JP2005206670A - 難燃性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アルミニウムを含有し且つ粒径の小さな難燃性無機化合物が重合体中に微分散された難燃性樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本難燃性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂等の合成樹脂重合体と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物と、を含有する。上記アルミニウム含有難燃性無機化合物は、wM・zHO(Mは、Al、Alの酸化物又はAlの水酸化物であり、wは1〜5より選ばれる整数であり、zは0〜10より選ばれる整数である。)で表される化合物であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及びその製造方法に関する。更に詳しくは、粒径の小さなアルミニウム含有難燃性無機化合物が重合体中に微分散された難燃性樹脂組成物及びその製造方法に関する。
アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等のスチレン系樹脂は、加工性、成形品の外観性、耐衝撃性、寸法安定性等に優れているため、OA・家電分野、車両内装品、建材等の幅広い分野に使用されている。しかしながら、スチレン系樹脂は、燃えやすいという欠点を有しており、難燃性が要求される分野では、臭素含有化合物、アンチモン化合物等を配合した樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1等)。また、成形品の外観性を更に向上させるため、ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物及び/又は酸化スズ、塩素化ポリエチレン及び/又はポリテトラフルオロエチレン、硫酸第1鉄及び/又は硫酸第2鉄等を組み合わせた樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献2等)。
一方、難燃剤としては、上記ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物等のほか、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の無機化合物が知られている。これらの難燃剤は、樹脂組成物とするために、通常、樹脂成分と独立して配合される。
特開平1−138252号公報 特開平11−256003号公報
一般に、成形体の難燃性を最大限に発揮させるためには、大きさの微小な難燃剤が微分散している組成物が好ましいと考えられている。上記のように、樹脂成分と、難燃剤とを別々に配合すると、微小な難燃剤を微分散させるのに長時間の混練を必要とする等の問題点がある。
本発明は、難燃性に優れた成形体を得るべくアルミニウム元素を含有し且つ粒径の小さな難燃性無機化合物が重合体中に微分散された難燃性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下に示される。
1.合成樹脂重合体と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物と、を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
2.上記合成樹脂重合体及び上記アルミニウム含有難燃性無機化合物は、複合体として含有されている上記1に記載の難燃性樹脂組成物。
3.上記合成樹脂重合体が熱可塑性樹脂である上記1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
4.上記熱可塑性樹脂がアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂を含む上記3に記載の難燃性樹脂組成物。
5.上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物を含む上記4に記載の難燃性樹脂組成物。
6.上記アルミニウム含有難燃性無機化合物がwM・zHO(Mは、Al、Alの酸化物又はAlの水酸化物であり、wは1〜5より選ばれる整数であり、zは0〜10より選ばれる整数である。)で表される化合物である上記1乃至5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
7.上記アルミニウム含有難燃性無機化合物の含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して50質量%以上である上記6に記載の難燃性樹脂組成物。
8.上記難燃性樹脂組成物は、上記合成樹脂重合体の水系分散液と、上記アルミニウム含有難燃性無機化合物を形成可能な物質とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備える方法により得られたものである上記1乃至7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
9.上記難燃性樹脂組成物は、上記合成樹脂重合体の水系分散液と、上記数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備える方法により得られたものである上記1乃至7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
10.更に、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、硬化油、アルキルアミン、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤から選ばれる相溶化剤を含有する上記1乃至9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
11.合成樹脂重合体の水系分散液と、アルミニウム含有難燃性無機化合物を形成可能な物質とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備えることを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
12.合成樹脂重合体の水系分散液と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備えることを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
本発明の難燃性樹脂組成物は、合成樹脂重合体と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物と、を含有することにより、難燃性に優れた成形体を得ることができる。上記合成樹脂重合体及び上記アルミニウム含有難燃性無機化合物が複合体として含有されている場合には、難燃性及び耐衝撃性に特に優れる。
上記合成樹脂重合体が熱可塑性樹脂である場合には、加工性に優れた難燃性樹脂組成物とすることができる。また、この熱可塑性樹脂がアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂である場合には、更に耐衝撃性に優れた成形体を得ることができる。
