JP2005185122A - 油脂加工澱粉およびそれを用いる揚げ物用衣材 - Google Patents

油脂加工澱粉およびそれを用いる揚げ物用衣材 Download PDF

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Abstract

【課 題】 揚げ物において、種との結着性に優れた揚げ物衣材用の油脂加工澱粉、および該油脂加工澱粉を用いた揚げ物用衣材を提供する。
【解決手段】 澱粉に油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有させてなることを特徴とする油脂加工澱粉。
【選択図】 なし

Description

本発明は、種と衣との結着性に優れた油脂加工澱粉、およびそれを用いる揚げ物用衣材に関する。
従来揚げ物用衣材としては、グルテンの少ない小麦粉を主体とし、食感を改善する目的で各種の蛋白質類、澱粉質類、乳化剤、卵および重曹などを添加し、また必要に応じて適量の水を加えた組成物が用いられていた。しかし、小麦粉を主体とした従来の衣材では、揚げた後に種と衣との結着性が悪いために剥がれ易く、見た目が悪くなり、商品価値を著しく損なうなどの問題が生じていた。
これらの点を解決するために従来から種々の方法が提案されており、その中の一つに油脂加工澱粉を用いる方法がある。例えば、40重量%濃度のスラリー粘度が200cps以上である油脂加工澱粉を含有する揚げ物用衣材(例えば、特許文献1参照)、粳種澱粉と糯種澱粉との混合物または糯種澱粉単独に食用油脂を添加・処理して得られる油脂加工澱粉を含有する揚げ物用衣材(例えば、特許文献2参照)、油脂加工澱粉α化品、あるいは油脂加工澱粉と油脂加工澱粉α化品との混合物よりなる揚げ物用衣材(例えば、特許文献3参照)、澱粉に食用蛋白含有素材と食用油脂を添加混合し、加水して乾燥した食品素材と小麦粉、天然増粘剤、ベーキングパウダー、水を混合したバッター(例えば、特許文献4参照)、油脂加工澱粉、リン酸塩を含有するバッターミックス(例えば、特許文献5参照)、油脂加工澱粉および酸化澱粉の少なくとも一方を含有する打ち粉または衣液(例えば、特許文献6参照)、澱粉に油脂、油脂の類縁物、脂肪酸およびその誘導体の1種または2種以上の混合物を添加し、リポキシゲナーゼを作用させた油脂加工澱粉を用いたバッター(例えば、特許文献7参照)、澱粉100重量部に対して、油脂0.05〜10重量部および蛋白質0.5〜10重量部を加水することなく配合してなる混合物を加熱する際に、該混合物の加熱開始時の水分含量および加熱終了時の水分含量の範囲を定めた加工澱粉を用いた衣液(例えば、特許文献8参照)、油脂加工アセチル化澱粉を含有する揚げ物用打ち粉(例えば、特許文献9参照)、澱粉100重量部に対して、食用油脂0.05〜10重量部および蛋白質0.5〜10重量部を加水することなく混合してなる組成物を加熱し、該組成物の温度が110℃に達してから、さらに110〜150℃で20分以上2時間未満処理をした後、調湿して水分含量を8〜18重量%とした加工澱粉を用いた衣液(例えば、特許文献10参照)、などが知られている。
一方、油脂加工澱粉の製造方法に関しては、油脂、その類縁物質、脂肪酸またはその誘導体の中1種または2種以上を澱粉粒に接触吸着せしめ、通常の乾燥をおこなった後に更に、30〜150℃の熱源を与えて熟成することを特徴とする加工澱粉の製造法(例えば、特許文献11参照)、油脂を澱粉粒に接触、固着せしめ、通常の乾燥を行った後に更に、30〜140℃の熱源を与えて熟成する油脂加工澱粉において、脂肪酸のモノグリセリドを付着油脂量に対し0.5〜3.5倍併用することを特徴とする油脂加工澱粉の製造法(例えば、特許文献12参照)、生大豆粉と水を混合しpH6.0〜7.5の範囲に調整したものを澱粉に加え、120〜140℃の温度で乾燥・加熱を行い、120℃以上に到達後2時間以上処理した後、水分を12〜18%に調湿することを特徴とする加工澱粉の製造法(例えば、特許文献13参照)などが知られている。
特開昭61−285956号公報 特開昭62−14756号公報 特開昭62−195259号公報 特開平1−320962号公報 特開平6−169716号公報 特開平7−184598号公報 特開2000−106832号公報 特開2002−218920号公報 特開2002−291431号公報 特開2003−235475号公報 特公昭45−32898号公報 特公昭56−46387号公報 特開平4−51854号公報
