JP2005221911A - 反射防止膜を有する光学素子 - Google Patents

反射防止膜を有する光学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005221911A
JP2005221911A JP2004031546A JP2004031546A JP2005221911A JP 2005221911 A JP2005221911 A JP 2005221911A JP 2004031546 A JP2004031546 A JP 2004031546A JP 2004031546 A JP2004031546 A JP 2004031546A JP 2005221911 A JP2005221911 A JP 2005221911A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
optical element
film
refractive index
antireflection film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004031546A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4495476B2 (ja
Inventor
Kazuhiro Yamada
和広 山田
Naoto Sasaki
直人 佐々木
Hiroyuki Nakayama
寛之 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Original Assignee
Pentax Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pentax Corp filed Critical Pentax Corp
Priority to JP2004031546A priority Critical patent/JP4495476B2/ja
Publication of JP2005221911A publication Critical patent/JP2005221911A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4495476B2 publication Critical patent/JP4495476B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Optical Head (AREA)

Abstract

【課題】 疎水性を有する低屈折率の反射防止膜であって、低いガラス転移温度を有するレンズにも適用可能な反射防止膜を有する光学素子を提供する。
【解決手段】 レンズ1表面に反射防止膜2を有する光学素子であって、反射防止膜2が疎水化処理されたシリカエアロゲル層を有する光学素子。
【選択図】 図1


