JP2005188007A - 記録用紙及びこれを用いた画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インクジェット記録方式により印字した場合に、印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成にも利用可能な記録用紙、及びこれを用いた画像記録方法を提供すること。
【解決手段】 少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする記録用紙、該記録用紙表面にインクジェット記録方式により画像を記録する画像記録方法、及び前記記録用紙表面に電子写真方式により画像を記録する画像記録方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、記録用紙、及び該記録用紙を用いるインクジェット記録方式又は電子写真記録方式の画像記録方法に関する。
インクジェット記録方式はカラー化が容易であり、また、消費エネルギーが少なく、記録時の騒音も低く、更にプリンタの製造コストを低く抑えることができるという特徴を有することから広く注目されてきている。更に近年では、高画質化、高速化、高信頼化が進んでいるが、普通紙に印刷する機会も多く、普通紙に対する記録適性を向上させることが極めて重要である。
従来のインクジェットプリンターは、黒文字画質と混色にじみとを改善するため、黒インクは顔料を色材とした記録用紙への浸透性の遅いインク、カラーインクは染料を色材とした記録用紙への浸透性の速いインクを使用したものが主流である。
したがって、特に上記用紙への浸透性を高めているカラーインクを用い、記録密度の高い画像を印字した場合は、印字直後の記録用紙におけるカール、波打ち発生が大きく、プリンター内での用紙づまりや画像部のこすれが発生してしまう。また、両面印字をする際には、印字直後の記録用紙に発生するカールが緩和する時間、インクが乾燥する時間が必要なため、プリント生産性が極端に低下してしまう。更に、記録密度の高い画像を印字した場合は、放置乾燥後に発生するカール、波打ちが大きいといった問題点があり、高画質、カール抑制、及び波打ち抑制を高いレベルで両立させることができない。
前記印字後のカール及び波打ちを改善するために、抄造したシートを一度加湿し、紙の応力を緩和することでカール及び波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献1参照。)や、紙のCD方向の水中伸度を規制して、カール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献2参照。)、紙のMD方向、CD方向の水中伸度の率を1.3倍以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献3参照。)、インク噴射部分の動作方向の水中伸度を2.0%以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献4参照。)、CD方向の水中伸度を1.8%以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献5参照。)、支持体に含有される顔料を5〜35質量%とし、記録シート(記録用紙)の内部結合強度を150〜455g/cmにすることでコートタイプインクジェット記録シートの波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献6参照。)などが提案されている。
前記特許文献1〜5に記載された方法では、カール、波打ちを低減することが報告されているが、記録用紙内部への浸透性が速いインクを用い、インクの吐出量が多い場合や印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合には、カールが大きくなってしまい、ドキュメントとして使用に耐えられない。
また、前記特許文献6に記載された方法では、インク受理層が設けられた記録用紙の内部結合強度を一定以内に収めることで印字後のうねりを軽減することを試みているが、内部結合強度を規定するだけではカールや波打ち、うねりに対し十分な効果が得られない。特に記録用紙内部への浸透性が速いインクを用いインクの吐出量が多い場合、すなわち印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合には、波うちが大きく、ドキュメントとして使用に耐えられない。
また、放置乾燥後に発生するカール、波打ちを改善するため、放置環境の相対湿度を変化させた時のMD方向とCD方向との不可逆収縮率を一定範囲内とすることで、放置乾燥後に発生するカール、波打ちを軽減する方法が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。しかし、記録用紙のインク浸透が抑制がされていないと、浸透性が速いインクを用いインクの吐出量が多い場合には、インクが記録用紙内部まで浸透してしまい、全体として乾燥後に収縮する繊維の絶対量が増え放置乾燥後のカールが大きくなり十分な効果が得られない。
一方、画質向上のためHLBが11以上のエステル系ノニオン界面活性剤をインク受容層に含ませる方法(例えば、特許文献8参照。)が提案されているが、HLBが11以上のエステル系ノニオン界面活性剤では親水性が高く、基材(原紙)の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、インク量が多い場合、記録用紙が変形し易いため、カールは大きく、ドキュメントとして使用に耐えられない。
更に、画質向上のためフイルム表面のインク受容層に、HLBが3〜12の範囲の界面活性剤を含ませる方法(例えば、特許文献9参照。)が提案されているが、普通紙に上記技術を適用したとしても、添加量が0.1質量%未満と低く、基材の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、特に記録用紙内部への浸透性が速いインクの吐出量が多い場合、すなわち印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合には、波うちが大きく、ドキュメントとして使用に耐えられない。
また、カール防止のために、乾式酸化澱粉をサイズプレス処理する方法(例えば、特許文献10参照。)が提案されているが、多量のインクで印字された際には、この技術だけではインク中の水による基材の伸びが大きく、カールが大きくなり、ドキュメントとして使用に耐えられない。
更に、画質改善のために、シラノール変性ポリビニルアルコール(PVA)と11〜20質量%のノニオン界面活性剤とを含むインク受理層が提案されているが(例えば、特許文献11参照。)、この方法においては界面活性剤のHLBの記載がなく、また、実施例で使用されている界面活性剤のHLBは14であることから、界面活性剤の親水性が高くセルロースパルプを原料とする用紙に適用した場合には、基材の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、同様にこの技術だけではインク中の水による基材の伸びが大きく、カールが大きくなり、ドキュメントとして使用に耐えられない。
更に、かさ高・柔軟性向上のためHLB6以下のかさ高柔軟剤を含む方法(例えば、特許文献12参照。)が提案されているが、HLB6以下、特にHLB4以下の界面活性剤では分散性が悪く、基材の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、伸張・収縮する繊維の絶対量が増えるため、カールが大きくなり十分な効果が得られない。
特開平3−38375号公報 特開平3−38376号公報 特開平3−199081号公報 特開平7−276786号公報 特開平10−46498号公報 特許第3172298号公報 特許第3127114号明細書 特開平10−278409号公報 特開昭62−144986号公報 特開2002−348798号公報 特開平11−115304号公報 特開2002−155494号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、インクジェット記録方式により印字した場合に、印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成にも利用可能な記録用紙、及びこれを用いた画像記録方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、普通紙における印字直後に発生するカールを抑制し、波打ち改善による両面印字適性を持たせ、更に放置乾燥後に発生するカールを抑制し、波打ちを抑制する方法について鋭意検討した。
