JP2005206752A - 中空重合体粒子、その水性分散液およびそれらの製造方法 - Google Patents

中空重合体粒子、その水性分散液およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、空隙率の高い中空重合体粒子を含む水性分散液を、製造時の凝集物発生を抑制しながら、効率よく製造できる中空重合体粒子水性分散液の製造方法を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】 酸性基を比較的多く含む芯重合体とそれを包囲する外層重合体との少なくとも2層構造からなる重合体粒子を形成し、上記芯重合体に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和して形成されたボイドを有する中空重合体を製造するにあたり、下記一般式(1)の構造を有する界面活性剤を所定量用いて芯重合体を調製する。
R−O−(CHCHO)−SOM (1)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、nは5〜40の整数である。)
【選択図】 無し

Description

本発明は、中空重合体粒子、その水性分散液およびそれらの製造方法に関し、より詳しくは、空隙率の高い中空重合体粒子、その水性分散液、および、それらを、製造時の凝集物発生を抑制しながら、効率よく製造できる製造方法に関する。
従来より、中空重合体粒子は、粒子中に密実均一に重合体が充填された重合体粒子と比べて、光を良く散乱させ、光の透過性を低くすることから、隠蔽剤や不透明度、白色度などの光学的性質に優れた有機顔料として水系塗料、紙塗工用組成物などの用途で汎用されている。
このような用途においては、塗料や塗工紙などの軽量化および中空重合体粒子による断熱化、不透明化などの効果を向上させるために、配合する中空重合体粒子の空隙率を高めることが望まれている。しかしながら、従来知られている中空重合体粒子の製造方法では、空隙率の高い中空重合体粒子を、効率よく、安定的に製造することは困難であった(例えば、特許文献1〜5。)。
上記問題の解決手段として、特許文献6には、酸性基含有単量体を含む単量体混合物を共重合してなる芯重合体を、少量の酸性基含有単量体を含む単量体混合物を共重合してなる中間層重合体と、さらに極少量の酸性基含有単量体と芳香族ビニル単量体とを含む単量体混合物を共重合してなる外層重合体とで包囲してなる、少なくとも3層構造の重合体粒子の水性分散液を、不揮発性塩基で処理する中空重合体粒子の製造方法が開示されている。この方法によれば、製造時の凝集物発生量が少なく、比較的空隙率の高い中空重合体粒子を効率よく得ることができる。しかしながら、この方法で得られる中空重合体粒子の空隙率は40%程度であり、さらに空隙率の高い中空重合体粒子を得ようとすると、中空重合体粒子の製造時に凝集物発生量が増加するという問題があった。
特開平6−248012号公報 特開昭61−185505号公報 特開平1−48805号公報 特開平1−201313号公報 特開平4−224803号公報 特開平10−182761号公報
本発明は、空隙率の高い中空重合体粒子を含む水性分散液を、製造時の凝集物発生を抑制しながら、効率よく製造できる中空重合体粒子水性分散液の製造方法を提供することを主目的とするものである。
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意研究した結果、酸性基を比較的多く含む芯重合体と実質的に芯重合体を包囲する外層重合体との少なくとも2層構造からなる重合体粒子を形成し、上記芯重合体に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和して形成されたボイドを有する中空重合体粒子を製造するにあたり、特定構造の界面活性剤を所定量用いて芯重合体を調製することにより、凝集物量を増加させることなく、空隙率の高い中空重合体粒子が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
かくして、本発明によれば、以下の発明1〜4が提供される。
1.(1)酸性基含有単量体20〜60重量%およびこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%からなる単量体混合物(a)を、前記単量体混合物(a)の全量に対して、下記一般式(1):
R−O−(CHCHO)−SOM (1)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、nは5〜40の整数である。)で示される界面活性剤0.1〜5重量%の存在下で共重合してなる芯重合体(A)と、
(2)酸性基含有単量体0〜15重量%およびこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって形成された、実質的に前記芯重合体(A)を包囲する少なくとも1層の外層重合体(B)と
からなる少なくとも2層構造を有し、かつ、芯重合体(A)に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有することを特徴とする中空重合体粒子。
