JP2005187736A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたスラッジ分散性、摩擦特性、粘度指数および低温粘度を有する潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】鉱物油系基油を主要量とし、組成物の重量に基づいて下記共重合体(A)を0.1〜30重量%および特定の有機燐化合物(P)を0.01〜5重量%含むことを特徴とする潤滑油組成物。
共重合体(A):下記一般式で示される単量体(a)を必須構成単量体としてなる共重合体。
一般式 CH2=C(R1)−COO(A−O)n−(CH2)p−CH(R2)−R3
[式中、R1は水素原子またはメチル基、R2およびR3は炭素数1〜16の直鎖アルキル基および炭素数3〜34の分岐アルキル基からそれぞれ独立に選ばれる基であり、該分岐アルキル基中の連続するメチレン基の数は16個以下であり、R2、R3およびp個のCH2基の合計炭素数は18〜36個であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは0または1〜20の整数、pは0または1〜15の整数である。]
【選択図】なし

Description

本発明は潤滑油組成物に関する。更に詳しくは、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体および有機燐化合物を含有する潤滑油組成物に関する。
潤滑油組成物は、特に自動車用において摩耗もしくは摩擦の低減効果、伝達効率アップおよびスラッジ分散性の改善が要求されており、従来からこの要求に対応する潤滑油組成物としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル及びこれらの化合物のアミン塩から選ばれる有機リン化合物タイプの摩耗防止剤もしくは摩擦低減剤およびコハク酸イミド、ベンジルアミンなどの比較的低分子の分散剤が添加されたものが知られている。
有機リン化合物とこれらの低分子分散剤が添加された潤滑油は多くの特許等の文献に報告されている。例えば、溶剤精製した150ニュートラル油に摩擦低減剤としてオレイルアミドホスフェート、分散剤としてポリブテニルコハク酸イミドを配合した自動変速機油(ATF)の例が挙げられている(特許文献−1参照)。
また、比較的高分子の共重合体を添加したものとしては炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体を必須構成単量体とする共重合体を使用するもの(特許文献−2参照)が提案されている。
米国特許4800029号明細書 特開平7−331273号公報
しかし近年、自動車の小型化、高出力化、省燃費化に伴い、潤滑油の使用条件は一層苛酷になり、上記有機リン化合物、比較的低分子の分散剤および従来のポリメタクリレートタイプの共重合体が添加された潤滑油組成物では、分散効果、摩擦特性および粘度特性が十分でなく改善が求められている。
本発明者は上記のような課題を解決する潤滑油組成物を得るべく鋭意研究を行った結果、特定の分岐構造のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須構成単量体とする共重合体と有機燐化合物を特定の量で含有することにより上記の課題が解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、100℃での動粘度が1〜10mm2/sであり、粘度指数が80以上である鉱物油系基油を主要量とし、組成物の重量に基づいて下記共重合体(A)を0.1〜30重量%および下記有機燐化合物(P)を0.01〜5重量%含むことを特徴とする潤滑油組成物である。
共重合体(A):下記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体としてなる共重合体
一般式
CH2=C(R1)−COO(A−O)n−(CH2)p−CH(R2)−R3 (1) 式中、R1は水素原子またはメチル基、R2およびR3は炭素数1〜16の直鎖アルキル基および炭素数3〜34の分岐アルキル基からそれぞれ独立に選ばれる基であり、該分岐アルキル基中の連続するメチレン基の数は16個以下であり、R2、R3およびp個のCH2基の合計炭素数は18〜36個であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは0または1〜20の整数、pは0または1〜15の整数である。
有機燐化合物(P):金属原子を含有しない有機燐酸エステル、有機亜燐酸エステルおよびこれらのアミン塩からなる群から選ばれる1種以上。
本発明の潤滑油組成物は、駆動系潤滑油またはエンジン油などに用いられて優れたスラッジ分散性、摩擦特性、粘度指数および低温粘度を有する。
本発明の潤滑油組成物中に含まれる共重合体(A)について説明する。
(A)は一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とする。
一般式(1)においてR1は好ましくはメチル基である。
また、一般式(1)における分岐アルキル基−(CH2)p−CH(R2)−R3の合計の炭素数は粘度指数と低温粘度の観点から好ましくは通常18〜36、好ましくは20〜32、更に好ましくは20〜28、特に好ましくは20〜24、最も好ましくは24である。
2およびR3は通常16以下、粘度指数および低温粘度の観点から好ましくは2〜14、さらに好ましくは4〜14、特に好ましくは6〜14、最も好ましくは10〜12の炭素数のポリメチレン基を有する。なお、ポリメチレン基における炭素数には末端のメチル基の炭素原子も含まれる。
また、R2およびR3における分岐の数は通常0〜16個、好ましくは0〜11個、特に0〜5個、とりわけ0個であり、R2およびR3はいずれも直鎖であることが好ましい。
nは好ましくは0または1〜10、さらに好ましくは0または1〜5、特に0である。
pは好ましくは0または1〜5、さらに好ましくは0または1、特に1である。
−(CH2)p−CH(R2)−R3の具体例としては、以下の基が挙げられる。
1)C15-16(炭素数15〜16を表す場合C15-16と表し、以下同様の表現を用いる。)のポリメチレン基を有する基:
例えば、1−C1-18アルキル−ヘキサデシル基(例えば1−オクチルヘキサデシル基)および2−C1-16アルキル−オクタデシル基(例えば2−エチルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシルおよび2−ヘキサデシルオクタデシル基);
2)C13-14のポリメチレン基を有する基:
例えば、1−C1-20アルキル−テトラデシル基(例えば1−ヘキシルテトラデシル、1−デシルテトラデシル、1−ウンデシルトリデシル基)および2−C1-18アルキル−ヘキサデシル基(例えば2−エチルヘキサデシルおよび2−ドデシルヘキサデシル基);
3)C10-12のポリメチレン基を有する基:
例えば1−C1-22アルキル−ドデシル基(例えば1−オクチルドデシル基)、2−C1-22アルキル−ドデシル基(例えば2−ヘキシルドデシルおよび2−オクチルドデシル基)および2−C1-20アルキル−テトラデシル基(例えば2−ヘキシルテトラデシルおよび2−デシルテトラデシル基);
4)C6-9のポリメチレン基を有する基:
例えば、2−C1-24アルキル−デシル基(例えば2−オクチルデシル基)および2,4−ジC1-23アルキル−デシル基(例えば2−エチル−4−ブチル−デシル基);
5)C1-5のポリメチレン基を有する基:
例えば、2−(3−メチルヘキシル)−7−メチル−デシルおよび2−(1,4,4−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチル−オクチル基;
6)分岐アルキル基の2個またはそれ以上の混合物:
例えば、プロピレンオリゴマー(6量体〜11量体)、エチレン/プロピレンオリゴマー(モル比16/1〜1/11)、イソブテンオリゴマー(5〜8量体)、およびC5-17のα−オレフィンオリゴマー(2〜6量体)などに対応するオキソアルコールのアルキル残基。2−イソオクチルイソドデシル基(『日産化学工業製:ファインオキソコール2000』の水酸基を除いた残基)、2−イソウンデシルイソペンタデシル基(『日産化学工業製:ファインオキソコール2600』の水酸基を除いた残基)。
これらのうちで好ましいのはpが0または1(とりわけ1)、R2およびR3が直鎖C6-16(特にC8-14)アルキル基および分岐C6-18(特にC8-14)アルキル基が好ましい。最も好ましいのは、pが1でR2とR3が直鎖C8-14アルキルである。とりわけ好ましくは、低温粘度と粘度指数の観点から、pが1でR2とR3が直鎖C8-10アルキルと直鎖C10-12アルキル基の組み合わせであり、−(CH2)p−CH(R2)−R3としては、2−直鎖C8-10アルキル−直鎖C12-14アルキル基である。
好ましい(a)の具体例としては、2−オクチルドデシルメタクリレート、2−デシルテトラデシルメタクリレート;1−オクチルドデシル、2−ヘキシルドデシル、2−ヘキシルテトラデシル、1−ヘキシルテトラデシル、1−デシルテトラデシル、1−ウンデシルトリデシル、2−エチルヘキサデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−オクチルドデシルオキシエチルおよび2−デシルテトラデシルオキシエチルメタクリレート;並びに、これらに対応するアクリレート(例えば2−オクチルドデシルアクリレート、2−デシルテトラデシルアクリレートなど)が挙げられる。
これらのうちで好ましいのは2−オクチルドデシルおよび2−デシルテトラデシルアクリレート、2−オクチルドデシルメタクリレートおよび2−デシルテトラデシルメタクリレート、特に好ましくは、2−オクチルドデシルメタクリレートおよび2−デシルテトラデシルアクリレート、とりわけ好ましくは2−デシルテトラデシルアクリレートである。
一般式(1)におけるAは炭素数2〜4のアルキレン基であり、具体的にはエチレン基、1,2−および1,3−プロピレン基、1,2−、1,3−および1,4−ブチレン基が挙げられる。これらのうち好ましいのはエチレン基、1,2−プロピレン基およびこれらの併用である。
共重合体(A)は必須構成単量体(a)以外に、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)、炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体(b2)、並びにその他の単量体(c)〜(m)からなる群から選ばれる1種以上の単量体から構成される。
(b1)には、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、並びにn−、イソ−、sec−およびtert−ブチル(メタ)アクリレートが含まれる。
(b2)には、炭素数8〜17の直鎖もしくは分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b21)および炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b22)が含まれる。
(b21)には、直鎖C8-17アルキル(メタ)アクリレート(b211)および分岐C8-17アルキル(メタ)アクリレート(b212)が含まれる。
(b211)としては、例えばn−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルおよびn−オクタデシルメタクリレート、並びにn−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−トリデシルおよびn-ペンタデシルメタクリレートなどが挙げられ、さらにこれらに対応するアクリレート、例えばn−ドデシルアクリレートなど、およびチーグラーアルコールの(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b212)としては、例えばi−オクチル、2−エチルヘキシル、i−ノニル、i−デシル、i−ドデシル、2−メチルウンデシル、i−トリデシル、2−メチルドデシル、i−テトラデシル、2−メチルトリデシル、i−ペンタデシルおよび2−メチルテトラデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(b21)としてはさらに、直鎖C8-17アルコールおよび分岐C8-17アルコールの混合物の(メタ)アクリレート(b213)が挙げられる。
