(1) 各々を識別可能な複数種類の識別情報画像(たとえば、図8参照)を表示する変動表示装置(変動表示装置8)と、前記複数種類の識別情報画像を前記変動表示装置に変動表示させ導出表示された識別情報画像の表示結果が、予め定めた特定表示結果(たとえば「777」等のゾロ目)となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り状態)に制御する遊技機であって、
前記複数種類の識別情報画像の画像データを記憶するための画像データ記憶手段(画像データ記憶手段179)と、
前記変動表示装置に表示する表示画像を制御する制御データ(制御データ66)を記憶するための制御データ記憶手段(制御データ記憶手段178)と、
該制御データ記憶手段に記憶された制御データに基づいて、前記画像データ記憶手段に記憶された識別情報画像の画像データを読み出して識別情報画像を生成し、前記変動表示装置に出力処理を行なう画像生成手段(画像生成手段176)と、を備え、
前記画像生成手段は、
前記画像データ記憶手段に記憶されている識別情報画像を読み出して前記変動表示装置の前面側に表示する前面側識別情報画像(たとえば、図8参照)と該前面側識別情報画像の後面側に表示する後面側識別情報画像(たとえば、図8参照)と、を合成した合成画像(たとえば、図8の合成画像69)を生成する合成画像生成手段(合成画像生成手段61)を含み、
前記制御データ記憶手段は、
前記合成画像生成手段が前記前面側識別情報画像と前記後面側識別情報画像とを合成する際に、前記前面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に上げて指定する第1前面透過率データ(たとえば、前面側識別情報画像に図7の透過率Dテーブルを使用)と、
前記合成画像生成手段が前記前面側識別情報画像と前記後面側識別情報画像とを合成する際に、前記後面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に下げて指定する第1後面透過率データ(たとえば、後面側識別情報画像に図7の透過率Cテーブルを使用)と、を記憶し、
前記合成画像生成手段は、
前記制御データ記憶手段に記憶された前記第1前面透過率データに基づき経過時間に応じて前記前面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、前記制御データ記憶手段に記憶された前記第1後面透過率データに基づき経過時間に応じて前記後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第1合成処理(S21、S22、S41、S44、S48、図8参照)を行なうことを特徴とする。
このような構成によれば、時間経過毎の合成画像は、先に表示されていた前面側識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に大きくなり見えにくくなっていくのに対して、次に表示される後面側識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に小さくなっていくために、次第に明瞭になっていくという第1合成処理を行なって合成画像生成手段により生成され、生成された合成画像が画像生成手段により変動表示装置に順次出力される制御が実行される。このため、消えてゆく前面側識別情報画像が時間経過とともに残像を残すような画像となり、後面側識別情報画像が次第に明瞭になってくる合成画像となるため、奥行感を表現可能となり、視覚的に斬新な画像変動表示を行なうことができる。
このような構成によれば、後面側識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に大きくなっていくために、見えにくくなっていくのに対して、前面側識別情報画像はその透過率が経過時間に比例して徐々に小さくなり次第に明瞭になっていくという第2合成処理を行なって時間経過毎の合成画像が合成画像生成手段により生成され、生成された合成画像が画像生成手段により変動表示装置に順次出力される制御が実行される。このため、消えてゆく後面側識別情報画像が時間経過とともに残像を残すような画像となり、前面側識別情報画像表示画像が次第に明瞭になってくる合成画像となるため、奥行感を表現可能となり、視覚的に斬新な画像変動表示を行なうことができる。
このような構成によれば、時間経過毎の合成画像は、第1合成処理を行なって前面側識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に大きくなり見えにくくなっていくのに対して、次に表示される後面側識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に小さくなっていくために次第に明瞭になっていく。次に第2合成処理を行なって今明瞭に表示されている方の後面側識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に大きくなっていくために、見えにくくなっていくのに対して、見えにくくなっていた前面側識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に小さくなり次第に明瞭になっていくという揺れ動くサイクルを繰り返す第1繰返制御処理が実行される。このため、遊技者に対する演出効果を向上させることができる。
(4) 前記変動表示装置に識別情報画像の表示結果として導出表示する最終停止識別情報を決定する最終停止識別情報決定手段(大当り図柄決定、はずれ図柄決定などの事前決定手段190)と、
該最終停止識別情報決定手段により決定された前記最終停止識別情報の画像が前記後面側識別情報画像であるか前記前面側識別情報画像であるかを特定する停止識別情報特定手段(停止識別情報特定手段65)と、を備え、
前記制御データ記憶手段は、
前記第1前面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータ(たとえば、図7の透過率Cテーブル、DテーブルのT20〜T80のデータ、S25〜S29)であって、前記前面側識別情報画像の透過率を前記特定の時間範囲内で経過時間に比例して徐々に上げて指定する第3前面透過率データ(たとえば、T20〜T80の透過率Dテーブルのデータを前面側識別情報画像に使用。S25〜S30,S41〜S44、S48)と、
前記第1後面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータであって、前記後面側識別情報画像の透過率を前記特定の時間範囲内で経過時間に比例して徐々に下げて指定する第3後面透過率データ(たとえば、T20〜T80の透過率Cテーブルのデータを後面側識別情報画像に使用。S25〜S30,S41,S43,S44、S48)と、
前記第2前面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータであって、前記前面側識別情報画像の透過率を前記特定の時間範囲内で経過時間に比例して徐々に下げて指定する第4前面透過率データ(たとえば、T20〜T80の透過率Cテーブルのデータを前面側識別情報画像に使用。S25〜S29,S31,S51,S53,S55〜S58)と、
前記第2後面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータであって、前記後面側識別情報画像の透過率を前記特定の時間範囲内で経過時間に比例して徐々に上げて指定する第4後面透過率データ(たとえば、T20〜T80の透過率Dテーブルのデータを後面側識別情報画像に使用。S25〜S29,S31,S51,S53,S55〜S58)と、
前記第3前面透過率データまたは前記第4前面透過率データから続くデータであって、前記前面側識別情報画像の透過率を指定する第5前面透過率データ(たとえば、T0〜T19、T81〜T100の透過率Cテーブル、Dテーブルのデータを前面側識別情報画像に使用。S10、S35〜S37)と、
前記第3後面透過率データまたは前記第4後面透過率データから続くデータであって、前記後面側識別情報画像の透過率を指定する第5後面透過率データ(たとえば、T0〜T19、T81〜T100の透過率Cテーブル、Dテーブルのデータを後面側識別情報画像に使用。S10、S35〜S37)と、を記憶し、
前記合成画像生成手段は、
前記制御データ記憶手段に記憶された前記第3前面透過率データに基づき経過時間に応じて前記前面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、前記制御データ記憶手段に記憶された前記第3後面透過率データに基づき経過時間に応じて前記後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第3合成処理(たとえば、T20〜T80の透過率Dテーブルのデータを前面側識別情報画像に使用し、T20〜T80の透過率Cテーブルのデータを後面側識別情報画像に使用。S25〜S30、S41、S43、S44、S48、図8参照)を行ない、
前記制御データ記憶手段に記憶された前記第4前面透過率データに基づき経過時間に応じて前記前面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた前面側識別情報画像と、前記制御データ記憶手段に記憶された前記第4後面透過率データに基づき経過時間に応じて前記後面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第4合成処理(たとえば、T20〜T80の透過率Cテーブルのデータを前面側識別情報画像に使用し、T20〜T80の透過率Dテーブルのデータを後面側識別情報画像に使用。S25〜S29、S31、S51、S53、S55〜S58、図9参照)を行ない、
前記画像生成手段は、予め定めた時間内において(S6、S7、S9)、前記合成画像生成手段による前記第3合成処理と、前記第4合成処理と、を順次繰り返して実行する第2繰返制御処理(S9,S25〜S31により、図7のT20→T80、T120(T80)→T180(T20)のサイクルを繰り返す。図8と図9を繰り返す。)を行ない、
前記合成画像生成手段は、さらに、前記第2繰返制御処理が終了した後、
前記停止識別情報特定手段により特定された前記最終停止識別情報が前記後面側識別情報画像であると特定された場合に、前記制御データ記憶手段に記憶された前記第5前面透過率データに基づき経過時間に応じて前記前面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、前記制御データ記憶手段に記憶された前記第5後面透過率データに基づき経過時間に応じて前記後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第5合成処理(S10、S35、S36、S41、S43〜S48)を行ない、
前記停止識別情報特定手段により特定された前記最終停止識別情報が前記前面側識別情報画像であると特定された場合に、前記制御データ記憶手段に記憶された前記第5前面透過率データに基づき経過時間に応じて前記前面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた前面側識別情報画像と、前記制御データ記憶手段に記憶された前記第5後面透過率データに基づき経過時間に応じて前記後面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第6合成処理(S10、S35、S37、S51、S53〜S58)を行なうことを特徴とする。