上記アルミニウム含有難燃性無機化合物が特定の一般式(化学式)で表される化合物である場合には、より難燃性に優れた成形体を得ることができる。また、このアルミニウム含有難燃性無機化合物の含有割合が、アルミニウム化合物の全量に対して50質量%以上である場合には、十分な難燃性が得られる。
本発明の難燃性樹脂組成物が、特定の方法により得られる場合には、難燃剤としての無機化合物が重合体中に微分散していることから、特に難燃性に優れた成形体を得ることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法によると、難燃剤としてのアルミニウム含有難燃性無機化合物が合成樹脂重合体中に微分散していることから、難燃性及び耐衝撃性に優れた成形体を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の難燃性樹脂組成物は、合成樹脂重合体と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物と、を含有することを特徴とするものである。
上記合成樹脂重合体は、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸ブチル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリマーアロイであってもよい。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
本発明においては、上記例示した合成樹脂重合体のうち、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。尚、本明細書において、「アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系」とは、アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物と、ブタジエン等の共役ジエン化合物と、スチレン等の芳香族ビニル化合物とをそれぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて重合させたものであり、各化合物は、官能基を有していてもよい。
上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂は、共役ジエン化合物を単量体として用いてなるゴム質重合体(a)の存在下に、シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物を含むことが好ましい。尚、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、通常、ゴム質重合体(a)の表面及び/又は内壁面にビニル系単量体(b)が重合してなるグラフト重合体を主とするものである。
上記ゴム質重合体(a)を形成する共役ジエン化合物としては特に限定されず、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。従って、上記ゴム質重合体(a)としては、これら共役ジエン化合物の単独重合体であってもよいし、上記共役ジエン化合物と、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド系化合物、更には、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等から選ばれる単量体との共重合体であってもよい。また、これら(共)重合体の水素添加物であってもよい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
従って、上記ゴム質重合体(a)の具体例としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体等の重合体、これら重合体の水素添加物等が挙げられる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とするために、上記ゴム質重合体(a)は、通常、それが粒子状に含まれるラテックスとして用いられる。このゴム質重合体(a)の数平均粒子径は、好ましくは30〜500nm、より好ましくは50〜400nm、更に好ましくは50〜300nmである。
上記ゴム質重合体(a)の存在下に重合されるビニル系化合物(b)のうち、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が挙げられる。
また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチル−α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン等の塩素化スチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン等の臭素化スチレン、モノフルオロスチレン等が挙げられる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とするために、ゴム質重合体(a)の存在下に重合されるビニル系単量体(b)は、シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物を含むが、このビニル系単量体(b)は、これらの化合物と共重合可能な他のビニル系化合物を更に含んでもよい。他のビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド系化合物、更には、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等を用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物からなる単位を重合体中に導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法等がある。
上記官能基を有するビニル系化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、N,N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらの化合物は、官能基ごとに1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を形成するために用いられるビニル系単量体(b)の全量に対し、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の合計量の割合は、好ましくは5〜200質量%、より好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を、乳化重合、溶液重合、塊状重合による方法で製造することができる。これらのうち、乳化重合が好ましい。
乳化重合により製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
