JP3557844B2 - 両性中空重合体粒子、その製造方法、および該粒子を用いた紙塗工用組成物 - Google Patents

両性中空重合体粒子、その製造方法、および該粒子を用いた紙塗工用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両性中空重合体粒子、その製造方法およびそれを含む紙塗工用組成物に関する。
本発明の両性中空重合体粒子は、有機顔料、断熱材、不透明化剤などとして水系塗料、紙塗工物などに用いられるが、特に、紙塗工物として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、中空重合体粒子を含有する水性分散液は、水系塗料または紙塗被組成物などの用途に使用されている。すなわち、中空重合体粒子は、粒子中に密実均一に重合体が充填された重合体粒子と比べて、光を良く散乱させ、光の透過性を低くするので、隠蔽剤や不透明度、白色度などの光学的性質に優れた有機顔料として水系塗料、紙塗被組成物などの用途で汎用されている。
【0003】
また、両性中空重合体粒子は、良好な不透明度や白色度を示すほか、吸水性およびインク転移性などの印刷適性に優ることが示されている。例えば、特開平3−74441号公報には、2段階重合により、両性乳化剤を含有する不活性液体によって膨潤されたコアを有するコア/シェル型重合体粒子を形成させ、次いで発泡処理および必要に応じ不活性液体の除去処理を行う方法により、得られる両性中空重合体粒子が記載されている。この両性中空重合体粒子は、上記のように可視光線の散乱性、不透明度、吸水性およびインク転移性が良好であって、この両性中空重合体粒子を用いた紙塗工用組成物から得られる塗工紙は白色度、印刷適性および剛性に優れている。
【0004】
しかしながら、この両性中空重合体粒子は、いくつかの問題点を抱えている。すなわち、(イ)両性石けん乳化剤を用いて乳化重合により製造されるため、重合安定性に乏しい、(ロ)発泡法による中空形成によって均一な中空度の中空重合体粒子を形成することが困難であり、品質の安定性に問題があり、また、(ハ)コアを膨潤させるための不活性液体としての多量の有機溶媒の使用は安全上問題があるとともに、有機溶媒の除去・回収工程が必要であって、工業的な有利でない、という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような従来知られている両性中空重合体粒子が有する問題点を解決し、良好な不透明度、白色度、吸水性、インク移転性などの特性を有する両性中空重合体粒子であって、重合安定性および重合体の品質の安定性を損うことなく工業的有利に製造することができる両性中空重合体粒子およびその水性分散液を提供することにある。
本発明の他の目的は、そのような両性中空重合体粒子およびその水性分散液を安定して形成することができ、工業的有利に製造することができる方法を提供するにある。
【0006】
さらに、他の目的は、不透明度、白色度、吸水性、インク移転性などの特性に優れた塗工紙を与える紙塗工用組成物を提供することにある。
発明者らは、酸性基含有単量体単位を比較的多量に含む共重合体からなる芯重合体、該芯重合体を包囲する中間層重合体および該中間層重合体を包囲する外層重合体からなる少なくとも3層構造を有する重合体粒子の水性分散液を塩基で処理して中空重合体粒子を形成し、次いで、該中空重合体粒子の表面にpH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を導入することによって上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、(1)酸性基含有単量体10〜50重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体90〜50重量%とを共重合してなる芯重合体、
(2)モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または、該単量体88重量%以上と酸性基含有単量体12重量%以下とを共重合することによって形成された、実質的に上記芯重合体を包囲する少なくとも1層の中間層重合体、
(3)モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または該単量体97重量%以上と酸性基含有単量体3重量%以下とを共重合することによって形成された、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体からなる少なくとも3層構造を有し、かつ、芯重合体に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有する中空重合体粒子であって、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を粒子表面に含有することを特徴とする両性中空重合体粒子が提供される。
【0008】
本発明によれば、他の一面において、上記のような特徴を有する両性中空重合体粒子の水性分散液が提供される。
さらに、本発明によれば、(1)酸性基含有重合体10〜50重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体90〜50重量%との単量体混合物を共重合することによって芯重合体粒子を調製し、
(2)上記芯重合体粒子の存在下に、モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または、該単量体88重量%以上と酸性基含有単量体12重量%以下とを共重合することによって、実質的に該芯重合体粒子を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成し、
(3)上記芯重合体粒子を包囲する中間層重合体が形成された重合体粒子の存在下に、モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または該単量体97重量%以上と酸性基含有単量体3重量%以下とを共重合することによって、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体を形成し、
(4)得られた少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して該分散液のpHを7以上として中空重合体粒子を形成し、
