JP2003034072A - インクジェット記録用記録紙およびそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用記録紙およびそれを用いたインクジェット記録方法

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JP2003034072A
JP2003034072A JP2001221765A JP2001221765A JP2003034072A JP 2003034072 A JP2003034072 A JP 2003034072A JP 2001221765 A JP2001221765 A JP 2001221765A JP 2001221765 A JP2001221765 A JP 2001221765A JP 2003034072 A JP2003034072 A JP 2003034072A
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Mikifumi Ogasawara
幹史 小笠原
Yutaka Kurabayashi
豊 倉林
勝彦 ▲高▼橋
Katsuhiko Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクの吸収、乾燥、定着性に優れ、かつ、
カールが事実上発生しない記録画像の形成を可能とする
等の優れたインクジェット記録特性を有し、しかも、普
通紙としての風合いや取り扱い性を具えている、汎用性
が高い普通紙タイプの記録紙を提供する。 【解決手段】 繊維状パルプを主体とする原紙に対し
て、カール防止剤をその紙面1平方メートルあたり、
0.5〜30gの範囲で含有している記録紙とする。利
用される水性インクの種類に応じて、さらに、カチオン
性物質をも含有する記録紙ともでき、その結果、ブリー
ディングの発生が抑えられ、良好な耐水性を有し、か
つ、カールが事実上発生しない記録画像の形成を可能と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用の普通紙タイプの記録紙に関し、より具体的には、
水性カラーインクを利用するインクジェット記録に適す
る普通紙タイプの記録紙、ならびにこの記録紙を用い
た、フルカラー・インクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、デジタル方
式の画像記録手段として、ドット単位で、複数種のイン
クを個々に印刷でき、カラー化、高密度化、さらには、
記録の高速化などが、装置の大型化を伴わず、容易に達
成できることから、多くの分野への応用が注目されてい
る。また、フルカラー印刷用のデジタルプリンターな
ど、インクジェット記録方式を採用した記録装置も普及
している。
【0003】例えば、フルカラー印刷などの用途では、
従来、インクジェット記録方式に適用される記録紙とし
て、例えば、特開昭59−35977号公報や特開平1
−135682号公報に開示されるような、インクジェ
ット記録専用のコート紙タイプの紙が用いられてきた。
【0004】更に、インクジェット記録の多方面への応
用に伴って、インクジェット記録用紙(被記録材)に
は、より高度な特性が要求されるようになっている。例
えば、(1)インクの吸収に富み、インクの乾燥、定着
が速やかであること、(2)インクドットが隣接した場
合、隣接したインクドット相互間で、そのドット状のイ
ンクが流れ出し、互いに混ざりあって、不均一な色調を
生む、いわゆるブリーディングを生じないこと、(3)
染料などの記録剤が記録紙上で凝集して、ビーズのよう
な形状となり濃度ムラを生じる、いわゆるビーディング
が起きないこと、(4)記録紙に付着したインク滴が紙
面内で拡散し、インクドットの径が過度に大きくならな
いこと、(5)インクドットの画像濃度が高く、文字及
び画像の周辺にボケが生じないこと、(6)インクの記
録剤(着色)成分の発色性に優れたものであること、
(7)色再現性が良好であり、高精細な画像が得られる
こと、(8)耐水性に優れていること、等の特性が要求
される。
【0005】上記する種々の特性を満足する記録紙ある
いは記録シートを提供する目的で、例えば、基体上に多
孔質のインク吸収層を設けた記録シートや、透明性基材
上に水溶性ないし親水性ポリマーからなるインク受容層
を設けた記録シートが、既に提供されている。例えば、
特開昭60−220750号公報には、ポリエステルフ
ィルム上にケン化度が70〜90モル%の水溶性ポリビ
ニルアルコールからなる親水性被膜を設けた記録シート
が開示されている。
【0006】一方、モノクロ記録やビジネスカラー記録
の分野では、異なる記録方式による記録装置が各種存在
しており、各記録方式に対応する専用紙をそれぞれ使い
分けるよりは、入手性が高く、かつ低価格であって、こ
れら各種の記録方式に対する汎用性のある記録紙の共用
が望まれている。
【0007】この複数種の記録方式での共用の観点か
ら、従来のインクジェット記録用紙を見てみると、コー
ト紙タイプのインクジェット記録用記録紙では、インク
ジェット記録においては高精細で鮮明な画像の形成が可
能であるが、普通紙として利用しようとする場合、例え
ば、(1)普通紙のような風合いや取扱性に欠ける、
(2)鉛筆での加筆における筆記性が悪い、(3)コー
ト層に用いた粉体が欠落する場合がある、(4)他の記
録方式への汎用性が低い、(5)普通紙に比べて、コス
ト高になり易い、等の課題が残っている。
【0008】また、現在オフィスに最も普及している普
通紙タイプの記録紙は、例えば、特開昭51−1324
4号公報、特開昭59−162561号公報、特開昭5
9−191068号公報等に開示されている電子写真方
式による複写機等のトナー転写用紙(PPC用紙)であ
るが、このPPC用紙は、乾燥した微粒子状のトナーの
付着と、その後の加熱融着には適するものの、その中で
十分なインクジェット記録適性を有するものは未だ見当
たらない。
【0009】より具体的には、現在普及しているPPC
用紙をインクジェット記録に用いた際には、次の不都合
を生じる場合が多い。すなわち、(1)水性インクの水
分により、印字した後、記録済の紙が時間を置くうち
に、イカ巻き状に変形する(以下、カールと呼ぶ)。
【0010】PPC用紙タイプの普通紙をインクジェッ
トプリンタに利用した際に、しばしば生じていたカール
を減少させる取り組みがなされ、この問題を克服する上
で有効な、カール防止剤ならびにしわ防止剤を得るため
