JP4252658B2 - 取鍋内張り不定形耐火材の施工方法 - Google Patents

取鍋内張り不定形耐火材の施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、取鍋内張り不定形耐火材施工方法に関し、特に、溶銑鍋、取鍋などの溶銑・溶鋼等を入れる容器もしくは処理する窯炉に内張りする耐火物施工体のうち、流し込み施工を行う際に使用する中子に振動板を取付け、不定形耐火材の充填性を向上し、さらに、不定形耐火材の耐用を延長することが可能なようにするための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高級鋼のニーズに対処するため、周知のように、溶鋼取鍋にてLF(Ladie Furnace)処理や真空脱ガス処理などの二次精錬処理が行われている。この二次精錬処理用取鍋の内張り用ライニング材としては、マグネシア・カーボン質れんが(不定形耐火物)が高熱で長時間の精錬処理に耐える材質として、一般に使用されている。
しかしながら、昨今の筑炉作業の省力化及び省人化のためにマグネシア・カーボン質れんがに替えて筑炉の機械化が可能な不定形耐火材の適用が指向され、高耐触性を有する取鍋内張用の不定形耐火材として、流し込み材が検討されている。
【0003】
この流し込み材の施工方法としては、パーマ部を築炉した取鍋外殻に流し込み施工用の中子を配設し、この中子とパーマ部の間に流し込み材を流し込んだ後、棒状バイブレータまたは施工中子に取り付けた振動機を作動させて締め固める方法が行われている。
しかし、この施工方法では、施工体の充填密度が低いと言う欠点を有しており、そのために、耐触性、機械的スポーリング性などが満足できるレベルにはまだ至っていない。
流し込み材は一般的に緻密に施工された方が、耐用性が高く長寿命化が図れる。そこで、流し込み材の緻密化を図る方法として大きく分けて2つのアプローチが成されてきた。1つは材料自体の粒度構成を改善し、低水分でも流し込み施工が可能な流動性を保った材料の開発と、もう一つは材料にバイブレータ等で振動を与え、強制的に材料を流動させ、脱気を促す方法である。
一般的にはこれらを併用することによって、緻密な施工体を作るようにしている。
また、図3に示されるように、バイブレータによって材料を振動する方法には、取鍋1内の中子3自体にユーラスモータ等のバイブレータ4を取り付け、中子3の鉄皮を通じて材料に振動を与える方法と、ミキサー5からガイド板2aを介して流し込まれた不定形耐火材2に棒状バイブレータ8を入れて、ダイレクトに不定形耐火材2に振動を与える方法が用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の取鍋内張り不定形耐火材の施工方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、中子自体にバイブレータを取り付ける方法は、不定形耐火材に直接振動を与えることが出来ないため、加振力が弱く、外殻である鉄皮側に施工したパーマれんが側まで十分に振動が伝わりにくい。これを補うためにバイブレータの能力を大型化すると中子自体が振動に耐えられなくなり、亀裂を生じたり、また大きな騒音を伴うと言う問題が生じる。
また、棒状バイブレータを使用する方法は、直接不定形耐火材に振動を与えるため、加振力は強いが、施工中に棒状バイブレータを保持しておく設備もしくは人間が必要である。さらに、流し込み材を施工する厚みが薄い部位へは、棒状バイブレータが入らないため、振動を与えることが出来ないと言う重大な課題が存在していた。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、溶銑や溶鋼を受ける容器の内張り耐火材を施工する際、流し込み成形する時に振動板を中子に取り付けて振動を与えることにより、耐火物の充填密度を高くし、施工後の耐火物の損耗を少なくするための取鍋内張り流し込み材の施工方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による取鍋内張り不定形耐火材の施工方法は、ターンテーブル上に回転自在に載置された取鍋に形成する内張り不定形耐火材の施工に使用する中子の上部に、前記不定形耐火材を施工する際に