JP2005123560A - 発光装置およびその形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発光観測方位によって混色光の色温度の変化を少なくし発光効率を向上させる。
【解決手段】 本発明は、電極208、209が導電部材102を介して支持基板101の導電パターン207に対向し接合されている発光素子103と、発光素子103からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光物質106を含有し発光素子103の少なくとも一部を被覆する波長変換部材104、105とを有する発光装置において、波長変換部材104は、導電部材102から離間されていることを特徴とする。また、波長変換部材104は、さらに支持基板101から離間されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発光素子と蛍光物質とを利用した発光装置、およびその製造方法に関わり、特に発光効率が高く、発光観測方位によって色度ズレが少なく光学特性に優れ、信頼性の高い発光装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
近年、発光素子と、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発光する蛍光物質とを組み合わせた発光装置が製品化されている。例えば、特開平11−40848号公報や特開2001−15817号公報に開示される発光装置は、支持基板にフリップチップ実装された発光素子の周辺に、蛍光体を含有する樹脂の層がディペンサーを利用したポッティングやスクリーン印刷にて配置されて形成されている。
特開平11−40848号公報。
特開2001−15817号公報。
しかしながら、ディペンサーを利用したポッティングによる波長変換部材の形成方法は、蛍光体含有の液状樹脂を供給し、波長変換部材を形成するときに、液状樹脂のレオロジーにより波長変換部材の表面が曲面となってしまい、発光素子の周辺で均一な層厚の波長変換部材が形成されない。また、スクリーン印刷による波長変換部材の形成方法も同様に、液状樹脂のレオロジーにより発光素子の側面側において波長変換部材の表面が曲面となってしまい、均一な層厚の波長変換部材が形成されない。したがって、発光素子からの光と、その光が蛍光体により波長変換された光との混色光の色温度が各発光観測方位によって異なり、色度ズレが少なく信頼性の高い発光装置とすることができない。
また、発光素子の電極が導電パターンにバンプを介して接合された発光装置において、発光素子からの放熱は主にバンプを介してサブマウントの方向へ行われることとなり、バンプの周辺およびサブマウントが発熱する。一般に、蛍光体は蛍光体の周囲温度の上昇と共に発光輝度が低下する傾向にある。従って、バンプの周辺に蛍光体を配置すると、発光装置の発光効率が低下する。
そこで、本発明は、発光観測方位によって混色光の色温度が異なることなく、発光効率が高い発光装置およびその形成方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために本発明に係る発光装置は、電極が導電部材を介して支持基板の導電パターンに対向し接合されている発光素子と、該発光素子の光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光物質を含有し前記発光素子の少なくとも一部を被覆する波長変換部材とを有する発光装置において、上記波長変換部材は、上記導電部材から離間されていることを特徴とする。さらに、上記波長変換部材は、上記支持基板から少なくとも部分的に離間されている。また、波長変換部材は、導電部材または支持基板から樹脂を含む部材、例えばアンダーフィル材を介して離間されていることが好ましい。このように構成すると、蛍光体の輝度が周囲温度の上昇と共に低下することを抑制することができるため、従来技術と比較して発光効率の高い発光装置とすることができる。また、従来技術と比較して発光観測方位によって層厚が均一の波長変換部材を有するため、発光観測方位によって色温度がほぼ同じの発光装置とすることができる。
また、上記波長変換部材は、上記発光素子の側面方向に配置される第一の波長変換部材と、上記発光素子の発光観測面側主面を被覆する第二の波長変換部材とからなり、上記第一の波長変換部材は、上記発光観測面側主面を含む平面から突出する上端部を有し、上記第二の波長変換部材は、上記上端部の少なくとも一部を被覆することが好ましい。また、第二の波長変換部材は、上記発光素子の側面と上記第一の波長変換部材との間に介在していることが好ましい。このように構成すると、発光観測方位によって色温度がほぼ同じの発光装置とし、第二の波長変換部材を発光素子の発光観測面側主面方向にて強固に固定保持することができるため、信頼性の高い発光装置とすることができる。
また、上記第一の波長変換部材は、上記第二の波長変換部材の発光観測面側主面を含む平面から突出する上端部を有し、上記第二の波長変換部材が該上端部により位置決めされる封止部材を有する。このように構成すると、封止部材を発光素子の主面方向にて固定保持することができるため、信頼性の高い発光装置とすることができる。
また、蛍光物質は、AlとY、Lu、Sc、La、Gd、Tb、Eu、Ga、In及びSmから選択された少なくとも一つの元素とを含み、かつ希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された蛍光体、および、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択された少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択された少なくとも一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された蛍光体から選択された少なくとも一種の蛍光体である。これにより、本発明にかかる発光装置は、発光素子からの光と、発光素子からの光の少なくとも一部が蛍光物質により吸収され異なる波長を有する光との混色光を発光することができる。また、二種以上の蛍光体を組み合わせることにより混色光の演色性を向上させることができる。さらに、第二の波長変換部材に含有される粒子状蛍光物質の中心粒径は、第一の波長変換部材に含有される粒子状蛍光物質の中心粒径より大きい。これにより、波長変換部材中の蛍光体分布を均一とし、発光輝度が高く発光観測方位によって色度が均一な発光装置とすることができる。
さらに、以上の目的を達成するために本発明に係る発光装置の形成方法は、発光素子と、該発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発光する蛍光物質を含有する波長変換部材とを有する発光装置の形成方法において、蛍光物質と該蛍光物質を固着させる結着剤との混合物を上記発光素子の外周に沿うように供給する第一の工程と、上記混合物を障壁として位置決めし、上記発光素子の主面側に蛍光物質と結着剤との混合物を供給する第二の工程と、上記混合物のうち少なくとも一方を硬化させる第三の工程とを含むことを特徴とする。このように構成すると、従来技術と比較して発光観測方位によって色温度がほぼ同じ発光装置を容易に形成することができる。
また、第一の工程により供給された混合物は、第二の工程の前に硬化されることが好ましい。このように構成すると、硬化された第一の波長変換部材を障壁として第二の波長変換部材の材料を位置決めすることが容易にできる。
また、第一の工程の前に、発光素子の電極が導電部材を介して支持基板の導電パターンに接合される。このように、フリップチップ実装において、バンプのような導電部材から離間させて波長変換部材を形成することにより、従来技術と比較して放熱性を向上させ発光効率の高い発光装置をとすることが容易にできる。
また、本発明は、第二の工程により供給される混合物中の粒子状蛍光物質の中心粒径が、第一の工程により供給される混合物中の粒子状蛍光物質の中心粒径より大きくすることができる。これにより、発光輝度が高く発光観測方位によって色度が均一な発光装置を形成することが容易にできる。
本発明にかかる発光装置は、周囲温度の上昇による発光効率の低下を抑え、発光観測方位によって混色光の色温度が異なることがない。また、本発明にかかる形成方法によれば、発光観測方位によって混色光の色温度や色度が異なることがない発光装置を容易に形成することができる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置およびその形成方法を例示するものであって、本発明は発光装置およびその形成方法を以下に限定するものではない。また、各図面に示す部材の大きさや位置関係などは説明を明確にするために誇張しているところがある。
近年、LEDチップと、そのLEDチップの発光のうち少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発光する蛍光物質とを組み合わせ、それらの混色光を得る発光装置がある。例えば、特開2001−15817号公報に開示される発光装置は、サブマウントと呼ばれる支持基板にフリップチップ実装されたLEDチップの周辺に蛍光体を含有する樹脂がスクリーン印刷にて形成されている。ここで、本明細書中における「フリップチップ実装」とは、発光素子の電極を、バンプと呼ばれる導電部材と介して支持基板の導電パターンに対向させ、接合する実装方法をいう。
しかしながら、ディペンサーによるポッティングによって形成された波長変換部材は、波長変換部材を形成するときに、液状樹脂のレオロジーにより波長変換部材の表面が曲面となってしまい、発光素子の周辺で均一な層厚の波長変換部材とならない。また、スクリーン印刷により形成された波長変換部材は、発光素子の主面側はほぼ均一な層厚の波長変換部材が形成されるものの、発光素子の側面側において、液状樹脂のレオロジーにより波長変換部材の表面が曲面となってしまい均一な層厚の波長変換部材とならない。したがって、発光素子の周囲に形成されている波長変換部材の各方位において、蛍光体による波長変換の程度が異なることとなる。そのため、発光素子からの光と、その光が蛍光体により波長変換された光との混色光の色温度が発光観測方位によって異なり、色度ズレが少なく信頼性の高い発光装置とすることができない。また、上記のような形成方法により波長変換部材を形成するとき、発光素子の側方端面側において波長変換部材を所望の位置に配置することが容易でない。例えば、周囲温度の上昇と共に蛍光体の輝度が低下する蛍光体をバンプやサブマウントのような発熱体から離間させて配置することが難しい。なぜなら、発熱体へのタレを防止するために比較的粘度の高い材料にて発光素子全体を被覆しようとすると、波長変換部材の形成工程全体の作業性を低下させてしまうからである。
そこで、電極が導電部材を介して支持基板の導電パターンに対向し接合されている発光素子と、該発光素子の光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光物質を含有し発光素子の少なくとも一部を被覆する波長変換部材とを有する発光装置において、本願発明者らは、発光素子の側面方向と主面方向における波長変換部材をそれぞれ別工程にて形成し、上記波長変換部材を上記導電部材または上記支持基板のうち少なくとも一方から離間させることにより上述したような課題を解決するに至った。
即ち、本願発明にかかる発光装置は、図1に示されるように、支持基板101に実装された発光素子103の側方端面側に形成された第一の波長変換部材104と、発光素子103の主面側を被覆するように形成された第二の波長変換部材105とを有する。第一、第二の波長変換部材104、105は、蛍光体とともに該蛍光体を固着させる結着剤により構成されている。また、第一の波長変換部材104の上端部は、支持基板101の主面からの高さが、発光素子103の主面より高くなるように形成されている。したがって、第一の波長変換部材104の上端部が第二の波長変換部材105の障壁となり、第二の波長変換部材105が発光素子103の主面側からこぼれ落ちないように構成されている。このような構成は、発光観測面をレベリングさせて平滑面とすることを目的として、未硬化の状態で流動性を有する樹脂を結着剤としたとき特に効果がある。さらに、上記波長変換部材は、上記発光素子の側方において、発熱体であるバンプ102から離間されており、熱に弱い蛍光体の輝度の低下を抑制し、発光効率の高い発光装置とすることができる。
また、発光素子と、該発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発光する蛍光物質を含有する波長変換部材とを有する発光装置の形成方法において、本願発明者らは、上記発光素子の外周に沿うように蛍光物質と結着剤との混合物を供給する第一の工程と、上記混合物を障壁として位置決めし、上記発光素子の主面側に蛍光物質と結着剤との混合物を供給する第二の工程と、上記混合物のうち少なくとも一方を硬化させる第三の工程とを含む発光装置の形成方法とすることにより上述したような課題を解決するに至った。
