JP2016215637A - ヒートシール用積層体およびヒートシール接合体の製造方法 - Google Patents

ヒートシール用積層体およびヒートシール接合体の製造方法 Download PDF

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義明 樋口
雄矢 堀口
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雄矢 堀口
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Shogo Kodera
省吾 小寺
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Abstract

【課題】フッ素樹脂からなる基材の機械的強度の低下を抑えつつ、優れた剥離強度が得られるヒートシール用積層体の提供。【解決手段】第2のフッ素樹脂からなる基材に、第2のフッ素樹脂に隣接して第1のフッ素樹脂からなるヒートシール層を設けた積層体であって、第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂は、フッ素樹脂(A)から選ばれる互いに融点が異なる2種、またはフッ素樹脂(B)から選ばれる互いに融点が異なる2種であり、第1のフッ素樹脂の融点は第2のフッ素樹脂の融点より低く、該融点の差が20℃以上であるヒートシール用積層体。フッ素樹脂(A):エチレン単位とテトラフルオロエチレン単位と、他の単位の1種以上とからなる共重合体。フッ素樹脂(B):テトラフルオロエチレン単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位と、他の単位の1種以上とからなる共重合体。【選択図】なし

Description

本発明はフッ素樹脂からなるヒートシール用積層体、および該ヒートシール用積層体を用いたヒートシール接合体の製造方法に関する。
フッ素樹脂はその強固な原子間結合力から耐薬品性、耐光性、耐久性に優れた材料として、各分野で広く使用されている。
例えば膜構造物用外部被覆フィルム、農業用温室被覆フィルム等の用途にあっては、フィルムを固定する梁やその他の留め具位置の間隔に対応したフィルム幅が必要である。入手したフッ素樹脂フィルムが必要な幅に満たない場合には、該フッ素樹脂フィルムの端部同士を接合して使用している。この接合方法としては、接合部の強度信頼性や生産性の点から、ヒートシールが工業的に多く用いられる。
例えば熱可塑性樹脂成形体同士をヒートシールにより接合してヒートシール接合体を製造する場合、該成形体を構成する樹脂の融点以上の温度で加熱して、該樹脂を溶融状態にして接合一体化する。しかしながら、フッ素樹脂は比較的融点が高いため、優れた剥離強度を得るには、ヒートシールする際の加熱温度(以下、「シール温度」ともいう。)を高くする必要があり、その結果、ヒートシール部近傍における機械的強度の低下が大きくなるという問題がある。
特許文献1には、低いシール温度で優れた剥離強度が得られるように、非ペルフルオロ系フッ素樹脂フィルムの表層の一部を改質して低融点領域を形成する方法が記載されている。具体的には、酢酸ビニルまたはグリシジルメタクリレート等の反応性有機化合物の存在下で、フッ素樹脂フィルムの表層の一部に対して放電処理を行うことによって、フッ素樹脂フィルムの表層の一部にフッ素原子量が減少し酸素原子量が増大した低融点領域を形成する方法が開示されている。このようにして低融点領域を設ければ、優れた剥離強度を得るのに必要なシール温度を低くすることができる。
特開2012−1732号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、非ペルフルオロ系フッ素樹脂フィルムの表層のフッ素原子量を減少させるため、フィルムの機械的強度が低下するという問題がある。
このように、フッ素樹脂からなる基材のヒートシールにあっては、優れた剥離強度と優れた機械的強度の両立が難しい。
本発明は、フッ素樹脂からなる基材の機械的強度の低下を抑えつつ、優れた剥離強度が得られるヒートシール用積層体、および該ヒートシール用積層体を用いたヒートシール接合体の製造方法を提供する。
本発明は以下の[1]〜[5]の構成を有するヒートシール用積層体およびヒートシール接合体の製造方法を提供する。
[1]第2のフッ素樹脂からなるフィルム状もしくはシート状の基材、または第2のフッ素樹脂の層を少なくとも一方の表面に有するフッ素樹脂積層体からなるフィルム状もしくはシート状の基材に、第2のフッ素樹脂に隣接して第1のフッ素樹脂からなるヒートシール層を少なくとも1層設けた積層体であって、前記第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂は、下記フッ素樹脂(A)から選ばれる互いに融点が異なる2種、または下記フッ素樹脂(B)から選ばれる互いに融点が異なる2種であり、第1のフッ素樹脂の融点は第2のフッ素樹脂の融点より低く、該融点の差が20℃以上であることを特徴とするヒートシール用積層体。
フッ素樹脂(A):エチレンに基づく単位(E単位)と、テトラフルオロエチレンに基づく単位(4F単位)と、他の単位の1種以上とからなり、E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、E単位と4F単位との合計100モルに対して、他の単位の合計が0.2〜25.0モルである共重合体。
