JP2004057557A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】牌に関する識別図柄が位置する第1領域61,それ以外の背景画像の領域である第2領域62からなる表示画面6aにおいて、第3状態から、表示画面6a全体の明度が真っ白な状態の第1状態へ移行し、第1領域61および第2領域62において画像の明度が第1状態よりも暗くなるように明度を次第に変え、第2状態から、第1領域61においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域62において画像の明度が第2状態よりも暗くなるように色を順に変えて、第3状態に復元させる。遊技者に注目させたい識別図柄が位置する領域を第1領域61に選択することで、最終的に第3状態では第1領域61と第2領域62との間に生じる明度差によって、第1領域61における識別図柄がわかり易くなって、遊技の興趣を飛躍的に向上させることができる。
【選択図】 図13
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、スロットマシンあるいはコイン遊技機などの遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機として一般的に知られているものに、例えばパチンコ機がある。このパチンコ機には、始動口にパチンコ球が入賞することに基づいて、複数種類の図柄が変動を開始し、その停止結果が予め定められた大当たり図柄である場合に、遊技者が多数個のパチンコ球を取得することができる大当たり状態となるものがある。特に、近年、このようなパチンコ機においては遊技者の面白味を向上させるために図柄変動中に様々な表示演出を行うものが主流となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のパチンコ機においては、次のような問題がある。
従来のパチンコ機では、図柄の変動中に様々な表示演出が行われるようになっているが、この表示演出によっては遊技者が注目している表示情報がわかり難くなってしまうことがあった。より詳しくは、遊技者が注目している表示情報の一例としては図柄があるが、例えば色を変える表示演出によってはこの図柄がわかり難くなってしまい、遊技の興趣を低下させてしまう恐れがあるという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、遊技の興趣を飛躍的に向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、画像を表示する表示手段を備えた遊技機において、前記表示手段は、少なくとも2つの領域である第1領域と第2領域とでそれぞれ画像を表示し、かつ、前記第1領域および第2領域の各画像の明度が第1状態から第2状態になるように、前記両領域の各画像の明度を次第に変える第1処理を行い、前記両領域の各画像の明度が第2状態になった後は、前記第1領域における画像の明度と前記第2領域における画像の明度とが互いに異なるように、少なくとも第2領域の明度を次第に変える第2処理を行う明度変動手段と、前記明度変動手段によって明度が順に変えられた各画像を前記表示手段に逐次に出力する出力手段とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
〔作用・効果〕請求項1に記載の発明によれば、第1処理は、第1領域および第2領域の各画像の明度が第1状態から第2状態になるように、両領域の各画像の明度を次第に変える。また、両領域の各画像の明度が第2状態になった後は、第2処理は、第1領域における画像の明度と第2領域における画像の明度とが互いに異なるように、少なくとも第2領域の明度を次第に変える。これによって、第2状態以降については、第1領域と第2領域との間に明度差が生じるので、遊技者に注目させたい画像の領域を第1領域または第2領域のいずれかに選択することで、色を変える表示演出を行っても、その領域における画像がわかり易くなり、遊技の興趣を飛躍的に向上させることができる。
【0007】
なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
【0008】
(1)請求項1に記載の遊技機において、前記第1領域と第2領域とが互いに隣接するように前記表示手段は構成されており、前記第2処理は、前記第1領域および第2領域の各画像の明度が第2状態になった後は、前記第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、前記第2領域においては、さらに明度を次第に変えることを備えることを特徴とする遊技機。
【0009】
前記(1)の発明によれば、第1処理は、第1領域および第2領域の各画像の明度が第1状態から第2状態になるように、両領域の各画像の明度を次第に変える。また、両領域の各画像の明度が第2状態になった後は、第2処理は、第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域においては、さらに明度を次第に変える。これによって、第2状態以降については、第1領域と第2領域との間に明度差が生じ、その差が段階を追う毎に大きくなり、最終的には第1領域と第2領域との間に生じる明度差によって、互いに隣接する両領域の間の境界付近にはハレーションが生じる。このハレーションを利用することでぼやけた画像を実現することができるとともに、境界付近以外の部分についてはくっきりとした画像を実現することができる。また、第1状態から第2状態へ、さらには第2状態以降と、画像の明度がそれぞれの領域で変化するので、画像の一連の流れが単調になることもない。その結果、臨場感のある画像を表示させて、遊技者の面白味を永続させることができる。
【0010】
(2)前記(1)に記載の遊技機において、前記第1処理は、前記第1領域および第2領域の各画像の明度を順方向に変え、前記第2処理は、前記第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、前記第2領域においては、さらに明度を順方向に変えることを特徴とする遊技機。
【0011】
前記(2)の発明によれば、第1処理は、第1領域および第2領域の各画像の明度を順方向に変える。また、第2処理は、第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域においては、さらに明度を順方向に変える。ここで、画像の明度が明るくなるように明度を順方向に変える場合には、順方向は明度が明るくなる方向となり、第2状態では両領域において第1状態よりも明度が明るくなり、第2状態以降は第2領域においてさらに明度が明るくなる。画像の明度が暗くなるように明度を順方向に変える場合には、順方向は明度が暗くなる方向となり、第2状態では両領域において第1状態よりも明度が暗くなり、第2状態以降は第2領域においてさらに明度が暗くなる。順方向の如何に関わらず、第2状態以降については、第1領域と第2領域との間に生じる明度差によって、互いに隣接する両領域の間の境界付近にはハレーションが生じる。
【0012】
(3)前記(1)に記載の遊技機において、前記第1処理は、前記第1領域および第2領域の各画像の明度を順方向に変え、前記第2処理は、前記第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、前記第2領域においては明度を逆方向に変えることを特徴とする遊技機。
【0013】
前記(3)の発明によれば、第1処理は、第1領域および第2領域の各画像の明度を順方向に変える。また、第2処理は、第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域においては明度を逆方向に変える。ここで、画像の明度が明るくなるように明度を順方向に変える場合には、順方向は明度が明るくなる方向,逆方向は明度が暗くなる方向となり、第2状態では両領域において第1状態よりも明度が明るくなり、第2状態以降は第2領域においては明度が暗くなる方向に戻る。画像の明度が暗くなるように明度を順方向に変える場合には、順方向は明度が暗くなる方向,逆方向は明度が明るくなる方向となり、第2状態では両領域において第1状態よりも明度が暗くなり、第2状態以降は第2領域において明度が明るくなる方向に戻る。順方向,逆方向の如何に関わらず、第2状態以降については、第1領域と第2領域との間に生じる明度差によって、互いに隣接する両領域の間の境界付近にはハレーションが生じる。
【0014】
(4)請求項1、前記(1)から(3)のいずれかに記載の遊技機において、複数種類の色を記憶する色情報記憶手段をさらに備え、前記明度変動手段は、画像の明度を次第に変えるときには、現在の明度と違う明度の色を前記色情報記憶手段から読み出して画像に与えることを特徴とする遊技機。
【0015】
前記(4)の発明によれば、現在の明度と違う明度の色を色情報記憶手段から読み出して画像に与えることで、画像の色を次第に変える。
