JP4279392B2 - 溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法及びそれに用いる熱間補修用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法及びそれに用いる熱間補修用容器に関し、特に焼付け材が上ノズルを閉塞せずに羽口周りの全ての損耗部に均質に流出することにより、安全かつ容易に羽口周りを補修することができる熱間補修方法及びそれに用いる熱間補修用容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に取鍋やタンディッシュ等の溶融金属鋳造用容器の敷部には、鋳造を行う際に溶融金属を出湯するための孔(以下「羽口」という)が設けられており、羽口には上ノズルが組み込まれている。鋳造時には上ノズルの下方に流量調節装置を設置し、流量を調節しながら出湯する。
【0003】
溶融金属鋳造用容器の羽口部分として図5に示すタンディッシュを例にとり、その構造を詳細に説明する。通常タンディッシュ106 の敷部101 は、耐火レンガ又は流し込み耐火物等で内張りされている。羽口102 には着脱自在な上ノズル104 が組み込まれており、溶融金属を出湯するため流量調節装置としてスライディングノズル105 が上ノズル104 の下方に設置されている。上ノズル104 及び羽口102 の周辺部(以下「羽口周り」という)は、敷部101 の中でも出湯時の溶融金属の流体摩耗による損耗が特に著しい箇所であり、その結果出湯回数が増えるにつれて、敷部101 全体との寿命のバランスが崩れ、補修を行なわなければならない。
【0004】
上ノズル104 は着脱自在であり、交換によって敷部全体との寿命のバランスを保つことは容易であるが、羽口周りの損耗部は構造上そのようなことが困難である。そこで通常は、羽口102 を囲繞する一画を予め他の部分とは別にブロック(以下「羽口ブロック」という)103 として作製しておき、羽口ブロック103 を敷部101 に埋め込んで使用する。そして羽口周りの損耗が著しくなると、出湯してタンディッシュ106 が冷却した後に、羽口ブロック103 を新品と交換することにより羽口周りと敷部101 全体の寿命のバランスを保っている。
【0005】
また最近では、特公平7-41404 号に開示されているように、羽口ブロックを使用せず、取鍋やタンディッシュの敷部を全て流し込み耐火物で施工することも行われている。特公平7-41404 号によれば、従来に比べて羽口ブロックの作製及び設置に係る手間の簡略化、及び羽口ブロックの目地溶損が防止されるとされている。しかし流体摩耗による羽口周りの損耗自体は防止できないため、損耗が著しくなると損耗部を研削した後、流し込み補修によって寿命のバランスを保たなければならない。
【0006】
一方タンディッシュの操業方法としては、従来から溶融金属を出湯ごとに一旦タンディッシュを冷却し、排滓作業、コーティング材の吹付け作業及び必要に応じて上ノズル及び羽口周りの補修等の整備作業を行い、その後再びタンディッシュを予熱して鋳造している。しかし近年省力化及び省エネルギー化を考慮して、出湯後のタンディッシュを冷却せずに、熱間状態を保ったまま連続的に鋳造を行う操業方法(以下「熱間回転操業」という)が取り入れられるようになってきた。
【0007】
熱間回転操業では、整備作業の手間及びタンディッシュの予熱に伴うエネルギーロス等を大幅に低減することができる。しかし操業中はタンディッシュ炉内が常に高温であるため、羽口ブロックの交換及び流し込み施工等によるタンディッシュの羽口周りの補修作業を行うことができず、損耗が著しくなるとやむを得ず一旦タンディッシュを冷却せざるを得なかった。そこで熱間回転操業を継続して行うため、タンディッシュを冷却することなく羽口周りの損耗部の補修を熱間で行う必要性が高まってきた。
【0008】
タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法に関する技術としては、例えば特開平4-371363号に開示されているように、耐火物補修用装置を用いて熱間で耐火物を吹付けることによりタンディッシュの羽口周りの寿命を延ばす方法がある。この方法では、短時間で均質に補修することは可能であるが、熱間で耐火物を吹付けるには多量の水を使用するために、結果的に補修箇所は多孔質な施工体となるばかりでなく、タンディッシュ炉内の温度が著しく低下する。炉内温度の低下が著しいと、再び受鋼するには予熱によってタンディッシュの炉内温度を上げなければならず、エネルギーロスが大きくなり、熱間回転操業の目的からは好ましくない。さらに前記補修方法を行うためには、新たに耐火物補修用装置を設ける必要があり、設備が大規模になるといった問題もある。
【0009】
また別の熱間補修方法として、従来から各種窯炉損耗部の熱間補修に使用されている焼付け材を袋詰めとし、それを作業者の手によって羽口周りの損耗部に直接投げ込むといった投げ込み補修方法がある。すなわち熱間のタンディッシュ炉内に焼付け材を袋詰めにしたものを投げ込むことで、袋が炉内の熱で焼失するとともに、熱可塑性及び熱硬化性を併せもつ焼付け材が羽口周りの損耗部に充填・ 硬化するといった補修方法である。この補修方法では、前者と比べて焼付け材が充填した箇所は緻密な施工体となるものの、その施工は熱放散の多いタンディッシュ上方から作業者の手によって直接投げ込む方法であるため、損耗部を均質に補修し難いとともに、作業環境及び安全面等においても問題がある。
【0010】
従って本発明の目的は、タンディッシュの羽口周りの損耗部を、熱間で安全かつ容易に補修できるとともに、得られる施工体が緻密かつ均質であり、補修作業中のタンディッシュ炉内の温度低下が少ないといった、従来法では不可能であったタンディッシュの羽口周りの熱間補修方法、特に焼付け材を上ノズルを閉塞させずに羽口周りの損耗部に均等に流出させることにより羽口周りを熱間補修する方法及びそれに用いる熱間補修用容器を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は熱間でもその交換補修が容易な上ノズルに着目し、熱で焼失又は溶融する材質からなる補修用容器に焼付け材を充填したものを新しく交換する上ノズルに設置した上で、補修用容器ごと上ノズルを羽口に差し込むだけで、補修用容器がタンディッシュ炉内の熱で容易に焼失又は溶融し、自重によって羽口周りの損耗部に流出した焼付け材が炉内の熱で充填・ 硬化するため、タンディッシュの羽口周りの補修を熱間で安全かつ容易に行えるとともに、さらに羽口周りの補修作業に要する時間がほとんど必要ないことを発見した。また焼付け材が羽口周りの損耗部へ均等に流出するように補修用容器の構造及び材質の選択を工夫することにより、上ノズルを閉塞することなく補修ができ、かつ組織の均質な施工体が得られることを発見した。本発明はかかる発見に基づき完成したものである。
【0012】
すなわち溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの損耗部を熱間で補修する本発明の方法は、円筒状側壁と底壁とからなり溶融金属の溶湯温度以下で焼失又は溶融する材質からなる補修用容器内に焼付け材を充填してなるものを、前記タンディッシュ炉内温度が前記補修用容器側壁の焼失又は溶融温度以上である間に、上ノズルの上部に設置して、前記上ノズルとともに前記羽口に差し込むことによって羽口周りの損耗部を焼付け材で充填する方法であって、前記補修用容器の側壁の外径を前記上ノズルの内径より大きく外径以下とし、前記補修用容器の側壁がその他の壁よりも先に焼失又は溶融するように側壁及びその他の壁の材質及び厚みを選定し、前記補修用容器内の焼付け材を自重により羽口周りの損耗部へ均一に流出させることを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい別の実施例は、前記補修用容器の側壁の下方に全周にわたってほぼ一定間隔に複数の開口部を設け、前記開口部を覆う蓋が前記側壁よりも先に焼失又は溶融するように蓋及び側壁の材質及び厚みを選定した補修用容器を使用することを特徴とする。
