JP2005193386A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】基材シートがポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートであって、優れた耐候性を有するものを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂からなる透明性基材シートの裏側に絵柄模様層及び着色隠蔽層が順に形成されており、基材シートのおもて側に透明樹脂層が形成されている化粧シートであって、基材シートが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤100〜10000重量ppm及び/又はヒンダードアミン系光安定剤50〜10000重量ppmを含有していることを特徴とする化粧シートに係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧シートに関する。
従来、住宅の外装用、内装用等の各種化粧材として、塩化ビニル樹脂シートを用いた化粧シートが多用されている。これは、塩化ビニル樹脂製のシートは、Vカット、熱エンボス加工等の加工適性、印刷又はラミネートに対する接着性、さらに耐候性にも優れる上、コスト的にも安価であり、全体として優れた性能を発揮するからである。
ところが、近年、地球環境問題が重要視されており、化粧シート材としての塩化ビニル樹脂の代替材料が希求されている。これは、家屋、家具、家電製品等の廃材を焼却処分する際に、排出を避けるべき塩素ガスが発生するからである。そこで、塩化ビニル樹脂の代替材料として、ポリオレフィン系樹脂を用いた化粧シートが各種開発されている。例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂においてエンボスの再現性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂において、エンボスに更にワイピング加工を試みた化粧シートが開示されている。このように、塩化ビニル樹脂シートに代わる代替材料であっても、加工性に優れたものが開発されてきている。
しかしながら、耐候性の問題は、ポリオレフィン系樹脂単体では劣り、塩化ビニル樹脂製化粧シート並の性能を発揮することはできない。そこで、各種紫外線吸収剤等の耐候性を向上させる耐候性向上剤をポリオレフィン系樹脂に添加することが試みられているが、化粧シートとした場合の耐候性の点で満足すべき充分な性能を有するものは未だ得られていない。特に、印刷絵柄層又は着色隠蔽層に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン等をビヒクルの樹脂成分とする、従来から塩化ビニル樹脂製化粧シートに多用されているインクを用いた場合には、耐候性の改善が容易ではないが、種々の態様において、普遍的にポリオレフィン系樹脂の耐候性を向上させることができる技術の開発が望まれている。
さらに、化粧シートを構成する層は、従来、芳香族溶剤又は脂肪族溶剤を含むインキ等から形成される場合が多いが、これらの溶剤はいずれもVOC(有機性揮発物質)であり、環境意識の高まりから、VOC使用量を低減することが求められている。
特開平6−79830号公報 特開平6−79850号公報
本発明は、基材シートがポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートであって、優れた耐候性を有するものを提供することを主な目的とする。また、VOC使用量を低減した化粧シートを提供することも目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の化粧シートが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートに係る。
1.ポリオレフィン系樹脂からなる透明性基材シートの裏側に絵柄模様層及び着色隠蔽層が順に形成されており、基材シートのおもて側に透明樹脂層が形成されている化粧シートであって、基材シートが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤100〜10000重量ppm及び/又はヒンダードアミン系光安定剤50〜10000重量ppmを含有していることを特徴とする化粧シート。
2.ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が500〜2000重量ppmである上記項1記載の化粧シート。
3.ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が100〜1000重量ppmである上記項1又は2記載の化粧シート。
4.ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5.ヒンダードアミン系光安定剤が、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートである上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.基材シートが、ポリオレフィン系樹脂フィルムを3層積層した構造からなり、中間層がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有し、中間層を挟む両端の2層はそれらを含有しない上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7.化粧シートを構成する層の少なくとも1種が、水性組成物から形成されている上記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8.基材シートの片面又は両面が、水性組成物から形成されたプライマー層を有する上記項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
9.透明樹脂層が、紫外線吸収剤100〜10000重量ppm及び/又はヒンダードアミン系光安定剤100〜10000重量ppmを含有する上記項1〜8のいずれかに記載の化粧シート。
10.上記項1〜9のいずれかに記載の化粧シートの着色隠蔽層上に被着体を積層してなる化粧板。
本発明の化粧シートは、基材シートが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤100〜10000重量ppm及び/又はヒンダードアミン系光安定剤50〜10000重量ppmを含有しているため、優れた耐候性を有する。
特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを用いる場合、又はヒンダードアミン系光安定剤として、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートを用いる場合には、より優れた耐候性を有する。
基材シートを3層構成として、中間層のみに耐候剤(ベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤)を含有する場合には、特に基材シートからの耐候剤のブリード抑制効果が高く、基材シートの耐候性の経時的安定性も高めることができる。
