JP7206699B2 - インクジェット捺染用浸透液、インクジェット捺染用インクセットおよびインクジェット捺染方法 - Google Patents
インクジェット捺染用浸透液、インクジェット捺染用インクセットおよびインクジェット捺染方法 Download PDFInfo
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Description
染料を含むインクジェット捺染用カラーインクを布帛に浸透させるために用いるインクジェット捺染用浸透液であって、
HSP値が13.6以上のグリコール系溶剤と、水を含有し、
前記グリコール系溶剤の含有量が、前記インクジェット捺染用浸透液に含まれる有機溶剤の総質量に対して95質量%以上であり、
前記グリコール系溶剤の標準沸点が243℃以下である、インクジェット捺染用浸透液。
前記染料が分散染料である、〔1〕に記載のインクジェット捺染用浸透液。
前記グリコール系溶剤は、HSP値が17.0以下である、〔1〕または〔2〕に記載のインクジェット捺染用浸透液。
前記有機溶剤の含有量が、前記インクジェット捺染用浸透液の総質量に対して25質量%以上50質量%以下である、〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つに記載のインクジェット捺染用浸透液。
前記布帛が、ポリエステル布帛又はポリエステル混紡布帛である、〔1〕ないし〔4〕のいずれか一つに記載のインクジェット捺染用浸透液。
前記グリコール系溶剤を2種以上含む、〔1〕ないし〔5〕のいずれか一つに記載のインクジェット捺染用浸透液。
染料を含むインクジェット捺染用カラーインクと、
〔1〕ないし〔6〕のいずれか一つに記載のインクジェット捺染用浸透液と、を備える、インクジェット捺染用インクセット。
前記インクジェット捺染用カラーインクが、前記染料を2種以上含有する、〔7〕に記載のインクジェット捺染用インクセット。
染料を含むインクジェット捺染用カラーインクと、〔1〕ないし〔6〕のいずれか一つに記載のインクジェット捺染用浸透液とを布帛に付着させて印捺する、インクジェット捺染方法。
まず、本実施形態で使用される捺染装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態で使用される捺染装置は、以下の態様に限定されるものではない。
本実施形態で用いられるインクジェット捺染用カラーインクは、染料を含む。本実施形
態で用いられるインクジェット捺染用カラーインクは、本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液と共にインクジェット捺染用インクセットを構成する。また、本実施形態で用いられるインクジェット捺染用カラーインクは、本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液と共に布帛に付着させて印捺するために用いられる。
本実施形態において、インクジェット捺染用カラーインクは、色材として染料を含む。染料としては、分散染料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染料等が挙げられる。
、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169等が挙げられる。
量%以上であることがさらに好ましい。また、上記の染料の含有量の上限は、インクの総質量に対して、15.0質量%以下であることが好ましく、12.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以下であることがさらに好ましい。染料の含有量が前記範囲にあることにより、発色性が向上すると共に、後述する浸透液とのセットとして用いることにより、裏面での発色低下を抑制し、表裏面の色差を小さくすることができる。また、保存安定性及び吐出安定性が向上する傾向にある。
本実施形態において、カラーインクは水を含有することが好ましい。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。カラーインク中における水の含有量は、特に限定されないが、40質量%以上90質量%以下であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、55質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、カラーインクは水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。カラーインクが水溶性有機溶剤を含有することにより、インクジェットヘッドのノズルからのインクの吐出安定性を向上させることができる。このような水溶性有機溶剤として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム構造を有する化合物等が挙げられる。また、これらの水溶性有機溶剤は、1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
2.4.1.界面活性剤
本実施形態において、カラーインクには界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤は、カラーインクの表面張力を低下させて、布帛への濡れ性、つまり布帛への浸透性を調整するための濡れ剤として使用することができる。また、カラーインクが界面活性剤を含有することにより、インクジェットヘッドからインクを吐出する際の安定性が増す。
。また、界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
本実施形態において、カラーインクは、pHを調整する目的でpH調整剤を含有することが好ましい。pH調整剤としては、特に限定されないが、酸、塩基、弱酸、弱塩基、それらの適宜の組み合わせが挙げられ、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の3級アルカノールアミン等が挙げられる。
また、本実施形態において、カラーインクには保湿剤として、あるいは染料の染着性を向上させる染着助剤として尿素類を添加することが好ましい。尿素類としては、例えば、
尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。尿素類を添加する場合には、インクの総質量に対して1質量%以上10質量%以下とすることができる。
