JP2005156399A - 基板検査装置及び基板検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被検査基板の表面に形成された配線パターンにレーザー光を照射して当該配線パターンを検査する場合に、配線パターンの良否判定精度を向上させる。
【解決手段】 レーザー光を、導体部202に照射するレーザー装置3と、パッド206〜209のそれぞれに同時に接触する多針状の接触子61〜64と、レーザー光により導体部202から放出された電子を捕捉する透明電極板51と、接触子61〜64と透明電極板51との間に電位差を生じさせる直流電源75と、接触子61〜64と電源グラウンドとの間の接続をオンオフするスイッチ71〜74と、透明電極板51に捕捉された電子による電流を測定する電流計53とを備え、スイッチ71〜74をオンさせると共に導体部202に対してレーザー光を照射させた場合に、電流計53によって測定された電流値に基づいて、導体部202を一部に有する配線パターン216の良否を判定するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被検査基板の表面に形成された配線パターンに紫外レーザ光などの電磁波を照射して当該配線パターンの断線、短絡等を検査する基板検査装置及び基板検査方法に関する。尚、この発明は、プリント配線基板に限らず、例えば、フレキシブル基板、多層配線基板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板における電気的配線の検査に適用でき、この明細書では、それら種々の配線基板を総称して「基板」と称する。
従来、基板の表面に形成された配線パターンにレーザー光を照射した場合に、光電効果(コンプトン効果)によって、レーザー光が照射された配線パターンから電子が放出されることを利用して、配線パターンの検査を行う基板検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載された基板検査装置においては、検査対象となる基板が周囲と絶縁された状態で保持されており、予めその基板に所定の電荷を予備帯電させることによって、その基板と対向して配置された電極との間に電位差を生じさせるようになっている。そして、その基板上の配線パターンにレーザー光を照射した場合に、光電効果によってレーザー光が照射された配線パターンから放出された電子が、基板と電極との間の電位差によって電極に引き寄せられ、電極に捕捉されることにより流れる電流に基づいて、当該配線パターンの良否を判定するようにされている。
米国特許第6,369,590 B1号公報
ところで、上述のように、周囲と絶縁状態で保持されている基板に予め所定の電荷を帯電させることによって、その基板と対向して配置された電極との間に電位差を生じさせる場合には、基板の電位のレベルが固定されないため、電極との間の電位差が不安定になる結果、その基板上の配線パターンにレーザー光を照射した場合に配線パターンから放出された電子が、その電位差によって電極に引き寄せられ、電極に捕捉されることにより流れる電流もまた不安定になり、その電流に基づく当該配線パターンの良否判定精度が低下するという不都合があった。
本発明は、このような問題に鑑みて為された発明であり、被検査基板の表面に形成された配線パターンに電磁波を照射して当該配線パターンを検査する場合に、配線パターンの良否判定精度を向上させることができる基板検査装置及び基板検査方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の第1の手段に係る基板検査装置は、検査位置に保持され、一方表面に複数の第1の配線パターンが、他方表面に複数の第2の配線パターンが形成され、第1配線パターンの一部は第1配線パターン間でのみの間で接続されている基板の、前記第1の配線パターンにおける検査点に、電磁波を照射することによって放出される電子に起因する電気信号を検出することにより、前記配線パターンの検査を行う基板検査装置において、前記電磁波を前記検査点に収斂させて照射する電磁波照射部と、前記第2の配線パターンのそれぞれに同時に接触する多針状の接触子と、前記電磁波照射部から照射された電磁波によって前記検査点から放出された電子を捕捉する電極部と、前記多針状の接触子と前記電極部との間に電位差を生じさせる電源部と、前記多針状の接触子と前記電源部の負極側との間の接続をオンオフする切替部と、前記電極部により捕捉された電子に起因する電気信号を検出する検出部と、前記切替部をオンさせて多針状接触子全てを電源部の負極に接続すると共に、前記第1の配線パターンのうち第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける検査点に対して、電磁波照射部によって電磁波を照射させた場合に、前記検出部によって検出された電気信号に基づいて、当該第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンの良否を判定する良否判定制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。
また、上述の基板検査装置において、前記検出部は、前記電極部により捕捉された電子に起因して流れる電流値を測定するものであり、前記制御部は、前記良否判定制御において、第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける検査点に対して、前記検出部によって検出される電流値が零になるまで前記電磁波照射部により電磁波を照射させ、前記電磁波が照射された時間が、予め定められた基準値の範囲内である場合に当該配線パターンを良と判定し、予め定められた基準値の範囲を超える場合に当該第配線パターンが他の配線パターンと短絡している短絡不良と判定し、予め定められた基準値の範囲に満たない場合に当該配線パターンが断線している断線不良と判定するものであることを特徴としている。
そして、上述の基板検査装置において、前記検出部は、前記電極部により捕捉された電子に起因して流れる電流値を測定するものであり、前記制御部は、前記良否判定制御において、第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける第1の検査点に対して、前記検出部によって検出される電流値が零になるまで前記電磁波照射部により電磁波を照射させた後、前記第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける第2の検査点に対して前記電磁波照射部によって電磁波を照射させた際に、前記検出部によって検出される電流値が実質的に零である場合に当該配線パターンを良と判定し、前記検出部によって検出される電流値が実質的に零ではない場合に当該配線パターンが前記第1の検査点と第2の検査点との間で断線している断線不良と判定するものであることを特徴としている。
さらに、上述の基板検査装置において、前記検出部は、前記電極部と前記電源部の正極側との間に介設されることを特徴としている。