2.前記1記載の中空重合体粒子の水性分散液。
3.(1)酸性基含有単量体20〜60重量%およびこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%からなる単量体混合物(a)を、前記単量体混合物(a)の全量に対して、下記一般式(1):
R−O−(CHCHO)−SOM (1)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、nは5〜40の整数である。)で示される界面活性剤0.1〜5重量%の存在下で共重合することによって芯重合体(A)を調製し、
(2)前記芯重合体(A)の存在下に、酸性基含有単量体0〜15重量%およびこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって、実質的に前記芯重合体(A)を包囲する外層重合体(B)を形成し、
(3)得られた少なくとも2層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して前記分散液のpHを7以上とする、
前記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする中空重合体粒子の製造方法。
4.前記3記載の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする中空重合体粒子の水性分散液の製造方法。
本発明によれば、製造時の凝集物発生を抑制しながら、空隙率の高い中空重合体粒子およびその水性分散液を効率よく得ることができる。
本発明の中空重合体粒子は、芯重合体(A)と外層重合体(B)とからなる少なくとも2層構造を有し、かつ、芯重合体(A)に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有することを特徴としている。
1.芯重合体(A)
芯重合体(A)は、酸性基含有単量体20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%およびこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%、好ましくは70〜50重量%からなる単量体混合物(a)を共重合して得られる。酸性基含有単量体の量が過小であると、塩基処理工程において重合体粒子中に塩基が浸透し難くなり、重合体粒子中にボイドの形成が困難となる。また、その量が過大であると、芯重合体(A)が外層重合体(B)の外側へ移動し易くなり、各工程での安定性が損なわれ、凝集物発生量が多くなる傾向がある。
本発明で使用する酸性基含有単量体は酸性を示す官能基を有する単量体であって、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸;イタコン酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体などを挙げることができる。これらの酸性基含有単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
過度に親水性が強い酸では酸性基が重合体粒子の外側に局在し易く、外層重合体による芯重合体粒子の被覆が困難となったり、重合体粒子内のボイドの形成が困難になる。酸性基含有単量体の中でもエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
酸性基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジンなどを挙げることができる。これらの単量体の中でもエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を必要に応じて使用することができる。ただし、架橋性単量体を多量に使用するとボイド形成が困難になるので、その量は安定なボイド形成が維持できる範囲にとどめるべきである。
本発明においては、上記単量体混合物(a)を、下記一般式(1)で示される界面活性剤の存在下で共重合することが必須の条件である。
R−O−(CHCHO)−SOM (1)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、nは5〜40の整数である。)
一般式(1)中のRで示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が小さすぎても、大きすぎても、凝集物が生成し易くなる。Rを構成する炭素数は、10〜20であることが好ましい。アルキル基またはアルケニル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。
一般式(1)中のnの数が小さすぎても、大きすぎても、凝集物が生成し易くなる。nの数は10〜30の整数であることが好ましい。
一般式(1)中のMは、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、アルカリ金属イオンであることが好ましく、ナトリウムイオンであることがより好ましい。
