JP4377155B2 - 潤滑油添加剤および潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑油添加剤および潤滑油組成物に関する。詳しくは、摩擦係数向上効果に優れた潤滑油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の気運が高まり、自動車の省燃費性がより一層要求されてきている。そのために、潤滑油に求められる性能もより高度なものとなっており、特にクラッチ間や金属間の摩擦係数を調整する性能が求められている。
摩擦調整剤として使用される潤滑油添加剤としては、従来、オレイルアミン、ジエタノールアミンの脂肪酸アミドおよび脂肪酸エステル(特許文献−1参照)などが知られている。これらは、変速時の摩擦によるショックを軽減することができるが、一方で、摩擦係数低下によりエンジンからのクラッチを介したトルク伝達を低下させ燃費悪化を招くという問題点があった。
【0003】
【特許文献−1】
特公昭61-21517号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、エンジンからのトルク伝達を低下させないように、クラッチにおける摩擦係数を向上させる潤滑油添加剤を得ることが課題であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、従来よりも、クラッチにおける摩擦係数向上効果に優れた潤滑油添加剤を見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体としてなるビニル重合体(A)からなる潤滑油添加剤、該添加剤を含む潤滑油添加剤組成物および潤滑油組成物である。
【0006】
【化2】
【0007】
式中、Qは炭素数2〜12のラジカル重合性アルケニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ基またはラジカル重合性アルケニルオキシカルボニル基、R’は炭素数1〜6のアルキレン基、Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、(2n+1)×3個のRは同一でも異なっていてもよく、nは3個のnの合計が1〜200となる0または1以上の整数である。
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、Qのうちのラジカル重合性アルケニル基におけるアルケニル基とは、公知のラジカル重合(単独重合もしくは共重合)反応条件において単量体(a)が重合するようなアルケニル基であり、例えばビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−、2−および3−ブテニル基、オクテニル基並びにウンデセニル基が挙げられ、好ましいのは炭素数2〜4のアルケニル基、さらに好ましいのはビニル基およびアリル基である。また、ラジカル重合性アルケニルオキシカルボニル基とは、公知のラジカル重合(単独重合もしくは共重合)反応条件において単量体(a)が重合するようなアルケニルオキシカルボニル基であり、例えばビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、メタリルオキシカルボニル基、1−および2−プロペニルオキシカルボニル基並びにイソプロペニルオキシカルボニル基が挙げられる。
Qのうち、好ましいのは(メタ)アクリロイルオキシ基およびラジカル重合性アルケニル基、特に好ましいのは(メタ)アクリロイルオキシ基である。
【0009】
一般式(1)において、R’としては例えばメチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,2−へキシレン基および1,6−へキシレン基などが挙げられ、好ましいのはメチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基および1,2−ブチレン基である。
また、Rは炭素数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基およびドデシル基が挙げられ、好ましいのはエチル基および特にメチル基である。
(2n+1)×3個のRは同一でも異なっていてもよく、同一であるのが好ましい。最も好ましいのはRのいずれもがメチル基の場合である。
nは3個のnの合計が好ましくは1〜100となる0または1以上、好ましくは0または1〜100の整数である。
3個のnのうち、好ましいのは2個のnが0で1個のnが1〜200、さらに好ましいのは2個のnが0で1個のnが5〜100および特に30〜80の場合である。
Q−R’−で表される基の例としては、Qがアルケニル基の場合は、アリル基、メタリル基、1−および2−ブテニル基、1−オクテニル基並びに1−ウンデセニル基;Qが(メタ)アクリロイルオキシ基の場合は、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基および2−(メタ)アクリロイルオキシエチル基;Qが(メタ)アクリロイルアミノ基の場合は、3−(メタ)アクリロイルアミノプロピル基および 2−(メタ)アクリロイルアミノエチル基;Qが3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ基の場合は、3−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ}プロピル基および2−{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ}エチル基;Qがアルケニルオキシカルボニル基の場合は、2−ビニルオキシカルボニルエチル基および3−ビニルオキシカルボニルプロピル基;が挙げられる。
