JP2007187959A - 非磁性トナー、現像剤、及び画像形成方法 - Google Patents

非磁性トナー、現像剤、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、定着分離性及び感光体フィルミングや現像ブレードへの固着のない優れた非磁性トナー、該非磁性トナーを製造する方法、該非磁性トナーを含有する現像剤、該非磁性トナー又は該現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法、及び該非磁性トナー又は該現像剤を用いて形成されたトナー像をオイルレス定着方法を用いて定着する画像形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】非磁性トナーについては、少なくともバインダー樹脂、ワックス及び着色剤を含有し、少なくとも前記ワックスはトナー中に複数個分散して存在し、トナー中に分散されるワックスの15個数%未満は、1.0μm未満の粒子径を有し、前記ワックスの粒子径の0.1μm幅での頻度分布における最頻値は2.0μm以上2.5μm未満を有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非磁性トナー、現像剤、及び画像形成方法に関する。
従来、トナーの定着方式として、加熱ロール方式が広く採用されている。加熱ロール方式において、トナー像は、加熱溶融状態で加熱ロールの表面と圧接触する。このため、トナー像の一部が加熱ロール表面に付着して転移し、次の被定着シート上に汚れを生じさせる現象(オフセット現象)の防止が課題となっている。また、この加熱ロール方式では、ロール部に分離爪等の分離機構を設けて、紙等の被定着シートがロール部を通過した後、ロールに巻きつく分離不良を防止している。しかしながら、近年、複写機/プリンターの小型化によりオイル塗布機構を設けないいわゆるオイルレス定着が主流を占めてきており、従来の加熱ロール方式では、定着器側とトナー側で工夫しないと分離不良が発生するという問題が生じる。
このため、トナー中にポリプロピレン、ポリエチレン等のワックスを多量に含有させることにより、加熱溶融時のトナーの離型性を向上させる方法や、加熱ロール表面をフッ素系樹脂等の分離性の優れた樹脂で被覆する方法が提案されている。しかしながら、ポリプロピレン、ポリエチレン等のワックスは、トナー製造で使用されるような比較的極性の強いポリエステル樹脂との相溶性が悪く、多量に充填することが難しいという課題がある。このような問題を解決するために、分子末端に極性基を有する酸化型ポリオレフィンワックス等の変性ワックスを使用して、ポリエステル樹脂とワックスとの相溶性を改善し、ワックスの分散性とワックスの高充填を両立させる技術が提案されている。しかしながら、これらの技術では、ワックスの分散性は向上するものの、変性ワックスは未変性のワックスと比較して溶融粘度が高くなるために、逆に分散径が小さくなりすぎてワックス本来の機能である離型性が低下し、オフセット現象が生じる問題がある。
また、オフセット性及び分離性についての問題は、特に、フルカラートナーにおいて顕著である。すなわち、フルカラートナーは、黒トナーと比較して定着加熱時の熱溶融性を高め、低粘度化し、光沢や透明性、色再現性を得る必要がある。しかしながら、このような要求特性を達成する樹脂を用いたフルカラートナーは、熱溶融時の分子間凝集力が低下しやすくなるため、定着ローラ通過時に加熱ローラヘのトナー付着性が増して、分離不良、高温オフセットがより顕著に発生しやすくなる。この分離不良、高温オフセットを防止するために、トナー中にワックスを高充填して、定着ローラヘのトナーの付着性を低減することが行われている。しかしながら、ワックス高充填に伴う、ワックス分散径の大径化により遊離ワックスによる画像ノイズ等が課題となっている。
そこで、最近ではトナー中におけるワックスの分散径を規定することで、上記課題を解決する技術が提案されている。
3μm以上のワックス粒子3個数%以下、2μm以上3μm未満のワックス粒子12個数%以下、1μm以上2μm未満のワックス粒子5〜30個数%、1μm未満のワックス粒子55〜95個数%である非磁性一成分用トナー(特許文献1参照)、2種類のワックスを含有し、標準偏差が0.4以上2.0未満であり、トップピークが1.0〜1.5μmの間にあり、1.0μm以上1.5μm未満のワックス粒子の個数比率が20%以上40%未満であり、2.5μm以上のワックス粒子の個数比率が20%未満であるトナー組成物(特許文献2参照)が知られている。しかしながら、特許文献1の技術では、トナー中におけるワックスの分散径が極めて小さいので、オイルレス定着を前提とした場合、満足な定着分離性能を得ることができない。また、特許文献2の技術では2種類のワックスを含有しているため、トナー中のワックス分散径がブロードになりやすく、シャープなワックス分散径にコントロールするのが難しい。故に、ワックスをかなり高充填しないと定着分離性能を達成することは難しく、その際、耐熱保存性や遊離ワックス抑制との両立が極めて困難である。従って上記の技術では、オイルレス定着システムにおける十分な定着分離性能を達成できない。
特許第3458629号公報 特開2004−126268号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、定着分離性及び遊離ワックスの抑制、並びに耐熱保存性に優れる非磁性トナー、該非磁性トナーの製造方法、該非磁性トナーを含有する現像剤、該非磁性トナー又は該現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法、及び該非磁性トナー又は該現像剤を用いて形成されたトナー像をオイルレス定着方法を用いて定着する画像形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、トナー中におけるワックスの分散径が特定の分散粒度分布を持つことにより、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
