JP2005114135A - 補強ホース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ブレーキホース10は、内管ゴム層12と外皮ゴム層20とを備え、上記内管ゴム層12と上記外皮ゴム層20との間に上糸層18と下糸層14からなる少なくとも2層の補強層をもつ。上記下糸層14の下糸15は、単位デシテックス当たりの、引張り強さが6.9g以上、2.7g荷重時における伸度が2.6±1.0%のポリエステル糸を用い、ホース軸方向に対する編角が59±2゜である。
【選択図】 図5
Description
内管ゴム層と外皮ゴム層との間に、上糸層と下糸層からなる少なくとも2層の補強層を備えた補強ホースにおいて、
上記下糸層は、単位デシテックス当たりの、引張り強さが6.9g以上、2.7g荷重時における伸度が2.6±1.0%のポリエステル糸からなる補強糸を用い、該補強糸をホース軸方向に対する編角が59±2゜で編組することにより構成されていること、を特徴とする。
図1は本発明の補強ホースをブレーキホース10に適用した実施例を示し、その一部を破断した斜視図、図2はブレーキホース10の半断面図である。図1及び図2において、ブレーキホース10は、図示しない自動車の油圧ブレーキに使用されるマスタシリンダとタイヤ側の油圧装置とを接続するために使用されるものであり、5層に積層されることによりブレーキ液圧に耐えうるように構成されている。すなわち、ブレーキホース10は、流路11を有する内管ゴム層12と、下糸層14と、中間ゴム層16と、上糸層18と、外皮ゴム層20とを備え、端部に口金22がかしめにより締結されている。
ブレーキホース10は、50MPaまでのブレーキ液圧に耐えることができる耐圧性、耐久性および耐膨張性などの特性を得るために、各層の材質、厚さ、編角等が定められている。
内管ゴム層12は、主に耐油性を得るためにエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム共重合物(SBR)などを用いて押出形成されており、その内径は3.0〜3.4mm、厚さは0.4〜0.8mmである。ここで、内管ゴム層の厚さが薄いと、体積膨張量を低減する作用が大きいが、0.4mmを下回ると、押出成形が難しくなったり、圧力流体が透過するので、0.4mm以上であることが好ましい。
下糸層14は、高弾性PET糸を2本または3本合糸した下糸15を20打または24打で、内管ゴム層12上に編組することにより形成されている。高弾性PET糸は、単位デシテックス当たりの、引張り強さが6.9g以上、2.7g荷重時における伸度が2.6±1.0%のポリエステル糸を用い、さらに好ましくは単位デシテックス当たりの、引張り強さが6.9g以上、2.7g荷重時における伸度が2.6±0.5%のポリエステル糸を用いる。下糸15は、該フィラメント糸を200〜400本束ねることにより形成されている。そして、下糸層14は、フィラメント糸を束ねた後に下塗層を塗布し、その後、RFL処理する。ここで、RFL処理とは、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス樹脂とゴムラテックスとを主成分とする接着剤として作用する接着薄膜を糸の表面に施すことをいう。なお、下糸層14の厚さは、0.55〜0.95mm、好ましくは0.65〜0.85mmである。
中間ゴム層16は、下糸層14および上糸層18のずれを防止するための層であり、ゴム材料を下糸層14上に押し出すことにより、またはシート材16Aを下糸層14上に巻き付けることにより、あるいはゴム糊を塗布することにより構成されている。ゴム材料としては、EPDM、イソブチレン・イソプレン共重合物(IIR)、天然ゴム(NR)を用いることができる。この場合において、EPDMおよびIIR、およびそのブレンド材を用いた場合には、その物性値から耐熱性を高めることができる。中間ゴム層16の厚さは、0.1〜0.35mmであることが好ましい。すなわち、中間ゴム層16が0.1mm未満であると、薄すぎて下糸層14上に形成することができないからであり、一方、0.35mmを越えると、厚い中間ゴム層16が下糸層14のずれを許容する弾性層として作用し、下糸層14のずれを抑える作用が小さくなるからである。
上糸層18は、下糸15と同じように、200〜400本のフィラメント糸を束ねた高弾性PET糸をRFL処理した後に、2本または3本合糸することにより上糸19を形成し、この上糸19を20打または24打で、中間ゴム層16上に編組することにより形成されている。また、上糸層18の編角も下糸層14と同様に、体積膨張量を低減するために、59±2゜に設定することが好ましく、特に59±1゜に設定することが好ましい。
外皮ゴム層20は、主に耐オゾン性を得るために、EPDM、EPDMとCRのブレンド材などから形成されており、その厚さが0.8〜1.3mmである。
次に、ブレーキホース10の製造方法について説明する。ブレーキホース10は、周知の方法により、つまりゴム押出工程、繊維糸の編組工程及び加硫工程を施すことにより製造することができる。