フッ素樹脂(B):テトラフルオロエチレンに基づく単位(4F単位)と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位(PAVE単位)と、他の単位の1種以上とからなり、4F単位:PAVE単位のモル比が90:10〜99.8:0.2であり、4F単位とPAVE単位との合計100モルに対して、他の単位の合計が0〜15.0モルである共重合体。
[2]前記第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂がフッ素樹脂(A)であって、
前記他の単位がCH=CH(CFFに基づく単位を含み、E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、かつE単位と4F単位の合計100モルに対してCH=CH(CFFに基づく単位が0.2〜5.0モルである共重合体、または前記他の単位が炭素数3〜8のフルオロオレフィンに基づく単位を含み、E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、かつE単位と4F単位の合計100モルに対して炭素数3〜8のフルオロオレフィンに基づく単位が0.2〜20モルである共重合体である、[1]のヒートシール用積層体。
[3]前記[1]または[2]のヒートシール用積層体のヒートシール層同士を、該ヒートシール層を構成する第1のフッ素樹脂の融点より10℃以上高い温度でヒートシールすることを特徴とするヒートシール接合体の製造方法。
[4]前記[1]または[2]のヒートシール用積層体を用いた膜構造物、農業用温室または容器。
[5]前記[1]または[2]のヒートシール用積層体と、エポキシ樹脂、ブチルゴム、EPDMゴムおよびNBRゴムからなる群から選ばれる1種以上を含む成形品と、の複合体。
本発明のヒートシール用積層体によれば、低いシール温度で優れた剥離強度を得ることができ、優れた剥離強度と優れた機械的強度の両立を実現できる。
本発明のヒートシール接合体の製造方法によれば、低いシール温度で優れた剥離強度を得ることができ、ヒートシール接合体のヒートシール部近傍における機械的強度の低下を抑制できる。よって優れた剥離強度と優れた機械的強度の両立を実現できる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「フッ素樹脂」とは、分子中にフッ素原子を有する高分子化合物を意味する。
「融点」とは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度を意味する。
「単位」とは、重合体中に存在して重合体を構成する、単量体に由来する部分を意味する。また、ある単位の構造を重合体形成後に化学的に変換したものも単位という。
「単量体」とは、重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素−炭素原子間に1個存在する酸素原子(−C−O−C−)である。
「ペルフルオロアルキル基」とは、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基である。「ペルフルオロアルキレン基」とは、アルキレン基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基である。
単量体に基づく単位を、単量体名単位とも記載する。たとえば、CH=CH(CFFに基づく単位を、CH=CH(CFF単位とも記載する。
[ヒートシール用積層体]
本発明のヒートシール用積層体(以下、「積層体」ともいう。)は、基材の一方または両方の表面上にヒートシール層を有する。
ヒートシール層はフィルム状またはシート状であり、1層のフッ素樹脂からなる層である。ヒートシール層を構成するフッ素樹脂を第1のフッ素樹脂とする。
基材はフィルム状またはシート状であり、1層以上のフッ素樹脂層からなり、製造しやすい点からは、1層が好ましい。基材中のヒートシール層に隣接する層を構成するフッ素樹脂を第2のフッ素樹脂とする。
(第1の実施形態)
本実施形態の積層体は、第2のフッ素樹脂からなるフィルム状またはシート状の基材に、第2のフッ素樹脂に隣接して第1のフッ素樹脂からなるフィルム状またはシート状のヒートシール層が少なくとも1層が設けられている。すなわち、基材が1層のフッ素樹脂からなる層であり、該基材の一方または両方の表面上にヒートシール層を有する。
基材の両方の表面上にそれぞれヒートシール層が設けられている場合、該2つのヒートシール層を構成する第1のフッ素樹脂は互いに融点が同じである。
第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂は後述のフッ素樹脂(A)から選ばれる互いに融点が異なる2種、または後述のフッ素樹脂(B)から選ばれる互いに融点が異なる2種である。
第1のフッ素樹脂の融点は第2のフッ素樹脂の融点より低く、該融点の差が20℃以上である。該融点の差は30℃以上が好ましい。該融点の差の上限は特に限定されないが、130℃以下が好ましく、90℃以下が特に好ましい。