その結果、本発明者等は、印字直後に発生するカール、波打ちは、水性インク中の水を吸収した繊維層の急激な伸びにより発生していること確認した。また、放置乾燥後に発生するカール、波打ちについては、インクを吸収した繊維層の脱湿による縮みにより発生し、更に、用紙の厚さ方向への微小時間でのインク浸透が早く、インクの浸透が深くなる程、放置乾燥後のカール、波打ちが大きくなることを確認した。
これらの結果から本発明者等は、インクを吸収した繊維層の水の吸脱湿による伸縮伝達性について鋭意検討を試みた。それにより、HLBが6〜13のノニオン界面活性剤を用紙に付与させることで、寸法変化を低減し、結果として、印字直後に発生するカール、波打ち、及び、放置乾燥後に発生するカール、波打ちをより小さくすることが可能であることを見出した。
加えて、用紙の表面に対し、表面サイズ剤を必須成分とした処理を行う際には、該表面サイズ剤に加え、上記の機能を有するノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを同時に添加することにより、カチオン界面活性剤が優先的に表面サイズ剤に接近し、ノニオン界面活性剤の寸法変化低減効果を表面サイズ剤が阻害しにくくなることにより、結果として、印字直後に発生するカール、波打ち、及び、放置乾燥後に発生するカール、波打ちをより小さくすることが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は
<1> 少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする記録用紙である。
<2> インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であって、
前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法である。
<3> 静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像記録方法であって、
前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法である。
本発明によれば、インクジェット記録方式により印字した場合に、ドキュメントの画質を向上させ、印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成にも利用可能な記録用紙及びこれを用いた記録方法を提供することができる。
以下に本発明を、記録用紙と画像記録方法とに大きくわけて詳細に説明する。
<記録用紙>
本発明の記録用紙は、少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする。
本発明の記録用紙は、これを用いてインクジェット記録方式により印字した場合に、(1)印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、(2)放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができる。
これに対して、従来のインクジェット記録方式に用いられる記録用紙は、界面活性剤が添加されていないか、されていたとしても、HLBが13を超え、処理量も0.1g/m2以下であるのが一般的であったため、本発明の記録用紙のように、上記(1)、(2)の特性を高いレベルで両立させることができなかった。
また、従来のインクジェット記録方式に用いられる記録用紙は、カチオン系とノニオン系の界面活性剤を混合したサイズ液を用いて処理したものはなく、ノニオン界面活性剤が表面サイズ剤と一緒に処理された際、ノニオン界面活性剤が表面サイズ剤に補足されてしまいカール低減効果は低く、本発明の記録用紙のように、上記(1)、(2)の特性を高いレベルで両立させることができなかった。
以下、本発明の記録用紙に付与される表面サイズ液を構成する各成分について、詳細に説明する。
[表面サイズ剤]
本発明における表面サイズ剤としては、酸化でんぷん、リン酸エステル化でんぷん、自家製変性でんぷん、カチオン化でんぷん、各種変性でんぷん、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ハイドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはそれらの誘導体等が挙げられが、これらに限定されるものではない。中でも、カチオン界面活性剤の効果を高める観点から、水に溶解した際にアニオンを有する表面サイズ剤、例えば、酸化でんぷんなどが好ましい。
なお、これらの表面サイズ剤は、単独で使用してもよいし、混合して使用することもできる。
[ノニオン界面活性剤]
本発明におけるノニオン界面活性剤は、HLBが6〜13の範囲であることを要し、6〜11の範囲であることが好ましく、7〜9の範囲であることがより好ましい。
HLBが13を上回ると、親水性が高く、界面活性剤の基材中のセルロース被覆効果が低く、界面活性剤による記録用紙の寸法変化低減効果が低いため、印字直後のカール及び波打ち、放置乾燥後のカール及び波打ちが大きくなる。また、HLBが6を下回ると、界面活性剤の分散性が低く、界面活性剤が用紙に均一に存在できず、界面活性剤による寸法変化低減効果が低いため、同様に印字直後のカール及び波打ち、放置乾燥後のカール及び波打ちが大きくなる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。
この中でアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
また、本発明における表面サイズ液中のノニオン界面活性剤の含有量は、表面サイズ剤の質量に対して、10〜100質量%の範囲であることを要し、15〜50質量%の範囲であることが好ましく、20〜40質量%の範囲であることがより好ましい。
ノニオン界面活性剤の含有量が10質量%に満たないと、ノニオン界面活性剤の量が少ないため、ノニオン界面活性剤の基材中のセルロース被覆効果が低く、ノニオン界面活性剤による記録用紙の寸法変化低減効果が低くなり、カール及び波打ちが大きくなる。また、100質量%を超えると、ノニオン界面活性剤の量が多すぎて、色間にじみ等の問題が発生してしまうことがある。
[カチオン界面活性剤]
本発明におけるカチオン界面活性剤としては、例えば、高級アルキルモノアミン塩、アルキルジアミン塩、4級アンモニウム塩を使用することができる。この中で4級アンモニウム塩が好ましい。
本発明のカチオン界面活性剤の含有量は、表面サイズ剤の質量に対して、5〜150質量%の範囲であることを要し、10〜100質量%の範囲であることが好ましく、20〜50質量%の範囲であることがより好ましい。
カチオン界面活性剤が5質量%に満たないと、カチオン界面活性剤の表面サイズ剤被覆効果が低く、ノニオン界面活性剤が表面サイズ剤に捕捉され、セルロースに対するノニオン界面活性剤被覆量が少なくなるため、ノニオン界面活性剤による寸法変化低減効果が低くなり、印字直後のカール、波打ち、放置乾燥後のカール、波打ちが大きくなる。また、カチオン界面活性剤が150質量%を超えると、カチオン界面活性剤の量が多すぎて、色間にじみ等の問題が発生してしまうことがある。
以上の各成分を含む表面サイズ液を、下記に示す用紙の表面に、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与することで、本発明の記録用紙が得られる。
また、前記表面サイズ液の付与量としては、片面当り、乾燥質量で1.0〜2.0g/m2の範囲であることが好ましい。
付与量が2g/m2を上回ると、表面サイズ剤の絶対量が多く、界面活性剤のカール低減効果が阻害され、カール及び波打ちが大きくなる場合がある。また、0.1g/m2を下回ると、表面サイズ剤の絶対量が少なく、表面サイズ剤と一緒に付与する顔料などを用紙表面に定着できず、複写機等で記録用紙を走行させた際、紙粉が大量に発生し機械にトラブルを発生させてしまう場合がある。
このような表面サイズ液は、水などの溶媒を主体として構成され、それに含まれる前記表面サイズ剤、ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤の濃度は、1〜10質量%の範囲であることが好ましく、3〜7質量%の範囲であることがより好ましい。
次に、上述の表面サイズ液を付与される用紙について、詳細に説明する。
[用紙]