(b211)と(b212)の混合物としては、例えばオキソアルコールの(メタ)アクリレートが挙げられ、オキソアルコールとしては、「ネオドール23」および「ネオドール45」(シェル化学株式会社製)、「ドバノール23」および「ドバノール45」(三菱化学株式会社製)、並びに「オキソコール1213」および「オキソコール1415」(日産化学株式会社製)などが挙げられる。
(b21)のうちで好ましいのは、粘度指数および低温粘度の観点から、C12-17(さらにC12-15)アルキル(メタ)アクリレート、特に直鎖C12-17(さらにC12-15)アルキル(メタ)アクリレートである。
(b22)には直鎖C18-24アルキル(メタ)アクリレート、例えばn−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−ノナデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシルメタクリレート、n−エイコシルアクリレート、n−ドコシル(メタ)アクリレートおよびn−テトラコシル(メタ)アクリレートが含まれる。(b22)のうち、粘度指数および低温粘度の観点から好ましいのはn−オクタデシル(メタ)アクリレートである。
単量体(c)には、水酸基含有単量体(c1)、アミド基含有単量体(c2)およびカルボキシル基含有単量体(c3)が含まれる。
単量体(c1)としては以下の(c11)〜(c16)が挙げられる。
(c11)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル:
(c111)一般式(6)で示される(メタ)アクリレート;
CH2=C(R1)−COO−(A−O)m−H (6)
式中、R1およびAは一般式(1)におけると同じ、mは1〜20(好ましくは1)の整数である。(c111)としては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと略記)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシエトキシエチル(メタ)アクリレートなどのC2-4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど。
(c112)3〜8個の水酸基を含有する多価アルコールの(メタ)アクリレート;
多価アルコールとしては、例えばC3-12のアルカンポリオール、その分子内もしくは分子間脱水物および糖類など(例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、蔗糖、メチルグルコシドなど)が挙げられ、それらの(メタ)アクリレートとしてはグリセリンモノ−およびジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ−(メタ)アクリレート並びに蔗糖(メタ)アクリレートなど。
(c12)C2-12のアルケノール;:
ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、及びC3-12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコール、クロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、1−ブテン−4−オール、1−オクテノール、1−ウンデセノールおよび1−ドデセノールなど]。
(c13)C4-12のアルケンジオール;
2−ブテン−1,4−ジオールなど。
(c14)炭素数3〜12のアルケニル基を有する水酸基含有アルケニルエーテル;
例えばC1-6ヒドロキシアルキルC3-12アルケニルエーテル[例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、並びに(c112)で挙げた多価アルコールのC3−12アルケニルエーテル{トリメチロールプロパンモノ−およびジ−(メタ)アリルエーテルおよび蔗糖(メタ)アリルエーテルなど}]。
(c15)水酸基含有芳香族単量体;
o−、m−またはp−ヒドロキシスチレンなど。
(c16)単量体(c11)〜(c15)の(ポリ)オキシアルキレンエーテル;
(c11)〜(c15)の水酸基のうちの少なくとも1個が−O−(A−O)n−A−OHで置換された単量体[但し、Aおよびnは一般式(1)と同じ]。
(c1)のうちで好ましいのは(c12)、(c14)、(c15)、(c16)および(c11)、特に(c111)である。とりわけ好ましいのはヒドロキシエチルアクリレート、特にヒドロキシエチルメタクリレートである。
単量体(c2)としては以下の(c21)および(c22)が挙げられる。
(c21)下記一般式(7)で示される(メタ)アクリルアミド類:
CH2=C(R1)−CO−N(R')−R” (7)
式中、R1は水素原子またはメチル基、R’およびR”はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。具体例としてはは以下の(c211)〜(212)が挙げられる。
(c211)非置換およびアルキル置換アクリルアミド;
例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ−C1-4アルキルおよびN,N−ジ−C1-4アルキル−置換(メタ)アクリルアミド[(ジ)メチル、(ジ)エチル、(ジ)i−プロピル、(ジ)n−ブチルおよび(ジ)i−ブチル(メタ)アクリルアミドなど]。
(c212)ヒドロキシアルキル置換アクリルアミド;
例えばN−モノ−C1-4ヒドロキシアルキルおよびN,N−ジ−C1-4ヒドロキシアルキル置換(メタ)アクリルアミド[N−ヒドロキシメチル、N,N−ジヒドロキシメチル、N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル、N,N−ジ−4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミドなど]。
(c22)N−ビニルカルボン酸アミド:
例えばアシル系N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルn−およびi−プロピオンアミド並びにN−ビニルヒドロキシアセトアミドなど]およびN−ビニルラクタム[N−ビニルピロリドンなど]。
(c2)のうちで好ましいのは(c211)、特に(メタ)アクリルアミド、とりわけアクリルアミドである。
単量体(c3)としては以下の(c31)〜(c33)が挙げられる。
