JP2006274180A - 重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】凝集物の発生量がきわめて少ない重合体ラテックスの製造方法を提供する。
【解決手段】単量体が水中に微粒子状に分散したエマルションを、撹拌槽内において撹拌しつつ、重合開始剤の存在下に加熱して乳化重合させる重合体ラテックスの製造方法において、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合を行うことを特徴とする重合体ラテックスの製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】単量体が水中に微粒子状に分散したエマルションを、撹拌槽内において撹拌しつつ、重合開始剤の存在下に加熱して乳化重合させる重合体ラテックスの製造方法において、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合を行うことを特徴とする重合体ラテックスの製造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、重合体ラテックスの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、凝集物の発生量がきわめて少ない重合体ラテックスの製造方法に関する。
重合体ラテックスは、有機顔料、塗工液、塗料、接着剤などの原料として使用されている。重合体ラテックスは、重合体が水中で安定にコロイド状に分散している流動性液体である。重合体ラテックスは、単量体の乳化重合により製造される。乳化重合においては、水を媒体とし、水不溶性若しくは難溶性の単量体又はそのような単量体を主成分とする単量体混合物、界面活性剤、及び水溶性重合開始剤などを混合し、撹拌しながら加熱することにより重合を進行させる。
重合体ラテックスの粒子の直径は30nm〜2μm程度であるが、重合中に粒子がくっつきあった凝集物が発生することがある。凝集物の粒子径は数十μm以上に達し、重合体ラテックス中の凝集物の量が多いと、重合体ラテックスを有機顔料、塗工液、塗料、接着剤などの製品の原料として用いたときに、光沢の低下、ストリーク、スクラッチの発生などの製品の不良の原因となる。乳化重合により得られる重合体ラテックス中の凝集物の量を減少するために、単量体の添加時期、添加方法などの重合条件の選定、界面活性剤の選択、製品ラテックスのろ過などのさまざまな方法が提案されているが、簡易でかつ効果的に重合体ラテックス中の凝集物の量を減少し得る手段は確立されていない。
重合体ラテックスの粒子の直径は30nm〜2μm程度であるが、重合中に粒子がくっつきあった凝集物が発生することがある。凝集物の粒子径は数十μm以上に達し、重合体ラテックス中の凝集物の量が多いと、重合体ラテックスを有機顔料、塗工液、塗料、接着剤などの製品の原料として用いたときに、光沢の低下、ストリーク、スクラッチの発生などの製品の不良の原因となる。乳化重合により得られる重合体ラテックス中の凝集物の量を減少するために、単量体の添加時期、添加方法などの重合条件の選定、界面活性剤の選択、製品ラテックスのろ過などのさまざまな方法が提案されているが、簡易でかつ効果的に重合体ラテックス中の凝集物の量を減少し得る手段は確立されていない。
本発明は、凝集物の発生量がきわめて少ない重合体ラテックスの製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、乳化重合による重合体ラテックスの製造方法において、撹拌槽の撹拌翼の回転方向を、正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合を行うことにより、重合体ラテックス中に発生する凝集物の量を顕著に減少し得ることを見いだした。さらに、このような重合体ラテックスの製造方法が、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造に適していることを見出した。そして、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(I)単量体が水中に微粒子状に分散したエマルションを、撹拌槽内において撹拌しつつ、重合開始剤の存在下に加熱して乳化重合させる重合体ラテックスの製造方法において、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合を行うことを特徴とする重合体ラテックスの製造方法、
(II)1回の正回転方向又は逆回転方向の撹拌時間が、3〜180秒である上記に記載の重合体ラテックスの製造方法、及び、
(III)重合体ラテックスの製造方法が、
(1)酸性基を有する単量体20〜60重量%とこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%とからなる単量体混合物(a)のエマルションを乳化重合することによって重合体粒子(a)を調製し、
(2)酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%とからなる単量体混合物(b)のエマルションを、単量体混合物(b)全量に対して0.1〜2重量%の連鎖移動剤、及び前記重合体粒子(a)の存在下に、乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(a)を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成して重合体粒子(b)を調製し、
(3)前記重合体粒子(b)存在下に、酸性基を有する単量体0〜3.5重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜96.5重量%とからなる単量体混合物(c)のエマルションを乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(b)を包囲する外層重合体を形成して少なくとも3層構造を有する重合体粒子(c)を調製し、
(4)得られた重合体粒子(c)を含有する水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とする上記に記載の重合体ラテックスの製造方法、
を提供するものである。
すなわち、本発明は、
(I)単量体が水中に微粒子状に分散したエマルションを、撹拌槽内において撹拌しつつ、重合開始剤の存在下に加熱して乳化重合させる重合体ラテックスの製造方法において、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合を行うことを特徴とする重合体ラテックスの製造方法、
(II)1回の正回転方向又は逆回転方向の撹拌時間が、3〜180秒である上記に記載の重合体ラテックスの製造方法、及び、
(III)重合体ラテックスの製造方法が、
(1)酸性基を有する単量体20〜60重量%とこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%とからなる単量体混合物(a)のエマルションを乳化重合することによって重合体粒子(a)を調製し、
(2)酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%とからなる単量体混合物(b)のエマルションを、単量体混合物(b)全量に対して0.1〜2重量%の連鎖移動剤、及び前記重合体粒子(a)の存在下に、乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(a)を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成して重合体粒子(b)を調製し、
(3)前記重合体粒子(b)存在下に、酸性基を有する単量体0〜3.5重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜96.5重量%とからなる単量体混合物(c)のエマルションを乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(b)を包囲する外層重合体を形成して少なくとも3層構造を有する重合体粒子(c)を調製し、
(4)得られた重合体粒子(c)を含有する水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とする上記に記載の重合体ラテックスの製造方法、
を提供するものである。
本発明の重合体ラテックスの製造方法によれば、特殊な設備を必要とせず、既存の重合装置の撹拌翼に正回転と逆回転を繰り返す機構を付設するのみで、容易に重合体ラテックス中の凝集物の量を低減することができる。本発明方法は、紙の塗工液の有機顔料などとして使用される中空重合体粒子の重合体ラテックスの製造に特に好適に適用することができる。
本発明の重合体ラテックスの製造方法においては、単量体が水中に微粒子状に分散したエマルションを、撹拌槽内において撹拌しつつ、重合開始剤の存在下に加熱して乳化重合させる重合体ラテックスの製造方法において、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合を行う。