(1)少なくともバインダー樹脂、ワックス及び着色剤を含有する非磁性トナーにおいて、少なくとも前記ワックスは、トナー中に複数個に分散して存在し、分散した前記ワックスの15個数%未満は、1.0μm未満の粒子径を有し、前記ワックスの粒子径の0.1μm幅での頻度分布における最頻値は2.0μm以上2.5μm未満であることを特徴とする非磁性トナー。
本発明によれば、前記ワックスの15個数%未満は、1.0μm未満の粒子径を有し、前記ワックスの粒子径の0.1μm幅での頻度分布における最頻値は2.0μm以上2.5μm未満の粒子径を有することにより、環境変動に対する定着分離性能を十分満足すると共に遊離ワックスを起因とした画像ノイズを発生させない、優れた非磁性トナーを提供することができる。
(2)前記トナーが、非磁性一成分用トナーであることを特徴とする前記(1)記載の非磁性トナー。
前記(2)に記載の発明によれば、本発明は、特に非磁性一成分現像システムにおいて優れたトナーを提供することができる。
(3)前記ワックスの20個数%以上35個数%未満は、2.5μm以上の粒子径を有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の非磁性トナー。
前記(3)に記載の発明によれば、前記ワックスの20個数%以上35個数%未満は、2.5μm以上の粒子径を有することにより、オイルレス定着システムにおいて、環境変動の変化に対しても良好な定着分離性能を有する非磁性トナーを得ることができる。
(4)前記ワックスの40個数%以上60個数%未満は、2μm以上3μm未満の粒子径を有することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
前記(4)に記載の発明によれば、前記ワックスの40個数%以上60個数%未満は、2μm以上3μm未満の粒子径を有することにより、オイルレス定着システムにおいて、環境変動の変化に対しても良好な定着分離性能を有する非磁性トナーを得ることができる。
(5)前記ワックスは、パラフィンワックスを含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
前記(5)に記載の発明によれば、前記ワックスは、パラフィンワックスを含有することにより、一般的に用いられるポリオレフィン系のワックスよりも定着分離性能を格段に向上させることができる。
(6)前記バインダー樹脂は、前記ワックスの存在下で合成された樹脂を含有し、更には前記樹脂は、少なくとも縮重合系樹脂及びビニル系樹脂からなるハイブリッド樹脂であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
前記(6)に記載の発明によれば、前記バインダー樹脂は、前記ワックスの存在下で合成されたハイブリッド樹脂を含有することにより、ワックスとの相溶性が良好で、バインダー樹脂中のワックスの分散性を著しく向上させることができると共にトナーの強靭性、定着性及び耐オフセット性を向上させることもできる。
(7)前記ハイブリッド樹脂中におけるワックスの平均分散径は3〜5μmに微分散されていることを特徴とする前記(6)に記載の非磁性トナー。
前記(7)に記載の発明によれば、前記ハイブリッド樹脂中におけるワックスの平均分散径が3〜5μmに微分散されていることにより、比較的大きくかつシャープなワックス分散粒径分布の維持が可能になる。
(8)前記ワックスの融点は、70℃以上80℃以下であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
前記(8)に記載の発明よれば、前記ワックスの融点を、70℃以上80℃以下とすることにより、耐熱性、光沢及び低温定着性を向上させることができる。
(9)前記バインダー樹脂及び前記ワックスの総重量に対する前記ワックスの重量の比は、3.5%以上4.5%以下であることを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
前記(9)に記載の発明よれば、前記バインダー樹脂及び前記ワックスの総重量に対する前記ワックスの重量の比を、3.5%以上4.5%以下とすることにより、遊離ワックスによる感光体フィルミングや現像ブレードへの固着や耐熱保存性を両立させることができる。
(10)前記非磁性トナーの軟化点は、120℃以上130℃以下であることを特徴とする前記(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
前記(10)に記載の発明によれば、本発明の非磁性トナーの軟化点を、120℃以上130℃以下とすることにより、定着分離性と画像光沢度を両立させることができる。
(11)前記(6)〜(10)のいずれか一項に記載の非磁性トナーを製造する方法であって、少なくとも樹脂並びにワックスの存在下で合成されたハイブリッド樹脂と着色剤とからなるドライブレンド品を臼式混練機で溶融混練し、得られた溶融混練物を押出し成形することを特徴とする非磁性トナーの製造方法。
前記(11)に記載の発明によれば、従来の軸型混練機から臼式混練機に変えることで、トナー中のワックス分散径をより大径に均一に分散させることが可能になり、トナー中へのワックス含有量を最小限に抑えることが可能になる。
(12)前記(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の非磁性トナーを含有することを特徴とする現像剤。
前記(12)に記載の発明によれば、前記(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の非磁性トナーを含有することにより、定着分離性及び耐熱保存性に優れる現像剤を提供することができる。
