JP2019157016A - ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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貴紀 菅
Takanori Suga
貴紀 菅
昭等 森戸
Akitomo Morito
昭等 森戸
小林 正典
Masanori Kobayashi
正典 小林
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Abstract

【課題】ブロー成形性と耐衝撃性のバランスに優れる、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】分岐構造を有し、特定のメルトボリュームレートを有するポリカーボネート樹脂(A)成分(A)、ジエン系ゴム質重合体(b1)の存在下に、ビニル系単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)(成分B)、芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を共重合してなるビニル系共重合体(C)(成分C)を含み、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)が特定の比率で含まれ、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対して、難燃剤(D)を3重量部未満含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂組成物が特定のメルトボリュームレートを有することを特徴とするブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ブロー成形性と耐衝撃性のバランスに優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
プラスチック成形品の内、中空の成形品を成形する最も代表的な方法がブロー成形である。中空成形品としては、食品、飲料、洗剤、その他のボトルやタンク類が最も身近なものであるが、その他にエアダクト、燃料タンク、ウオッシャタンクなどのように中空部が必要な自動車部品がある。さらに、製品として特に中空部を必要としないが、中空をうまく利用した自動車のスポイラー、楽器ケース、工具ケース、コピー機のパネルなどの工業部品もブロー成形で成形されている。熱可塑性樹脂であればブロー成形は可能であるが、なかでも特に、押出されたパリソンが自重でドローダウンしにくく、延伸されたときに偏肉しにくい材料がブロー成形に適した材料になる。
ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレン樹脂は、優れた加工性、機械的特性を有していることから、自動車分野、家電分野、OA機器分野など広範な分野において、各種構成部材の成形材料として使用されている。一方、ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性に優れていることから、自動車分野、家電分野、OA機器分野、建材分野をはじめとする多岐の分野にわたって幅広く使用されている。ゴム強化スチレン樹脂はポリカーボネート樹脂と比較してブロー成形性、成形品の耐熱性、耐衝撃性に劣ることから、ゴム強化スチレン樹脂の欠点を補う目的で、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂を溶融混合したアロイ化されることが一般的である。
そこで、かかる問題を解決した方法として、特許文献1や特許文献2のように、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイに難燃剤を配合する方法、特許文献3のように、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイに特定のワラストナイトを配合する方法が提案されている。
しかしながら、近年、ブロー成形品は、その用途の多様化に伴って、ブロー成形性および耐衝撃性の向上が強く求められてくるようになってきた。特に、自動車のスポイラーなどの工業部品では大型化、薄肉化、形状の複雑化のために、ブロー成形用ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイに対する要求は厳しくなっており、ブロー成形性、耐衝撃性および耐熱性などの厳しい物性バランスに対しては未だに満足のいく材料が得られていないのが現状であった。
特開平10−158497号公報 特開平9−309988号公報 特開平10−324789号公報
本発明は、ブロー成形時のドローダウン性に優れ、且つ耐衝撃性、耐熱性に優れる成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。
(1)分岐構造を有し、ISO 1133に準拠して測定した300℃×荷重1.2kgのメルトボリュームレートが4cm/10分以下であるポリカーボネート樹脂(A)、ジエン系ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(b2)およびシアン化ビニル系単量体(b3)含むビニル系単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)、芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を共重合してなるビニル系共重合体(C)を含み、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量%としたとき、成分(A)は70〜85重量%、成分(B)は5〜20重量%、成分(C)は10〜25重量%であり、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対して、難燃剤(D)を3重量部未満含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂組成物はISO 1133に準拠して測定した240℃×荷重10kgのメルトボリュームレートが6cm/10分以下であることを特徴とするブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
(2)成分(C)の重量平均分子量が2.0×10〜5.0×10の範囲であることを特徴とする、前記(1)に記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
(3)上記成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対して、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.5〜3重量部含むことを特徴とする前記(1)または(2)に記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