の努力がなされてきた。例えば、ヒックマン等による米
国特許第5,356,465号には、インクジェットイ
ンクに混合して利用される所望の量のカール防止剤につ
いての記載がある。しかしながら、これらのカール防止
剤は、インク中に混合すると、その粘度を増加させ、イ
ンクの安定性に悪影響を与える。特に、この種のカール
防止剤を含むインクは、インクジェット用ヘッドノズル
内などでの滞留可能時間を短縮させ、そばしば、インク
ジェット印刷ヘッドノズル内でのインクの凝集による印
字不良を増加させる要因ともなる。
【0011】インク成分にカール防止剤を含有させよう
とする際、しばしば、カール低減に必要な量のしわ防止
剤をもインク中に混合して使用する。その際、場合によ
っては、しわ防止剤は、ノズル詰まりとインク噴出不良
を増大させやすい。この不具合は、多分にしわ防止剤も
インク粘度の増加を引き起こすこと、さらには、インク
に含まれている染料類や顔料類を含むインク成分との非
相溶性による。前記の不具合のため、インク中でのしわ
防止剤の有効活用は時に制限されることがある。
【0012】さらに、現在普及しているPPC用紙をイ
ンクジェット記録に用いた場合には、上記のカール発生
の他にも、以下のような不都合が生じる場合もある。 (2)水性のインクの吸収性が乏しく、多量のインクが
付与されると、インクの乾燥、定着が遅い(インクが未
定着、未乾燥の状態で記録面に物が触れると、形成され
た画像を損なう場合がある)。 (3)水性のインクが紙層内に吸収される際、紙を構成
する繊維に沿ってに、横方向への浸潤による、にじみが
生じるため、インクドットのサイズが過大になりすぎた
り、インクドットの外周形状がギザギザ等の不規則形状
となったり、ボケたりする、いわゆるフェザリングが発
生し、鮮明な文字、記録画像が得られない。 (4)カラー画像記録において、異色のインクドットが
隣り合って印字された場合、これらのインクドット間で
のインクの流れ出しによる所望としない混色、いわゆる
ブリーディングが起き、画像の鮮明性や呈色性等が損な
われ、満足な画像が得られない場合が多い。例えば、異
色のベタ印字部間の境界部分においてブリーディングが
発生すると、境界での鮮明性が損なわれたり、色がにじ
んだり、不均一な混色が見られるようになる。 (5)水性インクに用いられる染料等の水溶性の記録剤
を固定するため、特別な構成を有するものではないの
で、記録画像の耐水性が不十分である。 (6)インクに用いられる染料等の記録剤(色剤)の発
色性が不十分である。
【0013】上記の課題に対応する手段、例えば、記録
画像の耐水性を高める手段として、特開昭56−996
93号公報には、ハロゲン化第4級アンモニウム塩等を
含有させたインクジェット記録用紙が開示されている。
しかし、この記録用紙は耐水性においては改善されてい
るものの、記録剤の耐光性が著しく低下するという別の
課題を有する。
【0014】また、耐水性と耐光性の両方を良好にする
手段として、特開昭61−58788号公報には、特殊
なコート層を設けずに、ポリアリルアミン塩を含有させ
た記録紙が開示されている。但し、この記録紙は、PP
C用紙と同様に、特殊なコート層を設けていないため、
画像濃度が低く、ブリーディングが生じ易いという課題
をなお残すものであった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたPPC用
紙など、コート紙タイプのインクジェット記録用記録紙
のように表面に特殊なコート層を設けていない普通紙
を、インクジェット記録、特には、水性インクを用いる
インクジェット記録に利用とする上で、本質的な課題の
一つは、カールの発生である。すなわち、インクジェッ
ト記録方式以外の、例えば、電子写真方式の記録紙とし
ても利用できる普通紙タイプの記録紙を、インクジェッ
ト記録にも好適に利用できるものとするためには、少な
くとも、(1)水性インクを用いた場合に事実上、カー
ルを発生しないことを満足する必要がある。さらに、イ
ンクジェット記録の大きな利点である、複数色の水性イ
ンクを利用し、カラー画像印刷する場合においても、普
通紙タイプの記録紙を利用する上では、(1)水性イン
クを用いた場合に事実上、カールを発生しないことに加
えて、例えば、(2)水性インクの定着、乾燥性に優れ
る、(3)フェザリングの発生を実用上問題のない程度
に抑制できる、(4)カラー印字におけるブリーディン
グの発生も実用上問題のない程度に抑制できる、(5)
発色性に優れる、(6)記録画像の耐水性に優れる、
(7)普通紙としての風合いや取扱性を有する等の特性
をも満足することが望ましい。これらの要件を満たし、
インクジェット記録用としても好適な、汎用性に富む普
通紙タイプの記録紙の開発が待たれている。
【0016】本発明は前記の課題を解決するもので、本
発明の目的は、インクジェット記録方式以外の、例え
ば、電子写真方式の記録紙としても利用できる普通紙タ
イプの記録紙でもあり、加えて、少なくとも、(1)水
性インクを用いた場合に事実上、カールを発生しないこ
とを満足する、インクジェット記録にも好適に利用でき
る普通紙タイプの記録紙を提供することにある。本発明
のさらなる目的は、(1)水性インクを用いた場合に事
実上、カールを発生しないことに加えて、例えば、
(2)水性インクの定着、乾燥性に優れる、(3)フェザ
リングの発生を実用上問題のない程度に抑制できる、
(4)カラー印字におけるブリーディングの発生も実用
上問題のない程度に抑制できる、(5)発色性に優れ
る、(6)記録画像の耐水性に優れる、(7)普通紙とし
ての風合いや取扱性を有する、等の特性をも満足し、複
数色の水性インクを利用して、インクジェット記録方式
のカラー画像印刷する場合においても好適に利用できる
汎用性を有する普通紙タイプの記録紙を提供することに
ある。加えて、本発明の最終的な目的は、これらの記録
紙を用いる、新規なインクジェット記録方法を提供する
ことにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究・検討を進めたところ、繊維
状パルプを主体とする原紙を利用し、その表面に特殊な
コート層を設けない状態において、カールの発生を防止
するためには、紙面に印字されるドット状のインク滴が
紙面に吸収される時点で、このインク滴中にカール防止
剤が混入される状態を達成することが有効であることを
見出した。その際、予めインク中にカール防止剤を混入
しておく代わりに、記録紙自体、少なくとも、その印字