本発明方法において、撹拌翼の形状に特に制限はなく、例えば、ディスクタービン翼、パドル翼、湾曲羽根ファンタービン翼、矢羽根タービン翼、ファウドラー型翼、プルマージン型翼、傾斜パドル翼、及びプロペラ翼などを挙げることができる。本発明において、撹拌の方法に特に制限はなく、例えば、図1に示す中心撹拌、偏心傾斜撹拌、及び側面撹拌などを挙げることができる。本発明方法においては、撹拌槽に邪魔板を設けることが好ましい。邪魔板を設けることにより、撹拌翼から離れた部分にも乱流状態を発現して、撹拌効果を高めることができる。
本発明方法においては、被撹拌物の単位容積あたりの撹拌動力が0.01〜0.5kW/m3であることが好ましく、0.03〜0.3kW/m3であることがより好ましい。単位容積あたりの撹拌動力が0.01kW/m3未満であると、十分な撹拌が行われず、ラテックス中の凝集物の発生量が増加するおそれがある。単位容積あたりの撹拌動力が0.5kW/m3を超えると、エマルションの粒子の合一が促進されて、ラテックス中の凝集物の発生量が増加するおそれがある。
本発明方法において、撹拌翼の形状に特に制限はなく、例えば、ディスクタービン翼、パドル翼、湾曲羽根ファンタービン翼、矢羽根タービン翼、ファウドラー型翼、プルマージン型翼、傾斜パドル翼、及びプロペラ翼などを挙げることができる。本発明において、撹拌の方法に特に制限はなく、例えば、図1に示す中心撹拌、偏心傾斜撹拌、及び側面撹拌などを挙げることができる。本発明方法においては、撹拌槽に邪魔板を設けることが好ましい。邪魔板を設けることにより、撹拌翼から離れた部分にも乱流状態を発現して、撹拌効果を高めることができる。
本発明方法においては、被撹拌物の単位容積あたりの撹拌動力が0.01〜0.5kW/m3であることが好ましく、0.03〜0.3kW/m3であることがより好ましい。単位容積あたりの撹拌動力が0.01kW/m3未満であると、十分な撹拌が行われず、ラテックス中の凝集物の発生量が増加するおそれがある。単位容積あたりの撹拌動力が0.5kW/m3を超えると、エマルションの粒子の合一が促進されて、ラテックス中の凝集物の発生量が増加するおそれがある。
本発明方法においては、1回の正回転方向又は逆回転方向の撹拌時間が、3〜180秒であることが好ましく、5〜90秒であることがより好ましい。この範囲未満であると、十分な撹拌が行われず、ラテックス中の凝集物の発生量が増加するおそれがある。この範囲を超えると、正回転と逆回転を繰り返す効果が十分に発現せず、ラテックス中の凝集物の発生量が増加するおそれがある。
本発明方法においては、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間を同一時間とすることができ、あるいは、異なる時間とすることもできる。例えば、正回転方向の撹拌30秒と逆回転方向の撹拌30秒とを繰り返して行うことができ、あるいは、正回転方向の撹拌30秒と逆回転方向の撹拌10秒とを繰り返して行うこともできる。
本発明方法においては、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間を、重合の開始から終了まで同一時間とすることができ、あるいは、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間を、重合の開始から終了までの間に変化させることもできる。例えば、重合の開始時には、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間をそれぞれ60秒とし、重合の進行とともに1回の撹拌時間を次第に短縮して、重合終了時の1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間をそれぞれ10秒とすることができる。
本発明方法においては、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間を同一時間とすることができ、あるいは、異なる時間とすることもできる。例えば、正回転方向の撹拌30秒と逆回転方向の撹拌30秒とを繰り返して行うことができ、あるいは、正回転方向の撹拌30秒と逆回転方向の撹拌10秒とを繰り返して行うこともできる。
本発明方法においては、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間を、重合の開始から終了まで同一時間とすることができ、あるいは、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間を、重合の開始から終了までの間に変化させることもできる。例えば、重合の開始時には、1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間をそれぞれ60秒とし、重合の進行とともに1回の撹拌時間を次第に短縮して、重合終了時の1回の正回転方向の撹拌時間と1回の逆回転方向の撹拌時間をそれぞれ10秒とすることができる。
本発明の重合体ラテックスの製造方法は、本発明の効果がより一層顕著になることから、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造に好適に適用することができる。中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスは、光を良く散乱させ、光の透過性を低くすることから、有機顔料として特に好適に用いられる。中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造においては、
(1)酸性基を有する単量体20〜60重量%とこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%とからなる単量体混合物(a)のエマルションを乳化重合することによって重合体粒子(a)を調製し、
(2)酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%とからなる単量体混合物(b)のエマルションを、単量体混合物(b)全量に対して0.1〜2重量%の連鎖移動剤、及び前記重合体粒子(a)の存在下に、乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(a)を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成して重合体粒子(b)を調製し、
(3)前記重合体粒子(b)存在下に、酸性基を有する単量体0〜3.5重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜96.5重量%とからなる単量体混合物(c)のエマルションを乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(b)を包囲する外層重合体を形成して少なくとも3層構造を有する重合体粒子(c)を調製し、
(4)得られた重合体粒子(c)を含有する水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とすることが好ましい。
(1)酸性基を有する単量体20〜60重量%とこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%とからなる単量体混合物(a)のエマルションを乳化重合することによって重合体粒子(a)を調製し、
(2)酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%とからなる単量体混合物(b)のエマルションを、単量体混合物(b)全量に対して0.1〜2重量%の連鎖移動剤、及び前記重合体粒子(a)の存在下に、乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(a)を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成して重合体粒子(b)を調製し、
(3)前記重合体粒子(b)存在下に、酸性基を有する単量体0〜3.5重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜96.5重量%とからなる単量体混合物(c)のエマルションを乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(b)を包囲する外層重合体を形成して少なくとも3層構造を有する重合体粒子(c)を調製し、
(4)得られた重合体粒子(c)を含有する水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とすることが好ましい。
