JP5028853B2 - 加熱処理用袋状物 - Google Patents
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Description
本発明は、上記加熱処理用袋状物を用いてなることを特徴とする薬品容器である。
本発明は、上記加熱処理用袋状物を用いてなることを特徴とする食品容器である。
本発明は、上記加熱処理用袋状物を用いてなることを特徴とする滅菌処理用容器である。
以下に本発明について詳細に説明する。
上記PIフィルムは、その特性を損なわない範囲で、充填材、安定剤、紫外線吸収剤、顔料等の添加剤を適宜配合したものであってもよい。
本明細書において、上記接着性フッ素樹脂とは、接着性部位を有するフルオロポリマーを意味する。
本明細書において、上記フルオロポリマーについての「モノマー単位」は、ポリマー分子構造の一部分であって、モノマーに由来する部分を意味する。例えば、テトラフルオロエチレン単位は、−(CF2−CF2)−で表される。
CH2=CX1(CF2)nX2 (i)
(式中、X1は、水素原子又はフッ素原子を表し、X2は、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)で表されるモノマー等が挙げられる。
(I)少なくとも、TFE及びEtを重合してなる共重合体、
(II)少なくとも、TFEと、下記一般式(ii)
CF2=CF−Rf2 (ii)
(式中、Rf2は、−CF3又は−ORf1を表し、Rf1は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種以上のモノマーとを重合してなる共重合体。
本明細書において、各モノマー単位についてのモル%は、共重合体の分子鎖を構成するモノマー単位が由来することとなったモノマーの合計モル数のうち、後述する接着性部位含有モノマー単位が由来することとなったモノマーのモル数を除いたモル数を100モル%とし、この100モル%中に占める各モノマー単位が由来することとなったモノマーのモル数の割合である。
上記各モノマー単位についてのモル%は、19F−NMRチャートから求めた値である。
上記その他のモノマーとしては、HFP、CTFE、プロピレン、下記一般式(iii):
CX3 2=CX4(CF2)nX5 (iii)
(式中、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子若しくはフッ素原子を表し、X5は、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)で表されるモノマー、下記一般式(iv):
CF2=CF−ORf1 (iv)
(式中、Rf1は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるモノマー等が挙げられ、通常これらの1種又は2種以上が用いられる。
上記その他のモノマー単位は、共重合体(I)の分子鎖を構成するモノマー単位100モル%のうち0〜20モル%の割合で有するものであってもよい。
本明細書において、「親和性」とは、水素結合、van der Waals力等、化学構造を変化させるまでに至らないPIフィルムとの相互作用を示す性質を意味し、「反応性」とは、官能基等の化学構造を変化させる性質を意味する。
上記接着性部位としては、特に限定されないが、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボニル基[−C(=O)]、カルボニル基を有する基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、シリル基、スルホン酸基、エーテル結合、シアノ基、ホスホン酸基等が挙げられ、上記接着性部位を有するフルオロポリマーにおいて、上記接着性部位は1種のみ存在するものであってもよいし、2種以上存在するものであってもよい。
上記カルボニル基を有する基としては、導入が容易であり、反応性が高い点から、カーボネート基、ハロゲノホルミル基等が好ましい。
本明細書において、上記「接着性部位」の数は、国際公開99/45044号パンフレットに記載のカルボニル基含有官能基の個数の測定方法に準じた赤外吸収スペクトル分析を行うことにより測定したものである。
上記接着性フッ素樹脂は、通常、重合によりフルオロポリマーを製造するに際し接着性部位を導入することにより得ることができるが、接着性部位を導入する方法としては特に限定されず、例えば、(1)接着性部位含有モノマーを共重合する方法、(2)接着性部位を有する重合開始剤を存在させて乳化重合等の水性媒体中での重合を行い、ポリマー鎖末端に該重合開始剤に由来する接着性部位を導入する方法、(3)重合に際し又は重合後の加熱等によりポリマー鎖中の炭素−炭素単結合が二重結合に変化することにより接着性部位を有することとなる方法等が挙げられる。
上記共重合の方法としては特に限定されず、例えば、含フッ素モノマー等の他の共単量体によるポリマー鎖形成時に接着性部位含有モノマーを系内に導入して行うランダム共重合であってもよいし、ブロック共重合、グラフト共重合であってもよい。グラフト共重合としては、例えば、フルオロポリマーに後述の不飽和カルボン酸類を付加させる方法等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸類としては、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸及びその酸無水物が挙げられる。上記脂肪族不飽和カルボン酸としては、脂肪族不飽和モノカルボン酸であってもよいし、カルボキシル基を2個以上有する脂肪族不飽和ポリカルボン酸であってもよい。