【0016】
(5)請求項1、前記(1)から(3)のいずれかに記載の遊技機において、前記遊技機は、非表示の部分を設け、前記非表示の部分を次第に変化させるように構成された複数種類のマスクパターンを記憶するマスクパターン記憶手段をさらに備え、前記明度変動手段は、前記マスクパターン記憶手段からマスクパターンを逐次に読み出して画像に与えることを特徴とする遊技機。
【0017】
前記(5)の発明によれば、マスクパターン記憶手段からマスクパターンを逐次に読み出して画像に与えることで、非表示の部分を次第に変化させて、明度を次第に変えることができる。なお、非表示の部分を少なくすることで明度を暗くみせることができ、非表示の部分を多くすることで明度を明るくみせることができる。
【0018】
(6)前記(5)に記載の遊技機において、前記明度変動手段は、前記非表示の部分が次第に減少するように前記マスクパターン記憶手段からマスクパターンを逐次に読み出して画像に与えることを特徴とする遊技機。
【0019】
前記(6)の発明によれば、非表示の部分が次第に減少するようにマスクパターン記憶手段からマスクパターンを逐次に読み出して画像に与えることで、画像の明度を暗くすることができる。
【0020】
(7)前記(5)に記載の遊技機において、前記明度変動手段は、前記非表示の部分が次第に増加するように前記マスクパターン記憶手段からマスクパターンを逐次に読み出して画像に与えることを特徴とする遊技機。
【0021】
前記(7)の発明によれば、非表示の部分が次第に増加するようにマスクパターン記憶手段からマスクパターンを逐次に読み出して画像に与えることで、画像の明度を明るくすることができる。
【0022】
(8)請求項1、前記(1)から(7)のいずれかに記載の遊技機において、前記明度変動手段は、前記第1状態よりも前の状態である第3状態から、第1状態へ移行し、第1状態から前記第2状態へ移行した後は、前記第3状態へと移行して復元することを特徴とする遊技機。
【0023】
前記(8)の発明によれば、第1状態よりも前に第3状態を設け、第3状態から第1状態へ移行し、さらに第1状態から前記第2状態へ移行した後は、前記第3状態へと移行して復元することで、画像の一連の流れをより複雑にすることができ、より一層、臨場感のある画像を表示させることができる。特に、前記(8)の発明が前記(2)の発明に従属されている場合で、かつ第1状態において画像の明度が明るく、順方向が、明度が暗くなる方向である場合には、第2状態に移行するに従って、画像の明度が暗くなって、第2状態から第3状態へ移行するに従って、第2領域において画像の明度が暗くなって、第3状態に復元される。従って、第3状態から第1状態へ移行した際に、あたかもフラッシュがたかれて画面の色が白くなった表示態様を実現することができ、第1状態から第2状態を経て、第3状態へ移行することでフラッシュ後に画面の色が元に復元される表示態様を実現することができる。
【0024】
(9)請求項1、前記(1)から(8)のいずれかに記載の遊技機において、仮想3次元空間内において複数個のポリゴンから構成されているオブジェクト、およびその模様としてオブジェクトに貼り付けるテクスチャを記憶するキャラクタ記憶手段と、前記オブジェクトおよびテクスチャから画像を構成する画像構成手段とをさらに備え、前記画像構成手段は、各オブジェクトに各テクスチャをそれぞれ貼り付けて、貼り付けられた各オブジェクトから前記画像を構成して、その画像を前記出力手段に与えることを特徴とする遊技機。
【0025】
前記(9)の発明によれば、仮想3次元空間内において複数個のポリゴンから構成されているオブジェクト、およびその模様としてオブジェクトに貼り付けるテクスチャを、キャラクタ記憶手段から読み出して、画像構成手段は、各オブジェクトに各テクスチャをそれぞれ貼り付けて、貼り付けられた各オブジェクトから画像を構成して、その画像を出力手段に与える。このように、2次元の画像のみならず、臨場感のある画像を表示させるべく仮想3次元空間内において複数個のポリゴンから構成されているオブジェクトから画像を構成する場合においても、本発明を適用することができる。
【0026】
(10)前記(9)に記載の遊技機において、前記画像構成手段は、仮想3次元空間内にあるオブジェクトの各座標、もしくは仮想3次元空間内であって前記オブジェクト独自の座標系内にあるオブジェクトの各座標を変換して、前記表示手段に表示される投影平面に各座標が変換された前記オブジェクトを投影し、各座標が変換されて投影平面に投影されたオブジェクトに前記テクスチャを貼り付けることを特徴とする遊技機。
【0027】
前記(10)の発明によれば、仮想3次元空間内の各座標、もしくは仮想3次元空間内にあるオブジェクト独自が持つ座標系の各座標をそれぞれ変換して、各座標が変換されたオブジェクトを表示手段に表示される投影平面に投影することで、その投影されたオブジェクトの形態を投影平面上で容易に変換することが可能になる。さらに、投影平面に投影されたオブジェクトにテクスチャを貼り付けることで、画像を構成することができる。
【0028】
(11)請求項1、前記(1)から(10)のいずれかに記載の遊技機において、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
【0029】
前記(11)の発明によれば、遊技媒体を適切に貸し出すことができる遊技機を提供することができる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0030】
(12)請求項1、前記(1)から(10)のいずれかに記載の遊技機において、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
【0031】
前記(12)の発明によれば、遊技媒体を適切に貸し出すことができるスロットマシンを提供することができる。なお、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0032】
(13)請求項1、前記(1)から(10)のいずれかに記載の遊技機において、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機。
【0033】
前記(13)の発明によれば、遊技媒体を適切に貸し出すことができる、パチンコ機とスロットマシンとを融合させたものを提供することができる。なお、この融合させたものの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機(権利物とも呼ばれる)や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0035】
図1は、本実施例のパチンコ機の概略正面図であり、図2はパチンコ機の遊技盤の概略正面図である。本実施例のパチンコ機Pは、図1に示すように、遊技盤1と、球を貯留する上受け皿2および下受け皿3と、球を遊技盤1へ発射するための発射ハンドル4とを備えている。遊技盤1は、前面枠1aに嵌め込まれたポリカーボネート製の透明板1bに覆われている。
【0036】
図2に示すように、遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の普通入賞口5が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄等を表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)6が設けられている。このLCD6の表示画面6a(図11〜図14参照)は、例えば、縦方向に3分割されており、つまり、左列,中列,右列の3列で構成されており、3分割された各列の表示領域において、それぞれ上から下へ垂直方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0037】
LCD6の上方には、表面に「○」と「×」との普通図柄が表示された2つのLED(発光ダイオード)9a,9bで構成された普通図柄表示装置9が配設されている。この普通図柄表示装置9では、遊技領域に打ち込まれた球がLCD6の両側に配設されたゲート10を通過した場合に、「○」と「×」とのLED9a,9bを交互に点灯させる変動表示が行われる。かかる変動表示が「○」のLED9aで終了した場合には、当りとなってLCD6の下方の普通電動役物7が所定時間(例えば0.5秒間)二点鎖線で示すように開放され、この普通電動役物7に球が入り易くなる。
【0038】
LCD6の下方に配設された普通電動役物7には、図柄作動口(第1種始動口)7aが設けられ、球がこの図柄作動口7aを通過することにより、前記したLCD6の変動表示が開始される。図柄作動口7aの下方には、特定入賞口(大入賞口)8が設けられている。この特定入賞口8は、LCD6の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
【0039】