酸性基を有する単量体は、酸性を示す官能基を有する単量体であって、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸;イタコン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノブチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体などを挙げることができる。本発明方法において、酸性基を有する単量体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジンなどを挙げることができる。これらの単量体の中で、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体を好適に用いることができる。これらの単量体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジンなどを挙げることができる。これらの単量体の中で、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体を好適に用いることができる。これらの単量体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明方法により中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスを製造する場合は、(1)酸性基を有する単量体20〜60重量%とこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%、より好ましくは酸性基を有する単量体30〜50重量%とこれと共重合可能な他の単量体70〜50重量%とからなる単量体混合物(a)のエマルションを乳化共重合して重合体粒子(a)(芯重合体粒子)を調製する。酸性基を有する単量体が上記の範囲未満であると、塩基処理工程において重合体粒子中に塩基が浸透しがたくなり、重合体粒子中の空隙の形成が困難となるおそれがある。酸性基を有する単量体が上記の範囲を超えると、重合体粒子(a)が中間層重合体や外層重合体の外側へ移動しやすくなり、重合時や塩基処理工程での安定性が損なわれ、凝集物発生量が多くなるおそれがある。
重合体粒子(a)の調製においては、酸性基を有する単量体として、エチレン性不飽和モノカルボン酸を好適に用いることができ、メタクリル酸を特に好適に用いることができる。エチレン性不飽和モノカルボン酸は、適度な親水性を有し、重合体粒子(a)中に均一に分布し、中間層重合体による重合体粒子(a)の被覆と、重合体粒子内の空隙の形成が良好に行われる。重合体粒子(a)の調製においては、酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体として、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体を好適に用いることができる。重合体粒子(a)の調製においては、必要に応じて、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を共重合させることができる。
重合体粒子(a)の調製においては、酸性基を有する単量体として、エチレン性不飽和モノカルボン酸を好適に用いることができ、メタクリル酸を特に好適に用いることができる。エチレン性不飽和モノカルボン酸は、適度な親水性を有し、重合体粒子(a)中に均一に分布し、中間層重合体による重合体粒子(a)の被覆と、重合体粒子内の空隙の形成が良好に行われる。重合体粒子(a)の調製においては、酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体として、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体を好適に用いることができる。重合体粒子(a)の調製においては、必要に応じて、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を共重合させることができる。
重合体粒子(a)の調製において、単量体混合物(a)のエマルションを乳化重合する方式に特に制限はなく、例えば、回分式、半連続式、連続式などのいずれの方式を採用することもできる。また、重合用副資材として、界面活性剤、水溶性重合開始剤、キレート化剤などを用いることができる。乳化重合における単量体混合物(a)の重合転化率は、90重量%以上であることが好ましく、97重量%以上であることがより好ましい。
重合体粒子(a)の調製においては、シードポリマーの存在下に乳化重合を行うことが好ましい。シードポリマーを使用することにより、生成する重合体粒子(a)の粒子径を制御することが容易となる。シードポリマーとしては、例えば、体積平均粒子径30〜150nmのポリメタクリル酸メチル粒子などを用いることができる。
本発明方法においては、重合体粒子(a)の体積平均粒子径が100〜600nmであることが好ましく、250〜400nmであることがより好ましい。重合体粒子(a)の体積平均粒子径が上記の範囲未満であると、空隙率が高く、粒子径が大きい中空重合体粒子を製造することが困難になるおそれがある。重合体粒子(a)の体積平均粒子径が上記の範囲を超えると、中間層重合体による重合体粒子(a)の被覆が困難になり、重合体粒子内の空隙の形成が困難になるおそれがある。
本発明方法において、重合体粒子(a)における酸性基を有する単量体単位の半径方向の分布に特に制限はなく、単量体混合物(a)の組成を逐次変化させて重合反応系に添加しながら共重合を行うことができる。このような重合方法によって、重合体粒子(a)中の酸性基を有する単量体単位に半径方向の分布を生ずる場合には、酸性基を有する単量体単位の最も少ない部分において、該部分を形成する全単量体単位に対して酸性基を有する単量体単位が10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましい。この割合が10重量%未満であると、中空重合体粒子の空隙の中に小粒子が生成し、空隙率が低くなるおそれがある。また、重合体粒子(a)を形成する際に、連鎖移動剤を用いると、凝集物発生量が増加する傾向にあるので、単量体混合物(a)の共重合は、連鎖移動剤の不存在下に行なうことが好ましい。
重合体粒子(a)の調製においては、シードポリマーの存在下に乳化重合を行うことが好ましい。シードポリマーを使用することにより、生成する重合体粒子(a)の粒子径を制御することが容易となる。シードポリマーとしては、例えば、体積平均粒子径30〜150nmのポリメタクリル酸メチル粒子などを用いることができる。
本発明方法においては、重合体粒子(a)の体積平均粒子径が100〜600nmであることが好ましく、250〜400nmであることがより好ましい。重合体粒子(a)の体積平均粒子径が上記の範囲未満であると、空隙率が高く、粒子径が大きい中空重合体粒子を製造することが困難になるおそれがある。重合体粒子(a)の体積平均粒子径が上記の範囲を超えると、中間層重合体による重合体粒子(a)の被覆が困難になり、重合体粒子内の空隙の形成が困難になるおそれがある。
本発明方法において、重合体粒子(a)における酸性基を有する単量体単位の半径方向の分布に特に制限はなく、単量体混合物(a)の組成を逐次変化させて重合反応系に添加しながら共重合を行うことができる。このような重合方法によって、重合体粒子(a)中の酸性基を有する単量体単位に半径方向の分布を生ずる場合には、酸性基を有する単量体単位の最も少ない部分において、該部分を形成する全単量体単位に対して酸性基を有する単量体単位が10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましい。この割合が10重量%未満であると、中空重合体粒子の空隙の中に小粒子が生成し、空隙率が低くなるおそれがある。また、重合体粒子(a)を形成する際に、連鎖移動剤を用いると、凝集物発生量が増加する傾向にあるので、単量体混合物(a)の共重合は、連鎖移動剤の不存在下に行なうことが好ましい。
本発明方法においては、(2)酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%、より好ましくは酸性基を有する単量体1〜12重量%とこれと共重合可能な他の単量体99〜88重量%、さらに好ましくは酸性基を有する単量体3〜9重量%とこれと共重合可能な他の単量体97〜91重量%とからなる単量体混合物(b)のエマルションを、単量体混合物(b)全量に対して0.1〜2重量%、より好ましくは0.15〜1.5重量%、さらに好ましくは0.15〜1重量%の連鎖移動剤、及び前記重合体粒子(a)の存在下に、乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(a)を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成して重合体粒子(b)を調製する。
中間層重合体は、実質的に重合体粒子(a)を包み込むものであり、重合体粒子(a)と外層重合体に挟まれる。中間層重合体は単一の重合体層で形成することができ、あるいは、複数の重合体層で形成することもできる。中間層重合体を複数の重合体層で形成するとき、それぞれの重合体層の組成に特に制限はなく、酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%の範囲で任意に選定することができる。中間層重合体において、単量体混合物(b)中の酸性基を有する単量体の割合が15重量%を超えると、塩基処理工程における制御が困難となり、中空重合体粒子を安定して得ることが困難となるおそれがある。
中間層重合体は、実質的に重合体粒子(a)を包み込むものであり、重合体粒子(a)と外層重合体に挟まれる。中間層重合体は単一の重合体層で形成することができ、あるいは、複数の重合体層で形成することもできる。中間層重合体を複数の重合体層で形成するとき、それぞれの重合体層の組成に特に制限はなく、酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%の範囲で任意に選定することができる。中間層重合体において、単量体混合物(b)中の酸性基を有する単量体の割合が15重量%を超えると、塩基処理工程における制御が困難となり、中空重合体粒子を安定して得ることが困難となるおそれがある。