(4)成分(B)において、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)に由来する部分の合計量を100重量%としたとき、成分(b1)に由来する部分は40〜65重量%、成分(b2)に由来する部分は26〜43重量%、成分(b3)に由来する部分は9〜17重量%含む前記(1)〜(3)のいずれかに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
(5)前記ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物内に観察される成分(b1)のうち、その直径が500nm以上のものが成分(b1)全体の10重量%以上を占めることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
本発明によれば、ブロー成形時のドローダウン性に優れ、且つ耐衝撃性、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物と該組成物からなる成形品について、具体的に例を挙げて説明する。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)(成分(A)とも称する)とは、例えば、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって得られる樹脂であり、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は分岐構造を有し、また、熱可塑性を有している。なお、2種以上の成分が用いられた共重合体であっても2種以上のポリカーボネート樹脂を併用しても構わない。本発明に使用されるポリカーボネート樹脂の製造方法としては特に制限は無く、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や、溶融法(エステル交換法)等により製造したものを使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAである。
分岐したポリカーボネート樹脂を得るには、従来の界面重合法や溶融法において、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、フロログルン、フロログリシド、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル,2,4,6−トリス(4−ヒドロキシジフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−メチルフェノールなどのポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどの化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
また、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂は、上述した分岐剤を添加しなくても、溶融法の反応条件を種々選択することにより得ることもできる。
本発明において、このような分岐構造を有するポリカーボネート樹脂を使用することにより、ブロー成形時のドローダウンを効果的に防止することが可能となる。ドローダウン防止効果を高めるという観点から、上述した分岐剤としては、中でも、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン及び1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特には1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを使用することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)から誘導されるポリカーボネート樹脂、または2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m−又はp−メチルフェノール、m−又はp−プロピルフェノール、p−t−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)は、ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2kgのメルトボリュームレートが4cm/10分以下の範囲にある。好ましくは、メルトボリュームレートが3cm/10分以下である。300℃×荷重1.2kgのメルトボリュームレートが4cm/10分を超えるものを使用すると、ブロー成形時のドローダウン性が悪化し、製品の寸法精度が低下する。下限としては特に制限は無いが、1.5cm/10分以上とすることが実用的である。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(A)は、後述する成分(B)および成分(C)との合計量を100重量%としたとき、70〜85重量%を占める。成分(A)の好ましい割合としては、72〜83重量%、より好ましくは74〜81重量%である。成分(A)の割合が70重量%を下回った場合には、流動性は優れるものの、ブロー成形時のドローダウン性や、成形品の耐衝撃性と耐熱性が低下し好ましくない。一方、成分(A)の割合が85重量%を超える場合には、耐衝撃性、耐熱性は優れるものの、ブロー成形時の流動性が不足し、成形できない製品が発生する。
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)(成分(B)とも称する)は、ジエン系ゴム質重合体(b1)(成分(b1)とも称する)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(b2)(成分(b2)とも称する)およびシアン化ビニル系単量体(b3)(成分(b3)とも称する)を含むビニル系単量体がグラフト共重合されてなるものである。成分(B)は2種以上の種が併用される態様であっても良い。
グラフト共重合体(B)に用いることができるジエン系ゴム質重合体(b1)としては、ジエン系ゴムの範疇に含まれるものであれば特に制限はないが、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンージエンラバーなどが挙げられる。成分(b1)は、1種または2種以上を用いても良い。なかでもポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴムが耐衝撃性の改善効果の点から特に好ましく用いられる。
本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物において、該組成物中に観察されるジエン系ゴム質重合体(b1)の直径は特に制限はないが、組成物中に観察される成分(b1)のうち、その直径が500nm以上であるものが成分(b1)全体の10重量%以上を占めることが好ましく、直径が700nm以上であるものが成分(b1)全体の10重量%以上占めることがより好ましい。直径が500nm以上であるものが成分(b1)全体の10重量%未満であると、耐衝撃性が低下することがある。
