器内にストークのように予熱を邪魔するような部
材は配置されないので、予熱のための作業性が向上し、
予熱を効率的に行うことができる。また容器に溶融金属
を収容したのち、溶融金属の表面の酸化物等をすくい取
る作業が必要なことが多い。内部にストークがあるとこ
の作業がやりにくい。本発明によれば容器内部にストー
クのような構造物がないので作業性を向上することがで
きる。
【0009】ここで、本発明に係る容器を使った溶融金
属供給方法としては、(a)容器内を容器外よりも陰圧
状態にして容器外から容器内に溶融金属を導入する工程
と、(b)前記容器内から容器外に溶融金属を導出する
工程とを具備することを特徴とする。ここで、陰圧状態
とは、容器外の圧力>容器内の圧力とすることである。
容器内を減圧する場合の他に、容器外を加圧する場合、
更に容器内を減圧しかつ容器外を加圧する場合も含まれ
る。
【0010】このように容器内外の圧力差を利用して溶
融金属を容器内に導入することで、溶融金属を容器内に
引き込むような形態の部材、例えば配管を介して溶融金
属供給用の炉と容器とを連接すればよくなる。例えば樋
部材を介して溶融金属供給用の炉と容器とを連接する必
要がなくなるので、溶融金属が空気に触れる機会が激減
し、容器内に供給された溶融金属が酸化することを極力
減らすことが可能となる。従って、酸化物の除去作業を
不要とし、作業性の改善を図ることができ、しかも酸化
物が殆ど含まれていない溶融金属を供給することが可能
となる。
【0011】工程(b)は、前記容器内を容器外よりも
陽圧状態にして容器内から容器外に溶融金属を導出する
ことを特徴とし、例えば前記容器は、当該容器の内外を
連通して設けられ、前記溶融金属を流通することが可能
な第1の配管を備え、前記工程(a)及び前記工程
(b)は、前記第1の配管を用いて溶融金属の導入及び
導出を行うことを特徴とする。
【0012】陽圧状態とは、容器内の圧力>容器外の圧
力とすることである。容器内を加圧する場合の他に、容
器外を減圧する場合、更に容器内を加圧しかつ容器外を
減圧する場合も含まれる。
【0013】本発明では、溶融金属供給用の炉から容器
への溶融金属の供給及び容器からサーバへの溶融金属の
供給を例えば共通の第1の配管を用いて行うことができ
るので、構成を非常に簡単なものとすることができる。
ただし、本発明は、溶融金属の導入と導出を別の配管を
使う場合も含むものである。
【0014】本発明の溶融金属供給方法は、前記容器
が、当該容器の内外を連通して設けられた第2の配管を
備え、前記工程(a)及び前記工程(b)は、前記第2
の配管を用いて容器内の減圧及び加圧を行うことを特徴
とする。このように容器内の減圧及び加圧を共通の配管
で行うことで、容器の構成を非常に簡単なものとするこ
とができる。
【0015】従って、本発明では、例えば容器に対して
第1及び第2の配管を設けるだけで容器に対する溶融金
属の導入と容器からの溶融金属の導出を行うことが可能
となる。このことは、単に構成が簡略化されるだけでな
く、溶融金属の酸化を激減することが可能となる。
【0016】
【0017】
【0018】 前記流路の内径が約65mm〜約85m
mであることは、発明者らが配管径と圧送に必要な圧力
との関係を調べた結果得られた知見である。
【0019】本発明の溶融金属供給システムは、溶融金
属を収容することができる容器と、前記容器の内外を連
通して設けられ、前記溶融金属を流通することが可能な
配管と、前記容器内部を排気する排気系とを具備したこ
とを特徴とする。また、本発明の溶融金属供給システム
は、溶融金属を収容することができる容器と、前記容器
の内外を連通し、前記溶融金属を流通することが可能な
第1の配管と、前記容器の内外を連通し、前記容器内を
排気することが可能な第2の配管とを具備したことを特
徴とする。
【0020】本発明では、溶融金属を容器内に引き込む
ための配管を介して溶融金属供給用の炉と容器とを連接
すればよくなるので、溶融金属が空気に触れる機会が激
減し、容器内に供給された溶融金属が酸化することを極
力減らすことが可能となる。従って、本発明によれば、
酸化物の除去作業を不要とし、作業性の改善を図ること
ができ、しかも酸化物が殆ど含まれていない溶融金属を
供給することが可能となる。
【0021】本発明の溶融金属供給システムは、前記配
管の前記容器内側の開口部が前記容器の下方にあること
を特徴とする。これにより、容器内に配管から供給され
る大半の溶融金属が既に容器内に供給されている溶融金
属の面より下で供給されることになり、すなわち配管か
ら供給される大半の溶融金属がその供給の際に容器内の
空気に直接触れることがなくなり、溶融金属の酸化を効
果的に防止することができる。また、配管の開口部がこ
のような位置にあることにより、この配管を使って加圧
による容器からサーバに対する溶融金属の供給が可能と
なる。
【0022】
【0023】本発明の溶融金属供給方法は、容器の内部
を減圧して溶融金属を吸引し、前記容器をユースポイン
トまで輸送し、前記容器を加圧して前記溶融金属を前記
ユースポイントへ供給することを特徴とする。ここで、
例えば、前記溶融金属は、アルミニウムであり、前記容
器のユースポイントまでの輸送は、公道を介して行わ
れ、前記ユースポイントでは、前記溶融したアルミニウ
ムを使ったアルミダイキャストマシーンを使ったアルミ
ニウムの成型が実行されることを特徴とする。
【0024】本発明は、固体のアルミニウムから溶融し
たアルミニウムの生産する生産方法において、炉内でア
ルミニウムを溶融する工程と、前記炉と前記容器との間
を配管を介して接続する工程と、前記容器内を減圧して
前記配管を介して前記炉から前記容器内に溶融したアル
ミニウムを導入する工程と、前記容器内を加圧して前記
配管を介して前記容器からサーバに対して溶融したアル
ミニウムを導出する工程とを具備することを特徴とす
る。これにより、酸化物の少ない溶融アルミニウムを生
産することが可能である。
【0025】
【0026】
【0027】本発明の溶融金属供給システムは、加圧式
溶融金属供給容器と、前記加圧式溶融金属供給容器を保
持しつつ昇降する昇降機構と、前記加圧式溶融金属供給
容器に対して加圧用の気体を供給する加圧気体貯留タン
クとを有する運搬車輌とを具備することを特徴とする。
【0028】本発明の運搬車輌は、加圧式溶融金属供給
容器を保持しつつ昇降する昇降機構と、前記加圧式溶融
金属供給容器に対して加圧用の気体を供給する加圧気体
貯留タンクとを具備することを特徴とする。
【0029】本発明によれば、運搬車輌に加圧気体貯留
タンクを搭載し、この加圧気体貯留タンクから加圧式溶
融金属供給容器に対して加圧用の気体を供給し、この気
体により溶融金属を圧送しているので、従来のように容
器を傾斜させる必要がなくなる。従って、例えばフォー
クリフトに回動機構を設ける必要はなくなり、昇降機構
を設けるだけよく、機構が非常にシンプルなものとな
る。しかも、加圧手段として加圧気体貯留タンクを用い
ているので、例えばコンプレッサーを搭載した場合等に
考えられる発電機の搭載等は不要となり、小型軽量化を
図ることができる。工場内であれば、気体の補充も極め
て容易である。
【0030】上記運搬装置には、フォークリスト機構の
フォーク部分に設けられ、容器の重量を計測するための
計測手段(例えば圧力センサ)と、前記計測結果に基づ
き前記加圧気体貯留タンクから前記容器への前記気体の
供給を制御する制御手段とを設けてもよい。
【0031】かかる構成によれば、例えば容器の重量が