また、上述の基板検査装置において、電源部の負極側に接続される放電用電極部をさらに備え、前記制御部は、前記良否判定制御の実行後、さらに前記電磁波照射部によって電磁波を前記放電用電極部へ照射させることによって前記第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンを放電させる放電制御を実行し、再び前記良否判定制御を実行可能とすることを特徴としている。
そして、上述の基板検査装置において、電流値を測定する放電電流検出部を介して前記電源部の負極側に接続される放電用電極部をさらに備え、前記制御部は、前記良否判定制御の実行後、さらに前記電磁波照射部によって電磁波を前記放電用電極部へ照射させることによって前記第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンを放電させる放電制御を実行すると共に、当該放電制御を実行する過程において前記放電電流検出部によって検出される電流値に基づいて、当該良否判定制御を実行した対象である配線パターンについての良否を再度判定することを特徴としている。
さらに、上述の基板検査装置において、前記制御部は、前記放電制御を実行する場合に、前記切替部をオフさせて全ての接触子を電源から切り離すことを特徴としている。
また、上述の基板検査装置において、前記放電用電極部の代わりに、前記第1の配線パターンのうち前記第2の配線パターンと導通されている配線パターンであって、前記切替部によって前記電源部の負極側に接続されている配線パターンを用いることを特徴としている。
そして、上述の基板検査装置において、前記切替部は、前記多針状の接触子各々について、前記電源部の負極側との間の接続をオンオフするものであり、前記制御部は、前記放電制御を実行する場合に、前記第1の配線パターンと導通されている第2の配線パターンに接触している接触子以外の接触子について、前記切替部により前記接続をオフさせることを特徴としている。
さらに、本発明の第2の手段に係る基板検査方法は、検査位置に保持され、一方表面に複数の第1の配線パターンが、他方表面に複数の第2の配線パターンが形成され、第1配線パターンの一部は第1配線パターン間でのみの間で接続されている基板の、前記第1の配線パターンにおける検査点に、電磁波を照射することによって放出される電子に起因する電気信号を検出することにより、前記配線パターンの検査を行う放出される電子に起因する電気信号を検出することにより、前記配線パターンの検査を行う基板検査方法において、多針状の接触子を、前記第2の配線パターンのそれぞれに同時に接触させ、前記多針状の接触子を電源部の負極側に接続すると共に、電子を捕捉するための電極部を電源部の正極側に接続することにより、前記多針状の接触子と前記電極部との間に電位差を生じさせ、前記第1の配線パターンのうち第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける検査点に対して電磁波を照射させた場合に、前記電極部を用いて電磁波によって前記検査点から放出された電子を捕捉し、前記電極部により捕捉された電子に起因する電気信号に基づいて、当該配線パターンの良否を判定することを特徴としている。
また、上述の基板検査方法において、前記検査基板の配線の一部は、第1の配線パターンと第2の配線パターンとの間で接続されており、そのような配線に対しては、第2の配線パターン側に接触子を接触させ、その接触子を電源の負極に接続すると共に、第1の配線パターン側に電磁波を照射し、該電磁波による光電効果によって放出される電子に起因する電流を前記接触子を介して配線パターンに流し、その電流値を検出することを特徴としている。
このような構成の基板検査装置及び基板検査方法は、第2の配線パターンが電源部の負極側に接続されることにより、第2の配線パターンと浮遊容量によって容量結合される第3の配線パターンの電位が安定化されるので、第3の配線パターンにおける検査点に電磁波を照射することによって放出される電子に起因する電気信号が安定化され、配線パターンの良否判定精度を向上させることができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による基板検査装置1の構成の一例を説明するための概念図である。図1に示す基板2は、基板検査装置1の検査対象となる基板、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージに用いられるパッケージ基板で、図1に示す基板2は、その断面を模式的に示している。そして、基板2の、半導体チップが取り付けられる側の表面21に、配線212によって導体部202と導体部203とが互いに接続されてなる配線パターン216と、配線213によって導体部204と導体部205とが互いに接続されてなる配線パターン217とが形成されている。また、基板2の裏面22に、配線214によって互いに接続されたパッド208とパッド209、及び例えば内層のベタ導体パターン等の配線215と接続されたパッド207が形成されている。さらに、基板2の表面21に形成された導体部201は、基板2の厚み方向に形成された配線211を介して基板2の表面22に形成されたパッド206と接続されている。
また、基板2の表面21上に形成された導体部201,202,203,204,205は、例えばフリップチップボンディングやワイヤボンディングによって半導体チップを接続するための導体部であり、微細なピッチで形成されている。そして、基板2の裏面22上に形成されたパッド206,207,208,209は、例えばはんだボールの端子をはんだ付けするためのパッドであり、はんだ付けを容易にするように、導体部201,202,203,204,205よりもピッチが大きくされている。配線211,212,213,214,215は、基板2の表裏面層に形成された配線パターンや、内部ビア、内層配線パターン等の接続配線である。
また、図1に示す基板検査装置1は、レーザー装置3、ガルバノミラー4、チャンバー室5、多針状プローブ6、スイッチ71,72,73,74、直流電源75、制御部8、表示部9、及び操作部10を備える。レーザー装置3は、収斂光学系を含み、制御部8からの制御信号に応じて、波長266nmの紫外線レーザー光(電磁波)をガルバノミラー4へ収斂しながら出力する。ガルバノミラー4は、二枚のミラーを用いて構成された偏向器であり、制御部8からの制御信号に応じてミラーの角度を変更し、レーザー装置3から出力されたレーザー光を、チャンバー室5を介して基板2上の検査点に例えばビーム径10μmで収斂照射する。尚、図示しないが、ガルバノミラー4の下にはfθレンズが介挿され、レーザ光の照射角度に関わらず、各検査点にレーザ光が収斂されるようになっている。
チャンバー室5は、例えば筒状の側壁と、側壁の上部開口を閉鎖する例えばガラス等の透明な板状部材のチャンバー室5内の表面に透明な電極が形成された透明電極板51と、側壁の下部開口端部に取り付けられた例えばゴム等の弾性部材からなるパッキン52とを備える。また、透明電極板51の電極は、チャンバー室5内に設けられた電流計53を介して直流電源75の正極に接続されている。電流計53は、透明電極板51により捕捉された電子に起因して流れる電流値Iを測定し、その測定した電流値Iを示すデータを、制御部8へ出力する。直流電源75は、直流電圧Eを出力する直流電圧源であり、電圧Eは、例えば250Vにされ、正極が電流計53を介して透明電極板51の電極に接続されている。