本発明における用紙は、少なくともセルロースパルプを原料とするものであり、下記に示す原紙であってもよく、該原紙表面に顔料やバインダーなどを処理した普通紙であってもよい。
前記原紙は、セルロースパルプを含むものであるが、セルロースパルプとしては公知のものを用いることができ、具体的には、化学パルプ、具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等を使用できる。
また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。これらはバージンパルプのみで使用してもよいし、必要に応じて古紙パルプを加えてもよい。
特にバージンで使用するパルプは、塩素ガスを使用せず二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chlorine Free;ECF)や塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free;TCF)で漂白処理されたものであることが好ましい。
また、前記古紙パルプの原料として、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙などの上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙;を配合することができる。
本発明における原紙に使用される古紙パルプとしては、前記古紙原料を、オゾン漂白処理又は過酸化水素漂白処理の少なくとも一方で処理して得られたものが望ましい。また、より白色度の高い原紙を得るためには、上記漂白処理によって得られた古紙パルプの配合率を50%以上100%以下とすることが望ましい。更に資源の再利用という観点からは、前記古紙パルプの配合率を70%以上100%以下とすることがより望ましい。
前記オゾン処理は、上質紙に通常含まれている蛍光染料等を分解する作用があり、過酸化水素処理は脱墨処理時に使用されるアルカリによる黄変を防ぐ作用がある。特にこの二つを組み合わせた処理によって古紙の脱墨を容易にするだけでなく、パルプの白色度も向上することが知られている。また、パルプ中の残留塩素化合物を分解・除去する作用もあるため、塩素漂白されたパルプを使用した古紙の有機ハロゲン化合物含有量低減において多大な効果を持つ。
また、本発明に用いられる用紙には、不透明度、白さ及び表面性を調整するため、填料を添加することが好ましい。特に、用紙中のハロゲン量を低減したい場合には、ハロゲンを含まない填料を使用することが好ましい。使用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の白色無機顔料、及びアクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、等の有機顔料を挙げることができる。また、古紙を配合する場合には、古紙原料に含まれる灰分を予め推定して添加量を調整する必要がある。
更に、本発明に用いられる用紙には、内添サイズ剤を添加することが好ましく、内添サイズ剤としては、中性抄紙に用いられる、中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤が使用できる。
また、記録用紙の表面をカチオン性に調整する場合には、カチオン性物質として、例えば、親水性のカチオン樹脂等を表面に処理することができるが、このカチオン性樹脂の内部への浸透を抑制するためには、このカチオン性樹脂を塗布する前の用紙サイズ度は10秒以上60秒未満であることが好ましい。
以上述べたような用紙の表面に、前述した表面サイズ液を付与することで本発明の記録用紙が得られる。表面サイズ液を付与する方法としては、サイズプレス、シムサイズ、ゲートロール、ロールコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、ブレードコーター等の通常使用されている塗布手段が用いられる。これらの塗布手段を用いて、用紙の表面に表面サイズ液を塗布した後、乾燥工程を経ることで、本発明の記録用紙を得ることができる。
本発明の記録用紙の坪量は特に限定されるものではないが、60〜128g/m2の範囲内が好ましく、60から100g/m2の範囲内がより好ましく、60〜90g/m2の範囲内が更に好ましい。坪量が高い程カール、波打ちには有利であるが、坪量が128g/m2を超えると用紙の腰が強くなり過ぎるため、プリンターの用紙走行性が低下することがある。また、60g/m2より低いと、カール、波打ちの発生を小さく抑えることが難しくなる場合があり、また、裏移りの観点からも好ましくない。
本発明の記録用紙は、その表面に水溶性金属塩を含んでいることが好ましい。記録用紙の表面が、水溶性金属塩を含むことにより、インクジェット用インク中がアニオン高分子含む場合、これを架橋させることにより、色材の極めて早い凝集を可能にすると共に、優れた印字画質を得、かつ、インク溶媒の用紙内部への浸透を抑制すると考えられることから、印字直後に発生するカール及び波打ち、更に、放置乾燥後のカール及び波打ちの発生を更に改善することができる。
前記水溶性金属塩としては、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、錫、マンガン、アルミニウムの他の多価金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩等が使用でき、具体的には、塩化バリウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ギ酸亜鉛、塩化錫、硝酸錫、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、ギ酸マンガン、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム等が例示でき、これらは単独又は2種以上併用して利用できる。これら水溶性金属塩のうち、水への溶解度が高く、価数の高い金属塩が好ましい。更に、水溶性金属塩の対イオンが強酸であると、塗布後の用紙黄変が発生するため、好ましくは、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム等がよい。
前記に列挙した水溶性金属塩は、前記表面サイズ液に混入させるか、別に作製した塗工液を用紙の表面に塗布することにより、記録用紙表面に配することができる。後者の場合に、塗布に際しては、水に溶解させて得た塗工液を直接記録用紙(或いは用紙)に塗布してもかまわないが、バインダーと混合して使用されるのが一般的である。
記録用紙表面に含まれる水溶性金属塩の含有量としては、0.1〜2g/m2の範囲であることが好ましく、0.5〜1g/m2の範囲であることがより好ましい。
含有量が0.1g/m2より少ないと、インク中の顔料やアニオン高分子との反応が弱まるため、結果として画質の低下、印字直後のカール、波打ち、放置乾燥後のカール、波打ちが大きくなる場合がある。また、含有量が2g/m2を越える場合は、インクの浸透性が悪化し、高速印字においてインク乾燥性が悪化する場合がある。
<画像記録方法>
次に、本発明の画像記録方法について説明する。
本発明の画像記録方法は、インクジェット用インク(以下、「インク」と略す場合がある)又は電子写真用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)を用いて記録する際に、本発明の記録用紙を用いるものであれば特に限定されない。しかしながら、本発明の画像記録方法は、高品質のドキュメントを得るためにはインクを用いるインクジェット記録方式であることがより好ましい。
〔インクジェット記録方式の画像記録方法〕
まず、本発明のインクジェット記録方式の画像記録方法(以下、「インクジェット記録方法」という場合がある)について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法である。
[インクジェット用インク]
前記インクとしては、少なくとも色材を含む公知のインクであれば特に限定されないが、色材、アニオン性化合物、水溶性有機溶媒及び水を必須の成分として含有するものが好ましく、その他、顔料分散剤、界面活性剤、各種添加剤等を含有することができる。以下、それぞれの成分について説明する。
(色材)
インクに使用される色材としては、水溶性染料、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。