第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂がフッ素樹脂(A)から選ばれる場合、第1のフッ素樹脂の融点は150〜250℃が好ましく、160〜240℃が特に好ましい。第1のフッ素樹脂の融点が上記範囲の下限値以上であるとヒートシール層が耐熱性に優れ、上限値以下であるとヒートシール層と基材との融点差がつけやすい。第2のフッ素樹脂の融点は170〜280℃が好ましく、180〜270℃が特に好ましい。第2のフッ素樹脂の融点が上記範囲の下限値以上であるとヒートシール層と基材との融点差がつけやすく、上限値以下であると加工性に優れる。
第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂がフッ素樹脂(B)から選ばれる場合、第1のフッ素樹脂の融点は200〜280℃が好ましく、220〜270℃が特に好ましい。第1のフッ素樹脂の融点が上記範囲の下限値以上であると基材が耐熱性に優れ、上限値以下であるとヒートシール層と基材との融点差がつけやすい。第2のフッ素樹脂の融点は220〜320℃が好ましく、230〜310℃が特に好ましい。第2のフッ素樹脂の融点が上記範囲の下限値以上であるとヒートシール層と基材との融点差がつけやすく、上限値以下であるとフッ素樹脂(B)が成形性に優れる。
<フッ素樹脂(A)>
フッ素樹脂(A)は、エチレン(以下、「E」ともいう。)に基づく単位(以下、「E単位」ともいう。)と、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」ともいう。)に基づく単位(以下、「4F単位」ともいう。)と、他の単位の1種以上とからなり、E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、E単位と4F単位との合計100モルに対して、他の単位の合計が0.2〜25.0モルである共重合体である。
他の単位の具体例としては、炭素数3〜8のオレフィンに基づく単位(以下、「Ole単位」ともいう。)、炭素数3〜8のフルオロオレフィンに基づく単位(以下、「F−Ole単位」ともいう。)、または後述の他の単量体(Z)に基づく単位が挙げられる。
F−Ole単位としては、ヘキサフルオロプロピレンに基づく単位(以下、「6F単位」ともいう。)等が挙げられる。
他の単量体(Z):フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(以下、「VDF」ともいう。)、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、CH=CH(CFF(ただし、aは2〜10の整数。)、CH=CF(CFH(ただし、bは2〜10の整数。)等の含フッ素オレフィン;CF=CFOR(ただし、Rは、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のフルオロアルキル基を表す。)等のフルオロ(アルキルビニルエーテル);CF=CFORSO(ただし、Rはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のフルオロアルキレン基を表し、Xはハロゲン原子または水酸基を表す。);CF=CFORCO(ただし、Rはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のフルオロアルキレン基を表し、Xは水素原子または炭素数3以下のアルキル基を表す。);CF=CF(CFOCF=CF(ただし、cは1または2を表す。)、およびペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等。
他の単量体(Z)として、耐候性と機械的強度に優れる(屈曲耐性向上等)点でCH=CH(CFFが好ましく、CH=CHCFCFCFCF(以下、「PFBE」ともいう。)が特に好ましい。
フッ素樹脂(A)の融点の制御方法としては、E単位:4F単位のモル比の制御;他の単位の種類とその含有量の制御が挙げられる。これらは併用してもよい。
E単位:4F単位のモル比が50:50に近いほど融点は高くなり、これよりE単位の比率が大きくなっても、小さくなっても融点は低くなる傾向にある。
フッ素樹脂(A)としては、第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂の一方または両方が、E単位と、4F単位と、他の単位とからなり、他の単位がCH=CH(CFF単位を含む共重合体が好ましい。他の単位が、さらに「CH=CH(CFF単位以外の他の単位」を含んでもよい。
E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、かつE単位と4F単位の合計100モルに対してCH=CH(CFF単位が0.2〜5.0モルである共重合体が好ましい。CH=CH(CFF単位がCH=CHCFCFCFCF単位であることが好ましい。
または、フッ素樹脂(A)として、第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂の一方または両方が、E単位と、4F単位と、他の単位とからなり、他の単位がF−Ole単位を含む共重合体が好ましい。さらにOle単位を含むことが好ましい。「Ole単位またはF−Ole単位以外の他の単位」を含んでもよい。
E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、かつE単位と4F単位との合計100モルに対してF−Ole単位が0.2〜20モルであり、Ole単位を含まない共重合体、または、
