JP4691315B2 - 流動点降下剤および炭化水素油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動点降下剤並びにそれを含む炭化水素油組成物、さらに詳しくは炭化水素油系燃料油組成物および炭化水素油系潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素油系燃料油や潤滑油などは、冬期あるいは寒冷地において低温にさらされると流動性が低下することがあり問題になっている。例えば、石油中間留分からなる燃料油(例えばディーゼル燃料油およびA重油など)では、その中に含まれるワックスが析出し、配管系のフィルターを目詰まりさせたり、配管系内で固化したりする。また潤滑油でもワックスが析出し、エンジンなどの燃焼装置や駆動系装置が始動しなくなったり、停止したりする。これらの問題を解決する手段として、いくつかの提案がなされている。燃料油に関しては、例えばエチレン−飽和カルボン酸のビニルエステル共重合体を燃料油に添加する方法(特許文献−1〜3参照)が提案されており、潤滑油に関してはポリ(メタ)アクリレートを添加する方法(特許文献−4および5参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献−1】
特公昭39−200692号公報
【特許文献−2】
特公昭48−23165号公報
【特許文献−3】
特開昭59−136391号公報
【特許文献−4】
特開昭54−70305号公報
【特許文献−5】
特開2001−122925号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来から提案されている添加剤の効果は未だ不十分であり、さらに流動点降下能に優れる添加剤が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、従来よりも流動点降下能が改善された流動点降下剤を見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、架橋構造を有する下記重合体(A1)、(A2)および(A3)からなる群から選ばれる1種以上の油溶性ビニル重合体(A)からなり、(A1)〜(A3)がそれぞれ下記式(1)を満たす炭化水素油用流動点降下剤、該流動点降下剤を含む流動点降下剤組成物および炭化水素油組成物である。
(A1);ビニル基を2個以上有する架橋性単量体(a1)および炭素数8〜32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)を必須構成単量体としてなる重合体、
(A2);活性水素原子含有基を有するモノビニル単量体(c1)および炭素数8〜32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)を必須構成単量体とする重合体を、該活性水素原子含有基と反応可能な官能基を2個以上有する架橋剤(a2)により架橋反応させて得られる重合体、
(A3);活性水素原子含有基と反応可能な官能基を有するモノビニル単量体(c2)および炭素数8〜32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)を必須構成単量体とする重合体を、活性水素原子含有基を2個以上有する架橋剤(a3)により架橋反応させて得られる重合体。
5×{(aMn)/(AMn)} ≦ Y ≦ 200×{(aMn)/(AMn)} (1)
式中、Yは(A1)、(A2)または(A3)のそれぞれの重量に基づく(a1)、(a2)または(a3)の重量%、(aMn)は(a1)、(a2)または(a3)の分子量(2種以上の場合は数平均分子量)、(AMn)は(A1)、(A2)または(A3)の数平均分子量である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における重合体(A)は、(A1)、(A2)および(A3)からなる群から選ばれる1種または2種以上からなり、(A1)、(A2)および(A3)は、それぞれ(a1)、(a2)または(a3)を用いることにより架橋構造が形成されているものである。
また、(A1)、(A2)または(A3)のそれぞれの重量に基づく(a1)、(a2)または(a3)の重量%が、上記式(1)で示される特定の範囲であることにより、(A)は油溶性でかつ良好な流動点降下効果を発揮するものである。
【0007】
(A1)の必須構成単量体である(a1)としては下記のものが挙げられる。
【0008】
(a1−1);多官能(メタ)アクリレート、
(a1−1−1)一般式(2)で表される(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート:
R1−O−(XO)p−R2 (2)
式中、R1およびR2は(メタ)アクリロイル基である。Xは炭素数2〜27、好ましくは2〜4のアルキレン基[例えばエチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基]、pは1〜250、好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜4の整数を示す。pが2以上の場合のXは同一でも異なっていてもよく、(XO)p部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。
具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(a1−1−2)3価以上のポリオールのポリ(メタ)アクリレート:
ポリオール類[トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはこれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(総付加モル数1〜30モル)など]のトリ、テトラ、ペンタまたはヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0009】
(a1−2);(ポリ)(総付加モル数1〜20)アルキレン(炭素数2〜4)グリコールポリ(2〜6価)(メタ)アリルエーテル、
例えばエチレングリコールジ(メタ)アリルエーテル、プロピレングリコールジ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールジ(メタ)アリルエーテル、およびペンタエリスリトールトリアリルエーテルが挙げられる。
【0010】
(a1−3);ビス(メタ)アクリルアミド、
例えば、N,N−アルキレン(炭素数1〜6)ビス(メタ)アクリルアミド(N,N−メチレン−ビスアクリルアミドなど)が挙げられる。
【0011】
(a1−4);ビニル基を2個以上有する芳香族炭化水素、
炭素数10〜24のジビニル系芳香族炭化水素(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエンおよびジビニルキシレン)および炭素数12〜36のトリビニル系芳香族炭化水素(トリビニルベンゼンなど)が挙げられる。
【0012】
(a1−5)ビニル基を2個以上有する炭素数5〜18のケトンおよび炭素数4〜12のエーテル、
例えばジビニルケトンおよびジビニルエーテルが挙げられる。
【0013】
(a1−6);ポリ(2〜4価)カルボン酸のポリ(2〜4価)アリルエステル、
脂肪族ポリカルボン酸のジアリルエステル(ジアリルアジペートおよびジアリルセバケートなど)および芳香族ポリカルボン酸のジアリルエステル(ジアリルフタレートなど)が挙げられる。
