JP2005254810A - フッ素樹脂層積層体製造方法及びフッ素樹脂層積層体 - Google Patents

フッ素樹脂層積層体製造方法及びフッ素樹脂層積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 フッ素樹脂層と、その融点において溶融しない基材との層間接着強度が大きい積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 基材(A)と、上記基材(A)に接しているフッ素樹脂層(B)とからなるフッ素樹脂層積層体を押出ラミネーションにより製造するフッ素樹脂層積層体製造方法であって、上記押出ラミネーションは、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるフッ素樹脂溶融物(Bp)を基材(Ap)上に押し出す工程を含むものであり、上記溶融を経た上記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、接着性部位を有するものであり、上記基材(Ap)は、上記接着性部位との親和性又は反応性を有するものであることを特徴とするフッ素樹脂層積層体製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フッ素樹脂層積層体製造方法、フッ素樹脂層積層体及び押出ラミネーション用フッ素樹脂に関する。
フッ素樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、耐侯性、電気絶縁性等に優れているので、用途が広く、自動車、OA機器等、各種分野で用いられている。しかしながら、フッ素樹脂は、用途によっては機械的強度や寸法安定性が不充分となる問題がある。この問題をフッ素樹脂の優れた特性を損なわずに解消する方法が考えられてきた。
フッ素樹脂の優れた特性を活かしつつ、機械的強度や寸法安定性を向上させる方法として、従来より、フッ素樹脂層と他材との積層体を得る方法が検討されている。しかしながら、フッ素樹脂は、表面エネルギーが低いので相手材との接着力が低い問題があった。
フッ素樹脂層の積層体の製造方法として、接着剤を用いてフッ素樹脂層と他材とを接着する方法がある。しかしながら、この接着剤を用いる方法では、充分な接着強度が得られず、また、得られた積層体は、温度変化等に起因する層間剥離が生じやすいという問題もあった。この問題を克服するため、接着剤を用いない含積層体製造方法が検討されてきた。
接着剤を用いない含フッ素樹脂層の積層体の製造方法としては、フッ素樹脂として、ポリマー鎖末端又は側鎖にカーボネート基を有する材料を用いる方法(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)、並びに、特定の溶融流動特性及び赤外線吸収特性を有するフッ素樹脂を用いる方法(例えば、特許文献3参照)がある。
これらの接着剤を用いない方法では、予め作製した基材フィルムと予め作製したフッ素樹脂フィルムとを積層し熱ロールで挟んで圧着することからなる熱ラミネーション法、又は、2種以上の樹脂をそれぞれ別のシリンダー内で溶融させダイ内で積層して押し出す共押出法の使用が試みられてきた。
熱ラミネーション法により得られた積層体は、層間接着強度が小さいという問題があった。また、共押出法には、例えばポリイミド等、融点がフッ素樹脂よりも高い樹脂又は熱により溶融しない材料を基材として適用することができないという問題があった。
国際公開第98/58937号パンフレット 国際公開第99/45044号パンフレット 特開平11−320770号公報
本発明の目的は、上記現状に鑑み、フッ素樹脂層と基材との層間接着強度が大きい積層体の製造方法を提供することにある。
本発明は、基材(A)と、上記基材(A)に接しているフッ素樹脂層(B)とからなるフッ素樹脂層積層体を押出ラミネーションにより製造するフッ素樹脂層積層体製造方法であって、上記押出ラミネーションは、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるフッ素樹脂溶融物(Bp)を基材(Ap)上に押し出す工程を含むものであり、上記溶融を経た上記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、接着性部位を有するものであり、上記基材(Ap)は、上記接着性部位との親和性又は反応性を有するものであることを特徴とするフッ素樹脂層積層体製造方法である。
本発明は、上記フッ素樹脂層積層体製造方法により製造したことを特徴とするフッ素樹脂層積層体である。
本発明は、基材(A)と、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して形成し上記基材(A)に接しているフッ素樹脂層(B)とからなるフッ素樹脂層積層体であって、上記溶融を経た上記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、接着性部位を有するものであり、上記基材(A)と上記フッ素樹脂層(B)との間の接着強度(x)は、対照接着強度(x)よりも大きい値を示すものであり、上記対照接着強度(x)は、上記溶融加工性フッ素樹脂を溶融して形成したフッ素樹脂フィルム(Bf)と基材(Ap)とを熱ラミネーションにより圧着してなる対照積層体における上記フッ素樹脂フィルム(Bf)と上記基材(Ap)との間の接着強度である
ことを特徴とするフッ素樹脂層積層体である。