この特定入賞口8内には、Vゾーン8aが設けられており、特定入賞口8の開放中に、球がVゾーン8a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口8の閉鎖後、再度、その特定入賞口8が所定時間(又は、特定入賞口8に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口8の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
【0040】
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD6の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
【0041】
また、パチンコ機Pは、図3に示すように、このパチンコ機P全体を制御する制御基盤11と、LCD6(図2参照)を有する画像表示装置21とを備えている。制御基盤11は、メモリや中央演算処理装置(以下、『CPU』と呼ぶ)等で構成されるマイクロコンピュータである主制御部12と、普通入賞口5(図2参照)へ入賞した球をそれぞれ検出する普通入賞スイッチ13と、図柄作動口(第1種始動口)7a(図2参照)を通過した球を検出する第1種始動口スイッチ14と、特定入賞口8内のVゾーン8a(図2参照)へ入賞した球を検出するVカウントスイッチ15と、特定入賞口8内のVゾーン8a以外へ入賞した球を検出する10カウントスイッチ16と、特定の値を出力するカウンタ17と、特定入賞口8を開閉する開閉ソレノイド18と、画像表示装置21のインターフェイス22に通信可能に接続されるインターフェイス19とを備えている。
【0042】
以下、制御基盤11で行われる処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
ステップS1では、遊技者は、発射ハンドル4によって球を遊技盤1内に発射し、遊技を開始する。遊技盤1内に打ち込まれた一部の球は普通電動役物7にまで導かれ、普通電動役物7の図柄作動口7aを通過することにより、第1種始動口スイッチ14が球を検出し、始動開始信号を主制御部12に送信するとともに、入賞信号を主制御部12に送信する。また、普通入賞口5へ球が入賞した場合にも、普通入賞スイッチ13が球を検出し、入賞信号を主制御部12に送信する。
【0044】
ステップS2では、主制御部12が入賞信号を受信すると、図示しない払出モータを稼動させて、所定数量の球を上受け皿2に供給する。ステップS3では、主制御部12が、第1種始動口スイッチ14からの始動開始信号を受信すると、カウンタ17からの出力値を読み取り、大当たり抽選を行う。大当たり抽選では、カウンタ17の出力値が所定値であれば、『大当たり』、すなわち特別遊技状態を発生させる。カウンタ17からの出力値が所定値でなければ、『ハズレ』、すなわち通常の遊技状態を継続する。
【0045】
ステップS4では、主制御部12は、インターフェイス19を介して、特別または通常の遊技状態に応じたコマンドを画像表示装置21に送信する。コマンドは、画像表示装置21のLCD6に所定の表示結果を実行させる命令である。例えば、大当たりの場合には、主制御部21は、所定のリーチの開始を指示するコマンドを送信し、所定時間経過後に、そのリーチの最終段階で停止させて表示する大当たりの図柄の種類を指示するコマンドを送信する。これにより、画像表示装置21は、コマンドで指示された種類のリーチを表示した後に、さらにコマンドで指示された種類の大当たりの図柄で停止するように表示する。主制御部12は、画像表示装置21で大当たりの図柄の停止が表示された後に、開閉ソレノイド18に開放信号によって特定入賞口8を開放させ、遊技者が多数個の球を取得することができる状態にする。さらに、ラウンドが終了するたびに、そのラウンドの終了を指示するコマンドを画像表示装置21に送信する。これにより、画像表示装置21は、ラウンドごとに異なる表示態様を表示する。一方、ハズレの場合には、リーチ表示の最終段階で停止させるハズレの図柄の種類を指示するコマンドを画像表示装置21に送信する。これにより、画像表示装置21は、リーチを表示した後に、ハズレの図柄で停止するように表示させる。
【0046】
ステップS5では、主制御部12は、第1種始動口スイッチ14からの新たな始動開始信号の有無を受信するまで、すなわち球の入賞を検出するまで、待機する。新たな開始始動信号を受信すれば、ステップS2〜S4を繰り返し行う。
【0047】
次に、画像表示装置21の具体的構成について、図3を参照して説明する。画像表示装置21は、制御基盤11のインターフェイス19に通信可能に接続されるインターフェイス22と、CPU23と、CPU23によって実行される制御プログラムを記憶するROM24と、CPU23が制御プログラムを実行して得られた各種のデータ等を一時的に記憶するRAM25と、インターフェイス22,CPU23,ROM24,RAM25,および後述する描画処理部29を接続するバス26と、描画処理部29で使用されるモデルデータやテクスチャデータを記憶するキャラクタROM27と、描画処理部29で生成された視野画像を一時的に記憶するビデオRAM28と、そのビデオRAM28内の視野画像を表示するLCD6と、視野画像を生成する描画処理部29とを備えている。なお、インターフェイス22、CPU23、ROM24、RAM25、バス26、および描画処理部29で3次元画像処理部30を構成している。
【0048】
この3次元画像処理部30は、受信したコマンドに応じたプログラムを実行して、ワールド座標系にオブジェクトを配置するとともに、そのオブジェクトにテクスチャを貼り付けた表示画像を生成する機能を果たす。3次元画像処理部30は、本発明における明度変動手段および画像構成手段に相当する。
【0049】
なお、ワールド座標系とは、本発明における仮想3次元空間に相当する3次元の座標系である。オブジェクトとは、ワールド座標系に配置される3次元の仮想物体であり、オブジェクト独自の座標系であるローカル座標系に配置される複数のポリゴンによって構成された3次元の画像形態情報である。ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼り付ける画像情報であり、テクスチャがオブジェクトに貼り付けられることにより、オブジェクトに対応する絵柄画像、例えば識別図柄や背景などが生成される。
【0050】
ここで、絵柄画像とは、遊技状態を識別させるための識別図柄や、パチンコ機Pの表示画面6a全体に表示させる背景などのことをいい、識別図柄とは、パチンコ機Pにおける大当たりやリーチ等を遊技者に認識させるためのいわゆる図柄番号または図柄番号が付けられた図柄の画像をいう。
【0051】
インターフェイス22は、制御基盤11から送られてくるコマンドを受信するものである。インターフェイス22は、受信したコマンドをCPU23や描画処理部29に順次渡す。
【0052】
ROM24は、パチンコ機Pに電源が投入された際にCPU23によって最初に実行される制御プログラムや、制御基盤11から送られてくるコマンドの種類に応じた表示を行うための複数種類の表示プログラムなどを記憶する。さらに、本実施例においてROM24は、各オブジェクトに各テクスチャをそれぞれ貼り付けて、貼り付けられた各オブジェクトから画像(絵柄画像や背景画像)を構成する、あるいは後述する画像の明度を制御するなどといった一連の処理プログラムなどを記憶しており、後述する複数種類のマスクパターン(図15参照)を記憶したマスクパターンメモリ24aを備えている。そして、上述した一連の処理プログラムを、3次元画像処理部30が実行する。ROM24内のマスクパターンメモリ24aは、本発明におけるマスクパターン記憶手段に相当する。
【0053】
CPU23は、ROM24に記憶された制御プログラムによって画像表示装置21の全体を管理・制御する中央演算処理装置であって、主に、制御基盤11から送られてきたコマンドに応じた表示プログラムを実行することで、ワールド座標系内にオブジェクトおよび視点を配置する処理などを行う。具体的に、CPU23は、インターフェイス22によって受信したコマンドの種類に応じて、そのコマンドに対応するための表示プログラムを実行して得られた設定情報をRAM25に順次書込み、所定の割り込み処理間隔(例えば1/30秒や1/60秒)ごとに、RAM25内の設定情報の転送を指示する。この所定の割り込み処理間隔が1フレームであって、この1フレームごとに画面の書き換えが行われる。
【0054】
RAM25は、CPU23によって得られた実行結果である設定情報を一時的に記憶する。
【0055】
キャラクタROM27は、3次元画像処理部30から適宜読み出される3次元の画像形態情報であるオブジェクトやポリゴンおよびテクスチャを記憶するメモリである。例えば、キャラクタROM27は、大当たり時における当り識別図柄などの模様のテクスチャと、大当たりのラウンド回数を示すラウンド表示図柄のテクスチャと、そのラウンド時に演出用に表示される識別図柄以外の図柄である補助図柄や背景画像などの種々のテクスチャとともに、それら各テクスチャが貼り付けられる1または複数のポリゴンで構成された複数種類のオブジェクトを記憶している。また、キャラクタROM27は、LCD6の表示画面6a(図11〜図14参照)の背景として表示される背景画像を記憶している。キャラクタROM27は、本発明におけるキャラクタ記憶手段に相当する。