即ち、本願発明にかかる発光装置の形成方法は、少なくとも以下の工程Aから工程Cを含むことを特徴とする。図9は、本願発明にかかる発光装置の形成方法のうち、工程Aの一実施例を模式的に示す斜視図である。図10、図11および図12は、本願発明にかかる発光装置の形成方法のうち、工程Bの一実施例を模式的に示す斜視図および断面図である。
工程A;図9に示されるように、支持基板に実装された発光素子の外周に沿って、発光素子の側面方向に蛍光物質と結着剤である樹脂材料との混合物(以下、「硬化性組成物」と呼ぶことがある。)を配置させる。このとき、図1あるいは図5に示されるように、発光素子の側面と混合物の外壁面との距離aは、発光素子が実装されている側の支持基板の主面から混合物の上端部までの距離b(第一の波長変換部材の高さ;b)と、上記支持基板の主面から発光素子の発光観測面側主面までの距離hとの差分(b−h)(上端部の厚み)とほぼ等しいことが好ましい。言い換えると、第一の波長変換部材を形成する混合物の上端部は、発光素子の側面と混合物の外壁面との距離aだけ、透光性基板210の発光観測面側主面から突出するように配置することが好ましい。これにより、発光素子は、均一な厚みを有する波長変換部材にて被覆され、発光観測方位によって色温度の変化が少ない発光装置とすることができる。
本工程における形成方法は、図9に示されるディスペンサー202を利用した方法である。なお、本形態ではディペンサーを利用するが、メタルマスク法や、以下の工程で利用されるスクリーン印刷による形成方法により、蛍光体含有の樹脂材料を配置させてもよい。また、本発明による形成方法によれば、異なる種類の蛍光体含有の樹脂材料を発光素子の側方端面側のみに多層に配置させることも容易にできる。
工程B;図10および図11に示されるように、発光素子の上面を被覆するようにディスペンサーを利用したポッティング、あるいは図12に示されるように、スクリーン印刷にて蛍光体含有の樹脂材料を配置させる。例えば、ディスペンサーを利用するとき、図10に示されるように、工程Aにて配置された硬化性組成物201の縁に沿うように硬化性組成物203を発光素子103主面へ供給した後、発光素子103主面の中心方向に向かって渦巻き状かつ連続的に硬化性組成物203を供給することができる。また、図11に示されるように、工程Aにて配置された硬化性組成物201の方向へ、発光素子103の中心付近から渦巻き状かつ連続的に硬化性組成物203を供給することができる。このとき、硬化性組成物203が供給される途中で、含有される蛍光物質の種類を変更したり、拡散剤を含有させたりすることもできる。これにより、種類の異なる蛍光体相互間における発光の吸収および発光装置の配光特性を考慮し、発光効率の高い発光装置とすることができる。
本工程において、工程Aにて配置させた混合物、あるいはそれが硬化された第一の波長変換部材は、本工程において供給される混合物の流動を妨げる障壁となり、供給される硬化性組成物203の位置決めを行うことが容易にできる。即ち、発光素子が実装されている側の支持基板の主面から混合物の上端部までの距離bと、上記支持基板の主面から発光素子の発光観測面側主面までの距離hとの差分(b−h)が障壁の高さとなり、また本工程において供給される硬化性組成物203の厚みcとなる。また、この厚みcは、発光素子の側面と混合物の外壁面との距離aと等しくすることができる。これにより、発光素子は、均一な厚みを有する第一、第二の波長変換部材104、105にて被覆され、発光観測方位によって色温度の変化が少ない発光装置とすることができる。また、上記工程Aにて配置させた混合物より、含有される蛍光体の量を大きくしたり、小さくしたりすることができる。
工程C;所定時間静置させることにより蛍光体含有の混合物の平滑面を得た後、混合物を硬化させることにより、発光素子の側方端部側を被覆するような第一の波長変換部材、および発光素子の主面側を被覆するような第二の波長変換部材を形成する。フリップチップ実装された発光素子と支持基板との間に生じる隙間には、アンダーフィル材として樹脂を供給することが好ましい。このように構成することにより、発光装置の放熱性が向上し、発光素子と支持基板との熱膨張や機械的な応力を緩和させることができるため、発光装置の信頼性を向上させることができる。また、アンダーフィル材が波長変換部材とバンプやサブマウントとを介するように配置されることにより、波長変換部材とバンプやサブマウントを離間させることができる。
なお、第一の波長変換部材および第二の波長変換部材を形成する混合物は、別々に硬化させてもよいし、同時に硬化させてもよい。即ち、第一の波長変換部材の材料を硬化させた後、発光素子の主面側に蛍光体含有の樹脂を配置させてもよい。このように別々に硬化させることにより、第二の波長変換部材を形成するための位置決めを容易に行うことができる。また、別々に硬化させることにより、第一の波長変換部材と第二の波長変換部材との界面が生じる。以下、本形態の各構成について詳述する。
[波長変換部材]
本形態における波長変換部材は、発光素子の周辺に配置され、発光素子からの光を吸収して異なる波長を含む光を発光可能な部材である。波長変換部材には、有機蛍光体や以下に述べる無機蛍光体のような蛍光物質の他、発光素子からの光を発光観測面方向に散乱させる拡散剤や、発光素子から放出される波長の一部をカットするフィルター効果を持つ着色剤、顔料を含有させることもできる。ここで、第一の波長変換部材および第二の波長変換部材に含有される拡散剤、蛍光物質を固着させる結着剤と蛍光物質との混合比率、種類は同じである必要はない。即ち、第一の波長変換部材と第二の波長変換部材とは、異なる混合比率で、異なる種類の拡散剤や蛍光物質を含有してもよい。また、第一の波長変換部材および第二の波長変換部材は、それぞれ多数隣接させて形成することにより多層構造とすることができる。例えば、図3に示されるように第一の波長変換部材104aおよび104b、第二の波長変換部材105aおよび105bとすることもできる。さらに、このように多層構造としたとき、結着剤、含有される蛍光物質や拡散剤の種類、量および粒径を層ごとに変えたり、屈折率を変化させることができる。以下、発光素子の側方端面側に形成される第一の波長変換部材、発光素子の主面方向に配置される第二の波長変換部材について、それぞれ詳述する。
(第一の波長変換部材104)
本形態における第一の波長変換部材を形成するための材料としては、タレの生じにくい比較的チキソ性の高い樹脂が結着剤として使用される。このようにチキソ性の高い材料とすることにより、発光素子と支持基板との隙間に入りにくく、導電部材の方にタレないようにすることができる。例えば、封止用樹脂と同一組成(但し、チキソ性が異なる。)のものを使用できる。チキソ性の範囲は、タレや高さ不足を生じない程度に、作業性よく均一高さの形成が容易にできるように調整される。
第一の波長変換部材の高さは、支持基板に搭載された発光素子の支持基板からの高さとほぼ同程度の高さに形成されるが、これより多少低くても第二の波長変換部材の形成材料を発光素子の主面側に位置決めできる程度の高さがあれば特に問題はない。
第一の波長変換部材を形成するための樹脂材料は、熱硬化性樹脂の場合、加熱硬化時の熱により粘度が低下しないことが好ましい。このような材料としては、封止用樹脂に超微粉のシリカ粉末或いは微細なゴム粒子を樹脂でくるんだコアシェル型の微細粒子を樹脂成分100部に対し、0.1〜10部の範囲で添加したものを挙げることができる。
発光素子を支持基板に実装させる方法として、発光素子の電極を支持基板の導電パターンに配置したバンプに対向させて、荷重、熱および超音波を加えて接合する方法がある。ここで、本形態において、フリップチップ実装したとき、上述したように、第一の波長変換部材の材料をチキソ性のある材料とすると、その材料は発光素子と支持基板との間に入り込み難く、発光素子と支持基板との間に隙間が生じる。そこで、第一の波長変換部材を形成する材料の配置前に、発光素子と支持基板との間にアンダーフィル材206を注入することが好ましい。図4に示されるように、チキソ性のあるアンダーフィル材206を配置させることにより、第一の波長変換部材104と発熱体であるバンプ102とを離間させて配置することができる。ところで、発光素子103の発熱は、バンプ102を介して支持基板101の方向へ放熱される。したがって、支持基板101は、バンプ102と同様に発熱体となる。本形態において、第一の波長変換部材104は、発熱体である支持基板101からアンダーフィル材206を介し離間させて配置することもできる。このようにアンダーフィル材を発熱体から間隔を空けて配置することにより、第一の波長変換部材に含有される蛍光物質の輝度低下を抑制し、発光効率の高い発光装置とすることができる。
アンダーフィル材206は、フリップチップ実装前に支持基板に配置されるか、フリップチップ実装後、第一の波長変換部材を形成する材料の配置前に発光素子と支持基板との間に注入され、熱硬化される。アンダーフィルの材料は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。アンダーフィルの熱伝導性を向上させるため、あるいはアンダーフィルの熱応力を緩和させるため、さらに窒化アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム及びそれらの複合混合物等が樹脂に混入されてもよい。アンダーフィルの量は、発光素子の正負両電極とサブマウントとの間に生じた隙間を埋めることができる量である。
(第二の波長変換部材105)
第一の波長変換部材の形成後、あるいは第一の波長変換部材を形成する材料を配置し硬化前の段階で、発光素子の主面側を被覆するように、外縁が第一の波長変換部材にかかるように第二の波長変換部材の形成材料が配置される。第二の波長変換部材を形成する材料の配置には、孔版印刷、スクリーン印刷およびポッティングのような形成方法が適用される。このような形成方法により配置された第二の波長変換部材の材料は、硬化までの間は流動性を有するが、発光素子の側方端面方向への流動は、先に形成された第一の波長変換部材あるいはその硬化前の材料により阻止される。そのため、第二の波長変換部材の材料は、そのレオロジーと相俟って配置した時点の形状をそのまま保持する。また、第二の波長変換部材の表面は、硬化時までは、その材料が依然流動性を有しているので、自然に平坦になり平滑性が得られる。
発光素子を第二の波長変換部材の材料で被覆した後は、その材料を硬化させ、第一の波長変換部材が未硬化の場合は、第一の波長変換部材と共に加熱硬化させる。さらに、本発明の別の実施形態として、各層で蛍光体の種類が異なるように多層構造とされた波長変換部材をストライプ状、同心円状の波長変換部材として発光素子の上面を被覆するように設けることができる。これにより、種類の異なる蛍光体相互間における発光の吸収および発光装置の配光特性を考慮し、発光効率の高い発光装置とすることができる。
また、第一の波長変換部材104は、発光観測面側主面を含む平面から突出する上端部を有し、第二の波長変換部材105は、上端部の少なくとも一部を被覆することが好ましい。このように構成することにより、第二の波長変換部材105が発光観測面側主面において固定保持され横方向にズレ動くことがないため、信頼性の高い発光装置とすることができる。
また、第二の波長変換部材105は、発光素子の側面と第一の波長変換部材104との間に介在していることが好ましい。このように構成することにより、第二の波長変換部材105が発光素子の発光観測面側主面において強固に固定保持され、脱落することがないため、信頼性の高い発光装置とすることができる。さらに、第一の波長変換部材104と発光素子の側面と第一の波長変換部材104との間に介在している第二の波長変換部材105とで、含有される蛍光体の種類を変えることにより、所望の光学特性を有する発光装置とすることもできる。
上述した第一および第二の波長変換部材を構成する材料であり、蛍光体を固着させる結着剤である材料は、耐光性、透光性に優れた熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、イミド樹脂、シリコン樹脂などの有機物質や、金属アルコキシドを出発原料としてゾルゲル法により得られた透光性無機部材や、ガラスなど無機物質を選択することができる。また、波長変換部材に発光素子からの光を拡散させる目的で酸化アルミニウム、酸化バリウム、チタン酸バリウム、酸化珪素などを含有させることもできる。同様に外来光や発光素子からの不要な波長をカットするフィルター効果を持たすために各種着色剤を添加させることもできる。また、封止樹脂の内部応力を緩和させる各種フィラーを含有させることもできる。
第一の波長変換部材および第二の波長変換部材は、ともに層厚が20μm〜100μm程度の均一な層とすることができる。また、第一の波長変換部材に含有される蛍光体の量を第二の蛍光体に含有される蛍光体の量より少なくすることができる。これにより、発光観測方位による色温度差が少ない発光装置とすることができる。
[蛍光物質106]
本発明では、発光素子の半導体素子構造中、発光素子を被覆する封止部材、発光素子を支持体やリード電極に固着させるダイボンド材、発光素子と支持基板との間に設けられる樹脂層、およびパッケージのような支持基体など、各構成部材中および/または各構成部材の周辺に無機蛍光体や有機蛍光体のような種々の蛍光物質を配置させることができる。また特に、封止部材と組み合わされる蛍光物質は、封止部材の発光観測面側表面を被覆するようにシート状に設けられる他、封止部材の発光観測面側表面あるいは発光素子から離間させた位置に、蛍光体を含む層、蛍光体を含むシートあるいはフィルターとして設けることもできる。このように離間させることにより、発光素子周辺の熱による蛍光体の輝度低下を抑制し、発光効率の高い発光装置とすることができる。
本願発明に利用可能な蛍光体は、発光素子から放出される可視光や紫外光の一部を吸収し、その吸収した光の波長と異なる波長を有する光を発光するものである。特に、本形態に用いられる蛍光体は、少なくとも発光素子から発光された光によって励起され、波長変換した光を発光する蛍光体をいい、該蛍光体を固着させる結着剤とともに波長変換部材を構成する。
発光素子からの光と、蛍光体が発光した光が補色関係などにある場合、それぞれの光を混色させることで白色系の混色光を発光することができる。具体的には、発光素子からの光と、それによって励起され発光する蛍光体の光がそれぞれ光の3原色(赤色系、緑色系、青色系)に相当する場合や発光素子が発光した青色系の光と、それによって励起され発光する蛍光体の黄色系の光が挙げられる。
発光装置の発光色は、蛍光体と、蛍光体の結着剤として働く各種樹脂やガラス等の無機部材との比率、蛍光体の比重、蛍光体の量および形状などを種々調整すること、及び発光素子の発光波長を選択することにより、混色光の色温度を変化させ電球色領域の光など任意の白色系の色調を提供させることができる。発光装置の外部には、発光素子からの光と蛍光体からの光がモールド部材を効率よく透過することが好ましい。
このような蛍光体は、気相や液相中で自重によって沈降するため、気相や液相中に分散させ均一に放出させ、特に液相中においては懸濁液を静置させることで、より均一性の高い蛍光体を持つ層を形成させることができる。さらに、所望に応じて複数回繰り返すことにより所望の蛍光体量を形成することができる。
以上のようにして形成される蛍光体は、発光装置の表面上において一層からなる波長変換部材中に二種類以上存在してもよいし、二層からなる波長変換部材中にそれぞれ一種類あるいは二種類以上存在してもよい。このようにすると、異なる種類の蛍光体からの光の混色による白色光が得られる。この場合、各蛍光物質から発光される光をより良く混色しかつ色ムラを減少させるために、各蛍光体の平均粒径及び形状は類似していることが好ましい。
ここで、本明細書中における蛍光体の中心粒径とは、体積基準粒度分布曲線により得られる値であり、体積基準粒度分布曲線は、レーザ回折・散乱法により蛍光体の粒度分布を測定し得られるものである。具体的には、気温25℃、湿度70%の環境下において、濃度が0.05%であるヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に蛍光体を分散させ、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000A)により、粒径範囲0.03μm〜700μmにて測定し得られたものである。
本実施の形態において使用される蛍光体は、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体やルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体に代表されるアルミニウム・ガーネット系蛍光体と、赤色系の光を発光可能な蛍光体、特に窒化物系蛍光体とを組み合わせたものを使用することもできる。これらのYAG系蛍光体および窒化物系蛍光体は、混合して波長変換部材中に含有させてもよいし、複数の層から構成される波長変換部材中に別々に含有させてもよい。以下、それぞれの蛍光体について詳細に説明していく。
(アルミニウム・ガーネット系蛍光体)
本実施の形態に用いられるアルミニウム・ガーネット系蛍光体とは、Alを含み、かつY、Lu、Sc、La、Gd、Tb、Eu及びSmから選択された少なくとも一つの元素と、Ga及びInから選択された一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された蛍光体であり、LEDチップから発光された可視光や紫外線で励起されて発光する蛍光体である。例えば、Tb2.95Ce0.05Al12、Y2.90Ce0.05Tb0.05Al12、Y2.94Ce0.05Pr0.01Al12、Y2.90Ce0.05Pr0.05Al12等が挙げられる。
特に本実施の形態において、Yを含み、かつCeあるいはPrで付活され組成の異なる二種類以上のイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(以下、「YAG系蛍光体」と呼ぶ。))が利用される。特に、高輝度且つ長時間の使用時においては(Re1-xSmx3(Al1-yGay512:Ce(0≦x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y,Gd,Laからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。)などが好ましい。
(Re1-xSmx3(Al1-yGay512:Ce蛍光体は、ガーネット構造のため、熱、光及び水分に強く、励起スペクトルのピークが470nm付近などにさせることができる。また、発光ピークも530nm付近にあり720nmまで裾を引くブロードな発光スペクトルを持たせることができる。
本発明の発光装置において、蛍光体は、2種類以上の蛍光体を混合させてもよい。即ち、上述したYAG系蛍光体について言えば、Al、Ga、Y、La及びGdやSmの含有量が異なる2種類以上の(Re1-xSmx3(Al1-yGay512:Ce蛍光体を混合させてRGBの波長成分を増やすことができる。また、現在のところ半導体発光素子の発光波長には、バラツキが生ずるものがあるため2種類以上の蛍光体を混合調整させて所望の白色系の混色光などを得ることができる。具体的には、発光素子の発光波長に合わせて色度点の異なる蛍光体の量を調整し含有させることでその蛍光体間と発光素子で結ばれる色度図上の任意の点を発光させることができる。
発光層に窒化物系化合物半導体を用いた発光素子から発光した青色系の光と、青色光を吸収させるためボディーカラーが黄色である蛍光体から発光する緑色系の光と、赤色系の光とを混色表示させると所望の白色系発光色表示を行うことができる。発光装置はこの混色を起こさせるために蛍光体の粉体やバルクをエポキシ樹脂、アクリル樹脂或いはシリコーン樹脂などの各種樹脂や酸化珪素、酸化アルミニウムなどの透光性無機物中に含有させることもできる。このように蛍光体が含有されたものは、発光素子からの光が透過する程度に薄く形成させたドット状のものや層状ものなど用途に応じて種々用いることができる。蛍光体と透光性無機物との比率や塗布、充填量を種々調整すること及び発光素子の発光波長を選択することにより白色を含め電球色など任意の色調を提供させることができる。
また、2種類以上の蛍光体をそれぞれ発光素子からの入射光に対して順に配置させることによって効率よく発光可能な発光装置とすることができる。即ち、反射部材を有する発光素子上には、長波長側に吸収波長があり長波長に発光可能な蛍光体が含有された色変換部材と、それよりも長波長側に吸収波長がありより長波長に発光可能な色変換部材とを積層などさせることで反射光を有効利用することができる。
YAG系蛍光体を使用すると、放射照度として(Ee)=0.1W・cm−2以上1000W・cm−2以下の発光素子と接する或いは近接して配置された場合においても高効率に十分な耐光性を有する発光装置とすることができる。
本実施の形態に用いられるセリウムで付活された緑色系が発光可能なYAG系蛍光体では、ガーネット構造のため、熱、光及び水分に強く、励起吸収スペクトルのピーク波長が420nmから470nm付近にさせることができる。また、発光ピーク波長λpも510nm付近にあり700nm付近まで裾を引くブロードな発光スペクトルを持つ。一方、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体である赤色系が発光可能なYAG系蛍光体でも、ガーネット構造であり熱、光及び水分に強く、励起吸収スペクトルのピーク波長が420nmから470nm付近にさせることができる。また、発光ピーク波長λpが600nm付近にあり750nm付近まで裾を引くブロードな発光スペクトルを持つ。
ガーネット構造を持ったYAG系蛍光体の組成の内、Alの一部をGaで置換することで発光スペクトルが短波長側にシフトし、また組成のYの一部をGd及び/又はLaで置換することで、発光スペクトルが長波長側へシフトする。このように組成を変化することで発光色を連続的に調節することが可能である。したがって、長波長側の強度がGdの組成比で連続的に変えられるなど窒化物半導体の青色系発光を利用して白色系発光に変換するための理想条件を備えている。Yの置換が2割未満では、緑色成分が大きく赤色成分が少なくなり、8割以上では、赤み成分が増えるものの輝度が急激に低下する。また、励起吸収スペクトルについても同様に、ガーネット構造を持ったYAG系蛍光体の組成の内、Alの一部をGaで置換することで励起吸収スペクトルが短波長側にシフトし、また組成のYの一部をGd及び/又はLaで置換することで、励起吸収スペクトルが長波長側へシフトする。YAG系蛍光体の励起吸収スペクトルのピーク波長は、発光素子の発光スペクトルのピーク波長より短波長側にあることが好ましい。このように構成すると、発光素子に投入する電流を増加させた場合、励起吸収スペクトルのピーク波長は、発光素子の発光スペクトルのピーク波長にほぼ一致するため、蛍光体の励起効率を低下させることなく、色度ズレの発生を抑えた発光装置を形成することができる。
アルミニウム・ガーネット系蛍光体は、以下のような方法で製造することができる。まず、蛍光体は、Y、Gd、Ce、La、Al、Sm、Pr、Tb及びGaの原料として酸化物、又は高温で容易に酸化物になる化合物を使用し、それらを化学量論比で十分に混合して原料を得る。又は、Y、Gd、Ce、La、Sm、Pr、Tbの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈したものを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウム、酸化ガリウムとを混合して混合原料を得る。これにフラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して坩堝に詰め、空気中1350〜1450°Cの温度範囲で2〜5時間焼成して焼成品を得、次に焼成品を水中でボールミルして、洗浄、分離、乾燥、最後に篩を通すことで得ることができる。また、別の実施の形態の蛍光体の製造方法では、蛍光体の原料を混合した混合原料とフラックスからなる混合物を、大気中又は弱還元雰囲気中にて行う第一焼成工程と、還元雰囲気中にて行う第二焼成工程とからなる、二段階で焼成することが好ましい。ここで、弱還元雰囲気とは、混合原料から所望の蛍光体を形成する反応過程において必要な酸素量は少なくとも含むように設定された弱い還元雰囲気のことをいい、この弱還元雰囲気中において所望とする蛍光体の構造形成が完了するまで第一焼成工程を行うことにより、蛍光体の黒変を防止し、かつ光の吸収効率の低下を防止できる。また、第二焼成工程における還元雰囲気とは、弱還元雰囲気より強い還元雰囲気をいう。このように二段階で焼成すると、励起波長の吸収効率の高い蛍光体が得られる。従って、このように形成された蛍光体にて発光装置を形成した場合に、所望とする色調を得るために必要な蛍光体量を減らすことができ、光取り出し効率の高い発光装置を形成することができる。
組成の異なる2種類以上のセリウムで付活されたアルミニウム・ガーネット系蛍光体は、混合させて用いても良いし、それぞれ独立して配置させても良い。蛍光体をそれぞれ独立して配置させる場合、発光素子から光をより短波長側で吸収発光しやすい蛍光体、それよりも長波長側で吸収発光しやすい蛍光体の順に配置させることが好ましい。これによって効率よく吸収及び発光させることができる。
(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)
ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体とは、一般式(Lu1−a−b(Al1−cGa12(但し、RはCeを必須とする少なくとも1種以上の希土類元素である。MはSc、Y、La、Gdから選択される少なくとも1種の元素であり、0.0001≦a≦0.5、0≦b≦0.5、0.0001≦a+b<1、0≦c≦0.8である。)で表される蛍光体である。例えば、組成式が(Lu0.99Ce0.01Al12、(Lu0.90Ce0.10Al12、(Lu0.99Ce0.01(Al0.5Ga0.512で表される蛍光体である。
ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(以下、「LAG系蛍光体」と呼ぶことがある。)は、次のようにして得られる。蛍光体原料として、ルテチウム化合物、希土類元素Rの化合物、希土類元素Mの化合物、アルミニウム化合物及びガリウム化合物を用い、各化合物について上記一般式の割合になるように秤取し、混合するか、又はこれら蛍光体原料にフラックスを加えて混合し、原料混合物を得る。この原料混合物をルツボに充填後、還元性雰囲気中、1200〜1600℃で焼成し、冷却後、分散処理することにより、上記一般式で表される本発明の蛍光体を得る。
蛍光体原料として、酸化物又は熱分解により酸化物となる炭酸塩、水酸化物等の化合物が好ましく用いられる。また、蛍光体原料として、蛍光体を構成する各金属元素を全部又は一部含む共沈物を用いることもできる。例えば、これらの元素を含む水溶液にアルカリ、炭酸塩等の水溶液を加えると共沈物が得られるが、これを乾燥又は熱分解して用いることができる。また、フラックスとしてはフッ化物、ホウ酸塩等が好ましく、蛍光体原料100重量部に対し0.01〜1.0重量部の範囲で添加する。焼成雰囲気は、付活剤のセリウムが酸化されない還元性雰囲気が好ましい。水素濃度が3.0体積%以下の水素・窒素の混合ガス雰囲気がより好ましい。焼成温度は1200〜1600℃が好ましく、目的の中心粒径の蛍光体を得ることができる。より好ましくは1300〜1500℃である。
上記一般式において、Rは付活剤であり、Ceを必須とする少なくとも1種以上の希土類元素であって、具体的には、Ce、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lrである。RはCeのみでもよいが、CeとCe以外の希土類元素から選ばれる少なくとも1種以上の元素とを含んでいてもよい。Ce以外の希土類元素は、共付活剤として作用するためである。ここで、Rには、CeがR全量に対し70mol%以上含有されていることが好ましい。a値(R量)は、0.0001≦a≦0.5が好ましく、0.0001未満では発光輝度が低下し、0.5を越えても濃度消光によって発光輝度が低下する。より好ましくは、0.001≦a≦0.4、さらに好ましくは、0.005≦a≦0.2である。b値(M量)は、0≦b≦0.5が好ましく、より好ましくは0≦b≦0.4であり、さらに好ましくは0≦b≦0.3である。例えば、MがYの場合、b値が0.5を越えると長波長紫外線〜短波長可視光、特に360〜410nm励起による発光輝度が非常に低下してしまう。c値(Ga量)は、0≦c≦0.8が好ましく、より好ましくは0≦c≦0.5であり、さらに好ましくは0≦c≦0.3である。c値が0.8を越えると発光波長は短波長にシフトし、発光輝度が低下する。
LAG系蛍光体の中心粒径は1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜50μmの範囲であり、さらに好ましくは5〜15μmの範囲である。1μmより小さい蛍光体は、凝集体を形成しやすい傾向にある。これに対し、5〜50μmの粒径範囲の蛍光体は、光の吸収率及び変換効率が高く、波長変換部材も形成しやすい。このように、光学的に優れた特徴を有する粒径の大きな蛍光体を含有させることにより、発光装置の量産性も向上する。また、上記中心粒径値を有する蛍光体が頻度高く含有されていることが好ましく、頻度値は20%〜50%が好ましい。このように粒径のバラツキが小さい蛍光体を用いることにより、より色ムラが抑制され良好な色調を有する発光装置が得られる。
ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体は300nm〜550nmの波長域の紫外線又は可視光により効率よく励起され発光することから、波長変換部材に含有される蛍光体として有効に利用することができる。さらに、組成式の異なる複数種のLAG系蛍光体、又はLAG系蛍光体を他の蛍光体とともに用いることにより、発光装置の発光色を種々変化させることができる。半導体発光素子からの青色系の発光と、該発光を吸収し黄色系の発光する蛍光体からの発光との混色により、白色系の混色光を発光する従来の発光装置は、発光素子からの光の一部を透過させて利用するため、構造自体を簡略化できると共に出力向上を行いやすいという利点がある。その一方、上記発光装置は、2色の混色による発光であるため、演色性が十分でなく、改良が求められている。そこで、LAG系蛍光体を利用して白色系の混色光を発する発光装置は、従来の発光装置と比較してその演色性を向上させることができる。また、LAG系蛍光体は、YAG系蛍光体と比較して温度特性に優れるため、劣化、色ずれの少ない発光装置を得ることができる。
(窒化物系蛍光体)
本発明で使用される蛍光体は、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択された少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択された少なくとも一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された窒化物系蛍光体もしようすることができる。また、本実施の形態に用いられる窒化物系蛍光体としては、LEDチップから発光された可視光、紫外線、及びYAG系蛍光体からの発光を吸収することによって励起され発光する蛍光体をいう。例えば、Ca−Ge−N:Eu,Z系、Sr−Ge−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Ge−N:Eu,Z系、Ca−Ge−O−N:Eu,Z系、Sr−Ge−O−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Ge−O−N:Eu,Z系、Ba−Si−N:Eu,Z系、Sr−Ba−Si−N:Eu,Z系、Ba−Si−O−N:Eu,Z系、Sr−Ba−Si−O−N:Eu,Z系、Ca−Si−C−N:Eu,Z系、Sr−Si−C−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Si−C−N:Eu,Z系、Ca−Si−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Si−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Si−C−O−N:Eu,Z系、Mg−Si−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Sr−Si−N:Eu,Z系、Sr−Mg−Si−N:Eu,Z系、Mg−Si−O−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Sr−Si−O−N:Eu,Z系、Sr−Mg−Si−O−N:Eu,Z系、Ca−Zn−Si−C−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Si−C−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Zn−Si−C−N:Eu,Z系、Ca−Zn−Si−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Si−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Zn−Si−C−O−N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Zn−Sr−Si−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Mg−Si−N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−O−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Zn−Sr−Si−O−N:Eu,Z系、Sr−Mg−Zn−Si−O−N:Eu,Z系、Ca−Zn−Si−Sn−C−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Si−Sn−C−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Zn−Si−Sn−C−N:Eu,Z系、Ca−Zn−Si−Sn−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Si−Sn−C−O−N:Eu,Z系、Sr−Ca−Zn−Si−Sn−C−O−N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−Sn−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Zn−Sr−Si−Sn−N:Eu,Z系、Sr−Zn−Mg−Si−Sn−N:Eu,Z系、Mg−Zn−Si−Sn−O−N:Eu,Z系、Mg−Ca−Zn−Sr−Si−Sn−O−N:Eu,Z系、Sr−Mg−Zn−Si−Sn−O−N:Eu,Z系など種々の組み合わせの蛍光体を製造することができる。希土類元素であることを示すZは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luのうち少なくとも1種以上が含有されていることが好ましいが、Sc、Sm、Tm、Ybが含有されていてもよい。これらの希土類元素は、単体の他、酸化物、イミド、アミド等の状態で原料中に混合する。希土類元素は、主に安定な3価の電子配置を有するが、Yb、Sm等は2価、Ce、Pr、Tb等は4価の電子配置を有する。酸化物の希土類元素を用いた場合、酸素の関与が蛍光体の発光特性に影響を及ぼす。つまり酸素を含有することにより発光輝度の低下を生じる場合もある。その反面、残光を短くするなどの利点もある。但し、Mnを用いると粒径を大きくすることができ、発光輝度の向上を図ることができる。
例えば、共付活剤としてLaを使用する。酸化ランタン(La)は、白色の結晶で、空気中に放置すると速やかに炭酸塩に代わるため、不活性ガス雰囲気中で保存する。
例えば、共付活剤としてPrを使用する。酸化プラセオジム(Pr11)は、通常の希土類酸化物Zと異なり、非化学量論的酸化物で、プラセオジムのシュウ酸塩、水酸化物、炭酸塩などを空気中で焼く800℃に加熱するとPr11の組成をもつ黒色の粉体として得られる。Pr11はプラセオジム化合物合成の出発物質となり、高純度のものも市販されている。
特に本発明に係る蛍光体は、Mnが添加されたSr−Ca−Si−N:Eu、Ca−Si−N:Eu、Sr−Si−N:Eu、Sr−Ca−Si−O−N:Eu、Ca−Si−O−N:Eu、Sr−Si−O−N:Eu系シリコンナイトライドである。この蛍光体の基本構成元素は、一般式LSi(2/3X+4/3Y):Eu若しくはLSi(2/3X+4/3Y−2/3Z):Eu(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか。)で表される。一般式中、X及びYは、X=2、Y=5又は、X=1、Y=7であることが好ましいが、任意のものも使用できる。具体的には、基本構成元素は、Mnが添加された(SrCa1−XSi:Eu、SrSi:Eu、CaSi:Eu、SrCa1−XSi10:Eu、SrSi10:Eu、CaSi10:Euで表される蛍光体を使用することが好ましいが、この蛍光体の組成中には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が含有されていてもよい。但し、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれかである。SrとCaは、所望により配合比を変えることができる。
蛍光体の組成にSiを用いることにより安価で結晶性の良好な蛍光体を提供することができる。
発光中心に希土類元素であるユウロピウムEuを用いる。ユウロピウムは、主に2価と3価のエネルギー準位を持つ。本発明の蛍光体は、母体のアルカリ土類金属系窒化ケイ素に対して、Eu2+を付活剤として用いる。Eu2+は、酸化されやすく、3価のEuの組成で市販されている。しかし、市販のEuでは、Oの関与が大きく、良好な蛍光体が得られにくい。そのため、EuからOを、系外へ除去したものを使用することが好ましい。たとえば、ユウロピウム単体、窒化ユウロピウムを用いることが好ましい。但し、Mnを添加した場合は、その限りではない。
SrSi:Eu,Pr、BaSi:Eu,Pr、MgSi:Eu,Pr、ZnSi:Eu,Pr、SrSi10:Eu,Pr、BaSi10:Eu,Ce、MgSi10:Eu,Ce、ZnSi10:Eu,Ce、SrGe:Eu,Ce、BaGe:Eu,Pr、MgGe:Eu,Pr、ZnGe:Eu,Pr、SrGe10:Eu,Ce、BaGe10:Eu,Pr、MgGe10:Eu,Pr、ZnGe10:Eu,Ce、Sr1.8Ca0.2Si:Eu,Pr、Ba1.8Ca0.2Si:Eu,Ce、Mg1.8Ca0.2Si:Eu,Pr、Zn1.8Ca0.2Si:Eu,Ce、Sr0.8Ca0.2Si10:Eu,La、Ba0.8Ca0.2Si10:Eu,La、Mg0.8Ca0.2Si10:Eu,Nd、Zn0.8Ca0.2Si10:Eu,Nd、Sr0.8Ca0.2Ge10:Eu,Tb、Ba0.8Ca0.2Ge10:Eu,Tb、Mg0.8Ca0.2Ge10:Eu,Pr、Zn0.8Ca0.2Ge10:Eu,Pr、Sr0.8Ca0.2SiGeN10:Eu,Pr、Ba0.8Ca0.2SiGeN10:Eu,Pr、Mg0.8Ca0.2SiGeN10:Eu,Y、Zn0.8Ca0.2SiGeN10:Eu,Y、SrSi:Pr、BaSi:Pr、SrSi:Tb、BaGe10:Ceなどが製造できるがこれに限定されない。
添加物であるMnは、Eu2+の拡散を促進し、発光輝度、エネルギー効率、量子効率等の発光効率の向上を図る。Mnは、原料中に含有させるか、又は、製造工程中にMn単体若しくはMn化合物を含有させ、原料と共に焼成する。但し、Mnは、焼成後の基本構成元素中に含有されていないか、含有されていても当初含有量と比べて少量しか残存していない。これは、焼成工程において、Mnが飛散したためであると思われる。
蛍光体には、基本構成元素中に、若しくは、基本構成元素とともに、Mg、Ga,In,Li、Na,K、Re、Mo、Fe,Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr、O及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有する。これらの元素は、粒径を大きくしたり、発光輝度を高めたりする等の作用を有している。また、B、Al、Mg、Cr及びNiは、残光を抑えることができるという作用を有している。
このような窒化物系蛍光体は、発光素子によって発光された青色光の一部を吸収して黄から赤色領域の光を発光する。窒化物系蛍光体をYAG系蛍光体と共に上記の構成を有する発光装置に使用して、発光素子により発光された青色光と、窒化物系蛍光体による黄色から赤色光とが混色により暖色系の白色系の混色光を発光する発光装置を提供する。窒化物系蛍光体の他に加える蛍光体には、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質が含有されていることが好ましい。イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質を含有することにより、所望の色度に調節することができるからである。セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質は、発光素子により発光された青色光の一部を吸収して黄色領域の光を発光する。ここで、発光素子により発光された青色光と、イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質の黄色光とが混色により青白い白色に発光する。従って、このイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質と赤色発光する蛍光体とを、透光性を有するコーティング部材中に一緒に混合し、発光素子により発光された青色光とを組み合わせることにより白色系の混色光を発光する発光装置を提供することができる。特に好ましいのは、色度が色度図における黒体放射の軌跡上に位置する白色系の混色光を発光する発光装置である。但し、所望の色温度の発光装置を提供するため、イットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質の蛍光体量と、赤色発光の蛍光体量を適宜変更することもできる。この白色系の混色光を発光する発光装置は、特殊演色評価数R9の改善を図っている。従来の青色発光素子とセリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質との組合せのみの白色系発光装置は、色温度Tcp=4600K付近において特殊演色評価数R9がほぼ0に近く、赤み成分が不足していた。そのため特殊演色評価数R9を高めることが解決課題となっていたが、本発明において赤色発光の蛍光体をイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光物質と共に用いることにより、色温度Tcp=4600K付近において特殊演色評価数R9を40付近まで高めることができる。
次に、本発明に係る蛍光体((SrCa1−XSi:Eu)の製造方法を説明するが、本製造方法に限定されない。上記蛍光体には、Mn、Oが含有されている。
原料のSr、Caを粉砕する。原料のSr、Caは、単体を使用することが好ましいが、イミド化合物、アミド化合物などの化合物を使用することもできる。また原料Sr、Caには、B、Al、Cu、Mg、Mn、MnO、Mn、Alなどを含有するものでもよい。原料のSr、Caは、アルゴン雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。粉砕により得られたSr、Caは、平均粒径が約0.1μmから15μmであることが好ましいが、この範囲に限定されない。Sr、Caの純度は、2N以上であることが好ましいが、これに限定されない。より混合状態を良くするため、金属Ca、金属Sr、金属Euのうち少なくとも1以上を合金状態としたのち、窒化し、粉砕後、原料として用いることもできる。
原料のSiを粉砕する。原料のSiは、単体を使用することが好ましいが、窒化物化合物、イミド化合物、アミド化合物などを使用することもできる。例えば、Si、Si(NH、MgSiなどである。原料のSiの純度は、3N以上のものが好ましいが、Al、Mg、金属ホウ化物(CoB、NiB、CrB)、酸化マンガン、HBO、B、CuO、CuOなどの化合物が含有されていてもよい。Siも、原料のSr、Caと同様に、アルゴン雰囲気中、若しくは、窒素雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。Si化合物の平均粒径は、約0.1μmから15μmであることが好ましい。
次に、原料のSr、Caを、窒素雰囲気中で窒化する。この反応式を、以下の式1および式2にそれぞれ示す。
3Sr + N → Sr ・・・(式1)
3Ca + N → Ca ・・・(式2)
Sr、Caを、窒素雰囲気中、600〜900℃、約5時間、窒化する。Sr、Caは、混合して窒化しても良いし、それぞれ個々に窒化しても良い。これにより、Sr、Caの窒化物を得ることができる。Sr、Caの窒化物は、高純度のものが好ましいが、市販のものも使用することができる。
原料のSiを、窒素雰囲気中で窒化する。この反応式を、以下の式3に示す。
3Si + 2N → Si ・・・(式3)
ケイ素Siも、窒素雰囲気中、800〜1200℃、約5時間、窒化する。これにより、窒化ケイ素を得る。本発明で使用する窒化ケイ素は、高純度のものが好ましいが、市販のものも使用することができる。
Sr、Ca若しくはSr−Caの窒化物を粉砕する。Sr、Ca、Sr−Caの窒化物を、アルゴン雰囲気中、若しくは、窒素雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。
同様に、Siの窒化物を粉砕する。また、同様に、Euの化合物Euを粉砕する。Euの化合物として、酸化ユウロピウムを使用するが、金属ユウロピウム、窒化ユウロピウムなども使用可能である。このほか、原料のZは、イミド化合物、アミド化合物を用いることもできる。酸化ユウロピウムは、高純度のものが好ましいが、市販のものも使用することができる。粉砕後のアルカリ土類金属の窒化物、窒化ケイ素及び酸化ユウロピウムの平均粒径は、約0.1μmから15μmであることが好ましい。
上記原料中には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr、O及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が含有されていてもよい。また、Mg、Zn、B等の上記元素を以下の混合工程において、配合量を調節して混合することもできる。これらの化合物は、単独で原料中に添加することもできるが、通常、化合物の形態で添加される。この種の化合物には、HBO、Cu、MgCl、MgO・CaO、Al、金属ホウ化物(CrB、Mg、AlB、MnB)、B、CuO、CuOなどがある。
上記粉砕を行った後、Sr、Ca、Sr−Caの窒化物、Siの窒化物、Euの化合物Euを混合し、Mnを添加する。これらの混合物は、酸化されやすいため、Ar雰囲気中、又は、窒素雰囲気中、グローブボックス内で、混合を行う。
最後に、Sr、Ca、Sr−Caの窒化物、Siの窒化物、Euの化合物Euの混合物をアンモニア雰囲気中で、焼成する。焼成により、Mnが添加された(SrCa1−XSi:Euで表される蛍光体を得ることができる。ただし、各原料の配合比率を変更することにより、目的とする蛍光体の組成を変更することができる。
焼成は、管状炉、小型炉、高周波炉、メタル炉などを使用することができる。焼成温度は、1200から1700℃の範囲で焼成を行うことができるが、1400から1700℃の焼成温度が好ましい。焼成は、徐々に昇温を行い1200から1500℃で数時間焼成を行う一段階焼成を使用することが好ましいが、800から1000℃で一段階目の焼成を行い、徐々に加熱して1200から1500℃で二段階目の焼成を行う二段階焼成(多段階焼成)を使用することもできる。蛍光体の原料は、窒化ホウ素(BN)材質のるつぼ、ボートを用いて焼成を行うことが好ましい。窒化ホウ素材質のるつぼの他に、アルミナ(Al)材質のるつぼを使用することもできる。
以上の製造方法を使用することにより、目的とする蛍光体を得ることが可能である。
本発明の実施例において、赤味を帯びた光を発光する蛍光体として、特に窒化物系蛍光体を使用するが、本発明においては、上述したYAG系蛍光体と赤色系の光を発光可能な蛍光体とを備える発光装置とすることも可能である。このような赤色系の光を発光可能な蛍光体は、波長が400〜600nmの光によって励起されて発光する蛍光体であり、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、CaS:Eu、SrS:Eu、ZnS:Mn、ZnCdS:Ag,Al、ZnCdS:Cu,Al等が挙げられる。このようにYAG系蛍光体とともに赤色系の光を発光可能な蛍光体を使用することにより発光装置の演色性を向上させることが可能である。
以上のようにして形成されるアルミニウムガーネット系蛍光体、および窒化物系蛍光体に代表される赤色系の光を発光可能な蛍光体は、発光素子の周辺において一層からなる波長変換部材中に二種類以上存在してもよいし、二層からなる波長変換部材中にそれぞれ一種類あるいは二種類以上存在してもよい。このような構成にすると、異なる種類の蛍光体からの光の混色による混色光が得られる。この場合、各蛍光物質から発光される光をより良く混色しかつ色ムラを減少させるために、各蛍光体の平均粒径及び形状は類似していることが好ましい。また、窒化物系蛍光体は、YAG系蛍光体により波長変換された光の一部を吸収してしまうことを考慮して、窒化系蛍光体がYAG系蛍光体より発光素子に近い位置に配置されるように波長変換部材を形成することが好ましい。このように構成することによって、YAG系蛍光体により波長変換された光の一部が窒化物系蛍光体に吸収されてしまうことがなくなり、YAG系蛍光体と窒化物系蛍光体とを混合して含有させた場合と比較して、混色光の演色性を向上させることができる。
(アルカリ土類金属珪酸塩)
本実施の形態における発光装置は、発光素子が発光した光の一部を吸収し、その吸収した光の波長と異なる波長を有する光を発光する蛍光体として、ユウロピウムで付活されたアルカリ土類金属珪酸塩を有することもできる。アルカリ土類金属珪酸塩は、青色領域の光を励起光とし、暖色系の混色光を発光する発光装置とすることができる。該アルカリ土類金属珪酸塩は、以下のような一般式で表されるアルカリ土類金属オルト珪酸塩が好ましい。
(2−x−y)SrO・x(Ba,Ca)O・(1−a−b−c−d)SiO・aPbAlcBdGeO:yEu2+(式中、0<x<1.6、0.005<y<0.5、0<a、b、c、d<0.5である。)
(2−x−y)BaO・x(Sr,Ca)O・(1−a−b−c−d)SiO・aPbAlcBdGeO:yEu2+(式中、0.01<x<1.6、0.005<y<0.5、0<a、b、c、d<0.5である。)
ここで、好ましくは、a、b、cおよびdの値のうち、少なくとも一つが0.01より大きい。
本実施の形態における発光装置は、アルカリ土類金属塩からなる蛍光体として、上述したアルカリ土類金属珪酸塩の他、ユウロピウムおよび/またはマンガンで付活されたアルカリ土類金属アルミン酸塩やY(V,P,Si)O:Eu、または次式で示されるアルカリ土類金属−マグネシウム−二珪酸塩を有することもできる。
Me(3−x−y)MgSi:xEu,yMn(式中、0.005<x<0.5、0.005<y<0.5、Meは、Baおよび/またはSrおよび/またはCaを示す。)
次に、本実施の形態におけるアルカリ土類金属珪酸塩からなる蛍光体の製造工程を説明する。