このような構成によれば、時間経過毎の合成画像は、予め定めた特定時間、第3合成処理を行なって前面側識別情報画像から後面側識別情報画像に時間経過とともに残像を残すように次第に明瞭さがゆっくりと切替わる合成画像となり、次に特定時間、第4合成処理を行なって今明瞭に表示されている後面側識別情報画像から前面側識別情報画像に次第に明瞭さがゆっくりと切替わって戻る合成画像となる揺動サイクルを繰り返す第2繰返制御処理が予め定めた時間行なわれる。その後、第2繰返制御処理終了時点の合成画像から、前面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に上げ、後面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に下げる第5合成処理を行なって後面側識別情報画像か、経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に下げ、前記後面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に上げる第6合成処理を行なって前面側識別情報画像か、が最終停止識別情報決定手段の決定した最終停止識別情報として明瞭に表示される。このため、残像を残すような画像となり、消えてゆく画像とこの消えてゆく画像に代わり次の画像が次第に明瞭になっていくため、奥行感を表現可能となり、視覚的に斬新な画像変動表示が繰り返され、やがて決定された画像に切替わる変動表示で遊技者に対する演出効果を向上させることができる。
このような構成によれば、画像合成に際して前面側識別情報画像の拡大率が経過時間に応じ前面側識別情報画像の透過率に反して増大または低減し、後面側識別情報画像の拡大率が経過時間に応じ後面側識別情報画像の透過率に反して増大または低減するため、消えてゆくときの前面側識別情報画像や後面側識別情報画像が時間経過とともに残像を残すように消えてゆき、次に明瞭になってくるときの後面側識別情報画像や前面側識別情報画像が時間経過とともに次第に明瞭になってくる合成画像となるため、奥行感を表現可能となり、視覚的に斬新な画像変動表示を行なうことができる変動表示で遊技者に対する演出効果を向上させることができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はこれに限らず、たとえばコイン遊技機やスロットマシンなどであってもよく、各々を識別可能な複数種類の識別情報画像を表示する変動表示装置と、前記複数種類の識別情報画像を前記変動表示装置に変動表示させ導出表示された識別情報画像の表示結果が、予め定めた特定表示結果となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であればすべてに適用することが可能である。
図1は、本発明における遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の正面図である。
図1を参照して、パチンコ遊技機1には、着脱可能な遊技盤6と、遊技盤6を覆うように額縁状に形成されたガラス扉枠2と、遊技者が遊技を行なう際、打玉を操作するための操作ノブ5と、余剰玉受皿4と、打玉が打込まれる遊技領域7と、打玉を遊技領域7へ導くための誘導レール29と、遊技領域7の外側に配置される遊技効果ランプ42と、遊技による効果音を発生するためのスピーカ41とが設けられている。余剰玉受皿4は、打玉供給皿3の下部に設けられ、打玉供給皿3から溢れた玉を貯留する。
遊技者は、操作ノブ5を操作することにより、打玉供給皿3内に貯留されている打玉を1個ずつ発射することができる。発射された打玉は、誘導レール29によって遊技領域7内に導かれる。
遊技領域7には、打玉が入賞することにより変動表示装置8の変動表示を開始させる始動入賞口14が構成された始動用電動役物14aと、各々が識別可能な複数種類の識別情報の一例として特別図柄を変動表示させる変動表示装置8とが設けられている。
特別図柄は、数字、文字、図形、模様等の複数種類の識別情報を判定用識別情報として表示する図柄(以下においては、「識別情報画像」とも称する)である。また、特別図柄は、数字、文字、図形、模様等の複数種類の識別情報を装飾用識別情報として表示する図柄でもある。始動用電動役物14aには、可動片が左右に設けられている。
変動表示装置8には、特別図柄表示部9と、普通図柄表示部10と、4つのLEDで構成される始動記憶表示器18と、通過記憶表示器15とが設けられている。
特別図柄表示部9は、複数の変動表示領域を有する。なお、特別図柄表示部9は、一般的には、液晶ディスプレイ(LCD(Liquid Crystal Display))が用いられるが、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機ELディスプレイ(Organic Electro luminescence Display)、ドットマトリクス等その他の画像表示方式の表示機器であってもよい。
特別図柄表示部9は、判定用識別情報を表示する特別図柄(識別情報画像)または装飾用識別情報を表示する特別図柄を、前述した複数の変動表示領域の各々において、変動表示させる。特別図柄表示部9は、特別図柄の他に、特別図柄の変動表示回数を報知するための飾り保留記憶表示や、所定のキャラクタ・背景画像としての背面画像等の画像も表示可能である。ここで、キャラクタは、特別図柄表示部9に表示される人間、動物、あるいは物等を表わす映像をいう。
なお、特別図柄表示部9により変動表示される特別図柄が示す識別情報は、数字、文字、図形、模様等の識別情報であれば、どのような識別情報であってもよく、数字(たとえば、“0”〜“9”)のみ、文字のみ、図形のみ、模様のみ、または、これらを適宜組合せたもの等であってもよい。
また、特別図柄表示部9により変動表示される識別情報画像は、平面で構成されるスプライトである。なお、識別情報画像は、スプライトに限定されることなく、立体的な形状を有する画像(以下においては、「立体オブジェクト」または「3Dオブジェクト」とも称する)であってもよい。
遊技領域7には、開閉板20と、開閉板20の傾動により打玉の入賞可能な開成状態となる可変入賞球装置19とが設けられている。
なお、普通図柄表示部10が変動表示している最中にさらに打玉が通過口11に進入し、ゲートスイッチ12で検出されたときには、普通図柄表示部10の変動表示を開始させることができない状態であるので、“4”を記憶数の上限として通過玉(ランダム値等)が記憶され、その記憶数が通過記憶表示器15においてLEDの点灯数により表示される。そして、普通図柄表示部10の変動表示が開始される毎に、点灯しているLEDの数を1つ減らす。なお、通過記憶表示器15の記憶数の上限は、“4”に限定されることなく、5つ以上であってもよい。 本実施の形態においては、通過口11に打玉が進入すると、普通図柄表示部10の変動表示が開始され、始動入賞口14に打玉が進入すると特別図柄表示部9において変動表示が開始されるので、通過口11および始動入賞口14を総括的に始動領域とも称する。
普通図柄表示部10には、「〇」が付されている当り普通図柄表示器と、「×」が付されているはずれ普通図柄表示器とがある。通過口11に打玉が進入したときに抽出されたランダム値(以下「カウント値」ともいう。)が所定の当り判定値と一致するときは、普通図柄表示部10における変動表示の表示結果が「当り」であると判断され、「〇」が付されている当り普通図柄表示器が点灯する。一方、抽出されたランダム値が所定の当り判定値と一致しないときは、普通図柄表示部10における変動表示の表示結果が「はずれ」であると判断され、「×」が付されているはずれ普通図柄表示器が点灯する。
当りとなり「〇」が付されている当り普通図柄表示器が点灯した場合には、始動用電動役物14aに設けられた左右1対の可動片が1回開成し、所定の開放期間が経過すれば、始動入賞が発生しなくとも可動片が元の位置まで閉成して開成状態は終了する。
遊技において、打玉が、始動入賞口14に入賞した場合(以下においては、始動入賞とも称する)には、打玉が遊技盤6に設けられた始動口スイッチ17により検出され、始動記憶表示器18の4つのLEDのうちの1つが点灯する。始動入賞の回数は、“4”を記憶数の上限としてパチンコ遊技機1の内部に設けられた記憶装置(後述するRAM55)に記憶(「始動記憶」ともいう)される。なお、始動記憶表示器18の有するLEDの数は4つに限定されることなく、5つ以上であってもよい。この場合、始動記憶可能な数は、始動記憶表示器18の有するLEDの数と等しくなる。なお、以下においては、たとえば、始動記憶表示器18の4つのLEDのうち3つ点灯している場合、始動記憶が“3”であるという。
始動記憶表示器18の4つのLEDのうちの“1”〜“3”個が点灯している状態、すなわち、始動記憶表示器18の始動記憶が上限に達していない状態で始動入賞すると、特定遊技状態としての大当り状態を発生させるか否かを決定するための所定のランダム値と、結果として表示する特別図柄を決定するための所定のランダム値とが抽出される。その後、所定条件の成立後、後述する変動表示制御手段により、特別図柄表示部9の変動表示が開始され、所定期間後に表示結果がすべて導出表示される。ここで、所定条件とは、特定遊技状態に制御されておらず、かつ、変動表示が行なわれていないという条件である。そして、当該変動表示が開始されると同時に、始動記憶値が1つ減少し、始動記憶表示器18の4つのLEDのうち、点灯しているLEDが1つ消灯する。すなわち、変動表示が開始され表示結果が導出表示される毎に、始動記憶値が“1”減少する。このとき、始動記憶表示器18のLEDが1つ以上点灯している状態、すなわち、始動記憶値が1以上あれば、再度、変動表示が開始され表示結果が導出表示される。
前述した特別図柄表示部9の変動表示は、一定時間が経過したときに停止表示される。特別図柄表示部9では、複数の有効ラインのうちの少なくとも1つの有効ライン上において、停止表示時の組合せが特定の表示態様(たとえば「777」等のゾロ目。以下「大当り図柄」ともいう。)であれば、「大当り」となり、パチンコ遊技機1は、特定遊技状態(以下「大当り状態」ともいう。)に移行し、可変入賞球装置19の開閉板20が開成して大入賞口が開口する。これにより、打玉を大入賞口に入賞させることが可能な遊技者にとって有利な第1の状態に制御される。開閉板20はソレノイド21によって駆動される。
前述した可変入賞球装置19の第1の状態は、大入賞口に進入した打玉の数が所定個数(たとえば10個)に達したとき、または所定期間(たとえば30秒間)経過したときのうちのいずれか早い方の条件が成立したときに一旦終了して開閉板20が閉成する。これにより、可変入賞球装置19は、打玉を入賞させることが不可能な遊技者にとって不利な第2の状態に制御される。
そして、可変入賞球装置19が第1の状態となっている期間中に進入した打玉が特定入賞領域に特定入賞し、Vカウントスイッチ22により検出されたことを条件として、その回における可変入賞球装置19の第1の状態が終了して第2の状態となった後、再度開閉板20が開成されて、可変入賞球装置19を第1の状態にする繰返し継続制御が実行される。この繰返し継続制御の実行上限回数は、たとえば16回と定められている。繰返し継続制御において、可変入賞球装置19が第1の状態にされている状態はラウンドと呼ばれる。繰返し継続制御の実行上限回数が16回のときには、第1ラウンドから第16ラウンドまでの16ラウンド分、可変入賞球装置19が第1の状態にされ得る。
特別図柄表示部9の有効ライン上における変動表示の表示結果が特別の表示態様(たとえば「777」等の奇数のゾロ目。以下「確変大当り図柄」ともいう。)となると、パチンコ遊技機1は、大当り状態終了後通常遊技状態に比べて大当りが発生する確率が高く変動した確率変動状態(特別遊技状態)になる。通常遊技状態において、大当りが発生する確率が、たとえば、1/300である場合、確率変動状態では、大当りが発生する確率が1/30となる。このような確率変動状態は、一般的に、「確変」と省略して呼ばれる場合もある。以下、確変図柄(奇数を表す図柄)による大当りを確変大当りとも称する。