化粧シートを構成する層の少なくとも1種を水性組成物から形成する場合には、VOC使用量を低減することができる。
本発明の化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂からなる透明性基材シートの裏側に絵柄模様層及び着色隠蔽層が順に形成されており、基材シートのおもて側に透明樹脂層が形成されている化粧シートであって、基材シートが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤100〜10000重量ppm及び/又はヒンダードアミン系光安定剤50〜10000重量ppmを含有していることを特徴とする。
基材シート
本発明の化粧シートでは、ポリオレフィン系樹脂からなる透明性基材シートを用いる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度又は高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。この中でも、特にオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、下記(1)〜(7)のものが挙げられる。
(1)特公平6−23278号公報記載の、(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25,000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレン。
このオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、特に「ネッキング」が生じ難く、加熱及び加圧による形成、エンボス加工等に適したものとして、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合物であって、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合割合が、アタクチックポリプロピレンの重量比で5重量%以上50重量%以下のものがある。
(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。このエラストマーにおいて、ブテンとしては、1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレンから選ばれる3種の構造異性体のいずれを用いてもよい。エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の好ましい具体例としては、次の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)特開平9−111055号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体によるランダム共重合体である。単量体成分の重量比はプロピレンが90重量%以上である。メルトフローレートは、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のものが好適である。そして、このような三元ランダム共重合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を、熔融混練することにより得られる。
(ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレン80〜0重量%添加することにより得られる。
(iii)特開平7−316358号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン及び/又は1−ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加することにより得られる。
なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂は、単独で使用してもよく、或いは、上記した(i)〜(iii)に他のポリオレフィン系樹脂を混合して用いてもよい。
(3)特公昭53−21021号公報記載の、(A)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハードセグメントとし、これに(B)部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜90/10(重量比)の割合が好ましい。
(4)特公昭53−34210号公報等に記載の、(B)未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A)オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー。なお、(B)モノオレフィンゴム/(A)オレフィン系共重合体=60/40〜80/20(重量比)の割合が好ましい。
(5)特公昭56−15741号公報等に記載の、(A)アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合体(ハードセグメント)と、(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱することにより、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C)ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成分)、及び(D)パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤、とを混合後、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系エラストマー。なお、(A)が90〜40重量部、(B)が10〜60重量部で、(A)+(B)=100重量部として、これに、(C)及び/又は(D)5〜100重量部を配合することが好ましい。
(6)特開平2−139232号公報に記載の、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
(7)極性基として水酸基又は/及びカルボキシル基を持たせた、上記(1)〜(6)のオレフィン系熱可塑性エラストマー。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合で水酸基を導入したもの、或いは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
これら水酸基、カルボキシル基はどちらか一方又は両方を併用してもよく、これら極性基は、基材シートと隣接する層との接着性を高める作用を有する。
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等の成膜方法によって基材シートに形成できる。なお、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれでも使用可能であるが、Vカット加工、真空成形、射出成形同時ラミネート等に適用する場合には、未延伸シートの方が良好である。
