JP2019026963A - 処理液の記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】捺染を施した布帛において、色ムラおよび表裏面の発色差の発生を抑えて、画質を向上させる処理液の記録方法を提供すること。
【解決手段】本発明の処理液の記録方法は、色材が含まれるインクを布帛20に付与する第1の工程と、第1の工程の後に、布帛20に付与されたインクに接するように、処理液を付与する第2の工程と、を備え、処理液は、含窒素複素環式化合物を含み、含窒素複素環式化合物の含有量は、処理液の全質量に対して、30質量%以上、50質量%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、処理液の記録方法に関する。
従来、複数種のインクをインクセットとして用いて、それらを布帛に付着させて捺染を行う捺染方法が知られていた。例えば、特許文献1には、酸性染料を着色剤として含有する複数種のインクを備えたインクジェット捺染用インクセットと、浸透液とを併用したインクジェット捺染方法が提案されている。
また、特許文献2には、濃インクと淡インクとを用いる印刷装置において、ラスターライン間の色差を抑制するために、該印刷装置の印刷ヘッドのノズル列配置を、複数のノズル列の並びの中央で左右対称とした印刷装置が提案されている。
特開2016−135822号公報 特開2013−233689号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット捺染方法では、インクの滲みの発生は抑えられるものの、捺染を施した布帛において、画質を向上させることが難しいという課題があった。詳しくは、インクジェット記録装置において、所定の方向にインクジェットヘッドを往復移動させながら印刷(捺染)を行うシリアルプリンターでは、該往復移動の方向と交差する方向に、インクのノズル列が配置されている。そのため、往復移動における往路と復路とで、複数種のインクが布帛に付着される順番が異なることがあった。
したがって、浸透液のノズル列を備えたインクジェットヘッドでは、往路と復路との両方向で捺染を行うと、インクと浸透液とを布帛に付着させる順番が逆転することがあった。この順番が逆転すると、布帛の表面や裏面において色ムラが発生することがあった。特に、色ムラは、複数種のインクが布帛に対して重ねられて付着された場合に顕著になりやすかった。色ムラが顕著になると、捺染を施した製品の外観品質を確保することが難しくなっていた。
また、特許文献2に記載の印刷装置を捺染に用いると、上記の順番を逆転させずに同じくすることが可能であるものの、布帛の表裏面(表面および裏面)において、インクの発色差が発生する場合があるという課題があった。詳しくは、インクの浸透性が確保しにくく、布帛の裏面までインクを浸透させることが難しかった。そのため、捺染を施した表面に対して、裏面ではインクの濃度が薄くなって、表裏面に色材の発色差が生じることがあった。このような表裏面の発色差は、布帛を縫製する際に糸返りの一因となったり、布帛を幟に用いると、裏面側からは捺染で施された画像などが見えにくくなったりすることがあった。
すなわち、捺染を施した布帛において、色ムラおよび表裏面の発色差の発生を抑えて、画質を向上させる方法が求められていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る処理液の記録方法は、色材が含まれるインクを布帛に付与する第1の工程と、第1の工程の後に、布帛に付与されたインクに接するように、処理液を付与する第2の工程と、を備え、処理液は、含窒素複素環式化合物を含み、含窒素複素環式化合物の含有量は、処理液の全質量に対して、30質量%以上、50質量%以下である。
本適用例によれば、捺染を施した布帛において、色ムラおよび表裏面の発色差の発生を抑えて、画質を向上させることができる。詳しくは、第1の工程でインクを布帛に付与した後に、第2の工程で処理液を付与することから、布帛に付与されるインクと処理液との順序が変わらず、布帛の表裏面における色ムラの発生を抑制することができる。また、含窒素複素環式化合物の含有量が、処理液の全質量に対して、30質量%以上、50質量%以下であることから、布帛に対して処理液の浸透性が向上する。そのため、インクに含まれる色材などの成分が、布帛の裏面まで浸透しやすくなり、布帛の表裏面における発色差の発生を抑制することができる。さらに、布帛に付与されたインクに接するように処理液を付与することから、浸透性向上などの処理液の機能がより発現されやすくなる。以上により、捺染を施した布帛において、従来よりも画質を向上させる処理液の記録方法を提供することができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、第1の工程および第2の工程に、インクジェット記録装置を適用することが好ましい。
これによれば、インクジェット記録装置によるインクジェット法を用いるため、第1の工程にて、高精細な画像などを布帛に形成することができる。また、布帛に付与されたインクに接するように、処理液を付与することが容易になる。さらに、布帛に対する処理液の付着量、付与する領域などを容易に調節することができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドは、インクを吐出するインク用ノズル列と、処理液を吐出する処理液用ノズル列と、を有し、インクジェットヘッドが、布帛の所定の範囲を第1の方向に走査している間に、第1の工程および第2の工程が実施され、インクジェットヘッドが、布帛の所定の範囲を、第1の方向と反対の第2の方向に走査している間に、第1の工程および第2の工程が実施されることが好ましい。
これによれば、第1の方向および第2の方向の双方で、第1の工程および第2の工程が行われる。そのため、捺染に要する時間を短縮することができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、含窒素複素環式化合物は、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる1種以上であることが好ましい。
これによれば、布帛に対する処理液の浸透性がさらに向上する。そのため、布帛の表裏面における発色差の発生をさらに抑制することができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、インクは、含窒素複素環式化合物を含み、含窒素複素環式化合物の含有量は、インクの全質量に対して、1質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。
これによれば、含窒素複素環式化合物の含有量が、1質量%以上、10質量%以下であることから、布帛に対するインクの浸透性がより向上する。そのため、捺染を施した布帛において、色ムラや表裏面の発色差の発生がより抑えられ、画質をさらに向上させることができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、第1の工程は、複数種のインクを用いて実施され、複数種のインクは、色材として、C.I.アシッドブラック172、C.I.アシッドブラック52:1のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.アシッドイエロー79を含むインク、色材として、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド289のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.ダイレクトブルー87を含むインク、色材として、C.I.アシッドオレンジ33、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドオレンジ94のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.アシッドレッド407を含むインク、色材として、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー140のうちの1種以上を含むインクから選ばれる2種以上を含むことが好ましい。
これによれば、複数種のインクを用いることから、布帛に複数色の画像などを形成することができる。また、色材が酸性染料または直接染料であることから、絹布などの絹を含む布帛に用いた場合に、捺染を施した布帛の洗濯堅牢性を向上させることができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、複数種のインクは、色材として、C.I.アシッドイエロー184を含むインク、色材として、C.I.アシッドレッド52を含むインク、色材として、C.I.アシッドブルー193を含むインク、色材として、C.I.アシッドブラウン298を含むインクから選ばれる1種以上をさらに含むことが好ましい。
これによれば、絹を含む布帛に対して、布帛に施す画像などの色域(色再現範囲)を拡大することができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、第1の工程は、複数種のインクを用いて実施され、複数種のインクは、色材として、C.I.リアクティブブラック39を含むインク、色材として、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブイエロー95のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.リアクティブレッド31、C.I.リアクティブレッド245のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.リアクティブブルー15:1を含むインク、色材として、C.I.リアクティブオレンジ13を含むインク、色材として、C.I.リアクティブオレンジ3:1を含むインク、色材として、C.I.リアクティブブルー49を含むインクから選ばれる2種以上を含むことが好ましい。
これによれば、複数種のインクを用いることから、布帛に複数色の画像などを形成することができる。また、色材が反応性染料であることから、綿布などの綿を含む布帛に用いた場合に、捺染を施した布帛の洗濯堅牢性を向上させることができる。
上記適用例に記載の処理液の記録方法において、複数種のインクは、色材として、C.I.リアクティブブルー13を含むインク、色材として、C.I.リアクティブオレンジ35を含むインクから選ばれる1種以上をさらに含むことが好ましい。
これによれば、綿を含む布帛に対して、布帛に施す画像などの色域(色再現範囲)を拡大することができる。
実施形態1に係るインクジェット記録装置を示す概略斜視図。 インクジェットヘッドのノズル列の配置を示す平面図。 実施形態3に係るインクジェットヘッドのノズル列の配置を示す平面図。 実施形態4に係るインクジェットヘッドのノズル列の配置を示す平面図。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更が可能であり、そのような変更を伴う処理液の記録方法もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
(実施形態1)
本実施形態に係る処理液およびインクについて、インクジェット法に用いられる水性の処理液(以降、単に「処理液」ともいう。)、および水性のインクジェットインク(以降、単に「インク」ともいう。)を例に挙げて説明する。なお、インクジェット法とは、インクジェット記録装置などのインクジェットヘッドのノズルから、インクなどの液滴を吐出して、布帛などの記録媒体に付与する記録方法である。
<処理液>
本実施形態に係る処理液は、布帛に捺染を施す際に、布帛に付与されたインクに接するように付与して用いる。処理液は、含窒素複素環式化合物および水を含む。処理液を用いることにより、処理液が備える浸透性によって、布帛に対するインクの浸透性が向上し、布帛の裏面までインクの成分が浸透しやすくなる。以下、本実施形態に係る処理液に含有される各成分から説明する。
[含窒素複素環式化合物]