【0014】
(a1−7);炭素数2〜6のアルケニル基を有するアルケニル(メタ)アクリレート、
例えばビニル(メタ)アクリレート、(メタ)アリル(メタ)アクリレートおよび(イソ)プロペニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0015】
(a1)のうち、重合性の観点から、好ましいのは(a1−1)、(a1−2)、(a1−3)および(a1−4)であり、さらに好ましいのは、(a1−1)および(a1−2)、特に好ましいのは(a1−1)、とりわけ(a1−1−1)である。
【0016】
(A1)の必須構成単量体である(b)を構成する炭素数8〜32のアルキル基としては、直鎖もしくは分岐のオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ヘキサコシル基、オクタコシル基およびトリアコシル基などが挙げられる。これらのうち好ましいのは炭素数10〜24、特に炭素数12〜18の直鎖アルキル基である。
(b)は2種または3種以上の併用でもよく、好ましいのは2〜4種の併用である。併用の場合の重量比率は特に限定されないが、併用の場合のアルキル基の平均炭素数(重量分率による平均)は、好ましくは10〜18、さらに好ましくは12〜17である。
【0017】
(b)の例としては、n−ドデシルメタクリレート(以下、MA−12と略記する)、n−テトラデシルメタクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート(以下、MA−16と略記する)、n−オクタデシルメタクリレート(以下、MA−18と略記する)、およびn−オクタデシルメタクリレートが挙げられる。
【0018】
(A1)は、さらに必要により他の単量体(d)から構成されていてもよい。
(d)としては例えば下記のモノビニル単量体が挙げられる。なお、(d)は1種でも2種以上の併用でもよい。
【0019】
(d1)炭素数1〜7のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;
アルキル基にはメチル基、エチル基、並びに直鎖もしくは分岐のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびヘプチル基が含まれ、好ましいのはメチル基およびエチル基、特にメチル基である。
【0020】
(d2)(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルのモノ(メタ)アクリレート;
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを構成するアルキレン基としては、炭素数が2〜20、好ましくは2〜6のアルキレン基、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2−ブチレン基およびイソブチレン基が挙げられる。
またモノアルキルエーテルを構成するアルキル基としては、前述の(b)および(d1)で挙げた、炭素数が1〜20、好ましくは1〜18の直鎖または分岐アルキル基が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールにおけるアルキレングリコールの単位の数は好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20である。
(d2)の例としては、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数6)モノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数3)モノブチルエーテルモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0021】
(d3)炭素数6〜24の脂環基を有する(メタ)アクリレート
脂環基としてはシクロヘキシル基、デカヒドロナフチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルメチル基およびシクロヘプチルエチル基などが挙げられる。
【0022】
(d4)(メタ)アクリル酸以外の不飽和カルボン酸のハイドロカルビルエステル;
前述の(d2)で挙げたアルキル基、(d3)で挙げた脂環基、または炭素数7〜18のアラルキル基(ベンジル基およびフェニルエチル基など)を有する不飽和モノカルボン酸[クロトン酸など]および不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸など]エステル(例えばマレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチルおよびマレイン酸ジオクチルなどのジエステル)が挙げられる。
【0023】
(d5);脂肪族炭化水素系ビニルモノマー:
例えば、炭素数2〜30のアルケン[エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘプテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、ジイソブチレン、1−オクテン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびその他のα−オレフィンなど]が挙げられる。
【0024】
(d6);アルキルアルケニルエーテル:
炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜24の直鎖または分岐アルキル基を有するアルキルビニルエーテル[メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなど]、アルキル(メタ)アリルエーテル[メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、n−ブチルアリルエーテルなど]、アルキルプロペニルエーテルおよびアルキルイソプロペニルエーテルが挙げられる。これらのうちで好ましいものは、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルアリルエーテルおよびエチルアリルエーテルである。
【0025】
(d7);モノカルボン酸ビニルエステル
モノカルボン酸としては、炭素数2〜30、好ましくは炭素数1〜18の脂肪族、脂環族および芳香族の飽和モノカルボン酸が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニルおよびn−オクタン酸ビニルなど、脂環族モノカルボン酸としてはシクロヘキサン酸ビニルおよびシクロオクタン酸ビニルなど、芳香族モノカルボン酸としては安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0026】
(d8);ビニルケトン類:
炭素数1〜8のアルキルもしくはアリールのビニルケトン[メチルビニルケトン、エチルビニルケトンおよびフェニルビニルケトンなど]が挙げられる。
【0027】
(d9);脂環族炭化水素系ビニルモノマー:
炭素数5〜24の脂環基を有する、シクロヘキセン、ピネン、リモネンおよびインデンなどが挙げられる。
【0028】
(d10);芳香族炭化水素系ビニルモノマー:
スチレン、置換スチレン(置換基の炭素数1〜18)[アルキル置換スチレン(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレンなど)、シクロアルキル置換スチレン(シクロヘキシルスチレンなど)、アリール置換スチレン(フェニルスチレンなど)、アラルキル置換スチレン(ベンジルスチレンなど)]、並びにビニルナフタレンなどが挙げられる。
