JP2005181848A - 現像剤、トナーおよびキャリア - Google Patents

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Abstract


【課題】 低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れ、キャリア付着およびトナー飛散がなく、かぶりのない高品質の画像を実現することのできる現像剤を提供する。
【解決手段】 本発明である現像剤は、トナーとキャリアとを含み、トナーは、非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られる1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、その体積平均粒子径が、3μm以上10μm以下であり、キャリアは、電気抵抗率R(Ω・cm)が、常用対数値で12以上25以下であり、第1流動性指数が、63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、第2流動性指数が、30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法または静電印刷法などによる画像形成において、静電潜像の現像に用いられる現像剤、トナーおよびキャリアに関する。
レーザープリンタおよび乾式静電複写機などの画像形成装置に利用される電子写真法は、光導電性絶縁層を一様に帯電させる帯電工程と、帯電された光導電性絶縁層を露光し、露光された部分の電荷を消散させることによって、電気的な潜像すなわち静電潜像を形成する露光工程と、形成された静電潜像に現像剤を供給し、現像剤中のトナーと呼ばれる電荷を有する着色された微粉末を付着させることによって、静電潜像を可視像化させる現像工程と、得られた可視像であるトナー画像を記録紙などの転写材に転写させる転写工程と、転写されたトナー画像を、加熱、加圧またはその他の適当な定着法によって転写材に永久定着させる定着工程とを含む。
定着工程では、加熱ローラなどを用いる接触式の加熱定着法、またはオーブンなどを用いる非接触式の加熱定着法などが用いられている。接触式の加熱定着法は、熱効率の良いことが特徴であり、非接触式の加熱定着法に比べ、定着に必要な温度を低くすることができるので、複写機の省エネルギ化および小型化に有効である。しかしながら、接触式の加熱定着法には、定着時に溶融したトナーの一部が加熱ローラに転写され、後続の記録紙などに転写される、いわゆるオフセット現像が発生しやすいという問題がある。
このオフセット現象を防止するための技術としては、従来から、加熱ローラの表面をフッ素系樹脂などの離型性に優れる材料で加工すること、加熱ローラの表面にシリコーンオイルなどの離型剤を塗布することなどが行われている。しかしながら、これらの技術を用いると、定着装置が大きくかつ複雑になり、原価が上昇するとともに、故障しやすくなるので、好ましくない。
このため、トナーに対して、オフセット現象を生じにくく、耐オフセット性に優れることが求められている。また、トナーには、画像形成装置の省エネルギ化の観点から、定着に必要な温度が低く、低温定着性に優れることが求められる。また画像形成装置では、トナーは、現像装置内部に貯留され、現像の際に必要な量だけが使用されるので、長期間にわたって現像装置内部に貯留されることになる。現像装置内部において、トナーが凝集し固まった状態であるブロッキングが発生すると、充分な量のトナーを静電潜像に供給することができず、画像に劣化が生じる。したがって、トナーには、耐ブロッキング性が高く、保存安定性に優れることなども求められる。
トナーには、一般に、着色剤などが分散された結着樹脂を粉砕したものが用いられている。トナーの耐オフセット性を向上させる技術としては、パラフィンワックス、低分子量ポリオレフィンなどをオフセット防止剤としてトナー中に添加する方法が知られている。しかしながら、これらのオフセット防止剤は、添加量が少ないと効果がなく、逆に多すぎると現像剤の劣化が早まるなどの問題がある。また、トナーにワックスを添加する場合に、ワックスを結着樹脂中に均一に分散させるために強く混合すると、樹脂のポリマー鎖が切断されるおそれがあり、樹脂の物性を保持したまま、ワックスを結着樹脂中に均一に分散させることは容易ではない。
そこで、トナーの結着樹脂に特定の樹脂を用いることによって、耐オフセット性を向上させることが試みられている。このようなトナーとしては、たとえば、スチレン−アクリル共重合体に代表されるビニル系樹脂を用いたトナーがある。しかしながら、ビニル系の樹脂を用いたトナーにおいて、耐オフセット性を向上させようとすると、樹脂の軟化点および架橋密度を高くする必要があり、定着可能な温度が上昇し、低温定着性が犠牲となる。逆に、低温定着性を重視すると、耐オフセット性および耐ブロッキング性に支障を来たす。
一方、低温定着性に優れるトナー用の結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が用いられている。ポリエステル樹脂を用いたトナーは、本質的に定着性がよく、非接触式の定着法においても充分に定着されるけれども、オフセット現象が発生し易く、加熱ローラを用いた接触式の定着法に使用することは困難であるという問題がある。この問題に対し、耐オフセット性を向上させるために、3価以上の多価カルボン酸を含む単量体を縮重合して得られるポリエステル樹脂を用いることが提案されている。しかしながら、3価以上の多価カルボン酸を含む単量体を縮重合して得られるポリエステル樹脂を用いたトナーも、依然として実使用に充分な耐オフセット性を有していないものが多く、また実使用に充分な耐オフセット性を有しているものはポリエステル樹脂本来の低温定着性を犠牲にしているばかりでなく、トナー化する際の粉砕性が極めて悪いという問題がある。
そこで、結着樹脂として、定着性に優れるポリエステル樹脂と、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れるビニル系樹脂とを混合して用いる試みがなされている。たとえば、典型的な従来の技術として、特許文献1に記載されている。特許文献1の静電荷像現像用トナーは、スチレン−アクリル系樹脂存在下で、ポリエステル樹脂を重合させることによって得られたスチレン−アクリル系樹脂とポリエステル樹脂との混合樹脂を用いている。他の従来の技術として、特許文献1の技術類似の技術が特許文献2に記載されている。特許文献2の静電荷像現像用トナーは、不飽和ポリエステル樹脂、たとえばメタクリロイル基またはアクリロイル基を有するポリエステル樹脂に、ビニル系モノマーを共重合させたものを用いている。さらに他の従来技術として、特許文献1および2の技術類似の技術が特許文献3に記載されている。特許文献3のトナー用バインダーは、ポリエステル樹脂存在下で、反応性ポリエステルとビニルモノマーとを共重合させたものである。
しかしながら、ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂などのビニル系樹脂とは、本来相溶性が悪いので、特許文献1に記載の技術のように、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とを化学的に結合させずに、単に混合して用いると、混合比率によっては、樹脂およびカーボンブラックなどの内添剤の分散性が悪くなり、トナーの帯電性が不均一になり、形成される画像に地汚れなどの弊害が生じる。さらに、ビニル系樹脂の分子量とポリエステル樹脂の分子量とが大きく異なる場合には、双方の溶融粘度に差異の生じることがあり、分散相の樹脂の分散粒径を細かくすることが困難となるので、トナー中におけるカーボンブラックなどの内添剤の分散性が非常に悪くなり、画像安定性に大きく欠けるという問題が生じる。また、特許文献2または3に記載の技術のように、反応性ポリエステルにビニルモノマーを重合させたものを用いる場合には、結着樹脂のゲル化を防ぐために、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂との組成が制限される。
また、別の従来技術として、特許文献4に記載されている。特許文献4の電子写真用現像剤組成物は、軟化点の異なる2種の樹脂を混合したものを結着樹脂として用いている。特許文献4に記載の技術では、低軟化点の樹脂の割合を増加させることによって、低温定着性は良好になるけれども、耐ブロッキング性に問題が生じる。また低軟化点の樹脂のガラス転移点を高くすることによって、耐ブロッキング性は良好になるけれども、このような樹脂の割合を増加させても、充分な低温定着性を得ることはできない。
このように、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性のすべてを満足するトナーは得られていない。また近年の複写機に対する高速化、小型化および省エネルギ化の要求に対応するために、トナーには、低温定着性および耐オフセット性の更なる改善が求められている。
一方、画像の高画質化の要求に対しては、従来からトナーの小粒径化が提案されている。現像剤としては、トナーとキャリアとで構成される二成分現像剤が一般に用いられている。トナー粒子は、キャリアと撹拌混合される際のキャリアとの摩擦帯電によって帯電される。二成分現像剤では、トナー粒子は、小粒径化に伴い、帯電能力が低下する傾向にあるので、粒径の小さいトナー粒子を充分に帯電させるためには、キャリアを小粒径化し、キャリアの比表面積を大きくする必要がある。しかしながら、小粒径キャリアは、流動性が悪く、トナーとの摩擦帯電を起こしにくいので、小粒径キャリアを用いると、トナーが帯電しにくくなり、トナーの飛散などの問題が生じる。この問題を解決するために、トナーとキャリアとを撹拌混合する際の撹拌強度を高めることが提案されているけれども、撹拌強度を高めると、現像剤への負荷が高まり、キャリア表面にトナーが付着するいわゆるスペントおよびキャリアを被覆するコート膜の剥離などが生じ易くなる。このため、現像剤特性の劣化が助長され、長期に渡って良好な現像剤特性を維持することができないという別の問題が生じる。
また、近年の画像形成装置に対する小型化の要請から、少量の現像剤で、高品質の画像を長期に渡って提供することが求められている。さらに、装置本体の小型化に対応した現像装置の小型化に伴い、現像装置内部の現像剤撹拌部および現像スリーブへの現像剤供給部に、流れ規制板などの部材を充分に配置することが困難になっている。
このようなことから、現像剤としては、トナーとキャリアとを摩擦帯電する撹拌部においては、劣化の起こらない程度の負荷で速やかに摩擦帯電が起こり、現像スリーブ上では、均一でかつ柔らかい穂が形成されるものが求められている。
この要求を満足する現像剤を実現するために、特定のキャリアを用いることが提案されている。たとえば、典型的な従来技術として、特許文献5に記載されている。特許文献5の静電荷像現像用キャリアは、飽和磁化が50emu/g以下である。しかしながら、特許文献5に記載のキャリアのように飽和磁化が弱いだけのキャリアを現像剤に用いると、現像スリーブ内部のマグネットローラに対するキャリアの付着力が不足し、キャリアがトナーと共に記録紙に付着する、いわゆるキャリア付着が生じ、画像濃度が低下するという問題が生じる。
他の従来の技術は、特許文献6に記載されている。特許文献6のエレクトログラフイー用現像剤組成物は、キャリアとして、保磁力が300ガウス以上のフェライトを用いている。しかしながら、保磁力の高いハードフェライトを使用するためには、装置、特にマグネットローラおよび現像スリーブを特別な構造にすることが好ましく、装置の小型化には適さない。またハードフェライトは、前述のように保磁力が高いので、凝集しやすく、搬送性が悪いという欠点を有する。このため、ハードフェライトをキャリアとして用いた現像剤では、トナーとキャリアとが充分に撹拌されず、速やかな摩擦帯電が得られないので、トナーの飛散などの問題が生じる。
さらに他の従来技術は、特許文献7に記載されている。特許文献7の電子写真用キャリアは、磁場1000エルステッドにおける磁化の強さと磁化の強さの立ち上がりとを制御したキャリアである。しかしながら、特許文献7に記載のキャリアを現像剤に用いても、マグネットローラに対するキャリアの付着力を向上させることはできず、記録紙へのキャリア付着を抑えることはできない。また特許文献7に記載のキャリアは、1000エルステッドの磁場中における磁化の強さが30〜150emu/cmと弱いので、キャリアが連なって形成される磁気ブラシの穂は短く、磁気ブラシを現像スリーブの磁極間にまたがって形成することは難しい。このため、磁気ブラシと感光体とを接触させて静電潜像を現像する場合に、磁気ブラシの穂の柔らかさが充分でなく、磁気ブラシの感光体に対する押圧力が高くなるので、キャリア付着を充分に抑えることはできず、高品質の画像を実現することはできない。
また、特許文献5、6および7に記載の技術では、キャリアの特性のみを規定し、トナーの特性については考慮されていないので、前述の要求を充分に満足する現像剤を実現することはできない。すなわち、前述の要求を満足する現像剤を実現するためには、キャリアとトナーとの組合せおよびそれらを組合せて成る現像剤自体の特性などを考慮する必要がある。
たとえば、典型的な従来の技術として、特許文献8に記載されている。特許文献8の二成分現像剤は、現像剤の流動性を一定レベルに制御した現像剤である。特許文献8に記載の技術では、現像剤の搬送性を向上させるために、現像剤の単位重量当たりの流動度を規定しているけれども、実際の装置では、現像剤は決められた容積の中で流動するので、現像剤の流動性を特許文献8に記載の範囲に制御しても充分な効果を得ることはできない。また特許文献8に記載の技術では、キャリアの印加磁場3000エルステッドに対する残留磁化を10emu/g以下に規定し、保磁力を40エルステッド以下に規定しているけれども、キャリアの残留磁化および保磁力が低すぎると、磁気ブラシ上でのキャリアチェーンが疎になり易く、充分な現像能力が得られず、また磁気ブラシ上での現像剤の流動性を制御することが難しくなり、長期に渡って高画質を保持することは困難である。
他の従来の技術は、特許文献9に記載されている。特許文献9の電子写真用現像剤は、特定の樹脂および負電荷制御剤を含有するトナーとシリコーン樹脂で被覆されたキャリアとを用いた現像剤において、キャリア付着およびエッジ効果を防ぐために、キャリア芯材の流動性と見掛け密度とを制御し、キャリア芯材を不均一なコート皮膜で覆ったキャリアを用いている。しかしながら、特許文献9に記載のキャリア芯材を現像剤に用いると、現像剤の現像機内での流動性が悪くなり、トナーとキャリアとが充分に撹拌されず、適当な帯電量を得ることができないので、画像にかぶりおよびトナー飛散などが発生するという問題がある。この問題は、小型の装置で特に顕著である。
また、別の従来の技術は、特許文献10に記載されている。特許文献10の静電荷像現像用現像剤は、懸濁重合法によって得られた特定のトナーと、特定の磁気特性を有するキャリアとを組合せた現像剤である。特許文献10に記載の現像剤は、環境安定性がよく、かぶりのない鮮明な画像を得ることを目的としているが、キャリア付着に対しては、若干の効果が見られるものの、近年のキャリア付着軽減および高画質化の要求を充分に満足することができない。またトナーとキャリアとが撹拌される撹拌部でのキャリアの流動性が適当でないためか、かぶりおよびトナー飛散の発生を充分に抑えることができない。
特開平2−161464号公報 特開平2−5073号公報 特開平2−29664号公報 特開平4−362956号公報 特開昭59−104663号公報 特公平4−3868号公報 特許第3005120号公報 特開平6−332237号公報 特開平7−175264号公報 特開平7−175265号公報
本発明の目的は、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れるとともに、キャリア付着およびトナー飛散がなく、かぶりのない高品質の画像を実現することのできる現像剤を提供することである。
本発明は、トナーとキャリアとを含む現像剤であって、
前記トナーは、
(a)非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、
(b)ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られる共重合体粒子であって、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、
体積平均粒子径Dvが、3μm以上10μm以下であり、
前記キャリアは、
電気抵抗率R(Ω・cm)が、常用対数値(LogR)で12以上25以下であり、
下記式(1)で示される第1流動性指数F1が、63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、
下記式(2)で示される第2流動性指数F2が、30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下であることを特徴とする現像剤である。
F1=AD×FR …(1)
F2=AD×Hc …(2)
ここで、AD:見掛け密度(g/cm)、
FR:流動度(sec/50g)、
Hc:磁場3000Oeを印加した場合の保磁力(Oe)
また本発明は、前記結晶性樹脂は、軟化点が、80℃以上150℃以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記非晶質樹脂は、軟化点が120℃以上170℃以下である樹脂(樹脂A)と、軟化点が90℃以上120℃以下である樹脂(樹脂B)とを含み、
前記結晶性樹脂は、融点が、60℃以上140℃以下であることを特徴とする。
また本発明は、樹脂Aの含有量と、樹脂Bの含有量との比A/Bは、重量比で10/6以上10/1以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記結晶性樹脂は、ジアリール化合物を0.1モル%以上60モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする。
また本発明は、前記非晶質樹脂は、ジアリール化合物を40モル%以上80モル%以下含む単量体を縮重合させて得られるポリエステル樹脂であることを特徴とする。
また本発明は、前記ジアリール化合物は、ビスフェノールA骨格を有するジオール化合物であることを特徴とする。
また本発明は、前記結晶性ポリエステル樹脂は、ジアリール化合物以外の単量体を50%以上縮重合させた後に、反応系にジアリール化合物を添加してさらに縮重合させて得られるものであることを特徴とする。
また本発明は、前記結晶性樹脂は、トナー中における分散粒径が、0.05μm以上0.20μm以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーは、ワックスをさらに含有し、
前記結晶性樹脂の含有量と前記ワックスの含有量との比は、重量比で1/1以上4/1以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーは、110℃における溶融粘度が、2.0×10Pa・S以上2.0×10Pa・Sであり、130℃における溶融粘度が、20Pa・S以上2.0×10Pa・S以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーは、オーバーヘッドプロジェクターシート1cmに対して0.8mg以上1.2mg以下となるよう定着させた画像表面の水に対する接触角が、90°以上130°以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーは、体積平均粒子径Dvと個数平均粒子径Dpとの比Dv/Dpが、1.05以上1.25以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーは、円形度が、0.94以上1.00以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記キャリアは、重量平均粒子径Dwが、30μm以上120μm以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記キャリアは、磁場3000Oeを印加した場合の保磁力Hcが、12Oe以上60Oe以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記キャリアは、磁場3000Oeを印加した場合の飽和磁化が、20emu/g以上45emu/g以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記キャリアは、