含窒素複素環式化合物は、比較的に高い極性を有しているため、布帛に対する処理液の浸透性を向上させる。含窒素複素環式化合物の含有量は、処理液の全質量に対して、30質量%以上、50質量%以下である。好ましくは、35質量%以上、45質量%以下であり、より好ましくは、37質量%以上、40質量%以下である。含窒素複素環式化合物の含有量を、30質量%以上とすることにより、布帛に対する処理液の浸透性が向上する。これにより、処理液の前に布帛に付与されたインクの浸透性を向上させることができる。含窒素複素環式化合物の含有量を、50質量%以下とすることにより、処理液の粘度が過度に増大することが抑えられ、インクジェットヘッドから処理液を安定して吐出させることができる。
含窒素複素環式化合物は、浸透性の向上効果を備えていれば特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる1種以上を用いることが好ましく、2−ピロリドンを用いることがより好ましい。このような含窒素複素環式化合物を用いることによって、処理液の浸透性をより向上させことができる。
[水]
上述したように、本実施形態の処理液は、水を溶媒として含む、水性の処理液である。水は、処理液を布帛に付与した後に、乾燥によって蒸発する成分である。水としては、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、ならびに超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが採用可能である。また、紫外線照射や過酸化水素の添加などによって滅菌した水を使用すると、処理液を長期間保存する場合に、カビやバクテリアの発生を抑制することができる。
処理液に含まれる水の含有量は、特に限定されないが、処理液の全質量に対して、5質量%以上、60質量%以下であり、10質量%以上、50質量%以下が好ましく、15質量%以上、40質量%以下がより好ましい。水の含有量を上記の範囲とすることにより、処理液の粘度の増大を抑えて、処理液を布帛に付与する際の作業性、および付与した後の乾燥性を向上させることができる。
[界面活性剤]
処理液には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、処理液の表面張力を低下させて、布帛に対する処理液の濡れ性を高める。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
処理液に界面活性剤を添加する場合の含有量は、処理液の全質量に対し、0.2質量%以上、2.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、1.5質量%以下である。さらにより好ましくは、0.8質量%以上、1.0質量%以下である。界面活性剤の含有量を0.2質量%以上とすることにより、布帛に対する処理液の濡れ性を向上させることができる。界面活性剤の含有量を2.0質量%以下とすることにより、処理液の表面張力が過度に低下することを抑え、処理液の起泡性(泡立ちやすさ)を抑えることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などを用いることができる。これらの界面活性剤を用いることにより、少量の含有量で、布帛に対する処理液の濡れ性を向上させることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール、2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキシド付加物、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
このようなアセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品を用いてもよい。例えば、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc.社)、オルフィン(登録商標)B、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上商品名、日信化学工業社)、アセチレノール(登録商標)E00、E00P、E40、E100(以上商品名、川研ファインケミカル社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、市販品が採用可能であり、例えば、メガファック(登録商標)F−479(商品名、DIC社)、BYK−340(商品名、BYK社)などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が採用可能である。ポリシロキサン化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−302、306、307、333、341、345、346、347、348(以上商品名、BYK社)、KF−351A、352A、353、354L、355A、615A、945、640、642、643、6020、6011、6012、6015、6017、X−22−4515(以上商品名、信越化学工業社)などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、石けん、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテルリン酸エステル塩などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩化合物、N−メチルビスヒドロキシエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩などのアミン塩化合物が挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、カチオン性化合物として上述したものを用いてもよい。
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルアミノ脂肪酸塩などのアミノ酸化合物が挙げられる。
上述した界面活性剤は、1種単独または複数種を用いてもよい。また、これらのうち、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値が13以上の界面活性剤を用いることが好ましい。これによれば、処理液を布帛に付与した際に、布帛に対する浸透と濡れ広がりとの挙動を調節することができる。
[他の有機溶剤]
処理液には、上述した含窒素複素環式化合物に加えて、他の有機溶剤を添加してもよい。他の有機溶剤を添加することにより、粘度、表面張力などの物性や、布帛に付与した際の乾燥、濡れ広がりなどの処理液の挙動を調節することができる。他の有機溶剤としては、例えば、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独または複数種を用いることが可能である。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどが挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、布帛に対する処理液の濡れ性を高めて、均一に濡らす作用に優れている。そのため、インクによって形成される画像などにおいて、にじみの発生を抑えることができる。1,2−アルカンジオール類を添加する場合の含有量は、処理液の全質量に対して、1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリンなどが挙げられる。多価アルコール類を処理液に添加することよって、インクジェットヘッドの吐出ノズル内における処理液の乾燥や固化を抑制して、吐出ノズルの目詰まりや吐出不良などを低減することができる。多価アルコール類を添加する場合の含有量は、処理液の全質量に対して、2質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。なお、20℃では固体の多価アルコール類も、有機溶剤の多価アルコール類と同様な作用を有しており、同様に用いてもよい。20℃で固体の多価アルコール類としては、例えば、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルやアルキレングリコールジエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルトリグリコール)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
グリコールエーテル類を処理液に添加することによって、布帛に対する濡れ性や浸透速度を調節することができる。グリコールエーテル類を添加する場合の含有量は、処理液の全質量に対して、0.05質量%以上、5質量%以下であることが好ましい。
上述した他の有機溶剤は、複数種を混合して用いてもよい。その場合、処理液における他の有機溶剤の合計の含有量は、処理液の全質量に対し、好ましくは25質量%以上、40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上、35質量%以下である。他の有機溶剤の合計の含有量を上記の範囲内とすることにより、処理液の粘度の増大、布帛における挙動(乾燥や濡れ広がりなど)の調節、インクジェットヘッドの吐出不良低減などが可能となる。
[その他の成分]
処理液には、pH調整剤、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、キレート剤、腐食防止剤などの種々の添加剤を添加してもよい。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば有機塩基、無機塩基が挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミンなどのアルカノールアミン類が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である強塩基を用いることができる。これらのpH調整剤を用いて、処理液のpHを7.5以上、10.5以下の範囲に調整することが好ましい。処理液のpHを上記範囲とすることにより、インクジェットヘッドを含むインクジェット記録装置などにおいて、撥インク膜などの部材の腐食を抑えることができる。
防腐剤や防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(LONZA社の商品名 PROXEL CRL、PROXEL BDN、PROXEL GXL、PROXEL XL−2、PROXEL TN)などが挙げられる。防腐剤や防かび剤を処理液に添加することにより、処理液中にバクテリアやカビが繁殖することを抑制できる。
[処理液の調製方法]
処理液は、上述した各成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することで調製することができる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、材料(成分)を順次添加して撹拌、混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過などが採用可能である。
[処理液の物性]
処理液の物性は、布帛の種類に応じて任意に調節される。布帛の種類については後述する。
処理液の20℃における粘度は、特に限定されないが、1.5mPa・s(ミリパスカル秒)以上、15mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上、5mPa・s以下であり、さらにより好ましくは1.5mPa・s以上、3.6mPa・s以下である。処理液の粘度を上記の範囲とすることにより、布帛に付与する際に、インクジェットヘッドから処理液を安定して吐出させると共に、処理液を付与する工程(第2の工程)に要する時間を短縮することができる。
処理液の粘度は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社)を用いて測定する。具体的には、処理液の温度を20℃に調整し、Shear Rateを10から1000に上げ、Shear Rateが200のときの粘度を読み取ることにより測定することが可能である。
処理液の25℃における表面張力は、例えば、30mN/m以上、60mN/m以下とすることが好ましく、より好ましくは35mN/m以上、50mN/m以下である。処理液の25℃における表面張力を上記の範囲とすることにより、処理液を付与する際に、布帛に対する濡れ性を向上させることができる。