尚、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造するために用いられるゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)は、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b)を全量一括して添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合の途中で添加してもよい。
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等で代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等で代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられ、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、上記重合開始剤は、反応系に一括又は連続的に添加することができる。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)の全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられ、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b)の全量に対して、通常、0.05〜2.0質量%である。
乳化重合の場合に使用する乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、ロジン酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、通常、上記ビニル系単量体(b)の全量に対して、0.3〜5.0質量%である。
乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩、硫酸、塩酸等の無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
溶液重合、塊状重合による製造方法は、公知の方法を適用することができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)に含まれるグラフト重合体のグラフト率(ゴム質重合体(a)へグラフトしたビニル系単量体(b)の質量割合)は、好ましくは10〜200%、更に好ましくは15〜150%、特に好ましくは20〜100%である。上記グラフト重合体のグラフト率が10%未満では、本難燃性樹脂組成物を用いて得られる成形品の外観不良、衝撃強度の低下を招くことがある。また、200%を超えると、加工性が劣る。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをメチルエチルケトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
尚、上記グラフト率(%)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造する際の、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
尚、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂としては、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のみであってもよいし、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、他の重合体成分との混合物であってもよい。
本発明においては、他の重合体成分がビニル系単量体の(共)重合体(A2)であることが好ましい。
上記(共)重合体(A2)を形成するために用いられるビニル系単量体としては、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成の説明において例示したビニル系単量体(b)より選ばれる化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記(共)重合体(A2)も、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(共)重合体(A2)としては、例えば、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸ブチル等が挙げられ、これらのうち、アクリロニトリル・スチレン樹脂が好ましい。
上記(共)重合体(A2)は、例えば、バルク重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等により得ることができる。
上記(共)重合体(A2)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性の物性バランスに優れる。尚、極限粘度〔η〕は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と同様、製造方法の調整により制御することができる。
上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂が、(i)ゴム強化ビニル系樹脂(A1)単独である場合、及び(ii)ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、(共)重合体(A2)等他の重合体成分との混合物である場合、のいずれにおいても、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜0.8dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性の物性バランスに優れる。
また、上記(i)及び(ii)の場合のいずれにおいても、尚、本組成物中のゴム質重合体(a)の含有量は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは3〜35質量%、特に好ましくは5〜35質量%である。上記ゴム質重合体(a)の含有量が少なすぎると、本組成物を用いて得られる成形品の耐衝撃性が劣る傾向にあり、多すぎると、硬度、剛性が劣る傾向にある。
次に、本発明の難燃性樹脂組成物中に含有するアルミニウム含有難燃性無機化合物について説明する。上記アルミニウム含有難燃性無機化合物は、難燃剤として用いるものであり、アルミニウム元素を含む化合物であり且つ数平均粒子径が500nm以下であれば特に限定されない。好ましい数平均粒子径は、1〜500nm、より好ましくは5〜300nm、更に好ましくは5〜200nm、より更に好ましくは8〜100nm、特に好ましくは10〜80nm、最も好ましくは10〜50nmである。この数平均粒子径が大きすぎると、難燃性が低下する場合がある。