所定以下になったとき所定量の溶融金属が容器から相手
側に供給されてものとみなして気体の供給を停止し、溶
融金属の供給を停止する。これにより、人手を介するこ
となくしかも簡単な構成で特定量の溶融金属を供給する
ことができるようなる。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】つぎに本発明の容器について説明する。こ
こで容器は固定して使用される場合(例えば溶融金属の
溶融炉、保持炉など)も、可動に使用される場合(例え
ば容器など)もどちらにも適用することができる。
【0042】本発明の容器は、気密領域を構成するフレ
ームと、前記フレームの内側に配設された断熱材と、前
記フレームおよび前記断熱材を貫通して配設された少な
くとも1つの配管とを具備したものである。
【0043】また本発明は、溶融金属を保持することが
できる容器において、前記炉の内部を加圧する手段と、
前記炉内の内部を減圧する手段と、を具備したものであ
る。
【0044】フレームは内部に気密領域である閉空間を
形成する。また容器全体の強度の保持の役割と、外部か
ら断熱材を保護する役割を果たす。フレームは各種金属
材料により構成することができるが、材質は容器の用途
に応じて適宜選択すればよい。この選択は容器に収容す
る内容物の物理的性質、化学的性質を考慮してなされる
ことが好ましい。例えば、たとえ断熱材が破けたとして
もフレームが内容物の熱や、内容物との化学反応により
溶けたり割れたりしないように選択する。断熱材につい
ても同様であって、例えば各種耐熱煉瓦が容器の用途に
応じて選択される。
【0045】配管はフレームの外部と内部の空間とのア
クセスを提供するものである。この配管は複数備えても
よい。例えばこの配管に排気系を接続して内部を減圧す
ることにより、内部の気密領域の酸素濃度、酸素活量を
制御することができる。また例えばこの配管に非酸化性
ガス導入系を接続することにより、内部に非酸化性ガス
を供給することができる。
【0046】さらにこの配管により、このような減圧、
加圧により流体(溶融金属や粉体)を容器から出した
り、入れたりすることができる。例えば複数の配管を備
えた場合を考える。内容物は溶融金属であるとする。こ
の場合、第1の配管から非酸化性ガスを導入して気密領
域を加圧すれば、第2の配管を通じて溶融金属を外部へ
押し出す力が働く。また第1の配管を排気系に接続して
気密領域を減圧すれば、第2の配管を通じて溶融金属を
外部から吸引することができる。配管は必要に応じてヒ
ータなどで加熱する。温度は管内を流通する内容物の融
点より高くなるように設定することが好ましい。このと
き排気系や非酸化性ガス供給系により、溶融金属や粉体
の移動だけでなく、系内の酸素濃度も制御することがで
きる。このように本願発明においては、減圧状態を含め
た圧力差の生成が、溶融金属や粉体の質量移動と酸化防
止のための両方に寄与している点が大きな特徴の一つと
なっている。さらに配管内の雰囲気が酸化的になると配
管内に酸化物が付着し配管が詰まる。本発明では配管内
の酸素濃度が制御されるだけでなく配管内に内容物を残
さないようにすることもできるので、このような詰まり
の問題も解決することができる。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】本発明の別の観点に係る容器は、溶融金属
を貯留可能で、内圧を調整するために用いられる貫通孔
を有する密閉型の容器本体と、前記容器本体内周の該容
器本体底部に近い位置に設けられた開口を介して上部に
向けて外部に延在する溶融金属の流路を有し、かつ、前
記容器本体の内壁を覆うように設けられた耐火壁とを具
備することを特徴とするものである。
【0054】本発明では、溶融金属の流路が容器本体の
内壁を覆うように設けられた熱伝導性の高い耐火壁によ
り構成されているので、容器内に溶融金属を貯留したと
きにこの貯留されている溶融金属の熱が耐火壁を伝導
し、流路は貯留されている溶融金属とほぼ等しい温度と
なる。従って、流路を流通する溶融金属が流路で冷却さ
れて流路の表面に固化して付着するようなことはなくな
る。すなわち、流路に溶融金属が固化して付着していく
と流路(従来の配管)が詰まり易くなるが、本発明によ
り流路の詰まりを効果的に防止することができる。ま
た、本発明では、流路が貯留されている溶融金属とほぼ
等しい温度となるので、流路の表面付近を流通する溶融
金属の粘性が低下することがなくなり、より小さいな圧
力差で容器からの溶融金属の導出及び容器内への溶融金
属の導入を行うことができる。すなわち、本発明の容器
は、溶融金属の流路を容器本体の内壁を覆うように設け
られた熱伝導性の高い耐火壁より構成し、該流路を貯留
されている溶融金属とほぼ等しい温度となるようにした
ので、圧力差を利用して溶融金属を容器内外に導入出す
るようなシステムに非常に有効なものとなる。
【0055】本発明の容器には、内圧を調整するために
用いられる貫通孔が設けられているので、例えば貫通孔
を介して容器内を陰圧とすることで流路を介して容器内
に溶融金属を導入することが可能である。本発明では、
このように流路を介して容器内に溶融金属を導入するこ
とでその流路を流通するよりホットな溶融金属により流
路の表面に付着する金属が洗浄される。従って、本発明
では、内圧を調整するために用いられる貫通孔を有する
ことで流路の詰まりを効果的に防止することができる。
【0056】本発明では、溶融金属を流通させるための
流路が容器本体内周の該容器本体底部に近い位置から該
容器本体外周の上部に向けて延在するようになってい
る。すなわち、本発明では、特開平8−20826号に
開示された装置と比較すると、容器内の溶融金属に晒さ
れるストークのような部材は不要となるので、ストーク
等の部品交換を行う必要はなくなる。また、本発明で
は、容器内にストークのように予熱を邪魔するような部
材は配置されないので、予熱のための作業性が向上し、
予熱を効率的に行うことができる。
【0057】本発明の一の形態に係る容器は、前記容器
本体の内壁と前記耐火壁との間に介挿された断熱部材を
更に具備することを特徴とするものである。容器は全体
として保温性を高める必要があるから断熱性能の高い部
材をライニングしてある。そして溶融金属に直接接する
部分は、耐火系の部材をライニングしてある。本発明の
容器では容器の内側と流路とを分離しているゾーンに耐
火系のキャスター材料を配し、この領域の熱伝導率を意
図的に大きくしている。耐火材は断熱材よりも密度、熱
伝導率が大きくなるように設定する。耐火材としてはた
とえが緻密質の耐火キャスターを、断熱材としては例え
ば断熱キャスターやボード材等をあげることができる。
このような構成を採用することで、容器内の溶融金属を
保温することに加えて、上記の流路へ熱が供給されやす
くなる。したがって流路が外部からの影響を受けて冷え
るようなことが少なくなり、流路の詰まりをより効果的
に防止することができる。また溶融金属の粘性を小さく
抑制することができるので、小さな圧力差で溶融金属を
容器内外に導入出することが可能となる。
【0058】本発明の一の形態に係る容器は、前記容器
本体底部が前記開口に向けて前記開口が低い位置となる
ように傾斜していることを特徴とするものである。これ
により、容器内の溶融金属が少なくなったときに、上記
流路近傍の耐火材が容器内の溶融金属と接する実質的な
面積が流路とは離れた場所における当該面積に比べて大