キャリア芯材および前記キャリア芯材を被覆する被覆層を含み、
前記被覆層の重量が、前記キャリア芯材100重量部に対して、0.8重量部以上15重量部以下であることを特徴とする。
また本発明は、前記キャリア芯材が、フェライトであることを特徴とする。
本発明は、(a)非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、
(b)ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られる共重合体粒子であって、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、
体積平均粒子径Dvが、3μm以上10μm以下であることを特徴とするトナーである。
本発明は、電気抵抗率R(Ω・cm)が、常用対数値(LogR)で12以上25以下であり、
下記式(1)で示される第1流動性指数F1が、63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、
下記式(2)で示される第2流動性指数F2が、30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下であることを特徴とするキャリアである。
F1=AD×FR …(1)
F2=AD×Hc …(2)
ここで、AD:見掛け密度(g/cm)、
FR:流動度(sec/50g)、
Hc:磁場3000Oeを印加した場合の保磁力(Oe)
本発明によれば、現像剤はトナーとキャリアとを含む。トナーは、非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られる共重合体粒子であって、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、前記共重合体粒子は、負電荷制御剤として機能する。トナーの体積平均粒子径Dvは、3μm以上10μm以下である。キャリアは、電気抵抗率R(Ω・cm)が常用対数値(LogR)で12以上25以下であり、前記式(1)で示される第1流動性指数F1が63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、前記式(2)で示される第2流動性指数F2が30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下である。トナーの結着樹脂に、非晶質樹脂と結晶性樹脂とを組合せて用い、さらにその体積平均粒子径を制御することによって、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れるトナーを得ることができる。このようなトナーに、前記共重合体粒子を負電荷制御剤として含有させ、前記キャリアと組合せて用いることによって、キャリア付着およびトナーの飛散が抑えられ、高品質の画像が実現される。したがって、前述の特定のトナーと特定のキャリアとを組合せることによって、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れるとともに、キャリア付着およびトナー飛散がなく、かぶりのない高品質の画像を実現することのできる現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、結晶性樹脂の軟化点は80℃以上150℃以下であるので、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性が一層向上される。
また本発明によれば、非晶質樹脂は、軟化点が120℃以上170℃以下である樹脂Aと、軟化点が90℃以上120℃以下である樹脂Bとを含み、結晶性樹脂の融点は60℃以上140℃以下であるので、結晶性樹脂はトナー中に均一に分散される。したがって、結晶性樹脂の特性が充分に発揮され、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に特に優れるトナーが実現される。またトナーの帯電量分布の広がりおよび着色度の低下が抑えられる。
また本発明によれば、樹脂Aの含有量と樹脂Bの含有量との比は10/6以上10/1以下であるので、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性が一層向上される。
また本発明によれば、結晶性樹脂は、ジアリール化合物を0.1モル%以上60モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂であるので、トナー中に良好な分散状態で分散される。したがって、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性が一層向上される。
また本発明によれば、非晶質樹脂は、ジアリール化合物を40モル%以上80モル%以下含む単量体を縮重合させて得られるものであるので、ジアリール化合物を0.1モル%以上60モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂は、トナー中に均一に分散される。したがって、結晶性ポリエステル樹脂の特性が充分に発揮され、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に特に優れるトナーが実現される。またトナーの帯電量分布の広がりおよび着色度の低下が抑えられる。
また本発明によれば、ジアリール化合物は、ビスフェノールA骨格を有するジオール化合物であるので、結晶性樹脂が、トナー中に良好な分散状態で分散される。したがって、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性が一層向上される。
また本発明によれば、結晶性ポリエステル樹脂は、ジアリール化合物以外の単量体を50%以上縮重合させた後に、反応系にジアリール化合物を添加してさらに縮重合させて得られるものであるので、ジアリール化合物が結晶性ポリエステル樹脂の軟化点および融点などの熱的性質に与える影響は小さい。したがって、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性を向上させる効果を維持したまま、トナー中における結晶性ポリエステル樹脂の分散性を向上させることができるので、結晶性ポリエステル樹脂の特性が充分に発揮され、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性が一層向上される。
また本発明によれば、結晶性樹脂は、トナー中における分散粒径が0.05μm以上0.20μm以下であり、トナー中に均一に分散されている。したがって、結晶性樹脂の特性が充分に発揮され、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に特に優れるトナーが実現される。またトナーの帯電量分布の広がりおよび着色度の低下が抑えられる。
また本発明によれば、トナーは、ワックスを含有する。結晶性樹脂の含有量とワックスの含有量との比は、質量比で1/1以上4/1以下であるので、ワックスはトナー中に良好な分散状態で分散される。したがって、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性および流動性に特に優れるトナーが実現される。
また本発明によれば、110℃における溶融粘度が、2.0×10Pa・S以上2.0×10Pa・Sであり、130℃における溶融粘度が、20Pa・S以上2.0×10Pa・S以下であるトナーであり、加熱により粘度が著しく低下する。したがって、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性および流動性に特に優れるトナーが実現される。
また本発明によれば、トナーをオーバーヘッドプロジェクターシート1cmに対して0.8mg以上1.2mg以下となるよう定着させた画像表面の水に対する接触角が、90°以上130°以下となるので、画像表面が滑らかであり、高品質の画像を実現することのできる現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、トナーの体積平均粒子径Dvと個数平均粒子径Dpとの比が、1.05以上1.25以下であるので、トナーの粒子径が均一であり、高品質の画像を実現することのできる現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、トナーの円形度が、0.94以上1.00以下であるので、ほぼ球形の均一なトナーとなり、高品質の画像を実現することのできる現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、キャリアの重量平均粒子径Dwは30μm以上120μm以下であるので、キャリア1粒子当たりの磁化の低下が抑えられ、キャリア付着が一層抑制されるとともに、キャリアの帯電能力の低下が抑えられ、トナーに充分な帯電量が付与される。したがって、特に品質の高い画像を実現可能な現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、キャリアの保磁力Hcは12Oe以上60Oe以下である。このことによって、現像スリーブ上にキャリアチェーンを密に形成することができる。また現像剤の現像スリーブ上での流動性を良好にすることができるので、静電潜像にトナーを充分に供給することができる。また現像スリーブから離れた後にキャリアチェーンがばらばらになりやすくなるので、キャリアと新しく供給されるトナーとが混合されやすくなる。したがって、現像特性に特に優れる現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、キャリアの飽和磁化は20emu/g以上45emu/g以下であるので、キャリア付着が一層抑えられるとともに、現像スリーブ上に形成される磁気ブラシの穂を適度な軟らかさにすることができるので、より高品質の画像が実現される。
また本発明によれば、キャリアは、キャリア芯材と被覆層とを含み、被覆層の重量は、キャリア芯材100重量部に対して0.8重量部以上15重量部以下であるので、電気抵抗率R、第1流動性指数F1および第2流動性指数F2が前記範囲にあるキャリアを容易に得ることができる。また被覆層の剥離を抑え、良好な現像特性を維持することができる。
また本発明によれば、キャリアは、フェライトから成るキャリア芯材と被覆層とを含むので、電気抵抗率R、第1流動性指数F1および第2流動性指数F2が前記範囲にあるキャリアが容易に実現される。
また本発明によれば、トナーは、非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られる共重合体粒子であって、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、前記共重合体粒子は、負電荷制御剤として機能する。トナーの体積平均粒子径Dvは、3μm以上10μm以下である。トナーの結着樹脂に、非晶質樹脂と結晶性樹脂とを組合せて用い、さらにその体積平均粒子径を制御することによって、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れるトナーを得ることができる。
また本発明によれば、キャリアは、電気抵抗率R(Ω・cm)が常用対数値(LogR)で12以上25以下であり、前記式(1)で示される第1流動性指数F1が63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、前記式(2)で示される第2流動性指数F2が30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下である。このようなキャリアを用いることによって、キャリア付着およびトナーの飛散が抑えられ、高品質の画像が実現される。
図1は、本発明の実施の一形態である現像剤1の構成を簡略化して示す概略断面図である。図1に示すように、現像剤1は、少なくともトナー2とキャリア3とを含む現像剤である。トナー2は、結着樹脂および負電荷制御剤を含んで構成される。キャリア3は、キャリア芯材およびキャリア芯材を被覆する被覆層を含んで構成される。
[トナー]
トナー2は、結着樹脂および負電荷制御剤を含有して構成される粒子であり、キャリアとの摩擦帯電によって負に帯電されて用いられる。結着樹脂としては、非晶質樹脂と結晶性樹脂とが組合わされて用いられる。ここで、非晶質樹脂とは、示差走査熱量計(以下、DSCと略称することがある)によって測定されるDSC曲線に明確な融解ピークが現れない樹脂のことであり、結晶性樹脂とは、DSC曲線に明確な融解ピークが現れる樹脂のことである。非晶質樹脂と結晶性樹脂とを組合せて用いることによって、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性すなわち保存安定性に優れるトナーが実現される。
結晶性樹脂は、粒子状態でトナー中に分散されて使用される。結晶性樹脂の分散性が良好でないと、結晶性樹脂の特性が充分に発揮されないので、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性(保存安定性)が充分に得られず、また帯電量分布が広がり、着色度も低下するので好ましくない。結晶性樹脂をトナー中に分散させる際、分散性が良好でない結晶性樹脂は、1次粒子が凝集して2次粒子となるので、粒子径が大きくなる。したがって、結晶性樹脂の分散性は、トナー中に分散された状態での結晶性樹脂の粒子径、すなわちトナー中における結晶性樹脂の分散粒径で表すことができる。トナー中における結晶性樹脂の分散粒径は、0.05μm以上0.20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.07μm以上0.13μm以下である。トナー中における分散粒径が前記範囲にある結晶性樹脂は、トナー中において1次粒子の状態であり、トナー中に均一に分散されている。
なお、トナー中における結晶性樹脂の分散粒径は、以下のようにして求めることができる。まず、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いてトナーの断面TEM写真を撮影する。得られた断面TEM写真を画像処理装置(株式会社ニレコ製)で解析し、トナー中に含まれる結晶性樹脂粒子の長軸の長さを測定する。この測定をトナー中に含まれる結晶性樹脂粒子50個について行い、測定結果から長軸の長さの平均値を求め、これを分散粒径とする。
非晶質樹脂の物性は、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性および耐久性に優れるトナーを実現するために、以下のように選ばれる。
非晶質樹脂の軟化点Tmは、70℃以上180℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以上160℃以下である。非晶質樹脂のガラス転移点Tgは、45℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは55℃以上75℃以下である。なお、ガラス転移は、非晶質樹脂および結晶性樹脂の非晶部分に特有の物性であり、融解とは区別される。
非晶質樹脂は、クロロホルムに溶解しない樹脂成分を含むものであってもよく、またクロロホルムに溶解しない樹脂成分を含まないものすなわちクロロホルム不溶分率が0重量%であるものであってもよい。非晶質樹脂は、クロロホルムに溶解しない樹脂成分を含む場合には、クロロホルム不溶分率が、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以上35重量%以下である。
ここで、クロロホルム不溶分率とは、クロロホルムに溶解しない樹脂成分の重量分率のことであり、樹脂の架橋性を示す指標である。樹脂の架橋成分(非線形成分)は、溶媒に溶解しにくいので、架橋成分の多い樹脂を溶媒に溶解させようとするとゲル化する。すなわち、クロロホルム不溶分率の高い樹脂ほど、架橋成分を多く含む。樹脂は、架橋成分を多く含むほど弾性が高いので、クロロホルム不溶分率の高い樹脂を用いることによって、耐オフセット性および耐久性は向上する。しかしながら、架橋成分を多く含む樹脂は、低温で速やかに溶融することができないので、低温定着性は低下する。したがって、結着樹脂に用いられる非晶質樹脂などのクロロホルム不溶分率は、耐オフセット性、耐久性および低温定着性のいずれもが良好になるように選ばれる。なお、本明細書中におけるクロロホルム不溶分率の値は、温度25℃において後述する測定方法によって測定された値である。
結晶性樹脂の物性は、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性および耐久性に優れるトナーを実現するために、以下のように選ばれる。
結晶性樹脂の軟化点Tmは、80℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以上150℃以下であり、特に好ましくは95℃以上145℃以下である。結晶性樹脂の融点は、60℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以上140℃以下であり、特に好ましくは80℃以上130℃以下である。
結晶性樹脂は、クロロホルムに溶解しない樹脂成分を含まない、すなわちクロロホルム不溶分率が0重量%であることが好ましい。
結着樹脂には、軟化点の異なる2種以上の非晶質樹脂と1種以上の結晶性樹脂とを組合せて用いることが好ましい。具体的には、非晶質樹脂として、軟化点が120℃以上170℃以下である樹脂(以下、樹脂Aと称する)と、軟化点が90℃以上120℃以下である樹脂(以下、樹脂Bと称する)とを用い、結晶性樹脂として、融点が60℃以上140℃以下である樹脂(以下、結晶性樹脂Cと称する)を用いることが好ましい。
結晶性樹脂と、結晶性樹脂の融点から大きく離れた軟化点を有する非晶質樹脂とは、同じ温度における溶融粘度が大きく異なるので、非晶質樹脂と結晶性樹脂とを溶融混練してトナーを作製しても、トナー粒子中に結晶性樹脂を均一に分散させることは困難である。これに対し、前述のように、結晶性樹脂と、軟化点の異なる少なくとも2種類の非晶質樹脂、すなわち結晶性樹脂の融点から大きく離れた軟化点を有する高軟化点の樹脂と、結晶性樹脂の融点に近い軟化点を有する低軟化点の樹脂とを組合せて用いると、非晶質樹脂と結晶性樹脂とを溶融混練する際に、低軟化点の樹脂が高軟化点の樹脂と結晶性樹脂とのつなぎの役割を果たし、結晶性樹脂がトナー粒子中に均一に分散される。したがって、結晶性樹脂の特性が充分に発揮され、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に特に優れるトナーが実現される。またトナーの帯電量分布の広がりおよび着色度の低下が抑えられる。
樹脂A、樹脂Bおよび結晶性樹脂Cの物性および配合比は、各樹脂の有する優れた特性を充分に発揮させ、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性および耐久性のいずれにも優れるトナーを実現するために、以下のように選ばれる。