しかしながらこれらの技術によってもそれぞれ一長一短があり、種と衣との結着性を改善することを満足させ得るものではない。本発明は、それを用いることにより種との結着性に優れた揚げ物用衣材が得られる油脂加工澱粉、および該油脂加工澱粉を用いた揚げ物用衣材を提供するためになされたものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを澱粉に含有せしめた油脂加工澱粉を用いることにより、種との結着性に優れた揚げ物用衣材が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、次の1〜4からなっている。
1.澱粉に油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有させてなることを特徴とする油脂加工澱粉。
2.グリセリン有機酸脂肪酸エステルの有機酸がジアセチル酒石酸であることを特徴とする、前記1に記載の油脂加工澱粉。
3.前記1または2に記載の油脂加工澱粉を含むことを特徴とする揚げ物用衣材。
4.前記3記載の揚げ物用衣材を用いた揚げ物。
本発明の油脂加工澱粉は、種〔畜肉類(例えば牛、豚、鹿など)、魚肉類(例えば鯵、キス、サバ、エビ、イカなど)、鳥肉類(例えば鶏、鴨など。)、野菜類(例えばサツマイモ、カボチャ、シシトウ、馬鈴薯など。)、加工品類(例えばハム、ソーセージ、カマボコなど。)、コロッケ類などとの結着性が良好であるので揚げ物用衣材として利用できる。
本発明の油脂加工澱粉を含む揚げ物用衣材を、打ち粉として、また特にバッター液として用いた場合、種と衣との結着性が良好な揚げ物が得られる。
本発明は、第一に油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有することを特徴とする油脂加工澱粉に関するものである。
本発明になる油脂加工澱粉は、澱粉に油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを添加し、均一に混合した後必要に応じて乾燥し、さらに加熱・熟成することにより得られる。
該油脂加工澱粉に使用する原料澱粉としては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉、エンドウ豆澱粉、およびこれらにエステル化処理(例えばリン酸エステル化澱粉など。)、エーテル化処理((例えばエーテル化澱粉など。))、架橋処理(例えばリン酸架橋澱粉など。)、酸化処理(酸化澱粉、リン酸化澱粉)、酸処理(例えば酢酸澱粉など。)、湿熱処理などの処理を単一でまたは組み合わせて施した加工澱粉などが挙げられ、これらを単独でまたは併用して使用でき、好ましくは架橋タピオカ澱粉である。
本発明において澱粉に添加する油脂としては、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えば大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油、ハイオレイックヒマワリ油などの植物油脂や牛脂、ラード、魚油、乳脂などの動物油脂、さらにこれら動植物油脂を分別、水素添加、エステル交換したもの、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)などが挙げられ、好ましくは大豆サラダ油、サフラワー油、ヒマワリ油、コーンサラダ油などである。また、上記食用油脂の一部または全部の代替品として油分を多く含む穀粉、例えば生大豆粉などを用いてもよい。
本発明において澱粉に添加するグリセリン有機酸脂肪酸エステルとしては、例えば食品用乳化剤として『食品添加物公定書第7版』に記載されている、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらグリセリン有機酸脂肪酸エステルは、単独で、または2種以上の混合物として用いることができ、好ましくはグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルである。
澱粉に対する油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルの添加量は、油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルの合計量が、対澱粉0.003〜10質量%、好ましくは0.05〜5.0質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。また油脂とグリセリン有機酸脂肪酸エステルとの割合は1/99〜99/1(W/W)の範囲を示すことができ、好ましくは60/40〜20/80(W/W)の範囲である。