Description

本発明は、反射防止膜を有する光学素子に関し、特に光ピックアップ装置、半導体装置、内視鏡等に用いる大きな開口数(NA)を有する光学素子、及び光通信に用いるボール状の光学素子に好適な光学素子に関する。
光ピックアップ装置や半導体装置の対物レンズには、大きな開口数(NA)を有するレンズが使用されており、近年では、レーザーの使用波長を405 nmとし、NA0.85の対物レンズを用いた光ピックアップ装置が提案されている。NA0.85のレンズは、例えば図3に示すような形状である。対物レンズとして使用する場合、レーザー光はR1面側から照射され、R2面側に透過する。レーザー光はほぼ平行光であり、対物レンズの中心に垂直入射するように照射される。このためレンズ周辺部においては、光線入射角は非常に大きい。図3に示す例では、レンズの有効径E内における光の最大入射角度は65°である。対物レンズは照射された光を効率的に透過させるのが望ましいが、入射角度に比例して反射光量も多くなる。図3に示す形状であって、反射率1.72のガラスからなるレンズのR1面における反射率を図4に示す。光線入射角度65°の位置では、照射された光は15.5%も反射されてしまう。
反射光量を減少させて照射光を効率よく透過させるために、光ピックアップ装置や半導体装置の対物レンズの表面には反射防止膜がコーティングされている。例えば単層の反射防止膜は、反射防止膜表面での反射光と、反射防止膜とレンズの境界での反射光との光路差が波長の1/2の奇数倍となってこれらの光が干渉により打ち消し合う厚さになるように設計される。単層の反射防止膜は、基材より小さく、かつ空気等の入射媒質より大きい屈折率を有するように設計される。屈折率1.5程度のガラスからなるレンズの反射防止膜は、屈折率1.2〜1.25が理想的であると言われている。しかし、このような理想的な屈折率を有する物質は無いので、屈折率1.38のMgF2が反射防止膜材料として汎用されている。
特開平6-167601号(特許文献1)は、基板の成膜面をエッチングしたのち、前記成膜面にSiO2に対するNaFの体積混合比が1乃至3の範囲内の混合膜を蒸着し、ついで前記混合膜を水中に浸漬する多孔質反射防止膜の製造方法を記載している。蒸着により得られたSiO2とNaFとからなる混合膜を水に浸すことによりNaFが水に溶解して微細孔となり、SiO2からなる多孔質反射防止膜が得られる。この製造方法により得られる多孔質反射防止膜は、1.3程度の屈折率を有する。しかしながらこの多孔質反射防止膜は大きな吸湿性を有しており、使用中に微細孔に水が入り込んで屈折率が変化する等、経時劣化が大きいという問題がある。
特開2001-272506号(特許文献2)は、CVD法を用いて低温でアルキル基をを含む膜を基体に形成した後、熱処理により膜中からこれらアルキル基を脱離して微細な気孔を生じさせる反射防止膜の製造方法を記載している。具体的には大きな分極性を有するアルキルアミン等と、テトラ・イソシアネート・シラン等のアルコキシシランとの反応によりシリカ膜を形成した後、シリカ膜を300℃以上で加熱することによりアルキル基を脱離及び気化させる。これにより孔径10 nm未満の微細な気孔がシリカ膜中に形成し、1.25程度の屈折率を有するシリカ膜となる。加熱処理により多孔質シリカ膜の疎水性は向上し、経時劣化は起こり難くなる。しかしシリカ膜に十分な疎水性を付与するためには、400℃超で加熱する必要がある。光ピックアップの対物レンズ用のガラスモールドレンズには400℃より低いガラス転移温度を有するものもあり、高温の加熱処理に適していないという問題がある。
特開平6-167601号公報 特開2001-272506号公報
従って、本発明の目的は、疎水性を有する低屈折率の反射防止膜であって、低いガラス転移温度を有するレンズにも適する反射防止膜を有する光学素子を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、有機修飾されたシリカエアロゲル層を有する反射防止膜は、低屈折率であって疎水性を有する上、超臨界流体により高温の加熱処理工程を要することなく作製できることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の光学素子はレンズ表面に反射防止膜を有するもので、前記反射防止膜を構成する少なくとも一層がシリカエアロゲル層であり、前記シリカエアロゲル層が有機修飾されていることを特徴とする。
前記シリカエアロゲル層は超臨界流体により乾燥されているのが好ましい。超臨界状態の二酸化炭素流体等により32〜300℃でシリカエアロゲル層を乾燥することができる。レンズの有効径内であって基板傾斜角度50°以上の部分の投影面積は、前記有効径内の投影面積の10%以上であるのが好ましい。
