JP2005191343A - 面発光レーザの製造方法および面発光レーザおよび光伝送システム - Google Patents

面発光レーザの製造方法および面発光レーザおよび光伝送システム Download PDF

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Abstract

【課題】 均一なレーザ特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が得られ、さらには、保護膜形成や電極パターン形成などの後工程が安定になる面発光レーザの製造方法を提供する。
【解決手段】 化合物半導体基板上に、下部半導体多層膜反射鏡、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層、上部多層膜反射鏡を有する積層膜を形成し、該積層膜をドライエッチング法によってメサ構造に加工する工程を有する面発光レーザの製造方法において、前記積層膜中に、Al1−x−yGaInAs1−z (0≦x,y<1,0≦(x+y)<1, 0≦z≦1)の組成のエッチング停止層と、該エッチング停止層の上に接してGa1−xInAs1−y (0≦x,y≦1)の組成をもつ酸素導入層とを含み、前記酸素導入層をエッチング中に酸素原子を含むガスを導入し前記エッチング停止層でエッチングを停止させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、面発光レーザの製造方法および面発光レーザおよび光伝送システムに関する。
面発光レーザ(VCSEL)は、半導体基板と垂直方向にレーザ共振器を構成し、発振光を基板と垂直に出射する構成をとる。より具体的に、面発光レーザ(VCSEL)は、基板側と表面に対向して一対の高反射率の反射鏡が設けられ、これら一対の反射鏡の間に活性層が設けられ、また、活性層と2つの反射鏡との間に、上下2つのスペーサ層が設けられた構成となっている。
そして、面発光レーザ(VCSEL)は、次のような利点をもつ。すなわち、活性層体積を小さくできることから、低いしきい値電流,低い消費電力で駆動できる。また、共振器のモード体積が小さいため、数十GHzの変調が可能であり、高速伝送に向く。また、出射光の広がり角が小さく、光ファイバへの結合が容易である。また、面発光レーザは、作製にへき開を必要とせず素子面積も小さいので、並列化及び2次元高密度アレイ化が容易である。
このような利点をもつため、面発光レーザ(VCSEL)は、LANなどの光伝送用光源への適用にとどまらず、ボード間、ボード内、LSIのチップ間、チップ内の光伝送用光源への適用が期待されている。
図1は一般的な面発光レーザ(VCSEL)の素子構造を示す図である。具体的に、図1には、InGaAs/GaAsの活性層を有し、AlAs層を選択酸化した電流狭窄構造をもつ面発光レーザ(VCSEL)が示されている。図1に示す面発光レーザ(VCSEL)は、次のように作製される。
先ず、MOCVD法やMBE法により、n−GaAs単結晶基板上に以下の積層膜を形成する。
すなわち、n−GaAs単結晶基板上に、n−AlGaAs/n−GaAs 35.5ペアからなる下部半導体多層膜反射鏡(DBR)、下部GaAsスペーサ層、GaInAs/GaAs TQW活性層、上部GaAsスペーサ層,AlAs選択酸化層, p−AlGaAs/p−GaAs 26.5ペアからなる上部半導体多層膜反射鏡(DBR)を順次成長させて、積層膜を形成する。
次に、活性層近傍に電流と光を閉じ込める必要があるため、及び高速変調では寄生容量を低減する必要があるため、レーザ構造としてメサ構造(柱状構造)を形成する。メサ構造は、ドライエッチング法やウェットエッチング法で加工されるが、メサ側壁の垂直性が得やすく、メサの膜面内寸法の精度が高いなどの利点があるため、ドライエッチング法が用いられる場合が多い。また、エッチング面は下部半導体DBR中に達するようにすることが一般的である。
次に、エッチング工程により側面が露出したAlAs選択酸化層を、水蒸気中で熱処理し周辺を酸化させてAlの絶縁層に変え、素子駆動電流の経路を、中心部の酸化されていないAlAs領域だけに制限する電流狭窄構造を形成する。
次に、ポリイミド膜,SiO膜等の絶縁膜で、電極取り出し部と光出力部を除いた領域を被覆する。
続いて、所定の個所にp側電極,n側電極を形成してVCSELを作製することができる。
以上の工程のうちのドライエッチング法によるメサ形成の工程では、エッチング毎のエッチング深さのバラツキが±10%程度になることは稀ではなく、この制御性の低さが問題となっている。
この制御性の低さのため、メサの高さを必要な高さよりも大きくとらざるを得ず、素子駆動時の発光部から基板への熱流の経路中で狭い領域が長くなり熱抵抗が大きくなる。このため、光出力が低い値で飽和してしまう。また、素子抵抗が大きくなり、高周波特性が低下してしまう。
また、メサの高さのバラツキが大きいので、光出力特性と高周波特性のバラツキが大きくなる。
また、後工程の保護膜形成工程や電極形成工程のプロセス条件が一定にならず、工程が複雑になる。
なお、下部半導体DBRの熱抵抗が光出力の熱飽和特性に大きく影響するという実験結果とその対策については特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されている対策は、下部半導体DBR中の下側の大部分の領域にAlGaAsよりも熱伝導性が格段に良いAlAsを低屈折率層としたAlAs/GaAs DBRを用いる構成をとることである。