【0015】
一方、本発明の補修用容器は、溶融金属鋳造用タンディッシュ羽口周りの損耗部の熱間補修する上記のいずれかの方法に使用するものである。この補修用容器は、底壁が円錐形状であるのが好ましい。さらにこの補修用容器は、内筒と外筒を有する2重管構造であり、内筒は中空とし、内筒と外筒の間に底壁を有するのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りに使用する熱間補修用容器及び補修方法について、添付図面を参照して詳細に説明する。本発明の熱間補修方法では、(A) 補修用容器に(B) 焼付け材を充填したものを用いる。
【0017】
(A) 補修用容器
補修用容器は、側壁が溶融金属の溶湯温度以下の温度で焼失又は溶融する材質からなるとともに、内部に焼付け材を充填できる形状のものであれば、特に限定されない。補修用容器の側壁の外径は上ノズルの外径以下とする。容器側壁の外径が上ノズルの外径よりも大きいと、交換時に補修用容器を羽口に差し込めない。また容器側壁の外径は上ノズルの内径よりも大きいものとする。容器側壁の外径が上ノズルの内径よりも小さいと、補修用容器を上ノズルの上部に設置できない。
【0018】
(A-1) 構造
補修用容器は、その側壁が焼失又は溶融する際に焼付け材が自重によって羽口周りの損耗部に大部分が流出し、上ノズル内に流入しないような構造を有する必要がある。多量の焼付け材が上ノズル内に流入すると、熱硬化した焼付け材が上ノズルを閉塞し、その後の出湯が円滑に行えなくなるために好ましくない。
【0019】
図1に示す好ましい態様では、補修用容器1は側壁2と底壁3からなり、底壁3は傾斜を有する構造とし、例えば円錐形のような構造とする。底壁3の傾斜角度及び形状は、焼付け材が流出する時の状態や底壁3と焼付け材Rの摩擦係数によって異なるため、予め試験することによって焼付け材Rが全て流出する角度及び形状としておく。例えば円錐形底壁3の場合、傾斜角度θ1 は一般に30〜80°の範囲にあるのが好ましい。
【0020】
また図2に示す好ましい態様では、補修用容器4は外筒5と内筒6を有する2重管構造とする。図2(a)に示す外筒5の底壁7aは内筒6に固着しており、外筒5、内筒6及び底壁7aにより形成された空間に焼付け材Rを充填する。底壁7aは図2(a)に示すように平面でもよいが、図2(b)の7bに示すように焼付け材Rが損耗部へ流出しやすくなるように、傾斜を設けるのがより好ましい。その傾斜角度θ2 は60°以下の範囲にあるのが好ましい。
【0021】
また図3(a)、(b) に示すように、補修用容器1の側壁2又は補修用容器4の外筒5の下部全周にわたって、一定間隔に複数の開口部8を設けることにより、焼付け材Rを羽口周りの損耗部にさらに容易かつ均等に流出させることができる。開口部8を設ける場合には、開口部8を蓋9により塞ぐ必要がある。そのような蓋9の取り付け方は、開口部8の効果を阻害しない範囲において特に限定するものではないが、製造上の手間から例えば図3に示すように、開口部8を全て塞ぐような状態で側壁2又は外筒5に巻き付ける。開口部8の大きさとしては、焼付け材Rが流出しやすいように、側壁2又は外筒5が充填した焼付け材Rを保持できる強度を有する範囲において、できるだけ大きくするのが好ましく、例えばその面積は、側壁2又は外筒5の全面積の70%以下が好ましい。開口部8の縦の長さは側壁2又は外筒5の下端から全高の20〜80%程度あれば良い。隣接する開口部8の間隔は焼付け材Rが羽口周りの損耗部に対して均等に流出するように上記面積の範囲内でほぼ等間隔になるように設ける。
【0022】
(A-2)材質