そして、チャンバー室5が図略の昇降機構により下降され、さらに基板2に圧接されることにより、チャンバー室5と基板2によって取り囲まれる気密閉空間SPが形成されるようになっている。また、チャンバー室5には、図略の真空ポンプが接続されており、光電効果により発生した電子を透明電極板51で捕捉可能とする観点から、気密閉空間SPを所定の気圧(10-2気圧程度が望ましい)の真空状態にすることができるようになっている。さらに、透明電極板51は、電流計53を介して直流電源75の正極に接続されている。なお、例えばチャンバー室5の側壁を金属で構成し、これを電流計53を介して直流電源75の正極に接続することにより、この金属を透明電極板51の電極の代わりに用いても良い。
多針状プローブ6は、検査用の接触子61,62,63,64を一体に保持して多針状に構成されている。また、多針状プローブ6は、図略の昇降装置によって昇降可能にされている。そして、基板2が図略の基板ホルダーによって検査位置に保持された状態で、昇降装置によって多針状プローブ6が上昇されると、接触子61,62,63,64が、それぞれパッド206,207,208,209と接触する。なお、多針状プローブ6によって一体に保持される接触子は、基板2の裏面に形成されたパッドの数及び配置に応じて適宜増減・配置されるものであり、例えば、実用装置においては、数千本程度設けられている。スイッチ71,72,73,74は、制御部8からの制御信号に応じて接触子61,62,63,64と、直流電源75の負極側(グラウンド)との間の接続をオンオフする。
また、接触子61,62,63,64は、図略の切替スイッチによって、それぞれ制御部8からの制御信号に応じて図略の抵抗測定器に接続され、各接触子間の抵抗値が測定されるようになっている。
表示部9は、例えば液晶表示器等からなる表示装置であり、制御部8からの制御信号に応じて検査装置の動作状態や検査結果等を表示する。操作部10は、例えばキーボード等から構成されており、ユーザーが操作部10を操作して入力した動作指示等を制御部8へ出力する。
制御部8は、基板検査装置1全体の動作を司るもので、例えば基板データ記憶部81、基準データ記憶部82、及びタイマー83を備える。また、制御部8は、例えば基板検査装置1の動作を制御するための制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、プログラムの実行中や実行後に生じるデータを一時的に保管するRAM(Random Access Memory)、及び制御プログラム等をROMから読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)等から構成される。タイマー83は、電流計53によって測定される電流値が実質的に零、すなわち零に対して誤差範囲以内になるまでの、導体部へのレーザー光の照射時間Tを計測するタイマーである。
基板データ記憶部81及び基準データ記憶部82は、例えばハードディスク装置や半導体メモリ等からなる記憶部である。そして、基板データ記憶部81は、基板2の表面21上に形成された導体部201,202,203,204,205の位置座標データ、および検査箇所とその検査方法を制御部8に指示するために検査指示データを記憶している。また、基準データ記憶部82は、例えば、表面21上の配線パターンであって、裏面22側に導通していない配線パターン216,217それぞれについて、電流計53により測定された電流値から検査対象となる配線パターンの良否判定を行うための基準データを記憶している。
例えば、配線パターン216の導通を検査する場合の基準データは、例えば複数の良品の基板2において、例えば導体部202にレーザー光を照射することによって放出された電子が透明電極板51の電極により捕捉されることにより流れる電流値を、電流計53によって予め測定し、その測定値から、配線パターン216が良品であると判断するための基準データを取得し、基準データ記憶部82へ記憶しておく。
この場合、基準データは、例えば、タイマー83によって計測された、良品の基板2において電流計53によって測定される電流値が実質的に零になるまでの導体部202へのレーザー光の照射時間Tp±αが用いられる。αは、基板バラツキ等を考慮した、良品判定のための許容範囲である。なお、基準データとしては、例えば、レーザー光の照射を一定時間幅のパルス状に行った場合に、レーザー光の照射を開始してから電流計53によって測定される電流値が実質的に零になるまでにレーザー装置3から出力されたパルス出力の回数(パルス出力の回数とパルスの時間幅の積は、照射時間Tpに相当)等、照射時間Tpと相関関係にある他のパラメータを用いても良い。
次に、図1に示す基板検査装置1の動作を説明する。図2は、図1に示す基板検査装置1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、ユーザーが基板検査装置1の基板装着部(不図示)に検査対象となる基板2をセットすることにより、図略の基板ホルダーに保持され、図略の搬送機構により基板2が搬送され、検査位置に位置決めされる。そして、制御部8からの制御信号に応じてチャンバー室5が下降されてその下端が基板2に圧接され、気密閉空間SPが形成された後、真空ポンプが作動して気密閉空間SP内が所定の真空状態にされる。一方、制御部8からの制御信号に応じて多針状プローブ6が上昇され、接触子61,62,63,64が、それぞれパッド206,207,208,209と接触する。
次に、ステップS2において、制御部8によって、基板データ記憶部81に記憶されている検査指示データに応じて、基板2の裏面22上で互いに導通している配線パターン、例えばパッド208から配線214を介してパッド209に至る配線パターンの導通検査が行われる。表面22上のパッド208及びパッド209は、ピッチが大きいため接触子を接触させることが容易であり、パッド208,209にはそれぞれ接触子63,64が接触している。この場合、接触子63,64間の抵抗値が公知の抵抗測定器(図略)によって測定され、その抵抗値を示すデータが制御部8へ出力される。そして、制御部8によって、接触子63,64間の抵抗値データに基づいて、パッド208から配線214を介してパッド209に至る配線パターンの良否判定が行われる。
次に、ステップS3において、制御部8によって、基板データ記憶部81に記憶されている検査指示データに応じて、基板2の表面21上と裏面22上とで導通している配線パターン、例えば導体部201から配線211を介してパッド206に至る配線パターンの導通検査が行われる。この場合、パッド206は、ピッチが大きいため接触子を接触させることが容易である一方、導体部201は、微細なピッチで形成されているため、接触子を接触させることが困難である。