しかし、この対策をした構成でも、下部半導体DBR中の上側には、熱抵抗の大きい従来のAlGaAs/GaAs DBRを用いざるを得ない。このAlGaAs/GaAs DBRを用いる理由は、次のことによる。すなわち、もしも、エッチング面が下側AlAs/GaAs DBR中に達すると、後工程のAlAs選択酸化層の酸化工程時にメサ側壁に露出している下側AlAs/GaAs DBRのAlAs層の端面からも同時に酸化が進み、素子が絶縁化するか高抵抗化してしまう。AlGaAsの酸化速度はAl組成依存性が大きく、Al組成が大きいほど酸化速度が大きい。AlAsでは最も酸化速度が大きくなる。
これを防ぐため、酸化速度が小さいAlGaAsを用いた上側AlGaAs/GaAs DBRで下側AlAs/GaAs DBRを被覆する必要がある。そのペア数は、従来のエッチング制御法を用いた場合は、この特許文献1に記載の実施例のように10ペア程度必要になってしまうこともある。
つまり、従来のエッチング制御法では、この対策の効果にも限界が生じる。
また、特許文献2には、活性層直上にAlAs層が形成された面発光レーザの製造方法において、ClガスとNガス(又はNHガス)とArガスを導入したドライエッチング法を用い、AlAs層でエッチングを停止させる方法が示されている。
この方法は、積層膜表面からエッチングしたとき最初に露出するAlAs層でエッチングが止まる。このときエッチング面は窒化しているため後工程でこれを酸化する工程を必要とする。さらに、選択酸化工程でこの酸化物を介して水蒸気を導入してメサ内部のAlAs層を選択酸化する場合、この酸化物は均質性に欠けるため、水蒸気の侵入過程にバラツキがあり、選択酸化工程の再現性が低くなる。
特開2002−164621号公報 特開平10−294528号公報
本発明は、均一なレーザ特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が得られ、さらには、保護膜形成や電極パターン形成などの後工程が安定になる面発光レーザの製造方法および面発光レーザおよび光伝送システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、化合物半導体基板上に、下部半導体多層膜反射鏡、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層、上部多層膜反射鏡を有する積層膜を形成し、該積層膜をドライエッチング法によってメサ構造に加工する工程を有する面発光レーザの製造方法において、前記積層膜中に、Al1−x−yGaInAs1−z (0≦x,y<1,0≦(x+y)<1, 0≦z≦1)の組成のエッチング停止層と、該エッチング停止層の上に接してGa1−xInAs1−y (0≦x,y≦1)の組成をもつ酸素導入層とを含み、前記酸素導入層をエッチング中に酸素原子を含むガスを導入し前記エッチング停止層でエッチングを停止させることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の面発光レーザの製造方法において、前記エッチング停止層を、下部半導体多層膜反射鏡中に、又は、下部半導体多層膜反射鏡の上に接して設け、前記酸素導入層を、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層の全て又は一部とすることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の面発光レーザの製造方法において、前記酸素導入層の少なくとも一部を該下部半導体多層膜反射鏡の一部又は該上部半導体多層膜反射鏡の一部からなる半導体DBR酸素導入層として形成し、該半導体DBR酸素導入層の厚さを(1+2×N)×λ/(4×n) [Nは1以上の整数、λは発振波長、nは半導体DBR酸素導入層の屈折率]とすることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の面発光レーザの製造方法において、第1のプロセス室で前記積層膜を酸素導入層の途中までエッチングし、次に、第2のプロセス室で酸素原子を含むガスを導入し、エッチング停止層でエッチングを停止させることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の面発光レーザの製造方法で製造され、活性層がGaInNAs系材料を含むことを特徴とする面発光レーザである。
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の方法で製造された面発光レーザ、又は、請求項5記載の面発光レーザが用いられていることを特徴とする光伝送システムである。
請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、化合物半導体基板上に、下部半導体多層膜反射鏡、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層、上部多層膜反射鏡を有する積層膜を形成し、該積層膜をドライエッチング法によってメサ構造に加工する工程を有する面発光レーザの製造方法において、前記積層膜中に、Al1−x−yGaInAs1−z(0≦x,y<1,0≦(x+y)<1, 0≦z≦1)の組成のエッチング停止層と、該エッチング停止層の上に接してGa1−xInAs1−y(0≦x,y≦1)の組成をもつ酸素導入層とを含み、前記酸素導入層をエッチング中に酸素原子を含むガスを導入し前記エッチング停止層でエッチングを停止させるので、均一なレーザ特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が得られ、さらには、保護膜形成や電極パターン形成などの後工程が安定になる。
