JP2005188007A - 記録用紙及びこれを用いた画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする記録用紙、該記録用紙表面にインクジェット記録方式により画像を記録する画像記録方法、及び前記記録用紙表面に電子写真方式により画像を記録する画像記録方法。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は、インクジェット記録方式により印字した場合に、印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成にも利用可能な記録用紙、及びこれを用いた画像記録方法を提供することを課題とする。
その結果、本発明者等は、印字直後に発生するカール、波打ちは、水性インク中の水を吸収した繊維層の急激な伸びにより発生していること確認した。また、放置乾燥後に発生するカール、波打ちについては、インクを吸収した繊維層の脱湿による縮みにより発生し、更に、用紙の厚さ方向への微小時間でのインク浸透が早く、インクの浸透が深くなる程、放置乾燥後のカール、波打ちが大きくなることを確認した。
加えて、用紙の表面に対し、表面サイズ剤を必須成分とした処理を行う際には、該表面サイズ剤に加え、上記の機能を有するノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを同時に添加することにより、カチオン界面活性剤が優先的に表面サイズ剤に接近し、ノニオン界面活性剤の寸法変化低減効果を表面サイズ剤が阻害しにくくなることにより、結果として、印字直後に発生するカール、波打ち、及び、放置乾燥後に発生するカール、波打ちをより小さくすることが可能であることを見出した。
<1> 少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする記録用紙である。
前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法である。
前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法である。
<記録用紙>
本発明の記録用紙は、少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする。
これに対して、従来のインクジェット記録方式に用いられる記録用紙は、界面活性剤が添加されていないか、されていたとしても、HLBが13を超え、処理量も0.1g/m2以下であるのが一般的であったため、本発明の記録用紙のように、上記(1)、(2)の特性を高いレベルで両立させることができなかった。
また、従来のインクジェット記録方式に用いられる記録用紙は、カチオン系とノニオン系の界面活性剤を混合したサイズ液を用いて処理したものはなく、ノニオン界面活性剤が表面サイズ剤と一緒に処理された際、ノニオン界面活性剤が表面サイズ剤に補足されてしまいカール低減効果は低く、本発明の記録用紙のように、上記(1)、(2)の特性を高いレベルで両立させることができなかった。
本発明における表面サイズ剤としては、酸化でんぷん、リン酸エステル化でんぷん、自家製変性でんぷん、カチオン化でんぷん、各種変性でんぷん、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ハイドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはそれらの誘導体等が挙げられが、これらに限定されるものではない。中でも、カチオン界面活性剤の効果を高める観点から、水に溶解した際にアニオンを有する表面サイズ剤、例えば、酸化でんぷんなどが好ましい。
なお、これらの表面サイズ剤は、単独で使用してもよいし、混合して使用することもできる。
本発明におけるノニオン界面活性剤は、HLBが6〜13の範囲であることを要し、6〜11の範囲であることが好ましく、7〜9の範囲であることがより好ましい。
この中でアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
本発明におけるカチオン界面活性剤としては、例えば、高級アルキルモノアミン塩、アルキルジアミン塩、4級アンモニウム塩を使用することができる。この中で4級アンモニウム塩が好ましい。
また、前記表面サイズ液の付与量としては、片面当り、乾燥質量で1.0〜2.0g/m2の範囲であることが好ましい。
[用紙]
本発明における用紙は、少なくともセルロースパルプを原料とするものであり、下記に示す原紙であってもよく、該原紙表面に顔料やバインダーなどを処理した普通紙であってもよい。
前記原紙は、セルロースパルプを含むものであるが、セルロースパルプとしては公知のものを用いることができ、具体的には、化学パルプ、具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等を使用できる。
特にバージンで使用するパルプは、塩素ガスを使用せず二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chlorine Free;ECF)や塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free;TCF)で漂白処理されたものであることが好ましい。
含有量が0.1g/m2より少ないと、インク中の顔料やアニオン高分子との反応が弱まるため、結果として画質の低下、印字直後のカール、波打ち、放置乾燥後のカール、波打ちが大きくなる場合がある。また、含有量が2g/m2を越える場合は、インクの浸透性が悪化し、高速印字においてインク乾燥性が悪化する場合がある。
次に、本発明の画像記録方法について説明する。
本発明の画像記録方法は、インクジェット用インク(以下、「インク」と略す場合がある)又は電子写真用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)を用いて記録する際に、本発明の記録用紙を用いるものであれば特に限定されない。しかしながら、本発明の画像記録方法は、高品質のドキュメントを得るためにはインクを用いるインクジェット記録方式であることがより好ましい。
まず、本発明のインクジェット記録方式の画像記録方法(以下、「インクジェット記録方法」という場合がある)について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法である。
前記インクとしては、少なくとも色材を含む公知のインクであれば特に限定されないが、色材、アニオン性化合物、水溶性有機溶媒及び水を必須の成分として含有するものが好ましく、その他、顔料分散剤、界面活性剤、各種添加剤等を含有することができる。以下、それぞれの成分について説明する。
インクに使用される色材としては、水溶性染料、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。