【0029】
(d11);窒素原子含有モノマー:
(d11−1);1級または2級アミノ基含有ビニルモノマー
アミノアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド[アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレートおよびN−アミノエチル(メタ)アクリルアミドなど]およびこれらのモノアルキル(炭素数1〜6)置換体[モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびt−ブチルアミノエチルメタクリレートなど]、複素環アミノ基含有ビニルモノマー[モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ビニルイミダゾールおよびN−ビニルピロールなど]並びにモノアリルアミンが挙げられる。
【0030】
(d11−2);3級アミノ基含有ビニルモノマー
アミノアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミドのジアルキル(炭素数1〜6)置換体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど]が挙げられる。
【0031】
(d11−3);4級窒素原子含有ビニルモノマー
ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜8)(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミドの4級化物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの4級化物]およびモノアリルアミンの4級化物などが挙げられる。4級化剤としてはメチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライドおよびジメチルカーボネートなどの炭素数1〜12のアルキルもしくはアラルキル基を有する化合物またはアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)を用いて4級化したものが例示される。
【0032】
(d11−4);アミド基含有ビニルモノマー
非置換もしくはモノアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド、[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−i−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−およびi−ブチル(メタ)アクリルアミドなど]、ジアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジn−ブチル(メタ)アクリルアミド]、N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−およびi−プロピオニルアミド、N−ビニルヒドロキシアセトアミド]並びに複素環(チオ)アミド基含有ビニルモノマー[N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドン]などが挙げられる。
【0033】
(d11−5);ニトリル基含有モノマー
(メタ)アクリロニトリルおよびシアノスチレンなどが挙げられる。
【0034】
(d11−6);ニトロ基含有モノマー
4−ニトロスチレンなどが挙げられる。
【0035】
(d12);水酸基含有ビニルモノマー
(d12−1)水酸基含有芳香族ビニルモノマー
p−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。
(d12−2)水酸基含有脂肪族モノマー
ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、炭素数3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−オクテノールおよび1−ウンデセノールなど]、炭素数4〜12のアルケンジオール[1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オールおよび2−ブテン−1,4−ジオールなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜10)エーテル[2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルなど]並びに(ポリ)アルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル[(ポリ)アルキレングリコールを構成するオキシアルキレン基としては前述のものが挙げられ、pの好ましい範囲も同様である。例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、ポリエチレングリコール(p=9)のモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(p=3)のモノ(メタ)アクリル酸エステル]などが挙げられる。
【0036】
(d13);ハロゲン原子含有ビニルモノマー
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル、ハロゲン化スチレン(モノおよびジクロルスチレン並びにテトラフルオロスチレン)などが挙げられる。
【0037】
(d14);アニオン性モノマー
(d14−1);カルボキシル基含有ビニルモノマー
不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、α−メチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸など]、不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜24)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびイタコン酸モノアルキルエステルなど]、不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびアコニット酸など]および無水不飽和ジカルボン酸[無水マレイン酸および無水イタコン酸など]が挙げられる。
【0038】
(d14−2);スルホ基含有ビニルモノマー
炭素数2〜6のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸など]、炭素数8〜12の芳香族ビニル基含有スルホン酸[スチレンスルホン酸およびα−メチルスチレンスルホン酸など]、スルホアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[スルホエチル(メタ)アクリレートおよびスルホプロピル(メタ)アクリレートなど]、(メタ)アクリルアミドアルカン(炭素数2〜8)スルホン酸[2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など]、スルホ基と水酸基を含有するビニルモノマー[3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸および3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]並びにアルキル(炭素数3〜18)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル[ドデシル(メタ)アリルスルホコハク酸エステルなど]が挙げられる。