すなわち、請求項1の発明では、積層膜中に、酸素と反応しやすいAlを含む化合物半導体エッチング停止層とその上に酸素と反応しにくい酸素導入層とを設け、酸素導入層のエッチング中に酸素原子を含むガスを導入するので、Alを含むエッチング停止層で確実にエッチングが停止する。よって、素子形状のバラツキが少なくなり、均一なレーザ特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が得られる。さらには、保護膜形成や電極パターン形成などの後工程が安定になる。
特に、請求項2記載の発明では、請求項1記載の面発光レーザの製造方法において、前記エッチング停止層を、下部半導体多層膜反射鏡中に、又は、下部半導体多層膜反射鏡の上に接して設け、前記酸素導入層を、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層の全て又は一部とするので、より確実に、高い光出力と高い高周波特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)を制御性良く、また、均一性良く作製することができ、さらには、より後工程が安定になる。
また、請求項3記載の発明では、請求項1記載の面発光レーザの製造方法において、前記酸素導入層の少なくとも一部を該下部半導体多層膜反射鏡の一部又は該上部半導体多層膜反射鏡の一部からなる半導体DBR酸素導入層として形成し、該半導体DBR酸素導入層の厚さを(1+2×N)×λ/(4×n) [Nは1以上の整数、λは発振波長、nは半導体DBR酸素導入層の屈折率]とするので(すなわち、厚い半導体DBR酸素導入層を用いるので)、エッチング停止層で確実にエッチングが停止する。よって、より安定したプロセスで、均一なレーザ特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が得られ、さらには、後工程が安定になる。
また、請求項4記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の面発光レーザの製造方法において、第1のプロセス室で前記積層膜を酸素導入層の途中までエッチングし、次に、第2のプロセス室で酸素原子を含むガスを導入し、エッチング停止層でエッチングを停止させることを特徴とするので(すなわち、エッチングプロセス室を2つに分けて、それぞれ異なるガス系でエッチングするので)、より安定してエッチング工程を実施でき、製造装置のメンテナンス頻度も少なくすることができる。
また、請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の面発光レーザの製造方法で製造され、活性層がGaInNAs系材料を含むことを特徴とする面発光レーザであるので、光伝送への適用性が高く、冷却装置が不要な、高いレーザ特性の光源を歩留まり良く得ることができる。すなわち、請求項1乃至請求項4の製造方法によれば、高光出力と高い高周波特性が得られるGaInNAs系長波長帯VCSELを、均一性良く、安定な工程で作製できる。よって、光伝送への適用性が高いGaInNAs系長波長帯VCSELを、高い光出力と高い高周波特性をもつように性能を向上させた上、歩留まり良く得ることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の方法で製造された面発光レーザ、又は、請求項5記載の面発光レーザが用いられていることを特徴とする光伝送システムであるので、より高性能なデータ伝送システムをより低コストで提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
(第1の形態)
本発明の第1の形態は、化合物半導体基板上に、下部半導体多層膜反射鏡、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層、上部多層膜反射鏡を有する積層膜を形成し、該積層膜をドライエッチング法によってメサ構造に加工する工程を有する面発光レーザの製造方法において、前記積層膜中に、Al1−x−yGaInAs1−z(0≦x,y<1,0≦(x+y)<1, 0≦z≦1)の組成のエッチング停止層と、該エッチング停止層の上に接してGa1−xInAs1−y(0≦x,y≦1)の組成をもつ酸素導入層とを含み、前記酸素導入層をエッチング中に酸素原子を含むガスを導入し前記エッチング停止層でエッチングを停止させることを特徴としている。
Al1−x−yGaInAs1−z(0≦x,y<1, 0≦(x+y)<1, 0≦z≦1)の組成のエッチング停止層は、Alを含む化合物半導体材料からなる。具体的には、AlAs,AlGaAs,AlGaInAs,AlGaInAsP,AlAsP,AlGaAsPなどからなる。
また、Ga1−xInAs1−y(0≦x,y≦1)の組成をもつ酸素導入層は、Alを含まない化合物半導体材料からなる。具体的には、GaAs,GaInP,GaInAsP,GaInAsなどからなるが、さらにN,Sb,Tlなどの他のIII族,V族元素を含む場合もある。
前述した図1の一般的な面発光レーザ(VCSEL)の素子構造で第1の形態の製造工程例を説明する。
第1の形態の製造工程例では、前述したと同様にして、n−GaAs単結晶基板上に、n−AlGaAs/n−GaAs下部半導体多層膜反射鏡(DBR),下部GaAsスペーサ層,GaInAs/GaAs TQW活性層,上部GaAsスペーサ層,AlAs選択酸化層,p−AlGaAs/p−GaAs上部半導体多層膜反射鏡(DBR)の積層膜を作製する。