(13)前記(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の非磁性トナー又は前記(12)に記載の現像剤を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
前記(13)に記載の発明によれば、前記(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の非磁性トナー又は前記(12)に記載の現像剤を用いて画像を形成することにより、定着分離性が良好な画像が得られる画像形成方法を提供することができる。
(14)前記(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の非磁性トナー又は前記(12)に記載の現像剤を用いて形成されているトナー像をオイルレス定着方法を用いて定着することを特徴とする画像形成方法。
前記(14)に記載の発明によれば、前記(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の非磁性トナー又は前記(12)に記載の現像剤を用いて形成されているトナー像をオイルレス定着方法を用いて定着することにより、定着分離性が良好な画像が得られる画像形成方法を提供することができる。
本発明によれば、定着分離性及び遊離ワックスが起因となる感光体フィルミングや現像ブレードへの固着のない優れた非磁性トナー、該非磁性トナーを製造する方法、該非磁性トナーを含有する現像剤、該非磁性トナー又は該現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法、及び該非磁性トナー又は該現像剤を用いて形成されたトナー像をオイルレス定着方法を用いて定着する画像形成方法を提供することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
本発明の非磁性トナーは、少なくともバインダー樹脂、ワックス及び着色剤を含有し、特にワックスは、バインダー樹脂中にあらかじめワックスが特定の粒子径で微分散されていることが好ましい。ここで、非磁性トナーは、バインダー樹脂、ワックス、着色剤等のトナー材料を溶融混練し、混練物を冷却、粉砕及び分級して得られるトナーだけでなく、冷却後の混練物も含む概念で使用する。すなわち、ワックスの粒子径分布は、トナーにおいてだけでなく、冷却後の混練物においても達成されている。
本発明の非磁性トナーにおいては、トナー中におけるワックス分散径が特定の分散粒度分布を持つことが好ましい。この特定の分散粒度分布が、これまでのトナー中における一般的なワックス分散粒径よりも比較的大きく、シャープな粒度分布をもつことにより、トナー中へのワックス添加量を抑制することが可能になり、結果としてオイルレス定着においても良好な定着分離性能を維持すると共に、一成分現像システムにおいてもワックスを起因とした感光体フィルミングや現像ブレード固着が発生しない、優れた非磁性トナーを得ることができる。
本発明の非磁性トナーにおいて、ワックスの分散粒径の最頻値は、2.0μm以上2.5μm未満であることが好ましい。最頻値が2.0μmより小さくなると、定着分離性が低下し、2.5μm以上となると、現像ブレードの固着、フィルミングが発生する。
また、1.0μm未満の粒子が15個数%未満であることも重要である。この1.0μm未満の粒子が15個数%以上だと、オイルレス定着における定着分離性能に支障をきたす。
このように本発明によれば、ワックスの粒子径を上記のように規定することにより、定着時にオイル塗布をしないオイルレス定着システムにおいても優れた定着分離性を達成することができる。また、トナー中に添加するワックスの比率を抑えることでトナー表面へ露出又は突出することを抑制できる。このワックス量の抑制効果により、ワックスの粒子がトナー撹拌時等において、トナーから離脱することを抑制することができる。本発明により、定着分離機能維持のためにワックスの添加量を必要以上に増量する必要性がなくなり、感光体、中間転写体、現像スリーブ等の部材の表面へのワックスの汚染を抑制して、部材の耐久寿命をより長くすることができ、画質の優れる画像を長期に亘って提供することができる。
本発明においては、ワックスの分散径として、ワックスの平均分散粒径の個数分布を用いた。具体的には、トナーをエポキシ樹脂に包埋して約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムで染色したものを、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて倍率1万倍で観察し、写真撮影により得られる画像から個々のワックスの平均粒子径を複数個測定し、それらの平均粒径の個数分布比率をもってワックスの分散粒子径分布とした。但し、分散粒子径の形状が球形ではなく、紡錘状等の非球形の場合は、長軸と短軸との和を2で割ったものを平均粒子径とした。
本発明の非磁性トナーは、通常、ワックスをあらかじめ微分散させたハイブリッド樹脂、着色剤等を溶融混練し、混練物を冷却、粉砕及び分級して得られるが、ワックスの分散粒子径は、混練機及び混練機の諸条件を適宜選択することにより、制御することができる。混練機としては、外部砥石と内部砥石との間に被処理物を導入し、回転剪断力を付加して混練を行う臼式混練機(コロクドミル等)を用いることが好ましい。この臼式混練機は、その外部砥石と内部砥石との間のギャップ(空隙)を調節することにより、その混練に際して溶融混練物に付加される回転剪断力をコントロールすることができる。
本発明においては、この臼式混練機を用いて、ワックスをあらかじめ微分散させたハイブリッド樹脂と着色剤とを、それらの溶融温度で溶融混練し、得られた溶融混練物を押出して押出し物を得る。