本発明方法において、中間層重合体を形成する際に使用する連鎖移動剤の量が単量体混合物(b)全量に対して0.1重量%未満であると、得られる中空重合体粒子の空隙率が低くなるおそれがある。連鎖移動剤の量が単量体混合物(b)全量に対して2重量%を超えると、重合時の凝集物発生量が増加するのみならず、空隙率も低くなるおそれがある。
本発明方法に用いる連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、及びn−ヘキサデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、及びジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、及びテトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、及び四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジフェニルエチレン、ペンタフェニルエタン、及びα−メチルスチレンダイマーなどの炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、及びジペンテンなどを挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、メルカプタン類及びα−メチルスチレンダイマーを好適に用いることができ、メルカプタン類をより好適に用いることができ、t−ドデシルメルカプタンを特に好適に用いることができる。
本発明方法において、重合体粒子(a)/中間層重合体の重量比は、5/95〜70/30であることが好ましく、30/70〜60/40であることがより好ましく、40/60〜55/45であることがさらに好ましい。重合体粒子(a)/中間層重合体の重量比が5/95未満であって中間層重合体の割合が過大であると、塩基処理工程において塩基が重合体粒子内部へ浸透し難く、重合体粒子中の空隙の形成が困難になるおそれがある。重合体粒子(a)/中間層重合体の重量比が70/30を超えて中間層重合体の割合が過小であると、重合時又は塩基処理工程において、重合体粒子(a)が外層重合体の外側に移動しやすく、空隙の形成が困難となるおそれがある。中間層重合体を形成するための乳化重合方法に特に制限はなく、回分式、連続式、半連続式のいずれの方式も採用することができる。
本発明方法に用いる連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、及びn−ヘキサデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、及びジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、及びテトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、及び四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ジフェニルエチレン、ペンタフェニルエタン、及びα−メチルスチレンダイマーなどの炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、及びジペンテンなどを挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、メルカプタン類及びα−メチルスチレンダイマーを好適に用いることができ、メルカプタン類をより好適に用いることができ、t−ドデシルメルカプタンを特に好適に用いることができる。
本発明方法において、重合体粒子(a)/中間層重合体の重量比は、5/95〜70/30であることが好ましく、30/70〜60/40であることがより好ましく、40/60〜55/45であることがさらに好ましい。重合体粒子(a)/中間層重合体の重量比が5/95未満であって中間層重合体の割合が過大であると、塩基処理工程において塩基が重合体粒子内部へ浸透し難く、重合体粒子中の空隙の形成が困難になるおそれがある。重合体粒子(a)/中間層重合体の重量比が70/30を超えて中間層重合体の割合が過小であると、重合時又は塩基処理工程において、重合体粒子(a)が外層重合体の外側に移動しやすく、空隙の形成が困難となるおそれがある。中間層重合体を形成するための乳化重合方法に特に制限はなく、回分式、連続式、半連続式のいずれの方式も採用することができる。
本発明方法においては、(3)前記重合体粒子(b)存在下に、酸性基を有する単量体0〜3.5重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜96.5重量%、より好ましくは酸性基を有する単量体0.2〜2重量%とこれと共重合可能な他の単量体99.8〜98重量%とからなる単量体混合物(c)のエマルションを乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(b)を包囲する外層重合体を形成して少なくとも3層構造を有する重合体粒子(c)を調製する。
外層重合体は、重合体粒子(a)と中間層重合体とからなる重合体粒子(b)の外周に形成され、重合体粒子(a)/中間層重合体を実質的に包み込むものである。単量体混合物(c)中の酸性基を有する単量体の割合は、単量体混合物(b)中の酸性基を有する単量体の割合よりも小さいことが好ましい。単量体混合物(c)中の酸性基を有する単量体の割合を、単量体混合物(b)中の酸性基を有する単量体の割合より小さくすることにより、中空重合体粒子の空隙率を高めることができる。単量体混合物(c)中の酸性基を有する単量体が3.5重量%を超えると、重合体粒子中に形成される空隙の大きさが小さくなり、空隙を取り囲む殻厚が厚くなって、中空重合体粒子の不透明化効果が低下するとともに、重合時の凝集物発生量が増加するおそれがある。
外層重合体の形成に用いる酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体を好適に用いることができ、芳香族ビニル単量体をより好適に用いることができ、スチレンを特に好適に用いることができる。酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体として、芳香族ビニル単量体と芳香族ビニル単量体以外の他の単量体を用いる場合には、芳香族ビニル単量体が単量体混合物(c)全量の90重量%以上であることが好ましい。塩基処理工程において重合体粒子中に塩基の浸透を促進させる目的で、外層重合体を形成する際に連鎖移動剤を用いることもできるが、製造時に凝集物発生量が増加する場合があるために、単量体混合物(c)の共重合は、連鎖移動剤の不存在下に行なうことが好ましい。
外層重合体は、重合体粒子(a)と中間層重合体とからなる重合体粒子(b)の外周に形成され、重合体粒子(a)/中間層重合体を実質的に包み込むものである。単量体混合物(c)中の酸性基を有する単量体の割合は、単量体混合物(b)中の酸性基を有する単量体の割合よりも小さいことが好ましい。単量体混合物(c)中の酸性基を有する単量体の割合を、単量体混合物(b)中の酸性基を有する単量体の割合より小さくすることにより、中空重合体粒子の空隙率を高めることができる。単量体混合物(c)中の酸性基を有する単量体が3.5重量%を超えると、重合体粒子中に形成される空隙の大きさが小さくなり、空隙を取り囲む殻厚が厚くなって、中空重合体粒子の不透明化効果が低下するとともに、重合時の凝集物発生量が増加するおそれがある。
外層重合体の形成に用いる酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体を好適に用いることができ、芳香族ビニル単量体をより好適に用いることができ、スチレンを特に好適に用いることができる。酸性基を有する単量体と共重合可能な他の単量体として、芳香族ビニル単量体と芳香族ビニル単量体以外の他の単量体を用いる場合には、芳香族ビニル単量体が単量体混合物(c)全量の90重量%以上であることが好ましい。塩基処理工程において重合体粒子中に塩基の浸透を促進させる目的で、外層重合体を形成する際に連鎖移動剤を用いることもできるが、製造時に凝集物発生量が増加する場合があるために、単量体混合物(c)の共重合は、連鎖移動剤の不存在下に行なうことが好ましい。
本発明方法において、重合体粒子(b)/外層重合体の重量比は、5/95〜50/50であることが好ましく、8/92〜35/65であることがより好ましく、10/90〜25/75であることがさらに好ましい。重合体粒子(b)/外層重合体の重量比が5/95未満であって外層重合体の割合が過大であると、塩基処理工程において重合体粒子内に塩基が浸透しがたくなり、中空重合体粒子の空隙率が低くなるおそれがある。重合体粒子(b)/外層重合体の重量比が50/50を超えて外層重合体の割合が過小であると、重合時及び塩基処理工程において、重合体粒子(a)が外層重合体の外側に移行しやすく、空隙の形成が困難となるおそれがある。外層重合体を形成するための乳化重合方法に特に制限はなく、回分式、連続式、半連続式のいずれの方式も採用することができる。
本発明方法においては、(1)重合体粒子(a)の調製、(2)中間層重合体の形成及び(3)外層重合体の形成の乳化重合のすべてを、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ行うことができ、あるいは、(1)重合体粒子(a)の調製、(2)中間層重合体の形成及び(3)外層重合体の形成の乳化重合の二つ又は一つを、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ行うこともできる。