処理液の表面張力は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社)を用いて測定する。具体的には、25℃の環境下にて、白金プレートを処理液で濡らしたときの表面張力を読み取ることにより、測定することが可能である。
<インク>
次に、本実施形態のインクについて説明する。本実施形態のインクは、色材、含窒素複素環式化合物、水を含む、水性のインクジェットインクである。以下、本実施形態のインクに含まれる成分から説明する。
[色材]
本実施形態に係るインクは、色材を含んでいる。色材を含むことにより、捺染を施した布帛(印捺物)に画像などを形成することが可能となる。色材としては、捺染を施す布帛の形成材料などに応じて、顔料または染料が採用可能である。
顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料のいずれも採用可能である。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料などの多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキ顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロムなどの金属酸化物顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
顔料を用いる場合の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、例えば、0.1質量%以上、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、20質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上、15質量%以下である。顔料の含有量を上記の範囲内とすることにより、印捺物において、顔料の発色を確保すると共に、インクの粘度上昇やインクジェットヘッドの目詰まりの発生を抑えることができる。
色材として顔料を用いる場合は、インク中での分散性を高めるために、顔料に表面処理を施すか、分散剤などを配合することが好ましい。顔料の表面処理とは、物理的処理または化学的処理によって、顔料の粒子表面にカルボキシ基やスルホ基などの親水性基を導入する方法である。顔料の表面処理によって、顔料を水系の溶媒(水性溶媒)中に分散することが可能となる。
水性溶媒に用いる分散剤は、分子構造における疎水部(疎水基)が顔料の粒子表面に吸着し、親水部(親水基)が溶媒側(媒体側)に配向する作用を有している。この作用により、顔料を水性溶媒中で分散することが可能となる。分散剤としては、公知の界面活性剤や樹脂を用いることが可能である。また、樹脂などで顔料粒子を被覆し、分散性を付与する方法を用いてもよい。顔料粒子を被覆する方法としては、酸析法、転相乳化法、ミニエマルション重合法などが採用できる。
染料としては、例えば、酸性染料、塩基性染料、直接染料などの水溶性染料、分散剤(界面活性剤)を併用する分散染料、反応性染料などが挙げられ、公知の染料が採用可能である。染料は、染料の分子と、布帛の形成材料が有する官能基とが化学結合を形成して、染着することにより捺染がなされる。特に、水溶性を備えた染料は、顔料のようにインク中に粒子で存在する色材と比べて、布帛に付与した際に浸透性が発現されやすい。そのため、印捺物における裏面の外観品質を重視する製品へ好適に用いられる。また、布帛の形成材料に応じて適切な染料を選択すれば、顔料を色材に用いたインクと比べて、印捺物の洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を向上させることができる。
上述した染料の中でも、汎用品に対して比較的に高級な製品に用いられる絹を含む布帛に好適な、酸性染料または直接染料、あるいは布帛として普及している綿を含む布帛に好適な反応性染料を、布帛の形成材料に応じて用いることが好ましい。
酸性染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.(Colour Index Generic Name)アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、49、54、59、60、62、72、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、133、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、185、187、192、193、199、203、204、205、225、229、234、236、247、249、300、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、19、24、26、27、28、32、35、37、42、51、52、57、62、75、77、80、82、83、85、87、88、89、92、94、95、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、149、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、199、209、211、215、216、217、219、249、252、254、256、257、260、263、265、266、274、276、282、283、289、303、317、318、320、321、322、361、407、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、25、29、32、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、112、114、116、118、119、127、128、131、135、141、142、161、162、163、164、165、169、184、207、219、246、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、51、52、52:1、58、60、62、63、64、67、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、118、119、121、122、131、132、139、140、155、156、157、158、159、172、191、234、C.I.アシッドオレンジ1、7、8、10、19、20、24、28、33、41、43、45、51、56、63、64、65、67、74、80、82、85、86、87、88、94、122、123、124、C.I.アシッドバイオレット7、11、15、31、34、35、41、43、47、48、49、51、54、66、68、75、78、97、106、C.I.アシッドグリーン3、7、9、12、16、19、20、25、27、28、35、36、40、41、43、44、48、56、57、60、61、65、73、75、76、78、79、C.I.アシッドブラウン2、4、13、14、19、20、27、28、30、31、39、44、45、46、48、53、100、101、103、104、106、160、161、165、188、224、225、226、231、232、236、247、256、257、266、268、276、277、282、289、294、295、296、297、298、299、300、301、302などが挙げられる。
直接染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、9、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144、C.I.ダイレクトブラック17、19、22、32、35、38、51、56、62、71、74、75、77、94、105、106、107、108、112、113、117、118、132、133、146、154、168、171などが挙げられる。
以上に上げた酸性染料および直接染料の中でも、印捺物の洗濯堅牢性や色域拡大の観点から、C.I.アシッドブルー112、140、193、C.I.アシッドレッド52、138、249、289、407、C.I.アシッドイエロー79、184、C.I.アシッドブラック52:1、172、C.I.アシッドオレンジ33、56、94、C.I.アシッドブラウン298、C.I.ダイレクトブルー87を用いることが好ましい。
反応性染料としては、公知の染料が採用可能であり特に限定されないが、例えば、C.I.リアクティブブルー2、3、5、7、13、14、15:1、21、25、26、38、39、40、41、46、49、50、69、72、109、120、143、176、C.I.リアクティブレッド2、4、7、12、13、14、15、16、29、31、32、33、43、45、46、55、58、59、79、106、111、124、218、245、C.I.リアクティブイエロー2、3、6、7、12、15、18、22、37、42、57、69、76、81、86、95、102、125、135、181、C.I.リアクティブブラック1、3、4、5、10、12、13、14、31、34、35、39、Huntsmanブラック、C.I.リアクティブオレンジ2、3:1、5、13、20、35、99、C.I.リアクティブバイオレット1、2、33、C.I.リアクティブグリーン5、8、C.I.リアクティブブラウン1、2、7、8、9、11、14などが挙げられる。
以上に上げた反応性染料の中でも、印捺物の洗濯堅牢性や色域拡大の観点から、C.I.リアクティブブルー13、15:1、49、C.I.リアクティブレッド31、245、C.I.リアクティブイエロー2、95、C.I.リアクティブブラック39、C.I.リアクティブオレンジ3:1、13、35を用いることが好ましい。
以上に挙げた染料を色材として、1種単独、または複数種を組み合せて用いることができる。
染料を用いる場合の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、例えば、0.5質量%以上、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは1質量%以上、25質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上、20質量%以下である。染料の含有量を上記の範囲内とすることにより、印捺物において、染料の発色を確保すると共に、インクの粘度増大や吐出ノズルの目詰まりの発生を抑えることができる。
[含窒素複素環式化合物]
含窒素複素環式化合物は、極性溶媒の中でも高い極性を有しているため、布帛に対するインクの浸透性をさらに向上させる。含窒素複素環式化合物の含有量は、インクの全質量に対して、1質量%以上、10質量%以下である。好ましくは、2質量%以上、8質量%以下であり、より好ましくは、3質量%以上、6質量%以下である。含窒素複素環式化合物の含有量を、1質量%以上とすることにより、布帛に対するインクの浸透性を向より上させることができる。含窒素複素環式化合物の含有量を、10質量%以下とすることにより、インクの粘度が過度に増大することが抑えられ、インクジェットヘッドからインクを安定して吐出させることができる。含窒素複素環式化合物としては、浸透性の向上の観点から、上述した処理液と同様な含窒素複素環式化合物を用いることが好ましく、2−ピロリドンを用いることがより好ましい。
[水]
上述したように、本実施形態のインクは水性のインクジェットインクであって、水を溶媒として含んでいる。水は、インクを布帛に付与した後に、乾燥によって蒸発する成分である。水としては、上述した処理液と同様なものが採用可能である。
インクに含まれる水の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、10質量%以上、80質量%以下であり、20質量%以上、75質量%以下が好ましく、30質量%以上、70質量%以下がより好ましい。水の含有量を上記の範囲とすることにより、インクの粘度の増大を抑えて、インクを布帛に付与する際の作業性、および付与した後の乾燥性を向上させることができる。
[他の有機溶剤]
