JP5382330B2 - 水性分散液とその製造方法、中空重合体粒子とその製造方法及び内添紙の製造方法 - Google Patents
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本発明が解決しようとする課題は、内添紙用に適用した場合に、白色度及び不透明度が高い内添紙を与え、分散安定性が高い中空重合体粒子を含む水性分散液とその製造方法の提供である。更に、本発明が解決しようとする別の課題は、当該水性分散液を使用する内添紙の製造方法、当該水性分散液から分離される中空重合体粒子及びその製造方法の提供である。
(2)モノエチレン性不飽和単量体88〜100質量%及び酸性基含有単量体12〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(b)を、コア重合体粒子(A)の存在下に重合又は共重合して、 コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する中間層(B)を形成する工程、
(3)モノエチレン性不飽和単量体97〜100質量%及び酸性基含有単量体3〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(c)を、 中間層(B)で包囲されたコア重合体粒子(A)の存在下に、下記一般式(I)で示される界面活性剤を用いて重合又は共重合して、中間層(B)を実質的に包囲する外層(C)を形成する工程、
R−O−(CH2CH2O)n−SO3M (I)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり、nは20〜70の整数である。)
(4)塩基を、コア重合体粒子(A)、中間層(B)及び外層(C)の少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に添加し、当該水性分散液のpHを7以上にして中空重合体粒子を含有する水性分散液を調製する工程、
(5)前記水性分散液のpHを酸性にした状態で、カチオン性を示す反応基を中空重合体粒子の表面に導入する工程、を実施する水性分散液の製造方法を提供する。
本発明は、水性分散液を含有する填料をパルプスラリーに添加して抄造する工程を実施する内添紙の製造方法を提供する。
本発明は、上記(1)〜(5)工程に加え、(6)中空重合体粒子を水性分散液から分離する工程を実施する中空重合体粒子の製造方法を提供する。
更に、本発明は、上記中空重合体粒子の製造方法で製造された中空重合体粒子を提供する。
本発明の水性分散液の製造方法で調製されるコア重合体粒子(A)は、酸性基含有単量体及びこれと重合可能なモノエチレン性不飽和単量体からなる単量体混合物(a)を共重合して得られる。酸性基含有単量体は、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスフィニル基等の酸基を有するエチレン性不飽和単量体であり、特定の単量体に限定されない。エチレン性不飽和酸単量体の具体例は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和スルホン酸単量体、エチレン性不飽和リン酸単量体等である。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メタコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和多価カルボン酸;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物等である。
エチレン性不飽和リン酸単量体の具体例は、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸等である。
上記酸性基含有単量体のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩も用い得る。上記酸性基含有単量体1種又は2種以上の組み合わせを用いる。
単量体混合物(a)中の酸性基含有単量体の使用割合は20〜60質量%であり、好ましくは25〜50質量%であり、更に好ましくは30〜40質量%である。当該使用割合が20質量%より少ない場合、中空部分を重合体粒子中に形成しにくくなる。一方、当該使用割合が60質量%より多い場合、酸性基がコア重合体粒子の表面に局在し、中間層(B)を形成しにくくなる。
乳化重合反応に一般に使用される、例えば、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、キレート剤、電解質、脱酸素剤などの各種添加剤が、重合用副資材として使用され得る。
これらの界面活性剤は、1種又は2種以上が使用される。
中でも、重合安定性が良好であるため、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