そして、この製造工程例では、下部半導体DBRの最上層のAlGaAs層をエッチング停止層とし、下部GaAsスペーサ層,GaInAs/GaAs TQW活性層,上部GaAsスペーサ層からなる共振器部を酸素導入層とする。
次に、フォトレジスト等でメサマスクをパターニングし、Cl,BCl,SiCl,CCl,CFなどのハロゲン系ガスを導入し、反応性イオンビームエッチング法(RIBE)、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング法、反応性イオンエッチング法(RIE)などのプラズマを用いたドライエッチング法でメサ形成を行う。上部スペーサ層から下部GaAsスペーサ層をエッチングしている途中で、プロセス室に、前記ハロゲン系ガスに加えて、O,HO,NO,CO,COなどの酸素原子を含むガスを導入する。エッチングが下部半導体多層膜反射鏡(DBR)の最上面のAlGaAs層に達すると、Al原子と酸素原子の反応性が高いので、AlGaAs層が安定な酸化物になる。よって、エッチング速度が極端に小さくなり、AlGaAs層で実質的にエッチングが停止する。
上部スペーサ層から下部GaAsスペーサ層をエッチングしているのを判定するには、それまでの実績をもとにした平均エッチング速度から見積もってもある程度は可能ではあるが、市販のプラズマ発光分光器などのエッチングモニタを用いるのが望ましい。
なお、プラズマ発光分光法は、エッチングされた原子種,分子種からの発光を検知する。実際的には、試料内でのエッチング速度の不均一性のため、選択酸化AlAs層のエッチングが終了し上部又は下部スペーサ層のいずれかの位置をエッチングしているのは判断できるが、下部半導体DBRのAl原子を明確に検知できる段階では、試料内ではAlGaAs/GaAs 下部半導体DBRの数層までエッチングされてしまう領域が生じる場合が多い。
次に、AlAs選択酸化層を水蒸気中で熱処理し、電流狭窄構造を形成する。次に、電極取り出し部と光出力部を除いた領域に保護膜を形成する。この保護膜は素子の平坦化の役割も担う。
続いて、所定の個所にp側電極及びn側電極を形成し、図1に示す構造の面発光レーザ(VCSEL)を作製することができる。この素子では、前述したと同様に、p側電極,n側電極から、それぞれ、正キャリア,負キャリアを注入し、活性層で発光させ、基板に垂直方向にレーザ発振させる。
なお、図1の素子例では、上方に光出力する構成が示されているが、基板側に光出力するように構成することもできる。
また、素子形状及び積層膜構成も限定されるものではなく、上部半導体DBR中や共振器中にエッチング停止層を設ける構成にすることもできる。
また、電流狭窄構造の構成と作製方法も限定されるものではなく、AlAs選択酸化層を用いる以外に、HやOのイオンインプランテーションで絶縁領域を形成する方法や狭窄部を形成する層を狭窄部を残してエッチング除去する方法などを用いることもできる。
本発明の第1の形態では、酸素と反応しやすいエッチング停止層と、その上に酸素と反応しにくい酸素導入層を設け、酸素導入層のエッチング中に酸素原子を含むガスを導入するので、確実にAlを含むエッチング停止層でエッチングが停止する。よって、素子形状のバラツキが少なくなり、放熱性,素子抵抗,容量等が一定になるため、均一なレーザ特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が得られる。さらには、保護膜形成や電極パターン形成などの後工程が安定になる。
(第2の形態)
本発明の第2の形態は、第1の形態の面発光レーザの製造方法において、前記エッチング停止層を、下部半導体多層膜反射鏡中に、又は、下部半導体多層膜反射鏡の上に接して設け、前記酸素導入層を、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層の全て又は一部とすることを特徴としている。
活性層を含む上部スペーサ層、下部スペーサ層は、発振光の共振器をなすため、合計で(N+1)×(λ/n)の厚さとする場合が多い。 [N:0以上の整数、 λ:発振波長、 n:構成半導体の屈折率]
一方、半導体DBRの層の厚さは(1+2×N)×λ/(4×n)であるが、多くの場合はλ/(4×n)である。よって、共振器に比べれば格段に薄い。前述のようにエッチングの制御性が低いため厚さに余裕が必要な酸素導入層をこの共振器部分の全て又は一部とすることは好適である。
この場合の、VCSEL構成積層膜の組み合わせの例としては、次表(表1)のようなものがある。
Figure 2005191343
なお、本願では、特に表記しない場合は、半導体DBRの厚さは(1/4)×(λ/n)である。
本発明の第2の形態では、第1の形態の面発光レーザの製造方法において、前記エッチング停止層を、下部半導体多層膜反射鏡中に、又は、下部半導体多層膜反射鏡の上に接して設け、前記酸素導入層を、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層の全て又は一部としているので、確実に、試料全面で、発熱部に近接する下部DBRの最上層でエッチングが止まる。これにより、放熱性が良好になり、また、そして抵抗が低くなる。放熱性が良好になることによって、より高い光出力をもつ面発光レーザ(VCSEL)が制御性良く、また、均一性良く得られ、また、素子抵抗が低くなることによって、より高い高周波特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が制御性良く、また、均一性良く得られる。さらには、形状がより均一になるため、後工程がより安定になる。
(第3の形態)