(c31)不飽和モノカルボン酸[メタクリル酸、アクリル酸、(イソ)クロトン酸およびシンナミック酸など]。
(c32)不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸など]、および(c33)不飽和ジカルボン酸のモノC1-8アルキルエステル[モノアルキルマレート、モノアルキルフマレートおよびモノアルキルイタコネートなど]。
単量体(c)のうちで、粘度指数および剪断安定性の観点から好ましいのは(c2)、特に(c1)である。
単量体(d):(a)、(b1)および(b2)以外のアルキル(メタ)アクリレート、
(d1)C5-7アルキル(メタ)アクリレート[n−、ネオ−およびイソ−ペンチル、並びにn−およびイソ−ヘキシル(メタ)アクリレートなど];
(d2)17個以上の炭素数のポリメチレン基を有する分岐C18-36アルキル(メタ)アクリレート[2−メチル−ノナデシルメタクリレート(以下、M−NMと略記)など]。
単量体(e):炭素数2〜20の不飽和炭化水素、
(e1)不飽和脂肪族C2-20炭化水素[C2-20アルケン(エチレン、プロピレン、イソブテン、ブテン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンおよびオクタデセン)、C4-12アルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘプタジエンおよび1,7−オクタジエン)];
(e2)不飽和脂環式C5-20炭化水素[シクロアルケン(シクロヘキセンなど)、ジシクロアルカジエン(シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエンなど)、環式テルペン(ピネンおよびリモネンなど)、ビニル(ジ)シクロアルケン(ビニルシクロヘキセンなど)、エチリデン(ジ)シクロアルケン(エチリデンビシクロヘプテンおよびエチリデンノルボルネンなど)および芳香環含有シクロアルケン(インデンなど)];
(e3)不飽和芳香族炭化水素[スチレンおよびその誘導体、例えばC1-20ハイドロカルビル置換スチレン(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレンおよび4−クロチルベンゼンなど)およびC2-10アルケニルナフタレン(2−ビニルナフタレンなど)]。
単量体(f):ビニルケトン[C1-10アルキルまたはC6-8アリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトンおよびフェニルビニルケトンなど]。
単量体(g):エポキシ基含有不飽和単量体[エポキシ基含有アクリル系単量体{グリシジル(メタ)アクリレートなど}およびエポキシ基含有C2-10アルケニル(好ましくはC3-6アルケニル)エーテル{グリシジル(メタ)アリルエーテルなど}]。
単量体(h):ハロゲン原子含有不飽和単量体[ビニルまたはビニリデンハロゲン化物(塩化ビニル、臭化ビニルおよび塩化ビニリデン)、C3-6アルケニルハロゲン化物{塩化(メタ)アリル}およびハロゲン置換スチレン{(ジ)クロロスチレン}など]。
単量体(i):アルキルアルケニルエーテル、
1-10アルキルC2-10アルケニルエーテル[アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテル)並びにアルキル(メタ)アリルエーテルおよび(イソ)プロペニルエーテル(メチルアリルエーテルおよびエチルアリルエーテル)など];
単量体(j):アルケニルカルボキシレート、
2-10アルケニルC1-20カルボキシレート[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニルおよびn−オクタン酸ビニルなど]。(j)のうちで好ましいのは酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルである。
単量体(k):(c2)以外の窒素原子含有不飽和単量体、
(k1)少なくとも1個の1級、2級および3級アミノ基を含むアミノ基含有単量体、
(k11)アミノ基含有脂肪族単量体、
(k111)一般式D−NHD1で示されるモノ−およびジ−アルケニルアミン(但し、式中D1は水素原子またはD、DはC2-10、好ましくはC3-6のアルケニル基)[例えば(ジ)(メタ)アリルアミンおよび(イソ)クロチルアミン];
(k112)アミノ基含有アクリル系単量体、
アミノ基含有(メタ)アクリレート[(モノ−C1-4アルキル)アミノC2-6アルキル(メタ)アクリレート{アミノエチル、アミノプロピル、メチルアミノエチル、エチルアミノエチル、ブチルアミノエチルおよびメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート}、ジ−C1-4アルキルアミノC2-6アルキル(メタ)アクリレート{ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート}]およびこれらの(メタ)アクリレートに対応するアミノ基含有(メタ)アクリルアミドなど;
(k12)アミノ基含有複素環式単量体、
アミノ基含有複素環式アクリル系単量体[モルホリノ−C2-4アルキル(メタ)アクリレート{モルホリノエチル(メタ)アクリレート}]、ビニル置換複素環式アミン[ビニルピリジン(4−および2−ビニルピリジン)]、N−ビニルピロールおよびN−ビニルピロリジンなど;。
(k13)アミノ基含有芳香族単量体、
アミノスチレン類[アミノスチレンおよび(ジ)メチルアミノスチレンなど]。
(k14)(k11)〜(k13)の塩[塩酸塩、リン酸塩およびC1-8のカルボン酸塩];
(k2)第4級アンモニウム塩基含有単量体、
(k11)〜(k13)の4級化によって得られる第4級アンモニウム塩であって、4級化剤としてはC1-8アルキルハロゲン化物(メチルクロライドなど)、ベンジルハライド(塩化ベンジルなど)、ジC1-2アルキルサルフェート(ジメチルサルフェートおよびジエチルサルフェート)およびジC1-2アルキルカーボネート(ジメチルカーボネートなど)が使用できる。
また、(k2)には、1種または2種以上のC2-4アルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド)で(k14)を4級化することにより得られ第4級アンモニウム塩も含まれる。