基材シートの厚みは特に限定されず、製品特性に応じて設定できるが、通常20〜300μm、好ましくは40〜200μm程度である。
本発明の化粧シートでは、基材シートは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤100〜10000重量ppm(好ましくは500〜2000重量ppm)及び/又はヒンダードアミン系光安定剤50〜10000重量ppm(好ましくは100〜1000重量ppm)を含有している。
耐候剤の詳細については後記するが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤としては、特にビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。このような耐候剤は単独又は併用の形式で使用でき、併用する場合には、製品特性に合わせて組み合わせを適宜選択すればよい。
なお、基材シートの構造は、単一のシートであってもよいが、下記のような構造にすることが好ましい。即ち、基材シートが、ポリオレフィン系樹脂フィルムを3層積層した構造とし、中間層が耐候剤を含有し、中間層を挟む両端の2層は耐候剤を含有しない構造とすることが好ましい。このような構造にすれば、基材シートからの耐候剤のブリード抑制効果が高まるとともに、基材シートの耐候性の経時的安定性が高まる。
基材シートは前記のように透明であるが、必要に応じて、基材シートの裏側に形成される絵柄模様層の視認性に影響を与えない範囲において、着色剤が添加されていてもよい。
着色剤としては、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
基材シートには、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の無機粉末からなる充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、発泡剤、滑剤等が挙げられる。
上記した着色剤及び添加剤の含有量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
基材シートの片面又は両面には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層を形成することにより、基材シートに含まれる耐候剤のブリードを防止することができるとともに、隣接層との層間密着力を高めることができる。
プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの片面又は両面に塗布又は塗工することにより形成できる。プライマー剤としては、有機溶剤を含まない水性組成物、特に水性樹脂エマルションが好ましい。例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系水性プライマー剤が挙げられる。具体的には、トリイソプロパノールアミンを中和剤として用いた水性ウレタン樹脂エマルションが挙げられる。
プライマー剤の塗布又は塗工量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m2、好ましくは0.1〜50g/m2程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ処理等の各種表面処理を施してもよい。これらの表面処理の方法は、常法に従って行えばよい。
絵柄模様層
基材シートの裏側(被着体と接合される側)には、絵柄模様層が形成される。
絵柄模様層は、基材シートの裏面に着色インキを塗工又は印刷後、乾燥硬化することにより形成できる。塗工方法としては、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等が挙げられる。印刷方法としては、例えば、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等が挙げられる。
着色インキとしては特に限定されず、公知のものを使用できるが、水性組成物、特に水性樹脂エマルションが好ましい。このような水性組成物を用いることにより、化粧シート中のVOC使用量を低減することができる。
水性組成物としては、水性樹脂エマルションインキが好ましく、例えば、水性ウレタン樹脂系インキ、水性ポリエステル樹脂系インキ、水性アクリル樹脂系インキ、セルロース樹脂系インキ、セラック樹脂系インキ、カゼイン樹脂系インキ、これらの混合系インキ、これらに架橋成分を導入したもの等が挙げられる。
架橋成分を導入した水性インキには、例えば、アミノ基を有する水性化合物を主剤とし、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する水性化合物を架橋剤として含有する水性インキ、活性水素基を有する水性化合物を主剤とし、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する水性化合物を架橋剤として含有する水性インキ、カルボキシル基を有する水性化合物を主剤とし、1分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する水性化合物を架橋剤として含有する水性インキ等が挙げられる。
本発明では、水性組成物のうち、樹脂エマルションからなる水性組成物の場合には、塩基性中和剤を含むことが好ましい。塩基性中和剤としては、樹脂中のカルボキシル基等を中和により親水化して水に分散(乳化)できるものであればよく、例えば、第2級アミン、第3級アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が好ましいものとして挙げられる。具体例を挙げると、ニトロセルロース系水性樹脂エマルション(インキ)には、第2級アミン(例えば、ジエタノールアミン)を中和剤として用いることができる。
水性組成物には、着色顔料として、有機又は無機系の顔料を添加できる。例えば、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料;黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料などが挙げられる。赤色顔料としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、べんがら、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料などが挙げられる。青色顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料などが挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料などが挙げられる。白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無機顔料などが挙げられる。着色顔料の中には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等が添加されていてもよい。
絵柄模様層の模様は特に限定されず、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚が1〜15μm程度、乾燥後の層厚が0.1〜10μm程度であればよい。