(5)次いで、該粒子表面にpH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を導入する、
上記(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする両性中空重合体粒子の製造方法が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、他の一面において、上記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする両性中空重合体粒子の水性分散液の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、他の一面において、顔料および、該顔料に対し0.1〜50重量%の請求項1記載の両性中空重合体粒子を含有してなる紙塗工用組成物が提供される。
【0010】
【発明の実施形態】
本発明の両性中空重合体粒子は、芯重合体、中間層重合体および外層重合体からなる少なくとも3層構造を有し、かつ、芯重合体に比較的多量に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有し、さらにそのような中空重合体粒子の表面にカチオン性官能基を導入したものである。
【0011】
芯重合体
芯重合体は、酸性基含有単量体10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体90〜50重量%、好ましくは85〜60重量%とを共重合して得られる。酸性基含有単量体の量が過小であると、塩基処理工程において重合体粒子中に塩基が浸透し難くなり、重合体粒子中にボイドの形成が困難となる。また、その量が過大であると、芯重合体が中間層重合体や外層重合体の外側へ移動し易くなり、重合の安全性が損われる。
【0012】
本発明で使用する酸性基含有単量体は酸性を示す官能基を有する単量体であって、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルなどのカルボキシル基含有単量体、ならびにスチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体などを挙げることができる。これらの酸性基含有単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。過度に親水性が強い酸では酸性基が重合体粒子の外側に局在し易く、中間層重合体による芯重合体の被覆が困難となったり、重合体粒子内のボイドの形成が困難になる。
【0013】
酸性基含有単量体の中でもモノカルボン酸およびジカルボン酸のモノエステルが好ましく用いられる。これらの中でもメタクリル酸が最も好ましい。
共重合体の形成に使用するモノエチレン系不飽和単量体とは、酸性基含有単量体と共重合可能な酸性基を含有しないモノエチレン系不飽和単量体を意味し、そのような単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;ブタジエン、イソプレンなどのジエン系単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジンなどを挙げることができる。これらの単量体の中でも(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
また、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を必要に応じて使用することができる。ただし、架橋性単量体を多量に使用するとボイド形成が困難になるので、その量は安定なボイド形成が維持できる範囲にとどめるべきである。
【0015】
芯重合体を形成する重合方法としては、通常、乳化重合法が採られる。ただし、他の重合法によって得られた重合体を転相法によってラテックスとしてもよい。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式などのいずれの方式を採用してもよい。重合温度は、低温、高温のいずれでもよい。重合圧力、重合時間も格別限定されることなく、公知の条件が採られる。また、重合用副資材としては、公知のもの、例えば、各種乳化剤、重合開始剤、キレート剤、電解質、分子量調整剤、界面活性剤などの各種添加剤を使用することができる。
【0016】
また、芯重合体の形成はシード(核重合体)を用いて重合を行うことが望ましい。シードを使用すれば生成する重合体粒子の径を制御することが容易となる。シードとして用いる核重合体の組成は格別限定されないが、酸性基含有単量体20〜60重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体80〜40重量%とを共重合してなる重合体が好ましい。また、核重合体粒子そのものの形成をシード重合によって行うことも可能である。重合反応における単量体の転化率は通常90重量%以上、好ましくは97重量%以上であり、生成する共重合体の組成は使用した単量体混合物の組成とほぼ同じである。
【0017】
中間層重合体
中間層重合体は、実質的に芯重合体を包み込むものであり、芯重合体と表面層重合体に挟まれているものである。中間層重合体は、芯重合体粒子の存在下に、エチレン系不飽和単量体を単独でするか、または、モノエチレン系不飽和単量体88重量%以上と酸性基含有単量体12重量%以下とを共重合することにより芯重合体の外周に形成される。好ましくは、中間層はモノエチレン系不飽和単量体97〜91重量%と酸性基含有単量体3〜9重量%との共重合により形成される。なお、中間層は単一の重合体層で形成されていてもよく、または、複数の重合体層で形成されていてもよい。複数の重合体層で形成される場合、それぞれの層が上記組成に関する要件を満足する限り、それぞれの重合体層の組成は格別限定されるものではない。
【0018】
中間層重合体形成用単量体混合物中に少量の酸性基含有単量体が含まれると、塩基処理時に重合体が膨潤し易くなり、得られる中空重合体粒子の殻厚が適切なものとなり、また、塩基処理時の安定性が向上するので好ましい。ただし、中間層重合体中の酸性基含有単量体単位の量が12重量%を超えると、芯層重合体が外表面に向って移動し、塩基処理時に重合体が溶解され易くなり、得られる中空重合体粒子の粒径が小さくなる。
【0019】