がなされる表面部にカール防止剤を含有させておき、ド
ット状のインク滴が塗布され、紙面に吸収される間に、
記録紙中に含有されているカール防止剤をインク成分と
混和させ、インクの乾燥、定着を行うことで、最終的に
は、予めインク中にカール防止剤を混合しておいた場合
と遜色のないカールの発生を防止する効果が発揮される
ことを見出した。その際、記録紙中に含有されているカ
ール防止剤の含有比率は、紙面1平方メートルあたり
0.5〜30gの範囲に選択することで、通常使用され
る、ドット状インク滴量の範囲に対して、過不足のない
カール防止剤の供給が可能となることを見出した。加え
て、本発明者らは、前記の知見に加えて、この手段を用
いると、予めインク中にカール防止剤を混合する場合に
起こる、ノズル詰まりとインク噴出不良などの不具合も
回避でき、また、記録紙自体の表面には、特殊なコート
層を設けていないので、他の記録方式、例えば、電子写
真方式の画像記録用の記録紙としても、なんら問題なく
利用できる普通紙タイプの記録紙でもあることを確認し
て、本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち、本発明の記録紙は、水性インク
を用いるインクジェット記録用の記録紙として利用可能
な記録紙であって、繊維状パルプを主体とする原紙に対
して、カール防止剤がその紙面1平方メートルあたり、
0.5〜30gの範囲で含有してなることを特徴とする
記録紙である。その際、少なくとも、前記カール防止剤
は、原紙の表面あるいは表面近傍に含有されていること
のみでもよい。
【0019】なお、本発明の記録紙では、原紙中に、カ
ール防止剤に加えて、カチオン性物質を更に含有してい
る形態とすることもできる。例えば、前記カチオン性物
質として、カチオン性の有機化合物を用いることができ
る。また、前記有機化合物が、高分子またはオリゴマー
であることが好ましい。あるいは、前記カチオン性物質
として、カチオン性の金属塩を用いることもできる。な
お、前記カチオン性物質は、少なくとも、原紙の表面あ
るいは表面近傍に含有されていることのみでもよい。
【0020】本発明の記録紙において、前記カール防止
剤の含有比率が、紙面1平方メートルあたり1.0g〜
10gの範囲であることがより好ましい。また、前記カ
チオン性物質の含有比率が、紙面1平方メートルあたり
0.5g〜30gの範囲であることが望ましい。
【0021】加えて、本発明は、上記の本発明の記録紙
を利用するインクジェット記録方法の発明をも提供し、
すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、記録信
号に従って、インクを記録ヘッドの吐出口から吐出さ
せ、記録紙表面に画像記録を形成するインクジェット記
録方法であって、前記記録紙として、上述するいずれか
の構成を有する本発明の記録紙を用いることを特徴とす
るインクジェット記録方法である。例えば、本発明のイ
ンクジェット記録方法は、記録ヘッドからの前記インク
の吐出が、インクに熱エネルギーを作用させることで行
われる方式であることを特徴とするインクジェット記録
方法とすることができる。その際、記録に用いるインク
が、アニオン性記録剤を含むインクであることが好まし
い。
【0022】
【発明の実施の形態】上述するように、本発明の記録紙
では、繊維状パルプを主体とする原紙に対して、カール
防止剤を紙面1平方メートルあたり0.5g〜30gの
範囲で含有させ、その表面に印字される水性インクのド
ット状インク滴に、このインク滴が紙面に吸収された時
点で、カール防止剤がインク成分と混合する状態を達成
できるものとしている。従って、好ましくは、カール防
止剤は、少なくとも記録紙の表面あるいは表面近傍に含
有される。カール防止剤を、少なくとも記録紙の表面あ
るいは表面近傍に分布させることで、水系インクが紙面
に付与された際、このインク滴と接する紙の表面、ある
いは、表面近傍に含有されているカール防止剤は、前記
インクの媒体である水に溶解されていく。その後、水系
インクに含まれる水が紙の内部へと浸透する際、溶解し
たカール防止剤は、その水と共に拡散され、効果的にカ
ールを防止する機能を発揮する。
【0023】カール防止剤による、カール防止のメカニ
ズムは詳細には不明だが、ひとつの推論として、以下の
機構が考えられる。紙漉き、すなわち、パルプ中の植物
繊維体を紙の形態にまとめる、紙の抄紙過程において、
セルロース分子集合体であるミクロフィブリルが、比較
的方向性を持った状態で紙に抄紙される。このミクロフ
ィブリルが比較的方向性を持った状態で存在している紙
の内部に、水性インク中の水分が浸透してくると、セル
ロース分子間の水素結合が破壊され、セルロースが水和
され、膨潤を起こす。この膨潤が起こる過程で、ミクロ
フィブリル間の絡み合いがほぐされ、ミクロフィブリル
同士の相対的位置が変動する。カール防止剤ない場合に
は、その後、水分が乾燥し、セルロース分子同士が水素
結合で再び結合され、ミクロフィブリル同士が再び密に
絡み合う過程において、もはや抄紙直後の相対的位置を
再現することは不可能で、水分吸収前よりは縮まった状
態に固定され、いわゆるカール現象が発生する。一方、
カール防止剤を紙に含有させておくと、浸潤する水中に
は溶解したカール防止剤が含まれ、初期のセルロース分
子が膨潤する過程において、セルロース分子間の水素結
合の相対的位置を、カール防止剤の作用により、膨潤し
た際にもある程度固定化できる。その結果、乾燥時に、
セルロース分子は元の相対的位置に近いところで再配列
でき、それに付随して、ミクロフィブリル間同士の相対
的位置も同様に元の相対的位置に近いところで再配列が
可能となり、カールの発生を回避できると考えられる。
【0024】本発明の記録紙のもう一つの形態として、
カール防止剤に加えて、カチオン性物質を併用すること
ができる。カチオン性物質の併用により、カール防止剤
によるカールの防止と共に、カチオン性物質によるブリ
ーディング防止、フェザリング防止の効果が得られ、ま
た、発色性も更に良好となる。また、インクとして、ア
ニオン性の色材を記録剤成分として用いたものを利用す
ることで、本発明の記録紙の特性がより効果的に発揮さ
れる。なお、好ましくは、カチオン性物質は、少なくと
も記録紙の表面あるいは表面近傍に含有される。カチオ
ン性物質を、少なくとも、記録紙の表面あるいは表面近
傍に分布させることで、アニオン性のインクが紙面に付
与された際、このインク滴と接する紙の表面、あるい
は、表面近傍に含有されているカチオン性物質は、前記