なお、樹脂組成物内に観察されるジエン系ゴム質重合体(成分b1)の直径は、ペレットまたは成形品などから観察することができる。具体的には、ペレットまたは成形品を約60nmの厚さに薄切りし、四酸化オスミウムで染色した後、透過型電子顕微鏡(倍率5,000倍)にて撮影した写真から、無作為に選択した50個の粒子(ジエン系ゴム質重合体の領域)について、最大寸法を測定し、その数平均値を算出することにより求めることができる。また、その重量分率は観察されるジエン系ゴム質重合体が全て同一密度であり、かつ、球形であるとみなして、前で求めた直径を基に計算して求められる。
グラフト共重合体(B)におけるジエン系ゴム質重合体(b1)に由来する部分の重量分率は特に制限はないが、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)に由来する部分の合計量を100重量%としたとき、40〜65重量%とすることが好ましく、より好ましく40〜60重量%であり、さらに好ましくは40〜50重量%である。成分(b1)に由来する部分の重量分率が40重量%未満では耐衝撃性が低下し、一方、65重量%を超えると流動性が低下するといった成形加工性が損なわれることがあり好ましくない。
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)のグラフト成分の原料となる、芳香族ビニル系単量体(b2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンなどが挙げられるが、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を用いることができる。
シアン化ビニル系単量体(b3)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。これらは1種または2種以上を用いることができる。
その他、本発明の効果を失わない程度に、芳香族ビニル系単量体(b2)およびシアン化ビニル系単量体(b3)と共重合可能な他のビニル系単量体を用いうる。他のビニル系単量体の具体例としては、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物などが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができ、これらは単独でも複数でも用いることが可能である。なお、耐熱性や難燃性をさらに向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
グラフト共重合体(B)における芳香族ビニル系単量体(b2)に由来する部分の重量分率は特に制限はないが、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)に由来する部分の合計量を100重量%としたとき、26〜43重量%が好ましく、より好ましくは30〜41重量%、さらに好ましくは35〜41重量%である。成分(b2)に由来する部分の重量分率が26重量%を下回る場合には、着色することがあり、一方、43重量%を超える量使用する場合にはグラフト重合がしにくく、グラフト率が低下することがあり、耐衝撃性が低下することがある。
グラフト共重合体(B)におけるシアン化ビニル系単量体(b3)に由来する部分の重量分率は特に制限はないが、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)に由来する部分の合計量を100重量%としたとき、9〜17重量%が好ましく、より好ましくは10〜16重量%、さらに好ましくは12〜16重量%である。シアン化ビニル系単量体(b3)に由来する部分の重量分率が9重量%を下回る場合には、重合がしにくく、グラフト率が低下することがあり、樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり、17重量%を超える場合には、樹脂組成物が着色することがある。
また、グラフト共重合体(B)は、ジエン系ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体をグラフト重合して得られるものであるが、ビニル系単量体の全量がグラフトしている必要はなく、通常はグラフトしていない共重合体との混合物として得られたものを使用する。グラフト共重合体(B)におけるグラフト率に制限はないが、耐衝撃性の点から好ましくは5〜150重量%、より好ましくは10〜100重量%のものが使用される。グラフト共重合体(B)においてグラフト率を求める方法は次のとおりである。
80℃で4時間真空乾燥を行ったグラフト共重合体(B)の所定量(m;約1g)にアセトン100mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を80℃で4時間真空乾燥し、重量(n)を測定した。グラフト率は下記式より算出した。ここで、Lはグラフト共重合体に含まれたゴム質重合体の含有率(重量%)である。
グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100 。
本発明に用いられるグラフト共重合体(B)は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量%としたとき、5〜20重量%を占める。成分(B)の好ましい割合としては、7〜18重量%、より好ましくは9〜16重量%である。成分(B)の割合が5重量%を下回った場合には、耐衝撃性、耐熱性は優れるものの、ブロー成形時の流動性が不足し、成形できない製品が発生する。一方、20重量%を超える場合、流動性は優れるものの、ブロー成形時のドローダウン性や、成形品の耐衝撃性と耐熱性が低下する。
本発明において、グラフト共重合体(B)を得る方法としては特に制限はないが、公知の乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法等の任意の方法により製造でき、好ましくは乳化重合法または塊状重合法で製造される。なかでも、過度の熱履歴によるゴム成分の劣化および着色を抑制するため、乳化重合法で製造することが最も好ましい。
通常の乳化重合はゴム質重合体ラテックスの存在化に単量体混合物を乳化グラフト重合する。この乳化グラフト重合に用いられる乳化剤に特に制限はなく、各種の界面活性剤が使用できるが、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型などのアニオン系界面活性剤が特に好ましく使用できる。
このような乳化剤の具体例としては、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミスチリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ロジン酸塩、ベヘン酸塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸
エステル塩、その他高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニールエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。ここでいう塩とはアルカリ金属塩、アンモニウム塩
などであり、アルカリ金属塩の具体例としてはカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、などが挙げられる。なかでも加水分解の制御のためには、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、のカリウム塩、ナトリウム塩が好ましく用いられる。これらの乳化剤は、1種または2種以上を併用して使用することができる。
また、これら乳化グラフト重合に用いる開始剤は特に制限はなく、過酸化物、アゾ系化合物または過硫酸塩などが使用できる。
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。
過硫酸塩の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
これらの開始剤は2種以上を用いてもよい。乳化重合法には、過硫酸カリウム、クメンハイドロパーオキサイドなどが好ましく用いられる。また、開始剤はレドックス系でも用いることができる。
グラフト共重合体(B)の重合度およびグラフト率調整を目的として、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンなどのメルカプタン、テルピノレンなどのテルペンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらのなかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
乳化グラフト重合で製造されたグラフト共重合体(B)のラテックスは、次に凝固剤を添加してラテックス分を凝固させた後、グラフト共重合体(B)を回収する。凝固剤としては酸または水溶性塩が用いられ、その具体例として、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。これらの凝固剤は1種または2種以上の混合物で使用される。凝固剤として酸を用いた場合は、その後アルカリで中和する。ラテックス分を凝固させて得られたグラフト共重合体(B)のスラリーは、脱水・洗浄・再脱水・乾燥工程を経てパウダー形状とすることが工程における取り扱い性の点から好ましい。
本発明に用いられるビニル系共重合体(C)(成分(C)とも称する)は、芳香族ビニル系単量体(c1)(成分(c1)とも称する)およびシアン化ビニル系単量体(c2)(成分(c2)とも称する)を共重合してなる。成分(C)は2種以上の種が併用される態様であっても良い。
芳香族ビニル系単量体(c1)としては、前述のグラフト共重合体(B)において説明した芳香族ビニル系単量体(b2)と同様に、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレンなどが挙げられるが、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を用いることができる。
シアン化ビニル系単量体(c2)としては、前述のグラフト共重合体(B)において説明したシアン化ビニル系単量体(b3)と同様に、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。これらは1種または2種以上を用いることができる。
また、グラフト共重合体(B)と同様に、ビニル系共重合体(C)においても本発明の効果を失わない程度に、芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)と共重合可能な他のビニル系単量体を用いうる。他のビニル系単量体の具体例としては、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物などが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができ、これらは単独でも複数でも用いることが可能である。なお、耐熱性や難燃性をさらに向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
ビニル系共重合体(C)における芳香族ビニル系単量体(c1)に由来する部分およびシアン化ビニル系単量体(c2)に由来する部分の重量分率は特に制限はないが、得られる樹脂組成物の流動性および耐衝撃性の物性バランスの点から、成分(c1)および成分(c2)に由来する部分の合計量を100重量%としたとき、成分(c1)に由来する部分は60〜80重量%、成分(c2)に由来する部分は20〜40重量%とすることが好ましい。より好ましくは、成分(c1)に由来する部分は65〜80重量%であり、成分(c2)に由来する部分は20〜35重量%であり、特に好ましくは、成分(c1)に由来する部分は70〜80重量%であり、成分(c2)に由来する部分は20〜30重量%である。
また、ビニル系共重合体(C)は、その重量平均分子量が2.0×10〜5.0×10の範囲にあることが好ましい。この分子量が上記範囲を外れると、得られる樹脂組成物の流動性、耐衝撃性および耐熱性の少なくともひとつが劣ることがある。好ましくは、重量平均分子量が2.5×10〜4.0×10の範囲である。
本発明に用いられるビニル系共重合体(C)は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量%としたとき、10〜25重量%を占める。成分(C)の好ましい割合としては、12〜23重量%、より好ましくは14〜21重量%である。成分(C)の割合が10重量%を下回った場合には、耐衝撃性、耐熱性は優れるものの、ブロー成形時の流動性が不足し、成形できない製品が発生するため好ましくない。一方、25重量%を越える場合、成形品の耐衝撃性と耐熱性が低下する。
本発明において、ビニル系共重合体(C)を得る方法としては特に制限はないが、公知の乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法等の任意の方法により製造でき、好ましくは懸濁重合法または塊状重合法で製造される。なかでも、重合制御の容易さ、後処理の容易さを考慮すると懸濁重合が最も好ましい。
懸濁重合に用いられる懸濁安定剤としては、粘土、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム等の無機系懸濁安定剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体等の有機系懸濁安定剤などが挙げられ、中でも有機系懸濁安定剤が共重合体の溶融時の熱着色安定性の面で好ましく、より好ましくはメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体が好ましい。
