JP2005185423A - ボタン - Google Patents
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Abstract
【課題】 ボタン掛け具のような治具を携帯する必要もなく、しかも、ボタンをボタンホールに容易に掛け外し可能なボタンを提供する。
【解決手段】 生地6への取付部を有するボタン本体部1と、このボタン本体部1から一方向へ延出された延出部4とを有する。ボタン本体部1は、取付部により生地6に回動可能に固定されている。延出部4は、ボタンホールに対して差し込み可能な差込部54と、この差込部54からボタン本体部1に向けて弧状に形成されボタン本体部1の回動時にボタンホールにボタン本体部1を案内するガイド部55とを有する。
【選択図】 図1
Description
この欠点を解消するため、生地に取り付けられる部材に対して、ボタン本体が首振り可能な、いわゆる、首振りボタンが開発された。しかし、ボタンを取り付ける部分やボタンホール部分の生地の折り返しが厚いと、嵌めにくさや外しにくさは残ってしまう。
前者のものは、取手部およびこれと一体形成されたボタン保持部を有するボタン掛け具を用い、このボタン掛け具のボタン保持部をボタンホールに差し込んでボタン保持部にボタンを保持したのち、取手部を引き出すと、ボタン保持部に保持されたボタンが一緒に引き出されながらボタンホールに嵌められる構造である。
後者のものは、ボタンの裏面を糸固定部を挟んで表面側に向かって屈曲する略V字形状に形成し、糸固定部から離れた先端部を、糸固定部から近い基端部よりも先細形状に形成した構成である。ボタン掛けの際は、先細形状の先端部をボタンホールに差し込んだのち、ボタンホールから突出した先端部側を表面側から裏面側へ向かって押すと、ボタンの基端部(糸固定部から近い端部)が跳ね上がり、ボタンがボタンホールに嵌められる。外す際は、ボタンの基端部側を押しながら、その基端部側をボタンホールから通過させることによって、ボタンがボタンホールから外れる構造である。
特許文献3に記載のものは、ボタン掛けの際、ボタンの先端部をボタンホールに通し、その突出した先端部側を押すことによって、ボタンをボタンホールに嵌めるものであるため、生地のずれなどによってボタンの先端部側がボタンホールから外れやすい。また、外す際は、ボタンの基端部側を押しながら、その基端部側をボタンホールから通過させるものであるため、基端部の幅(大きさ)によってはボタンホールから外しずらい場合がある。
ここで、ガイド部の形状が弧状とは、円弧状に限らず、弓状、楕円状なども含む意味である。
逆に、ボタンをボタンホールから外すには、延出部を摘んでボタン本体部を回動させ、延出部をボタンホールの略延長線上(ボタンホールのスリットの延長線上)に位置させたのち、延出部(差込部)を生地から離れる方向へ持ち上げる。すると、ボタン本体部が取付部を支点として傾き、ボタン本体部の延出部とは反対側がボタンホール内に滑り込むため、ボタンホールからボタン本体部が外れる。さらに、押し込むことにより、ボタンがボタンホールから完全に外れる。
従って、ボタン掛けの際には、差込部をボタンホールに差し込だのち、ボタンホールから突出した差込部を摘んでボタン本体部を回動させればよく、また、ボタン外しの際には、延出部を生地から離れる方向へ持ち上げるだけで、ボタンをボタンホールから外すことができる。しかも、従来のボタン掛け具などのような治具を携帯、さらには使用しなくても、ボタンをボタンホールに容易に掛け外しできる。
ここで、拡開手段とは、ボタンホールのスリットを拡げることができる形状、構造であればよい。より詳しくは、ボタン本体部の姿勢が傾いた際、ボタンホール内に押し込まれ、ボタン本体部の姿勢変化に伴って、徐々にボタンホール内に入り込んでボタンホールを押し広げる形状であればよく、たとえば、円弧形状、三角形状などが挙げられる。
この発明によれば、取付部を挟んでボタン本体部の延出部とは反対側に、ボタンホールを拡開する拡開手段を備えているから、ボタン外しの際、延出部を生地から離れる方向へ持ち上げると、拡開手段がボタンホール内に押し込まれ、さらに、ボタン本体部の姿勢変化に伴って、徐々にボタンホール内に入り込んでボタンホールを押し広げるから、ボタンをボタンホールから容易に外すことができる。
この発明によれば、ボタン外しの際、延出部を生地から離れる方向へ持ち上げると、つまり、ボタン本体部の姿勢が傾くに従って、拡開手段の傾斜面がボタンホール内に徐々に入り込んでボタンホールを押し広げるから、ボタンをボタンホールからスムーズに外すことができる。