インクの成分であるアニオン性色材に作用して、水に対
して不溶もしくは難溶解性の塩となる結果、ブリーディ
ング、フェザリングがより効果的に防止できる。
【0025】本発明の記録紙に用いる原紙の作製に利用
できる繊維状パルプとしては、通常、普通紙の製造にお
いて使用されるるものであれば、特に制限なく利用でき
る。例えば、PPC用紙の作製にも利用される、LBK
P、NBKP等に代表される化学パルプ、機械パルプ及
び古紙再生パルプ、あるいはこれらの1種以上の混合物
等を挙げることができる。
【0026】本発明の記録紙の作製に用いられるカール
防止剤としては、上記の含有比率において、カール防止
効果を発揮できるものであるならは、特に限定されな
い。例えば、ソルビトール、マンニトール、グリセロ
ール、グリシトール、およびミオイノシトール等の糖類
およびその誘導体、トリメチロールプロパン、1,5
-ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール
等の多価アルコールおよびその誘導体、ポリエチレン
グリコール等のポリアルキレングリコール、トリエチ
レングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレング
リコールものブチルエーテル等のグリコールエーテル
類、エチレン尿素、プロピレン尿素、2-ピロリドン
等の含窒素環状化合物およびその誘導体等があげられ
る。加えて、本発明においては、カール防止剤は記録紙
中に含有させるため、保管中に蒸散して、その含有比率
の顕著な低下を起こすことのないものが好ましく、従っ
て、低蒸気圧であることが好ましい。さらに、水性イン
クを用いる際、それに含まれる水溶媒中に速やかに溶解
することが好ましく、従って、水への溶解性が高いこと
が望ましい。
【0027】本発明の記録紙において、必要に応じてカ
ール防止剤と併用されるカチオン性物質としては、例え
ば、カチオン性金属塩、カチオン性金属酸化物、カチオ
ン性無機高分子化合物、カチオン性有機化合物等を挙げ
ることができ、これらのうちの1種を単独で、あるいは
これらの2種以上を組合せて用いることができる。
【0028】カチオン性金属塩としては、例えば、塩化
アルミニウム、塩化バリウム、塩化ニッケル、塩化マグ
ネシウム、水酸化アルミニウム等の多価金属塩を例示す
ることができる。カチオン性無機酸化物としては、アル
ミナなどを挙げることができる。カチオン性無機高分子
としては、例えば、スメクタイト、ポリ塩化アルミニウ
ム、ポリ水酸化アルミニウム等を挙げることができる。
【0029】カチオン性有機化合物としては、例えば、
有機アミン塩、有機高分子アミン塩、カチオン性有機高
分子化合物や有機オリゴマー、カチオン性有機金属物等
を挙げることができる。有機アミン塩の具体例として
は、ラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、
ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等の、第1級、第2級
または第3級アミンの付加塩型の化合物;ラウリルトリ
メチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベン
ジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアン
モニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム等の第4級
アンモニウム塩型の化合物;セチルピリジニウムクロラ
イド、セチルピリジニウムブロマイド等のピリジニル塩
型化合物;2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミ
ダゾリン等のイミダゾリン型カチオン性化合物;ジヒド
ロキシエチルステアリルアミン等の高級アルキルアミン
のエチレンオキシド付加物などを挙げることができる。
また、有機高分子アミン塩の具体例としては、ポリアリ
ルアミン、ポリビニルアミン、ポリアミンスルホンなど
の塩酸塩、酢酸塩、臭酸塩等を挙げることができる。
【0030】カチオン性有機高分子化合物、有機オリゴ
マーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸などのアルコールアミンエステルまたはアルコール
アンモニウム塩型エステルを構成モノマーとする単重合
体、もしくは共重合体などを挙げることができる。カチ
オン性有機金属物の具体例としては、例えば、混合原子
価のビスフェロセニレン、ポリフェロセニレン、ポリビ
ニルフェロセニレンなどのフェロセニレン化合物、ヨウ
化テトラメチルホスホニウム等のホスホニウム化合物な
どが挙げられる。
【0031】本発明の記録紙は、繊維状パルプを主体と
する原料を用いて抄紙して得られる紙中に、均一な面密
度でカール防止剤を含有させることによって得ることが
できる。抄紙自体は、常法に従って行うことができ、例
えば、主体の繊維状パルプに、サイズ剤(内面サイズ
剤、表面サイズ剤など)、填料などの副次的成分を原料
とし、その他の抄紙助剤を必要に応じて用いて、抄紙す
る方法が利用できる。
【0032】内面サイズ剤としては、ロジンサイズ、ア
ルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、石油
樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、アクリルアミド等
を挙げることができる。表面サイズ剤としては、カゼイ
ン、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ソ
ーダ、ポリアクリルアミド等の水性インクの吸収により
膨張する親水性樹脂、SBRラテックス、アクリルエマ
ルジョン、スチレン/アクリル酸共重合体等の親水性部
分と疎水性部分を分子内に有する樹脂、シリコンオイ
ル、パラフィン、ワックス、フッ素化合物、撥水性を有
する物質、ならびに、前記内面サイズ剤としても利用で
きる材料等が挙げられる。填料としては、例えば、炭酸
カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン等が挙げ
られる。
【0033】本発明の記録紙において、原紙にカール防
止剤を含有させる手段としては、例えば、 A.繊維状パルプを含む原料から抄造された紙にカール
防止剤を含む液を含浸させる方法、 B.繊維状パルプを含む原料から抄造された紙の表面に