補修用容器1の側壁2(又は補修用容器4の外筒5)に使用する材質としては、出湯直後のタンディッシュの炉内温度、具体的にいえば溶融金属の溶湯温度以下の温度で全て焼失又は溶融する必要がある。補修用容器1の側壁2(又は補修用容器4の外筒5)が焼失又は溶融しなければ、上ノズルを閉塞し、その後鋳造を行う際に出湯し難くなるために好ましくない。材質の具体例としては画用紙及びダンボール等のパルプ・ 紙製品、布、天然又は合成ゴムシート、塩化ビニル等のプラスチックシート、皮革シート等が挙げられるがこれらを上記の条件にあてはまるように適宜選択して使用する。
【0023】
補修用容器1の底壁3(又は補修用容器4の底壁7a及び7b)は側壁2(又は外筒5)よりも後に焼失又は溶融するものとし、補修用容器1(又は補修用容器4)をタンディッシュ炉内に挿入した際に、側壁2(又は外筒5)、底壁3(又は底壁7a及び7b)の順で焼失又は溶融するように材質及び厚みを選定する。底壁3(又は底壁7a及び7b)が側壁2(又は外筒5)より先に焼失又は溶融すると、焼付け材Rが羽口周りの損耗部に流出するより先に上ノズル内に流入し、上ノズルを閉塞するため好ましくない。このため、底壁3(又は底壁7a及び底壁7b)には、側壁2(又は外筒5)より焼失又は溶融温度の高いブリキ板等の金属シート、皮革シート等を使用するか、あるいは側壁と同一の材質を使用する場合は側壁2(又は外筒5)よりも底壁3(又は底壁7a及び7b)の厚みを厚くするのが好ましい。
【0024】
補修用容器4の底壁7a及び7bは、内筒6より先に焼失又は溶融するように、材質及び厚みを選定する。内筒6が底壁7a及び7bよりも先に焼失又は溶融すると、焼付け材Rが羽口周りの損耗部に流出するより先に上ノズル内に流入し、上ノズルを閉塞するため好ましくない。このため、内筒6には底壁7a及び7bより焼失又は溶融温度の高い鋼等を使用するか、あるいは側壁と同一の材質を使用する場合は、底壁7a及び7bよりも内筒6の厚みを厚くするのが好ましい。またこれらの材料はいずれもタンディッシュの使用開始時に注入される溶湯によって、全てが焼失又は溶融して消滅しなければならない。
【0025】
さらに図3に示すように、焼付け材Rが羽口周りの損耗部にさらに容易かつ均等に流出するために、補修用容器1の側壁2(又は補修用容器4の外筒5)に開口部8を設けるのが好ましい。この場合、開口部8を塞ぐ蓋9は側壁2(又は外筒5)よりもさらに先に焼失又は溶融するものとする。側壁2(又は外筒5)が蓋9よりもさらに先に焼失又は溶融すれば、焼付け材Rの均等な流出が妨げられるため、開口部8を設ける意味がなくなる。開口部8を塞ぐ蓋9に使用できる材質は、補修用容器1の側壁2(又は補修用容器4の外筒5)と同じでも良いが、その場合は、蓋の厚みを側壁のそれより薄くするのが好ましい。蓋9/側壁2(又は外筒5)の好ましい材質の組合せとしては、薄紙/厚紙、紙/プラスチックシート、紙/ゴムシート等がある。
【0026】
(B) 焼付け材
本発明の熱間補修方法に使用する焼付け材としては、従来から各種窯炉の損耗部を熱間補修する際に用いられているものであれば、いずれのものも使用することができ、例えば特開平8-169772号に開示の耐火性骨材に有機結合材を添加したものを使用することができる。タンディッシュ炉内の熱によって有機結合材が溶融又は軟化し、焼付け材が流動性を帯びることによって損耗部に流入し、その後有機結合材が徐々に熱硬化しながら接着する。
【0027】
一般的に焼付け材は、使用する有機結合材の性状や、取り扱い上便宜的に添加する湿潤剤等によって粉末状又は練土状のいずれもあるが、練土状の焼付け材は容器隙間から流出したり、製造上の取り扱いの面からみても煩雑であるため、粉末状の焼付け材を使用するのが好ましい。
【0028】