樹脂Aの軟化点Tm(以下、Tm(A)と表記する)は、耐オフセット性および耐久性の観点から120℃以上であることが好ましく、低温定着性の観点から170℃以下であることが好ましく、より好ましくは130℃以上、165℃以下である。樹脂Aのガラス転移点Tg(以下、Tg(A)と表記する)は、耐ブロッキング性の観点から58℃以上であることが好ましく、低温定着性の観点から75℃以下であることが好ましく、より好ましくは58℃以上、70℃以下である。樹脂Aのクロロホルム不溶分率は、耐オフセット性および耐久性の観点から10重量%以上であることが好ましく、低温定着性の観点から30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上、25重量%以下である。
樹脂Bの物性は、特に、樹脂Aと結晶性樹脂Cとの相溶性を高めるように選ばれる。樹脂Bの軟化点Tm(以下、Tm(B)と表記する)は、前述のように90℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以上110℃以下であり、さらに樹脂Aの軟化点Tm(A)よりも20℃以上低いことが好ましい。樹脂Bのガラス転移点Tg(以下、Tg(B)と表記する)は、50℃以上75℃以下であることが好ましく、より好ましくは58℃以上70℃以下である。
樹脂Bは、クロロホルムに溶解しない樹脂成分を含むものであっても、含まないものであってもよい。樹脂Bがクロロホルムに溶解しない樹脂成分を含む場合、樹脂Bのクロロホルム不溶分率は、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25重量%以下である。
結晶性樹脂Cの融点は、前述のように60℃以上140℃以下であることが好ましく、より好ましくは80℃以上140℃以下であり、特に好ましくは80℃以上130℃以下である。結晶性樹脂Cは、クロロホルムに溶解しない樹脂成分を含まない、すなわちクロロホルム不溶分率が0重量%であることが好ましい。
樹脂Aの含有量と、樹脂Bの含有量との比A/Bは、重量比で10/6以上10/1以下であることが好ましい。なお、樹脂A、樹脂Bおよび樹脂Cは、それぞれ1種の樹脂であってもよく、また2種以上の樹脂が混合されてなる樹脂組成物であってもよい。
結晶性樹脂Cなどの結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が好適に用いられる。結晶性ポリエステル樹脂を用いることによって、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れるとともに、耐久性および着色剤の分散性に優れるトナーが実現される。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のヒドロキシ化合物からなるアルコール成分と、2価以上のカルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを含む単量体を縮重合させて得られる。ここで、2価以上のヒドロキシ化合物とは、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物のことであり、アルコール類およびフェノール類のいずれをも含む。また2価以上のカルボン酸化合物とは、カルボキシル基を2個以上有する化合物である多価カルボン酸、ならびに多価カルボン酸の無水物またはエステルなどの誘導体のことである。
結晶性ポリエステル樹脂は、単量体全量中に、ジアリール化合物を、0.1モル%以上60モル%以下、好ましくは0.5モル%以上20モル%以下、より好ましくは1モル%以上10モル%以下含むことが好ましい。ここで、ジアリール化合物とは、芳香族官能基を2つ有する化合物のことであり、芳香族官能基とは、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環などの芳香族性を示す官能基のことである。たとえば、ジフェニル、ビナフチルおよびビスフェノールAと称される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどは、芳香族官能基を2つ有するジアリール化合物であり、フェノール、トルエン、キシレン、テレフタル酸およびイソフタル酸などは、芳香族官能基を1つ有する化合物である。
一般に、結晶性樹脂と非晶質樹脂とは相溶性が低いけれども、結晶性樹脂の骨格と非晶質樹脂の骨格とがある程度類似していると、適度に相溶し、結晶性樹脂が非晶質樹脂中に適度に分散されるので、結晶性樹脂の特性は充分に発揮される。すなわち、ジアリール化合物を0.1モル%以上60モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂を、ジアリール化合物を40モル%以上80モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる非晶質樹脂と組合せて結着樹脂に用いることによって、トナー粒子中に結晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。したがって、結晶性ポリエステル樹脂の特性が充分に発揮され、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に特に優れるトナーが実現される。
特に、前述の樹脂Aおよび樹脂Bとして、ジアリール化合物を40モル%以上80モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる非晶質樹脂を用い、結晶性樹脂Cとして、ジアリール化合物を0.1モル%以上60モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂を用いることによって、トナー粒子中における結晶性ポリエステル樹脂の分散性をさらに向上させることができ、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性が一層向上される。
アルコール成分として用いられるジアリール化合物としては、ビスフェノールAまたはビスフェノールA骨格を有するジオール化合物が好適に用いられる。ここで、ビスフェノールA骨格とは、ビスフェノールAから2つのヒドロキシル基の水素原子が取除かれた構造のことである。ビスフェノールA骨格を有するジオール化合物の中でも、特に、下記一般式(I)で表されるジオール化合物が好適に用いられる。
Figure 2005181848
前記一般式(I)において、Rは、炭素数2または3のアルキレン基を示し、xおよびyは、それぞれ1≦x+y≦16の関係を満足する0〜16の整数を示す。xとyとの和(x+y)の平均値は、1.5以上5.0以下であることが好ましい。
前記一般式(I)表されるジオール化合物の具体例としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。なお、「ポリオキシプロピレン」、「ポリオキシエチレン」などの後の(2.2)などの括弧で示す数値は、ビスフェノールA1モルに対するアルキレンオキサイドの平均付加モル数であり、前記一般式(I)におけるxとyとの和(x+y)の平均値に相当する。たとえば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンは、ビスフェノールA1モルに対して、プロピレンオキサイドが平均2.2モル付加した化合物である。
カルボン酸成分として用いられるジアリール化合物としては、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸およびビス(4−カルボキシフェニル)メタンなどが挙げられる。
ジアリール化合物以外に、結晶性ポリエステル樹脂の単量体として用いられる化合物としては、以下の化合物を例示することができる。
アルコール成分としては、炭素数2〜6、好ましくは4〜6の脂肪族ジオールを用いることが好ましい。炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールおよび1,5−ペンタンジオールなどが挙げられ、これらの中でも、α,ω−直鎖アルキルジオールが好適に用いられる。これらの脂肪族ジオールは、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が混合されて用いられてもよい。アルコール成分にジアリール化合物が用いられない場合、炭素数2〜6の脂肪族ジオールは、全体で、アルコール成分中に80モル%以上、好ましくは90モル%以上、100モル%以下含まれることが好ましく、特にその中の1種の脂肪族ジオールがアルコール成分の70モル%以上、好ましくは80モル%以上を占めることが好ましい。アルコール成分にジアリール化合物が用いられる場合、炭素数2〜6の脂肪族ジオールは、全体で、アルコール成分中に60モル%以上、好ましくは65モル%以上、99.8モル%以下含まれることが好ましく、特にその中の1種の脂肪族ジオールがアルコール成分の55モル%以上、好ましくは60モル%以上を占めることが好ましい。
炭素数2〜6の脂肪族ジオール以外の2価のアルコール成分としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよび水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどの芳香族アルコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパンなどの脂肪族アルコール、ならびに1,4−ソルビタンなどの脂環式アルコールなどが挙げられる。
カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸化合物、または炭素数2〜6、好ましくは4〜6、特に好ましくは4の脂肪族ジカルボン酸化合物が好適に用いられる。芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸、ならびにこれらの酸の無水物またはアルキル(炭素数1〜3)エステルなどが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸化合物は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が混合されて用いられてもよい。
炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸およびアジピン酸、ならびにこれらの酸の無水物またはアルキル(炭素数1〜3)エステルなどが挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸化合物は、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が混合されて用いられてもよい。
カルボン酸成分中には、芳香族ジカルボン酸化合物および炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物のうちのいずれか一方が、全体で、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、100モル%以下含まれることが好ましく、特にその中の1種の芳香族ジカルボン酸化合物または脂肪族カルボン酸化合物がカルボン酸成分の70モル%以上、好ましくは80モル%以上を占めることが好ましい。カルボン酸成分にジアリール化合物が用いられる場合には、芳香族ジカルボン酸化合物および炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物のうちのいずれか一方が、全体で、カルボン酸成分中に60モル%以上、好ましくは65モル%以上、99.8モル%以下含まれることが好ましく、特にその中の1種の芳香族ジカルボン酸化合物または脂肪族カルボン酸化合物がカルボン酸成分の55モル%以上、好ましくは60モル%以上を占めることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物および炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の2価のカルボン酸成分としては、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸およびn−ドデセニルコハク酸などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸、ならびにこれらの酸の無水物またはアルキル(炭素数1〜3)エステルなどが挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(慣用名:トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸および1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(慣用名:ピロメリット酸)などの芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタンおよび1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸などの脂肪族カルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸などの脂環式カルボン酸、ならびにこれらの酸の無水物またはアルキル(炭素数1〜3)エステルなどが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、たとえば、前述のアルコール成分とカルボン酸成分とを含む単量体を、不活性ガス雰囲気中において、必要に応じてジブチル錫オキサイドなどのエステル化触媒、重合禁止剤などを用いて温度120〜230℃で反応させ、縮重合させることによって得られる。
一般的に、得られる樹脂の強度を上げるため、全単量体を一括して反応容器に加えて反応させることが好ましく、低分子量成分を少なくするためには、2価の単量体すなわち2価のアルコール成分と2価のカルボン酸成分とを反応させた後に、3価以上の単量体を添加して反応させることが好ましい。また重合反応の後半に反応系を減圧することによって反応を促進させてもよい。しかしながら、ジアリール化合物が結晶性ポリエステル樹脂の軟化点および融点などの熱的性質に与える影響を小さくし、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性を向上させる効果を維持するためには、ジアリール化合物以外の単量体を50%以上、より好ましくは80%、特に好ましくは90%以上縮重合させた後に、反応系にジアリール化合物を添加し、さらに縮重合させることが好ましい。なお、ジアリール化合物以外の単量体の反応率は、縮重合する際の理論脱水量に対する、反応系からの水の留出量の割合(モル比)から求めることができる。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1000以上20000以下であることが好ましく、より好ましくは2000以上15000以下である。また数平均分子量(Mn)は、500以上5500以下であることが好ましい。また重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2.0以上15.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上12.5以下である。
また、結晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度は、低温定着性の観点から、温度150℃において、5mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは5mPa・s以上800mPa・s以下であり、10mPa・s以上500mPa・s以下が最適である。
また、結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、トナーの帯電性の安定性の観点から、3mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは3mgKOH/g以上15mgKOH/g以下である。また結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、トナーの環境安定性および保存安定性などの観点から、0.5mgKOH/g以上5mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mgKOH/g以上4mgKOH/g以下である。
樹脂Aおよび樹脂Bなどの非晶質樹脂としては、非晶質ポリエステル樹脂および非晶質ポリエステル−ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの非晶質樹脂は、前述のジアリール化合物を0.1モル%以上60モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂と組合されて用いられる場合には、ジアリール化合物、好ましくはビスフェノールA骨格を有する芳香族化合物を含む単量体を縮重合させて得られるものであることが好ましい。この非晶質樹脂において、ジアリール化合物の単量体全量に占める割合は、前述のように40モル%以上80モル%以下であることが好ましく、より好ましくは40モル%以上60モル%以下である。
前述の非晶質樹脂の中でも、定着性、耐久性および着色剤の分散性の観点から、非晶質ポリエステル樹脂が好適に用いられる。特に、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合には、結晶性ポリエステル樹脂との相溶性の観点から、非晶質ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。非晶質ポリエステル樹脂は、前述の結晶性ポリエステル樹脂と同様に、2価以上のヒドロキシ化合物から成るアルコール成分と、2価以上のカルボン酸化合物から成るカルボン酸成分とを含む単量体を縮重合させて得られる。前述のように、非晶質ポリエステル樹脂は、全単量体中に、ジアリール化合物を40モル%以上80モル%以下、より好ましくは40モル%以上60モル%以下であり、さらにより好ましくは45モル%以上60モル%以下含むことが好ましい。
ジアリール化合物は、アルコール成分中に含まれることが好ましい。アルコール成分に占めるジアリール化合物の割合は、ポリエステル樹脂の非晶質化、耐久性および帯電性の観点から、80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上であり、アルコール成分の全量がジアリール化合物であることが特に好ましい。アルコール成分として用いられるジアリール化合物としては、前述のビスフェノールAおよびビスフェノールA骨格を有するジオール化合物、たとえば前記一般式(I)で表されるジオール化合物などのビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、炭素数2または3のアルキレンオキサイドが平均付加モル数1〜10で付加したものが好ましい。
カルボン酸成分として用いられるジアリール化合物としては、前述のジフェニル−4,4’−ジカルボン酸およびビス(4−カルボキシフェニル)メタンなどが挙げられる。
ジアリール化合物以外に、非晶質ポリエステル樹脂の単量体として用いられる化合物としては、以下の化合物を例示することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオールおよび水素添加ビスフェノールA、ならびにこれらの化合物に炭素数2または3のアルキレンオキサイドが平均付加モル数1〜10で付加したものなどが挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセリンおよびトリメチロールプロパン、ならびにこれらの化合物に炭素数2または3のアルキレンオキサイドが平均付加モル数1〜10で付加したものなどが挙げられる。