本発明の第3の形態は、第1の形態の面発光レーザの製造方法において、前記酸素導入層の少なくとも一部を該下部半導体多層膜反射鏡の一部又は該上部半導体多層膜反射鏡の一部からなる半導体DBR酸素導入層として形成し、該半導体DBR酸素導入層の厚さを(1+2×N)×λ/(4×n) [Nは1以上の整数、λは発振波長、nは半導体DBR酸素導入層の屈折率]とすることを特徴としている。
ここで、半導体DBR酸素導入層のDBR材料は、第1の形態に示した酸素導入層と同じであり、Alを含まない化合物半導体材料である。
また、エッチング停止層は、この半導体DBR酸素導入層の直下に設けられる。
この第3の形態では、半導体DBR酸素導入層のエッチング中に酸素原子を含むガスを導入し、上記エッチング停止層でエッチングを停止させる。
図3は第3の形態を説明するための図であり、図3を参照して、半導体DBR酸素導入層を設けメサを形成する例を以下に示す。
図3の例では、p−GaAs基板上にAlAs選択酸化電流狭窄構造をもつ面発光レーザ(VCSEL)を形成する場合、この電流狭窄構造は、p側下部半導体DBR中又はp側下部半導体DBR直上に設けるのが好ましい。これは、GaAsの場合、電子より正孔のほうが移動度が小さいため、電流経路が良好に制限されるためである。
AlAs選択酸化工程を安定して行うためには、メサ側面にこのAlAs選択酸化層の端面を再現性良く形成する必要がある。
一方、前述のように、p−GaAs基板,n−GaAs基板のどちらを使用するかにかかわらず、メサの熱抵抗と素子抵抗を小さくするためと、下部半導体DBR中で熱伝導性の良いAlAs/GaAs DBRの領域を大きくとるためには、メサエッチング面ができるだけ下部半導体DBR中に入りこまない方が好ましい。
このため、p−GaAs基板上のVCSELの場合は、n−GaAs基板上と比較し、格段に高いエッチング制御性が要求される。しかし、共振器中にAlAs選択酸化層を設ける場合は、共振器長を長くして、AlAs選択酸化層と下部半導体DBRのp−AlGaAs層との間に酸素導入層を設けなければならない。共振器長を1λなどに短くする場合は、下部半導体DBR中に半導体DBR酸素導入層を設ける。AlGaAsからなるエッッチング停止層は、この半導体DBR酸素導入層の下層に接して設ける。この半導体DBR酸素導入層全体の厚さを(1+2×N)×λ/(4×n)とする。
半導体DBR酸素導入層の厚さが大きいので、下部半導体DBRの層構成を変えずにエッチング加工の許容度が増し、プロセス安定が増す。
この第3の形態の製造方法では、厚い半導体DBR酸素導入層を用いているので、確実にエッチング停止層でエッチングが停止する。よって、安定したプロセスで、均一なレーザ特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が得られる。さらに、下部半導体DBR中に半導体DBR酸素導入層を設けた場合は、放熱性が良好になり、また、抵抗が低くなる。放熱性が良好になることによって、より高い光出力をもつ面発光レーザ(VCSEL)が制御性良く、また、均一性良く得られ、また、素子抵抗が低くなることによって、より高い高周波特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)が制御性良く、また、均一性良く得られる。
(第4の形態)
本発明の第4の形態は、第1乃至第3のいずれかの形態の面発光レーザの製造方法において、第1のプロセス室で前記積層膜を酸素導入層の途中までエッチングし、次に、第2のプロセス室で酸素原子を含むガスを導入し、エッチング停止層でエッチングを停止させることを特徴としている。
一般に、化合物半導体積層膜をメサ状に加工するには、高密度プラズマ源を用いる反応性イオンビームエッチング法(RIBE)、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング法などのエッチング法を用いることが、エッチング異方性と膜面方向の加工精度も優れていることから望ましい。
しかし、これらの方式は、導入ガスの活性化度が大きくプロセス圧力も10−2〜10−1Pa台と低いので、プロセス室の内壁の状況がエッチング過程に大きく影響する。
このため、プロセス室に酸素を含むガスを入れた場合、酸素と被エッチング物等の反応物が壁に付着し、エッチング毎の再現性が低下しやすくなる。このため、酸素を導入しない場合よりも、エッチング装置のメンテナンス回数が多くなる傾向がある。
この不具合を回避するため、本発明の第4の形態では、図4に示すように、まず、試料を前記高密度プラズマエッチング装置の第1のプロセス室にセットし、ハロゲン系ガスだけを導入し酸素導入層の途中までエッチングする。
次に、試料を平行平板型反応性イオンエッチング法(RIE)やバレル型エッチング法などのプラズマ密度が低くプロセス圧力も10〜10Pa台と高いエッチング装置の第2のプロセス室にセットし、ハロゲン系ガスと酸素原子を含むガスを導入し、Alを含むエッチングストップ層までエッチングする。これらのエッチング法は内壁の状態に影響される程度が大きくないため、メンテナンス頻度も少なくてよい。
このように、第4の形態の製造方法では、エッチングプロセス室を2つに分けているので、安定してエッチングができ、装置のメンテナンス頻度も小さくなる。
(第5の形態)
本発明の第5の形態は、第1乃至第4のいずれかの形態の面発光レーザの製造方法で製造され、活性層がGaInNAs系材料を含むことを特徴とする面発光レーザである。
GaInNAs系材料は、NとAsを含むIII−V族混晶半導体で構成されており、具体的には、GaNAs、GaInNAs、GaInAsSb、GaInNP、GaNP、GaNAsSb、GaInNAsSb、InNAs、InNPAsなどで構成される。