黒インクの場合は顔料を主体としたものが一般的であり、黒色の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられ、具体的な例としては、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRA II、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA II、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060(以上、コロンビアンDカーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、BlackPearlsL、Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、ColorBlack S160、Color Black S170、Pritex35、PritexU、Pritex Vrintex140U、Printex140V、Special Black6、Special Black 5、Special、Black 4A、Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。
カーボンブラックの好適な構造を一律に議論することは困難であるが、平均一次粒子径が15〜30nm、BET表面積が70〜300m2/g、DBP吸油量が0.5〜1.0×10-3L/g、揮発分が0.5〜10質量%、灰分が0.01〜1.00質量%の範囲であることが好ましい。上記範囲から外れたカーボンブラックを使用すると、インク中での分散粒子径が大きくなることがある。
シアン、マゼンタ、イエローインクに用いられる色材としては、染料に限らず、疎水性顔料に親水基を含む分散剤を添加して親水性を持たせた顔料、及び自己分散型顔料も使用することができる。
前記水溶性染料としては、公知のもの、或いは新規に合成したものを用いることができる。中でも、鮮やかな色彩の得られる、直接染料或いは酸性染料が好ましい。具体的には、C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−142、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236及び287、C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110及び189、C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−86、−87、−88、−135、−142及び144、C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−90、−102、−104、−111、−185及び254、C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−249及び257、C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76及び79等が用いられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、カチオン性染料としては、例えば、C.I.ベーシックイエロー−1、−11、−13、−19、−25、−33、−36;C.I.ベーシックレッド−1、−2、−9、−12、−13、−38、−39、−92;C.I.ベーシックブルー−1、−3、−5、−9、−19、−24、−25、−26、−28等が挙げられる。
シアン色の顔料の具体的な例としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられる。
マゼンタ色の顔料の具体的な例としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202等が挙げられる。
イエロー色の顔料の具体的な例としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.PigmentYellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.PigmentYellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられる。
なお、本発明において使用することができる顔料は、水に自己分散可能な顔料(自己分散型顔料)であってもよい。自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、顔料分散剤の存在がなくても安定に分散する顔料のことである。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより自己分散型顔料を得ることができる。また、このような表面改質処理を施した顔料の他、自己分散型顔料として、キャボット社製のcab−o−jet−200、cab−o−jet−300、IJX−55、IJX−253、IJX266、IJX−273オリエント化学社製のNicrojet Black CW−1、日本触媒社により販売されている顔料等の市販のものを用いてもよい。
自己分散型顔料の表面に存在する水に対する可溶化基は、ノニオン性、カチオン性、アニオン性のいずれであってもよいが、特に、スルホン酸、カルボン酸、水酸基、リン酸が望ましい。スルホン酸、カルボン酸、リン酸の場合、そのまま遊離酸の状態でも用いることができるが、水溶性を高めるため、塩基性の化合物との塩の状態として使用することが好ましい。
この場合、塩基性の化合物として、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、アンモニア等の塩基性化合物を使用することができる。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類の塩基性化合物は特に好ましく使用することができる。これは、アルカリ金属類の塩基性化合物が強電解質であり、酸性基の解離を促進する効果が大きいためと考えられる。
インクに色材として顔料が含まれる場合、顔料の含有量は、0.5〜20質量%の範囲、特に2〜10質量%の範囲とすることが好ましい。顔料の含有量が0.5質量%未満となると、光学濃度が低くなる場合がある。また、20質量%を超えると、画像定着性が悪化する場合がある。
インクに色材として染料が含まれる場合、染料の含有量は、0.1〜10質量%の範囲、好ましくは0.5〜8質量%の範囲、より好ましくは0.8〜6質量%の範囲である。10質量%より多く含有させると、プリントヘッド先端での目詰まりが発生しやすく、また0.1質量%より少ないと、十分な画像濃度を得ることができない場合がある。
(アニオン性化合物)
インクに使用される前記アニオン性化合物としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸等の酸及びこれらの誘導体、アニオン性水溶性高分子、アニオン性ポリマーのエマルジョン等が挙げられ、後記するアニオン性の顔料分散剤であってもよい。
前記カルボン酸の具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、安息香酸、アクリル酸、クロトン酸、ブテン酸、メタクリル酸、チグリン酸、アリル酸、2−エチル−2−ブテン酸、蓚酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、メチルマレイン酸、グリセリン酸などのカルボン酸及びそれらの重合体、誘導体等が挙げられる。また、これらの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を用いることもできる。
スルホン酸の具体的な例としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ベンゼントリスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、ブロモベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸ナトリウム、o−アミノベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、及びそれらの誘導体、また、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