きくなる。従って、上記の流路が冷えることを極力さけ
ることができ、流路の詰まりをより効果的に防止するこ
とができ、またより小さな圧力差で溶融金属を容器内外
に導入出することが可能となる。加えて、容器を傾斜さ
せて容器内に残存する溶融金属を流路から導出すること
を、傾斜角を少なくしてしかも流路の詰まりを極力小さ
くして効率的に行うことが可能となる。
【0059】本発明の一の形態に係る容器は、前記容器
本体の上部には、開閉可能なハッチが設けられているこ
とを特徴とするものである。
【0060】本発明では、このようなハッチを有するこ
とで例えば容器内に溶融金属を導入するに先立ちハッチ
を空けてガスバーナを挿入して容器を予熱すること可能
であり、このような予熱により耐火材を介して流路が温
められ、流路の詰まりをより効果的に防止することがで
き、またより小さな圧力差で溶融金属を容器内外に導入
出することが可能となる。本発明では、溶融金属を流路
を介して容器内に導入する際に、上記のように予め流路
を温めておくことが可能であるので、このような場合に
特に有効である。
【0061】本発明の一の形態に係る容器は、前記貫通
孔が前記ハッチに設けられていることを特徴とするもの
である。
【0062】上記のように容器内に溶融金属を供給する
に先立ちガスバーナにより容器を予熱している。この予
熱は、ハッチを開けてガスバーナを容器内に挿入するこ
とで行われる。従って、ハッチは容器内に溶融金属を供
給する度に開けられるものである。本発明では、このよ
うなハッチに内圧調整用の貫通孔を設けているので、容
器内に溶融金属を供給する度に内圧調整用の貫通孔に対
する金属の付着を確認することができる。そして、例え
ば貫通孔に金属が付着しているときにはその都度それを
剥がせばよい。従って、本発明では、内圧調整に用いる
ための配管や孔の詰りを未然に防止することができる。
【0063】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。
【0064】図1は本発明の一実施形態に係る金属供給
システムの全体構成を示す図である。
【0065】同図に示すように、第1の工場10と第2
の工場20とは例えば公道30を介して離れた所に設け
られている。
【0066】第1の工場10には、ユースポイントとし
てのダイキャストマシーン11が複数配置されている。
各ダイキャストマシーン11は、溶融したアルミニウム
を原材料として用い、射出成型により所望の形状の製品
を成型するものである。その製品としては例えば自動車
のエンジンに関連する部品等を挙げることができる。ま
た、溶融した金属としてはアルミニウム合金ばかりでな
くマグネシウム、チタン等の他の金属を主体とした合金
であっても勿論構わない。各ダイキャストマシーン11
の近くには、ショット前の溶融したアルミニウムを一旦
貯留する保持炉(手元保持炉)12が配置されている。
この保持炉12には、複数ショット分の溶融アルミニウ
ムが貯留されるようになっており、ワンショット毎にラ
ドル13或いは配管を介して保持炉12からダイキャス
トマシーン11に溶融アルミニウムが注入されるように
なっている。また、各保持炉12には、容器内に貯留さ
れた溶融アルミニウムの液面を検出する液面検出センサ
(図示せず)や溶融アルミニウムの温度を検出するため
の温度センサ(図示せず)が配置されている。これらの
センサによる検出結果は各ダイキャストマシーン11の
制御盤もしくは第1の工場10の中央制御部16に伝達
されるようになっている。
【0067】第1の工場10の受け入れ部には、後述す
る容器100を受け入れるための受け入れ台17が配置
されている。受け入れ部の受け入れ台17で受け入れら
れた容器100は、配送車18により所定のダイキャス
トマシーン11まで配送され、容器100から保持炉1
2に溶融アルミニウムが供給されるようになっている。
供給の終了した容器100は配送車18により再び受け
入れ部の受け入れ台17に戻されるようになっている。
【0068】第1の工場10には、アルミニウムを溶融
して容器100に供給するための第1の炉19が設けら
れており、この第1の炉19により溶融アルミニウムが
供給された容器100も配送車18により所定のダイキ
ャストマシーン11まで配送されるようになっている。
【0069】第1の工場10には、各ダイキャストマシ
ーン11において溶融アルミニウムの追加が必要になっ
た場合にそれを表示する表示部15が配置されている。
より具体的には、例えばダイキャストマシーン11毎に
固有の番号が振られ、表示部15にはその番号が表示さ
れており、溶融アルミニウムの追加が必要になったダイ
キャストマシーン11の番号に対応する表示部15にお
ける番号が点灯するようになっている。作業者はこの表
示部15の表示に基づき配送車18を使って容器100
をその番号に対応するダイキャストマシーン11まで運
び溶融アルミニウムを供給する。表示部15における表
示は、液面検出センサによる検出結果に基づき、中央制
御部16が制御することによって行われる。
【0070】第2の工場20には、アルミニウムを溶融
して容器100に供給するための第2の炉21が設けら
れている。容器100は例えば容量、配管長、高さ、幅
等の異なる複数種が用意されている。例えば第1の工場
10内のダイキャストマシーン11における保持炉12
の容量等に応じて、容量の異なる複数種がある。しかし
ながら、容器100を1種類に統一して規格化しても勿
論構わない。
【0071】この第2の炉21により溶融アルミニウム
が供給された容器100は、フォークリフト(図示せ
ず)により搬送用のトラック32に載せられる。トラッ
ク32は公道30を通り第1の工場10における受け入
れ部の受け入れ台17の近くまで容器100を運び、こ
れらの容器100はフォークリフト(図示せず)により
受け入れ台17に受け入れられるようになっている。ま
た、受け入れ部にある空の容器100はトラック32に
より第2の工場20へ返送されるようになっている。
【0072】第2の工場20には、第1の工場10にお
ける各ダイキャストマシーン11において溶融アルミニ
ウムの追加が必要になった場合にそれを表示する表示部
22が配置されている。表示部22の構成は第1の工場
10内に配置された表示部15とほぼ同様である。表示
部22における表示は、例えば通信回線33を介して第
1の工場10における中央制御部16が制御することに
よって行われる。なお、第2の工場20における表示部
22においては、溶融アルミニウムの供給を必要とする
ダイキャストマシーン11のうち第1の工場10におけ
る第1の炉19から溶融アルミニウムが供給されると決
定されたダイキャストマシーン11はそれ以外のダイキ
ャストマシーン11とは区別して表示されるようになっ
ている。例えば、そのように決定されたダイキャストマ
シーン11に対応する番号は点滅するようになってい
る。これにより、第1の炉19から溶融アルミニウムが
供給されると決定されたダイキャストマシーン11に対
して第2の工場20側から誤って溶融アルミニウムを供
給するようなことをなくすことができる。また、この表
示部22には、上記の他に中央制御部16から送信され
たデータも表示されるようになっている。
【0073】次に、このように構成された金属供給シス
テムの動作を説明する。
【0074】中央制御部16では、各保持炉12に設け
られた液面検出センサを介して各保持炉12における溶
融アルミニウムの量を監視している。ここで、ある保持