【0039】
(d14−3);硫酸エステル基含有ビニルモノマー
ポリ(p=2〜30)オキシアルキレン(炭素数2〜4:エチレン、プロピレンおよびブチレンなど:単独付加、ランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい)グリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルの硫酸エステル、並びにポリ(p=2〜30)オキシアルキレン(アルキレンは前記ど同様)ビスフェノールAのモノ(メタ)アクリル酸エステルの硫酸エステルなどが挙げられる。
【0040】
(d14−4);燐酸基含有ビニルモノマー
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2〜6)燐酸モノエステル[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートなど]、(メタ)アクリロイルオキシアルカン(炭素数2〜4)ホスホン酸[2−アクリロイルオキシエタンホスホン酸など]などが挙げられる。
【0041】
(d)のうち、好ましいのは(d1)〜(d4)、(d10)および(d11)からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びにそれと(d)のうちの他のモノマーの少なくとも1種との併用(共重合重量比は少なくとも50/50、好ましくは少なくとも95/5)であり、さらに好ましいのは(d1)〜(d4)、並びにそれと(d)のうちの他のモノマーの少なくとも1種との併用(共重合重量比は少なくとも50/50、好ましくは少なくとも95/5)であり、特に好ましいのは(d1)、並びに(d1)のうちの少なくとも1種、並びに(d1)のうちの2種以上の併用である。
【0042】
(A1)における(a1)の割合は、(A1)の重量に基づく(a1)の重量百分率Y[%]が下記式(1)を満たすような割合であり、好ましくは下記式(2)を満たす範囲内のものである。
5×{(aMn)/(AMn)} ≦ Y ≦ 200×{(aMn)/(AMn)} (1)
20×{(aMn)/(AMn)} ≦ Y ≦ 120×{(aMn)/(AMn)}(2)
式中、(aMn)は(a1)の分子量(2種以上の場合は数平均分子量)であり、(AMn)は(A1)の数平均分子量である。なお、Yは100%(以下において、%は特に限定しない限りは重量%を表す)を超えることはない。
【0043】
(aMn)は、好ましくは70〜2,000、さらに好ましくは70〜500である。
(AMn)は、好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは3,000〜300,000である。
なお、本発明において数平均分子量はGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算分子量として測定されるものである
【0044】
Yが下限未満であれば流動点降下効果に劣り、上限を越えると基油への溶解性に劣る。
【0045】
(a1)の仕込み量を設定するためのYは、(A1)の目標数平均分子量(AMn’)、(a1)のみを使用しないで合成した重合体の数平均分子量(AMn0)、(a1)の官能基数m、および(aMn)から設定できる。具体的には、まず、(a1)のみを使用せずに重合体(A10)を合成し、その数平均分子量(AMn0)を測定する。そして、mと(aMn)から下記式(3)によりYを算出する。
【0046】
【数1】
【0047】
Yの好ましい範囲は上記式(2)で示される範囲であるが、更に好ましい範囲は0.1〜80%、特に好ましい範囲は0.2〜50%、最も好ましい範囲は0.4〜30%である。
【0048】
(A1)の重量に基づく(a1)の割合は、好ましくは0.1〜80%、さらに好ましくは0.2〜50%、特に好ましくは0.4〜30%である。
また、(a1)/(b)は、好ましくは0.001〜0.5、さらに好ましくは0.005〜0.3である。
必要により使用できる(d)は、(A1)の重量に基づいて好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜10%である。
【0049】
本発明における重合体(A2)の必須構成単量体である(c1)としては、前述の(d11−1)および(d12)が挙げられる。
【0050】
(A2)の必須構成単量体である(b)としては前述の(b)が挙げられ、好ましいものも同様であり、必要により少量の(d)および/または(a1)を併用することもできる。 (d)および/または(a1)を併用する場合の(b)の重量に基づく(d)+(a1)の重量割合は、好ましくは0〜10%である。
【0051】
架橋剤(a2)は、活性水素原子含有基と反応可能な官能基を2つ以上含有する化合物であり、例えば下記の有機ポリイソシアネート(a2−1)および下記のポリエポキシド化合物(a2−2)が挙げられる。(a2)は1種でも2種以上の併用でもよい。
【0052】
(a2−1);有機ポリイソシアネート
炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0053】
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
【0054】
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0055】
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
【0056】
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。
【0057】
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。該ウレタン変性ポリイソシアネート[過剰のポリイソシアネート(TDI、MDIなど)とポリオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマー]の製造に用いるポリオールとしては、当量が30〜200のポリオールたとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの高官能ポリオール;およびこれらのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド)付加物が挙げられる。これらのうちで好ましいものは官能基数2〜3のものである。
上記変性ポリイソシアネートおよびプレポリマーの遊離イソシアネート基含量は通常8〜33%、好ましくは10〜30%、とくに好ましくは12〜29%のものである。
【0058】
これらのうちで好ましいものは芳香族ジイソシアネートであり、とくに好ましいものは2,4−および2,6−TDIおよびこれらの異性体の混合物、粗製TDI、4,4’−および2,4’−MDIおよびこれらの異性体の混合物、粗製MDI(PAPI)、およびこれらのポリイソシアネート類より誘導されるウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基を含有する変性ポリイソシアネート類であり、最も好ましいのは変性MDI[たとえばコロネートC−1059,C−1050(日本ポリウレタン製)、アイソネ―ト160L,181(化成アップジョン製)、スミジュールPC,PF(住友バイエルウレタン製)]である。