黒インクの場合は顔料を主体としたものが一般的であり、黒色の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられ、具体的な例としては、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRA II、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA II、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060(以上、コロンビアンDカーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、BlackPearlsL、Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、ColorBlack S160、Color Black S170、Pritex35、PritexU、Pritex Vrintex140U、Printex140V、Special Black6、Special Black 5、Special、Black 4A、Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。
前記水溶性染料としては、公知のもの、或いは新規に合成したものを用いることができる。中でも、鮮やかな色彩の得られる、直接染料或いは酸性染料が好ましい。具体的には、C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−142、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236及び287、C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110及び189、C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−86、−87、−88、−135、−142及び144、C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−90、−102、−104、−111、−185及び254、C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−249及び257、C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76及び79等が用いられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
インクに使用される前記アニオン性化合物としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸等の酸及びこれらの誘導体、アニオン性水溶性高分子、アニオン性ポリマーのエマルジョン等が挙げられ、後記するアニオン性の顔料分散剤であってもよい。
前記カルボン酸の具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、安息香酸、アクリル酸、クロトン酸、ブテン酸、メタクリル酸、チグリン酸、アリル酸、2−エチル−2−ブテン酸、蓚酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、メチルマレイン酸、グリセリン酸などのカルボン酸及びそれらの重合体、誘導体等が挙げられる。また、これらの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を用いることもできる。
具体的には、アニオン性水溶性高分子としては、親水性部を構成する単量体は、アクリル酸、メタクリル酸及び(無水)マレイン酸から選ばれる1種以上であることが好ましい。
インクに用いられる水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が挙げられる。水溶性有機溶媒は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
インクに用いられる水は、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等を用いることができる。
インクに含まれる水の含有量は、15〜98質量%の範囲、特に45〜90質量%の範囲とすることが好ましい。15質量%未満となると、吐出安定性が低下する場合があり、正常に吐出しない場合がある。また、98質量%を超えると、長期保存安定性で劣る場合がある。
−顔料分散剤−
前記インク中に含まれる顔料の分散のために、顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤の具体例としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらの顔料分散剤の中で、水中にて電離した場合に有機陰イオンとなる顔料分散剤を、本発明においてはアニオン性顔料分散剤と称する。このアニオン性顔料分散剤は、既述したアニオン性水溶性高分子を用いることができる。
前記縮合系重合体の例としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体の例としては、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合することにより、目的の高分子分散剤を得ることができる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体を用いることもできる。
なお、特に限定するわけではないが、顔料分散剤の親水基はカルボン酸又はカルボン酸の塩であることが好ましい。
これら顔料分散剤は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。顔料分散剤の添加量は、顔料によって大きく異なるので一概には言えないが、顔料に対して、一般的には0.1〜100質量%の範囲、好ましくは1〜70質量%の範囲、更に好ましくは3〜50質量%の範囲の量である。
前記インクは、界面活性剤を含有することもできる。顔料インクの顔料分散剤及びインクの表面張力や濡れ性を調整するため、又は、有機不純物を可溶化し、インクのノズルから噴射する際の信頼性を向上するためである。
界面活性剤の種類としては、水不溶色材の分散状態、或いは水溶性染料の溶解状態に影響を及ぼしにくいノニオン及びアニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、及び高級アルキルスルホコハク酸塩等を使用することができる。
更に、前記インクには、必要に応じて、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、水溶性染料、分散染料、油溶性染料等を添加することもできる。これらの添加剤のインクにおける含有量は、20質量%以下とすることが好ましい。
以上に説明したようなインクは、水溶液に所定量の色材を添加し、十分に撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて撹拌混合し、次いで濾過を行って得ることができる。
分散機は、市販のものを用いることができる。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、無機不純物の混入を防ぐためには、分散媒体を使用しない分散方法を用いることが好ましく、その場合には、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザー等を使用することが好ましい。