【0056】
次に、3次元画像処理部30内の描画処理部29の具体的構成、およびビデオRAM28について、図4を参照して説明する。描画処理部29は、バス26を介して受信したデータに基づいて座標演算処理を行うジオメトリ演算処理部31と、バス26を介して受信したデータに基づいて表示画像を生成するレンダリング処理部32と、複数種類のカラーパレットに基づく色情報をレンダリング処理部32に適宜与えるパレット処理部33と、ビデオRAM28内に設けられた複数のフレームメモリを切り換えるセレクタ部34と、表示画像をLCD6に出力するビデオ出力部35とを備えている。
【0057】
なお、ジオメトリ演算処理とは、コマンドに応じた表示態様を実現するために、本発明の仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系内に、視点およびキャラクタROM27から読み出した各種のオブジェクトを配置し、そのオブジェクトを変動(移動,回転,縮小,拡大,変形など)させたり視点を変位させる処理である。
【0058】
ジオメトリ演算処理部31は、バス26を介して受信したデータに基づいて、3次元の座標点の移動や回転等に伴う座標演算処理を行うものである。具体的には、ジオメトリ演算処理部31は、キャラクタROM27内に記憶されたオブジェクトの格納アドレスに基づいて、ローカル座標系に配置された複数のポリゴンから構成されたオブジェクトを読み出し、回転角度に基づいて回転させた姿勢のオブジェクトを座標値に基づいてワールド座標系に配置する際のワールド座標系におけるオブジェクトの各ポリゴンの座標値を算出する。さらに、視点の座標値および回転角度に基づいて設定される視点を基準とする視点座標系内のオブジェクトの各ポリゴンの座標値を算出する。さらに、視点に基づく視線に垂直に設定された投影平面に表示領域内のオブジェクトを投影した際の、その投影平面上の各ポリゴンの2次元の座標値を含む投影情報を算出する。そして、ジオメトリ演算処理部31は、投影情報をレンダリング処理部32に与える。
【0059】
パレット処理部33は、CPU23によって書き込まれる複数種類の色情報で構成される複数種類のカラーパレットを格納する図示しないパレットRAMを備えており、CPU23からバス26を介して指示されたカラーパレットのデータをレンダリング処理部32に与える。カラーパレットを与えるとは、例えばパレットRAMに記憶されたカラーパレットの格納アドレスをレンダリング処理部32に与えることをいい、レンダリング処理部32は、表示画像を生成する際にその格納アドレスに記憶された色情報を参照する。なお、各色情報は、赤色(R),緑色(G),青色(B)の組合せによって決定されるものであり、カラーパレットのデータサイズが例えば16ビットの場合には、0〜15の各値に所定の色情報が割り当てられる。また、カラーパレットの各データすなわち各パレットは、テクスチャを構成する各ドットに割り当てられており、各パレットの色情報で各ドットを描画することで、テクスチャの全体が描画される。なお、このカラーパレットの各パレットに割り当てられている色情報を順次変更することで、順に色合いが異なる複数種類のテクスチャを生成することもできる。
【0060】
レンダリング処理部32は、まず、キャラクタROM27内の背景画像が格納されている格納アドレスに基づいて背景画像を読み出し、その背景画像をビデオRAM28内に設けられたフレームメモリ内に描画し、そのフレームメモリ内に投影情報に基づくオブジェクトの各ポリゴンを展開する。さらに、レンダリング処理部32は、キャラクタROM27内のテクスチャの格納アドレスとカラーパレットのデータとに基づいて、キャラクタROM27から読み出したテクスチャをフレームメモリ内の各ポリゴンに相当する領域上に描画する。これにより、フレームメモリ内には、背景画像上に各種のオブジェクトに対応する図柄の画像が描画された表示画像が生成される。この表示画像は、フレームメモリの容量にもよるが、所定の縦横比例えば縦横比が3:4の表示画像である。なお、上述したジオメトリ演算処理部31およびレンダリング処理部32では、画面に表示する部分を決定するクリッピング処理、ポリゴンの前後関係によって見える部分と見えない部分とを判定する隠面処理、光源からの光の当たり具合や反射の様子を演算するシェーディング計算処理などの処理も適宜行われる。
【0061】
セレクタ部34は、複数のフレームメモリを適宜選択する。具体的には、セレクタ部34は、上述したレンダリング処理部32によって画像の描画が行われる際には、ビデオRAM28内に設けられた複数のフレームメモリである例えば第1フレームメモリまたは第2フレームメモリのいずれか一方を選択する。この場合には、その選択されている側のフレームメモリ内に表示画像が生成される。一方、セレクタ部34は、描画が行われていない側のフレームメモリから既に表示画像の生成が終わっている表示画像を読み出し、その表示画像をビデオ出力部35に送る。なお、セレクタ部34は、読み出し側のフレームメモリと、描画側のフレームメモリとを順次切り換える。ビデオ出力部35は、セレクタ部34から送られてきた表示画像をビデオ信号に変換してLCD6に出力する。
【0062】
ビデオRAM28は、レンダリング処理部32によって生成される表示画像を記憶する。ビデオRAM28は、例えば一画面分の表示画像を記憶する記憶領域である第1フレームメモリと、第2フレームメモリとが設けられたいわゆるダブルバッファを構成している。なお、ビデオRAM28に設けるフレームメモリは、2つに限定されるものではなく、1つ以上であれば幾つでもよい。
【0063】
LCD6は、ビデオ出力部35から出力された表示画像を表示する表示画面6a(図11〜図14参照)を備えている。その表示画面は例えば縦横比が9:16のいわゆるワイド画面であり、LCD6は、ビデオ出力部35から出力されてきた縦横比が3:4の表示画像を表示画面6aの縦横比に合わせて、表示画面6aに表示画像を表示する。また、LCD6には、縦横比が3:4の表示画像をそのまま表示する機能をも備えており、遊技状態に応じて表示画面6aに表示される表示画像の縦横比を適宜変化させることもできる。なお、LCD6は、本発明における表示手段に相当し、ビデオ出力部35は、本発明における出力手段に相当する。
【0064】
次に、画像表示装置21で行われる処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0065】
ステップT1では、インターフェイス22は、制御基盤11から順に送られてくるコマンドを順次受信して、そのコマンドをバス26に接続された各処理部に順次渡す。渡されたコマンドはRAM25に設けた図示しないコマンドバッファ内に記憶する。さらに、LCD6からの割り込み処理があるたびに、コマンドバッファ内に記憶されたコマンドが読み出され、そのコマンドに対応するROM24内のプログラムが実行されて、1画面分の表示画像が順次生成される。そのプログラムの実行によって、3次元画像処理部30内では、以下のステップが実行される。なお、上述した割り込み処理はLCD6の1/30秒または1/60秒ごとに、例えば垂直走査信号に同期して行われる。
【0066】
ステップT2では、3次元画像処理部30は、表示画面6aに表示するワールド座標系内の位置を決めるための注目点を設定する。この注目点は、例えばワールド座標系に配置される特定のオブジェクトの配置位置にほぼ一致するような位置に設定される。さらに、その注目点に基づいてワールド座標系内の様子をLCDの表示画面6aに表示するための視点を設定する。この視点は3次元の座標系の原点であり、視点からの視線の方向が注目点を向くように設定される。視線は、視点を原点とした座標系の例えばz軸である。以下、注目点に向いた視線を有する視点をワールド座標系に設定するまでの概念および具体的な算出方法について説明する。
【0067】
表示画面6aに識別図柄や補助図柄などの複数個の絵柄画像を表示する場合には、図7に示すように、複数個のオブジェクトOJ1〜OJ6がワールド座標系内のそれぞれの配置位置に配置される。3次元画像処理部30は、表示画面6aのほぼ中央付近に表示される絵柄画像を表示するためのオブジェクトOJ3のワールド座標系における配置位置WPの座標値(WPx,WPy,WPz)を求める。この配置位置WPの座標値は、例えば本実施例のパチンコ機Pの場合にはプログラム内に予め用意されたワールド座標系の座標値を参照することで求める。例えばパチンコ機P以外の遊技機の場合には、コントローラ等の入力手段からの入力信号に基づいて求める。3次元画像処理部30は、配置位置WPの座標値(WPx,WPy,WPz)を注目点の座標値として設定する。
【0068】