具体的には、ガイド部の輪郭を構成する2つの輪郭線が、同一方向に凸である弧状に形成されていることが好ましい。
この発明によれば、ボタン掛けの際には、差込部をボタンホールに差し込んだのち、ボタンホールから突出した差込部を摘んでボタン本体部を回動させる。このとき、ガイド部は、差込部からボタン本体部に向けて連続する弧状で、かつ、幅寸法が次第に幅広に形成されているから、ボタン本体部が回動されるに伴って、ボタン本体部がボタンホールの中央位置に徐々に案内されながらボタンホールに向かって進むため、ボタン本体部をボタンホールに容易に嵌めることができる。
この発明によれば、表装部材に、延出部、差込部、ガイド部が形成されているから、つまり、上記各機能を奏する全ての構成要件が備えられているから、この表装部材以外の部材については既存のものを使用することができるうえ、ボタンも薄型化できる。
この発明によれば、延出部、差込部、ガイド部を有する表装材がプラスチック成形されているから、とくに、延出部については曲げやすく、よりボタン掛けしやすい利点がある。
この発明によれば、延出部、差込部、ガイド部を有する表装材がダイキャストで成形されているから、生地を挟んで取付部材の反対側から固定具(タック)などをカシメる際、ダイキャスト製の表装材を、固定具(タック)をカシメ変形させるダイとして兼用させることができるから、生地への取り付けも簡易にできる。
この発明によれば、延出部、差込部、ガイド部を有する表装材および連結材が板金のプレス加工で一体成形されているから、加工が容易で、安価にできる。
この発明によれば、延出部、差込部、ガイド部を有する表装材がプラスチック成形されているから、とくに、延出部については曲げやすく、よりボタン掛けしやすい利点があるうえ、表装材および連結材がプラスチックで一体成形されているから、製造、組立工数を低減できる。
この発明によれば、ボタン本体部に表裏面を貫通して形成された複数の孔を利用して、生地に直接固定することができる。この場合、ボタン本体部が生地に回動可能に固定される必要があるため、生地とボタン本体との間に隙間ができるように、糸に余裕を持たせる必要がある。
<第1実施形態>
図1は本発明のボタンをジーンズ用ボタンに適用した第1実施形態を示すもので、(A)は平面図、(B)は断面図である。図1に示すように、第1実施形態のボタンは、生地6への取付部を有するボタン本体部1と、このボタン本体部1から一方向へ延出された延出部4とを備え、相手方生地(図示省略)に形成されたボタンホールに対して掛け外し可能に構成されている。
表面側固定筒11は、金属製で、生地6の表面側に当てられる環状帯部12と、この環状帯部12の中央から立ち上がりかつ先端がやや外側に広がった円筒状の筒部13とから構成されている。裏面側固定具21は、図2に示すように、金属製でフランジ状の頭部22を有する鋲形状の固定具本体23と、この固定具本体23の頭部22を覆う化粧材24とから構成されている。
生地6にボタン本体部1を固定するには、図3に示すように、取付ダイ31に表装部材3をセットし、裏面側固定具21を生地6の裏面側から生地6を貫通させて表面側固定筒11内に差し込んでカシメる。すると、裏面側固定具21の先端が取付ダイ31の形状(半球状)に変形されることにより、ボタン本体部1が生地6に回動可能かつ首振り可能に固定される。
連結首材41は、表面側固定筒11より大径の筒部42と、この筒部42の一端側に内側に向かって折曲され表面側固定筒11の筒部13先端に回動可能かつ首振り可能に係合された係合部43と、筒部42の他端側に外側へ向かって延設され表装材51に埋設されるフランジ部44とを備えている。
表装材51は、ボタン本体部1を構成する本体表装部52と、この本体表装部52から一方向(図1で右方向)へ延出された延出部4と、取付部材2(取付部)を挟んでボタン本体部1の延出部4とは反対側に形成されボタンホールを拡開する拡開手段56とを備える。本体表装部52と延出部4とを平面から見ると、勾玉形状に形成されている。
延出部4は、ボタンホールに対して差し込み可能な差込部54と、この差込部54から本体表装部52に向けて円弧状に形成されボタン本体部1の回動時にボタンホールに本体表装部52を案内するガイド部55とを備えている。