中間層重合体の形成に用いるモノエチレン系不飽和単量体の具体例としては芯重合体の形成に用いる共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体として例示したものと同様な単量体を挙げることができ、また、これと共重合される酸性基含有単量体の具体例としては、同様に芯重合体の形成に用いる酸性基含有単量体として例示したものと同様な単量体を挙げることができる。
【0020】
芯重合体と中間層重合体との重量比(芯/中間層)は、通常1/99〜50/50、好ましくは5/95〜40/60、より好ましくは10/90〜30/70の範囲である。中間層重合体の量が過小であると重合時または塩基処理時に芯重合体が外層重合体の外側に移動して、やはりボイド形成が困難となる。
中間層重合体を形成するための重合方法としては、通常は乳化重合法が採用され、また、回分式、連続式、半連続式などいずれの方式も採用でき、また、重合条件および重合用副資材については芯重合体の場合と同様に公知の条件および資材を使用することができる。
【0021】
外層重合体
外層重合体は、芯重合体と中間層重合体とからなる重合体粒子の外周に形成され、これら芯/中間層重合体を実質的に包み込むものである。必要に応じて、外層重合体のさらに外周に最外層重合体を形成することができるが、この場合には、外層重合体は中間層重合体と最外層重合体との間に介在することになる。
【0022】
本発明の中空重合体粒子を構成する外層重合体は、芯重合体の外周に中間層重合体が形成された重合体粒子の存在下に、モノエチレン系不飽和単量体単独、またはモノエチレン系不飽和単量体97重量%以上と酸性基含有単量体3重量%以下とからなる単量体混合物を重合することによって形成される。好ましくは、モノエチレン系不飽和単量体単独、またはモノエチレン系不飽和単量体99重量%以上と酸性基含有単量体1重量%以下とからなる単量体混合物が用いられる。
【0023】
外層重合体の形成に用いる単量体は、極く少割合の酸性基含有単量体と、モノエチレン系不飽和単量体として極めて多割合の芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物が望ましい。このような単量体混合物を用いると、塩基処理時の安定性が向上し、凝集物が発生する恐れが少ないからである。ただし、酸性基含有単量体の量が3重量%を越えると、塩基処理時に内部の芯層重合体が重合反応系内に溶けだし易く、得られる中空重合体粒子の不透明化効果が低下する。また、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す基を導入するのが難しくなる傾向がみられる。
【0024】
モノエチレン系不飽和単量体の具体例としては芯重合体の形成に用いる共重合可能な単量体として例示したものと同様な単量体を挙げることができる。それらの中でも、好ましいとされる芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびハロゲン化スチレンなどが挙げられる。これらの中でもスチレンが最も好ましい。
芳香族ビニル単量体、その他のモノエチレン系不飽和単量体と共重合される酸性基含有単量体としては、芯重合体形成用単量体として例示した酸性基含有単量体を挙げることができる。
【0025】
芯重合体と中間層重合体とからなる重合体粒子と外層重合体との重量比〔(芯重合体+中間層重合体)/外層重合体〕は、通常30/70〜80/20、好ましくは40/60〜75/25の範囲である。外層重合体の量が過大であると塩基処理時に塩基が浸透し難く、重合体粒子中にボイドの形成が困難となる。逆に、外層重合体の量が過小であると、重合時または塩基処理時に芯重合体が外層重合体の外側に移動して、やはりボイドの形成が困難となる。
外層重合体を形成するための重合方法としては、中間層重合体の場合と同様に、通常、乳化重合法が採用され、また、重合方式、重合条件、重合用副資材についても同様に公知のものが採られる。
【0026】
塩基処理
芯重合体、中間層重合体および外層重合体からなる少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有するラテックスなどの水性分散液に塩基を添加して水性分散液のpHを7以上とすることによって、重合体粒子内に少なくとも一つのボイドが形成される(ボイドは水性分散液を形成する水性液で充満している)。
使用される塩基の具体例としては、アンモニア;メチルアミンなどの低級アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属(重)炭酸塩;炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの(重)炭酸アンモニウム塩;などを挙げることができる。これらの中でも、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。使用する塩基の量は、前記重合体粒子中の酸性基の少なくとも一部を中和して、重合体粒子を含有する水性分散液のpHを7以上とする量である。
【0027】
塩基を水性分散液に添加して、重合体粒子内部の酸性基を中和させるためには、塩基が重合体粒子内部に拡散する時間が必要であり、従って、塩基を添加した後、時間をかけて撹拌を十分に行うことが望ましい。塩基処理における処理温度は、重合体粒子を十分に軟化させうる温度以上が好ましい。塩基添加後の処理時間は、通常15分〜120分程度である。
塩基の添加により水性分散液の安定性が低下することがあるが、これを防ぐために、塩基を添加する前に、アニオン界面活性剤や非イオン界面活性剤を単独または併用して添加してもよい。
【0028】
塩基処理工程において、特開平3−26724号公報に開示されている方法に準じて、有機溶剤の存在下に塩基を添加してもよい。有機溶剤の使用によって重合体粒子が軟化し、塩基の拡散が促進される。有機溶剤としては、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール類、エーテル類、ケトン類、飽和カルボン酸エステル類などが挙げられる。有機溶剤は、前記重合体粒子を製造する際に仕込んだ全単量体混合物100重量部に対して、通常0.1〜1000重量部の範囲で使用する。使用した有機溶剤は、塩基処理の後、蒸発させて除去することができる。