通常遊技状態中に一旦、確変大当りが発生すると、少なくとも予め定められた確変継続回数(たとえば、次回まで)分の大当りが発生するまで確率変動状態に継続制御される。また、確率変動状態中に確変大当りが発生すれば、その確変大当り以降、改めて確変継続回数が計数され、その後、少なくとも確変継続回数だけ大当りが発生するまで確率変動状態が継続する。そして、確変継続回数に達した大当りが確変図柄以外の非確変図柄によるものであった場合には、確率変動の生じていない通常遊技状態に戻る。なお、以下においては、非確変図柄での組合せの大当りを通常の大当りとも称する。
特別図柄表示部9の有効ライン上における変動表示の表示結果が大当り図柄でも、確変大当り図柄でもない場合は、「はずれ」となり、パチンコ遊技機1の遊技状態は変化せずに通常遊技状態のままとなる。
なお、特別遊技状態は、特別図柄表示部9の有効ライン上における表示結果が大当り図柄のうちの確変図柄による大当り図柄となったときに、大当り図柄のうちの確変図柄以外の大当り図柄となったときと比べて、付与される価値が大きくなる付加価値が付与される状態であればよい。よって、特別遊技状態は、始動入賞率を向上させるとともに、特別図柄表示部9の図柄の変動時間を短縮させる変動時間短縮状態(省略して、時短状態または時短とも称される。)であってもよい。
パチンコ遊技機1が時短状態になると、特別図柄表示部9の変動表示の開始から終了までの時間が短縮される。たとえば、パチンコ遊技機1が通常遊技状態である場合、変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの時間が8秒である場合、時短状態では、変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの時間が3秒と短縮される。したがって、時短状態では、所定時間内における特別図柄表示部9の変動表示回数が増えるため、当該所定時間内において、通常遊技状態よりも大当りが発生する確率が高くなる。
また、パチンコ遊技機1が時短状態であるとき、普通図柄表示部10における変動表示の表示結果が「当り」と判定されると、通常遊技状態における始動用電動役物14aの可動片の開成のインターバルが30秒に1回であったのが、たとえば、1.5秒に1回になる。したがって、所定時間内における可動片の開成の回数が増えるため、時短状態では、当該所定時間内において、通常遊技状態よりも始動入賞する確率が高くなる。
さらに、特別遊技状態としては、始動用電動役物14aの可動片の開放時間の増加と開放回数の増加(複数回開放するようになる)とが行なわれる状態であってもよい。
通常遊技状態で、大当りが発生し、当該大当りが確変大当りであれば、パチンコ遊技機1は大当り状態終了後確率変動状態になる。パチンコ遊技機1が、確率変動状態のときに、次の大当りが非確変で大当りの場合には、大当り状態終了後通常遊技状態になる。なお、パチンコ遊技機1が確率変動状態または時短状態の特別遊技状態において、大当りが連続して発生することを連チャンと称する。
なお、確変大当りが発生し、パチンコ遊技機1が大当り状態終了後確率変動状態や時短状態になっている期間を特別遊技状態期間とも称する。特別遊技状態期間中に通常の大当りまたは確変大当りが発生することも連チャンと称する。特別遊技状態期間中に、最初の確変大当りを含めて大当りが、たとえば、5回発生した場合は、5連チャンとなる。
また、各変動表示領域の変動表示中においては、リーチ状態(以下「リーチ」、「リーチ態様」、「リーチ表示態様」ともいう。)が発生する場合がある。
ここで、リーチ状態とは、各々が識別可能な複数種類の識別情報が変動表示される変動表示領域を備えた変動表示装置を有し、変動表示領域において複数種類の識別情報を可変開始させた後、時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、複数の有効ラインのうちの少なくとも1つの有効ライン上において、予め定められた特定の表示態様となったときに、遊技状態が遊技者にとって有利な特定遊技状態となる遊技機において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特定の表示態様となる条件を満たしている表示状態をいう。
また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示状態が変化可能な変動表示領域を複数有する変動表示装置における識別情報の表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な特定遊技状態となる遊技機において、変動表示装置の表示結果がまだ導出表示されていない段階で、複数の有効ラインのうちの少なくとも1つの有効ライン上において、特定の表示態様が表示されやすい変動表示態様となったと遊技者に思わせるための表示状態をいう。そして、たとえば、特定の表示態様となった状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行なう状態もリーチ表示状態に含まれる。さらにリーチの中には、それが出現すると、通常のリーチ状態に比べて、大当りが発生しやすいものがある。このような特定のリーチ状態をスーパーリーチという。
また、リーチ状態とは、変動表示装置の変動表示が開始された後表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、複数の有効ラインのうちの少なくとも1つの有効ライン上において、特定の表示態様となる表示条件からはずれていない表示態様をもいう。
また、リーチ状態とは、変動表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、複数の有効ラインのうちの少なくとも1つの有効ライン上において、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特定の表示態様となる条件を満たしている場合の表示状態をもいう。
また、リーチ状態とは、複数の表示領域における一部の表示領域において表示結果がまだ導出表示されていない段階で、複数の有効ラインのうちの少なくとも1つの有効ライン上において、既に導出表示されている表示領域の表示結果が特定の表示態様となる条件を満たしている表示状態をもいう。
図2は、遊技制御基板31と表示制御基板80とにおける回路構成の一例を示すブロック図である。図2には、制御基板として、遊技制御基板(主基板ともいう)31と、表示制御基板80とが示されている。
遊技制御基板31には、遊技制御プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ160が設けられている。この遊技制御用マイクロコンピュータ160は、遊技制御用のプログラム等を記録するROM(Read Only Memory)54、ワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)55、制御用のプログラムに従って制御動作を行なうCPU56、出力ポート57Aを含む。遊技制御用マイクロコンピュータ160は、定期的(たとえば2msec毎)にROM54に記憶されている遊技制御プログラムを先頭から繰返し実行する。そして、各種検出スイッチからの信号が遊技制御用マイクロコンピュータ160に入力され、始動用電動役物14aの可動片を動作させるソレノイドや可変入賞球装置19の開閉板20を開閉するソレノイドその他必要に応じ役物キャラクタなどを作動させるソレノイドをも駆動制御する。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ160の出力ポート57Aから各種コマンドデータが表示制御基板80に設けられた演出制御用マイクロコンピュータ100の入力ポート57Bに伝送される。このコマンドデータは、変動表示装置8の表示,遊技演出ランプ25等のランプ点灯,スピーカ41から発生される遊技音等の演出の制御に関する指令情報として用いられる表示制御コマンドデータと、乱数判定処理において送信設定される外れコマンドデータ、リーチコマンドデータ等の判定結果コマンドとが送信される。演出制御用マイクロコンピュータ100では、伝送されてきた表示制御コマンドデータに応じて特別図柄表示部9の表示制御を行なう。なお、演出制御用マイクロコンピュータ100は、前述した遊技制御用マイクロコンピュータ160と同様の構成を有する。すなわち、制御用プログラム等が記録された制御ROM197と、ワークメモリとして機能するRAM196と、制御中枢としてのCPU198と、入力ポート57Bとを備えている。
表示制御基板80には、さらに、VDP(Video Display Processor)195、キャラクタROM193、VRAM192、表示装置駆動回路194等が設けられている。VDP195は、画像生成のために必要となるアドレス信号・データ信号・制御信号等を要求するためのINT1信号を定期的に発信している。このVDP195に備えられている、アトリビュートテーブル、パレットテーブルについては、図4に基づいて詳述する。またスプライト演算部とは、アトリビュートテーブルの記憶情報に従いキャラクタROM193に記憶されているデータを読出してVRAM192に書込む処理を行なうものである。CPU198からの画像表示制御信号がVDP195に入力され、VDP195は、その入力信号に従って、キャラクタROM193に記憶されているデータを読出してVRAM192に表示用のデータをマッピングし、パレットテーブルの記憶データに従ってVRAM192にマッピングされた表示用の画像データに色付けを行ない、そのデータを表示装置駆動回路194に出力し、表示装置駆動回路194がそのデータに従って変動表示装置8に画像を表示させる。
図3は、遊技制御基板31と表示制御基板80との機能を説明するための機能ブロック図である。遊技制御基板31により、遊技機の遊技状態を制御するとともに、変動表示装置8を制御するための制御情報を出力する遊技制御手段191が構成されている。この遊技制御用手段191は、変動表示装置8の表示結果をその導出表示以前に決定する事前決定手段190が備えられている。この事前決定手段190は、0からカウントしてその上限である299までカウントアップした後再度0からカウントアップする動作を繰返す数値データ更新手段が設けられており、始動入賞球検出手段(始動口スイッチ17)が始動入賞球を検出したその検出信号が事前決定手段190に入力された瞬間、数値データ抽出手段186が数値データ更新手段の数値データを抽出する。その抽出された数値データが始動入賞時判定手段185に与えられ、その始動入賞時判定手段185は、前記抽出された数値データを用いて、始動入賞球検出手段(始動口スイッチ17)が始動入賞球を検出したときに該始動入賞球の検出に起因する変動表示の表示結果を特定表示結果(大当りとなるゾロ目の組合せ)とするか否かを判定する。その判定結果が、特定情報送信手段57aに与えられ、その判定結果である始動入賞時判定結果特定情報が、表示制御基板80の特定情報受信手段(入力ポート57B)へ送信される。
さらに、遊技制御手段191には、保留記憶手段184が備えられている。この保留記憶手段184は、始動入賞球検出手段(始動口スイッチ17)により検出された始動入賞球のうち未だ変動開始条件が成立せず特別図柄表示部9(変動表示装置8)の変動表示に用いられていない始動入賞球数を保留記憶するものである。すなわち、変動開始待ちの始動入賞球数がこの保留記憶手段184に記憶される。この保留記憶手段184に記憶された保留記憶数を特定するデータ(保留数表示特定情報)182が特定情報送信手段(出力ポート)57Aに与えられ、その特定情報送信手段(出力ポート)57Aから表示制御基板80の特定情報受信手段(入力ポート)57Bに送信される。