上記臼式混練機を用いて溶融混練物(ブレンド)を得る場合、臼式混練機の外部砥石と内部砥石との間の隙間間隔を調節することによりトナー中におけるワックス分散相のサイズを任意に制御することが可能である。外部砥石と内部砥石との間の隙間間隔は、一般的には0.05〜5mm、好ましくは0.1〜3mmである。通常、隙間間隔は0.1mmから3mmの間での任意の値を0.05mm間隔で設定可能であり、設定温度やその他諸条件とのバランスで任意に設定してやれば良い。
図1にその臼式混練機の概略を示した。試料は、供給フィーダ11から投入され、搬送スクリュー12Aを経て、外部砥石13と内部砥石14との隙間で混練され、再度送り部12Bを経た後、シリンダ15の中にある搬送スクリュー12Cを経て、排出口16から排出され、その後プレスローラ17で圧延冷却される。混練条件としては、外部砥石13と内部砥石14との隙間間隔、各砥石構成部の内部温度、スクリュー回転数を適宜選択すればよい。
一般的には、外部砥石13と内部砥石14との隙間間隔を狭くしたりすると、ワックスの粒子径は、小さくなる。逆に、外部砥石13と内部砥石14との隙間間隔を広くしたりすると、ワックスの粒子径は、逆に大きくなる。
本発明におけるワックスの粒子径分布を達成するためには、外部砥石13と内部砥石14との隙間間隔は0.8mmから1.2mmが更に好適である。
シリンダの内部温度は、バインダー樹脂の軟化点以上であることが好ましく、バインダー樹脂の軟化点より10℃高い温度程度がワックスや顔料の分散を考慮すると、特に好ましい。シリンダの内部温度は、通常、60℃以上180℃以下であり、70℃以上140℃以下が好適である。なお、軟化点としては、2種類以上の樹脂が混合されているバインダー樹脂を使用する場合は、混合樹脂の軟化点を用い、ワックスが添加されているバインダー樹脂を使用する場合は、ワックスを含むバインダー樹脂の軟化点を用いる。
スクリューの回転数は、通常、50rpm以上100rpm以下であり、60rpm以上90rpm以下が好適である。
また、本発明に使用するワックスとしては、公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
本発明において、トナー中へ添加するワックスは、バインダー樹脂中へのワックスの分散性の観点から、1種類であることが好ましい。これにより、トナー中でのワックスの粒子径をより制御しやすくなる。好ましいワックスとしては、パラフィンワックスが挙げられる。パラフィンワックスは、他のワックスに比べて粘度が低く、トナー表面にワックスが染み出しやすい性質が非常に強い、その結果として必要最小限にワックス量を抑制する事が可能になる。
本発明において、ワックスの融点は、70℃以上80℃以下であることが好ましい。融点が70℃より低くなると、耐熱性が低下し、80℃より高くなると、光沢や低温定着性が低下する。なお、ワックスの融点は、DSC曲線におけるピーク温度から求められる。本発明では、示差走査熱量計DSC−200(セイコー電子社製)を用いて融点を測定しているが、DSC曲線が得られる装置であれば、特に限定されない。
本発明において、バインダー樹脂及びワックスの総重量に対するワックスの重量の比は、3.5%以上4.5%以下であることが好ましい。この比が3.5%より少なくなると、オイルレス定着における定着分離性が低下し、4.5%より多くなると、遊離ワックスに起因する画像ノイズ等の原因となる。
本発明においては、2種類以上のワックスを用いてもよい。その場合、ワックスの重量の和が上記の範囲内であればよい。また、粒子径分布及び軟化点に関しては、使用するワックスの混合物によって達成されていればよい。
本発明で用いられるワックスは、バインダー樹脂、着色剤等を混合するときに添加してもよいが、バインダー樹脂の合成時に添加することがより好ましい。これにより、ワックスは、樹脂中に予備分散されるので、混練時のワックスの局在化を回避し、ワックス分散の安定化が可能となる。
本発明で用いられるバインダー樹脂は、特に制限されず、静電潜像現像用トナーの分野で公知のバインダー樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエステル系樹脂等の縮重合系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体等のビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、TOPAS−COC(Ticona社製)等の環状オレフィン樹脂(COC)等が挙げられる。オイルレス定着システムにおいては、縮重合系樹脂及びビニル系樹脂からなるハイブリッド樹脂が好ましく使用される。
本発明において、縮重合系樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸を重縮合させることにより得られるポリエステル樹脂を使用することができる。
多価アルコールのうち、2価アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
また、多価カルボン酸のうち、2価のカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、本発明においては、縮重合系樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとを同一容器中で混合し、縮重合系樹脂を得る縮重合反応及びビニル系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られる、縮重合系樹脂及びビニル系樹脂からなるハイブリッド樹脂も好適に用いることができる。なお、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとは、縮重合反応及びラジカル重合反応し得るモノマーである。例えば、縮重合反応し得るカルボキシル基とラジカル重合反応し得るビニル基を有するモノマーとして、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
縮重合系樹脂の原料モノマーとしては、上述した多価アルコール、多価カルボン酸等が挙げられる。