【0010】
(a)の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシアルキルポリジメチルシロキサン[(メタ)アクリロイルオキシエチルポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンなど]、アルケニルポリジメチルシロキサン[(メタ)アリルポリジメチルシロキサン、ブテニルポリジメチルシロキサンなど]が挙げられる。
【0011】
(a)のうち、好ましいものは(メタ)アクリロイルオキシアルキルポリジメチルシロキサン、特に3−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−ポリジメチルシロキサンおよび2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−ポリジメチルシロキサンである。
【0012】
(A)には、(a)の単独重合体、2種以上の(a)の共重合体および(a)の1種以上と他のビニル単量体(b)の共重合体が含まれる。基油への溶解性の観点から好ましいのは(a)の1種以上と他のビニル単量体(b)との共重合体であり、(b)としては例えば下記のもの、及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0013】
(b1);(メタ)アクリル酸ハイドロカルビルエステル(ハイドロカルビル基は1価の炭化水素基を表す)
(b1−1):(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(b1−2):(メタ)アクリル酸アルケニルエステル、
(b1−3):(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、
(b1−4):(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルなど。
【0014】
(b1−1)を構成するアルキル基としては炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜24の直鎖および分岐のアルキル基が挙げられ、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−デシルテトラデシル基およびn−テトラコシルが挙げられ、(b1−1)はこれらのアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
【0015】
(b1−2)を構成するアルケニル基としては、炭素数2〜30の直鎖または分岐のアルケニル基が挙げられる。(b1−2)の具体例としては、(メタ)アクリル酸ブテニルエステル、(メタ)アクリル酸オクテニルエステル、(メタ)アクリル酸デセニルエステル、(メタ)アクリル酸ドデセニルエステル、(メタ)アクリル酸オレイルエステルが挙げられる。
【0016】
(b1−3)を構成するアラルキル基としては、炭素数7〜30のアラルキル基が挙げられる。(b1−3)の具体例としては、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルエチルエステルおよび(メタ)アクリル酸フェニルオクチルエステルが挙げられる。
【0017】
(b1−4)にはアルキル置換されたシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルも含まれ、具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチルおよび(メタ)アクリル酸シクロヘプチルエチルが挙げられる。
【0018】
(b2);(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステル:
(b2)を構成する(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを構成するオキシアルキレン基としては、炭素数が2〜20、好ましくは炭素数2〜6のオキシアルキレン基、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシ2−ブチレン基およびオキシイソブチレン基が挙げられる。また、モノアルキルエーテルを構成するアルキル基としては炭素数が1〜20、好ましくは炭素数1〜18の直鎖および分岐アルキル基、例えば前述のアルキル基が挙げられる。(ポリ)アルキレングリコールにおけるオキシアルキレン単位の数(以下において、pと略記する)は好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20である。(b2)の具体例としては、ポリエチレングリコール(P=6)モノメチルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(p=3)モノブチルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0019】
(b3);(メタ)アクリル酸以外の不飽和カルボン酸のエステル:
(メタ)アクリル酸以外の不飽和モノカルボン酸[クロトン酸など]の炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキルもしくはアラルキルエステル、ならびに不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸など]の炭素数1〜24のアルキルのジエステル[マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチルおよびマレイン酸ジオクチルなど]が挙げられる。