3次元画像処理部30は、図8に示すように、注目点の配置位置WPを原点Oとする新たな3次元の座標系をワールド座標系内に設定する。そして、図9(a)に示すように、新たな3次元の座標系の2次元の各軸周りにその新たな3次元の座標系を回転させる。例えば、新たな3次元の座標系をx軸周りにθx°,y軸周りにθy°だけ回転させる。回転角度θx°,θy°は、例えば本実施例のパチンコ機Pの場合にはプログラム内に予め用意された回転角度のデータを参照することで求める。例えばパチンコ機P以外の遊技機の場合には、コントローラ等の入力手段からの入力信号に基づいて求める。これにより、図9(c)に示すように、予め与えられている注目点から視点までの距離Lのデータに基づいて、新たな3次元の座標系のz軸上の注目点から距離Lだけ離れた配置位置P0 に、新たな座標系を移動させる。このとき、新たな3次元の座標系のz軸が注目点を向くように移動される。なお、本明細書では、視線の方向がz軸のプラス側になるように説明するが、これに限定されるものではなく、例えば視線の方向がz軸のマイナス側になるようにすることもできる。また、本実施例では、注目点の配置位置WPをオブジェクトJの配置位置と一致するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば注目点の配置位置WPは任意の位置に設定することができる。具体的には、3次元画像処理部30は、上述した注目点の配置位置WPの座標値と、新たな座標系の各軸周りの回転角度θx,θyと、注目点からの距離Lとの各値を、次式(1)に示す式に代入する。
【0069】
(P0X, P0Y, P0Z)=(Lsinθycosθx+WPx,Lsinθx+WPy,Lcosθycosθx+WPz) … (1)
【0070】
3次元画像処理部30は、上述した式(1)によって、注目点がz軸にある3次元の座標系の原点Oのワールド座標系における座標値(P0X, P0Y, P0Z)を算出し、その座標値(P0X, P0Y, P0Z)で特定されるワールド座標系の配置位置P0に新たな3次元の座標系を移動させる。このワールド座標系の配置位置P0における新たな3次元の座標系を、注目点を向く視線を有する視点SPとする。この視点SPからの視線が向いた方向のワールド座標系内の様子がLCD6の表示画面6aに表示される。
【0071】
また、本実施例では、後述する視点座標系のx軸とy軸とを、ワールド座標系のX軸とY軸とに、さらに、上述した新たな座標系のx軸とy軸とにもそれぞれ一致させて、視点座標系のz軸を、新たな座標系のz軸に一致させるとともに、ワールド座標系のZ軸とは逆方向に一致させている。これによって、θx°は180°,θy°は0°にそれぞれ設定される。また、このとき、視点SPからの視線方向を変更させるときには、ワールド座標系内でオブジェクトOJ1〜OJ6をワールド座標系でX軸周り,Y軸周りに回転させている。
【0072】
ステップT3では、3次元画像処理部30は、表示画面6aに複数個の絵柄画像を表示するためのオブジェクトOJ1〜OJ6をキャラクタROM27からそれぞれ読み出す。そして、図10に示すように、3次元画像処理部30は、視点SPの配置位置P0の座標値(P0X, P0Y, P0Z)を基準とする各座標値に応じて、ワールド座標系内の各座標値を求めて、それら各座標値に基づく各配置位置P1〜P6に各オブジェクトOJ1〜OJ6をそれぞれ配置する。なお、3次元画像処理部30は、各オブジェクトの配置位置の座標値のΔPで表した部分のデータを算出、またはROM24内に予め用意されたデータを参照して、そのΔPの値と視点SPの座標値とからワールド座標系における座標値を求める。
【0073】
具体的には、ワールド座標系内の配置位置P1(P0X+ΔP1X,P0Y+ΔP1Y,P0Z+ΔP1Z)にオブジェクトOJ1を、配置位置P2(P0X+ΔP2X,P0Y+ΔP2Y,P0Z+ΔP2Z)にオブジェクトOJ2を、配置位置P3(P0X+ΔP3X,P0Y+ΔP3Y,P0Z+ΔP3Z)にオブジェクトOJ3を、配置位置P4(P0X+ΔP4X,P0Y+ΔP4Y,P0Z+ΔP4Z)にオブジェクトOJ4を、配置位置P5(P0X+ΔP5X,P0Y+ΔP5Y,P0Z+ΔP5Z)にオブジェクトOJ5を、配置位置P6(P0X+ΔP6X,P0Y+ΔP6Y,P0Z+ΔP6Z)にオブジェクトOJ6を、それぞれ配置する。なお、便宜上図7などでは各オブジェクトの形態を球体形状で図示しているが、各オブジェクトの形状はそれぞれの絵柄画像の形状に応じた3次元形状で形成されている。また、本実施例では、視点SPを基準として各オブジェクトOJ1〜OJ6を配置しているので、視点SPの配置位置や視線方向を変位させた場合すなわち注目点を移動させた場合であっても、各オブジェクトOJ1〜OJ6によって表示される絵柄画像を、表示画面6a上の一定の位置に表示させることができる。
【0074】
さらに、3次元画像処理部30は、各オブジェクトOJ1〜OJ6の中の任意のオブジェクトを移動させる場合には、その任意のオブジェクトの配置位置のx軸成分の座標値を割り込み処理ごとに順次更新(座標値を減算または加算)することで、任意のオブジェクトを横方向へ移動させる。これにより、オブジェクトがワールド座標系内を移動するので、そのオブジェクトによって表示される絵柄画像も表示画面6a上を移動する。同様にして、任意のオブジェクトの配置位置のy軸成分の座標値を順次更新すればオブジェクトを縦方向へ、z軸成分の座標値を順次更新すればオブジェクトを奥行き方向へそれぞれ任意に移動させることができる。
【0075】
ステップT4では、3次元画像処理部30は、ワールド座標系内に配置された各オブジェクトOJ1〜OJ6の各配置位置P1〜P6の座標値を、視点SPを基準すなわち原点とする視点座標系の座標値に変換する。つまり、上述した座標値のΔで表された成分だけを抜き出す。ここで、レンダリング処理部32によってフレームメモリ内に生成される表示画像の縦横比は3:4であるので、この表示画像を縦横比が9:16の表示画面6aに表示すると、表示画像が間延びした画像となるという弊害が生じる。そこで、表示画像の縦横比と、表示画面6aの縦横比とに応じて、視点座標系を変形補正することにより、その視点座標系内に配置された各絵柄画像などを変形させる。
【0076】
具体的には、3次元画像処理部30は、視点座標系を変形補正するための変形補正値を算出する。この変形補正値は、各オブジェクトOJ1〜OJ6の縦幅または横幅を拡大もしくは縮小するための倍率値である。変形補正値は、表示画面6aの縦横比をA:B、表示画像の縦横比をa:bとすると、次式(2)によって算出することができる。なお、次式(2)で算出される変形補正値は、表示画像の縦倍率を基準にして、その横幅を画面に合わせて変形した場合には、オブジェクト等の横幅を変形補正するための倍率値であり、表示画像の横倍率を基準にして、その縦幅を画面に合わせて変形した場合には、各オブジェクトOJ1〜OJ6の縦幅を変形補正するための倍率値である。
【0077】
(A×b)÷(a×B) …(2)
【0078】
フレームメモリ内に生成される表示画像の縦横比が3:4であり、表示画面6aの縦横比が9:16である場合には、表示画面6aには表示画像の縦横比が9:16で表示されるので、表示画像の横幅が4/3倍に拡大されたように表示される。このとき、表示画像に含まれる各オブジェクトOJ1〜OJ6で表示される絵柄画像の横幅も4/3倍に拡大される。ここで、式(2)に表示画像および表示画面6aの縦横比の各値を代入することで、各オブジェクトOJ1〜OJ6の横幅を4分の3倍(以下、「3/4倍」と示す)に縮小する倍率値の変形補正値を算出する。さらに、3次元画像処理部30は、変形補正値に基づいて視点座標系の横方向(x軸方向)を3/4倍に縮小する。その結果、各オブジェクトOJ1〜OJ6は、視点座標系のx軸方向に3/4倍に縮小される。なお、この実施例では、ステップT4によって視点座標系を変形補正したが、変形補正することなくステップT4以降の処理を行うこともできる。
【0079】
ステップT5では、3次元画像処理部30は、図10に示すように、視点SPと、オブジェクトOJ1〜OJ6との間に、視点からの視線の方向であるz軸に垂直な投影平面TMを設定する。投影平面TMは、視点座標系のz軸に垂直であり、z値が固定されているので、投影平面TM上では2次元の座標値として取り扱うことができる。この投影平面TMは、ビデオRAM28内に設けられたフレームメモリに対応する領域を有している。
【0080】
さらに、3次元画像処理部30は、投影平面TMに投影される各オブジェクトOJ1〜OJ6の移動方向に応じて、それら各オブジェクトOJ1〜OJ6を透視投影または平行投影する。これにより、各オブジェクトOJ1〜OJ6をそれぞれ構成する各ポリゴンの各頂点は、投影平面TMに透視移動または平行移動するように投影され、各頂点の3次元の座標値が投影平面TM上の2次元の座標値に変換される。3次元画像処理部30は、全てのオブジェクトの投影が終了することにより、ワールド座標系内の各オブジェクトOJ1〜OJ6の投影情報を取得する。