焼付け材に使用する耐火性骨材は特に限定されず、例えば、電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト、カイアナイト、アンダリュサイト、ムライト、シャモット、ロー石、珪石、アルミナ- マグネシアスピネル、マグネシア、ドロマイト、ジルコン、ジルコニア、炭化珪素、黒鉛等からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、必要に応じて2種以上を併用することができる。
【0029】
また有機結合材としては、ピッチやフェノール樹脂を使用するのが好ましい。有機結合材の使用量は、耐火性骨材100 重量部に対して外掛けで5〜40重量部とするのが好ましい。5重量部未満では十分な流動性が得られず、また40重量部を超えて添加すると、得られる施工体の気孔率が大きくなり、耐用性が悪くなるために好ましくない。
【0030】
さらに上記添加物以外にも、焼付け材の流動性向上のための流動化剤(ジフェニルアミン等)や、カーボンの酸化防止剤(アルミニウム、シリコン、フェロシリコン等の金属粉末、ボロンカーバイド等)等を適宜添加してもよい。
【0031】
(C) 補修方法
図4(a)に示すように、出湯後のタンディッシュの損耗は羽口周り11が最も激しい。そこで図4(b)に示すように、損耗した上ノズル10a を羽口12から引き抜き、図4(c-1)又は(c-2) に示すように、新しい上ノズル10b の一端に焼付け材Rを充填した補修用容器1又は4を設置し、補修用容器1又は4ごと新しい上ノズル10b を再び羽口12に差し込む。炉内に差し込まれた補修用容器1又は4は炉内の熱で焼失又は溶融し、補修用容器1又は4内に充填された焼付け材Rは、自重によって羽口周り11の損耗部に流出するとともにそれを満たす。その後焼付け材Rは徐々に熱硬化しながら、図4(d)に示すように羽口周り11の損耗部へ接着し、補修が完了する。
【0032】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例1
外径160mm 、内径140mm の上ノズル10a を組み込んだ図4に示す構造のタンディッシュに対して、15ch(チャージ)受鋼した後、羽口周り11の損耗部を本発明の方法で熱間補修した。タンディッシュ炉内の温度が約1000℃以上のうちに、図4(b)に示すように、上ノズル10a を引き抜き、直ちに図4(c-1)に示すように、焼付け材Rを充填した補修用容器1を載置した新品の上ノズル10b を羽口12に挿入した。
【0034】
補修用容器1の構造は直径150mm 、高さ120mm で、図3(a)に示す構造を有し、円錐形の底壁3の傾斜角θ1 は60°であった。また側壁2には等間隔に6個の開口部8が設けられており、各開口部8の横幅は40mm、高さは70mmであった。全ての開口部8を覆うように、補修用容器1の側壁2に蓋9用のシートを巻いた。補修用容器1の各部位の材質及び厚みは下記表1に示す通りである。
【0035】
【0036】
補修用容器1内に深さ110mm まで表2に示す配合の焼付け材Rを充填した。その結果、焼付け材Rが上ノズル10b 内に流入することなく、羽口周りに均質な補修部が得られた。熱間補修したタンディッシュではさらに5chの延命を図ることができた。
【0037】
【0038】
実施例2
実施例1と同じ構造のタンディッシュにおいて、熱間で15ch受鋼した。タンディッシュ炉内の温度が約1000℃以上のうちに図4(b)に示すように、上ノズル10a を引き抜き、直ちに図4(c-2)に示すように、補修用容器4を載置した新品の上ノズル10b を羽口12に挿入した。
【0039】
補修用容器4の構造は、外筒が直径150mm 及び高さ80mm、内筒が直径114mm 及び高さ140mm で図3(b)に示す構造を有する。また外筒5には等間隔に8個の開口部8が設けられており、各開口部8の横幅は20mm、高さ60mmであった。全ての開口部8を覆うように、補修用容器4の外筒5に蓋9用のシートを巻いた。補修用容器の各部位の材質及び厚みは表3に示した通りである。
【0040】
【0041】