E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、かつE単位と4F単位との合計100モルに対してF−Ole単位が0.2〜20モルであり、Ole単位が0モル超〜15モル、好ましくは0.2〜5.0モルである共重合体が好ましい。
「Ole単位またはF−Ole単位以外の他の単位」は、E単位と4F単位との合計100モルに対して、10モル以下が好ましく、5モル以下がより好ましい。下限値はゼロでもよいが、これを含む場合は0モル超であり、0.2モル以上が好ましく、0.4モル以上が特に好ましい。
F−Ole単位として6F単位が好ましい。Ole単位としてブチレンまたはイソブチレンに基づく単位が好ましい。「Ole単位またはF−Ole単位以外の他の単位」としては、他の単量体(Z)に基づく単位が挙げられる。
<フッ素樹脂(B)>
フッ素樹脂(B)は、4F単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位(以下、「PAVE単位」ともいう。)と、他の単位の1種以上とからなり、4F単位:PAVE単位のモル比が90:10〜99.8:0.2であり、4F単位とPAVE単位の合計を100モルとするとき、他の単位の合計が0〜15.0モルである共重合体である。他の単位の合計が0〜15.0モルとは、他の単位を含まないか、または0モル超〜15.0モル含むことを意味する。
PAVE単位の具体例としては、下記ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位が挙げられる。CF=CFOR(ただし、Rは、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)が挙げられる。
におけるペルフルオロアルキル基は、直鎖状でもよく分岐状でもよい。Rの炭素数は1〜3が好ましい。CF=CFORとしては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF等が挙げられ、CF=CFOCFCFCF(以下、「PPVE」ともいう。)が好ましい。
1分子内に2種以上のPAVE単位が存在してもよい。その場合、本明細書におけるPAVE単位の含有量は、該2種以上のPAVE単位の合計を意味する。
フッ素樹脂(B)の融点の制御方法としては、4F単位:PAVE単位のモル比の制御;他の単位として6F単位を用い、該6F単位の含有量の制御が挙げられる。これらの方法は併用してもよい。
4F単位:PAVE単位のモル比において、PAVE単位の比率が大きくなるほど融点は低くなる傾向にある。
6F単位を含有させる場合、6F単位の含有量が多いほど融点は低くなる傾向にある。
フッ素樹脂(B)としては、4F単位、PAVE単位、6F単位、6F単位以外の他の単位とからなり、4F単位:PAVE単位のモル比が90:10〜99.8:0.2であり、かつ4F単位とPAVE単位との合計100モルに対して6F単位が0〜15.0モルである共重合体。PAVE単位がPPVEに基づく単位であることが好ましい。
フッ素樹脂(B)が6F単位を含む場合、4F単位とPAVE単位との合計100モルに対して、0.2〜15.0モルが特に好ましい。
6F単位以外の他の単位は、4F単位とPAVE単位との合計100モルに対して、15.0モル以下が好ましく、15.0モル以下がより好ましい。下限値はゼロでもよいが、これを含む場合は0モル超であり、0.2モル以上が好ましく、1.0モル以上がより好ましい。
6F単位以外の他の単位としては、ヘキサフルオロプロピレン以外の上記他の単量体(Z)に基づく単位が挙げられる。
本実施形態の積層体を製造する方法としては、フィルム状に成形した各層を熱プレスする方法(熱ラミネート法);多層ダイを用いて各層の材料を溶融押出する方法(共押出法);フィルム状に成形した層の上に別の層の材料を溶融押出する方法(押出ラミネート法)等が挙げられる。これらの方法の2つ以上を組み合わせてもよい。
ヒートシール層の厚さは5μm以上が好ましく、10μm以上が特に好ましい。上限は80μm以下が好ましく、50μm以下が特に好ましい。ヒートシール層の厚さが上記範囲の下限値以上であると安定したヒートシール強度が得られ、上限値以下であるとヒートシール層と基材との融点差がつけやすい。
基材の厚さは特に限定されないが、積層体全体の機械的強度の点からは25μm以上が好ましく、35μm以上が特に好ましい。
(第2の実施形態)
本実施形態の積層体は、基材が2層以上のフッ素樹脂層が積層されたものであり、該基材の一方または両方の表面上にヒートシール層を有する。
本実施形態において、基材をなす複数のフッ素樹脂層のうち、ヒートシール層に隣接するフッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂が第2のフッ素樹脂である。
第1のフッ素樹脂と第2のフッ素樹脂は第1の実施形態と同様である。
本実施形態において、第2のフッ素樹脂がフッ素樹脂(A)であれば、基材の残りの層もフッ素樹脂(A)からなる層であることが好ましい。同様に、第2のフッ素樹脂がフッ素樹脂(B)であれば、基材の残りの層もフッ素樹脂(B)からなる層であることが好ましい。