本発明方法においては、(1)重合体粒子(a)の調製、(2)中間層重合体の形成及び(3)外層重合体の形成の乳化重合のすべてを、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ行うことができ、あるいは、(1)重合体粒子(a)の調製、(2)中間層重合体の形成及び(3)外層重合体の形成の乳化重合の二つ又は一つを、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ行うこともできる。
本発明方法においては、(4)得られた少なくとも3層構造を有する重合体粒子(c)を含有する水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とし、塩基処理することができる。塩基処理することにより、重合体粒子内に少なくとも一つの空隙が形成される。空隙は、水性分散液を形成する水性液で充満している。
本発明方法に用いる塩基としては、例えば、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びモルホリンなどの揮発性塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;(重)炭酸ナトリウム、(重)炭酸カリウム、及び(重)炭酸アンモニウムなどの(重)炭酸塩;などの不揮発性塩基などを挙げることができる。これらの中で、揮発性塩基を好適に用いることができ、アンモニアを特に好適に用いることができる。
本発明方法における塩基の使用量は、重合体粒子(a)の酸性基の少なくとも一部を中和して、少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液のpHを7以上、より好ましくはpHを9以上とする量である。水性分散液のpHが7未満であると、重合体粒子中に十分な空隙が形成されないおそれがある。
本発明方法においては、塩基を水性分散液に添加したのち、15〜90分間撹拌を続けて、塩基を重合体粒子内部に拡散させ、重合体粒子(a)の酸性基の少なくとも一部を中和させることが好ましい。塩基処理は、重合体粒子が十分に軟化するように加熱して行うことができる。塩基の添加により水性分散液の安定性が低下する場合には、塩基を添加する前に、水性分散液にアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などを添加して安定性を向上させることができる。
本発明方法に用いる塩基としては、例えば、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びモルホリンなどの揮発性塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;(重)炭酸ナトリウム、(重)炭酸カリウム、及び(重)炭酸アンモニウムなどの(重)炭酸塩;などの不揮発性塩基などを挙げることができる。これらの中で、揮発性塩基を好適に用いることができ、アンモニアを特に好適に用いることができる。
本発明方法における塩基の使用量は、重合体粒子(a)の酸性基の少なくとも一部を中和して、少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液のpHを7以上、より好ましくはpHを9以上とする量である。水性分散液のpHが7未満であると、重合体粒子中に十分な空隙が形成されないおそれがある。
本発明方法においては、塩基を水性分散液に添加したのち、15〜90分間撹拌を続けて、塩基を重合体粒子内部に拡散させ、重合体粒子(a)の酸性基の少なくとも一部を中和させることが好ましい。塩基処理は、重合体粒子が十分に軟化するように加熱して行うことができる。塩基の添加により水性分散液の安定性が低下する場合には、塩基を添加する前に、水性分散液にアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などを添加して安定性を向上させることができる。
本発明方法においては、塩基処理工程において、有機溶剤の存在下に塩基を添加することができる。有機溶剤の添加によって重合体粒子が軟化し、塩基の拡散が促進される。有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール類、エーテル類、ケトン類、及び飽和カルボン酸エステル類などを挙げることができる。有機溶剤の添加量は、重合体粒子100重量部に対して、0.1〜1,000重量部であることが好ましく、0.1〜100重量部であることがより好ましく、0.1〜10重量部であることがさらに好ましく、0.1〜1.0重量部であることが特に好ましい。添加した有機溶剤は、塩基処理の終了後、蒸発させて除去することができる。
本発明方法においては、塩基処理工程において、有機溶剤の代わりに重合性単量体を添加することができる。重合性単量体としては、酸性基を有しない単量体を使用することが好ましい。重合性単量体は、重合体粒子100重量部に対して、1〜20重量部添加することが好ましく、2〜10重量部添加することがより好ましい。重合性単量体は、水性分散液に新たに添加することができ、あるいは、外層重合体の形成時に過剰に添加しておき、重合禁止剤、還元剤などを添加して重合反応を停止させた状態で塩基処理を行うこともできる。過剰の重合性単量体は、塩基処理後に重合開始剤などを添加して重合させることができる。
本発明方法において、重合体粒子(a)の調製、中間層重合体の形成、外層重合体の形成及び塩基処理は、同一の反応器内で段階的に行うことができ、あるいは、前段階の工程を行なったのち、前段階の生成物を別の反応器に移送し、その反応器内で次段階の工程を行うこともできる。
本発明方法においては、塩基処理工程において、有機溶剤の代わりに重合性単量体を添加することができる。重合性単量体としては、酸性基を有しない単量体を使用することが好ましい。重合性単量体は、重合体粒子100重量部に対して、1〜20重量部添加することが好ましく、2〜10重量部添加することがより好ましい。重合性単量体は、水性分散液に新たに添加することができ、あるいは、外層重合体の形成時に過剰に添加しておき、重合禁止剤、還元剤などを添加して重合反応を停止させた状態で塩基処理を行うこともできる。過剰の重合性単量体は、塩基処理後に重合開始剤などを添加して重合させることができる。
本発明方法において、重合体粒子(a)の調製、中間層重合体の形成、外層重合体の形成及び塩基処理は、同一の反応器内で段階的に行うことができ、あるいは、前段階の工程を行なったのち、前段階の生成物を別の反応器に移送し、その反応器内で次段階の工程を行うこともできる。
本発明方法により得られる中空重合体粒子の数平均粒子径は、0.2〜3μmであることが好ましく、0.4〜2μmであることがより好ましく、0.8〜1.5μmであることがさらに好ましい。中空重合体粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて、複数個の中空重合体粒子の粒子径を測定し、その値を算術平均して求めることができる。本発明方法において、中空重合体粒子の空隙率は、45〜60%であることが好ましく、50〜55%であることがより好ましい。空隙率は、透過型電子顕微鏡を用いて、複数個の中空重合体粒子について、各粒子における最大径とボイドの最大径とを測定し、空隙率(%)={(ボイドの最大径)3/(粒子の最大径)3}×100を算出し、その値を算術平均して求めることができる。
本発明方法により製造される中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスは、例えば、紙、繊維、皮革などのコーティング、塗料などの用途における有機顔料、光散乱剤、光散乱助剤;感熱プリンター用紙、熱転写プリンター用紙や感熱紙の感熱層下塗りの断熱層;インクジェット紙の吸収性充填剤、製紙工程の内添充填剤、修正インキや修正リボン用の高隠蔽性顔料、マイクロカプセル材料、電子写真に用いるトナーの中間材料、空気による断熱特性を利用する用途、樹脂、セメント、コンクリートなどへの内添による軽量化などの空気による軽量化を利用する用途、半導体封止材料などに添加し、空気の低誘電性を利用する用途などに用いることができる。本発明方法により製造される中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスは、中でも、紙用塗工組成物の有機顔料として好適であり、塗工紙の不透明度を向上させるのみならず、高い光沢を有する塗工紙を製造することができる。
本発明方法により製造される中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスは、例えば、紙、繊維、皮革などのコーティング、塗料などの用途における有機顔料、光散乱剤、光散乱助剤;感熱プリンター用紙、熱転写プリンター用紙や感熱紙の感熱層下塗りの断熱層;インクジェット紙の吸収性充填剤、製紙工程の内添充填剤、修正インキや修正リボン用の高隠蔽性顔料、マイクロカプセル材料、電子写真に用いるトナーの中間材料、空気による断熱特性を利用する用途、樹脂、セメント、コンクリートなどへの内添による軽量化などの空気による軽量化を利用する用途、半導体封止材料などに添加し、空気の低誘電性を利用する用途などに用いることができる。本発明方法により製造される中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスは、中でも、紙用塗工組成物の有機顔料として好適であり、塗工紙の不透明度を向上させるのみならず、高い光沢を有する塗工紙を製造することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。また、実施例及び比較例において、「部」は「重量部」を表わす。