一般式(1)で示される界面活性剤としては、単一の構造を有する化合物のみを使用しても、異なる構造を有する化合物を混合して使用してもよい。
一般式(1)で示される界面活性剤の使用量は、単量体混合物(a)の全量に対して、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。この使用量が過小であると凝集物が生成し易く、逆に過大であると中空重合体粒子の空隙率が低くなる。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記一般式(1)で示される界面活性剤以外の、一般に公知の界面活性剤を併用することができる。具体的には、ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩;オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリルスルホン酸;などのアニオン性界面活性剤や、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテルなどのノニオン性界面活性剤や、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性合成高分子物質;ゼラチン、水溶性でんぷん等の天然親水性高分子物質;カルボキシメチルセルロース等の親水性半合成高分子物質;などの分散安定剤などが挙げられる。
前記の共重合は、通常、水性媒体中で行なわれる。
水性媒体としては、通常、水が用いられ、製造時の重合体粒子の分散安定性を損なわない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。水性媒体の使用量は、単量体混合物(a)100重量部に対して、通常、100〜1000重量部、好ましくは200〜600重量部である。この使用量が少なすぎると、重合時の凝集物発生量が増加する傾向にあり、逆に多すぎると中空重合体粒子の生産性が劣る傾向にある。
重合方法としては、通常、乳化重合法が採られる。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式などのいずれの方式を採用してもよい。重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されることなく、公知の条件が採られる。
重合用副資材としては、乳化重合反応に一般に使用されるもの、例えば、重合開始剤、連鎖移動剤、キレート剤、電解質、脱酸素剤などの各種添加剤を使用することができる。
前記の共重合は、シードを用いて行うことが望ましい。シードを使用すれば生成する重合体粒子の径を制御することが容易となる。シードの組成は格別限定されない。重合反応における単量体混合物(a)の重合転化率は、通常、90重量%以上、好ましくは97重量%以上であり、生成する共重合体の組成は使用した単量体混合物(a)の組成とほぼ同じである。
前記一般式(1)で示される界面活性剤の添加方法としては、特に限定されず、反応器に一括で、分割して、又は連続的に添加する方法が採用できる。製造時の凝集物発生量をより少なくできる点で、界面活性剤を反応器に連続的に添加する方法が好ましい。また、単量体混合物(a)と一般式(1)で示される界面活性剤は、混合して反応器に添加しても、別々に反応器に添加してもよい。なかでも、単量体混合物(a)と上記界面活性剤と水性媒体とを混合して得られる乳化物の形態で、反応器に添加することが好ましい。
また、本発明においては、単量体混合物(a)を、少量の無機塩の存在下に共重合することが好ましい。上記一般式(1)の界面活性剤と無機塩とを併用すると、凝集物の生成を抑制しながら、粒径分布が狭い中空重合体粒子の水性分散液が得られる。
無機塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩;塩化カルシウム、硫酸バリウムなどのアルカリ土類金属塩;硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、トリポリリン酸ナトリウムがより好ましい。
無機塩の使用量は、単量体混合物(a)の全量に対して、0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。使用量が過小であるとその効果が発現しにくく、逆に過大であると凝集物の発生を助長する傾向にある。
無機塩の添加方法は、特に限定されず、反応器に一括で、分割して、又は連続的に添加する方法が採用できる。
芯重合体(A)における酸性基含有単量体単位の半径方向の分布は、特に限定されない。単量体混合物(a)の組成を逐次変化させて重合反応系に添加しながら共重合を行うことができるが、このような重合方法によって、芯重合体粒子中に酸性基含有単量体単位の含有量に半径方向の分布を生じる場合には、酸性基含有単量体単位の最も少ない部分が、該部分を形成する全単量体単位に対して酸性基含有単量体単位を10重量%以上、好ましくは15重量%以上含有することが好ましい。この割合が10重量%未満では、中空重合体粒子のボイドの中に小粒子が生成し、空隙率が低くなることがある。