基材において、ヒートシール層に隣接するフッ素樹脂層以外のフッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂は特に限定されない。本発明の効果を損なわない範囲で任意のフッ素樹脂を用いることができる。
基材の一方の表面上にのみヒートシール層が設けられている場合、該ヒートシール層とは反対側の最表層を構成するフッ素樹脂は、ヒートシール層を構成する第1のフッ素樹脂よりも融点が高い。
本実施形態の積層体を製造する方法は、第1の実施形態と同様の方法を用いることができる。基材として予め製造された積層体を用いてもよく、基材を構成する各フッ素樹脂層の積層工程と、さらにヒートシール層を積層する工程を同時に行ってもよく、これらを組み合わせてもよい。
本実施形態におけるヒートシール層の厚さおよび基材の厚さは、好ましい範囲も含めて第1の実施形態と同様である。
[ヒートシール接合体の製造方法]
本発明のヒートシール接合体の製造方法は、本発明のヒートシール用積層体のヒートシール層同士を、ヒートシール層を構成する第1のフッ素樹脂の融点より10℃以上高い温度(シール温度)でヒートシールして、ヒートシール層が接合一体化されたヒートシール接合体を製造する方法である。互いに接合される2つのヒートシール層を構成する第1のフッ素樹脂は同種の樹脂である。
シール温度は第1のフッ素樹脂の融点より高く、ヒートシール層の融点+10℃以上が好ましい。温度差が上記範囲の下限値以上であるとヒートシール層同士が充分な強度で接合され、剥離等が発生しにくい。
シール温度の上限は、基材を構成しているフッ素樹脂の融点未満であることが好ましい。基材が2層以上のフッ素樹脂層からなる場合は、シール温度の上限は、最も融点が低いフッ素樹脂層の融点未満であることが好ましい。
該フッ素樹脂層の融点と該シール温度との差の絶対値は10℃以上が好ましく、20℃以上が特に好ましい。
シール温度の上限が上記の上限値以下であると、ヒートシール部近傍における機械的強度の低下が小さい。ヒートシール方法は、公知の手法を用いることができる。
本発明によれば、フッ素樹脂からなる基材の表面上に特定のヒートシール層を設けることにより、ヒートシールする際のシール温度を低くできる。低温でヒートシールすると、基材が過剰に軟化するのを防止できるため、ヒートシールの際に加えられる圧力によって樹脂流れが生じてその結果、引張強度等の機械的強度が低下するのを防止できる。
また、ヒートシール層を設けたことによって、基材の機械的強度が低下しない。加えて、紫外線照射に対する耐久性、繰り返し荷重疲労に対する耐久性、および高温高湿環境下での経時劣化に対する耐久性を低下させることなく、低温でのヒートシール可能であり、優れた接合強度も得られる。
[ヒートシール用積層体の用途]
本発明の積層体は、前述の膜構造物用外部被覆フィルム、農業用温室被覆フィルム以外にも、種々の用途に使用できる。
たとえば、工業用薬液容器、医療用包装容器、細胞培養容器、レトルトパック等の多層液体容器の最内層;食品容器等の容器類;リチウムイオン電池のソフトパック容器等の工業用電子部材;真空断熱材等の真空保持のための多層バリアフィルムの接着層;カーボンファイバーやニクロム線等の発熱体を内包する面状発熱体外装等が挙げられる。第1のフッ素樹脂同士を低温でヒートシールできるため、シール部分の形状が安定し、剥離強度等の機械強度が低下するのを防止できる。第2のフッ素樹脂の機械的強度が低下しないため、繰り返し荷重疲労に対する耐久性、および高温高湿環境下での経時劣化に対する耐久性を低下させることなく、ヒートシール部の接合信頼性を向上させることができる。
また、本発明の積層体は低温でヒートシールできるため、生産性改善のみならず、耐熱性の低い材料との複合化が可能となる。複合化が可能な材料としては、エポキシ樹脂、ブチルゴム、EPDMゴム、NBRゴム等が挙げられる。本発明の積層体は、これらの材料を含む成形品の外装材としても容易に使用でき、好適である。
成形品の外側に本発明の積層体を貼合し、その表面を改質する場合においても、第1のフッ素樹脂層を被接着面に他方を反対側に配して熱圧着することにより、第2フッ素樹脂層を著しく変形することなく接合できうることから、各種成形体外装フィルム、加飾フィルム、保護フィルムに用いることができる。成形品としては、壁紙、カーテン、床材、内装材等に好適である。この場合、電気・電子機器(パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳等の携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品等)の筐体、建材(パネル)等、自動車・二輪車関連部品・部材および外板、同燃料関係・排気系または吸気系各種継手部品、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、ランプハウジング、点火装置ケース、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、航空機関連部品・部材および外板、風車の羽根等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。例1〜4、11〜12および15〜16が実施例、例13〜14および17が参考例である。
[測定方法・評価方法]
(基材およびヒートシール層の厚さ)