2価のカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸およびマレイン酸などのジカルボン酸、ドデセニルコハク酸およびオクチルコハク酸などの炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、ならびにこれらの酸の無水物またはアルキル(炭素数1〜12)エステルなどが挙げられる。これらの中でも、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸が好適に用いられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)および1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、ならびにこれらの酸の無水物またはアルキル(炭素数1〜12)エステルなどが挙げられる。
非晶質ポリエステル樹脂は、前述の結晶性ポリエステル樹脂と同様にして製造することができる。また特開平7−175260号公報に例示されている化合物を用い、該公報に記載の方法と同様にして製造することもできる。前述の単量体を重合させる際には、反応を促進させるために、ジブチル錫オキサイドなどのエステル化触媒などを適宜使用してもよい。
非晶質ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上200,000以下であることが好ましく、より好ましくは7000以上120,000以下である。非晶質ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5000未満であると、樹脂が脆くなり過ぎて、粉砕してトナー粒子とする際に、粒子径2μm以下の微粉が大量に生成し、分級収率が低下する。逆に、非晶質ポリエステル樹脂の重量平均分子量が200,000を越えると、樹脂が強靭になり過ぎ、トナーの粉砕性が低下し、生産性が低下する。
また、非晶質ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、3,000以上15,000以下であることが好ましく、より好ましくは4,000以上12,500以下である。また重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2.5以上35.5以下であることが好ましく、より好ましくは3.0以上32.0以下である。
また、非晶質ポリエステル樹脂の溶融粘度は、耐オフセット性の観点から、温度100℃において、1×103Pa・s以上1×105Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは5×103Pa・s以上5×104Pa・s以下である。
また、非晶質ポリエステル樹脂の酸価は、トナーの帯電性の安定性の観点から、1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは3mgKOH/g以上15mgKOH/g以下である。また非晶質ポリエステル樹脂の水酸基価は、トナーの環境安定性の観点から、0.5mgKOH/g以上5mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mgKOH/g以上4mgKOH/g以下である。
また、非晶質樹脂には、ハイブリッド樹脂を用いてもよい。ハイブリッド樹脂は、特開平8−171231号公報に記載されているように、各々独立した反応経路を有する二つの重合系の原料単量体を混合し、その二つの重合反応を同一反応容器中で行わせることによって得られるものである。二つの重合反応は、独立した反応経路で進行するものであり、縮重合系樹脂を生ずる反応と付加重合系樹脂を生ずる反応とであることが好ましい。縮重合系樹脂の代表例としては、ポリエステル樹脂、ポリエステル−ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、付加重合系樹脂の代表例としては、ラジカル重合反応によって得られるビニル重合系樹脂が挙げられる。
ポリエステル−ポリアミド樹脂中のポリエステル成分は、前述の非晶質ポリエステル樹脂の原料として例示した2価以上のアルコール成分と2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステルなどのカルボン酸成分とを原料単量体として得ることができる。また、ポリエステル−ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂中のアミド成分を形成するために用いられる原料単量体としては、各種ポリアミン、アミノカルボン酸類およびアミノアルコールなどが挙げられ、これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンまたはε−カプロラクタムが好適に用いられる。
付加重合反応によって得られるビニル重合系樹脂を形成するために用いられる原料単量体としては、スチレン、エチレンおよびプロピレンなどのエチレン性不飽和モノオレフィン類、ブタジエンなどのジオレフィン類、メタクリル酸およびアクリル酸などのエチレン性モノカルボン酸、メタクリル酸またはアクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステルなどのエチレン性モノカルボン酸のエステルなどが挙げられる。
ハイブリッド樹脂は、以下のようにして製造されることが好ましい。まず、縮重合系樹脂の原料単量体と、付加重合系樹脂の原料単量体と、重合開始剤などとを混合し、温度50〜180℃で主としてラジカル重合反応によって、縮重合反応が可能な官能基を有する付加重合系樹脂成分を得る。次いで、反応温度を190〜270℃に上昇させ、主として縮重合反応によって、縮重合系樹脂成分を形成する。このように、一つの反応容器中で独立した二つの反応を進行させることによって、2種類の樹脂の相溶性が向上し、2種類の樹脂が均一に混合された樹脂組成物を効率的に得ることができる。
縮重合系樹脂の付加重合系樹脂に対する重量比、すなわち縮重合系樹脂の原料単量体の重量Wと、付加重合系樹脂の原料単量体の重量Wとの比(W/W)は、付加重合系樹脂の分散性の観点から、50/50以上95/5以下であることが好ましく、より好ましくは60/40以上95/5以下である。
前述の結晶性樹脂Cなどの結晶性樹脂の軟化点、融点およびクロロホルム不溶分率、ならびに樹脂Aおよび樹脂Bなどの非晶質樹脂の軟化点、ガラス転移点およびクロロホルム不溶分率などの物性値は、樹脂を製造する際の原料単量体、重合開始剤および触媒などの種類および使用量、ならびに反応条件などを適当に選択することによって、容易に調整することができる。
なお、本明細書中における樹脂の物性値は、以下のようにして測定された値である。
<軟化点Tm>
高化式フローテスタ(株式会社島津製作所製:CFT−500)を用い、試料1gに対し、荷重20kg/cm2を与えながら、昇温速度毎分6℃で加熱し、ノズルから試料の半分が流出する温度を軟化点Tmとする。なお、ノズルには、直径1mm、長さ1mmのものを用いた。
<融点およびガラス転移点Tg>
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製:DSC210)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料を昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定する。DSC曲線の融解に相当する吸熱ピーク、すなわち融解ピークの頂点の温度を融点とする。また、DSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移点Tgとする。
<クロロホルム不溶分率>
容量100mLの蓋付きガラス瓶に、粉体試料5g、ラジオライト(昭和化学工業株式会社製:#700)5gおよびクロロホルム100mLを入れ、ボールミルにて温度25℃で5時間撹拌した後、ラジオライト(昭和化学工業株式会社製:#700)5gを均一に敷き詰めた濾紙(東洋濾紙株式会社製:No.2)で加圧濾過する。濾紙上の固形物をクロロホルム100mLで2回洗浄し、乾燥させた後、重量を測定する。この値から、下記の式に従ってクロロホルム不溶分率を算出する。
クロロホルム不溶分率(重量%)=〔濾紙上の固形物の重量(g)−10g(ラジオライトの重量)〕/5g(試料の重量)×100
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)>
昭和電工株式会社製のSYSTEM−11を用い、温度40℃において、0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液を試料溶液とし、注入量100mLで測定する。なお、カラムには、東ソー株式会社製のTSK gel GMH XLを2本用い、検出器には、屈折率検出器を用いる。また、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成する。
<酸価および水酸基価>
JIS K0070に準じて測定する。酸価とは、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数である。水酸基価とは、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数である。
<溶融粘度>
高化式フローテスタ(株式会社島津製作所製:CFT−500)を用い、試料1cmに対し、荷重10kg/cmを与えながら、昇温速度毎分3℃で加熱し、直径0.5mmのダイス細孔から溶融流出させることによって、溶融粘度を測定する。
負電荷制御剤としては、本発明である現像剤の廃棄後の環境に対する影響を考慮し、非クロム系負電荷制御剤を用いている。非クロム系負電荷制御剤としては、鉄系負電荷制御剤(保土谷化学社製:T−77)および高分子系負電荷制御剤(藤倉化成:FCA−2500シリーズ)などを挙げられる。また、高分子系負電荷制御剤としては、スルホン酸系単量体1〜20重量%と、該スルホン酸系単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体99〜80重量%とを含む単量体を重合させて得られる共重合体粒子であって、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下、好ましくは0.05μm以上1μm以下である共重合体粒子が用いられる。ここで、スルホン酸系単量体とは、スルホン酸基を有する単量体のことであり、スルホン酸基は、アルカリ金属イオンなどの適当なカチオンと結合して、塩を形成していてもよい。
前記共重合体粒子は、単量体中にスルホン酸系単量体を含むので、表面にスルホン酸基を有し、適度な極性を有する。また前記共重合体粒子は、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下と小さい。このため、前記共重合体粒子は、比較的低極性である結着樹脂と適度に相溶し、トナー粒子中に均一に分散されるので、特性を充分に発揮することができる。すなわち、結着樹脂として前述の非晶質樹脂および結晶性樹脂を含有する本実施形態のトナー中に、前記共重合体粒子を負電荷制御剤として含有させることによって、前記共重合体粒子の特性が充分に発揮され、帯電の経時安定性が良好であり、特に高温、高湿時において良好な帯電の立ち上がり特性を有するトナーを得ることができる。したがって、後述する特定のキャリアとの摩擦帯電の際に、トナーを所望の帯電量に容易に帯電させることができるので、トナー飛散およびかぶりが抑えられ、高品質の画像が実現される。
なお、負電荷制御剤として用いられる共重合体粒子において、スルホン酸系単量体の単量体全量に占める割合が1重量%未満であると、得られるトナーに充分な帯電量を蓄積させることが難しくなる。一方、スルホン酸系単量体の単量体全量に占める割合が20重量%を超えると、得られるトナーの電気抵抗値が低くなり、帯電量の経時安定性が悪くなると共に、結着樹脂との相溶性が悪くなり、トナーの透明性が損なわれる。したがって、スルホン酸単量体の単量体全量に占める割合を1重量%以上20重量%以下とした。
また、前記共重合体粒子の1次粒子の平均粒子径が0.01μm未満であると、前記共重合体粒子1粒子当たりの帯電制御能が低下し、トナーを所望の帯電量に帯電させることが困難になるので、トナー飛散が発生し、画質が劣化する。一方、前記共重合体粒子の1次粒子の平均粒子径が2μmを超えると、1次粒子の平均粒子径が2μm以下であるものを用いる場合に比べ、トナー粒子1個当たりに含まれる前記共重合体粒子の個数が少なくなり、トナーを均一に帯電させることが困難になるので、トナー飛散が発生し、画質が劣化する。したがって、前記共重合体粒子の1次粒子の平均粒子径を0.01μm以上2μm以下とした。
共重合体粒子の原料であるラジカル重合性単量体としては、共重合成分であるスルホン酸系単量体と共重合可能なものであれば、特に限定されるものではなく、広い範囲から適宜選択して用いることができるけれども、スルホン酸系単量体と共重合しやすいものを用いることが好ましい。
ラジカル重合性単量体の具体例としては、ビニル系単量体、たとえばスチレンおよびα―メチルスチレンなどのスチレン系単量体、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルなどのアクリル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、ならびにアクリロニトリルなどが挙げられる。これらの単量体は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が組合されて使用されてもよい。
スルホン酸系単量体としては、スルホン酸基を有するビニル系単量体などを用いることができ、具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ソーダ、スルホエチルアクリル酸、スルホエチルメタクリル酸、スルホエチルメタクリル酸ソーダなどのスルホアルキルアクリル酸系またはスルホアルキルメタクリル酸系単量体などを挙げることができる。これらの単量体は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が組合されて使用されてもよい。
単量体の中でも、重合しやすい、トナーの構成成分として好ましい軟らかさを有する共重合体粒子が得られやすいなどの理由から、ラジカル重合性単量体としてスチレン系単量体またはアクリル系単量体を用い、スルホン酸系単量体として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用いることが好ましい。
共重合体粒子は、前述のラジカル重合性単量体とスルホン酸系単量体とを、乳化重合法によって共重合させることによって製造されることが好ましい。ラジカル重合性単量体とスルホン酸系単量体とを乳化重合させて前記共重合体粒子を製造することによって、1次粒子が平均粒子径0.01μm以上2μm以下、好ましくは0.05μm以上1μm以下である微小な前記共重合体粒子を容易に得ることができる。また乳化重合法によって得られる重合体は、その分子量が、溶液重合法または懸濁重合法などによって得られる重合体の分子量に比較して相対的に大きくなる。また共重合体成分として用いられるスルホン酸系単量体のスルホン酸基は親水性であるので、乳化重合法によって製造される前記共重合体粒子の表面はスルホン酸基濃度が高くなる。
このように、乳化重合法によって得られる前記共重合体粒子は、1次粒子径が細かく、かつ分子量が大きく、また表面のスルホン酸基濃度が高いので、トナー製造時の熱溶融混練工程において結着樹脂および着色剤と共に溶融混練される際に、溶液重合法または懸濁重合法などによって製造される共重合体系負電荷制御剤に比べて熱溶融されにくく、1次粒子の状態を保ち易いと推察される。このため、乳化重合法によって得られる前記共重合体粒子は、熱溶融混練工程終了時には、表面のスルホン酸基濃度の高い1次粒子の状態を維持したまま、結着樹脂中に均一に分散されるものと考えられる。
すなわち、負電荷制御剤として、乳化重合法によって得られる前記共重合体粒子を用いたトナーでは、表面のスルホン酸基濃度の高い負電荷制御剤微粒子が粒子状態で結着樹脂に混合されるのに対し、溶液重合法または懸濁重合法などによって得られる共重合体系電荷制御剤を用いたトナーでは、負電荷制御剤が結着樹脂中にほぼ完全な相溶状態で混合されると考えられる。負電荷制御剤が結着樹脂中にほぼ完全な相溶状態で混合されると、負電荷制御剤としての特性が充分に発揮されず、トナーの帯電性を充分に制御することができない。したがって、前記共重合体粒子の負電荷制御剤としての特性を充分に発揮させるためには、乳化重合法によって得られる前記共重合体粒子を用いることが好ましい。乳化重合法によって得られる前記共重合体粒子を用いることによって、前記共重合体粒子が結着樹脂中に粒子状態で均一に分散され、前記共重合体粒子の特性が充分に発揮されるので、帯電の経時安定性、特に高温、高湿時の帯電の立ち上がり特性が一層向上される。
共重合体粒子を製造する際の乳化重合法としては、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。ただし、スルホン酸系単量体の水への溶解性を考慮してラジカル重合性単量体との共重合性が良くなるように、溶媒である水中に単量体を加える際に、単量体を滴下したり、単量体を少量ずつ加えたりして重合させることが好ましい。特に、ラジカル重合性単量体とスルホン酸系単量体とを重合用容器に別々に滴下して乳化重合させることが好ましい。たとえば、水およびドデシル硫酸ナトリウムなどの乳化剤の入れられた重合用容器に、ラジカル重合性単量体の水溶液とスルホン酸系単量体の水溶液とを別々に滴下することによって、ラジカル重合性単量体とスルホン酸系単量体とを速やかに共重合させることができる。
乳化重合後の共重合体は、真空乾燥法、スプレイドライ法または塩析法などによって、重合系から前記共重合体粒子として取出される。なお、前記共重合体粒子は、重合系から取出された状態では凝集していてもよい。乳化重合によって得られる前記共重合体粒子は、前述のように表面のスルホン酸基濃度が高いので、取出された共重合体粒子に凝集が生じていても、トナー製造時の熱溶融混練工程において容易に1次粒子にまで分散される。したがって、トナー粒子中での前記共重合体粒子の良好な分散状態は維持される。
負電荷制御剤には、以上のようにして得られる前記共重合体粒子を1種単独で用いてもよく、また異なる単量体から製造される2種以上の前記共重合体粒子を混合して用いてもよい。
着色剤としては、公知の黒色着色剤または有彩色着色剤を用いることができる。着色剤の色は、所望の色のトナーが実現されるように、適宜選択される。たとえば、黒色トナーを製造する場合には黒色着色剤が用いられ、カラートナーを製造する場合には、各色に対応する有彩色着色剤が用いられる。
黒色着色剤としては、製法によって分類される種々のカーボンブラックが好適に用いられ、具体例としては、たとえばファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックおよびランプブラックなどを挙げることができる。
有彩色着色剤としては、有機顔料が好適に用いられ、具体例としては、カラーインデックス(Color Index;略称:C.I.)ナンバーで分類される以下の顔料を例示することができる。青系の有機顔料としては、フタロシアニン系のピグメントブルー15:3、インダンスロン系のピグメントブルー60などが挙げられる。赤系の有機顔料としては、キナクリドン系のピグメントレッド122、アゾ系のピグメントレッド22、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド57:1などが挙げられる。黄系の有機顔料としては、アゾ系のピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、イソインドリノン系のピグメントイエロー110、ベンズイミダゾロン系のピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー180などが挙げられる。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練される樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