振動を与えるための円環状の振動板を複数の足を介して取り付け、前記中子と振動板を同時に振動させるための加振器を用いミキサーからの前記不定形耐火材を前記振動板を経て取鍋と中子間の間隙内に流し込み施工するようにした取鍋内張り不定形耐火材の施工方法において、前記振動板は、外周側から内周側へ向けて下がる方向に傾斜し、前記ミキサーで水と混練した前記不定形耐火材が前記振動板上を3秒〜10秒で通過するように、前記振動板の傾斜角度を10°〜25°とし振動板と前記中子の隙間間隔が50mm〜80mmとして用いる方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による取鍋内張り不定形耐火材の施工方法の好適な実施の形態について説明する。なお、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。
図1は取鍋1に中子3を設置し、不定形耐火材2を流し込み施工する際の模式図である。
前記中子3は中子3と周知のユーラスモータからなる加振器4及び円環状に振動板6から構成されている。このユーラスモータ4は偏心カムを有しており、この加振器4の回転によって中子3が振動すると共に、この中子3の上部に足6aを介して設けられた振動板6も同時に振動するように構成されている。
次に、不定形耐火材2の流し込み施工は、取鍋1上部に据えられたミキサー5にて水と混練した不定形耐火材2を取鍋1と中子3間の間隙Dに落とし込む施工方法である。この施工の際には取鍋1をターンテーブル7の上部に乗せて、取鍋1を回転させながら材料が均等な高さに施工できるようにしている。
【0008】
図2は本発明における流し込み施工用の中子3と振動板6付近を拡大した説明図である。
前記不定形耐火材2の流し込み施工は前述したように不定形耐火材2をミキサー5で水と混練した後、中子3と取鍋1の間隙Dに材料を流し込み、ライニングを構築する施工方法であるが、この際に流し込まれた不定形耐火材2の気孔率が小さいほど、溶鋼を受けたときの損耗が小さく、高耐用を得ることができる。
通常前記ミキサー5で4.5%〜6%の水と混練した不定形耐火材2は気孔率が25%〜30%である。
この不定形耐火材2は、中子3と取鍋1の間隙Dに流し込まれた後に従来の中子3振動のみで加振を加える方法では、その施工後の気孔率が19%〜21%になる。また、同じく前述した従来の棒状バイブレータを使用し、1分間加振を加えると施工体の気孔率は16〜18%にまで低下し、より緻密な施工体となる。 そこで、高い耐用性を有するためには、より緻密な施工体を得られる棒状バイブレータを使用した加振方法が考えられるが、棒状バイブレータを用いた方法は、棒状バイブレータを保持する設備もしくは人が必要で、さらには中子と取鍋の隙間が狭い継ぎ足し施工時などでは、棒状バイブレータが入らず、加振することができない。
【0009】
そのために、本発明においては、前述のように、中子3の上部に振動板6を取付け、加振器4によって全ての材料に直接加振を与えながら、流し込み施工を行うことができる。尚、前記振動板6は、図1及び図2で明らかなように、その外周側6Aから内周側6Bへ向けて傾斜されている。
【0010】
前記振動板6の構造においては、ミキサー5で水と混練した不定形耐火材2が振動板6上を5秒〜10秒で通過するように、不定形耐火材2の流動性に合わせて、振動板6の加振力・振動板6の長さ・振動板6の角度及び振動板6と中子3との隙間aを調整する。
【0011】
また、4.5%〜7%の水と混練した不定形耐火材2のタップフロー値(JIS規格に基づく方法)が150mm〜200mmの流動性の材料に対し、振動板6の加振力が1〜3Gの範囲で、振動板6の長さが150mm〜400mmの長さ、振動板6の角度が20°、及び振動板6と中子3の隙間aが50mm〜80mmの構造を持つ構成が好適であった。
なお、振動板6の加振は中子3に取り付けた加振器4にて行った。
【0012】
前記振動板6上を3秒〜10秒かけて通過した不定形耐火材2は、加振されることにより気孔率が19%〜20%にまで低下する。既に気孔率が低下した材料を用いてさらに中子3より振動を加えることにより、16%〜18%まで気孔率を下げることができ、従来の棒状バイブレータと同レベルの緻密な施工体が得られる。