本発明は、押出ラミネーションにおいて基材(Ap)上に押し出すフッ素樹脂溶融物(Bp)を構成するための押出ラミネーション用フッ素樹脂であって、上記押出ラミネーション用フッ素樹脂は、接着性部位を有するフルオロポリマーからなるものであることを特徴とする押出ラミネーション用フッ素樹脂である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法は、基材(A)と、上記基材(A)に接しているフッ素樹脂層(B)とからなるフッ素樹脂層積層体を押出ラミネーションにより製造するものである。
上記押出ラミネーションは、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるフッ素樹脂溶融物(Bp)を基材(Ap)上に押し出す工程(以下、「押出工程」ということがある。)を含むものである。
本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法により製造されるフッ素樹脂層積層体において、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)は、フッ素樹脂層(B)となり、上記基材(Ap)は、基材(A)となる。
本明細書において、上記「フッ素樹脂溶融物(Bp)」は、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるものであるが、(1)上記溶融加工性フッ素樹脂を溶融して基材(Ap)上に押し出した状態(この状態は、「押し出した直後」ともいうことができる。)のものと、(2)基材(Ap)上に押し出したのち基材(Ap)との接着作用が終了する前のものとを含む概念である。一方、本明細書において、フッ素樹脂層積層体を構成するフッ素樹脂層(B)は、上記(2)の基材(Ap)との接着作用が終了して基材(Ap)との接着性を既に発揮しているものである点で、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)とは異なる概念である。
上記溶融を経た上記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、接着性部位を有するものである。本明細書において、上記「溶融を経た溶融加工性フッ素樹脂」は、上記(1)のものと(2)のものとが該当する。上記溶融を経た上記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、上記(2)の基材(Ap)との接着作用が終了する前のものであるので、接着性部位を有しているが、上記基材(Ap)との接着作用が終了して基材(A)との接着性を発揮しているフッ素樹脂層(B)においては、接着界面における接着性部位は、若干数残存しているかもしれないが、全部又は大半が基材(Ap)との接着作用に消費されてしまっており、殆ど存在しない。本明細書において、接着性部位を有するフルオロポリマーを「接着性フルオロポリマー」ということがある。接着性フルオロポリマーは、通常、重合によりフルオロポリマーを製造するに際し接着性部位を導入することにより得ることができ、その場合、接着性部位は、上記溶融を経る前の上記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーにも存在し得る。
本明細書において、上記フルオロポリマーは、含フッ素モノマーに由来する含フッ素モノマー単位を主鎖中に有するポリマーである。上記フルオロポリマーは、更に、フッ素非含有モノマーに由来するフッ素非含有モノマー単位を有するものであってもよいし、有しないものものであってもよい。
本明細書において、上記フルオロポリマーについての「モノマー単位」は、ポリマー分子構造の一部分であって、モノマーに由来する部分を意味する。例えば、テトラフルオロエチレン単位は、−CF−CF−で表される。
上記含フッ素モノマーは、フッ素原子を有する重合可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル〔VF〕、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕類、下記一般式(i):
CH=CX(CF (i)
(式中、Xは、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)で表される単量体等が挙げられる。
上記フッ素非含有モノマーは、フッ素原子を有さない重合可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレン〔Et〕、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
上記フルオロポリマーとしては、下記共重合体(I)、下記共重合体(II)等が挙げられる。
(I)少なくとも、テトラフルオロエチレン及びエチレンを重合してなる共重合体、
(II)少なくとも、テトラフルオロエチレンと、下記一般式(ii)
CF=CF−Rf (ii)
(式中、Rfは、−CF又は−ORfを表し、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種以上のモノマーとを重合してなる共重合体。
上記共重合体(I)としては、例えば、少なくとも、テトラフルオロエチレン単位20〜80モル%及びエチレン単位80〜20モル%からなる共重合体等が挙げられる。
本明細書において、各モノマー単位についてのモル%は、共重合体の分子鎖を構成するモノマー単位が由来することとなったモノマーの合計モル数のうち、後述する接着性部位含有モノマー単位が由来することとなったモノマーのモル数を除いたモル数を100モル%とし、この100モル%中に占める各モノマー単位の割合である。
上記各モノマー単位についてのモル%は、19F−NMRチャートから求めた値である。