事前判定手段190は、前述した数値データ抽出手段186が抽出した数値データに従って大当りにするか否かを事前決定するばかりでなく、大当りと事前決定された場合の大当り図柄の種類を事前に決定し、外れと事前決定された場合の外れ図柄の種類を事前に決定し(最終停止識別情報決定手段)、さらにリーチにするか否かの事前判定を行なうとともにたとえば通常リーチ,スーパーリーチ等の変動パターンを事前に決定し、それらを特定するコマンドデータが特定情報送信手段(出力ポート)57Aから表示制御基板80の特定情報受信手段(入力ポート)57Bへ送信される。
遊技制御手段191は、さらに、前述したように大当りとなったときの可変入賞球装置19の開閉板20を開閉するソレノイドを励磁制御して特定遊技状態制御を行なう機能を有するとともに、前述した事前決定された大当り図柄,外れ図柄,変動パターン等の変動情報と変動開始を指令する変動開始信号(コマンドデータ)を表示制御基板80へ出力するための変動情報出力手段187が備えられている。この変動情報出力手段187は、前述した変動情報と変動開始信号とからなるコマンドデータを変動表示装置8の変動開始時にのみ、特定情報送信手段(出力ポート)57Aから表示制御基板80の特定情報受信手段(入力ポート)57Bへ送信する。
遊技制御手段191には、遊技状態の制御に関する制御時間を管理するための遊技制御時間計時手段189が備えられており、この遊技制御時間計時手段が所定時間を計時したときに前述した始動入賞時判定結果特定情報183や保留数表示特定情報182や変動情報等の各種コマンドが表示制御基板80へ送信される。
具体的には、始動入賞球検出手段(始動口スイッチ17)の検出信号に基づいて保留記憶手段184の保留記憶数が増加したときには、その始動入賞の検出があったタイミングで、増加した保留数表示特定情報182と始動入賞時判定結果特定情報183とが表示制御基板80側へ送信される。一方、遊技制御時間計時手段189の働きにより変動表示装置8の変動開始タイミングが計時されたときに、前述した各種変動情報が表示制御基板80側へ送信される。
表示制御基板80により、前記遊技制御手段から出力されてきた制御情報に基づいて、前記変動表示装置を表示制御する表示制御手段164が構成されている。この表示制御手段164には、前述したキャラクタROM193で構成された画像データ記憶手段179、VRAM192、RAM196、VDP195、特定情報受信手段(入力ポート)57B、CPU198が備えられている。前述した制御ROM197(制御データ記憶手段178)に記憶されている制御プログラムによって動作するCPU198とVDP195は、後述する合成画像生成手段61を含む画像生成手段176、演出制御手段180、第1合成処理〜第6合成処理の各制御手段62、第1繰返制御処理を行なう第1繰返制御手段63、第2繰返制御処理を行なう第2繰返制御手段64などの各種指令手段、停止識別情報特定手段65、計時手段175としての機能を備えている。
なお、特定情報送信手段(出力ポート57A)から送信され、特定情報受信手段(入力ポート57B)で受信した各種制御情報(制御コマンド)を処理するための各種制御手段、たとえば、保留表示制御手段、予告決定手段、予告保留表示態様選択手段などについては、本発明とは直接関係しないので、以後の説明は割愛し、合成画像に関する事項のみについて以下説明する。このため、図3の表示制御基板80のブロック図においても本発明とは直接関係する合成画像に関する事項のみ記載している。
表示制御手段164には、キャラクタROM193から構成された画像データ記憶手段179が備えられており、この画像データ記憶手段179に、前述した複数種類の識別情報画像を変動表示装置8に表示させる各種画像データが記憶されている。
制御ROM197(制御データ記憶手段178)には、変動表示装置8に各種画像を表示させるためのタイミングを特定するタイミングデータと、始動入賞時判定結果特定情報183の受信から所定時間経過後に変動表示装置8に変動パターンに基づいた合成画像69を表示させるための制御データ66とが記憶されている。この制御データ66には、後述する第1〜第5前面透過率データ、第1〜第5後面透過率データ、前面側識別情報拡大率データ、後面側識別情報拡大率データが含まれている。
タイミングデータに従って計時手段175が計時して、変動表示装置8に各種画像を表示させるための契機となるトリガ信号をVDP195へ出力する。VDP195は、演出画像データを計時手段175からのトリガ信号に従って画像データ記憶手段179から読出して、演出画像を生成する画像生成手段176を備えている。具体的には、画像生成手段176により、画像データ記憶手段179から読出された演出画像データがVRAM192にマッピングされ、そのマッピングされた画像データがVDP195により読出されて変動表示装置8に表示される。画像生成手段176は、さらに、制御データ66に従って、所定時間を経過する毎に画像データ記憶手段179から次の新たな演出画像データを読出して新たな演出画像を生成する。具体的には、画像データ記憶手段179から読出された新たな演出画像がVRAM192にマッピングされ、そのマッピングされた画像データがVDP195により読出されて変動表示装置8に表示される。なお、VDP195の制御動作に関しては、後に図4に基づいて詳述する。
図4は、VDP195が変動表示装置8に2つの画像を合成せずに表示する通常画像を表示させる制御動作の手順を説明する説明図である。キャラクタROM193には、各キャラクタコード0000H〜0255H(Hは16進数を示す)に対応して16×16ドットのデータが記憶されている。この各16×16ドットの画像データをVRAM192の指定された各スプライト領域にマッピングして各スプライトを組合せることにより、VRAM192内において表示画像のデータを作成し、そのデータにパレットテーブル173を利用して着色した上で実表示画像172として変動表示装置8に表示させる。
1つの16×16ドットの画像データがマッピングされるスプライト領域の大きさは、小さければ小さいほど緻密で細かな映像を表示できる反面、全体としてスプライトの数が増加して表示制御動作の負担が増加して表示制御動作が遅くなる不都合が生じる。このような一長一短を考慮して本実施の形態においては16×16ドットの大きさのデータにしている。このキャラクタROM193には、各種図柄を表示させるための画像データ(16×16ドットのデータ)や、変動表示装置8の表示画面の背景を構成する画像データ(16×16ドットのデータ)等、各種画像データが記憶されている。
アトリビュートテーブル174には、変動表示装置8の表示画面が切換えられる毎に切換えられた後の表示画面に必要な表示データが演出制御用マイクロコンピュータ100によって記憶される。アトリビュートテーブル174の記憶データは、変動表示装置8の表示画面に表示される所定領域であるスプライトの表示位置と色情報と表示画面上での優先順位、拡大率、半透明混合率とキャラクタコードとを含んでいる。変動表示装置8の表示画面上では、複数種類のスプライト領域が一部または全部重ね合わせられて表示される場合があり、その重ね合わせがVRAM192上で行なわれる。その重ね合わせの際に、どちらのスプライトを優先して表示させるかが、優先順位情報で決定される。半透明混合率は1〜0の数値となり、不透明度を表す。1未満であったときの残りは透明分である。半透明混合率が低いとその画像は薄く表示されることになる。重ね合わせる部分を混合する場合には半透明混合率が使用され、半透明混合率により重ね合わせられるときの表示データとしては、色情報などが混合される。拡大率はその表示データがもつ形状サイズの拡大率であり、1〜0の数値となる。
たとえば、アトリビュートテーブル174のアドレス0と同じ位置情報をもち、重ね合わせられる別画面のアトリビュートテーブルに記載されている表示データが仮にアトリビュートテーブル174のアドレス255に記載されている表示データであった(但し位置情報は除く。)とする。この場合、アドレス0の優先順位がアドレス255の優先順位より高く、かつ、アドレス0の半透明混合率が1であるために、アドレス0の表示データが採用される。また、アドレス0の半透明混合率が0.8、アドレス255の半透明混合率が0.6であったときはアドレス0の優先順位が高いためにアドレス0の表示データが半透明混合率に従い0.8採用され、残りの0.2にアドレス255の表示データが採用されて色情報が混合される。また、アドレス0の半透明混合率が0.4、アドレス255の半透明混合率が0.4であったときはアドレス0とアドレス255の表示データがそれぞれの半透明混合率に従い0.4ずつ採用され、残りの0.2は透明分となり、その分薄い画像となる。
パレットテーブル173は、色データを0〜15の16種類にグループ分けして記憶しており、その1グループ(1パレット)内においてさらに0〜15の16種類の色データが二次元テーブルの形で記憶されている。パレット0〜パレット15のどのグループのパレットを選択指定するかがアトリビュートテーブル174の色情報によって行なわれる。キャラクタコード(種類情報)とは、キャラクタROM193に記憶されている複数種類の画像データ(16×16ドットのデータ)のうちのどの画像データを選択するかを指定するための識別用の番号のことである。
位置情報とは、選択された画像データを表示するスプライト領域を表示画面のどの位置に表示するかを決定するための座標データであり、具体的には、VRAM192上にその画像データをマッピングする際の表示座標を指定するためのデータである。なお、図4では、VRAM192の左上が座標(0,0)の原点である。
VRAM192上にマッピングされた画像データに対してどのグループの色を使用するかが、アトリビュートテーブル174の色情報によって選択指定される。このVRAM192内にマッピングされた画像データが変動表示装置8に表示されるべく出力され、その出力された画像データに対し前述した色情報によって選択指定されたグループのパレットの色データに従って着色処理がなされ、その着色処理された後の画像データが変動表示装置8に表示装置駆動回路194により表示される。
キャラクタROM193には、前述したように、画素データが0〜15×0〜15のマトリックス状に配列された1単位の画像データが複数種類記憶されている。この16×16ドットのデータ毎にキャラクタコードが付されており、アトリビュートテーブル174の種類情報(キャラクタコード)によってそのキャラクタコードが指定されて選択されるように構成されている。
16×16ドットの各ドットは、1画素(1ピクセル)に相当するものであり、この各ドット毎に0〜15の4bitの情報が記憶できるようになっている。この0〜15の4bitデータは、選択されたパレット(グループ)内に記憶されている0〜15の各色データを選択指定するものである。その結果、本実施の形態では、1画素(1ピクセル)毎に色データを指定してその指定された色データが変動表示装置8に表示される。すなわち、色指定の最小単位は1画素(1ピクセル)である。
以上の構成において、所定の表示箇所にたとえば「●」を表示する制御が演出制御用マイクロコンピュータ100によりなされた場合には、その表示制御用のデータがCPU198からVDP195に伝送される。VDP195では、その伝送されてきた表示制御用データに含まれている「●」を表示する旨の指令に基づいて、「●」に対応する画像データ(16×16ドットデータ)のキャラクタコードを割出し、さらに伝送されてきた制御用データに含まれている実行カウント値に基づいてスプライトの表示位置を特定する。その特定されたキャラクタコードと表示位置との2つを満たしている属性データを記憶しているアトリビュートテーブル174のアドレスを割出す。その割出されたアドレス(図4の場合にはアドレス0)に記憶されている属性データを用いて画像表示制御がなされる。具体的には、図4を参照して、「●」に対応するキャラクタコード0001Hに対応する画像データ(16×16ドットデータ)をキャラクタROM193から読出して、そのデータをVRAM192上にマッピングする。そのマッピングの際には、アトリビュートテーブル174のアドレス0に記憶されている位置情報(30,200)の座標データを用いて、VRAM192上でスプライトの左上コーナ部分が座標(30,200)に位置するようにマッピングされる。そしてこのスプライトは、優先順位のデータが高く設定されているために、他のスプライトと重複されたとしてもこのスプライトの方が優先して表示されることとなる。