マスターバッチは、上記の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得られる。着色剤と樹脂との相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミルなどの高せん断分散装置が好ましく用いられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上10質量部以下である。1質量部より少ないと、充分な着色度を得ることができず、20質量部より多いと、着色剤がトナー中に均一に分散しない。
本実施の形態によるトナー粒子には、前述の結着樹脂、着色剤および負電荷制御剤に加え、ワックスを含有させることが好ましい。トナー粒子中にワックスを含有させることによって、トナーの低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性(保存安定性)および流動性を向上させることができる。
ワックスとしては、モンタン酸エステルワックスなどの天然ワックス、高圧法ポリエチレンもしくは高圧法ポリプロピレンなどのポリオレフィン系ワックス、シリコーン系ワックス、またはフッ素系ワックスなどを用いることができる。これらのワックスは、市販品として入手可能であり、好適なワックスとしては、三洋化成工業株式会社製のビスコール660P、ビスコール550P、ビスコール330P、TP−32(商品名)、三井化学株式会社製のミツイハイワックスNP505、P200、P300、P400(商品名)などが挙げられる。
前述のワックスの中でも、JIS K2207に規定される針入度が1.5以下、好ましくは1.0以下であり、かつ融点が80℃以上110℃以下、好ましくは85℃以上105℃以下であるワックスを用いることが好ましい。このようなワックスを前述の結晶性樹脂と組合せて用いることによって、低温定着性と保存安定性との両立および最適化を容易に行うことできる。なお、ワックスの針入度は、小さいほど好ましい。本明細書中において、ワックスの融点とは、示差走査熱量分析計(DSC)によって測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピーク、すなわち融解ピークの頂点の温度のことであり、セイコー電子工業株式会社製のSSC−5200を用い、試料を温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、2回目の操作で測定されるDSC曲線から得られるものである。
針入度および融点が前記範囲にあるワックスとしては、特に限定されるものではないけれども、フィッシャートロプシュワックス(以下、FTワックスとも称する)を用いることが好ましく、精製FTワックスを用いることが特に好ましい。FTワックスの精製度は、融解ピークの半値幅で示され、精製FTワックスの精製度は、融解ピークの半値幅で通常15℃以下であり、好ましくは10℃以下である。フィッシャートロプシュワックスは、フィッシャートロプシュ法を用いた一酸化炭素の触媒水素化によって合成されるワックス状炭化水素であり、構造的には、メチル分岐の少ない直鎖状のパラフィン系ワックスである。本実施の形態では、天然ガスを原料としてフィッシャートロプシュ法によって製造された天然ガス系フィッシャートロプシュワックスを用いることが好ましい。このような天然ガス系FTワックスとしては、シェル・MDS社製のFT−100、FT−0030、FT−0050、FT−0070、FT−0165、FT−1155、FT−60S(商品名)などが市販されている。
FTワックスは、前述のように、融点が80℃以上110℃以下であることが好ましい。融点が80℃よりも低いFTワックスを用いると、トナーの保存安定性および流動性の向上効果が得られにくい。また、融点が110℃よりも高いFTワックスは、トナーの溶融粘度を下げる効果が少ないので、このようなFTワックスを用いても、トナーの低温定着性を向上させる効果は得られにくい。
また、定着時に樹脂よりしみ出しやすい離型剤をさらに含有することにより離型性を補うことが可能である。具体例としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスおよび木ロウなどの植物系ワックス、ミツロウなどの動物系ワックス、モンタンワックスなどの鉱物系ワックス、パラフィンなどの石油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワッックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素ワックス、酸アミドワックスおよび合成エステルワックスなどが挙げられる。これらのうち、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの植物系ワックスおよびみつロウなどの動物系ワックスが好ましい。これらのワックスは、ポリエステル樹脂と適度に分散し、さらに、融点が60℃〜110℃であり、樹脂のガラス転移点Tgおよび軟化点との関係が、しみ出しに効果的であることなどの利点があり、好ましい。
なお、植物系ワックスの分子量は、東ソー社製GPCにて測定した結果、重量平均分子量は400以上5000以下が好適であり、5000を超えるとワックスの分散粒子径が大きくなり透明性や新たなキャリア汚染、感光体付着が発生する可能性がある。400未満ではトナーの耐熱保存低下につながるおそれがある。
これらのワックスは、1種が単独で用いられてもよく、また2種以上が混合されて用いられてもよい。
樹脂Cの含有量と、ワックスの含有量との比C/Wは、重量比で1/1以上4/1以下であることが好ましく、より好ましくは2/1以上3/1以下である。このような範囲に選択することによって、トナー中におけるワックスの分散性が良好になり、トナーの低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性および流動性を向上する効果が充分に発揮される。ただし、FTワックスは、結着樹脂との相溶性があまり良好でないので、大量に使用されると、結着樹脂中における分散性が悪化する。ワックスの分散性が悪化すると、トナー製造時の粉砕工程においてワックスが脱離しやすくなり、トナーの耐オフセット性および流動性を向上させる効果が得られにくくなるので好ましくない。したがって、FTワックスの使用量は、結着樹脂100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは2重量部以上6重量部以下である。
ワックスの酸価は、1以上20以下が適当である。このことは、ワックスに離型性を付与するとともに、高い酸価値にすることで、定着性を向上させる働きがあるからである。酸価が高い場合は、記録紙とトナーの親和性があがるためと考えられる。分子量については、ワックスと結着樹脂との分散性において、適度なワックスの分散性が求められ、具体的には、ワックスの分散粒径として、0.1μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
以上に述べた材料が含有される本実施の形態によるトナー粒子には、粉体流動性を向上させるために、外添剤を添加することが好ましい。外添剤は、トナー粒子の表面に付着するように添加されてもよく、一部がトナー粒子に埋め込まれるように添加されてもよい。
外添剤としては、シリカなどの無機微粒子が挙げられ、これらの中でも、特に疎水性を有するものが好適に用いられる。疎水化処理されたシリカ微粒子としては、たとえば二酸化ケイ素を各種のポリオルガノシロキサンまたはシランカップリング剤などで表面処理して得られるものが挙げられる。このような疎水化処理されたシリカ微粒子は、たとえば、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R972、R974、R202、R805、R812、RX200、RY200、R809、RX50(商品名)、ワッカーケミカルズイーストアジア株式会社製のWACKER HDK H2000、H2050EP(商品名)、日本シリカ工業株式会社製のNipsil SS−10、SS−15、SS−20、SS−50、SS−60、SS−100、SS−50B、SS−50F、SS−10F、SS−40、SS−70、SS−72F(商品名)などとして市販されている。
外添剤に用いられるシリカ微粒子としては、比較的大きい平均粒子径を有するものと、比較的小さい平均粒子径を有するものとがあり、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
シリカ微粒子などの外添剤の外添量は、トナーに付与すべき帯電量、感光体への影響、トナーの環境特性などを考慮して決定され、具体的には、トナー粒子100重量部に対して、0.1重量部以上5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2重量部以上3重量部以下である。
次に、本実施の形態によるトナーの製造方法を説明する。本実施の形態によるトナーは、混練粉砕法、スプレイドライ法または重合法などの公知の方法によって製造することができ、たとえば以下のようにして製造される。
非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂、着色剤、負電荷制御剤に、必要に応じてワックスなどの各種添加剤を加え、ボールミルなどの混合機で均一に混合する。結着樹脂に含まれる各樹脂は、各樹脂の粉末状のものまたはペレット状のものが単に混合されて用いられてもよく、また溶融混練によって均一に混合分散された後、粉砕などによって粉末状またはペレット状にされて用いられてもよい。また、着色剤は、結着樹脂中に均一に分散するように、予めフラッシング処理を施されて用いられてもよく、また結着樹脂の一部と予め溶融混練され、結着樹脂中に着色剤が高濃度で分散されたマスターバッチとして用いられてもよい。
得られた混合物を、2本ロールニーダ、3本ロールニーダ、加圧ニーダ、密閉式ニーダ、または1軸もしくは2軸の押出し機などの混練手段によって溶融混練する。得られた混練物を冷却した後、ジェットミルなどの粉砕機で微粉砕し、必要に応じて風力分級機などで分級することによって、トナー粒子を得る。トナー粒子に前述の外添剤を添加する場合には、たとえばヘンシェルミキサなどの通常の粉体混合機またはハイブリダイザなどのいわゆる表面改質機を用いて、粉砕後または分級後のトナー粒子と外添剤とを均一に混合する。
このようにして得られるトナー粒子または外添剤の添加されたトナー粒子の体積平均粒子径は、5μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上8μm以下である。さらに、個数平均粒子径Dpとの比(Dv/Dp)が1.05以上1.25以下であることが好ましい。
トナーの溶融粘度が、110℃において2.0×103Pa・s以上2.0×104Pa・s以下であり、130℃において20Pa・s以上2.0×103Pa・s以下であることが好ましい。溶融粘度が、前記範囲にあれば、定着時に適正な溶融粘度を示すことになり、樹脂の定着性と、離型剤のしみ出しの良さによる耐ホットオフセット性を同時に満足させることができるものである。
トナーをオーバーヘッドプロジェクター(OHP)シート上に付着量が1cm2あたり0.8mg以上1.2mg以下となるよう定着させた画像表面の接触角が90°以上130°以下であることが、樹脂の定着性と、離型剤のしみ出しの良さによる耐ホットオフセット性を同時に満足できるため好ましい。接触角は、定着時に離型剤が充分にしみ出しているかどうかを評価する指標である。樹脂が完全に溶融し、ある程度の定着強度が得られた状態では定着面は平滑で、接触角の値は形状の影響を受けずに最表面にある材料の特性を表している。したがって、一定の定着強度のもとでは、離型剤が完全にしみ出していれば、離型剤の接触角を示し、全くしみ出していなければ結着樹脂やトナー粒子の最表面に存在する離型剤等の分散物の接触角を示す。90°より小さい場合は、離型剤のしみ出しが十分に行われておらず、耐ホットオフセット性の向上に充分でないことを意味する。130°より大きい場合は、離型剤の影響よりもむしろ画像表面の形状の粗さによる影響が大きく、樹脂が充分に溶融しておらず定着強度そのものが弱いことを意味する。本トナーは定着時に適正な溶融粘度を示すことによって、樹脂の定着性と、離型剤のしみ出しの良さによる耐ホットオフセット性を同時に満足させることができるものである。
トナーは、OHP上での透明性および光沢性の確保と、離型剤のしみ出しによる耐ホットオフセット性の付与とのバランスより、離型剤の分散径が0.1〜3μmである粒子が70個数%以上を占めることが好ましく、より好ましくは、1μm〜2μmの粒子が70個数%以上である。0.1μmより小さい粒子が多いと、充分な離型性を発現できない場合があり、また、3μmより大きい粒子が多いと、凝集性を示して流動性が悪化したりする場合がある。さらに、フィルミングを生じたり、カラートナーにおける色再現性や光沢性を低下させたりしてしまうおそれがある。
トナーの円形度は、0.94以上1.00以下が好ましい。すなわち、トナーは、球形に近いほうがよい。したがって、円形度が、0.94より小さいと、均一な画像を形成できない。
なお、本明細書中におけるトナーの物性値は、以下のようにして測定された値である。
<接触角>
測定画像は、市販カラー複写機(シャープ株式会社製:SF8400A)の定着装置を改造して、内側に加熱源を有する円筒状の芯金の上にシリコーンゴムからなる弾性体層(厚さ:2mm)を有し、さらに、その上にPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる離型層(厚さ:30μm)を有する60mmφの加熱ローラを使用し、面圧5kg/cm2、ニップ幅7.5mm、ニップ時間50ms、定着温度160℃、線速100mm/sにて、付着量0.8〜1.2mg/cm2となるようにトナーをOHPシート上に定着させて作製した。接触角の測定は、測定画像上にイオン交換水を一滴落とし、接触角測定装置(協和界面科学社製:FACE)により接触角を測定することにより行う。画像上の任意の5点について測定を行い、その平均値を測定値とした。
<平均粒子径>
日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布計(Model9320−X100)を用いてトナー粒子の平均粒子径を測定した。
<体積平均粒子径および個数平均粒子径>
コールター社製のコールターカウンターTA−IIおよびコールターマルチサイザーIIにおいて、アパーチャとして100μmアパーチャを用いて、を用い、電解液に分散されたトナー粒子を測定することにより、トナー粒子の体積および個数を求める。得られた値からトナー粒子の体積分布および個数分布を算出し、その分布に基づいて、トナー粒子の体積平均粒子径(Dv)、個数平均粒子径(Dp)を求める。測定する試料は、電解液(コールター社製:ISOTON−II)100〜150ml中に、分散剤としてアルキルベンゼンスルフォン酸塩などの界面活性剤を0.1〜5ml加え、トナー粒子を2〜20mg加え、超音波分散器(STM社製:UH−50)で約1〜3分間分散処理したものを使用する。なお、アパーチャのチャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満、2.52μm以上3.17μm未満、3.17μm以上4.00μm未満、4.00μm以上5.04μm未満、5.04μm以上6.35μm未満、6.35μm以上8.00μm未満、8.00μm以上10.08μm未満、10.08μm以上12.70μm未満、12.70μm以上16.00μm未満、16.00μm以上20.20μm未満、20.20μm以上25.40μm未満、25.40μm以上32.00μm未満、32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒子径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とする。
<円形度>
フロー式粒子像分析装置(FPIA:Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。トナー粒子のフロー式粒子像分析装置による測定は、フロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社(株)製:FPIA−1000)を用いて測定する。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cm3の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(和光純薬社製:コンタミノンN)を数滴加え、さらに、測定試料を5mg加え、超音波分散器(STM社製:UH−50)で20kHz、50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、さらに、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10−3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。
それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06−400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
[キャリア]
キャリア3は、キャリア芯材およびキャリア芯材を被覆する樹脂を含んで構成される。本実施の形態の現像剤は、以上のようにして製造されるトナーに対して、特定のキャリア、すなわち、
電気抵抗率R(Ω・cm)が、常用対数値(LogR)で12以上25以下であり、
下記式(1)で示される第1流動性指数F1が、63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、
下記式(2)で示される第2流動性指数F2が、30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下であるキャリアが組合されて成る。
F1=AD×FR …(1)
F2=AD×Hc …(2)
ここで、AD:見掛け密度(g/cm)、
FR:流動度(sec/50g)、
Hc:磁場3000Oeを印加した場合の保磁力(Oe)
このことによって、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に優れるとともに、キャリア付着およびトナー飛散がなく、かぶりのない高品質の画像を実現することのできる現像剤を得ることができる。
以下、電気抵抗率Rについて説明する。本実施の形態の現像剤に用いられるキャリアは、前述のように電気抵抗率R(Ω・cm)が、常用対数値(LogR)で12以上、25以下であり、より好ましくは13以上、20以下であり、さらに好ましくは13以上、18以下である。LogRが前記範囲にあるキャリアを用いることによって、キャリア付着の発生を抑え、充分な画像濃度を有する画像を実現することができる。
一般に、カラー画像の形成に用いられるカラー用現像剤のキャリアには、充分なトナー付着量を得るために、LogRが12よりも小さい低抵抗のものが使用され、LogRが前記範囲にあるキャリアをカラー用現像剤に用いると、充分なトナー付着量が得られず、画像濃度が低下する恐れがある。しかしながら、本実施の形態の現像剤は、電気抵抗Rが前記範囲にあるキャリアと、前述の非晶質樹脂、結晶性樹脂および前記共重合体粒子を含有するトナーとが組合されて成るので、トナーに対して適正な帯電量を付与することができ、これによって充分なトナー付着量が得られ、充分な画像濃度が得られる。なお、LogRが12未満であり、電気抵抗率Rが低いと、感光体と現像スリーブとの最近接距離である現像ギャップが狭い場合に、キャリアに電荷が誘導され、キャリア付着が発生し易くなる。このキャリアへの電荷の誘導によるキャリア付着の発生は、感光体の線速度が大きい場合および現像スリーブの線速度が大きい場合に悪化する傾向が見られ、特に感光体に交流(AC)バイアス電圧を印加する場合に顕著である。一方、LogRが25を超えると、トナーに適正な帯電量を付与することができず、トナー付着量が不足し、充分な画像濃度が得られないという不具合が発生する。したがって、LogRを12以上、25以下とした。