【0020】
(b4);脂肪族炭化水素系ビニルモノマー:
例えば、炭素数2〜30のアルケン[エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘプテン、4-メチルペンテン−1,1−ヘキセン、ジイソブチレン、1−オクテン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびその他のα−オレフィンなど]、炭素数4〜18(好ましくは炭素数4〜5)のアルカジエン[ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエンおよび1,7−オクタジエンなど]が挙げられる。
【0021】
(b5);アルキルアルケニルエーテル:
炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜24の直鎖または分岐アルキル基を有するアルキルビニルエーテル[メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなど]、アルキル(メタ)アリルエーテル[メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、n−ブチルアリルエーテルなど]、アルキルプロペニルエーテルおよびアルキルイソプロペニルエーテルなどが挙げられる。これらのうちで好ましいものは、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルアリルエーテルおよびエチルアリルエーテルである。
【0022】
(b6);モノカルボン酸ビニルエステル
モノカルボン酸としては、炭素数2〜30、好ましくは炭素数1〜18の脂肪族、脂環族および芳香族の飽和並びに不飽和のモノカルボン酸が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、n−オクタン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノール酸ビニルおよびリノレン酸ビニルなど、脂環族モノカルボン酸としてはシクロヘキサン酸ビニルおよびシクロオクタン酸ビニルなど、芳香族モノカルボン酸としては安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0023】
(b7);ビニルケトン類:
炭素数1〜8のアルキルもしくはアリールのビニルケトン[メチルビニルケトン、エチルビニルケトンおよびフェニルビニルケトンなど]が挙げられる。
【0024】
(b8);脂環族炭化水素系ビニルモノマー:
炭素数5〜24の脂環基を有する、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン、ピネン、リモネンおよびインデンなどが挙げられる。
【0025】
(b9);芳香族炭化水素系ビニルモノマー:
スチレン、置換スチレン(置換基の炭素数1〜18)[アルキル置換スチレン(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレンなど)、シクロアルキル置換スチレン(シクロヘキシルスチレンなど)、アリール置換スチレン(フェニルスチレンなど)、アラルキル置換スチレン(ベンジルスチレンなど)]、ジビニル置換芳香族炭化水素[ジビニルベンゼン、ジビニルトルエンおよびジビニルキシレンなど]、並びにビニルナフタレンなどが挙げられる。
【0026】
(b10);窒素原子含有モノマー:
(b10−1);1〜3級アミノ基含有ビニルモノマー
アミノアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド[アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレートおよびN−アミノエチル(メタ)アクリルアミドなど]およびこれらのモノおよびジアルキル(炭素数1〜6)置換体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびt−ブチルアミノエチルメタクリレートなど]、複素環アミノ基含有ビニルモノマー[モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ビニルイミダゾールおよびN−ビニルピロールなど]並びにモノおよびジ(メタ)アリルアミンが挙げられる。
【0027】
(b10−2);4級窒素原子含有ビニルモノマー
ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜8)(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミドの4級化物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの4級化物]およびジアリルアミンの4級化物などが挙げられる。4級化剤としてはメチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライドおよびジメチルカーボネートなどの炭素数1〜12のアルキルもしくはアラルキル基を有する化合物またはアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)を用いて4級化したものが例示される。
【0028】
(b10−3);アミド基含有ビニルモノマー