また、これら懸濁重合で使用可能な開始剤および連鎖移動剤としては、前記グラフト共重合体(B)の製造であげた開始剤および連鎖移動剤が挙げられる。
本発明で用いられる難燃剤(D)としては、好ましくリン系難燃剤、窒素系難燃剤および金属水酸化物系難燃剤などのハロゲン原子を含まない非ハロゲン系難燃剤、および、臭素系難燃剤に代表されるハロゲン系難燃剤を用いることができ、これらの難燃剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃剤(D)の含有量は、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量部としたとき3重量部未満である。この含有量が3重量部以上の場合はドローダウン性に劣る。
本発明の樹脂組成物においては、機械特性や耐熱性や流動性の改善などの目的で、更に他の樹脂を含有することができ、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(E)(成分(E)とも称する)を好ましく用いることができる。成分(E)は、ポリテトラフルオロエチレン粒子とアクリル系重合体とからなる。また、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、三菱ケミカル(株)から、“メタブレン(登録商標)”Aシリーズとして市販され、“メタブレン(登録商標)”A−3000、“メタブレン(登録商標)”A−3700、“メタブレン(登録商標)”A−3750、“メタブレン(登録商標)”A−3800などが市販されている。
アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(E)の含有量は特に制限はないが、成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量部としたとき、好ましく0.5〜3重量部であり、より好ましく0.5〜2.5重量部である。成分(E)の割合をこの範囲とすることによって、耐熱性や、成形品の外観がさらに良好となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、その成分であるグラフト共重合体(B)が弱アルカリ性を呈することがあり、その場合、他の構成成分であるポリカーボネート樹脂(A)のアルカリ分解や熱分解を引き起こす可能性があることから可使温度に影響が出る虞がある。かかる可能性を低減する目的で、本発明の熱可塑性樹脂組成物は好ましく酸性化合物をグラフト重合体製造時や樹脂組成物を生産するための溶融混錬時に用いることができる。そのような酸性化合物には、特に制限は無いが、例示すると、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、イタコン酸、安息香酸、安息香酸メチル、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸、無水コハク酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウムであり、より好ましくは、リン酸、リン酸二水素ナトリウムである。上記の様に例示した酸性化合物は、必ずしも1種で使用する必要は無く、複数種併用して使用することもできる。
酸性化合物の使用量は、目安として成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量部としたとき、1.0重量部以下とすることが好ましい。1.0重量部を超えて使用する場合には、アルカリ成分の中和は十分になされるが、射出成形品の表面が荒れ、外観を損なうことがある。
また他に、本発明の特性を損なわない範囲で含有しうる他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンに代表されるポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン4,6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン11などのポリアミド樹脂、その他ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリアセタール樹脂、結晶性スチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂など目的に応じて使用することができる。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、含硫黄化合物系酸化防止剤、含リン有機化合物系酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、銀系抗菌剤に代表される抗菌剤、抗カビ剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料など(総称して添加剤等という)を添加することもできる。
本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物は、ISO 1133に準拠して測定した240℃×荷重10kgのメルトボリュームレートが6cm/10分以下である。このメルトボリュームレートは好ましくは5cm/10分以下である。かかる範囲とすることによって、ドローダウン性に優れたものとすることができる。
本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物において含みうる前記した他の樹脂および添加剤等の量は消極的な意味では本発明の目的を阻害しない限り特に限定は無いが、本発明の効果を最大限に享受する観点からは組成物全体重量に占める成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量は80重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは94重量%以上とすることである。
本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物は、前記した各成分を、例えば、溶融混合することによって得ることができる。溶融混合の方法には、各成分が十分に混じりあえば特に制限は無いが、加熱装置、ベントを有するシリンダーで単軸または二軸のスクリューを使用して溶融混合する方法などが採用可能である。溶融混合の際の加熱温度は、通常230〜320℃の範囲から選択されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混合時の温度勾配などを自由に設定することも可能である。また、二軸のスクリューを用いる場合は、同一回転方向でも異回転方向でも良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用したブロー成形法に関しては、制限は無く、従来公知の方法を使用することができる。代表例としては、ダイレクトブロー法、アキュームレーターブロー法および多次元ブロー法などを挙げることができ、また他の材料との組合せにおいて用いられる多層ブロー成形法やエクスチェンジブロー成形法などを適用することも可能である。