上記アルミニウム含有難燃性無機化合物としては、wM・zHO(Mは、Al、Alの酸化物又はAlの水酸化物であり、wは1〜5より選ばれる整数であり、zは0〜10より選ばれる整数である。)で表される化合物が好ましく、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。これらのうち、結晶水を含み、約200℃から脱水分解を開始する性質を有する水酸化アルミニウムが特に好ましい。また、上記無機化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物に含まれる上記アルミニウム含有難燃性無機化合物の含有量は、上記合成樹脂重合体を100質量部とした場合、好ましくは2〜400質量部、より好ましくは10〜200質量部である。上記アルミニウム含有難燃性無機化合物の含有量が少なすぎると、得られる成形体の難燃性に劣る傾向にあり、一方、多すぎると、耐衝撃性が低下する傾向にある。
尚、本発明の難燃性樹脂組成物には、上記アルミニウム含有難燃性無機化合物以外に、例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩酸塩、ホウ酸塩、フッ化物、硫化物等の他のアルミニウム成分が含有されてもよいが、その場合には、上記アルミニウム含有難燃性無機化合物の好ましい含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して50質量%以上であり、より好ましくは65〜100質量%である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、合成樹脂重合体と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物とを含有するものであるが、これらの成分を別々に配合し、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物をその大きさで微分散させることは難しい。本発明者らは、上記合成樹脂重合体及び上記アルミニウム含有難燃性無機化合物を含む複合体(難燃性樹脂組成物)を製造したところ、この複合体は、上記無機化合物が上記合成樹脂重合体中に微分散したものであるために、難燃性に優れた成形体とすることができることを見い出した。
上記複合体を調製する方法としては、以下の方法等が挙げられる。
(1)合成樹脂重合体の水系分散液と、アルミニウム含有難燃性無機化合物を形成可能な物質(以下、「無機化合物形成物質」ともいう。)とを混合して混合液とする工程(p1)と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程(p2)と、を備えた方法。
(2)合成樹脂重合体の水系分散液と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物とを混合して混合液とする工程(q1)と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程(q2)と、を備えた方法。
上記方法(1)において、「合成樹脂重合体の水系分散液」は、上記例示した合成樹脂重合体が、水系媒体に分散されたものである。分散媒は通常、水であるが、水にアルコール等が溶解する水系媒体であってもよい。また、上記例示した合成樹脂重合体の分散方法は特に限定されない。
上記分散液としては、乳化重合により得られたラテックスが好ましく、例えば、上記合成樹脂重合体として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂を用いる場合、このアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂を含むラテックスをそのまま用いることができる。上記合成樹脂重合体の水系分散液は、それぞれ1種単独で、あるいは合成樹脂重合体の種類若しくは水系分散液の種類を問わず、2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、アルミニウム含有難燃性無機化合物を形成可能な物質(無機化合物形成物質)は、好ましくは水酸化アルミニウムを形成可能な物質である。上記合成樹脂重合体の水系分散体と混合するに際しては、この無機化合物形成物質は固体状態であってもよいし、媒体に溶けた溶液であってもよいし、媒体に分散した分散体であってもよい。
水酸化アルミニウムを形成可能な物質としては、無機物質、有機系物質のいずれでもよい。この無機物質としては、(i)アルミニウム元素を含む硫酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、次亜硝酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、臭素酸塩、亜臭素酸塩、次亜臭素酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、塩酸塩(塩化物、ポリ塩化物)等の金属塩、(ii)アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの化合物は、水、酸、アルカリ等に溶解又は分散した形で用いることができる。
また、有機系物質としては、アルミニウム元素を含む有機金属化合物、有機酸塩等を用いることができる。有機金属化合物としては、アルミニウム元素を含む金属のアルコキシドが好ましく、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、又はそれらの少なくとも1つが塩素等の加水分解可能なハロゲン等が置換された化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの有機金属化合物は、通常、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性アルコールに例示される有機溶媒に溶解した状態で用いられる。従って、この有機金属化合物の溶解液に水を加えることにより、有機金属化合物を加水分解させ、次いで、その加水分解物を縮合することにより、無機化合物形成物質を含む溶液が得られる。有機金属化合物と水との反応においては、縮合反応を促進するために、必要に応じて酸性物質又はアルカリ性物質を添加してもよい。これらは、酸又はアルカリの水溶液として添加することもできる。
また、有機酸塩としては、酢酸塩、コハク酸塩、フタル酸塩、ヘキサン酸塩等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のようにして得られた有機系物質、あるいはこの有機系物質を含む溶液又は分散液は、上記無機物質を含む溶液又は分散液と混合して用いることもできる。使用時には、必要に応じてpH等の調整を行ってもよい。
また、上記化合物のうち、水、酸、アルカリ等の媒体に溶解しないものは、これらの媒体中で分散させた状態で用いることができる。その際には、コロイドミル、ホモジナイザー等を用いることができる。
上記方法(1)の工程(p1)において、上記合成樹脂重合体の水系分散液と、上記無機化合物形成物質とを混合する方法は特に限定されない。
また、混合液とする段階で、上記合成樹脂重合体の水系分散液及び上記無機化合物形成物質以外に、水酸化アルミニウム粒子又はその分散液を更に用いてもよい。この場合、上記合成樹脂重合体の水系分散液及び上記無機化合物形成物質の使用量も上記と同様にして選択すればよい。
尚、上記工程(p1)における混合方法は特に限定されない。