非置換もしくはモノアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド、[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−i−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−およびi−ブチル(メタ)アクリルアミドなど]、ジアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジn−ブチル(メタ)アクリルアミド]、N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−およびi−プロピオニルアミド、N−ビニルヒドロキシアセトアミド]並びに複素環(チオ)アミド基含有ビニルモノマー[N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドン]などが挙げられる。
【0029】
(b10−4);ニトリル基含有モノマー
(メタ)アクリロニトリルおよびシアノスチレンなどが挙げられる。
【0030】
(b10−5);ニトロ基含有モノマー
4−ニトロスチレンなどが挙げられる。
【0031】
(b11);水酸基含有ビニルモノマー
(b11−1)水酸基含有芳香族ビニルモノマー
p−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。
(b11−2)水酸基含有脂肪族モノマー
ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、炭素数3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−オクテノールおよび1−ウンデセノールなど]、炭素数4〜12のアルケンジオール[1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オールおよび2−ブテン−1,4−ジオールなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜10)エーテル[2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルなど]並びに(ポリ)アルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル[(ポリ)アルキレングリコールを構成するオキシアルキレン基としては前述のものが挙げられ、pの好ましい範囲も同様である。例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、ポリエチレングリコール(p=9)のモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(p=3)のモノ(メタ)アクリル酸エステル]などが挙げられる。
【0032】
(b12);ハロゲン原子含有ビニルモノマー
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル、ハロゲン化スチレン(モノおよびジクロルスチレン並びにテトラフルオロスチレン)などが挙げられる。
【0033】
(b13);アニオン性モノマー
(b13−1);カルボキシル基含有ビニルモノマー
不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、α−メチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸など]、不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜24)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびイタコン酸モノアルキルエステルなど]、不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびアコニット酸など]および無水不飽和ジカルボン酸[無水マレイン酸および無水イタコン酸など]が挙げられる。
【0034】
(b13−2);スルホ基含有ビニルモノマー
炭素数2〜6のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸など]、炭素数8〜12の芳香族ビニル基含有スルホン酸[スチレンスルホン酸およびα−メチルスチレンスルホン酸など]、スルホアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[スルホエチル(メタ)アクリレートおよびスルホプロピル(メタ)アクリレートなど]、(メタ)アクリルアミドアルカン(炭素数2〜8)スルホン酸[2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など]、スルホ基と水酸基を含有するビニルモノマー[3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸および3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]並びにアルキル(炭素数3〜18)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル[ドデシル(メタ)アリルスルホコハク酸エステルなど]が挙げられる。
【0035】
(b13−3);硫酸エステル基含有ビニルモノマー
ポリ(p=2〜30)オキシアルキレン(炭素数2〜4:エチレン、プロピレンおよびブチレンなど:単独付加、ランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい)グリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルの硫酸エステル、並びにポリ(p=2〜30)オキシアルキレン(アルキレンは前記ど同様)ビスフェノールAのモノ(メタ)アクリル酸エステルの硫酸エステルなどが挙げられる。