また、これらの化合物は、水溶性を高めるため、塩基性の化合物との塩の状態で使用することが好ましい。これらの化合物と塩を形成する化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、アンモニア等を使用することができる。
前記アニオン性水溶性高分子のより好ましい具体例としては、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等及び、これらの共重合体の塩及び誘導体が挙げられる。
なお、インクに含まれるアニオン性水溶性高分子は、親水性部と疎水性部とからなる構造を持つことが好ましく、更に、親水性部を構成する官能基としてカルボン酸又はカルボン酸の塩を含むことが好ましい。
具体的には、アニオン性水溶性高分子としては、親水性部を構成する単量体は、アクリル酸、メタクリル酸及び(無水)マレイン酸から選ばれる1種以上であることが好ましい。
一方、アニオン性水溶性高分子の疎水性部を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられるが、それらの中でも、スチレン、(メタ)アクリル酸のアルキル、アリール及びアルキルアリールエステルから選ばれる1種以上であることが好ましい。
これらのアニオン性水溶性高分子は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。インクにおけるアニオン性水溶性高分子の含有量は、0.1〜10質量%の範囲、特に、0.3〜5質量%の範囲とすることが好ましい。0.1質量%未満となると、長期保存安定性に劣る場合や、光学濃度が低下する場合があり、10質量%を超えると正常に噴射できない場合や、光学濃度が低下する場合がある。
(水溶性有機溶媒)
インクに用いられる水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が挙げられる。水溶性有機溶媒は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
インクに含まれる水溶性有機溶媒の含有量は、1〜60質量%の範囲、特に5〜40質量%の範囲とすることが好ましい。水溶性有機溶媒の含有量が1質量%未満となると、長期保存性が劣る場合がある。また、60質量%を超えると、吐出安定性が低下する場合があり、正常に吐出しない場合がある。
(水)
インクに用いられる水は、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等を用いることができる。
インクに含まれる水の含有量は、15〜98質量%の範囲、特に45〜90質量%の範囲とすることが好ましい。15質量%未満となると、吐出安定性が低下する場合があり、正常に吐出しない場合がある。また、98質量%を超えると、長期保存安定性で劣る場合がある。
(その他の成分)
−顔料分散剤−
前記インク中に含まれる顔料の分散のために、顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤の具体例としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらの顔料分散剤の中で、水中にて電離した場合に有機陰イオンとなる顔料分散剤を、本発明においてはアニオン性顔料分散剤と称する。このアニオン性顔料分散剤は、既述したアニオン性水溶性高分子を用いることができる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部を有する重合体であれば有効に使用することができる。親水性構造部と疎水性構造部を有する重合体の例としては、縮合系重合体と付加重合体が挙げられる。
前記縮合系重合体の例としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体の例としては、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合することにより、目的の高分子分散剤を得ることができる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体を用いることもできる。
前記親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基等を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、酢酸ビニル(ポリビニルアルコールの原料)、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
一方、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルが挙げられる。
これらのモノマーの好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有するモノマーを適宜共重合して用いることもできる。更に、酸性官能基を表面に有する顔料との親和性を高め、分散安定性を良くするために、カチオン性の官能基を有するモノマー、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール等を適宜共重合して用いることもできる。
これらの共重合体は、ランダム、ブロック、及びグラフト共重合体等のいずれの構造のものでもよい。また、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルギン酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、アミノアルキルアクリレートDアクリルアミド共重合体、キトサン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類とその誘導体等も使用することができる。
なお、特に限定するわけではないが、顔料分散剤の親水基はカルボン酸又はカルボン酸の塩であることが好ましい。
前記顔料分散剤の中和量としては、共重合体の酸価に対して50%以上、特に、80%以上中和されていることが好ましい。顔料分散剤の分子量は、重量平均分子量(Mw)で、2000〜15000、特に3500〜10000のものが好ましい。また、疎水性部分と親水性部分の構造及び組成率は、顔料及び溶媒との組み合わせの中から好ましいものを用いることができる。
これら顔料分散剤は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。顔料分散剤の添加量は、顔料によって大きく異なるので一概には言えないが、顔料に対して、一般的には0.1〜100質量%の範囲、好ましくは1〜70質量%の範囲、更に好ましくは3〜50質量%の範囲の量である。
−界面活性剤−
前記インクは、界面活性剤を含有することもできる。顔料インクの顔料分散剤及びインクの表面張力や濡れ性を調整するため、又は、有機不純物を可溶化し、インクのノズルから噴射する際の信頼性を向上するためである。
界面活性剤の種類としては、水不溶色材の分散状態、或いは水溶性染料の溶解状態に影響を及ぼしにくいノニオン及びアニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、及び高級アルキルスルホコハク酸塩等を使用することができる。
また、両性界面活性剤としては、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリン等を使用することができる。その他、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤やオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルなどのフッソ系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチンなどのバイオサーファクタント等も使用することができる。インクにおいて使用される界面活性剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。添加量は、表面張力等の目的の特性により調整すればよい。
−その他の添加剤−
更に、前記インクには、必要に応じて、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、水溶性染料、分散染料、油溶性染料等を添加することもできる。これらの添加剤のインクにおける含有量は、20質量%以下とすることが好ましい。
−インクの製造方法−
以上に説明したようなインクは、水溶液に所定量の色材を添加し、十分に撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて撹拌混合し、次いで濾過を行って得ることができる。