次いで、上記混合液より、複合体を凝固物として生成させるために、工程(p2)へ進む。この工程(p2)は、混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させるものであり、通常のラテックスからゴム成分を凝固させる方法を適用して凝固物を形成させることができる。
共凝固に用いる上記水溶性無機化合物としては、電解質が好ましく、(i)塩化ナトリウム、塩化カリウム、(ii)カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等の多価金属の塩が挙げられる。後者の(ii)としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸亜鉛、硝酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等が挙げられる。上記例示した化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの化合物は、固体状態のまま用いてもよいし、水溶液として用いてもよい。
また、共凝固に用いることができる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
上記工程(p2)における共凝固の際の温度、混合液のpH等は特に限定されないが、製造される複合体に残留する無機塩を低減するためには、温度を10℃以上、好ましくは10〜80℃、より好ましくは10〜50℃とし、混合液をpH4〜11、好ましくはpH5〜10の範囲内に制御することが好ましい。共凝固の際の温度が10℃未満では、工業的に適さない傾向にあり、一方、温度が高すぎると、含まれるアルミニウム含有難燃性無機化合物の分散が悪化する傾向にある。
共凝固を行った後、通常、凝固物を水洗する等により、電解質等を除去し、次いで、熱風乾燥、真空乾燥等により水分を除去して乾燥を行う。以上より、合成樹脂重合体中に水酸化アルミニウムを主とする無機化合物が均一に微分散した複合体が得られる。
上記方法(1)によって製造された複合体の数平均粒子径は、通常、100〜500μmであり、好ましくは200〜400μmである。
また、得られた複合体を構成するアルミニウム含有難燃性無機化合物の数平均粒子径は、好ましくは1〜500nm、より好ましくは5〜300nm、更に好ましくは5〜200nm、より更に好ましくは8〜100nm、特に好ましくは10〜80nm、最も好ましくは10〜50nmである。
上記方法(1)によって製造された複合体には、アルミニウム含有難燃性無機化合物以外に、例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の他のアルミニウム成分が含有される場合がある。その場合には、上記アルミニウム含有難燃性無機化合物の好ましい含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して50質量%以上であり、より好ましくは65〜100質量%である。
次に、上記方法(2)について説明する。工程(q1)で用いる合成樹脂重合体の水系分散液は、上記方法(1)の工程(p1)において説明したものをそのまま適用することができる。
また、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物、例えば、水酸化アルミニウムを用いる場合には、固体状態であってもよいし、媒体に溶けた溶液であってもよいし、媒体に分散した分散体であってもよい。
上記方法(2)の工程(q1)において、上記合成樹脂重合体の水系分散液と、上記アルミニウム含有難燃性無機化合物とを混合する方法は特に限定されない。
次いで、上記混合液より、複合体を凝固物として生成させるために、工程(q2)へ進む。この工程(q2)は、混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させるものであり、上記方法(1)の工程(p2)において説明した方法を適用することができる。
上記方法(2)によって製造された複合体の数平均粒子径は、通常、10μm〜20mmであり、好ましくは100μm〜10mmである。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記方法により得られた複合体そのものであるが、通常は、これをそのまま混練し、ペレット等の所定形状とされる。また、本発明の難燃性樹脂組成物は、上記複合体と、上記複合体を構成する合成樹脂重合体、更に他の重合体、各種添加剤等から選ばれる成分等とを適宜組み合わせて混練することによって得ることもできる。
上記添加剤としては、相溶化剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、抗菌剤、充填剤、他の難燃剤、耐候剤、着色剤(顔料、染料)等が挙げられる。
上記相溶化剤としては、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、硬化油、アルキルアミン、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この相溶化剤を用いる場合の配合量は、上記合成樹脂重合体100質量部に対して、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、ビス−、トリス−、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱安定剤としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等のナトリウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩等の脂肪族カルボン酸塩等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤としては、脂肪族二塩基酸エステル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸,オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、金属石鹸、変性シリコーン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤としては、ゼオライト系抗菌剤、シリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、ケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤、及び、ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第4アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ベンズイミダゾール誘導体、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤、天然抗菌剤のいずれをも用いることができる。