着色隠蔽層
絵柄模様層を形成後、さらに着色隠蔽層が形成される。着色隠蔽層は、化粧シートと被着体とを接合した際に被着体の地色を隠蔽できればよく、通常は絵柄模様層を被覆するように形成すればよい。
着色隠蔽層を形成するための着色インキとしては、絵柄模様層の形成に用いられる着色インキがそのまま使用できるが、用途によっては着色を透明着色としてもよい。着色インキとしても、上記した水性組成物、特に水性樹脂エマルションが好ましい。
着色隠蔽層の形成方法は特に限定されず、塗工法としては、例えば、グラビアコート、ロールコート、リバースコート、ドクターコート等の従来公知の各種塗工手段が利用できる。塗布量は、通常、乾燥硬化時に2〜30g/m2の範囲が望ましい。少なすぎると隠蔽力が低下する。また、多すぎても隠蔽力は飽和して意味がない。着色隠蔽層の厚みは、通常0.1〜20μm、好ましくは1〜10μm程度である。
透明樹脂層
基材シートのおもて側には、透明樹脂層が形成される。
透明樹脂層は、公知の透明インキを、基材シートの表面に塗布又は塗工することにより形成できる。透明インキとしては特に限定されないが、水性組成物、特に水性樹脂エマルションが好ましい。
水性組成物としては、1液性のものでも2液性のものでもよいが、2液性のものが好ましい。特に、アクリル系樹脂を含む水性組成物が好ましい。
アクリル系樹脂としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とし、これに必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルや、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基含有単量体、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノ基含有単量体、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のエポキシ基含有単量体等を配合して得た単独又は共重合体を使用することができ、中でもメタクリル酸メチルを主成分とする単独又は共重合体を使用することが最も望ましい。
透明樹脂層として要求される耐摩耗性や耐溶剤性等の表面物性を考慮すると、上記アクリル系樹脂は、適宜の架橋剤(硬化剤)の配合若しくは分子中に含む架橋性の官能基の反応により架橋硬化する硬化型樹脂であることが望ましく、中でも、化粧シートを熱変形させない低温での架橋硬化が可能な、イソシアネート系硬化剤の配合により硬化するアクリルウレタン系樹脂を用いることが最も望ましい。この場合において、イソシアネート系硬化剤と反応させる主剤樹脂としては、分子中に水酸基、アミノ基又はカルボキシル基等の活性水素基を含有するものであれば使用可能であるが、中でも分子中に水酸基を含有するアクリル系樹脂であるアクリルポリオール系樹脂を用いることが最も望ましい。
上記アクリルウレタン系樹脂において配合されるイソシアネート系硬化剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が最も一般的なものであるが、耐候性の観点からは、黄変の原因となる芳香環を含まない脂肪族又は脂環族イソシアネート系硬化剤を使用することが望ましい。具体的には、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等を望ましく使用することができる。
アクリル系樹脂には、必要に応じて、繊維素系樹脂を添加してもよい。繊維素系樹脂としては、例えば、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース脂肪酸エステルや、硝酸セルロース、硫酸セルロース、燐酸セルロース等のセルロース無機酸エステル、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース等のセルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシル基含有セルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水酸基含有セルロースエーテル、アミノエチルセルロース等のアミノ基含有セルロースエーテル等を使用することができる。
上記の中でも、アクリル系樹脂との混和性や、密着性及びレベリング性の向上効果、耐候性等の面で、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロース及びエチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の混合物を使用することが最も望ましい。
繊維素系樹脂は、比較的硬く脆い性質を有するアクリル系樹脂に対して、適度の粘性や靱性を与え、塗工時のレベリング性を向上すると共に、乾燥固化後における化粧シートの表面との密着性や、通常の折り曲げ加工に耐える可撓性等を改善する作用を有する。しかも、基本的に分子中に塩素を含有しないので、直射日光等の紫外線に曝されても脱塩酸反応による劣化を生じることがなく、極めて耐候性に優れた被膜を与える。また、化粧シートに添加されている紫外線吸収剤や光安定剤のブリードを抑える効果もあり、優れた耐候性が長期に亘り持続する化粧シートを得ることができる。
アクリル系樹脂に対する繊維素系樹脂の配合量としては、少なすぎると配合の効果が乏しく、多すぎるとアクリル系樹脂 の優れた物性(耐溶剤性、耐摩耗性等)を損なう虞があるので、アクリル系樹脂と繊維素系樹脂との総和100重量部当たり0.5〜10重量部程度、より好ましくは1〜4重量部程度とすることが望ましい。
透明インキの塗布量は、耐候性や表面物性の面では多い程有利であるが、あまり多すぎても可撓性が失われて割れ易くなり、不経済でもあるので、概ね乾燥後の塗布量20g/m2以下の程度とすることが望ましい。内装用途であれば通例4〜6g/m2程度で十分である場合が多いが、直射日光に曝される機会の多い準外装用途であれば、少なくとも8g/m2以上とすることが望ましい。透明樹脂層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜20μm、好ましくは0.1〜10μm程度である。
耐候剤
本発明の化粧シートでは、基材シート以外の層にも、必要に応じて、耐候剤を添加してもよい。添加する層としては、特に透明樹脂層が好ましい。耐候剤としては、特に紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の少なくとも1種を好適に使用できる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、特に塩基性成分(特にヒドロキシル基)を有するものが好ましい。例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の、2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等の、2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等、その他2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の、2ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、4−tert−ブチル−フェニル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応性紫外線吸収剤等も用いられる。なお、これら紫外線吸収剤の添加量は、樹脂分に対して、通常0.1〜5質量%程度である。