本実施形態において、カラーインクには、インクの固化や乾燥を抑制する目的で適量の糖類が添加されてもよい。糖類としては、例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、およびマルトトリオース等が挙げられる。これらの糖類は有機溶剤ではない保湿剤として作用し、使用する場合の含有量は、インクの総質量に対して1質量%以上10質量%以下とすることができる。
本実施形態において、カラーインクにはインク中の不要なイオンを除去する目的で適量のキレート剤を添加してもよい。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩、又は、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、若しくはメタリン酸塩等のエチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類等が挙げられる。キレート剤を添加する場合には、インクの総質量に対して0.01質量%以上1質量%以下とすることができる。
本実施形態において、カラーインクには防腐剤、防かび剤を適宜添加してもよい。防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ロンザジャパン株式会社から販売されるプロキセルCRL、BDN、GXL、XL-2、TN、LV等の1,2-ジベンゾイソチアゾリン-3-オン、バイエルホールディング株式会社から販売されるプリベントール(登録商標)CMK等の4-クロロ-3-メチルフェノール等が挙げられる。
カラーインクは、さらに上記以外の成分として、例えば、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤等、インクジェット用のインクにおいて通常用いることができる添加剤を含有してもよい。
本実施形態において、カラーインクは、上記した各成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過等を行って不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過等を必要に応じて行なうことができる。
2.6.1.pH
本実施形態において、カラーインクは、pHが7.0以上11.0以下であることが好ましく、8.0以上10.5以下であることがより好ましい。カラーインクのpHがこの範囲であれば、インク中における染料の保存安定性が向上し、得られる画像の発色性や色相の変化を生じにくい。これにより、所定のデザインの色を良好に再現することができる。
本実施形態において、インクジェット捺染用カラーインクは、捺染品質とインクジェット用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、30mN/m以上36mN/m以下であることがより好ましい。前記範囲にあることにより、インクジェット捺染において吐出安定性に優れると共に、布帛への付着時にインクが布帛へ均一に濡れ広がりやすく、浸透しやすくなる。これにより、インクが布帛に定着しやすくなる。
また、インクの20℃における粘度は、1.5mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましく、4mPa・s以上5.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの20℃における粘度が上記範囲にある場合には、よりインクが布帛に付着した際に定着しやすくなり、発色性が向上する。
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液(以下、「浸透液」ともいう。)は、上記のインクジェット捺染用カラーインクと共にインクジェット法により布帛に付着させて印捺を行うために用いるものであり、HSP値が13.6以上のグリコール系溶剤と、水を含有し、前記グリコール系溶剤の含有量が、前記インクジェット捺染用浸透液に含まれる有機溶剤の総質量に対して95質量%以上であり、前記グリコール系溶剤の標準沸点が243℃以下である。
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液は、有機溶剤を含み、中でもHSP値が13.6以上であり、かつ、標準沸点が243℃以下のグリコール系溶剤を含む。
HSP値=(δD 2+δP 2+δH 2)0.5/4.18680.5・・・(1)
分散項δD:分子間の分散力によるエネルギー
極性項δP:分子間の双極子相互作用によるエネルギー
水素結合項δH:分子間の水素結合によるエネルギー
態となると、有機溶剤に分散染料が溶解しやすくなり、発色低下を生じることがある。
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液は、水を主溶媒とすることが好ましい。この水は、浸透液を記録媒体である布帛に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、上述したインクで例示した水と同様のものを使用できるので、その例示を省略する。浸透液に含まれる水の含有量は、浸透液の総質量に対して、例えば、40質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量
%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液には、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤を添加することにより、浸透液の表面張力を低下させ、布帛との濡れ性を向上させることができる。界面活性剤としては、上述のインクジェット捺染用カラーインクで例示したものと同様に、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、上述のインクジェット捺染用カラーインクで例示する界面活性剤と同様のものを使用できる。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、浸透液の総質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態で用いられる浸透液には、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート剤等を添加してもよい。その他の成分としては、上述のインクジェット捺染用カラーインクで例示するものと同様のものを使用することができる。