(k3)ニトリルまたはニトロ基含有単量体[(メタ)アクリロニトリルおよびニトロスチレンなど]。
単量体(m):不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル、
不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸など)ジC1-40(好ましくはC1-20)ハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキルおよびアラルキル)エステル[ジメチル、ジエチルおよびジオクチルマレート、並びに対応するフマレートおよびイタコネートなど]。
共重合体(A)は、粘度指数、剪断安定性および低温粘度の観点から、単量体の全重量に基づいて、下記表1に示した重量%の単量体の単位を含有する。
(A)が清浄性を必要とされる場合は、単量体(k)[特に(k112)および(k121)、とりわけジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびモルホリノエチル(メタ)アクリレート]を0.1〜10重量%(以下において、特に限定しない限り、%は重量%を表す)、特に、0.2〜5%使用することが好ましい。
共重合体(A)は、通常、25℃の鉱物油100部に、少なくとも0.5部、好ましくは少なくとも2部、更に好ましくは少なくとも30部、特に好ましくは少なくとも70部溶解する。
(A)の、ポリスチレンを標準としたゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)は、3,000〜1,000,000である。基油の種類および(A)の添加の目的によって異なるが、剪断安定性の観点から、(A)のMwは好ましくは下記表2に記載の範囲である。(A)のMwは、重合時の温度、単量体濃度(溶媒濃度)、触媒量または連鎖移動剤量などにより調整できる。
(A)は通常8.6〜11、基油への溶解性と粘度指数向上効果の観点から好ましくは9.2〜10.5、特に9.4〜9.8のSP値を有する。SP値はFedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって計算できる。
(A)のSP値は、構成単位のそれぞれのSP値を計算し、目的のSP値になるように単量体の種類とモル比を採択することにより調整できる。
例えば、アルキル(メタ)アクリレートの場合、アルキル基の長さによりSP値を調整することができる。
(A)は、抗乳化性の観点から好ましくは0.5〜7、さらに好ましくは1〜6.5、特に1.5〜6のHLBを有する。本発明におけるHLBは小田法のHLBであり、有機化合物の有機性と無機性の概念(「新.界面活性剤入門」藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行、p197−201)に基づいて定義されるものである。
(A)は、公知の製造方法によって得ることができる。例えば前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下にラジカル重合することにより得られる。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンまたはC9-10のアルキルベンゼンなどの芳香族溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびオクタンなどの脂肪族C6-18炭化水素、2−プロパノール、1−ブタノールまたは2−ブタノールなどのC3-8のアルコール系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤および鉱物油などが使用できる。好ましいのは鉱物油である。
重合触媒としては、アゾ系触媒[例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、ADVNと略記)、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレートなど]、過酸化物系触媒[例えば、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド、ラウリルパーオキシドなど]が使用できる。
さらに、必要により連鎖移動剤[例えば、C2-20のアルキルメルカプタンなど]を使用することもできる。反応温度としては、50〜140℃、好ましくは60〜120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合または懸濁重合により得ることもできる。さらに、共重合体の重合様式としては、ランダム付加重合または交互共重合のいずれでもよく、また、グラフト共重合またはブロック共重合のいずれでもよい。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物の重量中の共重合体(A)の含量が通常0.1〜30%である。
(A)の好ましい含量は、潤滑油組成物の用途と、鉱物油系基油の100℃の動粘度によって下記表3の範囲である。
本発明における有機燐化合物(P)は、金属原子を含有しない有機燐酸エステル、有機亜燐酸エステルおよびこれらのアミン塩から選ばれる1種以上であり、その例としては下記化合物が挙げられる。
有機燐酸エステル:
O=P(OR3a(OH)3-a (2)
式中、aは1〜3の整数;R3は各々炭素数4〜24で飽和もしくは不飽和のアルキル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、a個のR3は同一でも異なっていてもよい。
具体的にはモノアルキルホスフェート、ジアルキルホスフェート、トリアルキルホスフェートまたはこれらに相当するアリールエステルなどが挙げられる。
有機燐酸エステルのアミン塩の例:
一般式 O=P(OR4b(OH)3-b・NHc5 3-c (3)
(式中、bおよびcは各々1または2の整数;R4およびR5は各々炭素数4以上で飽和もしくは不飽和のアルキル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R4およびR5は同一でも相異なったものでもよい。)で示される化合物であり、モノアルキルホスフェート、モノアリールホスフェート、ジアルキルホスフェート、ジアリールホスフェートなどと、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミンとの塩である。