本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物は、ドローダウン性に優れるので、長いパリソン長を必要とする三次元ブロー成形に好適である。また、耐衝撃性と耐熱を併せ持つので、自動車用のリアスポイラー、エアインテークダクト、インテークマニホールド、レゾネーター、燃料タンク、燃料フィラーチューブ、燃料デリバリーパイプ、その他各種ホース・チューブ・タンク類などの用途に有効である。また自動車分野以外でも、家電分野、OA機器分野、建材分野にも好適に応用することができる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げる。しかし、本発明は係る実施例に限定して解釈されるものではない。各実施例、比較例および原材料の測定方法または評価方法は以下のとおりである。また、前記した各パラメータは以下に記載の方法によって求められるものである。
(1)流動性
(1−1)ポリカーボネート樹脂(A)のメルトボリュームレート:ペレットを105℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO 1133(温度300℃、1.2Kg荷重条件で測定)に準拠して測定した。
(1−2)ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物のメルトボリュームレート:各実施例および比較例により得られたペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO 1133(温度240℃、10Kg荷重条件で測定)に準拠して測定した。
(2)シャルピー衝撃強さ:各実施例および比較例により得られたシャルピー衝撃強度評価用試験片(全長80mm、厚さ4mm、幅10mm、ノッチ部の幅8mm)について、シャルピー衝撃強度をISO 179(ノッチ有)に準拠して測定した。
(3)荷重たわみ温度:各実施例および比較例により得られた荷重たわみ温度評価用試験片(全長80mm、厚さ4mm、幅10mm)について、荷重たわみ温度をISO 75(1.8MPa荷重)に準拠して測定した。
(4)ブロー成形性:成形温度260℃で30cmのパリソンを30秒間保持した場合のパリソン長さから、下記基準により判定した。
◎:ドローダウンしなかったもの
○:5cm以下のドローダウン
△:5cmを超え、10cm以下のドローダウン
×:10cmを超えてドローダウン 。
(5)偏肉性:1000mlの角ビン(高さ200mm)をブロー成形し、この成形品胴部の上部(上から約50mm)および下部(下から約25mm)の厚みを測定し、上部平均厚みと下部平均厚みの差が1mm以内のものを偏肉性良好、上記厚み差が1mmを超えるものを偏肉性不良と判定した。
○:偏肉の少ないもの(1mm以内のもの)
×:偏肉の大きいもの(1mmを超えるのもの) 。
各実施例、比較例に使用した材料を以下に示す。
ポリカーボネート樹脂(A):
分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)
ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが2.3cm/10分の三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製の“ノバレックス(登録商標)”M7027Bを使用した。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)
ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが5.0cm/10分の三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製の“ユーピロン(登録商標)”E−2000を使用した。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A−3)
ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが7.1cm/10分の三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製の“ユーピロン(登録商標)”S−1000を使用した。
グラフト共重合体(B):
グラフト共重合体(B)として、グラフト共重合体(B−1)〜(B−2)を以下のとおり調製した。
グラフト共重合体(B−1)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)60重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン29重量部とアクリロニトリル11重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(B−1)を調製した。グラフト率は37%であった。また、樹脂組成物とした後に樹脂組成物中に観察されるゴム質重合体において直径が500nm以上であるものは何れの実施例または比較例においても4重量%であった。
グラフト共重合体(B−2)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(B−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−5)を調製した。グラフト率は24%であった。また、樹脂組成物とした後に樹脂組成物中に観察されるゴム質重合体において直径が500nm以上であるものは何れの実施例または比較例においても24重量%であった。
ビニル系共重合体(C):
ビニル系共重合体(C)として、ビニル系共重合体(C−1)〜(C−3)を以下のとおり調製した。
ビニル系共重合体(C−1)
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、純水1800重量部を反応容器中に仕込み、反応容器中の気相を窒素ガスで置換し、撹拌下、70℃に保った。単量体が完全に重合体に転化するまで反応を続けた後、水酸化ナトリウム35質量部と純水15000重量部を加え、70℃で2時間撹拌した後、室温にまで冷却することで懸濁重合用媒体となる0.6重量%のメタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液を得た。