芯重合体(A)の体積平均粒子径は、好ましくは100〜600nm、より好ましくは250〜500nmである。この粒子径が小さすぎると、空隙率が高く、粒子径が大きい中空重合体粒子を製造するのが困難になる傾向があり、逆に大きすぎると、外層重合体による芯重合体粒子の被覆が困難になり、重合体粒子内のボイド形成が困難になる傾向がある。
2.外層重合体(B)
外層重合体(B)は、実質的に芯重合体(A)を包み込むものである。外層重合体(B)は、芯重合体(A)の存在下に、酸性基含有単量体0〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%、好ましくは99.8〜90重量%、さらに好ましくは99.5〜95重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することにより、実質的に芯重合体(A)を包囲するように形成される。
単量体混合物(b)中の酸性基含有単量体の割合が15重量%を超えると塩基処理工程における条件制御が困難となり、中空重合体粒子を安定して得ることができない。
外層重合体(B)の形成に必要に応じて添加される酸性基含有単量体の具体例としては、芯重合体(A)の形成に用いる酸性基含有単量体として例示したものと同様な単量体を挙げることができる。また、これと共重合可能な他の単量体の具体例としては、同様に芯重合体(A)の形成に用いる他の単量体として例示したものと同様な単量体を挙げることができる。
芯重合体(A)と外層重合体(B)との重量比は、通常、1/99〜30/70、好ましくは3/97〜25/75、より好ましくは5/95〜20/80の範囲である。
芯重合体(A)の割合が少なすぎると、空隙率の高い中空重合体粒子が得られ難い傾向があり、逆に多すぎると、塩基処理の際に凝集物発生量が増大する傾向にある。
外層重合体(B)は単一の組成の重合体であっても、異なる組成を有する複数の重合体から構成されるものであってもよい。中でも、より空隙率の高い中空重合体粒子を安定して製造できる点で、外層重合体(B)は、異なる組成を有する2種以上、より好ましくは2種の重合体から構成されていることが好ましい。この場合、単量体混合物(b)の組成を逐次変化させて重合反応系に添加しながら共重合を行うことにより調製できる。
単量体混合物(b)の組成を2段階に変化させながら共重合を行なう場合、以下に示すように行うことが好ましい。
まず、第1段階においては、酸性基含有単量体0〜15重量%、好ましくは1〜12重量%、より好ましくは3〜9重量%およびこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%、好ましくは99〜88重量%、より好ましくは97〜91重量%からなる単量体混合物(b1)を共重合して、外層重合体(B1)を形成する。
単量体混合物(b1)の酸性基含有単量体の割合が過大であると、塩基処理工程における条件制御が困難となる場合がある。一方、その割合が過小であると中空重合体粒子の空隙率を高める効果が十分に得られない場合がある。
単量体混合物(b1)に必要に応じて添加される酸性基含有単量体の具体例としては、芯重合体(A)の形成に用いる酸性基含有単量体として例示したものと同様の単量体を挙げることができる。
単量体混合物(b1)に用いる酸性基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、芯重合体(A)の形成に用いる他の単量体として例示したものと同様の単量体を挙げることができる。中でも、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体がより好ましい。
前記第1段階の共重合は、該単量体混合物(b1)全量に対して、連鎖移動剤0.1〜2重量%、より好ましくは0.1〜1.5重量%、特に好ましくは0.2〜1重量%の存在下に行なうことが好ましい。
ここで使用する連鎖移動剤の量が過小であると、得られる中空重合体粒子の空隙率が低くなる傾向にあり、逆に過大になると、重合時の凝集物発生量が増加する傾向があるだけでなく、空隙率も低くなる傾向にある。
連鎖移動剤としては、一般の乳化重合に使用されている公知の連鎖移動剤を使用することができる。
このような連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジフェニルエチレン、ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマーなどの炭化水素類;およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテンなどを挙げることができる。これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。これらのうち、メルカプタン類およびα−メチルスチレンダイマーが好ましく、メルカプタン類がより好ましく、t−ドデシルメルカプタンが特に好ましく使用できる。
次いで、第2段階においては、酸性基含有単量体0〜3.5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%およびこれと共重合可能な他の単量体100〜96.5重量%、好ましくは99.9〜97重量%、より好ましくは99.8〜98重量%からなる単量体混合物(b2)を共重合し、実質的に前記外層重合体(B1)を包囲する外層重合体(B2)を形成する。