前記反射防止膜の屈折率が1.15〜1.35であって、前記レンズの屈折率が1.45〜1.85であるのが好ましい。前記反射防止膜のシリカエアロゲル層の物理層厚は50〜150 nmであるのが好ましい。前記光学素子は光ピックアップ装置の対物レンズとして用いられるのが好ましい
本発明の光学素子はレンズ表面に反射防止膜を有し、反射防止膜は有機修飾されたシリカエアロゲル層を有する。有機基の結合したシリカエアロゲル層は優れた疎水性を有し、経時劣化し難い。またシリカエアロゲル層は超臨界流体によって乾燥することができるので、レンズを高温に加熱することなく作製できる。このためガラス転移温度の低いレンズにも、レンズを変性することなく成膜することができる。
[1] 光学素子
図1は本発明の光学素子の一例を示す。図1に示す光学素子は、凸状の第一の面11を有するレンズ1と、第一の面11に成膜された反射防止膜2とからなる。光学素子の裏面側は、凹状の第二の面12となっている。図1に示す例では第一の面11にのみ反射防止膜2が成膜されているが、本発明はこれに限定されず、反射防止膜2はレンズ1の第一の面11及び第二の面12に成膜されていても良い。図中の反射防止膜2は、実際より厚く描かれている。
図1(b) に示すように、レンズ1の有効径E内であって基板傾斜角度θが50°以上の部分の投影面積Sは、有効径E内部の投影面積の10%以上である。このようなレンズの場合、有効径E内部における最大基板傾斜角度θmaxは通常60°〜75°である。本明細書において基板傾斜角度θは、図2に示すように第一の面11の中心110に接する面Foと、第一の面11上の点tに接する面Fとのなす角度を示す。60°〜75°の最大基板傾斜角度θmaxを有するレンズは、光ピックアップ装置等の対物レンズに好適である。
レンズ1の屈折率は1.45〜1.85であるのが好ましい。屈折率1.45未満であると、高Na化し難すぎる。屈折率1.85超であると、一般に紫外〜青色域の波長の光を吸収するので特に405 nm光用途では硝材として適しない。屈折率1.45〜1.85の物質としては、BK7、LASF016等の光学ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英、青板ガラス、白板ガラス、PMMA樹脂、PC樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
反射防止膜2はシリカエアロゲル層を有する。図1に示す例では反射防止膜2は単層であるのでシリカエアロゲル層のみからなっているが、本発明はこれに限定されず、反射防止膜2はシリカエアロゲル層以外の層を有しても良い。多層の反射防止膜2の場合、シリカエアロゲル層を表面に有するのが好ましい。シリカエアロゲル層を表面に有することにより、入射媒質と反射防止膜2との境界における屈折率差が小さくなって、良好な反射防止効果が得られる。
シリカエアロゲル層はシリカ微粒子によって構成されており、シリカ微粒子の表面の少なくとも一部は、疎水化処理されている。具体的にはメチル基、エチル基、フェニル基、シリル基等の有機基がシリカ微粒子に結合している。シリカエアロゲル層を構成するシリカ微粒子の隙間は微細孔となっているが、シリカ微粒子の表面に有機基が結合しているために、この微細孔に水分子が入り込み難く、またシリカ微粒子の表面に水が結合し難い。従って、シリカエアロゲル層は優れた疎水性を有する。
シリカエアロゲル層の好ましい厚さは、屈折率や使用波長によって様々である。光ピックアップ装置の対物レンズの場合、シリカエアロゲル層の好ましい物理層厚は50〜150 nmである。
レンズ周辺部における反射防止膜2の物理膜厚Dとレンズ中心の物理膜厚D0との比D/D0は、(COS(基板傾斜角度))0.7〜(COS(SIN-1(SIN(基板傾斜角度/反射防止膜の屈折率))))-1であるのが好ましい。本明細書中、「レンズ周辺部」とは基板傾斜角度θが50°以上の部分を示す。反射防止膜2の物理膜厚はレンズ中心から周辺部にかけて徐々に小さくなっているものの、その減少は比較的小さい。このためレンズ中心で最適な膜厚となるように設計されている場合でも、レンズ周辺部における反射防止膜2の膜厚が小さ過ぎず、良好な反射防止効果を示すことができる。レンズ周辺部における物理膜厚が一様でない場合、その最大値、最小値及び平均値のいずれを物理膜厚Dとしても良い。
反射防止膜2の屈折率は1.15〜1.35であるのが好ましい。屈折率は反射防止膜2の空孔率に依存する。屈折率1.15未満にするには、反射防止膜2の空孔率を67%超にする必要がある。このため屈折率1.15未満であると、機械的強度が小さすぎる。屈折率1.35超であると、優れた反射防止効果が得られない。
[2] 光学素子の製造方法
レンズ1の表面にシリカエアロゲル層のみからなる反射防止膜2を形成する場合を例にとって、光学素子の製造方法を説明する。
(1) シリカエアロゲル層の原料
(a) アルコキシシラン及びシルセスキオキサン