【0059】
(a2−2);ポリエポキシド化合物
ポリエポキシド化合物には1分子中に2個もしくは3個以上、好ましくは2個のエポキシ基を有する脂肪族系、脂環族系、複素環系および芳香族系ポリエポキシドが含まれる。
【0060】
芳香族系ポリエポキシドとしては、多価フェノールのグリシジルエーテル体およびグリシジル芳香族ポリアミンが挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリンおよびN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミンが挙げられる。
さらに、芳香族系ポリエポキシドには、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマーおよびビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含まれる。
【0061】
複素環系ポリエポキシドとしては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
【0062】
脂環族系ポリエポキシドとしては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミンが挙げられる。また、脂環族系ポリエポキシドには前記芳香族系ポリエポキシドの核水添化物も含む。
【0063】
脂肪族系ポリエポキシドとしては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、およびソルビトールポリグリシジルエーテルが挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルアジペートが挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
また、脂肪族系ポリエポキシドにはグリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含まれる。
【0064】
(A2)における、(c1)と(a2)とのモル比(c1)/(a2)は1〜2、好ましくは1.0〜1.5であり、(A2)の重量に基づく(a2)の割合Y%は、前述の(A1)と同様に上記式(1)を満たすような割合である。
この場合は、先に(c1)と(b)および必要により(d)からなる重合体のMnを測定しておき、(A1)と同様にしてYを決定する。
なお、(A2)における他の単量体として(a1)を併用する場合は、式(1)におけるYは、(a2)の重量として(a1)の重量も加えたものを用いて計算され、式(1)における(aMn)は(a2)と(a1)の合計の数平均分子量である。
Yが下限未満であれば流動点降下効果に劣り、上限を超える場合は基油への溶解性に劣る。
(A2)においても、式(1)における(aMn)は、好ましくは70〜2,000、さらに好ましくは70〜500であり、(AMn)は、好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは3,000〜30,000である。
【0065】
本発明における重合体(A3)の必須構成単量体である(c2)としては、下記のものが挙げられる。
【0066】
(c2−1);エポキシ基含有モノビニル単量体
例えば、グルシジル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アリルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0067】
(c2−2);イソシアネート基含有モノビニル単量体
例えばイソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。
【0068】
(A3)の必須構成単量体である(b)としては前述の(b)が挙げられ、好ましいものも同様であり、必要により少量の(d)および/または(a1)を併用することもできる。 (d)および/または(a1)を併用する場合の(b)の重量に基づく(d)+(a1)の重量割合は、好ましくは0〜10%である。
【0069】
架橋剤(a3)は、活性水素原子含有基を2個以上含有する化合物であり、例えば下記の多価アルコール(a3−1)、多価フェノール(a3−2)、アンモニアおよび1級もしくは2級アミン(a3−3)、ポリカルボン酸(a3−4)、リン酸類(a3−5)、並びにポリチオール(a3−6)が挙げられる。(a3)は1種でも2種以上の併用でもよい。
【0070】
(a3−1);多価アルコール
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖などの3〜8価の多価アルコールが挙げられる。
【0071】
(a3−2);多価フェノール類
例えば、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類が挙げられる。
【0072】
(a3−3);アンモニアおよび1級もしくは2級アミン類
例えば、アンモニア、炭素数1〜20のアルキルアミン類(ブチルアミンなど)、アニリンなどのモノアミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジンおよびその他特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン類;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなどの芳香族ポリアミン;およびモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類が挙げられる。
【0073】
(a3−4);ポリカルボン酸
例えば、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸があげられる。
【0074】
(a3−5);リン酸類
例えば、燐酸、亜燐酸、ホスホン酸が挙げられる。
【0075】
(a3−6);ポリチオール
例えば、グリシジル基含有化合物と硫化水素との反応で得られる多価ポリチオール化合物が挙げられる。
【0076】
重合体(A3)における、(c2)と(a3)とのモル比(c2)/(a3)は1〜2、好ましくは1.0〜1.5であり、(A3)の重量に基づく(a3)の割合Y%は、前述の(A1)と同様に上記式(1)を満たすような割合である。なお、(A3)における他の単量体として(a1)を併用する場合は、式(1)におけるYは、架橋剤(a3)の重量として(a1)の重量も加えたものを用いて計算され、式(1)における(aMn)は(a3)と(a1)の合計の数平均分子量である。
Yが下限未満であれば流動点降下効果に劣り、上限を超える場合は基油への溶解性に劣る。
(A3)においても、式(1)における(aMn)は、好ましくは70〜2,000、さらに好ましくは70〜500であり、(AMn)は、好ましくは1,000〜500,000、さらに好ましくは3,000〜300,000である。
【0077】
本発明における結晶化温度(以下Tcと略記する)は、PERKIN−ELMER社製 示差走査熱量計(UNIX−DSC7:UNIXは登録商標)を使用し、試料5mgを140℃から−80℃まで10℃/分の等温速度で冷却したときに観測される結晶化による吸熱ピーク温度(℃)である。