前記インクのpHは、3〜11の範囲とすることが好ましく、特に4.5〜9.5の範囲とすることが好ましい。また、顔料表面にアニオン性遊離基を持つインクにおいては、インクのpHは6〜11の範囲とすることが好ましく、6〜9.5の範囲とすることがより好ましく、7.5〜9.0の範囲とすることが更に好ましい。一方、顔料表面にカチオン性遊離基を持つインクにおいて、インクのpHは4.5〜8.0の範囲とすることが好ましく、4.5〜7.0の範囲とすることがより好ましい。
本発明の記録用紙に対して、以上に説明したようなインクを用いて、インクジェット方式により印字する場合ノズルから吐出されるインクドロップ量は、1〜20plの範囲であることが好ましく、3〜18plの範囲であることが更に好ましい。
なお、熱エネルギーを作用させて液滴を形成し記録を行う、いわゆる熱インクジェット方式により印字で、且つ、インクドロップ量を前記のように1〜20plの範囲、好ましくは3〜18plの範囲とする場合には、インク中における顔料の分散粒子径が、体積平均粒子径で20〜120nmの範囲で、かつ、500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個以下であることが好ましい。体積平均粒子径が20nmより小さいと、充分な画像濃度が得られない場合がある。また、体積平均粒径が120nmより大きいと、プリントヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定した吐出性を確保できない。更に体積平均粒径が500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個より多くなると、同様にプリントヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定してインクを吐出できない場合がある。この粗大粒子数は、3×105個以下であることがより好ましく、2×105個以下であることが更に好ましい。
前記インク打ち込み量とは、1色以上のインクを用いてベタ画像を形成する場合に、1回の走査で吐出される単位面積あたりのインク量のことである。
本発明における電子写真方式の画像記録方法は、静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程とを含み、前記記録用紙が既述の本発明の記録用紙であることを特徴とする。
本発明における電子写真方式の画像記録方法は、従来と同様に高画質な画像が得られると共に、印字直後に発生するカールを抑制することができる。
インクは、染料系のインクセット1及び顔料系のインクセット2を準備した。なお、下記インクの物性は、以下の条件で測定した。表面張力はウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。粘度は被測定インクを測定容器に入れ、ネオマット115(Contraves社製)に装着して、測定温度:23℃、せん断速度:1400s-1の条件で測定した。
−Magentaインク−
・ダイレクトレッド227(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・サーフィノール465:2質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
・ダイレクトブルー142(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・サーフィノール465:2質量部
上記組成物に脱イオン水を加えて全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
・ダイレクトイエロー144(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・サーフィノール465:2質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
−黒インク−
・表面処理顔料(Cab−o−jet−300 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は32mN/m、粘度は2.8mPa・sであった。
・表面処理顔料(IJX−253 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は32mN/m、粘度は2.5mPa・sであった。
・表面処理顔料(IJX−266 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は33mN/m、粘度は2.7mPa・sであった。
・表面処理顔料(IJX−273 キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は33mN/m、粘度は2.7mPa・sであった。
記録用紙は、以下の記録用紙(1)〜(11)を作製した。
<記録用紙(1)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙の表面へ、乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(1)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して29質量%のノニオン界面活性剤(日本エマルジョン株式会社製、EMALEX603、HLB:6)と、前記表面サイズ剤の質量に対して29質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への表面へ、乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(2)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール465、HLB:13)と、前記表面サイズ剤の質量に対して9質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で1.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が69g/m2の記録用紙(3)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で0.1g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が68g/m2の記録用紙(4)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して10質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して10質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で0.5g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が69g/m2の記録用紙(5)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して50質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して50質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で1.