カール防止剤を含む液を塗布する方法、 C.紙を抄造する際に、原料(パルプスラリー)にカー
ル防止剤を混合して、抄紙する方法、などの方法を用い
ることができる。また、必要に応じて併用されるカチオ
ン性物質を含有させる手段としては、前記のカール防止
剤を含有させる各種の手段において、同時にカチオン性
物質を含有させる手法が利用できる。
【0034】本発明の記録紙中に含有されるカール防止
剤の含有比率の上限は、紙面1平方メートルあたり30
g、好ましくは10gとされる。また、その下限は、紙
面1平方メートルあたり0.5g、好ましくは1.0g
とされる。紙面に塗布されるドット状のインク滴の液量
にもよるが、カール防止剤の含有比率が、上記の下限
(0.5g/m2)に満たないと、そのインク滴中に含
まれる水溶媒に溶解するカール防止剤濃度が十分ではな
く、しだいにカールの発生が顕著となる。一方、上記の
上限(30g/m2)を超えると、カール防止剤を高濃
度で溶解すると、インク全体の液粘度が上昇し、しだい
にインク吸収性の悪化が起こる。
【0035】カチオン性物質を併用する際、その含有比
率の上限は、例えば、紙面1平方メートルあたり30g
/m2、好ましくは10g/m2とされ、一方、その下限
は、例えば、紙面1平方メートルあたり0.5g/
2、好ましくは1.0g/m2とされる。なお、カール
防止剤とカチオン性物質とを併用する際には、これらの
含有比率を各々、1.0〜10g/m2の範囲内とする
ことで、良好なカール防止効果に加えて、より高いフェ
ザリング防止効果と発色性が得られ、また、画像濃度も
更に向上する。
【0036】本発明の記録紙自体は、インクジェット記
録後、一定の期間保存される使用形態をとることが多
い。従って、本発明の記録紙の水抽出pH値は、その保
存性等に応じて適宜選択することが好ましく、例えば、
記録紙に長期保存性が要求される場合には、好ましく
は、水抽出pH値を6以上、より好ましくは7以上に調
整することが望ましい。また、水抽出pH値が6未満で
あると、インクに用いる記録剤成分の種類によっては、
十分な発色性が得られないという不都合が生じる場合も
ある。なお、水抽出pH値には、自ずから上限があり、
通常、その上限は、水抽出pH値が10以下、より好ま
しくは9以下に調整されていることが望ましい。水抽出
pH値が、この上限(pH10)を超えると、場合によ
っては、記録剤の十分な発色性が得られないという不都
合が生じる。なお、この水抽出pH値は、JIS−P−
8133に規定された規格の試験断片1.0gを蒸留水
70mlに浸漬させた際、その抽出液のpHをJIS−
Z−8802に従って測定した値である。
【0037】本発明の記録紙のステキヒト・サイズ度は
特に限定されず、用いるサイズ材料等に応じて、良好な
インク定着性、乾燥性が得られる範囲内で適宜選択され
るが、例えば、好ましくは0〜40秒の範囲内とされ
る。また、本発明の記録紙自体の坪量は、その上限は、
例えば、プリンタにおける搬送性を考慮すると、150
g/m2を超えない範囲とすることが好ましい。また、
その下限は、例えば50g/m2とされる。坪量が、5
0g/m2未満であると、紙厚さが薄すぎて、裏抜け、
コックリングが生じる場合もある。
【0038】本発明の記録紙は、その表面に特殊なコー
ト層を設けていないので、普通紙としての風合いや取扱
性(表面形状や物理的特性等)に関しては、従来の中性
のPPC紙と遜色のないものである。更に、アニオン性
の色材を記録剤成分として用いた水性インクによるイン
クジェット記録に用いる際、カールを事実上防止し、さ
らに、カチオン性化合物と併用することによって、ブリ
ーディングの発生をより効果的に抑え、かつより良好な
耐水性が付与された記録画像を得ることが可能となる。
しかも、鉛筆等での筆記性にも優れ、また、表面にカー
ル防止剤を含有するものであっても、粉落ちが実用上問
題のない程度に低減化されたものとなる。以上にその構
成を説明した本発明の記録紙へのインクジェット記録法
による画像形成は、例えば以下のようにして行うことが
できる。
【0039】画像形成に用いるインクとしては、インク
ジェット記録法に適用できるインク、特には、水性イン
クであれば制限なく利用できる。例えば、像を形成する
ための記録剤と、該記録剤を溶解または分散させるため
の液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種の分散剤、
界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、
防腐剤(防カビ剤)、酸化防止剤、蒸発促進剤、記録剤
の溶解または分散の安定化剤等を添加した組成のものが
挙げられる。なお、界面活性剤を使用する場合のその選
択は、インクの記録紙への浸透性を調整する上で特に重
要である。
【0040】インクに使用される記録剤としては、直接
染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、
分散染料、油性染料、カーボンブラック若しくは無機顔
料若しくは有機顔料などのアニオン性分散体若しくはア
ニオン性マイクロカプセル、表面処理を施すことによっ
てアニオン性官能基が導入された表面処理型顔料等が挙
げられ、例えば、従来、水性インク用の記録剤としての
利用が公知のものを制限なく使用することができる。ア
ニオン性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラ
ーインデックス(COLOUR INDEX)に記載さ
れている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料でア
ニオン性基を有するものが利用できる。また、カラーイ
ンデックスに記載されていない水溶性染料であっても、
アニオン性基、例えばスルホキシ基、カルボキシ基等を
有するものであれば、特に制限なく利用可能である。な
お、ここでいう水溶性染料の中には、その溶解度はpH
依存性を示すものも包含される。
【0041】インク中の記録剤の含有率は、インクに要
求される特性等において決定されるが、約0.1〜20
質量%程度の一般的な濃度のものが利用できる。
【0042】インクの液媒体成分としては、例えば、
水、あるいは水と水溶性有機溶剤との混合物が好適に利
用され、水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド
類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール
類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6
−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレン
グリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリ
コール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリ
コールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級ア
ルキルエーテル類;エタノール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の
1価のアルコール類;グリセリン;N−メチル−2−ピ
ロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;
トリエタノールアミン;スルホラン;ジメチルサルホキ
サイド等が挙げられ、これらの1種以上が使用される。
前記水と水溶性有機溶剤との混合物から選択される水性
混合溶媒を用いるインク中における、水溶性有機溶剤含
比率は、特に制限はないが、例えば、1〜50質量%、
さらに好ましくは2〜30質量%が好適な範囲である。
【0043】インクジェット記録法に適用されるインク
として、好適な物性値としては、例えば、25℃付近
で、pHが3〜12、表面張力が10〜60dyn/c
m、より好ましくは10〜40dyn/cm、粘度が1
〜30cpsを挙げることができる。
【0044】本発明の記録紙へのインクジェット記録に
応用可能なインクジェット記録方法としては、水性イン
ク(記録液)の小滴を種々の駆動原理を利用して、イン
ク流路(ノズル)より吐出して記録を行うインクジェッ
ト記録方式は、いずれも応用可能である。その具体例と
して、特開昭54−59936号公報に記載されている
方法で、インク流路中で熱エネルギーの作用を受けたイ
ンクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用
力によってインクをインク流路先端の吐出口から、均一
な液量の小滴を吐出させる方法を挙げることができる。
【0045】本発明のインクジェット記録方法の実施に
利用できるインクジェット記録装置の一例を、図面を用
いて以下に説明する。図1、2及び3は、インクジェッ
ト記録装置の主要部である記録ヘッドの構成例を示した
ものである。図1は、記録ヘッドのインク流路に沿った
断面図であり、図2は、図1のA−B線での断面図であ
る。記録ヘッド13は、インク流路となる溝14を有す
るガラス、セラミックまたはプラスチック等からなる板
と、発熱ヘッド15(発熱ヘッドの構成は図示したもの
に限定されない)とを接着して得られた構成を有する。
発熱ヘッド15は、アルミナ等の放熱性の良い基板20
上に、蓄熱層19、ニクロム等で形成される発熱抵抗層
18、アルミニウム等からなる電極17−1、17−2
及び保護層をこの順に積層した構成を有する。電極17
−1、17−2に通電することによって、発熱抵抗体層
18の電極が積層されていない部分(nで示す領域内に
ある部分)が発熱し、その上方に位置するインクに熱エ
ネルギーを作用・供給する構成となっている。
【0046】記録に際して、インク21は、溝14の端
部微細開口である吐出口(オリフィス)22まで充填さ
れ、その状態で、記録信号に対応して、電極17−1、
17−2に通電されると、発熱ヘッド15のnで示され
る領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21中
に、気化した溶媒に由来する気泡が発生する。その圧力
で、インク21が吐出口22より小滴24となって吐出
され、記録媒体25の表面に向かって飛翔する。
【0047】図3には、図1に示すインク流路を、複数
並べたマルチヘッドの外観が示されている。このマルチ
ヘッドは、並列に構成されたインク流路を構成する複数
の溝からなるマルチ溝26を有する溝付き板27と、各
溝中の所定の位置に、図1と同様の構成からなる発熱領
域(n)が配置されるように形成された発熱ヘッド28
とを接着することで得られたものである。
【0048】図4は、図3に示すようなマルチヘッドを
組込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4に
おいて、ワイピング部材として用いる、ブレート61
は、その一端はブレード保持部材によって保持されて固
定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61
は、記録ヘッドより記録領域に隣接した位置に配設さ
れ、また、本例の場合、記録ヘッドの移動経路中に突出
した形態で保持される。キャップ62は、ブレード61
に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッドの
移動方向と垂直な方向に移動して吐出口面と当接し、キ
ャッピングを行う構成を備える。更に、ブレード61に
隣接して設けられたインク吸収体63も、ブレード61
と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持
される。上記ブレード61、キャップ62、インク吸収
体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード6
1及びインク吸収体63によってインク吐出口面からの
水分、塵埃等の除去が行われる。
【0049】インクジェット記録方式により記録を行う
記録ヘッド65には、例えば、図1〜3で示す熱エネル
ギーによってインクを吐出する構成を有するヘッドを用
いる。記録ヘッド65は、キャリッジ66上に搭載さ
れ、キャリッジ66を移動させて、記録位置の移行を行
う。キャリッジ66は、ガイド軸67と摺動可能に係合
し、キャリッジ66の一部は、モーター68によって駆
動されるベルト69と接続(不図示)している。これに
より、キャリッジ66はガイド軸67に沿った移動、す
なわち、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接し
た領域へ移動が可能となる。
【0050】記録媒体を挿入するための給紙部51に、
記録紙は置かれ、不図示のモーターにより駆動される紙