【0078】
(A1)、(A2)および(A3)のTcは、好ましくは−50℃〜10℃、さらに好ましくは−45℃〜0℃、特に好ましくは−40℃〜−10℃である。Tcが−50℃以上および10℃以下では、流動点降下能に優れている点で好ましい。
【0079】
(A1)または架橋剤で架橋する前の重合体を製造する方法は、従来から知られているラジカル重合方法でよく、例えば溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは溶液重合法であり、通常、溶剤中で、開始剤存在下で単量体をラジカル重合させる方法である。
溶剤には、鉱物油[溶剤精製油、水素化改質油、イソパラフィンを含有するおよび/または水素化分解による粘度指数100〜160の高粘度指数油、ナフテン系オイル]並びに合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油など)およびエステル系合成潤滑油]などの高引火点溶剤(引火点130℃以上);その他の溶剤[脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサン等)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、アルコール系溶剤[イソプロピルアルコール(以下、IPAと略記)、オクタノール、ブタノール等]、ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)]およびこれらの2種以上の併用が含まれる。好ましいのは、高引火点溶剤および芳香族炭化水素である。
開始剤には、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤およびレドックス系開始剤が含まれる。
アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、AVNと略記)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩(例えば塩酸塩など)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミドなどが挙げられる。
過酸化物系開始剤には、無機過酸化物[例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど]および有機過酸化物[例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ラウリルパーオキシドなど]が含まれる。
レドックス系触媒には、アルカリ金属の亜硫酸塩および重亜硫酸塩(例えば、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウムなど)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、アスコルビン酸などの還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、有機過酸化物などの酸化剤との組合せよりなるものが含まれる。
開始剤の使用量は、モノマーの合計重量に基づいて、好ましくは0.05〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
連鎖移動剤を使用してもよく、例えばメルカプタン類[n−ラウリルメルカプタン(以下、LSHと略記する)、メルカプトエタノールおよびメルカプトプロパノールなど]、チオカルボン酸類(チオグリコール酸およびチオリンゴ酸など)、2級アルコール類(イソプロパノ−ルなど)、アミン類(ジブチルアミンなど)および次亜燐酸塩類(次亜燐酸ナトリウなど)が挙げられる。連鎖移動剤の使用量はモノマーの合計重量に基づいて、好ましくは0〜7%、さらに好ましくは0.05〜5%である。
【0080】
重合温度は、好ましくは30〜140℃、さらに好ましくは50〜130℃、特に70〜120℃である。重合温度は断熱重合法または温度制御重合法によって制御できる。
また、熱による重合開始の方法の他に、放射線、電子線、紫外線などを照射して重合を開始させる方法を採ることもできる。好ましいものは温度制御した溶液重合法である。
共重合の様式は、ランダム付加重合または交互共重合のいずれでもよく、またグラフト共重合またはブロック共重合のいずれでもよい。
【0081】
(A2)は、上記の方法で重合体を得た後、(a2)を用いて架橋反応させることで得られる。
【0082】
架橋反応の方法は、断熱法、温度制御法が挙げられる。反応温度としては、好ましくは30〜140℃、さらに好ましくは50〜130℃、特に好ましくは70〜120℃である。また、必要により触媒を添加することができる。
【0083】
重合体中の活性水素原子含有基と(a2)との反応を促進するための触媒としては、金属触媒たとえば錫系触媒[トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンマレエートなど]、鉛系触媒[オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛など]、その他の金属触媒[ナフテン酸コバルトなどのナフテン酸金属塩、フェニル水銀プロピオン酸塩など];およびアミン系触媒たとえばトリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン、ジアザビシクロアルケン類[1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7{DBU(サンアプロ製、登録商標)}など];ジアルキルアミノアルキルアミン類[ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノオクチルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミンなど]または複素環式アミノアルキルアミン類[2−(1−アジリジニル)エチルアミン、4−(1−ピペリジニル)−2−ヘキシルアミンなど]の炭酸塩および有機酸塩(ギ酸塩など)等;N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等;およびこれらの2種以上の併用系が挙げられる。
【0084】
(A3)は、上記の方法で重合体を得た後、(a3)を用いて架橋反応させるることで得られる。
【0085】
架橋反応の方法は、断熱法、温度制御法が挙げられる。好ましい反応温度は上記(A2)における架橋反応の場合と同様である。また、必要により前述の触媒を添加することができる。
【0086】
なお、上記の製造法で得られる(A1)、(A2)または(A3)の分子には、それぞれ(a1)、(a2)または(a3)を含有しない分子も副生することがあっても、本発明においては、これらも含めて(A1)、(A2)または(A3)とする。
【0087】
(A1)の具体例としては、例えば、
(1):エチレングリコールジメタクリレート(Mn=198)(1.3%)/MA−16(30%)/MA−14(30%)/MA−12(38.7%)からなる重合体(Mn=・20,000)、Y=1.3、式(1)の左辺の値=0.050、式(1)の右辺の値=1.98、
(2):ペンタエリスリトールテトラアクリレート1.0%(Mn=352)/MA−16(25%)/MA−18(10%)/MA−12(64%)からなる重合体、(Mn=20,000)、Y=1.0、式(1)の左辺の値=0.088、式(1)の右辺の値=3.52、