上記充填剤としては、有機フィラー、無機フィラー、有機無機複合フィラーのいずれであってもよく、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、カーボンブラック、タルク、ワラストナイト、ロックフィラー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、二硫化モリブデン、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を用い、各成分を混練りすることによって得られる。混練方法としては、各成分を一括添加してもよいし、多段添加方式で混練りしてもよい。このようにして得られた組成物は、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、シート押出、真空成形、発泡成形、ブロー成形等によって所定形状を有する成形品を製造することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、合成樹脂重合体の水系分散液と、アルミニウム含有難燃性無機化合物を形成可能な物質とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備えることを特徴とする。
この製造方法における各工程は、上記複合体を調製する方法として説明した方法(1)をそのまま適用することができる。
他の本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、合成樹脂重合体の水系分散液と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備えることを特徴とする。
この製造方法における各工程は、上記複合体を調製する方法として説明した方法(2)をそのまま適用することができる。
上記2つの製造方法においては、合成樹脂重合体と、数平均粒子径が小さいアルミニウム含有難燃性無機化合物とを含有する複合体を得ることができるが、難燃性樹脂組成物とするために、更に、この複合体を含む原料組成物を混練する混練工程を備えることができる。原料組成物には、上記において例示した各種添加剤等を配合することができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、実施例中の「%」及び「部」は、特に断らない限り質量基準である。
1.複合体の製造
1−1.合成樹脂重合体の調製
窒素置換した重合容器に、水100部、重量平均粒子径300nmのポリブタジエン60部、アクリロニトリル3部、スチレン9部、乳化剤としてロジン酸カリウム0.5部、及び連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.5部を仕込んだ。その後、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.2部を加え、70℃まで昇温後、クメンハイドロパーオキサイド0.2部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、ブドウ糖0.25部及び硫酸第1鉄0.01部を加えて重合を開始した。1時間後、更にスチレン21部、アクリロニトリル7部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、クメンハイドロパーオキサイド0.15部及び水40部の混合物を4時間にわたり追滴下を行った。
滴下終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.1部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、ブドウ糖0.13部、硫酸第1鉄0.005部及びジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.02部を添加し、更に1時間重合反応を行い、固形分濃度が21%であるラテックス(L)を得た。
次いで、このラテックス(L)100部に99.5%の硫酸2部を添加し重合体を凝固させた後、水酸化ナトリウム水溶液により中和し、この凝固物を十分に水洗した。その後、得られた凝固物をデカンテーションし、乾燥させることにより、合成樹脂重合体として、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンの構成比が10/60/30(部)である粉末状のアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)を得た。この樹脂(ABS−1)のグラフト率を測定したところ、60%であった。
1−2.複合体の製造並びに組成物の調製及び評価
実施例1
2.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液(Al換算では0.9%)5140部に10%の硫酸760部を添加し、混合液をpH7に調整して水酸化アルミニウムを主成分とするアルミニウム含有スラリー溶液を得た。その後、このアルミニウム含有スラリー溶液に、上記で調製した21%のラテックス(L)476部(固形ゴムとして100部)を加え、攪拌機を用いて混合し、クラムスラリーを生成させた。このクラムスラリーはpH7.5であった。
次いで、10%の硫酸を用いて混合液をpH7に調整し、凝固を完結させ、平均径が約0.5mmの、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂及び無機化合物からなるクラムが共凝固により生成していることが確認できた。
得られたクラムを水洗後、熱風乾燥機を用いて90℃で乾燥させ、複合体(I)を得た。この複合体(I)を構成する無機化合物の数平均粒子径を透過型電子顕微鏡(型式「H−7500」日立製作所社製)により測定したところ、21nmであった。また、上記複合体(I)を灰化させ、灰分から算出される無機化合物の含有量及びX線マイクロアナライザー(XMA)の測定結果から、複合体(I)は、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部に対して、水酸化アルミニウム60部及び硫酸アルミニウム20部を含むことが分かった(表1参照)。これより、水酸化アルミニウムの含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して75%である。
Figure 2005206670
上記複合体(I)180部、アクリロニトリル・スチレン樹脂(商品名「3C」、テクノポリマー社製)20部、及び、シランカップリング剤(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、デグサ社製、商品名「Si69」)5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、NVC型50mmベント付き押出機(ナカタニ機械社製)を用い、シリンダー設定温度160〜200℃で溶融押出し、ペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、下記評価項目に合わせて試験片を作製した。
上記試験片を用い、以下の項目について評価した。その結果を表2に示す。
(1)シャルピー衝撃強度
上記ペレットを、射出成形機(型式「J100E−C5」、日本製鋼所社製)により、シリンダー設定温度200℃、金型温度50℃の条件で射出成形し、ISO294−A型試験片を作製した。この試験片のシャルピー衝撃強度をISO179に準拠して測定した。単位はkJ/mである。