上記脂肪族不飽和モノカルボン酸としては、例えば、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、それらの酸無水物等、炭素数3〜20の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。上記脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸〔CAC〕、イタコン酸、アコニット酸、無水イタコン酸〔IAH〕及び無水シトラコン酸〔CAH〕等が挙げられる。
本明細書において、上記融点は、示差走査熱量計(セイコー社製)を用い、昇温速度10℃/分にて測定し、得られた融解ピークの極大値での温度である。
上記PIフィルムと接着性フッ素樹脂との積層は、例えば、押出ラミネーション法にて行うことができるし、PIフィルムと接着性フッ素樹脂とを熱圧着等により貼り合わせて行うこともできる。
本発明において、押出ラミネーションは、押出工程により接着性フッ素樹脂に存在する接着性部位の接着性が発揮されることに特徴があると考えられるが、上記押出ラミネーションを不活性ガス中で行う場合及び/又はPIフィルムを予め乾燥若しくは予熱することにより水分を除去しておく場合、上記接着性を充分に発揮することができると考えられる。
上記熱圧着は、120〜300℃の温度にて行うことが好ましい。該温度は、より好ましい下限が140℃であり、より好ましい上限が280℃である。
上記PIフィルムは、熱圧着等により貼り合わせて積層する場合、積層前に予め予熱してもよいし、予備乾燥してもよい。
また、熱圧着等により各層を貼り合わせる場合、層間接着性を向上させるため、貼り合わせた後に加熱を行いエージングさせてもよい。
上記エージングの為の加熱は、200〜280℃にて行うことが好ましい。
上記積層フィルムにおいて、PIフィルムの厚さは5〜100μmであることが好ましく、10μm以上、50μm以下であることがより好ましい。また、上記接着性フッ素樹脂層の厚さは、5〜100μmであることが好ましいが、10μm以上、50μm以下であることがより好ましい。
上記積層フィルムは、厚さが全体で10〜200μmであることが好ましく、20μm以上、100μm以下であることがより好ましい。
本明細書において、上記接着強度(x)は、積層フィルムを10mm幅に切り出し、その端の接着性フッ素樹脂層とPIフィルムとを刃物を用いて剥離し掴みしろを作り、テンシロン万能試験機にて、25mm/分の速度で180°剥離させた時に要した強度である。
上記その他の層は、例えば、熱可塑性樹脂層、熱硬化性樹脂層が1層又は2層以上積層されたものであってもよい。
上記多層積層フィルムは、上述の積層フィルムにおけるPIフィルム上に、上記接着性フッ素樹脂層を積層してなるものであってもよく、また、該接着性フッ素樹脂層上に、熱可塑性樹脂層又は熱硬化性樹脂層を1層又は2層以上有するものであってもよい。
上記接着性フッ素樹脂以外に、上記その他の層を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン;熱可塑性エラストマー;等が好ましい。
上記多層積層フィルムは、例えば、上述した積層フィルムの作成において、上記その他の層を予め作成してPIフィルム等と圧着する方法、PIフィルム(接着性フッ素樹脂を積層したものであってもよい)上に押出ラミネーション法により積層する方法等により作成することができる。
本発明の加熱処理用袋状物は、内容物の種類、加熱装置の容量等に応じて、適当な容量にすることができる。
上記周縁部は、上述の積層フィルムの一部分であり、融点が低い接着性含フッ素樹脂同士を接触させてシールするものであるので、接着剤等の他材を使用する必要がなく、210℃程度のシール温度にて充分シールすることができる。このため、本発明の加熱処理用袋状物は、通常の熱シール機にて簡易且つ低コストで作成することができる。
上記加熱処理用袋状物は、更に、用いる接着性フッ素樹脂の融点未満であれば、常温以上の温度領域下にあっても耐性があり、非常に幅広い温度範囲に耐性を示すことができる。
本発明の加熱処理用袋状物は、上述の特性を有するので、例えば、薬品容器、食品容器、滅菌処理用容器等として使用することができる。
上記薬品容器は、例えば、袋状物内で化学反応させるための反応容器、加熱処理や放射線処理をする場合の処理容器として使用することができる。上記薬品容器に収納することができる薬品としては、接着性フッ素樹脂との化学的安定性を有する化学薬品が好ましい。該化学薬品としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ性化学物質、塩酸、硝酸、硫酸等の酸性化学物質、イソオクタン、トルエン、トリエチルアミン等の有機溶剤、等が挙げられる。
上記食品容器は、例えば、臭気の強い食品や、湿気を嫌う食品を収納することができ、また、電子レンジ調理用容器やレトルト食品用容器として使用することができる。