インクには、上述した含窒素複素環式化合物に加えて、他の有機溶剤を添加してもよい。他の有機溶剤を添加することにより、粘度、表面張力などの物性や、布帛に付与した際の乾燥、濡れ広がりなどのインクの挙動を調節することができる。他の有機溶剤としては、例えば、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独または複数種を用いることが可能である。
1,2−アルカンジオール類としては、上述した処理液と同様なものが採用可能である。1,2−アルカンジオール類は、布帛に対するインクの濡れ性を高めて、均一に濡らす作用に優れている。そのため、インクによって形成される画像などにおいて、にじみの発生を抑えることができる。1,2−アルカンジオール類を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対して、1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
多価アルコール類としては、上述した処理液を同様なものが採用可能である。多価アルコール類をインクに添加することよって、インクジェットヘッドの吐出ノズル内におけるインクの乾燥や固化を抑制して、吐出ノズルの目詰まりや吐出不良などを低減することができる。多価アルコール類を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対して、2質量%以上、30質量%以下であることが好ましい。
グリコールエーテル類としては、上述した処理液と同様なものが採用可能である。グリコールエーテル類をインクに添加することによって、布帛に対する濡れ性や浸透速度を調節することができる。グリコールエーテル類を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対して、0.05質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。
上述した他の有機溶剤は、複数種を混合して用いてもよい。その場合、インクにおける他の有機溶剤の合計の含有量は、インクの全質量に対し、好ましくは10質量%以上、35質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上、30質量%以下である。他の有機溶剤の合計の含有量を上記の範囲内とすることにより、インクの粘度の増大、布帛における挙動(乾燥や濡れ広がりなど)の調節、インクジェットヘッドの吐出不良低減などが可能となる。
[界面活性剤]
インクには、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、インクの表面張力を低下させて、布帛に対するインクの濡れ性を高める。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤としては、上述した処理液と同様なものが採用可能である。
インクに界面活性剤を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対し、0.01質量%以上、3質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、2質量%以下である。さらにより好ましくは、0.1質量%以上、1質量%以下である。界面活性剤の含有量を0.01質量%以上とすることにより、布帛に対するインクの濡れ性を向上させることができる。界面活性剤の含有量を3質量%以下とすることにより、インクの表面張力が過度に低下することを抑え、インクの起泡性(泡立ちやすさ)を抑えることができる。
界面活性剤は、1種単独または複数種を用いてもよい。また、これらのうち、HLB値が13以上の界面活性剤を用いることが好ましい。これによれば、インクを布帛に付与した際に、布帛に対する浸透と濡れ広がりとの挙動を調節することができる。
[その他の成分]
インクには、pH調整剤、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、キレート剤、定着剤などの種々の添加剤を添加してもよい。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、有機塩基、無機塩基が挙げられる。有機酸、無機酸としては、上述した処理液と同様なものが採用可能である。pH調整剤を用いて、インクのpHを7.5以上、10.5以下の範囲に調整することが好ましい。インクのpHを上記範囲とすることにより、インクジェットヘッドを含むインクジェット記録装置などにおいて、撥インク膜などの部材の腐食を抑えることができる。
防腐剤や防かび剤としては、上述した処理液と同様なものが採用可能である。防腐剤や防かび剤をインクに添加することにより、インク中にバクテリアやカビが繁殖することを抑制できる。
キレート剤は、金属イオンなどを捕捉して錯体を形成する。そのため、インクにキレート剤を用いると、インク中に不純物として含まれたり、インクが接触する部材から混入したりした金属イオンを捕捉して、金属イオンに由来する異物の発生を低減することができる。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸塩(EDTA)、エチレンジアミンのニトリロ3酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩などが挙げられる。
[インクの調製]
本実施形態のインクは、上述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することで調製することができる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、材料(成分)を順次添加して撹拌、混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過などが採用できる。
[インクの物性]
インクの粘度は20℃において、2mPa・s以上、15mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、2mPa・s以上、5mPa・s以下であり、さらにより好ましくは、2mPa・s以上、3.6mPa・s以下である。インクの粘度を上記の範囲内にすることにより、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性および吐出量を確保することができる。また、上記の範囲から外れる粘度の場合は、インクジェットヘッドにおけるインクの吐出条件やインクジェットヘッドの種類を変更することにより、インクの吐出安定性を確保できる場合があり、例えば温度調整条件下であれば22mP・aまで吐出安定性を確保することができる場合がある。インクの粘度は、上述した処理液と同様な方法で測定することが可能である。
インクの25℃における表面張力は、例えば、10mN/m以上、40mN/m以下とすることが好ましく、より好ましくは、25mN/m以上、40mN/m以下である。インクの25℃における表面張力を上記の範囲とすることにより、捺染を行う際に、布帛に対する濡れ性や、処理液の成分との接触を促進することができる。インクの粘度および表面張力は、上述した処理液と同様な方法で測定することが可能である。
<インクセット>
色材の種類や含有量などを変更して複数種のインクを準備し、これらをインクセットとして用いる。複数種のインクをインクセットとして組み合せて用いれば、カラーの印捺物を作製することが可能となる。
酸性染料または直接染料を含む染料インクセットの一例として、複数種のインクは、色材として、C.I.アシッドブラック172、C.I.アシッドブラック52:1のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.アシッドイエロー79を含むインク、色材として、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド289のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.ダイレクトブルー87を含むインク、色材として、C.I.アシッドオレンジ33、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドオレンジ94のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.アシッドレッド407を含むインク、色材として、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー140のうちの1種以上を含むインクから選ばれる2種以上を含むことが好ましい。これによれば、絹を含む布帛に用いた場合に、捺染を施した布帛の洗濯堅牢性を向上させることができる。
上記の酸性染料または直接染料を含む染料インクセットの一例において、複数種のインクは、色材として、C.I.アシッドイエロー184を含むインク、色材として、C.I.アシッドレッド52を含むインク、色材として、C.I.アシッドブルー193を含むインク、色材として、C.I.アシッドブラウン298を含むインクから選ばれる1種以上をさらに含むことが好ましい。これによれば、絹を含む布帛に対して、布帛に施す画像などの色域(色再現範囲)を拡大することができる。
反応性染料を含む染料インクセットの一例として、複数種のインクは、色材として、C.I.リアクティブブラック39を含むインク、色材として、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブイエロー95のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.リアクティブレッド31、C.I.リアクティブレッド245のうちの1種以上を含むインク、色材として、C.I.リアクティブブルー15:1を含むインク、色材として、C.I.リアクティブオレンジ13を含むインク、色材として、C.I.リアクティブオレンジ3:1を含むインク、色材として、C.I.リアクティブブルー49を含むインクから選ばれる2種以上を含むことが好ましい。これによれば、綿を含む布帛に用いた場合に、捺染を施した布帛の洗濯堅牢性を向上させることができる。
上記の反応性染料を含む染料インクセットの一例において、複数種のインクは、色材として、C.I.リアクティブブルー13を含むインク、色材として、C.I.リアクティブオレンジ35を含むインクから選ばれる1種以上をさらに含むことが好ましい。これによれば、綿を含む布帛に対して、布帛に施す画像などの色域(色再現範囲)を拡大することができる。
<インクジェット記録装置>
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置について、図1を参照して説明する。インクジェット記録装置は、液滴を吐出するインクジェット法を用いて、布帛などの記録媒体にインクまたは処理液の液滴を付与して印刷(捺染)を行う装置である。図1は、実施形態1に係るインクジェット記録装置を示す概略斜視図である。本実施形態では、インクジェット記録装置として、インクカートリッジがキャリッジに搭載されたオンキャリッジタイプのプリンターを例に挙げて説明する。なお、図1においては、各部材を認識可能な程度の大きさとするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
本実施形態のインクジェット記録装置としてのプリンター1は、いわゆるシリアルプリンターと呼ばれているものである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにインクジェットヘッド(以降、単に「ヘッド」ともいう。)が搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動しながら印刷を行うプリンターをいう。
プリンター1は、図1に示すように、キャリッジ4、キャリッジ4に搭載されたヘッド30、主走査機構5、プラテンローラー6、プリンター1全体の動作を制御する制御部(図示せず)を有している。
主走査機構5は、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト8、タイミングベルト8を駆動するモーター9、ガイド軸10を有している。ガイド軸10は、キャリッジ4の支持部材として、キャリッジ4の走査方向(主走査方向)に架設されている。キャリッジ4は、タイミングベルト8を介してモーター9によって駆動され、ガイド軸10に沿って、主走査方向に往復移動が可能である。