【0081】
ここで、透視投影とは、各オブジェクトOJ1〜OJ6を視点SPから見た状態で投影することをいい、具体的にはオブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの頂点が視点SPへ向けて直線的に移動されるように投影することをいう。これにより、例えば視点SPからの距離に応じてオブジェクトOJ1〜OJ6の各画像が変化するように表示される。平行投影とは、オブジェクトOJ1〜OJ6を投影平面TMから見たそのままの状態で投影することをいい、具体的にはオブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの頂点が投影平面TMに対して垂直に直線的に移動するように投影することをいう。これにより、視点SPからの距離に関わらず、オブジェクトOJ1〜OJ6の各画像は常に一定の大きさで表示される。なお、遊技者に遊技状態を識別させたい場合には、例えば絵柄画像が識別図柄である場合には、識別図柄を識別し易くするために、識別図柄を表示するオブジェクトを平行投影する。それ以外の場合には、例えば補助図柄などの絵柄画像や、背景画像の場合には、より立体感を表現するために、これらの画像を表示するオブジェクトを透視投影することが好ましい。
【0082】
ステップT6では、まず、3次元画像処理部30は、キャラクタROM27に記憶されている背景画像を読み出し、その背景画像をビデオRAM28内のフレームメモリ内に描画する。この背景画像は、例えば夜景の様子を表示する画像である。
【0083】
次に、3次元画像処理部30は、投影情報に含まれる各オブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの各頂点の座標値に対応するビデオRAM28のフレームメモリ内のアドレス、すなわちフレームメモリ内の各オブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの位置を求める。そして、キャラクタROM27から読み出したテクスチャを各ポリゴンに合わせて変形させながら各ポリゴンに描画する。これにより、背景画像上に、各オブジェクトOJ1〜OJ6の画像である絵柄画像が重ねられた表示画像がフレームメモリ内に生成される。なお、ステップT6における処理については後で詳細に説明する。
【0084】
ステップT7では、3次元画像処理部30は、フレームメモリ内に生成された表示画像を、ビデオ出力部35を介してLCD6に出力する。LCD6は、割り込み処理ごとに3次元画像処理部30から送られてくる縦横比が3:4の表示画像を、縦横比が9:16の表示画面6aに合わせて順次表示する。上述したステップT1〜T7が実行されることによって、表示画面6aには、図11に示すような表示画像が表示される。図11に示すように、表示画面6aには、例えば夜景の様子を示す背景画像HGの前面に、上述した各オブジェクトOJ1〜OJ5の画像である絵柄画像G1〜G5が表示される。このとき、投影平面TM外に配置されているオブジェクトOJ6は、投影平面TMに投影されないので、表示画面6aには表示されない。なお、上述したステップT1〜T7を繰り返して、全ての識別図柄を変動させる通常変動や、特定の識別図柄だけが変動させるリーチなどの表示態様を表示することができるとともに、その他の遊技状態に応じて絵柄画像や背景画像を表示することができる。
【0085】
次に、本実施例に係るパチンコ機Pで実際に表示される表示態様について、図12に示すフローチャートおよび図13,図14に示す表示態様を参照して説明するとともに、上述したステップT6における処理について、図15および図16を参照して説明する。
【0086】
LCD6の表示画面6aには、制御基盤11から送られてきたコマンドに基づいて、図13,図14に示すような表示態様が、図13(a)〜図13(c),図14(a)〜図14(c)の順に表示される。この表示態様において、識別図柄や補助図柄などの絵柄画像や、夜景の様子を示した背景画像(いずれも図示省略)がそれぞれ表示画面6a内に表示されている。識別図柄において、例えば(麻雀)牌に関する識別図柄が、表示画面6a内の右列,中列,左列のそれぞれの領域内に表示されて、通常回転時には各列に表示される識別図柄がそれぞれ縦方向に低速または高速で移動する。リーチが発生すると、右列と左列とで移動していた識別図柄が、表示画面6aの斜め方向(または横方向)に同一種類で揃うように停止し、中列Mの識別図柄だけが縦方向に移動を続けるように表示される。
【0087】
本実施例では、フラッシュがたかれて、フラッシュ後に画面の色が元に復元される表示態様を実現させており、この一連の表示態様が、図13(a)〜図13(c),図14(a)〜図14(c)の順に表示される。また、本明細書中では、図13(a)に示すフラッシュがたかれる前の状態、および図14(c)に示すフラッシュ後に画面の色が元に復元された状態を『第3状態』と定義づけるとともに、図13(b)に示すフラッシュがたかれた瞬間の状態を『第1状態』と定義づけ、図13(c)に示す状態を『第2状態』と定義づける。
【0088】
また、牌に関する各識別図柄の色は全体的に白っぽい、すなわち明度が明るい色とそれぞれなっており、それら識別図柄の周りにある夜景の様子を示した背景画像の色は全体的に黒っぽい、すなわち明度が暗い色となっている。本明細書中では、牌に関する識別図柄が位置する領域を『第1領域』と定義づけ、それ以外の背景画像の領域を『第2領域』と定義づける。また、牌に関する識別図柄には、例えば『一萬』,『ニ萬』,…,『九萬』,『發』等の牌に関する模様が付されているが、説明の便宜上、これらの牌に関する模様について図示を省略する。また、各領域の明度については線画で表し、線画の多い領域ほど明度が暗い領域とする。
【0089】
ステップU1では、図13(a)に示すフラッシュがたかれる前の状態である第3状態から、図13(b)に示すフラッシュがたかれた瞬間の状態である第1状態へ移行すると、第1状態では、図13(b)に示すように、識別図柄や補助図柄などの絵柄画像、および背景画像を含んだ画像全体が、すなわち表示画面6a全体が真っ白な状態となる。つまり、本実施例では第1状態における画像の明度は明るい。
【0090】
ステップU2では、図13(b)に示すフラッシュがたかれた瞬間の状態である第1状態から、図13(c)に示す状態である第2状態になるように第1領域61および第2領域62の明度を順方向に変える。本実施例では、画像の明度が暗くなるように明度を順方向に変える場合であって、順方向は明度が暗くなる方向となる。このステップU2は、本発明における第1処理の機能に相当する。画像の明度が第1状態よりも暗くなるように、明度を変える処理については図15,図16で詳細に説明する。
【0091】
ステップU3では、図13(c)に示す状態である第2状態からは、第1領域61においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域62においては、画像の明度が第2状態よりも暗くなるように、図14(a)〜図14(c)に示すように、さらに色を順方向に変える。つまり、第1領域61に位置する牌に関する各識別図柄については、第2状態から第3状態へ復元するまでは同じ明度を保ち、第2領域62の背景画像については、第2状態から第3状態へ移行するまでに第3状態の色に復元するまで、なおも明度を順方向に変えることになる。
【0092】
図13(c)に示す状態である第2状態から、図14(a),図14(b)を経て、図14(c)に示すフラッシュ後に画面の色が元に復元された状態である第3状態へ移行するに従って、第1領域61と第2領域62との間に明度差が生じ、その差が段階を追う毎に大きくなる。そして、最終的に第3状態では第1領域61と第2領域62との間に生じる明度差によって、互いに隣接する第1領域61と第2領域62との間の境界付近には、ハレーションが生じる。このステップU3は、本発明における第2処理の機能に相当する。
【0093】
明度を次第に変える処理およびステップT6の処理について、図15,図16を参照して説明すると、図15に示すマスクパターンM1〜M9がマスクパターンメモリ24a(図3,図4参照)に記憶されている。マスクパターンM1〜M9の符号70(図中の斜線の部分)の示す部分は、図16に示すテクスチャTの画像が残る部分、すなわち表示画面6aに表示される部分であり、符号71(図中の白色の部分)の示す部分は、テクスチャT上に非表示の部分を設けるためのデータである。
【0094】