本発明において、澱粉に油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを添加する方法としては、例えば油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルをそれぞれ別々に澱粉に添加する方法、またはあらかじめ油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを混合し、必要であれば加熱・溶融した油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルの混合物(以下、油脂組成物という。)を澱粉に添加する方法などが挙げられ、好ましくは後者の方法である。例えば、油脂とグリセリン有機酸脂肪酸エステルを1/99〜99/1(W/W)、好ましくは60/40〜20/80(W/W)の割合で混合し、あるいはグリセリン有機酸脂肪酸エステルが油脂に溶融するまで加熱(50〜90℃)した油脂組成物は、澱粉に対し0.003〜10質量%、好ましくは0.05〜5.0質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%となるよう添加されるのが好ましい。油脂組成物が添加された澱粉は、混合、乾燥される。
澱粉と該油脂組成物とを混合および乾燥する方法は特に限定されないが、例えば平衡水分を保った澱粉、または水分約20〜40%に調湿した澱粉を流動層乾燥機中で流動状態とし、そこに該油脂組成物を噴霧し乾燥する方法、水分約50%程度に調製した澱粉のケーキに該油脂組成物を添加し、混合・分散させた後、例えば棚式通風乾燥機などを用いて乾燥し粉末を得る方法、水分約60〜70%に調製したスラリー状の澱粉に該油脂組成物を添加・混合し、その後噴霧乾燥機あるいはドラムドライヤーなどを用いて乾燥し粉末を得る方法などが挙げられる。いずれにせよ、澱粉粒が破壊されない状態で澱粉の表面に該油脂組成物が吸着される方法であれば、どのような方法であっても良い。
該油脂組成物が吸着された澱粉は、次に加熱・熟成が行われる。熟成は乾燥工程をそのまま延長・継続してもよいが、高温で処理することにより比較的短時間で熟成が終了する。熟成は、通常例えば棚段式通風乾燥機を用いて、約30〜180℃、好ましくは約30〜140℃で行われる。120℃以上で行う場合には、澱粉がデキストリン化しないよう注意が必要である。熟成に要する時間は、澱粉に対する該油脂組成物の吸着量、熟成温度、熟成装置の熱効率により異なり特定できないが、例えば水分35質量%に調湿したコーンスターチに該油脂組成物を約0.1%添加・混合し、室温で20時間乾燥した澱粉では、60℃で約5時間、あるいは140℃で約1時間熟成される。
加熱・熟成終了後、得られた加工澱粉は水分約8〜18%、好ましくは約10〜14%にまで調湿され、製品とされる。
前記油脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどの食品用乳化剤を加えることができる。ここで、グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの外、グリセリン酢酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが含まれる。またレシチンには、分別レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンなどが含まれる。さらに、必要に応じてトコフェロール、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、茶抽出物などの酸化防止剤を加えてもよい。
本発明は、第二に上記油脂加工澱粉を含む揚げ物用衣材に関するものである。