キャリアの電気抵抗率Rは、以下の方法によって測定することができる。図2は、キャリアの電気抵抗率Rの測定に用いる抵抗測定用セル11の構成を模式的に示す斜視図である。本実施の形態では、図2に示すように、抵抗測定用セル11として、電極間距離Lが2mmであり、互いに対向する面が縦2cm、横4cmである2つの電極12aおよび12bが内部に設けられたフッ素樹脂製容器を用い、電極12aと電極12bとの間にキャリア13を充填し、この状態で両極間に直流電圧100Vを印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード株式会社製:4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHWHU)にて直流抵抗を測定し、電気抵抗率R(Ω・cm)を算出する。
次に、第1流動性指数F1(以下、単にF1と表記する)について説明する。F1は、現像剤の収容される現像装置内部のうち、磁場の影響のない撹拌部におけるキャリアの単位体積当たりの流動性を示す。本実施の形態によるキャリアでは、F1は、前述のように63sec/(50・cm)以上、75sec/(50・cm)以下であり、好ましくは65sec/(50・cm)以上、72sec/(50・cm)以下である。F1が前記範囲にあるキャリアを用いることによって、現像装置内部における現像剤の偏りを抑え、形成される画像の画像濃度を均一にすることができる。また現像剤を劣化が生じない程度の負荷で充分に撹拌することができるので、トナー飛散およびかぶりの発生を抑えるとともに、長期に渡って良好な現像剤特性を維持することができる。
なお、F1が63sec/(50・cm)未満であると、流動性が良すぎて、現像剤の偏りが生じるので、現像スリーブ上での穂立ちが不均一になり、感光体に接する現像スリーブの位置によって画像濃度が異なるなどの問題が生じる。また現像剤の偏った部分では、撹拌時の負荷が大きいので、早期に現像剤特性が劣化するという問題も生じる。一方、F1が75sec/(50・cm)を超えると、流動性が悪すぎて、搬送性および撹拌性が悪くなるので、現像剤の偏りが生じ、F1が63sec/(50・cm)未満である場合と同様の問題が生じる。またトナーとキャリアとが充分に撹拌されないので、トナー飛散およびかぶりが発生する。このトナー飛散およびかぶりの発生を抑えるためには、撹拌時の現像剤に対する負荷を高め、トナーとキャリアとを充分に撹拌することが考えられるけれども、現像剤に対する負荷の高まりによって、現像剤特性の劣化が助長される。したがって、F1を63sec/(50・cm)以上、75sec/(50・cm)以下とした。
次に、第2流動性指数F2(以下、単にF2と表記する)について説明する。F2は、現像装置内部のうち、磁場の影響のある現像スリーブ上におけるキャリアの単位体積当たりの流動性を示す。またF2は、現像スリーブ上での磁気ブラシの穂立ち、およびキャリアチェーンの長さ(現像スリーブの磁極間にまたがって形成されるキャリアチェーンの度合)も示す。本実施の形態によるキャリアでは、F2は、前述のように30Oe・g/cm以上、100Oe・g/cm以下であり、好ましくは50Oe・g/cm以上、90Oe・g/cm以下である。F2が前記範囲にあるキャリアを用いることによって、現像スリーブ上に、磁気ブラシの穂が、適度な軟らかさで、適度に密にかつ均一に形成されるので、高品質の画像を得ることができる。またキャリア付着の発生を抑えることができる。
なお、F2が30Oe・g/cm未満であると、現像スリーブ上に形成される磁気ブラシの穂が疎になり、静電潜像にトナーが供給されにくくなり、充分な現像性が得られないとともに、トナーを充分に保持できないためか、トナー飛散が生じる。またキャリアチェーンが短く、立って形成されるので、磁気ブラシの穂が硬くなり、高品質の画像を得ることができないとともに、キャリアチェーンの先端での磁場が弱くなるためか、キャリアの付着が大きくなる。一方、F2が100Oe・g/cmを超えると、磁気ブラシの穂は密になるけれども、流動性が悪くなり、現像スリーブ上での現像剤の動きが悪くなるので、磁気ブラシの穂が不均一になり、静電潜像にトナーが充分に供給されず、画質が劣化する。また磁気ブラシの穂が密になりすぎて感光体に対する押圧力が強くなるためか、キャリア付着が多くなる。したがって、F2を30Oe・g/cm以上、100Oe・g/cm以下とした。
また、キャリアは、磁場3000エルステッド(Oe)を印加した場合の保磁力Hc(以下、単にHcと表記する)が、12Oe以上、60Oe以下であることが好ましく、より好ましくは30Oe以上、55Oe以下である。Hcが12Oe未満であると、キャリアチェーンが現像スリーブ上で密になりにくく、現像性が低下する。Hcが60Oeを超えると、現像剤の現像スリーブ上での流動性が悪化し、静電潜像にトナーが供給されにくくなり、現像性が低下する。またキャリアが現像スリーブから離れた後も会合して充分にほぐれず、撹拌部において新たに供給されたトナーと混ざりにくくなり、現像性が低下する。したがって、Hcは、12Oe以上、60Oe以下であることが好ましい。
また、キャリアは、磁場3000Oeを印加した場合の飽和磁化が、20emu/g以上、45emu/g以下であることが好ましく、より好ましくは22emu/g以上、38emu/g以下である。磁場3000Oeを印加した場合の飽和磁化が20emu/g未満であると、キャリアが感光体上に付着し易く、45emu/gを超えると、穂が硬くなる傾向にあり、高品質の画像が得られにくくなる。したがって、キャリアの磁場3000Oeを印加した場合の飽和磁化は、20emu/g以上、45emu/g以下であることが好ましい。
また、キャリアは、重量平均粒子径Dwが、30μm以上、120μm以下であることが好ましく、より好ましくは35μm以上、80μm以下であり、さらに好ましくは35μm以上、60μm以下である。キャリアの重量平均粒子径Dwが30μm未満であると、高品質の画像を得るためには有効であるけれども、キャリア1粒子当たりの磁化が低下し、キャリア付着の原因となる。キャリアの重量平均粒子径Dwが120μmを超えると、比表面積が小さくなり、帯電能力が低くなるので、トナーに充分な帯電量を付与することが困難になり、画質劣化の原因となる。したがって、キャリアの重量平均粒子径Dwは、30μm以上、120μm以下であることが好ましい。
なお、本明細書中におけるキャリアの見掛け密度AD、流動度FR、保磁力Hcおよび飽和磁化などの磁気特性、ならびに重量平均粒子径Dwは、以下のようにして測定された値である。
<見掛け密度AD>
JIS Z2504に規定される「金属粉の見掛密度試験法」に準拠して測定する。
<流動度FR>
JIS Z2502に規定される「金属粉の流動度試験法」に準拠して測定する。
<磁気特性>
B−Hトレーサ(理研電子株式会社製:BHU−60型)を用い、磁場3000エルステッド(Oe)を印加して得られたヒステリシス曲線から保磁力Hcおよび飽和磁化を読取る。
<重量平均粒子径Dw>
マイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製:Model9320−X100)を用いて測定する。
キャリアとしては、磁性を有する粒子そのものを用いてもよく、また磁性を有する粒子であるキャリア芯材と、キャリア芯材の表面を被覆する被覆層とを含んで構成されるものを用いてもよい。これらの中でも、キャリア芯材と被覆層とを含んで構成されるキャリアは、前述の電気抵抗率R、第1流動性指数F1および第2流動性指数F2の調整が容易であるので、好適に用いられる。
キャリアまたはキャリア芯材を構成する磁性材料としては、鉄粉、フェライト、マグネタイトなどが挙げられ、これらの中でも、フェライトが好適に用いられる。キャリア芯材にフェライトを用いることによって、電気抵抗率R、第1流動性指数F1および第2流動性指数F2が前記範囲にあるキャリアが容易に実現される。
被覆層としては、樹脂から成る樹脂層が好適に用いられる。被覆層を構成する樹脂としては、キャリアの製造に用いられる従来公知の各種の樹脂を用いることができ、具体的には、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体など)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体など)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂の中でも、本実施の形態では、下記一般式(II)で示される繰返し単位および下記一般式(III)で示される繰返し単位のうち、少なくとも1つを含むシリコーン樹脂が好適に用いられる。
Figure 2005181848
Figure 2005181848
一般式(II)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、またはアリール基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキレン基、またはアリーレン基を示す。Rの示すアリール基の具体例としては、フェニル基およびトリル基などを挙げることができる。Rの示すアリーレン基の具体例としては、フェニレン基などを挙げることができる。
一般式(III)において、RおよびRは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、またはアリール基を示す。RまたはRの示すアリール基の具体例としては、フェニル基およびトリル基などを挙げることができる。
シリコーン樹脂としては、ストレートシリコーン樹脂を挙げることができる。ストレートシリコーン樹脂は、市販品として入手可能であり、好適なものとしては、信越化学工業株式会社製のKR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406(商品名)などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、変性シリコーン樹脂、たとえばエポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーンなどを挙げることもできる。変性シリコーン樹脂は、市販品として入手可能であり、好適なものとしては、信越化学工業株式会社製のES−1001N(エポキシ変性物)、KR−5208(アクリル変性シリコーン)、KR−5203(ポリエステル変性物)、KR−206(アルキッド変性物)、KR−305(ウレタン変性物)、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性物)、SR2110(アルキッド変性物)などが挙げられる。
シリコーン樹脂には、アミノシランカップリング剤を適量、たとえば0.001重量%以上30重量%以下含有させてもよい。使用可能なアミノシランカップリング剤としては、たとえば以下の(a)〜(i)の化合物が挙げられる。
(a)HN(CHSi(OCH [分子量:179.3]
(b)HN(CHSi(OC [分子量:221.4]
(c)HN(CHSi(CH(OC) [分子量:161.3]
(d)HN(CHSi(CH)(OC [分子量:191.3]
(e)HN(CHNHCHSi(OCH [分子量:194.3]
(f)HN(CHNH(CHSi(CH)(OCH
[分子量:206.4]
(g)HN(CHNH(CHSi(OCH
[分子量:224.4]
(h)(HC)N(CHSi(CH)(OC
[分子量:219.4]
(i)(HN(CHSi(OCH [分子量:291.6]
被覆層を構成する樹脂として例示した前記シリコーン樹脂などの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
キャリア芯材粒子の表面に設けられる樹脂層は、スプレイドライ法、浸漬法またはパウダーコーティング法など公知の方法によって形成することができる。特に、流動床型コーティング装置を用いる方法は、均一な塗付膜を形成することができるので、好適に用いられる。
キャリア芯材は、樹脂で被覆された後に、焼付けを施されてもよい。焼付けは、外部加熱方式および内部加熱方式のいずれで行ってもよい。外部加熱方式の焼付けは、固定式もしくは流動式の電気炉、ロータリー式電気炉、またはバーナー炉などによって行われる。内部加熱方式の焼付けは、マイクロウェーブなどによって行われる。焼付けの温度は、使用する樹脂によって異なるけれども、樹脂の融点またはガラス転移点以上である必要があり、熱硬化性樹脂または縮合架橋型樹脂などを用いる場合には、硬化が充分に進む温度以上であることが必要である。
このようにして、キャリア芯材の表面を樹脂で被覆し、必要に応じて焼付けを行った後、冷却して解砕し、粒度を調整することによって、樹脂層で被覆されたキャリア芯材から成るキャリアが得られる。
キャリア芯材粒子の表面に形成される樹脂層などの被覆層の重量は、キャリア芯材100重量部に対して、0.8重量部以上、15重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以上、12重量部以下であり、さらに好ましくは4重量部以上、12重量部以下である。キャリア芯材100重量部に対する被覆層の重量が0.8重量部未満であると、被覆層の剥離が生じ易く、良好な現像特性を維持することが困難であり、15重量部を超えると、コスト上昇するので、好ましくない。したがって、キャリア芯材100重量部に対する被覆層の重量は、0.8重量部以上、15重量部以下であることが好ましい。
また被覆層の厚みは、0.02μm以上1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.03μm以上0.8μm以下である。このように、被覆層の厚みは極めて小さいので、被覆層で被覆されたキャリア芯材粒子から成るキャリアの粒度分布とキャリア芯材粒子の粒度分布とは、実質的に同じである。したがって、キャリア芯材として、重量平均粒子径が30〜120μm程度である粒子を用いることによって、重量平均粒子径Dwが30μm以上120μm以下の範囲にあるキャリアを得ることができる。
また、キャリア芯材と被覆層とを含んで構成されるキャリアの磁気特性は、キャリア芯材の磁気特性と実質的に同じである。
キャリアの電気抵抗率Rは、キャリア芯材と被覆層とを含んで構成されるキャリアでは、被覆層の電気抵抗率および膜厚を調整することによって、容易に制御することができる。被覆層の電気抵抗率の調整は、被覆層を構成する樹脂などの材料そのものによって行ってもよく、また被覆層に導電性微粉末を添加することによって行ってもよい。
被覆層に添加される導電性微粉末としては、導電性酸化亜鉛(化学式:ZnO)、アルミニウム(化学式:Al)などの金属または金属酸化物粉、種々の方法で調製された二酸化スズ(化学式:SnO)、種々の元素がドープされたSnOなどの半導体粉末、二ホウ化チタン(化学式:TiB)、二ホウ化亜鉛(化学式:ZnB)、二ホウ化モリブデン(化学式:MoB)などのホウ化物、炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリピロール、ポリエチレンなどの導電性高分子、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられる。
これらの導電性微粉末は、被覆層が樹脂層で構成される場合には、たとえば、適当な溶媒に樹脂と共に分散されて、または前述の樹脂が適当な溶剤に溶解されて成るコーティング樹脂溶液に分散されて使用される。導電性微粉末は、溶媒またはコーティング樹脂溶液に投入した後、ボールミルもしくはビーズミルなどのメディアを使用した分散機、または高速回転する羽根を備えた撹拌機などを使用することによって溶媒中またはコーティング樹脂溶液中に均一に分散させることができる。
本実施の形態の現像剤は、以上のようにして製造されるトナーとキャリアとを、トナー濃度が好ましくは1重量%以上10重量%以下、より好ましくは2重量%以上8重量%以下になるように混合することによって得られる。
[製造例]
(a)結晶性樹脂の製造
(結晶性ポリエステル樹脂C−1)
四つ口フラスコに、テレフタル酸415重量部(2.5モル部)と、イソフタル酸415重量部(2.5モル部)と、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(前記一般式(I)において、Rがエチレン基であり、xとyとの和(x+y)の平均値が2.0であるもの)1519重量部(4.8モル部)とを入れ、撹拌機、コンデンサおよび温度計をセットし、窒素ガスを吹込み、触媒としてジブチル錫オキサイドを全酸成分に対して0.07重量%添加し、温度220℃にて、脱水縮合によって生成した水を除去しながら15時間反応させ、線状の結晶性ポリエステル樹脂C−1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂C−1は、Mw:11000、Mn:4100、軟化点:143℃、融点:121℃、酸価:4.2、水酸基価:1.2であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C−2)
ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1519重量部(4.8モル部)に代えて、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン823重量部(2.6モル部)と、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(前記一般式(I)において、Rがプロピレン基であり、xとyとの和(x+y)の平均値が2.0であるもの)758重量部(2.2モル部)とを用いる以外は、結晶性ポリエステル樹脂C−1の製造と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂C−2を製造した。得られた結晶性ポリエステル樹脂C−2は、Mw:12000、Mn:4300、軟化点:137℃、融点:116℃、酸価:4.7、水酸基価:1.9であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C−3)
セバシン酸707重量部(3.5モル部)と、1,6−ヘキサンジオール496重量部(4.2モル部)と、ジブチル錫オキサイド1.5重量部とを均一に溶解させた後、脱水しながら温度120℃にて8時間反応させた。次いで、徐々に温度を上げて200℃とし、さらに減圧下で反応させた。その後、温度を下げて130℃とし、無水酢酸80重量部(0.78モル部)を加え、3時間反応させた後、生成した酢酸と過剰の無水酢酸とを留去し、結晶性ポリエステル樹脂C−3を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂C−3は、Mw:12,500、Mn:4,200、軟化点:85℃、融点:65℃、酸価:10、水酸基価:2であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C−4)