ここで、単量体混合物(b2)中の酸性基含有単量体の割合が過大であると、重合体粒子中に形成されるボイドの大きさが小さくなり、ボイドを取囲む殻厚が厚くなって中空重合体粒子の不透明化効果が低下すると共に、重合時の凝集物発生量が増加する傾向がある。より効率よく、空隙率の高い中空重合体粒子を安定的に製造できる点で、単量体混合物(b2)中に酸性基含有単量体を上記範囲で含有させることが好ましい。
なお、空隙率をより高くできる点から、単量体混合物(b2)中の酸性基含有単量体の割合を、単量体混合物(b1)中の酸性基含有単量体の割合より小さくすることが好ましい。
単量体混合物(b2)に必要に応じて添加される酸性基含有単量体の具体例としては、芯重合体(A)の形成に用いる酸性基含有単量体として例示したものと同様の単量体を挙げることができる。
単量体混合物(b2)に用いる酸性基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、芯重合体(A)の形成に用いる他の単量体として例示したものと同様の単量体を挙げることができる。中でも、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体がより好ましく、スチレンが特に好ましく使用できる。芳香族ビニル単量体以外の他の単量体も用いる場合には、芳香族ビニル単量体を単量体混合物(b2)全量の90重量%以上の割合で使用することが好ましい。
単量体混合物(b1)と単量体混合物(b2)との重量比は、通常、1/99〜40/60、好ましくは3/97〜35/65、より好ましくは5/95〜30/70の範囲である。
単量体混合物(b1)の使用量が少なすぎると、空隙率の高い中空重合体粒子が得られ難い傾向があり、逆に多すぎると、塩基処理の際に凝集物発生量が増大する傾向にある。
外層重合体(B)の形成は、通常、乳化重合を採用することにより行なわれる。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式などのいずれの方式を採用してもよく、重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されることなく、公知の条件が採られる。
重合用副資材としては、上記芯重合体(A)の形成において例示したものと同様のものを使用することができる。界面活性剤を用いる場合、その種類は特に限定されず、前記一般式(1)およびそれ以外のものを適宜選択して使用することができる。
なお、水性媒体をさらに追加添加することもでき、その場合の添加量は、得られる少なくとも2層構造を有する重合体粒子の固形分濃度が、通常10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%となる範囲内である。
3.塩基処理
芯重合体(A)と外層重合体(B)とからなる少なくとも2層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して、該水性分散液のpHを7以上とすることによって、芯重合体(A)に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有する中空重合体粒子が得られる(ボイドは水性分散液を形成する水性媒体で充満している)。
塩基としては、揮発性塩基および/または不揮発性塩基を用いることができる。
揮発性塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
不揮発性塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属(重)炭酸塩;炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの(重)炭酸アンモニウム塩;などが挙げられる。
塩基の中でも、揮発性塩基が好ましく、アンモニアおよび水酸化アンモニウムがより好ましく使用できる。
塩基の使用量は、前記芯重合体の酸性基の少なくとも一部を中和して、前記水性分散液のpHを7以上とする量である。
塩基は、添加の際の凝集物発生を抑制する観点から、水溶液の状態で添加することが好ましく、その濃度は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
塩基の添加の際の凝集物発生を抑制する観点から、塩基を添加する前に、アニオン界面活性剤や非イオン界面活性剤を単独または併用して添加することもできる。
塩基を水性分散液に添加して、重合体粒子内部の酸性基を中和させるためには、塩基が重合体粒子内部に拡散する時間が必要であり、従って、塩基を添加した後、時間をかけて攪拌を十分に行うことが望ましい。塩基処理における処理温度は、重合体粒子を十分に軟化させうる温度以上が好ましい。塩基添加後の処理時間は、通常、5〜120分、好ましくは10〜90分間である。