アルコキシシラン及び/又はシルセスキオキサンの加水分解重合により、シリカゾル及びシリカゲルが生成する。アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するものが好ましい。アルコキシル基を3つ以上有するアルコキシシランを出発原料とすることにより、優れた均一性を有する反射防止膜が得られる。具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが挙げられる。アルコキシシランオリゴマーとしては、上述のモノマーの縮重合物が好ましい。アルコキシシランオリゴマーはモノマーの加水分解重合により得られる。
シルセスキオキサンを出発原料とした場合も、優れた均一性を有する反射防止膜が得られる。シルセスキオキサンは一般式RSiO1.5(ただしRは有機官能基を示す。)により表され、ネットワーク状ポリシロキサンの総称である。Rとしては、例えばアルキル基(直鎖でも分岐鎖でも良く、炭素数1〜6である。)、フェニル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)が挙げられる。シルセスキオキサンはラダー型、籠型等種々の構造を有することが知られており、分子内に空孔を有するものもある。また優れた耐候性、透明性及び硬度を有しており、シリカエアロゲルの出発原料として好適である。
(b) 溶媒
溶媒は水とアルコールからなるのが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。溶媒の水/アルコール体積比は1〜2であるのが好ましい。水/アルコール比が2超であると、溶媒の揮発に時間がかかり過ぎる。水/アルコール比が1未満であると、アルコキシシラン及び/又はシルセスキオキサン(以下、単に「アルコキシシラン等」という)の加水分解が十分に起こらない。
(c) 触媒
アルコキシシラン等の水溶液に触媒を添加するのが好ましい。適当な触媒を添加することによりアルコキシシラン等の加水分解反応を促進することができる。触媒は塩基性であるのが好ましく、具体的にはアンモニア、アミン、NaOH、KOHが挙げられる。好ましいアミンとしてはアルコールアミン、アルキルアミン(メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン)が挙げられる。
(2) シリカ層の形成
水とアルコールからなる溶媒に、アルコキシシラン等を溶解する。溶媒/アルコキシシラン等のモル比は5〜40にするのが好ましい。モル比が5未満であると、アルコキシシラン等が溶解し難過ぎる。モル比が40超であると、シリカ層の乾燥に時間がかかり過ぎる。触媒/アルコキシシラン等のモル比は1×10-3〜3×10-2にするのが好ましく、3×10-3〜1×10-2にするのがより好ましい。モル比が1×10-3未満であると、アルコキシシラン等の加水分解が十分に起こらない。モル比を3×10-2超としても、触媒効果は増大しない。
アルコキシシラン等の水溶液をレンズ表面に塗布する。塗布方法は特に限定されず、スプレーコート法、スピンコート法、ディップ法、フローコート法等、一般的な方法によることができる。最大基板傾斜角度θmax60°〜75°のレンズ表面に反射防止膜を形成する場合、アルコキシシラン等の水溶液をスプレーコートするのが好ましい。スプレーコート法を用いることにより、大きな最大基板傾斜角度を有するレンズにも均一に塗布することができ、反射防止膜のレンズ中央部とレンズ周辺部との膜厚比を小さくすることができる。スプレーコートは、一般的な装置及び方法によることができる。
レンズ表面にアルコキシシラン等の水溶液を塗布した後で乾燥させることにより、アルコキシシラン等をゲル化させる。室温でも十分に乾燥させることができるが、70℃以下であれば加熱しても差し支えない。室温の場合、3時間程度保持するとゲル化は十分に進行し、シリカゲル層が得られる。
(3) 疎水化処理
シリカゲル層を疎水化処理溶液に浸漬することにより、シリカゲル層を構成するシリカ微粒子の表面を疎水化処理する。疎水化処理剤は下記式(1)〜(3)
R3SiNHSiR3RxSiCly ・・・(1)
RxSi(OH)yR3SiOSiR3 RxSi(OR)yMpSi(OH)(4-p) ・・・(2)
RxSi(OCOCH3)y ・・・(3)
(ただしxは1〜3の整数であり、yはy = 4−x を満たす1〜3の整数であり、pは2〜3の整数であり、R及びMは水素、アルキル基又はアリール基であり、RとMは同じでも異なってもよく、アルキル基は置換又は無置換であって炭素数1〜18であり、アリール基は置換又は無置換であって炭素数5〜18である。)のいずれかにより表される化合物及びそれらの混合物である。
