JP4382347B2 - ノンフライ食品用衣材、及びそれを用いたノンフライ食品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーブンや電子レンジで加熱調理するのに適したノンフライ食品用の衣材に関し、更に詳しくは、フライ食品と同様な外観及び食感を有する、ノンフライ食品用衣材及びそれを用いたノンフライ食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、肉、魚、野菜等を具材とするフライ食品は、小麦粉や専用ミックス粉を具材にまぶした後、油で揚げて調理されている。しかし、油で揚げるために、油ハネ、引火の危険性、油の後始末等の問題があり、少量をいつでも手軽に作れるという簡便性を欠いていた。
【0003】
上記の問題点を解決するため、オーブンや電子レンジで加熱調理を行なうだけで、フライ食品と同様な外観及び食感を有するノンフライ食品が知られている。
【0004】
このようなノンフライ食品用の衣材として、例えば、特開昭63−233751号公報には、難水和性粒状物質と、高蛋白質粉末と、澱粉及び/又は澱粉類と、着色料とを含有する唐揚げ用ミックス粉が開示されている。
【0005】
また、特開平8−203号公報には、澱粉又は殻粉100重量部に対し、水溶性成分40重量部〜200重量部を配合し、澱粉又は殻粉と水溶性成分の合計100重量部に対し、食用油脂15重量部〜70重量部を添加してなる揚げ物用衣粉が開示されている。
【0006】
更に、特開平9−28339号公報には、加熱媒体としての油脂を用いることなく加熱処理するための唐揚げ粉ミックスであって、該ミックスの全量に対して8〜30重量%の粉末醤油、10〜50重量%のカゼイン、及び15〜50重量%のα化穀粉又はα化澱粉が含有されてなる唐揚げ粉ミックスが開示されている。
【0007】
一方、油で揚げるフライ用の衣材として、例えば、特開昭62−228243号公報には、米粉、コーンフラワー、骨粉、卵殻の粉末、食用カルシウム粉末の中から選ばれた1種又は2種以上を20〜99重量%、ガム類を0.01〜2重量%、α化澱粉を0.1〜20重量%の範囲で含んでいるフライ下地粉が開示されている。
【0008】
また、特開平4−131048号公報には、O/W/Oの二重乳化構造を有する油脂の粉末を配合するオープンフライ用バッターミックスが開示されている。
【0009】
更に、特許第3072093号公報には、馬鈴薯澱粉を主体とし、馬鈴薯澱粉の95重量%以上が粒径20μm以上であるから揚げ粉が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−233751号公報
【特許文献2】
特開平8−203号公報
【特許文献3】
特開平9−28339号公報
【特許文献4】
特開昭62−228243号公報
【特許文献5】
特開平4−131048号公報
【特許文献6】
特許第3072093号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術のうち、特開昭63−233751号公報、特開平8−203号公報、特開平9−28339号公報に記載されているような衣材においては、油を使用せずに、フライ様の食感をある程度得ることができるものの、クリスピーでサクサクとした食感が不充分であり、この食感の経時的な低下も大きいという問題があった。また、中身の具材のジューシー感も不充分であった。
【0012】
一方、特開昭62−228243号公報、特開平4−131048号公報、特許第3072093号公報には、衣材として特定構造の油脂を用いること、α化澱粉を配合すること、特定の粒径の澱粉を用いること等が開示されているが、これらはすべて、油で揚げるフライ用の衣材に関する配合であって、オーブンや電子レンジ等で加熱調理できる、揚げ油を使用しないノンフライ食品への適用については何ら開示されていない。
【0013】
したがって、本発明の目的は、揚げ油を使用せずに、オーブンや電子レンジ等で加熱調理した後の、衣の食感がクリスピーでサクサク感があり、中身の具材のジューシー感があり、更に、この食感の経時的な低下が少ないノンフライ食品用衣材、及びそれを用いたノンフライ食品の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によるノンフライ食品用衣材は、α化度が40〜95%であり、かつ、粒度が8メッシュより細かく、120メッシュより粗い澱粉と、油脂とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明のノンフライ食品用衣材においては、前記衣材全体に対する、前記澱粉の含有量が30〜90質量%であることが好ましい。また、前記衣材全体に対する、前記油脂の含有量が10〜50質量%であることが好ましい。更に、前記澱粉がアセチル化、エーテル化、ハイドロプロピル化のいずれかの処理をされていることが好ましい。更にまた、前記澱粉が8メッシュより細かいものであり、100メッシュより粗い粒度のものが25質量%以上であることが好ましい。更にまた、粘着性物質を、前記衣材に対して0〜5.0質量%含むことが好ましい。更にまた、前記粘着性物質が、寒天、コラーゲン、ペクチン、グアガム、ジェランガムより選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。更にまた、前記澱粉が、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