上記共重合体(I)は、主鎖中に、テトラフルオロエチレン単位とエチレン単位以外に、共重合可能なその他のモノマーに由来するその他のモノマー単位を有するものであってもよく、上記その他のモノマーとして、得られるフッ素樹脂層積層体の用途に応じた種類のモノマーを適宜選択して共重合に供することができる。
上記その他のモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン、トリクロロフルオロエチレン、プロピレン、下記一般式(iii):
CX =CX(CF (iii)
(式中、X及びXは、同一又は異なって、水素原子若しくはフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)で表される単量体、下記一般式(iv):
CF=CF−ORf (iv)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表される単量体等が挙げられ、通常これらの1種又は2種以上が用いられる。
上記その他のモノマー単位は、共重合体(I)の分子鎖を構成するモノマー単位100モル%のうち0〜20モル%の割合で有するものであってもよい。
上記フルオロポリマーとしては、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性、薬液低透過性、非粘着性等に優れている点で、共重合体(I)が好ましく、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性、薬液低透過性、非粘着性、低温加工性、透明性等に優れている点で、TFE/HFP/Et共重合体がより好ましい。上記TFE/HFP/Et共重合体におけるHFP単位は、5〜20モル%であることが好ましく、より好ましい下限は8モル%であり、より好ましい上限は17モル%である。上記TFE/HFP/Et共重合体は、TFE、HFP及びEtに由来する各モノマー単位に加え、上記TFE/HFP/Et共重合体の好ましい性質を損なわない範囲で、HFP単位以外の上記その他のモノマーを1種又は2種以上有するものであってもよい。
本明細書において、上記「接着性部位」とは、基材(Ap)との親和性若しくは反応性を有する官能基を意味する。
本明細書において、「親和性」とは、水素結合、van der Waals力等、化学構造を変化させるまでに至らない基材(Ap)との相互作用を示す性質を意味し、「反応性」とは、官能基等の化学構造を変化させる性質を意味する。
上記接着性部位は、通常、接着性フルオロポリマーが主鎖又は側鎖に有するものである。
上記接着性部位としては、特に限定されないが、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボニル基[−C(=O)]、カルボニル基を有する基又は結合等が挙げられ、これらの接着性部位は1種であってもよいし2種以上であってもよい。
上記カルボニル基を有する基又は結合としては、例えば、カーボネート基、ハロゲノホルミル基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボニルオキシ基[−C(=O)O−]、酸無水物基[−C(=O)O−C(=O)−]、イソシアネート基、アミド基[−C(=O)−NH−]、イミド基[−C(=O)−NH−C(=O)−]、ウレタン結合[−NH−C(=O)O−]、カルバモイル基[NH−C(=O)−]、カルバモイルオキシ基[NH−C(=O)O−]、ウレイド基[NH−C(=O)−NH−]、オキサモイル基[NH−C(=O)−C(=O)−]等が挙げられる。
上記カルボニル基を有する基又は結合としては、導入が容易であり、反応性が高い点から、カーボネート基、ハロゲノホルミル基等が好ましい。
上記カーボネート基は、[−OC(=O)O−]で表される結合を有する基であり、−OC(=O)O−R基(式中、Rは、有機基、I族原子、II族原子、又は、VII族原子を表す。)で表されるものである。上記式中のRにおける有機基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、エーテル結合を構成する酸素分子を有する炭素数2〜20のアルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、エーテル結合を構成する酸素分子を有する炭素数2〜4のアルキル基等である。上記カーボネート基としては、例えば、−OC(=O)O−CH、−OC(=O)O−C、−OC(=O)O−C17、−OC(=O)O−CHCHOCHCH等が挙げられる。
上記ハロゲノホルミル基は、−COY(式中、Yは、VII族原子を表す。)で表されるものであり、−COF、−COCl等が好ましい。
上記接着性部位の数は、基材の種類、形状、用途、必要とされる接着強度、後述するフルオロポリマーの種類の違い等により適宜選択されうるが、通常、主鎖炭素数1×10個あたり3〜1000個である。上記接着性部位の数は、カルボニル基の数をカウントする場合、通常、主鎖炭素数1×10個あたり150個以上であり、好ましくは250個以上、より好ましくは300個以上である。
本明細書において、上記「接着性部位」の数は、国際公開99/45044号パンフレットに記載のカルボニル基含有官能基の個数の測定方法に準じた赤外吸収スペクトル分析を行うことにより測定したものである。
上記接着性フルオロポリマーとしては、例えば、国際公開99/45044号パンフレットに記載のカルボニル基含有官能基を有する含フッ素エチレン性重合体等を挙げることができる。
上記接着性フルオロポリマーは、上述のように、通常、重合によりフルオロポリマーを製造するに際し接着性部位を導入することにより得ることができるが、接着性部位を導入する方法としては特に限定されず、例えば、(1)接着性部位含有モノマーを共重合する方法、(2)乳化重合等の水性媒体中での重合においてポリマー鎖末端にカルボキシル基、カーボネート基等の重合開始剤に由来する官能基を有することとなる方法、(3)重合に際し又は重合後の加熱等によりポリマー鎖中の炭素−炭素単結合が二重結合に変化することにより有することとなる方法等が挙げられる。