炉12で溶融アルミニウムの供給の必要性が生じた場合
に、中央制御部16は、その保持炉12の「固有の番
号」、その保持炉12に設けられた温度センサにより検
出された保持炉12の「温度データ」、その保持炉12
の形態(後述する。)に関する「形態データ」、その保
持炉12から溶融アルミニウムがなくなる最終的な「時
刻データ」、公道30の「トラフィックデータ」、その
保持炉12で要求される溶融アルミニウムの「量デー
タ」及び「気温データ」等を、通信回線33を介して第
2の工場20側に送信する。第2の工場20では、これ
らのデータを表示部22に表示する。これらの表示され
たデータに基づき作業者が経験的に上記保持炉12から
溶融アルミニウムがなくなる直前に保持炉12に容器1
00が届き、且つその時の溶融アルミニウムが所望の温
度となるように該第2の工場20からの容器100の発
送時刻及び溶融アルミニウムの発送時の温度を決定す
る。或いはこれらのデータを例えばパソコン(図示せ
ず)に取り込んで所定のソフトウェアを用いて上記保持
炉12から溶融アルミニウムがなくなる直前に保持炉1
2に容器100が届き、且つその時の溶融アルミニウム
が所望の温度となるように該第2の工場20からの容器
100の発送時刻及び溶融アルミニウムの発送時の温度
を推定してその時刻及び温度を表示するようにしてもよ
い。或いは推定された温度により第2の炉21を自動的
に温度制御しても良い。容器100に収容すべき溶融ア
ルミニウムの量についても上記「量データ」に基づき決
定してもよい。
【0075】発送時刻に容器100を載せたトラック3
2が出発し、公道30を通り第1の工場10に到着する
と、容器100がトラック32から受け入れ部の受け入
れ台17に受け入れられる。
【0076】その後、受け入れられた容器100は、受
け入れ台17と共に配送車18により所定のダイキャス
トマシーン11まで配送され、容器100から保持炉1
2に溶融アルミニウムが供給される。
【0077】図2に示すように、この例では、レシーバ
タンク101から高圧空気を密閉された容器100内に
送出することで容器100内に収容された溶融アルミニ
ウムが配管56から吐出されて保持炉12内に供給され
るようになっている。なお、図2において、103は加
圧バルブ、104はリークバルブである。
【0078】ここで、保持炉12の高さは各種のものが
あり、配送車18に設けられた昇降機構により配管56
の先端が保持炉12上の最適位置となるように調節可能
になっている。しかし、保持炉12の高さによっては昇
降機構だけでは対応できない場合がある。そこで、本シ
ステムにおいては、保持炉12の形態に関する「形態デ
ータ」として、保持炉12の高さや保持炉12までの距
離に関するデータ等を予め第2の工場20側に送り、第
2の工場20側ではこのデータに基づき最適な形態、例
えば最適な高さの容器100を選択して配送している。
なお、供給すべき量に応じて最適な大きさの容器100
を選択して配送してもよい。
【0079】次に、このように構成されたシステムに好
適な容器(加圧式溶融金属供給容器)100について、
図3及び図4に基づき説明する。図3は容器100の断
面図、図4はその平面図である。
【0080】容器100は、有底で筒状の本体50の上
部開口部51に大蓋52が配置されている。本体50及
び大蓋51の外周にはそれぞれフランジ53、54が設
けられており、これらフランジ間をボルト55で締める
ことで本体50と大蓋51が固定されている。なお、本
体50や大蓋51は例えば外側が金属であり、内側が耐
火材により構成され、外側の金属と耐火材との間には断
熱材が介挿されている。
【0081】本体50の外周の1箇所には、本体50内
部から配管56に連通する流路57が設けられた配管取
付部58が設けられている。
【0082】ここで、図5は図3に示した配管取付部5
8におけるA−A断面図である。
【0083】図5に示すように、容器100の外側は金
属のフレーム100a、内側は耐火材100bにより構
成され、フレーム100aと耐火材100bとの間には
耐火材よりも熱伝導率の小さな断熱材100cが介挿さ
れている。そして、流路57は容器100の内側に設け
られた耐火材100bの中に形成されている。すなわち
流路57は、熱伝導率の大きな耐火部材によって容器内
部と分離されている。このような構成を採用することに
より、容器内からの放熱が流路に伝わりやすくなる。流
路の外側(容器内とは反対側)には、耐火部材の外側に
断熱材を配している。耐火材は断熱材よりも密度、熱伝
導率が高いものを用いる。耐火材としては例えば緻密質
の耐火系セラミック材料をあげることができる。また断
熱材としては、断熱キャスター、ボード材料など断熱系
のセラミック材料をあげることができる。
【0084】配管取付部58における流路57は、本体
50内周の該容器本体底部50aに近い位置に設けられ
た開口57aを介し、該本体50外周の上部57bに向
けて延在している。この配管取付部58の流路57に連
通するように配管56が固定されている。配管56は、
Γ状の形状を有しており、これにより配管56の一端口
59は下方を向いている。より具体的には、配管56の
一端口59は垂線に対して例えば10°程度傾いてい
る。このように傾斜を持たせることによって例えば一端
口59から導出される溶融金属がサーバ側に流れ落ちた
際に湯面から湯滴が飛び散ることが少なくなる。
【0085】流路57及びこれに続く配管56の内径は
ほぼ等しく、65mm〜85mm程度が好ましい。従来
からこの種の配管の内径は50mm程度であった。これ
はそれ以上であると容器内を加圧して配管から溶融金属
を導出する際に大きな圧力が必要であると考えられてい
たからである。これに対して本発明者等は、流路57及
びこれに続く配管56の内径としてはこの50mmを大
きく超える65mm〜85mm程度が好ましく、より好
ましくは70mm〜80mm程度、更には好ましくは7
0mmであることを見出した。すなわち、溶融金属が流
路や配管を上方に向けて流れる際に、流路や配管に存在
する溶融金属自体の重量及び流路や配管の内壁の粘性抵
抗の2つパラメータが溶融金属の流れを阻害する抵抗に
大きな影響を及ぼしているものと考えられる。ここで、
内径が65mmより小さいときには流路を流れる溶融金
属はどの位置においても溶融金属自体の重量と内壁の粘
性抵抗の両方の影響を受けているが、内径が65mm以
上となると流れのほぼ中心付近から内壁の粘性抵抗の影
響を殆ど受けない領域が生じ始め、その領域が次第に大
きくなる。この領域の影響は非常に大きく、溶融金属の
流れを阻害する抵抗が下がり始める。溶融金属を容器内
から導出する際に容器内を非常に小さな圧力で加圧すれ
ばよくなる。つまり、従来はこのような領域の影響は全
く考慮に入れず、溶融金属自体の重量だけが溶融金属の
流れを阻害する抵抗の変動要因として考えられており、
作業性や保守性等の理由から内径を50mm程度として
いた。一方、内径が85mmを超えると、溶融金属自体
の重量が溶融金属の流れを阻害する抵抗として非常に支
配的となり、溶融金属の流れを阻害する抵抗が大きくな
ってしまう。本発明者等の試作による結果によれば、7
0mm〜80mm程度の内径が容器内の圧力を非常に小
さな圧力で加圧すればよく、特に70mmが標準化及び
作業性の観点から最も好ましい。すなわち、配管径は5
0mm、60mm70mm、、、と10mm単位で標準
化されており、配管径がより小さい方が取り扱いが容易
で作業性が良好だからである。