なお、この際に、振動板6から不定形耐火材2へ振動を加える振動時間が10秒以上と長すぎると、不定形耐火材2が粗粒部と微粒部に分離し、流し込み施工後取鍋1内で層状になってしまい、また振動時間が3秒未満であると短すぎ十分に不定形耐火材2に振動が伝わらず、材料の密充填ができなくなることが判明した。
さらに、振動の強さにおいても、4G以上の加振力では振動が強すぎて材料を過剰に振動し、粒度の分離をまねき、また1G以下であると弱すぎるため振動が十分に加わらず不定形耐火材2が緻密に施工できないことが判明した。
そこで、流し込み施工を行う材料の粘度に合った、振動板6の長さと取り付け角度、中子3との隙間aの距離及びモータより与えられる加振力Gを見いだす必要がある。
【0013】
【実施例】
図1及び図2は本発明における流し込み施工用の中子を示すものである。
中子3は中子3と12基の加振器4及び振動板6とから構成されている。加振器4の出力は0.75kwのものを70%の出力で使用すると共に、中子3の振動板6として幅が200mmの鉄板を角度20°に傾けて中子3に溶接で取り付け、この際、中子3との隙間aは60mmとした。
この振動板6は加振器4により2Gで振動する。
【0014】
前記不定形耐火材2の柔らかさはJIS規格に基づく方法で求めたタップフロー値が160mmの不定形耐火材2を流し込み施工すると、不定形耐火材2は振動板6上を5秒間かけて流れ、中子3と取鍋1の間に落下した。落下後、さらに中子3より振動を1分間加えることにより最終的な施工体の気孔率を求めるために施工した耐火物を切り出して水銀浸漬法で気孔率を求めた結果、平均気孔率は17.5%であった。
なお、同様の不定形耐火材2を中子3の振動のみで施工した場合と、棒状バイブレータのみで施工した場合の各気孔率を次の表1第1表に示す。
【0015】
【表1】
Figure 0004252658
【0016】
なお、本発明における施工方法により、180tの溶鋼を受鋼する取鍋1に、20tの不定形耐火材2を流し込んで施工し、使用した結果、不定形耐火材2の耐用が従来の中子振動方式と比較して取鍋1の寿命を10チャージ程延長することができた。
【0017】
【発明の効果】
本発明による取鍋内張り不定形耐火材の施工方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、振動板が上部に設けられた中子を用いて加振しつつ不定形耐火材を流し込み施工することにより、従来の中子振動のみの施工方法と比較して、施工体の気孔率を大幅に低下することができ、不定形耐火材の耐用を10ch延長することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による取鍋内張り不定形耐火材施工方法を示す模式図である。
【図2】 図1の中子と振動板の関係を示す説明図である。
【図3】 従来の施工方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 取鍋
2 不定形耐火材
3 中子
4 加振器
5 ミキサー
6 振動板
7 ターンテーブル
間隙
6A 外周側
6B 内周側

Claims (1)

  1. ターンテーブル (7) 上に回転自在に載置された取鍋(1)に形成する内張り不定形耐火材(2)の施工に使用する中子(3)の上部に、前記不定形耐火材(2)を施工する際に振動を与えるための円環状の振動板(6)を複数の足 (6a) を介して取り付け、前記中子 (3) と振動板 (6) を同時に振動させるための加振器 (4) を用いミキサー (5) からの前記不定形耐火材(2)を前記振動板(6)を経て取鍋 (1) と中子 (3) 間の間隙 (D) 内に流し込み施工するようにした取鍋内張り不定形耐火材の施工方法において、前記振動板 (6) は、外周側 (6A) から内周側 (6B) へ向けて下がる方向に傾斜し、前記ミキサ (5) 水と混練した前記不定形耐火材(2)が前記振動板(6)上を3秒〜10秒で通過するように、前記振動板(6)の傾斜角度を10°〜25°とし振動板(6)と前記中子(3)の隙間間隔が50mm〜80mmとして用いることを特徴とする取鍋内張り不定形耐火材の施工方法。
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