上記(1)の方法としては、例えば、接着性部位含有モノマーを、目的の溶融加工性フッ素樹脂に応じた種類と配合の含フッ素モノマーと、所望によりフッ素非含有モノマーとを公知の方法により共重合させることによって得ることができる。
上記「接着性部位含有モノマー」とは、接着性部位を有する重合可能な化合物を意味し、フッ素原子を有していてもよいし、有していなくてもよい。なお、本明細書において、上述した「含フッ素モノマー」及び「フッ素非含有モノマー」は、上記接着性部位を有していないものである。
上記接着性部位含有モノマーとしては、例えば、接着性部位がカルボニル基を有する基又は結合である場合、パーフルオロアクリル酸フルオライド、1−フルオロアクリル酸フルオライド、アクリル酸フルオライド、1−トリフルオロメタクリル酸フルオライド、パーフルオロブテン酸等のフッ素を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸クロライド、ビニレンカーボネート等のフッ素を有さない単量体が挙げられる。
カーボネート基を導入するために用いられる重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
本明細書において、上記基材(Ap)は、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)に存在する接着性部位との接着作用を起こす前の基材であり、この点で、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)における接着性部位との接着作用が終了して上記フッ素樹脂層積層体においてフッ素樹脂層(B)との接着性を発揮している基材(A)とは異なる概念である。上記基材(Ap)としては、上記溶融加工性フッ素樹脂の融点において溶融しない性質を有するものが好ましい。
上記基材(Ap)は、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)を構成するフルオロポリマーが有する接着性部位との親和性又は反応性を有するものである。
上記基材(Ap)としては、特に限定されず、樹脂、金属、ガラス、炭素材料、合成ゴム、天然繊維、紙等からなる基材が挙げられる。上記基材(Ap)としては、また、フィルム、板状体等が好ましい。
上記基材(Ap)における樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の何れであってもよい。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、セルロース系プラスチック、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられるが、ポリイミド樹脂が好ましい。
上記基材(Ap)における金属としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム系金属、鉄系金属、銅系金属、ニッケル、チタン、ステンレス等が挙げられる。
上記基材(Ap)におけるガラスとしては、特に限定されず、例えば、発泡ガラス、硬質ガラス、軟質ガラス等が挙げられる。
上記基材(Ap)における炭素材料としては、炭素繊維、グラファイト、アモルファスカーボン等が挙げられる。
上記基材(Ap)としては、ポリイミド樹脂からなるものが好ましく、ポリイミドフィルムであることがより好ましい。
上記基材(Ap)及び/又は上記フッ素樹脂溶融物(Bp)は、それらの特性を損なわない範囲で適当な補助剤、充填材、安定剤、紫外線吸収剤、顔料等の添加剤を適宜配合したものであってもよい。
上記添加剤を配合することによって、得られるフッ素樹脂層積層体を構成する基材(A)及び/又はフッ素樹脂層(B)の熱安定性、表面硬度、耐摩耗性、耐候性、帯電性等を改良することができる。
本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法は、フッ素樹脂層積層体を押出ラミネーションにより製造するものであり、押出ラミネーションは、上述の押出工程(以下、「押出工程(a)」ということがある)のほかに、通常、上記押出工程の後に基材(Ap)と上記基材(Ap)上に押し出したフッ素樹脂溶融物(Bp)とをロールで挟んで圧着する圧着工程(b)、得られた積層物を巻取る巻取工程(c)等をも含むものであってよく、通常、押出工程(a)、圧着工程(b)、巻取工程(c)の順で行う。
上記押出ラミネーションにおいて、上記押出工程(a)は、上述のように、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるフッ素樹脂溶融物(Bp)を上記基材(Ap)上に押し出す工程である。
上記押出工程(a)は、使用する基材(Ap)及びフッ素樹脂溶融物(Bp)の各組成、目的とするフッ素樹脂層積層体の厚さ等によって好ましい温度範囲は異なるが、層間接着強度が大きいフッ素樹脂層積層体が得られる点で、通常、下限がフッ素樹脂溶融物(Bp)に用いる溶融加工性フッ素樹脂の融点以上であり、上限が上記溶融加工性フッ素樹脂の分解温度未満である温度範囲にて行う。
上記押出工程(a)において、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)を上記基材(Ap)上に押し出す速度は、使用する上記フッ素樹脂溶融物(Bp)や上記基材(Ap)の組成、厚さ等によって適宜設定することができるが、例えば、0.1〜100m/分の範囲で行うことができる。