送りローラ52により、搬送される。これらの構成によ
って、記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ記録媒体
(記録紙)が供紙され、記録が進行するにつれて、排紙
ローラ53を介して排紙される。
【0051】上記の構成において、記録終了時など、記
録ヘッド65がホームポジションに戻る際、ヘッド回復
部64のキャップ65は記録ヘッドの移動経路から退避
しているが、ブレード61は移動経路中に突出してい
る。その際、記録ヘッド65の吐出口面は、ブレード6
1によりワイピングされる。また、キャップ62が記録
ヘッド65の吐出口面に当接してキャッピングを行う際
には、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出す
るように移動する。記録ヘッド65がホームポジション
から記録開始位置へ移動する折にも、キャップ62及び
ブレード61は上述したワイピング時の位置と同一の位
置にある。その結果、この移動の際においても、記録ヘ
ッド65の吐出口面はブレード61でワイピングされ
る。
【0052】この記録ヘッドのホームポジションへの移
動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッ
ドが記録のための記録領域を移動する間に所定の間隔で
記録領域に隣接したホームポジションへと移動する。こ
の移動に伴っても、上記ワイピングが行われる。
【0053】カラー記録の場合は、1ヘッド中に、シア
ン用、マゼンタ用、イエロー用及びブラック用の吐出口
を並列したマルチ型記録ヘッドを、あるいはシアン用記
録ヘッド、マゼンタ用記録ヘッド、イエロー用記録ヘッ
ド及びブラック用記録ヘッドの計4種の記録ヘッドを並
列に用いて行うことができる。その場合、各色の吐出
は、1つの吐出口から行っても良いし、各色について同
時に複数の吐出口からの吐出を行って、2以上の同一色
の液滴が記録媒体に同時に付着するようにしてもよい。
【0054】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最
良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、かかる
実施例により限定されるものではない。
【0055】(実施例1)原料パルプとして、LBKP
90質量部、NBKP10質量部を混合し、叩解した
後、カオリン(土屋カオリン製)10質量部、アルケニ
ル無水コハク酸0.2質量部を配合して、常法にて坪量
70g/m2、ステキヒト・サイズ度23秒の原紙(P
−1)を抄造した。
【0056】この原紙片面に、カール防止剤と、必要に
応じて、カチオン性物質を混合して調製した塗工液を用
いて、その乾燥塗工量が、各々表1の量となるように塗
布した後、乾燥させて記録紙1〜6を得た。得られた記
録紙は、いずれも普通紙としての風合い及び取扱性を有
し、鉛筆での筆記性も良好であった。
【0057】
【表1】
【0058】1)原紙面1平方メートルあたりの含有量 2)ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、商品
名:BTBAC、三洋化成製 3)塩化ベンザルコニウム、商品名:G−50、三洋化
成製 4)ポリアクリルアミン塩酸塩、商品名:PAA・HCl-3L、
分子量:10000、日東紡績製 なお、水性インクとして、下記組成分を混合した各液を
個々に、ポアサイズが0.2μmのメンブレンフィルタ
ー(商品名:フロロポアフィルター、住友電工製)で加
圧濾過して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン
(C)、ブラック(B)のインクを調製した。
【0059】
【表2】
【0060】上記の記録紙1〜6及びインク(4種)を
用いて、1mmあたり14本の割合でノズルを有する熱
の作用によりインク滴を吐出させるインクジェット方式
の記録ヘッドを搭載した記録装置により、記録紙上にカ
ラー画像を形成(印字)した。得られた記録画像につい
て、下記項目について評価した。表3に、各記録紙にお
いて得られた評価結果を示す。
【0061】1.発色性 イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のイン
クを用いて、カラー画像サンプルを印字し、官能評価で
発色性の程度を、下記の3段階に分類して評価した。各
色全般にわたって発色性が良好な場合をB、B段階より
も優れている場合をA、B段階よりも劣っており実用上
問題のある場合をCとした。
【0062】2.文字品位 ブラックインクを用いて、英数文字を印字し、目視にて
評価した。フェザリングが全くないか、またはほとんど
目立たないものを◎、フェザリングがやや目立つが実用
上問題のないレベルのものを○、それ以下のレベルで実
用上問題のあるものを×とした。
【0063】3.ブリーディング イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック各色のイン
クのベタ部分を隣接して印字し、各色の境界部分でのに
じみや不均一な混色(ブリーディング)の発生の程度を
目視により観察して評価した。ブリーディングが全くな
いか、ほとんど発生してないものを◎、ブリーディング
の発生が見られるが実用上問題のない程度に少ないもの
を○、それ以下のレベルで実用上問題のあるものを×と
した。
【0064】4.耐水性 イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック各色のイン
クのベタ画像及び英数文字を印字し、1時間放置後、水
温20℃の水道水中へ10秒間画像サンプルを浸漬し
た。その後、水中から取り出し、濾紙を軽く押し当てて
記録画像面の表面から水分を取り、そそまま風乾し、目
視にて耐水性を評価した。4色のインクのベタ画像いず
れかにおいても、余白部分への染料の流れ出しが全くな
いか、ほとんど見られず、下地汚れもほとんどなく、か
つ4色インクの英数文字のいずれかにおいても、にじみ
の発生が全くないか、ほとんど見られないものを◎、ベ
タ画像のいずれかにおいて、余白部分への染料の流れ出
しがやや発生し、英数文字のいずれかににじみが多少発
生している程度で実用上問題のないものを○、ベタ画像
のいずれかにおいて、余白部分への染料の流れ出しがひ
どく、下地の汚れも著しく、かつ英数文字のにじみもひ
どく、実用上問題のある場合を×とした。