本発明になる油脂加工澱粉は、単独で揚げ物用衣材になるが、必要に応じて、通常揚げ物食品の衣材に使用されている材料を配合して揚げ物用衣材のためのプレミックスとすることもできる。通常揚げ物食品の衣材に使用される材料としては、例えば小麦粉、コーンフラワー、米粉などの穀粉、前述の地下澱粉以外の澱粉、α化澱粉、澱粉分解物、還元澱粉分解物、粉末油脂、大豆蛋白、卵白粉、卵黄粉などの蛋白質、カゼインナトリウム、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、グアーガム、カラギナンなどの増粘安定剤、ベーキングパウダーなどの膨張剤、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤を含む粉末起泡剤、βカロチン、クチナシ黄色素などの色素類、みりん、醤油、グルタミン酸ナトリウム、核酸系調味料、香辛料などが挙げられ、これらは必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて適宜用いることができる。
本発明の揚げ物用衣材は、例えば打ち粉、まぶし粉、から揚げ粉、バッター液として、から揚げ、天ぷら、カツおよびフライなどの衣に用いることができる。
ここで揚げ物とは、食用油脂を用いて加熱調理される食品を指し、例えば、具体的にはイカ、エビ、キスなどの魚介類の天ぷら、サツマイモ、カボチャ、シシトウなどの野菜類の天ぷら、トンカツ、チキンカツ、メンチカツ、ハムカツ、ソーセージカツなどのカツ類、エビフライ、イカフライ、鯵フライなどの魚介類のフライ、サツマイモ、カボチャ、シシトウ、馬鈴薯などの野菜類のフライ、コロッケ、鶏の空揚げ、キス、鯵、サバなどの魚介類の空揚げなどが挙げられる。本発明の揚げ物用衣材が天ぷらに用いられる場合、本発明の揚げ物用衣材は、打ち粉またはまぶし粉として種に付けられ、その後バッター液を付けられるか、本発明の揚げ物用衣材を適量の水と混合し直接バッター液とされるのが好ましい。またから揚げに用いる場合は、種に本発明の揚げ物用衣材をまぶせばよい。カツやフライに用いる場合は、種に本発明の揚げ物用衣材を打ち粉またはまぶし粉として用いた後卵またはバッター液に浸すか、本発明の揚げ物用衣材を適量の水と混合し直接バッター液として種を浸し、次いでパン粉をやや押しながらまぶすのが好ましい。これら加熱調理前の天ぷら、から揚げ、カツおよびフライなどは、食用油脂を用いて加熱調理される。本発明の揚げ物は、種と衣との結着性が極めて良好な揚げ物とされる。また、加熱調理前の天ぷら、から揚げ、カツおよびフライなどは、冷凍保存食品として冷凍保存することもできる。かかる冷凍保存食品は、解凍することなく加熱調理することができる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔参考例1〕 リン酸架橋タピオカ澱粉の作製
水180Lにトリメタリン酸ナトリウム2kg、炭酸ナトリウム3kgを溶解し、タピオカ澱粉100kgを懸濁させた後、さらに炭酸ナトリウムを加えpHを10.2に調整した。約50℃で約6時間攪拌下反応させた後、500Lの水を加えて希釈し、5質量%塩酸溶液でpH7.0に中和した。続いて、脱水、水洗、乾燥し、リン酸架橋タピオカ澱粉約100kgを得た。
〔実施例1〕 油脂加工澱粉の作製
サフラワー油50質量%とグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムW−10;理研ビタミン社)50質量%からなる油脂組成物を約60℃に加温・溶解し、水分12.5%に調湿した参考例1で得たリン酸架橋タピオカ澱粉100質量部に対して0.5質量部添加し、高速攪拌混合機(レーディゲミキサーFM130D;松坂技研社)で10分間混合した。得られた混合物をトレーに広げて機内温度約60℃の棚段式通風乾燥機で水分約12.0%まで乾燥し、乾燥物を粉砕し、粉末をポリ袋に詰めて約60℃で2週間熟成し、油脂加工澱粉(本発明品1)を得た。
〔実施例2〕
実施例1のグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルをグリセリンコハク酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムB−10;理研ビタミン社)に替えて、以下同様に処理し油脂加工澱粉(本発明品2)を得た。
〔実施例3〕
実施例1のグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルをグリセリンクエン酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムK−30;理研ビタミン社)に替えて、以下同様に処理し油脂加工澱粉(本発明品3)を得た。
〔比較例1〕