界面活性剤の使用量は、当該単量体混合物(a)の全量に対して、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%である。この使用量が過小であると凝集物が生成し易く、逆に過大であると中空重合体粒子の空隙率が低くなる。
無機塩は、特に限定されない。無機塩の具体例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩;塩化カルシウム、硫酸バリウムなどのアルカリ土類金属塩;硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムである。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、トリポリリン酸ナトリウムがより好ましい。
中間層(B)は、実質的にコア重合体粒子(A)を包囲している。モノエチレン性不飽和単量体88〜100質量%及び酸性基含有単量体12〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(b)が、当該コア重合体粒子(A)の存在下で共重合され、当該コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する中間層(B)が形成される。
単量体又は単量体混合物(b)に含まれるモノエチレン性不飽和単量体は、単量体混合物(a)に含まれるモノエチレン性不飽和単量体と同様である。
外層(C)は、実質的に中間層(B)を包囲している。モノエチレン性不飽和単量体97〜100質量%及び酸性基含有単量体3〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(c)が、当該中間層(B)により実質的に包囲された当該コア重合体粒子(A)の存在下で重合又は共重合され、当該中間層(B)を実質的に包囲する外層(C)が形成される。
R−O−(CH2CH2O)n−SO3M (I)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり、nは20〜70の整数である。)
上記一般式(I)で示される界面活性剤は市販されており、市販品の具体例は、花王(株)製ラムテル(登録商標)E−150である。
勿論、本発明の効果を実質的に阻害しない限り、上記一般式(I)で示される界面活性剤以外の界面活性剤を併用することもできる。
塩基が、コア重合体粒子(A)、中間層(B)及び外層(C)の少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に添加され、当該水性分散液のpHが7以上とされ、コア重合体粒子(A)に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されて形成された少なくとも一つの空隙を有する中空重合体粒子が得られる。当該空隙は水性分散液を形成する水性媒体で充満されている。
塩基は、添加時の凝集物発生の抑制の観点から、好ましくは水溶液の状態で添加され、その濃度は、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である。更に、上記観点から、塩基が添加される前又は添加されると同時に、アニオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤が添加され得る。
ここで用いる界面活性剤としては、前記一般式(I)で示される界面活性剤が好ましく
挙げられる。この界面活性剤を、単量体混合物(a)、単量体又は単量体混合物(b)及び単量体又は単量体混合物(c)の全量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%の範囲で添加すると、塩基処理時のみならず、その後の工程においても、粗大凝集物の発生を効果的に抑制することができる。
塩基処理した水性分散液を、酸で処理して水性分散液のpHを酸性に調節する。この酸処理により、中空重合体粒子の粒子径及び空隙率を大きくすることができる。酸処理の際の水性分散液のpHは、3〜6.5の範囲にあることが好ましい。
酸処理に使用される酸は、特に限定されない。当該酸の具体例は、塩酸、硫酸などの鉱酸;酢酸、マロン酸などの有機酸である。酸処理工程において、酸性基含有単量体を酸として使用できる。酸性基含有単量体を酸として使用する場合、コア重合体粒子(A)、中間層(B)および外層(C)の形成に使用した単量体合計100質量部に対して、通常0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.2〜5質量部の範囲の酸性基含有単量体を使用する。