塩基処理工程において、特開平3−26724号公報に開示されている方法に準じて、有機溶剤の存在下に塩基を添加してもよい。有機溶剤の使用によって重合体粒子が軟化し、塩基の拡散が促進される。有機溶剤としては、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール類、エーテル類、ケトン類、飽和カルボン酸エステル類などが挙げられる。有機溶剤は、前記重合体粒子100重量部に対して、通常、0.1〜1000重量部の範囲で使用する。使用した有機溶剤は、塩基処理の後、蒸発させて除去することができる。
塩基処理工程において、有機溶剤のかわりに、重合性単量体を存在させてもよい。重合性単量体としては、通常、酸性基を含まない単量体を使用する。重合性単量体は、前記重合体粒子100重量部に対して、通常、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の範囲で使用する。重合性単量体は新たに添加してもよいし、外層重合体の形成時に過剰に添加しておき、重合禁止剤または還元剤等を添加して重合反応を停止させた状態で上記塩基処理を行ってもよい。過剰の重合性単量体は、塩基処理後に重合開始剤などを追加添加して重合させることにより処理することができる。
芯重合体(A)の形成、外層重合体(B)の形成および塩基処理は、同一の反応器内で段階的に行なっても、前段階の工程を行なった後、前段階の生成物を別の反応器に移送し、その反応器内で次段階の工程を行なってもよい。
以上のようにして、中空重合体粒子を含有する水性分散液を得、重合系を冷却したり、重合禁止剤を添加したりして、重合反応を停止する。その後、所望により、未反応単量体を除去し、水性分散体のpHや固形分濃度を調整し、中空重合体粒子水性分散液を得る。
本発明の中空重合体粒子水性分散液は、前記の方法で製造されたものである。
中空重合体粒子水性分散液中の中空重合体粒子の数平均粒子径は、通常、0.2〜3μm、好ましくは0.4〜2μm、より好ましくは0.8〜1.5μmである。この粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて、中空重合体粒子200個の最大粒子径を測定し、単純平均した値である。
また、中空重合体粒子の空隙率は、通常、45〜60%、好ましくは50〜55%である。なお、空隙率は、透過型電子顕微鏡を用いて、中空重合体粒子200個について、各粒子における最大粒子径とボイドの最大径とを測定し、その数値から計算して求められる空隙率を単純平均した値である。
本発明の中空重合体粒子水性分散液は、例えば、紙、インキ、繊維、皮革等のコーティング、塗料等の用途における有機顔料、光散乱剤又は光散乱助剤;感熱プリンター用紙、熱転写プリンター用紙や感熱紙の感熱層下塗りの断熱層;インクジェット紙の吸収性充填剤、製紙工程の内添充填剤、修正インキや修正リボン用の高隠蔽性顔料、マイクロカプセル材料、電子写真に用いられるトナーの中間材料、空気による断熱特性を利用する用途、樹脂、セメント、コンクリートなどへの内添による軽量化などの空気による軽量化を利用する用途、半導体封止材料等に添加し、空気の低誘電性を利用する用途などに用いることができる。中でも、紙塗工組成物に好適であり、塗工紙の不透明度を向上させるのみならず、高光沢な塗工紙を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。これらの例中の部および%は、特に断りがない限り重量基準である。
物性は以下のように測定した。
(1)体積平均粒子径
シードラテックスおよび芯重合体粒子の体積平均粒子径は、光散乱回折粒径測定装置(LS−230:コールター社製)を用いて、重合体粒子の体積基準の粒度分布に基き、算術平均して計算される平均粒子径(「体積平均粒子径」という。)として求めた。
(2)凝集物発生量
総固形分量が150gに相当する中空重合体粒子を含有する水性分散液を、325メッシュの金網でろ過し、金網上の残存物を水洗した後、105℃で4時間乾燥した。総固形分量150gに対する、金網上の残存物の乾燥重量の割合を百分率で求めた。
(3)数平均粒子径
透過型電子顕微鏡を用いて、中空重合体粒子200個の最大粒子径を測定し、それらを単純平均して求めた。
(4)空隙率(%)
透過型電子顕微鏡を用いて、中空重合体粒子200個について、各粒子における最大粒子径とボイドの最大径とを測定し、その数値から以下のように計算して求められる空隙率を単純平均して得た。
Figure 2005206752
以下の実施例および比較例においては、下記の界面活性剤を用いた。
界面活性剤I:(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:アルキル基=C1225、エチレンオキサイド付加数=18)
界面活性剤II:(ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸ナトリウム:アルケニル基=C1835、エチレンオキサイド付加数=23)
界面活性剤III:(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:アルキル基=C1225、エチレンオキサイド付加数=3)
界面活性剤IV:(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:アルキル基=C1225、エチレンオキサイド付加数=50)