ビニル系樹脂の原料モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−メチルブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−メチルブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニル系樹脂を合成する際に用いるラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトン過酸化物、イソプロピルパーオキシカーボネート、過酸化ラウロイル、ジクミルパーオキシド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
本発明において、バインダー樹脂の酸価は、通常、5KOHmg/g以上50KOHmg/g以下であり、10KOHmg/g以上40KOHmg/g以下が望ましい。特に、ポリエステル系樹脂を用いる場合、このような酸価を有する樹脂を用いることにより、カーボンブラック等の着色剤等の分散性を向上させると共に、十分な帯電量を有するトナーとすることができる。
本発明においては、特に、オイルレス定着システムにおける定着分離性及び耐オフセット性をさらに向上させるため、バインダー樹脂としては、通常、軟化点の異なる2種類以上の樹脂を用い、軟化点が90℃以上110℃以下の第1の樹脂と軟化点が120℃以上140℃以下の第2の樹脂を用いることが好ましい。第1の樹脂の軟化点が95℃以上105℃以下で、第2の樹脂の軟化点が125℃以上135℃以下であると、さらに好ましい。また、トナーの耐熱性の観点から、第1及び第2の樹脂のガラス転移点は、通常、50℃以上75℃以下であり、55℃以上70℃以下であることが好ましい。バインダー樹脂として、2種類以上の樹脂を使用する場合においては、混合した樹脂の酸価が上記の範囲内であればよい。
第1の樹脂としては、上述した多価アルコールと多価カルボン酸を重縮合させて得られるポリエステル樹脂等の縮重合系樹脂が挙げられ、多価アルコールとして、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、多価カルボン酸として、テレフタル酸及びフマル酸の少なくとも一方を主成分として用いて得られるポリエステル樹脂が好ましい。
第2の樹脂としては、少なくとも上述した3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくとも一方を含むモノマー成分を重縮合させて得られるポリエステル樹脂等の縮重合系樹脂が挙げられ、2価アルコールとして、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、3価以上のカルボン酸として、トリメリット酸、2価カルボン酸として、テレフタル酸、フマル酸及びドデセニルコハク酸からなる群より選択される1種以上を主成分として用いて得られるポリエステル樹脂が好ましい。
また、第2の樹脂としては、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと反応するモノマーとを同一容器中で混合し、ポリエステル樹脂を得る縮重合反応及びビニル系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られる、ポリエステル樹脂及びビニル系樹脂からなるハイブリッド樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂は、ワックスの分散性、トナーの強靭性、定着性、耐オフセット性等を向上させる観点から好ましい。この場合、第2の樹脂が合成される際の、全モノマー重量に対するビニル系樹脂の原料モノマーの重量の比は、通常5%以上30%以下であり、10%以上25%以下が好ましい。
このような第2の樹脂は、耐高温オフセット性の観点から、テトラヒドロフラン(THF)に不溶な成分を含有することが好ましい。なお、バインダー樹脂は、通常、THFに不溶な成分を0.1重量%以上30重量%以下含有し、1重量%以上10重量%以下含有することが好ましい。
また、定着分離性と低温定着性との両立の観点から、バインダー樹脂の重量に対する第2の樹脂の重量の比は、50%以上70%以下であることが好ましい。
本発明において、ワックスは、バインダー樹脂を合成する際に添加されていることが好ましい。すなわち、バインダー樹脂を合成するためのモノマー中にワックスを添加した状態でモノマーの重合を行えばよい。特に、バインダー樹脂として、上記のような第1の樹脂(低分子量成分)と第2の樹脂(高分子量成分)を併用する場合においては、ワックスは、第1の樹脂に比べて、第2の樹脂に分散しにくいため、第2の樹脂を合成する際にワックスを添加することが好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂を構成する酸モノマー及びアルコールモノマー(並びに所望により用いられるビニル系樹脂の原料モノマー)にワックスを添加した状態で縮重合反応(及び所望によりラジカル重合反応)を行えばよい。
本発明において、着色剤としては、従来から静電潜像現像用トナーの着色剤として使用されている公知の顔料及び染料を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。バインダー樹脂の重量(バインダー樹脂にワックスが添加されている場合にはワックスの重量を含む)に対する着色剤の重量の比は、2%以上15%以下であることが好ましい。
トナー中での分散性の観点から、着色剤は、バインダー樹脂と溶融混練し、冷却及び粉砕して得られるマスターバッチの形態で使用されることが好ましい。着色剤をマスターバッチの形態で使用する場合、マスターバッチの添加量は、着色剤の重量が上記の範囲内となるようにすればよい。
本発明の非磁性トナーは、帯電制御剤等の添加剤を含有してもよい。