有機亜燐酸エステルの例:
一般式 P(OR6a(OH)3-a (4)
(式中、aは1〜3の整数;R6は各々炭素数4以上で飽和もしくは不飽和のアルキル基、アリール基またはアルキル置換アリール基である。)で示される化合物であり、モノアルキルホスファイト、ジアルキルホスファイト、トリアルキルホスファイト、またはこれらに相当するアリールホスファイトなどがある。
有機亜燐酸エステルのアミン塩の例:
一般式 P(OR7b(OH)3-b・NHc8 3-c (5)
(式中、bおよびcは各々1または2の整数;R7およびR8は各々炭素数4以上で飽和もしくは不飽和のアルキル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、RおよびR’は同一でも相異なったものでもよい。)で示される化合物であり、モノアルキルホスファイト、モノアリールホスファイト、ジアルキルホスファイト、ジアリルアリールホスファイトなどと、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミンとの塩である。
上記一般式(2)〜(5)におけるR3〜R8で各々示される基の具体例としては、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル基、オレイル基などの炭素数4〜30もしくはそれ以上、好ましくは4〜20の飽和もしくは不飽和アルキル基;フェニルなどのアリール基;並びに、トルイル基などのアルキル置換アリール基が挙げられる。
以上有機燐化合物(P)として例示したもののうちで好ましいものは炭素数4〜18のアルキルホスフェートである。
これらの有機燐化合物(P)は通常、潤滑油組成物100重量部中に約0.01〜5重量部含有される。好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明の潤滑油組成物は、前述の(A)以外のアルキル(メタ)アクリレート系共重合体(B)を含有してもよい。
(B)は前述の(a)以外の単量体、すなわち(b1)、(b2)、および(c)〜(m)からなる群から選ばれる2種またはそれ以上からなる共重合体である。
(B)のうち、好ましいのは(b1)と(b2)の共重合体[共重合モル比(b1)/(b2)=0.01〜40/60〜99.99]、および(b2)のうちの2種以上の共重合体であり、さらに好ましいのは(b2)のうちの2種以上からなる共重合体である。
特に好ましいのは使用される2種以上の(b2)のアルキル基の平均炭素数(モル平均、以下、Cavと略記)が12.0以上13.0未満である共重合体(B1)、および2種以上の(b2)のアルキル基のCavが13.0〜15.0である共重合体(B2)であり、とりわけ好ましい(B1)および(B2)はアルキル基がいずれも直鎖アルキル基のものであり、分岐アルキル基は30重量%以下、特に10重量%以下である。
(B)としては(B1)と(B2)の併用、または(B1)もしくは(B2)の単独使用のいずれでもよいが、好ましいのは併用である。
(B1)と(B2)の具体例としては、n−ドデシルメタクリレート/n−オクタデシルメタクリレート(60〜90重量%/10〜40重量%、Cav=12.5〜14.0)、n−ドデシルメタクリレート/n−ヘキサデシルメタクリレート(50〜90重量%/10〜50重量%、Cav=12.3〜13.8)、n−ドデシルメタクリレート/n−テトラデシルメタクリレート(30〜90重量%/10〜70重量%、Cav=12.2〜13.4)およびn−ドデシルアクリレート/n−ドデシルメタクリレート(10〜40重量%/90〜60重量%、Cav=12)の共重合体などが挙げられる。
(B)のMwは、好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜250,000である。
(B)の添加量は潤滑油組成物の重量に基づいて、通常0〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
また、(B)が(B1)と(B2)の併用の場合の重量比率は、通常1/99〜99/1、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30である。
(B)は上記の(A)と同様の方法で製造できる。
本発明の潤滑油組成物はさらに従来から公知の添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、以下のものが使用できる。
分散剤(D):ポリアルケニルコハク酸イミド(ビス−およびモノ−ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物およびボレート類;
清浄剤(E):塩基性、過塩基性または中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート、アルキルナフタレンスルフォネートなど)の過塩基性またはアルカリ土類金属塩]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類およびこれらの混合物;
酸化防止剤(F):ヒンダードフェノール類および芳香族2級アミン類;
消泡剤(G):シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステルおよびフォスフェート化合物など;
油性向上剤:長鎖脂肪酸およびそれらのエステル(オレイン酸およびオレイン酸エステルなど)、長鎖アミンおよびそれらのアミド(オレイルアミンおよびオレイルアミドなど);
摩擦摩耗調整剤:モリブデン系および亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメートおよびジンクジアルキルジチオフォスフェートなど);
極圧剤:硫黄系化合物(モノ−およびジ−スルフィド、スルフォキシドおよび硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物および塩素系化合物(塩素化パラフィン)など;
抗乳化剤:第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩)、硫酸化油、フォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート)など;