界面活性剤V:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(実施例1)
(芯重合体粒子形成工程)
攪拌装置を備えた耐圧容器に、メタクリル酸メチル(MMA)60部、アクリル酸ブチル(BA)5部、メタクリル酸(MAA)35部、0.9部の界面活性剤I、トリポリリン酸ナトリウム0.15部およびイオン交換水85部を添加し、攪拌して芯重合体形成用の単量体混合物(a)の乳化物を調製した。
攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水40部およびシードラテックス(体積平均粒径82nmのメタクリル酸メチル重合体粒子)0.28部を添加し、85℃に昇温した。
次いで、過硫酸カリウム3%水溶液1.63部を添加し、前記の乳化物の7%を、3時間に亘り、反応器に連続的に添加した後、さらに1時間反応させた。
その後、イオン交換水250部および過硫酸カリウム3%水溶液18.6部を添加し、反応温度を85℃に維持しながら、前記の乳化物の残部を、3時間に亘り、反応器に連続的に添加した。前記乳化物の連続添加を完了した後、さらに2時間反応を継続した。重合転化率は99%以上であった。
重合系を室温まで冷却して、芯重合体粒子を含む水性分散液を得た。この芯重合体粒子の体積平均粒径は380nmであった。
(外層重合体形成工程)
攪拌装置を備えた耐圧容器に、MMA7.8部、BA1.6部、MAA0.6部、t−ドデシルメルカプタン(TDM)0.03部、界面活性剤Iを0.02部およびイオン交換水16部を添加し、攪拌して単量体混合物(b1)の乳化物を調製した。
別の攪拌装置を備えた耐圧容器に、スチレン(ST)79.44部、MAA0.56部、界面活性剤Iを0.4部およびイオン交換水130部を添加し、攪拌して単量体混合物(b2)の乳化物を調製した。
攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水130部および前記の芯重合体粒子10部を含有する水性分散液を添加し、85℃に昇温した。
次いで、4%過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、前記の単量体混合物(b1)の乳化物を20分間に亘り、連続的に反応器に添加した。引き続き、前記の単量体混合物(b2)の乳化物を、120分間に亘り、連続的に反応器に添加した。
(塩基処理工程)
単量体混合物(b2)の乳化物の添加を完了した後、5%アンモニア水25部を添加し、反応温度を90℃に昇温し、60分間塩基処理を行なった。反応液のpHは7以上であった。
さらに、4%過硫酸カリウム水溶液10部を添加した後、2時間反応を継続した。重合転化率は99%以上であった。
重合系を室温まで冷却して、中空重合体粒子水性分散液Aを得た。
凝集物発生量、並びに中空重合体粒子の数平均粒子径および空隙率を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例2および3)
表1に示す重合処方に変更する以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子水性分散液BおよびCを得た。それらの凝集物発生量、並びに中空重合体粒子の数平均粒子径および空隙率を測定した。それらの結果を表1に示す。
(実施例4)
(芯重合体粒子形成工程)
攪拌装置を備えた耐圧容器に、MMA50部、BA10部、MAA40部、0.9部の界面活性剤II、トリポリリン酸ナトリウム0.1部およびイオン交換水85部を添加し、攪拌して芯重合体形成用の単量体混合物(a)の乳化物を調製した。
攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水40部およびシードラテックス(体積平均粒径82nmのメタクリル酸メチル重合体粒子)0.38部を添加し、85℃に昇温した。
次いで、過硫酸カリウム3%水溶液1.63部を添加し、前記の乳化物の7%を、3時間に亘り、反応器に連続的に添加した後、さらに1時間反応させた。
その後、イオン交換水250部および過硫酸カリウム3%水溶液18.6部を添加し、反応温度を85℃に維持しながら、前記の乳化物の残部を、3時間に亘り、反応器に連続的に添加した。前記乳化物の連続添加を完了した後、さらに2時間反応を継続した。重合転化率は99%以上であった。
重合系を室温まで冷却して、芯重合体粒子を含む水性分散液を得た。この芯重合体粒子の体積平均粒径は300nmであった。
(外層重合体形成工程)
攪拌装置を備えた耐圧容器に、MMA7.8部、BA1.6部、MAA0.6部、TDM0.03部およびイオン交換水16部を添加し、攪拌して単量体混合物(b1)の乳化物を調製した。
別の攪拌装置を備えた耐圧容器に、ST81.43部、MAA0.57部、界面活性剤IIを0.492部およびイオン交換水130部を添加し、攪拌して単量体混合物(b2)の乳化物を調製した。
攪拌装置を備えた耐圧反応器に、イオン交換水130部および前記の芯重合体粒子10部を含有する水性分散液を添加し、85℃に昇温した。