酸処理工程において、酸性基含有単量体と共に、これと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体を共存させてもよい。このモノエチレン性不飽和単量体としては、単量体混合物(a)で用いるものと同様のものが挙げられ、好ましくは芳香族ビニル単量体、より好ましくはスチレンが使用できる。
酸性基含有単量体とこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体を使用する場合、その組成は、酸性基含有単量体が好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%、モノエチレン性不飽和単量体が好ましくは99.5〜90質量%、より好ましくは99〜95質量%の範囲である。酸性基含有単量体の含有割合が少なすぎると、酸処理のために酸性基含有単量体を含む単量体混合物を大量に添加する必要が生じ、その単量体混合物を重合した場合に、中空重合体粒子の空隙率が低下する傾向がある。また、酸性基含有単量体の含有割合が多すぎると、添加した酸性基含有単量体を含む単量体混合物を重合した場合に、親水性の高い重合体が生成して、水性分散液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になったり、粗大凝集物が発生し易くなったりする場合がある。
酸性基含有単量体を含む単量体混合物を添加する場合の添加量は、コア重合体粒子(A)、中間層(B)および外層(C)の形成に使用した単量体合計100質量部に対して、単量体混合物として、好ましくは20〜100質量部、より好ましくは40〜80質量部である。
ここで用いる界面活性剤としては、前記一般式(I)で示される界面活性剤が好ましく
挙げられる。この界面活性剤を、単量体混合物(a)、単量体又は単量体混合物(b)及び単量体又は単量体混合物(c)の全量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%の範囲で添加すると、酸処理時のみならず、その後の工程においても、粗大凝集物の発生を効果的に抑制することができる。
酸として酸性基含有単量体を用いる場合、酸性基含有単量体を含む単量体混合物を界面活性剤の存在下で、水性媒体中で乳化し、得られた乳化物を添加する方法が、粗大凝集物の発生を効果的に抑制できる点から好ましく採用できる。
酸処理を行った後、所望により、上記外層(C)が形成された重合体粒子の存在下にモノエチレン系不飽和単量体を重合し、外層(C)の外周に最外層(D)を形成できる。最外層(D)の形成に用いる好ましい単量体は、芳香族ビニル単量体、または芳香族ビニル単量体90重量%以上およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体10重量%以下とからなる単量体混合物である。芳香族ビニル単量体またはそれを主成分とする単量体混合物の重合によって、ガラス転移温度(Tg)の高い最外層(D)が形成され、得られる中空重合体粒子の不透明化効果が向上し、粒子同士の融着も防止される。
酸処理工程で、酸性基含有単量体を含む単量体混合物を用いた場合には、通常、該単量体混合物の重合も同時に進行するので、該単量体混合物から形成した重合体が最外層(D)を構成することになる。また、酸処理工程において、重合禁止剤などを添加して重合反応を抑制した場合には、その後にさらに重合開始剤を追加的に添加して、最外層(D)の形成を行ってもよい。
酸処理により、前記の水性分散液のpHは酸性になっており、その状態で、カチオン性を示す反応基(「官能基」という場合がある。)を中空重合体粒子の表面に導入する。
カチオン性を示す官能基は、酸性(特に好ましくは、pHが6.5以下)で、カチオンを形成する基である。
カチオン性を示す官能基の具体例は、アミノ基、アンモニウム基などのオニウム塩を形成しうる基である。そのような官能基の導入量は、重合体100g当り通常、0.002〜0.2g当量、好ましくは0.005〜0.1g当量である。そのような官能基の導入に用いられる最も代表的な化合物であるジメチルアミノエチルメタクリレート単量体の量に換算すれば、重合体100質量部当たり、通常、0.3〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
前者の方法の場合、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、重合性の官能基含有化合物以外のモノエチレン性不飽和単量体を併用することもできる。
上記グラフト重合反応および付加反応に用いられる官能基含有化合物の具体例は、下記式で表わされるエチレン系不飽和アミン、ビニルピリジン類である。
本発明の中空重合体粒子を、本発明の中空重合体粒子を含む水性分散液からスプレー乾燥等の公知の方法によって分離できる。