アルカリ土類金属珪酸塩の製造のために、選択した組成に応じて出発物質アルカリ土類金属炭酸塩、二酸化珪素ならびに酸化ユウロピウムの化学量論的量を密に混合し、かつ、蛍光体の製造に常用の固体反応で、還元性雰囲気のもと、温度1100℃および1400℃で所望の蛍光体に変換する。この際、0.2モル未満の塩化アンモニウムまたは他のハロゲン化物を添加することが好ましい。また、必要に応じて珪素の一部をゲルマニウム、ホウ素、アルミニウム、リンで置換することもできるし、ユウロピウムの一部をマンガンで置換することもできる。
上述したような蛍光体、即ち、ユウロピウムおよび/またはマンガンで付活されたアルカリ土類金属アルミン酸塩やY(V,P,Si)O:Eu、YS:Eu3+の一つまたはこれらの蛍光体を組み合わせることによって、以下の表に実施例として示されるように、所望の色温度を有する発光色および高い色再現性を得ることができる。
Figure 2005123560
(その他の蛍光体)
本実施の形態において、蛍光体として紫外光により励起されて発光する蛍光体も用いることができ、具体例として、以下の蛍光体が挙げられる。
(1)Eu、MnまたはEuとMnで付活されたアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体;例えば、M(PO(Cl、Br):Eu(但し、MはSr、Ca、Ba、Mgから選択される少なくとも一種)、Ca10(POClBr:Mn、Euなどの蛍光体。
(2)Eu、MnまたはEuとMnで付活されたアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体;例えば、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1627:Eu,Mn、SrAl1425:Eu、SrAl:Eu、CaAl:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnなどの蛍光体。
(3)Euで付活された希土類酸硫化物蛍光体;例えば、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどの蛍光体。
(4)(Zn、Cd)S:Cu、ZnGeO:Mn、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、MgAs11:Mn、(Mg、Ca、Sr、Ba)Ga:Eu、Ca10(POFCl:Sb,Mn、や(5)Euで付活された有機錯体蛍光体。
また、これらの蛍光体は、一層からなる波長変換部材中に単独で用いても良いし、混合して用いてもよい。さらに、二層以上が積層されてなる波長変換部材中にそれぞれ単独で用いても良いし、混合して用いてもよい。
[LEDチップ103]
本形態における発光素子として、LEDチップについて説明する。LEDチップを構成する半導体発光素子としては、ZnSeやGaNなど種々の半導体を使用したものを挙げることができるが、蛍光物質を使用する場合には、その蛍光物質を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。
窒化物半導体を使用した場合、半導体用基板にはサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnO等の材料が好適に用いられる。結晶性の良い窒化物半導体を量産性よく形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。このサファイヤ基板上にMOCVD法などを用いて窒化物半導体を形成させることができる。サファイア基板上にGaN、AlN、GaAlN等のバッファー層を形成し、その上にpn接合を有する窒化物半導体を形成させる。
窒化物半導体を使用したpn接合を有する発光素子の例として、バッファ層上に、n型窒化ガリウムで形成した第1のコンタクト層、n型窒化アルミニウム・ガリウムで形成させた第1のクラッド層、窒化インジウム・ガリウムで形成した活性層、p型窒化アルミニウム・ガリウムで形成した第2のクラッド層、p型窒化ガリウムで形成した第2のコンタクト層を順に積層させたダブルへテロ構成などが挙げられる。
窒化物半導体は、不純物をドープしない状態でn型導電性を示す。発光効率を向上させるなど所望のn型窒化物半導体を形成させる場合は、n型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。一方、p型窒化物半導体を形成させる場合は、p型ドーパントであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化物半導体は、p型ドーパントをドープしただけではp型化しにくいためp型ドーパント導入後に、炉による加熱やプラズマ照射等により低抵抗化させることが好ましい。
p型半導体層には、発光素子に投入された電流をp型半導体層の全面に広げるための拡散電極が設けられる。さらに、拡散電極およびn型半導体層には、バンプや導電性ワイヤのような導電部材と接続するp側台座電極およびn側台座電極がそれぞれ設けられる。拡散電極あるいはp側台座電極、およびn側台座電極は、エッチング等の方法によりn型半導体層を露出させた後、蒸着法やスパッタリング法により行う。ここで、互いに平行な正負両電極を形成すると、支持基板に対して安定に実装でき、また、電極間を流れる電流が均一になることにより発光素子の発光面からの発光が均一になるため好ましい。
本形態における発光素子は、p側台座電極およびn側台座電極がストライプ状に交互に配列されていることが好ましい。また、p型半導体層に直線状に設けられるp側台座電極の本数は、n側台座電極の本数より多いことが好ましい。また、発光観測面方向から見たときのp側台座電極の幅は、n側台座電極の幅より広い。また、発光観測面方向から見たときのp側台座電極の面積は、n側台座電極の面積より広い。一般に、発光素子は、p型半導体層から下層の半導体積層構造における発熱を如何に放熱させるかが素子の放熱性を向上させる上で問題となる。従って、p側台座電極およびn側台座電極を上述したような構成とし、p側台座電極に設けられる導電部材をn側台座電極より多くすることにより、発光素子の放熱性を向上させることができる。さらに、発光素子の発光に寄与しないn側台座電極が形成されている領域を減らし、p側台座電極の領域を相対的に増やすことで発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。本形態においてp側台座電極およびn側台座電極を交互にストライプ状に配列させるとき、n型台座電極のバンプ接合位置は、短冊状のn型台座電極の両隅とする。
本形態において、p側台座電極の材料および/またはp型半導体層側全面に形成される電極は、発光素子の出光を発光素子の透光性基板方向へ反射させる材料とすることが好ましい。例えば、Ag、Al、Rh、Rh/Irが挙げられる。その他、p型半導体層の全面にITO(インジウム(In)とスズ(Sn)の複合酸化物)や、Ni/Au等の金属薄膜を透光性電極として形成させることができる。
基板にサファイア等の透光性基板を用いた場合、正負両電極形成後、半導体ウエハーからチップ状にカットすることで、同一面側に正負両電極が設けられた窒化物半導体チップが得られ、発光素子を形成することができる。
本発明の発光装置において発光させる場合、蛍光体との補色等を考慮してLEDチップ103の主発光波長は350nm以上530nm以下が好ましい。
[支持基板101]
本形態における支持基板(サブマウント)は、少なくとも発光素子に対向する面に導電パターンが施される。また、支持基板をリード電極に載置し導通させる構成とする場合には、発光素子に対向する面からリード電極に対向する面にかけて導電部材により導電パターンが施される。本発明における導電パターンは、外部のリード電極から発光素子に電力を供給し、支持基板に対して正負一対の配線パターンが絶縁分離されて形成される。導電パターンの材料とする金属は、金属相互間の接着性の良さ、いわゆる濡れ性等を考慮して選択される。例えば、Auバンプを介して、Auを含むLEDチップの電極とを超音波ダイボンドにより接合するとき、導電パターンは、AuまたはAuを含む合金とする。
支持基板の材料は、発光素子と熱膨張係数がほぼ等しいもの、例えば窒化物半導体発光素子に対して窒化アルミニウムが好ましい。このような材料を使用することにより、支持基板と発光素子との間に発生する熱応力の影響を緩和することができる。あるいは、支持基板の材料は、ツェナーダイオードの機能を備えさせることもでき安価でもあるシリコンが好ましい。例えば、n型シリコン基板内に選択的に不純物イオンの注入を行うことによりp型半導体領域を形成することができる。
サブマウントをツェナーダイオードとするとき、サブマウントの表面側には、p型およびn型半導体が形成され、該p型およびn型半導体に導電パターンの一部として設けられる電極は、それぞれ発光素子の負電極および正電極に対しバンプを介して逆並列に接続される。あるいは、サブマウントの表面側には、p型あるいはn型半導体の何れか一方が形成され、サブマウントの裏面側には、表面側とは極性が異なるようにn型半導体あるいはp型半導体の何れか一方が形成される。ここで、サブマウントの表面側において、p型あるいはn型半導体に導電パターンの一部として設けられる電極は、それぞれ発光素子の負電極および正電極に対しバンプを介して電気的および機械的に接続される。
サブマウントの導電パターンの材料は、反射率の高い銀白色の金属、例えばアルミニウム、銀、金あるいはそれらの合金とすることが好ましい。さらに、支持基板に対し、発光素子の実装に悪影響を与えない箇所に、孔や凹凸形状を設けることが好ましい。このような形状を設けることにより、半導体素子からの熱は支持から効率よく放熱することができる。支持基板の厚さ方向に少なくとも一つ以上の貫通孔を設け、貫通孔の内壁面に導電性部材が延材するように形成すると、放熱性がさらに向上するため好ましい。なお、本実施の形態における支持基板は、導電性ワイヤを介してリード電極と導電パターンとを接続しているが、導電パターンとリード電極とを直接接続する構成としても構わない。
支持基板に設けた導電パターンと半導体素子の電極との接続は、例えばAu、共晶ハンダ(Au−Sn、Pb−Sn)、鉛フリーハンダ等の接合部材によって超音波接合を行う。また、支持基板に設けた導電性パターンと、パッケージの凹部に露出させたリード電極との接続は、例えばAuペースト、Agペースト等の接合部材によって行う。
[導電部材102]
本形態における発光装置は、発光素子の少なくとも正負一対の何れか一方の電極が導電部材を介して支持基板の導電パターンに接合されている発光装置とすることができる。LEDチップの正負両電極と支持基板の導電パターンとの接合に使用される導電部材は、正負両電極および導電パターンと同一材料を少なくとも一種有するバンプと呼ばれる金属材料である。例えば、超音波ボンディングにおいて一般的に使用されるAuバンプ、Sn−Pb、Auを含む合金等からなるバンプである。ここで、Auのように発光素子からの光を一部吸収するようなバンプを選択したときには、バンプ近傍の樹脂層中における拡散剤の濃度を増加させることが好ましい。なお、この構成は、発光素子の電極として反射率の高い銀箔色の金属を含む構成とした場合には、特に必須でない。また、バンプは、本発明におけるLEDチップの電極に含まれる金属元素であって、支持基板の導電パターンにも含まれる金属元素を少なくとも一種含むことが好ましい。このようにすることにより、発光素子の電極、導電部材および導電パターンの接合強度が向上するため好ましい。
[封止部材107]
本形態における波長変換部材を被覆するように、さらに封止部材を設けることもできる。例えば、図2に示されるように、第一の波長変換部材の上端部を障壁として用いることにより、封止部材107の材料の位置決めを行うことが容易にできる。さらに、封止部材107を屈折率の異なる他の封止部材で被覆することもできる。封止部材の材料は透光性であれば特に限定されず、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂、および、それらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた透光性樹脂を用いることができる。また、封止部材は有機物に限られず、一種以上の金属アルコキシドを出発原料としてゾルゲル法により得られる透光性無機部材、ガラスなどの耐光性に優れた無機物を用いることもできる。また、本形態において封止部材は、粘度増量剤、光拡散剤、顔料、蛍光物質等、使用用途に応じてあらゆる部材を添加することができる。光拡散剤として例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、二酸化珪素、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、および、それらを少なくとも一種以上含む混合物等を挙げることができる。更にまた、封止部材の発光面側を所望の形状にすることによってレンズ効果を持たせることができ、発光素子チップからの発光を集束させたりすることができる。具体的には、凸レンズ形状、凹レンズ形状さらには、発光観測面から見て楕円形状やそれらを複数組み合わせた形状にすることができる。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
本実施例にかかる発光装置は、図1に示されるように、サブマウント101にフリップチップ実装されたLEDチップ103の側方端面側を被覆するように形成された第一の波長変換部材104と、LEDチップ103の透光性基板210を被覆するようにスクリーン印刷にて形成された第二の波長変換部材105とを有する。第一、第二の波長変換部材は、シリコーン樹脂を結着剤として蛍光体が含有されており、第一の波長変換部材104の上部は、第二の波長変換部材105の障壁となり、第二の波長変換部材105がLEDチップ103の透光性基板側からこぼれ落ちないように構成されている。また、第一の波長変換部材104は、LEDチップ103の側方において、LEDチップ103のp、n台座電極208、209とサブマウント101の導電パターンを接合しているバンプ102から離間させてある。つまり、波長変換部材104とバンプ102との間に空隙が設けられている。
本実施例におけるLEDチップ103は、活性層として単色性発光ピークが可視光である475nmのIn0.2Ga0.8N半導体を有する窒化物半導体素子を用いる。より詳細に説明すると、発光素子であるLEDチップ103は、洗浄させたサファイア基板上にTMG(トリメチルガリウム)ガス、TMI(トリメチルインジウム)ガス、窒素ガス及びドーパントガスをキャリアガスと共に流し、MOCVD法で窒化物半導体を成膜させることにより形成させることができる。ドーパントガスとしてSiHとCpMgを切り替えることによってn型窒化物半導体やp型窒化物半導体となる層を形成させる。
本実施例のLEDチップ103の素子構造としてはサファイア基板上に、アンドープの窒化物半導体であるGaN層、Siドープのn型電極が形成されたn型コンタクト層となるn型GaN層、アンドープの窒化物半導体であるGaN層を積層させ、さらに、バリア層となるGaN層、井戸層となるInGaN層を1セットとして5セット積層して最後にバリア層となるGaN層を活性層として積層させて構成し、該活性層は多重量子井戸構造としてある。さらに、活性層上にはMgがドープされたp型クラッド層としてAlGaN層、Mgがドープされたp型コンタクト層であるp型GaN層を順次積層させた構成としてある。(なお、サファイア基板上には低温でGaN層を形成させバッファ層とさせてある。また、p型半導体は、成膜後400℃以上でアニールさせてある。)
エッチングによりサファイア基板上の窒化物半導体に同一面側で、p型コンタクト層およびn型コンタクト層の各表面を露出させる。次に、p型コンタクト層上にRh、Irを材料とするスパッタリングを順に行い、ストライプ状に露出されたp型コンタクト層のほぼ全面に拡散電極211が設けられる。このような電極とすることにより、拡散電極211を流れる電流がp型コンタクト層の広範囲に広がるようにし、およびLEDチップの発光効率を向上させることができる。また、LEDチップ103を出光する光が全面の拡散電極211にて反射されサファイア基板の方向から出射されるため、フリップチップ実装されたLEDチップ103からの光取り出し効率を向上させることができる。
さらに、W、Pt、Auを材料とするスパッタリングを順に行い、拡散電極211およびn型コンタクト層の一部に対し、積層させp側台座電極208とn側台座電極209を同時に形成させる。ここで、p側台座電極208とn側台座電極209を同時に形成させることで、電極を形成するための工程数を減らすことができる。
次に、本実施例における支持基板であるサブマウント101について説明する。図1に示すように、本発明の一実施例に使用されるサブマウント101は、窒化アルミニウムのプレートにAuを材料とする導電パターンが施され、バンプ103を介してp側台座電極208およびn側台座電極209とそれぞれ対向する正負一対の電極が絶縁分離されている。
以下、本実施例における発光装置の形成方法について述べる。図9および図10は、本実施例にかかる第一の波長変換部材の形成方法を示す模式的な斜視図であり、図12は、本実施例にかかる第二の波長変換部材の形成方法を示す模式的な断面図である。
まず、Auを材料とするメッキにより導電パターンを施した窒化アルミニウムのウェハに対してバンプボンダーによりバンプ103を形成しレベリングした後、LEDチップ103の正負一対の電極208、209を導電パターン207に設けたバンプ102に対向させる。そして、荷重、熱、超音波をかけることにより、LEDチップ103とサブマウント101の導電パターン207とを接合する。
蛍光物質は、Y、Gd、Ceの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈させ、これを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウムとを混合して混合原料を得る。さらにフラックスとしてフッ化バリウムを混合した後坩堝に詰め、空気中1400℃の温度で3時間焼成することにより焼成品が得られる。焼成品を水中でボールミルして、洗浄、分離、乾燥、最後に篩を通して中心粒径が8μmである(Y0.995Gd0.0052.750Al12:Ce0.250蛍光物質を形成する。シリコーン樹脂組成物に、上記蛍光物質を20〜75wt%含有させ、自転公転ミキサーにて5分間攪拌を行い、蛍光体と結着剤であるシリコーン樹脂との混合物である硬化性組成物201を得る。
図9に示されるように、得られた硬化性組成物201を発光素子の周囲へ、LEDチップ103の側方端部に接するように、ディスペンサー202にて供給する。具体的には、LEDチップ103の周囲を硬化性組成物201にて取り囲み、LEDチップ103の周囲を一周してからディスペンサー202の吐出口をLEDチップ103の内側方向に移動させ供給を終了させる。このとき、ディスペンサーの吐出口から連続してペースト状の混合物が供給されるように、混合物の粘度は調整されている。また、供給される硬化性組成物201の横幅は、約100μmとし、硬化性組成物201のサブマウントからの高さは、その上端部においてLEDチップの高さより約100μm高くなるように調整する。また、波長変換部材104のLEDチップ側壁面と最も近接しているバンプ102との間隔は、40〜50μmとなるように調整する。
次に、LEDチップ103の主面側であるサファイア基板面を被覆し、先の工程にて供給された硬化性組成物201の縁内に収まるように、スクリーン印刷にて硬化性組成物203を印刷する。図12に示されるようにスクリーン版204を配置し、スキージ205にてスキージングして硬化性組成物203を印刷する。さらに、所定時間静置して硬化性組成物203の表面が平坦化されたところで熱硬化させることにより、層厚が約100μmの波長変換部材104、105をLEDチップ103の周囲に均一な厚みで形成する。
最後に、同一サブマウントの上に所望のLEDチップ数が実装されているように、パーティングラインに沿って窒化アルミニウムのウェハを切断する。
図7は、本実施例における発光装置の模式的な上面図を示し、図8は、図7に示される発光装置のA−Aにおける断面図である。本実施例においてサブマウントに搭載されたLEDチップは、図7および図8に示されるように、銀ペーストにてパッケージ213の凹部底面214に固着される。さらに、導電性ワイヤ212にて、サブマウント101の導電パターンと、パッケージ213の凹部底面214近傍に露出されたリード電極215を接続することにより、発光装置としている。ここで、本実施例におけるパッケージ213は、成型用樹脂を材料とした射出成型により、金属基体217とリード電極215の一部が成型用樹脂に被覆されるように一体成型されている。また、金属基体217は、LEDチップ103を載置するための凹部底面214を有し、熱伝導性のよい金属を材料とするため、発光装置の放熱性を向上させることができる。また、本実施例における封止部材107は、凹部内に充填され導電性ワイヤ212の周囲を被覆するゲル状のシリコーン樹脂からなる第一の部位と、該第一の部位とレンズ216とを接着するラバー状シリコーン樹脂とからなる第二の部位とを有する多層構造とされている。このように、柔軟性を有するゲル状のシリコーン樹脂にて導電性ワイヤを被覆することにより、導電性ワイヤの断線を防ぎ、信頼性の高い発光装置とすることができる。
図13は、本実施例にかかる発光装置の観測方位(角度)による混色光の色温度の状態を示した図である。比較例とした従来の発光装置は、蛍光体を含有する樹脂がポッティングによって発光素子の周囲に形成されている。このように、本実施例における発光装置は、従来と比較して発光観測方位によって混色光の色温度の変化を少なくすることができる。
メタルマスクにより第一の波長変換部材を成型した後、メタルマスクを取り外し、第一および第二の波長変換部材を形成する他は、実施例1と同様に発光装置を形成する。
本実施例による発光装置は、実施例1の発光装置とほぼ同等の光学特性を得ることができる。
図2は、本実施例にかかる発光装置の模式的な断面図を示す。本実施例にかかる発光装置において、第一の波長変換部材104の上端部は、第二の波長変換部材105の発光観測面側主面を含む平面から突出している。即ち、第一の波長変換部材104の導電パターン207からの高さは、第二の波長変換部材105の発光観測面側最表面の高さより高くしてある。したがって、第一の波長変換部材の上端部を障壁とし、シリコン樹脂がこぼれ落ちないように位置決めして第二の波長変換部材を被覆し、硬化させることにより封止部材107を形成することができる。形成された封止部材107は、発光観測面側表面が曲面とされ、レンズ形状である。以上のように形成する以外は、他の実施例と同様に発光装置を形成する。
本実施例の発光装置とすることにより、配光性を制御し発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。
図3は、本実施例にかかる発光装置の模式的な断面図を示す。本実施例における第一の波長変換部材および第二の波長変換部材は、含有される蛍光体の種類が異なる二層から形成されている。即ち、本実施例における波長変換部材は、LEDチップ103に近い方に配置される窒化物系蛍光体を含有する第一、第二の波長変換部材104b、105bと、それらを被覆するように配置されるYAG系蛍光体を含有する第一、第二の波長変換部材104a、105aとからなる。このような波長変換部材は、まず、窒化物系蛍光体を含有する硬化性組成物をLEDチップ103の周囲に供給した後、その硬化性組成物の周囲にYAG系蛍光体を含有する硬化性組成物を供給し、硬化させることにより形成することができる。
本実施例の波長変換部材の構成とすることにより、YAG系蛍光体の発光が窒化物系蛍光体に吸収されることがなくなるため、演色性を向上させた発光装置とすることができる。
図4は、本実施例にかかる発光装置の模式的な断面図を示す。本実施例にかかる発光装置は、LEDチップ103の正負両電極間とサブマウント101との間、第一の波長変換部材104とバンプ102およびサブマウント101との間にアンダーフィル材206を有する。したがって、第一の波長変換部材104は、サブマウント101およびバンプ102の両方から離間されている。本実施例における第一の波長変換部材104は、所定の位置にアンダーフィル材206が供給されて硬化された後に、硬化性組成物がLEDチップ103の周囲およびアンダーフィル材206の上に供給されて形成される。なお、このとき第一の波長変換部材104とアンダーフィル材206との間には界面が生じる。しかしながら、第一の波長変換部材104とアンダーフィル材206との密着性を考慮すると、両者を同時に硬化させることにより、両者の間に界面を生じさせないことが好ましい。
本実施例の波長変換部材の構成とすることにより、LEDチップ103からアンダーフィル材206を介してサブマウント101への放熱が促進され、また、蛍光体は、バンプやサブマウントのような発熱体から間隔を設けて配置されているため、蛍光体の輝度低下が抑制され、発光効率の高い発光装置とすることができる。
図5は、本実施例にかかる発光装置の模式的な断面図を示す。本実施例における発光装置は、アンダーフィル材206を有する点では上記実施例5と同様であるが、アンダーフィル材の形成方法および配置個所が異なる。即ち、本実施例におけるアンダーフィル材206は、まずLEDチップ103の側面から所定の間隔を設けて第一の波長変換部材104を硬化成型した後、LEDチップ103の側面と第一の波長変換部材104との間にできた隙間から浸透性を有するシリコーン樹脂を注入し硬化させることにより形成される。一般に、フリップチップ実装されたLEDチップ103とサブマウント101との間隔は数十μmと狭く、バンプ102も存在するため、アンダーフィル材206の材料は浸透性を有することが好ましい。したがって、上記のような形成方法とすることにより、浸透性を有するシリコーン樹脂のタレを防ぎ、所定の位置にアンダーフィル材を形成することが容易にできる。さらに、第二の波長変換部材105は、アンダーフィル材206を形成した後、第一の波長変換部材104と、発光素子の側面および主面と、アンダーフィル材206を被覆するように蛍光体を含む硬化性組成物を供給し硬化させることにより形成される。
また、本実施例における第二の波長変換部材105は、上記の形成方法をとることによりLEDチップ103の側面と第一の波長変換部材104との間に介在し、LEDチップ103の発光観測面側主面方向において強固に固定保持される。したがって、第二の波長変換部材の抜けが防止され、信頼性の高い発光装置とすることができる。
本実施例における第一の波長変換部材104は、発熱体であるバンプ102から離間され、第二の波長変換部材105は、発熱体であるバンプ102およびサブマウント101の両方から離間されている。したがって、発光装置の発熱による蛍光体の輝度低下が抑制され、発光効率の高い発光装置とすることができる。
図6は、本実施例にかかる発光装置の模式的な断面図を示す。また、図7は本実施例にかかる発光装置の模式的な上面図を示し、図8は、図7に示される点線AAにおける断面図を示す。本実施例にかかる発光装置は、第一、第二の波長変換部材104、105を封止部材107にて被覆する以外は他の実施例と同様の構成とする。さらに、図8に示されるように、第一、第二の波長変換部材104、105を被覆する封止部材107とは屈折率の異なる別の封止部材107を充填し、レンズ216を載置した発光装置とする。
本実施例の構成とすることにより、発光観測方位によって色温度の変化が少ない発光装置とすることができる。
本実施例における発光装置の形成方法は、硬化性組成物の塗布方法が異なる他は、上述した他の実施例と同様である。以下、本実施例における波長変換部材の形成工程を示す断面図を参照しながら波長変換部材の形成方法について詳述する。
工程1.図14に示されるように、支持基板101にフリップチップ実装されたLEDチップ103に対してメタルマスク219を配置させる。メタルマスク219は、金属材料によって形成されており、LEDチップ103の外郭が収まる大きさの貫通孔を有する。貫通孔の内壁面は、LEDチップ103の側面に対向し、波長変換部材の外郭面の一部を成型する。したがって、貫通孔の内壁面は、滑らかであり、塗布された硬化性組成物に対する離型性が高いことが好ましい。また、LEDチップ103の上面(支持基板101と対向されてない側の主面)とメタルマスク219の上面との高さに差が設けられ、LEDチップ103の側面と貫通孔の内壁面との間には、硬化性組成物を配置するための所定の間隔が設けてある。
工程2.図15に示されるように、スキージ205に所定の押圧を加えながら移動させることにより、LEDチップ103の側面と上記貫通孔の内壁面とからなる隙間に、硬化性組成物として、(Y0.8Gd0.2Al12:Ceで表される蛍光体を10wt%含むシリコーン樹脂を注入する。このとき、図16に示されるようにLEDチップ103の上面は擦り切るようスキージに押圧を加えながら蛍光体含有シリコーン樹脂を移動させ、LEDチップ103の周囲に蛍光体含有シリコーン樹脂を配置させる。
本実施例において、硬化性組成物に含まれる樹脂材料の流動性を示す指標として「FLOW値」を定義する。本実施例における「FLOW値」とは、水平面に置かれた樹脂材料が所定の温度において流動して広がる領域の広さを数値化したものとする。即ち、本実施例におけるシリコーン樹脂のFLOW値は、水平面に載置された1gのシリコーン樹脂を150℃で1時間熱したとき、シリコーン樹脂が水平方向に広がった領域の最大径(mm)とする。本工程2におけるFLOW値は、8.5mmから11mmである。この値は、メタルマスクを外した後、硬化性組成物にタレが発生しないように調製された値である。
工程3.図17に示されるように、LEDチップ103の上面側に蛍光体含有シリコーン樹脂を塗布する。なお、本工程3における蛍光体含有シリコーン樹脂は、上記工程2における蛍光体含有シリコーン樹脂よりFLOW値が大きく、16.5mmから19mmとする。このようにFLOW値を設定することにより、硬化性組成物は容易にレベリングし、LEDチップ103の上面に形成される波長変換部材の発光観測面は平滑面となる。本発明の形成方法によれば、LEDチップの側面と上面とでそれぞれ物性(レオロジー)の異なる硬化性組成物を配置することが容易にできる。即ち、LEDチップの側面にはタレの生じない硬化性組成物を塗布し、LEDチップの上面側にはレベリングし易い硬化性組成物を塗布することができる。したがって、LEDチップ103の全方位を均一な膜厚で被覆する波長変換部材を得ることができ、発光観測方位によって色度変化が少ない発光装置とすることができる。
工程4.メタルマスクを取り外し、LEDチップ103の上面に配置された硬化性組成物の発光観測面側の表面がレベリングして平滑面となるまで所定の時間放置する。
工程5.LEDチップ103の側面および上面に配置された硬化性組成物を150℃、1hrで硬化させることにより、層厚が70μmから80μmの波長変換部材を得る。
本実施例によって形成される波長変換部材は、LEDチップ103の発光観測面側全方位をほぼ均一な膜厚で被覆しており、発光装置の発光観測方向が異なっても色度の変化がない。したがって、本実施例における発光装置は、上述した他の実施例における効果に加え、さらに光学特性に優れた発光装置である。
一般に、粒子状の蛍光体は、粒径が大きいほど輝度が高くなるが、粒子状の蛍光体の粒径を大きくすると、蛍光体の自重による沈降を要因とする蛍光体分布の不均一が生じやすい。特に、発光素子の側面方向に配置された硬化性組成物は、含有される蛍光体が不均一に分布しやすく、各発光観測方位によって色度が異なる発光装置となってしまう。
本発明は、LEDチップ103の側面側に配置するための硬化性組成物と、上面側に配置するための硬化性組成物とで、粒径が異なる粒子状蛍光体をそれぞれ含有させることができる。これにより、LEDチップ103の側面と上面とで異なる粒径の蛍光体を含有する波長変換部材を形成することが容易にできる。そこで本実施例では、上記実施例8の形成方法において、LEDチップ103の側面方向の波長変換部材に含有されるYAG系蛍光体(Y0.8Gd0.2Al12:Ceの中心粒径を8.6μmとし、LEDチップ103の主面方向の波長変換部材に含有されるYAG系蛍光体(Y0.8Gd0.2Al12:Ceの中心粒径を20μmとする。このように、LEDチップ103の主面方向の波長変換部材に含有される蛍光体の中心粒径をLEDチップ103の側面方向の波長変換部材に含有される蛍光体の粒径より大きくすることにより、LEDチップの側面方向では側面に沿った方向に均一に蛍光体が分布し、LEDチップの上面方向では粒径の大きい蛍光体を上面に沿った方向に蛍光体を分布させて配置することができる。したがって、本実施例によりLEDチップ103の主面方向の輝度を向上させ、発光観測方位により色度変化が少ない発光装置とすることができる。
本願発明にかかる発光装置は、温度特性や光学特性に優れるため、高輝度発光が要求される室内照明、車のヘッドライト等の車載照明に利用可能である。
図1は、本発明の一実施例にかかる発光素子の模式的な断面図である。 図2は、本発明の一実施例にかかる発光素子の模式的な断面図である。 図3は、本発明の一実施例にかかる発光素子の模式的な断面図である。 図4は、本発明の一実施例にかかる発光素子の模式的な断面図である。 図5は、本発明の一実施例にかかる発光素子の模式的な断面図である。 図6は、本発明の一実施例にかかる発光素子の模式的な断面図である。 図7は、本発明の一実施例にかかる発光装置の模式的な上面図である。 図8は、本発明の一実施例にかかる発光装置の模式的な断面図である。 図9は、本発明の一実施例にかかる発光装置の形成方法を模式的に示す斜視図である。 図10は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す斜視図である。 図11は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す斜視図である。 図12は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す断面図である。 図13は、本発明の一実施例と比較例の発光装置の光学特性を示す図である。 図14は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す断面図である。 図15は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す断面図である。 図16は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す断面図である。 図17は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す断面図である。 図18は、本発明の一実施例にかかる波長変換部材の形成方法を模式的に示す断面図である。
符号の説明
101・・・支持基板
102・・・バンプ
103・・・LEDチップ
104、104a、104b・・・第一の波長変換部材
105、105a、105b・・・第二の波長変換部材
106・・・蛍光物質
107・・・封止部材
201、203・・・硬化性組成物
202・・・ディスペンサー
204・・・スクリーン版
205・・・スキージ
206・・・アンダーフィル材
207・・・導電パターン
208・・・p側台座電極
209・・・n側台座電極
210・・・透光性基板
211・・・拡散電極
212・・・導電性ワイヤ
213・・・パッケージ
214・・・凹部底面
215・・・リード電極
216・・・レンズ
217・・・金属基体
218・・・波長変換部材を有する発光素子

Claims (12)

  1. 電極が導電部材を介して支持基板の導電パターンに対向して接合されている発光素子と、該発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光物質を含有し前記発光素子の少なくとも一部を被覆する波長変換部材とを有する発光装置において、
    前記波長変換部材は、前記導電部材から離間されていることを特徴とする発光装置。
  2. 前記波長変換部材は、さらに前記支持基板から少なくとも部分的に離間されている請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記波長変換部材は、前記発光素子の側面方向に配置される第一の波長変換部材と、前記発光素子の発光観測面側主面を被覆する第二の波長変換部材とからなり、前記第一の波長変換部材は、前記発光観測面側主面を含む平面から突出する上端部を有し、前記第二の波長変換部材は、前記上端部の少なくとも一部を被覆する請求項2に記載の発光装置。
  4. 前記第二の波長変換部材は、前記発光素子の側面と前記第一の波長変換部材との間に介在している請求項3に記載の発光装置。
  5. 前記第一の波長変換部材は、前記第二の波長変換部材の発光観測面側主面を含む平面から突出する上端部を有し、前記第二の波長変換部材が該上端部により位置決めされる封止部材を有する請求項3または4に記載の発光装置。
  6. 前記波長変換部材は、アンダーフィルを介して離間されている請求項1乃至5に記載の発光装置。
  7. 前記蛍光物質は、AlとY、Lu、Sc、La、Gd、Tb、Eu、Ga、In及びSmから選択された少なくとも一つの元素とを含み、かつ希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された蛍光体、および、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択された少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択された少なくとも一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された蛍光体、から選択された少なくとも一種の蛍光体である請求項1乃至6に記載の発光装置。
  8. 前記第二の波長変換部材に含有される粒子状蛍光物質の中心粒径は、前記第一の波長変換部材に含有される粒子状蛍光物質の中心粒径より大きい請求項3乃至7に記載の発光装置。
  9. 発光素子と、該発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発光する蛍光物質を含有する波長変換部材とを有する発光装置の形成方法において、
    蛍光物質と該蛍光物質を固着させる結着剤との混合物を前記発光素子の外周に沿うように供給する第一の工程と、
    前記混合物を障壁として位置決めし、前記発光素子の主面側に蛍光物質と結着剤との混合物を供給する第二の工程と、
    前記混合物のうち少なくとも一方を硬化させる第三の工程とを含むことを特徴とする発光装置の形成方法。
  10. 前記第一の工程により供給された混合物は、前記第二の工程の前に硬化される請求項9に記載の発光装置の形成方法。
  11. 前記発光装置の形成方法は、前記第一の工程の前に、前記発光素子の電極が導電部材を介して支持基板の導電パターンに接合される工程を含む請求項9または10に記載の発光装置の形成方法。
  12. 前記第二の工程により供給される混合物中の粒子状蛍光物質の中心粒径は、前記第一の工程により供給される混合物中の粒子状蛍光物質の中心粒径より大きい請求項9乃至11に記載の発光装置の形成方法。

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