本発明のノンフライ食品用衣材によれば、粒度が8メッシュより細かく、120メッシュより粗い粒度の澱粉を用いたので、衣材自身のクリスピーな食感を得ることができる。更に、この粒度の澱粉のα化度を40〜95%とし、油脂を添加することによって、具材からの水分の蒸発を防ぎ、具材のジューシーな食感を得ることができ、冷凍保存後に電子レンジ、オーブン等で再加熱しても、クリスピーな食感を長時間維持し、調理後に放置した場合のサクサク感の低下を防止できる。また、上記の粘着性物質を配合した場合には、衣材の具材への付着を容易にして、ノンフライ食品の製造効率を向上することができる。
【0017】
一方、本発明のノンフライ食品の製造方法は、上記のノンフライ食品用衣材を具材に付着させる工程と、前記付着後の具材をオーブン及び/又はスチームで熱処理する1次加熱工程と、更に、前記1次加熱工程後の1次製品を冷凍保存した後、オーブン又は電子レンジで熱処理する2次加熱工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の製造方法においては、前記1次加熱工程におけるオーブンによる熱処理温度が130〜250℃であることが好ましい。また、前記1次加熱工程におけるスチームによる熱処理温度が60〜105℃であることが好ましい。更に、前記2次加熱工程は、熱風循環式オーブンを用いて、風速3.0m/秒以上で温度が150℃以上である熱風を吹き付けながら行なうことが好ましい。
【0019】
本発明のノンフライ食品用衣材の製造方法によれば、あらかじめオーブン及び/又はスチームでの予備加熱を行っているので、2次加熱工程を短縮でき、オーブン又は電子レンジでの加熱を短時間とすることができるので、食する直前の調理時間を短縮することができる。
【0020】
また、1次加熱工程と2次加熱工程の間に冷凍保存を行っているので、1次加熱製品を長期間保存でき、必要な量だけを食する直前に2次加熱することができる。また、その場合においても、2次加熱後の衣材のクリスピー感や、具材にジューシー感を損なうことがない。更に、2次加熱工程において熱風循環式オーブンを用いて、上記条件で2次加熱する場合には、衣材のクリスピー感や具材のジューシー感をより向上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。本発明のノンフライ食品用衣材は、α化度が40〜95%であり、かつ、粒度が8メッシュより細かく、120メッシュより粗い澱粉と、油脂とを含むことを特徴としている。
【0022】
澱粉の種類としては、特に限定されず、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等の澱粉類や、それらの化工澱粉をα化処理したものが挙げられる。α化処理の方法としては特に限定されず、エクストルーダ、ドラムドライヤー、パドル処理、気流乾燥などの公知の方法が採用できる。また、α化度の測定は、β−アミラーゼ・プルラナーゼ法によって測定される。
【0023】
上記澱粉のうち、衣材のクリスピー感に優れる点から、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、タピオカ澱粉を用いることがより好ましい。
【0024】
澱粉の粒度としては、8メッシュより細かく、120メッシュより粗いものを用いる。更に、前記澱粉が8メッシュより細かいものであり、100メッシュより粗い粒度が25質量%以上であることがより好ましい。澱粉の粒度が120メッシュより細かいと、衣材のクリスピー感が不充分であり、食感が低下するので好ましくない。また、衣が薄くなるので、具材からの水分の蒸散が多くなり、具材のジューシー感が低下するので好ましくない。
【0025】
また、澱粉のα化度は40〜95%、好ましくは45〜90%、より好ましくは55〜90%である。α化度が10%未満では、戻りが多く、クリスピーな食感を長時間維持できず、調理後に放置した場合のサクサク感が低下して油っぽくなりやすいので好ましくない。また、95%を超えると、衣材が硬くなってしまい、具材への付着効率が低下するので好ましくない。
【0026】
澱粉の含有量としては、前記衣材全体に対して30〜90質量%であることが好ましく、30〜65質量%がより好ましい。含有量が30質量%未満では、具材からの水分の蒸散を抑えられず、具材のジューシー感が乏しいものとなるので好ましくなく、90質量%を超えると、衣材が硬くなってクリスピー感が失われ、ガリガリとした食感となるので好ましくない。