具体的には、マスクパターンM1は、00H,11H,00H,00H,00H,11H,00H,00Hの8バイトのデータとしてマスクパターンメモリ24aに記憶されている。例えば11Hは16進数であるので、これを2進数で表すと「00010001」となり、「1」が符号70の部分に、「0」が符号71の部分にそれぞれ相当する。同様に、マスクパターンM2は、00H,11H,00H,44H,00H,11H,00H,44Hの8バイト、マスクパターンM3は、00H,55H,00H,55H,00H,55H,00H,55Hの8バイト、マスクパターンM4は、88H,55H,88H,55H,88H,55H,88H,55Hの8バイト、マスクパターンM5は、AAH,55H,AAH,55H,AAH,55H,AAH,55Hの8バイト、マスクパターンM6は、BBH,DDH,BBH,DDH,BBH,DDH,BBH,DDHの8バイト、マスクパターンM7は、BBH,FFH,AAH,FFH,BBH,FFH,AAH,FFHの8バイト、マスクパターンM8は、BBH,FFH,EEH,FFH,BBH,FFH,EEH,FFHの8バイト、マスクパターンM9は、FFH,FFH,FFH,FFH,FFH,FFH,FFH,FFHの8バイトのデータとしてROM24のマスクパターンメモリ24a内にそれぞれ記憶されている。なお、本実施例では9段階に変化する9枚のマスクパターンを利用したが、本願発明はこれに限定されるものでなく、2段階以上に変化する複数のマスクパターンであれば幾つでもよい。また、これら各マスクパターンのパターンに限定されるものではない。
【0095】
3次元画像処理部30は、これら各マスクパターンM1〜M9を、図16に示すように、テクスチャTに順次重ねることで、テクスチャTに重なった符号71の部分を非表示にしたテクスチャTを投影されたオブジェクトの各ポリゴンに合わせて変形させながら各ポリゴンに描画する。これにより、マスクパターンが重なったテクスチャTが、投影平面TMに投影されたオブジェクトの形状に応じて、そのオブジェクトに貼り付けられる。
【0096】
例えば、マスクパターンM5を利用する場合を例にとって説明すると、図16(a)に示すように、テクスチャT上の全体に非表示の部分を設けるように、テクスチャT上にマクスパターンM5を重ねる。これにより、図16(b)に示すように、テクスチャTを、例えば非表示の部分が千鳥状に設けられた状態にすることができ、このテクスチャTを投影されたオブジェクトに貼り付けることで、表示画面6aに千鳥状の模様の画像を表示させることができる。なお、非表示の部分を少なくすることで明度を暗くみせることができ、非表示の部分を多くすることで明度を明るくみせることができる。
【0097】
このように、非表示の部分の個数が次第に減少するような順番で、すなわちマスクパターンM1〜M9の順でテクスチャTに重ねて、最終的に表示されるべき画像、つまり投影されたオブジェクトに与えることで、図13(b),図13(c),図14(a)〜図14(c)に示すように、表示画面6a上で背景画像を含む画像の明度が次第に暗くなる表示態様、すなわちフラッシュ後に画面の色が元に復元される表示態様を実現することができる。また、3次元画像処理部30は、ステップU1〜U3の手順に従って、マスクパターンROM24aからマスクパターンを逐次に読み出して、投影されたオブジェクトに与えることで、第3状態への復元処理を含んだ、本発明における第1処理および第2処理を実行することができる。
【0098】
以上より、上述したパチンコ機Pによれば、画像の明度が明るい真っ白の第1状態(図13(b)参照)から、LCD6の表示画面6a上の互いに隣接する第1領域61および第2領域62において画像の明度が第1状態よりも暗くなるように第2状態(図13(c)参照)までに色を順方向に変える。両領域61,62の各画像の明度が第2状態になった後は、第1領域61における画像の明度と第2領域62における画像の明度とが互いに異なるように、第2領域62の明度を順方向に変える。これによって、第2状態以降については、第1領域61と第2領域62との間に明度差が生じるので、遊技者に注目させたい画像の領域、ここでは識別図柄が位置する領域を第1領域61に選択することで、本実施例のようにフラッシュがたかれて、フラッシュ後に画面の色が元に復元されるような色を変える表示演出を行っても、第1領域61における識別図柄がわかり易くなって、遊技の興趣を飛躍的に向上させることができる。
【0099】
なお、遊技者に注目させたい画像の領域を第2領域62に選択してもよい。本実施例の場合には、背景画像の領域を第2領域62に選択することで、第2領域における背景画像がわかり易くなる。このように遊技者に注目させたい画像は、識別図柄などの絵柄画像に限定されず、背景画像などでもよい。
【0100】
なお、従来の場合では、例えば蜃気楼などのように画面上にぼやけた絵柄画像や背景画像などを敢えて表示させて、くっきりとした画像と上述のぼやけた画像との切り換えにより、臨場感のある表示態様を実現することが考えられる。しかし、単なる切り換えでは、別の画面に急に切り換わって不自然な表示態様になり、遊技者の面白味を永続させることができないという問題が生じる。くっきりとした画像に対して、色を部分的に間引いた半透明の画像を予め用意しておいて、前者と後者とを切り換えることも考えられるが、逆に、画像の一連の流れが単調なものになってしまう。
【0101】
そこで、本実施例では、第2状態からは、第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域62において画像の明度が第2状態よりも暗くなるように色を順方向に変える。これによって、第2状態以降については、第1領域61と第2領域62との間に明度差が生じ、その差が段階を追う毎に大きくなり、最終的に第3状態(図14(c)参照)では第1領域61と第2領域62との間に生じる明度差によって、互いに隣接する第1領域61と第2領域62との間の境界付近にはハレーションが生じる。このハレーションを利用することでぼやけた画像を実現することができるとともに、境界付近以外の部分についてはくっきりとした画像を実現することができる。
【0102】
また、第1状態から第2状態へ、さらには第2状態から第3の状態へと、画像の色がそれぞれの領域で変化するので、画像の一連の流れが単調になることもない。その結果、臨場感のある画像を表示させて、遊技者の面白味を永続させることができる。
【0103】
また、本実施例では、第1状態よりも前の状態である第3状態から、第1状態へ移行し、第1状態から第2状態へ移行した後は、第3状態へと移行して復元するように一連の処理プログラムが作成されて実行されているので、画像の一連の流れをより複雑にすることができ、より一層、臨場感のある画像を表示させることができる。特に、本実施例では、第1状態においては画像が真っ白で、すなわち第1状態においては画像の明度が明るく、第2状態に移行するに従って、画像の明度が暗くなって、第2状態から第3状態へ移行するに従って、第2領域62において画像の明度が暗くなって、第3状態に復元されているので、第3状態から第1状態へ移行した際に、あたかもフラッシュがたかれて画面の色が白くなった表示態様を実現することができ、第1状態から第2状態を経て、第3状態へ移行することでフラッシュ後に画面の色が元に復元される表示態様を実現することができる。
【0104】
また、本実施例では、第1状態における画像の色は真っ白で、その状態から非表示の部分が次第に減少するようにROM24内のマスクパターンメモリ24a(図3,図4参照)から各マスクパターンM1〜M9(図15参照)を逐次に読み出して画像に与えることで、画像の明度を暗くすることができる。
【0105】
さらに、本実施例では、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系において複数個のポリゴンから構成されているオブジェクト、およびその模様としてオブジェクトに貼り付けるテクスチャを、キャラクタROM27から読み出して、3次元画像処理部30は、各オブジェクトに各テクスチャをそれぞれ貼り付けて、貼り付けられた各オブジェクトから画像を構成して、その画像をビデオ出力部35に与える。このように、2次元の画像のみならず、臨場感のある画像を表示させるべく仮想3次元空間内において複数個のポリゴンから構成されているオブジェクトから画像を構成する場合においても、本発明を適用することができる。
【0106】
なお、上述した実施例では、LCD(液晶)ディスプレイであったが、例えば、液晶モニタの代わりにCRTモニタや、LEDモニタなどにすることもできる。
【0107】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0108】
(1)上述した実施例では、LCD6の表示画面6aは、互いに隣接する第1領域61および第2領域62からなり、領域としては2つの領域からなっていたが、それ以上の領域からなっていてもよい。例えば、互いに隣接する第1領域および第2領域のほかに、第2領域に隣接する第3領域から表示画面6aを構成し、第1状態から、第1領域,第2領域,および第3領域において画像の明度が第1状態よりも暗くなるように、第2状態までに明度を次第に変えて、第2状態からは、第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域および第3領域において画像の明度が第2状態よりも暗くなるように第3状態までに明度を次第に変えて、第3状態からは、第1領域においては第2状態および第3状態と同じ明度を保つとともに、第2領域においては第3状態と同じ明度を保ちつつ、第3領域において画像の明度が第3状態よりも暗くなるように、第4状態よりも暗くなるように明度を次第に変えてもよい。