塩基処理工程において、有機溶剤のかわりに、重合性単量体を存在させてもよい。重合性単量体としては、通常、酸性基を含まない単量体を使用する。重合性単量体は、前記重合体粒子を製造する際に仕込んだ全単量体混合物100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは20〜50重量部の範囲で使用する。
【0029】
酸処理
塩基処理した重合体ラテックスは、所望により、酸で処理してラテックスのpHを7未満にすることができる。酸で処理することによって粒子径、ボイド径を大きくすることができる。
酸処理に使用される酸は、特に限定されず、その具体例としては、塩酸、硫酸などの鉱酸;酢酸、マロン酸などの有機酸を挙げることができる。酸処理工程において、酸として酸性基含有単量体を使用することができる。酸として酸性基含有単量体を使用する場合には、芯重合体、中間層重合体および外層重合体の合成に使用した単量体合計100重量部に対して、通常0.01〜40重量部、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部の範囲で使用する。
【0030】
また、酸処理工程において、酸性基含有単量体と共に、これと共重合可能な単量体を共存させてもよい。酸性基含有単量体と共重合可能な単量体を使用する場合には、酸性基含有単量体は、最外層用単量体合計100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲で使用する。酸性基含有単量体および共重合可能な単量体の具体例としては芯重合体について例示したものと同様な単量体が挙げられる。
酸処理工程における処理温度、処理時間などは、塩基処理の条件とほぼ同様である。酸の添加により水性分散液の安定性が低下することがあるが、これを防ぐために、酸を添加する前に、アニオン界面活性剤や非イオン界面活性剤を単独または併用して添加してもよい。
【0031】
最外層重合体
塩基処理の後、またはさらに酸処理を行った後、所望により、上記外層が形成された重合体粒子の存在下にモノエチレン系不飽和単量体を重合することによって外層重合体の外周に最外層重合体を形成することができる。最外層の形成に用いる単量体としては、芳香族ビニル単量体単独または芳香族ビニル単量体90重量%以上およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体10重量%以下とからなる単量体混合物が好ましい。芳香族ビニル単量体またはそれを主成分とする単量体混合物を重合することによってガラス転移温度(Tg)の高い最外層重合体が形成され、得られる中空重合体粒子の不透明化効果が向上するとともに、粒子同士の融着も防止される。
【0032】
最外層重合体形成用単量体は、前述のように、塩基処理工程において重合体粒子中への塩基の拡散を促進するために、塩基処理する重合体の水性分散液中に添加することができる。また、芳香族ビニル単量体と共重合する単量体として、酸性基含有モノエチレン系不飽和単量体を用いることもできる。この酸性基含有単量体は、前記酸処理工程で説明したように酸処理を目的として重合体の水性分散液に添加することができる。芳香族ビニル単量体に酸性基含有単量体を併用すると、中空重合体粒子の空隙率が向上する。
【0033】
芯重合体、中間層重合体および外層重合体からなる重合体粒子と最外層重合体との重量比〔(芯重合体+中間層重合体+外層重合体)/最外層重合体〕は、通常100/10〜50/100、好ましくは100/25〜100/100である。
所望ならば、最外層重合体形成用単量体混合物の一部として、少割合の架橋性単量体を用いることができる。
最外層重合体を形成するための重合方法としては、他の層の場合と同様に、通常、乳化重合法が採用され、また、重合条件、重合用副資材についても同様に公知のものが採用される。
【0034】
カチオン性官能基の導入
本発明においては上記の外層形成後塩基処理された重合体粒子または最外層が形成された重合体粒子の表面に、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を導入する。このようなカチオン性官能基の導入によって、両性中空重合体粒子を含む紙塗工用組成物を用いて得られる塗工紙の吸水性およびインク転移性などの印刷適性が向上する。
【0035】
pH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基の具体例としてはアミノ基、アンモニウム基などのオニウム塩を形成しうる基が挙げられる。そのような官能基の導入量は、重合体100g当り通常、0.002〜0.2g当量、好ましくは0.005〜0.1g当量である。そのような官能基の導入に用いられる最も代表的な化合物であるジメチルアミノエチルメタクリレート単量体の量に換算すれば重合体100重量部当たり、通常、約0.3〜30重量部、好ましくは約0.5〜20重量部である。
【0036】
中空重合体粒子に、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を導入する方法としては、中空重合体粒子の存在下にそのような官能基を有する重合性化合物を重合することによって官能基含有化合物をグラフトする方法、およびそのような官能基を有する化合物を付加反応によって結合せしめる方法などが挙げられる。
上記グラフト重合反応および付加反応に用いられる官能基含有化合物の具体例としては下記式で表わされるエチレン系不飽和アミンおよびビニルピリジン類が挙げられる。
【0037】
【化1】
Figure 0003557844
【0038】
Figure 0003557844
上記式で表わされるエチレン系不飽和アミンの具体例としては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル−アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド;アミノエチルビニルエーテル、N−メチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテルなどのアミノアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。また、ビニルピリジン類としては、2−ビニルピリジル、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2,4−ジエチル−5−ビニルピリジンなどが挙げられる。
【0039】