上記押出ラミネーション、なかでも、上記押出工程(a)は、層間接着強度が大きいフッ素樹脂層積層体が得られる点で、不活性ガス中で行うこと及び/又は基材を予め乾燥若しくは予熱することにより水分を除去しておくことが好ましい。後述するように、上記押出ラミネーションは、押出工程によりフッ素樹脂溶融物(Bp)に存在する接着性部位の接着性が発揮されることに特徴があると考えられるが、上記押出ラミネーションを不活性ガス中で行う場合及び/又は基材を予め乾燥若しくは予熱することにより水分を除去しておく場合、上記接着性を充分に発揮することができると考えられる。また、押出ラミネーションで得られた積層体の密着性向上、接着性安定化のために、積層体を溶融加工性(熱加工性)フッ素樹脂の融点以上、分解温度以下である温度にて、積層体の形状に応じて適切な処理時間で処理してもよい。
上記押出ラミネーションにおける上記押出工程(a)以外の各工程条件は、使用する基材(Ap)及びフッ素樹脂溶融物(Bp)の各構成成分、目的とするフッ素樹脂層積層体の厚さ等に応じ、公知の方法に従って適宜設定することができる。
本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法は、上記押出ラミネーションを行うことにより製造するものであるので、基材(A)とフッ素樹脂層(B)との接着強度が強いフッ素樹脂層積層体を製造することができるものである。
従来の熱ラミネーションを行って接着性部位を有するフッ素樹脂からなるフィルムを積層する方法では、層間接着強度が大きい積層体が得られなかったが、この原因としては、(1)空気中の水分、酸素、窒素等がフッ素樹脂フィルム表面に作用しフッ素樹脂フィルム表面に存在する接着性部位の接着力が低下又は一部失われていた、(2)フィルム成形時での冷却過程又はフィルム保存時において接着性部位がフィルム表面よりも内部に配向しやすいため接着性部位が他材との接着に機能しなくなっていた等が推測される。
本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法では、押出ラミネーションにおいて、フッ素樹脂溶融物(Bp)は溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られたものであるので、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)における接着性部位の接着性を上記押出工程により充分に発揮することができたと考えられる。
更に、本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法では、特に上記基材(Ap)として上記溶融加工性フッ素樹脂の融点において溶融しないものを使用する場合、共押出法では積層することができなかった融点がフッ素樹脂よりも高い基材を積層することができる。
本発明の第1のフッ素樹脂層積層体は、上述のフッ素樹脂層積層体製造方法により製造したことを特徴とするものである。
本発明の第1のフッ素樹脂層積層体は、上述のフッ素樹脂層積層体製造方法により製造したものであるので、上記フッ素樹脂層積層体を構成する基材(A)と上記フッ素樹脂層(B)との接着強度は、従来の基材(A)とフッ素樹脂層(B)とからなる積層体よりも大きい。
本発明の第1のフッ素樹脂層積層体は、全般に、後述する本発明の第2のフッ素樹脂層積層体と同様の性質を有する。以下、本発明の第2のフッ素樹脂層積層体について説明するが、この説明は上記本発明の第1のフッ素樹脂層積層体にも該当するものである。なお、本明細書において、「第1」又は「第2」を付さない「本発明のフッ素樹脂層積層体」は、上記本発明の第1のフッ素樹脂層積層体と本発明の第2のフッ素樹脂層積層体とを包含する概念である。
本発明の第2のフッ素樹脂層積層体は、基材(A)と、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して形成し上記基材(A)に接しているフッ素樹脂層(B)とからなるフッ素樹脂層積層体である。
本発明の第2のフッ素樹脂層積層体において、上記基材(A)は、積層前の基材(Ap)に由来するものである。上記溶融加工性フッ素樹脂及び上記基材(Ap)としては、それぞれ本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法において説明したものと同じものを用いることができる。上記基材(A)としては、上記溶融加工性フッ素樹脂の融点において溶融しないものが好ましく、ポリイミドフィルムを用いたものがより好ましい。
本発明の第2のフッ素樹脂層積層体において、上記フッ素樹脂層(B)は、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して形成してなるものであって、上記基材(A)に接しているものである。
本発明の第2のフッ素樹脂層積層体において、上記溶融を経た上記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、接着性部位を有するものである。上記接着性部位としては、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、カルボニル基を有する基又は結合等、本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法において説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明の第2のフッ素樹脂層積層体において、上記基材(A)と上記フッ素樹脂層(B)との間の接着強度(x)は、対照接着強度(x)よりも大きい値を示すものである。