次に、アトリビュートテーブル174のアドレス0に記憶されている色情報が「パレット15」であるために、パレットテーブル173のパレット15に記憶されているデータを用いて着色処理がなされる。具体的には、VRAM192上にマッピングされた16×16ドットデータのスプライト領域にこのパレット15のデータが用いられ、16×16ドットの各画素を構成する4bitのデータがたとえば「2」の場合には、「2」のデータすなわち左から数えて3番目のデータであるR(レッド)が10でG(グリーン)が10でB(ブルー)が10のデータでその画素(ピクセル)が着色処理なされ、実表示画像172として表示される。またVRAM192にマッピングされた16×16ドットのデータ中のあるドットデータが「14」のときには、パレット15における「14」すなわち右から数えて2番目のデータであるRが10でGが9でBが0のデータによりその画素(ピクセル)が着色処理される。
このようにしてたとえば、「●」の画像が表示される。
次に変動表示装置8に2つの画像を合成して表示する合成画像69を表示させる制御動作の手順を説明する。この場合、遊技制御手段191の特定情報送信手段(出力ポート)57Aから決定されている変動パターン情報が表示制御手段164の特定情報受信手段(入力ポート)57Bに指示される。表示制御手段164の演出制御用マイクロコンピュータ100のCPU198が受信した変動パターン情報を分析し、タイミングデータにより、変動表示装置8に表示すべき内容を指令する。
図13の(f)に変動表示タイムスケジュールを例示している。本実施の形態では、表示結果が全て導出表示されるまでに、中変動表示領域において変動表示される中図柄(識別情報画像)が最後に停止表示されるものとし、最後に停止表示される識別情報画像を最終停止識別情報画像とも称する。変動表示が開始され例えば左図柄が「7」で確定し、右図柄も「7」で確定すると、あと中図柄が「7」で確定するかどうかのリーチ状態になる。ここで、本発明の合成画像演出が威力を発揮する出番到来である。最後に停止する中図柄が「7」で止まりそうなのに次第にその画像が薄くなり代わりに「6」が次第に明瞭な画像として表示されてくる。これはダメかと思っていると、また「7」が明瞭になってきて「7」が最終停止図柄として確定し、めでたく確変大当りとなるなどの演出表示である。この様子は図8〜10に示されている。
図8では変動表示装置8の前面側に表示される図柄1「6」が時間経過とともにその画像が薄くなっていき、後面側に表示される図柄2「7」が時間経過とともにその画像が大きくなるとともにその画像が次第に濃くなっていく。この前面側に表示される図柄1「6」と後面側に表示される図柄2「7」を後に述べる合成手法(第1、第3、第5の各合成処理)により合成した画像を合成画像69として表示している。T20、T40、T60、T80は図7に示す経過時間である。この図8は本願発明の第1、第3、第5の各合成処理の様子を例示している。但し、図8ではさらに経過時間に応じて後面側識別情報画像の拡大率を徐々に上げ拡大していく例を示している。なお、合成画像69の色調の合成、たとえば、前面側に表示される図柄1「6」と後面側に表示される図柄2「7」の重なった部分の色調の合成などについては後に詳述する。
第1合成処理とは後述する第1前面透過率データに基づき経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、後述する第1後面透過率データに基づき経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成するものである。
第3合成処理とは、特定の時間範囲として図7のT20からT80に至る経過時間内で、後述する第3前面透過率データに基づき経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、後述する第3後面透過率データに基づき経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成するものである。
第5合成処理とは停止識別情報特定手段65により特定された最終停止識別情報が後面側識別情報画像であると特定された場合に、後述する第5前面透過率データに基づき経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、後述する第5後面透過率データに基づき経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成するものである。
図9は図8の時間経過を逆にしたもので、変動表示装置8の前面側に表示される図柄1「6」が時間経過とともにその画像が次第に濃くなっていき、他方後面側に表示される図柄2「7」が時間経過とともにその画像が小さくなっていくとともにその画像が薄くなっていく。この前面側と後面側に表示される図柄を合成した画像を合成画像69として表示している。この図9は本願発明の第2、第4、第6の各合成処理の様子を例示している。但し、図9ではさらに経過時間に応じて後面側識別情報画像の拡大率を徐々に下げ縮小していく例を示している。このように図8では識別情報である図柄が「6」から次第に「7」に切換ろうとしており、図9では「7」から次第に「6」に切換ろうとしている。
第2合成処理とは後述する第2前面透過率データに基づき経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた前面側識別情報画像と、後述する第2後面透過率データに基づき経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた後面側識別情報画像と、を順次合成するものである。
第4合成処理とは、特定の時間範囲として図7のT20からT80に至る経過時間内で、後述する第4前面透過率データに基づき経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた前面側識別情報画像と、後述する第4後面透過率データに基づき経過時間に応じて前記後面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた後面側識別情報画像と、を順次合成するものである。
第6合成処理とは停止識別情報特定手段65により特定された最終停止識別情報が前面側識別情報画像であると特定された場合に、後述する第5前面透過率データに基づき経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた前面側識別情報画像と、後述する第5後面透過率データに基づき経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた後面側識別情報画像と、を順次合成するものである。
図10では、前面側に表示される図柄1「6」が時間経過により次第にその画像が薄くなっていくとともに、画像の大きさも小さくなっていく点が図8と異なっている。すなわち、図8では画像の拡大率が1のまま変化しないが、図10では1から0.8、0.6、0.4、0.2と時間経過につれ縮小していく例を表している。この図10は第1合成処理または第3合成処理において、さらに前面側識別情報拡大率データとして図7の拡大率Eテーブルが使用されて生成された前面側識別情報画像が、さらに後面側識別情報拡大率データとして図7の拡大率Fテーブルが使用されて生成された後面側識別情報画像と合成処理される様子を例示するものである。また、図示しないが、第2合成処理または第4合成処理において、さらに前面側識別情報拡大率データとして図7の拡大率Fテーブルが使用されて生成された前面側識別情報画像が、さらに後面側識別情報拡大率データとして図7の拡大率Eテーブルが使用されて生成された後面側識別情報画像と合成処理することもできる。
図7(a)に合成情報データを例示している。この合成情報データでは、前面側と後面側との2つの図柄の合成時の形状大きさを表示の経過時間T0〜T100とともに如何に変化させるかを指示する画像の拡大率(縮小率)1〜0、2つの図柄の合成時の画像の透過率100%〜0%を例示している。図7において、拡大率のAテーブルは時間経過につれて拡大率が1のままで変化しないものであり、拡大率のBテーブルは時間T0から時間T100に向かって経過するにつれて画像の拡大率が次第に増大するものである。拡大率のEテーブルは時間T0から時間T100に向かって画像の拡大率が次第に低減するものであり、拡大率のFテーブルは拡大率のBテーブル同様時間経過につれて拡大率が増大する。
透過率とは前面側と後面側に表示される図柄画像を合成する際に、合成される前面側と後面側のそれぞれの画像の不透明率を全体から減算した値であり、式で表すと「100%−不透明率(%)」である。したがって透過率が小さいほどその画像が明瞭に表示されることになる。逆に不透明率は「100%−透過率(%)」であり、それぞれの画像に不透明率を乗じ、加算されたものが合成画像となる。式で表すと、「前面側画像×(100%−前面側画像の透過率(%))+後面側画像×(100%−後面側画像の透過率(%))」となる。
前面側画像の不透明率に後面側画像の不透明率を加えても100%に満たない分は背景画像となる。式で表すと「100%−前面側画像の不透明率(%)+後面側画像の不透明率(%)」の背景画像が合成画像に反映されることになる。なお、背景画像の不透明率は100%(透過率0%)である。まず第1優先順位の前面側画像の不透明率が、次に第2優先順位の後面側画像の不透明率が、最後に第3優先順位の背景画像の不透明率が、それぞれ合成画像に採用される。言い換えると第1優先順位の前面側画像の不透明率が100%であれば合成画像は前面側画像のみとなり、第1優先順位の前面側画像の不透明率が100%に満たない分に第2優先順位の後面側画像が採用され、第2優先順位の後面側画像の不透明率を加えても不透明率が100%に満たない分に第3優先順位の背景画像の不透明率が採用された合成画像となる。
前面側画像、後面側画像全体に不透明率(透過率)を適用する場合と、前面側画像、後面側画像のうちの識別情報画像(たとえば、数字の「6」、「7」)部分にのみ不透明率(透過率)を適用し、識別情報画像のない部分は透明(透過率100%であり不透明率で表すと0%)する場合とがある。後者の場合は前面側画像、後面側画像の識別情報画像部分にそれぞれの画像の不透明率を乗じた残りが背景画像となる。識別情報画像のない部分は100%背景画像となる。
本実施の形態では、図7(a)合成情報データの透過率欄のCテーブルかDテーブルを使用する。前面側画像がCテーブルを使用すれば後面側画像はDテーブルを使用するようにしており、前面側画像、後面側画像の不透明率の和が100%になるようにしている。また、前面側画像、後面側画像のうちの識別情報画像部分にのみ不透明率(透過率)を適用している。このため、前面側画像、後面側画像のうちの識別情報画像が重なった部分は前面側画像、後面側画像の不透明率を乗じ加算された合成の色調となり、前面側画像、後面側画像のうちの識別情報画像と背景画像が重なった部分はそれぞれ前面側画像または後面側画像の不透明率の識別情報画像と残りの不透明率の背景画像が加算合成されたの色調となる。その他識別情報画像のない部分は背景画像のままとなる。
ここで本実施の形態で使用する加算合成について説明する。たとえば、不透明率が50%で黄色(rgb:1.0、1.0、0.0)の画像と、不透明率が50%で空色がかった青色(rgb:0.0、0.5、1.0)の画像とを加算合成すると、
rgb(1.0、1.0、0.0)×50%+rgb(0.0、0.5、1.0)×50%