上記官能基含有重合性化合物のグラフト重合反応または付加反応は、外層重合体を形成した重合体粒子を塩基処理した後(この場合は、最外層を形成しないほうが好ましい。)または、そのように塩基処理した重合体粒子に最外層を形成した後に行う。
上記グラフト重合反応または付加反応はpH値が6.5以上の条件下に行う。pH値が6.5未満では反応時に凝固物が発生し易い。従って、必要に応じてpH調節剤を加えてpHを調整する必要がある。
【0040】
紙塗工用組成物
上記のように調製される両性中空重合体粒子は顔料と混合されて紙塗工用組成物とされる。両性中空重合体粒子の配合量は、通常、顔料100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲である。
顔料としては公知の無機顔料および有機顔料が使用できる。無機顔料としては、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。有機顔料としては尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、アミノ樹脂フィラーなどが挙げられる。
【0041】
また、所望ならば、紙塗工用組成物中にはバインダーが配合される。バインダーの量は紙塗工用組成物の固形分重量に基づき5〜95重量%、好ましくは5〜40重量%である。
バインダーとしては、例えば、部分ケン化または完全ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼインなどの水溶性高分子、ならびに、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系重合体などのラテックスや塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などのエマルジョンなどの高分子水性エマルジョンが挙げられる。
【0042】
本発明の紙塗工用組成物中には、両性中空重合体粒子、顔料および所望により用いるバインダーの他に、紙塗工用組成物に一般に常用される補助添加成分、例えば、充填剤、分散剤、消泡剤、蛍光染料、着色染料、ワックスなどの滑剤、ベンゾフェノン系とトリアゾール系などの紫外線吸収剤、防腐剤などを配合することができる。
【0043】
本発明の紙塗工用組成物は、通常、20〜80重量%、好ましくは30〜75重量%の濃度の水性液として調製され、板紙、上質紙、中質紙などに塗工される。塗工方法は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従うことができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレートコーター、ロールコーターなどのコーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が使用される。塗工量は、塗工紙の種類によって異なり、格別限定されるものではないが、一般に、固形分換算で0.1〜50g/mの範囲である。
【0044】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部および%は、特に断りのない限り重量基準である。また、ラテックスの使用量などは固形分換算である。なお、重合はすべて不活性ガスである窒素雰囲気下で行った。中空重合体粒子の平均粒径およびボイド径は、透過型電子顕微鏡で中空重合体粒子を観察して測定し、200個の平均値として求めた。
【0045】
実施例1 (両性中空重合体粒子の製造例1)
メチルメタクリレート(MMA)60%、ブチルアクリレート(BA)5%およびメタクリル酸(MAA)35%からなる、核重合体(シード)形成用の単量体混合物(a)1部、乳化剤(DBS)0.005部およびイオン交換水0.8部を撹拌下に混合してエマルジョン(イ)を調製した。
【0046】
別に、MMA70%、BA10%およびMAA20%からなる、芯重合体形成用単量体混合物(b)10部、乳化剤(DBS)0.05部およびイオン交換水8部を撹拌下に混合してエマルジョン(ロ)を調製した。
また、MMA78%、BA16%およびMAA6%からなる、中間層重合体形成用の単量体(c)25部、乳化剤(DBS)0.1部およびイオン交換水35部を撹拌下に混合してエマルジョン(ハ)を調製した。
さらに、スチレン(ST)37.5部、乳化剤(DBS)0.3部およびイオン交換水16部を撹拌下に混合して外層重合体形成用のエマルジョン(ニ)を調製した。
【0047】
撹拌装置、還流冷却管、温度計、分液ロートを取り付けた反応器に、イオン交換水2.87部、粒子径35nm、固形分濃度12%のアクリルシード系ラテックス0.04部(固形分換算)を仕込み、80℃まで昇温した。次いで、過硫酸カリウム(KPS)3%水溶液0.17部を分液ロートより添加し、エマルジョン(イ)を4時間かけて連続的に添加し、その後さらに1時間重合して核重合体エマルジョンを得た。単量体混合物(イ)の重合転化率は99%であった。
【0048】
次いで、イオン交換水28部、KPS3%水溶液1.7部を添加した後、エマルジョン(ロ)を上記反応器に3時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに2時間重合して芯層重合体を形成した。単量体混合物(ロ)の重合転化率は99%であった。
次いで、イオン交換水を240部、KPS3%水溶液6.7部を添加した後、エマルジョン(ハ)を上記反応器に4時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに2時間重合して中間層重合体を形成した。単量体混合物(ハ)の重合転化率は99%であった。
【0049】
さらに、85℃に昇温し、KPS3%水溶液6.7部を添加した後、エマルジョン(ニ)を上記反応器に1.5時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに1時間重合して外層重合体を形成した。単量体混合物(ニ)の重合転化率は99%であった。
上記で得た重合体粒子を含有するラテックスに、水酸化ナトリウム10%水溶液9部を分液ロートから滴下し、その後30分、85℃に加熱を続けて塩基処理を行った。この段階でラテックスの一部を採取し、室温でラテックスのpHを測定したところ、8.1であった。
【0050】
次に、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレート0.75部を滴下し、85℃で30分間反応せしめた。