上記対照接着強度(x)は、上記溶融加工性フッ素樹脂を溶融して形成したフッ素樹脂フィルム(Bf)と上記基材(Ap)とを熱ラミネーションにより圧着してなる対照積層体における上記フッ素樹脂フィルム(Bf)と上記基材(Ap)との間の接着強度である。
上記熱ラミネーションにおける圧着は、上記溶融加工性フッ素樹脂と基材(Ap)の種類によるが、押出ラミネーションにおいて押し出したフッ素樹脂溶融物(Bp)が基材(Ap)と接触するときの温度と、押出ラミネーションの圧着工程における圧着圧力と、押出ラミネーションの圧着工程におけるラミネート速度とに準じた条件下にて加圧することにより行うことができるが、通常、溶融加工性フッ素樹脂の融点より10℃高い温度以上、溶融加工性フッ素樹脂の分解温度以下である温度にて加圧することにより行う。
上記フッ素樹脂フィルム(Bf)は、上述のフルオロポリマーからなるものであるが、上記熱ラミネーションの前に予めフィルム加工して得られたものである点で、溶融状態にある上記フッ素樹脂溶融物(Bp)とは別の概念のものである。また、上記フッ素樹脂フィルム(Bf)は、上記フィルム加工を経たものであるので、上記フッ素樹脂溶融物(Bp)より接着性部位の接着活性が低いものと考えられる。
本明細書において、上記接着強度(x)及び上記対照接着強度(x)は、フッ素樹脂層積層体を10mm幅に切り出し、その端のフッ素樹脂層とポリイミド層とを刃物を用いて剥離し掴みしろを作り、テンシロン万能試験機にて、25mm/分の速度で180°剥離させた時に要した強度である。
上記接着強度(x)は、本発明の第2のフッ素樹脂層積層体を構成する上記基材(A)とフッ素樹脂層(B)の組成、厚さ等によって異なるものであるが、上記対照接着強度(x)より2倍以上大きくすることができ、更に5倍以上大きくすることができる。上記接着強度(x)は、例えば、上記基材(A)がポリイミドフィルムである場合、通常1000N/m以上、好ましくは1500N/m以上、より好ましくは2000N/m以上にすることができる。
本発明の第1のフッ素樹脂層積層体においても、上記基材(A)と上記フッ素樹脂層(B)との間の接着強度(x)は、対照接着強度(x)よりも大きい値を示すことができる。
本発明の第2のフッ素樹脂層積層体は、例えば、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるフッ素樹脂溶融物(Bp)を基材(Ap)上に押し出す工程を含む押出ラミネーションにより接着させて得ることができる。
本発明のフッ素樹脂層積層体において、各層の厚さは用途や目的により選択され、特に限定されない。上記基材(A)の厚さとしては、例えば包装用フィルムである場合、5〜200μmであることが好ましいが、10μm以上、150μm以下であることがより好ましく、上記フッ素樹脂層(B)の厚さとしては、5〜200μmであることが好ましいが、10μm以上、100μm以下であることがより好ましい。
本発明のフッ素樹脂層積層体は、基材(A)及びフッ素樹脂層(B)に加え、更に、1又は2以上のその他の層を含んでなる多層積層体であってもよい。上記その他の層としては、基材(A)の外表面、即ち、上記フッ素樹脂層(B)との接触面とは異なる面に接するものであってもよいし、フッ素樹脂層(B)の外表面、即ち、上記基材(A)との接触面とは異なる面に接するものであってもよいし、これらの両方に接するものであってもよい。上記その他の層としては、例えば、熱可塑性樹脂層、熱硬化性樹脂層、金属箔等が1層若しくは2層以上積層されたものであってもよい。上記その他の層を構成する材料としては、ポリイミド、銅、アルミニウム、SUS等のステンレス等が好ましい。
上記多層積層体は、上述した本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法において、上記その他の層を基材(Ap)とともに導入し、圧着する方法;基材(Ap)として積層体を使用する方法;上述した本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法から得られたフッ素樹脂層積層体と上記その他の層とを公知の方法により積層する方法等により製造することができる。
本発明のフッ素樹脂層積層体は、上述したように、層間接着強度が、熱ラミネーションにより得られる積層体の層間接着強度よりも大きいものとすることができるので、例えば、配管用防食テープ、各種包装材等、機械的強度、耐久性等を必要とする材質;看板、建築資材、外装材、屋根材、防水シート、屋根防水シート、建築機材、農業用温室等、耐候性を付与する用途;耐汚染性に優れた内装材等として使用することができる。また、本発明のフッ素樹脂層積層体は、フッ素樹脂層(B)を有するものなので、薬液バッグ、薬品包装材等、耐薬品性が必要な用途;医療用バッグ;食品包装材;ラッピング電線、絶縁テープ、車両用モーターや発電機等の絶縁層、フレキシブルプリント基板、半導体パッケージ等の電気特性が必要な用途;等にも使用することができる。
更に、本発明のフッ素樹脂層積層体は、フレキシブルディスク板、OA機器のハウジング、食品加工装置、調理機器等の防汚性、非粘着性、低摩擦性を必要とする装置、機器;撥水撥油性ガラス、液晶ディスプレイ等の液晶関連材料;半導体関連材料;自動車関連材料;離型フィルム等の工程資材等に使用することもできる。
また、本発明のフッ素樹脂層積層体が上述の多層積層体である場合、例えば、ポリイミド樹脂とフッ素樹脂とからなる積層体のフッ素樹脂層上に銅箔を積層してなるフレキシブルプリント板;金属箔とフッ素樹脂とからなる積層体のフッ素樹脂層上に金属箔を積層してなる絶縁層入り面導体;等として使用することができる。