(2)難燃性
上記ペレットを用いて、射出成形により5インチ×1/2インチ×1/8インチの試験片を作製し、JIS−K6269に準拠して酸素指数(LOI)を測定した。単位は%である。尚、この酸素指数は、継続燃焼に必要な雰囲気中の酸素の限界濃度、即ち、所定の試験条件下において材料が燃焼を持続するのに必要な酸素中の容量パーセントで表される最低酸素濃度の数値であり、この値が大きいほど難燃性に優れる。
Figure 2005206670
実施例2
2.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液3855部に10%の硫酸570部を添加した以外は、実施例1と同様にして複合体(II)を得た。この複合体(II)は、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部に対して、水酸化アルミニウム45部及び硫酸アルミニウム15部を含むことが分かった(表1参照)。これより、水酸化アルミニウムの含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して75%である。
上記複合体(II)160部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂40部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
実施例3
2.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液5140部に10%の硫酸680部を添加し、混合液をpH9に調整して水酸化アルミニウムを主成分とするアルミニウム含有スラリー溶液を得た。その後、このアルミニウム含有スラリー溶液に、上記で調製した21%のラテックス(L)476部を加え、攪拌機を用いて混合し、クラムスラリーを生成させた。このクラムスラリーはpH9.5であった。
次いで、10%の硫酸を約3分かけて添加することにより混合液をpH7に調整し、凝固を完結させ、平均径が約0.6mmのアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂及び無機化合物からなるクラムが共凝固により生成していることが確認できた。
得られたクラムを水洗後、熱風乾燥機を用いて90℃で乾燥させ、複合体(III)を得た。この複合体(III)は、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部に対して、水酸化アルミニウム68部及び硫酸アルミニウム12部を含むことが分かった(表1参照)。これより、水酸化アルミニウムの含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して85%である。
上記複合体(III)180部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂20部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
実施例4
2.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液5140部に10%の硫酸840部を添加し、混合液をpH4に調整して水酸化アルミニウムを主成分とするアルミニウム含有スラリー溶液を得た。その後、このアルミニウム含有スラリー溶液に、上記で調製した21%のラテックス(L)476部を加え、攪拌機を用いて混合し、クラムスラリーを生成させた。このクラムスラリーはpH4.5であった。
次いで、10%の硫酸を約3分かけて添加することにより混合液をpH7に調整し、凝固を完結させ、平均径が約0.5mmのアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂及び無機化合物からなるクラムが共凝固により生成していることが確認できた。
得られたクラムを水洗後、熱風乾燥機を用いて90℃で乾燥させ、複合体(IV)を得た。この複合体(IV)は、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部に対して、水酸化アルミニウム48部及び硫酸アルミニウム32部を含むことが分かった(表1参照)。これより、水酸化アルミニウムの含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して60%である。
上記複合体(IV)180部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂20部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
実施例5
2.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液5140部に上記で調製した21%のラテックス(L)476部を加え、攪拌機を用いて混合した。この混合液を攪拌しながら10%の硫酸763部を20分かけて添加し、混合液をpH7に調整して、クラムスラリーを生成させた。このクラムスラリーは、上澄みが透明であり、平均径が約0.4mmのアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂及び無機化合物からなるクラムは全て沈降していた。
得られたクラムを水洗後、熱風乾燥機を用いて90℃で乾燥させ、複合体(V)を得た。この複合体(V)は、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部に対して、水酸化アルミニウム60部及び硫酸アルミニウム20部を含むことが分かった(表1参照)。これより、水酸化アルミニウムの含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して75%である。
上記複合体(V)180部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂20部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
実施例6
水酸化アルミニウム粉末(商品名「ハイジライトH−42M」、昭和電工社製、平均粒子径1μm)80部を水720部に分散させ、ボールミルにより粉砕し、数平均粒子径が50〜100nmの水酸化アルミニウムを含むスラリーを得た。その後、このスラリーに水5100部を添加して希釈し、上記で調製した21%のラテックス(L)476部を加え、攪拌機を用いて混合し、クラムスラリーを生成させた。このクラムスラリーはpH7.5であった。
次いで、10%の硫酸を約3分かけて添加して混合液をpH4に調整し、凝固を完結させた。このクラムスラリーは、上澄みが透明であり、平均径が約0.3mmのアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂及び無機化合物からなるクラムは全て沈降していた。
得られたクラムを水洗後、熱風乾燥機を用いて90℃で乾燥させ、複合体(VI)を得た。この複合体(VI)は、上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部に対して、水酸化アルミニウム80部を含むことが分かった(表1参照)。