好ましい疎水化処理剤としては、アセトキシトリメチルシラン、アセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、2-トリメチルシロキシペント-2-エン-4-オン、n-(トリメチルシリル)アセトアミド、2-(トリメチルシリル)酢酸、n-(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルプロピオレート、トリメチルシリル(トリメチルシロキシ)−アセテート、ノナメチルトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール、t-ブチルジメチルシラノール、ジフェニルシランジオールが挙げられる。最も好ましい疎水化処理剤はヘキサメチルジシラザンである。
疎水化処理溶液の溶媒はメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物が好ましく、揮発性、コスト等の観点からエタノールが特に好ましい。
疎水化処理剤の種類や濃度にもよるが、疎水化処理溶液は80〜120℃に保持するのが好ましい。80℃未満であると、疎水化処理剤とシリカとの反応が遅すぎる。120℃超であると、反応が局所的に起こって均一に疎水化され難すぎる。反応中、溶液の温度及び濃度に分布が生じないように、溶液を撹拌するのが好ましい。疎水化処理溶液がヘキサメチルジシラザンのエタノール溶液の場合、100〜120℃で1〜3時間(例えば2時間)程度保持すると、シリカエアロゲル層に十分に有機基が結合する。
(4) 超臨界乾燥
超臨界状態の流体により疎水化シリカゲル層を乾燥する。超臨界流体としては超臨界温度が300℃以下のものが好ましく、50℃以下のものがより好ましい。超臨界温度300℃以下の超臨界流体を用いてシリカゲル層を乾燥することにより、レンズの温度が400℃超になる工程を経ることなく光学素子を作製することができる。このためガラス転移温度の低いレンズに反射防止膜を形成しても、レンズが変性しない。好ましい超臨界流体としては二酸化炭素、エタン、エチレン、エタノール、メタノール等が挙げられる。超臨界温度及び圧力の低さ、コスト、取扱い性等の観点から二酸化炭素超臨界流体が特に好ましい。
乾燥方法は特に限定されず、一般的な方法に拠ることができる。二酸化炭素超臨界流体によって乾燥する場合、例えば密閉容器中に疎水化シリカゲル層を有する光学素子を入れ、二酸化炭素ガスを充填した後、密閉容器内の温度及び圧力を上げて二酸化炭素を超臨界状態にする。二酸化炭素ガスから直接超臨界状態にしても良いし、液化二酸化炭素ガスを経由しても良い。超臨界状態にすることにより、シリカ微粒子が結合してなる構造を維持したままで、シリカゲル層中の分散媒が超臨界二酸化炭素中に抽出される。このため分散媒が入り込んでいたシリカ微粒子の隙間に超臨界二酸化炭素が置換して微細孔となり、シリカエアロゲル層が形成する。超臨界二酸化炭素の置換前後で、微細孔の収縮はほとんど起こらない。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1) シリカゲル膜の作製
メチルシリケート100 g、アンモニア0.1 g、及びエタノール80 mLを水35 mLに溶解した。得られたメチルシリケート溶液をLAK14ガラスからなる対物レンズ1(両面非球面レンズ、屈折率n=1.72)の第一の面11にスプレーコートし、膜厚104 nmのシリカ膜を形成した。次いで60℃で1時間保持することによりシリカ膜をゲル化させた。
(2) 疎水化処理
濃度0.2 moL/Lとなるようにヘキサメチルジシラザンをエタノールに溶解した。得られたヘキサメチルジシラザン溶液を110℃に加熱し、実施例1(1)で得られたシリカゲル膜付きレンズをこれに入れた。溶液の濃度及び温度に分布が生じないように保持しながら、シリカゲル膜が浸漬した状態で2時間保持した後、レンズを引き上げた。
(3) 超臨界乾燥
実施例1(2)で得られた疎水化シリカゲル膜付きのレンズを密閉容器に入れた後、容器内を二酸化炭素ガスで充填した。次に密閉容器内を50℃、圧力8.0 MPaにして二酸化炭素を超臨界状態にし、10時間保持した。シリカゲル膜のエタノールが二酸化炭素によって置換され、シリカエアロゲル膜が形成した。シリカエアロゲル膜の屈折率は1.25であり、膜厚は乾燥前とほぼ同じであった。
実施例2
BK7ガラスからなる対物レンズ1(両面非球面レンズ、屈折率n=1.53)の第一の面11に、膜厚113 nmとなるようにシリカ膜を形成した以外実施例1と同様にして、シリカエアロゲル膜を有する光学素子を作製した。シリカエアロゲル膜の屈折率は1.20であった。
比較例1
LAK14ガラスからなる対物レンズ1(両面非球面レンズ、屈折率n=1.72)の第一の面11に、電子ビーム式の真空蒸着装置を用いて、MgF2(屈折率n=1.38)を膜厚132 nmとなるように蒸着した。MgF2からなる緻密膜を有する光学素子が得られた。
比較例2
各層の厚さが表1のとおりとなるように、ZrO2(屈折率n= 2.04)からなる薄層と、MgF2(屈折率n= 1.38)からなる薄層とを交互に形成した以外比較例1と同様にして、多層緻密膜を有する光学素子を作製した。