本発明の押出ラミネーション用フッ素樹脂は、押出ラミネーションにおいて基材(Ap)上に押し出すフッ素樹脂溶融物(Bp)を構成するためのものである。
上記押出ラミネーションとしては、特に限定されないが、フッ素樹脂溶融物(Bp)を溶融させて、基材(Ap)上に押し出す工程を含むものが好ましい。
上記基材(Ap)は、本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法に関し説明したものと同様のものである。
上記フッ素樹脂溶融物(Bp)は、本発明の押出ラミネーション用フッ素樹脂から構成された溶融状態のものである。上記フッ素樹脂溶融物(Bp)としては、例えば、本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法に関し説明したものが挙げられる。
本発明の押出ラミネーション用フッ素樹脂は、接着性部位を有するフルオロポリマーからなるものである。
上記接着性部位及び上記フルオロポリマーは、本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法に関し説明したものと同様のものである。
本発明の押出ラミネーション用フッ素樹脂としては、基材(Ap)は、ポリイミドフィルムであることが好ましい。
本発明の押出ラミネーション用フッ素樹脂は、本発明のフッ素樹脂層積層体等、層間接着強度が大きいフッ素樹脂層積層体の材料として有用であり、また、本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法に好適に使用することができる。
本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法は、上述の構成よりなるので、層間接着強度が大きいフッ素樹脂層積層体を製造する方法として優れている。また、本発明のフッ素樹脂層積層体は、上述の構成よりなるので、層間接着強度が大きく、機械的強度、耐久性等を必要とする材質、機器等に使用することができる。更に、本発明の押出ラミネーション用フッ素樹脂は、上述の構成よりなるので、層間接着強度が大きいフッ素樹脂層積層体の材料として好ましく使用することができる。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
合成例1 (溶融加工性フッ素樹脂の合成)
内容積820Lのガラスライニング性オートクレーブに純水200Lを入れ、径内を窒素ガスで充分に置換した後、真空にし、1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン113kg及びヘキサフルオロプロピレン95kg、シクロヘキサン85gを仕込んだ。次いで、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)[CH=CF(CFH]292gを窒素ガスを用いて圧入し、槽内温度を35℃、攪拌速度を200rpmに保った。更にテトラフルオロエチレンを7.25kg/cmGになるまで圧入し、その後、エチレンを8kg/cmGになるまで圧入した。
次いで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液1.9kgを仕込むことにより、重合を開始した。重合の進行と共に槽内圧力が低下するので、テトラフルオロエチレン/エチレン/ヘキサフルオロプロピレンの混合ガス(モル比=39.2:43.6:17.3)を追加圧入して、重合圧力を8kg/cmGに保ちながら重合を続け、途中、CH=CF(CFH1100gを20回に分割してマイクロポンプで仕込み、重合を合計32時間行った。重合終了後、内容物を回収し、水洗し、粉末状の溶融加工性フッ素樹脂を95kg得た。
得られた溶融加工性フッ素樹脂について、以下の測定を行った。
(1)モノマー単位
19F−NMR分析を行い、測定した。
(2)カーボネート基数
溶融加工性フッ素樹脂の粉末を室温にて圧縮成形し、厚さ0.05〜0.2mmフィルムを作製した。得られたフィルムについて赤外吸収スペクトル分析を行い、カーボネート基[−OC(=O)−O−]中のカルボニル基が帰属するピーク[1809cm−1(νC=O)]の吸光度を測定した。得られた測定値から、下記式に基づき主鎖炭素数1×10個あたりのカーボネート基の個数を算出した。
N=500AW/εdf
A:上記νC=Oの吸光度
ε:上記νC=Oでのモル吸光度係数[l・cm−1・mol−1
(モデル化合物よりε=170とした。)
W:モノマー組成から計算される組成平均分子量
d:フィルムの密度[g/cm
f:フィルムの厚さ[mm]マイクロメーターにて測定。
上記赤外吸収スペクトル分析は、Perkin−Elmer FTIRスペクトロメーター1760X(Perkin−Elmer社製)を用いて40回スキャンして行った。νC=Oの吸光度の解析は、Perkin−Elmer Spectrum for Windows Ver.1.4Cソフトウェアにて行った。
(3)融点
示差走査熱量計(セイコー社製)を用い、昇温速度10℃/分にて測定し、得られた融解ピークの極大値での温度を融点とした。
得られた溶融加工性フッ素樹脂は、モノマー単位がTFE/Et/HFP/[CH=CF(CFH]=38.9/45.9/14.8/0.4であり、カーボネート基数が主鎖炭素数1×10個あたり411個であり、融点が171.8℃であった。
実施例1
図1の模式図に示す押出ラミネーターを用い、以下の操作を行った。
合成例1で得られた溶融加工性フッ素樹脂を、押出し機(3)にて230℃で加熱溶融させ、続いて、ポリイミドフィルムと接触するときのフッ素樹脂溶融物(Bp)が260℃となるように温度設定をしたTダイ(4)のスリットからフィルム状に押し出した。更に、基材送り出し部(5)から送り出したポリイミドフィルム(カプトン500H;東レ・デュポン社製、125μm厚)上にフッ素樹脂層の厚さが100μmになるよう積層させた後、加圧ロール(6)と冷却ロール(2)の間で圧着冷却した。