なお、実施例及び比較例において、測定は下記の方法により行った。
(1)凝集物発生量
固形分量が150gに相当する重合体ラテックスを、325メッシュの金網でろ過し、金網上の残存物を水洗したのち、105℃で4時間乾燥する。固形分量150gに対する金網上の残存物の乾燥重量の割合を、百分率として求める。
(2)数平均粒子径
透過型電子顕微鏡を用いて、重合体粒子200個の粒子径を測定し、その算術平均を求める。
(3)体積平均粒子径
光散乱回折粒径測定装置[コールター社、LS−230]を用いて、重合体粒子の体積基準の粒度分布に基き、算術平均して計算される平均粒子径を求める。
(4)空隙率
透過型電子顕微鏡を用いて、中空重合体粒子200個について、各粒子における最大径とボイドの最大径とを測定し、下式により空隙率を算出し、その算術平均を求める。
空隙率(%)={(ボイドの最大径)3/(粒子の最大径)3}×100
なお、実施例及び比較例において、測定は下記の方法により行った。
(1)凝集物発生量
固形分量が150gに相当する重合体ラテックスを、325メッシュの金網でろ過し、金網上の残存物を水洗したのち、105℃で4時間乾燥する。固形分量150gに対する金網上の残存物の乾燥重量の割合を、百分率として求める。
(2)数平均粒子径
透過型電子顕微鏡を用いて、重合体粒子200個の粒子径を測定し、その算術平均を求める。
(3)体積平均粒子径
光散乱回折粒径測定装置[コールター社、LS−230]を用いて、重合体粒子の体積基準の粒度分布に基き、算術平均して計算される平均粒子径を求める。
(4)空隙率
透過型電子顕微鏡を用いて、中空重合体粒子200個について、各粒子における最大径とボイドの最大径とを測定し、下式により空隙率を算出し、その算術平均を求める。
空隙率(%)={(ボイドの最大径)3/(粒子の最大径)3}×100
実施例1(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造1)
図2に示す傾斜パドル翼を有する撹拌槽を用いて、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。撹拌槽は、内径が600mm、高さが1,534mmである。撹拌翼は、外径が390mm、翼幅が80mmで、翼面が鉛直方向に対して45度傾斜した傾斜パドル翼5個が、回転軸に軸方向に沿って等間隔に取り付けられている。また、槽壁に、幅60mm、長さ1,400mmの邪魔板4枚が、等間隔に鉛直に取り付けられている。
この撹拌槽に、イオン交換水130.4部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.39部、炭酸水素ナトリウム0.39部、過硫酸カリウム1.3部、スチレン66.5部、1,3−ブタジエン58.7部、アクリル酸5.2部及びt−ドデシルメルカプタン0.65部を仕込んだ。撹拌翼の回転速度を103rpmとし、30秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返し、70℃で8.5時間重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.037重量%、体積平均粒子径は131nmであった。
実施例2(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造2)
撹拌翼を、図3に示すフルゾーン(登録商標)翼に取り換え、撹拌翼の回転速度を116rpmとし、正回転と逆回転の切り換えを10秒ごとに行った以外は、実施例1と同様にして、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。
重合率は98重量%であり、凝集物発生量は0.042重量%、体積平均粒子径は127nmであった。
実施例3(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造3)
撹拌翼を、図4に示すマックスブレンド(登録商標)翼に取り換え、撹拌翼の回転速度を90rpmとし、正回転と逆回転の切り換えを30秒ごとに行った以外は、実施例1と同様にして、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.020重量%、体積平均粒子径は131nmであった。
図2に示す傾斜パドル翼を有する撹拌槽を用いて、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。撹拌槽は、内径が600mm、高さが1,534mmである。撹拌翼は、外径が390mm、翼幅が80mmで、翼面が鉛直方向に対して45度傾斜した傾斜パドル翼5個が、回転軸に軸方向に沿って等間隔に取り付けられている。また、槽壁に、幅60mm、長さ1,400mmの邪魔板4枚が、等間隔に鉛直に取り付けられている。
この撹拌槽に、イオン交換水130.4部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.39部、炭酸水素ナトリウム0.39部、過硫酸カリウム1.3部、スチレン66.5部、1,3−ブタジエン58.7部、アクリル酸5.2部及びt−ドデシルメルカプタン0.65部を仕込んだ。撹拌翼の回転速度を103rpmとし、30秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返し、70℃で8.5時間重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.037重量%、体積平均粒子径は131nmであった。
実施例2(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造2)
撹拌翼を、図3に示すフルゾーン(登録商標)翼に取り換え、撹拌翼の回転速度を116rpmとし、正回転と逆回転の切り換えを10秒ごとに行った以外は、実施例1と同様にして、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。
重合率は98重量%であり、凝集物発生量は0.042重量%、体積平均粒子径は127nmであった。
実施例3(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造3)
撹拌翼を、図4に示すマックスブレンド(登録商標)翼に取り換え、撹拌翼の回転速度を90rpmとし、正回転と逆回転の切り換えを30秒ごとに行った以外は、実施例1と同様にして、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.020重量%、体積平均粒子径は131nmであった。
実施例4(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造4)
実施例1と同じ傾斜パドル翼を有する撹拌槽を用いて、スチレン、1,3−ブタジエン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、イタコン酸及びアクリルアミドの乳化共重合を行った。
撹拌槽に、イオン交換水130.4部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.39部、炭酸水素ナトリウム0.39部、過硫酸カリウム1.3部、スチレン39.1部、1,3−ブタジエン58.7部、メタクリル酸メチル13.0部、アクリロニトリル6.5部、イタコン酸4.0部、アクリルアミド1.4部及びt−ドデシルメルカプタン0.65部を仕込んだ。撹拌翼の回転速度を104rpmとし、10秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返し、70℃で10時間重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.029重量%、体積平均粒子径は125nmであった。
比較例1(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造5)
正回転と逆回転の切り換えを行うことなく、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。
実施例1と同じ傾斜パドル翼を有する撹拌槽を用い、撹拌翼の回転速度を103rpmとし、回転方向を常に正回転として、回転軸近傍で下向きの流れを形成させた以外は、実施例1と同様にして、乳化共重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.098重量%、体積平均粒子径は130nmであった。
実施例1〜4及び比較例1の結果を、第1表に示す。
実施例1と同じ傾斜パドル翼を有する撹拌槽を用いて、スチレン、1,3−ブタジエン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、イタコン酸及びアクリルアミドの乳化共重合を行った。