得られた両性中空重合体粒子の粒径は800nm、ボイド径は640nmであった。また、両性重合体粒子ラテックスのpHは8.0であり、下記の方法により測定したゲル化点(pH)は4.62であった。
【0051】
ゲル化点の測定は次のようにして行う。
(イ)Michaelisの緩衝液(日本化学会編、「化学便覧基礎編(改訂2版)」昭和50年8月20日発行1495頁参照)を作成する。
緩衝液のpH域を「化学便覧」に示されたものよりも細くとる必要のある場合は、A液、B液の混合比率を「化学便覧」に示されたものよりも、こまかくとる。
(ロ)内容積60mlの透明容器に上記緩衝液を約10mlとる。
(ハ)固形分濃度40%に調整した検体ラテックスを1滴(約0.1gr.)加え、良く混合する。
(ニ)約30分間25℃恒温室中で静置したのち、再度良く混合し、凝固物発生の有無を観察する。
緩衝液pHの高いものから低いものへ順次上記テストを行い、凝固物がはじめて発生した緩衝液のpHをもって、ラテックスのゲル化点とする。
【0052】
実施例2(両性中空重合体粒子の製造例2)
メチルメタクリレート(MMA)60%、ブチルアクリレート(BA)5%およびメタクリル酸(MAA)35%からなる、核重合体形成用の単量体混合物(a)1部、乳化剤(DBS)0.005部およびイオン交換水0.8部を撹拌下に混合してエマルジョン(イ)を調製した。
【0053】
別に、MMA70%、BA10%およびMAA20%からなる、芯重合体形成用単量体混合物(b)10部、乳化剤(DBS)0.05部およびイオン交換水8部を撹拌下に混合してエマルジョン(ロ)を調製した。
また、MMA78%、BA16%およびMAA6%からなる、中間層重合体形成用の単量体(c)25部、乳化剤(DBS)0.1部およびイオン交換水35部を撹拌下に混合してエマルジョン(ハ)を調製した。
【0054】
さらに、スチレン(ST)37.5部、乳化剤(DBS)0.3部およびイオン交換水16部を撹拌下に混合して外層重合体形成用のエマルジョン(ニ)を調製した。
また、ST37.5部、乳化剤(DBS)0.3部およびイオン交換水16部を撹拌下に混合して最外層重合体形成用のエマルジョン(ホ)を調製した。
上記エマルジョン(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)を用いて実施例1と同様に重合体粒子のラテックスを調製し、さらに、KPS3%水溶液10部を添加し、次いでエマルジョン(ホ)を上記反応器に1.5時間かけて連続的に添加した。添加後、さらに2時間重合して最外層重合体が形成された重合体粒子を含有するラテックスを得た。単量体混合物(ホ)の重合転化率は99%であった。
【0055】
次に、実施例1と同様にジメチルアミノメチルメタクリレート0.75部を用いてアミノ基の導入を行い、さらに、乾燥して、両性中空重合体粒子を得た。
得られた両性中空重合体粒子の粒径は850nm、ボイド径は690nmであった。また、両性重合体粒子ラテックスのpHは8.3であり、また、ゲル化点(pH)は4.90であった。
【0056】
実施例3(両性中空重合体粒子の製造例3)
最外層形成用単量体エマルジョン(ホ)(単量体ST100%)に代えて、ST96.8%およびMAA3.2%からなる単量体混合物37.5部のエマルジョン(ハ)を用いた他は、実施例2と同様に両性中空重合体粒子を得た。
得られた両性中空重合体粒子の粒径は900nm、ボイド径は710nmであった。また、両性重合体粒子ラテックスのpHは6.8であり、また、ゲル化点(pH)は4.90であった。
【0057】
比較例1(中空重合体粒子の製造例)
実施例1と同様に中空重合体粒子を製造した。ただし、アミノ基の導入処理は行わなかった。得られた中空重合体粒子の粒径は850nm、ボイド径は690nmであった。得られたラテックスのpHは7.2であり、またゲル化点はなかった。
【0058】
比較例2 (両性密実重合体粒子の製造例)
シードの粒径を57nmに変え、用いる単量体を全てスチレンに変更し、塩基処理を行わなかった他は、実施例2と同様に重合を行った。得られた重合体粒子は密度(中空部分がなく)、粒径は800nmであった。ラテックスのpHは8.0であり、またゲル化点(pH)は4.90であった。
上記各重合体粒子の製造例で採用された条件および得られた粒子の特性をまとめて表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0003557844
注:アミノ化剤DMAMMA=ジメチルアミノメチルメタクリレート
【0060】
紙塗工組成物
上記実施例1〜3および比較例1、2で製造した重合体粒子を用い、下記処方に従って紙塗工用組成物を調製した。
1級クレー(*1) 30部
2級クレー(*2) 30部
重質炭酸カルシウム(*3) 35部
分散剤(*4) 0.2部
でんぷん(*5) 0.3部
ラテックス(*6) 10部
有機顔料(*7) 5部
*1:エンゲルハード社製、ウルトラホワイト90
*2:エンゲルハード社製、ウルトラコート
*3:富士カオリン社製、カービタール90
*4:東亜合成社製、アロンT−40
*5:日本食品加工社製、生澱粉(MS−4600)
*6:日本ゼオン社製、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン系ラテックス
*7:上記実施例で得られた重合体ラテックス(固形分換算)
【0061】
すなわち、上記の各配合成分を混合した後、固形分濃度が58%となるように調整し、アンモニア水を必要に応じて追加して組成物のpHを8.7とした。
この組成物を、塗被原紙上に、塗工量が片面11g/mとなるように、ワイヤーバーを用いて塗工し、塗工直後に、120℃のオーブンで10秒間乾燥した。得られた塗工紙を20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室中で一夜調湿したのち、40℃線圧100kg/cmの条件で2回スーパーカレンダー処理を行い、その後、以下の各試験を実施した。なお、各試験とも5回行い、その結果を平均した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0003557844
【0063】
(イ)不透明度
塗工紙について、ハンター白色度計(村上色彩技術研究所製)により、青色フィルター(457nm)を使用して、反射光量を測定した。