Figure 2005221911
比較例3
BK7ガラスからなる対物レンズ1(両面非球面レンズ、屈折率n=1.53)の第一の面11に、膜厚114 nmとなるようにMgF2(屈折率n=1.38)を蒸着した以外比較例1と同様にして、MgF2緻密膜を有する光学素子を作製した。
実施例1〜3、並びに比較例1〜3で作製した光学素子の第一の面11に、空気中で波長405 nmのレーザー光を照射し、光透過率 (%)を測定した。また比較例4としてLAK14ガラスレンズ、比較例5としてBK7ガラスレンズの光透過率 (%)を同様に測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005221911
本発明の光学素子の一例を示し、(a) は縦断面図であり、(b) は上面図である。 図1に示す光学素子の部分拡大断面図である。 光ピックアップ装置の対物レンズの一例を示す断面図である。 レンズの光線入射角度と反射率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1・・・レンズ
11・・・第一の面
12・・・第二の面
2・・・反射防止膜

Claims (6)

  1. レンズ表面に反射防止膜を有する光学素子であって、前記反射防止膜を構成する少なくとも一層がシリカエアロゲル層であり、前記シリカエアロゲル層が有機修飾されていることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、前記シリカエアロゲル層が超臨界流体により乾燥されていることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1又は2に記載の光学素子において、前記レンズの有効径内であって基板傾斜角度50°以上の部分の投影面積が、前記有効径内の投影面積の10%以上であることを特徴とする光学素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子において、前記反射防止膜の屈折率が1.15〜1.35であって、前記レンズの屈折率が1.45〜1.85であることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光学素子において、前記シリカエアロゲル層の物理層厚が50〜150 nmであることを特徴とする光学素子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子において、光ピックアップ装置の対物レンズに用いられることを特徴とする特徴とする光学素子。
JP2004031546A 2004-02-09 2004-02-09 反射防止膜を有する光学素子の製造方法 Expired - Fee Related JP4495476B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004031546A JP4495476B2 (ja) 2004-02-09 2004-02-09 反射防止膜を有する光学素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004031546A JP4495476B2 (ja) 2004-02-09 2004-02-09 反射防止膜を有する光学素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005221911A true JP2005221911A (ja) 2005-08-18
JP4495476B2 JP4495476B2 (ja) 2010-07-07

Family

ID=34997571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004031546A Expired - Fee Related JP4495476B2 (ja) 2004-02-09 2004-02-09 反射防止膜を有する光学素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4495476B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007148401A (ja) * 2005-11-29 2007-06-14 Chugoku Sarin Kigyo Kofun Yugenkoshi 軸対称型ガラスレンズ
JP2007213780A (ja) * 2006-01-11 2007-08-23 Pentax Corp 反射防止膜を有する光学素子
JP2009258711A (ja) * 2008-03-25 2009-11-05 Hoya Corp 反射防止膜の形成方法及び光学素子
WO2010074066A1 (ja) * 2008-12-26 2010-07-01 コニカミノルタオプト株式会社 光学素子、光ピックアップ装置及び光学素子の製造方法
JP2010204394A (ja) * 2009-03-03 2010-09-16 Hoya Corp 反射防止膜の製造方法、並びに反射防止膜及び光学素子
US8029871B2 (en) 2005-06-09 2011-10-04 Hoya Corporation Method for producing silica aerogel coating
US8298622B2 (en) 2005-04-22 2012-10-30 Pentax Ricoh Imaging Company, Ltd. Silica aerogel coating and its production method
WO2020196851A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 株式会社ニコン 多孔質膜、光学素子、光学系、交換レンズ、光学装置および多孔質膜の製造方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0748527A (ja) * 1993-08-06 1995-02-21 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 反射防止層を有する光学材料及びその製造方法
JPH10221502A (ja) * 1997-02-07 1998-08-21 Nikon Corp 光学薄膜の製造方法および光学薄膜
JPH11500078A (ja) * 1995-02-22 1999-01-06 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト 超臨界流体による重合物品の離型、抽出及び浄化の方法
JP2000085025A (ja) * 1998-09-09 2000-03-28 Nikon Corp 光学薄膜の製造方法及び光学薄膜
JP2001006204A (ja) * 1999-06-22 2001-01-12 Sharp Corp 光ピックアップ装置及び光記録媒体
JP2002338303A (ja) * 2001-05-22 2002-11-27 Nissan Motor Co Ltd 低反射部材
JP2003222707A (ja) * 2002-01-31 2003-08-08 Konica Corp 光学レンズおよび光情報記録再生装置
JP2005510436A (ja) * 2001-11-21 2005-04-21 ユニバーシティー オブ マサチューセッツ メソポーラス材料および方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0748527A (ja) * 1993-08-06 1995-02-21 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 反射防止層を有する光学材料及びその製造方法
JPH11500078A (ja) * 1995-02-22 1999-01-06 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト 超臨界流体による重合物品の離型、抽出及び浄化の方法
JPH10221502A (ja) * 1997-02-07 1998-08-21 Nikon Corp 光学薄膜の製造方法および光学薄膜
JP2000085025A (ja) * 1998-09-09 2000-03-28 Nikon Corp 光学薄膜の製造方法及び光学薄膜
JP2001006204A (ja) * 1999-06-22 2001-01-12 Sharp Corp 光ピックアップ装置及び光記録媒体
JP2002338303A (ja) * 2001-05-22 2002-11-27 Nissan Motor Co Ltd 低反射部材
JP2005510436A (ja) * 2001-11-21 2005-04-21 ユニバーシティー オブ マサチューセッツ メソポーラス材料および方法
JP2003222707A (ja) * 2002-01-31 2003-08-08 Konica Corp 光学レンズおよび光情報記録再生装置