分散機は、市販のものを用いることができる。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、無機不純物の混入を防ぐためには、分散媒体を使用しない分散方法を用いることが好ましく、その場合には、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザー等を使用することが好ましい。
自己分散型顔料を用いたインクは、例えば、顔料に対して表面改質処理を行ない、得られた顔料を水に添加し、十分攪拌した後、必要に応じて上記と同様の分散機による分散を行ない、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて攪拌、混合、濾過を行なうことにより得ることができる。
−インクの諸物性−
前記インクのpHは、3〜11の範囲とすることが好ましく、特に4.5〜9.5の範囲とすることが好ましい。また、顔料表面にアニオン性遊離基を持つインクにおいては、インクのpHは6〜11の範囲とすることが好ましく、6〜9.5の範囲とすることがより好ましく、7.5〜9.0の範囲とすることが更に好ましい。一方、顔料表面にカチオン性遊離基を持つインクにおいて、インクのpHは4.5〜8.0の範囲とすることが好ましく、4.5〜7.0の範囲とすることがより好ましい。
前記インクの粘度は、1.5〜5.0mPa・sの範囲であることが好ましく、1.5〜4.0mPa・sの範囲であることがより好ましい。インクの粘度が5.0mPa・sより大きい場合には、記録用紙への浸透性が遅くなるため、混色にじみが発生する場合がある。一方、インクの粘度が1.5mPa・sより小さい場合には、記録用紙への浸透性が速すぎてしまい、インク顔料、アニオン性化合物を凝集させることができず、インクが記録用紙内部まで浸透するため、濃度の低下、文字の滲みが発生してしまう場合がある。
前記インクの表面張力は、主に前記界面活性剤の添加量により調整することができ、25〜37mN/mの範囲に調整することが好ましい。表面張力が25mN/mを下回ると、記録用紙へのインク浸透性が速すぎてしまい、インク色材、アニオン性水溶性高分子を凝集させることができず、インクが記録用紙内部まで浸透するため、濃度の低下、文字の滲みが発生する場合がある。また37mN/mより大きいと記録用紙へのインク浸透性が遅くなるため、乾燥性が悪化する場合がある。
また、24℃におけるインクの貯蔵弾性率が、5×10-4〜1×10-2Paの範囲であることが特に好ましい。この領域において適当な弾性を有することで、記録用紙表面での挙動が好ましいものとなるからである。なお、前記貯蔵弾性率は、角速度が1〜10rad/sの範囲における低せん断速度領域で測定したときの値である。この値は、低せん断速度領域の粘弾性が測定できる装置を使用すれば容易に測定できる。当該測定装置としては、例えば、VE型粘弾性アナライザー(VILASTIC SCIENTIFIC INC.社製)、DCR極低粘度用粘弾性測定装置(Paar Physica社製)等がある。
[画像記録条件及び画像記録方法]
本発明の記録用紙に対して、以上に説明したようなインクを用いて、インクジェット方式により印字する場合ノズルから吐出されるインクドロップ量は、1〜20plの範囲であることが好ましく、3〜18plの範囲であることが更に好ましい。
なお、熱エネルギーを作用させて液滴を形成し記録を行う、いわゆる熱インクジェット方式により印字で、且つ、インクドロップ量を前記のように1〜20plの範囲、好ましくは3〜18plの範囲とする場合には、インク中における顔料の分散粒子径が、体積平均粒子径で20〜120nmの範囲で、かつ、500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個以下であることが好ましい。体積平均粒子径が20nmより小さいと、充分な画像濃度が得られない場合がある。また、体積平均粒径が120nmより大きいと、プリントヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定した吐出性を確保できない。更に体積平均粒径が500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個より多くなると、同様にプリントヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定してインクを吐出できない場合がある。この粗大粒子数は、3×105個以下であることがより好ましく、2×105個以下であることが更に好ましい。
本発明におけるインクジェット記録方法は、公知のインクジェット装置であれば、いずれのインクジェット記録方式を用いたものであっても良好な印字品質を得ることができる。更に、印字中又は印字の前後に記録用紙等の加熱手段を設け、記録用紙及びインクを50℃から200℃の温度で加熱し、インクの吸収及び定着を促進する機能を持った方式に対しても、本発明におけるインクジェット記録方法を適用することができる。
次に、本発明におけるインクジェット記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の一例について説明する。この例はいわゆるマルチパス方式と呼ばれるもので、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査することによって画像を形成するものである。
ノズルからインクを吐出する方式は、まず、ノズル内に備えられたヒータに通電加熱することによってノズル内のインクを発泡させ、その圧力によってインクを吐出する、いわゆるサーマルインクジェット方式がある。また、圧電素子に通電することにより該素子を物理的に変形させて、その変形によって生ずる力を利用してノズルからインクを吐出する方式もある。この方式では、圧電素子にピエゾ素子を使用したものが代表的である。本発明におけるインクジェット記録方法において用いられるインクジェット記録装置においては、ノズルからインクを吐出する方式は前記いずれの方式であってもよく、またこれらの方式に限定されるものではない。この点は以下同様である。
ノズルは、ヘッドキャリッジの主走査方向と略直角方向に配置される。具体的には1インチ当たり800個の密度で一列に配置することができる。ノズルの個数及び密度は任意である。また、一列に配列するのみならず、千鳥状に配置することもできる。
記録ヘッド上部にはシアン、マゼンタ、イエロー及びブラック各色のインクを収納したインクタンクが、それぞれの記録ヘッドに対して一体的に取り付けられている。該インクタンクに収納されているインクは、それぞれの色に対応する記録ヘッドに供給される。なお、インクタンクとヘッドとは一体的に形成されていてもよい。しかし、この方式に限らず、例えばインクタンクを記録ヘッドと別個に配置し、インク供給チューブを介してインクを記録ヘッドに供給する方式であってもよい。
更に、これらの各記録ヘッドには、信号ケーブルが接続されている。この信号ケーブルは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色について、画素処理部で処理された後の画像情報を、各記録ヘッドに伝達する。
前記記録ヘッドは、ヘッドキャリッジに固定されている。このヘッドキャリッジは、ガイドロッド及びキャリッジガイドに沿って主走査方向に摺動自在に取り付けられている。そして駆動モータを所定のタイミングで回転駆動することによって、タイミングベルトを介してヘッドキャリッジを主走査方向にそって往復駆動させることができる。
なお、ヘッドキャリッジ下方にはプラテンが固定されており、紙送り用の搬送ローラによって、このプラテン上に、本発明に用いる記録用紙が所定のタイミングで搬送される。当該プラテンは、例えばプラスチックの成形材等で構成することができる。
このようにして、本発明の記録用紙に対して、前述のようなインクを使用して印字することができる。なお、前記マルチパス方式の例では、前処理液を含めて五個のヘッドを備えた例について説明した。しかし、本発明におけるインクジェット記録方法をマルチパス方式に適用できる範囲はこの例に限られるものではない。ブラックヘッドとカラーヘッドとの計二つのヘッドを備えて、このうちカラーヘッドは、ノズルをその並び方向に分割し、分割したそれぞれの領域に所定の色を割り当ててあるようなものであってもよい。
印字ヘッド走査速度とは、印字ヘッドが記録用紙排出方向に対して垂直に走行する、いわゆる前記マルチパス方式において、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査して印字を行う場合の、記録ヘッドの移動速度をいう。