(ロ)白紙光沢
塗工紙について、グロスメーター(村上色彩技術研究所製、GM−26D)により、入射角75度、反射角75度の条件で測定した。
(ハ)印刷光沢
印刷インク(東洋インク社製、ニューマークV 藍)0.3cmをゴムロールに付着させたRIテスター(明製作所製)を用いて、塗工紙にべた刷りし、20℃、65%相対湿度の恒温恒湿室に24時間放置した後、グロスメーター(村上色彩技術研究所製、GM−26D)により、入射角75度、反射角75度の条件で測定した。
【0064】
(ニ)ドライ強度
印刷インク(タック値20)0.4cmをRIテスター(明製作所製)のゴムロールに付着させた後、このRIテスターを用いて塗工紙に4回重ね刷りした。紙面の剥がれ(ピッキング状態)を観察し、5点法で評価した。点数の高い方がドライ強度が高い。
(ホ)ウエット強度
塗工紙に、モルトンロールで水を塗布し、次に印刷インク(タック値14)0.4cmをゴムロールに付着させたRIテスター(明製作所製)を用いてべた刷りした。紙面の剥がれをドライ強度の評価方法と同様にして5点法で評価した。
【0065】
(ヘ)吸水着肉性
RIテスター(明製作所製)を用いて、0.3cmの水を付着させたゴムロールに塗工紙を通過させた後、印刷インク(東洋インク社製、ニューマークV 藍)0.3cmをべた刷りした。印刷インクの付き具合を肉眼で観察し、5点法で評価した。点数の大きいほど吸水着肉性が高い(優れている)。
(ト)インクセット
RIテスター(明製作所製)を用いて、印刷インク(東洋インク社製、ニューマークV 藍)0.6cmをべた刷りした。これに市販のコート紙を重ねてロールに巻き付けて圧着し、コート紙側に移行したインクの量を肉眼で観察する。
【0066】
【発明の効果】
本発明の逐次重合方法に従って、少なくとも3層構造を有する重合体粒子を形成し、次いで、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を導入することによって得られる両性中空重合体粒子は、その製造時の重合安定性がよく、工業的有利に製造することができ、また、得られる両性中空重合体の品質も一様である。
この両性中空重合体粒子は良好な不透明度、白色度および断熱性を示すほか、吸水性やインク移転性などの印刷適性に優れている。
従って、この両性中空重合体粒子は水系塗料、紙塗工組成物などとして有用であり、特に紙塗工組成物として有用度が高い。
【0067】
【発明の好ましい実施態様】
本発明に係る両性中空重合体粒子、すなわち、(1)酸性基含有単量体10〜50重量%およびこれと共重合可能な単量体80〜40重量%とを共重合してなる芯重合体、
(2)モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または、該単量体88重量%以上と酸性基含有単量体12重量%以下とを共重合することによって形成された、実質的に上記芯重合体を包囲する少なくとも1層の中間層重合体、
(3)モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または該単量体97重量%以上と酸性基含有単量体3重量%以下とを共重合することによって形成された、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体からなる少なくとも3層構造を有し、かつ、芯重合体に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有する中空重合体粒子であって、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を粒子表面に含有することを特徴とする両性中空重合体粒子;およびそのような中空重合体粒子の水性分散液の好ましい実施態様;ならびに
本発明に係る両性中空重合体粒子の製造方法、すなわち、(1)酸性基含有重合体10〜50重量%およびこれと共重合可能な単量体90〜50重量%との単量体混合物を共重合することによって芯重合体粒子を調製し、
(2)上記芯重合体粒子の存在下に、モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または、該単量体88重量%以上と酸性基含有単量体12重量%以下とを共重合することによって、実質的に該芯重合体粒子を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成し、
(3)上記芯重合体粒子を包囲する中間層重合体が形成された重合体粒子の存在下に、モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または該単量体97重量%以上と酸性基含有単量体3重量%以下とを共重合することによって、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体を形成し、
(4)得られた少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して該分散液のpHを7以上として中空重合体粒子を形成し、
(5)次いで、該粒子表面にpH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を導入する、
上記(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする両性中空重合体粒子の製造方法;および上記(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする中空重合体粒子の水性分散液の製造方法の好ましい実施態様;さらに、
本発明に係る紙塗工用組成物、すなわち、顔料および、該顔料に対し0.1〜50重量%の請求項1記載の両性中空重合体粒子を含有してなる紙塗工用組成物の好ましい実施態様をまとめると以下のとおりである。
【0068】
(1)芯重合体は、酸性基含有単量体15〜40重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体85〜60重量%とを共重合してなるものである。
(2)中間層重合体は、酸性基含有単量体3〜9重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体97〜91重量%とを共重合してなるものである。
(3)外層重合体は、モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または該単量体99重量%以上と酸性基含有単量体1重量%以下とを共重合してなるものである。