上記複合体(VI)180部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂20部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
比較例1
上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂(商品名「3C」)20部、上記水酸化アルミニウム粉末(商品名「ハイジライトH−42M」)80部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
比較例2
上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂20部、水酸化マグネシウム粉末(商品名「キスマ5B」、協和化学社製、平均粒子径0.8μm)80部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
比較例3
上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂100部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
比較例4
上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS−1)100部、上記アクリロニトリル・スチレン樹脂20部、上記水酸化アルミニウム粉末(商品名「ハイジライトH−42M」)60部、硫酸アルミニウム粉末(平均粒子径10μm)20部、及び、シランカップリング剤5部をヘンシェルミキサーにより3分間混合した。その後、実施例1と同様にしてペレットを得た。このペレットを十分に乾燥し、試験片を作製し、各評価を行った。その結果を表2に併記した。
2.評価結果について
表2より、比較例3は、衝撃強度は35kJ/mと極めて優れるが、難燃剤を含有しないため、難燃性が20%と劣る。比較例1及び比較例2は、市販の水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの各粉末を配合したものであるが、難燃性が26%及び25%と低かった。
一方、実施例1〜5は、各複合体に含まれる水酸化アルミニウムの含有量が80部に達しないのにもかかわらず、すべてにおいて比較例1よりも優れた耐衝撃性及び難燃性を示した。比較例4は、実施例1と同じ成分を用いた例であるが、難燃性が低下した。また、実施例6は、平均粒子径の小さな水酸化アルミニウムを用いて複合体とした例であり、比較例1よりも優れている。これらの実施例は、難燃剤としての無機化合物が微分散しているために優れた性質を示すものと思われる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、オフィスオートメーション(OA)機器・家電分野、電気・電子・通信分野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、車両分野等における成形体に有用である。

Claims (12)

  1. 合成樹脂重合体と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物と、を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 上記合成樹脂重合体及び上記アルミニウム含有難燃性無機化合物は、複合体として含有されている請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 上記合成樹脂重合体が熱可塑性樹脂である請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 上記熱可塑性樹脂がアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂を含む請求項3に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 上記アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b)を重合して得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)との混合物を含む請求項4に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 上記アルミニウム含有難燃性無機化合物がwM・zHO(Mは、Al、Alの酸化物又はAlの水酸化物であり、wは1〜5より選ばれる整数であり、zは0〜10より選ばれる整数である。)で表される化合物である請求項1乃至5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 上記アルミニウム含有難燃性無機化合物の含有割合は、アルミニウム化合物の全量に対して50質量%以上である請求項6に記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 上記難燃性樹脂組成物は、上記合成樹脂重合体の水系分散液と、上記アルミニウム含有難燃性無機化合物を形成可能な物質とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備える方法により得られたものである請求項1乃至7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 上記難燃性樹脂組成物は、上記合成樹脂重合体の水系分散液と、上記数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備える方法により得られたものである請求項1乃至7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  10. 更に、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、硬化油、アルキルアミン、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤から選ばれる相溶化剤を含有する請求項1乃至9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  11. 合成樹脂重合体の水系分散液と、アルミニウム含有難燃性無機化合物を形成可能な物質とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備えることを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
  12. 合成樹脂重合体の水系分散液と、数平均粒子径が500nm以下のアルミニウム含有難燃性無機化合物とを混合して混合液とする工程と、上記混合液に水溶性無機化合物及び/又は酸を添加して合成樹脂重合体を共凝固させる工程と、を備えることを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
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