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が69g/m2の記録用紙(6)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール420、HLB:4)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(7)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール485、HLB:17)と、前記表面サイズ剤の質量に対して17質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(8)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して5質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で2.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(9)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して9質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で3.0g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が71g/m2の記録用紙(10)を得た。
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、表面サイズ剤(酸化澱粉 王子コーンスターチ製エースA)と、該表面サイズ剤の質量に対して17質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)と、前記表面サイズ剤の質量に対して9質量%のカチオン界面活性剤(花王製コータミン86Pコンク)を含む、5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を、用紙への処理量が乾燥質量で0.05g/m2になるように熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が68g/m2の記録用紙(11)を得た。
以上に説明したようにして作製したインクと記録用紙とを表1に示すように組合せて、以下の評価を行なった。
印字評価は、23℃、50%RHの環境において、印刷は四個の記録ヘッドを備えたマルチパス印字の評価用サーマルインクジェット記録装置を使用し、印字ヘッドのインク吐出ノズルピッチは800dpi、インク吐出ノズル数256ノズル、吐出量約15pl、インク打ち込み量約10ml/m2、印字は片側一括印字にて、ヘッドスキャンスピード約280mm/秒で実施した。
−印字直後カール評価−
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、印字面とは反対面に発生する印字直後ハンギングカール発生量を測定した。測定値を曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
○:20m-1未満、カール曲率が小さく問題はない
△:20m-1以上50m-1未満、カール曲率がやや大きいが、許容の範囲である
×:50m-1以上、カール曲率が大きく、実用上問題がある
はがきサイズの記録用紙に2cm×2cmの2次色100%ベタ(Blue)画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さ(印字されていない面からの高さ)をレーザー変位計(LK−030、キーエンス(株)製)にて測定した。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
○:1mm未満、波打ち高さが小さく問題はない
△:1mm以上2mm未満、波打ち高さがやや大きいが、許容の範囲である
×:2mm以上、波打ち高さが大きく問題がある
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、23℃、50%RHの環境に印字面を上に平置きに放置し、印字後100時間放置した後に発生するハンギングカール発生量を測定した。測定値をカール曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
○:30m-1未満、カール曲率が小さく問題はない
△:30m-1以上75m-1未満、カール曲率がやや大きいが、許容の範囲である
×:75m-1以上、カール曲率が大きく、実用上問題がある
以上の結果を表2にまとめて示す。
電子写真記録装置として、富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor400CPを使用して、下記の評価を行った。
−印字直後カール評価−
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、印字直後のハンギングカール発生量を測定した。測定値を曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りであり、○及び△が許容レベルである。評価結果を表1に併記する。
尚、前記電子写真方式での画像記録は、帯電工程と露光工程と現像工程と転写工程と定着工程とを含む画像記録である。
○:10m-1未満、カール曲率が小さく問題はない
△:10m-1以上35m-1未満、カール曲率がやや大きいが、許容の範囲である
×:35m-1以上、カール曲率が大きく、実用上問題がある
対して、比較例1〜5の記録用紙は、インクジェット方式により記録方法、電子写真方式による記録方法に関らず、印字直後に発生するカール、波打ち、及び放置乾燥後のカールのいずれかにおいて、実用上の問題が発生していることが明らかとなった。
Claims (3)
- 少なくともセルロースパルプを原料とする用紙の表面に、少なくとも、表面サイズ剤と、該表面サイズ剤の質量に対して10〜100質量%の範囲のHLBが6〜13のノニオン界面活性剤と、前記表面サイズ剤の質量に対して5〜150質量%の範囲のカチオン界面活性剤と、を含有する表面サイズ液を、片面当たり、乾燥質量で0.1〜2.0g/m2付与してなることを特徴とする記録用紙。
- インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であって、
前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法。 - 静電潜像担持体表面を均一に帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像記録方法であって、
前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法。
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