帯電制御剤としては、従来から静電潜像現像用トナーの分野で帯電性を制御するために添加されている公知の帯電制御剤を用いることができる。具体的には、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物等の含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む共重合体のような高分子酸、カリックスアレーン化合物、有機ホウ素化合物等が挙げられる。
本発明の非磁性トナーは、バインダー樹脂、ワックス及び着色剤並びに所望の添加剤を溶融混練して冷却した後、粉砕及び分級することによって得ることができる。その際、前述したように、特定の混練機及び混練条件を適宜選択することによって、非磁性トナーのワックスの粒子径分布を達成することができる。ワックスは、バインダー樹脂、着色剤等のトナー材料と同時に混合されても、バインダー樹脂の合成時に添加されてもよいが、後者がより好ましい。
本発明の非磁性トナーは、軟化点が120℃以上130℃以下であることが好ましい。軟化点が120℃より低いと、定着分離性が低下し、130℃より高いと、画像光沢度が低下する。
また、非磁性トナーの体積平均粒子径は、通常、5μm以上10μm以下であり、6μm以上9μm以下が好適である。
本発明で得られたトナーの流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、2nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
本発明の現像剤は、本発明の非磁性トナーを含有する。このため、定着分離性及び一成分現像システムにおいてもワックスを起因とした感光体フィルミングや現像ブレード固着のない優れた現像剤が得られる。
本発明の画像形成方法は、本発明の非磁性トナー又は現像剤を用いて画像を形成する。このため、定着分離性が良好な画像を得ることができる。
本発明の非磁性トナー又は現像剤から得られるトナー像を定着させる際には、加熱部材と、加熱部材に圧接して配置された加圧部材との圧接部(又は加圧加熱部材との圧接部)に、トナー像を担持した用紙等の記録シートを通過させる、定着用オイルを必要としないオイルレス定着方法を採用することが好適である。さらに、加熱部材の表面は、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂から形成されていることが好ましい。
このような定着方法を採用したオイルレス定着装置として、図2に概略的に示す定着装置を好ましく用いることができる。図2の定着装置は、加熱部材として、加熱ローラ1、加圧部材として、加圧ローラ2を用いている。詳しくは、加熱ローラ1、加熱ローラ1に圧接される加圧ローラ2、定着後のシートを加熱ローラ1から分離するための分離板3を備えている。加熱ローラ1は、通常、アルミ芯金4上に弾性体層5及び表層6を有しており、アルミ芯金4内部にヒーター7を備えている。加圧ローラ2は、通常、アルミ芯金8上に弾性体層9及び表層10を有している。弾性体層5及び9の材質は、特に制限されないが、シリコーンゴムであることが好ましい。表層6及び10の材質は、特に制限されないが、フッ素系樹脂が好ましく、PFAが特に好ましい。
図2において、加熱ローラ1と加圧ローラ2の圧接部には、ニップ11が形成され、圧接部のニップ構成が、図中、上に凸となっていることが定着分離性を有利にする観点から好ましい。これにより、フルカラー画像を定着する場合に、加熱ローラ1の側に記録シート12が巻き付く現象を抑制することができる。なお、トナー像13を担持した記録シート12を、圧接部に、図中、右から左に通過させることにより、定着が行われる。
本実施例中の部数は全て重量部であり、本実施例は本発明を例示したものに過ぎず、これら実施例により本発明は限定されない。
ハイブリッド樹脂の合成
ビニル系樹脂の単量体として、スチレン(St)及びアクリル酸ブチル(BA)、重合開始剤として、ジクミルパーオキシド(DCP)を表1に示す組成で滴下ロートに入れた。次に、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリエステル樹脂の単量体のアルコール成分として、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(BPA−EO)及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(BPA−PO)、酸成分として、アクリル酸(AA)、コハク酸誘導体(DSA)、フマル酸(FA)、トリメリット酸(TMA)及びテレフタル酸(TPA)、エステル化触媒として、ジブチルパーオキシド(DBO)をベース樹脂(樹脂A)に対応する組成(表1参照)で仕込み、さらに、ワックスを表2に示す添加量で仕込んだ後、窒素雰囲気下、マントルヒーター中で加熱撹拌しながら、ビニル系樹脂の単量体及び重合開始剤を滴下した。その後、一定の温度に保持し、付加重合反応を熟成させた後、再び昇温して縮重合反応を行った。なお、反応の進行は、軟化点を測定することにより追跡した。所定の軟化点に達した時点で反応を停止させて室温まで冷却し、複合ポリエステル樹脂AWI〜AWIIIを得た。
また、複合ポリエステル樹脂AWI〜AWIIIと同様に、表1記載の組成のビニル系樹脂単量体およびポリエステル樹脂の単量体をベース樹脂(樹脂B、C、E、F)に対する組成で仕込み、更にワックスを表2に示す添加量で仕込み、複合ポリエステル樹脂BWI、CWI、EWI、FWIを得た。
表1中、ビニル系樹脂の単量体EHAはアクリル酸−2−エチルヘキシルモノマーを、重合開始剤AIBNはアゾビスイソブチロニトリル(C8124)を表す。
Figure 2007187959
Figure 2007187959
なお、表2の内添ワックスの73℃パラフィン、78℃天然、90℃パラフィンは、それぞれ融点が73℃のパラフィンワックス、融点が78℃のカウナウバワックス、融点が90℃のパラフィンワックスを意味し、ワックス内添量は、樹脂の製造に使用するモノマー及びワックスの総重量に対するワックスの重量の割合を意味する。