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。上記の各成分を十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するためにろ過し、目的の処理液を得ることができる。
3.6.1.pH
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液は、pHが7.0以上11.0以下であることが好ましく、8.0以上10.5以下であることがより好ましい。浸透液のpHがこの範囲にあることにより、同時に用いるインクの浸透性を制御することができ、布帛の表面での表裏色差を小さくすることができる。また、インク中の染料の分解を抑制することができ、発色の低下が抑制される。
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液は、インクジェット式記録ヘッドで吐出させる場合には、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、30mN/m以上36mN/m以下であることがより好ましい。前記範囲にあることにより、吐出安定性に優れると共に、布帛への付着時に浸透液が布帛へ均一に濡れ広がりやすく、浸透しやすくなる。表面張力の測定は、インクで用いたものと同様である。
本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液の20℃における粘度は、1.5mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましく、4mPa・s以上5.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。浸透液の20℃における粘度が上記範囲にある場合には、より浸透液が布帛に付着した際に定着しやすくなる。粘度の測定は、インクで用いたものと同様である。
本実施形態に係るインクジェット捺染用インクセットは、上述の染料を含むインクジェット捺染用カラーインクと、本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液とにより構成される。
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、布帛に対して行われる。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。本実施形態においては、インクジェット捺染用浸透液はHSP値が13.6以上であり、標準沸点が243℃以下のグリコール系溶剤と、水を含有し、このグリコール系溶剤の含有量が、浸透液に含まれる有機溶剤の総質量に対して95質量%以上であることにより、布帛が、ポリエステル布帛又はポリエステルとエラストマー等との混紡布帛である場合において、表裏色差の小さい印捺を行うことが可能となる。また、特に、インクの染料が分散染料である場合において、表裏面の色差を小さくすることができる。また、複数の分散染料を含む混色インクを用いた場合や、2種以上のカラーインクを含むセットの場合であっても、色変化が生じにくくなる。
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、上述の染料を含むインクジェット捺染用カラーインクと、本実施形態に係るインクジェット捺染用浸透液とを布帛に付着させて印捺することを特徴とし、カラーインク付着工程と浸透液付着工程とを有する。浸透液を布帛に付着させるタイミングは、カラーインクの付着よりも前であっても、カラーインクの付着と同時であっても、カラーインクの付着の後のいずれであってもよい。
ットを用いる場合には、布帛に付着した染料の溶解性を制御して、特定のカラーインクが染着しないことによる画像の色変化を抑制することができる。この効果は、特に染料として分散染料を使用した場合に顕著である。
カラーインク付着工程は、図1に示すインクジェットヘッド2のノズル面と対向する布帛Mの一方の面の少なくとも一部に、上記のカラーインクをインクジェットヘッド2のノズルから吐出して付着する工程である。この工程により、布帛上に染料による画像が形成される。
浸透液付着工程は、図1に示すインクジェットヘッド2のノズル面と対向する布帛Mの一方の面にインクジェットヘッド2のノズルから上記の浸透液を吐出して付着する工程である。浸透液付着工程は、上記カラーインク付着工程の前、カラーインク付着工程と同時、またはカラーインク付着工程の後のいずれであっても良い。
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、カラーインク付着工程により付着された染料を布帛に定着させる定着工程を含んでもよい。
上110℃以下の範囲で行われることが好ましく、ポリエステル等の合成繊維は160℃以上170℃以下の範囲で行われることが好ましい。
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、印捺物を洗浄する洗浄工程を含んでもよい。洗浄工程は、上記の定着工程の後に行われ、繊維に染着していない染料を除去することを目的とする。洗浄工程は、例えば、水、温水を用いて行うことができ、必要に応じて複数回行ってもよいしソーピング処理を行ってもよい。
本実施形態に係るインクジェット捺染方法は、必要に応じて、布帛にアルカリ剤およびヒドロトロピー剤の少なくとも一方を含有する前処理組成物を付与する前処理工程を備えていてもよい。前処理組成物を布帛に付与する方法としては、上記、浸透液を付着する方法と同様の方法が挙げられ、いずれの方法も使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
表1~4に記載の成分を混合し、マグネチックスターラーで2時間混合攪拌した。その後、孔径5μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、インク1~5および浸透液を得た。なお、表1~4中、特に説明の無い限り数値の単位は質量%である。また、イオン交換水は、インクおよび浸透液の総質量が100質量%となるように添加した。
・C.I.ディスパースイエロー163、分散染料
・C.I.ディスパースイエロー114、分散染料
・C.I.ディスパースレッド154、分散染料
・C.I.ディスパースブルー60、分散染料
・C.I.ディスパースブルー165、分散染料
・C.I.リアクティブブラック39、反応性染料