得られた積層体における基材の厚さおよびヒートシール層の厚さは、デジタルマイクロスコープ(製品名:VHX−1000、キーエンス社製)を用い、積層体の断面の拡大映像(500〜1,000倍)から装置に内蔵されている寸法測定ツールで測定した値である。
(引張試験)
<試験片の作製方法>
四角形のフィルム(積層体または基材)を2枚用意し、積層体の場合にはヒートシール層同士を向かい合うようにして、基材の場合には基材同士を向かい合うようにして、一辺の端部のみを重ねた。重なり部分の幅は20mmとし、該20mmの中央の12.7mmをシール部分(シール幅が12.7mm)とした。所定のシール温度で該シール部分をヒートシールしてヒートシール接合体とした。
得られたヒートシール接合体からダンベル状の試験片(JIS3号)を切り出した。このとき前記シール部分の幅方向をダンベル状の試験片の長さ方向とし、かつ前記シール部分をダンベル形状のくびれ部分の中央に配置した。すなわち、シール部分に対してシール幅方向の引張応力が作用するように試験片を作製した。
<引張試験条件>
引張試験機(製品名:テンシロ万能材料試験機、RTG−1310A、オリエンテック社製)を用いて、試験片に対して、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行い、最大強度を引張強度(N/cm)とした。
(剥離試験)
<試験片の作製方法>
幅2cmm、長さ8cmの短冊状のフィルム(積層体または基材)を2枚用意し、積層体の場合にはヒートシール層同士を向かい合うようにして、基材の場合には基材同士を向かい合うようにして、完全に重ね合せ、長さ方向の一方の端部において、先端部分を所定のシール温度でヒートシールして試験片を作製した。前記長さ方向におけるヒートシールした部分の長さ(シール幅)は12.7mmとした。
<剥離試験条件>
得られた試験片のヒートシールされていない端部の2枚のフィルムを、上記引張試験と同じ引張試験機にセットし、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行い、最大強度を剥離強度(N/cm)とした。
(紫外線照射試験)
試験片は前記引張試験用の試験片と同様にして作製した。
促進耐候性試験機(製品名:Eye Super UV Tester、型式:W−231、岩崎電機社製)を用い、試験片に対して500時間の紫外線照射を行った後、前記の方法で引張試験を行った。なお、紫外線照射の前にも前記の方法で引張試験を行った。
試験機の運転条件は、照射ランプ:メタルハライドランプ、照射強度:100mW/cm、サイクルは、照射10時間→結露(照射停止)2時間→休止6分(内1分間シャワー)の繰り返しとした。
紫外線照射前の試験片の引張強度(単位:N/cm)を100%とするときの、紫外線照射後の試験片の引張強度(単位:N/cm)の比率を引張強度保持率(単位:%)とした。該引張強度保持率が高いほど、紫外線照射に対する耐久性が高いことを意味する。
(繰り返し荷重疲労試験)
<試験片の作製方法>
試験片は前記引張試験用の試験片と同様にして、ヒートシール接合体を作製し、得られたヒートシール接合体からダンベル状の試験片(ASTM D412 typeC)を切り出した。
<繰り返し荷重疲労試験条件>
ゴム疲労試験機(製品名:NRF50−08、ヨシミ社製)に試験片をセットし、下記の条件で、破断が生じるまで繰り返し引張変形を与えた。1サイクルを1回とし、破断が生じたときの回数(破断回数)を記録した。
運転条件は、試験温度23±1℃、16〜2MPaの繰り返し荷重サイクル1Hz、サイクルの最大回数30万回とした。
破断回数が多いほど、繰り返し荷重疲労に対する耐久性が高いことを意味する。
試験片5個について上記試験を行い、全ての試験片で最大回数30万回でも破断が生じなかった場合は「>30(万回)」と記録し、途中で破断した場合はその回数の範囲を記録した。
(高温高湿試験)
試験片は前記引張試験用の試験片と同様にして作製した。
恒温恒湿器(製品名:プラナス、タバイ・エスペック社製)を用い、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気に試験片を1,000時間暴露した。暴露前後に前記の方法で引張試験を行った。
暴露前の試験片の引張強度(単位:N/cm)を100%とするときの、暴露後の試験片の引張強度(単位:N/cm)の比率を引張強度保持率(単位:%)とした。該引張強度保持率が高いほど、高温高湿環境下(促進試験)での経時劣化に対する耐久性が高いことを意味する。
(製造例1:フッ素樹脂(A−1)の製造)
本例では、テトラフルオロエチレン(TFE)と、エチレン(E)と、PFBEの共重合体であるフッ素樹脂(A−1)を合成した。
すなわち、内容積1.3Lの重合槽を脱気して、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの881.9g、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(製品名:AK225cb、旭硝子社製。以下、「AK225cb」ともいう。)の335.5g、PFBEの7.0gを仕込み、TFEの165.2g、Eの9.8gを圧入し、重合槽内を66℃に昇温した。重合開始剤溶液としてt−ブチルペルオキシピバレート(以下、「PBPV」ともいう。)のAK225cb溶液(濃度1質量%)の7.7mLを仕込み、重合を開始させた。重合中、圧力が一定になるようにTFE/E=54/46(モル比)の単量体混合ガスを連続的に供給した。また、単量体混合ガスの仕込みに合わせて、TFEとEとの合計モル数に対して1.4モル%に相当する量のPFBEを連続的に仕込んだ。重合開始から2.9時間後、単量体混合ガスの100gを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温するとともに重合槽の圧力を常圧までパージし、フッ素樹脂(A−1)を得た。