次いで、4%過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、前記の単量体混合物(b1)の乳化物を20分間に亘り、連続的に反応器に添加した。引き続き、前記の単量体混合物(b2)の乳化物を、120分間に亘り、連続的に反応器に添加した。
(塩基処理工程)
単量体混合物(b2)の乳化物の添加を完了した後、5%アンモニア水25部を添加し、反応温度を90℃に昇温し、60分間塩基処理を行なった。反応液のpHは7以上であった。
さらに、4%過硫酸カリウム水溶液10部を添加した後、2時間反応を継続した。重合転化率は99%以上であった。
重合系を室温まで冷却して、中空重合体粒子水性分散液Dを得た。
凝集物発生量、並びに中空重合体粒子の数平均粒子径および空隙率を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
表1に示す重合処方に変更する以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子水性分散液E〜Gを得た。それらの凝集物発生量、並びに中空重合体粒子の数平均粒子径および空隙率を測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 2005206752
表1から以下のようなことがわかる。
エチレンオキサイド付加数が本発明で規定する範囲より少ない界面活性剤IIIを用いて芯重合体を形成して得られる中空重合体粒子水性分散液Eは、凝集物発生量が多く、中空重合体粒子の空隙率に劣る(比較例1)。
エチレンオキサイド付加数が本発明で規定する範囲より多い界面活性剤IVを用いて芯重合体を形成して得られる中空重合体粒子水性分散液Fは、凝集物発生量が多く、中空重合体粒子の空隙率が不十分である(比較例2)。
乳化重合において通常使用されるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いて芯重合体を形成して得られる中空重合体粒子水性分散液Gは、凝集物発生量が多く、中空重合体粒子の空隙率が不十分である(比較例3)。
これらの比較例に比べ、本発明の中空重合体粒子水性分散液A〜Dは、凝集物発生量が極めて少なく、高い空隙率を有する中空重合体粒子が得られている(実施例1〜4)。
本発明の方法により得られる中空重合体粒子水性分散液は、有機顔料、断熱材、不透明化剤等として、水系塗料、塗工紙などの分野で用いられる。

Claims (4)

  1. (1)酸性基含有単量体20〜60重量%およびこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%からなる単量体混合物(a)を、前記単量体混合物(a)の全量に対して、下記一般式(1):
    R−O−(CHCHO)−SOM (1)
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、nは5〜40の整数である。)で示される界面活性剤0.1〜5重量%の存在下で共重合してなる芯重合体(A)と、
    (2)酸性基含有単量体0〜15重量%およびこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって形成された、実質的に前記芯重合体(A)を包囲する少なくとも1層の外層重合体(B)と
    からなる少なくとも2層構造を有し、かつ、芯重合体(A)に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有することを特徴とする中空重合体粒子。
  2. 請求項1記載の中空重合体粒子の水性分散液。
  3. (1)酸性基含有単量体20〜60重量%およびこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%からなる単量体混合物(a)を、前記単量体混合物(a)の全量に対して、下記一般式(1):
    R−O−(CHCHO)−SOM (1)
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、nは5〜40の整数である。)で示される界面活性剤0.1〜5重量%の存在下で共重合することによって芯重合体(A)を調製し、
    (2)前記芯重合体(A)の存在下に、酸性基含有単量体0〜15重量%およびこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって、実質的に前記芯重合体(A)を包囲する外層重合体(B)を形成し、
    (3)得られた少なくとも2層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して前記分散液のpHを7以上とする、
    前記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする中空重合体粒子の製造方法。
  4. 請求項3記載の(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする中空重合体粒子の水性分散液の製造方法。
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