例えば、印刷用塗工紙、インクジェット記録紙、感熱紙、感圧紙などの塗工紙用の塗工組成物に配合する有機顔料;感熱紙、感熱転写紙などにおける断熱層を形成するための材料;水性印刷インキ、水性インクジェット用インキなどの水性インキの隠蔽剤や顔料;内添紙の不透明度向上剤;などに用いることができる。なかでも、内添紙に用いた場合、白色度と不透明度に優れる内添紙を高い歩留率で製造することができる。
本発明の中空重合体粒子を含む水性分散液又は本発明の中空重合体粒子を含む填料を、水に分散したパルプに添加してスラリーを得、当該スラリーを抄紙して内添紙を製造できる。
水性分散液、中空重合体粒子及び内添紙の物性は以下のように測定された。
得られた水性分散液を80メッシュのろ布を用いてろ過し、ろ布上の残渣を、水洗後、乾燥して残渣分の質量を秤量した。ろ過した水性分散液中の固形分に対する、残渣分の割合を百分率で求め、以下の基準で判定した。残渣分が少ないほど、安定性に優れている。
評価 A:残渣が0.1%未満
評価 B:残渣が0.1%以上、1%未満
評価 C:残渣が1%以上
水性分散液中の中空重合体粒子のゼータ電位を、0.01N KCl及びpH5.5の条件下で全自動界面動電現象解析装置(PenKem社製PenKem System3000)を使用して測定した。この測定条件下では、中空重合体粒子の電界による移動が検知される(高分子電解質は検出されない)。従って、プラスのゼータ電位が観測される場合、中空重合体粒子はプラスの電荷を有している。
中空重合体粒子200個各々の最大粒子径と空隙の最大径が、透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−7500)により測定され、以下の式により計算される空隙率が単純に平均された値が、中空重合体粒子の空隙率とされた。
中空重合体粒子の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡による中空重合体粒子200個各々の最大粒子径が単純平均されて求められた。
スチレンピーク面積対中空重合体粒子質量の検量線を、スチレン含有量既知の中空重合体粒子と熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて作成した。次に、中空重合体粒子を含有する内添紙約1gを冷凍粉砕器で紙粉化し、紙粉中の中空重合体粒子量を熱分解ガスクロマトグラフィーによって測定し、内添紙中の中空重合体粒子の含有率(質量%)を上記検量線により算出した。そして、内添紙中の中空重合体粒子の歩留率を下式により算出した。
歩留率=(内添紙中の中空重合体粒子の質量)/(パルプスラリーに添加された中空重合体粒子の質量)×100
内添紙のISO白色度(単位:%)を、JIS P8113−1976に基づいて、分光色彩白色度計(日本電色工業社製PF10)を用いて測定した。数値が大きいほど白色度が優れている。
内添紙の不透明度(単位:%)を、JIS P8138−1976に基づいて、分光色彩白色度計(日本電色工業社製PF10)を用いて測定した。数値が大きいほど不透明度が優れている。
内添紙の裂断長を、JIS P8113−1976に基づいて、次式で求める。
裂断長(km)=引張強さ/(試験片の幅×試験片の坪量)×1000
単量体混合物の調整
メタクリル酸メチル60%、アクリル酸ブチル5%及びメタクリル酸35%を混合して、コア重合体粒子(A)形成用単量体混合物(a)5部を調整した。メタクリル酸メチル78%、アクリル酸ブチル16%及びメタクリル酸6%を混合して、中間層(B)形成用単量体混合物(b)45部を調整した。スチレンからなる外層(C)形成用単量体(c)73部を調整した。スチレン97%及びメタクリル酸3%を混合して、酸処理及び最外層(D)形成用の単量体混合物(d)75部を調整した。
単量体混合物(a)5部、イオン交換水4部及び乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王(株)製ペレックスSS−H)0.045部を、混合、攪拌して、単量体混合物(a)の乳化物を調整した。
攪拌機、還流冷却管、温度計及び分液ロートを取り付けた反応器に、イオン交換水13.25部および数平均粒子径が35nmのアクリル系重合体シードを0.2部含有するラテックス(固形分濃度:12%)を仕込み、80℃に昇温した。
次いで、3%の過硫酸カリウム水溶液0.85部を添加した後、単量体混合物(a)の乳化物を3時間に亘り、反応器に連続的に添加した。添加終了後、さらに、80℃で重合反応を2時間行った。重合転化率は98%であった。
3%の過硫酸カリウム水溶液7部を、コア重合体粒子(A)を含む反応液に添加した後、80℃で攪拌した。次いで、単量体混合物(b)45部及び乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製ラムテルE−150、C12H25−O−(CH2CH2O)47−SO3Na:C8H17−O−(CH2CH2O)47−SO3Na=5:1(モル比))0.36部を2時間かけて反応液に連続的に添加し、更に重合反応を1時間行った。単量体混合物(b)の転化率は98%であった。