そこで、パッド206に接触子61を接触させ、直流電源75によって接触子61と透明電極板51の電極との間に電圧E、例えば250Vの電圧を印加する。そして、制御部8からの制御信号に応じて、レーザー装置3から出力されたレーザー光がガルバノミラー4を介して導体部201へ収斂照射される。そうすると、導体部201から配線211を介してパッド206に至る配線パターンが導通している場合には、導体部201から光電効果により電子が放出され、直流電源75によって導体部201と透明電極板51との間に印加された電圧Eによってその電子が透明電極板51の電極に捕捉される。透明電極板51の電極に捕捉された電子は、電流計53、直流電源75、スイッチ71、接触子61、配線211を経由して導体部201に流れるので、レーザー光を照射することによって導体部201から放出される電子に起因する電流値が、電流計53によって検出される。そして、電流計53によって電流が検出されると、制御部8によって、導体部201から配線211を介してパッド206に至る配線パターンが良と判定される。
一方、導体部201から配線211を介してパッド206に至る配線パターンが断線している場合には、配線211を電流が流れない。従って、電流計53により電流が検出されない。そして、電流計53によって電流が検出されない場合、制御部8によって、導体部201から配線211を介してパッド206に至る配線パターンが不良と判定される。
このようにして、ステップS3において、接触子を接触させることが困難な導体部201について非接触で、導体部201から配線211を介してパッド206に至る配線パターンの検査を行うことができる。
次に、ステップS4において、制御部8によって、基板データ記憶部81に記憶されている検査指示データに応じて、基板2の表面21上でのみ互いに導通している配線パターン、例えば配線パターン216の検査が行われる。この場合、配線パターン216上の検査点である導体部202,203は、微細なピッチで形成されているため、接触子を接触させることがいずれも困難である。そこで、以下に説明するように、導体部202,203のいずれについても非接触で、配線パターン216の検査を行う。
図3は、ステップS4における配線パターン216の検査を行う場合の基板検査装置1の動作を示すフローチャートである。ステップS101において、制御部8からの制御信号に応じて、まず、接触子61,62,63,64に接続されている全てのスイッチ71,72,73,74がオンされる。これにより、接触子61,62,63,64と導通しているパッド206,207,208,209と、配線211,214,215と、導体部201とが直流電源75の負極側に接続され、グラウンド電位に安定化される。そして、電位が安定化されたこれらのパッドや配線等と、浮遊容量218,219,220によって容量結合している、配線パターン216,217の電位もまた、グラウンド電位に安定化される。
次に、ステップS102において、基板データ記憶部81に記憶されている導体部202の位置座標データに基づく制御部8からの制御信号に応じて、レーザー装置3から出力されたレーザー光がガルバノミラー4を介して導体部202へ収斂照射され、導体部202から光電効果により電子が放出される。そうすると、導体部202はグラウンド電位にされているので、導体部202と透明電極板51との間に直流電源75による電圧Eが印加され、その電圧Eによって導体部202から放出された電子が透明電極板51に引き寄せられ、捕捉される。透明電極板51に捕捉された電子は電流計53を経由して直流電源75の正極側に流れるので、レーザー光を照射することによって導体部202から放出される電子に起因する電流値Iが、電流計53によって測定される。
図4(a)は、導体部202にレーザー光が照射された場合に電流計53によって測定される電流値Iの変化の一例を示すグラフである。図4(a)のグラフにおいて、縦軸は電流値Iを示し、横軸はレーザー光の照射時間Tを示している。また、グラフ401は配線パターン216が良品である場合、グラフ402は配線パターン216が断線不良である場合、グラフ403は配線パターン216が他の配線パターンと短絡している短絡不良である場合の一例を示している。また、図4(a)に破線で示すグラフ407,408,409,410については後述する。
まず、配線パターン216が良品である場合、グラフ401を参照して、レーザー光が導体部202へ照射されると、導体部202から放出される電子に起因する電流値Iが電流計53によって測定されると共に、導体部202に生じるプラス電荷によって、配線パターン216と他の配線パターンとの間の浮遊容量218,219,220が充電される。すなわち、電流値Iは、透明電極板51により捕捉された単位時間あたりの電荷量に相当する一方、この電荷量に相当するプラス電荷によって、浮遊容量218,219,220が充電され、導体部202の電位が上昇すると共に導体部202と透明電極板51との間の電位差が小さくなる結果、透明電極板51により捕捉される単位時間あたりの電荷量、すなわち電流値Iが減少する。
従って、電流値Iは、レーザー光の照射時間Tの経過に伴い減少する。そして、導体部202と透明電極板51との間の電位差がほぼ零になったとき、すなわち浮遊容量218,219,220の充電電圧が、直流電源75の出力電圧Eとほぼ等しくなったとき、導体部202から放出される電子が透明電極板51により捕捉されなくなるために、電流Iが零になる。
次に、ステップS103において、タイマー83によって、電流計53により測定される電流Iが実質的に零、すなわち零に対して誤差範囲以内になるまでの、導体部203へのレーザー光の照射時間Tが計測される。
次に、ステップS104において、制御部8によって、タイマー83により計測された照射時間Tと、基準データ記憶部82に記憶されている配線パターン216の基準データの下限値(Tp−α)とが比較され、照射時間Tが(Tp−α)に満たない場合、配線パターン216は断線不良と判定され(ステップS104でYES)、表示部9によりその旨表示される(ステップS105)一方、照射時間Tが(Tp−α)以上の場合(ステップS104でNO)、短絡検査を行うべくステップS106へ移行する。
次に、ステップS106において、制御部8によって、タイマー83により計測された照射時間Tと、基準データ記憶部82に記憶されている配線パターン216の基準データの上限値(Tp+α)とが比較され、照射時間Tが(Tp+α)を超えている場合、配線パターン216は短絡不良と判定され(ステップS106でYES)、表示部9によりその旨表示される(ステップS107)一方、照射時間Tが(Tp+α)を超えない場合(ステップS106でNO)、照射時間Tは基準値の範囲内であるので、配線パターン216は良品と判定され、表示部9によりその旨表示される(ステップS108)。
また、配線パターン217についても、ステップS101〜S108と同様にして良否判定が行われる。
ステップS104〜S108について詳述すると、まず、図4(a)において、グラフ401が零、すなわち配線パターン216が良品の場合に電流値Iが零になるレーザー光の照射時間Tは、時間Tpとなる。時間Tpは、レーザー光が照射されたことにより、導体部202から電子が放出されることにより生じたプラス電荷によって、浮遊容量218,219,220を電圧Eまで充電するための時間であるから、レーザー光が一定の強度で連続照射されていれば、時間Tpと浮遊容量218,219,220の大きさとは相関する。そうすると、配線パターン216が良品であれば、浮遊容量218,219,220の大きさはほぼ一定であるので、時間Tpもまたほぼ一定の値となる。