上記滅菌処理用容器は、例えば、袋状物内でシャーレ、試験管等の硝子器具、耳鏡、鼻鏡、舌圧子等の金属器具を収納して加熱滅菌することができる。上記加熱滅菌の条件としては、好ましくは、100〜160℃において1〜10時間、より好ましくは130〜150℃において3〜5時間が挙げられる。また、上記滅菌処理用容器に薬品、薬液、食品等を収納し、80℃から140℃で加熱滅菌することができる。また、30〜45℃等、加熱温度によっては、菌の培養容器として使用することもできる。この場合、あらかじめ本容器を150℃で1時間乾熱滅菌した後、培地および培養対象物を収納して使用できる。
内容積820Lのガラスライニング性オートクレーブに純水200Lを入れ、径内を窒素ガスで充分に置換した後、真空にし、1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン113kg及びヘキサフルオロプロピレン95kg、シクロヘキサン85gを仕込んだ。次いで、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)[CH2=CF(CF2)3H]292gを窒素ガスを用いて圧入し、槽内温度を35℃、攪拌速度を200rpmに保った。更にテトラフルオロエチレンを7.25kg/cm2Gになるまで圧入し、その後、エチレンを8kg/cm2Gになるまで圧入した。
(1)モノマー単位
19F−NMR分析を行い、測定した。
(2)カーボネート基数
接着性フッ素樹脂の粉末を室温にて圧縮成形し、厚さ0.05〜0.2mmフィルムを作製した。得られたフィルムについて赤外吸収スペクトル分析を行い、カーボネート基[−OC(=O)−O−]中のカルボニル基が帰属するピーク[1809cm−1(νC=O)]の吸光度を測定した。得られた測定値から、下記式に基づき主鎖炭素数1×106個あたりのカーボネート基の個数を算出した。
N=500AW/εdf
A:上記νC=Oの吸光度
ε:上記νC=Oでのモル吸光度係数[l・cm−1・mol−1]
(モデル化合物よりε=170とした。)
W:モノマー組成から計算される組成平均分子量
d:フィルムの密度[g/cm3]
f:フィルムの厚さ[mm]マイクロメーターにて測定。
上記赤外吸収スペクトル分析は、Perkin−Elmer FTIRスペクトロメーター1760X(Perkin−Elmer社製)を用いて40回スキャンして行った。νC=Oの吸光度の解析は、Perkin−Elmer Spectrum for Windows(登録商標) Ver.1.4Cソフトウェアにて行った。
(3)融点
示差走査熱量計(セイコー社製)を用い、昇温速度10℃/分にて測定し、得られた融解ピークの極大値での温度を融点とした。
(1)合成例から得られた接着性フッ素樹脂について、シリンダ直径90mmの単軸押出し機にTダイを接続し、シリンダ温度170〜230℃、ダイ温度230℃、スクリュー回転数10rpmの条件下にて、接着性フッ素樹脂フィルム(厚み:25μm)を成形した。
得られた接着性フッ素樹脂フィルムと、ポリイミドフィルム(製品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製、厚み:25μm)とを、温度250℃の条件下にて熱ロールでラミネートして、積層フィルム(長さ20m×幅200mm×全体厚み50μm。以下、長尺フィルムともいう。)を得た。得られた積層フィルム(フッ素樹脂層の厚さ;25μm、ポリイミド層の厚さ;25μm)の接着強度について、長さ方向に100mm、幅方向に10mmの短冊状に切り出し、その端のフッ素樹脂層とポリイミド層とを刃物を用いて剥離し掴みしろを作り、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製)を用いて25mm/分の速度で180°剥離させて測定したところ、400N/mであった。
(2)続いて、上記長尺フィルムから12cm角に切り出した積層フィルム2枚を、シール幅(貼付しろ)1cmとして接着性フッ素樹脂層を内側にして重ね、3辺をヒートシーラーで210℃×5秒の条件で熱融着して開口状態の袋を作成した。
実施例で作製した袋に、28%濃度のアンモニア水100mlを収納して、開口部をヒートシールした。30日間にわたり70℃で加熱処理をしたが、内容物に変化はなく、また、袋のシール性の低下、変質は認められなかった。
実施例で作製した袋に、細菌の付着したガラス製シャーレを収納して、開口部をヒートシールした。1時間にわたり乾熱滅菌器にて150℃の加熱滅菌処理をした。袋のシール性の低下、変質は認められなかった。
Claims (5)
- ポリイミドフィルムと接着性フッ素樹脂層とを積層してなる積層フィルムを含む加熱処理用袋状物であって、
前記接着性フッ素樹脂層が、接着性部位を有するフルオロポリマーからなる層であり、
前記接着性部位が、炭素−炭素二重結合、カルボニル基、カルボニル基を有する基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、シリル基、スルホン酸基、エーテル結合、シアノ基、ホスホン酸基からなる群から選択される1種以上であり、
前記接着性フッ素樹脂の融点が200℃以下である加熱処理用袋状物。 - 接着性部位を、主鎖炭素数1×106個あたり3個以上有する請求項1記載の加熱処理用袋状物。
- 請求項1又は2記載の加熱処理用袋状物を用いてなることを特徴とする薬品容器。
- 請求項1又は2記載の加熱処理用袋状物を用いてなることを特徴とする食品容器。
- 請求項1又は2記載の加熱処理用袋状物を用いてなることを特徴とする滅菌処理用容器。
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