発振波長が1.1〜1.6μm程度の長波長帯面発光レーザは、発振光が石英系ファイバ中を損失少なく伝播し、Si基板中を吸収少なく透過し、さらに、前述の面発光レーザの特長を備えているので、チップ間、チップ内、ボード間、ボード内、LAN内の光伝送用光源として適用性が特に高い。
従来、この長波長帯VCSELは、端面発光型半導体レーザとして実績のあるInP基板上にGaInAsP活性層を形成して試みられていた。しかし、このInP基板上のGaInAsP系VCSELは、端面発光型半導体レーザの場合と同様に、取り得る活性層周辺の材料構成では温度特性が低い。また、InP基板上の半導体DBRには、屈折率差の小さいGaInAsP/InPを選択せざるを得ないので、反射率を高めるのは困難である。このため、冷却装置が必要なうえ、実用化には他にも多くの問題がある。
一方、GaAs基板上に形成されるGaInNAs系長波長帯VCSELは、温度特性が高く、屈折率差を大きくとれるため、反射率を大きくできるAlGaAs/GaAsやAlAs/GaAsのDBRを使うことができる。発振波長が長いので特に熱伝導率の高い材料同士の組み合わせであるAlAs/GaAs DBRが使えるのは有利である。この点に関しては、GaInAs,GaAsSbでも同様の効果がある。さらに、室温環境下で発振する上、閾値電流が小さい。
これらの利点のため、近年、GaInNAs系長波長帯VCSELは盛んに研究開発されてきている。
本発明の第5の形態では、第1乃至第4のいずれかの形態の製造方法が用いられることで、高光出力と高い高周波特性が得られるGaInNAs系長波長帯VCSELを、均一性良く、安定な工程で作製できる。よって、光伝送への適用性の高く、冷却装置が不要な、高いレーザ特性の光源を歩留まり良く得ることができる。
(第6の形態)
本発明の第6の形態は、第1乃至第4のいずれかの形態の方法で製造された面発光レーザ、又は、第5の形態の面発光レーザが用いられていることを特徴とする光伝送システムである。
図5は第6の形態の光伝送システムの構成例を示す図であり、図5の例では、第1,第2または第3の形態の製造方法で作製された面発光レーザ(VCSEL)を備えたボード間の並列光伝送システムが示されている。図5の光伝送システムでは、VCSELからの信号を複数のファイバを用いて同時に伝送することができる。
また、図6は第6の形態の光伝送システムの他の構成例を示す図であり、図6の例では、第5の形態のGaInNAs系VCSELを備えたボード間のチップ間の並列空間光伝送システムが示されている。図6の例の光伝送システムでは、VCSELからの信号をSi基板を透過させて同時に光伝送することができる。
本発明の第6の形態では、第1乃至第4のいずれかの形態の方法で製造された面発光レーザ、又は、第5の形態の面発光レーザを用いて光伝送システムを構成しているので、より高性能なデータ伝送システムをより低コストで提供することができる。
図2は実施例1の面発光レーザ(VCSEL)を示す図であり、実施例1では、酸素導入層を共振器部に設定し、エッチング停止層を下部半導体DBRの最上層に設定し作製した。
実施例1では、MOCVD法で、n−GaAs単結晶(100)基板上に、n−AlGaAs/n−GaAs 35.5ペアからなる下部半導体DBR,下部GaAsスペーサ層,GaInAs/GaAs TQW活性層,上部GaAsスペーサ層,AlAs選択酸化層,p−AlGaAs/p−GaAs 27.5ペアからなる上部半導体DBRの積層膜を作製する。共振器をなす活性層と下部,上部GaAsスペーサ層の合計の厚さは、λ/nとする。
ここで、エッチング停止層は、下部半導体DBR中の最上層のn−AlGaAs層である。
また、酸素導入層は、下部GaAsスペーサ層、GaInAs/GaAs TQW活性層、上部GaAsスペーサ層である。
上記のように積層膜を作製した後、次に、フォトレジストで円形メサマスクをパターニングし、Clガスを10sccm導入し、反応性イオンビームエッチング法(RIBE)でエッチングを開始する。このときプラズマ発光分光器でモニタする。エッチングの経過時間とともに、波長417nmのGa原子からの発光強度はp−AlGaAs/p−GaAs DBR構造に対応し振動する。波長417nmのGa原子からの発光強度の振動が高い強度のまま止まり、1振動周期に相当する時間が経過したら、Oガスを1sccm導入する。さらに2振動周期相当の時間が経過したら、エッチングを停止する。このとき、エッチング底面は、試料全面にわたりn−AlGaAs/n−GaAs下部半導体DBR最上層の位置にある。
次に、AlAs選択酸化層を水蒸気中で400℃で熱処理し、非酸化AlAs領域の面積が25μmになる電流狭窄構造を形成する。次に、電極取り出し部と光出力部を除いた領域にポリイミド保護膜を形成する。続いて、Oガスを導入したRIEによるエッチバックにより、メサ上面のp−GaAs層だけを露出する。
続いて、メサ上面にp側電極膜を蒸着しリフトオフ法により光出力用の開口を形成する。さらに、基板裏面にn側電極を形成し、面発光レーザ(VCSEL)を作製することができる。
この面発光レーザ(VCSEL)のp側電極,n側電極から、それぞれ、正キャリア,負キャリアを注入すると、波長0.98μmのレーザ光がメサ上面から基板と垂直に出力される。
実施例1では、Alを含まない酸素導入層として厚い共振器部を選択しているので、容易にOガスを混入させるタイミングを把握できる。よって、確実にn−AlGaAs/n−GaAs 下部半導体DBR最上層の位置でエッチングを停止することができる。