3%の過硫酸カリウム水溶液10部を、中間層(B)で包囲されたコア重合体粒子(A)を含む反応液に添加した後、80℃で攪拌した。次いで、単量体(c)73部及びラムテルE−150 0.584部を2時間かけて反応液に連続的に添加し、更に重合反応を1時間行った。単量体(c)の転化率は98%であった。
重合反応終了直後、10%の水酸化ナトリウム水溶液15.4部及びラムテルE−150 0.6部を分液ロートから添加し、塩基処理を85℃で2時間行った。得られた水性分散液の一部を採取し、水性分散液のpHを室温で測定した。pHは9.0であった。
単量体混合物(d)75部及びラムテルE−150 0.637部を、上記水性分散液に2時間かけて連続的に添加し、更に重合反応を1時間行った。単量体混合物(d)の転化率は98%であった。得られた水性分散液の一部を採取し、水性分散液のpHを室温で測定した。pHは6.0であった。
N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレート3.4部を、最外層(D)が形成された重合体粒子を含む水性分散液に添加し、85℃で10分間反応させた。次に、パーブチルH−69水溶液(日油(株)製)0.02部及び1%のL−アスコルビン酸水溶液5部を反応液に添加し、未反応単量体混合物を85℃で1時間攪拌して共重合させた。最終段階の重合転化率は99%であった。次いで、反応液のpHを0.1N塩酸で3.5に調整し、中空重合体粒子を含有する水性分散液を得た。得られた水性分散液の安定性、当該水性分散液に含まれる中空重合体粒子のゼータ電位、空隙率及び平均粒子径を測定した。
ナイヤガラビーターで叩解された広葉樹晒しパルプとナイヤガラビーターで叩解された針葉樹晒しパルプを80:20の割合で混合し、濃度2.4%のカナディアンフリーネス(CSF) JIS P8121−1976)のパルプスラリーを調整した。上記中空重合体粒子を含む水性分散液を、パルプの絶乾質量に対して5%(固形分換算)となるように上記パルプスラリーに添加し、5分間攪拌した。その後、濃度1%の硫酸アルミニウム水溶液を、パルプの絶乾質量に対して0.5%(固形分換算)となるように上記パルプスラリーに添加し、2分間攪拌した。次いで、パルプスラリーを濃度0.02%となるように水で希釈し、2分間攪拌して紙料スラリーを得た。当該紙料スラリーを、漉き箱中のパルプスラリー濃度が0.004%となるように水を張ってある角型シート抄紙機の漉き箱に移して100メッシュの金網で漉いてウェットシートを作製した。当該ウェットシートを線圧5〜8kg/cmの絞りロールで脱水した後、95〜110℃の回転式ドラムドライヤーで1分間乾燥し、次いで、線圧35〜40kg/cmのスーパーカレンダーに通し、JIS P8121−1976に基づいて20℃、湿度65%の雰囲気で24時間調湿し、坪量65g/cm2の内添紙を作製し、当該内添紙中の中空重合体粒子の歩留率、内添紙の坪量、白色度、不透明度及び裂断長を測定した。結果を表1に示す。
中間層(B)、外層(C)および最外層(D)の形成において、表1に示す界面活性剤の種類と使用量に変更した以外は、実施例1と同様にした。
なお、ラムテルE−118B(花王(株)製)は、以下の構造を有する界面活性剤である。
C12H25−O−(CH2CH2O)18−SO3Na
中間層(B)及び外層(C)の形成において、表1に示す界面活性剤の種類と使用量に変更し、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレートの使用量を変更した以外は、実施例1と同様にした。
外層(C)及び最外層(D)の形成において、表1に示す界面活性剤の種類と使用量に変更した以外は、実施例1と同様にした。
得られた水性分散液の安定性が極めて低く、中空重合体粒子の物性を測定できず、内添紙を製造できなかった。
外層(C)、最外層(D)の形成及び塩基処理において、表1に示す界面活性剤の種類と使用量に変更した以外は、実施例1と同様にした。
得られた水性分散液の安定性が極めて低く、中空重合体粒子の物性を測定できず、内添紙を製造できなかった。
中間層(B)、外層(C)および最外層(D)の形成、並びに塩基処理において、表1に示す界面活性剤の種類と使用量に変更した以外は、実施例1と同様にした。
得られた水性分散液の安定性は良好であったが、内添紙の白色度と不透明度に劣っていた。
外層(C)の形成、並びに塩基処理において、表1に示す界面活性剤の種類と使用量に変更し、塩基処理の直後に、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレートを反応させた以外は、実施例1と同様にした。