撹拌槽に、イオン交換水130.4部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.39部、炭酸水素ナトリウム0.39部、過硫酸カリウム1.3部、スチレン39.1部、1,3−ブタジエン58.7部、メタクリル酸メチル13.0部、アクリロニトリル6.5部、イタコン酸4.0部、アクリルアミド1.4部及びt−ドデシルメルカプタン0.65部を仕込んだ。撹拌翼の回転速度を104rpmとし、10秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返し、70℃で10時間重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.029重量%、体積平均粒子径は125nmであった。
比較例1(中空重合体粒子でない重合体ラテックスの製造5)
正回転と逆回転の切り換えを行うことなく、スチレンと1,3−ブタジエンとアクリル酸の乳化共重合を行った。
実施例1と同じ傾斜パドル翼を有する撹拌槽を用い、撹拌翼の回転速度を103rpmとし、回転方向を常に正回転として、回転軸近傍で下向きの流れを形成させた以外は、実施例1と同様にして、乳化共重合を行った。
重合率は97重量%であり、凝集物発生量は0.098重量%、体積平均粒子径は130nmであった。
実施例1〜4及び比較例1の結果を、第1表に示す。
第1表に見られるように、撹拌翼の正回転と逆回転を繰り返した実施例1〜4で得られたラテックスと、正回転のみを継続した比較例1のラテックスを比較すると、体積平均粒子径に大差はないが、実施例1〜4の凝集物発生量は比較例1の凝集物発生量の5分の1ないし2分の1であり、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合することにより、凝集物の発生量を低減し得ることが分かる。
実施例5(中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造1)
イオン交換水49.5部、界面活性剤A(ポリオキシエチレン(18モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム)0.558部、トリポリリン酸ナトリウム0.093部、メタクリル酸メチル31.0部、アクリル酸ブチル6.2部及びメタクリル酸24.8部を混合、撹拌して、重合体形粒子(a)形成用の単量体混合物(a)のエマルション112.2部を調製した。
実施例1と同じ傾斜パドル翼を有する撹拌槽に、イオン交換水24.8部、シードポリマーとして体積平均粒子径82nmのポリメタクリル酸メチル粒子0.17部及び3重量%過硫酸カリウム水溶液1.0部を仕込み、85℃に昇温した。撹拌翼の回転速度を90rpmとし、30秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返しつつ、上記の単量体混合物(a)のエマルション7.9部を3時間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに1時間反応を続けた。次いで、撹拌槽に、イオン交換水154.8部、3重量%過硫酸カリウム水溶液11.5部を添加し、同じ条件で撹拌を続けながら85℃に昇温し、残りの単量体混合物(a)のエマルション104.3部を3時間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに2時間反応を続けた。反応終了後、重合体粒子(a)のラテックスを冷却し、撹拌槽より取り出し、撹拌槽を洗浄した。重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は350nmであった。
イオン交換水10.6部、界面活性剤A0.013部、メタクリル酸メチル5.1部、アクリル酸ブチル1.1部、メタクリル酸0.40部及びt−ドデシルメルカプタン0.019部を混合、撹拌して、中間層重合体形成用の単量体混合物(b)のエマルション17.2部を調製した。
イオン交換水85.8部、界面活性剤A0.26部、スチレン52.4部及びメタクリル酸0.37部を混合、撹拌して、外層重合体形成用の単量体混合物(c)のエマルション138.8部を調製した。
上記の傾斜パドル翼を有する撹拌槽に、イオン交換水85.8部と重合体粒子(a)6.2部を含む上記重合体粒子(a)のラテックスを仕込み、85℃に昇温した。次いで、4重量%過硫酸カリウム水溶液6.6部を添加し、撹拌翼の回転速度を103rpmとし、30秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返し、85℃を保ちながら、上記の単量体混合物(b)のエマルション17.2部を20分間で撹拌槽に連続的に添加し、引き続いて上記の単量体混合物(c)のエマルション138.8部を2時間で撹拌槽に連続的に添加した。
単量体混合物(c)のエマルションの添加を終了したのち、直ちに5重量%アンモニア水16.5部を撹拌槽に添加してpHを9.3とし、反応温度を90℃に上昇して、1時間塩基処理を行った。次いで、4重量%過硫酸カリウム水溶液6.6部を添加し、同じ撹拌条件と温度条件で、2時間反応を継続した。反応終了後、冷却して、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスを取り出した。重合転化率は、99重量%であった。
得られた重合体ラテックスの凝集物発生量は0.027重量%であり、中空重合体粒子の数平均粒子径は1,180nm、空隙率は52%であった。
実施例5(中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造1)
イオン交換水49.5部、界面活性剤A(ポリオキシエチレン(18モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム)0.558部、トリポリリン酸ナトリウム0.093部、メタクリル酸メチル31.0部、アクリル酸ブチル6.2部及びメタクリル酸24.8部を混合、撹拌して、重合体形粒子(a)形成用の単量体混合物(a)のエマルション112.2部を調製した。
実施例1と同じ傾斜パドル翼を有する撹拌槽に、イオン交換水24.8部、シードポリマーとして体積平均粒子径82nmのポリメタクリル酸メチル粒子0.17部及び3重量%過硫酸カリウム水溶液1.0部を仕込み、85℃に昇温した。撹拌翼の回転速度を90rpmとし、30秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返しつつ、上記の単量体混合物(a)のエマルション7.9部を3時間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに1時間反応を続けた。次いで、撹拌槽に、イオン交換水154.8部、3重量%過硫酸カリウム水溶液11.5部を添加し、同じ条件で撹拌を続けながら85℃に昇温し、残りの単量体混合物(a)のエマルション104.3部を3時間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに2時間反応を続けた。反応終了後、重合体粒子(a)のラテックスを冷却し、撹拌槽より取り出し、撹拌槽を洗浄した。重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は350nmであった。
イオン交換水10.6部、界面活性剤A0.013部、メタクリル酸メチル5.1部、アクリル酸ブチル1.1部、メタクリル酸0.40部及びt−ドデシルメルカプタン0.019部を混合、撹拌して、中間層重合体形成用の単量体混合物(b)のエマルション17.2部を調製した。
イオン交換水85.8部、界面活性剤A0.26部、スチレン52.4部及びメタクリル酸0.37部を混合、撹拌して、外層重合体形成用の単量体混合物(c)のエマルション138.8部を調製した。
上記の傾斜パドル翼を有する撹拌槽に、イオン交換水85.8部と重合体粒子(a)6.2部を含む上記重合体粒子(a)のラテックスを仕込み、85℃に昇温した。次いで、4重量%過硫酸カリウム水溶液6.6部を添加し、撹拌翼の回転速度を103rpmとし、30秒ごとに正回転と逆回転を切り換えて繰り返し、85℃を保ちながら、上記の単量体混合物(b)のエマルション17.2部を20分間で撹拌槽に連続的に添加し、引き続いて上記の単量体混合物(c)のエマルション138.8部を2時間で撹拌槽に連続的に添加した。
単量体混合物(c)のエマルションの添加を終了したのち、直ちに5重量%アンモニア水16.5部を撹拌槽に添加してpHを9.3とし、反応温度を90℃に上昇して、1時間塩基処理を行った。次いで、4重量%過硫酸カリウム水溶液6.6部を添加し、同じ撹拌条件と温度条件で、2時間反応を継続した。反応終了後、冷却して、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスを取り出した。重合転化率は、99重量%であった。
得られた重合体ラテックスの凝集物発生量は0.027重量%であり、中空重合体粒子の数平均粒子径は1,180nm、空隙率は52%であった。
実施例6(中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造2)
撹拌翼の回転方向を、10秒ごとに正回転と逆回転とに切り換えた以外は、実施例5と同じ操作を行った。