【0036】
(b13−4);燐酸基含有ビニルモノマー
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2〜6)燐酸モノエステル[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートなど]、(メタ)アクリロイルオキシアルカン(炭素数2〜4)ホスホン酸[2−アクリロイルオキシエタンホスホン酸など]などが挙げられる。
【0037】
(b)のうち、好ましいのは(b1)、(b3)、(b8)、(b9)および(b10)からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びにそれと(b)のうちの他のモノマーの少なくとも1種との併用(共重合重量比は少なくとも50/50、好ましくは95/5)であり、さらに好ましいのは(b1)、並びに(b1)と(b)のうちの他のモノマーの少なくとも1種との併用(共重合重量比は少なくとも50/50、好ましくは95/5)であり、特に好ましいのは(b1−1)のうちの少なくとも1種と(b1−4)のうちの少なくとも1種の併用(共重合重量比は少なくとも50/50、好ましくは95/5)、並びに(b1−1)のうちの2種以上の併用であり、最も好ましいのは(b1−1)のうちの少なくとも1種と(b1−4)のうちの少なくとも1種の併用である。
【0038】
(b1−1)のうちの2種以上の併用の場合の好ましい組み合わせは、以下の▲1▼および▲2▼である。
▲1▼;炭素数8〜24、(特に炭素数12〜24)の(直鎖もしくは分岐の)アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1−1−1)の1種以上と、炭素数1〜4の(直鎖もしくは分岐の)アルキル基(特にメチル基)を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1−1−2)の1種以上との組み合わせであり、共重合重量比(b1−1−1)/(b1−1−2)は、好ましくは50/50〜98/2、さらに好ましくは65/35〜90/10である。
▲2▼;上記(b1−1−1)のうちの2種以上の組み合わせ。
【0039】
(A)が(b)から構成される単位を含む場合の(A)の重量に基づく(a)から構成される単位の割合は、好ましくは0.01〜30重量%(以下において特に限定しない限り%は重量%を表す)、さらに好ましくは0.1〜20%、特に好ましくは0.5〜15%である。(a)から構成される単位が0.01%以上であれば摩擦係数向上効果に優れている点で好ましく、30%以下であれば基油への溶解性に優れている点で好ましい。
【0040】
(A)の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜500,000、さらに好ましくは5,000〜300,000、特に好ましくは8,000〜100,000である。ここで重量平均分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算分子量として測定されたものであり、以下Mwと略記する。
(A)の重量に基づくシリコン原子(Si)の含量(モノマーの仕込量に基づく計算値)は、好ましくは0.003〜11%、さらに好ましくは0.03〜7.3%である。
【0041】
(A)の具体例としては、例えば、
(1):メタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(3個のnのうち、2個が0で、1個が64)3%/メタクリル酸ヘキサデシル20%/メタクリル酸テトラデシル25%/メタクリル酸ドデシル52%からなる共重合体、
(2):メタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(3個のnのうち、2個が0で、1個が64)3%/メタクリル酸ヘキサデシル20%/メタクリル酸テトラデシル25%/メタクリル酸ドデシル36%/メタクリル酸メチル16%からなる共重合体、
(3):メタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(3個のnのうち、2個が0で、1個が64)3%/メタクリル酸ヘキサデシル20%/メタクリル酸テトラデシル25%/メタクリル酸ドデシル29%/メタクリル酸シクロヘキシル23%からなる共重合体、が挙げられる。
【0042】
(A)を製造する方法は、従来から知られているラジカル重合方法でよく、例えば溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは溶液重合法であり、通常、溶剤中で、開始剤存在下で(a)および必要により(b)をラジカル重合させることにより製造できる。
溶剤には、鉱物油[溶剤精製油、水素化改質油、イソパラフィンを含有するおよび/または水素化分解による粘度指数100〜160の高粘度指数油、ナフテン系オイル]並びに合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油など)およびエステル系合成潤滑油]などの高引火点溶剤(引火点130℃以上);その他の溶剤[脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサン等)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、アルコール系溶剤[イソプロピルアルコール(以下、IPAと略記)、オクタノール、ブタノール等]、ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)]およびこれらの2種以上の併用が含まれる。好ましいのは、高引火点溶剤および芳香族炭化水素である。