プラテンローラー6は、捺染を施す記録媒体である布帛20を、主走査方向と直交する副走査方向(布帛20の長さ方向)に、搬送する。プラテンローラー6によって、布帛20は副走査方向に搬送される。また、キャリッジ4は、布帛20の幅方向と略一致する主走査方向に往復移動が可能である。これにより、ヘッド30では、布帛20に対して主走査方向および副走査方向へ、相対的に走査が可能となっている。
キャリッジ4の主走査方向における片方の端部には、ワイパー11が設けられている。ワイパー11は、例えば、略長方形の板状の部材であって、弾性および柔軟性を備えた樹脂などが形成材料として用いられる。ワイパー11は、後述するノズル面をクリーニング(ヘッドクリーニング)した際に、ノズル面に付着したインクを拭き取る。具体的には、ノズル面にワイパー11が当接した状態で、キャリッジ4を主走査方向に移動させて、ノズル面に対してワイパー11を摺動させる。このようなワイピンング動作により、ノズル面に付着しているインクがノズル面から排除される。ノズル面にインクが付着していると、印捺物における混色(意図しない色が印刷されること)やノズルの吐出不良が発生することがある。
ここで、ヘッド30の主走査方向をX方向、ヘッド30の副走査方向をY方向、X方向およびY方向と略直交するプリンター1の高さ方向をZ方向とする。また、X方向において、ヘッド30がワイパー11から遠ざかる方向をX1方向、X1方向と反対の方向をX2方向とする。
キャリッジ4には、処理液を収納する処理液カートリッジ7a,7i、およびインクを収納するインクカートリッジ7b,7c,7d,7e,7f,7g,7hが着脱可能である。ここで、処理液カートリッジ7a,7iおよびインクカートリッジ7b,7c,7d,7e,7f,7g,7hを総称して、以降単に「カートリッジ7」ということもある。カートリッジ7は、独立した9つの液体容器である。キャリッジ4においてカートリッジ7は、X方向に沿って並んで装着され、X1方向に向かって、処理液カートリッジ7a、インクカートリッジ7b,7c,7d,7e,7f,7g,7h、処理液カートリッジ7iの順に配置される。
インクカートリッジ7b,7c,7d,7e,7f,7g,7hには、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの、上述したインクがそれぞれ収納され、これらを合わせてインクセットが構成されている。図1では、カートリッジ7の数を合計で9個としているが、これに限定されるものではない。カートリッジ7の底部には、収納された処理液およびインクを、各々ヘッド30へ供給するための供給口(図示せず)が設けられている。キャリッジ4にカートリッジ7が装着されると、カートリッジ7に収納された処理液およびインクは、ヘッド30に供給される。
[インクジェットヘッド]
次に、ヘッド30におけるノズル列の配置について、図2を用いて説明する。図2は、インクジェットヘッドのノズル列の配置を示す平面図である。ここで、図2は、プリンター1において、布帛20の側から仰視したヘッド30の外観を示している。
ヘッド30は、布帛20と対向する面にノズル面31を有している。ノズル面31には、フッ素化合物およびシリコーン化合物を含む高分子膜、あるいはニッケルおよびフッ素化合物を含む共析メッキ膜などを、撥インク膜として形成してもよい。
ヘッド30(ノズル面31)は、インクを吐出するインク用ノズル列35b,35c,35d,35e,35f,35g,35hと、処理液を吐出する処理液用ノズル列35a,35iと、を有している。ここで、インク用ノズル列35b,35c,35d,35e,35f,35g,35hと、処理液用ノズル列35a,35iと、を総称して、以降、単に「ノズル列35」ということもある。ノズル列35は、複数のノズルが線状に並んで形成され、X方向(X1方向およびX2方向)と略直交するように配置されている。ノズル列35では、X2方向に向かって順に、処理液用ノズル列35a、インク用ノズル列35b,35c,35d,35e,35f,35g,35h、処理液用ノズル列35iが配置されている。
カートリッジ7に収納された処理液およびインクは、ヘッド30へ供給され、ヘッド30内の駆動手段としてのアクチュエーター(図示せず)によって、対応するノズル列35から液滴として吐出される。吐出された液滴は布帛20に付与される。なお、図2では、ノズル列35におけるノズルの数を模式的に示しており、ノズルの数はこれに限定されるものではない。
ヘッド30では、アクチュエーターとして圧電素子を用いているが、この方式に限定されない。例えば、アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、加熱によって生じる気泡によってインクや処理液を液滴として吐出させる電気熱変換素子を用いてもよい。
ノズル列35における、処理液および複数種のインクの配置について説明する。詳細は後述するが、本発明の処理液の記録方法では、インクを布帛20に付与した後に、該インクに接するように処理液を付与する。すなわち、プリンター1はシリアルプリンターであることから、X1方向およびX2方向のいずれの方向にヘッド30が走査されても、インク、処理液の順に布帛20に付与される。これにより、色ムラの発生を抑制することができる。
また、インクセットを構成する複数種のインクにおいても、X1方向とX2方向とで、布帛20に付与される順番を等しくすることが好ましい。染料は、顔料と比べて布帛20に対する浸透性が高いため、染料の種類や含有量が異なるインクを重畳して布帛20に付与する場合に、X1方向とX2方向とで付与されるインクの順番が異なると、X1方向とX2方向との間に色相差が発生することがある。このような色相差が顕著になると、色ムラとなる。
そのため、本実施形態のヘッド30におけるノズル列35の配置の一例としては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの4色の色構成のインクセットを用いる場合に、ブラックインク用にインク用ノズル列35e、シアンインク用にインク用ノズル列35d,35f、マゼンタインク用にインク用ノズル列35c,35g、イエローインク用にインク用ノズル列35b,35hを採用する。また、上述した通り、処理液用として、処理液用ノズル列35a,35iを採用する。
このインクおよび処理液のノズル列35の配置により、ヘッド30の走査方向がX1方向で捺染を行う場合には、領域32b内のノズル列35を用いる。すなわち、インク用ノズル列35e(ブラックインク)、インク用ノズル列35f(シアンインク)、インク用ノズル列35g(マゼンタインク)、インク用ノズル列35h(イエローインク)、処理液用ノズル列35i(処理液)の順序で、布帛20に複数種のインクおよび処理液を付与することが可能となる。
また、ヘッド30の走査方向がX2方向で捺染を行う場合には、領域32a内のノズル列35を用いる。すなわち、インク用ノズル列35e(ブラックインク)、インク用ノズル列35d(シアンインク)、インク用ノズル列35c(マゼンタインク)、インク用ノズル列35b(イエローインク)、処理液用ノズル列35a(処理液)の順序で、布帛20に複数種のインクおよび処理液を付与することが可能となる。これによって、X1方向とX2方向とで、布帛20に付与されるインクおよび処理液の順序が同じになり、色ムラの発生をさらに抑制することができる。
なお、上述したインクセットの数および色構成、ノズル列35における処理液およびインクの配置は一例であって、これに限定されるものではない。
本実施形態では、インクジェット記録装置としてオンキャリッジタイプのプリンター1を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、カートリッジ7などの液体容器が、キャリッジ4に搭載されない、オフキャリッジタイプのプリンターであってもよい。
[布帛]
布帛20の形成材料としては、例えば、綿、麻などの植物性繊維、絹、羊毛などの動物性繊維、ナイロン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタンなどの合成繊維、ポリ乳酸などの生分解性繊維などが挙げられる。布帛20の形態としては、上記の形成材料を単独あるいは混紡繊維として用いた、例えば、織物、編物、不織布などが挙げられ、これらを、衣類やその他の服飾品などとしたものが挙げられる。具体的には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー、壁紙などのファーニチャー類、布看板、横断幕などの掲示物の他、縫製前の部品としての裁断前後の布地なども含まれる。布地の形態としては、ロール状に巻かれた長尺のもの、所定の大きさに切断されたもの、商品形状のものなどが挙げられる。
インクに用いる色材は、布帛の形成材料に対する適合性を考慮して選択することが好ましい。例えば、これに限定されるものではないが、酸性染料および直接染料は羊毛、ナイロン、絹などに、分散染料はポリエステル、アセテート、ナイロンなどに、反応性染料は綿、麻、レーヨン、絹などに、それぞれ用いることが好ましい。また、顔料は布種に制約されないが、主に綿に適用可能である。これらの染料の中でも、汎用品に対して比較的に高級な製品に用いられる絹を含む布帛に好適な、酸性染料または直接染料、あるいは布帛として普及している綿を含む布帛に好適な反応性染料を、布帛の形成材料に応じて用いることが好ましい。
<処理液の記録方法>
次に、本実施形態に係る処理液の記録方法について説明する。本実施形態の処理液の記録方法は、色材が含まれる複数種のインクを布帛20に付与する第1の工程と、第1の工程の後に、布帛20に付与されたインクに接するように、処理液を付与する第2の工程と、を備える。
また、本実施形態の処理液の記録方法は、プリンター1を適用したインクジェット記録方法であり、ヘッド30が、布帛20の所定の範囲を第1の方向としてのX1方向に走査している間に、第1の工程および第2の工程が実施され、ヘッド30が、布帛20の所定の範囲を、X1方向と反対の第2の方向としてのX2方向に走査している間に、第1の工程および第2の工程が実施される。
[第1の工程]
第1の工程では、プリンター1のヘッド30からインクの液滴を吐出して、布帛20に付与する。第1の工程は、複数種のインクを用いて実施される。このとき、複数種のインクの液滴を、所定のタイミングで間欠的に、かつ所定の体積(質量)で吐出させることにより、布帛20にインクを付与して、所望の画像、文字、模様、色彩などのデザインが捺染(記録)される。
第1の工程において、ヘッド30(キャリッジ4)は、X1方向およびX2方向へ、布帛20の幅の範囲を含む所定の範囲を往復移動しながら、布帛20に対してインクの液滴を吐出する。第1の工程は、所要時間を短縮するために、X1方向およびX2方向の双方で連続的に反復して行われることが好ましい。所要時間の短縮を追わず、布帛20に形成される画像などをより高精細にする場合には、X1方向またはX2方向のみで第1の工程を行ってもよい。
このとき、ヘッド30の走査方向(移動方向)がX1方向、X2方向のどちらであっても、上述したノズル列の配置によって、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの順番で布帛20に付与することが可能である。これにより、色ムラの発生を抑制することができる。なお、ヘッド30から吐出されるインクの色種は、布帛20に形成する画像などによって決まるため、上述した4色のインクが常に吐出されて、布帛20に付与されるものではない。
布帛20に付与されるインクの付着量は、布帛20に形成される画像、布帛20の形成材料、種類、インクに用いる色材などに応じて適宜調整される。インクの付着量は、特に限定されないが、例えば、5mg/inch2以上、20mg/inch2以下となるように付与されることが好ましい。より好ましくは、10mg/inch2以上、15mg/inch2以下である。インクの付着量が5mg/inch2以上であることにより、捺染される画像などの発色が向上する傾向がある。また、インクの付着量が20mg/inch2以下であることにより、布帛20におけるインクの液滴の乾燥性が確保され、印捺物の滲みの発生が抑えられる。その後、第2の工程へ進む。
[第2の工程]