このような紫外線吸収剤を添加することにより、各層の耐候性を高められる。また、塩基性成分を含む紫外線吸収剤を用いる場合には、各層を形成するのに使用できる樹脂エマルションに含まれる樹脂骨格(カルボキシル基)と相互作用して、紫外線吸収剤のブリードを抑止する効果も得られる。例えば、分子中に水酸基を有する紫外線吸収剤を基材シートに添加し、隣接層を構成する樹脂成分としてイソシアネート基を有するウレタン樹脂等を用いる場合には、紫外線吸収剤が基材シートからブリードして隣接層に染み込んでも、水酸基とイソシアネート基とがウレタン結合することにより捕捉できる。
紫外線吸収剤の含有量は特に限定されないが、各層に100〜10000重量ppm程度、好ましくは500〜7500重量ppm程度である。
(ヒンダードアミン系光安定剤)
紫外線による各層の劣化をさらに防止し、耐候性を向上させるためには、他の耐候剤としてヒンダードアミン系光安定剤を添加することが好ましい。例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジンオン)、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物等、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等が挙げられる。これらの光安定剤の添加量は特に限定されないが、通常、樹脂分に対して0.1〜5重量%程度である。
なお、ヒンダードアミン系光安定剤を添加する場合には、基材シートをはじめ、化粧シートを構成する層中に塩素原子を含む樹脂を用いないことが耐候性向上の点から好ましい。例えば、バインダー樹脂に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン等の分子中に塩素原子を含む樹脂を用いると、紫外線又は熱の作用によりこれら塩素含有樹脂から脱塩素反応で塩化水素が発生した場合に、これがヒンダードアミン系光安定剤と反応してその作用を失活・阻害するため、該捕捉剤による耐候性向上効果が十分に発揮されないおそれがあるからである。
塩基性成分を含むヒンダードアミン系光安定剤を含める場合には、各層を形成し得る樹脂エマルションに含まれる樹脂骨格(カルボキシル基)と相互作用して、紫外線吸収剤のブリードを抑止する効果も得られる。
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は特に限定されないが、各層に100〜10000重量ppm程度、好ましくは500〜7500重量ppm程度である。
化粧板
本発明の化粧シートは、各種被着体と接合することにより、化粧板とできる。被着体の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。
具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等が挙げられる。
金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料が挙げられる。
木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。
プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
このような被着体の形状は特に限定されず、例えば、平板、曲面板、多角柱等の形状を任意に採用できる。
本発明の化粧シートは、上記した被着体の表面に貼着したものを、例えば、壁、天井等の建築物内装材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面材、回縁、幅木等の造作部材の表面材、箪笥、キャビネット等の家具の表面材等として使用できる。
なお、化粧シートと被着体との密着性を高めるために、化粧シートと被着体との間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層は、例えば、公知のプライマー剤を被着体の表面であって、化粧シートとの接合面に塗布又は塗工することにより形成できる。プライマー剤としては、有機溶剤を含まない水性組成物が好ましい。かかる水性組成物としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系水性プライマー剤が挙げられる。また、トリイソプロパノールアミンを中和剤とした2液硬化型ポリエステルポリオール−セルロース系樹脂からなるプライマー剤、水酸化ナトリウムを中和剤としたポリエステルポリオール系樹脂からなるプライマー剤等も好ましいものとして挙げられる。
プライマー剤の塗布又は塗工量は特に限定されないが、通常0.1〜200g/m2、好ましくは1〜100g/m2程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜50μm、好ましくは0.1〜10μm程度である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
図1に示される構成の化粧シートを作製した。
プロピレンを主成分とし、これに分子中に水酸基を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−ベンゾトリアゾール)1000重量ppm添加したものを、88μmの厚さで溶融押出ししてシート化し、無色透明シート(基材シート)を得た。
基材シートの表裏両面にコロナ処理を施して、表裏各面の表面張力が48dyne/cmとなるように活性水素含有官能基を形成後、基材シートの裏面側に裏面プライマー層を設け、その上から絵柄印刷層及び着色隠蔽層を順次形成して装飾処理を施した。各層の形成には、グラビア印刷を利用した。
なお、裏面プライマー層は、2液硬化型ポリエステル(ポリエステルウレタン)樹脂インキであって、主剤のポリエステルポリオール100重量部に硬化剤(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)6重量部を加えてなるインキにより形成した。
絵柄印刷層は、バインダー(塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1:1重量比の混合物)に顔料(カーボンブラックを主体としたもの)を添加してなるインキにより形成した。
着色隠蔽層は、バインダー(2液硬化型アクリルウレタンインキであって、主剤であるアクリルポリオール100重量部に硬化剤(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)5重量部を加えたもの)に顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、弁柄及び黄鉛)を添加してなるインキにより形成した。