得られた水性分散液の安定性は低下し、内添紙の白色度と不透明度に劣っていた。
塩基処理および最外層(D)の形成において、特定の界面活性剤を使用したものの、外層(C)の形成時に、本発明で規定する界面活性剤を使用せずに製造した水性分散液は、中空重合体粒子の粒子径および空隙率が小さくなり、当該水性分散液を使用して得た内添紙中の中空重合体粒子の歩留率は低く、当該内添紙の白色度及び不透明度は低く、当該内添紙の裂断長は短かった(比較例3)。
カチオン性を示す反応基を導入する際のpHが7より高い条件で製造した水性分散液に含まれる中空重合体粒子のゼータ電位はマイナスであり、空隙率は小さく、該水性分散液を使用して得た内添紙中の中空重合体粒子の歩留率は低く、当該内添紙の白色度及び不透明度は低く、当該内添紙の裂断長は短かった(比較例4)。
Claims (5)
- (1)酸性基含有単量体20〜60質量%及びこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体80〜40質量%からなる単量体混合物(a)を共重合してコア重合体粒子(A)を調製する工程、
(2)モノエチレン性不飽和単量体88〜100質量%及び酸性基含有単量体12〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(b)を、コア重合体粒子(A)の存在下に重合又は共重合して、 コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する中間層(B)を形成する工程、
(3)モノエチレン性不飽和単量体97〜100質量%及び酸性基含有単量体3〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(c)を、 中間層(B)で包囲されたコア重合体粒子(A)の存在下に、下記一般式(I)で示される界面活性剤を用いて重合又は共重合して、中間層(B)を実質的に包囲する外層(C)を形成する工程、
R−O−(CH2CH2O)n−SO3M (I)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり、nは20〜70の整数である。)
(4)塩基を、コア重合体粒子(A)、中間層(B)及び外層(C)の少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に添加し、当該水性分散液のpHを7以上にして中空重合体粒子を含有する水性分散液を調製する工程、
(5)前記水性分散液のpHを酸性にした状態で、カチオン性を示す反応基を中空重合体粒子の表面に導入する工程、を実施する水性分散液の製造方法。 - 請求項1に記載された水性分散液の製造方法で製造された水性分散液。
- 請求項2に記載された水性分散液を含有する填料をパルプスラリーに添加して抄造する工程を実施する内添紙の製造方法。
- (1)酸性基含有重合体20〜60質量%及びこれと重合可能なモノエチレン性不飽和単量体80〜40質量%からなる単量体混合物(a)を共重合してコア重合体粒子(A)を調製する工程、
(2)モノエチレン性不飽和単量体88〜100質量%及び酸性基含有単量体12〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(b)を、コア重合体粒子(A)の存在下に重合又は共重合して、 コア重合体粒子(A)を実質的に包囲する中間層(B)を形成する工程、
(3)モノエチレン性不飽和単量体97〜100質量%及び酸性基含有単量体3〜0質量%からなる単量体又は単量体混合物(c)を、 中間層(B)で包囲されたコア重合体粒子(A)の存在下に、下記一般式(I)で示される界面活性剤を用いて重合又は共重合して、中間層(B)を実質的に包囲する外層(C)を形成する工程、
R−O−(CH2CH2O)n−SO3M (I)
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、Mはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり、nは20〜70の整数である。)
(4)塩基を、コア重合体粒子(A)、中間層(B)及び外層(C)の少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に添加し、当該水性分散液のpHを7以上にして中空重合体粒子を含有する水性分散液を調製する工程、
(5)前記水性分散液のpHを酸性にした状態で、カチオン性を示す反応基を中空重合体粒子の表面に導入する工程、
(6)中空重合体粒子を水性分散液から分離する工程、を実施する中空重合体粒子の製造方法。 - 請求項4に記載された中空重合体粒子の製造方法で製造された中空重合体粒子。
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