【0086】上記の大蓋52のほぼ中央には開口部60
が設けられ、開口部60には取っ手61が取り付けられ
たハッチ62が配置されている。ハッチ62は大蓋52
上面よりも少し高い位置に設けられている。ハッチ62
の外周の1ヶ所にはヒンジ63を介して大蓋52に取り
付けられている。これにより、ハッチ62は大蓋52の
開口部60に対して開閉可能とされている。また、この
ヒンジ63が取り付けられた位置と対向するように、ハ
ッチ62の外周の2ヶ所には、ハッチ62を大蓋52に
固定するためのハンドル付のボルト64が取り付けられ
ている。大蓋52の開口部60をハッチ62で閉めてハ
ンドル付のボルト64を回動することでハッチ62が大
蓋52に固定されることになる。また、ハンドル付のボ
ルト64を逆回転させて締結を開放してハッチ62を大
蓋52の開口部60から開くことができる。そして、ハ
ッチ62を開いた状態で開口部60を介して容器100
内部のメンテナンスや予熱時のガスバーナの挿入が行わ
れるようになっている。
【0087】また、ハッチ62の中央、或いは中央から
少しずれた位置には、容器100内の減圧及び加圧を行
うための内圧調整用の貫通孔65が設けられている。こ
の貫通孔65には加減圧用の配管66が接続されてい
る。この配管66は、貫通孔65から上方に伸びて所定
の高さで曲がりそこから水平方向に延在している。この
配管66の貫通孔65への挿入部分の表面には螺子山が
きられており、一方貫通孔65にも螺子山がきられてお
り、これにより配管66が貫通孔65に対して螺子止め
により固定されるようになっている。
【0088】この配管66の一方には、加圧用又は減圧
用の配管67が接続可能になっており、加圧用の配管に
は加圧気体に蓄積されたタンクや加圧用のポンプが接続
されており、減圧用の配管には減圧用のポンプが接続さ
れている。そして、減圧により圧力差を利用して配管5
6及び流路57を介して容器100内に溶融アルミニウ
ムを導入することが可能であり、加圧により圧力差を利
用して流路57及び配管56を介して容器100外への
溶融アルミニウムの導出が可能である。なお、加圧気体
として不活性気体、例えば窒素ガスを用いることで加圧
時の溶融アルミニウムの酸化をより効果的に防止するこ
とができる。
【0089】本実施形態では、大蓋52のほぼ中央部に
配置されたハッチ62に加減圧用の貫通孔65が設けら
れている一方で、上記の配管66が水平方向に延在して
いるので、加圧用又は減圧用の配管67を上記の配管6
6に接続する作業を安全にかつ簡単に行うことができ
る。また、このように配管66が延在することによって
配管66を貫通孔65に対して小さな力で回転させるこ
とができるので、貫通孔65に対して螺子止めされた配
管66の固定や取り外しを非常に小さな力で、例えば工
具を用いることなく行うことができる。
【0090】ハッチ62の中央から少しずれた位置で前
記の加減圧用の貫通孔65とは対向する位置には、圧力
開放用の貫通孔68が設けられ、圧力開放用の貫通孔6
8には、リリーフバルブ(図示を省略)が取り付けられ
るようになっている。これにより、例えば容器100内
が所定の圧力以上となったときには安全性の観点から容
器100内が大気圧に開放されるようになっている。
【0091】大蓋52には、液面センサとしての2本の
電極69がそれぞれ挿入される液面センサ用の2つの貫
通孔70が所定の間隔をもって配置されている。これら
の貫通孔70には、それぞれ電極69が挿入されてい
る。これら電極69は容器100内で対向するように配
置されており、それぞれの先端は例えば容器100内の
溶融金属の最大液面とほぼ同じ位置まで延びている。そ
して、電極69間の導通状態をモニタすることで容器1
00内の溶融金属の最大液面を検出することが可能であ
り、これにより容器100への溶融金属の過剰供給をよ
り確実に防止できるようになっている。
【0092】本体50の底部裏面には、例えばフォーク
リフトのフォーク(図示を省略)が挿入される断面口形
状で所定の長さの脚部71が例えば平行するように2本
配置されている。また、本体50内側の底部は、流路5
7側が低くなるように全体が傾斜している。これによ
り、加圧により流路57及び配管56を介して外部に溶
融アルミニウムを導出する際に、いわゆる湯の残りが少
なくなる。また、例えばメンテナンス時に容器100を
傾けて流路57及び配管56を介して外部に溶融アルミ
ニウムを導出する際に、容器100を傾ける角度をより
小さくでき、安全性や作業性が優れたものとなる。
【0093】このように本実施形態に係る容器100で
は、ハッチ62に内圧調整用の貫通孔65を設け、その
貫通孔65に内圧調整用の配管66を接続しているの
で、容器100内に溶融金属を供給する度に内圧調整用
の貫通孔65に対する金属の付着を確認することができ
る。従って、内圧調整に用いるための配管66や貫通孔
65の詰りを未然に防止することができる。
【0094】また、本実施形態に係る容器100では、
ハッチ62に内圧調整用の貫通孔65が設けられ、しか
もそのハッチ62が溶融アルミニウムの液面の変化や液
滴が飛び散る度合いが比較的に小さい位置に対応する容
器100の上面部のほぼ中央に設けられているので、溶
融アルミニウムが内圧調整に用いるための配管66や貫
通孔65に付着することが少なくなる。従って、内圧調
整に用いるための配管66や貫通孔65の詰りを防止す
ることができる。
【0095】更に、本実施形態に係る容器100では、
ハッチ62が大蓋52の上面部に設けられているので、
ハッチ62の裏面と液面との距離が大蓋52の裏面と液
面との距離に比べて大蓋52の厚み分だけ長くなる。従
って、貫通孔65が設けられたハッチ62の裏面にアル
ミニウムが付着する可能性が低くなり、内圧調整に用い
るための配管66や貫通孔65の詰りを防止することが
できる。
【0096】次に、第2の工場20における第2の炉2
1から容器100への供給システムを図6に基づき説明
する。
【0097】図6に示すように、第2の炉21内には溶
融アルミニウムが貯留されている。この第2の炉21に
は供給部21aが設けられ、この供給部21aには吸引
管201が挿入されている。この吸引管201は、供給
部21aの溶融されたアルミニウムの液面から一端口
(吸引管201の他方の先端部201b)が出没するよ
うに配置されている。すなわち、吸引管201の一方の
先端部201aは第2の炉21の底部付近まで延在し、
吸引管201の他方の先端部201bは供給部21aか
ら外側に導出されている。吸引管201は、保持機構2
02により基本的には傾斜して保持されている。その傾
斜角は例えば垂線に対して10°程度傾いており、上記
容器100における配管56の先端部の傾斜と合致する
ようになっている。この吸引管201の先端部201b
は容器100における配管56の先端部に接続されるも
のであり、このように傾斜を合致されることによって吸
引管201の先端部201bと容器100における配管
56の先端部との接続が容易となる。
【0098】そして、配管66に減圧用のポンプ313
に接続された配管67を接続する。次に、ポンプ313
を作動させて容器100内を減圧する。これにより、第
2の炉21内に貯留されている溶融アルミニウムが吸引
管201及び配管56を介して容器100内に導入され
る。
【0099】本実施形態では、特に、このように第2の
炉21内に貯留されている溶融アルミニウムを吸引管2
01及び配管56を介して容器100内に導入するよう