ガイド部55は、差込部54から本体表装部52(ボタン本体部)に向けて連続する弧状で、かつ、幅寸法が次第に幅広に形成されている。つまり、ガイド部55の輪郭を構成する2つの輪郭線が、同一方向に凸である弧状(ここでは円弧状)に形成され、その間隔が次第に幅広に形成されている。具体的には、ガイド部55を構成する一方の輪郭円弧半径R3が本体表装部52の半径R1に対して2.5〜3倍程度(好ましくは2.7倍程度)、他方の輪郭円弧半径R4が本体表装部52の半径R1に対して0.7〜0.9倍程度(好ましくは0.7倍程度)の寸法に形成されている。なお、差込部54の先端から本体表装部52の最外周縁までの長さ寸法がボタンホールのスリット長と略等しいか、あるいは、スリット長より長くなるようにガイド部55の長さ寸法が設定されている。
(1)ボタン掛けの際には、差込部54をボタンホール8に差し込だのち、ボタンホール8から突出した差込部54を摘んでボタン本体部1を回動させればよく、また、ボタン外しの際には、延出部4を生地6,7から離れる方向へ持ち上げるだけで、ボタンをボタンホール8から外すことができる。しかも、従来のボタン掛け具などのような治具を携帯、さらには使用しなくてもよいから、ボタンをボタンホール8に容易に掛け外しできる。
図12は本発明の第2実施形態のボタンを示している。第2実施形態のボタンは、第1実施形態のボタンに対して、表装部材のみが異なる。
本実施形態の表装部材3Aは、取付部材2(表面側固定筒11)によって回動可能に保持された連結材としての金属製の連結首材41Aと、この連結首材41Aの表面側に係合されたダイキャスト製の表装材51Aとを含んで構成されている。
この実施形態によれば、延出部4、差込部54、ガイド部55、拡開手段56を有する表装材51Aがダイキャストで成形されているから、生地を挟んで取付部材2の反対側から裏面側固定具などをカシメる際、ダイキャスト製の表装材51Aが裏面側固定具をカシメ変形させるダイの役目も兼用できるから、生地への取り付けも簡易にできる。
図13は本発明の第3実施形態のボタンを示している。第3実施形態のボタンは、第1実施形態のボタンに対して、表装部材のみが異なる。
本実施形態の表装部材3Bは、取付部材2(表面側固定筒11)によって回動可能に保持された連結材としての連結首材41Bと、この連結首材41Bの表面側に設けられた表装材51Bとを含み、この連結首材41Bおよび表装材51Bが板金のプレス加工により一体成形されている。これら連結首材41Bおよび表装材51Bの端部は内側へ巻き込み処理が施されている(安全処理)。
この実施形態によれば、延出部4、差込部54、ガイド部55、拡開手段56を有する表装材51Bと連結首材41Bとが板金のプレス加工で一体成形されているから、加工が容易で、安価にできる。
図14は本発明の第4実施形態のボタンを示している。第4実施形態のボタンは、第1実施形態のボタンに対して、表装部材のみが異なる。
本実施形態の表装部材3Cは、取付部材2(表面側固定筒11)によって回動可能に保持された連結材としてのプラスチック製の連結首材41Cと、この連結首材41Cの表面側に一体成形されたプラスチック製の表装材51Cとによって構成されている。
この実施形態によれば、延出部4、差込部54、ガイド部55、拡開手段56を有する表装材51Cがプラスチック成形されているから、とくに、延出部4については曲げやすく、よりボタン掛けしやすい利点がある。しかも、表装材51とともに連結首材41Cの一体成形されているから、製造、組立工数も低減できる。
このようにすれば、ボタン外しの際、延出部4を生地6から離れる方向へ持ち上げると、つまり、ボタン本体部1の姿勢が傾くに従って、拡開手段56の傾斜面57がボタンホール8内に徐々に入り込んでボタンホール8を押し広げるから、ボタンをボタンホールからスムーズに外すことができる。
図16は本発明の第5実施形態のボタンを示している。
本実施形態のボタンは、プラスチックあるいは金属により、生地への取付部70を有するボタン本体部1と、このボタン本体部1から一方向へ延出された延出部4とを有し、平面から見て勾玉形状に形成されている。
延出部4には、前記各実施形態と同様に、ボタンホールに対して差し込み可能な差込部54と、この差込部54からボタン本体部1に向けて円弧状に形成されボタン本体部1の回動時にボタンホールにボタン本体部1を案内するガイド部55とが設けられている。
取付部70は、ボタン本体部1の中央に表裏面を貫通して形成された複数(4個)の孔71を備えて構成され、これら4つの孔71と生地6との間を繋ぐ糸72により、ボタン本体部1が生地6に対して回動可能に固定されている。