【0027】
油脂としては食用油脂であれば特に限定されず、固形油脂、液状油脂、ショートニング等を用いることができる。
【0028】
具体的には、例えば、ヘット、ラード、バター等の固形油脂、菜種油、大豆油、パーム油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、ヒマワリ油、落花生油、グレープシード油等の植物油脂や魚鯨油等の液状油脂、又は油脂等とグリセリンとをエステル交換反応させるかあるいは脂肪酸とグリセリンとの混合物にリパーゼを作用させて得られたエステルを含む液状油脂を、水素添加して得られる固形油脂等が挙げられるが、作業性の点から固形油脂が好ましく、特に粉末油脂を用いることが好ましい。
【0029】
油脂の含有量としては、前記衣材全体に対して10〜50質量%であることが好ましく、15〜35質量%がより好ましい。含有量が10質量%未満では充分なクリスピー感が得られず、衣のへたりも早いものとなるので好ましくなく、50質量%を超えるとかえって弱い衣となり、クリスピー感の欠如、油っぽい食感となるので好ましくない。
【0030】
本発明においては、上記の澱粉と油脂以外に、粘着性物質を含むことが好ましい。これにより、衣材の具材への付着を容易にして、ノンフライ食品の製造効率を向上することができる。
【0031】
このような粘着性物質としては、寒天、コラーゲン、ペクチン、グアガム、ジェランガムより選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。また、粘着性物質は、粉末状で添加してもよく、澱粉製造工程中に溶かして添加してもよい。また、同様に油脂や粉末油脂の製造工程中に添加してもよい。また、粘着性物質の衣材に対する含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
【0032】
また、本発明のノンフライ食品用衣材には、上記以外の他の成分として、乳化剤、穀粉類、糖類、調味料、香辛料等の、一般の衣材に使用されている成分を含んでいてもよい。
【0033】
例えば、食品に添加可能な乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等を含むグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、大豆リン脂質、卵黄リン脂質及びこれらリン脂質を酵素で処理したいわゆる酵素処理レシチン等が例示できる。
【0034】
殻粉類としては、小麦粉、米粉、コーンフラワー、ライ麦粉、エンバク粉、そば粉や、粟、黍、稗等の粉末等が例示できる。
【0035】
糖類としては、グルコース、フラクトース、キシロース等の単糖類、トレハロース、ショ糖(砂糖)、マルトース、ラクトース、パラチノース等の二糖類、オリゴ糖、転化糖等の糖類、糖アルコールが例示できる。
【0036】
調味料としては、食塩、グルタミン酸ナトリウム、粉末醤油、畜肉、魚介類及び植物のエキス粉末、アミノ酸、有機酸及びその塩、核酸及びその塩が例示できる。
【0037】
その他、炭酸水素ナトリウム等の膨脹剤、大豆粉、緑豆粉、小豆粉等の豆粉末、澱粉加水分解物(デキストリン)、パン粉、クラッカー粉末、ナッツ粉砕物、卵黄粉末、卵白粉末、全卵粉末等の卵粉末、大豆蛋白質、エンドウ豆蛋白質、乳蛋白質、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー等の乳製品、卵殻粉末、貝殻粉末、香辛料抽出物、着色料、ビタミン、ミネラル、野菜、海藻、果実の砕片又は粉末等を適宜含むことができる。
【0038】
次に、上記のノンフライ食品用衣材を用いた、本発明のノンフライ食品の製造方法について説明する。
【0039】
上記の衣材は、粉末状のまま用いられる、いわゆるまぶしタイプの衣材として用いられ、例えば、鳥獣肉類、魚介類、野菜類等の具材に直接付着させた後、加熱調理することができる。また、衣材を付着させた具材を、そのまま又は1次加熱処理後に冷凍保存して食する際に加熱調理する、冷凍ノンフライ食品としてもよい。
【0040】
この場合、上記のノンフライ食品用衣材を具材に付着させる工程と、前記付着後の具材をオーブン及び/又はスチームで熱処理する1次加熱工程と、この1次加熱工程後の1次製品を冷凍して保存する工程と、オーブン又は電子レンジで熱処理する2次加熱工程とを含む方法が好ましく用いられる。
【0041】
1次加熱工程としては、オーブン及び/又はスチームで行なうことが好ましく、両者を併用してスチーム処理した後にオーブン処理を行なうことがより好ましい。このような処理は、公知のオーブン装置、スチーム装置を用いることができる。この場合、オーブンによる熱処理温度は130〜250℃が好ましく、また、スチームによる熱処理温度は60〜105℃が好ましい。
【0042】