にしているので、溶融アルミニウムが外部の空気と接触
することはない。従って、酸化物が生じることがなく、
本システムを用いて供給される溶融アルミニウムは非常
に品質が良いものとなる。また、容器100内から酸化
物を除去するための作業は不要となり、作業性も向上す
る。
【0100】本実施形態では、特に、容器100に対す
る溶融アルミニウムの導入と容器100からの溶融アル
ミニウムの導出を実質的に2本の配管56、312だけ
を使って行うことができるので、システム構成を非常に
シンプルなものとすることができる。また、溶融アルミ
ニウムが外気に接触する機会が激減するので、酸化物の
生成をほぼなくすことができる。
【0101】図7は以上のシステムを自動車工場に適用
した場合の製造フローを示したものである。
【0102】まず、図6に示したように、第2の炉21
内に貯留されている溶融アルミニウムを吸引管201及
び配管56を介して容器100内に導入(受湯)する
(ステップ501)。
【0103】次に、図1に示したように、容器100を
公道30を介してトラック32により第2の工場20か
ら第1の工場10に搬送する(ステップ502)。
【0104】次に、第1の工場(ユースポイント)10
では、容器100が配送車18により自動車エンジン製
造用のダイキャストマシーン11まで配送され、容器1
00から保持炉12に溶融アルミニウムが供給される
(ステップ503)。
【0105】次に、このダイキャストマシーン11にお
いて、保持炉12に貯留された溶融アルミニウムを用い
た自動車エンジンの成型が行われる(ステップ50
4)。
【0106】そして、このように成型された自動車エン
ジン及び他の部品を使って自動車の組み立てが行われ、
自動車が完成する(ステップ505)。
【0107】本実施形態では、上述したように自動車の
エンジンが酸化物を殆ど含まないアルミニウム製である
ので、性能及び耐久性のよいエンジンを有する自動車を
製造することが可能である。
【0108】次に、本発明の別の実施形態について説明
する。
【0109】図8は本発明の供給装置及び成形装置の構
成の例を概略的に示す図である。ここでは本発明をマグ
ネシウム合金のダイキャスト成形に適用した例を説明す
る。
【0110】保持炉420は溶融状態の金属(溶湯)を
保持するための炉である。保持炉420のチャンバー4
20aの材質は、この例では18−8ステンレススチー
ルを用いており、さらに内側はFCの板でアルマー処理
をしている。この保持炉420の中には溶融したマグネ
シウム合金401が収容されている。この保持炉はヒー
タ425により溶解温度が保たれている。また保持炉4
20には内部を排気する排気系421と、非酸化性ガス
を供給する非酸化性ガス導入系422が接続されてい
る。422bはガスのリザバーである。この例では排気
系421は少なくとも1台の真空ポンプ421bを備え
ている。また非酸化性ガス導入系422は保持炉420
内を加圧する機能も担っている。さらに保持炉420に
は内部の圧力を測定する圧力センサ(G)423、及び
溶湯の温度を測定する温度センサ424を備えている。
圧力センサ423としてはブルドンゲージ、ピラニーゲ
ージ、BAゲージなど使用する圧力範囲に応じて選択し
て用いる。温度センサ424は、熱電対、輻射温度計な
どを用いることができる。
【0111】パージ室430では溶融金属の受け渡しが
行われる。このパージ室430は内部を気密に保持でき
るようになっている。保持炉420と同様に、パージ室
430には内部を排気する排気系431と、非酸化性ガ
スを供給する非酸化性ガス導入系432が接続されてい
る。この例では排気系431は少なくとも1台の真空ポ
ンプ431bを備えている。また非酸化性ガス導入系4
32はパージ室430内を加圧する機能も担っている。
432bはガスのリザバーである。さらにパージ室43
0にも内部の圧力を測定する圧力センサ(G)433が
設けられている。
【0112】保持炉420とパージ室430との間は配
管440、バイパス管442により接続されている。4
43はバイパスバルブである。配管440には抵抗体な
どのヒータ441が巻き付けてある。このヒータ441
により配管内部の温度はマグネシウム合金が溶融するよ
うな温度に保たれている。いまパージ室430の圧力を
保持炉420の圧力よりも低くすると、溶融したマグネ
シウム合金401は配管440内を通って保持炉420
からパージ室430へと押し出される。またパージ室4
30の圧力を保持炉420の圧力よりも高くすると、配
管内に残っていたマグネシウム合金401はパージ室4
30側から保持炉420へと吸引される。いずれの場合
でも系内の酸素濃度は金属の酸化が抑制するように調節
される。このため金属は燃焼したり爆発することなく安
全にパージ室430内のユースポイントへと供給され
る。また金属の酸化が抑制されるので酸化物の生成も抑
制され、あるいはまったく酸化しない。このため表面も
清浄で酸化物もない高品質の金属を供給することができ
る。さらに本発明では系内の酸素濃度は、金属の酸化が
抑制されるように制御されているため有害なベリリウム
などの防燃剤を添加する必要もない。したがって作業環
境も向上する。また製品、端材(バリなど)、廃棄物
(製品の廃棄物や不良品)にも有害物質が含まれること
はない。このため有害物質が環境中へ拡散するのを防ぐ
ことができる。
【0113】さてパージ室430はダイキャスト装置4
50の溶融金属の供給地点(ユースポイント)ともなっ
ている。この例では、ダイキャスト装置450のローデ
ィングチャンバ451がパージ室430内に突き出すよ
うに設けられている。ローディングチャンバ451とパ
ージ室430とは溶接などにより気密に封止されてい
る。ローディングチャンバ451は開口部を有し、この
開口部から溶融した金属(この場合マグネシウム合金
1)が供給される。供給された金属は射出シリンダー4
52により金型側へ供給される。なおローディングチャ
ンバ451はヒータ453により保温されている。金型
454aはキャビティー型、金型454bはコア型であ
り、この間の空間で供給された金属は所定形状に成形さ
れる。金型454a、454bは型締め機構455a
(固定側)、455b(移動側)により挟まれている。
移動側の型締め機構455bは油圧シリンダー457に
より加圧することができる。
【0114】本発明の成形装置によれば、供給される金
属はユースポイントで酸化することはない。したがって
製品中に酸化物が混入したりせず、高品質の製品を得る
ことができる。さらに精度も向上し、とくに薄型の成形
品ではその効果は顕著である。また製品が黒ずんだりす
ることもなく外観も向上する。
【0115】一般にマグネシウム合金のダイキャスト成
形では20〜40%もの酸化物が生じ、生産性が極めて
低い。本発明によれば酸化物の生成を極めて低レベルに
抑制することができる。したがって本発明によれば生産
性を高め製品コストを低くすることができる。
【0116】さらに製造工程で排出される廃棄物や、製
品の使用後に生じる廃棄物には有害なベリリウムなどが
含まれている。マグネシウム合金は危険物に指定されて
もいる。本発明によれば廃棄物の量を低減することがで
き、有害物質も不用になるから、廃棄物の処理コストも
低減することができる。さらに本発明の容器を使用すれ
ば、危険物としてのマグネシウム合金も安全に搬送する
ことができる。
【0117】図9は本発明の供給装置の別の例を概略的
に示す図である。ここでは図10に例示した保持炉42