得られたフッ素樹脂(A−1)は、E単位:4F単位=51:49(モル比)であり、E単位と4F単位との合計:PFBE単位=100:1.4(モル比)である共重合体であって、融点は262℃であった。
(製造例2:フッ素樹脂(A−2)の製造)
本例では、TFEと、Eと、PFBEの共重合体であり、E単位:4F単位のモル比と、E単位と4F単位との合計に対するPFBE単位の割合が、前記フッ素樹脂(A−1)とは異なるフッ素樹脂(A−2)を合成した。
すなわち、内容積10Lの重合槽を脱気して、CHCHの3,065g、メタノールの170g、TFEの528g、Eの21g、PFBEの41gを仕込み、さらにTFE/E/PFBE=58.1/38.8/3.1(モル比)の単量体混合ガスを仕込んだ。これらの混合物を充分撹拌しながら温度を65℃に保持した。次に、重合開始剤溶液としてt−ブチルオキシイソブチレートの50重量%溶液(溶媒は1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(以下、「R113」ともいう。))の29mLを添加し重合を開始した。重合中、圧力が一定になるようにTFE/E/PFBEが57/40/3.1(モル比)の単量体混合ガスを連続的に供給した。7.25時間後、白色のフッ素樹脂(A−2)の882gを得た。
得られたフッ素樹脂(A−2)は、E単位:4F単位=57:43(モル比)であり、E単位と4F単位との合計:PFBE単位=100:2.2(モル比)である共重合体である。融点は223℃であった。
(製造例3:フッ素樹脂(A−3)の製造)
本例では、特許第5077754号の合成例1に記載の方法にしたがって、4F単位/E単位/ヘキサフルオロプロピレン単位/ブチレン単位/無水イタコン酸単位=46.3/43.1/9.2/1.0/0.4(モル比)、融点:187℃の共重合体を得た。E単位:4F単位=約48.2:約51.8(モル比)、E単位と4F単位との合計100モルに対して、他の単位の合計は約11.9モルであり、6F単位は約10.3モルである。
[例1〜4:積層体の製造]
押出機(田辺プラスチックス機械社製、シリンダー直径30mm)の3台と3層共押出ダイ(田辺プラスチックス機械社製)を用い、表1に記載の条件にて共押出して、フッ素樹脂(A−1)からなる基材の両面上にヒートシール層を有する積層体(1)〜(4)を製造した。
Figure 2016215637
[例11〜12:ヒートシール接合体の製造]
表2に示すように、例1で得た積層体(1)同士、または例2で得た積層体(2)同士を、シール温度を変えてヒートシールしてヒートシール接合体を製造した。得られたヒートシール接合体について引張強度および剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
[例13]
フッ素樹脂(A−1)からなる厚さ100μmのフィルムから、上記と同じ形状の引張試験用の試験片を切り出し、引張強度を測定した。結果を表2に示す。
[例14]
フッ素樹脂(A−1)からなる厚さ100μmのフィルム同士を、表2に示すようにシール温度を変えてヒートシールしてヒートシール接合体を製造した。例11〜12と同様にして引張強度および剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2016215637
表2の結果より以下のことがわかる。
例14はヒートシール層を有さず、基材同士をヒートシールした例である。
シール温度が258℃であると、剥離強度が低く、接合が不充分であった。
シール温度が268℃であると、剥離強度は優れていたが、基材のみである例13より引張強度が劣っていた。シール温度が高いために樹脂の劣化が生じたと考えられる。
シール温度が278℃であると、引張強度がシール温度268℃の場合よりさらに劣り、剥離強度も低下した。シール温度がより高いために樹脂がより劣化したと考えられる。
これらのことから、ヒートシール層を有さずに基材同士をヒートシールする場合、優れた剥離強度を得るためにはシール温度を高くする必要があるが、その結果、樹脂の劣化が生じ、引張強度が低下しやすいことがわかる。
基材上にヒートシール層を有する例11においては、第1のフッ素樹脂(ヒートシール層)の融点+10℃より高いシール温度でヒートシールしたシール温度200、220、240、260℃の場合では、例14のシール温度268℃の場合よりも低いシール温度で剥離強度および引張強度が優れていた。
すなわち、基材上にヒートシール層を有することによって、低いシール温度で優れた接合強度を得ることができた。
特にシール温度200、220、240℃の場合、基材のみである例13と同等以上の引張強度が得られた。シール温度260℃の場合の引張強度が、シール温度240℃の場合より低く、また基材のみである例23より低かったのは、シール温度が高いために樹脂の劣化が生じたと考えられる。