(4)塩基処理した後、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す反応基を導入する前に、重合体粒子の存在下にモノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または、該単量体90重量%以上と酸性基含有単量体10重量%以下とを共重合して、実質的に上記重合体粒子を包囲する最外層重合体を形成する。
【0069】
(5)芯重合体、中間層重合体、外層重合体および最外層重合体の形成に用いる酸性基含有単量体がカルボキシル基含有単量体、より好ましくは、モノカルボン酸またはジカルボン酸のモノエステルである。
(6)芯重合体、中間層重合体および外層重合体の形成に用いる、酸性基含有単量体と共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体が芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ジエン系単量体、カルボン酸ビニルエステル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルピリジンの中から選ばれ、より好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルの中から選ばれる。
【0070】
(6)外層重合体および最外層重合体の形成に用いるモノエチレン系不飽和単量体が芳香族ビニル単量体、より好ましくはスチレンである。
(7)少なくとも3層構造を有する重合体粒子の水性分散液に添加する塩基がアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムの中から選ばれ、より好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物である。
【0071】
(8)重合体粒子含有水性分散液に塩基を添加してpHを7以上とする処理を行った後、酸で処理してpHを7未満とする。
(9)pH3〜8の範囲でカチオン性を示す反応基がアミノ基およびアンモニウム基の中から選ばれるオニウム塩形成性基である。
(10)pH3〜8の範囲でカチオン性を示す反応基の導入量が重合体100g当り0.002〜0.2g当量、より好ましくは0.005〜0.1g当量である。
【0072】
(11)pH3〜8の範囲でカチオン性を示す反応基の導入は、塩基処理された重合体粒子の存在下にオニウム塩形成性基を含有する化合物をグラフト重合するか、または重合体に付加せしめることにより行う。
(12)上記(11)のオニウム塩形成性基を含有する化合物が次式で表わされるエチレン系不飽和アミン
【0073】
【化2】
Figure 0003557844
【0074】
Figure 0003557844
およびビニルピリジン類の中から選ばれる。
(13)紙塗工用組成物は、両性中空重合体粒子および顔料の他に、該組成物の固形分重量に基づき5〜95重量%のバインダーを含む。

Claims (5)

  1. (1)酸性基含有単量体10〜50重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体90〜50重量%とを共重合してなる芯重合体、
    (2)モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または、該単量体88重量%以上と酸性基含有単量体12重量%以下とを共重合することによって形成された、実質的に上記芯重合体を包囲する少なくとも1層の中間層重合体、
    (3)モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または該単量体97重量%以上と酸性基含有単量体3重量%以下とを共重合することによって形成された、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体からなる少なくとも3層構造を有し、かつ、芯重合体に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成された少なくとも一つのボイドを有する中空重合体粒子であって、pH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を粒子表面に含有することを特徴とする両性中空重合体粒子。
  2. 請求項1記載の両性中空重合体粒子の水性分散液。
  3. (1)酸性基含有重合体20〜60重量%およびこれと共重合可能なモノエチレン系不飽和単量体80〜40重量%との単量体混合物を共重合することによって芯重合体粒子を調製し、
    (2)上記芯重合体粒子の存在下に、モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または、該単量体88重量%以上と酸性基含有単量体12重量%以下とを共重合することによって、実質的に該芯重合体粒子を包囲する少なくとも1層の中間層重合体を形成し、
    (3)上記芯重合体粒子を包囲する中間層重合体が形成された重合体粒子の存在下に、モノエチレン系不飽和単量体を単独重合するか、または該単量体97重量%以上と酸性基含有単量体3重量%以下とを共重合することによって、実質的に上記中間層重合体を包囲する外層重合体を形成し、
    (4)得られた少なくとも3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に塩基を添加して該分散液のpHを7以上として中空重合体粒子を形成し、
    (5)次いで、該粒子表面にpH3〜8の範囲でカチオン性を示す官能基を導入する、
    上記(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする両性中空重合体粒子の製造方法。
  4. 請求項3記載の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする両性中空重合体粒子の水性分散液の製造方法。
  5. 顔料および、該顔料に対し0.1〜50重量%の請求項1記載の両性中空重合体粒子を含有してなる紙塗工用組成物。
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