図4はホース製造装置30を説明する説明図である。図4において、ホース製造装置30は、第1押出装置31と、第1編込装置32と、中間シート形成装置34と、第2編込装置35と、第2押出装置37と、を備えている。第1押出装置31は、ゴム材料を押し出して内管ゴム層12を形成する装置である。第1編込装置32は、ドラム32aに装着されたボビンキャリアを備え、該ボビンキャリアから下糸15を繰り出しつつ内管押出体12A上に編組することにより下糸層14を形成する装置である。中間シート形成装置34は、第1編込装置32によって編組された下糸層14上に、中間ゴム層16を形成するためのシート材16Aをローラから繰り出す装置である。第2編込装置35は、第1編込装置32とほぼ同様な構成であり、該ドラム35aに装着されたボビンキャリアを備え、該ボビンキャリアから上糸19を繰り出しつつ中間ゴム層16上に編組することにより上糸層18を形成する装置である。第2押出装置37は、ゴム材料を押し出して外皮ゴム層20を形成する装置である。
次に、図3を用いて、ホース製造装置30によるブレーキホース10の一連の製造工程について説明する。まず、第1押出装置31によりゴム材料を押し出すことにより内管ゴム層12を形成する。このとき、内管ゴム層12内には、マンドレル(図示省略)が挿入される。続いて、押し出された内管ゴム層12上に、第1編込装置32のドラム32aを回転しつつボビンから下糸15を繰り出して内管ゴム層12上に編組することにより下糸層14を形成する。この場合において、例えば、下糸層14を20打で編組するには、逆方向に回転する合計20カ所のボビンからそれぞれ下糸15を繰り出すことにより行なう。ここで、下糸層14の編角θを59±2゜に設定するには、内管ゴム層12の引き出しスピードとドラム32aの回転速度との比により設定することができる。次に、下糸層14上に、中間シート形成装置34からシート材16Aを供給することにより中間ゴム層16を形成する。さらに、中間ゴム層16上に第2編込装置35のドラム35aを回転しつつボビンから上糸19を繰り出して中間ゴム層16上に上糸層18を編組みする。そして、上糸層18に、第2押出装置37からゴム材料を押し出すことにより、外皮ゴム層20を形成する。
(4)−1 ブレーキホースの試験
次に、上記実施例にかかるブレーキホースを作成し、耐久性および耐膨張性(体積膨張量)について調べた。図5は試料として作成した実施例1,2および比較例1,2の構成および性能を示す。ここで、ブレーキホースは、その内径が3.1〜3.2mm、外径が10.2〜10.5mmとなるように作成した。
耐久性試験は、ブレーキホースにブレーキ圧油を実際に流すことによる繰り返し加圧試験で行なった。すなわち、ブレーキホースを実車で配管されるのと同じ経路で配置し、ブレーキ液圧による繰り返し加圧とタイヤの動きを模倣した揺動、転舵の動きの組み合わせにより実施した。ブレーキ液圧は、0MPaと9.8MPaとの加圧を0.7Hzの繰り返し、揺動を2.5Hz、転舵を0.28Hzで行ない、その破損までの転舵の回数を調べた。その結果、実施例は、比較例に対して編角を大きくするとともに下糸層および上糸層とも高弾性PET糸を用いても、耐久性が変わらないことが分かった。
体積膨張量試験は、JIS2601に基づき、油圧を10.3MPaで加圧したときの、305mm(1フィート)の自由長のブレーキホースの内容積変化量を測定することにより調べた。実施例は、比較例1,2と比べて体積膨張量が減少していることが分かった。
また、編角θと体積膨張量との関係をさらに調べた。図6は編角と体積膨張量との関係を説明するグラフである。ここで、ブレーキホースは、その外径が10.2mm、上糸層18の編角θが59゜とし、編角θをそれぞれ変更した試料S1〜S6を作成し、それらの体積膨張量を調べた。その結果、試料S3〜S6のように編角θが57゜を越えると体積膨張量が減少することが分かった。また、編角θが61゜を越えると体積膨張量が増加することが分かった。
11...流路
12...内管ゴム層
12A...内管押出体
14...下糸層
15...下糸
16...中間ゴム層
16A...シート材
18...上糸層
19...上糸
20...外皮ゴム層
22...口金
30...ホース製造装置
31...第1押出装置
32...第1編込装置
32a...ドラム
34...中間シート形成装置
35...第2編込装置
35a...ドラム
37...第2押出装置
Claims (4)
- 内管ゴム層と外皮ゴム層との間に、上糸層と下糸層からなる少なくとも2層の補強層を備えた補強ホースにおいて、
上記下糸層は、単位デシテックス当たりの、引張り強さが6.9g以上、2.7g荷重時における伸度が2.6±1.0%のポリエステル糸からなる補強糸を用い、該補強糸をホース軸方向に対する編角が59±2゜で編組することにより構成されていること、を特徴とする補強ホース。 - 請求項1に記載の補強ホースにおいて、
上記上糸層は、単位デシテックス当たりの、引張り強さが6.9g以上、2.7g荷重時における伸度が2.6±1.0%のポリエステル糸からなる補強糸を用い、該補強糸をホース軸方向に対する編角が59±2゜で編組することにより構成されている補強ホース。 - 請求項1または請求項2に記載の補強ホースにおいて、
上記内管ゴム層の厚さが0.6±0.2mmである補強ホース。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の補強ホースにおいて、
上記補強糸の太さは、1100±100dtexである補強ホース。
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