オフィスでのレーザープリンターに匹敵する、印字速度が10ppm(10枚/分)以上の高速印字を行う際には、前記印字ヘッドの走査速度を25cm/秒以上とすることは必至であるが、それによって異なる2色のインクが印字される間隔も狭くなり、色間にじみ(ICB)が発生しやすくなる。また、インクの乾燥性を高めるために表面張力の低いインクを使用することが必要となり、フェザリング発生や画像濃度低下の原因となり、このような表面張力の低いインクは用紙への浸透性が高いため、印字した文字、画像が裏面から透けて見えやすくなり、両面印字性を損なうことになる。
次に、本発明におけるインクジェット記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の第二の例について説明する。この例はワンパス方式といわれるもので、このワンパス方式は、記録用紙の幅にほぼ等しい幅を有する記録ヘッドを持ち、記録用紙がヘッドの下方を通過すると印刷が終了するものである。マルチパス方式に比べて同じ走査速度で高い生産性が得られるため、レーザー記録方式以上の高速印字が可能となる。
ワンパス方式はマルチパス方式のように、記録ヘッドを複数回走査する必要がないため、10ppm以上に対応する60mm/秒以上の記録用紙搬送速度(記録用紙が記録ヘッド下方を通過する速度)でも、容易に高速印字を行うことができる。しかし、一方で分割印字を行うことができないため、一度に多量のインクを吐出することが必要になる。このため、本発明の記録用紙を用いない従来のインクジェット記録方法では、印字直後のカール及び波打ち、更に放置乾燥後のカール及び波打ちが発生していた。
しかしながら、本発明におけるインクジェット記録方法においては、前記マルチパス方式における印字ヘッド走査速度が250mm/秒以上の高速印字、また前記マルチパス方式における印字ヘッドが固定された状態での記録用紙搬送速度が60mm/秒以上の高速印字を行った場合でも、既述の本発明の記録用紙を用いることによって、前記記録用紙のカールや波打ちの発生を抑制することができる。
なお、前記印字ヘッドの走査速度は、「レーザープリンターに匹敵する生産性」という観点から、500mm/秒以上であることが好ましく、1000mm/秒以上であることがより好ましい。また、前記記録用紙の搬送速度は、100mm/秒以上であることが好ましく、210mm/秒以上であることがより好ましい。
更に、本発明におけるインクジェット記録方法においては、インク打ち込み量が、6〜30ml/m2の範囲であることが好ましい。
前記インク打ち込み量とは、1色以上のインクを用いてベタ画像を形成する場合に、1回の走査で吐出される単位面積あたりのインク量のことである。
前記いずれの方式においても、少ない走査回数でべた画像を形成するのに十分なインクを記録用紙に付与するため、インク打ち込み量は6ml/m2以上と大きくなってしまう。しかし、このような大きなインク打ち込み量となる高速対応の印字でも、本発明におけるインクジェット記録方法を用いれば、印字後の記録用紙におけるカールや波打ちの発生を抑制することができる。
なお、前記インク打ち込み量は7〜20ml/m2の範囲であることが好ましく、10〜18ml/m2の範囲であることがより好ましい。
〔電子写真方式の画像記録方法〕
本発明における電子写真方式の画像記録方法は、静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程とを含み、前記記録用紙が既述の本発明の記録用紙であることを特徴とする。
本発明における電子写真方式の画像記録方法は、従来と同様に高画質な画像が得られると共に、印字直後に発生するカールを抑制することができる。
また、本発明における電子写真方式の画像記録方法に用いられる画像形成装置は、前記帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を有する電子写真方式を利用するものであれば特に限定されない。たとえば、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のトナーを用いる場合には、1つの感光体に、各色のトナーを含む現像剤を順次付与してトナー像を形成する4サイクルの現像方式によるカラー画像形成装置や、各色毎に対応した現像ユニットを4つ備えたカラー画像形成装置(所謂タンデム機)等が利用できる。
画像形成に際して用いられるトナーも公知のものであれば特に限定されないが、例えば、高精度な画像が得られる点で、球状で、粒子径、粒度分布の小さいトナーを用いたり、省エネルギーに対応するために、低温定着が可能な融点の低い結着樹脂を含むトナーを用いたりすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例及び比較例において使用するインク、及び、記録用紙について説明した後、これらを組み合わせて印字した際の各種評価結果について説明する。
(1)インクの調製
インクは、染料系のインクセット1及び顔料系のインクセット2を準備した。なお、下記インクの物性は、以下の条件で測定した。表面張力はウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。粘度は被測定インクを測定容器に入れ、ネオマット115(Contraves社製)に装着して、測定温度:23℃、せん断速度:1400s-1の条件で測定した。
<インクセット1(カラー染料インク)>
−Magentaインク−
・ダイレクトレッド227(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・サーフィノール465:2質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
−Cyanインク−
・ダイレクトブルー142(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・サーフィノール465:2質量部
上記組成物に脱イオン水を加えて全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
−Yellowインク−
・ダイレクトイエロー144(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・サーフィノール465:2質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
<インクセット2(カラー顔料インク)>
−黒インク−
・表面処理顔料(Cab−o−jet−300 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は32mN/m、粘度は2.8mPa・sであった。
−Cyanインク−
・表面処理顔料(IJX−253 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は32mN/m、粘度は2.5mPa・sであった。
−Magentaインク−
・表面処理顔料(IJX−266 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は33mN/m、粘度は2.7mPa・sであった。
−Yellowインク−
・表面処理顔料(IJX−273 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は33mN/m、粘度は2.7mPa・sであった。
(2)記録用紙の作製
記録用紙は、以下の記録用紙(1)〜(11)を作製した。
<記録用紙(1)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙の表面へ、乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(1)を得た。
<記録用紙(2)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して29質量%のノニオン界面活性剤(日本エマルジョン株式会社製、EMALEX603、HLB:6)と、前記表面サイズ剤の質量に対して29質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への表面へ、乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(2)を得た。