0の前段に溶解炉410を設けた構成について説明す
る。
【0118】図10は本発明の溶解炉の例を概略的に示
す図である。溶融炉10は固体状態の金属を溶融するた
めの炉である。溶融炉410の構成は保持炉420とよ
く似ている。溶融炉410のチャンバー410aの材質
は、この例では18−8ステンレススチールを用いてお
り、さらに内側はFCの板でアルマー処理をしている。
この溶融炉410の中には溶融したマグネシウム合金4
01が投入されヒータ415により加熱される。416
は隔壁である。また溶融炉410には内部を排気する排
気系411と、非酸化性ガスを供給する非酸化性ガス導
入系412が接続されている。412bはガスのリザバ
ーである。この例では排気系411は少なくとも1台の
真空ポンプ411bを備えている。また非酸化性ガス導
入系412は溶融炉410内を加圧する機能も担ってい
る。さらに溶融炉410には内部の圧力を測定する圧力
センサ(G)413、及び溶湯の温度を測定する温度セ
ンサ414を備えている。
【0119】溶解炉410に固体金属401bを投入す
るには、まず気密扉463を開けて、外部からパージ室
461へ固体金属401bを導入する。気密扉463を
閉じ、排気系466でパージ室461内を排気する。バ
イパス467を開いてパージ室461と投入室462と
の圧力をバランスさせた状態で、気密扉464および断
熱扉465を開く。固体金属はプッシャーやドローワー
などで移動する。投入室462の底部は回転機構を有し
ており、この回転により固体金属は溶解炉410へと投
入される。
【0120】図11は本発明の容器の構成の例を概略的
に示す図である。この容器(容器)470は、気密な気
密領域を構成するフレーム471と、フレーム471の
内側に配設された断熱材472と、フレーム471およ
び断熱材472を貫通して配設された配管473、47
4とを備えている。また、気密領域内の温度を測定する
温度センサ475も備えている。
【0121】フレーム471は内部に気密領域である閉
空間を形成する。またフレーム471は、容器470全
体の強度の保持の役割と、外部から断熱材472を保護
する役割を果たす。フレーム471は各種金属材料によ
り構成することができるが、材質は容器の用途に応じて
適宜選択すればよい。この選択は容器に収容する内容物
の物理的性質、化学的性質を考慮してなされることが好
ましい。例えば、たとえ断熱材が破けたとしてもフレー
ムが内容物の熱や、内容物との化学反応により溶けたり
割れたりしないように選択する。断熱材についても同様
であって、例えば各種耐熱煉瓦が容器の用途に応じて選
択される。
【0122】配管473、474は容器470の外部と
内部の空間とのアクセスを提供するものである。この配
管は1本でも複数でもよい。例えばこの配管473に図
示しない排気系を接続して内部を減圧することにより、
内部の気密領域の酸素濃度、酸素活量を制御することが
できる。また例えばこの配管473に非酸化性ガス導入
系を接続することにより、内部に非酸化性ガスを供給す
ることができる。
【0123】このような減圧、加圧により、配管474
を通じて、流体(溶融金属や粉体)を容器から出した
り、入れたりすることができる。配管473から非酸化
性ガスを導入して気密領域を加圧すれば、配管474を
通じて溶融金属を外部へ押し出すことができる。また配
管473を排気系に接続して気密領域を減圧すれば、配
管474を通じて溶融金属を外部から吸引することがで
きる。配管474は必要に応じてヒータなどで加熱す
る。温度は管内を流通する内容物の融点より高くなるよ
うに設定することが好ましい。このとき排気系や非酸化
性ガス供給系により、溶融金属や粉体の移動だけでな
く、系内の酸素濃度も制御することができる。このよう
に本願発明においては、減圧状態を含めた圧力差の生成
が、溶融金属や粉体の質量移動と酸化防止のための両方
に寄与している点が大きな特徴の一つとなっている。さ
らに配管474内の雰囲気が酸化的になると配管内に酸
化物が付着し配管が詰まる。本発明では配管474内の
酸素濃度が制御されるだけでなく配管内に内容物を残さ
ないようにすることもできるので、このような詰まりの
問題も解決することができる。
【0124】図12は配管の接続に用いることができる
ジョイントの例を示す図である。本発明の容器は、前述
の実施形態における保持炉420と実質的に等価な役割
を果たすことができる。つまり保持炉420に代えて、
1つまたは複数の容器470を用いることができる。こ
のとき配管474は金属が供給される側(例えばパージ
室430)との配管440と接続すればよい。
【0125】配管474と配管440とは、例えばジョ
イント475により接続することができる。ジョイント
475はガスケット476を備え、配管474および配
管440と気密に接続される。ガスケット476が樹脂
の場合には水冷ヘッド477などによりガスケットの近
傍を冷却することが好ましい。銅や金などのガスケット
を用いる場合には水冷ヘッド477は省略可能である。
さらにこのジョイント475は配管473と排気系、ガ
ス導入系との接続にも用いることができる。
【0126】図13は本発明の容器の構成の別の例を概
略的に示す図である。この容器480ではフレーム47
1は開口部を有し、この開口部はふた471bにより気
密に封止される。またこの容器480は配管473によ
り排気系476と接続されている。
【0127】そして温度センサ475により溶融金属4
01の温度を測定し、測定した温度や温度の変化率に応
じて排気系476を制御するコントローラ477を備え
ている。例えば、バルブ476bの開閉がコントローラ
477により制御される。このような構成を採用するこ
とにより、本発明の容器では圧力によって系内の熱伝導
度を制御することができる。
【0128】耐熱煉瓦等の耐熱材は、その経時変化によ
って耐熱性能が低下する。例えば複数の容器を使用して
溶融金属を輸送するばあい、容器の固体差によって溶融
金属の温度が異なることがある。時には、ユーザの要求
を満たさない程度まで溶融金属の温度が低下することも
ある。本発明の容器では、例えば溶融金属の搬送中に温
度低下が認められる容器について、フレーム内を排気系
により減圧し、内部の熱伝導率を小さく抑制することが
できる。これにより断熱材の断熱性能の低下によらず、
溶融金属の温度を保持することができる。複数の容器の
内容物の温度差を小さくすることもできる。また溶融金
属の酸化も防止することができる。圧力制御は温度その
ものではなく、温度変化の割合(例えば微分値)によっ
て行うこともでき、この構成のほうがより的確な溶融金
属の温度制御を行うことができる。
【0129】図14は本発明の容器の構成の別の例を概
略的に示す図である。この容器490は、内面に断熱材
472を配したフレーム471及び蓋471bと、断熱
材472の内側に配設されたヒータ491と、溶融金属
401の温度を測定する温度センサ475と、測定した
温度または温度の変化率に応じてヒータ475を制御す
るコントローラ492とを備えている。例えば温度セン
サ475により測定した温度の変化率に応じて、ヒータ
491に電力を供給する電源493を制御することによ
り、金属401の温度は適切に管理されるのである。こ
の実施形態では、温度管理の観点からは容器の気密性問
われない。もちろん内部の圧力や酸素濃度は調節するほ
うが好ましい。とくに不安定な金属を収容する場合はそ
うするべきである。
【0130】なおこの例では容器490はトラックや船