従って、ステップS103においてタイマー83によって計測された照射時間Tが、基準データ記憶部82に記憶されている基準データの範囲内であれば、配線パターン216について、基準データの元となった良品基板と浮遊容量218,219,220の大きさが等しいこととなり、ステップS108において、配線パターン216を良品と判断することができる。
また、浮遊容量218,219,220は、配線パターン216と他の配線パターンとの間に生じる浮遊容量であるから、配線パターン216が断線している場合には、配線パターン216のうち導体部202と導通している部分が他の配線パターンと対向する面積が減少する結果、浮遊容量218,219,220が小さくなる。従って、ステップS104において、浮遊容量218,219,220と相関している照射時間Tが(Tp−α)に満たない場合、配線パターン216は断線不良と判定することができる。
また、配線パターン216が他の配線パターンとの間で短絡している場合には、導体部202と導通している配線パターンが他の配線パターンと対向する面積が増加する結果、浮遊容量218,219,220が大きくなる。これにより、ステップS106において、浮遊容量218,219,220と相関している照射時間Tが(Tp+α)を超える場合、配線パターン216は短絡不良と判定することができる。
また、この場合、配線パターン216との間で浮遊容量218,219,220を生じる他の配線パターンがグラウンド電位に接続されているので、浮遊容量218,219,220の充電電圧の基準がグラウンド電位により固定され、良否判定精度を安定させることができる。
また、直流電源75は、例えば商用電源等に接続されるため、直流電源75と商用電源や接地線との間に生じる浮遊容量76が、電源出力ラインと結合していると考えられる。そうすると、例えば電流計53を直流電源75の負極側に設けた場合には、透明電極板51によって捕捉された電子が、浮遊容量76をバイパスしてしまい、電流Iが正確に測定できないおそれがある。特に、電流Iに相当するプラス電荷で充電されるべき浮遊容量218,219,220の容量は、例えば50fF程度の微少容量であるため、浮遊容量76の影響は顕著である。
一方、図1に示す基板検査装置1では、電流計53は、透明電極板51と直流電源75の正極側との間に介設されているので、透明電極板51によって捕捉された電子が浮遊容量76をバイパスしたとしても、浮遊容量76をバイパスした電子の流れをも含めて電流計53により電流測定されるので、電流Iの測定精度を向上させることができる。また、電流計53は、チャンバー室5内に設けられているので、電流計53と周囲環境との間に生じる浮遊容量が低減され、電流計53による電流Iの測定精度を向上させることができる。
なお、タイマー83によって計測された、電流計53により測定される電流Iが実質的に零になるまでの、導体部203へのレーザー光の照射時間Tに基づいて配線パターン216の良否判定を行う例を示したが、例えば、レーザー光の照射を一定時間幅のパルス状に行った場合に、レーザー光の照射を開始してから電流計53によって測定される電流値が実質的に零になるまでにレーザー装置3から出力させたパルス出力の回数に基づいて、配線パターン216の良否判定を行う構成としても良い。この場合、パルス出力の回数を、照射時間Tに相当するパラメータとして用いることができる。また、タイマー83を備えない構成であっても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施の形態による基板検査装置について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態による基板検査装置の構成の一例を説明するための概念図である。図5に示す基板検査装置1aと図1に示す基板検査装置1とでは、下記の点で異なる。すなわち、図5に示す基板検査装置1aの制御部8aは、基準データ記憶部82及びタイマー83を備えない。また、制御部8aは、図1に示す制御部8とは、図3のフローチャートにおける動作が異なる。その他の構成は図1に示す基板検査装置1と同様であるのでその説明を省略し、以下、図5に示す基板検査装置1aの動作について説明する。
図5に示す基板検査装置1aは、図2に示すステップS1〜S3と同様に動作するので、その説明を省略し、ステップS4に相当するステップS4’における動作の詳細について、説明する。図6は、図5に示す基板検査装置1aの、ステップS4’における配線パターン216の検査を行う場合における動作の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS201,S202の動作は、図3におけるステップS101,102と同様であるので、その説明を省略する。次に、ステップS203において、基板データ記憶部81に記憶されている導体部203の位置座標データに基づく制御部8からの制御信号に応じて、レーザー装置3から出力されたレーザー光がガルバノミラー4を介して導体部203へ収斂照射され、導体部203から光電効果により電子が放出される。
次に、ステップS204において、制御部8によって、電流計53によって検出された電流Iが実質的に零であるか否かが確認され、実質的に零であった場合、配線パターン216は良と判定され(ステップS204でYES)、表示部9によりその旨表示される(ステップS205)一方、実質的に零ではなかった場合、配線パターン216は導体部202と導体部203の間で断線している断線不良と判定され(ステップS204でNO)、表示部9によりその旨表示される(ステップS206)。また、配線パターン217についても、ステップS201〜S206と同様にして断線検査が行われる。
以下、ステップS203,S204の動作について詳述する。図4(b)は、導体部203にレーザー光が照射された場合に電流計53によって測定される電流値Iの変化の一例を示すグラフである。図4(b)のグラフにおいて、縦軸は電流値Iを示し、横軸はレーザー光の照射時間Tを示している。また、グラフ404は配線パターン216が良品である場合、グラフ405は配線パターン216が断線不良である場合、グラフ406は配線パターン216が他の配線パターンと短絡している短絡不良である場合の一例を示している。
まず、ステップS202において、導体部202は、電流計53によって測定される電流値Iが零になるまでレーザー光が照射され、浮遊容量218,219,220が充電されることによって、透明電極板51の電極とほぼ同電位にされている。そして、配線パターン216が良、すなわち導体部202と導体部203が導通していれば、導体部203もまた透明電極板51とほぼ同電位にされる。そうすると、ステップS203において導体部203から放出された電子は、導体部203との間の電位差によって透明電極板51へ引き寄せられることがなく、透明電極板51により捕捉されない結果、グラフ404に示すように、電流Iが流れない。
これにより、ステップS204において、電流Iが実質的に零であった場合、導体部202と導体部203とが導通していると判断することができ、配線パターン216は良と判定される。