次いで、グラビアロールコートにより、基材シートのおもて面に厚さ3μmの透明樹脂層を形成した。透明樹脂層は、アクリルポリオールからなる主剤100重量部に、硬化剤(分子中にイソシアネート基を有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)12重量部を添加してなるインキにより形成した。
実施例2及び3
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量を1000重量ppmから100重量ppm(実施例2)及び10000重量ppm(実施例3)に変えたほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
実施例4
図2に示される構成の化粧シートを作製した。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)に対して、ヒンダードアミン系光安定剤(ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート)100重量ppm添加したものを中間層として、耐候剤を含まない2層で中間層を挟むようにして、Tダイから2種3層(22μm/44μm/22μm)を溶融押出しして、88μm厚の透明オレフィン系樹脂シート(基材シート)を得た。基材シートの両面は、コロナ処理を施した。
次いで、基材シートの裏面に、2液硬化型ウレタン系樹脂により裏面プライマー層を形成後、裏面プライマー層の上に、アクリルウレタン系樹脂を用いたグラビア印刷により絵柄模様層を形成した。その上に2液硬化型ポリエステルウレタン系樹脂に硫酸バリウム及びシリカを添加した隠蔽インクによるグラビア印刷により着色隠蔽層を形成した。
次いで、グラビアロールコートにより、基材シートのおもて面に厚さ7μmの透明樹脂層を形成した。透明樹脂層は、アクリルポリオールからなる主剤100重量部に、硬化剤(分子中にイソシアネート基を有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)12重量部を添加してなるインキにより形成した。
実施例5及び6
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量を1000重量ppm(実施例5)及び10000重量ppm(実施例6)に変えたほかは、実施例4と同様にして化粧シートを作製した。
実施例7
基材シート中の耐候剤を、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−ベンゾトリアゾール1000重量ppmとビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート100重量ppmとの混合物としたほかは、実施例4と同様にして化粧シートを作製した。
比較例1及び2
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量を1000重量ppmから50重量ppm(比較例1)及び15000重量ppm(比較例2)に変えたほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
比較例3及び4
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量を30重量ppm(比較例3)及び15000重量ppm(比較例4)に変えたほかは、実施例4と同様にして化粧シートを作製した。
参考例1〜11
実施例1において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の種類を、下記表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
参考例12〜15
実施例4において、ヒンダードアミン系光安定剤の種類を、下記表1に示すように変えたほかは、実施例4と同様にして化粧シートを作製した。
Figure 2005193386
試験例1
各実施例、比較例及び参考例により得られた化粧シートに対し、カーボンアーク燈型サンシャインウェザーメーターで、ブラックパネル温度が63℃、降雨時間が120分中18分の条件下にて、1000時間照射した。
照射後、各化粧シートについて、透明樹脂層の変色、亀裂、剥離等の外観変化を目視観察した。また、退色度を示すΔEの値を調べた。なお、ΔEの値は、大きいほど退色の程度が大きいことを示す。
試験結果を下記表2に示す。
Figure 2005193386
UVA:紫外線吸収剤を示す
HALS:ヒンダードアミン系光安定剤を示す
実施例1において作製した化粧シートの概念図である。 実施例4において作製した化粧シートの概念図である。

Claims (10)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなる透明性基材シートの裏側に絵柄模様層及び着色隠蔽層が順に形成されており、基材シートのおもて側に透明樹脂層が形成されている化粧シートであって、基材シートが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤100〜10000重量ppm及び/又はヒンダードアミン系光安定剤50〜10000重量ppmを含有していることを特徴とする化粧シート。
  2. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が500〜2000重量ppmである請求項1記載の化粧シート。
  3. ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が100〜1000重量ppmである請求項1又は2記載の化粧シート。
  4. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. ヒンダードアミン系光安定剤が、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 基材シートが、ポリオレフィン系樹脂フィルムを3層積層した構造からなり、中間層がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有し、中間層を挟む両端の2層はそれらを含有しない請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 化粧シートを構成する層の少なくとも1種が、水性組成物から形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 基材シートの片面又は両面が、水性組成物から形成されたプライマー層を有する請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
  9. 透明樹脂層が、紫外線吸収剤100〜10000重量ppm及び/又はヒンダードアミン系光安定剤100〜10000重量ppmを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の化粧シート。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の化粧シートの着色隠蔽層上に被着体を積層してなる化粧板。
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