腐食防止剤:窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾールおよび1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート)など。
これらの添加剤は、以下の表4記載の量(重量%、但し消泡剤はppm)を潤滑油組成物の重量に基づいて使用することができる。
本発明の潤滑油組成物において使用できる鉱物油系基油としては、溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する(または水素化分解による)高粘度指数油およびナフテン油などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
鉱物油系基油は潤滑油組成物の重量に基づいて通常50〜99.89重量%、好ましくは65〜99.0重量%、さらに好ましくは70〜99.0重量%である。
本発明における鉱物油系基油の100℃の動粘度は通常1〜10mm2/s、好ましくは1〜8mm2/s、特に好ましくは2〜5mm2/sであり、粘度指数は通常80以上、好ましくは100以上である。該基油の動粘度が1mm2/s未満になると使用中、温度上昇により著しく油分の蒸発がみられたり、潤滑部分で高圧にさらされ油膜切れを生じ焼きつけを起こし易い。また10mm2/sを越えると粘性抵抗が大きくなり、エネルギーロスを起こし易い。基油の粘度指数が80未満では粘度−温度特性が悪くなる。
また、基油の流動点(JIS K2269−1993年)は−5℃以下、さらに−10℃〜−70℃が好ましい。基油の流動点がこの範囲であるとワックスの析出量が少なく低温粘度が良好である。
本発明の潤滑油組成物は、デファレンシャル油および工業用ギヤ油などのギヤ油、マニュアルトランスミッション油(以下、MTFと略記)、オートマチックトランスミッション油(以下、ATFと略記)およびベルト−CVTFなどの変速機油、トロイダル−CVT油などのトラクション油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、建設機械用作動油および工業用作動油などの作動油、並びにエンジン油などに好適に用いられる。これらのうち好ましいのはデファレンシャル油、ATF、ベルト−CVT油、エンジン油およびMTFでる。さらに好ましくはATF、ベルト−CVT油およびMTFである。特に好ましくはATFである。
本発明の潤滑油組成物は剪断安定性が良好であり、CEC L45−45−A−99で規定された方法に従い試験時間を20時間として試験した場合、粘度低下率は好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは6%以下である。
<実施例>
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、製造例、実施例、比較例中の%および部は重量%および重量部を表す。
(GPCによる重量平均分子量の測定法)
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A
カラム : TSK gel GMH6 2本
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.5重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
標準 : ポリスチレン
(低温粘度の試験方法)
JPI−5S−26−85の方法で−40℃の粘度を測定した。
(粘度指数の試験方法)
JIS−K−2283の方法で行った。
(剪断安定性の試験方法)
CEC L45−45−A−99の方法に従い試験時間を20時間とした。
(ペンタン不溶解分の試験法)
JIS K2514の試験時間96時間、温度150℃とし、JPI−5S−18−80のペンタン不溶解分A法、B法によりスラッジ量を求めた。
(SAE No2試験法)
JASO M348−95により2000サイクル目のμdを測定した。(標準油T2の2000サイクル目μd=0.128)
製造例1〜5、および比較製造例1、2;
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、鉱物油25部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、表5に記載の単量体を合計100部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DMと略記)を表1に記載の量、およびラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル:ADVNと略記)0.5部仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下85℃で4時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、得られたポリマーを130℃、3時間、減圧下で揮発性モノマーを除去し鉱物油41.7部加え、さらに1時間均一溶解後、濃度60%の共重合体溶液(A−1)〜(A−3)、(B−1)、(B−2)、(X−1)および(X−2)を得た。得られた重合体のMwは表5に示す。
(B−1);平均炭素数12.2
(B−2);平均炭素数13.9
DTM:2−デシルテトラデシルメタクリレート
DOM:2−ドデシルオクチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
nHM:n-ヘキサデシルメタクリレート
nOM:n-オクタデシルメタクリレート
nDM:n-ドデシルメタクリレート
nTM:n-テトラデシルメタクリレート
DAE:ジメチルアミノエチルメタクリレート
実施例1〜3、比較例1、2
下記潤滑油組成物を各々作成し、粘度指数、低温粘度、せん断安定性、SAE No2試験のμdおよびISOT後のペンタン不溶解分の測定行った。その結果、表6の結果を得た。表6中において、A法とはISOT後のペンタン不溶解分であり、B法とは凝集剤を加えたときのペンタン不溶解分である。従って、A法とB法の差がスラッジ分散能力を示すこととなる。また、A法、B法でのスラッジ量は抗酸化性を示し、少ない方が性能良好なことを示す。