<記録用紙(3)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール465、HLB:13)と、前記表面サイズ剤の質量に対して9質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で1.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が69g/m2の記録用紙(3)を得た。
<記録用紙(4)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で0.1g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が68g/m2の記録用紙(4)を得た。
<記録用紙(5)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して10質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して10質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で0.5g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が69g/m2の記録用紙(5)を得た。
<記録用紙(6)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して50質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して50質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で1.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が69g/m2の記録用紙(6)を得た。
<記録用紙(7)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール420、HLB:4)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(7)を得た。
<記録用紙(8)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール485、HLB:17)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(8)を得た。
<記録用紙(9)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して5質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(9)を得た。
<記録用紙(10)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して9質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で3.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が71g/m2の記録用紙(10)を得た。
<記録用紙(11)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して9質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で0.05g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が68g/m2の記録用紙(11)を得た。
(実施例1〜6、比較例1〜5)
以上に説明したようにして作製したインクと記録用紙とを表1に示すように組合せて、以下の評価を行なった。
Figure 2005188007
(1)インクジェット記録方式での評価
印字評価は、23℃、50%RHの環境において、印刷は四個の記録ヘッドを備えたマルチパス印字の評価用サーマルインクジェット記録装置を使用し、印字ヘッドのインク吐出ノズルピッチは800dpi、インク吐出ノズル数256ノズル、吐出量約15pl、インク打ち込み量約10ml/m2、印字は片側一括印字にて、ヘッドスキャンスピード約280mm/秒で実施した。
印字後の各種評価は次のように行った。
−印字直後カール評価−
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、印字面とは反対面に発生する印字直後ハンギングカール発生量を測定した。測定値を曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
○:20m-1未満、カール曲率が小さく問題はない
△:20m-1以上50m-1未満、カール曲率がやや大きいが、許容の範囲である
×:50m-1以上、カール曲率が大きく、実用上問題がある
−印字直後波打ち評価−
はがきサイズの記録用紙に2cm×2cmの2次色100%ベタ(Blue)画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さ(印字されていない面からの高さ)をレーザー変位計(LK−030、キーエンス(株)製)にて測定した。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
○:1mm未満、波打ち高さが小さく問題はない
△:1mm以上2mm未満、波打ち高さがやや大きいが、許容の範囲である
×:2mm以上、波打ち高さが大きく問題がある
−放置乾燥後カール評価−
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、23℃、50%RHの環境に印字面を上に平置きに放置し、印字後100時間放置した後に発生するハンギングカール発生量を測定した。測定値をカール曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
○:30m-1未満、カール曲率が小さく問題はない
△:30m-1以上75m-1未満、カール曲率がやや大きいが、許容の範囲である
×:75m-1以上、カール曲率が大きく、実用上問題がある
以上の結果を表2にまとめて示す。
(2)電子写真方式での評価
電子写真記録装置として、富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor400CPを使用して、下記の評価を行った。
−印字直後カール評価−
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、印字直後のハンギングカール発生量を測定した。測定値を曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
尚、前記電子写真方式での画像記録は、帯電工程と露光工程と現像工程と転写工程と定着工程とを含む画像記録である。
○:10m-1未満、カール曲率が小さく問題はない
△:10m-1以上35m-1未満、カール曲率がやや大きいが、許容の範囲である
×:35m-1以上、カール曲率が大きく、実用上問題がある
前記表1に明らかなように、実施例1〜6の記録用紙(本発明の記録用紙)は、インクジェット方式により記録方法であっても、電子写真方式による記録方法であっても、印字直後に発生するカール及び波打ちが少なく、また、放置乾燥後のカールが小さく、問題がないことが明らかとなった。
対して、比較例1〜5の記録用紙は、インクジェット方式により記録方法、電子写真方式による記録方法に関らず、印字直後に発生するカール、波打ち、及び放置乾燥後のカールのいずれかにおいて、実用上の問題が発生していることが明らかとなった。

Claims (3)

  1. 少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする記録用紙。
  2. インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であって、
    前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法。
  3. 静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像記録方法であって、
    前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法。
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