この実施形態によれば、ボタン本体部1に表裏面を貫通して形成された複数の孔71を利用して、ボタンを生地6に糸72で直接固定することができる。この場合、ボタン本体部1が生地6に回動自在に固定される必要があるため、生地6とボタン本体部1との間に隙間ができるように、糸72に余裕を持たせる必要がある。
たとえば、差込部54の先端形状については、ボタンホールに比較的容易に差込できる形状であれば、円弧状に限らず、三角形、台形状などでもよい。
また、ガイド部55の形状については、両輪郭線が円弧状の場合に限らず、一方のみが円弧状の輪郭線であってもよい。つまり、前記実施形態において、半径R3の円弧を、差込部54の外周円と本体表装部52の外周円とに接する直線としてもよく、あるいは、半径R4の円弧を、差込部54の外周円と本体表装部52の外周円とに接する直線としてもよい。
また、生地6への取付部については、前記実施形態で説明した取付部材2の構成や孔71の構成に限らず、他の構成でもよく、要は、ボタン本体部1が生地6に対して回動できる構造であれば、どのような構成でもよい。ボタン本体部1の回動角度については、少なくとも約270度以上が望ましい。
Claims (11)
- 生地6への取付部を有するボタン本体部1と、このボタン本体部1から一方向へ延出された延出部4とを有し、相手方生地7に形成されたボタンホール8に対して掛け外し可能なボタンにおいて、
前記ボタン本体部1は、前記取付部により前記生地6に回動可能に固定され、
前記延出部4は、前記ボタンホール8に対して差し込み可能な差込部54と、この差込部54から前記ボタン本体部1に向けて弧状に形成され前記ボタン本体部1の回動時に前記ボタンホール8に前記ボタン本体部1を案内するガイド部55とを有する、
ことを特徴とするボタン。 - 前記取付部を挟んで前記ボタン本体部1の延出部4とは反対側に、前記ボタンホール8を拡開する拡開手段56を備えていることを特徴とする請求項1に記載のボタン。
- 前記拡開手段56は、前記取付部により固定された生地6から離れるに従って、前記延出部4とは反対側に向かって傾斜する傾斜面57を備えて構成されていることを特徴とする請求項2に記載のボタン。
- 前記ガイド部55は、前記差込部54から前記ボタン本体部1に向けて連続する弧状で、かつ、幅寸法が次第に幅広に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のボタン。
- 前記ガイド部55の輪郭を構成する2つの輪郭線が、同一方向に凸である弧状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のボタン。
- 前記ボタン本体部1は、表装部材3と、この表装部材3を生地6に対して回動可能に保持する取付部材2とを備え、
前記表装部材3には、前記延出部4、差込部54およびガイド部55が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のボタン。 - 前記表装部材3は、前記取付部材2によって回動可能に保持された金属製の連結材41と、この連結材41の一部を埋設した状態でプラスチック成形され前記延出部4、差込部54およびガイド部55を有する表装材51とを含んで構成されていることを特徴とする請求項6に記載のボタン。
- 前記表装部材3Aは、前記取付部材2によって回動可能に保持された金属製の連結材41Aと、この連結材41Aの表面側に係合され前記延出部4、差込部54およびガイド部55を有するダイキャスト製の表装材51Aとを含んで構成されていることを特徴とする請求項6に記載のボタン。
- 前記表装部材3Bは、前記取付部材2によって回動可能に保持された連結材41Bと、この連結材41Bの表面側に設けられ前記延出部4、差込部54およびガイド部55を有する表装材51Bとを含み、前記連結材41Bおよび表装材51Bが板金のプレス加工により一体成形されていることを特徴とする請求項6に記載のボタン。
- 前記表装部材3Cは、前記取付部材2によって回動可能に保持されたプラスチック製の連結材41Cと、この連結材41Cの表面側に一体成形され前記延出部4、差込部54およびガイド部55を有するプラスチック製の表装材51Cとによって構成されていることを特徴とうする請求項6に記載のボタン。
- 前記取付部70は、前記ボタン本体部1に表裏面を貫通して形成された複数の孔71を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のボタン。
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