開始剤には、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤およびレドックス系開始剤が含まれる。
アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、AVNと略記)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩(例えば塩酸塩など)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミドなどが挙げられる。
過酸化物系開始剤には、無機過酸化物[例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど]および有機過酸化物[例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ラウリルパーオキシドなど]が含まれる。
レドックス系触媒には、アルカリ金属の亜硫酸塩および重亜硫酸塩(例えば、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウムなど)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、アスコルビン酸などの還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、有機過酸化物などの酸化剤との組合せよりなるものが含まれる。
開始剤の使用量は、モノマーの合計重量に基づいて、好ましくは0.05〜1%である。
連鎖移動剤を使用してもよく、例えばメルカプタン類(n−ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノールおよびメルカプトプロパノールなど)、チオカルボン酸類(チオグリコール酸およびチオリンゴ酸など)、2級アルコール類(イソプロパノ−ルなど)、アミン類(ジブチルアミンなど)および次亜燐酸塩類(次亜燐酸ナトリウなど)が挙げられる。連鎖移動剤の使用量はモノマーの合計重量に基づいて、好ましくは0〜3%である。
【0043】
重合温度は、好ましくは30〜140℃、さらに好ましくは50〜130℃、特に70〜120℃である。重合温度は断熱重合法または温度制御重合法によって制御できる。
また、熱による重合開始の方法の他に、放射線、電子線、紫外線などを照射して重合を開始させる方法を採ることもできる。好ましいものは温度制御した溶液重合法である。
共重合の様式は、ランダム付加重合または交互共重合のいずれでもよく、またグラフト共重合またはブロック共重合のいずれでもよい。グラフト共重合の場合、(a)を構成単量体とする重合体に(b)をグラフト共重合する方法および(b)のみを構成単量体とする重合体に(a)をグラフト共重合する方法などが挙げられるが、好ましいのは前者である。
また、(A)の製造は、(b)を重合した後に変性して(a)の単位を導入する方法により行うこともできる。例えば、(b13−1)を構成単量体として含む重合体と、アミノ変性、エポキシ変性もしくは水酸基変性シリコーンとの反応、および(b11−1)を構成単量体として含む重合体と、カルボキシ変性シリコーンとの反応により、(A)を製造することができる。
【0044】
本発明における潤滑油添加剤組成物は、本発明の潤滑油添加剤、ならびに希釈剤および/または他の添加剤からなるものである。
【0045】
希釈剤で溶解・希釈することにより基油への溶解が容易になる点で好ましい。希釈剤としては、前述の(A)の製造法において挙げた溶剤と同様のものが使用でき、(A)の重合工程で使用した溶剤を除去せずにそのまま残しておいてもよい。希釈剤として好ましいのは鉱物油および合成潤滑油である。
(A)からなる潤滑油添加剤が希釈剤に溶解しにくい場合は、加熱(好ましくは40〜150℃)して溶解することが好ましい。
潤滑油添加剤組成物が(A)と希釈剤のみからなる場合の、(A)と希釈剤の割合は、通常(A)が1%以上で希釈剤が99%以下、好ましくは(A)が10〜90%で希釈剤が10〜90%、さらに好ましくは(A)が20〜90%で希釈剤が10〜80%である。
【0046】
潤滑油添加剤組成物中の他の添加剤としては、前述の(b1)〜(b13)からなる群から選ばれる1種以上の単量体から構成される重合体(B)が例示される。
(B)を構成する(b1)〜(b13)のうち好ましいもの、さらに好ましいもの、特に好ましいもの、および最も好ましいものは、前記(A)において述べた(b)と同様の単量体であり、共重合重量比も同様である。
また、(b1−1)のうちの2種以上の併用の場合の好ましい組み合わせは、前述の▲1▼および▲2▼と同様の組み合わせであり、(b1−1−1)/(b1−1−2)の好ましい比率も前述と同様である。
(B)の具体例としては、
(1)メタクリル酸ヘキサデシル8%/メタクリル酸テトラデシル36%/メタクリル酸ドデシル36%/メタクリル酸メチル20%からなる共重合体、
(2)メタクリル酸テトラデシル33%/メタクリル酸ドデシル50%/メタクリル酸メチル17%からなる共重合体、
(3)メタクリル酸オクタデシル20%/メタクリル酸ドデシル80%からなる共重合体、が挙げられる。
【0047】
(B)/(A)の重量比は、好ましくは0〜10/1、さらに好ましくは0.01〜3/1である。
(B)の添加の目的は粘度指数(向上)と低温粘度(低下)の改善である。
【0048】
本発明の潤滑油添加剤組成物における他の添加剤としては、(B)以外にさらに以下のものが例示できる。