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8298622B2 (en) 2005-04-22 2012-10-30 Pentax Ricoh Imaging Company, Ltd. Silica aerogel coating and its production method
US8029871B2 (en) 2005-06-09 2011-10-04 Hoya Corporation Method for producing silica aerogel coating
JP2007148401A (ja) * 2005-11-29 2007-06-14 Chugoku Sarin Kigyo Kofun Yugenkoshi 軸対称型ガラスレンズ
JP2007213780A (ja) * 2006-01-11 2007-08-23 Pentax Corp 反射防止膜を有する光学素子
JP2009258711A (ja) * 2008-03-25 2009-11-05 Hoya Corp 反射防止膜の形成方法及び光学素子
US8586144B2 (en) 2008-03-25 2013-11-19 Pentax Ricoh Imaging Company, Ltd. Method for forming anti-reflection coating and optical element
WO2010074066A1 (ja) * 2008-12-26 2010-07-01 コニカミノルタオプト株式会社 光学素子、光ピックアップ装置及び光学素子の製造方法
JP2010204394A (ja) * 2009-03-03 2010-09-16 Hoya Corp 反射防止膜の製造方法、並びに反射防止膜及び光学素子
WO2020196851A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 株式会社ニコン 多孔質膜、光学素子、光学系、交換レンズ、光学装置および多孔質膜の製造方法
JPWO2020196851A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01
CN113710735A (zh) * 2019-03-28 2021-11-26 株式会社尼康 多孔质膜、光学元件、光学系统、交换透镜、光学装置和多孔质膜的制造方法
JP7196996B2 (ja) 2019-03-28 2022-12-27 株式会社ニコン 多孔質膜、光学素子、光学系、交換レンズ、光学装置および多孔質膜の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4495476B2 (ja) 2010-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4448392B2 (ja) 反射防止膜を有する光学素子の製造方法
JP4951237B2 (ja) 防曇性反射防止膜の製造方法
JP5375247B2 (ja) 反射防止膜の形成方法及び光学素子
Pfeiffer et al. Wide-angle broadband antireflection coatings prepared by atomic layer deposition
US8125714B2 (en) Anti-reflection coating, optical member, exchange lens unit and imaging device
JP5109108B2 (ja) シリカエアロゲル膜の製造方法
JP5219805B2 (ja) シリカフィルムの形態制御
US7022416B2 (en) Article coated with coating film, and functional article coated with coating film using the same
US6983093B2 (en) Fluid light guide having hydrophobic aerogel cladding layer
JP2008040171A (ja) セルフクリーニング効果を有する反射防止膜を設けた光学素子及びその製造方法
JP2006215542A (ja) 反射防止膜及びこれを有する撮像系光学素子
JP4828232B2 (ja) 反射防止膜を有する光学素子及びその製造方法
US9176259B2 (en) Sol-gel based antireflective (AR) coatings with controllable pore size using organic nanocrystals and dendrimers
JP2010038948A (ja) 反射防止膜及びこれを有する光学部品、交換レンズ及び撮像装置
JP6329959B2 (ja) シロキサン化合物を含む超親水性反射防止コーティング組成物、それを用いた超親水性反射防止フィルムおよびその製造方法
JP4495476B2 (ja) 反射防止膜を有する光学素子の製造方法
JP2019504464A (ja) インプリント用インク組成物、インプリント方法、光学エレメント、照明装置、光センサ及び光起電力装置
Cui et al. A hydrophobic and abrasion-resistant MgF 2 coating with an ultralow refractive index for double-layer broadband antireflective coatings
JP5375204B2 (ja) 反射防止膜の製造方法、並びに反射防止膜及び光学素子
JP2009015310A (ja) 光学素子の製造方法および光学素子
JP2012018286A (ja) 3層構成の反射防止膜を有する光学部材
JP2020515060A (ja) ナノインプリントリソグラフィプロセスと、それから得られるパターン化基板
JP6592897B2 (ja) シリカエアロゲル膜の製造方法
JP2007213780A (ja) 反射防止膜を有する光学素子
JP2017058429A (ja) 反射防止膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070111

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091015

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100331

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100409

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140416

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees