JP2005132645A - 誘電体セラミック組成物、及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体セラミック組成物、及び積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 比誘電率の温度変化率の絶対値が10%以内と小さく、誘電体セラミック層を薄層化しても、絶縁耐力と信頼性に優れ、また比誘電率εrが3500以上でありながら、DCバイアス変化率の絶対値が20%以下と小さい、誘電体セラミック組成物およびこの誘電体セラミック組成物を用いて構成される積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】 組成式:100(Ba1-xCaxmTiO3+aMnO+bNb25+cSiO2+dRe23(但し、Reは、Y、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、a、b、c、およびdはモル比を表わす)で表わされる誘電体セラミック組成物であって、a、b、c、d、x、およびmが0.01≦a≦5、0.05≦b≦2、0.4≦c≦8、0.05≦d≦2.5、0.01≦x≦0.20、0.99≦m≦1.03の範囲内にある。
【選択図】 なし
















































Description

この発明は、誘電体セラミック組成物、及びこの誘電体セラミック組成物を用いて構成される積層セラミックコンデンサに関する。
従来より、NiおよびNi合金を内部電極として使用するために、低酸素分圧下で焼成しても、半導体化せず、しかも静電容量の温度特性が平坦な積層コンデンサ用誘電体材料として、例えば、BaTiO3を主成分とし、副成分としてRe23(但し、ReはTb、Dy、Ho、及びErの内の1種類以上)、Co23、BaO、MnO、及びMgOを添加した誘電体セラミック組成物(特許文献1〜3参照)、BaTiO3を主成分とし、副成分としてRe(但し、ReはY、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの内の少なくとも1種類)、Ca、Mg、及びSiを添加した誘電体セラミック組成物(特許文献4参照)、(Ba、Ca)TiO3を主成分とし、副成分としてRe23(但し、ReはY、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びYbの内の1種類以上)、MgO、及びMnOを添加した誘電体セラミック組成物(特許文献5参照)等のセラミック組成物が、既に多数提案されている。
特開平5−9066号公報 特開平5−9067号公報 特開平5−9068号公報 特開2001−39765号公報 特開2000−58378号公報 そして、従来、これらの誘電体セラミック組成物を用いた積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミック層厚みに対して印加電圧が小さい、すなわち低電界強度の電圧直流下で使用されることが多かった。
近年のエレクトロニクス技術の発展により、電子機器の高機能化、及び高集積化が進展する中、積層セラミックコンデンサの使用条件はますます厳しいものとなっている。
特に、電子機器の高集積化により、高周波で動作するCPU等、発熱体の近傍に実装された積層セラミックコンデンサの周辺温度は従来よりもますます高くなり、信頼性に対する影響が懸念されている。
その一方、前述したような積層セラミックコンデンサの小型大容量化の要求を満たすために、誘電体セラミック層をより薄層化し、かつ多層化する必要も生じている。
このような状況の中で、積層セラミックコンデンサには小型大容量化と、絶縁耐力および信頼性の向上の両立が求められており、それに用いる高誘電率で、比誘電率の温度特性が平坦で、誘電体セラミック層を薄層化しても、絶縁耐力と信頼性に優れる、誘電体セラミック組成物が必要とされている。
しかし、従来の誘電体セラミック組成物は、低電界強度の直流電圧下で使用されることを前提に設計されていたので、用いられる積層セラミックコンデンサの薄層化が進んで、高電界強度の直流電圧下で使用されると、絶縁抵抗、絶縁耐力、および信頼性が極端に低下し、また、印加直流電界に対する静電容量の変化率(以下DCバイアス変化率)が大きくなるという問題があった。
DCバイアス変化率が大きいと、積層セラミックコンデンサの実効容量が低下してしまい、設計の段階で必要としていた静電容量を満たさなくなるため、回路が正常に動作しなくなるという不具合が発生することが懸念される。
このため、従来の誘電体セラミック組成物を、誘電体セラミック層を薄層化した積層セラミックコンデンサに適用する際には、DCバイアス変化率を考慮して、その薄層化の程度に応じて、予め定格電圧を下げる、すなわち印加できる直流電圧を下げる必要があった。
ここで、従来技術として挙げた特許文献1〜5は、静電容量の温度特性が平坦で、薄層化しても信頼性に優れた積層セラミックコンデンサに用いることのできる誘電体セラミック組成物を提供しようとするものである。
しかし、従来の誘電体セラミック組成物では、DCバイアス変化率を小さくしようとすると、特許文献5に示されるように、比誘電率εrが3000未満に低下してしまうため、積層セラミックコンデンサの小型大容量化と、DCバイアス変化率の改善を両立させることができなかった。
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、すなわち、比誘電率の温度特性が平坦で、誘電体セラミック層を薄層化しても、絶縁耐力と信頼性に優れ、また比誘電率εrが3500以上でありながら、DCバイアス変化率の絶対値が20%以下と小さい、誘電体セラミック組成物、及びこの誘電体セラミック組成物を用いて構成される積層セラミックコンデンサを提供しようとすることである。
上述した技術的課題を解決するため、この発明の誘電体セラミック組成物は、組成式:100(Ba1-xCaxmTiO3+aMnO+bNb25+cSiO2+dRe23(但し、ReはY、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、a、b、c、及びdはモル比を表わす)で表わされる、誘電体セラミック組成物であって、0.01≦a≦5、0.05≦b≦2、0.4≦c≦8、0.05≦d≦2.5、0.01≦x≦0.20、0.99≦m≦1.03の範囲内にある。
また、この発明の積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体セラミック層と、該誘電体セラミック層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備える、積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体セラミック層が上述した誘電体セラミック組成物で構成されていることを特徴としている。
また、前記内部電極は、Ni、Ni合金、Cu、及びCu合金の中から選ばれる少なくとも1種の導電性材料で構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、20℃での値を基準とした比誘電率の温度変化率の絶対値が10%以内と小さく、誘電体セラミック層を薄層化しても、絶縁耐力と信頼性に優れ、また比誘電率εrが3500以上でありながら、DCバイアス変化率の絶対値が20%以下と小さい、誘電体セラミック組成物を得ることができる。
従って、この発明に係る誘電体セラミック組成物を積層セラミックコンデンサに適用することにより、電子機器の高機能化、及び高集積化により厳しくなっている使用条件に対しても、優れた信頼性を確保することができる。
さらに、積層セラミックコンデンサの小型大容量化と、DCバイアス変化率の改善を両立させることができ、電気的特性が安定で、かつ優れたものとすることができる。
図1は、この発明に係る誘電体セラミック組成物を用いて構成される積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、積層体2を備えている。積層体2は、積層される複数の誘電体セラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3の間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極4及び5とをもって構成される。内部電極4及び5は、積層体2の外表面にまで到達するように形成されるが、積層体2の一方の端面6にまで引き出される内部電極4と、他方の端面7にまで引き出される内部電極5とが、積層体2の内部において交互に配置されている。
積層体2の外表面上であって、端面6及び7上には、外部電極8及び9がそれぞれ形成されている。また、必要に応じて、外部電極8及び9上には、Ni、Cu等からなる第1のめっき層10及び11がそれぞれ形成され、さらにその上には、はんだ、Sn等からなる第2のめっき層12及び13がそれぞれ形成されている。
次に、上述のような積層セラミックコンデンサ1の製造方法について、製造工程順に説明する。
まず、誘電体セラミック組成物のための原料粉末を用意し、これをスラリー化し、このスラリーをシート状に成形して、誘電体セラミック層3のためのグリーンシートを得る。ここで、誘電体セラミック原料粉末として、後に詳細に説明するように、この発明に係る誘電体セラミック組成物のための原料粉末が用いられる。
次に、グリーンシートの特定のものの各一方主面に、内部電極4及び5を形成する。内部電極4及び5は、Ni、Ni合金、Cu、及びCu合金の中から選ばれる少なくとも1種の導電性材料により構成されるが、特にNiまたはNi合金により構成されることが好ましい。これら内部電極4及び5は、通常、上述のような導電性材料により構成される導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷法や転写法により形成されるが、これらに限らずどのような方法によって形成されてもよい。
次に、内部電極4または5を形成した誘電体セラミック層3のためのグリーンシートを必要数積層すると共に、これらグリーンシートを、内部電極が形成されない適当数のグリーンシートによって挟んだ状態とし、これを熱圧着することによって、生の積層体を得る。
次に、この生の積層体を、所定の還元性雰囲気中で所定の温度にて焼成し、それによって、図1に示すような焼結後の積層体2を得る。
その後、積層体2の両端面6および7上に、内部電極4及び5とそれぞれ電気的に接続されるように、外部電極8及び9を形成する。これら外部電極8及び9の材料としては、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag、またはAg合金等を用いることができる。外部電極8及び9は、通常、金属粉末にガラスフリットを添加して得られた導電性ペーストを、積層体2の両端面6及び7上に塗布し、これを焼き付けることによって形成される。
なお、外部電極8及び9となるべき導電性ペーストは、通常、上述のように焼結後の積層体2に塗布され、焼き付けられるが、焼成前の生の積層体に塗布しておき、積層体2を得るための焼成と同時に焼き付けられてもよい。
次に、外部電極8及び9上に、Ni、Cu等のめっきを施し、第1のめっき層10および11を形成する。最後に、これら第1のめっき層10及び11上に、はんだ、Sn等のめっきを施し、第2のめっき層12及び13を形成し、積層セラミックコンデンサ1を完成させる。
このような積層セラミックコンデンサ1において、誘電体セラミック層3は、組成式:100(Ba1-xCaxmTiO3+aMnO+bNb25+cSiO2+dRe23(但し、ReはY、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、a、b、c、及びdはモル比を表わす)で表わされる、誘電体セラミック組成物により構成される。
但し、上記の組成式において、x、m、a、b、c、及びdは、0.01≦a≦5、0.05≦b≦2、0.4≦c≦8、0.05≦d≦2.5、0.01≦x≦0.20、0.99≦m≦1.03の範囲内にある。
この誘電体セラミック組成物は、還元性雰囲気中で焼成しても、半導体化することなく、焼結することができる。
また、この誘電体セラミック組成物を用いて、前記積層セラミックコンデンサ1における誘電体セラミック層3を構成するようにすれば、20℃での値を基準とした比誘電率の温度変化率の絶対値が10%以内と小さく、誘電体セラミック層を薄層化しても、絶縁耐力と信頼性に優れ、また比誘電率εrが3500以上でありながら、DCバイアス変化率の絶対値が20%以下と小さくすることができる。
このような誘電体セラミック組成物の出発原料は、(Ba1-xCaxmTiO3で表わされる化合物、Mn化合物、Nb化合物、Si化合物、及びRe化合物(但し、Reは、Y、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素)を含むものであるが、誘電体セラミック組成物の原料粉末の製造方法としては、(Ba1-xCaxmTiO3で表わされる化合物を実現し得るものであれば、どのような方法を用いてもよい。
例えば、(Ba1-xCaxmTiO3で表わされる化合物を心材、それ以外の成分を添加成分と呼ぶ場合、BaCO3、CaCO3、及びTiO2を混合する工程と、心材を合成するためにこの混合物を熱処理する工程と、得られた心材に添加成分を加えて混合する工程とを備える製造方法によって、誘電体セラミック組成物の原料粉末を得ることができる。
また、水熱合成法、加水分解法、あるいはゾル−ゲル法等の湿式合成法によって心材を合成する工程と、得られた心材に添加成分を加えて混合する工程とを備える製造方法によっても、誘電体セラミック組成物の原料粉末を得ることができる。
また、添加成分であるMn化合物、Nb化合物、Si化合物、及びRe化合物(但し、ReはY、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素)としては、前記誘電体セラミック組成物を構成できるものであれば、酸化物粉末に限らず、アルコキシドや有機金属等の溶液を用いてもよく、これら用いられる添加成分の形態によって、得られた誘電体セラミック組成物の特性が損なわれることはない。
また、上述したような誘電体セラミック組成物は、焼成されて、図1に示した積層セラミックコンデンサ1の誘電体セラミック層3となるが、このような焼成工程において、内部電極4及び5に含まれるNi、Ni合金、Cu、及びCu合金のような金属は、誘電体セラミック層3中に拡散する場合もあるが、上記の誘電体セラミック組成物によれば、このような金属成分が拡散しても、その電気的特性に実質的な影響がないことを確認している。
次に、この発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。この実施例は、この発明に係る組成範囲の限定の根拠を与えるためのものでもある。
この実施例において、前記図1に示すような積層セラミックコンデンサを作製した。
まず、心材である(Ba1-xCaxmTiO3の出発原料として、高純度のBaCO3、CaCO3、及びTiO2の各粉末を準備し、以下の表1に示すCaの含有量、すなわち「Ca変性量:x」、および「(Ba、Ca)/Ti比:m」が得られるように、前記の各出発原料粉末を調合した。
この調合粉末をボールミルを用いて湿式混合し、均一に分散させた後、乾燥処理を施して調整粉末を得た。
得られた調整粉末を1000℃以上の温度で仮焼し、平均粒径0.20μmの表1に示すA〜Nの13種類の心材粉末を得た。なお、平均粒径は、走査型電子顕微鏡によって粉末を観察し、300個の粒子の粒子径を測長して求めた。
Figure 2005132645
また、添加成分の出発原料として、Nb25、MnCO3、SiO2、及びRe23(但し、ReはY、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素)の各粉末を準備し、以下の表2及び表3に示すx、m、a、b、c、及びdにそれぞれ選ばれた、組成式:100(Ba1-xCaxmTiO3+aMnO+bNb25+cSiO2+dRe23で表わされる組成が得られるように、前記A〜Nの心材粉末と、前記各添加成分の出発原料粉末を調合した。
Figure 2005132645
Figure 2005132645
次に、この調合粉末をボールミルを用いて湿式混合し、均一に分散させた後、乾燥処理を施して、誘電体セラミック組成物の原料粉末を得た。
次に、この誘電体セラミック原料粉末にポリビニルブチラール系のバインダ、可塑剤及びエタノール等の有機溶剤を加え、ボールミルにより湿式混合して誘電体セラミック組成物のスラリーを得た。このスラリーをポリエチレンテレフタレート等からなるキャリアフィルム上にシート状に成形して、誘電体セラミック組成物のグリーンシートを得た。得られたグリーンシートの厚みは2.8μmであった。
次に、得られたグリーンシート上に、Niを主成分とする導電性ペーストを用いて内部電極パターンを印刷した後、互いに対向して複数の静電容量を構成するように21層積み重ね、さらにその上下面に内部電極パターンが形成されないセラミックグリーンシートを適当数積み重ねて熱圧着し、生の積層体を得た。
この生の積層体をN2雰囲気中で350℃、3時間保持して脱バインダし、その後、N2−H2−H2Oの混合ガスを用いて、Ni内部電極が酸化しない酸素分圧10-12〜10-9MPaの還元雰囲気中で、表4及び表5に示す温度でそれぞれ2時間保持して焼成し、積層体を得た。
焼成後の積層体の両端面に、Agを主成分とし、B23−SiO2−BaO系のガラスフリットを含有する導電性ペーストを塗布し、N2雰囲気中において600℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外部電極を形成した。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅が5.0mm、長さが5.7mm、及び厚さ2.4mmであった。また、有効な誘電体セラミック層の層数は20であり、1層当たりの対向電極面積は16.3mm2であり、セラミック誘電体層の厚さは2μmであった。
これら得られた試料について、静電容量C(nF)及び誘電損失tanδ(%)を、自動ブリッジ式測定器を用い、20℃において0.5Vrms、120Hzの交流電圧を印加して測定し、得られた静電容量Cと、内部電極面積及びセラミック誘電体層厚さから比誘電率εrを算出した。
さらに、20℃において0.5Vrms、120Hzの交流電圧に対して5Vの直流電圧を重畳した場合の静電容量CDCを測定し、直流電圧を重畳しない場合の静電容量Cを基準としたDCバイアス変化率ΔCDC(%)を、ΔCDC=((CDC−C)/C)×100の式に基づいて算出した。
また、−25℃〜+85℃の範囲内で、温度を変化させながら静電容量を測定し、20℃での静電容量Cを基準として、変化の絶対値が最大となった静電容量CTCについて、その際の温度変化率ΔCTC(%)を、ΔCTC=((CTC−C)/C)×100の式に基づいて算出した。
また、絶縁抵抗R(Ω)を、絶縁抵抗計を用い、20℃において10Vの直流電圧を1分間印加して測定し、得られた絶縁抵抗Rから抵抗率ρ(Ω・m)を算出した。
また、高温負荷試験として、温度150℃において25Vの直流電圧を印加して、その絶縁抵抗RLifeの経時変化を測定し、各試料の絶縁抵抗値が105Ω以下になった時点を故障とし、それらの平均故障時間MTTF(時間)を求めた。
以上の電気的特性の評価結果を表4及び表5に示す。
Figure 2005132645
Figure 2005132645
表4及び表5に示した各電気的特性についての好ましい範囲は、比誘電率εrについては、3500以上であり、誘電損失tanδについては、5%以下であり、DCバイアス変化率ΔCDCについては、その絶対値が20%以下であり、温度変化率ΔCTCについては、その絶対値が10%以下であり、抵抗率ρについては、これをlog(ρ/Ω・m)で表わした場合に11以上であり、平均故障時間MTTFについては、100時間以上である。
以下に、この発明において、前記の組成範囲に限定した理由について説明する。
表1〜5において、試料番号に*を付したものは、この発明に係る組成範囲から外れた試料である。
まず、x<0.01の場合は、試料1に示すように、MTTFが100時間未満となる。他方、x>0.20の場合は、試料2に示すように、εrが3500未満となり、またΔCTCの絶対値が10%を超える。
次に、m<0.990の場合は、試料3に示すように、log(ρ/Ω・m)が11未満となり、またMTTFが測定できない程度まで著しく短くなる。他方、m>1.03の場合は、試料4に示すように、εrが3500未満となり、tanδが5%を超え、ΔCTCの絶対値が10%を超え、log(ρ/Ω・m)が11未満となり、またMTTFが測定できない程度まで著しく短くなる。
次に、a<0.01の場合は、試料5に示すように、log(ρ/Ω・m)が11未満となり、またMTTFが測定できない程度まで著しく短くなる。他方、a>5の場合は、試料6に示すように、ΔCTCの絶対値が10%を超え、またlog(ρ/Ω・m)が11未満となる。
次に、b<0.05の場合は、試料7に示すように、ΔCDCの絶対値が20%を超える。他方、b>2の場合は、試料8に示すように、ΔCTCの絶対値が10%を超える。
次に、c<0.4の場合は、試料9に示すように、εrが3500未満となり、tanδが5%を超え、ΔCTCの絶対値が10%を超え、log(ρ/Ω・m)が11未満となり、またMTTFが100時間未満となる。他方、c>8の場合は、試料10に示すように、ΔCTCの絶対値が10%を超え、またMTTFが100時間未満となる。
次に、d<0.05の場合は、試料11に示すように、MTTFが100時間未満となる。他方、d>2.5の場合は、ΔCTCの絶対値が10%を超える。
これらに対して、表4及び表5に示すように、この発明の範囲内にある試料13〜67に係る誘電体セラミック組成物によれば、εrを3500以上と大きく、tanδを5%以下と小さく、DCバイアス変化率ΔCDCについては、その絶対値が20%以下と小さく、温度変化率ΔCTCについては、その絶対値が10%以下と小さく、抵抗率ρについては、これをlog(ρ/Ω・m)で表わした場合に11以上と高く、平均故障時間MTTFについては、100時間以上と長くすることができる。
この発明に係る誘電体セラミック組成物を用いて構成される積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 誘電体セラミック層
4、5 内部電極
8、9 外部電極
10、11 第一めっき層
12、13 第二めっき層

Claims (3)

  1. 組成式:100(Ba1-xCaxmTiO3+aMnO+bNb25+cSiO2+dRe23(但し、ReはY、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、a、b、c、及びdはモル比を表わす)で表わされる、誘電体セラミック組成物であって、
    0.01≦a≦5、
    0.05≦b≦2、
    0.4≦c≦8、
    0.05≦d≦2.5、
    0.01≦x≦0.20、
    0.99≦m≦1.03
    の範囲内にある、誘電体セラミック組成物。
  2. 複数の誘電体セラミック層と、該誘電体セラミック層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備える、積層セラミックコンデンサにおいて、前記誘電体セラミック層が請求項1に記載の誘電体セラミック組成物で構成されていることを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記内部電極は、Ni、Ni合金、Cu、及びCu合金の中から選ばれる少なくとも1種の導電性材料で構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
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