=rgb(0.5、0.5、0.0)+rgb(0.0、0.25、0.5)
=rgb(0.5、0.75、0.5)となる。これは黄色がかった空色である。
以上のように前面側と後面側の画像が使用する透過率により合成図柄における前面側と後面側の画像の明瞭さが決まってくる。図7において、透過率のCテーブルは時間T0から時間T100に向かって次第に透過率が低減する、すなわち、不透明率が次第に増大し見え易くなっていくものであり、Dテーブルは時間T0から時間T100に向かって次第に透過率が増大する、すなわち、不透明率が次第に低減し見え難くなっていくものである。2つの画像を合成する際には、合成されるそれぞれの画像のアトリビュートテーブルの半透明混合率に不透明率、すなわち「100%−透過率(%)」を使用し、それぞれの画像にその画像の「100%−透過率(%)」率を乗じ加算合成した画像色調にする。
本願発明の第1前面透過率データは前面側識別情報画像と後面側識別情報画像とを合成する際に、前面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に上げて指定するものであるから、たとえば、前面側識別情報画像に使用する場合の透過率データである図7のDテーブルが相当する。また、第1後面透過率データは前面側識別情報画像と後面側識別情報画像とを合成する際に、後面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に下げて指定するものであるから、たとえば、後面側識別情報画像に使用する場合の透過率データである図7のCテーブルが相当する。
第2前面透過率データは前面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に下げて指定するものであるから、たとえば、前面側識別情報画像に使用する場合の透過率データである図7のCテーブルが相当する。また、第2後面透過率データは後面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に上げて指定するものであるから、後面側識別情報画像に使用する場合の透過率データである図7のDテーブルが相当する。
第3前面透過率データは第1前面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータであるから、たとえば、特定の時間範囲として図7のT20からT80に至る経過時間内で前面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に上げて指定する図7のDテーブルが相当する。第3後面透過率データは第1後面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータであるから、たとえば、特定の時間範囲として図7のT20からT80に至る経過時間内で、後面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に下げて指定する図7のCテーブルが相当する。
第4前面透過率データは第2前面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータであるから、たとえば、特定の時間範囲として図7のT20からT80に至る経過時間内で、前面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に下げて指定する図7のCテーブルが相当する。第4後面透過率データは第2後面透過率データのうち予め定めた特定の時間範囲内に限定されたデータであるから、たとえば、特定の時間範囲として図7のT20からT80に至る経過時間内で後面側識別情報画像の透過率を経過時間に比例して徐々に上げて指定する図7のDテーブルが相当する。
第5前面透過率データは第3前面透過率データまたは第4前面透過率データから続くデータであるから、図7の時間T81、T181(T19)からそれぞれT100、T200(T0)に至る時間内に使用される場合の前面側識別情報画像の透過率データである図7のCテーブル、Dテーブルが相当する。第5後面透過率データは第3後面透過率データまたは第4後面透過率データから続くデータであるから、図7の時間T81、T181(T19)からそれぞれT100、T200(T0)に至る時間内に使用される場合の後面側識別情報画像の透過率データである図7のCテーブル、Dテーブルが相当する。また、例外的に今まで進んできた透過率の増大または低減方向と逆の進行方向にある前面側または後面側の識別情報画像が最終停止識別情報と特定された場合は、図7の時間T80、T180(T20)からそれぞれT0、T100に至る時間内に使用される場合の透過率データである図7のBテーブル、Eテーブル、Fテーブルが相当することになる。
前面側識別情報拡大率データは合成画像生成手段が前面側識別情報画像と後面側識別情報画像とを合成する際に、前面側識別情報画像の拡大率を経過時間に応じて指定するデータであって、前面側識別情報画像の透過率に反して徐々に変化させる拡大率であるから、前面側識別情報画像に使用する場合の前面側識別情報画像の透過率に反して変化する拡大率データとなったときの図7のBテーブル、Eテーブル、Fテーブルが相当する。
後面側識別情報拡大率データは合成画像生成手段が前面側識別情報画像と前記後面側識別情報画像とを合成する際に、後面側識別情報画像の拡大率を経過時間に応じて指定するデータであって、後面側識別情報画像の透過率に反して徐々に拡大率を変化させる拡大率であるから、後面側識別情報画像に使用する場合の後面側識別情報画像の透過率に反して変化する拡大率データとなったときの図7のBテーブル、Eテーブル、Fテーブルが相当する。ここで「透過率に反して」とは、透過率が経過時間に比例して増大または低減する方向と逆方向に経過時間に比例して変化するとの意である。
特許請求の範囲において、「前面側識別情報画像の透過率に反して徐々に拡大率を変化させる前面側識別情報拡大率データ」とは、前面側識別情報画像の透過率が時間経過に比例して増大方向である場合に対して、前面側識別情報拡大率データは逆に時間経過に比例して低減方向であり、前面側識別情報画像の透過率が時間経過に比例して低減方向である場合に対して、前面側識別情報拡大率データは逆に時間経過に比例して増大方向であることを指している。
同様に、「後面側識別情報画像の透過率に反して徐々に拡大率を変化させる後面側識別情報拡大率データ」とは、後面側識別情報画像の透過率が時間経過に比例して増大方向である場合に対して、後面側識別情報拡大率データは逆に時間経過に比例して低減方向であり、後面側識別情報画像の透過率が時間経過に比例して低減方向である場合に対して、後面側識別情報拡大率データは逆に時間経過に比例して増大方向であることを指している。
図8の前面側に表示される図柄1「6」は拡大率のAテーブルと透過率のDテーブルを使用し、後面側に表示される図柄2「7」は拡大率のBテーブルと透過率のCテーブルを使用した例である。この時間経過に対して拡大率、透過率(%)が変化する様子を図5(a)、(b)に示している。図9の前面側に表示される図柄1「6」は拡大率のAテーブルと透過率(%)のCテーブルを使用し、後面側に表示される図柄2「7」は拡大率のEテーブルと透過率(%)のDテーブルを使用した例である。図10の前面側に表示される図柄1「6」は拡大率のEテーブルと透過率(%)のDテーブルを使用し、後面側に表示される図柄2「7」は拡大率のFテーブルと透過率(%)のCテーブルを使用した例である。この時間経過に対して拡大率、透過率(%)が変化する様子を図6(a)、(b)に示している。上記説明において、透過率(%)のCテーブルのデータは時間経過に比例して次第に小さくなっていくのに対して、拡大率のBテーブル、Fテーブルはは逆に時間経過に比例して次第に大きくなっていく。透過率(%)のDテーブルは時間経過に比例して次第に大きくなっていくのに対して、拡大率のEテーブルは逆に時間経過に比例して次第に小さくなっていく。また、透過率(%)のCテーブルは時間経過に比例して次第に小さくなっていくのに対して、Dテーブルのデータは逆に時間経過に比例して次第に大きくなっていく。拡大率Bテーブル、Fテーブルは時間経過に比例して次第に大きくなっていくのに対して、Eテーブルのデータは逆に時間経過に比例して次第に小さくなっていく。
図8において、たとえば経過時間T20ではその形状の大きさは図柄1「6」は拡大率1の大きさであり、図柄2「7」は拡大率0.2の大きさである。一方透過率(%)は図柄1「6」は20%であり、図柄2は80%である。たとえば図柄1「6」が緑色(rgb:0.0、1.0、0.0)であり、図柄2が赤色(rgb:1.0、0.0、0.0)であったとすると、合成図柄は図8に示すように、拡大率1の大きさの「6」と拡大率0.2の大きさの「7」の画像が重なった画像となり、この重なった部分は不透明度が80%に落ちた緑色の「6」部分と不透明度が20%に落ちた赤色の「7」部分とが重なって表現された、やや黄色がかった緑色(rgb:0.2、0.8、0.0)で表示される。図柄1「6」、図柄2「7」の識別情報画像の重なっていない部分はそれぞれ不透明度が80%に落ちた緑色(rgb:0.0、0.8、0.0)の「6」部分と不透明度が20%に落ちた赤色(rgb:0.2、0.0、0.0)の「7」部分とが表示される。つまり、「6」は不透明度が80%に落ちた緑色であり、「7」は不透明度が20%と薄い赤色である。このように透過率とは、その画像の「100%−不透明率(%)」を示している。本実施の形態では、図柄1、図柄2の「6」、「7」以外の部分は透明とするが、この何もない透明部分に別途指定の背景色を表示することにしてもよい。なお、本実施形態においてはR,G,B信号の各々は、256段階の電圧の大小(8ビット)で表現される。
画像生成手段176(VDP195)は変動パターンに基づく制御データ66に応じてCPU198から指令される合成すべき前面側識別情報画像(図柄1)と後面側識別情報画像(図柄2)に関する画像データを画像データ記憶手段179(キャラクタROM193)から読み出し、使用する合成情報データを制御データ記憶手段178(演出制御用マイクロコンピュータ100の制御ROM197)から読み出す。次に読み出した前面側識別情報画像(図柄1)、後面側識別情報画像(図柄2)の合成情報データの使用する拡大率からそれぞれの図柄の経過時間毎の形状大きさと合成情報データの使用する透過率(%)からそれぞれの図柄の経過時間毎の画像属性とを確定して、VRAM192のワークエリアに先に述べた加算合成により経過時間(合成表示時間T0〜T100)毎の合成画像69を生成する。このようにしてパチンコ遊技機1の遊技状態に応じた合成画像69を生成する。当該生成された画像データは、VRAM192に一時的に記憶され、制御データ66に応じて、所定のタイミング(特別図柄表示部9に、たとえば、1秒間に30枚の画像を表示させるとき、30分の1秒)毎に特別図柄表示部9(変動表示装置8)にて表示すべく、表示装置駆動回路194に送信される。この詳細は図11〜図13のフローチャートを用いて後述する。
再び図4を参照して補足説明する。画像生成手段176が時間経過毎の合成すべき前面側識別情報画像(図柄1)と後面側識別情報画像(図柄2)に関する画像データを画像データ記憶手段179(キャラクタROM193)から読み出すのは、各画像データの各スプライト領域毎にアトリビュートテーブル174の位置情報にしたがってキャラクタROM193の指定キャラクタコードからドットデータを読み出す。また、アトリビュートテーブル174の色情報によって選択指定されたグループのパレットの色データを読み出す。
使用する合成情報データを制御データ記憶手段178(演出制御用マイクロコンピュータ100の制御ROM197)から、図7の各図柄の表示時間経過毎の拡大率および透過率を読み出し、上記で読み出した画像データに拡大率を乗じて形状に関する2つの画像データと、この2つの画像データの色データに「100%−透過率(%)」をそれぞれ乗じて2つの画像データを加算合成処理して合成作成される各16×16ドットの画像データをVRAM192の指定された各スプライト領域にマッピングしてVRAM192内において表示画像のデータを作成し、実表示画像172として変動表示装置8に表示させる。