第2の工程では、第1の工程で布帛20に付与されたインクに接するように、ヘッド30から処理液の液滴を吐出して布帛20に処理液を付与する。第2の工程においても、第1の工程と同様に、ヘッド30は、X1方向およびX2方向へ、布帛20の幅の範囲を含む所定の範囲を往復移動しながら、布帛20に対して処理液の液滴を吐出する。
第2の工程は、第1の工程でヘッド30がX1方向またはX2方向に1回移動する(走査している)間に、第1の工程に続けて行われる。すなわち、第2の工程は、第1の工程が行われたヘッド30の移動方向(X1方向およびX2方向、あるいはX1方向またはX2方向)に対応して行われる。
このとき、ヘッド30の走査方向(移動方向)がX1方向、X2方向のどちらであっても、上述したノズル列の配置によって、インクが吐出されて布帛20に付与された後に、処理液を吐出して布帛20に付与する。そのため、色ムラの発生をさらに抑制することができる。なお、処理液は布帛20に付与されたインクに接するように付与されればよく、布帛20のインクが付与されていない領域に付与されてもよい。
布帛20に付与される処理液の付着量は、布帛20の形成材料、種類、インクに用いる色材、インクの付着量などに応じて適宜調整される。処理液の付着量は、特に限定されないが、例えば、1mg/inch2以上、20mg/inch2以下となるように付与されることが好ましい。より好ましくは、3mg/inch2以上、15mg/inch2以下である。処理液の付着量が1mg/inch2以上であることにより、布帛20に対するインクの浸透性が向上する。また、処理液の付着量が20mg/inch2以下であることにより、布帛20における処理液の液滴の乾燥性が確保され、印捺物の滲みの発生が抑えられる。その後、搬送工程へ進む。ここで、第1の工程と第2の工程とを複数回反復した後に、搬送工程へ進んでもよい。
[搬送工程]
搬送工程では、第1の工程および第2の工程が行われた後に、布帛20がY方向へ所定の距離(送り距離)だけ搬送される。布帛20が搬送された後、引き続き第1の工程および第2の工程が行われる。このように、第1の工程、第2の工程、搬送工程を繰り返し行って、布帛20の所望する領域に捺染を施す。なお、上述したように、搬送工程と次の搬送工程との間に、第1の工程および第2の工程を複数回反復して行ってもよい。すなわち、布帛20において、インクおよび処理液を付与した領域に、さらに重畳させてインクおよび処理液を付与してもよい。第1の工程から搬送工程までを繰り返し、布帛20の所望する領域に捺染を施した後、布帛20をY方向へ搬送してプリンター1から取り出す。
[後工程]
後工程として、布帛20の加熱工程、洗浄および乾燥工程を設けてもよい。布帛20の加熱工程では、布帛20に付与されたインクおよび処理液に加熱を施す。加熱工程はインクおよび処理液の液滴を乾燥させると共に、色材として染料を用いる場合には、布帛20の形成材料に染料を定着(染着)させるために行う。加熱工程の加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、サーモフィックス法などが挙げられる。また、加熱の熱源としては、特に限定されないが、例えば赤外線(ランプ)などが挙げられる。
加熱工程の加熱温度としては、布帛20の形成材料、色材の種類などに応じて、適宜設定される。加熱温度は、特に限定されないが、例えば100℃以上、200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、150℃以上、180℃以下である。加熱温度をこのような範囲とすることにより、布帛20への熱ダメージを抑え、インクおよび処理液の乾燥や定着を促進することができる。なお、加熱温度とは、布帛20に形成された画像などのデザインの表面温度のことをいい、例えば、非接触温度計IT2−80(商品名、キーエンス社)を用いて測定することができる。また、加熱温度を印加する加熱時間は、特に限定されないが、例えば、30秒間以上、40分間以下とすることができる。
洗浄および乾燥工程では、捺染を施した布帛20を水洗、乾燥する。水洗においては、必要に応じ、ソーピング処理として、布帛20に染着または定着しなかった色材などを、熱石鹸液などを用いて洗い流してもよい。
本実施形態では、処理液の記録方法にプリンター1(インクジェット記録装置)を用いたが、これに限定されない。処理液およびインクの付与には、ロータリースクリーン機械捺染、ベルト式自動スクリーン捺染、ハンドスクリーン捺染などの方法を用いてもよい。
以上に述べたように、本実施形態に係る処理液の記録方法によれば、以下の効果を得ることができる。
捺染を施した布帛20おいて、色ムラおよび表裏面の発色差の発生を抑えて、画質を向上させることができる。詳しくは、第1の工程でインクを布帛20に付与した後に、第2の工程で処理液を付与することから、布帛20に付与されるインクと処理液との順序が変わらず、布帛20の表裏面(表面および裏面)における色ムラの発生を抑制することができる。また、含窒素複素環式化合物の含有量が、処理液の全質量に対して、30質量%以上、50質量%以下であることから、布帛20に対して処理液の浸透性が向上する。そのため、インクに含まれる色材などの成分が、布帛20の裏面まで浸透しやすくなり、布帛20の表裏面における発色差の発生を抑制することができる。さらに、布帛20に付与されたインクに接するように処理液を付与することから、浸透性向上などの処理液の機能がより発現されやすくなる。以上により、捺染を施した布帛20において、従来よりも画質を向上させる処理液の記録方法を提供することができる。
プリンター1によるインクジェット法を用いるため、第1の工程にて、高精細な画像などを布帛20に形成することができる。また、布帛20に付与されたインクに接するように、処理液を付与することが容易になる。さらに、布帛20に対する処理液の付着量、付与する領域などを、容易に調節することができる。
X1方向およびX2方向の双方で、第1の工程および第2の工程が行われるため、捺染に要する時間を短縮することができる。
含窒素複素環式化合物として、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる1種以上を用いることから、布帛20に対する処理液の浸透性がさらに向上し、布帛20の表裏面における発色差の発生をさらに抑制することができる。
含窒素複素環式化合物の含有量が、1質量%以上、10質量%以下であることから、布帛20に対するインクの浸透性がより向上する。そのため、色ムラおよび表裏面の発色差の発生がより抑えられ、画質をさらに向上させることができる。また、複数種のインクを用いることから、布帛20に複数色の画像などを形成することができる。
上述した酸性染料と直接染料とを、絹布などの絹を含む布帛20に用いると、捺染を施した布帛20の洗濯堅牢性を向上させることができる。また、絹を含む布帛20に対して、布帛20に施す画像などの色域(色再現範囲)を拡大することができる。
上述した反応性染料を用いることにより、綿布などの綿を含む布帛20に用いた場合に、捺染を施した布帛20の洗濯堅牢性を向上させることができる。また、綿を含む布帛20に対して、布帛20に施す画像などの色域(色再現範囲)を拡大することができる。
以下に、本実施形態の処理液の記録方法について、実施例と比較例とを示し、本実施形態の効果をより具体的に説明する。
<処理液の調製>
実施例または比較例に用いる処理液S1,S2,S3(以下、「各処理液」ともいう。)の組成を、表1に示した。表1において、表中の数値の単位は質量%である。イオン交換水は、各処理液の全質量が100.0質量%となるように調整して添加した。なお、表中に数値の記載がない、「−」表記の欄は、含有しないことを意味する。
表1に示した組成に従って、各処理液を調製した。具体的には、各成分を容器に入れ、マグネティックスターラーを用いて1時間撹拌を行った。その後、孔径5μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製メンブレンフィルターにてろ過を行って、各処理液を得た。
Figure 2019026963
ここで、処理液S1では、含窒素複素環式化合物として2−ピロリドン(30.0質量%)と、他の有機溶剤として、グリセリン(15.0質量%)、トリエチレングリコール(19.0質量%)、ブチルトリグリコール(1.0質量%)と、界面活性剤としてノニオン系(アセチレングリコール系)のオルフィン(登録商標)E1010(商品名、日信化学工業社、HLB値13から14)(1.0質量%)と、pH調整剤としてトリエタノールアミン(0.3質量%)と、防腐剤・防かび剤としてPROXEL XL−2(商品名、LONZA社)(0.1質量%)と、水としてイオン交換水と、を用いた。
処理液S2は、処理液S1の組成に対して、2−ピロリドンの含有量を50.0質量%とした組成である。処理液S3は、処理液1の組成に対して、2−ピロリドンを含有しない組成である。
<インクの調製>
実施例または比較例に用いるインクの組成を、表2から表7に示した。表2から表4に組成を示したインクは、色材として酸性染料または直接染料を用いたインクである。表5から表7に組成を示したインクは、色材として反応性染料を用いたインクである。ここで、表2のインクの組み合せをインクセットA1とし、表3のインクの組み合せをインクセットA2とし、インクセットA1およびインクセットA2を総称してインクセットAとする。表4のインクの組み合せをインクセットBとする。表5のインクの組み合せをインクセットC1とし、表6のインクの組み合せをインクセットC2とし、インクセットC1およびインクセットC2を総称してインクセットCとする。表7のインクの組み合せをインクセットDとする。
表2から表7において、表中の数値の単位は質量%である。イオン交換水は、インクの全質量が100.0質量%となるように調整して添加した。なお、表中に数値の記載がない、「−」表記の欄は、含有しないことを意味する。
表2から表7に示した組成に従って、各インクを調製した。具体的には、各成分を容器に入れ、マグネティックスターラーを用いて2時間撹拌を行い、各成分を均一に混合した。その後、孔径1μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製メンブレンフィルターにてろ過を行って、各インクを得た。
Figure 2019026963
Figure 2019026963
Figure 2019026963
Figure 2019026963
Figure 2019026963
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ここで、表2に組成を示したインクセットA1は、C.I.アシッドブラック172、C.I.アシッドイエロー79、C.I.アシッドレッド138、C.I.ダイレクトブルー87、C.I.アシッドオレンジ33、C.I.アシッドオレンジ94、C.I.アシッドレッド407、C.I.アシッドブルー140のうちの1種以上を含むインクの組み合せである。
表3に組成を示したインクセットA2は、C.I.アシッドイエロー184、C.I.アシッドオレンジ33、C.I.アシッドオレンジ94、C.I.アシッドブルー193、C.I.アシッドブラウン298のうちの1種以上を含むインクの組み合せである。
表4に組成を示したインクセットBは、C.I.アシッドブラック52:1、C.I.アシッドオレンジ56などを含むインクの組み合せである。
表5に組成を示したインクセットC1は、C.I.リアクティブブラック39、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブイエロー95、C.I.リアクティブレッド31、C.I.リアクティブレッド245、C.I.リアクティブブルー15:1、C.I.リアクティブブルー49、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブオレンジ3:1のうちの1種以上を含むインクの組み合せである。
表6に組成を示したインクセットC2は、C.I.リアクティブブルー13、C.I.リアクティブオレンジ35を含むインクの組み合せである。
表7に組成を示したインクセットDは、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブブルー15:1などを含むインクの組み合せである。
<評価用サンプルの作製>