〔潤滑油組成物〕
(A−1)〜(A−3)の各共重合体溶液(実施例1〜3)、または(X−1)、(X−2)の比較の共重合体溶液(比較例1、2) ;10%
ジラウリルフォスフェートのオレイルアミン塩 ; 1%
ポリブテニルコハク酸イミド ; 3%
(エチルクーパー社製「Hitec E638」)
過塩基性Caスルフォネート ; 1%
(エチルクーパー社製「Hitec E611」)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛 ; 0.3%
(アモコ社製 「Amoco 194」)
2,6−ジ−tertブチル−p−クレゾール ; 0.2%
(ルブリゾール社製 「Lubrizol 817」)
高粘度指数油(100℃動粘度:3mm2/s、粘度指数:115) ;84.5%
実施例4
下記組成物を各々作成し、実施例1と同様の試験を行った結果を表6に示す。
〔潤滑油組成物〕(実施例4)
(A−1) ;9.7%
(B−1) ;0.15
(B−2) ;0.15
ジラウリルフォスフェートのオレイルアミン塩 ; 1%
ポリブテニルコハク酸イミド ; 3%
(エチルクーパー社製「Hitec E638」)
過塩基性Caスルフォネート ; 1%
(エチルクーパー社製「Hitec E611」)
ジアルキルジチオリン酸亜鉛 ; 0.3%
(アモコ社製 「Amoco 194」)
2,6−ジ−tertブチル−p−クレゾール ; 0.2%
(ルブリゾール社製 「Lubrizol 817」)
高粘度指数油(100℃動粘度:3mm2/s、粘度指数:115) ;84.5%
本発明の潤滑油組成物は、輸送用機器用および各種工作機器用などの駆動系潤滑油[ギア油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャル油等)、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油、ベルトCVT油、トロイダルCVT油など)]、作動油[機械の作動油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油など]、エンジン油[ガソリン用、ディーゼル用等]に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 100℃での動粘度が1〜10mm2/sであり、粘度指数が80以上である鉱物油系基油を主要量とし、組成物の重量に基づいて下記共重合体(A)を0.1〜30重量%および下記有機燐化合物(P)を0.01〜5重量%含むことを特徴とする潤滑油組成物。
    共重合体(A):下記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体としてなる共重合体。
    一般式
    CH2=C(R1)−COO(A−O)n−(CH2)p−CH(R2)−R3 (1) [式中、R1は水素原子またはメチル基、R2およびR3は炭素数1〜16の直鎖アルキル基および炭素数3〜34の分岐アルキル基からそれぞれ独立に選ばれる基であり、該分岐アルキル基中の連続するメチレン基の数は16個以下であり、R2、R3およびp個のCH2基の合計炭素数は18〜36個であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは0または1〜20の整数、pは0または1〜15の整数である。]
    有機燐化合物(P):金属原子を含有しない有機燐酸エステル、有機亜燐酸エステルおよびこれらのアミン塩からなる群から選ばれる1種以上。
  2. 単量体(a)が、一般式(1)においてpが1である単量体である請求項1記載の潤滑油組成物。
  3. 単量体(a)が、一般式(1)においてnが0である単量体である請求項1または2記載の潤滑油組成物。
  4. (A)が、(A)の重量に基づいて、5〜90重量%の単量体(a)、10〜60重量%の炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)、並びに0〜85重量%の炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体(b2)から構成されてなる共重合体である請求項1〜3のいずれか記載の潤滑油組成物。
  5. (A)が、さらに、アミノ基含有単量体、第4級アンモニウム塩基含有単量体、ニトリル基含有単量体およびニトロ基含有単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体(k)から構成される単位を(A)の重量に基づいて0.1〜10重量%含有してなる請求項1〜4いずれか記載の潤滑油組成物。
  6. 有機燐化合物(P)が下記一般式(2)〜(5)のいずれかで示される化合物の1種以上である請求項1〜5のいずれか記載の潤滑油組成物。
    O=P(OR3a(OH)3-a (2)
    O=P(OR4b(OH)3-b・NHc5 3-c (3)
    P(OR6a(OH)3-a (4)
    P(OR7b(OH)3-b・NHc8 3-c (5)
    (式中、aは1〜3の整数;bおよびcは各々1または2の整数;R3〜R8は各々炭素数4〜24で飽和もしくは不飽和のアルキル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R3〜R8は同一でも相異なったものでもよい。)
  7. さらに、炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる単量体(b2)の2種以上から構成され、該(b2)のアルキル基の平均炭素数が12.0〜13.0である共重合体(B1)および/または該(b2)の2種以上から構成され該(b2)のアルキル基の平均炭素数が13.1〜15.0である共重合体(B2)を含有する請求項1〜6いずれか記載の潤滑油組成物。
  8. さらに分散剤(D)、清浄剤(E)、酸化防止剤(F)および消泡剤(G)からなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜7のいずれか記載の潤滑油組成物。
  9. 自動車の駆動系に使用される請求項1〜8のいずれか記載の潤滑油組成物。
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