(A2)の具体例としては、例えば
(1):エチレングリコールモノメタクリレート0.8%/MA−18(20%)/MA−12(80%)からなる重合体をヘキサメチレンジイソシアネート(Mn=168)1%で架橋反応した重合体、(Mn=20,000)、Y=1.0、式(1)の左辺の値=0.042、式(1)の右辺の値=1.68、が挙げられる。
【0088】
本発明の流動点降下剤組成物は、(A)、並びに希釈剤および/または他の添加剤からなり、希釈剤で溶解・希釈することにより基油への溶解が容易になる点で好ましい。希釈剤としては、前述の(A)の製造法において挙げた溶剤と同様のものが使用でき、(A)の重合工程で使用した溶剤を除去せずにそのまま残しておいてもよい。希釈剤として好ましいのは高引火点溶剤および芳香族炭化水素である。
(A)が希釈剤に溶解しにくい場合は、加熱(好ましくは40〜150℃)して溶解することが好ましい。
流動点降下剤組成物が(A)と希釈剤のみからなる場合の、(A)と希釈剤の割合は、通常(A)が1%以上で希釈剤が99%以下、好ましくは(A)が10〜90%で希釈剤が10〜90%、さらに好ましくは(A)が20〜90%で希釈剤が10〜80%である。
【0089】
流動点降下剤組成物中の他の添加剤としては、前述の(b)、(c1)、(c2)および(d)からなる群から選ばれる1種以上の単量体から構成される非架橋型ビニル重合体(B)が例示される。
【0090】
(B)を構成する単量体のうち、好ましいのは(b)、(d1)〜(d7)、および(d10)〜(d12)からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びにそれと他のモノマーの少なくとも1種との併用(共重合重量比は少なくとも50/50、好ましくは少なくとも95/5)であり、さらに好ましいのは(b)、並びに(b)と(d1)のうちの少なくとも1種との併用(共重合重量比は少なくとも50/50、好ましくは少なくとも95/5)である。
【0091】
(B)を構成する(b)のうち、特に好ましいのは炭素数8〜24さらに好ましくは炭素数12〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
(B)のMwは通常5,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜400,000である。
【0092】
(B)の具体例としては、例えば、MA−12(30〜80%)/MA−18(20〜70%)からなる共重合体、およびメチルメタクリレート(0〜30%)/MA−12(10〜40%)/MA−14(10〜40%)/MA−16(0〜20%)共重合体などが挙げられる。
【0093】
(B)/(A)の重量比は、好ましくは0〜10/1、さらに好ましくは0.01〜3/1である。
(B)の添加の目的は粘度指数の改善(向上)と低温粘度の改善(低下)である。
【0094】
本発明の流動点降下剤組成物における他の添加剤としては、(B)以外にさらに以下のものが例示できる。
清浄剤[スルフォネート系、サリシレート系、フェネート系、ナフテネート系などのCaやMg塩および炭酸カルシウムなど]、分散剤[コハク酸イミド系(ビスタイプ、モノタイプ、ボレートタイプおよびマンニッヒ縮合物系など)]、抗酸化剤[アミン系(ジフェニルアミンなど)、ヒンダードフェノール系(トリアルキルフェノールなど)およびジンクジチオフォスフェートなど]、公知の摩擦調整剤[長鎖脂肪酸(オレイン酸など)、長鎖脂肪酸エステル(オレイン酸エステルなど)、長鎖アミン系(オレイルアミンなど)、長鎖アミド(オレアミドなど)]、耐摩耗剤[モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメイトおよびジンクジアルキルジチオフォスフェートなど]、極圧剤[硫黄系(ジアルキルジスルフィド)、リン系(リン酸エステル、亜リン酸エステル)およびハロゲン系(塩素化炭化水素)など]、消泡剤[シリコーン油および金属石けんなど]、抗乳化剤[4級アンモニウム塩、硫酸化油およびリン酸エステルなど]並びに腐食防止剤[ベンゾトリアゾールおよび1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカルバメートなど]。
【0095】
(B)以外の添加剤の流動点降下剤組成物における添加量は、後述の炭化水素油組成物の重量に基づくこれらの添加剤の含有量が以下のようになる添加量である。
清浄剤は通常0〜20%、好ましくは0.1〜10%、分散剤は通常0〜20%、好ましくは0.2〜10%、抗酸化剤は通常0〜5%、好ましくは0.1〜3%、公知の摩擦調整剤は通常0〜5%、好ましくは0.1〜1%、耐摩耗剤は通常0〜10%、好ましくは0.1〜3%、極圧剤は通常0〜20%、好ましくは0.1〜10%、消泡剤は通常2〜1,000ppm、好ましくは10〜700ppm、抗乳化剤は通常0〜3%、好ましくは0〜1%、および腐食防止剤は通常0〜3%、好ましくは0〜2%である。
【0096】
流動点降下剤組成物の全重量に基づく、(B)も含めた他の添加剤の合計量は、通常0〜70%、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0〜15%である。
また、流動点降下剤組成物が、(A)、(B)も含めた他の添加剤、および希釈剤からなる場合の流動点降下剤組成物の重量に基づく希釈剤の割合は、通常希釈剤が99%以下、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは10〜80%である。
【0097】
本発明の炭化水素油組成物は、基油と流動点降下剤および必要により他の添加剤、または基油と流動点降下剤組成物からなるものであるが、他の添加剤は流動点降下剤組成物の中に配合してから基油に配合してもよく、それぞれを別にして基油に配合してもよい。その場合の配合の順序は特に限定されない。
【0098】
本発明の炭化水素油組成物には炭化水素系燃料油組成物および炭化水素系潤滑油組成物が含まれる。
本発明の炭化水素油系燃料油組成物に用いることのできる炭化水素油系燃料油としては、例えばJIS 1号軽油、JIS 2号軽油、JIS 3号軽油、JIS 特3号軽油、JIS A重油、JIS B重油、JIS C重油などの原油を原料とする燃料油が挙げられ、硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄燃料油に対しても有効である。低硫黄燃料油の具体例としては、低硫黄原油(たとえば、ミナス原油等南方系の原油)の通常の蒸留で得られるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油;通常の原油から水素化脱硫処理工程を経て製造される脱硫軽油;この脱硫軽油と直留軽油(水素化脱硫工程前の軽油)をブレンドして得られる軽油留分から製造されるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油が挙げられる。
なお、本発明において炭化水素油系燃料油には、上記炭化水素油とその他の燃料油との混合物も含まれる。その他の燃料油としては、植物油、動物油および合成エステル油などが挙げられる。混合物の場合の混合物中のその他の燃料油の割合は通常60%以下、好ましくは40%以下である。
【0099】