20Lのオートクレーブに前記メタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液6重量部を純水165重量部に溶解した溶液を入れて400回転/分で撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、アクリロニトリル28重量部、スチレン72重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.32重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.1重量部の混合物(i)を、反応系を撹拌しながら30分間かけて初期添加し、70℃にて共重合反応を開始した。その後、3時間かけて100℃に昇温した。到達後30分間100℃に保温した後、冷却し、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行って、ビニル系共重合体(C−1)を製造した。得られたビニル系共重合体(C−1)の重量平均分子量は3.2×10であった。
ビニル系共重合体(C−2)
混合物(i)として、アクリロニトリル28重量部、スチレン72重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.32重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.2重量部の混合物を用いたこと以外は、ビニル系共重合体(C−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(C−2)を製造した。得られたビニル系共重合体(C−2)の重量平均分子量は1.8×10であった。
ビニル系共重合体(C−3)
混合物(i)として、アクリロニトリル28重量部、スチレン72重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.32重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.33重量部の混合物を用いたこと以外は、ビニル系共重合体(C−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(C−3)を製造した。得られたビニル系共重合体(C−2)の重量平均分子量は1.2×10であった。
難燃剤(D−1):
大八化学工業(株)製PX−200(レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート)を使用した。
アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(E−1):
三菱ケミカル(株)製“メタブレン(登録商標)”A−3800を使用した。
(実施例1〜6、比較例1〜7)
上記の各成分を、表1に示した比で配合後、ブレンダーにて1分間攪拌し、該混合物をスクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(池貝鉄工株式会社製“PCM−30”、温度範囲:260〜270℃)で溶融混練を行い、ダイスノズルから吐出した溶融樹脂は水槽を介してカッターに引き取ってカッティングし、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを各物性評価に適するように、成形機(住友重機工業社製SE50DU射出成形機、成形温度260℃、金型温度60℃)にて試験片を作製して評価を行った。
表1に示されるとおり、評価の結果、以下のことが明らかになった。
1.実施例と比較例4〜7の結果の比較から、ポリカーボネート樹脂(A)として、分岐構造を持たず、メルトボリュームレートが規定値より大きいものを使用した場合には流動性が悪化し、ブロー成形性が著しく低下した。
2.実施例1と比較例2の結果の比較から、難燃剤(D)を5重量部配合したものを使用した場合には、耐衝撃性と耐熱性が低下した。
Figure 2019157016
本発明は、ブロー成形時のドローダウン性に優れ、且つ耐衝撃性、耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物であり、自動車のスポイラーなどに使用できる。また自動車分野以外でも、家電分野、OA機器分野、建材分野、楽器ケース、工具ケース、スーツケースなどの分野へ好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 分岐構造を有し、ISO 1133に準拠して測定した300℃×荷重1.2kgのメルトボリュームレートが4cm/10分以下であるポリカーボネート樹脂(A)(成分A)、ジエン系ゴム質重合体(b1)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(b2)およびシアン化ビニル系単量体(b3)含むビニル系単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)(成分B)、芳香族ビニル系単量体(c1)およびシアン化ビニル系単量体(c2)を共重合してなるビニル系共重合体(C)(成分C)を含み、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計量を100重量%としたとき、成分(A)は70〜85重量%、成分(B)は5〜20重量%、成分(C)は10〜25重量%であり、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対して、難燃剤(D)を3重量部未満含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂組成物はISO 1133に準拠して測定した240℃×荷重10kgのメルトボリュームレートが6cm/10分以下であることを特徴とするブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 成分(C)の重量平均分子量が2.0×10〜5.0×10の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記成分(A)、成分(B)および成分(C)の合計100重量部に対して、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(E)を0.5〜3重量部含むことを特徴とする請求項1または2に記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  4. 成分(B)において、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)に由来する部分の合計量を100重量%としたとき、成分(b1)に由来する部分は40〜65重量%、成分(b2)に由来する部分は26〜43重量%、成分(b3)に由来する部分は9〜17重量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物内に観察される成分(b1)のうち、その直径が500nm以上のものが成分(b1)全体の10重量%以上を占めていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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