なお、本発明においては、この冷凍保存の工程は必ずしも行なわなくてもよいが、1次加熱工程後の1次製品を冷凍する場合、−20〜−30℃にて急速凍結し、−18〜−25℃で冷凍保存することが好ましい。
【0043】
2次加熱工程としては、オーブン又は電子レンジを用いることが好ましく、特に、熱処理時に熱風を循環可能なオーブンを用い、前記熱風の風速が3.0m/秒以上であって、前記熱風の温度が150℃以上の条件で加熱することが好ましい。このようなオーブンとしては、コンベクションオーブンと呼ばれる公知のオーブン装置を用いることができる。これにより、衣の食感をよりクリスピーな状態に維持することができる。
【0044】
このようにして得られる本発明のノンフライ食品は、衣材自身のクリスピーな食感を得ることができるとともに、具材からの水分の蒸発を防ぎ、具材のジューシーな食感を得ることができる。また、冷凍保存後に電子レンジ、オーブン等で再加熱しても、クリスピーな食感を長時間維持し、調理後に放置した場合のサクサク感の低下を防止できる。
【0045】
なお、本発明の衣材は、通常のフライ用の衣材として用いることも可能ではあるが、本発明においては、オーブンによるロースティングや、電子レンジ、スチーム等の熱処理手段によって、油で揚げることなく加熱調理できる衣材として使用される。
【0046】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、特に断りのない限り、以下の実施例及び比較例における配合量はすべて質量部単位である。
【0047】
試験例1
ヒラメの切り身40gに、表1に示す配合の衣材をまぶした後、−25℃にて急速凍結し、−18℃にて1ヶ月間保存した。その後、オーブンを用いて185℃で7分間の熱処理を行い、実施例1〜3、比較例1、2のノンフライ食品を得た。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例及び比較例のノンフライ食品について、(イ)オーブン熱処理5分後、(ロ)80℃のウォーマーで30分処理後、の2条件で、熟練した10名のパネラーによる官能による食感の評価を行った。
【0050】
評価は、表2に示すような5段階の点数評価とし、衣、具材のそれぞれについて行ない10名の平均値として表した。その結果を表3にまとめて示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
表3に示されるように、実施例1〜3は、比較例1、2に比べて衣、具材共に点数が高く、衣のクリスピー感、具材のジューシー感共に優れていることがわかる。これに対し、澱粉の粒度が本発明の規定範囲以下である比較例1、油脂を含有しない比較例2においては、オーブン熱処理5分後の点数が3.0と低く、更に80℃のウォーマーで30分処理後には2点以下となっていることから、経時的な食感の劣化も著しいことがわかる。
【0054】
試験例2
じゃがいもの切片50gを5%の塩水に浸し、表4に示す配合の衣材をまぶした後、表5に示す条件で、スチーム及び/又はオーブンによる1次加熱工程を行った後、−30℃にて急速凍結し、−20℃にて50日間保存した。その後、表5に示す条件で、オーブン又は電子レンジ(500W)による2次加熱工程を行ない、実施例4〜11のノンフライ食品を得た。なお、実施例10、11は、1次加熱工程として、スチーム処理後にオーブン処理を併用したものである。
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
実施例のノンフライ食品について、2次加熱工程の5分後に、実施例1と同様の方法で食感の評価を行った。その結果を表6にまとめて示す。
【0058】
【表6】
【0059】
表6に示されるように、実施例4〜11は、衣、具材、すべて平均3点以上で点数が高く、特に、1次加熱工程後に冷凍保存して2次加熱工程を行った実施例6〜11においては、衣のクリスピー感、具材のジューシー感共に優れていることがわかる。また、1次加熱工程としてスチーム処理後にオーブン処理を併用した実施例10、11においては更に点数が高く、衣、具材の食感がより優れていることがわかる。
【0060】
試験例3
鶏肉100gに、表7に示す配合の衣材をまぶした後、−25℃にて急速凍結し、−20℃にて1ヶ月間保存した。その後、オーブンを用いて180℃で15分間の熱処理を行ない、実施例12、比較例3、4のノンフライ食品を得た。
【0061】
【表7】
【0062】
実施例及び比較例のノンフライ食品について、70℃のウォーマーで20分処理後に、実施例1と同様の方法で食感の評価を行った。その結果を表8にまとめて示す。
【0063】
【表8】
【0064】
表8に示されるように、実施例12は、比較例1、2に比べて衣、具材共に点数が高く、衣のクリスピー感、具材のジューシー感共に優れていることがわかる。これに対し、澱粉のα化度が本発明の規定範囲未満である比較例3、規定範囲を超える比較例4においては、点数が2点台と低く、食感が劣ることがわかる。