上記説明においては、画像データ記憶手段179(キャラクタROM193)に各種識別情報画像(図柄)データを記憶させておくとともに、図7(a)に例示している合成情報データを制御データ記憶手段178に記憶させておき、CPU198から伝達された、合成される前面側識別情報画像(図柄1)、後面側識別情報画像(図柄2)およびこれらを如何に合成するかの合成情報データについても画像生成手段176が読み出す様に説明した。しかしながら何も図7(a)に例示する合成情報データ(Aテーブル〜Fテーブルの時間T0〜T100に対応するデータ)までも制御データ記憶手段178に記憶させることはない。経過時間(合成表示時間)TNのNさえ指定すれば、計算式によって求められるからである。この計算式はBテーブル、Fテーブルは「0.01N」、Dテーブルは「N」(%)、であり、Cテーブルでは「100−N」(%)、Eテーブルでは「1−0.01N」である。ここでNは経過時間TNのNであり、図7(a)では0〜100の場合を表で記載している。すなわち、制御データ記憶手段178(制御ROM197)に計算式を記憶させておき、時間TNのNを指定すればよい。図7(b)にも参考として計算式を記載している。
特許請求の範囲において、制御データ記憶手段178に第1〜第5前面透過率データ、第1〜第5後面透過率データ、前面側識別情報拡大率データ、後面側識別情報拡大率データを記憶させるように記載している。
たとえば、第1前面透過率データとして前面側識別情報画像に使用する図7のDテーブル、第1後面透過率データとして後面側識別情報画像に使用する図7のCテーブル、第2前面透過率データとして前面側識別情報画像に使用する図7のCテーブル、第2後面透過率データとして後面側識別情報画像に使用する図7のDテーブル、第3前面透過率データとして特定の時間範囲のT20からT80に至る経過時間内で前面側識別情報画像に使用する図7のDテーブル、第3後面透過率データとして特定の時間範囲のT20からT80に至る経過時間内で後面側識別情報画像に使用する図7のCテーブル、第4前面透過率データとして特定の時間範囲のT20からT80に至る経過時間内で前面側識別情報画像に使用する図7のCテーブル、第4後面透過率データとして特定の時間範囲内のT20からT80に至る経過時間内で後面側識別情報画像に使用する図7のDテーブル、第5前面透過率データとして時間T81、T181(T19)からそれぞれT100、T200(T0)に至る時間内で前面側識別情報画像に使用する図7のCテーブルまたはDテーブル、第5後面透過率データとして時間T81、T181(T19)からそれぞれT100、T200(T0)に至る時間内で後面側識別情報画像に使用する図7のCテーブルまたはDテーブルがそれぞれ使用される。また、前面側識別情報拡大率データとして前面側識別情報画像に使用する場合の前面側識別情報画像の透過率に反して変化する図7のBテーブル、Eテーブル、Fテーブルのいずれかが使用され、後面側識別情報拡大率データとして後面側識別情報画像に使用する場合の後面側識別情報画像の透過率に反して変化する図7のBテーブル、Eテーブル、Fテーブルのいずれかが使用される。
しかし、これら記憶させておくデータは図7(a)に例示する各テーブルの時間T0〜T100などに対応する具体的数値データに限らず、図7(b)に参考として例示している計算式の場合をも含む概念である。このように具体的数値データの記憶に代えて計算式を記憶させることで、使用する記憶容量を削減させることができる。また、第1〜第5前面透過率データ、第1〜第5後面透過率データ、前面側識別情報拡大率データ、後面側識別情報拡大率データとしてそれぞれ独自のテーブルを設けてもよく、本実施の形態のように共通のテーブルとしてデータのロード順を変更してもよい。
次に図11〜図13に示すフローチャートを用いて説明する。図11は合成画像演出処理である。S1にて演出制御用マイクロコンピュータ100のCPU198は遊技制御手段191から指示された変動パターンを分析し合成画像演出の変動パターンかどうかを判断する。次にS2にて計時手段175とタイミングデータから図13の(f)に示す変動表示タイムスケジュールの合成画像演出開始の時から最終停止図柄停止表示までの合成期間中であるかどうかを判断する。S1、S2でNOのときはこの合成画像演出処理を終了する。
次にS3では、図7の合成情報データの時間欄に示す時間Tが201以上であるかどうかを判断する。図7ではT0〜T100とTが100までしか記載されていないが、T100の次のT101、T102、・・・、T200はT99、T98、・・・、T0と逆方向に折返し、さらに続くならば、T201、T202、・・・、T300はT1、T2、・・・、T100とまた折り返すのである。YESのときはS4でT=0に戻してから、NOのときはそのままS5に進む。S4の201減算により、Tは201になると0に戻されるため、T202以上にならない。
S5では初期合成期間中であるかどうか判断される。初期合成期間とは図13の(f)に示すように合成画像演出開始から煽り合成開始までの期間であり、最初はT0から始まる。もし初期合成期間がT100より長ければ、上述のようにT0〜T100を折り返すことになる。これは第1繰返制御処理を行なうことになる。第1繰返制御処理とは、第1合成処理と、第2合成処理と、を順次繰り返して実行することである。すなわち、経過時間に応じて前面側識別情報画像のブ透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第1合成処理と、経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた前面側識別情報画像と、経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第2合成処理とを交互に繰返し行なうものである。
また、例外的に、後述する煽り合成(図7のT20〜T80の繰返し)の表示演出を行なうことなく、そのまま最終停止図柄(図7のT0またはT100の状態)になることもある。この場合、最終停止図柄になるまですべてが初期合成期間となる。初期合成の演出表示中に最終合成の指示を受け最終停止図柄に向かったときは、その指示を受けた時点が後述する最終合成開始時点となり、最終合成開始までが初期合成期間となる。
S5でNOのときはS6にて煽り合成期間中であるかどうか判断される。煽り合成期間とは図13の(f)の煽り合成開始から最終合成開始までの期間である。S6でYESのときは時間Tが煽り演出可能時間、図7のT20〜T81内であるかどうか判断される。Tが101以上のときはTから100を減算して判断する。S5でYESのとき、S7でNOのときはS8の初期合成処理のサブルーチンに進む。S7でNOのときとは、煽り合成の指示を受けても、そのときの時間Tが煽り演出可能時間外であれば、煽り演出可能時間になるまでは初期合成を続けることを意味する。
S7でYESのときはS9の煽り合成処理のサブルーチンに進み、S6でNOのときはS10の最終合成処理のサブルーチンに進む。最終合成期間とは図13の(f)の最終合成開始から最終停止図柄停止表示までの期間である。S11では時間Tに1加算されてこの合成画像演出処理を終了する。この合成画像演出処理は、所定周期(33msec)毎に繰り返されるから、所定周期毎にTが1つずつ増えていくことになる。なお、合成画像演出の合成期間が終了すれば、合成情報データの時間TはリセットされてT0に戻る。初期合成期間、煽り合成期間、最終合成期間は指定された変動パターンにより予め定められている。
図12(a)に初期合成処理のサブルーチンを示す。S21では時間Tが0〜100の範囲内かどうか判断され、YESのときはS22の後面側増大表示合成処理のサブルーチンに進み、NOのときはS23の前面側増大表示合成処理のサブルーチンに進んでこの初期合成処理サブルーチンを終了する。後面側増大表示合成処理(第1、第3、第5の合成処理)とは時間経過につれて前面側の画像が次第に薄く不明瞭な画像となっていき、後面側の画像が次第に濃い明瞭な画像となっていく合成画像69を作成するものであり、前面側増大表示合成処理(第2、第4、第6の合成処理)とは時間経過につれて前面側の画像が次第に濃い明瞭な画像となっていき、後面側の画像が次第に薄く不明瞭な画像となっていく合成画像69を作成するものである。その詳細は図13(d)、(e)で説明する。
図12(b)に煽り合成処理のサブルーチンを示す。S25では時間Tが181かどうか判断され、YESのときはS26に進みTに「20」をセットしてからS29に進む。S25でNOのときS27に進み、時間Tが81かどうか判断され、YESのときはS28に進みTに「120」をセットしてからS29に進む。S27でNOのときS29に進む。S29では時間Tが20〜80の範囲内かどうか判断され、YESのときはS30の後面側増大表示合成処理のサブルーチンに進み、NOのときはS31の前面側増大表示合成処理のサブルーチンに進んでこの煽り合成処理サブルーチンを終了する。
この煽り合成処理のサブルーチンではS25でT181になるとS26の処理によりTは20になり、S27でT81になるとS28の処理によりTは120になる。図7(a)にてT20〜T80間を煽り画像演出時指定データと記載しているように、煽り合成処理ではT20〜T80間の透過率データと拡大率データとを使用した前面側画像と後面側画像とを合成した合成画像サイクルを繰返すことになる。これは第2繰返制御処理を行なうことになる。第2繰返制御処理とは、予め定めた時間内において、第3合成処理と、第4合成処理と、を順次繰り返して実行することである。
すなわち、特定の時間範囲内で経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた前面側識別情報画像と、経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第3合成処理と、特定の時間範囲内で経過時間に応じて前面側識別情報画像の透過率を徐々に下げた前面側識別情報画像と、経過時間に応じて後面側識別情報画像の透過率を徐々に上げた後面側識別情報画像と、を順次合成する第4合成処理とを交互に繰返し行なうものである。なお、本実施の形態の煽り合成処理(図12(b)、図13(d)、(e))では、T20〜T80間の透過率データとともにさらに拡大率データを使用した前面側画像と後面側画像とを合成した合成画像サイクルを繰返す例を記載している。
図12(c)に最終合成処理のサブルーチンを示す。S35では最終停止図柄は後面側図柄かどうか停止識別情報特定手段65が特定した結果を確認し、最終停止図柄は後面側図柄(YES)のときはS36の後面側増大表示合成処理のサブルーチンに進み、最終停止図柄は前面側図柄(NO)のときはS37の前面側増大表示合成処理のサブルーチンに進んでこの最終合成処理サブルーチンを終了する。
図13(d)に後面側増大表示合成処理(第1、第3、第5の合成処理)のサブルーチンを示す。S41では透過率として前面側図柄についてDテーブルを、後面側図柄についてCテーブルを使用する。S42では画像の拡大率として前面側図柄についてEテーブルを、後面側図柄についてFテーブルを使用する。S43では、時間Tが100以下かどうかを判断する。YESであればS44に進み時間Tに対応する透過率、拡大率のデータを上述の各テーブルから読み出す。S43でNOであればS45に進み透過率、拡大率の方向が同一か否かを判断する。つまり、今までと同じ率増大方向または同じ率低減方向かである。同方向(YES)であればS47に進み、時間「T−100」に対応する透過率、拡大率のデータを上述の各テーブルからそれぞれ読み出す。逆方向(NO)であればS46に進み、時間「200−T」に対応する透過率、拡大率のデータを上述の各テーブルから読み出す。S48では、読み出した透過率、拡大率で時間「T」、「T−100」、「200−T」のいずれかに対応する前面側図柄、後面側図柄を定め、この前面側図柄、後面側図柄を先に説明した加算合成処理した合成図柄のアトリビュートテーブルを作成してこの後面側増大表示合成処理サブルーチンを終了する。