清浄剤[スルフォネート系、サリシレート系、フェネート系、ナフテネート系などのCaやMg塩および炭酸カルシウムなど]、分散剤[コハク酸イミド系(ビスタイプ、モノタイプ、ボレートタイプおよびマンニッヒ縮合物系など)]、抗酸化剤[アミン系(ジフェニルアミンなど)、ヒンダードフェノール系(トリアルキルフェノールなど)およびジンクジチオフォスフェートなど]、公知の摩擦調整剤[長鎖脂肪酸(オレイン酸など)、長鎖脂肪酸エステル(オレイン酸エステルなど)、長鎖アミン系(オレイルアミンなど)、長鎖アミド(オレアミドなど)]、耐摩耗剤[モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメイトおよびジンクジアルキルジチオフォスフェートなど]、極圧剤[硫黄系(ジアルキルジスルフィド)、リン系(リン酸エステル、亜リン酸エステル)およびハロゲン系(塩素化炭化水素)など]、消泡剤[シリコーン油および金属石けんなど]、抗乳化剤[4級アンモニウム塩、硫酸化油およびリン酸エステルなど]並びに腐食防止剤[ベンゾトリアゾールおよび1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカルバメートなど]。
(B)以外の添加剤の潤滑油添加剤組成物における添加量は、後述の潤滑油組成物の重量に基づくこれらの添加剤の含有量が以下のようになる添加量である。清浄剤は通常0〜20%、好ましくは0.1〜10%、分散剤は通常0〜20%、好ましくは0.2〜10%、抗酸化剤は通常0〜5%、好ましくは0.1〜3%、公知の摩擦調整剤は通常0〜5%、好ましくは0.1〜1%、耐摩耗剤は通常0〜10%、好ましくは0.1〜3%、極圧剤は通常0〜20%、好ましくは0.1〜10%、消泡剤は通常2〜1,000ppm、好ましくは10〜700ppm、抗乳化剤は通常0〜3%、好ましくは0〜1%、および腐食防止剤は通常0〜3%、好ましくは0〜2%である。
潤滑油添加剤組成物の全重量に基づく、(B)も含めた他の添加剤の合計量は、通常0〜70%、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0〜15%である。
また、潤滑油添加剤組成物が、(A)、(B)も含めた他の添加剤、および希釈剤からなる場合の潤滑油添加剤組成物の重量に基づく希釈剤の割合は、通常希釈剤が99%以下、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは10〜80%である。
【0049】
本発明の潤滑油組成物は、基油と潤滑油添加剤および必要により他の添加剤、または基油と潤滑油添加剤組成物からなるものであるが、他の添加剤は潤滑油添加剤組成物の中に配合してから基油に配合してもよく、それぞれを別にして基油に配合してもよい。その場合の配合の順序は特に限定されない。
本発明の潤滑油組成物に用いることのできる基油としては特に限定はなく、
前述の溶剤として例示した鉱物油および合成潤滑油などが挙げられる。これらのうち好ましいのは高粘度指数油である。
また、基油の好ましい曇点(JIS K2269)は−5℃以下、さらに好ましい曇点は−15℃〜−70℃である。基油の曇点がこの範囲であるとワックスの析出量が少なく低温粘度が良好である。また、基油の好ましい動粘度は100℃において1〜15mm2/s、特に好ましくは2〜8mm2/sである。
本発明の潤滑油組成物中の(A)の含量は、好ましくは基油の重量に基づいて0.01〜40%、さらに好ましくは0.03〜30%である。
【0050】
本発明の潤滑油添加剤は摩擦調整剤、摩耗防止剤、分散剤、酸化防止剤、および/または粘度指数向上剤などとして用いることができ、そのうち好ましいのは摩擦調整剤もしくは粘度指数向上剤としての使用であり、さらに好ましいのは摩擦調整剤としての使用である。その使用範囲は、エンジン油(ガソリン用、ディーゼル用など)、変速機油[ギア油(工業用、自動車用)、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油、トロイダルCVT油、ベルトCVT油)]、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油、トラクション油、グリースなどに幅広く好適に用いることができるが、好ましいのは変速機油、さらに好ましいのは自動変速機油、特に好ましいのは、スリップ制御機構を有する自動変速機用のオ−トマチックトランスミッション油、ベルトCVT油への使用であり、省燃費性に優れる。
なお、潤滑油組成物がエンジン油として使用される場合には基油の重量に基づく(A)の含量は0.1〜15%、ギヤ油として使用される場合には0.1〜15%、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油、ベルトCVT油など)および作動油の場合は0.1〜20%、トラクション油の場合は0.1〜20%であることが好ましい。
また、基油の重量に基づく(A)+(B)の含量は、通常0.01〜40%、好ましくは0.03〜30%である。
【0051】
【実施例】
以下に、実施例において試験例を説明するがこれに限定するものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を表す。
【0052】
(GPCによる重量平均分子量の測定法)
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A
カラム : TSK gel GMH6 2本
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.5質量%のTHF溶液
溶液注入量 : 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
標準 : ポリスチレン
【0053】
(摩擦係数の測定法)
JASO M348−95の方法で行い、摩擦係数として500サイクル目のμtを測定した。