樹脂の合成
ビニル系樹脂の単量体、重合開始剤及びワックスを使用せず、表1に示す組成でポリエステル樹脂の単量体のアルコール成分及び酸成分を使用したこと以外、上記と同様に、樹脂Dを製造した。
また、得られた樹脂の軟化点Tm及びガラス転移温度Tgを表1及び表2に示した。
Tmは、以下のようにして測定した。試料1.0gを秤量し、フローテスターCFT−500(島津製作所社製)及び直径0.5mm、高さ1.0mmのダイを使用し、昇温速度3.0℃/分、予熱時間3分、荷重30kgの条件で、40℃から140℃の範囲で測定を行い、試料が1/2流出したときの温度をTmとした。
Tgは、以下のようにして測定した。示差走査熱量計DSC−200(セイコー電子社製)を用い、試料10mgを精密に秤量して、アルミニウムパンに入れ、昇温速度30℃/分で常温から200℃まで昇温した後、冷却し、次に、昇温速度10℃/分で20℃から120℃の間で測定を行い、この昇温過程で30℃から90℃の範囲におけるメイン吸熱ピークのショルダー値をTgとした。なお、リファレンスとして、アルミナをアルミニウムパンに入れたものを使用した。
得られた各樹脂を1mm以下に粗砕したものを以下のトナーの製造で用いた。
また、C.I.Pigment Red 57−1(富士色素社製)50部、実施例及び比較例で使用するバインダー樹脂50部、水30部をヘンシェルミキサーで混合したものを、ロールの表面温度を130℃に設定した2本ロールで1時間混練し、冷却後、パルベライザーで直径1mmの粒子に粉砕し、マスターバッチとして使用した。
(実施例1)
バインダー樹脂として、表3に示すように樹脂AWI及び樹脂Dを重量比57.5:42.5で混合した樹脂を用いた。バインダー樹脂100部(ワックスの重量を含む)及びC.I.Pigment Red 57−1を4.0部含有するマスターバッチをヘンシェルミキサーで混合した後、図1に示すような臼式混練機を使用して溶融混練した。混練条件は、外部砥石と内部砥石の隙間間隔が1.00mm、シリンダの内部温度105℃、スクリュー回転数70rpmであった。得られた混練物を冷却プレスローラで2mm厚に延伸し、ベルトで搬送した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、ジェット粉砕機IDS(日本ニューマチック工業社製)で体積平均粒子径が7μmになるまで粉砕した後、DSX分級機(日本ニューマチック工業社製)を使用して微粉分級を行い、体積平均粒子径が7.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカR974(日本アエロジル社製)1.0部と、疎水性シリカAEROSIL 90G(日本アエロジル社製)のヘキサメチレンジシラザン処理品(BET比表面積65m/g、pH6.0、疎水化度65%以上)1.0部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて周速40m/秒で90秒間混合処理し、目開き75μmの篩で篩って、トナーを得た。
(実施例2〜13及び比較例1〜7)
バインダー樹脂を構成する樹脂の種類及び混合比率、ワックスの種類及び添加率を表3に示すように、また混練条件も表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にトナーを製造した。
なお、比較例1および比較例3、比較例4、比較例7については、材料組成を表3に示す以外に、混練機が、臼式混練機ではなく従来の二軸混練機を用いて表3に示す条件で混練した以外は、実施例1とほぼ同様にトナーを得た。
なお、表3のワックスの73パラ及び90パラ並びに78天然は、それぞれ融点が73℃及び90℃のパラフィンワックス並びに融点が78℃のカルナバワックスを意味し、ワックス量は、バインダー樹脂及びワックスの総重量に対するワックスの重量の割合を意味する。また、トナーのTmは、上述した方法で測定した。
(評価及び評価結果)
得られたトナー(一成分現像剤)の定着分離性、耐熱保存性、画像光沢度、フィルミング及び固着を評価した。
定着分離性は、以下のようにして、評価した。非磁性一成分現像方式のフルカラープリンタLP−3000C(エプソン社製)を用いて、テストパターンA4縦通紙で先端余白3mmに幅36mmのべた帯画像(付着量1.2±0.1 mg/cm)が現像されるように未定着画像を作成し、以下の定着装置を用いてH/H環境下(27℃、80%RH)で様々な定着温度で定着させ、分離可能/非オフセット温度域(加熱ローラからの紙の分離が良好に行われ、オフセット現象が発生しない定着温度範囲)を求めた。使用した転写紙は、リコー製 タイプ6200Y目紙を用いて評価した。
定着装置周速は、125mm/秒であった。定着装置は、フッ素系表層剤構成のソフトローラタイプのものである。詳しくは、図2における加熱ローラ1は、外径40mmで、アルミ芯金4上にシリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層5及びPFA表層6を有しており、アルミ芯金4の内部にヒーター7を備えている。また、加圧ローラ2は、外径35mmで、アルミ芯金8上にシリコーンゴムからなる厚さ3mmの弾性体層9及びPFA表層10を有している。さらに、加熱ローラ1と加圧ローラ2の圧接部には、幅7mmのニップ11が形成されている。この装置は、さらに定着後のシートを加熱ローラ1から分離するための分離ガイドは、設けず、定着オイルも使用せずに実験を行った。なお、分離可能/非オフセット温度域が50℃以上であるものを○、30℃以上50℃未満であるものを△、30℃未満であるものを×として判定した。
耐熱保存性は、トナーを50℃で8時間保管した後、42メッシュの篩で2分間篩うことにより評価し、金網上の残存率が、10%未満のものを◎、10%以上20%未満のものを○、20%以上30%未満のものを△、30%以上のものを×として判定した。