一方、配線パターン216が断線不良、すなわち導体部202と導体部203が導通していない場合、導体部203は透明電極板51とほぼ同電位にされることがなく、ステップS203において導体部203から放出された電子は、導体部203との間の電位差によって透明電極板51へ引き寄せられ、透明電極板51の電極により捕捉される結果、グラフ405に示すように、電流Iが流れる。
これにより、ステップS204において、電流Iが実質的に零でない場合、導体部202と導体部203とが断線していると判断することができ、配線パターン216は断線不良と判定される。
以上、ステップS201〜S206の動作により、配線パターン216,217の断線検査を実行することができる。
この場合、検査対象となる配線パターン216,217の良否を判定するために、予め良品の基板2を用いて基準データを取得して基準データ記憶部82に記憶させておく必要がなく、簡便に配線パターン216,217の断線検査を行うことができる。また、ステップS204において、電流Iが実質的に零であるかないかを確認することにより、配線パターン216,217の断線の有無を判断することができるので、電流値Iが零になるレーザー光の照射時間Tを計測する必要がなく、基準データ記憶部82及びタイマー83を備えない簡素な構成にすることができる。
なお、配線パターン216が他の配線パターンと短絡している短絡不良である場合には、ステップS203において、配線パターン216が良品である場合と同様に、導体部203から放出された電子は、導体部203との間の電位差によって透明電極板51へ引き寄せられることがなく、透明電極板51により捕捉されない結果、グラフ406に示すように、電流Iが流れない。そのため、図5に示す基板検査装置1aは、配線パターン216が良品である場合と短絡不良である場合とを判別することができないので、断線不良を検出するための基板検査装置として用いられる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施の形態による基板検査装置について説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態による基板検査装置の構成の一例を説明するための概念図である。図7に示す基板検査装置1bと図1に示す基板検査装置1とでは、下記の点で異なる。すなわち、図7に示す基板検査装置1bは、チャンバー室5内に、電子放出用の金属からなる電極54と、電流計55とを備え、電極54は電流計55を介して電源グラウンドに接続されている。そして、電流計55は、電極54にレーザー光が照射されることによって、電極54から放出された電子に起因して流れる電流値を測定し、その測定した電流値を示すデータを制御部8へ出力する。また、図7に示す基板検査装置1bの制御部8bは、例えばROMに記憶された放電制御を実行するための放電制御プログラムを実行することにより、放電制御部84として機能する。
その他の構成は図1に示す基板検査装置1と同様であるのでその説明を省略し、以下、図7に示す基板検査装置1bの動作について説明する。
図7に示す基板検査装置1bは、まず、図1に示す基板検査装置1と同様にして、図2に示すステップS1〜S4、図3に示すステップS101〜S108の動作を実行することにより、検査対象となる配線パターンの検査を行う。そして、ステップS101〜S108による検査の過程で検査対象配線パターンの不良が検出された場合等、検査の確実を期すため再検査を実行する。
この場合、ステップS101〜S108による検査の実行後は、検査対象の配線パターン、例えば配線パターン216の電位が透明電極板51の電極とほぼ等しくなるまで浮遊容量218,219,220が充電された状態となっているため、引き続きステップS101〜S108による検査を実行することができない。そこで、基板検査装置1bは、下記のように、検査対象の配線パターン、例えば配線パターン216を放電させつつ再検査を実行する。
図8は、図7に示す基板検査装置1bによって配線パターン216の再検査を行う場合の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS301において、放電制御部84からの制御信号に応じて、スイッチ72,73,74がオフされる。これにより、スイッチ72,73,74によって生じる浮遊容量77,78,79が、配線パターン216との間の浮遊容量218,219から切り離される。
次に、ステップS302において、例えば予めROMに記憶されている位置座標データに基づいて、放電制御部84からの制御信号に応じて、レーザー装置3から出力されたレーザー光がガルバノミラー4を介して電極54へ照射され、電極54から光電効果により電子が放出される。そうすると、電極54はグラウンド電位にされている一方、配線パターン216は電圧Eが印加された透明電極板51の電極とほぼ等しい電位に充電されており、電極54と配線パターン216との間にほぼ電圧Eの電位差が生じているので、この電位差によって電極54から放出された電子が導体部202,203に引き寄せられ、捕捉されるこれにより、浮遊容量218,219,220に充電されているプラス電荷が放電される。
また、電極54から放出された電子に起因する電流値Idが、電流計55によって測定される。この場合、スイッチ72,73,74がオフされていることにより、浮遊容量77,78,79が、配線パターン216との間の浮遊容量218,219から切り離されているので、電流値Idの測定精度を向上させることができる。なお、スイッチ72,73,74は、必ずしもオフされている必要はなく、検査対象となる基板2や、検査対象配線パターンの特性に応じてスイッチ72,73,74をオンさせても良い。
図4(a)の破線で示すグラフは、電極54にレーザー光が照射された場合に電流計55によって測定される電流値Idの変化の一例を示すグラフである。図4(a)において、グラフ407は配線パターン216が良品である場合、グラフ408は配線パターン216が断線不良である場合、グラフ410は配線パターン216が他の配線パターンと短絡している短絡不良である場合の一例を示している。
まず、配線パターン216が良品である場合、グラフ407を参照して、レーザー光が電極54へ照射されると、電極54から導体部202,203へ放出される電子に起因する電流値Idが電流計55によって測定されると共に、導体部202,203により捕捉された電子によって、浮遊容量218,219,220に充電されているプラス電荷が放電される。すなわち、電流値Idは、導体部202,203により捕捉された単位時間あたりの電荷量に相当する一方、この電荷量に相当する電子によって、浮遊容量218,219,220が放電され、導体部202,203の電位が下降すると共に導体部202,203と電極54との間の電位差が小さくなる結果、電極54から放出される単位時間あたりの電荷量、すなわち電流値Idが減少する。
従って、電流値Idは、レーザー光の照射時間Tの経過に伴い減少する。そして、導体部202,203と電極54との間の電位差が略零になったとき、電極54から導体部202,203へ電子が放出されなくなるために、電流Idが零になる。