【0109】
また、各画像の明度が第1状態から第2状態になるように、各画像の明度を次第に変える第1領域と第2領域とは、必ずしも互いに隣接する必要はなく、第1領域と第2領域との間に、別の領域が介在されていてもよい。また、この別の領域については、必ずしも第1領域や第2領域に連動して第1状態から第2状態にする必要はなく、第1領域・第2領域とは独立して明度や色そのものを変えてもよいし、同じ明度や色そのものを保っていてもよい。
【0110】
(2)上述した実施例では、第2状態以降については、第1領域においては第2状態と同じ明度を保ちつつ、第2領域のみ画像の明度を次第に変えたが、第1領域についても画像の明度を次第に変えてもよい。例えば、第2状態からは、第2領域における画像の明度を順方向に変えるとともに、第1領域における画像の明度を逆方向に変えてもよい。その他に、第2状態からは、両領域ともに各画像の明度を順方向に変え、両領域における順方向の速度を互いに異なるようにすることで、第1領域における画像の明度と第2領域における画像の明度とが互いに異なるようにしてもよい。
【0111】
(3)上述した実施例では、第1状態において画像の色が明るく、第2状態,第3状態へと移行するに従って、明度が明るくなるように次第に変わる、すなわち非表示の部分が次第に減少するように処理プログラムは作成されていたが、逆の手順であってもよい。つまり、第1状態において画像の明度が明るく、第2状態,第3状態へと移行するに従って、明度が明るくなるように次第に変わる、すなわち非表示の部分が次第に増加するように処理プログラムは作成されていてもよい。この場合、順方向は、明度が明るくなる方向となる。
【0112】
(4)上述した実施例では、第1処理および第2処理とも、明度を順方向に変えたが、第1処理は、明度を順方向に変え、第2処理は、明度を逆方向に変えてもよい。かかる場合においても、順方向,逆方向の如何に関わらず、第2状態以降については、第1領域と第2領域との間に生じる明度差によって、互いに隣接する第1領域と第2領域との間の境界付近にはハレーションが生じる。
【0113】
(5)上述した実施例では、第1状態よりも前の状態である第3状態から、第1状態へ移行し、第1状態から第2状態へ移行した後は、第3状態へと移行して復元するようにしていたが、第1状態よりも前の第3状態を設けず、第1状態から第2状態へ移行、第2状態から第3状態へ移行と、第3状態への復元以外の表示態様を実現させてもよい。また、第1状態から第2状態へ移行、第2状態から第3状態へ移行した後に、第3状態から第2状態へ移行、さらには第2状態から第1状態へ移行と、逆の手順を組み合わせてもよい。
【0114】
(6)上述した実施例では、非表示の部分を次第に変化させるように構成された複数種類のマスクパターンを用意し、それらのマスクパターンを画像に与えることで明度を次第に変えたが、複数種類の色を記憶する色情報に基づいて明度を次第に変えてもよい。すなわち、画像の明度を暗くするときには、現在の明度よりも暗い色を色情報から画像に与え、画像の明度を明るくするときには、現在の明度よりも明るい色を色情報から画像に与えることで、明度を次第に変える。具体的には、図4に示すパレット処理部33は、上述したように、複数種類の色情報で構成される複数種類のカラーパレットを格納するパレットRAM(図示省略)を備えている。この変形例では、次第に明度を変えるように、割り込み処理(1フレーム)ごとにカラーパレットのデータをレンダリング処理部32に与える。パレットRAMは、本発明における色情報記憶手段に相当する。
【0115】
(7)本発明を2次元の画像に適用してもよい。この場合、例えば複数種類のマスクパターンを2次元の画像に重ねることで、各マスクパターンを2次元の画像に直接的に与えることができる。
【0116】
(8)本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施するようにしてもよい。
【0117】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定されるものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0118】
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受け皿に多量の球が払い出されるものである。
【0119】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、第1領域と第2領域との間に明度差が生じるので、遊技者に注目させたい画像の領域を第1領域または第2領域のいずれかに選択することで、色を変える表示演出を行っても、その領域における画像がわかり易くなり、遊技の興趣を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のパチンコ機の概略正面図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤の概略正面図である。
【図3】実施例に係るパチンコ機の機能ブロック図である。
【図4】3次元画像処理部の機能ブロック図である。
【図5】パチンコ機の制御基盤での処理を示すフローチャートである。
【図6】パチンコ機の画像表示装置での処理を示すフローチャートである。
【図7】ワールド座標系に複数個のオブジェクトを配置した様子を示す図である。
【図8】注目点を設定した様子を示す図である。
【図9】注目点に基づいて、視点を設定するまでの様子を示す図である。
【図10】ワールド座標系における投影平面と複数個のオブジェクトとの様子を示す図である。
【図11】表示画面にオブジェクトの画像が表示された様子を示す図である。
【図12】本実施例に係るパチンコ機で実際に表示される表示態様を実現させる流れを示すフローチャートである。
【図13】(a)〜(c)は、フラッシュがたかれて、フラッシュ後に画面の色が元に復元される表示態様を示す図である。
【図14】(a)〜(c)は、フラッシュがたかれて、フラッシュ後に画面の色が元に復元される表示態様を示す図である。
【図15】(a)〜(i)は、複数種類のマスクパターンを示す図である
【図16】マスクパターンをテクスチャに重ねる様子を示す図であって、(a)は重ね合わせる前の様子を示し、(b)はあるマスクパターンをテクスチャに重ねたときの様子を示す図である.
【符号の説明】
6 … LCD
6a… 表示画面
11 … 制御基盤
21 … 画像表示装置
24 … ROM
24a … マスクパターンメモリ
27 … キャラクタROM
30 … 3次元画像処理部
35 … ビデオ出力部
61 … 第1領域
62 … 第2領域
M1〜M9 … マスクパターン
Claims (1)
- 画像を表示する表示手段を備えた遊技機において、
前記表示手段は、少なくとも2つの領域である第1領域と第2領域とでそれぞれ画像を表示し、
かつ、前記第1領域および第2領域の各画像の明度が第1状態から第2状態になるように、前記両領域の各画像の明度を次第に変える第1処理を行い、前記両領域の各画像の明度が第2状態になった後は、前記第1領域における画像の明度と前記第2領域における画像の明度とが互いに異なるように、少なくとも第2領域の明度を次第に変える第2処理を行う明度変動手段と、
前記明度変動手段によって明度が順に変えられた各画像を前記表示手段に逐次に出力する出力手段と
を備えることを特徴とする遊技機。
Priority Applications (1)
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Cited By (4)
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JP2007190210A (ja) * | 2006-01-19 | 2007-08-02 | Samii Kk | 画像処理装置、遊技機、画像処理方法及びプログラム |
JP2007215834A (ja) * | 2006-02-17 | 2007-08-30 | Okumura Yu-Ki Co Ltd | パチンコ遊技機 |
CN103985324A (zh) * | 2014-05-31 | 2014-08-13 | 深圳市华星光电技术有限公司 | 柔性拼接显示装置 |
JP2018050679A (ja) * | 2016-09-26 | 2018-04-05 | 株式会社サンセイアールアンドディ | 遊技機 |
-
2002
- 2002-07-30 JP JP2002221236A patent/JP2004057557A/ja not_active Withdrawn
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