シクロヘキサンジメタノール1008重量部(7.0モル部)と、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(前記一般式(I)において、Rがエチレン基であり、xとyとの和(x+y)の平均値が2.2であるもの)975重量部(3.0モル部)とに、テレフタル酸1461重量部(8.8モル部)とジブチル錫オキサイド2.0重量部とを加え、均一に溶解させた後、脱水しながら温度120℃にて8時間反応させた。その後、徐々に温度を上げて200℃とし、さらに減圧下で反応させ、結晶性ポリエステル樹脂C−4を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂C−4は、Mw:11,500、Mn:3,200、軟化点:110℃、融点:92℃、酸価:16、水酸基価:35であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C−5)
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの使用量を895重量部(2.8モル部)とする以外は、結晶性ポリエステル樹脂C−4の製造と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂C−5を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂C−5は、Mw:12,000、Mn:3,650、軟化点:99℃、融点:85℃、酸価:18、水酸基価:3.4であった。
(b)非晶質樹脂の製造
表1に示す原料と触媒とを、窒素雰囲気下、キシレン中において温度220℃で反応させた。重合度を酸価によって追跡し、酸価が1.5mgKOH/g以下に達したときに反応を終了した。反応物を冷却後、粉砕することによって、高化式フローテスタ(株式会社島津製作所製:CFT−500)を用いた測定による軟化点Tmが120℃〜170℃である非晶質ポリエステル樹脂A−1およびA−2、ならびに前記軟化点Tmが90℃〜120℃である非晶質ポリエステル樹脂B−1、B−2およびB−3を得た。得られた樹脂A−1、A−2、B−1、B−2およびB−3の軟化点Tm、ガラス転移点Tgおよびクロロホルム不溶分率を表2に示す。なお、樹脂A−1、A−2、B−1、B−2およびB−3は、いずれも、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製:DSC210)によるDSC曲線の測定において、明確な融解ピークが観測されなかった。
Figure 2005181848
・BPA・PO:ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(前記一般式(I)において、Rがプロピレン基であり、xとyとの和(x+y)の平均値が2.2であるもの)
・BPA・EO:ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(前記一般式(I)において、Rがエチレン基であり、xとyとの和(x+y)の平均値が2.2であるもの)
・i−DSA:イソドデセニルコハク酸無水物
・TPA:テレフタル酸
・TMA:1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物
・FA:フマル酸(両反応性モノマー)
・HMDA:ヘキサメチレンジアミン
・DBO:ジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)
Figure 2005181848
(c)共重合体粒子の製造
(共重合体粒子CCR1)
撹拌機、コンデンサ、温度計および窒素導入管を付した3Lフラスコに、純水1000gと、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム4gとを入れ、窒素置換を30分間行った。次いで、ペルオキソ二硫酸カリウム(以下、KPSと表記する)2gを加え、撹拌して溶解させた。フラスコの内容物を窒素導入下、温度80℃まで昇温した。
温度80℃に到達した時点から、スチレン300gとアクリル酸−2−エチルヘキシル(以下、EHAと表記する)60gとの混合モノマーを純水600gに溶解させて得た水溶液と、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、AAPSと表記する)40gを純水600gに溶解させて得た水溶液とを、2時間かけて別々にフラスコに滴下した。その後、温度80℃に維持したまま、8時間重合反応を行い、エマルション溶液を得た。得られたエマルション溶液を温度50℃に設定された真空乾燥機で水分が1重量%以下になるまで乾燥し、本発明における共重合体粒子の要件を満足する共重合体粒子CCR1を得た。得られた共重合体粒子CCR1の1次粒子の平均粒子径は、0.1μmであった。
(共重合体粒子CCR2〜10)
表3に示す組成の原料を用いる以外は、共重合体粒子CCR1の製造と同様にして、本発明における共重合体粒子の要件を満足する共重合体粒子CCR2〜7と、本発明における共重合体粒子の要件を満足しない共重合体粒子CCR8〜10とを得た。なお、表3には、得られた各共重合体粒子の1次粒子の平均粒子径も合わせて示す。
(共重合体粒子CCR11)
乳化剤であるドデシル硫酸ナトリウムを用いずに懸濁重合を行なう以外は、共重合体粒子CCR1の製造と同様にして、本発明における共重合体粒子の要件を満足しない共重合体粒子CCR11を得た。得られた共重合体粒子CCR11の1次粒子の平均粒子径は、500μmであった。
Figure 2005181848
・St:スチレン
・EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・n−BA:n−ブチルアクリレート
・AAPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
・SSS:スチレンスルホン酸ナトリウム
・SEA:スルホエチルアクリル酸
・SEMS:スルホエチルメタクリル酸ナトリウム
(d)キャリアの製造
(キャリアCR1)
MnO換算で20.0mol%、Fe換算で80.0mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕しながら混合した。得られた混合物を乾燥させ、温度950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕し、スラリーとした。得られたスラリーを造粒乾燥し、窒素雰囲気中にて温度1300℃で6時間保持した後、解砕し、粒度調整を行った。その後、ロータリーキルンにて温度1000℃で酸化処理を行い、キャリア芯材として、マンガン系フェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子は、重量平均粒子径:50μm、磁場3000エルステッド(Oe)を印加した場合の飽和磁化:32emu/g、残留磁化:3emu/g、保磁力Hc:36Oeであった。
次に、シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製:商品名SR−2411)を固形分換算で100g秤量し、トルエン溶剤1000mLに溶解させ、コーティング樹脂溶液を調製した。このコーティング樹脂溶液を、先に作製したマンガン系フェライト粒子10kgに対して、流動床コーティング装置を用いて噴霧した(キャリア芯材100重量部に対する被覆材の重量:1.0重量部)。コーティング樹脂溶液の噴霧は、コーティング樹脂溶液の全量を噴霧するのに必要な時間(以下、コート時間と称する)が45分間になるように、単位時間当りの噴霧量を調整しながら行った。その後、温度220℃で2時間焼付けを行い、キャリアCR1を得た。
得られたキャリアCR1の物性値を表4に示す。表4に示すように、キャリアCR1は、LogR:17.0、F1:67.2sec/(50・cm)、F2:86.8Oe・g/cmであり、本発明におけるキャリアの要件を満足するものであった。
(キャリアCR2)
MnO換算で10mol%、MgO換算で39mol%、Fe換算で48mol%、SnO換算で1mol%、SrO換算で2mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕しながら混合した。得られた混合物を乾燥させ、温度950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕し、スラリーとした。得られたスラリーを造粒乾燥し、大気中にて温度1260℃で6時間保持した後、解砕し、粒度調整を行い、キャリア芯材として、フェライト粒子を得た。
次に、シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製:商品名SR−2411)を固形分換算で250g秤量し、トルエン溶剤1000mLに溶解させ、コーティング樹脂溶液を調製した。ヘンシェルミキサを用い、得られたコーティング樹脂溶液で、先に作製したフェライト粒子10kgを被覆した(キャリア芯材100重量部に対する被覆材の重量:2.5重量部)。その後、温度220℃で2時間焼付けを行い、本発明におけるキャリアの要件を満足するキャリアCR2を得た。得られたキャリアCR2の物性値を表4に示す。
(キャリアCR3)
MnO換算で10mol%、MgO換算で39mol%、Fe換算で47.5mol%、SnO換算で1mol%、SrO換算で2.5mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕しながら混合した。得られた混合物を乾燥させ、温度950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行い、スラリーとした。得られたスラリーを造粒乾燥し、大気中にて温度1260℃で6時間保持した後、解砕し、粒度調整を行い、キャリア芯材として、フェライト粒子を得た。
次に、アクリル変性シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製:商品名KR−9706)を固形分換算で250g秤量し、トルエン溶剤1000mLに溶解させ、コーティング樹脂溶液を調製した。ヘンシェルミキサを用い、得られたコーティング樹脂溶液で、先に作製したフェライト粒子10kgを被覆した(キャリア芯材100重量部に対する被覆材の重量:2.5重量部)。その後、温度220℃で2時間焼付けを行い、本発明におけるキャリアの要件を満足するキャリアCR3を得た。得られたキャリアCR3の物性値を表4に示す。
(キャリアCR4)
フェライト粒子の作製に際し、Feの割合を48.5mol%にし、SrOの割合を1.5mol%にする以外は、キャリアCR3の製造と同様にして、本発明におけるキャリアの要件を満足するキャリアCR4を作製した。得られたキャリアCR4の物性値を表4に示す。
(キャリアCR5)
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe換算で49.6mol%、SrO換算で0.8mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕しながら混合した。得られた混合物を乾燥させ、温度950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行い、スラリーとした。得られたスラリーを造粒乾燥し、大気中にて温度1285℃で6時間保持した後、解砕し、粒度調整を行い、キャリア芯材として、フェライト粒子を得た。
次に、アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製:商品名BR−80)を固形分換算で50g秤量し、トルエン溶剤1000mLに溶解させ、コーティング樹脂溶液を調製した。ヘンシェルミキサを用い、得られたコーティング樹脂溶液で、先に作製したフェライト粒子10kgを被覆した(キャリア芯材100重量部に対する被覆材の重量:0.5重量部)。その後、温度145℃で2時間焼付けを行い、本発明におけるキャリアの要件を満足しないキャリアCR5を得た。得られたキャリアCR5の物性値を表4に示す。
(キャリアCR6)
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe換算で49.6mol%、SrO換算で0.8mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕しながら混合した。得られた混合物を乾燥させ、温度950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行い、スラリーとした。得られたスラリーを造粒乾燥し、酸素濃度3%の雰囲気中にて温度1285℃で6時間保持した後、解砕し、粒度調整を行い、キャリア芯材として、フェライト粒子を得た。
次に、アクリル変性シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製:商品名KR−9706)を固形分換算で50g秤量し、トルエン溶剤1000mLに溶解させ、コーティング樹脂溶液を調製した。ヘンシェルミキサを用い、得られたコーティング樹脂溶液で、先に作製したフェライト粒子10kgを被覆した(キャリア芯材100重量部に対する被覆材の重量:0.5重量部)。その後、温度220℃で2時間焼付けを行い、本発明におけるキャリアの要件を満足しないキャリアCR6を得た。得られたキャリアCR6の物性値を表4に示す。
(キャリアCR7)
MnO換算で8mol%、MgO換算で32mol%、Fe換算で49mol%、SnO換算で1mol%、SrO換算で10mol%になるように各原材料を適量配合し、水を加え、湿式ボールミルで10時間粉砕しながら混合した。得られた混合物を乾燥させ、温度950℃で4時間保持した後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行い、スラリーとした。得られたスラリーを造粒乾燥し、大気中にて温度1285℃で6時間保持した後、解砕し、粒度調整を行い、キャリア芯材として、フェライト粒子を得た。
次に、アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製:商品名BR−80)を固形分換算で50g秤量し、トルエン溶剤1000mLに溶解させ、コーティング樹脂溶液を調製した。ヘンシェルミキサを用い、得られたコーティング樹脂溶液で、先に作製したフェライト粒子10kgを被覆した(キャリア芯材100重量部に対する被覆材の重量:0.5重量部)。その後、温度145℃で2時間焼付けを行い、本発明におけるキャリアの要件を満足しないキャリアCR7を得た。得られたキャリアCR7の物性値を表4に示す。
(キャリアCR8)
キャリアCR6の製造と同様にして、キャリア芯材であるフェライト粒子を作製した。次いで、アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製:商品名BR−80)を固形分換算で50g秤量し、トルエン溶剤1000mLに溶解させ、コーティング樹脂溶液を調製した。ヘンシェルミキサを用い、得られたコーティング樹脂溶液で、先に作製したフェライト粒子10kgを被覆した(キャリア芯材100重量部に対する被覆材の重量:0.5重量部)。その後、温度145℃で2時間焼付けを行い、本発明におけるキャリアの要件を満足しないキャリアCR8を得た。得られたキャリアCR8の物性値を表4に示す。
Figure 2005181848
[実施例]
(実施例I)
実施例Iでは、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性に対する結着樹脂の影響について検討した。なお、キャリアには、本発明におけるキャリアの要件を満足する前述のキャリアCR1を用いた。
(実施例1)
表5に示す組成の結着樹脂TB1の88重量部に、カーボンブラック(三菱化学株式会社製:MA100)6重量部と、共重合体粒子CCR1の4重量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製:ビスコール550P)4重量部と、フィッシャートロプシュワックス(FTワックス;日本精鑞株式会社製:FT7010)2重量部とを均一に混合した後、内部温度150℃の二軸押出機で混練した。得られた混練物を冷却した後、冷却物をジェットミルで微粉砕し、ディスパージョンセパレータで分級し、体積平均粒子径9μmのトナーTN1を得た。得られたトナーTN1中における結晶性ポリエステル樹脂C−1の分散粒径は、0.08〜0.12μmであった。なお、本実施例では、トナーの作製を複数回行い、各回毎にトナー中に含まれる結晶性樹脂粒子50個の長軸の長さの平均値を分散粒径として求め、得られた測定値の範囲で結晶性樹脂の分散粒径を表す。
得られたトナーTN1とキャリアCR1とを、トナー濃度が6重量%になるように均一に混合し、本発明の要件を満足する実施例1の現像剤を得た。
(実施例2〜8)
トナーの作製に際し、結着樹脂TB1に代えて、表5に示す組成の結着樹脂TB2〜8をそれぞれ用いてトナーTN2〜8を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する実施例2〜8の現像剤を製造した。各トナー中における結晶性ポリエステル樹脂の分散粒径は、いずれも0.08〜0.12μmであった。
(実施例9)
トナーの作製に際し、フィッシャートロプシュワックスの配合量を1重量部としてトナーTN9を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する実施例9の現像剤を製造した。トナーTN9中における結晶性ポリエステル樹脂C−1の分散粒径は、0.08〜0.12μmであった。
(実施例10)
トナーの作製に際し、フィッシャートロプシュワックスの配合量を5重量部としてトナーTN10を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する実施例10の現像剤を製造した。トナーTN10中における結晶性ポリエステル樹脂C−1の分散粒径は、0.08〜0.12μmであった。
(実施例11〜14)
トナーの作製に際し、結着樹脂TB1に代えて、表5に示す組成の結着樹脂TB9〜12をそれぞれ用いてトナーTN11〜14を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する実施例11〜14の現像剤を製造した。各トナー中における結晶性ポリエステル樹脂の分散粒径は、いずれも0.08〜0.12μmであった。
(実施例15)
トナーの作製に際し、結着樹脂TB1に代えて、表5に示す組成の結着樹脂TB10を用い、フィッシャートロプシュワックスを用いずにトナーTN17を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する実施例15の現像剤を製造した。トナーTN17中における結晶性ポリエステル樹脂C−4の分散粒径は、0.08〜0.12μmであった。
(実施例16)
トナーの作製に際し、結着樹脂TB1に代えて、表5に示す組成の結着樹脂TB10を用い、フィッシャートロプシュワックス2重量部に代えて、カルナバワックス(融点85℃、針入度8以上)2重量部を用いてトナーTN18を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足する実施例16の現像剤を製造した。トナーTN18中における結晶性ポリエステル樹脂C−4の分散粒径は、0.03〜0.08μmであった。
(比較例1)
トナーの作製に際し、結着樹脂TB1に代えて、表5に示す組成の結着樹脂TB13を用いてトナーTN17を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない比較例1の現像剤を製造した。
(比較例2)
トナーの作製に際し、結着樹脂TB1に代えて、表5に示す組成の結着樹脂TB14を用いてトナーTN18を作製する以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない比較例2の現像剤を製造した。
(比較例3)
トナーの作製に際し、混練物の冷却物をジェットミルで微粉砕する粉砕圧力を調整した以外は、実施例1と同様にして、本発明の要件を満足しない比較例3の現像剤を製造した。
Figure 2005181848