舶の荷台494に搭載した様子を示している。そして荷
台494には電極495が露出しており、容器を所定の
場所に置くことにより容器側の電極496との電気的接
続が確保される。497は碍子などの絶縁部材である。
この場合、電源493はトラックに搭載することができ
る。またトラックのバッテリーと共用してもよい。この
ような構成を採用することにより高品質な金属の配送供
給を行うことができる。
【0131】図15は本発明の供給装置、容器を用いた
金属の配送モデルの例を説明するための図である。
【0132】例えば溶融金属を使用する場合、おおよそ
3つの態様が考えられる。1番目はユースポイントの近
傍、成形装置のある工場などに、溶解炉や保持炉を設置
する場合である。2番目は成形装置ごとに小型の溶解炉
を備える場合である。3番目は所定の場所で金属を溶解
し、ユースポイントまで溶解した金属を配送する場合で
ある。本発明はいずれの場合においても適用可能であ
り、品質の向上、安全性の向上、生産性の向上、エネル
ギーコストの低減をもたらす。前述の2番目の例はエネ
ルギー的には1番不利であると考えられる。この場合た
とえば図11に示すように、ユースポイントの近傍に本
発明の保持炉420または本発明の容器470、48
0、490を配置すればよい。金属は良好な状態を保
ち、かつ安全に配送される。このような構成によりエネ
ルギーコストは大幅に削減される。さらにユースポイン
トに個別に配置していた溶解炉のコスト、設置スペース
のコストもなくなるのである。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ストーク等の部品交換を行う必要のない容器を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る金属供給システムの
構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る容器と保持炉との関
係を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る容器の断面図であ
る。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図3における一部断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る第2の工場における
第2の炉から容器への供給システムの構成を示す図であ
る。
【図7】本発明のシステムを使った自動車の製造方法を
示すフロー図である。
【図8】本発明の供給装置の例を概略的に示す図。
【図9】本発明の供給装置の別の例を概略的に示す図。
【図10】本発明の溶解炉の例を概略的に示す図。
【図11】本発明の容器の構成の例を概略的に示す図。
【図12】配管の接続に用いることができるジョイント
の例を示す図。
【図13】本発明の容器の構成の別の例を概略的に示す
図。
【図14】本発明の容器の構成の別の例を概略的に示す
図。
【図15】本発明の供給装置、容器を用いた金属の配送
モデルの例を説明するための図。
【符号の説明】
50 本体 50a 本体の底部 57 流路 57a 流路の開口 57b 本体外周の上部 100 容器 101 レシーバタンク 313 減圧用のポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 等 愛知県豊田市堤町寺池66番地 株式会社 豊栄商会内 (72)発明者 鈴木 和則 愛知県豊田市堤町寺池66番地 株式会社 豊栄商会内 (72)発明者 伊与田 浩二 愛知県豊田市堤町寺池66番地 株式会社 豊栄商会内 (72)発明者 野口 賢次 愛知県豊田市堤町寺池66番地 株式会社 豊栄商会内 (56)参考文献 特開 平8−20826(JP,A) 特開 昭51−123725(JP,A) 特開2000−33469(JP,A) 特開 平11−28560(JP,A) 特開 平11−90612(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融アルミニウムを収容することがで
    き、内外の圧力差を調節することにより、外部へ溶融ア
    ルミニウムを供給することが可能で、運搬車輌により搭
    載されてユースポイントまで搬送される容器であって、 フレームと、 前記フレームの内側に設けられ、かつ、前記容器内の底
    部付近に開口を有し、当該容器の上方の配管取付部に向
    かう流路を内在するライニングと、 前記配管取付部に取付けられ、前記流路に連通する 第1
    の配管とを具備し、少なくとも前記流路の内径は、約65mm〜約85mm
    である ことを特徴とする容器。
  2. 【請求項2】 請求項に記載の容器であって、前記流路の内径 は、約70mmであることを特徴とする
    容器。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の容器であ
    って、 前記容器本体内を加圧するための第2の配管を具備する
    ことを特徴とする容器。
  4. 【請求項4】 フレームと、前記フレームの内側に設け
    られ、かつ、当該容器内の底部付近に開口を有し、当該
    容器の上方の配管取付部に向かう流路を内在するライニ
    ングと、前記配管取付部に取付けられ、前記流路に連通
    する第1の配管とを有し、溶融アルミニウムを収容する
    ことができる容器を用いて溶融アルミニウムを供給する
    方法において、 (a)前記容器内に溶融アルミニウムを導入する工程
    と、 (b)前記溶融アルミニウムを収容した容器を運搬車輌
    を用いてユースポイントまで搬送する工程と、 (c)前記ユースポイントで、前記容器内を加圧して前
    記流路及び前記第1の配管を介して溶融アルミニウムを
    導出する工程と を具備し、少なくとも前記流路の内径は、約65mm〜約85mm
    である ことを特徴とする溶融アルミニウム供給方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の溶融アルミニウム供給
    方法であって、 前記流路の内径は、約70mmであることを特徴とする
    溶融アルミニウム供給方法。
  6. 【請求項6】 (a)溶融アルミニウムを収容すること
    ができ、内外の圧力差を調節することにより、外部へ溶
    融アルミニウムを供給することが可能で、運搬車輌によ
    り搭載されてユースポイントまで搬送される容器であっ
    て、フレームと、前記フレームの内側に設けられ、か
    つ、前記容器内の底部付近に開口を有し、当該容器の上
    方の配管取付部に向かう流路を内在するライニングと、
    前記配管取付部に取付けられ、前記流路に連通する第1
    の配管とを具備する容器と、 (b)前記容器内を加圧する手段と を有し、少なくとも前記流路の有効内径は、約65mm〜約85
    mmである ことを特徴とする溶融アルミニウム供給シス
    テム。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の溶融アルミニウム供給
    システムであって、 前記流路の内径は、約70mmであることを特徴とする
    溶融アルミニウム供給システム。
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