図13(e)に前面側増大表示合成処理(第2、第4、第6の合成処理)のサブルーチンを示す。S51では透過率として前面側図柄についてCテーブルを、後面側図柄についてDテーブルを使用する。S52では画像の拡大率として前面側図柄についてFテーブルを、後面側図柄についてEテーブルを使用する。S53では、時間Tが100以下かどうかを判断する。YESであればS54に進み時間Tに対応する透過率、拡大率のデータを上述の各テーブルから読み出す。S53でNOであればS55に進み透過率、拡大率の方向が同一か否かを判断する。つまり、今までと同じ率増大方向または同じ率低減方向かである。同方向(YES)であればS57に進み、時間「T−100」に対応する透過率、拡大率のデータを上述の各テーブルからそれぞれ読み出す。逆方向(NO)であればS56に進み、時間「200−T」に対応する透過率、拡大率のデータを上述の各テーブルから読み出す。S58では、読み出した透過率、拡大率で時間「T」、「T−100」、「200−T」のいずれかに対応する前面側図柄、後面側図柄を定め、この前面側図柄、後面側図柄を先に説明した加算合成処理した合成図柄のアトリビュートテーブルを作成してこの前面側増大表示合成処理サブルーチンを終了する。
図13(d)のS43〜S48、図13(e)のS53〜S58について補足説明する。図12(a)初期合成処理のS21で前面側増大表示合成処理となるのは100よりTが大きい場合に限られるし、図12(b)煽り合成処理のS29で前面側増大表示合成処理となるのは80よりTが大きい場合であるが、図11のS7でS9の煽り合成処理に進め得るのはTが120以上の場合に限られる。逆に初期合成処理、煽り合成処理で後面側増大表示合成処理となるのはTが100以下の場合に限られる。しかし、図11のS6でS10の最終合成処理に進め得るのはTが100より大きい場合とTが100以下の場合とがある。Tが100以下であったときはそのTに対応する透過率、拡大率のデータを上述の各テーブルから読み出せばよい。
Tが100より大きい場合について説明する。たとえば初期合成期間に、前面側画像が透過率Cテーブルを用いて、T0からT100を折り返しT200の方向に進んでいる場合を想定してみる。T0からT100まではCテーブルにより透過率(%)が経過時間に比例して徐々に100から0になる。折り返してT101になると図7(a)のT99になり透過率1%、T102になると図7(a)のT98になり透過率2%、T103になると図7(a)のT97になり透過率3%、・・、T120になると図7(a)のT80になり透過率20%、・・、T180になると図7(a)のT20になり透過率80%、・・と経過時間に比例して徐々に変化する。
上記において、T180(透過率80%)のときに図12(c)のS35において停止識別情報特定手段65により最終停止図柄が後面側図柄であり、S36の後面側増大表示合成処理に進むことになったとする。この場合、前面側画像はたとえばT120→T180の今までは透過率20%→80%と増大方向であった。今後もS36の後面側増大表示合成処理になるから、図13(d)のS41により前面側画像は透過率Dテーブルの透過率増大方向で同一であるから、S45でYESとなり、S47で「T−100]に対応する透過率データをDテーブルから読み出すことになる。今までCテーブルのT180(図7のT20)の透過率80%であり、透過率Dテーブルにおいて透過率80%のT80、つまり、「T−100」(180−100=80)からT100(透過率100%)に向けて前面側画像が消える第5合成処理を行なうことになる。
上記において、T180(透過率80%)のときに図12(c)のS35において停止識別情報特定手段65により最終停止図柄が前面側図柄であり、S37の前面側増大表示合成処理に進むことになったとする。この場合、前面側画像はたとえばT120→T180の今までは透過率20%→80%と増大方向であった。今後はS37の前面側増大表示合成処理になるから、前面側画像の透過率は低減方向、図13(e)のS51により前面側画像は透過率Cテーブルの透過率低減方向で逆方向になるから、S55でNOとなり、S56で「200−T]に対応する透過率データをCテーブルから読み出すことになる。今までCテーブルのT180(図7のT20)の透過率80%であり、透過率Cテーブルにおいて透過率(%)80のT20、つまり、「200−T」(200−180=20)からT100(透過率0%)に向けて透過率低減方向で前面側画像が明瞭に表示される第6合成処理を行なうことになる。透過率だけで説明したが、拡大率についても同様である。
上記説明において、図13(d)のS42、図13(e)のS52において、前面側画像に使用する拡大率として時間経過により縮小するEテーブル、時間経過により拡大するFテーブルを用いて、図10に示す例を記載している。前面側画像に使用する拡大率として時間経過しても拡大率が1のままで変化しないAテーブルを上記説明のEテーブル、Fテーブルに代えて用いれば図8、9に示す例のようになる。この場合、S45〜S47、S55〜S57の前面側画像に使用する拡大率については、時間Tに関係なく常に1とする。
以上説明したように、
(1) 識別情報画像が切換るときに、時間経過毎の合成画像69は、先に表示されていた識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に大きくなり見えにくくなっていくのに対して、次に表示される識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に小さくなっていくために、次第に明瞭になっていく。このため、消えてゆく識別情報画像が時間経過とともに残像を残すような画像となり、画像データ記憶手段に記憶されている次のタイミングで表示される識別情報画像表示画像が次第に明瞭になってくる合成画像69となるため、奥行感を表現可能となり、視覚的に斬新な画像変動表示を行なうことができる。
(2) 1つ目の識別情報画像の透過率が時間経過につれて大きくなり見えにくくなっていくのに対して、次に表示される他の識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に小さくなっていくために次第に明瞭になっていく。次に今明瞭に表示されている方の他の識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に大きくなっていくために、見えにくくなっていくのに対して、見えにくくなっていた1つ目の識別情報画像の透過率が経過時間に比例して徐々に小さくなり次第に明瞭になっていくという揺れ動くサイクルを繰り返し実行される。このため、遊技者に対する演出効果を向上させることができる。
(3) 時間経過毎の合成画像69は、予め定めた特定時間、1つ目の識別情報画像から他の識別情報画像に時間経過とともに残像を残すように次第に明瞭さがゆっくりと切替わる合成画像69となり、次に特定時間、今明瞭に表示されている他の識別情報画像から1つ目の識別情報画像に次第に明瞭さがゆっくりと切替わって戻る合成画像69となる揺動サイクルを予め定めた時間繰り返す。その後、この繰返制御処理終了時点の合成画像69から、1つ目の識別情報画像か他の識別情報画像かが最終停止識別情報決定手段の決定した最終停止識別情報として明瞭に表示される。このときも経過時間に応じて徐々に最終停止識別情報の画像が明瞭になっていく。このため、残像を残すような画像となり、消えてゆく画像とこの消えてゆく画像に代わり次の画像が次第に明瞭になっていくため、奥行感を表現可能となり、視覚的に斬新な画像変動表示が繰り返され、やがて決定された画像に切替わる変動表示で遊技者に対する演出効果を向上させることができる。
(4) 画像合成に際して1つ目の識別情報画像の拡大率が経過時間に応じ1つ目の識別情報画像の透過率に反して増大または低減するため、消えてゆくときの前面側識別情報画像が時間経過とともに残像を残すように消えてゆき、次に明瞭になってくるときの前面側識別情報画像が時間経過とともに次第に明瞭になってくる合成画像69となるため、奥行感を表現可能となり、視覚的に斬新な画像変動表示を行なうことができる変動表示で遊技者に対する演出効果を向上させることができる。ここで「透過率に反して」とは、透過率が経過時間に比例して増大または低減する方向と逆方向に経過時間に比例して変化するとの意である。
(5) 1つ目や他の識別情報画像のように合成画像69の元になる具体的表示画像と合成情報データを記憶手段に記憶させておき、経過時間毎の合成画像69を作成させながら演出表示でき、すべての経過時間毎の合成画像69をすべて記憶手段に記憶させておく必要がないため、使用する記憶容量を削減させることができる。
(6) 合成情報データを記憶手段に記憶させておくに際して具体的数値データの記憶に代えて計算式を記憶させることで、使用する記憶容量を削減させることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。以下に、本実施の形態の変形例や特徴点を列挙する。
(1) 前述した実施の形態においては、演出制御を行なう表示制御手段164に、演出制御用マイクロコンピュータ100、キャラクタROM193、VRAM192、VDP195などから構成されるものを例示したが、その物理的構成は任意である。例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100に、キャラクタROM193、VRAM192を内蔵して1チップ化したマイクロプロセッサを使用してもよい。さらには、VDP192が単体で十分な処理能力を有する場合には、上記実施の形態で説明した演出制御用マイクロコンピュータ100の処理をVDP195が負担し、演出制御用マイクロコンピュータ100を設けないようにすることも可能である。逆に、演出制御用マイクロコンピュータ100が高機能化された場合には、VDP195を配置せずに、全処理を演出制御用マイクロコンピュータ100で行うようにしてもよい。
(2) この発明は、パチンコ遊技機1の動作をシミュレーションするゲーム機(コンピュータ)などにも適用することができる。本発明を実現するためのプログラム及びデータは、コンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等にいったん格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
(3) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 パチンコ遊技機、8 変動表示装置、9 特別図柄表示部、14 始動口(始動入賞口)、17 始動口スイッチ、18 始動記憶表示器、19 可変入賞球装置、25 遊技演出ランプ、41 スピーカ、57A 出力ポート、57B 入力ポート、61 合成画像生成手段、62 第1合成処理〜第6合成処理の各制御手段、63 第1繰返制御手段、64 第2繰返制御手段、65 停止識別情報特定手段、66 制御データ、69 合成画像(合成図柄)、100 演出制御用マイクロコンピュータ、160 遊技制御用マイクロコンピュータ、164 表示制御手段、173 パレットテーブル、174 アトリビュートテーブル、176 画像生成手段、179 画像データ記憶手段、180 演出制御手段、190 事前決定手段、191 遊技制御手段、192 VRAM、193 キャラクタROM、195 VDP、196 RAM、197 制御ROM、198 CPU。