以上のように、トナーの作製に際し、結着樹脂の種類、ならびにワックスの種類および配合量を変化させることによって、本発明の要件を満足する実施例1〜16の現像剤と、本発明の要件を満足しない比較例1〜3の現像剤とを得た。
(評価1)
以上の実施例1〜16および比較例1〜3で作製した各現像剤について、以下のようにして、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性を評価した。
<低温定着性>
実施例1〜16および比較例1〜3で作製した各現像剤を用い、市販の複写機(シャープ株式会社製:AR5030F)から定着器を取除いて得られた試験用複写機によって、ネコサ記録紙上に未定着トナー画像を形成した。形成された未定着トナー画像を、市販の複写機(シャープ株式会社製:SF8400A)に備わる定着器を定着ローラの温度を変化させることができるように改造して得られた試験用複写機を用いて、JIS P0138に規定されるA4判用紙35枚/分の速度で定着させ、定着画像を形成した。
学振式堅牢度試験機(株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、1kgの重りが載せられた砂消しゴムによって、形成された定着画像を往復3回こすった。こする前後において、反射濃度計(マクベス社製)を用いて、定着画像の光学反射密度を測定して画像濃度を求め、下記式で定義される定着率を求めた。
定着率(%)=〔(こすった後の画像濃度)/(こする前の画像濃度)〕×100
画像濃度の水準が異なる定着画像について、定着率を求め、横軸に画像濃度、縦軸に定着率をプロットしたグラフを作成した。なお、測定に用いた定着画像の画像濃度の水準は、10段階であった。得られたグラフから、定着率の最小値を求め、この値をこの温度における最低定着率とした。
定着ローラの温度を155℃から240℃まで5℃ずつ順次上昇させ、各温度における最低定着率を求め、最低定着率が初めて70%を超えたときの定着ローラの温度を定着に必要な最低温度すなわち最低定着温度(MFR)として求め、低温定着性を評価した。ただし、定着ローラの温度が155℃のときに、最低定着率が70%を超えたものについては、最低定着温度が155℃以下であると判断し、低温定着性が非常に良好(◎)と評価した。
低温定着性の評価基準は、以下のようである。
◎:非常に良好。最低定着温度155℃以下。
○:良好。最低定着温度155℃を超え170℃未満。
△:やや不良。最低定着温度170℃以上190℃未満。
×:不良。最低定着温度190℃以上。
<耐オフセット性>
実施例1〜16および比較例1〜3で作製した各現像剤を用い、前述の低温定着性の評価と同様にして、未定着トナー画像を形成し、定着器の改造された市販の複写機(シャープ株式会社製:SF8400A)を用いて定着を行った。次いで、定着に使用した前記複写機に、トナー画像の形成されていない白紙の記録紙を、未定着トナー画像の定着時と同一の条件下で供給し、前記複写機から排出された記録紙を目視によって観察し、トナーの付着の有無を判断した。
この操作を定着ローラの温度を100℃から230℃まで5℃ずつ順次上昇させて繰返し行い、トナーの付着が初めて発生したときの定着ローラの温度をホットオフセット発生温度(HOF)として求め、耐オフセット性を評価した。ただし、定着ローラの温度を230℃まで上昇させても、トナーの付着が発生しなかったものについては、ホットオフセット発生温度が230℃を超えると判断し、耐オフセット性が非常に良好(◎)と評価した。
耐オフセット性の評価基準は、以下のようである。
◎:非常に良好。ホットオフセット発生温度230℃を超える。
○:良好。ホットオフセット発生温度210℃以上230℃以下。
△:やや不良。ホットオフセット発生温度190℃以上210℃未満。
×:不良。ホットオフセット発生温度190℃未満。
<耐ブロッキング性>
実施例1〜16および比較例1〜3で作製したトナーTN1〜18の各10gを、容量100mLのガラス瓶にそれぞれ入れ、温度50℃の恒温槽に2日間放置した。放置後のトナーの状態を目視によって観察し、耐ブロッキング性を評価した。
耐ブロッキング性の評価基準は、以下のようである。
◎:非常に良好。ブロッキングが全く見られない(トナー粉体状)。
○:良好。ブロッキングが見られるけれども、部分的(一部のトナーのみ凝集)。
△:やや不良。ソフトケーキング状態(容器中のトナー全体が凝集しているけれども、流動性あり)。
×:不良。ハードケーキング状態(容器中のトナー全体が凝集、かつ流動性なし)。
以上の評価結果を表6に示す。なお、表6には、各現像剤に含まれるトナー中の結晶性ポリエステル樹脂の分散粒径(μm)を合わせて示す。また表6のFTワックスの欄には、実施例1〜16および比較例1,3では、FTワックスの配合量を示し、比較例2では、カルナバワックスの配合量を示す。
Figure 2005181848
実施例1〜10から、非晶質樹脂と結晶性樹脂とを含む結着樹脂を用いて作製されたトナーTN1〜10は、低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性のいずれにも優れることが判った。実施例11〜16では、実施例1〜8と同様に、非晶質樹脂と結晶性樹脂とを含む結着樹脂を用いてトナーを作製しているけれども、結晶性ポリエステル樹脂の物性、配合比が好適な範囲にない、またはFTワックスを用いていないので、実施例1〜8に比べ、トナーの低温定着性、耐オフセット性および耐ブロッキング性がやや劣る結果となった。
比較例1から、結晶性樹脂を含まない結着樹脂を用いて作製されたトナーは、耐オフセット性は良好であるけれども、低温定着性および耐ブロッキング性は良好でないことが判った。比較例2から、結着樹脂にスチレン系樹脂を用いて作製されたトナーは、耐ブロッキング性が良好でなく、また耐オフセット性も充分でないことが判った。
(実施例II)
実施例IIでは、負電荷制御剤としてトナーに含まれる共重合体粒子の現像剤特性に対する影響について検討した。
実施例IIでは、実施例Iにおける評価に供した実施例1の現像剤と、共重合体粒子CCR1に代えて共重合体粒子CCR2〜11をそれぞれ用いてトナーTN20〜29を作製する以外は、実施例1と同様にして製造された実施例17〜22および比較例4〜7の現像剤とについて、以下のようにして現像剤特性を評価した。
(評価2)
<トナー飛散>
実施例1,17〜22および比較例4〜7の各現像剤を用い、市販の複写機(シャープ株式会社製:AR5030F)によって、ネコサ記録紙上に、所定のパターンの評価用画像を形成した。形成された評価用画像を目視によって観察し、トナーの飛散度合を評価した。
トナーの飛散度合の評価基準は、以下のようである。
◎:良好。評価用画像にトナー飛散なし、またはほとんどなし。
○:実使用上問題のないレベル。評価用画像にトナー飛散あり。
△:実使用上問題となるレベル。評価用画像に多くのトナー飛散あり。
×:実使用不可。評価用画像にかなり多くのトナー飛散あり。
<画質>
トナーの飛散度合の評価に供した評価用画像を目視によって観察し、画質を評価した。
画質の評価基準は、以下のようである。
◎:良好。階調性がよく、細線がはっきりとしており、解像性が非常によい。
○:実使用上問題のないレベル。階調性、細線(解像度)ともに問題のないレベル。
△:実使用上問題となるレベル。階調性が悪く、細線もはっきりとしていない。
×:実使用不可。階調性がかなり悪く、細線がつぶれている。
<耐久性>
実施例1,7〜22および比較例4〜7の各現像剤を用い、市販の複写機(シャープ株式会社製:AR5030F)によって、所定のパターンの評価用画像をネコサ記録紙10万枚に形成して耐刷試験を行った。耐刷試験中における評価用画像の画質の劣化度合を目視によって判断し、現像剤の耐久性を評価した。
耐久性の評価基準は、以下のようである。
◎:優良。1枚目から10万枚目までの間に画質劣化なし。
○:良好。1枚目から5万枚目までは画像劣化なく、5万枚目を超えて10万枚目までの間に画像劣化あり。
△:やや不良。1枚目から5万枚目までの間に画像劣化あり。
×:不良。1枚目から5000枚目までの間に著しい画像劣化あり。
以上の評価結果を表7に示す。
Figure 2005181848
表7から、トナーの負電荷制御剤として、ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られ、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子CCR1〜7を用いた実施例1および17〜22の現像剤では、トナー飛散が抑えられ、高品質の画像が得られることが判った。また実施例1および17〜22の現像剤は、耐久性にも優れることが判った。
これに対し、トナーの負電荷制御剤として、スルホン酸系単量体の割合が前記範囲を外れる共重合体粒子CCR8〜10、または1次粒子の平均粒子径が前記範囲を大きい方に外れる共重合体粒子CCR11を用いた比較例4〜7の現像剤では、キャリアおよびトナーの結着樹脂に実施例1および17〜22の現像剤と同一のものを用いているにも関わらず、トナー飛散が多発し、画質も悪く、また耐久性にも劣る結果となった。
(実施例III)
実施例IIIでは、キャリアの現像剤特性に対する影響について検討した。
実施例IIIでは、実施例Iにおける評価に供した実施例1の現像剤と、キャリアCR1に代えて、キャリアCR2〜8をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様にして製造された実施例23〜25および比較例8〜11の現像剤とについて、実施例IIと同様にして、トナーの飛散度合、画質および耐久性を評価した。また、以下のようにして、現像剤の偏り度合およびキャリアの付着度合を評価した。
(評価3)
<現像剤偏り>
実施例1,23〜25および比較例8〜11の各現像剤を用い、市販の複写機(シャープ株式会社製:AR5030F)によって、ネコサ記録紙上に、所定のパターンの評価用画像を形成した。形成された評価用画像における画像濃度のむらの有無を目視によって判断し、現像器内における現像剤の偏り度合を評価した。
現像剤の偏り度合の評価基準は、以下のようである。
◎:現像剤の偏りなし。評価用画像に濃度むらなし。
○:現像剤の偏りほとんどなし。評価用画像に無視できる程度の濃度むらあり。
△:現像剤の偏りあり。評価用画像に濃度むらあり。
×:現像剤の偏り大きい。評価用画像にかなりはっきりとした濃度むらあり。
<キャリア付着>
実施例1,23〜25および比較例8〜11の各現像剤を用い、市販の複写機(シャープ株式会社製:AR5030F)によって、所定のパターンの評価用画像を記録紙10枚に形成した。形成された評価用画像を目視によって観察し、キャリアの付着に相当する白斑の数を求め、記録紙へのキャリアの付着度合を評価した。
キャリアの付着度合の評価基準は、以下のようである。
◎:キャリア付着なし。評価用画像10枚中に白斑なし。
○:キャリア付着ほとんどなし。評価用画像10枚中に白斑1〜5個。
△:キャリア付着あり。評価用画像10枚中に白斑6〜10個。
×:キャリア付着多数。評価用画像10枚中に白斑11個以上。
以上の評価結果を表8に示す。
Figure 2005181848
表8から、キャリアとして、LogRが12〜25、F1が63〜75sec/(50・cm)、F2が30〜100Oe・g/cmの範囲にあるキャリアCR1〜4を用いた実施例1および23〜25の現像剤では、トナー飛散、現像剤の偏りおよびキャリア付着が抑えられ、高品質の画像が得られることが判った。また実施例1および23〜25の現像剤は、耐久性にも優れることが判った。
これに対し、キャリアとして、LogR、F1およびF2のうちの少なくともいずれか1つが前記範囲を外れるキャリアCR5〜8を用いた比較例8〜11の現像剤では、実施例1および23〜25の現像剤と同一のトナーを用いているにも関わらず、トナー飛散、現像剤の偏りおよびキャリア付着が発生し、画質も悪く、また耐久性にも劣る結果となった。
以上の実施例I〜IIIの結果から、非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%と含む単量体を重合させて得られ、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、体積平均粒子径Dvが、3μm以上10μm以下であるトナーに対して、LogRが12以上25以下であり、F1が63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、F2が30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下であるキャリアを組合せることによって、キャリア付着およびトナー飛散がなく、かぶりのない高品質の画像を実現することのできる現像剤が得られることが判った。
本発明の実施の一形態である現像剤1の構成を簡略化して示す概略断面図である。 キャリアの電気抵抗率Rの測定に用いる抵抗測定用セル11の構成を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
11 抵抗測定用セル
12a,12b 電極
13 キャリア

Claims (21)

  1. トナーとキャリアとを含む現像剤であって、
    前記トナーは、
    (a)非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、
    (b)ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られる共重合体粒子であって、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、
    体積平均粒子径Dvが、3μm以上10μm以下であり、
    前記キャリアは、
    電気抵抗率R(Ω・cm)が、常用対数値(LogR)で12以上25以下であり、
    下記式(1)で示される第1流動性指数F1が、63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、
    下記式(2)で示される第2流動性指数F2が、30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下であることを特徴とする現像剤。
    F1=AD×FR …(1)
    F2=AD×Hc …(2)
    ここで、AD:見掛け密度(g/cm)、
    FR:流動度(sec/50g)、
    Hc:磁場3000Oeを印加した場合の保磁力(Oe)
  2. 前記結晶性樹脂は、軟化点が、80℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1記載の現像剤。
  3. 前記非晶質樹脂は、軟化点が120℃以上170℃以下である樹脂(樹脂A)と、軟化点が90℃以上120℃以下である樹脂(樹脂B)とを含み、
    前記結晶性樹脂は、融点が、60℃以上140℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載の現像剤。
  4. 樹脂Aの含有量と、樹脂Bの含有量との比A/Bは、重量比で10/6以上10/1以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  5. 前記結晶性樹脂は、ジアリール化合物を0.1モル%以上60モル%以下含む単量体を縮重合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  6. 前記非晶質樹脂は、ジアリール化合物を40モル%以上80モル%以下含む単量体を縮重合させて得られるポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  7. 前記ジアリール化合物は、ビスフェノールA骨格を有するジオール化合物であることを特徴とする請求項5または6記載の現像剤。
  8. 前記結晶性ポリエステル樹脂は、ジアリール化合物以外の単量体を50%以上縮重合させた後に、反応系にジアリール化合物を添加してさらに縮重合させて得られるものであることを特徴とする請求項5または7記載の現像剤。
  9. 前記結晶性樹脂は、トナー中における分散粒径が、0.05μm以上0.20μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  10. 前記トナーは、ワックスをさらに含有し、
    前記結晶性樹脂の含有量と前記ワックスの含有量との比は、重量比で1/1以上4/1以下であることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  11. 前記トナーは、110℃における溶融粘度が、2.0×10Pa・S以上2.0×10Pa・S以下であり、130℃における溶融粘度が、20Pa・S以上2.0×10Pa・S以下であることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  12. 前記トナーは、オーバーヘッドプロジェクターシート1cmに対して0.8mg以上1.2mg以下となるように定着させた画像表面の水に対する接触角が、90°以上130°以下であることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  13. 前記トナーは、体積平均粒子径Dvと個数平均粒子径Dpとの比Dv/Dpが、1.05以上1.25以下であることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  14. 前記トナーは、円形度が、0.94以上1.00以下であることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  15. 前記キャリアは、重量平均粒子径Dwが、30μm以上120μm以下であることを特徴とする請求項1〜14のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  16. 前記キャリアは、磁場3000Oeを印加した場合の保磁力Hcが、12Oe以上60Oe以下であることを特徴とする請求項1〜15のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  17. 前記キャリアは、磁場3000Oeを印加した場合の飽和磁化が、20emu/g以上45emu/g以下であることを特徴とする請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  18. 前記キャリアは、
    キャリア芯材および前記キャリア芯材を被覆する被覆層を含み、
    前記被覆層の重量が、前記キャリア芯材100重量部に対して、0.8重量部以上15重量部以下であることを特徴とする請求項1〜17のうちのいずれか1つに記載の現像剤。
  19. 前記キャリア芯材は、フェライトであることを特徴とする請求項18に記載の現像剤。
  20. (a)非晶質樹脂および結晶性樹脂を含む結着樹脂と、
    (b)ラジカル重合性単量体99〜80重量%とスルホン酸系単量体1〜20重量%とを含む単量体を重合させて得られる共重合体粒子であって、1次粒子の平均粒子径が0.01μm以上2μm以下である共重合体粒子とを含有し、
    体積平均粒子径Dvが、3μm以上10μm以下であることを特徴とするトナー。
  21. 電気抵抗率R(Ω・cm)が、常用対数値(LogR)で12以上25以下であり、
    下記式(1)で示される第1流動性指数F1が、63sec/(50・cm)以上75sec/(50・cm)以下であり、
    下記式(2)で示される第2流動性指数F2が、30Oe・g/cm以上100Oe・g/cm以下であることを特徴とするキャリア。
    F1=AD×FR …(1)
    F2=AD×Hc …(2)
    ここで、AD:見掛け密度(g/cm)、
    FR:流動度(sec/50g)、
    Hc:磁場3000Oeを印加した場合の保磁力(Oe)
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