得られたフッ素樹脂層積層体(フッ素樹脂層の厚さ;100μm、ポリイミド層の厚さ;125μm)の接着強度について、10mm幅に切り出し、その端のフッ素樹脂層とポリイミド層とを刃物を用いて剥離し掴みしろを作り、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製)を用いて25mm/分の速度で180°剥離させて測定したところ、2200N/mであった。
比較例1
図2の模式図に示す熱ラミネーターを用い、以下の操作を行った。
合成例1で得られた溶融加工性フッ素樹脂を用いて成形して得られた溶融加工性フッ素樹脂フィルム(100μm厚)と、ポリイミドフィルム(カプトン500H;東レ・デュポン社製、125μm厚)とを、ポリイミドフィルム面が加熱ロール(10)側にくるようにして260℃にした加熱ロール(10)と加圧ロール(9)の間に挿入し圧着させ、積層体(フッ素樹脂層の厚さ;100μm、ポリイミド層の厚さ;125μm)を得た。
実施例1と同様にして得られた積層体の接着強度を測定したところ、300N/mであった。
以上より、実施例1から得られたフッ素樹脂層積層体は、接着強度が1000N/mを超えているが、比較例1から得られた積層体は、接着強度が500N/m未満であることが分かった。
本発明のフッ素樹脂層積層体製造方法は、上述の構成よりなるので、層間接着強度が大きいフッ素樹脂層積層体を製造する簡便な方法として優れている。また、本発明のフッ素樹脂層積層体は、上述の構成よりなるので、層間接着強度が大きく、機械的強度、耐久性等を必要とする材質に使用することができる。更に、本発明の押出ラミネーション用フッ素樹脂は、上述の構成よりなるので、層間接着強度が大きいフッ素樹脂層積層体の好適な材料として使用することができる。
実施例1で使用した押出ラミネーターの模式図である。 比較例1で使用した熱ラミネーターの模式図である。
符号の説明
1.積層体巻取り部
2.冷却ロール
3.押出し機
4.Tダイ
5.基材送り出し部
6.加圧ロール
7.フッ素樹脂フィルム送り出し部
8.基材送り出し部
9.加圧ロール
10.加熱ロール
11.積層体巻取り部

Claims (10)

  1. 基材(A)と、前記基材(A)に接しているフッ素樹脂層(B)とからなるフッ素樹脂層積層体を押出ラミネーションにより製造するフッ素樹脂層積層体製造方法であって、
    前記押出ラミネーションは、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるフッ素樹脂溶融物(Bp)を基材(Ap)上に押し出す工程を含むものであり、
    前記溶融を経た前記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、接着性部位を有するものであり、
    前記基材(Ap)は、前記接着性部位との親和性又は反応性を有するものである
    ことを特徴とするフッ素樹脂層積層体製造方法。
  2. 接着性部位は、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、及び/又は、カルボニル基を有する基若しくは結合である請求項1記載のフッ素樹脂層積層体製造方法。
  3. 基材(Ap)は、ポリイミドフィルムである請求項1又は2記載のフッ素樹脂層積層体製造方法。
  4. 請求項1、2又は3記載のフッ素樹脂層積層体製造方法により製造した
    ことを特徴とするフッ素樹脂層積層体。
  5. 基材(A)と、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して形成し前記基材(A)に接しているフッ素樹脂層(B)とからなるフッ素樹脂層積層体であって、
    前記溶融を経た前記溶融加工性フッ素樹脂を構成するフルオロポリマーは、接着性部位を有するものであり、
    前記基材(A)と前記フッ素樹脂層(B)との間の接着強度(x)は、対照接着強度(x)よりも大きい値を示すものであり、
    前記対照接着強度(x)は、前記溶融加工性フッ素樹脂を溶融して形成したフッ素樹脂フィルム(Bf)と基材(Ap)とを熱ラミネーションにより圧着してなる対照積層体における前記フッ素樹脂フィルム(Bf)と前記基材(Ap)との間の接着強度である
    ことを特徴とするフッ素樹脂層積層体。
  6. 接着性部位は、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、及び/又は、カルボニル基を有する基若しくは結合である請求項5記載のフッ素樹脂層積層体。
  7. 基材(A)は、ポリイミドフィルムを用いたものである請求項5又は6記載のフッ素樹脂層積層体。
  8. 基材(A)とフッ素樹脂層(B)との間の接着強度(x)は、1000N/m以上である請求項7記載のフッ素樹脂層積層体。
  9. 基材(A)とフッ素樹脂層(B)とは、溶融加工性フッ素樹脂を溶融して得られるフッ素樹脂溶融物(Bp)を基材(Ap)上に押し出す工程を含む押出ラミネーションにより接着させたものである請求項5、6、7又は8記載のフッ素樹脂層積層体。
  10. 押出ラミネーションにおいて基材(Ap)上に押し出すフッ素樹脂溶融物(Bp)を構成するための押出ラミネーション用フッ素樹脂であって、
    前記押出ラミネーション用フッ素樹脂は、接着性部位を有するフルオロポリマーからなるものである
    ことを特徴とする押出ラミネーション用フッ素樹脂。
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