画像光沢度は、フルカラープリンタLP−3000C(エプソン社製)を用いて、1.5cm×1.5cmのベタ画像(付着量9.0mg/cm)を印字した未定着画像を、図2の定着装置を用いて定着温度160℃で定着した画像の光沢度を光沢度計GM−060(ミノルタ社製)で評価した。光沢度が、5以上のものを○、3以上5未満のものを△(実用上問題ない)、3未満のものを×(実用上問題あり)として判定した。
フィルミングは、フルカラープリンタLP−3000C(エプソン社製)を用いて、B/W比6%の所定のプリントパターンをN/N環境下(23℃、45%RH)で2000枚連続印字した後に、感光体及び中間転写体ベルトを目視で観察評価した。感光体及び中間転写体にフィルミング及びブラックスポット(BS)の発生がなく、全く問題ないものを○、感光体及び中間転写体の一方でフィルミング及びBSの発生が見られたが、複写画像上には見えず、実用上問題ないものを△、感光体及び/又は中間転写体にフィルミング及びBSの発生があり、画像上でも確認でき、実用上問題があるものを×として判定した。
固着は、フィルミングの評価方法と同様に、N/N環境下で2000枚連続複写後に現像器のスリーブの状態および複写画像を目視により観察し、評価した。スリーブにスジ又はムラの発生がないものを○、スリーブにスジ又はムラが若干発生しているものの、複写画像上に縦スジがなく、実用上問題ないものを△、スリーブにスジ又はムラが多数発生しており、異音、トナー固着、トナーこぼれ等、実用上問題があるものを×として判定した。
これらの評価結果を表3に示した。
Figure 2007187959
評価結果より、実施例1〜13で得られたトナーは、比較例1〜10と比べて、定着分離性及び耐熱保存性に優れることがわかった。また、実施例1〜13で得られたトナーは、画像光沢度、フィルミング及び固着においても優れることがわかった。
本発明のトナーを製造するのに適した臼式混練機の概略構成図を示す。 本発明のトナーに適した定着装置の概略構成図を示す。
符号の説明
1 加熱ローラ
2 加圧ローラ
3 分離板
4 芯金
5、9 弾性体層
6、10 表層
7 ヒーター
8 芯金
11 ニップ
12 記録シート
13 トナー像
11 供給フィーダ
12A 搬送スクリュー
12B 送り部
12C 搬送スクリュー
13 外部砥石
14 内部砥石
15 シリンダ
16 排出口
17 プレスローラ

Claims (14)

  1. 少なくともバインダー樹脂、ワックス及び着色剤を含有する非磁性トナーにおいて、少なくとも前記ワックスは、トナー中に複数個に分散して存在し、分散した前記ワックスの15個数%未満は、1.0μm未満の粒子径を有し、前記ワックスの粒子径の0.1μm幅での頻度分布における最頻値は2.0μm以上2.5μm未満であることを特徴とする非磁性トナー。
  2. 前記トナーが、非磁性一成分用トナーであることを特徴とする請求項1記載の非磁性トナー。
  3. 前記ワックスの20個数%以上35個数%未満は、2.5μm以上の粒子径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の非磁性トナー。
  4. 前記ワックスの40個数%以上60個数%未満は、2μm以上3μm未満の粒子径を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
  5. 前記ワックスは、パラフィンワックスを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
  6. 前記バインダー樹脂は、前記ワックスの存在下で合成された樹脂を含有し、更には前記樹脂は、少なくとも縮重合系樹脂及びビニル系樹脂からなるハイブリッド樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
  7. 前記ハイブリッド樹脂中におけるワックスの平均分散径は3〜5μmに微分散されていることを特徴とする請求項6に記載の非磁性トナー。
  8. 前記ワックスの融点は、70℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
  9. 前記バインダー樹脂及び前記ワックスの総重量に対する前記ワックスの重量の比は、3.5%以上4.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
  10. 前記非磁性トナーの軟化点は、120℃以上130℃以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の非磁性トナー。
  11. 請求項6〜10のいずれか一項に記載の非磁性トナーを製造する方法であって、少なくとも樹脂並びにワックスの存在下で合成されたハイブリッド樹脂と着色剤とからなるドライブレンド品を臼式混練機で溶融混練し、得られた溶融混練物を押出し成形することを特徴とする非磁性トナーの製造方法。
  12. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の非磁性トナーを含有することを特徴とする現像剤。
  13. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の非磁性トナー又は請求項12に記載の現像剤を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  14. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の非磁性トナー又は請求項12に記載の現像剤を用いて形成されているトナー像をオイルレス定着方法を用いて定着することを特徴とする画像形成方法。
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