よって、高い光出力と高い高周波特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)を均一性良く作製できる。さらには、表面形状が均一になるため、ポリイミド保護膜のエッチバック工程で試料全面でメサ上面が露出するまでの時間のバラツキが小さくなる。さらに、p側電極開口部を形成する工程の歩留まりが向上する。
図7は実施例2の面発光レーザ(VCSEL)を示す図であり、実施例2では、酸素導入層を共振器部に設定し、エッチング停止層を下部半導体DBRの最上層に設定し、下部半導体DBRの大部分の領域に熱伝導性の良いAlAs/GaAs DBRを用い作製した。
実施例2では、積層膜の下部半導体DBRが次のように異なるほかは、実施例1と同一の積層膜と製造方法で面発光レーザ(VCSEL)を作製する。
すなわち、実施例2では、n−AlAs/n−GaAs 34.5ペアからなるDBRと、その上のn−AlGaAs/n−GaAs 1ペアとからなる下部半導体DBRを用いる。
ここで、エッチング停止層は、下部半導体DBR中の最上層のn−AlGaAs層である。
また、酸素導入層は、下部GaAsスペーサ層、GaInAs/GaAs TQW活性層、上部GaAsスペーサ層である。
実施例2の面発光レーザ(VCSEL)も、実施例1の動作と同様に、p側電極,n側電極から、それぞれ、正キャリア,負キャリアを注入すると、波長0.98μmのレーザ光がメサ上面から基板と垂直に出力される。
実施例2では、実施例1の作用効果に加わって、さらに次の作用効果が得られる。すなわち、実施例2では、メサ形成エッチングの制御性と均一性が向上するので、下部半導体DBRのほとんどの領域で低屈折率層に熱伝導性が優れるAlAs層を用いたn−AlAs/n−GaAs DBRを使用できるようになる。これによって、より高い光出力とより高い高周波特性をもつ面発光レーザ(VCSEL)を得ることができる。
図8は実施例3の面発光レーザ(VCSEL)を示す図であり、実施例3では、酸素導入層を共振器部に設定し、エッチング停止層を下部半導体DBRの最上層に設定し、下部半導体DBRの大部分の領域に熱伝導性の良いAlAs/GaAs DBRを設け、また、共振器部にGaInNAs系活性層を設け、エッチングプロセス室を2つに分けて作製した。
より具体的に、実施例3では、MBE法で、活性層がGaInNAs/GaAs DQWである他は、実施例2の積層膜と同じ構成の積層膜を形成する。
ここで、エッチング停止層は、下部半導体DBR中の最上層のn−AlGaAs層である。
また、酸素導入層は、下部GaAsスペーサ層、GaInNAs/GaAs DQW活性層、上部GaAsスペーサ層である。
上記のように積層膜を作製した後、次に、フォトレジストで円形メサマスクをパターニングし、Clガスを15sccm導入し、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング法でエッチングを開始する。このときプラズマ発光分光器でモニタする。エッチングの経過時間とともに、波長417nmのGa原子からの発光強度はp−AlGaAs/p−GaAs DBR構造に対応し振動する。波長417nmのGa原子からの発光強度の振動が高い強度のまま止まり、1振動周期に相当する時間が経過したら エッチングを停止し、試料を取り出す。
次に、試料を反応性イオンエッチング(RIE)装置のプロセス室にセットし、Clガスを20sccm、COガスを2sccm導入し、5分間エッチングする。このとき、エッチング底面は、試料全面にわたり下部半導体DBR最上層の位置にある。
以降は、実施例1と同様のプロセスでGaInNAs系VCSELを作製することができる。
この面発光レーザ(VCSEL)のp側電極,n側電極から、それぞれ、正キャリア,負キャリアを注入すると、波長1.3μmのレーザ光がメサ上面から基板と垂直に出力される。
実施例3では、実施例1,実施例2の作用効果に加わって、さらに次の作用効果が得られる。すなわち、実施例3では、エッチングプロセス室を2つに分けて、それぞれ異なるガス系でエッチングするので、再現性が良好なエッチングができ、装置のメンテナンス頻度も小さくなる。
また、実施例3では、活性層にGaInNAs系材料を含んでいる積層膜を第1,第2,第3の形態の製造方法で加工しているので、光伝送への適用性が高く冷却装置が不要なGaInNAs系長波長帯VCSELに、高い光出力と高い高周波特性をもたせることができる。
図9は実施例4の面発光レーザ(VCSEL)を示す図であり、実施例4では、酸素導入層(半導体DBR酸素導入層)とエッチング停止層との両層とも下部半導体DBR中に設けた。さらに、下部半導体DBRの大部分の領域を熱伝導性の良いAlAs/GaAs DBRとし、また、共振器部にGaInNAs系活性層を設け、エッチングプロセス室を2つに分けて作製した。
より具体的に、実施例4では、MOCVD法で、p−GaAs単結晶(100)基板上に、p−AlAs/p−GaAs 32.5ペアからなるDBR、p−AlGaAs/p−GaAsの1ペア、厚さ(1/4)×(λ/n)のp−GaAs層、厚さ(1/4)×(λ/n)のp−GaInP層、厚さ(3/4)×(λ/n)のp−GaAs層を順次積層し、下部半導体DBRを形成する。
連続して、厚さ(1/4)×(λ/n)のAlAs選択酸化層、下部GaAsスペーサ層,GaInNAs/GaAs TQW活性層、上部GaAsスペーサ層, n−AlGaAs/n−GaAs 28ペアからなる上部半導体DBRを順次形成し、積層膜を作製する。
ここで、共振器をなす活性層と下部,上部GaAsスペーサ層の合計の厚さは、λ/nとする。
また、エッチング停止層は、下部半導体DBR中のp−AlGaAs/p−GaAs 1ペア中のp−AlGaAs層である。