【0065】
試験例4
骨付き豚肉110gに、表9に示す配合の衣材をまぶした後、95〜100℃で5分間蒸煮し、その後、オーブンを用いて180℃で12分間の1次加熱工程を行った後、−25℃にて急速凍結し、−20℃にて1ヶ月間保存した。その後、オーブンを用いて、200℃で12分間の2次加熱工程を行ない、実施例13〜16、比較例5のノンフライ食品を得た。
【0066】
【表9】
【0067】
実施例及び比較例のノンフライ食品について、イ)2次加熱工程後に15分間室温放置、ロ)60℃のウォーマーで45分処理後、の2条件で、実施例1と同様の方法で食感の評価を行った。その結果を表10にまとめて示す。
【0068】
【表10】
【0069】
表10に示されるように、実施例13〜16は、比較例5に比べて衣、具材共に点数が高く、衣のクリスピー感、具材のジューシー感共に優れていることがわかる。また、澱粉の含有量が本発明の好ましい範囲未満である実施例14、15、油脂の含有量が本発明の好ましい範囲を超える実施例16においては、点数が3点台と実施例13に比べてやや低いことがわかる。一方、油脂を全く含有しない比較例5においては点数が1点台であり、実施例13〜16にくらべて衣、具材共に食感が著しく劣ることがわかる。
【0070】
試験例5
タコの切り身25gに、表11に示す配合の衣材をまぶした後、99℃で3分間のスチーム処理により1次加熱工程を行った後、−30℃にて急速凍結し、−20℃にて1ヶ月間保存した。その後、オーブンを用いて、220℃で5分間の2次加熱工程を行ない、実施例17〜19のノンフライ食品を得た。
【0071】
【表11】
【0072】
実施例17〜19のノンフライ食品について、常温30分間放置後に、実施例1と同様の方法で食感の評価を行った。その結果を表12にまとめて示す。
【0073】
【表12】
【0074】
表12に示されるように、実施例17〜19は衣、具材共に点数が高く、衣のクリスピー感、具材のジューシー感共に優れていることがわかる。特に、衣の食感は、アセチル化澱粉の配合比率が高まるにつれて点数も高くなり、より優れていることがわかる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のノンフライ食品用衣材によれば、粒度が8メッシュより細かく、120メッシュより粗い澱粉を用いたので、衣材自身のクリスピーな食感を得ることができる。更に、この粒度の澱粉のα化度を40〜95%とし、油脂を添加することによって具材のジューシーな食感を得ることができ、冷凍保存後に電子レンジ、オーブン等で再加熱しても、クリスピーな食感を長時間維持し、調理後に放置した場合のカリカリ感の低下を防止できる。
Claims (12)
- α化度が40〜95%であり、かつ、粒度が8メッシュより細かく、120メッシュより粗い澱粉と、油脂とを含むことを特徴とするノンフライ食品用衣材。
- 前記衣材全体に対する、前記澱粉の含有量が30〜90質量%である請求項1に記載のノンフライ食品用衣材。
- 前記衣材全体に対する、前記油脂の含有量が10〜50質量%である請求項1又は2に記載のノンフライ食品用衣材。
- 前記澱粉がアセチル化、エーテル化、ハイドロプロピル化のいずれかの処理をされている請求項1〜3のいずれか1つに記載のノンフライ食品用衣材。
- 前記澱粉が8メッシュより細かいものであり、100メッシュより粗い粒度のものが25質量%以上である請求項1〜4のいずれか1つに記載のノンフライ食品用衣材。
- 更に、粘着性物質を、前記衣材に対して0〜5.0質量%含む請求項1〜5のいずれか1つに記載のノンフライ食品用衣材。
- 前記粘着性物質が、寒天、コラーゲン、ペクチン、グアガム、ジェランガムより選ばれた少なくとも1種である請求項6に記載のノンフライ食品用衣材。
- 前記澱粉が、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1つに記載のノンフライ食品用衣材。
- 請求項1〜8のいずれか1つに記載のノンフライ食品用衣材を具材に付着させる工程と、前記付着後の具材をオーブン及び/又はスチームで熱処理する1次加熱工程と、更に、前記1次加熱工程後の1次製品を冷凍保存した後、オーブン又は電子レンジで熱処理する2次加熱工程とを含むことを特徴とするノンフライ食品の製造方法。
- 前記1次加熱工程におけるオーブンによる熱処理温度が130〜250℃である請求項9記載のノンフライ食品の製造方法。
- 前記1次加熱工程におけるスチームによる熱処理温度が60〜105℃である請求項9に記載のノンフライ食品の製造方法。
- 前記2次加熱工程は、熱風循環式オーブンを用いて、風速3.0m/秒以上で温度が150℃以上である熱風を吹き付けながら行なう請求項9〜11のいずれか1つに記載のノンフライ食品の製造方法。
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