重合体粒子(a)のラテックスの調製において、重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は280nmであった。
得られた中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの重合転化率は99%であり、凝集物発生量は0.018重量%であった。中空重合体粒子の数平均粒子径は1,200nmであり、空隙率は53%であった。
比較例2(中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造3)
撹拌翼の回転速度を90rpmとし、回転方向を常に正回転として、回転軸近傍で下向きの流れを形成させた以外は、実施例5と同様にして、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスを製造した。
重合体粒子(a)のラテックスの調製において、重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は390nmであった。
得られた中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの重合転化率は99%であり、凝集物発生量は0.095重量%であった。中空重合体粒子の数平均粒子径は1,250nmであり、空隙率は48%であった。
比較例3(中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造4)
撹拌翼の回転速度を90rpmとし、回転方向を正回転とし、回転10秒間と停止1秒間の繰り返しとした以外は、実施例5と同様にして、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスを製造した。
重合体粒子(a)のラテックスの調製において、重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は370nmであった。
得られた中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの重合転化率は99%であり、凝集物発生量は0.086重量%であった。中空重合体粒子の数平均粒子径は1,220nmであり、空隙率は50%であった。
実施例5〜6及び比較例2〜3の結果を、第2表に示す。
撹拌翼の回転方向を、10秒ごとに正回転と逆回転とに切り換えた以外は、実施例5と同じ操作を行った。
重合体粒子(a)のラテックスの調製において、重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は280nmであった。
得られた中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの重合転化率は99%であり、凝集物発生量は0.018重量%であった。中空重合体粒子の数平均粒子径は1,200nmであり、空隙率は53%であった。
比較例2(中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造3)
撹拌翼の回転速度を90rpmとし、回転方向を常に正回転として、回転軸近傍で下向きの流れを形成させた以外は、実施例5と同様にして、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスを製造した。
重合体粒子(a)のラテックスの調製において、重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は390nmであった。
得られた中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの重合転化率は99%であり、凝集物発生量は0.095重量%であった。中空重合体粒子の数平均粒子径は1,250nmであり、空隙率は48%であった。
比較例3(中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造4)
撹拌翼の回転速度を90rpmとし、回転方向を正回転とし、回転10秒間と停止1秒間の繰り返しとした以外は、実施例5と同様にして、中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスを製造した。
重合体粒子(a)のラテックスの調製において、重合転化率は99重量%であり、重合体粒子(a)の体積平均粒子径は370nmであった。
得られた中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの重合転化率は99%であり、凝集物発生量は0.086重量%であった。中空重合体粒子の数平均粒子径は1,220nmであり、空隙率は50%であった。
実施例5〜6及び比較例2〜3の結果を、第2表に示す。
第2表に見られるように、撹拌翼の正回転と逆回転を繰り返した実施例5〜6で得られた中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスは、凝集物の発生量が0.018〜0.027重量%と少ないのに対して、正回転のみを連続して行った比較例2では、凝集物の発生量が0.095重量%と多く、正回転のみを断続的に行った比較例3でも、凝集物の発生量が0.086重量%と多い。この結果から、3層構造を有する中空重合体粒子を含有する重合体ラテックスの製造においても、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返すことにより、凝集物の発生を抑制し得ることが分かる。
本発明の重合体ラテックスの製造方法によれば、特殊な設備を必要とせず、既存の重合装置の撹拌翼に正回転と逆回転を繰り返す機構を付設するのみで、容易に重合体ラテックス中の凝集物の量を低減することができる。本発明方法により製造された重合体ラテックスは、凝集物の含有量が少ないので、塗工液、塗料、接着剤の原料などとして用いたとき、美観に優れた製品を得ることができる。本発明方法は、紙の塗工液の有機顔料などとして使用される中空重合体粒子の重合体ラテックスの製造に特に好適に適用することができる。
Claims (3)
- 単量体が水中に微粒子状に分散したエマルションを、撹拌槽内において撹拌しつつ、重合開始剤の存在下に加熱して乳化重合させる重合体ラテックスの製造方法において、撹拌翼の回転方向を正回転と逆回転を繰り返しつつ乳化重合を行うことを特徴とする重合体ラテックスの製造方法。
- 1回の正回転方向又は逆回転方向の撹拌時間が、3〜180秒である請求項1記載の重合体ラテックスの製造方法。
- 重合体ラテックスの製造方法が、
(1)酸性基を有する単量体20〜60重量%とこれと共重合可能な他の単量体80〜40重量%とからなる単量体混合物(a)のエマルションを乳化重合することによって重合体粒子(a)を調製し、
(2)酸性基を有する単量体0〜15重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜85重量%とからなる単量体混合物(b)のエマルションを、単量体混合物(b)全量に対して0.1〜2重量%の連鎖移動剤、及び前記重合体粒子(a)の存在下に、乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(a)を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成して重合体粒子(b)を調製し、
(3)前記重合体粒子(b)存在下に、酸性基を有する単量体0〜3.5重量%とこれと共重合可能な他の単量体100〜96.5重量%とからなる単量体混合物(c)のエマルションを乳化重合することによって、実質的に前記重合体粒子(b)を包囲する外層重合体を形成して少なくとも3層構造を有する重合体粒子(c)を調製し、
(4)得られた重合体粒子(c)を含有する水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とする請求項1記載の重合体ラテックスの製造方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009263553A (ja) * | 2008-04-28 | 2009-11-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 中空樹脂粒子 |
WO2019003744A1 (ja) * | 2017-06-30 | 2019-01-03 | 日本ゼオン株式会社 | 膜成形体 |
CN114797715A (zh) * | 2021-01-18 | 2022-07-29 | 万华化学(四川)有限公司 | 一种乳液聚合反应釜 |
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2005
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CN114797715A (zh) * | 2021-01-18 | 2022-07-29 | 万华化学(四川)有限公司 | 一种乳液聚合反应釜 |
CN114797715B (zh) * | 2021-01-18 | 2024-02-02 | 万华化学(四川)有限公司 | 一种乳液聚合反应釜 |
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