補修用容器4の外筒5、内筒6及び底壁7aで仕切られた空間に深さ75mmまで表2に示す配合の焼付け材Rを入れた。その結果、焼付け材Rが上ノズル10b 内に流入することなく、羽口周りに均質な補修部が得られた。熱間補修したタンディッシュではさらに4chの延命を図ることができた。
【0042】
【発明の効果】
本発明のタンディッシュの羽口周りの熱間補修方法は、焼付け材を充填した補修用容器を上ノズルの上端に設置し、前記補修用容器ごと上ノズルを羽口に差し込むだけなので、熱間で安全かつ容易に行なえるとともに、得られる施工体は緻密かつ均質である。また熱間で行うので、補修作業のためにタンディッシュを冷却する必要がなく、エネルギーロスを防ぐことができる。本発明の熱間補修方法では、補修用容器の構造及び材質の選択を工夫し、焼付け材を全て羽口周りの損耗部へ流出させることにより、上ノズルを閉塞することなく補修を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱間補修方法に使用する補修用容器の一実施例の概略構造を示す斜視図である。
【図2】 本発明の熱間補修方法に使用する補修用容器の他の一実施例の概略構造を示す側面図である。
【図3】 側壁下部に開口部を設けてそれに蓋をした補修用容器の概略構造を示す側面図である。
【図4】 本発明の熱間補修方法の各工程を概略的に示す図である。
【図5】 一般的な溶融金属鋳造用タンディッシュの要部断面図である。
【符号の説明】
1・・・補修用容器
2・・・側壁
3・・・底壁
4・・・補修用容器
5・・・外筒
6・・・内筒
7a、7b・・・底壁
8・・・開口部
9・・・蓋
10a 、10b ・・・上ノズル
11・・・羽口周り
12・・・羽口
R・・・焼付け材
Claims (5)
- 円筒状側壁と底壁とからなり溶融金属の溶湯温度以下で焼失又は溶融する材質からなる補修用容器内に焼付け材を充填してなるものを、タンディッシュ炉内温度が前記補修用容器側壁の焼失又は溶融温度以上である間に、上ノズルの上部に設置して、前記上ノズルとともに前記羽口に差し込むことによって羽口周りの損耗部を焼付け材で充填する溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法において、前記補修用容器の側壁の外径を前記上ノズルの内径より大きく外径以下とし、前記補修用容器の側壁がその他の壁よりも先に焼失又は溶融するように側壁及びその他の壁の材質及び厚みを選定し、前記補修用容器内の焼付け材を自重により羽口周りの損耗部へ均一に流出させることを特徴とする溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法。
- 請求項1に記載の溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法において、前記補修用容器の側壁の下方に全周にわたってほぼ一定間隔に複数の開口部を設け、前記開口部を覆う蓋が前記側壁よりも先に焼失又は溶融するように蓋及び側壁の材質及び厚みを選定することを特徴とする溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法。
- 請求項1又は2に記載の溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修方法において使用される熱間補修用容器。
- 請求項3に記載の熱間補修用容器において、内筒及び外筒を有する2重管構造であり、前記内筒及び外筒の間に底壁を設けたことを特徴とする溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修用容器。
- 請求項3又は4に記載の熱間補修用容器において、底壁は傾斜を有する構造であることを特徴とする溶融金属鋳造用タンディッシュの羽口周りの熱間補修用容器。
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