また、半導体DBR酸素導入層は、下部半導体DBR中の、厚さ(1/4)×(λ/n)のp−GaAs層と厚さ(1/4)×(λ/n)のGaInP層と厚さ(3/4)×(λ/n)のGaAs層である。これらは、エッチングの試料内分布とモニター精度の誤差を吸収するために設けられている。
このように積層膜を作製した後、次に、フォトレジストで円形メサマスクをパターニングし、Clガスを15sccm導入し、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング法でエッチングを開始する。このときプラズマ発光分光器でモニタする。上述した各実施例と同様に、エッチングの経過時間とともに、波長417nmのGa原子からの発光強度はn−AlGaAs/n−GaAs DBR構造に対応し振動する。波長417nmのGa原子からの発光強度の振動が高い強度のまま2振動周期分経過した付近でGaの発光強度が弱くなり再び強くなる。この強度の谷はAlAs選択酸化層をエッチングしていることを示している。この谷から立ち上がってから1.5振動周期分に相当する時間が経過したら エッチングを停止し、試料を取り出す。
次に、試料を反応性イオンエッチング(RIE)装置のプロセス室にセットし、Clガスを20sccm、COガスを2sccm導入し、5分間エッチングする。このとき、エッチング底面は試料全面にわたり下部半導体DBR中のp−AlGaAs/p−GaAs 1ペア中のp−AlGaAs層の位置である。
以降は、p側電極,n側電極を逆にする以外は、実施例1と同様のプロセスでGaInNAs系VCSELを作製することができる。
この面発光レーザ(VCSEL)のp側電極,n側電極から、それぞれ、正キャリア,負キャリアを注入すると、波長1.3μmのレーザ光がメサ上面から基板と垂直に出力される。
実施例4では、実施例3の作用効果に加わって、さらに次の作用効果が得られる。すなわち、この実施例4と類似した構成をもつVCSEL、つまりp−GaAs基板上にAlAs/GaAsDBRをもち下部DBR直上にAlAs選択酸化層をもつVCSELを開示している前述の特許文献1の場合、AlAs/GaAsDBRの酸化を防ぐためエッチングのバラツキを吸収するAlGaAs/GaAsDBRの厚さは10ペアであるが、この実施例4の場合、3.5ペア相当の厚さで済み、その分、AlAs/GaAsDBR領域を増やすことができて、放熱性が良くなり、素子抵抗も減少する。
一般的な面発光レーザ(VCSEL)の素子構造を示す図である。 本発明の実施例1の面発光レーザ(VCSEL)を示す図である。 本発明の第3の形態を説明するための図である。 本発明の第4の形態を説明するための図である。 本発明の第6の形態の光伝送システムの構成例を示す図である。 本発明の第6の形態の光伝送システムの他の構成例を示す図である。 本発明の実施例2の面発光レーザ(VCSEL)を示す図である。 本発明の実施例3の面発光レーザ(VCSEL)を示す図である。 本発明の実施例4の面発光レーザ(VCSEL)を示す図である。

Claims (6)

  1. 化合物半導体基板上に、下部半導体多層膜反射鏡、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層、上部多層膜反射鏡を有する積層膜を形成し、該積層膜をドライエッチング法によってメサ構造に加工する工程を有する面発光レーザの製造方法において、前記積層膜中に、Al1−x−yGaInAs1−z (0≦x,y<1,0≦(x+y)<1, 0≦z≦1)の組成のエッチング停止層と、該エッチング停止層の上に接してGa1−xInAs1−y (0≦x,y≦1)の組成をもつ酸素導入層とを含み、前記酸素導入層をエッチング中に酸素原子を含むガスを導入し前記エッチング停止層でエッチングを停止させることを特徴とする面発光レーザの製造方法。
  2. 請求項1記載の面発光レーザの製造方法において、前記エッチング停止層を、下部半導体多層膜反射鏡中に、又は、下部半導体多層膜反射鏡の上に接して設け、前記酸素導入層を、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層の全て又は一部とすることを特徴とする面発光レーザの製造方法。
  3. 請求項1記載の面発光レーザの製造方法において、前記酸素導入層の少なくとも一部を該下部半導体多層膜反射鏡の一部又は該上部半導体多層膜反射鏡の一部からなる半導体DBR酸素導入層として形成し、該半導体DBR酸素導入層の厚さを(1+2×N)×λ/(4×n) [Nは1以上の整数、λは発振波長、nは半導体DBR酸素導入層の屈折率]とすることを特徴とする面発光レーザの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の面発光レーザの製造方法において、第1のプロセス室で前記積層膜を酸素導入層の途中までエッチングし、次に、第2のプロセス室で酸素原子を含むガスを導入し、エッチング停止層でエッチングを停止させることを特徴とする面発光レーザの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の面発光レーザの製造方法で製造され、活性層がGaInNAs系材料を含むことを特徴とする面発光レーザ。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の方法で製造された面発光レーザ、又は、請求項5記載の面発光レーザが用いられていることを特徴とする光伝送システム。
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