【0054】
実施例1
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、重合溶剤として鉱物油(100℃動粘度:2.3mm2/s、粘度指数:83)2,500部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、メタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサン[一般式(1)において、Qがメタクリロイルオキシ基、R’がプロピレン基、3個のnのうちの2個が0で1個のnが64のもの](「サイラプレン FM−0721」:チッソ株式会社製)300部、メタクリル酸ヘキサデシル2,000部、メタクリル酸テトラデシル2,500部、メタクリル酸ドデシル5,200部、連鎖移動剤n−ラウリルメルカプタン100部、開始剤AVN50部を仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下75〜85℃で4時間重合反応を行い、重合体溶液12,650部を得た。該重合体溶液6,500部に鉱物油(100℃動粘度:2.3mm2/s、粘度指数:83)3,500部を加えて120℃で均一に溶解して希釈し、本発明の潤滑油添加剤組成物(V1)とした。また、さらに高粘度指数油[「YUBASE3」(SK Corp.製)]880部に(V1)を220部添加することにより本発明の潤滑油組成物(F1)を得た。
【0055】
実施例2
メタクリル酸ドデシル5,200部に代えて、メタクリル酸ドデシル3,600部およびメタクリル酸メチル1,600部を用いる以外は実施例1と同様にして重合体10,000部を得て、実施例1と同様にして希釈し、本発明の潤滑油添加剤組成物(V2)とした。またさらに実施例1と同様にして本発明の潤滑油組成物(F2)を得た。
【0056】
実施例3
メタクリル酸ドデシル5,200部に代えて、メタクリル酸ドデシル2,900部およびメタクリル酸シクロヘキシル2,300部を用いる以外は実施例1と同様にして重合体10,000部を得て、実施例1と同様にして希釈し、本発明の潤滑油添加剤組成物(V3)とした。またさらに実施例1と同様にして本発明の潤滑油組成物(F3)を得た。
【0057】
比較例1
重合溶剤に高粘度指数油(粘度指数=120)2,500部、単量体溶液をメタクリル酸メチル2,000部、メタクリル酸ヘキサデシル800部、メタクリル酸テトラデシル3,600部、メタクリル酸ドデシル3,600部、連鎖移動剤n−ラウリルメルカプタン100部、開始剤AVN50部とする以外は実施例1と同様に重合を行い、重合終了後、高粘度指数油(粘度指数=120)6,730部を加えて120℃で均一に溶解して希釈し、比較の潤滑油添加剤組成物(X1)とした。また、(X1)を実施例1と同様にして比較の潤滑油組成物(Y1)を得た。
【0058】
比較例2
比較例1の潤滑油組成物(Y1)995部に対し、オレイルアミンを5部添加することにより比較の潤滑油組成物(Y2)を得た。
【0059】
表1には、潤滑油組成物(F1)、(F1)、(F3)、(Y1)および(Y2)について摩擦係数μtの測定結果ならびに各潤滑油組成物に含まれる重合体のMwを示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明の潤滑油添加剤はクラッチの摩擦係数向上効果に優れており、動力伝達に不可欠な摩擦係数を増加させるため、省燃費化に効果的である。また、該潤滑油添加剤は粘度指数向上剤、摩耗防止剤、分散剤および/または酸化防止剤としても有効に作用することから駆動系潤滑油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャルギヤ油、オートマチックトランスミッション油、ベルトCVT油など)、作動油(機械の作動油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油など)、エンジン油(ガソリン用、ディーゼル用等)、トラクション油、グリース等に好適に用いることができる。なかでも摩擦係数向上剤としての効果に優れる点から特に駆動系潤滑油への適用が好ましい。
Claims (8)
- 下記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体としてなるビニル重合体(A)からなる、基油に溶解し得る潤滑油添加剤であって、(A)がさらに他のビニル単量体(b)を構成単量体としてなるビニル重合体であり、(b)が(メタ)アクリル酸ハイドロカルビルエステル(b1)であり、(A)が、(A)の重量に基づいて0.01〜30重量%の単量体(a)から構成されてなるビニル重合体である潤滑油添加剤。
- 一般式(1)における3個のnのうちの2個のnが0で1個のnが1〜200の整数である請求項1記載の潤滑油添加剤。
- (A)の重量平均分子量が3,000〜500,000である請求項1または2記載の潤滑油添加剤。
- 請求項1〜3のいずれか記載の重合体(A)、並びに希釈剤および/または他の添加剤からなる潤滑油添加剤組成物。
- 20〜90重量%の(A)および10〜80重量%の希釈剤からなる請求項4記載の潤滑油添加剤組成物。
- 他の添加剤のうちの少なくとも一部が、(b)から選ばれる1種以上の単量体から構成されるビニル重合体(B)である請求項4記載の潤滑油添加剤組成物。
- 基油と、請求項1〜6のいずれか記載の潤滑油添加剤または潤滑油添加剤組成物からなり、重合体(A)を基油の重量に基づいて0.01〜40重量%の量含有する潤滑油組成物。
- 摩擦係数向上剤である請求項1〜3のいずれか記載の潤滑油添加剤。
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