本発明の炭化水素油系潤滑油組成物に用いることのできる炭化水素油系潤滑油としては、炭素数が少なくとも18〜27のワックスを含有し、100℃における動粘度が1〜50mm2/sかつ流動点が15℃以下であるものが好ましい。具体的には、溶剤精製油、イソパラフィンを含有するおよび/または水素化分解による粘度指数100〜160の高粘度指数油、炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油など)、ナフテン油並びにこれら2種以上の混合油などが挙げられる。なお、本発明において炭化水素油系潤滑油には、上記炭化水素油とエステル系合成潤滑油との混合物も含まれる。混合物の場合の混合物中のエステル系合成潤滑油の割合は通常60%以下、好ましくは40%以下である。
【0100】
本発明の炭化水素油組成物中の(A)の含有量は、好ましくは炭化水素油組成物の重量に基づいて0.001〜30%、さらに好ましくは0.005〜10%、特に好ましくは0.01〜2%である。
【0101】
本発明の流動点降下剤を潤滑油に添加した場合は、流動点降下効果だけでなく、摩擦調整効果、摩耗防止効果、分散効果、酸化防止効果および粘度指数向上効果などを発揮することもできる。従って、対象となる潤滑油は、エンジン油(ガソリン用、ディーゼル用など)、変速機油[ギア油(工業用、自動車用)、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油、トロイダルCVT油、ベルトCVT油)]、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油、トラクション油、グリースなどに幅広く好適に用いることができ、低温流動性に優れる。
【0102】
【実施例】
以下に、実施例において試験例を説明するがこれに限定するものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を表す。
【0103】
(GPCによる数平均分子量の測定法)
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A
カラム : TSK gel GMH6 2本
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.5質量%のTHF溶液
溶液注入量 : 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
標準 : ポリスチレン
【0104】
(流動点の測定法)
JIS K−2269の方法で測定した。
【0105】
実施例1〜3、比較例1〜2
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、重合溶剤としてトルエン2,000部を仕込んだ。別のガラス製ビーカーに、表1記載の化合物を表1記載の部数仕込んで20℃で混合・溶解して単量体溶液を調製した。
単量体溶液を滴下ロートに仕込み、反応容器の気相部の窒素置換を行った後に、密閉下75〜85℃で滴下ロート中の単量体溶液を4時間かけて等速度で全量滴下し、重合反応を行った。その後、トルエンを100℃、減圧下で除去することによって表1記載の重合体を得た。これらの重合体10,000部に、さらに鉱物油を5,000部加え、120℃で均一に溶解し、流動点降下剤組成物とした。流動点降下剤組成物のうちの2部を、鉱物油[100℃動粘度:5.2、粘度指数:110、流動点:−17.5℃]998部に添加することにより炭化水素系潤滑油油組成物を得た。
【0106】
使用した(a1)の略号は以下の通りである。
EG;エチレングリコールジメタクリレート(「ライトエステルEG」:共栄社化学株式会社製)、
PE−4A;ペンタエリスリトールテトラアクリレート(「ライトアクリレートPE−4A」:共栄社化学株式会社製)、
BP−4EA;ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジアクリレート「ライトアクリレートBP−4EA」(共栄社化学株式会社製)。
【0107】
【表1】
【0108】
表2には、得られた重合体のMn、TcおよびYなどを示し、表3には炭化水素油組成物の流動点を示す。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
表3からわかるように、本発明の炭化水素油組成物は、比較例と比べて流動点が低くなっている。
【0112】
【発明の効果】
本発明の流動点降下剤は、従来の流動点降下剤に比べ流動点降下能に優れるため、自動車等の潤滑油および燃料油に使用した際には始動性および省燃費化に効果的である。また、該流動点降下剤は粘度指数向上剤、摩耗防止剤、分散剤、酸化防止剤としても有効に作用することから駆動系潤滑油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャルギヤ油、オートマチックトランスミッション油、ベルトCVT油など)、作動油(機械の作動油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油など)、エンジン油(ガソリン用、ディーゼル用等)、トラクション油、グリース等に好適に用いることができる。
Claims (11)
- 架橋構造を有する下記重合体(A1)である油溶性ビニル重合体(A)からなり、(A1) が 下記式(1)を満たす炭化水素油用流動点降下剤。
(A1);ビニル基を2個以上有する架橋性単量体(a1)および炭素数8〜32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)のみを構成単量体としてなる重合体、
5×{(aMn)/(AMn)}≦ Y≦ 200×{(aMn)/(AMn)}(1)
[式中、Yは(A1) の重量に基づく(a1) の重量%、(aMn)は(a1) の分子量(2種以上の場合は数平均分子量)、(AMn)は(A1) の数平均分子量であり、Yは1.00〜3.25重量%である。] - (A1)を構成する(a1)が多官能(メタ)アクリレートである請求項1 記載の流動点降下剤。
- 多官能(メタ)アクリレートが、下記一般式(2)で表される(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートである請求項2記載の流動点降下剤。
R1−O−(XO)p−R2(2)
[式中、R1およびR2は(メタ)アクリロイル基、Xは炭素数2〜27のアルキレン基、pは1〜250の整数を示す。pが2以上の場合のXは同一でも異なっていてもよく、(XO)p部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。} - (A)の数平均分子量が1,000〜500,000である請求項1〜3のいずれか記載の流動点降下剤。
- (A)のDSCにより測定される結晶化温度が50℃〜−70℃である請求項1〜4のいずれか記載の流動点降下剤。
- 請求項1〜5のいずれか記載の(A)、並びに希釈剤および/または他の添加剤からなる流動点降下剤組成物。
- 他の添加剤の少なくとも1種が、非架橋型ビニル重合体(B)である請求項6記載の流動点降下剤組成物。
- 炭化水素油系燃料油または炭化水素油系潤滑油と請求項1〜5のいずれか記載の流動点降下剤を含有する炭化水素油組成物。
- 炭化水素油組成物の重量に基づいて(A)を0.001〜40重量%含有する請求項8記載の炭化水素油組成物。
- 炭化水素油系燃料油がワックス含有炭化水素油系燃料油である請求項8または9記載の炭化水素油組成物。
- 炭化水素油系潤滑油がワックス含有炭化水素系潤滑油である請求項8または9記載の炭化水素油組成物。
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