JP3185929B2 - 揚げ物用衣組成物 - Google Patents

揚げ物用衣組成物

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、カラッとした揚げ上がりを有し、食感がソ
フトでサクサクとした歯もろさを有する、フライ食品や
天ぷら等の揚げ物用衣組成物に関する。
〔従来の技術〕
一般に、揚げ物用衣組成物は小麦粉を主成分として構
成せられるものであるが、最近の食生活に於ける嗜好の
多様化に伴ない、小麦粉に各種でんぷんや小麦粉以外の
殻粉を添加したり、さらに必要により食塩、調味料、香
辛料等を加えことが行われている。例えば揚げ上がりが
カラットした揚げ物用衣組成物として、コーンスターチ
を代表とするでんぷんを配合したものが用いられてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来の揚げ物用衣組成物は、衣の付着
性が悪いとか、食感が硬すぎる等の難点があり、未だ充
分満足できるものがないのが実状であった。
〔課題を解決するための手段〕
斯かる実状において、本発明者らは鋭意研究を行った
結果、酢酸でんぷんを含有せしめれば、衣の付着性がよ
く、揚げ上がりがカラッとし、かつ食感がソフトでサク
サクとした歯もろさを有する揚げ物用衣組成物が得られ
ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は置換度0.01〜0.1の酢酸でんぷん
を含有することを特徴とする揚げ物用衣組成物を提供す
るものである。
本発明において含有せられる酢酸でんぷんは、でんぷ
んをアセチル化したものである。
一般にでんぷんは下記式のように、構成単位のブドウ
糖残基が3個の水酸基を有するため、該水酸基のアセチ
ル基による単位当たりの置換(以下置換度という)は理
論上3個まで可能であり、この水酸基のうち1個がアセ
チル基で置換された場合置換度1といい、置換度0.01と
は、ブドウ糖残基100個のうち、1個の水酸基がアセチ
ル基で置換されたことである。
このような酢酸でんぷんは、公知の方法によってでん
ぷんをアセチル化することにより製造される。例えば、
でんぷんの水懸濁液に、アルカリ存在下で無水酢酸また
は酢酸ビニルを反応させることにより得ることができ
る。ここで用いられる原料のでんぷんとしては、食用に
用いられているものであれば特に制限はなく、例えばタ
ピオカでんぷん、バレイショでんぷん、小麦でんぷん等
が用いられる。
本発明の揚げ物用衣組成物は、斯かる酢酸でんぷんを
乾物換算で5〜20重量%、特に10〜15重量%含有せしめ
て構成されるのが好ましい。そして他の成分としては例
えば小麦粉等の殻粉、酢酸でんぷん以外のでんぷん、食
塩、糖類、卵、乳製品、調味料、香辛料、膨張剤、水等
の通常揚げ物用衣組成物に用いられるものが挙げられ、
こえらを目的に応じて適宜配合すればよい。
本発明の揚げ物用衣組成物は、いわゆるミックス等の
粉末状のものだけでなくこれに水に溶いたバッター液の
状態のものも包含する。
〔発明の効果〕
本発明の揚げ物用衣組成物は、衣の付着性も均一で、
揚げ上がりもカラッとして揚げ色がよく、食感もソフト
でサクサクとした歯もろいものが得られ、優れたもので
ある。特に、天ぷらに使用した場合には、揚げ衣の食感
がソフトで歯ざわりが好ましく、また好ましい黄金色の
揚げ色を呈する。また、フライ製品に使用した場合に
は、揚げ色が均一良好で、油切れもよく、パン粉の付着
が均一でほとんど脱落も認められず、ソフトな食感のも
のが得られる。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
なお、本実施例における各試験の評価は、次の基準に
よって採点し、パネラー10名の評価点の平均値で示し
た。
実施例1 下記配合を混合して得た衣液を用い、エビの天ぷらを
製造し、それぞれについて外観、触感、食感及び風味の
評価を行った。その結果を第1表に示す。
尚、対照区としては、無処理の市販コーンスターチを
使用した。
<配合組成> (重量部) 小麦粉(薄力粉) 88 コーンスターチまたは酢酸でんぷん 10 ベーキングパウダー 2 水 180 合計 280.0 <結果> 第1表の結果から明らかな如く、置換度0.01〜0.1の
酢酸でんぷんを使用した場合、外観、食感及び触感は極
めて良好であり優れていた。
また、酢酸でんぷんの置換度によって、得られる天ぷ
らの品質に差はなかった。
実施例2 下記配合を混合して得た衣液を用い、エビの天ぷらを
製造し、それぞれについて外観、触感、食感及び風味の
評価を行った。その結果を第2表に示す。
尚、酢酸でんぷんとしては置換度が0.02であるさくら
(松谷化学株式会社製)を第2表に示す量で示し、対照
区としては、無処理のコーンスターチを10重量部使用し
た。
<配合組成> (重量部) 小麦粉(薄力粉) 第2表に示す コーンスターチまたは酢酸 でんぷん 第2表に示す ベーキングパウダー 2水 180 合計 280 <結果> 第2表の結果よりわかるように、酢酸でんぷんの使用
量は5〜20重量部のいずれにおいても対照区よりも好ま
しい結果を示したが、特に10〜15重量部において優れて
いる。
実施例3 下記配合をホイッパー使用してミキサー(ホパートミ
キサーN−50)で1速で1分間、2速で30秒間混合し、
均一なバッター液を作成し、ポテトコロッケの具にこの
バッター液を付着させ、さらに生パン粉を付着させてポ
テトコロッケを得た。
このポテトコロッテをそのまままたは予備フライし、
−20℃で1日保存したものと、−20℃で2週間保存した
ものについて、喫食前をフライまたはオーブン加熱を行
い、それぞれについて外観、食感及び風味の評価を行っ
た。その結果を第3表に示す。
尚、酢酸でんぷんとしては、置換度が0.02であるさく
ら(松谷化学株式会社製)を使用し、対照区としては無
処理の市販のコーンスターチを使用した。
<バッター液配合組成> (重量部) 小麦粉(薄力粉) 89.5 コーンスターチまたは酢酸でんぷん 10 膨張剤 0.5水 150 合計 250.0 <結果> 第3表より、いずれも経時変化の差は生じていない
が、酢酸でんぷんを使用したものの方が対照区よりも食
感が優れていた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】置換度0.01〜0.1の酢酸でんぷんを含有す
    ることを特徴とする揚げ物用衣組成物。
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