【0065】5.カール イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック各色のイン
クのベタ画像を印字し、1週間放置する。その後、カー
ル発生の有無を評価した。カールがまったく発生しなか
った物を◎、イカ巻き状にカールしてしまったものを×
とした。
【0066】(比較例1)実施例1で抄造した原紙(P
−1)をそのまま記録紙として用いて、実施例1と同様
にしてインクジェット記録を行い、その記録特性を評価
した。表3に、得られた結果を併せて示す。
【0067】
【表3】
【0068】表3に示す評価結果より、本発明の記録紙
を用いると、その表面に含有されているカール防止剤の
作用により、良好なカール防止性能を有する普通紙タイ
プの記録紙となっていることが判る。また、カチオン性
物質をも含有させると、アニオン性記録剤を含む水性イ
ンクを用いるインクジェット記録において、耐水性を格
段に向上させ、また、ブリーディングの抑制効果も高い
ことが分かる。
【0069】
【発明の効果】本発明の記録紙では、普通紙としても利
用可能な、繊維状パルプを主体とする原紙に対して、カ
ール防止剤がその紙面1平方メートルあたり、0.5〜
30gの範囲で含有しているので、水性インクを用いる
インクジェット記録に用いると、カールが事実上発生し
ない、インクジェット記録画像の形成を可能とする。ま
た、カール防止剤に加えて、表面部にカチオン性物質を
も含む記録紙とすることもでき、本発明のインクジェッ
ト記録方法に従って、かかる記録紙を利用して、アニオ
ン性記録剤を用いた水性インクによるインクジェット記
録を行うと、カールが事実上発生しない上に、例えば、
インクの吸収、乾燥(定着)性に優れ、ブリーディング
の発生が抑えられ、かつ良好な耐水性を有する記録画像
の形成が可能となる。このように、本発明の記録紙は、
優れたインクジェット記録特性を有し、しかも普通紙と
しての風合いや取扱性をも具備しており、汎用性が高い
記録紙となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録方法に用い得る、
インクジェット記録装置のヘッド部のインク流路に沿っ
た縦断面部分図である。
【図2】図1に示したヘッド部のA−B線における断面
図である。
【図3】フルカラー・インクジェット記録に用いる、複
数のインク流路を並列配置したマルチヘッドの外観を示
す斜視図である。
【図4】本発明のインクジェット記録方法に用い得るイ
ンクジェット記録装置の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
13 記録ヘッド 14 溝 15 発熱ヘッド 16 保護膜 17−1、17−2 電極 18 発熱抵抗体 19 蓄熱層 20 基板 21 インク 22 吐出口 24 記録小滴 25 記録媒体 26 マルチ溝 27 ガラス板 28 発熱ヘッド 51 給紙部 52 紙送りローラ 53 排紙ローラ 61 ワイピング部材 62 キャップ 63 インク吸収体 64 吐出回復部 65 記録ヘッド 66 キャリッジ 67 ガイド軸 68 モータ 69 ベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼橋 勝彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FA03 FC06 2H086 BA21 BA31 BA37 BA53 BA55 4L055 AA02 AA03 AC06 AG18 AG34 AG35 AG41 AH01 AH11 AH50 EA14 FA30 GA08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性インクを用いるインクジェット記録
    用の記録紙として利用可能な記録紙であって、 繊維状パルプを主体とする原紙に対して、カール防止剤
    がその紙面1平方メートルあたり、0.5〜30gの範
    囲で含有してなることを特徴とする記録紙。
  2. 【請求項2】 前記カール防止剤は、原紙の表面あるい
    は表面近傍に含有されていることを特徴とする請求項1
    に記載の記録紙。
  3. 【請求項3】 カチオン性物質を更に含有していること
    を特徴とする請求項1または2に記載の記録紙。
  4. 【請求項4】 前記カチオン性物質は、原紙の表面ある
    いは表面近傍に含有されていることを特徴とする請求項
    1〜2のいずれかに記載の記録紙。
  5. 【請求項5】 前記カチオン性物質が、カチオン性の有
    機化合物であることを特徴とする請求項3に記載の記録
    紙。
  6. 【請求項6】 前記有機化合物が、高分子またはオリゴ
    マーであることを特徴とする請求項5に記載の記録紙。
  7. 【請求項7】 前記カチオン性物質が、カチオン性の金
    属塩であることを特徴とする請求項3に記載の記録紙。
  8. 【請求項8】 前記カール防止剤の含有比率が、紙面1
    平方メートルあたり1.0g〜10gの範囲であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の記録紙。
  9. 【請求項9】 前記カチオン性物質の含有比率が、紙面
    1平方メートルあたり0.5g〜30gの範囲であるこ
    とを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の記録
    紙。
  10. 【請求項10】 記録信号に従って、インクを記録ヘッ
    ドの吐出口から吐出させ、記録紙表面に画像記録を形成
    するインクジェット記録方法であって、前記記録紙とし
    て、請求項1〜9のいずれかに記載される記録紙を用い
    ることを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 【請求項11】 記録ヘッドからの前記インクの吐出
    が、インクに熱エネルギーを作用させることで行われる
    方式であることを特徴とする請求項10に記載のインク
    ジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 記録に用いるインクが、アニオン性記
    録剤を含むインクであることを特徴とする請求項10ま
    たは11に記載のインクジェット記録方法。
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