処理液S1から処理液S3と、インクセットAからインクセットDとを用い、表8および表9に示した組み合せにて、実施例1から実施例8、比較例1から比較例8の評価用サンプルを作製した。表8の、実施例1から実施例4および比較例1から比較例4では、色材として酸性染料または直接染料を含むインクを用いた。表9の、実施例5から実施例8および比較例5から比較例8では、色材として反応性染料を含むインクを用いた。
Figure 2019026963
Figure 2019026963
[色ムラの評価用サンプル]
色ムラの観察しやすさから、各インクセットの中から、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクの3色のインクを用いて評価用サンプルを作製した。具体的には、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン社)を用い、インクカートリッジに処理液および各インクを個々に充填した。
実施例および比較例における記録順序(インクおよび処理液を布帛に付与する順序)を、表8および表9に示した。表8および表9において、表中に「●」印で示した記録順序を採用した。実施例1から実施例8、および比較例1、比較例3、比較例5、比較例7では「インク→処理液」の記録順序とし、これら以外は「処理液→インク」の記録順序とした。
記録順序を設定するため、インクカートリッジをインクジェットプリンターPX−G930のキャリッジに装着する位置を次の通りとした。記録順序を「インク→処理液」とする水準では、処理液を充填したインクカートリッジをイエロー色およびグロスオプティマイザの位置に、イエローインクを充填したインクカートリッジをマゼンタ色およびブルー色の位置に、マゼンタインクを充填したインクカートリッジをシアン色およびレッド色の位置に、シアンインクを充填したインクカートリッジをマットブラック色およびフォトブラック色の位置に装着した。この位置の設定により、X1方向およびX2方向において、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、処理液の順に布帛に付与することが可能となる。
記録順序を「処理液→インク」とする水準では、処理液を充填したインクカートリッジをマットブラック色およびフォトブラック色の位置に、イエローインクを充填したインクカートリッジをイエロー色およびグロスオプティマイザの位置に、マゼンタインクを充填したインクカートリッジをマゼンタ色およびブルー色の位置に、シアンインクを充填したインクカートリッジをシアン色およびレッド色の位置に装着した。この位置の変更により、X1方向およびX2方向において、処理液、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの順に布帛に付与することが可能となる。
布帛として、絹布(50g/m2から60g/m2)および綿布(124g/m2から132g/m2)をA4サイズに裁断して使用した。表8の、実施例1から実施例4および比較例1から比較例4では絹布を用い、表9の、実施例5から実施例8および比較例5から比較例8では綿布を用いた。絹布および綿布は、上記インクジェットプリンターにおける搬送性を確保するため、捺染を施す面(表面)の裏面にA4サイズの普通紙を重ねて貼付した。
次いで、画像解像度を1440×720dpi(Dots Per inch)とし、インクの印刷デューティーを100%、処理液の印刷デューティーを100%として、上記布帛にベタ印刷を行った。ここで、印刷デューティーとは、下記式(1)で算出される値である。
印刷デューティー[%] = 実印刷ドット数/(縦解像度×横解像度)×100 ・・・(1)
(式中、「実印刷ドット数」は、単位面積当たりの実印刷ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」は、それぞれ単位面積当たりの解像度である。印刷デューティー100%とは、画素に対する最大インク質量を意味する。)
このとき、布帛に対するインク1色当たりの付着量は、20mg/inch2となる。なお、上述したキャリッジにカートリッジを装着した位置に対応させ、「インク→処理液」または「処理液→インク」の記録順序で捺染が行われるように、ベタ印刷用のデータを調整した。
次いで、捺染を施した布帛に、加熱工程を実施した。具体的には、ステーマーDHe型(マチス社)を用いて、102℃の高加湿雰囲気下で、絹布は30分間、綿布は10分間のスチーミング処理(加熱)を施して、実施例および比較例の評価用サンプルを作製した。
[発色差の評価用サンプル]
発色差の観察しやすさから、各インクセットの中から、ブラックインクを単色で用いて評価用サンプルを作製した。具体的には、記録順序を「インク→処理液」とする水準では、処理液を充填したインクカートリッジをイエロー色およびグロスオプティマイザの位置に、ブラックインクを充填したインクカートリッジをマゼンタ色およびシアン色の位置に装着した。記録順序を「処理液→インク」とする水準では、処理液を充填したインクカートリッジをマゼンタ色およびシアン色の位置に、ブラックインクを充填したインクカートリッジをグロスオプティマイザおよびイエロー色の位置に装着した。画像解像度を1440×720dpi(Dots Per inch)とし、ブラックインクの印刷デューティーを100%、処理液の印刷デューティーを100%として、ブラックインクおよび処理液のみで布帛にベタ印刷を行った。これ以外は、色ムラの評価用サンプルと同様にして、発色差の評価用サンプルを作製した。
[洗濯堅牢性の評価用サンプル]
実施例および比較例の処理液とインクとの組み合せにおいて、インクセットを構成する全てのインクを単色でベタ印刷した他は、上述した発色差および色ムラの評価用サンプルの作製方法と同様にして、洗濯堅牢性の評価用サンプルを作製した。
<評価>
[色ムラ]
評価用サンプルの表裏面について、40cmから60cmの距離から、色ムラの発生の有無を目視にて観察し、以下の基準に従って評価した。その結果を表8および表9に示した。
A:表面および裏面のいずれにも、色ムラが発生していない。
B:表面あるいは裏面のいずれか一方に、色ムラが発生している。
C:表面および裏面のいずれにも、色ムラが発生している。
[発色差]
評価用サンプルの表裏面について、OD(Optical Density)値を測定し、発色差の指標として表裏面のOD値の差を計算した。具体的には、測色機FD−7(商品名、コニカミノルタセンシング社)を用いて、光源D65、視野角10度の測定条件にて、表面の捺染を施した領域と、該領域に対応する裏面の領域とのOD値を測定した。表面のOD値から裏面のOD値を引いて△OD(デルタOD)値として計算し、以下の基準に従って評価した。その結果を表8および表9に示した。
A:△OD値が、0.2以下である。
B:△OD値が、0.2を超え、0.5以下である。
C:△OD値が、0.5を超えている。
[洗濯堅牢性]
洗濯堅牢性の指標として、洗濯堅牢性の評価用サンプルから試験片を切り出し、ISO 105−C10 B(2)に準拠して、変退色および汚染の試験を実施した。汚染評価用の白布は、多織交織布2号(アセテート、綿、ナイロン、エステル、アクリル、羊毛)を用いた。試験結果を以下の基準に従って評価し、表8および表9に示した。なお、以下の基準のうち、インクセットを構成する全てのインクが満たす基準を、評価結果として採用した。
A:試験結果が、4級以上である。
B:試験結果が、3級または3/4級である。
C:試験結果が、2/3級以下である。
表8および表9に示したように、全ての実施例において、発色差および色ムラの評価結果が、「優」レベルに相当するA評価となり、発色差および色ムラの発生が抑制され、画質が向上することが示された。また、実施例1から実施例4(絹布、酸性染料および直接染料を用いた水準)では、洗濯堅牢性の評価結果が、「優」レベルに相当するA評価となり、洗濯堅牢性が優れることが示された。また、実施例5から実施例8(綿布、反応性染料を用いた水準)では、洗濯堅牢性の評価結果が、「可」レベルに相当するB評価となり、洗濯堅牢性が確保されることが示された。
一方、比較例1から比較例8では、発色差または色ムラのいずれかの評価結果が、「不適」に相当するC評価となり、実施例と比べて劣ることが分かった。特に、記録順序を「処理液→インク」とした、比較例2、比較例4、比較例6、比較例8では、色ムラの評価結果がC評価、発色差の評価結果がB評価となり、その他の比較例と比べても劣ることが分かった。
(実施形態2)
本実施形態に係る処理液の記録方法について説明する。本実施形態においても、インクジェット記録装置としてプリンター1を例に挙げて説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
<インクジェット記録装置>
[インクジェットヘッド]
本実施形態では、実施形態1のヘッド30において、インク用ノズル列と処理液用ノズル列との配置を変更している。具体的には、図2に示したノズル列35において、インク用ノズル列35a,35b,35c,35d,35f,35g,35h,35iと、処理液用ノズル列35eと、に変更している。
したがって、本実施形態のヘッド30におけるノズル列35の配置の一例としては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの4色の色構成のインクセットを用いる場合に、ブラックインク用にインク用ノズル列35a,35i、シアンインク用にインク用ノズル列35b,35h、マゼンタインク用にインク用ノズル列35c,35g、イエローインク用にインク用ノズル列35d,35fを採用する。また、上述した通り、処理液用として、処理液用ノズル列35eを採用する。
このインクおよび処理液のノズル列35の配置により、ヘッド30の走査方向がX1方向で捺染を行う場合には、領域32a内のノズル列35を用いる。すなわち、インク用ノズル列35a(ブラックインク)、インク用ノズル列35b(シアンインク)、インク用ノズル列35c(マゼンタインク)、インク用ノズル列35d(イエローインク)、処理液用ノズル列35e(処理液)の順番で、布帛20に複数種のインクおよび処理液を付与することが可能となる。
また、ヘッド30の走査方向がX2方向で捺染を行う場合には、領域32b内のノズル列35を用いる。すなわち、インク用ノズル列35i(ブラックインク)、インク用ノズル列35h(シアンインク)、インク用ノズル列35g(マゼンタインク)、インク用ノズル列35f(イエローインク)、処理液用ノズル列35e(処理液)の順番で、布帛20に複数種のインクおよび処理液を付与することが可能となる。これによって、X1方向とX2方向とで、布帛20に付与されるインクおよび処理液の順番が等しくなり、色ムラの発生を抑制することができる。
なお、上述したインクセットの数および色構成、ノズル列35における処理液およびインクの配置は一例であって、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、インクジェット記録装置としてオンキャリッジタイプのプリンター1を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、カートリッジ7などの液体容器が、キャリッジ4に搭載されない、オフキャリッジタイプのプリンターであってもよい。
以上に述べたように、本実施形態の処理液の記録方法によれば、実施形態1と同様な効果が得られる。
(実施形態3)
本実施形態に係る処理液の記録方法について、図3を参照して説明する。図3は、実施形態3に係るインクジェットヘッドのノズル列の配置を示す平面図である。本実施形態においても、インクジェット記録装置としてシリアルプリンターを例に挙げて説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
<インクジェット記録装置>
本実施形態のプリンターは、ヘッド40αとヘッド40βとの、2つのインクジェットヘッドを有している。ヘッド40αおよびヘッド40βは、それぞれ個別のキャリッジ(図示せず)、主走査機構(図示せず)などと機械的に接続されている。そのため、ヘッド40αとヘッド40βとは、互いに干渉することなく、X1方向およびX2方向に往復移動が可能である。
[インクジェットヘッド]
図3は、本実施形態のプリンターにおいて、Z方向の負の方向から仰視したヘッド40αおよびヘッド40βの外観を示している。