・C.I.リアクティブオレンジ12、反応性染料
・C.I.リアクティブレッド245、反応性染料
・C.I.アシッドブラック172、酸性染料
・オルフィン(登録商標)PD002W:日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤
・オルフィン(登録商標)EXP.4300:日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤
・EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、キレート剤
・プロキセルXL-2:商品名、ロンザジャパン株式会社製、防腐剤
7.2.1.変色の評価
得られたインクおよび表2~4に記載の浸透液をインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、製品名「PX-G930」)のカートリッジに充填した。布帛をプリンターにセットし、インク100%dutyと、浸透液100%dutyとを印字することで、インクと浸透液を布帛の表面に付着させた。画像解像度は1440×720dpiとした。布帛として、染料種に合わせて、ポリエステル100%布帛(坪量:70g/m2)、ポリエステルとエラストマーの混紡布帛(坪量:190g/m2)、綿100%布帛(坪量:130g/m2)、ポリアミドとエラストマーの混紡布帛(坪量:190g/m2)の4種を使用した。
duty(%)=(実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度))×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
ΔE*={(ΔL*)^2+(Δa*^2)+(Δb*^2)}^0.5・・・(2)
ΔL*=L*1-L*2・・・(3)
Δa*=a*1-a*2・・・(4)
Δb*=b*1-b*2・・・(5)
L*1、a*1、b*1は印捺物の表面の値であり、L*2、a*2、b*2は印捺物の裏面の値である。
(評価基準)
S:表面と裏面の色差が1未満
A:表面と裏面の色差が1以上2未満
B:表面と裏面の色差が2以上3未満
C:表面と裏面の色差が3以上4未満
D:表面と裏面の色差が4以上
7.2.1.で得られた印捺物に対し、測色器(商品名「FD-7」、コニカミノルタ株式会社製)を用いて印捺物の表面と裏面のOD値を測定し、その差を求め、下記評価基準により評価した
(評価基準)
A:表面と裏面のOD値の差が0.1未満
B:表面と裏面のOD値の差が0.1以上0.2未満
C:表面と裏面のOD値の差が0.2以上0.3未満
D:表面と裏面のOD値の差が0.3以上
得られたインクおよび表2~4に記載の浸透液をインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、製品名「PX-G930」)のカートリッジに充填した。普通紙をプリンターにセットし、普通紙に対し、インクと浸透液とを用いてA4のベタパターンを記録した。500枚記録した後、ノズルチェックパターンによりインク滴の抜けの発生の有無を目視にて確認し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
S:抜けたノズルの数が0個
A:抜けたノズルの数が1個以上5個未満
B:抜けたノズルの数が5個以上10個未満
C:抜けたノズルの数が10個以上15個未満
D:抜けたノズルの数が15個以上
表4に示す比較例1の浸透液では、HSP値が13.6以上で標準沸点が243℃以下のグリコール系溶剤の含有量が低いため、裏面まで充分にインクが浸透せず、表面と裏面の色差およびOD値の差が大きくなった。また、連続印字の評価も低かった。比較例2~4では、そのようなグリコール系溶剤の含有量が比較例1よりは高く、連続印字の評価が向上したが、表面と裏面の色差およびOD値の差は比較例1と変わらなかった。
も低かった。また、比較例1、14、15より、分散染料種を換えた場合であっても評価は変わらなかった。
イドロット、10…リニアエンコーダー、M…布帛、CONT…制御部
Claims (9)
- 染料を含むインクジェット捺染用カラーインクを布帛に浸透させるために用いるインクジェット捺染用浸透液であって、
HSP値が13.6以上のグリコール系溶剤と、水を含有し、
前記グリコール系溶剤の含有量が、前記インクジェット捺染用浸透液に含まれる有機溶剤の総質量に対して95質量%以上であり、
前記グリコール系溶剤の標準沸点が243℃以下であり、
前記グリコール系溶剤は、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び2-ブチン-1,4-ジオールから選ばれる2種以上であり、少なくとも1,3-ブタンジオール及び1,2-プロパンジオールを含む、インクジェット捺染用浸透液。 - 前記染料が分散染料である、請求項1に記載のインクジェット捺染用浸透液。
- 前記グリコール系溶剤は、HSP値が17.0以下である、請求項1または請求項2に記載のインクジェット捺染用浸透液。
- 前記有機溶剤の含有量が、前記インクジェット捺染用浸透液の総質量に対して25質量%以上50質量%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用浸透液。
- 前記有機溶剤の含有量が、前記インクジェット捺染用浸透液の総質量に対して35質量%以上50質量%以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用浸透液。
- 前記布帛が、ポリエステル布帛又はポリエステル混紡布帛である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用浸透液。
- 染料を含むインクジェット捺染用カラーインクと、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用浸透液と、を備える、インクジェット捺染用インクセット。 - 前記インクジェット捺染用カラーインクが、前記染料を2種以上含有する、請求項7に記載のインクジェット捺染用インクセット。
- 染料を含むインクジェット捺染用カラーインクと、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用浸透液とを布帛に付着させて印捺する、インクジェット捺染方法。
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