次に、ステップS303において、タイマー83によって、電流計55によって測定される電流Idが実質的に零、すなわち零に対して誤差範囲以内になるまでの、電極54へのレーザー光の照射時間Tが計測される。この場合、電流Idが実質的に零になるまでの照射時間Tは、レーザー光が照射された電極54から放出された電子によって、浮遊容量218,219,220を放電させるのに必要な時間であり、ステップS103におけるレーザー光が照射された導体部202から電子が放出されることによって浮遊容量218,219,220が充電される時間T、すなわち電流Iが実質的に零になるまでの照射時間Tとほぼ等しくなる。
従って、図4(a)を参照して、配線パターン216が良品である場合、グラフ407はグラフ401と近似した電流値Idの変化を示し、照射時間Tはほぼ時間Tpとなる。また、配線パターン216が断線不良である場合、グラフ408はグラフ402と近似し、照射時間Tはほぼ時間To1となる。また、配線パターン216が他の配線パターンと短絡している短絡不良である場合、グラフ410はグラフ403と近似し、照射時間Tはほぼ時間Tsとなる。なお、配線パターン216が断線不良である場合に、導体部202,203の両方に対してそれぞれ電流Iが実質的に零になるまでレーザー光を照射して浮遊容量218,219,220が充電されていた場合には、導体部202と導通している範囲の配線パターンが生じる浮遊容量及び導体部203と導通している範囲の配線パターンが生じる浮遊容量を合わせた浮遊容量に充電されている電荷を放電させることになるため、電流値Idは、グラフ409で示すように変化し、照射時間Tは時間To1よりも長くなる。
そこで、以下のステップにおいて、タイマー83により計測された照射時間Tと、基準データ記憶部82に記憶されている配線パターン216の基準データに基づいて、配線パターン216の良否判定が行われる。
すなわち、ステップS304において、制御部8によって、タイマー83により計測された照射時間Tと、基準データ記憶部82に記憶されている配線パターン216の基準データの下限値(Tp−α)とが比較され、照射時間Tが(Tp−α)に満たない場合、配線パターン216は断線不良と判定され(ステップS304でYES)、表示部9によりその旨表示される(ステップS305)一方、照射時間Tが(Tp−α)以上の場合(ステップS304でNO)、短絡検査を行うべくステップS306へ移行する。
次に、ステップS306において、制御部8によって、タイマー83により計測された照射時間Tと、基準データ記憶部82に記憶されている配線パターン216の基準データの上限値(Tp+α)とが比較され、照射時間Tが(Tp+α)を超えている場合、配線パターン216は短絡不良と判定され(ステップS306でYES)、表示部9によりその旨表示される(ステップS307)一方、照射時間Tが(Tp+α)を超えない場合(ステップS306でNO)、照射時間Tは基準値の範囲内であるので、配線パターン216は良品と判定され、表示部9によりその旨表示される(ステップS308)。
以上、ステップS301〜S308の動作によって、配線パターン216の再検査を行うことができる。
なお、レーザー光が照射された電極54から放出された電子によって、配線パターン216の浮遊容量218,219,220に充電された電荷を放電させる例を示したが、例えば、接触子61とスイッチ71の間に電流値Id測定用の電流計を介設すると共にスイッチ71をオンさせることにより、電極54の代わりに導体部201を用いて、配線211、パッド206、接触子61、当該電流計、及びスイッチ71を介して直流電源75の負極側に導体部201を接続すると共に、導体部201にレーザー光を照射することにより、導体部201から放出された電子によって、配線パターン216の浮遊容量218,219,220に充電された電荷を放電させる構成としても良い。
これにより、電極54を用いる必要がなく、基板検査装置1bの構成を簡素化することができる。また、スイッチ72,73,74をオフさせた状態で、導体部201にレーザー光を照射するようにすれば、浮遊容量77,78,79が、配線パターン216との間の浮遊容量218,219から切り離されているので、電流値Idの測定精度を向上させることができる。
また、ステップS303〜S308において、配線パターン216の浮遊容量218,219,220に充電された電荷を放電させる際の、電流値Idが零になる照射時間Tに基づいて配線パターン216の再検査を行う例を示したが、ステップS302において、浮遊容量218,219,220に充電されているプラス電荷が放電された後、再びステップS101〜S108の動作を行うことにより、配線パターン216の再検査を行う構成としても良い。これにより、ステップS302において、浮遊容量218,219,220に充電されているプラス電荷を放電させることができるので、再びステップS101〜S108の動作を行うことにより、配線パターン216の再検査を行うことができる。
本発明の第1の実施形態による基板検査装置の構成の一例を説明するための概念図である。 図1に示す基板検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図1に示す基板検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。 (a)は、図1及び図7に示す基板検査装置の動作を説明するための図であり、(b)は、図5に示す基板検査装置の動作を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態による基板検査装置の構成の一例を説明するための概念図である。 図5に示す基板検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態による基板検査装置の構成の一例を説明するための概念図である。 図7に示す基板検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1,1a,1b 基板検査装置
2 基板
3 レーザー装置(電磁波照射部)
4 ガルバノミラー
5 チャンバー室
6 多針状プローブ
8,8a,8b 制御部
21,22 表面
51 透明電極板(電極部)
52 パッキン
53 電流計(検出部)
54 電極(放電用電極部)
55 電流計(放電電流検出部)
61,62,63,64 接触子
71,72,73,74 スイッチ(切替部)
75 直流電源(電源部)
76,77,78,79 浮遊容量
81 基板データ記憶部
82 基準データ記憶部
83 タイマー
84 放電制御部
201 導体部(第1の配線パターン)
202 導体部(第1の配線パターン、第1の検査点)
203 導体部(第1の配線パターン、第2の検査点)
204,205 導体部(第1の配線パターン)
206,207,208,209 パッド(第2の配線パターン)
211,212,213,214,215 配線
216,217 配線パターン(第1の配線パターン)

Claims (11)

  1. 検査位置に保持され、一方表面に複数の第1の配線パターンが、他方表面に複数の第2の配線パターンが形成され、第1配線パターンの一部は第1配線パターン間でのみの間で接続されている基板の、前記第1の配線パターンにおける検査点に、電磁波を照射することによって放出される電子に起因する電気信号を検出することにより、前記配線パターンの検査を行う基板検査装置において、