布帛20(図示せず)と対向する面に、ヘッド40αはノズル面41αを有し、ヘッド40βはノズル面41βを有している。ノズル面41α,41βには、フッ素化合物およびシリコーン化合物を含む高分子膜、あるいはニッケルおよびフッ素化合物を含む共析メッキ膜などを、撥インク膜として形成してもよい。
ヘッド40α(ノズル面41α)は、インクを吐出するインク用ノズル列45a,45b,45c,45dと、処理液を吐出する処理液用ノズル列45eと、を有している。ヘッド40β(ノズル面41β)は、インクを吐出するインク用ノズル列45g,45h,45i,45jと、処理液を吐出する処理液用ノズル列45fと、を有している。ここで、インク用ノズル列45a,45b,45c,45dと、処理液用ノズル列45eと、を総称して、以降、単に「ノズル列45α」、インク用ノズル列45g,45h,45i,45jと、処理液用ノズル列45fと、を総称して、以降、単に「ノズル列45β」ということもある。なお、図3では、ノズル列45α,45βにおけるノズルの数を模式的に示しており、ノズルの数はこれに限定されるものではない。
ここで、ノズル列45αでは、X1方向に向かって順に、インク用ノズル列45a,45b,45c,45d、処理液用ノズル列45eが配置されている。ノズル列45βでは、X2方向に向かって順に、インク用ノズル列45j,45i,45h,45g、処理液用ノズル列45fが配置されている。
本実施形態のヘッド40α,40βにおけるノズル列45α,45βの配置の一例としては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの4色の色構成のインクセットを用いる場合に、ブラックインク用にインク用ノズル列45a,45j、シアンインク用にインク用ノズル列45b,45i、マゼンタインク用にインク用ノズル列45c,45h、イエローインク用にインク用ノズル列45d,45gを採用する。また、上述した通り、処理液用として、処理液用ノズル列45e,45fを採用する。
このインクおよび処理液のノズル列45α,45βの配置により、走査方向がX1方向で捺染を行う場合には、ヘッド40αを用いて、インク用ノズル列45a(ブラックインク)、インク用ノズル列45b(シアンインク)、インク用ノズル列45c(マゼンタインク)、インク用ノズル列45d(イエローインク)、処理液用ノズル列45e(処理液)の順序で捺染を行う。
また、走査方向がX2方向で捺染を行う場合には、ヘッド40βを用いて、インク用ノズル列45j(ブラックインク)、インク用ノズル列45i(シアンインク)、インク用ノズル列45h(マゼンタインク)、インク用ノズル列45g(イエローインク)、処理液用ノズル列45f(処理液)の順序で、捺染を行う。これによって、X1方向とX2方向とで、吐出されるインクおよび処理液の順序が等しくなり、色ムラの発生を抑制することができる。
なお、上述したインクセットの数および色構成、ノズル列35における処理液およびインクの配置は一例であって、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、インクジェット記録装置としてオンキャリッジタイプのプリンターを例に挙げたが、これに限定されない。例えば、カートリッジなどの液体容器が、キャリッジに搭載されない、オフキャリッジタイプのプリンターであってもよい。
以上に述べたように、本実施形態の処理液の記録方法によれば、実施形態1における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。2つのヘッド40α,40βを有することから、色ムラや発色差の発生を抑えて、捺染に要する時間をさらに短縮することができる。
(実施形態4)
本実施形態に係る処理液の記録方法について、図4を参照して説明する。図4は、実施形態4に係るインクジェットヘッドのノズル列の配置を示す平面図である。本実施形態においても、インクジェット記録装置としてシリアルプリンターを例に挙げて説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
<インクジェット記録装置>
[インクジェットヘッド]
図4は、プリンター1(図1参照)において、布帛20の側から仰視した、本実施形態のヘッド50の外観を示している。
ヘッド50は、布帛20と対向する面にノズル面51を有している。ノズル面51には、フッ素化合物およびシリコーン化合物を含む高分子膜、あるいはニッケルおよびフッ素化合物を含む共析メッキ膜などを、撥インク膜として形成してもよい。
ヘッド50(ノズル面51)は、6つのノズル列を備え、インクを吐出するインク用ノズル列55b,55c,55d,55eと、処理液を吐出する処理液用ノズル列55a,55fと、を有している。ここで、インク用ノズル列55b,55c,55d,55eと、処理液用ノズル列55a,55fと、を総称して、以降、単に「ノズル列55」ということもある。ノズル列55は、複数のノズルが線状に並んで形成され、X方向(X1方向およびX2方向)と略直交するように配置されている。ノズル列55では、X2方向に向かって順に、処理液用ノズル列55a、インク用ノズル列55b,55c,55d,55e、処理液用ノズル列55fが配置されている。
本実施形態のヘッド50におけるノズル列55の配置の一例としては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの4色の色構成のインクセットを用いる場合に、ブラックインク用にインク用ノズル列55b、シアンインク用にインク用ノズル列55c、マゼンタインク用にインク用ノズル列55d、イエローインク用にインク用ノズル列55eを採用し、処理液用として、処理液用ノズル列55a,55fを採用する。
このインクおよび処理液のノズル列55の配置により、ヘッド50の走査方向がX1方向で捺染を行う場合には、領域52b内のノズル列55を用いる。すなわち、インク用ノズル列55b(ブラックインク)、インク用ノズル列55c(シアンインク)、インク用ノズル列55d(マゼンタインク)、インク用ノズル列55e(イエローインク)、処理液用ノズル列55f(処理液)の順序で、布帛20に複数種のインクおよび処理液を付与する。
また、ヘッド50の走査方向がX2方向で捺染を行う場合には、領域52a内のノズル列55を用いる。すなわち、インク用ノズル列55e(イエローインク)、インク用ノズル列55d(マゼンタインク)、インク用ノズル列55c(シアンインク)、インク用ノズル列55b(ブラックインク)、処理液用ノズル列55a(処理液)の順序で、布帛20に複数種のインクおよび処理液を付与する。これによって、X1方向とX2方向との両方向において、インクの後に処理液が付与される。
なお、上述したインクセットの色構成、ノズル列55における処理液およびインクの配置は一例であって、これに限定されるものではない。
以上に述べたように、本実施形態の処理液の記録方法によれば、以下の効果を得ることができる。ヘッド50のように、ノズル列の数が少ない場合に、インク→処理液の順序で捺染を行うことが可能となる。これにより、色ムラおよび発色差の発生を抑えて、捺染に要する時間を短縮することができる。
1…インクジェット記録装置としてのプリンター、4…キャリッジ、5…主走査機構、6…プラテンローラー、7a,7i…処理液カートリッジ、7b,7c,7d,7e,7f,7g,7h…インクカートリッジ、8…タイミングベルト、9…モーター、10…ガイド軸、11…ワイパー、20…布帛、30,40α,40β,50…ヘッド、35,45α,45β,55…ノズル列。

Claims (9)

  1. 色材が含まれるインクを布帛に付与する第1の工程と、
    前記第1の工程の後に、前記布帛に付与された前記インクに接するように、処理液を付与する第2の工程と、を備え、
    前記処理液は、含窒素複素環式化合物を含み、
    前記含窒素複素環式化合物の含有量は、前記処理液の全質量に対して、30質量%以上、50質量%以下である、処理液の記録方法。
  2. 前記第1の工程および前記第2の工程に、インクジェット記録装置を適用したインクジェット記録方法である、請求項1に記載の処理液の記録方法。
  3. 前記インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドを有し、
    前記インクジェットヘッドは、前記インクを吐出するインク用ノズル列と、前記処理液を吐出する処理液用ノズル列と、を有し、
    前記インクジェットヘッドが、前記布帛の所定の範囲を第1の方向に走査している間に、前記第1の工程および前記第2の工程が実施され、
    前記インクジェットヘッドが、前記布帛の所定の範囲を、前記第1の方向と反対の第2の方向に走査している間に、前記第1の工程および前記第2の工程が実施される、請求項2に記載の処理液の記録方法。
  4. 前記含窒素複素環式化合物は、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる1種以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の処理液の記録方法。
  5. 前記インクは、前記含窒素複素環式化合物を含み、
    前記含窒素複素環式化合物の含有量は、前記インクの全質量に対して、1質量%以上、10質量%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の処理液の記録方法。
  6. 前記第1の工程は、複数種の前記インクを用いて実施され、
    複数種の前記インクは、
    前記色材として、C.I.アシッドブラック172、C.I.アシッドブラック52:1のうちの1種以上を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドイエロー79を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド289のうちの1種以上を含むインク、
    前記色材として、C.I.ダイレクトブルー87を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドオレンジ33、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドオレンジ94のうちの1種以上を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドレッド407を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー140のうちの1種以上を含むインクから選ばれる2種以上を含む、請求項5に記載の処理液の記録方法。
  7. 複数種の前記インクは、
    前記色材として、C.I.アシッドイエロー184を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドレッド52を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドブルー193を含むインク、
    前記色材として、C.I.アシッドブラウン298を含むインクから選ばれる1種以上をさらに含む、請求項6に記載の処理液の記録方法。
  8. 前記第1の工程は、複数種の前記インクを用いて実施され、
    複数種の前記インクは、
    前記色材として、C.I.リアクティブブラック39を含むインク、
    前記色材として、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブイエロー95のうちの1種以上を含むインク、
    前記色材として、C.I.リアクティブレッド31、C.I.リアクティブレッド245のうちの1種以上を含むインク、
    前記色材として、C.I.リアクティブブルー15:1を含むインク、
    前記色材として、C.I.リアクティブオレンジ13を含むインク、
    前記色材として、C.I.リアクティブオレンジ3:1を含むインク、
    前記色材として、C.I.リアクティブブルー49を含むインクから選ばれる2種以上を含む、請求項5に記載の処理液の記録方法。
  9. 複数種の前記インクは、
    前記色材として、C.I.リアクティブブルー13を含むインク、
    前記色材として、C.I.リアクティブオレンジ35を含むインクから選ばれる1種以上をさらに含む、請求項8に記載の処理液の記録方法。
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