一方、シール温度が第1のフッ素樹脂の融点よりは高いが、該融点+10℃の値よりは低い180℃の場合には、剥離試験において簡単に剥がれてしまい、接合が不充分であった。
例11と同様にして、基材上にヒートシール層を有する例12においては、第1のフッ素樹脂(ヒートシール層)の融点+10℃より高いシール温度でヒートシールしたシール温度240、260℃の場合では、例14のシール温度268℃の場合よりも低いシール温度で剥離強度および引張強度が優れていた。
一方、シール温度が第1のフッ素樹脂の融点よりは高いが、該融点+10℃の値よりは低い200、220℃の場合には、シール温度240、260℃の場合に比べて剥離強度が各段に低く、接合が不充分であった。
[例15〜16]
表3に示す条件で、例3で得た積層体(3)同士、または例4で得た積層体(4)同士をヒートシールしてヒートシール接合体を製造した。得られたヒートシール接合体について紫外線照射試験、繰り返し荷重疲労試験、高温高湿試験を行った。結果を表3に示す。
[例17]
フッ素樹脂(A−1)からなる厚さ250μmのフィルム同士(基材同士)を、表3に示す条件でヒートシールしてヒートシール接合体を製造した。例15〜16と同様にして紫外線照射試験、繰り返し荷重疲労試験、高温高湿試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2016215637
表3の結果より以下のことがわかる。
例17は、ヒートシール層を有さずに基材同士を278℃の高温でヒートシールして、ヒートシール接合体を得た例である。
例15〜16は、基材上にヒートシール層を有する積層体同士をシール温度220、240℃と低いシール温度でヒートシールして、ヒートシール接合体を得たので、各耐久試験において、例17と同等の結果が得られた。
このことから、基材上にヒートシール層を有することにより、フッ素樹脂からなる基材の耐久性の低下を抑えつつ、ヒートシールする際のシール温度を低くできることがわかる。

Claims (5)

  1. 第2のフッ素樹脂からなるフィルム状もしくはシート状の基材、または第2のフッ素樹脂の層を少なくとも一方の表面に有するフッ素樹脂積層体からなるフィルム状もしくはシート状の基材に、第2のフッ素樹脂に隣接して第1のフッ素樹脂からなるヒートシール層を少なくとも1層設けた積層体であって、
    前記第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂は、下記フッ素樹脂(A)から選ばれる互いに融点が異なる2種、または下記フッ素樹脂(B)から選ばれる互いに融点が異なる2種であり、
    第1のフッ素樹脂の融点は第2のフッ素樹脂の融点より低く、該融点の差が20℃以上であることを特徴とするヒートシール用積層体。
    フッ素樹脂(A):エチレンに基づく単位(E単位)と、テトラフルオロエチレンに基づく単位(4F単位)と、他の単位の1種以上とからなり、E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、E単位と4F単位との合計100モルに対して、他の単位の合計が0.2〜25.0モルである共重合体。
    フッ素樹脂(B):テトラフルオロエチレンに基づく単位(4F単位)と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位(PAVE単位)と、他の単位の1種以上とからなり、4F単位:PAVE単位のモル比が90:10〜99.8:0.2であり、4F単位とPAVE単位との合計100モルに対して、他の単位の合計が0〜15.0モルである共重合体。
  2. 前記第1のフッ素樹脂および第2のフッ素樹脂がフッ素樹脂(A)であって、
    前記他の単位がCH=CH(CFFに基づく単位を含み、E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、かつE単位と4F単位の合計100モルに対してCH=CH(CFFに基づく単位が0.2〜5.0モルである共重合体、または
    前記他の単位が炭素数3〜8のフルオロオレフィンに基づく単位を含み、E単位:4F単位のモル比が40:60〜60:40であり、かつE単位と4F単位の合計100モルに対して炭素数3〜8のフルオロオレフィンに基づく単位が0.2〜20モルである共重合体である、請求項1に記載のヒートシール用積層体。
  3. 請求項1または2に記載のヒートシール用積層体のヒートシール層同士を、該ヒートシール層を構成する第1のフッ素樹脂の融点より10℃以上高い温度でヒートシールすることを特徴とするヒートシール接合体の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載のヒートシール用積層体を用いた膜構造物、農業用温室または容器。
  5. 請求項1または2に記載のヒートシール用積層体と、エポキシ樹脂、ブチルゴム、EPDMゴムおよびNBRゴムからなる群から選ばれる1種以上を含む成形品と、の複合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114393900A (zh) * 2021-12-14 2022-04-26 山东东岳高分子材料有限公司 一种热封焊接用多层氟膜及其制备方法

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