    前記電磁波を前記検査点に収斂させて照射する電磁波照射部と、
    前記第2の配線パターンのそれぞれに同時に接触する多針状の接触子と、
    前記電磁波照射部から照射された電磁波によって前記検査点から放出された電子を捕捉する電極部と、
    前記多針状の接触子と前記電極部との間に電位差を生じさせる電源部と、
    前記多針状の接触子と前記電源部の負極側との間の接続をオンオフする切替部と、
    前記電極部により捕捉された電子に起因する電気信号を検出する検出部と、
    前記切替部をオンさせて多針状接触子全てを電源部の負極に接続すると共に、前記第1の配線パターンのうち第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける検査点に対して、電磁波照射部によって電磁波を照射させた場合に、前記検出部によって検出された電気信号に基づいて、当該第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンの良否を判定する良否判定制御を行う制御部とを備えることを特徴とする基板検査装置。
  2. 前記検出部は、前記電極部により捕捉された電子に起因して流れる電流値を測定するものであり、
    前記制御部は、前記良否判定制御において、第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける検査点に対して、前記検出部によって検出される電流値が零になるまで前記電磁波照射部により電磁波を照射させ、前記電磁波が照射された時間が、予め定められた基準値の範囲内である場合に当該配線パターンを良と判定し、予め定められた基準値の範囲を超える場合に当該第配線パターンが他の配線パターンと短絡している短絡不良と判定し、予め定められた基準値の範囲に満たない場合に当該配線パターンが断線している断線不良と判定するものであることを特徴とする請求項1記載の基板検査装置。
  3. 前記検出部は、前記電極部により捕捉された電子に起因して流れる電流値を測定するものであり、
    前記制御部は、前記良否判定制御において、第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける第1の検査点に対して、前記検出部によって検出される電流値が零になるまで前記電磁波照射部により電磁波を照射させた後、前記第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける第2の検査点に対して前記電磁波照射部によって電磁波を照射させた際に、前記検出部によって検出される電流値が実質的に零である場合に当該配線パターンを良と判定し、前記検出部によって検出される電流値が実質的に零ではない場合に当該配線パターンが前記第1の検査点と第2の検査点との間で断線している断線不良と判定するものであることを特徴とする請求項1記載の基板検査装置。
  4. 前記検出部は、前記電極部と前記電源部の正極側との間に介設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板検査装置。
  5. 電源部の負極側に接続される放電用電極部をさらに備え、
    前記制御部は、前記良否判定制御の実行後、さらに前記電磁波照射部によって電磁波を前記放電用電極部へ照射させることによって前記第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンを放電させる放電制御を実行し、再び前記良否判定制御を実行可能とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基板検査装置。
  6. 電流値を測定する放電電流検出部を介して前記電源部の負極側に接続される放電用電極部をさらに備え、
    前記制御部は、前記良否判定制御の実行後、さらに前記電磁波照射部によって電磁波を前記放電用電極部へ照射させることによって前記第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンを放電させる放電制御を実行すると共に、当該放電制御を実行する過程において前記放電電流検出部によって検出される電流値に基づいて、当該良否判定制御を実行した対象である配線パターンについての良否を再度判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基板検査装置。
  7. 前記制御部は、前記放電制御を実行する場合に、前記切替部をオフさせて全ての接触子を電源から切り離すことを特徴とする請求項5又は6記載の基板検査装置。
  8. 前記放電用電極部の代わりに、前記第1の配線パターンのうち前記第2の配線パターンと導通されている配線パターンであって、前記切替部によって前記電源部の負極側に接続されている配線パターンを用いることを特徴とする請求項5又は6記載の基板検査装置。
  9. 前記切替部は、前記多針状の接触子各々について、前記電源部の負極側との間の接続をオンオフするものであり、
    前記制御部は、前記放電制御を実行する場合に、前記第1の配線パターンと導通されている第2の配線パターンに接触している接触子以外の接触子について、前記切替部により前記接続をオフさせることを特徴とする請求項8記載の基板検査装置。
  10. 検査位置に保持され、一方表面に複数の第1の配線パターンが、他方表面に複数の第2の配線パターンが形成され、第1配線パターンの一部は第1配線パターン間でのみの間で接続されている基板の、前記第1の配線パターンにおける検査点に、電磁波を照射することによって放出される電子に起因する電気信号を検出することにより、前記配線パターンの検査を行う放出される電子に起因する電気信号を検出することにより、前記配線パターンの検査を行う基板検査方法において、
    多針状の接触子を、前記第2の配線パターンのそれぞれに同時に接触させ、
    前記多針状の接触子を電源部の負極側に接続すると共に、電子を捕捉するための電極部を電源部の正極側に接続することにより、前記多針状の接触子と前記電極部との間に電位差を生じさせ、
    前記第1の配線パターンのうち第1配線パターン間でのみの間で接続されている配線パターンにおける検査点に対して電磁波を照射させた場合に、前記電極部を用いて電磁波によって前記検査点から放出された電子を捕捉し、前記電極部により捕捉された電子に起因する電気信号に基づいて、当該配線パターンの良否を判定することを特徴とする基板検査方法。
  11. 前記検査基板の配線の一部は、第1の配線パターンと第2の配線パターンとの間で接続されており、そのような配線に対しては、第2の配線パターン側に接触子を接触させ、その接触子を電源の負極に接続すると共に、第1の配線パターン側に電磁波を照射し、該電磁波による光電効果によって放出される電子に起因する電流を前記接触子を介して配線パターンに流し、その電流値を検出することを特徴とする請求項10記載の基板検査方法。
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