実施例1のグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルをグリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーOL−100H;モノエステル含量約90質量%以上、理研ビタミン社)に替えて、以下同様に処理し油脂加工澱粉(比較品1)を得た。
〔比較例2〕
実施例1のグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルをグリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーOL−200V;モノエステル含量約55質量%、理研ビタミン社)に替えて、以下同様に処理し油脂加工澱粉(比較品2)を得た。
〔比較例3〕
実施例1のグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルをレシチン(商品名:レシオンP;高純度品、理研ビタミン社)に替えて、以下同様に処理し油脂加工澱粉(比較品3)を得た。
〔実施例4〕
1) 油脂加工澱粉(本発明品1〜3、および比較品1〜3)98.6質量部、食塩0.7質量部、キサンタンガム(商品名:ロジゲル;ローディア社)0.5質量部、旨味調味料0.2質量部をあらかじめ粉体混合した各衣材100質量部に、約10℃の冷水200質量部を加え、ミキサー(型式:MX−X103;松下電器社)を用いて5分間攪拌・混合し、バッター液を調製した。
2)−18℃保存のトンカツ用豚ロース肉(重さ:約40g、厚さ:約10mm)を冷凍庫から取り出し、室温で約30分間解凍した後肉の表面全体にバッター液を付け、さらにパン粉を付け、トンカツとした。トンカツを−18℃の冷凍庫に戻し1週間冷凍保存した。
3)冷凍したトンカツを、冷凍状態のまま約170〜175℃に加熱したハイオレイックサフラワー油中で約6分間揚げ、その後約3分間室温で油切りをした。加熱調理済みのトンカツを中心部で2等分し、その断面の種と衣との結着状態を観察し、以下の採点基準による5段階で評価した。
結着性の採点基準:
5 種と衣のほぼ全面が結着している。
4 種と衣の約3/4の部分が結着している。
3 種と衣の約1/2の部分が結着している。
2 種と衣の約1/4の部分が結着している。
1 種と衣のほとんどの部分が剥がれている。
試験は、一つの試験区で4検体行い、結果は4検体の評価の合計点とした。結果を表1に示す。本発明品は、比較品に比べ結着状態が良好であった。
Figure 2005185122
〔実施例5〕
1)市販のロースハム(塊)を厚さ約10mmにスライスし、油脂加工澱粉(本発明品1〜3、および比較品1〜3)80質量%、卵白粉20質量%からなる打ち粉をスライスロースハムの表面全体にまぶした。
2)市販バッターミックス(商品名:T−483;理研ビタミン社)100質量部に、約15℃の冷水300質量部を加え、家庭用ミキサー(型式:MX−X103;松下電器社)を用いて5分間攪拌・混合し、バッター液を調製した。
3)打ち粉をまぶしたスライスロースハムの表面全体にバッター液を付け、さらにパン粉を付けハムカツとした。このハムカツは−18℃の冷凍庫で1週間冷凍保存した。
4)冷凍したハムカツを、冷凍状態のまま約170〜175℃に加熱したハイオレイック菜種油中で約6分間揚げ、その後約3分間室温で油切りをした。加熱調理済みのハムカツを中心部で2等分し、その断面の種と衣との結着状態を観察し、試験例1に準じて5段階で評価した。
試験は、一つの試験区で4検体行い、結果は4検体の評価の合計点とした。結果を表2に示す。本発明品は、比較品に比べ結着状態が良好であった。
Figure 2005185122
本発明の油脂加工澱粉は、打ち粉やバッター液として用いた場合、種と衣との結着性が良好な揚げ物が得られるので、揚げ物用衣材として有用である。

Claims (4)

  1. 澱粉に油脂およびグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有させてなることを特徴とする油脂加工澱粉。
  2. グリセリン有機酸脂肪酸エステルの有機酸がジアセチル酒石酸であることを特徴とする、請求項1に記載の油脂加工澱粉。
  3. 請求項1または2に記載の油脂加工澱粉を含むことを特徴とする揚げ物用衣材。
  4. 請求項3記載の揚げ物用衣材を用いた揚げ物。

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